説明

パッケージ染色機械における流量制御方法及び装置

【課題】パッケージ染色機械における処理流体の流量を制御する方法及び装置を提供する。
【解決手段】0.0.流体流量を制御する方法は、前記機械の大釜1に接続され、かつ前記機械の動作中に切換えられて前記大釜内の少なくとも一つのパッケージを通る流体の方向を反転する反転装置2を備える流体循環システム内の単方向ポンプ15にかかる差圧を測定するステップと、前記ポンプの性能特性を用いて前記測定された差圧から前記流体循環システムを通る流体流量を計算するステップと、前記流量を時間にわたりモニタして前記反転装置の各切換え間の積算流量を定めるステップと、前記積算流量情報を用いて前記反転装置の各切換え間の総流量がほぼ等しくなるように前記反転装置の切換えを自動制御するステップとを含む。前記計算された流量と所望の流量とを比較して流量差を定めてもよく、それにより前記ポンプの動作が自動調整されて前記流量差を減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパッケージ染色機械における処理流体の流量を制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヤーン、スレッド、リボン等のようなテキスタイルは一般的に大きい円錐スプール又はボビンに巻かれて、テキスタイル処理機により処理するためのパッケージを形成する。テキスタイル処理は染色や、及び染料以外の物質による処理をも含み、その場合、染色材料又は他の処理物質は水中で薄められて処理流体又は処理溶液をもたらす。ある量のパッケージが処理機の大釜内部の中空スピンドルに装填され、大釜が処理流体で満たされ、次いで流体がパッケージの中を流体循環システムを用いて通される。ポンプが流体を押し流して循環システムを巡らせる。
【0003】
均一な染色のような一様な処理効果を達成するために、二つの流体流路が主として使用される。内部から外部への流路は、流体を、中空スピンドル内部の上側へ送り、スピンドル壁内の孔を通り、パッケージを通ってその外側へ、大釜の本体容積の中に送る。これと対向する外部から内部への流路は、流体を大釜の本体容積から、パッケージを通って内側に押し進め、スピンドル壁を通って、スピンドル内の中心中空空間の中に押し進める。
【0004】
典型的な処理サイクルはこれらの二つの流れ方向間の周期的切換えを含むことになる。これは処理の不均一を最小にするために広く受け入れられている技術である。流れ方向の変化は単方向ポンプと共に用いる、流体循環システムにおける機械的流れ反転装置により達成される。しかしながら、流れの移動距離と性質が同じでないために、流れ反転装置の構造は、二つの流れ方向に対する流動抵抗が異なるような構造である。この結果、ポンプの性能もまた二つの流れ方向に関して相違し、異なる流量をもたらす。一様な処理結果を得るという目的でこの相違のバランスをとるために、二つの流れ方向に対する異なるサイクルタイムが一般的に使用される。このタイムの違いは経験を通じて得られるのが典型的である。
【0005】
この慣行は人の経験とヒューマンエラーに依存しすぎるものであるため、改良の余地がある。また、タイミングのパラメータを得るために必要な時間が膨大になる。ことによると高温において、そうでない場合に必要かもしれない時間より長時間、大量の処理流体を循環する必要があり、これがエネルギーを浪費するためにさらなる不利益が生じる。さらに、既知の方法は経験に非常に依存するものであるので、内部から外部への流れ方向と、外部から内部への流れ方向との間の妥当なバランスを見出すために染料等に対する新しい処方箋が広範にテストされなければならず、これは適応性と繰り返し性を保証できないことを意味する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の第1の態様は、テキスタイル・パッケージ流体処理機械の動作中に流体流量を制御する方法であって、前記機械の大釜に接続され、かつ前記機械の動作中に切換えられて前記大釜内の少なくとも一つのパッケージを通る流体の流れの方向を反転する反転装置を備える流体循環システム内の単方向ポンプにかかる差圧を測定するステップと、前記ポンプの性能特性を用いて前記測定された差圧から前記流体循環システムを通る実際の流体流量を計算するステップと、前記実際の流量を時間にわたりモニタして前記反転装置の各切換え間の積算流量を決定するステップと、前記積算流量情報を用いて前記反転装置の各切換え間の総流量がほぼ等しくなるように前記反転装置の切換えを自動制御するステップとを含む方法を対象とする。
