説明

パネル状被搬送体の搬送方法

【課題】パネル状の被搬送体を台板上に積み重ねて搬送し、目的地に到着した後において台板を回収し易くできるパネル状被搬送体の搬送方法を提供する。
【解決手段】車両1の荷台1aにALC薄形パネルPを積み重ねて搬送する搬送方法において、荷台1a上に一対の台座部材3を、間隔を開けて設置し、台座部材3の上に、ALC薄形パネルPよりも幅の狭い台板5を設置し、ALC薄形パネルPの両方の側端Pcが台板5から張り出すようにして、ALC薄形パネルPを台板5上に積み重ねて載置した後に、車両1によって建築現場A1までALC薄形パネルPを搬送する。ALC薄形パネルPを荷台1aから降ろす際には、ALC薄形パネルPの両方の側端Pcが台板5から張り出しているのでALC薄形パネルPのみを持ち上げるようにして台板5から簡単に離間させることができ、荷台1aに残った台板5を簡単に回収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量気泡コンクリートパネルなどのパネル材及びパネル状に梱包された各種資材などのパネル状の被搬送体を車両の荷台に積み重ねて搬送し、さらに、被搬送体を支えていた台板を回収するための搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリート(ALC)薄形パネルのような規格寸法のパネルを複数搬送する場合には搬送時の衝撃等から保護することを主目的として台板を用いる。この台板は、通常、長さ、幅共に同寸のALC薄形パネルやALC薄形パネルよりも幅広のパネルを用い、さらに台板の下には木製、ALC製等の台座を用いるのが通常の使用形態である。
【0003】
また、荷物を搬送する場合の一般的な手法として、例えば、工場やトラック、コンテナ、倉庫などでの荷役作業を扱いやすくするために、荷物を載せる台(以下、「パレット」という)を使用し、パレットの穴状になった部分にフォークリフトやハンドリフトの爪を差し込んで持ち上げてトラック等の車両に積み込み、荷物とパレットとは荷姿として一体として搬送する態様がある。この種の搬送形態を利用したALC薄形パネルの搬送形態の場合にも、ALC薄形パネルと同寸またはALC薄形パネルよりも幅広のパレットを利用するのが通常である。
【0004】
以上の各搬送形態によって、ALC薄形パネルは、建築現場まで搬送される。ALC薄形パネルは、建築現場で適宜に使用されるものであるため、最終的には、所定の荷降ろしエリアに積み置いておく必要がある。そこで、搬送作業者は、フォークリフトや三角スリング等を用いてトラックの荷台からALC薄形パネルを荷降ろしエリアに降ろす作業を行っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の搬送方法では、ALC薄形パネルなどの被搬送体と同じ寸法か、または被搬送体よりも大きな寸法の台板またはパレット(以下、総称して「台板」という)によって複数の被搬送体を支えており、現場で荷降ろしする際に被搬送体と台板とを分けて扱うことが困難であった。そのため、台板に載ったままの状態で被搬送体を荷台から下ろして所定の荷降ろしエリアに積み重ねておくのが通常であり、結果として台板が現場で最後まで残り、台板の回収のための余計なコストがかかり、また、現場に残った台板は再利用が難しいこともあって省資源、省エネルギーという観点からも改善の余地があった。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、パネル状の被搬送体を台板上に積み重ねて搬送し、目的地に到着した後において被搬送体を支えていた台板を回収し易くできるパネル状の被搬送体の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の荷台にパネル状の被搬送体を積み重ねて搬送する搬送方法において、荷台上に一対の棒状の台座部材を、間隔を開けて設置し、台座部材の上に、被搬送体よりも幅の狭い台板を設置し、被搬送体の両方の側端が台板から張り出すようにして、被搬送体を台板上に積み重ねて載置した後に、車両によって目的地まで被搬送体を搬送することを特徴とする。
【0008】
