説明

ヒドロコドン放出制御製剤

【課題】ヒト患者への24時間おきの投与に適するヒドロコドン固体経口放出制御製剤の提供。
【解決手段】a)製薬上許容しうるマトリックスの中に、放出制御物質と組み合わしたヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の鎮痛有効量を含むか、またはb)複数の不活性な製薬上許容しうるビーズ上にヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の鎮痛有効量をコートし、更に放出制御物質でオーバーコートしたものを含み、ヒト患者への投与後に0.55〜約0.85のC24/Cmax比を有し、かつ、ヒト患者への投与後に少なくとも約24時間治療効果を有する、前記固体経口放出制御製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト患者に投与する場合に少なくとも約24時間かそれより長時間、治療効果を示すヒドロコドン製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
1日1回用の徐放性オピオイド製剤は米国特許第5,478,577号;第5,672,360号;第5,958,459号;第6,103,261号;第6,143,332号;第5,965,161号;第5,958,452号および第5,968,551号に開示されている。上記のものを含め、本明細書で引用した全ての文書は目的に応じてその内容を参照して組み込む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、中等度の疼痛を有するヒト患者における疼痛対処の有効性およびその質を実質的に改善することに関する。
本発明の特定の実施形態の目的は、疼痛対処の有効性およびその質を実質的に改善する1日1回投与に適する生体利用性のあるヒドロコドン製剤を提供することである。
【0004】
本発明の特定の実施形態の目的は、即時放出ヒドロコドン製剤と比較して実質的に増大した作用持続時間を与える1日1回の投与に適する生体利用性のある放出制御ヒドロコドン製剤を提供することである。
【0005】
本発明の特定の実施形態の目的は、治療効果の早期の顕在化をもたらし、投与間欠期の間に最大濃度まで上昇した後、比較的平坦な血清血漿中動態を示す、即ち、オピオイド血漿中濃度が約0.55〜約1.0のC24/Cmax比を示し、それにより患者に有効な疼痛の緩解をもたらす、1日1回投与に適する経口投与可能な放出制御オピオイド製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的およびその他の目的は本発明により達成されるものであり、本発明は、特定の実施形態において、ヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の鎮痛有効量、および1日1回投与に適するものとする放出制御物質の十分量、を含有する固体経口放出制御製剤を与えるものであり、この製剤は1人のヒト患者または患者集団に投与した後、インビボでヒドロコドンの血漿中最大濃度到達時間が約4〜約14時間(Tmax)であり、C24/Cmax比が0.55〜1.0となるものである。
【0007】
本発明の特定の実施形態において、該製剤は、インビボのヒドロコドンの血漿中最大濃度到達時間(Tmax)が投与後約6〜約12時間、約8時間〜約10時間、約4時間〜約10時間、または約8時間〜約14時間となるものである。
【0008】
本発明の特定の実施形態において、該製剤は0.55〜1.0、0.55〜約0.85、0.55〜0.75、または0.60〜約0.70のC24/Cmax比を示す。
【0009】
特定の好ましい実施形態において、放出制御製剤は、37℃で人工胃液(SGF)700ml中で1時間、その後37℃でpH7.5のリン酸塩緩衝液900mlに交換して100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、4時間放出においてヒドロコドンまたはその塩の少なくとも20重量%、8時間放出においてヒドロコドンまたはその塩の約20〜約65重量%、12時間放出においてヒドロコドンまたはその塩の約45〜約85重量%、かつ24時間放出においてヒドロコドンまたはその塩の少なくとも80重量%であるようなインビトロの放出を示す。インビトロの放出速度は所望によりpH非依存性またはpH依存性の何れかであってよいが、本発明の好ましい実施形態においては、ヒドロコドンの放出はpH非依存性である。
【0010】
特定の好ましい実施形態においては、放出制御製剤は、37℃でpH1.2の水性緩衝液700ml中で100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、ヒドロコドンのインビトロ放出が1時間放出においてヒドロコドンまたはその塩の少なくとも10〜約45重量%であるものである。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、該製剤は、37℃でpHの1.6〜7.2の水性緩衝液900ml中で100rpmでUSPバスケット法により測定した場合に、1時間で0〜約35%、4時間で約10〜約70%、8時間で約20〜約75%、12時間で約30〜約80%、18時間で約40〜約90%、かつ24時間で約60%より高値のヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩のインビトロ放出速度を与え;インビトロの放出速度はpHに実質的に非依存性であり、即ち、ある所定の時間において、あるpHにおいて放出されるオピオイドの量と他のpHにおける放出量との差が、水性緩衝液900ml中で100rpmで米国薬局方XXII(1990)のUSPパドル法を用いてインビトロで測定した場合に、多くとも10%である。
【0012】
特定の好ましい実施形態において、本発明の徐放性経口製剤は、4〜22時間のヒドロコドンのW50により特徴付けられる、24時間おきの投与に有効であるヒドロコドン血漿中濃度を与える。特定の実施形態において、W50は少なくとも4時間、好ましくは少なくとも12時間、より好ましくは少なくとも18時間である。
【0013】
特定の実施形態において、本発明の徐放性経口製剤は、徐放性物質およびヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩を含有するマトリクスを含む。特定の実施形態において、マトリクスは圧縮成型して錠剤としてよく、かつ、場合により該マトリクス内の徐放性物質のほかに、製剤からのヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の放出を制御して活性成分の血中濃度を長時間に渡り治療範囲内に維持するようなコーティングで重ねて被覆してもよい。特定の代替実施形態において、該マトリクスはカプセル化されている。
【0014】
特定の実施形態において、本発明の徐放性経口製剤は、ヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩を含む製薬上許容しうる複数の徐放性マトリクスを含み、該製剤は患者に投与した場合に、長時間に渡り治療範囲内にヒドロコドンの血中濃度を維持する。
【0015】
特定の実施形態において本発明の徐放性経口製剤は、ヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩を含む単層または2層のコア部;膨張性重合体;コアを包囲する半透過性膜;およびヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の徐放出のために半透過性膜内に配置された通路を有し、これにより患者に投与した場合に、長時間に渡り治療範囲内に活性成分の血中濃度が維持されるようにした浸透圧製剤である。
【0016】
本発明の特定の好ましい実施形態において、等価量の即時放出ヒドロコドン対照製剤(例えばロルタブ(登録商標))のCmaxの約60%未満、約50%未満または約40%未満のヒドロコドンCmaxを与え、そして24時間の投与間欠期に有効な鎮痛をもたらす、ヒドロコドンの1日1回経口投与用の放出制御製剤が提供される。
【0017】
本発明の特定の好ましい実施形態においては、経口投与後Tmax〜約24時間の期間における吸収速度が、同じ期間における消失速度の約45%〜約85%であるような1日1回経口投与用のヒドロコドン放出制御製剤が提供される。
特定の好ましい実施形態においては、本発明の製剤は投与後少なくとも約24時間治療効果を与える。
【0018】
特定の実施形態においては、上記したインビボのパラメーターの何れかまたは全ては、1人のヒト患者またはヒト患者集団への製剤の初回投与後に達成される。
特定の実施形態においては、上記したインビボのパラメーターの何れかまたは全ては、1人のヒト患者またはヒト患者集団への製剤の定常的投与後に達成される。
【0019】
「ヒドロコドン」とは、本発明の目的のためには、ヒドロコドンの遊離塩基並びにヒドロコドンの製薬上許容しうる塩および錯体を包含するものとして定義する。
「USPパドル法またはバスケット法」という用語は、例えば米国薬局方XXII(1990)(参照して本明細書に組み込まれる)に記載されているパドル法およびバスケット法である。
【0020】
「pH依存性」という用語は、本発明の目的のためには、環境のpHに従って変動する特性(即ち溶解性)を有するものとして定義される。
「pH非依存性」という用語は、本発明の目的のためには、pHに実質的に影響を受けない特性(即ち溶解性)を有するものとして定義される。
【0021】
「生体利用性」という用語は本発明の目的のためには、薬剤(例えばヒドロコドン)が単位製剤から吸収される程度として定義される。
「放出制御」という用語は、本発明の目的のためには、約12時間かそれより長時間の期間に渡り、治療効果範囲内であるが毒性濃度より低く血中(例えば血漿中)濃度を維持するような速度での薬剤(例えばヒドロコドン)の放出として定義される。
【0022】
「Cmax」という用語は、投与間欠期において得られる最大血漿中濃度を意味する。
「C24」という用語は、本明細書においては、投与後24時間における血漿中濃度である。
【0023】
「Tmax」という用語は、最大血漿中濃度(Cmax)に至るまでの時間を指す。
「W50」という用語は、本明細書においては、血漿中濃度が最高濃度の50%以上である持続時間である。
【0024】
「C24/Cmax比」という用語は、本発明の目的のためには、投与間欠期内に達成される薬剤の最高血漿中濃度に対する投与後24時間における血漿中濃度の比として定義される。
「半透過性壁部」という用語は、本発明の目的のためには、使用環境、例えば胃腸管における水性または生物学的液体のような外部液体の通過に対しては透過性であるが、薬剤に対しては非透過性であることを意味する。