【0007】
従って、この方法は二つの流れ方向の間に一般的に存在する変化に対して流量を補正する。良好な処理結果を得るためには各方向の流量が等しいことが重要であるが、流量変化は反転装置の各切換え後に生じ得る。各切換え動作後の積算流量をモニタすることにより、総流量が必ず同じになるように適切な時間に切替を実行することができる。この方法は人間の推定や経験を何ら必要とすることなく、正しい流量が使用されるようにし、従って、ヒューマンエラーが処理工程から除去され、より良質なテキスタイルを生産することができる。
【0008】
代わりの実施例において、この方法はさらに、前記実際の流体流量を前記少なくとも一つのパッケージに対する所望の流体流量と比較して流量差を定めるステップと、前記流量差を用いて、前記流量差が減少するように前記ポンプの動作を自動調整するステップとを含んでもよい。
【0009】
この技術により、正しい流量の提供によって、人間の推定、ひいてはヒューマンエラーの恐れが除外され、それにより、さらにテキスタイルの品質を改善する。この実施例によれば、この方法はフィードバック編成として運用されて処理工程全体にわたる流量の常時のモニタと調整を可能にし、それにより、例えば反転装置の切換えから生じる如何なる流量変化をも、あるいは如何なるポンプ性能の変動をも、それらが生じる際に、補償及び補正することができる。
【0010】
流量差の減少はどんなものであっても有利であるが、この方法は実際の流量を所望の流量にほぼ合致させるために使用されることが好ましい。従って、ポンプの動作は、流量差が実質的に除去されるように調整されてもよい。これを達成するためにいくつかの調整が必要かもしれない。
【0011】
いかなる適当なタイプのポンプが使用されてもよい。しかしながら、典型的にはポンプはモータにより駆動され、その場合、ポンプの自動調整動作はポンプを駆動するモータの動作を自動制御するステップを含んでもよい。
【0012】
所望の流量は、既知ならば直接提供されてもよい。代わりに、それは実行すべき特定の処理工程に対して、より容易に入手可能なパラメータから決定されてもよい。これは機械オペレータに対して物事を簡略化する。例えばこの方法は、前記大釜内の装填物のサイズと前記少なくとも一つのパッケージ内のテキスタイルの性能指標から所望の流量を計算するステップをさらに含んでもよい。
【0013】
本発明の第2の態様はテキスタイル・パッケージ流体処理機械の作動中に流体流量を制御する装置であって、前記機械の大釜に接続され、かつ前記大釜内の少なくとも一つのパッケージを通る流体の流れの方向を反転するように切換え可能な反転装置を備える流体循環システム内の単方向ポンプにかかって接続可能な差圧センサと、前記反転装置に接続可能でありかつ前記機械の動作中に前記反転装置の切換えを制御するように動作可能である反転装置制御装置と、前記差圧センサにより測定された差圧データを受信するように編成されかつ前記ポンプの性能特性を用いて前記流体循環システムを通る実際の流体流量を計算するように動作可能な流量計算器と、前記流量計算器から前記実際の流量を受信するように編成されかつ前記実際の流量を時間にわたりモニタして前記反転装置の各切換え間の積算流量を決定し、前記反転装置制御装置に命令を与えて前記反転装置の各切換え間の総流量がほぼ等しくなるように前記反転装置を切換えるように動作可能なバランス制御ユニットとを備える装置を対象とする。
【0014】
さらなる実施形態において、前記装置はさらに、前記少なくとも一つのパッケージに対する所望の流量に関連するオペレータ入力を受信する入力装置と、前記実際の流量と前記所望の流量を比較して流量差を定めるように動作可能な比較器と、前記ポンプに接続可能であり、前記比較器から流量差データを受信するように編成され、前記流量差が減少するように前記ポンプの動作を調整するように動作可能なポンプ制御装置とを備えてもよい。
【0015】
前記ポンプの動作は、前記流量差が実質的に除去されるように調整されてもよい。
【0016】
前記ポンプ制御装置は前記ポンプを駆動するモータの動作を制御することにより前記ポンプの動作を調整するように動作可能でもよい。
【0017】
前記入力装置は、前記大釜内の装填物のサイズと前記少なくとも一つのパッケージ内のテキスタイルの性能指標についてのオペレータ入力を受信するように構成され、前記装置がさらに、前記オペレータ入力から前記所望の流量を計算するように動作可能な流量変換器を備えてもよい。これはオペレータが所望の流量を知り、あるいは計算する必要性を除去し、より直接的に入手可能なデータの入力という、より簡単なステップを可能にする。