本発明では、台板は、被搬送体よりも幅が狭く、被搬送体は、両方の側端が台板から張り出すようにして台板上に積み重ねられている。従って、目的地に到着して被搬送体を荷台から降ろす際には、例えば、三角スリングなどを用いて被搬送体の側端を持ち上げるようにすれば、被搬送体を台板から簡単に離間させることができる。また、台板と一緒に被搬送体を荷台から降ろした場合であっても、被搬送体は、両方の側端が台板から張り出しているので所定の場所に降ろした後であっても、被搬送体のみを持ち上げるようにして台板から簡単に離間させることができる。その結果として、台板を簡単に回収できる。さらに、本発明によれば、台板は、荷台上に設置された一対の棒状の台座部材の上に設置されているので、荷台上に台板が残された場合であっても、台座部材同士の間の隙間にフォークリフトなどのツメを差し込んで、台板を荷台から降ろして回収することも容易である。
【0009】
さらに、目的地に到着した際には、三角スリングによって被搬送体を台板から離間させて荷台から降ろし、荷台上に残された台板を回収すると好適である。三角スリングによって被搬送体の側端を持ち上げるようにすれば、被搬送体を台板から簡単に離間させることができ、荷台上に残された台板を簡単に回収できる。
【0010】
また、目的地の荷降ろしエリアに、一対の棒状の架台を、被搬送体の両方の側端に当接可能な間隔を開けて並べて配置し、架台の高さは、台板の板厚よりも大きく、目的地では、台板に載置されたままの状態で被搬送体を昇降搬送装置によって荷台から降ろすと共に、台板が一対の架台間に収まるように降下させて、被搬送体を一対の架台に渡した後で、台板を一対の架台間から引き抜いて台板を回収すると好適である。フォークリフトなどの昇降搬送装置を利用して複数の被搬送体を台板に載せた状態のまま荷台から降ろす場合であっても、荷降ろしエリアに配置された一対の架台上に被搬送体を降ろすことで、被搬送体は一対の架台に渡され、その結果として台板は一対の架台間で被搬送体から離間される。そして、被搬送体から離間された台板を引き抜くことで、台板を簡単に回収できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パネル状の被搬送体を台板上に積み重ねて搬送し、目的地に到着した後において被搬送体を支えていた台板を簡単に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ALC薄形パネルを荷台に載置した車両の斜視図である。
【図2】車両の荷台に複数のALC薄形パネルを積載する工程を模式的に示す斜視図であり、(a)は台座部材を設置した状態を示す説明図、(b)は台座部材の上に台板を設置した状態を示す説明図、(c)は台板の上に複数のALC薄形パネルを積載した状態を示す説明図である。
【図3】車両の荷台に載置された複数のALC薄形パネルに三角スリングを設置している状態を示す側面図である。
【図4】三角スリングによって台板上から複数のALC薄形パネルを持ち上げた状態を示す斜視図である。
【図5】車両の荷台に載置された複数のALC薄形パネルをフォークリフトで降ろす状態を示す説明図である。
【図6】フォークリフトを用いて荷降ろしエリアに複数のALC薄形パネルを降ろして台板を回収する状態を示す説明図であり、(a)は荷降ろしエリアに一対の架台を設置し、その架台上に複数のALC薄形パネルを降ろした状態を示す正面図であり、(b)は複数のALC薄形パネルを架台上に渡して、台板をALC薄形パネルから離間させた状態を示す正面図であり、(c)はALC薄形パネルから離間した台板をフォークリフトで所定の保管場所に搬送している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、被搬送体として軽量気泡コンクリートパネル(Autoclaved Light-weight Concrete)(以下、「ALC薄形パネル」という)Pを搬送する態様にて説明する。ALC薄形パネルP(図1参照)は、所定の工場で、標準化された規格寸法で量産され、建築現場や倉庫等の保管場所(目的地)までトラックなどの車両1の荷台1aに積載されて搬送される。例えば、建築現場まで搬送されたALC薄形パネルPは、荷降ろしされて適宜に積み置きされ、鉄筋コンクリート(Reinforced-Concrete)造の構造躯体の所定位置に順次建て込まれ、建物の壁構造を構築するために利用される。
【0014】
図1及び図2を参照して車両1にALC薄形パネルPを積載する手順について説明する。車両1の荷台1aには、二本(一対)の台座部材3を所定の間隔を開けて設置する(図2(a)参照)。台座部材3の材質は、木製、樹脂製または軽量気泡コンクリート製の断面矩形の棒状部材であり、一対の台座部材3の長手方向は、車両1の前後方向に直交する方向(左右方向)に向けられている。
【0015】
