説明

ヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性化剤及びその使用

本発明は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼタンパク質に結合し、そして調節する化合物を選別するための方法を提供する。本発明は、更に、神経変性疾患、蓄積したアミロイド−ベータペプチド沈着物、Tauタンパク質レベル、及び/又はアルファ−シヌクレインの蓄積に伴う症状、並びに癌を治療するための、患者にHAT−活性化化合物を投与することによる方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

[式中:
は、H、又はCFであり;
は、H、Cl、又はCNであり;
は、H、O−メチル、O−エチル、S−エチル、O−シクロペンチル、OCHCHN(CH、又はCHCHCHN(CHであり;
は、H;C(=O)NH−フェニルであり、ここにおいて、フェニルは一つ又はそれより多いハロ或いはCFで置換されている;
は、H、C−C−アルキル、OH、OCH、O−エチル、OCHCHN(CH、CHCHCHN(CH、SCHCHN(CH、又はOCHC(=O)O−アルキルであり;
は、H、O−メチル、O−エチル、OCHCHN(CHであり;そして
Xは、CONH、SONH、SONH、NHC(=O)NH、又はNHCOである]
の化合物、或いは医薬的に受容可能なその塩又は水和物。
【請求項2】
以下の式II:
【化2】

[式中:
は、H又はCFであり;
は、O−エチル又はS−メチルであり;
は、ブチル又はOCHCHN(CHであり;
Yは、C−Cl、C−CN、C−NO、又はNであり;
Wは、CH又はNであり;そして
Zは、CH又はNである]
の化合物、或いはその医薬的に受容可能なその塩又は水和物。
【請求項3】
以下の式III:
【化3】

[式中:
10は、CFであり;
11は、CNであり;そして
12は、O−エチルある]
の化合物、或いはその医薬的に受容可能なその塩又は水和物。
【請求項4】
以下の式V:
【化4】

[式中:
Xは、S、S(O)、NH、O、又はCであり;
Yは、−C(O)、S(O)、又はNH−C(O)であり;
AR1は、5員の芳香族環又は1−2個の窒素を含有する6員の芳香族環であり;
AR2は、5員の芳香族環、6員の芳香族環又は1−2個の窒素を含有する6員の芳香族環であり;
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、C18、C1526、C1528、C1530、C1532、SR、又はORであり;
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、又は(C−Cアルキル)−COであり;
は、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、CF、CCl、Cl、F、Cl、I、NO、又はCNであり;
は、(C−Cアルキル)−N(R−又はC−Cアルキルであり;
は、独立に水素、C−Cアルキル、又はC−Cシクロアルキルであり;そして
は、水素、C−Cアルキル、又はC−Cシクロアルキルである]
の化合物、或いはその医薬的に受容可能なその塩又は水和物。
【請求項5】
前記化合物が、以下の式:
【化5】

であり、式中、化合物3のRは、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、C18、C1526、C1528、C1530、又はC1532である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、以下の式:
【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、以下の式:
【化7】

