ピペットのソフトウェアインターフェース
【課題】ハンドヘルド型電子ピペットは、メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、ユーザのインターフェースディスプレイに表示される情報を制御し、ピペットプログラムする情報を入力するとともに、ピペットの動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドヘルド型の電子ピペットに関する。特に、本発明は、ピペットのユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するソフトフェアに関する。そして、特に本発明は、ピペットの動作を制御するマイクロコンピュータのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド型の電子ピペットは、研究室において幅広く使用されている。電子ピペットは、一般的に、ピペットの筐体内に位置する小型のマイクロプロセッサにより制御されていて、ピペットにおけるユーザインターフェースを用いてプログラムされる。このようなインターフェースは一般的にキーパッド、スイッチ、もしくはダイアルを備え、多くの電子ピペットは、また、小型の画面ディスプレイを備える。一般的に、ユーザは、液体試薬もしくは試料の選択された容積を吸引し、吸引した容積を分注するように、電子ピペットをプログラムする。場合によっては、連続的な分注工程において分割量を連続的に分注するようプログラムする。プログラム可能な電子ピペットは、混合、ピペッティングの繰り返し、希釈などの複雑な操作を行うよう構成されている。
【0003】
近年において、電子機器産業は大幅に前進してきている。例えば、改善された明瞭度、カラーグラフィック性能、改善された処理能力、メモリ性能及びワイヤレス通信機器などを有する、目盛が細やかに付されたLCDディスプレイは、全て普及している。
【0004】
電子機器産業が進展し、改善された演算能力及び処理能力を備えるため、幅広いピペットティング処理を直接ピペットに対してプログラムすることが望まれている。一方、このような性能を追加すると、ユーザがピペットを使用するのに、相当複雑となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実際のユーザ、さらには最初に使うユーザにとって直感的な、ピペットのオペレーティングシステム(Operating system)を提供することである。その上、ユーザにとって、十分に効果を発揮し、幅広い実験用のピペット処理を達成することが可能な、ピペットのオペレーションシステムを提供することである。
【0006】
本発明のもう1つ別の目的は、電子ピペットのプログラミングを容易にし、特に、片手でプログラムを容易にすることである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、ピペットのプログラムを容易にするソフトウェアツールを提供するとともに、ユーザに対して、使用上のフィードバックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンドヘルド型のメニューで操作するユーザインターフェースを備える電子ピペットであり、該インターフェースで、便利かつ直感的に、ピペットのマイクロプロセッサのプログラミングを行う。さらに、本発明により、ユーザは幅広く研究室のピペット処理を行うことが可能である。本発明の第1態様において、ピペットでの円形のタッチパッドで、ピペット上におけるメニューでナビゲートするソフトウェアが用いられる。円形のタッチパッドは、ピペットのディスプレイにおける、親指もしくは指の回転運動を上下のカーソル運動に変換する。例えば、親指もしくは指の部分が、タッチパッドの表面の柔軟な静電容量センサに感知することなどにより、行われる。好適なピペットは、またエンターボタンだけでなく、円形タッチパッド周囲の4つのセレクタ部位を備える。各4つのセレクタ部位及びエンターボタンに関連づけられた個々の専用スイッチは、ユーザが効果的な方法によりメニューで操作するソフトウェアを扱うことで、起動可能である。好適には、円形タッチパッドの4つのセレクタ部位は、戻るボタンを有し、該ボタンを用いることで、ソフトウェアを前のメニューもしくは前に表示した情報に戻るよう指示する。また、セレクタ部位は、右及び左ナビゲーションボタンを備え、該ボタンを用いて、ディスプレイ画面上のショートカットの指示に従うことで、ユーザは、より効果的にナビゲート可能である。そして、セレクタ部位は、除去ボタンを備え、該ボタンを用いることで、処理を早く終わらせることを求める場合、連続的な除去を開始する。好適なピペットは、また、別個の実行ボタンおよび専用スイッチを有し、これらをもちいることで、一旦ピペットが完全にプログラムされると、一定のピペットもしくは段階を開始する。実行モード内に、ディスプレイ画面はスクロールを基として、処理中の段階を表示することが好ましい。好ましくは、実行ボタンを押すまで実行を待っている段階は、強調もしくは反転表示される。次もしくはその後の段階は、現在の段階の下にリストされる。そして、適切に実行された段階は、現在の段階の上にリストされる。
【0009】
ソフトウェアは、また、さまざまなプログラムされたピペット処理での容積、相対的なピペットスピード、ペース及びカウントを調節するためのグラフ表示を提供する。好ましくは、ポインタを有するグラフのゲージで、ポップアップメニューがディスプレイに表示される。ユーザは、円形のタッチパッドを用いる処理に利用可能なあらゆる種類の選択の間のポインタの位置を操作可能である。例えば、吸引容積、分注容積もしくは最後の分注容積を設定する際に、ユーザはタッチパッド制御を用いて、ピペットの最小値から最大値の間の領域であればどれでも、グラフ表示のゲージにあるポインタを移動することが可能である。容積を選択するのに、グラフのゲージが粗設定及び微設定を有することが好ましい。そして、微設定よりも粗設定を用いて、ユーザは、より小さい回転で利用可能な容積のあらゆる領域をナビゲート可能である。粗設定を用いると、ユーザは利用可能な容積のあらゆる領域を円形タッチパッドの3 1/2回転未満の回転でナビゲート可能であることが好ましい。ソフトウェアは、メモリ内に1もしくはそれ以上のお気に入りの容積の選択を保存するためにプログラムされることが好ましい。これにより、ユーザは後で使用するのにお気に入りを取っておくことが可能である。
【0010】
上述のように、相対的なピペットスピードは、グラフのゲージ及び円形のタッチパッドを用いてプログラムされる。好ましくは、ユーザが1から10の段階で選択可能であり、マイクロプロセッサは一定のプログラムの間、相対的なピペットスピードで、ピペットの動作を制御する。この点において、マイクロプロセッサは、「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願での記載に従って、ピペットを動作する。この特許出願は、参照として本明細書に組み込まれ、本発明の譲受人に譲渡され、さらに同日に出願されている。また、上述したように、ソフトウェアがペース、即ち、実行ボタンを継続的に動かす際に、繰返して分注を行う間の継続時間を設定するためにゲージを提供することが好ましい。好ましくは、グラフで表示される無、遅、中、及び速の4つのペース選択を有し、ユーザがタッチパッド制御を用いることで、選択もしくは編集可能であることが好ましい。さらに、特定の処理に対する連続的な吸引もしくは分注段階の全カウント値はユーザのインターフェースにグラフで表示され、タッチパッド制御を介して選択もしくは編集可能であることが好ましい。スピード及びペースの変更が、変更するまで同じようにあらゆる操作の処理に対して作用するため、全体のスピード及びペースを設定することは有益である。さらに、「ヘルプ」機能についても、全体として利用可能であることが好ましい。
【0011】
本発明のもう1つ別の観点において、メニューで操作するソフトウェアは、ユーザインターフェースに表示される情報、及びピペットを動作させるためにマイクロプロセッサに入力される情報を制御するだけでなく、編集可能な一定のカスタムのピペットを作成可能な能力を提供するのと同時に、少なくとも1つ、好ましくは複数の、前もって定義されるアルゴリズムに基づいてプログラム可能なピペットモードを提供する。前もって定義されるアルゴリズムに基づいた好適なモードは、ピペット、分注繰返し、試料希釈、ピペット/混合、手動のピペット、逆ピペット、可変分注、可変吸引、試料希釈/混合及び段階希釈を含む。容積、スピード、ぺース、カウント、方向及び混合などのさまざまなパラメータをユーザがプログラム及び編集可能であっても、これら前もって定義されるアルゴリズムに基づいた10の機能的モードがソフトウェアに組み込まれることにより、従来から知られる各ピペット処理を実行する。多くの好適な機能的モードがプログラムされることで、入力もしくは計算された容積を含み、該容積は、連続的に分注された分割量における最後の分割量固有の容積である。最後の分注された分割量を用いることは、以前の分割量からピペットのエラーを分離するのに有益である。上述のように、これらそれぞれのモードを適用するために、ピペットにおいてスピード及びペースなどのいくつかの変数が全体で変更される。容積などの他のパラメータは、個々のモードに対して個々に編集される。前もって定義されたアルゴリズムに基づいた機能的モードについてのより完全な記載は、「発明を実施するための最良の形態」の段落において記載するが、本発明は必ずしもこれらの機能的モードを使用することに限定されるものではない。好ましくは、これらの機能的モードのそれぞれは、ピペットに表示されるメインメニューから利用可能であり、該メインメニューから、プログラム、編集及び実行のために個々のモードが選択される。所望の場合、ピペットにより、ユーザがメインメニューからこれら機能的モードの1もしくはそれ以上を取り除くことが可能である。