【0018】
本発明の第3の態様は第2の態様の何れかの形態による装置が設けられたテキスタイル・パッケージ流体処理機械を対象とする。この機械は例えばテキスタイル・パッケージ染色機械でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明をよりよく理解するためと、それをいかに実行できるかを示すために、ここで、例として添付した図を参照する。
【0020】
図1は流体循環システムを有する従来のパッケージ染色機械の簡略化された模式図を示す。機械20は染色のような流体処理工程中に複数のテキスタイル・パッケージを保持するための大釜22を備える。単純にするために、一つのパッケージ26のみ示す。パッケージ26は大釜22の底部から上方に延びる垂直中空スピンドル24に支持される。大釜22の底部はまた二つの流体流入/流出ポートを含む。一方のポート28はスピンドル24の中空内部に繋がっている。他方のポート30は大釜の本体容積に連通するようにスピンドルから離れて大釜22の底部に開いている。
【0021】
流体循環システムはポート28、30に接続され、処理流体がパッケージ26を通って循環されるように動作する。このシステムはパイプ・ネットワーク34と、その中にパイプ・ネットワーク34を巡って大釜22の中に流体を押し進めるように動作可能であるポンプ36とを備える。ポンプ36は単方向式であり、流体を片側矢印により示される方向にのみ循環させる。
【0022】
テキスタイルの一様な処理(均一な染色結果のような処理)のためには、パッケージを通って二つの対向する方向へ、すなわち内部から外部へ、及び外部から内部へと流体を循環させることが好ましい。内部から外部への流れはスピンドル24の中空内部から、スピンドル壁(孔が開けられている)を通り、パッケージを通って大釜の本体容積まで到る。外部から内部への流れは逆方向を辿る。二つの流れの方向は両側矢印により示される。単方向ポンプ36からの対向する二つの流れ方向を達成するために、流れ反転装置32がパイプ・ネットワーク34と大釜22の間に挿入される。反転装置32はパイプ・ネットワーク34から流体を受ける入口38と、パイプ・ネットワーク34に流体を戻す出口40と、それに加えて大釜の底部の二つのポート28、30への接続部とを有する。反転装置32における機械的機構は、内部から外部への流れポジションと、外部から内部への流れポジションとの間で切替可能である。内部から外部への流れポジションでは、反転装置32における機械的機構は入口38をスピンドル24下のポート28に接続し、大釜22底部のポート30を出口40に接続する。外部から内部への流れポジションでは、反転装置32における機械的機構は入口38を大釜22底部のポート30に接続し、スピンドル24下のポート28を出口40に接続する。様々な流れ反転装置が既に知られている。
【0023】
典型的な処理工程は各方向の流れに対しいくつかの交互周期を含み、各周期に対して等しい総流量を供給するようにする。導入部にて論じられたように、反転装置の構造から部分的に生じる各流れ方向に対する流動抵抗の相違を補償するために、二つの流れ方向に対する周期の継続時間は等しくない必要があるのが一般的である。タイミングは使用者の経験により決定されるため、エラーが生じやすい。
【0024】
これに対処するために、本発明により、図2に示されるような装置を用いて実行できる、流量を自動制御する方法が提案される。
【0025】
図2は、図1の従来の機械20に類似するパッケージ染色機械を示す。この染色機械は、パイプ・ネットワーク14を備えた流体循環システムを有する大釜1と、パイプ・ネットワーク14と大釜1の間に接続された反転装置2と、単方向ポンプ15とを備える。この例ではポンプ15はモータ4により駆動される。
【0026】
この機械には、大釜内のパッケージを通る流量を自動制御するための、本発明の一実施形態による装置が設けられる。この装置では、単一処理工程中に、ほぼ等しい流れの量を各流れ方向に供給することができる。
【0027】
ポンプは、ポンプが生じさせる流量とポンプにかかる圧力差(圧力へッド)に関連した性能特性を有する。図3はヘッドと流量間の関係を示すグラフとして図示されたポンプ性能特性の例を示す。この場合、この関係はほぼ線形で浅い傾斜がついており、それにより、圧力差の小さい変化(例えば、点Aから点Bへの減少)は流量に対する大きい変化(例えば点rから点sへの増加)をもたらす。本発明はこの関係を用いる。この関係についての正確な性質は、それが既知であるか、使用されるポンプに対して決定できる限りは重要ではない。従って本発明は図3に示されるような性能特性を有するポンプに限定されない。
