説明

パレットコンベア

【課題】簡単な構成の無端チェーンで、パレットの搬送速度を倍速化し、かつコンベア間のパレットの移載に際し、搬送最終端までパレットの搬送速度の倍速化を持続させて、パレットの移載を確実に行うことが可能なパレットコンベアを提供する。
【解決手段】本発明のパレットコンベア1は、内外リングプレート11,12と、これらを連結するピン13と、このピン13に回転自在に軸支され、かつパレット30が載置されるローラ14から成る無端チェーン10と、駆動源の駆動により回転し、無端チェーン10に回転駆動を付与してこれを循環移動させる回転駆動付与手段5と、無端チェーン10の内輪において、パレット30の送り側の水平部と、パレット30の搬送最終端側の湾曲部に配置され、当該無端チェーン10を案内するとともに、前記ローラ14を転動するガイドレール20とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端チェーン搬送式のパレットコンベアにおいて、部品点数の少ない構成の無端チェーンで、パレットの搬送速度を倍速化し、かつコンベア間のパレットの移載に際し、搬送最終端までパレットを確実に搬送し、パレットの移載を円滑に行うことが可能なパレットコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パレットの搬送速度を倍速化し、かつコンベア間のパレットの移載を確実に行うことが可能な無端チェーン搬送式のパレットコンベアとしては、特許文献1(特許第3418877号公報)に示すものがある。この従来のパレットコンベア101は、図4に示すように、パレット130が載置され、これを搬送する無端チェーン110と、この無端チェーン110の内輪側に配置され、これを案内するガイドレール120と、この無端チェーン110に回転駆動を付与する駆動付与手段(図示せず)とから構成されている。
【0003】
前記無端チェーン110は、内外リングプレート111,112と、これらを連結するピン113と、このピン113に軸支され、かつパレット130が載置される大径ローラ114bと、この大径ローラ114bと同心に配置され、前記ガイドレール120上を転動する小径ローラ114aとから構成されている。この構成により、パレット130の重量が大径ローラ114bに加わったとき、両ローラ114a,114bが一体となって回転する。そのため、無端チェーン110の回転に伴い搬送されるパレット130には、推進力に加えて、小径ローラ114aがガイドレール120上を転動することにより発生する駆動力が大径ローラ114bを介して伝達されるので、パレット130の搬送速度が倍速化する。
【0004】
また、前記ガイドレール120は、無端チェーン110の内輪側において、パレット130の搬送路に平行な送り側の水平部と、パレットの搬送最終端側の湾曲部とに配置されている。この湾曲部にガイドレール120を備える構成により、パレット130の搬送速度の倍速化が搬送最終端まで持続する。そのため、コンベア間のパレット130の移載に際し、移載中、パレット130が停止してしまうような問題は皆無となり、移載を確実に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3418877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記パレットコンベアにおいては、無端チェーンがローラを2個備えており、部品点数が多く製造コストの増加を招いていた。しかも、ガイドレール上を小径ローラが転動して得られる駆動力は、一旦、大径ローラを介してパレットに付与される。つまり、複数のローラを介して当該駆動力が伝達される構成により、小径ローラ、大径ローラ間で滑り現象が発生する可能性がある。この滑り現象により、実際にパレットに駆動力が付与されるまでにタイムラグが生じ、所望の時間でパレットを搬送することができなくなるばかりか、連設するコンベアにパレットを移載する場合、当該コンベアとの回転の整合に誤差が生じ、パレットの搬送を確実に行うことができない問題も有している。
【0007】