【0012】
一方、好適なピペットはまた、吸引、混合、分注及び除去の段階に基づき、ユーザがカスタムのピペット処理を作成可能なプログラムモードを含む。好適なピペットにより、ユーザは、メモリ内の多くのカスタムプログラム、例えば、10までのカスタムプログラムを作成及び保存することが可能であり、各プログラムは、好適な前もって定義された最大数の段階、例えば50の検証可能な段階しか含まない。カスタムプログラムはメインメニューを介してユーザにより後にアクセス可能であり、その後、好ましくはメインのカスタムメニューを介して、ユーザにより所望の一定のカスタム動作を実行する。
【0013】
好適なハンドヘルド型の電子ピペットは、プログラム機能が前もって定義された容積の制限を越える場合、一定のエラーチェック動作などのさらなる特徴を含み、該動作により、エラーメッセージを表示する。好適なエラーチェック動作では、ユーザが不正なプログラムを保存不可能であるが、たとえ不正なパラメータを入力しても、プログラムを継続することは可能である。一定のエラーチェック動作により一定のプログラムされた動作が不正であると判断されると、表示されるエラーメッセージは、プロンプトなどを保存するように変更する。エラーチェック動作は、前もって定義されたアルゴリズムに基づいた機能的モード及びカスタムプログラムから利用可能であることが好ましい。
【0014】
本発明のもう1つ別の観点において、ソフトウェアはピペットに表示される画面において色わけを用いることで、ユーザが直感的にピペットの状態を認識することを手助けする。例えば、実行画面の背景色はすべての機能的モードにおいて一貫しているが、編集画面の背景色及びヘルプ画面の背景色とは異なる。
【0015】
好適なハンドヘルド型の電子ピペットのもう1つの特徴は、スタートアップ時に現れるプログラム可能なスタートアップ画面の使用である。このようなスタートアップ画面は、製造者のロゴもしくはシステム識別情報もしくは個人の図柄もしくは情報を含む。
【0016】
図面及び本明細書の記載を確認すれば、本発明の他の観点及び特徴は、当業者にとっては明確である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ユーザインターフェース及びプログラム可能なマイクロプロセッサを備えるハンドヘルド型の電子ピペットの斜視図である。
【図2】図1に示すピペットの正面図である。
【図3a】本発明の好適な実施例に基づいたメインメニューのプログラム画面を示す。
【図3b】本発明の好適な実施例に基づいたメインメニューのプログラム画面を示す。
【図4a】本発明の好適な実施例に基づくメニューベースのソフトウェアの機能の概要を示すフローチャートであり、特に、一般的なピペットの幅広いモードの選択を示す。幅広いモードは、これらのモードに対応する、前もって定義されたアルゴリズム及びプログラム可能なオプションもしくは変数で選択される。そして、該ソフトウェアは、メインメニューからの他の選択も示し、オプション及びツールボックスオプションのカスタムプログラムを含む。
【図4b】本発明の好適な実施例に基づくメニューベースのソフトウェアの機能の概要を示すフローチャートであり、特に、一般的なピペットの幅広いモードの選択を示す。幅広いモードは、これらのモードに対応する、前もって定義されたアルゴリズム及びプログラム可能なオプションもしくは変数で選択される。そして、該ソフトウェアは、メインメニューからの他の選択も示し、オプション及びツールボックスオプションのカスタムプログラムを含む。
【図4c】本発明の好適な実施例に基づくメニューベースのソフトウェアの機能の概要を示すフローチャートであり、特に、一般的なピペット幅広いモードの選択を示す。幅広いモードは、これらのモードに対応する所定のアルゴリズム及びプログラム可能なオプションもしくは変数で選択される。そして、該ソフトウェアは、メインメニューからの他の選択も示し、オプション及びツールボックスオプションのカスタムプログラミングを含む。
【図5a】ユーザが本発明の好適な実施例に基づき、ピペットスピードを調節可能な「実行」画面を示す。
【図5b】ユーザが本発明の好適な実施例に基づき、ピペットスピードを調節可能な「実行」画面を示す。
【図6a】「実行」画面を介して「ヘルプ」機能にアクセスする方法と、「ヘルプ」画面の一例をそれぞれ示す。
【図6b】「実行」画面を介して「ヘルプ」機能にアクセスする方法と、「ヘルプ」画面の一例をそれぞれ示す。
【図7a】本発明の好適な実施例に基づく「編集」画面であり、ピペットプロトコルにおける特定の工程で容積を選択及び編集していることを示す。
【図7b】本発明の好適な実施例に基づく「編集」画面であり、ピペットプロトコルにおける特定の工程で容積を選択及び編集していることを示す。
【図8a】本発明の好適な実施例に基づく「お気に入り」の容積を設定及び選択するプログラム画面を示す。
【図8b】本発明の好適な実施例に基づく「お気に入り」の容積を設定及び選択するプログラム画面を示す。
【図8c】本発明の好適な実施例に基づく「お気に入り」の容積を設定及び選択するプログラム画面を示す。
【図9a】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9b】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9c】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9d】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9e】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9f】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9g】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9h】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図10a】「手動のピペット」モードに関するプログラム画面である。そして、「マニュアルピペット」モードは、「方向」オプションの変更を示す。
【図10b】「マニュアルピペット」モードに関するプログラミング画面である。そして、「マニュアルピペット」モードは、「方向」オプションの変更を示す。
【図11a】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図11b】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図11c】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図11d】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図12a】カスタムピペットプログラムの「実行」画面の例である。
【図12b】カスタムピペットプログラムの「実行」画面の例である。
【図12c】カスタムピペットプログラムの「実行」画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ピペット(10)のユーザインターフェースのディスプレイに表示する情報を制御するメニュー形式のソフトウェアを示し、マイクロプロセッサをプログラムし、ピペット(10)を作動させるソフトウェアを示す。本発明の好適な実施例において、図1に示すように、ソフトウェアがピペット(10)に対して用いられる。図1は、単一のチャンネルピペット(10)を示し、「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に記載されている。該特許出願は、本特許出願の譲受人に対して譲渡された出願であり、本出願と同日付で出願されていて、参照として本明細書に組み込まれるものとする。より詳細については後述するが、図1に示される単一のチャンネルピペット(10)は、ユーザによりプログラム可能なハンドヘルド型の電子ピペットであり、液体の試料もしくは試薬を吸引及び分注する、もしくは、一般的に記載される他のピペットによる採取の幅広い機能を達成する。
【0019】
図1のハンドヘルド型ピペット(10)は、取付シャフト(12)を備え、該シャフト上に従来から知られている使い捨て可能なピペットチップ(14)が取付られている。図示しないが、ピペット(10)は、モータにより駆動する吸引シリンダ及びピストンを備える。ピペット(10)は、細長の本体を有し、該本体は、上部(16)及び下部(17)を備える。吸引シリンダ及びピストンは、下部(17)に配される。指フック(28)はピペット(10)の上部(10)の背部に位置する。ピペット(10)の上部(16)は、ユーザの手、ユーザの手のひらにおいて保持されるよう設計されている。その上、指フック(28)の底部にユーザの人差指を配し、ユーザの親指でピペット(10)の前面で制御操作が可能となっている。代替的に、ピペット(10)のプログラムを行う側とは反対側の手の指を都合よく使用することも可能である。
【0020】