次に、台座部材3上に、ALC薄形パネルPと同一の材料からなる軽量気泡コンクリート製の台板5を設置し(図2(b)参照)、台板5の上に複数のALC薄形パネルPを積層してパネルブロックBを構築する。ALC薄形パネルPは、一対の長辺Paと一対の短辺Pbとを有する矩形パネルである。台板5は、ALC薄形パネルPの短辺Pbと同一寸法の短辺5bと、ALC薄形パネルPの長辺Paよりも寸法の短い長辺5aとを有する矩形パネルである。本実施形態では、ALC薄形パネルPまたは台板5の幅は、長辺Pa,1a側の長さを意味する。従って、台板5はALC薄形パネルPよりも幅の狭い矩形パネルである。
【0016】
ALC薄形パネルPは、台板5上に重なるように載置されるが、ALC薄形パネルPの長辺Paに沿った方向(幅方向)における両方の側端(以下、「短辺部分」という)Pcが、台板5の幅方向の側端から張り出すように積み重ねられる。
【0017】
車両1の荷台1aには、例えば、パネルブロックBが上下二段になるように積み重ねられており、本実施形態では、計6個のパネルブロックBが荷台1aに積載されている。下段側のパネルブロックBの上には、軽量気泡コンクリート製の一対の台座部材3が設置されている。この台座部材3の上に、上段側のパネルブロックBが載置されている。6個のパネルブロックBは、二本のワイヤー1cによって荷台1aに固定されている。なお、パネルブロックBの上縁には、ワイヤー1cとの干渉による破損を抑止するために、保護材(図示せず)が配置されている。
【0018】
車両1による搬送時には、パネルブロックBの自重に比例した衝撃力が加わるが、パネルブロックBは台板5で支えられ、さらに、台板5は一対の台座部材3で支えられているため、パネルブロックBの破損が防止され、且つパネルブロックBは安全に搬送される。
(第1の台板回収方法)
【0019】
次に、図3及び図4を参照して、ALC薄形パネルPの第1の台板回収方法について説明する。第1の台板回収方法では、路盤面が整地されていない不安定場所、例えば、建築現場A1を目的地として想定している。建築現場A1では、路盤面が整地されていないためにフォークリフトなどの昇降搬送装置を使用できない。従って、建築現場A1に到着すると、三角スリング7を利用して荷降ろし作業が行われる。
【0020】
ここで三角スリング7について詳述する。三角スリング(例えば、技報堂出版株式会社「建築用語辞典(第ニ版)」参照)7は、略三角形状の鋼製受材7aとワイヤー7bとで構成され、ALC薄形パネルPなどを揚重するために用いられる治具である。鋼製受材7aは概略長さが60cm程度であり、鋼製受材7aの略中央部、すなわち三角形の頂部近傍を含む中央部分には、クレーン先端のフックCと連結する穴が設けられている。鋼製受材7aの左右の両端には、各々二のワイヤー7bの上端が連結固定されている。計四本のワイヤー7bのうち、左右二本のワイヤー7bが対になり、一対のワイヤー7bそれぞれの下端が一本の等辺山形鋼7cの左右の端部に固定されている。すなわち、四本のワイヤー7bは、二本ずつが組になって計二本の等辺山形鋼7cを支持している。
【0021】
パネルブロックBとして荷台1a上に積層された複数のALC薄形パネルPは、台板5に対して持ち出しされた状態、すなわち、ALC薄形パネルPの短辺部分(側端)Pcが台板5の幅方向に張り出した状態になっている。二本の等辺山形鋼7cは、ALC薄形パネルPの両方の短辺部分Pcに内接整合されて設置され、その後、クレーンによって三角スリング7を介してパネルブロックB単位で持ち上げられる(図4参照)。この時、ALC薄形パネルPの両方の短辺部分Pcと鋼製受材7aとは、ワイヤー7bで三角形状を成すようバランスさせる。このように荷降ろしすれば、パネルブロックBを台板5から離間させるようにして、パネルブロックBのみを荷台1aから荷降ろし、所定の荷降ろしエリアに置くことができる。その結果、台板5と台座部材3のみを車両1の荷台1aに残すことができる。
【0022】
台板5と荷台1aとの間には、一対の台座部材3によって隙間Sが形成されている。この隙間Sにフォークリフトなどの爪を差し入れることで台板5は簡単に回収でき、また、残った台座部材3も簡単に回収できる。その結果として、再使用を目的として台板5や台座部材3の工場等への返却が容易になり、省資源、省エネルギー的で、且つ経済的な搬送の実現に寄与する。
【0023】