【0025】
「最小有効鎮痛濃度」即ち「MEAC」という用語は、ヒドロコドンのようなオピオイドの濃度については極めて定量が困難である。しかしながら一般的にはこれ未満では鎮痛作用が得られないという血漿中ヒドロコドンの最小有効鎮痛濃度が存在する。例えば血漿中ヒドロコドン濃度および鎮痛作用との間には間接的な関係があるが、より高いそして長時間持続する血漿中濃度が一般的にはより優れた疼痛緩解に関わっている。最高血漿中ヒドロコドン濃度の時間と最高薬効の時間との間には時間差またはヒステリシスが存在する。このことは一般的にオピオイド鎮痛剤による疼痛の治療における真実である。
【0026】
本発明の目的のためには、特段の記載がない限り、「患者」という用語は個々の患者または被験者の薬物動態パラメーターに考察(または請求項)が関わる場合を意味する。
「患者集団」という用語は、少なくとも2人の患者または被験者の平均薬物動態パラメーターに考察(または請求項)が関わる場合を意味する。
【0027】
「即時放出ヒドロコドン対照製剤」という用語は、本発の目的のためには、等量のヒドロコドンを有するUCBファーマ社から市販されているロルタブ(登録商標)またはヒドロコドンまたはその塩の即時放出を与える医薬品である。
本発明の目的のためには、本明細書に開示した放出制御製剤および即時放出製剤は用量比例的である。このような製剤においては、薬物動態パラメーター(例えばAUCおよびCmax)は異なる用量強度間で直線的に増大する。従って、特定用量の薬物動態パラメーターは、異なる用量の同じ製剤型のパラメーターから推定することができる。
【0028】
「初回投与」という用語は、個々の患者または患者集団に対する治療の開始時における本発明の単回投与を意味する。
「定常状態」という用語は、系に到達する薬剤の量と、系を離れる薬剤の量とがほぼ同じであることを意味する。即ち、「定常状態」においては、血流への吸収を介して薬剤が患者の系に利用される速度とほぼ同じ速度で、薬剤が患者の身体から排除されている。
【0029】
本発明の放出制御性経口固体製剤は、オピオイド節約的である。本発明の放出制御性経口固体製剤は、従来の即時放出品と比較して実質的に低い一日用量で投与してよく、鎮痛作用には差がない。同等の一日用量においては、従来の即時放出品と比較して、本発明の放出制御性経口固体製剤を用いることによりより大きい薬効が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
上記した本発明の実施形態は当業者の知る種々の放出制御製剤を修正することにより得ることができる。例えば、米国特許第4,861,598号、第4,970,075号、第5,958,452号および第5,965,161号に記載の材料および方法を修正して本発明の調製を行なうことができる。これらの参考文献を参照して本明細書に組み込む。
【0031】
活性剤
本発明の放出制御性経口製剤は、好ましくは約0.5mg〜約1250mgのヒドロコドンまたは等量の製薬上許容しうるその塩を含む。より好ましくは、該製剤は約5〜約60mg(例えば30mg)のヒドロコドンまたはその塩を含有する。ヒドロコドンの製薬上許容しうる塩の適当なものとしては重酒石酸ヒドロコドン、重酒石酸ヒドロコドン水和物、塩酸ヒドロコドン、p−トルエンスルホン酸ヒドロコドン、リン酸ヒドロコドン、ヒドロコドンチオセミカルバゾン、硫酸ヒドロコドン、トリフルオロ酢酸ヒドロコドン、ヒドロコドンヘミ5水和物、ペンタフルオロプロピオン酸ヒドロコドン、ヒドロコドンp−ニトロフェニルヒドラゾン、ヒドロコドンo−メチルオキシム、ヒドロコドンセミカルバゾン、臭化水素酸ヒドロコドン、ムチン酸ヒドロコドン、オレイン酸ヒドロコドン、2塩基性リン酸ヒドロコドン、1塩基性リン酸ヒドロコドン、ヒドロコドンの無機塩、ヒドロコドンの有機塩、酢酸ヒドロコドン3水和物、ビス(ヘプタフルオロ酪酸)ヒドロコドン、ビス(メチルカルバミン酸)ヒドロコドン、ビス(ペンタフルオロプロピオン酸)ヒドロコドン、ビス(ピリジンカルボン酸)ヒドロコドン、ビス(トリフルオロ酢酸)ヒドロコドン、ヒドロコドンクロロ水和物、硫酸ヒドロコドン5水和物が挙げられる。好ましくはヒドロコドンは重酒石酸塩として存在する。
【0032】
本発明の製剤は更にまた本発明のヒドロコドン鎮痛剤と相乗的にまたは非相乗的に作用する1つ以上の追加の薬剤も含有してよい。このような別の薬剤の例としては非ステロイド抗炎症剤、例えばイブプロフェン、ジクロフェナック、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシ酸、インドメタシン、ズリンダック、トルメチン、ゾメピラック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザック、クリダナック、オキシピナック、メフェナミン酸、メクロフェナミン酸、フルフェナミン酸、ニフルミン酸、トルフェナミン酸、ジフルリザル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカムまたはイソキシカム等が挙げられる。このような非ステロイド抗炎症剤にはまた、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えばセレコキシブ(SC−58635)、DUP−697、フロスリド(CGP−28238)、メロキシカム、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸(6−MNA)、ビオックス(MK−966)、ナブメトン(6−MNAのプロドラッグ)、ニメスリド、NS−398、SC−5766、SC−58215およびT−614、即ちアマンタジン(1−アミノアダマンチン)およびメマンチン(3,5ジメチルアミノアダマントン)、これらの混合物および製薬上許容しうるその塩が包含される。
【0033】
その他、追加の薬剤としては、非毒性NMDA受容体拮抗剤、例えば、デキストロファン、デキストロメトルファン、3−(1−ナフタレニル)−5−(ホスホノメチル)−L−フェニルアラニン、3−(1−ナフタレニル)−5−(ホスホノメチル)−DL−フェニルアラニン、1−(3,5−ジメチルフェニル)ナフタレンおよび2−(3,5−ジメチルフェニル)ナフタレン、2SR,4RS−4−(((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−((((1H−テトラゾール−5−イル)メチル)オキシ)メチル)ピペリジン−2−カルボン酸;EおよびZ型の2SR−4−(O−(1H−テトラゾール−5−イル)メチル)ケトキシイミノ)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−((1H−テトラゾール−5−イル)チオ)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−((1H−テトラゾール−5−イル)チオ)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−(5−メルカプト−1H−テトラゾール−1−イル)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−(5−メルカプト−2H−テトラゾール−2−イル)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−(5−メルカプト−1H−テトラゾール−1−イル)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−(5−メルカプト−2H−テトラゾール−2−イル)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−(((1H−テトラゾール−5−イル)チオ)メチル)ピペリジン−2−カルボン酸;2SR,4RS−4−((5−メルカプト−1H−テトラゾール−1−イル)メチル)ピペリジン−2−カルボン酸;または2SR,4RS−4−((5−メルカプト−2H−テトラゾール−2−イル)メチル)ピペリジン−2−カルボン酸、これらの混合物および製薬上許容しうるその塩が挙げられる。
【0034】
本発明の製剤に含有させてよい他の適当な追加の薬剤としては、アセトアミノフェン、アスピリン、神経活性ステロイド(例えば1998年2月20日に出願の米国特許出願09/026,520号(参照して本明細書に組み込まれる)に記載のもの)および他の非オピオイド鎮痛剤が挙げられる。
【0035】
例えば第2の(非オピオイド)薬剤を製剤に含有させる場合、その薬剤は放出制御剤型または即時放出剤型内に含有させてよい。追加の薬剤はオピオイドと共に放出制御マトリクス内に配合し;放出制御コーティング内に配合し;別個の放出制御層または即時放出層として配合してもよく、或いは、粉末、顆粒等として本発明の基剤と共にゼラチンカプセル内に配合してもよい。
【0036】
本発明の特定の好ましい実施形態において、有効量の即時放出剤型ヒドロコドンを、投与する放出制御単位用量ヒドロコドン製剤内に含有させる。即時放出剤型ヒドロコドンは、好ましくは血中(例えば血漿中)ヒドロコドンのCmaxに至る時間を短縮するのに有効な量で含有させる。即時放出剤型オピオイドは、好ましくは、血中(例えば血漿中)のオピオイドの最大濃度に至る時間を短縮化するのに有効である、即ちTmaxを例えば約4時間〜約10時間、または約6〜約8時間の時間まで短縮化させるような量で含有させる。このような実施形態において、有効量の即時放出剤型ヒドロコドンを本発明の基剤上にコーティングしてもよい。例えば、製剤からのヒドロコドン放出の延長が放出制御コーティングによるものである場合、即時放出層は放出制御コーティングの上面に重層化される。一方、即時放出層を、放出制御マトリクス内においてヒドロコドンを配合している基剤の表面上にコーティングしてよい。ヒドロコドンの有効単位用量を含む複数の徐放性基剤(例えばペレット、球体、ビーズ等を含む多粒子系)をハードゼラチンカプセルに配合する場合は、オピオイドの即時放出部分量を、カプセル内への粉末または顆粒としての十分量の即時放出ヒドロコドンの封入を介して、ゼラチンカプセル内に配合してよい。或いは、ゼラチンカプセルそのものをヒドロコドンの即時放出層によりコーティングしてもよい。単位製剤中に即時放出ヒドロモルホン部分を配合するための更に別の代替法は当業者の知るとおりである。このような代替法は請求項に包含されるものとする。単位製剤中に即時放出ヒドロコドンの上記有効量を含有させることにより、患者における比較的高水準の疼痛が有意に低減されうる。
【0037】
剤型