好適な実施例において、ピペット(10)の前面は、タッチパッド制御(30)、タッチパッド制御(30)の下部に位置する実行ボタン(18)、実行ボタン(18)の下部に位置する取出ボタン(20)及びタッチバッド制御(30)の上部に位置するインターフェースディスプレイ(32)を含む。図1に示す構成において、タッチバッド制御(30)、実行ボタン(18)及び取出ボタン(20)のそれぞれが、ユーザの親指で都合よく操作可能であるため、片手で便利にプログラム及び操作可能である(もしくは、上述のように、ユーザはピペットをプログラムするために、反対側の指を使用可能である)。より詳細は後述するが、タッチパッド制御(30)は、メニュー操作のソフトウェアに基づき、ピペット(10)を制御するのに用いられる。該ソフトウェアは、ユーザインターフェースディスプレイ(32)に表示される情報を制御するとともに、マイクロプロセッサをプログラミングし、ピペットを動作させるインターフェースを提供する。選択されたもしくはカスタム開発されたピペット処理を行うために、ピペット(10)がプログラムされた後に、タッチパッド(30)の下方に位置する実行ボタン(18)は、ユーザにより作動される。
【0021】
実行ボタン(18)の下方に位置する取出ボタン(20)は、矢印(22)の方向にユーザが親指で動作させることで、使い捨て可能なピペットチップ(14)をピペット(10)から取り出される。より詳細には、取出ボタン(10)を下方に動かすことで、取出機構を作動させる。該機構は、取出スリーブ(17)を付勢ばねに対して下方に押し出し、これにより、付勢ばねがピペットチップ(14)の上部と係合し、ピペット(10)上の取付シャフト(12)からチップ(14)を取り出す。好適な取出機構は、「Pipettor Ejection Mechanism」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に開示されている。該特許出願は、本特許出願の譲受人に対して譲渡された出願であり、本出願と同日付で出願されていて、参照として本明細書に組み込まれるものとする。取付シャフト(12)及び使い捨て可能なピペットチップ(14)の好適な構成は、「Locking Pipette Tip and Mounting Shaft」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に開示されている。該特許出願は、本特許出願の譲受人に対して譲渡された出願であり、参照として本明細書に組み込まれるものとする。しかしながら、本発明の特徴は、上述の参照される同時係属の特許出願に開示される、好適な取出機構もしくは好適な取付シャフト及びピペットチップの構成に限定される必要はない。好適な実施例において、取出機構は、ユーザによる手動で駆動させ、取出ボタン(20)により作動する。一方、実行ボタン(18)及びタッチパッド制御(30)、電子的な制御もしくはプログラム入力部を提供する。
【0022】
本出願に組み込まれた「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルの特許出願について、少し参照すると、ピペット(10)はマイクロプロセッサと、少なくとも1メガバイトの電子的に消去可能なプログラムもしくは読み取り専用メモリ、すなわちフラッシュメモリを備える。フラッシュメモリとマイクロプロセッサを組み合わせることで、ディスプレイ(32)に表示させるアニメーションもしくはグラフに加え、プログラム及び調整情報が十分、記憶可能である。フラッシュメモリを使用することで、より大きなプログラム及びデータを記憶可能であるとともに、将来の拡張のために新しいソフトウェアをプログラムし直したり、消去し直したりすることが可能である。例えば、上述の本出願に組み込まれた「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルの特許出願のように、フラッシュメモリを使用することで、参照テーブルを個別に吸引及び分注を使用することが可能である。従って、吸引量及び分注量の両方に対するモータ運動に対して、より正確な修正を提供することが可能である。ピペット(10)のオペレーティングソフトウェアは、C言語及びアセンブリ言語を組み合わせることで好適にプログラムされる。
【0023】
インディケータ及びヘルプ画面を含むディスプレイ(32)は、あらゆるピペットのプログラム作業の双方向の出力ユーザインターフェースを提供する。微光の状況であっても明瞭な視認性を提供するために、ディスプレイ(32)は、バックライト付装置が好ましい。
同時係属中の「Electronic Pipettor Assembly」の特許出願に開示されるが、斜距離は約1.5インチになるように、ディスプレイ(32)は、カラーで、128×128ピクセルのLCDディスプレイサイズのものが好ましい。LCDディスプレイの明瞭度が改善されることで、ピペット(10)はユーザに対してより完全な情報を提供する。これにより、ディスプレイ上での省略の必要性を減少させ、及び/又はピペット(10)上の重要なヘルプ機能を提供することなどが可能となる。
【0024】
ユーザインターフェースディスプレイ(32)に表示されるメニューのナビゲーションは、タッチパッド制御(30)を用いることで達成される。好適なタッチパッド制御(30)は、円形のキャパシティタッチパッド(46)及び中央のエンターもしくは「OK」ボタン(48)を備える。タッチバッド制御(30)のハードウェアの構成は、同時係属中の「Electronic Pipettor Assembly」に記載され、組み込まれていているが、詳細については本明細書において提示しない。しかしながら、従来から知られているように、タッチパッド制御(30)は、相対的な回転運動を上下のスクロール運動に変換されるように、画面ディスプレイ(32)においてプログラムされる。例えば、時計回りの親指もしくは指の動きで、下方のメニューの選択をスクロールする。一方、反時計回りの親指もしくは指の動きで、上方のメニューの選択をスクロールする。さらに、タッチパッド制御(30)の中央にあるエンターボタン(48)が用いられ、円形のタッチパッド(46)における親指もしくは指で回転運動を行うことで、ディスプレイ(32)上での反転表示された数値を選択する。詳細については後述するが、「OK」ボタン(48)が編集すべき項目の選択に好適に用いられる、もしくは、他のプログラムのオプションの実装に好適に用いられる。加えて、好適な円形のタッチパッド(46)は、他に4つの部位を備え、これらは円形のタッチパッド(46)上に符号が付されることが好ましい。円形のタッチパッド(46)の上部には、「戻る」符号(50)を示し、メニュー選択の戻るボタンの役割を果たす。ユーザが円形のタッチパッド(46)上の戻るボタン(50)を押したままにすると、ディスプレイ(32)におけるメニューが以前に表示したメニューもしくは情報に戻る。円形のタッチパッド(46)は、また左右のナビゲーションボタン(52)(54)をそれぞれ含む。詳細については後述するが、ナビゲーションボタン(52)(54)は、しばしば好適な実施例において、画面上でメニューもしくはサブメニューオプションをスクロールすることでは利用不可能な特徴もしくはオプションを実装するために用いられる。円形のタッチパッド(46)は、また、「除去」符号(56)を備える。ユーザが除去ボタン(56)を押したままにすると、ピペット(10)は空になる。つまり、ユーザは除去ボタン(56)を押したままにすると、ピペット(10)は完全に分注が噴き出すようにプログラムされる。より詳細には、除去ボタン(56)を押すことで、プロンプトがユーザに対するディスプレイ(32)に表示され、実行ボタン(18)を押すことで、除去が行われることが好ましい。除去ボタン(56)を用いると、ユーザが研究室で処理を再開しようとする際などにおいては、ユーザは早い時期に処理を終わらせることが可能である。
【0025】
LCDディスプレイ(32)に表示されるメインメニューは、図3A及び図3Bに示される。メインメニュー画面(60)は、スクロール可能なリストを備え、該リストは、プログラムで制御可能な機能のリストを示す。リストは、前もって定義されたアルゴリズム及びカスタムプログラムオプション(92)及びツールボックスオプション(94)を有する多くの一般的なピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88,90)を備える。図2に示す左ナビゲーションボタン(54)を押すと、「ヘルプ」オプションを選択されることをメインメニュー(60)は、スクロール可能な機能のリストの下方に示す。一方、図2に示す右ナビゲーションボタン(52)を押すと、リストで反転表示された機能に対する「実行」オプションが選択されることをメインメニュー(60)は、スクロール可能な機能のリストの下方に示す。円形のタッチパッド(46)を使用することで、スクロール可能なリストは、上下にナビゲートされる。図3Aは、メニュー画面(60)が最初の6つのリストされた機能(72,74,76,78,80,82)を備えることを示し、図3Bは最後の6つのリストされた機能(84,86,88,90,92,94)がメインメニュー(60)にあることを示す。本発明の好適な実施例において、カスタムプログラムオプション及びツールボックスオプションに加え、メインメニュー(60)から選択された、前もって定義されたアルゴリズムを備えた10の選択可能な機能を有する。バッテリー表示(64)は、再充電可能なバッテリーの残量を示す。
【0026】