第1の台板回収方法を採用した搬送方法の利点について従来の搬送方法に比較して説明する。従来の搬送方法では、台板として利用されるパネルやパレットは、ALC薄形パネルと同寸またはALC薄形パネルよりも大きな寸法であったため、台板とALC薄形パネルとを分離させて扱うことが非常に困難であった。そのため、台板とALC薄形パネルを台板上に載せた状態のまま荷降ろしする必要があり、台板の回収は、台板上のALC薄形パネルを施工のためにすべて利用した後でなければ行えなかった。そのため建築現場で発生するALC薄形パネル端材と共に産業廃棄物として廃棄されるのが通常であり、省資源的でなく、廃棄費用も高額となるので経済的で無かった。
【0024】
特に、台板としてパレットを使用する場合には、木製のパレットが多用されるが、湿潤した環境では腐朽する可能性があり、未回収材や破損時には産業廃棄物として廃棄せざるを得なかった。一方で、樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)製のプラスチックパレットは、木製パレットと比べ強度や耐荷重量に優れ、破損が少ないが、破損してしまった場合の再生は困難であり、結果的に産業廃棄物として廃棄せざるを得ない。また、鉄やアルミニウムで作られた金属パレットはコストが高く、ボール紙で構築される紙製パレットは、強度が非常に低く、使い捨てを前提として運用されるので省資源的でなかった。
【0025】
本実施形態に係るパネル状被搬送体の搬送方法によれば、パネルブロックBの強度上の安全な搬送と、パネルブロックBと台板5とを分離した荷降ろしが可能となる。また、三角スリング7を用いて荷降ろしすることで、例えば、路盤面が不安定な場所での荷降ろしが可能であり、さらに、荷台1a上に台板5を残したまま、荷台1a上からパネルブロックBのみを簡単に荷降ろしできるようになるため、荷台1a上に残った台板5を簡単に回収できる。従って、搬送時にALC薄形パネルPを支える台板5を工場と建築現場A1との間で効率よく循環させる物流環境を整えることができ、省資源、省エネルギー的で、且つ経済的な搬送が可能になる。
【0026】
また、本実施形態では、軽量気泡コンクリートパネルからなる台板5を採用するので、例えば、製品としてのALC薄形パネルPの製造中に発生する端部欠け等の不良品を切断して使用することもでき、省資源的で、且つ経済的に作り出すことができる。更には工場内で発生する産業廃棄物の削減にも効果がある。
【0027】
また、軽量気泡コンクリートパネルからなる台板5の場合、比較的脆弱で塑性であるので大きな衝撃を与えられた場合には欠損として目視できるため再使用の可否判断が容易にでき安全に運用することができる。
(第2の台板回収方法)
【0028】
次に、図5及び図6を参照して、ALC薄形パネルPの第2の台板回収方法について説明する。第2の台板回収方法では、路盤面が整地されている安定場所、例えば、倉庫A2を目的地として想定している。倉庫A2に到着すると、昇降搬送装置としてのフォークリフト9を車両1に近づけ、台座部材3によって形成された隙間Sにフォークリフト9の爪9aを差し込み、台板5と一緒にパネルブロックBを持ち上げ、荷台1aから降ろす。
【0029】
倉庫A2の荷降ろしエリアAaには、予め、二本(一対の)の架台11を所定の間隔L2を開けて、略平行となるように配置しておく。架台11の材質は、木製、樹脂製または軽量気泡コンクリート製の断面矩形の棒状部材であり、地盤面に設置された状態での高さHが、台板5の板厚5hよりも高くなるような寸法形状となっている。
【0030】
また、所定の間隔L2は、台板5の長辺5aの長さL1よりも長く、且つ、ALC薄形パネルPの長辺Paの長さL3よりも短い距離であり、その結果として、所定の間隔L2とは、架台11それぞれが、パネルブロックBの最下段のALC薄形パネルPの短辺部分(側端)Pcに当接可能な間隔となっている。具体的には、台板5の幅をL1、ALC薄形パネルPの幅をL3とすれば常に、L1<L2の寸法関係にあり、架台11同士の間隔L2は、L1<L2<L3となるように配置する。また、L3とL1との差をdaとすると、架台11の断面寸法はda/2よりも小さいものとする。
【0031】
フォークリフト9は、台板5が一対の架台11間に収まるように、パネルブロックB及び台板5を降下させる(図6(a)参照)。そして、パネルブロックBを一対の架台11に渡した後で(図6(b)参照)、台板5を一対の架台11間から引き抜いて回収し(図6(c)参照)、台板専用の保管場所へ移送する。
【0032】
その後、架台11で得られる隙間S2にフォークリフト9の爪9aを差込み、パネルブロックBのみを移送し、所定の保管場所に積み置く。積み置き時には、別の架台11を用いることができる。