放出制御製剤は、場合によりヒドロコドンと共にマトリクスに配合される、または薬剤を含む基剤上に徐放性コーティングとして適用される放出制御物質を含有してよい(「基剤」という用語はビーズ、ペレット、球体、錠剤、錠剤コア部等を含む)。放出制御物質は所望により疎水性でも親水性でもよい。本発明の経口製剤は例えば顆粒、球体、ペレットまたは他の多粒子系製剤として提供してよい。長時間に渡り所望の量のオピオイドを提供するのに有効な量の多粒子をカプセル内に入れるか、他の適当な経口固体剤型内に配合してよく、例えば圧縮成型して錠剤としてよい。一方、本発明の経口製剤は、放出制御コーティングにより被覆された錠剤コアとして、または薬剤と放出制御物質とのマトリクス、更に場合により他の製薬上望ましい成分(例えば希釈剤、バインダー、着色料、潤滑剤等)を含む錠剤として調製してよい。また本発明の放出制御製剤はビーズ製剤または浸透圧製剤として調製してもよい。
【0038】
放出制御マトリクス製剤
本発明の特定の好ましい実施形態において、放出制御製剤は、以下に記載する放出制御物質を含有するマトリクス(例えばマトリクス錠剤)を介して達成される。放出制御マトリクスを含有する剤型は、好ましい範囲内のオピオイドのインビトロ溶解速度を示し、pH依存性またはpH非依存性の態様でオピオイドを放出する。放出制御マトリクス内に含有させるのに適する物質はマトリクスを形成するために使用する方法により異なる。該経口製剤は親水性または疎水性の放出制御物質少なくとも1種を1〜80重量%で含有してよい。
【0039】
本発明の放出制御マトリクス内に含有させてよい適当な放出制御物質の非限定的な例としては、親水性および/または疎水性の物質、例えばガム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、蛋白質誘導体、ワックス、シェラック、及び油脂、例えば水添ひまし油、水添植物油が挙げられる。しかしながら、オピオイドの放出制御性を付与することが可能な如何なる製薬上許容しうる疎水性または親水性の放出制御物質も本発明に使用してよい。好ましい放出制御性重合体はアルキルセルロース、例えば、エチルセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸の重合体および共重合体、およびセルロースエーテル類、特にヒドロキシアルキルセルロース類(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびカルボキシアルキルセルロースである。好ましいアクリル酸およびメタクリル酸の重合体および共重合体にはメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミン共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)およびグリシジルメタクリレート共重合体が包含される。特定の好ましい実施形態では本発明のマトリクス中で上記した放出制御物質の任意の混合物が利用される。
【0040】
また該マトリクスはバインダーを含有してよい。このような実施形態においては、バインダーは好ましくは放出制御マトリクスからのヒドロコドンの放出制御に寄与する。
【0041】
好ましい疎水性バインダー物質は水不溶性で、ある程度の顕著な親水性および/または疎水性の特徴を示す。本発明で使用してよい好ましい疎水性バインダー物質は消化性の長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換または未置換の炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱物油および植物油、天然および合成のワックスおよびポリアルケングリコール類を包含する。好ましくは、本発明で有用な疎水性バインダー物質は約30〜約200℃、好ましくは約45〜約90℃の融点を有する。疎水性物質が炭化水素である場合、炭化水素は好ましくは25〜90℃の融点を有する。長鎖(C8〜C50)炭化水素のうち、脂肪(脂肪族)アルコールが好ましい。経口製剤は消化性長鎖炭化水素少なくとも1種を80重量%以下で含有してよい。
【0042】
好ましくは、経口製剤はポリアルキレングリコール少なくとも1種を80重量%以下で含有する。疎水性バインダー物質は天然または合成のワックス、脂肪アルコール(例えばラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチルまたは好ましくはセトステアリルアルコール)、脂肪酸、例えば、限定でなく、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ、ジおよびトリグリセリド)、水添脂肪、炭化水素、標準ワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、および炭化水素骨格を有する疎水性および親水性の物質を含んでよい。適当なワックスには、例えばミツロウ、グリコワックス、ひまし油ワックスおよびカルナウバワックスが包含される。本発明の目的のためには、ワックス様物質は室温で通常は固体であり、約30〜約100℃の融点を有する何れかの物質として定義される。
【0043】
特定の好ましい実施形態においては、疎水性バインダー物質2種以上を該マトリクス製剤に含有させる。追加の疎水性バインダー物質を含有させる場合は、それは好ましくは天然および合成のワックス、脂肪酸、脂肪アルコールおよびこれらの混合物から選択される。例としてはミツロウ、カルナウバワックス、ステアリン酸およびステアリルアルコールが挙げられる。これらの例には限定されない。
【0044】
1つの特に適する放出制御マトリクスは、水溶性ヒドロキシアルキルセルロース少なくとも1種、C12〜C36、好ましくはC14〜C22脂肪族アルコール少なくとも1種、および場合によりポリアルキレングリコール少なくとも1種を含む。ヒドロキシアルキルセルロースは好ましくは、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび特にヒドロキシエチルセルロースである。本発明の経口製剤中の少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロースの量はとりわけ、必要とされるオピオイド放出の厳密な速度により決定される。脂肪族アルコールは例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコールまたはステアリルアルコールであってよい。しかしながら、本発明の特に好ましい実施形態においては、脂肪族アルコール少なくとも1種は、セチルアルコールまたはセトステアリルアルコールである。本発明の経口製剤中の脂肪族アルコールの量は上記したとおり、必要とされるオピオイド放出の厳密な速度により決定される。これはまた経口製剤にポリアルキレングリコール少なくとも1種が存在するかしないかによっても異なる。ポリアルキレングリコール少なくとも1種が存在しない場合は、経口製剤は好ましくは脂肪族アルコールを20〜50重量%で含有する。ポリアルキレングリコールが経口製剤中に存在する場合は、脂肪族アルコールとポリアルキレングリコールを合わせた重量は好ましくは総量の20〜50重量%を構成する。
【0045】
1つの好ましい実施形態においては、例えば少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロースまたはアクリル樹脂の、少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する比が、かなりの程度で、製剤からのオピオイドの放出速度を決定する。ヒドロキシアルキルセルロースの、脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールに対する比が1:2〜1:4であるのが好ましく、1:3〜1:4が特に好ましい。
【0046】
ポリアルキレングリコールは例えばポリプロピレングリコール、または好ましくはポリエチレングリコールであってよい。少なくとも1種のポリアルキレングリコールの数平均分子量は好ましくは1000〜15,000、特に1,500〜12,000である。
別の適当な放出制御マトリクスは、アルキルセルロース(特にエチルセルロース)、C12〜C36脂肪族アルコールおよび場合によりポリアルキレングリコールを含む。
【0047】
上記した成分に加えて、放出制御マトリクスは製薬分野で従来より使用されている他の物質、例えば希釈剤、潤滑剤、バインダー、造粒促進剤、着色料、香料および滑沢剤を適量含有してよい。
【0048】
本発明の固体の放出制御経口製剤の調製を容易にするために、本発明の更に別の態様において、放出制御マトリクス中にオピオイドまたはその塩を配合することを含む、本発明の固体放出制御経口製剤の調製方法が提供される。マトリクスへの配合は例えば、下記工程:
(a)上記した疎水性および/または親水性物質少なくとも1種(例えば水溶性ヒドロキシアルキルセルロース)をヒドロコドンと共に含有する顆粒を形成すること;
(b)疎水性および/または親水性物質少なくとも1種を含有する顆粒を、C12〜C36脂肪族アルコール少なくとも1種と混合すること、および、
(c)場合により顆粒を圧縮成型すること、
により行なってよい。
【0049】
顆粒は製剤分野の当業者のよく知る操作法の何れかにより形成してよい。例えば、1つの好ましい方法においては、顆粒はヒドロキシアルキルセルロース/オピオイドを水と共に湿式造粒することにより形成してよい。この調製法の特に好ましい実施形態においては、湿式造粒工程において添加する水の量は好ましくはオピオイドの乾燥重量の1.5〜5倍、特に1.75〜3.5倍である。
【0050】
特定の実施形態において、該製剤は上記した複数のマトリクスを含む。
また本発明のマトリクスは溶融ペレット化を介して調製してもよい。このような状況において、微細分割されたオピオイドをバインダー(これも粒状形態である)および他の任意の不活性成分と共に混合し、その後混合物を、例えば高剪断回転ミキサー中で混合物を機械的に処理してペレット(顆粒、球体)とすることにより、ペレット化する。その後、そのペレット(顆粒、球体)を通篩して所望の粒径のペレットを得る。バインダー物質は好ましくは粒状であり、約40℃より高い融点を有する。適当なバインダー物質の例としては、水添ひまし油、水添植物油、他の水添脂肪、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド等が挙げられる。
【0051】
また放出制御マトリクスは例えば溶融造粒法または溶融押出し法により調製することもできる。一般的に、溶融造粒法では、通常は固体の疎水性バインダー物質、例えばワックスを溶融させ、そこに粉末化した薬剤を配合する。放出制御製剤を得るためには、疎水性の放出制御物質、例えばエチルセルロースまたは水不溶性アクリル重合体を、溶融したワックスの疎水性バインダー物質中に配合することが必要である。溶融造粒法を介して調製された放出制御製剤の例は、例えば米国特許第4,861,598号(本発明の被譲渡者に譲渡され、参照してその内容全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0052】