本発明のパレットコンベアは、上記課題に鑑みて創成されたものであり、簡単な構成の無端チェーンで、パレットの搬送速度を倍速化し、かつコンベア間のパレットの移載に際し、搬送最終端までパレットの搬送速度の倍速化を持続させて、パレットの移載を確実に行うことが可能なパレットコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内外リングプレートと、これらを連結するピンと、このピンに回転自在に軸支され、かつパレットが載置されるローラから成る無端チェーンと、駆動源の駆動により回転し、当該無端チェーンに回転駆動を付与してこれを循環移動させる回転駆動付与手段と、前記無端チェーンの内輪において、パレットの送り側の水平部と、パレットの搬送最終端側の湾曲部に配置され、当該無端チェーンを案内するとともに、前記ローラを転動するガイドレールとを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記無端チェーンの外輪側において、戻り側の水平部にはサブガイドレールが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ローラを1個だけ備える簡単な構成であって安価な無端チェーンで、パレットの搬送速度を倍速化し、かつコンベア間のパレットの移載に際し、搬送最終端までパレットの搬送速度の倍速化を持続させるので、パレットの移載を確実に行うことが可能となる。しかも、無端チェーンは駆動力を伝達するローラを1個しか備えておらず、ローラ間の滑り現象も発生しない。そのため、当該駆動力は、滑り現象等に阻まれることなく伝達されるので、伝達時間のタイムラグ等も発生せず、連設するコンベアとの回転も整合させることができ、パレットの搬送を所望の時間で確実に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、無端チェーンの戻り側の水平部には、外輪側にサブガイドレールが配設されている。そのため、無端チェーンが経年使用により緩みが生じても、無端チェーンとローラとが非接触にならず、サブガイドレール上を無端チェーンのローラが転動するので、搬送速度の倍速化が衰えることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のパレットコンベアの側面視要部断面図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】従来のパレットコンベアを示す要部拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1はパレットコンベアであり、パレット30が載置され、これを搬送する無端チェーン10と、フレーム3に取付けらて、当該無端チェーン10を案内するガイドレール20と、回転駆動手段(図示せず)の駆動に伴って回転する駆動軸4と一体に回転し、無端チェーン10に噛合して回転駆動を付与する回転駆動付与手段の一例であるスプロケット5とから構成されている。なお、図1には、無端チェーン10が1列しか図示されていないが、本発明のパレットコンベア1は、当該無端チェーン10を平行に2列配置して、これらにパレット30を載置するように構成されている。
【0014】
前記無端チェーン10は、図2および図3に示すように、内外リングプレート11,12と、これらを連結するピン13と、このピン13に回転可能に軸支され、かつパレット30が載置されるローラ14と、当該ピン13とローラ14との間に介在するブッシュ15とから構成されている。
【0015】
前記ガイドレール20は、図1に示すように、無端チェーン10の内輪側において、パレット30の搬送路に平行な送り側(矢印Y方向)の水平部に配設される水平ガイドレール21と、パレット30の搬送最終端側の湾曲部に配置される湾曲ガイドレール22とから構成されている。また、前記無端チェーン10の外輪側において、パレットの搬送路に平行な戻り側(矢印X方向)の水平部にはサブガイドレール23が当該無端チェーン10を案内するように配置されている。
【0016】
前記湾曲ガイドレール22は、無端チェーン10の湾曲部に沿う外周を有するブロック部材であるが、これに代えて当該湾曲部に沿うレール状に構成されてもよい。ただし、ブロック状に形成することにより、レール状に形成されたものに比べて強度が増す。
【0017】
また、水平ガイドレール21と湾曲ガイドレール22には、所定の隙間Hが空けられている。このように隙間Hを設けることにより、無端チェーン10に過度のテンションが加わるのを防ぎ、無端チェーン10の破損を防止する。
【0018】
前記パレット30は、図2および図3に示すように、ワーク等が載荷される載荷板31と、この載荷板31の背面に設けられ、かつ無端チェーン10の長手方向に延びて当該無端チェーン10のローラ14に沿うように載置されるレール32とを有している。このパレット30の載荷板31には、背面に、長手方向に延びる溝33が削設されており、この溝33には前記レール32が嵌合されている。また、この溝33の底面33aとレール32との間には緩衝材36が介在しており、この状態で、レール32が載荷板31の上面から3箇所をねじ34によって当該載荷板31に取付けられている。しかも、このねじ34の脚部34aにはカラー35が挿入されており、レール32を溝33に嵌合させた状態でねじ止する際、緩衝材36が圧縮されて、レール32が溝33の底面33aに対して締付けられるのを防止するように構成されている。つまり、レール32が載荷板31に対して所謂フローティング機能を有するように取付けられている。