【0028】
図2に戻ると、本装置は差圧センサ5を含んでいる。このセンサはポンプ15の入口3と出口13に接続されて、ポンプ15が大釜1内のパッケージを通って流体を循環させるよう動作している間にポンプ15にかかる圧力差(差圧)を測定する。差圧はモータ4がポンプ15を駆動するレートと、反転装置2により設定される流れ方向とに従って変化することになる。
【0029】
測定された差圧はセンサ5から流量計算器6に与えられる。流量計算器6にはポンプ15の性能特性に関する情報が与えられており、この性能特性を用いて差圧から流量を計算するように動作可能である。計算はハードウェアにより実装されても、ソフトウェアにより実装されてもよい。計算は、例えば対応する差圧値に対する流量値を一覧表にしたルックアップテーブルを用いて行われても、性能特性曲線を示す方程式を用いて行われてもよい。
【0030】
本装置は入力装置10に接続された流量変換器7を備え、処理工程が実行される際に望まれる流量についての値を機械のオペレータが入力できるようにする。この値は流量変換器7に与えられる。あるいは、入力装置10はユーザによるデータ入力を可能にし、これにより所望の流量を決定することができる。これは、大釜1に容れられるべきテキスタイル装填物のサイズ又は容量11の入力、及びテキスタイルの性能指標(使用する特定の処理流体について、そのテキスタイルを処理する容易さを示すパラメータ)の入力でもよい。入力装置10は表示画面、及びそれを介してデータが入力されるキーパッドやキーボードや他の入力装置を有してもよい。表示画面はユーザに必要なデータを入力するように促すメッセージを示してもよい。データは機械の動作前に入力される。そして、流量変換器7はユーザにより入力されたデータから所望の流量を計算するように動作可能である。流量計算器6によるのと同様に、これは方程式を用いて実行されても、ルックアップテーブル、ソフトウェア、ハードウェアにより実行されてもよい。
【0031】
所望の流量が得られると、流量は流量変換器7により比較器16に与えられる。次いで、機械の動作中に、比較器16はまた流量計算器6から計算された実際の流量を受信する。比較器16は二つの流量を比較してそれらの間の差を定める。差がることはポンプが工程に対して適当な流量で処理流体を循環させていないことを示す。これを補正するために、モータ制御装置12が、比較器16からの流量差データを受信し、このデータを用いて制御信号を生成し、それをモータ4に送信してモータの回転を適切に増減してポンプ15が動作するレートを変更するように編成される。あるいは、制御信号は比較器16により生成され、モータ制御装置12に送られてもよく、そのときこのモータ制御装置がモータ4を調整するように動作する。
【0032】
モータ4を調整する目的は、実際の流量が所望の流量にほぼ合致するように流量差を減らすことである。これは数サイクルの測定と調整を必要とするかもしれない。従って、制御は機械の動作中に連続的に行われてもよい。流量差の大きさにより、モータがどれだけ調整されるかが決定され、流量差の符号により、モータ動作が増加されるか減少されるかが決定される。さらに差圧を測定し、流量を計算して所望の流量と比較することにより、モータのさらなる調整が必要であるかどうか等々を判定する。従って、全体的に見れば、装置は機械の動作全体にわたりポンプを制御するフィードバックループを提供することができる。
【0033】
特に流れ方向に関する2つのポジション間で反転装置2が切換えられるときには、おそらく調整が必要であろう。このようにモータ4がポンプ15を駆動するレートを変更することにより、二つの対向する流れ方向に対する流量の固有の差を補償する。従って、両方向に対する流量は所望の流量に合致させられる。これが達成されると、反転装置は、二つの流れ方向がほぼ等しい期間用いられ、各期間中及び処理工程全体にわたって各方向に対しほぼ等しい流れの総量を生じるように動作することができる。これにより一様かつ均一なテキスタイル処理がもたらされる。
【0034】
従って、機械は予め設定された間隔での反転装置の周期的切換えを用いて動作され、各方向に対する流れ時間を釣り合わせさせてもよい。しかしながら、そのような動作は単純であり魅力的であるが、フィードバックシステムにおいて生じる揺れと、反転装置の各切換え後の安定状態に達するのにかかる時間が顕著であるために、各流れ方向に対して等しい時間で機械を単純に動作することによる各方向の総流量間のバランスはあまり良好でない。