疎水性バインダー物質は、1種以上の水不溶性ワックス様熱可塑性物質を、該1種以上の水不溶性ワックス様物質よりも疎水性の低い1種以上のワックス様熱可塑性物質と混合された状態で含有してよい。放出制御を達成するためには、製剤中の個々のワックス様物質は初期の放出段階の間、胃腸液中で実質的に非分解性および不溶性でなければならない。有用な水不溶性ワックス様バインダー物質は約1;5,000(w/w)より小さい水溶性を有するものでよい。
【0053】
上記した成分に加えて、放出制御マトリクスは所望により粒子の約50重量%までの量で、製薬分野で従来から使用されている他の物質、例えば、希釈剤、潤滑剤、バインダー、造粒促進剤、着色料、香料および流動促進剤の適量を含有してもよい。上記した追加の物質の量は所望の製剤に所望の作用を付与するために十分なものとする。
【0054】
本発明の、適当な溶融押出しマトリクスの調製は、例えば放出制御物質および好ましくはバインダー物質と共にオピオイド鎮痛剤をブレンドして均質な混合物を得る工程を包含する。次にその均質な混合物を少なくとも混合物が押出し可能となるまで十分に軟化するのに十分な温度まで加熱する。得られた均質な混合物を、次に例えばツインスクリュー押出機を用いて押出してストランドとする。押出し物は好ましくは冷却し、当該分野で知られた何れかの手段により切断して多粒子とする。該ストランドを冷却し、切断して多粒子とする。次にその多粒子を単位用量に分割する。押出し物は好ましくは約0.1〜約5mmの直径を有し、約8時間から少なくとも約24時間までの期間に渡り治療活性剤の放出制御をもたらす。
【0055】
本発明の溶融押出し製剤を調製するための任意の別の調製法は、押出機に疎水性放出制御物質、治療活性剤および任意のバインダー物質を直接計量投入すること;その均質な混合物を加熱すること;その均質な混合物を押出してストランドを形成すること;均質な混合物を含有するストランドを冷却すること;そのストランドを約0.1mm〜約12mの大きさを有する粒子に切断すること;および該粒子を単位用量に分割することを包含する。本発明のこの態様において、比較的連続した製造方法を実施できる。
【0056】
可塑剤、例えば本明細書に記載するものを溶融押出しマトリクス内に含有させてよい。可塑剤は好ましくはマトリクスの約0.1〜約30重量%の量で含有させる。他の製薬用賦形剤、例えばタルク、単糖類または多糖類、着色料、香料、滑沢剤等も本発明の放出制御マトリクスに所望により含有させてよい。含有量は達成すべき所望の特性により異なる。
【0057】
押出機の開口部または吐出部の直径を調節することにより押出しストランドの厚みを変化させることができる。更にまた、押出機の吐出部は丸形である必要は無く、楕円や長方形などであってもよい。吐出されたストランドをホットワイヤカッター、ギロチンなどを用いて粒子にまで小さくする。
【0058】
溶融押出し多粒子系は、例えば押出機の吐出オリフィスに応じて顆粒、球体またはペレットの形態であることができる。本発明の目的のためには、「溶融押出し多粒子」および「溶融押出し多粒子系」および「溶融押出し粒子」という用語は、好ましくは一定範囲内の同様の大きさおよび/または形状であり、1種以上の活性物質および1種以上の賦形剤、好ましくは本明細書に記載した疎水性放出制御物質、を含有する複数の単位を指す。好ましくは、溶融押出し多粒子は長さが約0.1〜約12mmであり、直径が約0.1〜約5mmである。更にまた、溶融押出し多粒子はこの大きさの範囲内であれば、如何なる幾何学的形状のものでもよい。あるいは、押出し物を単に所望の長さに切断し、球状化工程を用いることなく治療活性剤の単位用量に分割してもよい。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、溶融押出し多粒子の有効量をカプセル内に含有する経口製剤を調製する。例えば摂取後に胃液と接触した際に、有効な放出制御量を与えるのに十分な量でゼラチンカプセル内に複数の溶融押出し多粒子を封入する。
【0060】
別の好ましい実施形態においては、多粒子押出し物の適量を標準的な方法を用いて従来の錠剤成型機を用いて圧縮して経口錠剤とする。錠剤(圧縮成型)、カプセル(ハードおよびソフトゼラチン)および丸薬を作成するための方法および組成は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,(Arthur Osol編),1553−1593(1980)(参照して本明細書に組み込まれる)に記載されている。
更に別の実施形態において、押出し物は米国特許第4,957,681号(Klimeschら)(参照して本明細書に組み込まれる)に記載の通りに錠剤に成型することができる。
【0061】
場合により、上記した放出制御コーティングのような放出制御コーティングを用いて、放出制御マトリクス多粒子系または錠剤をコーティングすることができ、またはゼラチンカプセルを更にコーティングすることができる。このようなコーティングは好ましくは、約2〜約25%の重量増加を得るために十分な量の疎水性および/または親水性の放出制御物質を含有するが、ただし特には、例えば使用する特定のオピオイド鎮痛剤の物理特性および所望の放出速度等に応じて、オーバーコーティングを更に増量してもよい。
【0062】
本発明の製剤はさらにオピオイド鎮痛剤1種以上を含有する溶融押出し多粒子の組み合わせを包含する。更にまた該製剤は、即座の治療効果のために一定量の即時放出治療活性剤を含有することができる。即時放出治療活性剤は例えばゼラチンカプセル内の別のペレットとして配合してもよく、或いは、例えば溶融押出し多粒子の表面上にコーティングしてもよい。本発明の単位剤型はまた、所望の効果を達成するために、例えば制御放出性ビーズおよびマトリクス多粒子の組み合わせを含有してもよい。
【0063】
本発明の放出制御製剤は、好ましくは摂取後、胃液、次いで腸液に曝露された場合に治療活性剤を徐々に放出する。本発明の溶融押出し製剤の制御放出性特性は、例えば放出制御物質の量を変化させることにより;他のマトリクス成分、疎水性物質に対する可塑剤の量を変化させることにより;更に別の成分または賦形剤を含有させることにより;製造方法を変更することにより、変化させることができる。
【0064】
本発明の別の実施形態において、溶融押出し製剤は治療活性剤を含有させないで調製し、これを後に押出し物に添加する。このような製剤では典型的には治療活性剤を押出しマトリクス物質とともにブレンドし、その後混合物を錠剤成型して徐放出製剤とする。このような製剤は、例えば製剤に含有された治療活性剤が疎水性物質および/または遅延物質を軟化させるために必要な温度に対して感受性を示す場合に好都合である。
【0065】
本発明において使用するために適する典型的な溶融押出し製造システムは、可変速度および定トルク制御、開始終了制御および電流計を有する適当な押出機駆動モーターを含む。更にまた、該製造システムは、温度センサー、冷却手段および温度計を押出機の全長に渡り保有する温度制御コンソールを含む。更にまた、該製造システムは、押出機、例えば、吐出部に開口またはダイを有するシリンダーまたはバレル内に封入された2本の逆回転する相互かみ合ったスクリューよりなるツインスクリュー押出機を含む。供給材料を供給材料ホッパーに投入し、スクリューによりバレル内を通過させ、強制的にダイを通過させることによりストランドとし、次にこれを連続移動ベルトなどにより搬送することにより冷却し、ペレット作成機または押出し紐を多粒子系とする他の適当な装置に投入する。ペレット作成機はローラー、固定ナイフ、回転カッター等からなる。適当な機器およびシステムはC.W.ブラベンダーインスツルメントインク(Brabender Instruments,Inc)、サウス・ハッケンサック、ニュージャージー(South Hackensack,New Jergey)のような業者から入手可能である。他の適当な装置は当業者の知るとおりである。
【0066】
本発明の更に別の態様は、押出し品中に含まれる空気量を制御するような、上記した溶融押出し多粒子の調製に関する。押出し物に含まれる空気量を制御することにより、例えば多粒子押出し物からの治療活性剤の放出速度を大きく変化させることができる。特定の実施形態において、押出し品のpH依存性も変えることができる。
【0067】
即ち、本発明の更に別の態様において、溶融押出し品は、該調製法の押出し段階の間に空気を実質的に排除するように調製する。これは例えば真空装置を有するライストリッツ(Leistritz)押出機を用いて行なうことができる。特定の実施形態において、真空下にライストリッツ押出機を用いて本発明により調製された押出し多粒子は種々の物理的性質を有する溶融押出し品を与える。特に、押出し物は、例えば走査電子顕微鏡で拡大し、SEM(走査電子顕微鏡写真)を得た場合、実質的に非多孔性である。この様に実質的に非多孔性の製剤は真空を用いずに調製された同様の製剤と比較して治療活性剤のより急速な放出をもたらす。真空下に押出機を用いて調製された多粒子はSEMから極めて平滑であり、該多粒子は真空を用いずに調製された多粒子よりも頑健性が高い傾向にある。特定の製剤においては、真空下の押出しを使用することにより、真空を用いずに調製された該当する製剤よりもpH依存性がより高い押出された多粒子品が提供される。或いは、溶融押出し品はべルナーフライデラー社(Welner−Pfleiderer)のツインスクリュー押出機を用いて調製される。
【0068】
特定の実施形態においては、球状化剤を顆粒または本発明の多粒子に添加し、次に球状化して制御放出性球体を生成する。次に球体を場合により本明細書に記載した方法により放出制御コーティングによりオーバーコーティングする。
【0069】
本発明の多粒子製剤を調製するために使用してよい球状化剤は、当業界に周知の任意の球状化剤を包含する。セルロース誘導体が好ましく、微結晶セルロースが特に好ましい。適当な微結晶セルロースは、例えばアビセルPH101(商品名)(FMCコーポレーション)として販売されているものである。球状化剤は好ましくは多粒子の約1〜約99重量%として含有される。
【0070】
該球体は、活性成分および球状化剤のほかに、バインダーも含有してよい。適当なバインダー、例えば低粘度の水溶性重合体は製薬分野の当業者の知るとおりである。しかしながら、水溶性ヒドロキシ低級アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
【0071】