【0019】
前記ローラ14の径は、図2および図3に示すように、前記内外リングプレート11,12の縦方向の幅よりも小さく形成されている。そのため、無端チェーン10は、長手方向に沿って、ガイドレール20およびパレット30のレール32が嵌合するように構成されている。
【0020】
前述のような構成のパレットコンベア1においては、駆動源の駆動によりスプロケット5が回転すると、無端チェーン10は矢印Y方向に循環し、これに伴い、無端チェーン10に載置されたパレット30が移送される。このとき、無端チェーン10のローラ14は、水平ガイドレール21、湾曲ガイドレール22およびサブガイドレール23上を転動するので、パレット10の搬送速度が倍速化する。その後、パレット30は搬送最終端に到達し、ここに連設されたコンベア40に移載される。このとき、本発明のパレットコンベア1は、無端チェーン10の内輪において、湾曲部に、湾曲ガイドレール22を備える構成により、パレット30の搬送速度の倍速化が搬送最終端まで持続する。そのため、コンベア間のパレット30の移載に際し、移載中、パレット30が停止してしまうような問題は皆無となり、パレット30の移載を確実に行うことが可能となる。しかも、図4に示す従来のパレットコンベア101に用いられる無端チェーン110は、ローラを2個備える構成であるのに対して、本発明のパレットコンベア1に用いられる無端チェーン10は、ローラ14を1個だけ備える構成である。そのため、部品点数が少なく安価な無端チェーン10を用いたパレットコンベア1で、前述した倍速化、並びにパレット30の確実な移載を実現することが可能となる。
【0021】
また、本発明のパレットコンベア1においては、パレット30の搬送中に発生する騒音および振動は、緩衝材36の伸縮作用により低減される。しかも、ねじ34の脚部34aにカラー35が挿入されているので、ねじ34でレール32を溝33に取付ける組立て作業段階、あるいはパレット30の搬送中の振動等の影響により、レール32が溝33の底面33aに対して接触する方向に締付けられない。そのため、レール32と溝33の底面33aとの間に隙間が形成され、この隙間に緩衝材36を介在させる構成により、当該緩衝材36の伸縮作用を確実に発揮させ、騒音および振動を低減することができる。つまり、レール32のフローティング作用を確実に発揮することができる。

【符号の説明】
【0022】
1 パレットコンベア
3 フレーム
4 駆動軸
5 スプロケット
10 無端チェーン
11 内リングプレート
12 外リングプレート
13 ピン
14 ローラ
15 ブッシュ
20 ガイドレール
21 水平ガイドレール
22 湾曲ガイドレール
23 サブガイドレール
30 パレット
31 載荷板
32 レール
33 溝
33a 底面
34 ねじ
34a 脚部
35 カラー
36 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外リングプレートと、これらを連結するピンと、このピンに回転自在に軸支され、かつパレットが載置されるローラから成る無端チェーンと、
駆動源の駆動により回転し、当該無端チェーンに回転駆動を付与してこれを循環移動させる回転駆動付与手段と、
前記無端チェーンの内輪において、パレットの送り側の水平部と、パレットの搬送最終端側の湾曲部に配置され、当該無端チェーンを案内するとともに、前記ローラを転動するガイドレールと
を備えることを特徴とするパレットコンベア。
【請求項2】
前記無端チェーンの外輪側において、戻り側の水平部にはサブガイドレールが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパレットコンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−228887(P2010−228887A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79993(P2009−79993)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)