図4AからCは、メインメニュー(60)から選択するとともに選択(72,74,76,78,80,82,84,86,88,90及び94)のそれぞれに関連付けられた編集可能なオプションを示すフローチャートである。ただし、上述のフローチャートにおいて、カスタムプログラムオプション(92)は除かれる。該オプションについては、図11A乃至図11D及び図12A乃至図12Cに関連して後述する。メインメニュー(60)上のリストされたピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)は、前もって定義された、一般的なピペット処理に関するアルゴリズムに基づいている。つまり、「ピペット」モード(72)は、吸引容積と分注容積が同一の場合における、単なる液体輸送に用いられる。「分注繰返し」モード(74)は、プログラムされた容積の液体を繰返して分注するのに用いられる。「試料希釈」モード(76)は、同一のピペットチップ内の2つの異なる液体の両方を空隙(即ち希釈材、空隙及び試料)で分離させたままで、吸引するのに用いられ、その後に分注が完了する。「ピペット/混合」モード(78)は、同一の容積を吸引及び分注するのに用いられ、その後に所定の混合が行われる。未知の容積を吸引及び分注するのにオペレータによる制御がより多く求められる場合、「手動のピペット」モード(80)が用いられる。このモードにおいて、ソフトウェアインターフェースは、アイコンを提供することで、ユーザは吸引と分注との切換を行うことが可能である。「逆ピペット」モード(82)は、最後の分注周期と次の吸引との間に噴き出さないことを除くと、ピペットモード(72)と類似する。このモードは、試料に空気を導入することなく、チップに試薬を加えるのに用いられる。「可変分注」モード(84)は、異なる容積の分注を繰り返すのに用いられる。「可変吸引」モード(86)は、1以上のプログラムされた容積の吸引(同一のチップ)を連続的に行うのに用いられ、その後に単一の分注が行われる。「試料希釈/混合」(88)モードは、同一のピペットチップ内の2つの異なる液体の両方を空隙(即ち希釈材、空隙及び試料)で分離させたままで、吸引するのに用いられ、その後に分注及び直後に混合段階が行われる。「段階希釈」モード(90)を用いることで、特定の容積の吸引を行うことが可能となり、その後チップ内における連続的な混合を行い、新規の吸引容積にする。様々なピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)については、より詳細を後述する。
【0027】
概して図4を参照することで、各ピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に関連付けられた容積、ピペットスピード、ペース、カウントなどの様々なパラメータは、編集可能である。以下の図4及び表2は、好適な実施例において、前もって定義されたピペットモードでの編集可能なパラメータを示している。
【0028】
ソフトウェアの様々な特徴は、様々なピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)において共通である。例えば、図4に示すピペットスピード(62)は、各ピペットモードにおいて全体的に設定される。より詳細には、カスタムモードの時、分注スピード、混合スピード及び除去スピードが現状のままで、吸引スピードは全体的に設定される。全体でのパラメータの設定可能性については、各ピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と「スピード」の付されたブロック(91)を図4において実線で直接接続させることで提示する。同様に、図4a及び図4bのペース(63)は全体的に設定される。そして、この設定については分注繰返し(74)モード及び可変分注(84)モードが「ペース」の付されたブロック(63)と実線で導かれることで提示される。また同様に、図4は、ヘルプ機能が、あらゆるモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)からアクセス可能であることを示す。このことについては、あらゆるモードが「ヘルプ」の付されたブロック(95)に実線で導かれることにより提示される。一方、各モード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に関連付けられた編集可能なパラメータは、互いに概して異なる。このことは、図4において、実線の下方の点線が、「編集」と付されたボックス(97)へと導かれることで提示される。本発明の様々な観点について、様々なピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と関連して説明される。
【0029】
「ピペット」モード(72)について特に言及すると、このモードは、チューブ、バイアル及びマイクロプレート間の迅速なもしくは「整った」液体輸送に用いられる。「ピペット」モード(72)において、十分な吸引容積が、上述したように、分注される。「ピペット」モード(72)は、メインメニュー(60)から選択されると、図5Aに示すように、実行ピペット画面(96)が表示される。実行ピペット画面(96)は、「実行を押す」を導く指示を備える。そして、このことは、プログラムされたピペットの段階、すなわち吸引及び分注の段階を開始するために、ユーザが図1及び図2のピペット(10)上の実行ボタン(18)を実行すべきであることを意味する。分注中、実行ボタン(18)を押したままにすると、2段階の噴き出しが実行される(即ち、最初の噴き出しが液体中のチップにおいて生じる。しかしながら、ユーザが実行ボタン(18)を離して、液体からチップを取り外すとともに、液体を吸引してチップに戻るのを避けることをユーザが許容する時間に達するまで、ピストンは、自動でもとの場所へは戻らない。)チップは、その後に取り出される。
【0030】
図5a及び図5bは、ピペット実行中の、ピペットの実行画面(96)を示す。図5A及び図5Bにおいて、タッチパッド制御(30)を使用することで、ユーザは吸引スピードの変更、ヘルプ機能のアクセス、もしくは、吸引容積を変更するために編集画面に入ることが可能である。図5Aは、反転表示(ボックス(99))されたスピードの選択(98)を示し、図5Bは、「スピード」(98)がタッチパッド制御(30)上の「OK」ボタン(48)を用いて選択される時に表示されるポップアップ式のグラフ(100)を示す。図5Bにおいて、スピード選択のポップアップ(100)は、ゲージ(102)のグラフ表示を備える。ゲージ(102)はポインタ(104)を備え、該ポインタは、ユーザが円形のタッチパッド(46)を制御することに応じて動き、これにより、最小値もしくは最遅値の1から最大値もしくは最速値の10までの相対的なピペットスピードが調整される。また、選択されるスピードは、アルファベットや数値の文字(106)で示される。選択されるスピードは、タッチパッド制御(30)上のエンターボタン(48)を押すことで、ピペット(10)で設定される。好適には、吸引もしくは分注のスピードが変更されると、その後に続くあらゆる機能のために設定が用いられる。しかしながら、ユーザは何時においてもピペットスピードを変更可能である。既知のピペット技術に応じて、粘着性を有する試料は、最遅値で吸引及び分注されることで、正確なピペットが確保される。一方、速い速度で液体の分注を行う際、とくに液体が「引火性」(touch off)でない場合は、さらさらとした液体の輸送が可能である。相対的なピペットスピードが変更されると、好適には、上述に組み込まれた「Electronic Pipettor Assembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に記載された要領に従って、ピペット(10)はピペットスピードを制御する。
【0031】
図5A及び図5Bにおいて陰影で描写されるが、実行ピペット画面(96)の背景色は緑である。好適には、あらゆるピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)においても緑がよい。ヘルプ画面及び編集画面から実行画面を識別するために色分けされることが好ましい。
【0032】
図6A及び図6Bにおいて、ヘルプ機能は、実行ピペット画面(96)からアクセスされることが可能である。図6Aは、反転表示された「ヘルプ」選択及びボックス(101)を示し、ユーザはタッチパッド制御(30)上の「OK」ボタン(48)を押すことで、「ピペット」(72)モードを実行するためのヘルプを得ることが可能である。図6Bは、ヘルプが実行ピペット画面(96)から選択される際に、ディスプレイ(32)に表示されるヘルプ画面(108)の例を示す。図6A及び図6Bにおいて陰影で描写されるが、ヘルプ画面の背景色は白色である。好適には、他のどのヘルプ画面がいつ表示されても白色がよい。図6Bにおけるテキスト(108)は、ユーザがピペットのモード(72)の使用方法を説明する。メインメニューから他のモードが選択されている場合であっても、他の各ピペットのモード(74,76,78,80,82,84,86,88及び90)の使用方法についての説明は、ヘルプ画面(108)に表示される。一方、ヘルプ機能は、他の画面からアクセス可能であり、該ヘルプ機能は、特定の処理を実行している際に、ユーザにとって有益なほかの種類の情報を提供する。
【0033】
図7aは、実行ピペット画面(96)から、反転表示された「編集」選択及びボックス(103)を示す。「編集」機能を選択することで、ユーザは図7b及び図7cのピペット画面(110)に入力する。図7Bにおいて陰影で描写されるが、編集画面(110)の背景色は灰色である。好適には、他のどの編集画面がいつ表示されても灰色がよい。図7Bにおいて、画面(110)はピペットが設定された吸引容積(即ち、図7Bにおける1000μL)を示す。ユーザが2つのうち1つの方法で、容積を変更することが可能である。ユーザは円形のタッチパッド上の左ナビゲーションボタン(54)を選択することでお気に入り(111)のリストから容積を選択することが可能である。もしくは、ユーザは、図7Cにおけるポップアップ画面(113)を提示するために、タッチパッド制御(30)上のエンターボタン(48)を用いることが可能である。