本発明の多粒子製剤は、オピオイド鎮痛剤および球状化剤のほかに、上記したような放出制御物質を含有してよい。多粒子製剤に含有させるのに好ましい放出制御物質には、アクリル酸およびメタクリル酸の重合体または共重合体およびエチルセルロースが包含される。製剤中に存在する場合、放出制御物質は多粒子の約1〜約80重量%の量で含有される。放出制御物質は好ましくは、多粒子からのオピオイド鎮痛剤の制御放出性をもたらすのに有効な量で多粒子製剤中に含有される。
【0072】
バインダー、希釈剤等の医薬調製用補助剤を多粒子製剤中に含有してよい。製剤に含有されるこれらの物質の量は、製剤により示されるべき所望の効果により変動する。
本発明の経口製剤を製剤するために使用してよい製薬上許容しうる担体および賦形剤の特定の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association(1986)(参照して本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0073】
多粒子は、例えば上記の放出制御物質を含む放出制御コーティングでオーバーコーティングしてよい。放出制御コーティングは約5〜約30%の重量増加となるように適用する。放出制御コーティングの量は、種々の要因、例えば多粒子の組成およびオピオイド鎮痛剤(即ちヒドロコドン)の化学的および/または物理的特性に応じて変化する。
【0074】
またマトリクス多粒子は、例えば湿式造粒により球状化剤とオピオイド鎮痛剤とを造粒することにより調製してもよい。次に顆粒を球状化してマトリクス多粒子とする。マトリクス多粒子はその後場合により前述の方法により放出制御コーティングによりオーバーコーティングされる。
【0075】
マトリクス多粒子を調製するための別の方法は、例えば(a)水溶性ヒドロキシアルキルセルロース少なくとも1種、およびオピオイドまたはオピオイド塩を含む顆粒を形成すること;(b)ヒドロキシアルキルセルロース含有顆粒を、C12〜C36脂肪族アルコール少なくとも1種と混合すること;および(c)場合により圧縮成型して顆粒とすることによる。好ましくは、顆粒は、ヒドロキシアルキルセルロース/オピオイドを水と共に湿式造粒することにより形成する。この調製法の特に好ましい実施形態において、湿式造粒工程の間に添加する水の量は、好ましくはオピオイドの乾燥重量の1.5〜5倍、特に1.75〜3.5倍である。
【0076】
更に別の実施形態において、球状化剤を活性成分と共に球状化して球状化物とすることができる。微結晶セルロースが好ましい。適当な微結晶セルロースは例えばアビセルPH101(商品名)(FMCコーポレーション)として販売されているものである。このような実施形態において球体は、活性成分および球状化剤のほかに、バインダーを含有してよい。適当なバインダー、例えば低粘度の水溶性重合体は製薬分野の当業者の知るとおりである。しかしながら水溶性ヒドロキシ低級アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。その他(または代替として)、球体は水不溶性重合体、特にアクリル重合体、アクリル共重合体、例えばメタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体またはエチルセルロースを含有してよい。このような実施形態において、徐放性コーティングは一般的には、水不溶性物質、例えば(a)ワックスを、単独でまたは脂肪アルコールとの混合物として;または(b)シェラックまたはゼインを含有する。
本発明の球体は、前述したマトリクス製剤または後述する直径0.1mm〜2.5mm、特に0.5mm〜2mmを有するビーズ製剤を含む。
【0077】
好ましくは球体は、水性媒体中に制御された速度でオピオイド(または塩)を放出させることのできる放出制御物質でコーティングされたフィルムである。フィルムコーティングは他の所定の特性と組み合わせて、上述したインビトロの放出速度(例えば1時間後で少なくとも約12.5%放出)が達成されるように選択する。本発明の放出制御コーティング製剤は、好ましくは、平滑で繊細で、顔料や他のコーティング添加物を保持することが可能で、非毒性で不活性で不粘着性で強靱な連続したフィルムを形成する。
【0078】
コーティングビーズ製剤の調製
本発明の特定の実施形態において、本発明の経口固体放出制御製剤は複数のコーティングされた物質、例えば不活性の製薬上許容しうるビーズ、例えばヌパリエル(nu pariel)18/20ビーズを含む。疎水性物質の水性分散液を用いてビーズをコーティングすることによりヒドロコドンの放出制御を達成できる。特定の実施形態においては、複数の得られた安定化固体放出制御ビーズは、摂取後、環境の液体、例えば胃液または溶解液に接触した際に、有効な放出制御用量を与えるのに十分な量でゼラチンカプセル内に入れてよい。
【0079】
本発明の安定化放出制御ビーズ製剤は、例えば摂取後、胃液、次いで腸液に曝露された場合に、オピオイド鎮痛剤を徐々に放出する。本発明の製剤の放出制御特性は、例えば、疎水性放出制御物質の水性分散液によるオーバーコーティングの量を変化させるか;疎水性放出制御物質の水性分散液への可塑剤の添加様式を変化させるか;疎水性放出制御物質に対する可塑剤の量を変化させるか;追加の成分または賦形剤を含有させるか;製造方法を変化させる等により、変えることができる。最終製品の溶解特性はまた、例えば放出制御コーティングの厚みを増大または低減することにより調節してよい。
【0080】
治療活性剤によりコーティングされた基剤は、例えば、治療活性剤を水に溶解し、次に、ウスターインサート(Wuster insert)を用いて、基剤、例えばヌパリエル18/20ビーズ上に、その溶液を噴霧することにより調製される。場合により、追加の成分を添加したのちにビーズをコーティングすることにより、ビーズへのオピオイドの結着を強化したり、かつ/または溶液を着色させることなどができる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含有し、着色剤(例えばカラコン社(Colorcon,Inc)から入手可能なオパドリー(Opadry)(登録商標))を含む又は含まない製品を該溶液に添加し、その溶液を混合(例えば約1時間)した後に基剤に適用してよい。得られたコーティングされた基剤を、次に場合によりバリア剤でオーバーコーティングすることにより、治療活性物質を疎水性放出制御コーティングから隔離させてよい。
【0081】
適当なバリア剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである。しかしながら当該分野に周知の如何なる膜形成物質も用いてよい。バリア剤は最終製品の溶解速度に影響しないものが好ましい。
【0082】
次に基剤を本明細書に記載した疎水性放出制御物質の水性分散液によりオーバーコーティングしてよい。疎水性放出制御物質の水性分散液は、好ましくは更に有効量の可塑剤、例えばクエン酸トリエチルを含有する。予め調製したエチルセルロースの水性分散液、例えばアクアコート(Aquacoat)(登録商標)またはスレレアーゼ(Surelease)(登録商標)を使用してよい。スレレアーゼ(登録商標)を使用する場合は、可塑剤を別途添加する必要はない。或いは、アクリル重合体、例えば予め調製したオイドラギット(Eudragit)(登録商標)の水性分散液を使用することもできる。
【0083】
本発明のコーティング溶液は好ましくは、膜形成剤、可塑剤および溶媒系(即ち水)のほかに、着色料を含有することにより繊細さと製品の識別性を得る。あるいは着色料を治療活性剤の溶液に添加するか、または疎水性物質の水性分散液に加えてもよい。例えば、アルコールまたはプロピレングリコール系の着色料分散液、ミリングしたアルミニウムレーキおよび不透明化剤、例えば二酸化チタンを用いて、攪拌しながら着色料を水溶性重合体に添加し、次に低撹拌で可塑化したアクアコート(登録商標)に添加することにより、着色料をアクアコート(登録商標)に添加することができる。或いは、本発明の製剤に着色するための任意の適当な方法を用いてよい。アクリル重合体の水性分散液を使用する場合に、製剤に着色するのに適する成分は、二酸化チタンおよび他の顔料、例えば酸化鉄顔料である。しかしながら顔料の配合はコーティングの遅延作用を増強する場合がある。
【0084】
疎水性放出制御物質の可塑化水性分散液は当該分野で知られている何れかの適当な噴霧装置を用いて噴霧することにより治療活性剤を含有する基剤上に適用してよい。好ましい方法においては、ワースター(Wurster)流動床システムを用い、その場合、下方から噴射されるジェット気流がコア物質を流動化し、乾燥化しつつアクリル重合体のコーティングを噴霧する。コーティング基剤が水溶液、例えば胃液に曝露された場合に、治療活性剤の所定の放出制御が達成されるのに十分な量の疎水性物質の水性分散液を適用するのが好ましく、その際には、治療活性剤の物理的特性、可塑剤の配合方法等を考慮する。疎水性放出制御物質によるコーティングの後、場合により更にオパドライ(登録商標)のような膜形成剤をビーズ上にオーバーコーティングする。このオーバーコーティングを行った場合、これはビーズの凝集を実質的に低減するためのものである。
【0085】
約24時間の投与に適する制御放出性ビーズ製剤を製造するための別の方法は粉末積層によるものである。米国特許5,411,745号(本発明の被譲渡者に譲渡され、参照してその内容全体が本明細書に組み込まれる)は本質的に含水乳糖微粉末からなる処理補助剤を利用した粉末積層法により調製された24時間モルヒネ製剤の調製を記載している。粉末積層化ビーズは不活性ビーズ上に水性バインダー溶液を噴霧して粘着性の表面を形成し、その後、硫酸モルヒネと含水乳糖微粉末との均質混合物である粉末を粘着性ビーズ上に噴霧することにより調製する。次にビーズを乾燥し、上記した疎水性物質によりコーティングすることにより、最終製剤を環境液体に曝露した場合に薬剤の所望の放出が得られる。次に適量の放出制御ビーズを例えばカプセル化することにより約24時間モルヒネの有効血漿中濃度が得らえる最終製剤を得る。
【0086】
放出制御性浸透圧製剤