【化8】

である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
蓄積したアミロイド−ベータペプチドの沈着物に伴う症状を治療するための式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を選別するための方法であって:
a)式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)のHAT活性化剤化合物を、アミロイドベータ沈着物蓄積の動物モデルに投与し;そして
b)アミロイドベータ沈着物蓄積の動物モデル中のHAT活性化剤化合物の投与後に、ヒストンアセチル化を調節することができる式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)のHAT活性化剤化合物を選択すること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項9】
蓄積したアミロイド−ベータペプチド沈着物に伴う症状を治療するための式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)活性化剤化合物を同定するための方法であって、以下の特徴:
a)前記化合物のEC50は、約1000nMより多くない;
b)in vitroの前記ヒストンアセチル化活性は、ヒストンタンパク質H2、H3、及び/又はH4を標的とする;及び
c)前記化合物は、血液脳関門を透過する;又はこれらの組合せ;
の一つ又はそれより多くを有する式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)のHAT活性化剤化合物を選択すること含んでなる、前記方法。
【請求項10】
前記化合物が、血液脳関門を透過するために、約500Daより小さい分子質量を有するか、約90Åより少ない極性表面積を有するか、8個より少ない水素結合、又はこれらの組合せを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者のアミロイドベータ(Aβ)タンパク質沈着物を減少するための方法であって:
a)式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)のHAT活性化剤化合物を含んでなる有効な量の組成物を患者に投与し、
これによって、患者のAβタンパク質沈着物を減少すること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項12】
前記患者が、アミロイドベータプラークの異常に高いレベルを示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、アルツハイマー病、レビー小体性認知症、封入体筋炎、又は脳アミロイド血管症に罹っている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記Aβタンパク質沈着物が、Aβ40異性体、Aβ42異性体、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
患者のアルツハイマー病を治療するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項16】
アルツハイマー病を治療するための方法であって、患者に、HAT活性化剤化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項17】
神経変性疾患に罹った患者の記憶保持を増加するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項18】
神経変性疾患に罹った患者のシナプス可塑性を増加するための方法であって、患者に、患者のヒストンアセチル化を増加する治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなり、ここにおいて、前記組成物は、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる、前記方法。
【請求項19】
患者の神経変性疾患を治療するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与し、これによって患者の神経変性疾患を治療することを含んでなる、前記方法。
【請求項20】
神経変性疾患に罹った患者の封入体を減少するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)のHAT活性化剤化合物を含んでなる有効な量の組成物を投与し、これによって患者の封入体を減少することを含んでなる、前記方法。
【請求項21】
患者の癌を治療するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項22】
患者のパーキンソン病の症状を回復するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項23】
パーキンソン病の症状を回復するための方法であって、患者に、HAT活性化剤化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項24】
患者のハンチントン病を治療するための方法であって、患者に、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)の化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項25】
ハンチントン病を治療するための方法であって、患者に、HAT活性化剤化合物を含んでなる治療的な量の医薬組成物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項26】
前記HAT活性化剤化合物が、式(I)、式(II)、式(III)、又は式(V)を含んでなる、請求項16、23、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が、YF2である、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記有効な量が、少なくとも約1mg/kg体重、少なくとも約2mg/kg体重、少なくとも約3mg/kg体重、少なくとも約4mg/kg体重、少なくとも約5mg/kg体重、少なくとも約6mg/kg体重、少なくとも約7mg/kg体重、少なくとも約8mg/kg体重、少なくとも約9mg/kg体重、少なくとも約10mg/kg体重、少なくとも約15mg/kg体重、少なくとも約20mg/kg体重、少なくとも約25mg/kg体重、少なくとも約30mg/kg体重、少なくとも約40mg/kg体重、少なくとも約50mg/kg体重、少なくとも約75mg/kg体重、少なくとも約100mg/kg体重である、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、血液脳関門を通過する、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記神経変性疾患が、副腎白質萎縮症(ALD)、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルーゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病(更にシュピールマイヤー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケイン症候群、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、家族性致死性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディー病、クラッベ病、レビー小体性認知症、神経ボレリア症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多発性硬化症、過眠症、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レット症候群、Tau陽性前頭側頭葉認知症、Tau陰性前頭側頭葉認知症、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血の続発性亜急性脊髄複合変性症、シュピールマイヤー・フォークト・シェーグレン・バッテン病、バッテン病、脊髄小脳失調症、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群、脊髄癆、又は中毒性脳症を含んでなる、請求項17、18、19、又は20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
シナプス可塑性が、学習、記憶、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
シナプス可塑性が、長期増強(LTP)を含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が、B細胞リンパ腫、大腸癌、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、T細胞リンパ腫、骨髄腫、白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、造血器腫瘍、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌、肝臓癌、非ホジキンスリンパ腫、ホジキンスリンパ腫、子宮癌、腎細胞癌、肝細胞腫、腺癌、乳癌、膵臓癌、肝臓癌、前立腺癌、頭頸部癌、甲状腺癌、軟部組織肉腫、卵巣癌、原発性又は転移性黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、脳癌、血管肉腫(angiosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma)、骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、精巣癌、子宮癌、子宮頚部癌、消化器癌、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、気管支原性肺癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、肺癌、上皮癌、子宮頸癌、精巣癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、網膜芽細胞腫、白血病、黒色腫、神経芽細胞腫、小細胞肺癌、膀胱癌、リンパ腫、多発性骨髄腫、又は髄様癌を含んでなる、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、以下の式:
【化9】

【化10】

である、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が、以下の式:
【化11】

である、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、以下の式:
【化12】

【化13】

【化14】

である、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が、ヒストンアセチル化を増加する、請求項11、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
ヒストンアセチル化が、ヒストンH2B、H3、H4のアセチル化、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ヒストンアセチル化が、ヒストンリジン残基H3K4、H3K9、H3K14、H4K5、H4K8、H4K12、H4K16のアセチル化、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記封入体が、ベータ−アミロイドペプチド、天然の及びリン酸化されたTauタンパク質、天然の及びリン酸化されたアルファ−シヌクレイン、リポフスチン、開裂されたTARDBP(TDB−43)、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項41】
前記パーキンソン病の症状が、振戦、動作緩慢、運動障害、硬直、姿勢不安定性、筋緊張症、正座不能、認知症、全体的運動協調性障害、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項22又は23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記姿勢不安定性が、不均衡障害、協調性障害、又はこれらの組合せを含んでなる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物が、以下の式:
【化15】

【化16】

である、請求項1に記載の化合物。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図29】
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【図31】
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【図32−1】
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【図32−2】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43−1】
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【図43−2】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49−1】
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【図49−2】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図74】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図30】
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【図64】
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【図65】
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【図66−1】
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【図66−2】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【公表番号】特表2013−513618(P2013−513618A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543311(P2012−543311)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/059925
【国際公開番号】WO2011/072243
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(505019998)トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (7)
【Fターム(参考)】