【0034】
図7Cにおいて、容積選択は、グラフのゲージ(112)及びアルファベットや数値の文字(114)を用いることで、グラフでポップアップ画面(113)に表示される。グラフのゲージ(112)は、ユーザによって、ピペット(10)の最小吸引容積とピペット(10)の最大吸引容積との間を選択された容積を指し示すポインタ(116)を備える。画面(110)はまた粗設定(118)と微設定(120)を備える。ユーザは円形のタッチパッド(46)上のナビゲーションボタン(54)を押すことで粗設定を選択する。もしくは、円形のタッチパッド(46)上の右ナビゲーションボタン(52)を押すことで微設定(120)を選択する。円形タッチパッド(46)の回転運動を用いることで所望の容積を選択する。粗設定(118)は、微設定(120)よりも大きい増分の容積の変更を行う。増分の大きさは、ピペットの大きさに基づく。好ましくは、最小容積から最大容積までの全容積領域は、タッチパッド制御(30)の円形のタッチパッド(46)の3と1/2回転未満で得ることが可能である。好ましくは、3回転未満で得ることが可能である。数値の規模が最低値に戻ることが好ましい。これは、ユーザが最大容積を超えると、表示される容積が自動的に最低値に戻ること、もしくはその逆になることを意味する。下記の表(表1)は、ピペットの大きさに応じた粗増分及び微増分の好適な容積を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
図8は「お気に入り容積」(122)を示す。好適には、ソフトウェアにより、ユーザが10のお気に入りの容積から定義、保存及び選択することが可能である。タッチパッド制御(30)はお気に入りの容積の番号、容積1、容積2、容積3等を選択するのに用いられ、これらの容積の番号をユーザは選択もしくは編集することを求める。ディスプレイ(122)は、円形タッチパッド(46)上の右ナビゲーションボタン(52)を押すことで、反転表示される容積、ボックス(126)、例えば「容積5、600μL」をユーザが選択可能な矢印(124)を示す。一方、ディスプレイ(122)は、円形のタッチパッド(46)上の左ナビゲーションボタン(54)を押すことで、特にお気に入りの選択と関連付けられた容積を編集可能な矢印(128)を示す。図8B及び図8Cはお気に入りの容積を設定するために、ポップアップ画面(130)の編集をしていることを示す。図8Bは、反転表示された「容積5」(画面(122)上の図8Aにおけるボックス(126)に提示される)を押されると、最初に現れるポップアップ画面(130)を示す。図8Cは、ユーザがお気に入りの容積を粗設定もしくは微設定のいずれかを使用して600μLから650μLにまで調整したことを示す。
【0037】
「ピペット」モード(72)において、吸引容積及びピペットスピードのみがプログラムされている。一般的に、スピード及び容積のプログラムは、好適には、他のモード(74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と同一であることが好ましい。既述したように、「ピペット」モード(72)が完全にプログラムされていると、ユーザは、チップ(14)が液体試料に位置するようにピペット(10)を置き、吸引を開始するために実行ボタン(18)を押す。そして、ユーザはピペットを受取容器に動かし、再び実行ボタン(18)を押すことで、完全な分注を実行する。
【0038】
図9A乃至図9Eは、「分注繰返し」モード(74)と特に関係する画面(60,134,136)を示す。図9Aは、ボックス(132)に示すように反転表示させる「分注繰返し」モードを備えるメインメニュー(60)を示す。「分注繰返し」モードがメインメニュー(60)から選択されると、図9Bの「分注繰返し」の実行の画面(134)が表示される。図9Bの分注繰返しの画面(134)において、ユーザはスピードの変更(図9Bに提示しないメニュー項目)、ペース変更(144)、「ヘルプ」(145)へのアクセス、もしくは他の変数(146)編集を選択することが可能である。スピード設定は、上述と同じように実行されることが好ましい。図9bのボックス(147)は、選択のために反転表示される「編集」機能を示す。
【0039】
編集機能(146)が図9Bにおける分注繰返し画面(134)から選択されると、図9Cは表示される分注繰返し編集画面(136)を示す。「分注繰返し」モード(74)に関連付けられた変数、即ち分注(148)、最後の分注(150)及びカウント(152)は、分注繰返し画面(136)に表示される。
【0040】
分注繰返し編集画面(136)から分注容積(148)が選択されると、ユーザは円形タッチパッド(46)上の左ナビゲーション矢印(54)を押すことでお気に入りの容積を選択するか、もしくは円形タッチパッド(46)上の右ナビゲーションキー(52)を押すことで分注容積を編集するかいずれかを選択可能である。このことは一般的に図7B乃至図7Cもしくは図8A乃至図8Cに関して記載されることと同様である。分注繰返し画面(136)はお気に入りの記録(153)及び選択された値を保存するための記録(154)を含む。お気に入りの容積の選択は、図8A乃至図8Cに関して記載されることと同様の方法で達成される。一方、お気に入りでない容積の選択は、図7A及び図7Bに示される処理に従って達成される。分注繰返し編集画面(136)は、また、分注容積(148)と同一もしくは類似の方法でソフトウェアにより選択される最後の分注(150)の容積の選択も備える。分注繰返し編集画面(136)は、また、分注容積(148)を有する分注された分割量の数であるカウント(152)の選択を含む。しかしながら、該画面は、最後の分注容積(150)のカウントは含まない。「分注繰返し」モード(74)において、分割量の分注容積(148)、最後の分注容積(150)及びカウント(152)に入力された値を基に、ソフトウェアは自動的に吸引容積を計算する。図9D及び図9Eにおいて、カウント(152)の値は、カウントの値(152)(図9Dにおいてボックス(155)で示される)を反転表示させて、円形のタッチパッド(46)を用いることで編集される。その後、円形タッチパッド(46)上のOKボタンを押すことで、ポップアップ画面(156)にカウントが現れるようになる。図9Eのポップアップ画面(156)は、グラフのゲージ(157)を有し、これにより、ユーザは、1と、ピペットの容積及び最小の分割量に応じてソフトウェアで決められる最大値との間でカウントを選択することが可能である。例えば、1250μlのピペットの場合、最小の分割量の容積は、50μlであり、最後の分注容量はカウントに含まれないため、最大のカウントは、24である。所望の容積及び/あるいはカウントが不正であれば、分注繰返し編集の画面(136)は、エラーメッセージを提供する。
【0041】
図9Bにおいて、分注繰返し実行画面(134)により、ユーザがペース(144)もしくは連続的な分割量の分注継続時間を選択することが可能である。ペース機能は、ユーザが実行ボタン(18)を押したままであると、実行され、ピペット(10)は、多数のプログラムされた容積(即ち、各分注間での選択されたペース(144)での分注容積(148)を分注する。実行ボタン(18)の離すと、ペースされていた分注が停止する。実行ボタン(18)を再び押すと、選択されたペースで分注を継続する。最後の分注容積もしくは先のあらゆる分注から累積したエラーを有する廃棄容積が到達すると、
ピペット(10)は警告音を発することが好ましい。その時点で、実行ボタン(18)が押されたままであると、最後の廃棄量を空にする。図4A及び図4Bに示すように、「分注繰返し」モード(74)及び「可変分注」モード(84)はペースオプション(63)を備える。
【0042】
好適な実施例において、無、遅、中、速の4つのペース間隔が利用可能である。無のペースが設定されると、ユーザは各分注を開始するために、実行ボタン(18)を押さなければならない。図9F及び図9Gにおいて、ユーザは、図9Fのボックス(138)に示される分注繰返し実行画面(134)上の「ペース」(158)を選択することで、リセットすることが可能である。ユーザがペース(138)を選択すると、グラフのゲージ(160)でのポップアップ(159)が分注繰返し実行画面(134)に現れる。グラフのゲージ(160)は、容積調整もしくはスピード調整のゲージのように、ポインタ(162)を備え、該ポインタは、無の最小ペースから最速ペースまでの円形のタッチパッド(46)を用いることで、ユーザは使用可能である。グラフのゲージ(160)は、また、ペースを表示し、該ペースは、ポインタによりアルファベットや数値の文字(164)で示される。ユーザは、タッチパッド制御(30)上の「OK」ボタン(48)を押すことでペースを選択する。
【0043】
表2は、機能に基づくプログラムモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)を示す。これらは、さまざまな編集可能なパラメータと同様に、好適なピペットのオペレーティングソフトウェアにプログラムされる。
【0044】
【表2】
【0045】