本発明の放出制御製剤は、浸透圧製剤としても調製してよい。浸透圧製剤は好ましくは薬剤層およびデリバリー層またはプッシュ層を含む二層コア部を包含し、ここで二層コア部は、場合により少なくとも1つの通路を配置した半透過性壁部により包囲される。特定の実施形態において、二層コア部はヒドロコドンまたはその塩を有する薬剤層および置換(displacement)層またはプッシュ層を含む。特定の実施形態においては、薬剤層は少なくとも1つの重合体ヒドロゲルを含んでもよい。重合体ヒドロゲルは約500〜約6,000,000の平均分子量を有してよい。重合体ヒドロゲルの例としては、限定ではなく、nが3〜7,500であり、かつ式(C6125)n・H2Oを有するマルトデキストリン重合体であって、その数平均分子量500〜1,250,000を有するもの;ポリ(アルキレンオキシド)、例えばポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)であって、重量分子量50,000〜750,000のもの、より詳細には、ポリ(エチレンオキシド)であって、少なくとも1種の重量平均分子量が100,000、200,000、300,000または400,000のもの;カルボキシアルキルセルロースアルカリ、ただしアルカリはナトリウムまたはカリウムであり、アルキルはメチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、重量平均分子量が10,000〜175,000のもの;および、エチレン−アクリル酸、例えばメタクリル酸とエタクリル酸の共重合体であって、数平均分子量が10,000〜500,000のものが挙げられる。
【0087】
本発明の特定の実施形態においては、デリバリー層またはプッシュ層はオスモポリマーを含む。オスモポリマーの例としては、限定でなく、ポリアルキレンオキシドおよびカルボキシアルキルセルロースからなる群から選択されるものが挙げられる。該ポリアルキレンオキシドは重量平均分子量が1,000,000〜10,000,000である。該ポリアルキレンオキシドは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、平均分子量1,000,000のポリエチレンオキシド、平均分子量5,000,000のポリエチレンオキシド、平均分子量7,000,000のポリエチレンオキシド、平均分子量1,000,000の架橋ポリメチレンオキシド、および平均分子量1,200,000のポリプロピレンオキシドからなる群から選択されるものであってよい。典型的なオスモポリマーであるカルボキシアルキルセルロースは、カルボキシアルキルセルロースアルカリ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシエチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、カルボキシエチルセルロースナトリウム、カルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択されるものを含む。置換層のために使用するオスモポリマーは、半透過性壁部の内外に渡って浸透圧勾配を示す。オスモポリマーは液体を製剤内に吸収させ、これにより浸透圧性ヒドロゲル(オスモゲルとしても知られている)として膨潤して膨大し、これによりヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩を浸透圧製剤から押出す。
【0088】
プッシュ層は、浸透圧剤(osmagent)かつ浸透圧性有効溶質としても知られている1種以上の浸透圧上有効な化合物を含有してよい。それらは、環境中の液体を例えば胃腸管から製剤内に吸収させ、置換層のデリバリー動態に寄与する。浸透圧上活性な化合物の例は、浸透圧性の塩および浸透圧性の炭化水素からなる群から選択されるものを含む。浸透圧剤の具体例は、これらに限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸リチウム、塩化リチウム、リン酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、グルコース、フラクトースおよびマルトースを挙げることができる。
【0089】
プッシュ層は、場合によりヒドロキシプロピルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルイソプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースからなる群から選択されるものを包含する。
【0090】
プッシュ層は場合により非毒性の着色料または染料を含有してよい。着色料または染料の例としては、食品医薬品局認可の着色料(FD&C)、例えばFD&C1番青色染料、FD&C4番赤色染料、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、二酸化チタン、カーボンブラックおよびインジゴを挙げることができる。
【0091】
プッシュ層はまた場合により、成分の酸化を抑制するための抗酸化剤を含んでよい。抗酸化剤の例としては、限定でなく、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、2および3t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物、ブチル化ヒドロキシトルエン、イソアスコルビン酸ナトリウム、ジヒドログアレチン酸、ソルビン酸カリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、ソルビン酸、アスコルビン酸カリウム、ビタミンE、4−クロロ−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、アルファトコフェロールおよび没食子酸プロピルからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0092】
特定の代替実施形態において、該製剤は、ヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩、製薬上許容しうる重合体(例えばポリエチレンオキシド)、場合により崩壊剤(例えばポリビニルピロリドン)、場合により吸収促進剤(例えば脂肪酸、界面活性剤、キレート剤、胆汁酸塩等)を含む均質なコア部を含有する。この均質なコア部はヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の放出のための通路(前述において定義した通り)を有する半透過性の壁部により包囲されている。
【0093】
特定の実施形態において、上記の半透過性壁部は、セルロースエステル重合体、セルロースエーテル重合体およびセルロースエステル−エーテル重合体からなる群から選択されるものを含む。代表的な壁部重合体は、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルケニレート、およびモノ、ジおよびトリセルロースアルキニレートからなる群から選択されるものを含む。本発明のために使用されるポリ(セルロース)は20,000〜7,500,000の数平均分子量を有する。
【0094】
本発明の目的のための別の半透過性重合体は、アセトアルデヒドジメチルセルロースアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースジアセテート、プロピルカルバメート、セルロースアセテートジエチルアミノアセテート;半透過性ポリアミド;半透過性ポリウレタン;半透過性スルホン化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;第3,276,586号;第3,541,005号;第3,541,006号および第3,546,876号に開示されているポリアニオンとポリカチオンとの同時沈殿により形成される半透過性架橋重合体;米国特許3,133,132号においてLoeb and Sourirajanより開示されている半透過性重合体;半透過性架橋ポリスチレン;半透過性架橋ポリ(ナトリウムスチレンスルホネート);半透過性架橋ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド);および半透過性壁部の内外にわたる静水圧または浸透圧の差1気圧に対して示される液体透過性が2.5x10-8〜2.5x10-2(cm2/hr・atm)である半透過性重合体を含む。本発明において有用な他の重合体は、米国特許3,845,770;3,916,899および4,160,020号;およびHandbook of Common Polymers,Scott,J.RおよびW.J.Roff,1971,CRC Press,クリーブランド、オハイオ(Cleveland,Ohio)において、当該分野で既知である。
【0095】
特定の実施形態において、好ましくは、半透過性壁部は非毒性、不活性であり、かつ薬剤の使用期限中は物理的および化学的な完全性を維持する。特定の実施形態においては、該製剤は上記したバインダーを含有する。
【0096】
特定の実施形態において、該製剤は潤滑剤を含み、これをダイの壁部やパンチの表面への付着を防止するために製剤の製造中に使用してよい。潤滑剤の例としては、限定でなく、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸、オレイン酸カリウム、カプリル酸、ナトリウムステアリルフマレートおよびパルミチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0097】
コーティング
本発明の製剤は場合により、放出制御のために、または製剤の保護のために適する1種以上のコーティングを適用してよい。1つの実施形態において、該コーティングは、例えば胃腸内の液体に曝露された場合にpH依存性またはpH非依存性の放出をもたらすように提供される。pH非依存性のコーティングが望まれる場合は、コーティングは環境の液体、例えばGI管のpHの変化にかかわらず、最適放出を達成するように設計される。他の好ましい実施形態は、患者に対して少なくとも約12時間、好ましくは24時間まで鎮痛作用を与えることが可能な吸収特性が得られるように、胃腸(GI)管の所望の領域、例えば胃または小腸においてオピオイドを放出するpH依存性コーティングを包含する。GI管の所望の1箇所の領域、例えば胃において用量の一部を放出し、その用量の残りはGI管の別の領域、例えば小腸で放出するような組成物を製剤することも可能である。
【0098】
またpH依存性コーティングを利用する本発明の製剤は、反復作用効果を有するものでもよく、これにより、未保護の薬剤を腸溶性コーティング上にコーティングし、これは胃内で放出され、一方、残りの部分、即ち腸溶性コーティングで保護されているものは、胃腸管の更に下部において放出される。本発明に従って使用してよいpH依存性のコーティングには、放出制御物質、例えばシェラック、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、および、メタクリル酸エステル共重合体、ゼイン等が包含される。
【0099】
別の好ましい実施形態において、本発明は(i)アルキルセルロース、(ii)アクリル重合体、または(iii)これらの混合物から選択される疎水性放出制御物質によりコーティングされたオピオイドを含む安定化固体制御製剤に関する。このコーティングは有機性または水性の溶液または分散液の形態で適用してよい。