【0035】
従ってさらなる実施例は、この問題に対処して各流れ方向の等しい流量を達成するために、反転装置2の動的制御を提案する。
【0036】
図2を再び参照すると、本装置は、反転装置2に接続され、かつその二つのポジション間で反転装置2を切換えるように動作可能な反転装置制御装置9を更に備えてもよい。また、バランス制御ユニット8が流量計算器6と反転装置制御装置9の間に接続される。バランス制御ユニット8は流量計算器6からリアルタイムに計算された実際の流量を連続的に受信する。それはまた、反転装置制御装置9に送信するための制御信号を生成していつ反転装置を切換えるべきかを反転装置に伝える。バランス制御ユニット8はこのようにして、どちらの流れ方向が使用されているかを認識する。
【0037】
バランス制御ユニット8は二つの流れ方向に対して実際の流量を長時間にわたりモニタして動作し、工程が進行する際の各流れ方向に対する各期間における積算流量を定める。この情報に基づいて、バランス制御ユニット8は、反転装置の各期間に対して総流量が同じとなるように、ひいては、処理工程全体にわたり内部から外部への総流量と外部から内部への総流量の間の均衡を達成するように、反転装置がいつ切換えられるべきかを決定する。あるいは、切換え間の個々の流れ期間それぞれに対してではなく、工程全体にわたる各方向の総流量を等しくするためにのみ切替を制御されてもよい。バランス制御ユニット8はハードウェアまたはソフトウェアにより実施されてもよく、また例えばアルゴリズムの使用により機能を実行してもよい。
【0038】
従って全体的に見れば、本発明の実施形態は機械により実行される処理工程の過程にわたりポンプと反転装置を自動的に動的制御し、二つの対向する流れ方向に等しい総流量をもたらす。所望の流量に関連するデータ(流量自体か、装置によりそれから流量が計算されるデータ)が装置に与えられた後に、自動制御による処理工程を開始し、さらなるオペレータ入力なしに完了することができる。ポンプの制御は単独で実行されても、反転装置の制御と組み合わせて実行されてもよい。さらに、ポンプの制御を含むことなく、反転装置の制御のみを実施することも可能である。
【0039】
図2は別個のモジュールとして具現化された装置を示す。各モジュールは所望通り、あるいは該当する通り、ハードウェアを用いて実施されても、ソフトウェアを用いて実施されても、ファームウェアを用いて実施されてもよい。一つより多い機能が単一ユニット内に組み合わされてもよい。例えば、差圧を決定するのに必要な圧力測定値を提供するのに適した圧力変換器を除いては、装置全体がポンプからの圧力測定値と、操作者により入力される所望の流量データを受信し、制御信号をモータ及び反転装置に出力する単一のプロセッサ上で機能するソフトウェアとして実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ポンプと反転装置付きの流体循環システムを有する従来のテキスタイル・パッケージ処理機を略図で示す。
【図2】ポンプと反転装置付きの流体循環システムと、流体流を制御する装置とを有する本発明の実施形態によるテキスタイル・パッケージ処理機を略図で示す。
【図3】本発明の実施形態に使用されてもよい例示的なポンプの性能特性のグラフを示す。
【符号の説明】
【0041】
1 大釜
2 反転装置
4 モータ
5 差圧センサ
6 流量計算器
7 流量変換器
8 バランス制御ユニット
9 反転装置制御装置
10 入力装置
12 ポンプ制御装置
15 単方向ポンプ
16 比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスタイル・パッケージ流体処理機械の動作中に流体流量を制御する方法であって、
前記機械の大釜(1)に接続され、かつ前記機械の動作中に切換えられて前記大釜内の少なくとも一つのパッケージを通る流体の流れの方向を反転する反転装置(2)を備える流体循環システム内の単方向ポンプ(15)にかかる差圧を測定するステップと、
前記ポンプの性能特性を用いて前記測定された差圧から前記流体循環システムを通る実際の流体流量を計算するステップと、
前記実際の流量を時間にわたりモニタして前記反転装置の各切換え間の積算流量を定めるステップと、
前記積算流量情報を用いて前記反転装置の各切換え間の総流量がほぼ等しくなるように前記反転装置の切換えを自動制御するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記実際の流体流量を前記少なくとも一つのパッケージに対する所望の流体流量と比較して流量差を定めるステップと、