スピード、ヘルプ及び編集機能は、各モードにおいて利用可能である。吸引、分注、最後の分注、空隙及び混合の容積選択は、随時、様々なピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に必要とされる。既述したように、容積即ち、特定の入力された吸引容積あるいはピペットソフトウェアで計算された情報に基づいた吸引容積が最大許容容積を超えて入力されると、容積エラーのメッセージが表示されることが好ましい。ソフトウェアの一定のエラーチェック動作により、ユーザは、不正なプログラムの保存が許可されないが、たとえ現在のプログラムが不正であっても、ユーザがプログラム作成を継続することは許可する。
【0046】
ペース機能は、「分注繰返し」モード(74)及び「可変分注」モード(84)に用いられる。方向機能は、「手動のピペット」モード(80)で用いられる。カウント機能は、「分注繰返し」モード(74)「可変分注」モード(84)及び「可変吸引」モード(86)に用いられる。混合のサイクルオプションは、「試料希釈/混合」(88)モード、「ピペット/混合」モード(78)及び「段階希釈」モード(90)に用いられる。そして、配列(rows)オプションは、「段階希釈」モード(90)に用いられる。さまざまな機能モード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)については、より詳細を述べる。
【0047】
「分注繰返し」モード(74)は、1つのもととなる容器から多数の器もしくはウェルに試薬を高速で追加するのに用いられる。「分注繰返し」モード(74)において、ピペット(10)は、多くの吸引容積を、多分割を介して、多数の対象に分注する。例えば、全マイクロプレートを速く満たす。過剰充填の吸引及びモータの逆転は、分注された分割量の正確性を確保するためになされるが、自動で行われることが好ましい。
【0048】
図9B及び図9Hにおいて、「分注繰返し」モードのサイクルを実行するために、ユーザは実行ボタン(18)を押して離すことで、図9の最初の吸引段階を開始する。十分に液体が吸引されると、ユーザは再び実行ボタン(18)を押し、図9Hに示すように、分注を開始する。そして、実行ボタンを押したままにすると、上述したように、ペースされた分割量を連続的に分注する。各分割量の分注の数は、ディスプレイ(134)(図9H)に提示される。ピペット(10)が計算された廃棄容積の量(即ち、最終の分注)を除去する状態にあると、増加が停止する。最後の分注の分割量は、先のあらゆる分注から累積されたエラーを含む。ユーザは最後の分注を使用するか、無視するかを選択できる。
【0049】
図9B及び図9Hに関連して記載されるが、処理が実行中の際、実行画面は、選択された処理の段階を表示することが好ましい。好ましくは、実行を現在待っている段階もしくは実行中の段階は反転表示される。例えば、図9B及び図9Hにおいて示すように、段階の前に点が付されるとともに、現在の段階の下に次の段階が表示される。処理中の第1段階が完了した後で、そして、最後の段階が開始される前に、処理を行う3つの段階を提示することが好ましい。即ち、直前の段階、現在の段階及び次の段階を提示することが好ましい。
【0050】
図4における「試料希釈」モード(76)で、少量の試料容積をピペットチップから追跡するために、希釈剤を用いることにより、正確な試料希釈を達成する。希釈剤はまず、チップに吸引され、空隙に吸引される。それから、少ない容積の吸引された試料液体が続く。空隙は、チップにおいて、液体と分離させたままにし、持越し汚染(carryover contamination)を最小化させる。「試料希釈」モード(76)がメインメニュー(60)から選択されると、試料希釈実行画面が表示され(図示せず)、これにより、実行ボタン(18)を押す、もしくは、代替的にピペットスピードを調整する、ヘルプ機能にアクセスする、もしくは、編集モードを入力し希釈容積、空隙容積及び試料容積を設定することで、ユーザは「試料希釈」モードにおけるピペット(10)を実行可能である。好ましくは、容積は、図7A、図7B及び図7Cと関連して記載されるのと同じように、選択される。もしくは、図8A乃至図8Cに示すように選択及び/もしくはリセット可能なお気に入りを選択することで、選択される。一旦プログラムされると、「試料希釈」モード(76)の実行は、実行ボタン(18)を押して離すことで開始され、これにより、ピペットチップ(14)へと希釈剤の吸引が開始される。その後、再び実行ボタン(18)を押して離すことにより、ピペットチップ(14)は液体から取り外され、空隙の吸引を開始する。次に、チップ(14)が、試料の液体に設置され、試料を吸引するために、再び実行ボタン(18)が押される。最後に、チップ(14)の全ての中身は、実行ボタン(18)を押すことで同時に分注される。好ましくは、「試料希釈」モード(76)がプログラムされることで、「ピペット」モード(72)と同じように、2つの段階の噴き出しが実行される。
【0051】
図4の「ピペット/混合」モード(78)は、同一の容積が吸引及び分注される点において、「ピペット」モード(72)と類似する。しかしながら、「ピペット/混合」モード(78)は、分注後に混合オプションを組み込む。混合は、単一の分注段階の後に自動的に生じる。図4及び表2に示すように、ユーザは「ピペット」モード(72)のような吸引容積のみでなく、混合容積及び混合サイクルの数をプログラムすることが可能である。作業中に、試料が容器に分注された後に、連続的な混合が、実行ボタン(18)を押さなくても、チップが容器内にある間には、自動的に行われる。
【0052】
「手動のピペット」モード(82)が図4のメインメニュー(60)から選択されると、図10A及び図10Bに示す手動のピペット実行画面(166)が表示される。「手動のピペット」モード(80)は、吸引容積が定義されていない、もしくは、よく知られていない場合に用いられる。「手動のピペット」モード(80)において、ユーザは、手動で吸引及び分注段階中の容積を制御する。そして、ユーザは、どれくらいの液体が吸引されたのか、もしくはどれくらいの液体が分注のために残っているのかを画面(166)で確認可能である。このモード(80)は、例えば、滴定の際に有益である。手動のピペット実行画面(166)から、ユーザはピペットスピード及びピペット方向(即ち、吸引もしくは分注)を調整可能である、もしくは、最大吸引容積を調整するために、編集モードに入ることが可能である。スピードと容積を調整することは、既述したのとほぼ同じ方法で、連続的に実行される。より遅いピペットスピード(1から5)は、特に分注の際に、このモード(80)において、よりよい制御及び決定に用いられる。ピペットの方向の変更は、図10A(吸引)及び図10B(分注)に示される。図10Aにおいて、矢印(168)の方向は、上向きであり、ユーザが実行ボタン(18)を押すと、ピペット(10)は吸引するよう設定されることを示す。図10Bにおいて、矢印(170)の方向は、下向きであり、ピペットは、分注モードであることを示す。吸引の時、ユーザが実行ボタン(18)を離す際、もしくは、プログラムされた最大吸引容積に到達する際、モータは停止する。すると、ユーザは、ピペット方向を変更し、これにより、ユーザが図10Bに示すように実行ボタン(18)を押すと、ピペット(10)は分注を行う。ユーザが実行ボタン(18)を押すと、ピペット(10)は分注を行うので、チップ内に残る容積は、図10Bに示すように、活発に表示される。
【0053】
ユーザが吸引容積と最後の分注容積をプログラムしなければいけない点を除いては、「逆ピペット」モード(82)はまた、「ピペット」モード(72)と、類似する。最後の分注容積は、最初の分注の後にチップに残った液体の量を示す。そして、その液体の量は、上述したように、ピペットのエラーを累積する。「逆ピペット」モード(82)において、チップ内に最後の容積(累積したエラーを伴う)を維持した状態で、ユーザは吸引及び分注のサイクルを何度も繰り返す。通常の分注段階の後に、「逆ピペット」モード(82)において噴き出しはない。これにより、空気が試料へと導かれるのを妨げる。吸引参照テーブルは、吸引のストロークに用いられる。一方、分注参照テーブルは、上述において組み込まれた「Electronic Pipettor Assembly」というタイトルが付された、同時係属中の特許出願に開示されている。このようにして、複数の吸引及び分注サイクルが実行されると、累積されたエラーが最後の分注容積に残っている。噴出すことなく、選択された容積を分注するために、チップ内で最後の分注容積を維持し、ユーザが実行ボタン(18)を押したままにする。実行ボタン(18)を離すと、ユーザは実行ボタン(18)を用いることで再びプログラムされた容積を吸引可能である。好ましくは、吸引及び分注プロセスを停止するために、ユーザは、あらゆる分注段階の開始時に、実行ボタン(18)を押して離す。最後の分注の間、ユーザは実行ボタン(18)を押したままにすることで2段階の噴出しが行われることが可能になるように、ソフトウェアがプログラムされる。
【0054】
「可変分注」モード(84)において、ユーザは分注のペースを選択可能であり、カウント及び各カウントの分注容積を編集可能である。これらの選択は、一般的に前述したのと同じ方法で実行される。あまりないが、別々の分注の容積は、各カウントでプログラムされなければならないといった例外が存在する。「可変分注」モード(84)は、多数の容積を繰り返し分注するのに用いられる。そして、吸引容積が自動的に計算される。このモード(84)は、例えば、試薬もしくは分注容積が、希釈系列を設定するのに必要とされる際に役に立つ。
【0055】