【0100】
特定の好ましい実施形態においては、放出制御コーティングは、疎水性放出制御物質の水性分散液から誘導される。オピオイドを含有するコーティングされた基剤(例えば錠剤コア部または不活性の製薬用ビーズまたは球体)は次に、その基剤が安定な溶解性を示す終点に達するまで硬化される。この硬化終点は、硬化直後の製剤の溶解特性(曲線)を、例えば温度40℃、相対湿度75%で少なくとも1ヶ月間という加速保存条件に曝露した後の製剤の溶解特性(曲線)と比較することにより求めてよい。これらの製剤は、米国特許5,273,760および5,286,493号(本発明の被譲渡者に譲渡され、参照してその内容全体が本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。本発明に従って使用してよい放出制御製剤およびコーティングの他の例は、米国特許5,324,351;5,356,467および5,472,712号(被譲渡者所有;参照してその内容全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0101】
好ましい実施形態において、放出制御コーティングは、本文に記載した可塑剤を含有する。
特定の実施形態において、放出制御製剤を得るためには、例えばアルキルセルロースまたはアクリル重合体の水性分散液の十分な量で、オピオイド鎮痛剤を含有する基剤を、約2〜約50%、例えば約2〜約25%の重量増加となるように、オーバーコーティングすることが必要となる。オーバーコーティングは、治療活性剤の物理的性質および所望の放出速度、水性分散液中の可塑剤の存在およびその配合方法等により多少変動する場合がある。
【0102】
アルキルセルロース重合体
アルキルセルロースなどのセルロース系の物質および重合体は、本発明の基剤、例えばビーズ、錠剤等をコーティングするのに十分に適する放出制御物質である。単なる例示であるが、1つの好ましいアルキルセルロース系重合体はエチルセルロースであるが、当業者の知るとおり他のセルロースおよび/またはアルキルセルロース重合体も単独または組み合わせて、本発明の疎水性コーティングの全体または部分として容易に使用される。
【0103】
1つの市販されているエチルセルロースの水性分散液はアクアコート(登録商標)(FMC社、フィラデルフィア、ペンシルベニア、米国)である。アクアコート(登録商標)はエチルセルロースを水混和性の有機溶媒に溶解し、次にこれを界面活性剤および安定化剤の存在下に水中に乳化することにより調製する。ホモジナイズによりサブミクロンの液滴を形成した後、その有機溶媒を真空下に蒸発させ、擬似ラテックスとする。可塑剤は製造段階において擬似ラテックス中に配合しない。即ちこれをコーティング剤として使用する前に、アクアコート(登録商標)を適当な可塑剤と十分に混合してから使用する。
【0104】
エチルセルロースの別の水性分散液はスレレアーゼ(登録商標)(カラコン社、ウエストポイント、ペンシルベニア、米国)として市販されている。この製品は製造工程の間に分散液に可塑剤を配合することにより調製する。重合体、可塑剤(セバシン酸ジブチル)および安定化剤(オレイン酸)の熱溶解物を均質な混合物として調製し、次にこれをアルカリ溶液で希釈し、得られた水性分散液を直接基剤に適用することができる。
【0105】
アクリル重合体
本発明の別の好ましい実施形態において、放出制御コーティングを含む放出制御物質は製薬上許容しうるアクリル重合体、例えば、限定でなく、アクリル酸およびメタクリル酸の共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)共重合体、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(無水メタクリル酸)、および、グリシジルメタクリレート共重合体である。
【0106】
特定の好ましい実施形態において、アクリル重合体は、1種以上のアンモニオメタクリレート共重合体よりなる。アンモニオメタクリレート共重合体は当該分野でよく知られており、第4アンモニウム基の含量が低いアクリル酸とメタクリル酸エステルとが完全重合した共重合体としてNFXVIIに記載されている。
【0107】
所望の溶解特性を得るためには、物理的特性が異なる、例えば中性の(メタ)アクリルエステルに対する第4アンモニウム基のモル比が異なる2種以上のアンモニオメタクリレート共重合体を配合する必要がありうる。
【0108】
特定のメタクリル酸エステル型重合体は本発明において使用してよいpH依存性コーティングを調製するために有用である。例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレートおよび他の中性のメタクリル酸エステルから合成される一連の共重合体が存在し、これらはメタクリル酸共重合体または重合体メタクリレートとしても知られており、ロームテック(Rohm Tech, Inc)からオイドラギット(Eudragit)(登録商標)として市販されている。数種類のオイドラギットが存在する。例えば、オイドラギットEは酸性媒体中で膨潤して溶解するメタクリル酸共重合体の例である。オイドラギットLはpH<約5.7では膨潤せず、pH>約6で可溶であるメタクリル酸共重合体である。オイドラギットSはpH<約6.5では膨潤せず、pH>約7で可溶である。オイドラギットRLおよびオイドラギットRSは水膨潤性であり、これらの重合体により吸収される水の量はpH依存性であるが、オイドラギットRLおよびオイドラギットRSでコーティングされた製剤はpH非依存性である。
【0109】
特定の好ましい実施形態において、このアクリルコーティングは、オイドラギット(登録商標)RL30Dおよびオイドラギット(登録商標)RS30Dの商品名でそれぞれロームファーマ(Rohm Pharma)から市販されている2種のアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。オイドラギット(登録商標)RL30Dおよびオイドラギット(登録商標)RS30Dは、第4アンモニウム基の含量が低いアクリル酸とメタクリル酸の共重合体であり、残存する中性(メタ)アクリル酸エステルに対するアンモニウム基のモル比は、オイドラギット(登録商標)RL30Dで1:20、オイドラギット(登録商標)RS30Dで1:40である。平均分子量は約150,000である。コード表示のRL(高透過性)およびRS(低透過性)はこれらの物質の透過性を示す。オイドラギット(登録商標)RL/RS混合物は水および消化液に不溶である。しかしながら、これらから形成されたコーティングは水性溶液および消化液中で膨潤可能であり、透過性である。
【0110】
本発明のオイドラギット(登録商標)RL/RS分散液は所望の溶解特性を有する放出制御製剤を最終的に得るために如何なる所望の比率で混合してもよい。所望の放出制御製剤は、例えば100%オイドラギット(登録商標)RL;50%オイドラギット(登録商標)RLおよび50%オイドラギット(登録商標)RS;並に10%オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)90%RSから得てよい。当然ながら、当業者の知るとおり、他のアクリル重合体、例えばオイドラギット(登録商標)Lも使用してよい。
【0111】
可塑剤
コーティングが疎水性放出制御物質の水性分散液を含む本発明の実施形態において、疎水性物質の水性分散液中に有効量の可塑剤を含有させることは放出制御コーティングの物理的特性を更に改善する。例えば、エチルセルロースは比較的高いガラス転移温度を有し、通常のコーティング条件下では可撓性膜を形成しないため、放出制御コーティングを含有するエチルセルロースコーティングには、これをコーティング材料として使用する前に、可塑剤を配合することが好ましい。一般的にはコーティング溶液中に含有される可塑剤の量は膜形成物質の濃度に基づき、最も頻繁には膜形成物質の約1〜約50重量%である。しかしながら、可塑剤の濃度は特定のコーティング溶液および適用方法を用いて慎重に実験を行なった後に適切に決定されるのみである。
【0112】
エチルセルロースのための適当な可塑剤の例は、不溶性可塑剤、例えばセバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンであるが、他の水不溶性可塑剤(例えばアセチル化モノグリセリド、フタレートエステル、ひまし油等)を使用することも可能である。クエン酸トリエチルは本発明のエチルセルロースの水性分散液のための特に好ましい可塑剤である。
【0113】
本発明のアクリル重合体に適する可塑剤の例としては、これらに限定されないが、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチルNFXVI、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチルおよび場合により1,2−プロピレングリコールが挙げられる。オイドラギット(登録商標)RL/RSラッカー溶液のようなアクリル系膜から形成される膜の弾性を増強するのに適することが知られている他の可塑剤には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルフタレート、ひまし油およびトリアセチンが包含される。クエン酸トリエチルは本発明のエチルセルロースの水性分散液のための特に好ましい可塑剤である。
【0114】
特定の実施形態において、放出制御コーティングへの少量のタルクの添加は、調製操作中に水性分散液が付着する傾向を低減し、光沢剤としても機能する。
本発明の放出制御製剤からの治療活性剤の放出は、1種以上の放出調節剤の添加により、またはコーティングを通過する1個以上の通路を設けることにより、更に影響を受けさせる、即ち、所望の速度に調節されることが可能である。水溶性物質に対する疎水性放出制御物質の比率は、種々の要因の中でも、必要な放出速度および選択された物質の溶解度特性により決定される。
【0115】
孔形成剤としての機能を有する放出調節剤は有機性または無機性のものであってよく、かつコーティングから使用環境に溶出、抽出または滲出することのできる物質を包含する。孔形成剤は1種以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースのような疎水性物質を含む。
また本発明の放出制御コーティングは、澱粉およびガム類のような腐食促進剤を含有できる。
【0116】
また本発明の放出制御コーティングは、使用環境において多孔性膜を形成するのに有用な物質、例えば重合体鎖中にカーボネート基が反復して存在する、線状の炭素酸ポリエステルよりなるポリカーボネートも含有することもできる。
【0117】