前記流量差を用いて、前記流量差が減少するように前記ポンプの動作を自動調整するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流量差が実質的に除去されるように前記ポンプの動作が調整される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポンプの動作を自動調整するステップが前記ポンプを駆動するモータ(4)の動作を自動制御するステップを含む請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記大釜内の装填物のサイズと前記少なくとも一つのパッケージ内のテキスタイルの性能指標とから前記所望の流量を計算するステップをさらに含む請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された装置。
【請求項7】
テキスタイル・パッケージ流体処理機械の動作中に流体流量を制御する装置であって、
前記機械の大釜(2)に接続され、かつ前記大釜内の少なくとも一つのパッケージを通る流体の流れの方向を反転するように切換え可能な反転装置(2)を備える流体循環システム内の単方向ポンプ(15)に接続可能な差圧センサ(5)と、
前記反転装置に接続可能でありかつ前記機械の動作中に前記反転装置の切換えを制御するように動作可能である反転装置制御装置(9)と、
前記差圧センサにより測定された差圧データを受信するように編成されかつ前記ポンプの性能特性を用いて前記流体循環システムを通る実際の流体流量を計算するように動作可能な流量計算器(6)と、
前記流量計算器から前記実際の流量を受信するように編成されかつ前記実際の流量を時間にわたりモニタして前記反転装置の各切換え間の積算流量を定め、前記反転装置制御装置に命令を与えて前記反転装置の各切換え間の総流量がほぼ等しくなるように前記反転装置を切換えるように動作可能なバランス制御ユニット(8)と、を備える装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのパッケージに対する所望の流量に関連するオペレータ入力を受信する入力装置(10)と、
前記実際の流量と前記所望の流量を比較して流量差を定めるように動作可能な比較器(16)と、
前記ポンプに接続可能であり、前記比較器から流量差データを受信するように編成され、前記流量差が減少するように前記ポンプの動作を調整するように動作可能なポンプ制御装置(12)と、をさらに備える請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流量差が実質的に除去されるように前記ポンプの動作が調整される請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ポンプ制御装置が、前記ポンプを駆動するモータ(4)の動作を制御することにより前記ポンプの動作を調整するように動作可能である請求項8又は請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記入力装置が、前記大釜内の装填物のサイズと前記少なくとも一つのパッケージ内のテキスタイルの性能指標についてのオペレータ入力を受信するように構成され、前記装置がさらに、前記オペレータ入力から前記所望の流量を計算するように動作可能な流量変換器(7)を備える請求項8〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の装置が設けられたテキスタイル・パッケージ流体処理機械。
【請求項13】
前記機械がテキスタイル・パッケージ染色機械である請求項12に記載のテキスタイル・パッケージ流体処理機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−1922(P2009−1922A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−161328(P2007−161328)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(506003668)ファルマー・インヴェストメンツ・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】