ピペット(10)がプログラムされた後で、ユーザは、実行ボタン(18)を押して離すことで、「可変分注」モードを実行し、最初の吸引段階を開始する。試料が吸引されると、ユーザは実行ボタン(18)を押したままにして、各プログラムされた分注容積でペースされた分注を実行する。もしくは、ユーザが連続的に分注段階を押して離すことが可能である。ディスプレイは、分注の「カウント」数を示す。そして、この数は、廃棄容積の量を除去しようとする際、つまり最後の分注の際に、増分を停止する。この場合も、先の全ての分注から累積されたエラーを備える廃棄容積が到達すると、ピペット(10)は、好ましくは、警告音を発する。その時点で、ユーザが実行ボタン(18)を押し続けると、最後の廃棄容量が空になる。
【0056】
図4の「可変吸引」モード(86)は、1以上のプログラムされた容積を連続的に(同一のチップ内で)吸引するのに用いられる。このモードにおいて、ユーザは、スピード、カウント及び各カウントの吸引容積をプログラム可能である。吸引容積が周知となっている場合、このモード(86)は、様々な収集に応用するのに用いられる。例えば、マイクロウェルプレートにおける上澄みの収集もしくはユーザのバイアルをテストするのに非常に適している。
【0057】
「可変吸引」モード(86)を動作させるために、ピペットチップ(14)が液体に配され、ユーザが実行ボタン(18)を押して離すことで、第2の吸引容積の吸引が開始される。ピペットチップ(14)はそれから同一もしくは異なる液体に移動され、実行ボタンをおして離すことで、第2の吸引容積の吸引が開始される。このプロセスは、ユーザによりプログラムされる通りに繰り返される。プログラムされた数の吸引段階が完了した後、ユーザが実行ボタン(18)押したままにすることで、2つの段階の噴き出しを含んだ十分な分注が行われる。
【0058】
「試料希釈/混合」(88)は「試料希釈」モード(76)と、その後に続く「ピペット/混合」モード(78)に関する上述の混合サイクルとの組合せである。
【0059】
図4における「段階希釈」モード(90)により、特定の容積の吸引を可能とし、その後、連続的な混合を行い、チップ内で新しい吸引容積で終わる。このモードを用いることで、プレート、バイアルもしくはチューブにおいて段階的な希釈を実行するのに用いられる。一旦プログラムされ、ピペット(10)上の実行ボタン(18)を押して離すと、吸引が開始する。吸引後、実行ボタンが押されて離されてから、分注及び連続的な混合が開始される。この処理は、プログラムされるように多数の配列が続けられる。好適には、配列及び混合サイクルは、実行メニューのディスプレイで追跡される。混合サイクルは1つのカラーで示される。例えば混合時は赤である。各サイクルの記録は、2混合2のように、2つの数で示される。最初の番号は、配列カウンタであり、2番目の番号は、混合サイクルである。配列の番号における点は、進行中のプログラム段階を示す。
【0060】
前もって定義されたアルゴリズムを有する機能的なプログラムモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に加えて、ピペット(10)は、また、カスタムプログラムモード(92)、即ち図4Cにおける「カスタム」モード(92)を提供する。好適な実施例において、カスタムプログラムモード(92)により、吸引、混合、分注及び除去の4つの基本的な機能を用いて、複数の段階のピペットプロトコルを生成及び保存することが可能である。ユーザは、メモリにおいて、多くのカスタムプログラム、例えば10までのカスタムプログラムを生成及び保存可能である。好ましくは、各プログラムは、前もって定義された最大数の段階、例えば50の検証可能な段階しか含まない。各プログラムは、カスタム1、カスタム2などの自動的に名前が付される。ピペット(10)にワイヤレスブルートゥース通信装置などのPC通信装置が実装されると、カスタムプログラムは、好ましくは、PC及び/または使用される異なるピペット(10)から呼び出されて、保存される。
【0061】
「カスタム」モード(92)において、各プログラムは、吸引もしくは混合の命令のいずれかから始まる。新しいカスタムプログラムを生成及び保存するために、ユーザは、タッチパッド制御を用いて、メインメニュー(60)から「カスタム」モード(92)を選択することで、図11Aに示すように、メインカスタム画面(180)が表示される。それから、ユーザが矢印(182)で示されるピペット(10)上の右ナビゲーションボタン(52)を押すことで、例えば図11Bにおいてカスタム1画面(184)と表示するように、カスタムプログラム編集画面を立ち上げる。プログラムは、例えば、カスタム1(しかしながら、後述するが、キーバッドの機能を用いることで、もしくは、PC通信装置を用いることで、変更可能である)のように、自動的に名前が付される。タッチパッド制御(30)を用いることで、ユーザは(図11Bにおいて、反転表示された領域(186)により示される)カスタムプログラムにおいて、第1段階(185)を選択する。このことは、上述したように、吸引もしくは混合のいずれかであるが、その後、タッチパッド制御(30)上のOKボタン(48)を押す。図11Cの編集画面(184)は、カスタムプログラムの例において第1段階は吸引段階であることを示し、該画面は、第1段階の吸引容積として、容積設定のゲージ(192)を有するポップアップ画面(190)をさらに示す。第1段階がプログラムされた後に、図11Dのカスタム編集画面(184)は、第1段階(1吸引50)が入力されていることを示し、ユーザに新しい段階を入力し、前の段階を編集し、もしくは前の段階を削除することを促している。「新しい段階」のオプションが図11Dのメニューから選ばれると、ユーザは再びタッチパッドを使用し、図11Bが示すように吸引、分注、混合もしくは除去の次の段階の動作を選択させる。そして、図11Cで示すように適切な容積を設定する。ユーザが前の段階を編集したい場合、タッチパッド制御(30)が用いられることで、編集したい動作の段階を選択し、その後、再び図11Dの「編集段階」のオプションを選択する。そして、ソフトウェアは、図11B及び図11Cの処理に必ず戻り、特定の段階を編集する。
【0062】
カスタムプログラムを実行するために、ユーザは「カスタム」モード(92)をメインメニュー(60)から選択し、メインカスタム画面(180A)を表示する。このことは、3つのカスタムプログラム、即ち「カスタム1」、「カスタム2」、「カスタム3」を有する図12Aにおいて、示される。ユーザは、タッチパッド制御(30)を用いて、OKを押すことで、カスタムプログラムの1つを選択し、例えば、図12bに示されるカスタム実行のような各カスタム実行画面(194)を画面(194)に提示する。その後、ユーザは実行ボタン(18)を押して離すと、カスタムプログラムにおける第1プログラム段階を開始する。代替的に、ユーザはピペットスピードを編集可能であり、プログラム編集モードを入力可能であり、もしくは図12bに示すように「ヘルプ」機能にアクセス可能である。一旦設定されると、実行ボタン(18)を押して離すと、第1プログラム段階が開始される。ユーザにより左ナビゲーションボタン(54)が押されることで、図12aに示されるカスタムプログラムのオプションを選択する。図12cにおいて、視認/編集機能により、所望で、ユーザは、特定のカスタムプログラムを見直し、変更することが可能である。削除機能により、ユーザは特定のカスタムプログラムを削除可能である。コピー機能によりユーザは特定のカスタムプログラムをコピー可能である。ユーザが図12bに示すようにカスタムプログラムを実行することを選択すると、実行画面(194)は、点の付いた現在のピペット段階を表示し、該点は、実行ボタン(18)の起動により実行されている現在の段階を示す。実行ボタン(18)は、一般的に、機能に基づくモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と同じように、あらゆるピペットの段階を開始するのに用いられる。
【0063】
ソフトウェアは、ピペット(10)のカスタムプログラムを制約する制限もしくはルールを備えることが好ましい。例えば、各全てのプログラムは、除去メッセージが自動的にディスプレイに現れる最後の段階を備えることが好ましい。もしくは、例えば、吸引及び分注容積の組み合わせが不可能である場合、ピペットは必要な調整を行うようにプログラムされる、もしくは、エラーが出されたことを単に示される。
【0064】
図4において、「ツールボックス」オプション(94)を示す。この「ツールボックス」オプションは、好適な実施例において、ユーザはさまざまなサブメニュー、即ち、「優先」、「較正及びサービス」、「ワイヤレス」及び「所有者情報」を選択することが可能である。「優先」のサブメニューにおいて、ユーザは段階の完了、プログラムの完了、除去キー、若しくはエラーメッセージ等がある際に、警告音を選択することが可能である。ユーザは、例えば、ディスプレイ、壁紙などだけでなく、ディスプレイが暗くなる時間及び消去時間を設定することが可能である。好ましくは、スタートアップしてすぐに、数秒で現れるスタートアップ画面を備える。スタートアップ画面はこのましくはプログラム可能であり、これにより、該画面は、製造業者のロゴもしくは個人の図柄もしくは情報を含む。従って、例えばシステムの識別に用いられることが可能である。上述したように、「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に組み込まれるが、好適なピペット(10)は少なくとも1メガバイトのフラッシュメモリを備えることが好ましい。このフラッシュメモリは、スタートアップ画面の情報、図柄もしくはロゴを保存するのに非常に適している。好ましくは、ピペット(10)が充電されると、スタートアップ画面が表示される。例えば、複数のピペット(10)の充電スタンドを有する実験室では、自分の名前が入れることが可能であるのが望ましい。さらに、「優先」のサブメニューから、ユーザは、機能に基づくプログラムモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)のうちどれをメインメニュー(60)に表示させるかを選択可能である。例えば、モード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)のうち1もしくはそれ以上を停止することを望む場合である。