また放出調節剤は半透過性重合体を含んでもよい。特定の実施形態においては、放出調節剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、乳糖、金属ステアリン酸塩およびこれらの混合物から選択される。
【0118】
また本発明の放出制御コーティングは、吐出手段、例えば通路、オリフィス等を少なくとも1つ含んでよい。通路は米国特許3,845,770;3,916,899;4,063,064および4,088,864号(参照して本明細書に組み込まれる)に開示されているような方法により形成してよい。通路は丸型、三角形、正方形、楕円形、不規則な形など、如何なる形状を有することもできる。
【実施例】
【0119】
以下の実施例は本発明の種々の特徴を説明している。これらは請求項を如何様にも制約するものではない。
実施例1
ヒドロコドン徐放性錠剤を以下の表1Aに記載する処方で製造した。
表1A
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
成分 量/単位(mg) 量/バッチ(グラム)
重酒石酸ヒドロコドン 30.0 150.0
噴霧乾燥乳糖 90.0 450.0
ポビドン 8.0 40.0
オイドラギットRS30D(固体) 30.0 150.0
トリアセチン 6.0 30.0
ステアリルアルコール 50.0 250.0
タルク 4.0 20.0
ステアリン酸マグネシウム 2.0 10.0
オパドライレッドYS1-15597-A 10.0 50.0
精製水 * *
総量 230.0 1150.0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*製造時に使用し、製品中には残留水分としてのみ残存。
【0120】
以下の調製法に従った。
1.造粒:オイドラギット/トリアセチン分散液を、流動床造粒装置を用いて酒石酸ヒドロコドン、噴霧乾燥乳糖およびポビドン上に噴霧する。
2.ミリング:顆粒を排出し、ミルを通過させる。
3.ワクシング:ステアリルアルコールを溶融させ、ミキサーを用いてミリングされた顆粒に添加する。放冷する。
4.ミリング:冷却した顆粒をミルに通す。
5.潤滑化:ミキサーを用いてタルクおよびステアリン酸マグネシウムで顆粒を潤滑化する。
6.圧縮:錠剤プレス機を用いて顆粒を圧縮成型して錠剤とする。
7.フィルムコーティング:錠剤に水性のフィルムコーティングを適用する。
【0121】
次に錠剤の溶解性について以下の操作法により試験した。
1.装置:USPI型(バスケット)。100rpm。
2.溶媒:最初の55分間は700mlSGF、その後リン酸塩緩衝液pH7.5で900mlとする。
3.サンプリング時間:1、2、4、8および12時間。
4.分析法:高速液体クロマトグラフィー
溶解性パラメーターを以下の表1Bに示す。
表1B
――――――――――――
時間(時) 溶解度%
1 25.5
2 31.7
4 41.5
8 54.7
12 65.0
――――――――――――
【0122】
実施例2
ヒドロコドン徐放性錠剤を以下の表2Aに示す処方で製造した。
表2A
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
成分 量/単位(mg) 量/バッチ(グラム)
重酒石酸ヒドロコドン 15.0 187.5
オイドラギットRSPO 78.0 975.0
ステアリルアルコール 27.0 337.5
総量 120.0 1500.0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0123】
以下の調製法に従った。
1.ミリング:ミルにステアリルアルコールフレークを通す。
2.ブレンディング:重酒石酸ヒドロコドン、オイドラギットおよびミリングされたステアリルアルコールを混合する。
3.ブレンドした材料を連続してツインスクリュー押出機に供給し、得られたストランドをコンベアー上に回収する。
4.冷却:コンベアー上でストランドを放冷する。
5.ペレット化:冷却したストランドをペレタイザーによりペレット化する。
6.スクリーニング:ペレットをスクリーニングにかけ、所望の分篩部分を回収する。
【0124】
溶解方法:
1.装置:USP I型(バスケット)。100rpm。
2.溶媒:最初の1時間は700ml SGF、その後リン酸塩緩衝液pH7.5で900mlとする。
3.サンプリング時間:1、2、4、8および12時間。
4.分析法:高速液体クロマトグラフィー。
溶解性パラメーターを以下の表2Bに示す。
表2B
――――――――――――――
時間(時) 溶解度%
SGF/SIF
1 19.5
2 26.3
4 38.2
8 54.0
12 63.8
――――――――――――――
【0125】
実施例3
ヒドロコドン徐放性浸透圧錠剤を以下の表3Aに示す処方で製造する。
表3A
――――――――――――――――――――――――
成分 比率
薬剤層 薬剤層の比率
重酒石酸ヒドロコドン 25.4
ポリエチレンオキシド 70.1
ポビドン 4
ステアリン酸マグネシウム 0.5
置換層 置換層の比率
ポリエチレンオキシド 68.57
塩化ナトリウム 26
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 4.5
酸化鉄 0.6
ステアリン酸マグネシウム 0.25
BHT 0.08
半透過性壁部 半透過性壁部の比率
セルロースアセテート 95
ポリエチレングリコール 5
――――――――――――――――――――――――
【0126】
上記した処方の製剤は以下の操作法に従って調製する。
必要量の重酒石酸ヒドロコドン、平均分子量200,000のポリ(エチレンオキシド)およびポリ(ビニルピロリドン)を遊星型ミキサーボウルに添加し、混合する。次に変性無水エチルアルコールをゆっくり混合物に添加し、その間混合を15分継続することにより湿性顆粒を得る。次に、新しく調製した湿性顆粒を20メッシュスクリーンに通し、室温で乾燥し、16メッシュスクリーンに通す。次に顆粒を遊星型ミキサーに移し、必要量のステアリン酸マグネシウムと混合して潤滑化する。
【0127】
プッシュ組成物は以下のとおり調製する。即ち先ず、必要量のヒドロキシプロピルメチルセルロースを水に溶解することによりバインダー溶液を調製する。次にブチル化ヒドロキシトルエンを変性無水アルコールに溶解する。混合を継続しながらヒドロキシプロピルメチルセルロース/水溶液をブチル化ヒドロキシトルエン/アルコール溶液に添加する。次に再度混合を継続しながら、残りのヒドロキシプロピルメチルセルロース/水溶液を、ブチル化ヒドロキシトルエン/アルコール溶液に添加する事によりバインダー溶液の調製を終了する。
【0128】
次に、必要量の塩化ナトリウムをクワドロコーミル(Quadro Comil)(登録商標)ミルを用いてサイジングし、塩化ナトリウムの粒径を小さくする。その材料を21メッシュスクリーンでサイジングする。次に酸化鉄を40メッシュスクリーンに通す。次に平均分子量7,000,000の製薬上許容しうるポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを、全てスクリーニングした物質として、グラット(Glatt)流動床造粒機のボウルに添加する。ボウルを造粒機に連結し、造粒処理を開始して造粒する。次にバインダー溶液を粉末に噴霧する。
【0129】
溶液噴霧の終了時に、得られたコーティングされた顆粒を乾燥処理に付す。コーティングされた顆粒はクワドロコーミルを用いて8メッシュスクリーンでサイジングする。顆粒を必要量のステアリン酸マグネシウムと混合して潤滑化する。
次に重酒石酸ヒドロコドン薬剤組成物およびプッシュ組成物をキリアン(Kilian)(登録商標)タブレットプレスにより二層錠剤に圧縮成型する。先ず、重酒石酸ヒドロコドン組成物をダイキャビティーに添加し、予備圧縮し、次に、プッシュ組成物を添加し、層を加圧して二層構造物とする。
【0130】
二層構造物を半透過性壁によりコーティングする。壁部形成組成物はアセチル含量39.8%のセルロースアセテート95%およびポリエチレングリコール5%を含む。壁部形成組成物をアセトン:水(95:5wt:wt)共溶媒に溶解して、4%固形分の溶液とする。壁部形成組成物を24インチ径ベクターHi(登録商標)コーター中で二層体の周囲上に噴霧する。
【0131】
次に2つの30ミル(0.762mm)の吐出用通路を半透過性壁部に開通させることにより薬剤層を製剤システムの外部に連絡させる。48時間50℃、湿度50%で乾燥することにより残留溶媒を除去する。次に浸透圧製剤を4時間50℃で乾燥して過剰の水分を除去する。
本発明の他の多くの変形は当業者の容易に知るものであり、本発明添付の請求項の範囲内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者への24時間おきの投与に適する固体経口放出制御製剤であって、a)製薬上許容しうるマトリックスの中に、放出制御物質と組み合わしたヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の鎮痛有効量を含むか、またはb)複数の不活性な製薬上許容しうるビーズ上にヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の鎮痛有効量をコートし、更に放出制御物質でオーバーコートしたものを含み、
ヒト患者への投与後に0.55〜約0.85のC24/Cmax比を有し、かつ、ヒト患者への投与後に少なくとも約24時間治療効果を有する、前記固体経口放出制御製剤。
【請求項2】
放出制御コーティングでコートされた錠剤の形態である、請求項1に記載の固体経口放出制御製剤。
【請求項3】
(a)(i)ヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の鎮痛有効量を含む薬剤層と、(ii)オスモポリマーを含む置換層と、を含む二層コア部;および
(b)該ヒドロコドンまたは製薬上許容しうるその塩の放出のための通路を配置した、二層コア部を包囲する半透過性壁部、
を含有する徐放性経口製剤であって、
該製剤は、ヒト患者への投与後に0.55〜約0.85のC24/Cmax比を有し、かつ、ヒト患者への経口投与後に少なくとも約24時間の治療効果を有する、前記徐放性経口製剤。

【公開番号】特開2008−231110(P2008−231110A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100149(P2008−100149)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【分割の表示】特願2002−538911(P2002−538911)の分割
【原出願日】平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】