【0033】
第2の台板回収方法を採用した搬送方法では、パネルブロックBの強度上の安全な搬送が可能になると共に、台板5と一緒にパネルブロックBを荷台1aから降ろし、荷降ろしエリアAaに載置する際において、台板5を簡単に分離、回収可能である。従って、搬送時にALC薄形パネルPを支える台板5を工場と倉庫A2との間で効率よく循環させる物流環境を整えることができ、省資源、省エネルギー的で、且つ経済的な搬送が可能になる。
【0034】
また、パネルブロックBを支えるように、最下段に台板5を配置するため、荷降ろしの際に、フォークリフト9の爪9aで製品としてのALC薄形パネルPを破壊させるような事故は最小限に抑えられる。
【0035】
なお、この搬送方法を利用することで、例えば、管理体制の整った倉庫A2等の安定場所で台板5のみを簡単に回収でき、更に、台板専用の保管場所へ移送して保管できる。従って、台板5の返却に際し、例えば、運送上の経済的な数量に達するまで台板5を集積しておき、所定の数量まで貯まると、再使用を目的とした工場等へ返却するなどのシステム管理が容易になり、省資源、省エネルギー的で、且つ経済的な搬送方法の実現に寄与する。または、台板専用の保管場所へ仮置きした台板5をそのまま車両1の荷台1aへ積み込んで返却することも可能である。
【0036】
なお、本実施形態では、架台11は、降下する台板5を回避するように配置したが、倉庫A2内でのフォークリフト9を使用した後の移動を考慮し、台板5と一緒にパネルブロックBを支えることができるように架台11を並べ、そして荷降ろしすれば、保護用としてそのまま台板5を残すことも選択可能である。また、この場合には、予め台板5の下側に材質不問の架台11を接着又はビス等を用いて固着した架台11付き台板5とすることもできる。なお、上述の第1の台板回収方法では、工場から建築現場A1にALC薄形パネルPを直送して三角スリング7で荷降ろしする場合を説明したが、フォークリフト9で倉庫A2内に荷降ろしした後、その倉庫A2から建築現場A1まで搬送して三角スリング7で荷降ろし、その際に、台板5を分離、回収することも可能である。
【0037】
本発明は、以上の実施形態のみに限定されず、例えば、被搬送体は、ALC薄形パネルに限定されず、その他のパネル、またはパネル材の部材が梱包された各種資材であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…車両、1a…荷台、3…台座部材、5…台板、7…三角スリング、9…フォークリフト(昇降搬送装置)、11…架台、P…ALC薄形パネル(被搬送体)、A1…建築現場(目的地)、A2…倉庫(目的地)、Aa…荷降ろしエリア、Pc…短辺部分(側端)、架台の高さ…H。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台にパネル状の被搬送体を積み重ねて搬送する搬送方法において、
前記荷台上に一対の棒状の台座部材を、間隔を開けて設置し、
前記台座部材の上に、前記被搬送体よりも幅の狭い台板を設置し、
前記被搬送体の両方の側端が前記台板から張り出すようにして、前記被搬送体を前記台板上に積み重ねて載置した後に、前記車両によって目的地まで前記被搬送体を搬送することを特徴とするパネル状被搬送体の搬送方法。
【請求項2】
前記目的地に到着した際には、三角スリングによって前記被搬送体を前記台板から離間させて前記荷台から降ろし、荷台上に残された台板を回収することを特徴とする請求項1記載の搬送方法。
【請求項3】
前記目的地の荷降ろしエリアに、一対の棒状の架台を、前記被搬送体の両方の前記側端に当接可能な間隔を開けて並べて配置し、
前記架台の高さは、前記台板の板厚よりも大きく、
前記目的地では、前記台板に載置されたままの状態で前記被搬送体を昇降搬送装置によって前記荷台から降ろすと共に、前記台板が前記一対の架台間に収まるように降下させて、前記被搬送体を前記一対の架台に渡した後で、前記台板を前記一対の架台間から引き抜いて前記台板を回収することを特徴とする請求項1記載の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−126642(P2011−126642A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285392(P2009−285392)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】