【0065】
「較正」のサブメニューは好ましくは、較正が必要な際のリマインダもしくはタイマ、サービス履歴、及び機能的な一定の較正を備える。あらゆる適切な一定の較正が実行され、例えば、卓上の有効な較正プロトコルに従って、フラッシュメモリ内の吸引及び/又は分注テーブルの移動などが実行される。
【0066】
「ワイヤレス」サブメニューは、例えば、PCの有するブルートゥースワイヤレス通信装置の使用を可能とするソフトウェアを備える。
【0067】
「所有者情報」のサブメニューは、氏名及び住所などのユーザの情報を入力するとともに、器具のシリアル番号を確認することが可能である。好ましくは、「所有者情報」画面は、タッチパッド制御でキーボードディスプレイをナビゲートすることで、個々に選択、入力及び編集可能なアルファベットや数値の文字のキーボードディスプレイを備える。
【0068】
本発明の好適な実施例について、上述している。本明細書記載の全ての特徴を具体化していないが、様々な本発明の特徴がピペットにおいて用いられている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドヘルド型の電子ピペットに関する。特に、本発明は、ピペットのユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するソフトフェアに関する。そして、特に本発明は、ピペットの動作を制御するマイクロコンピュータのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルド型の電子ピペットは、研究室において幅広く使用されている。電子ピペットは、一般的に、ピペットの筐体内に位置する小型のマイクロプロセッサにより制御されていて、ピペットにおけるユーザインターフェースを用いてプログラムされる。このようなインターフェースは一般的にキーパッド、スイッチ、もしくはダイアルを備え、多くの電子ピペットは、また、小型の画面ディスプレイを備える。一般的に、ユーザは、液体試薬もしくは試料の選択された容積を吸引し、吸引した容積を分注するように、電子ピペットをプログラムする。場合によっては、連続的な分注工程において分割量を連続的に分注するようプログラムする。プログラム可能な電子ピペットは、混合、ピペッティングの繰り返し、希釈などの複雑な操作を行うよう構成されている。
【0003】
近年において、電子機器産業は大幅に前進してきている。例えば、改善された明瞭度、カラーグラフィック性能、改善された処理能力、メモリ性能及びワイヤレス通信機器などを有する、目盛が細やかに付されたLCDディスプレイは、全て普及している。
【0004】
電子機器産業が進展し、改善された演算能力及び処理能力を備えるため、幅広いピペットティング処理を直接ピペットに対してプログラムすることが望まれている。一方、このような性能を追加すると、ユーザがピペットを使用するのに、相当複雑となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実際のユーザ、さらには最初に使うユーザにとって直感的な、ピペットのオペレーティングシステム(Operating system)を提供することである。その上、ユーザにとって、十分に効果を発揮し、幅広い実験用のピペット処理を達成することが可能な、ピペットのオペレーションシステムを提供することである。
【0006】
本発明のもう1つ別の目的は、電子ピペットのプログラミングを容易にし、特に、片手でプログラムを容易にすることである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、ピペットのプログラムを容易にするソフトウェアツールを提供するとともに、ユーザに対して、使用上のフィードバックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンドヘルド型のメニューで操作するユーザインターフェースを備える電子ピペットであり、該インターフェースで、便利かつ直感的に、ピペットのマイクロプロセッサのプログラミングを行う。さらに、本発明により、ユーザは幅広く研究室のピペット処理を行うことが可能である。本発明の第1態様において、ピペットでの円形のタッチパッドで、ピペット上におけるメニューでナビゲートするソフトウェアが用いられる。円形のタッチパッドは、ピペットのディスプレイにおける、親指もしくは指の回転運動を上下のカーソル運動に変換する。例えば、親指もしくは指の部分が、タッチパッドの表面の柔軟な静電容量センサに感知することなどにより、行われる。好適なピペットは、またエンターボタンだけでなく、円形タッチパッド周囲の4つのセレクタ部位を備える。各4つのセレクタ部位及びエンターボタンに関連づけられた個々の専用スイッチは、ユーザが効果的な方法によりメニューで操作するソフトウェアを扱うことで、起動可能である。好適には、円形タッチパッドの4つのセレクタ部位は、戻るボタンを有し、該ボタンを用いることで、ソフトウェアを前のメニューもしくは前に表示した情報に戻るよう指示する。また、セレクタ部位は、右及び左ナビゲーションボタンを備え、該ボタンを用いて、ディスプレイ画面上のショートカットの指示に従うことで、ユーザは、より効果的にナビゲート可能である。そして、セレクタ部位は、除去ボタンを備え、該ボタンを用いることで、処理を早く終わらせることを求める場合、連続的な除去を開始する。好適なピペットは、また、別個の実行ボタンおよび専用スイッチを有し、これらをもちいることで、一旦ピペットが完全にプログラムされると、一定のピペットもしくは段階を開始する。実行モード内に、ディスプレイ画面はスクロールを基として、処理中の段階を表示することが好ましい。好ましくは、実行ボタンを押すまで実行を待っている段階は、強調もしくは反転表示される。次もしくはその後の段階は、現在の段階の下にリストされる。そして、適切に実行された段階は、現在の段階の上にリストされる。
【0009】
ソフトウェアは、また、さまざまなプログラムされたピペット処理での容積、相対的なピペットスピード、ペース及びカウントを調節するためのグラフ表示を提供する。好ましくは、ポインタを有するグラフのゲージで、ポップアップメニューがディスプレイに表示される。ユーザは、円形のタッチパッドを用いる処理に利用可能なあらゆる種類の選択の間のポインタの位置を操作可能である。例えば、吸引容積、分注容積もしくは最後の分注容積を設定する際に、ユーザはタッチパッド制御を用いて、ピペットの最小値から最大値の間の領域であればどれでも、グラフ表示のゲージにあるポインタを移動することが可能である。容積を選択するのに、グラフのゲージが粗設定及び微設定を有することが好ましい。そして、微設定よりも粗設定を用いて、ユーザは、より小さい回転で利用可能な容積のあらゆる領域をナビゲート可能である。粗設定を用いると、ユーザは利用可能な容積のあらゆる領域を円形タッチパッドの3 1/2回転未満の回転でナビゲート可能であることが好ましい。ソフトウェアは、メモリ内に1もしくはそれ以上のお気に入りの容積の選択を保存するためにプログラムされることが好ましい。これにより、ユーザは後で使用するのにお気に入りを取っておくことが可能である。
【0010】
上述のように、相対的なピペットスピードは、グラフのゲージ及び円形のタッチパッドを用いてプログラムされる。好ましくは、ユーザが1から10の段階で選択可能であり、マイクロプロセッサは一定のプログラムの間、相対的なピペットスピードで、ピペットの動作を制御する。この点において、マイクロプロセッサは、「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願での記載に従って、ピペットを動作する。この特許出願は、参照として本明細書に組み込まれ、本発明の譲受人に譲渡され、さらに同日に出願されている。また、上述したように、ソフトウェアがペース、即ち、実行ボタンを継続的に動かす際に、繰返して分注を行う間の継続時間を設定するためにゲージを提供することが好ましい。好ましくは、グラフで表示される無、遅、中、及び速の4つのペース選択を有し、ユーザがタッチパッド制御を用いることで、選択もしくは編集可能であることが好ましい。さらに、特定の処理に対する連続的な吸引もしくは分注段階の全カウント値はユーザのインターフェースにグラフで表示され、タッチパッド制御を介して選択もしくは編集可能であることが好ましい。スピード及びペースの変更が、変更するまで同じようにあらゆる操作の処理に対して作用するため、全体のスピード及びペースを設定することは有益である。さらに、「ヘルプ」機能についても、全体として利用可能であることが好ましい。
【0011】
本発明のもう1つ別の観点において、メニューで操作するソフトウェアは、ユーザインターフェースに表示される情報、及びピペットを動作させるためにマイクロプロセッサに入力される情報を制御するだけでなく、編集可能な一定のカスタムのピペットを作成可能な能力を提供するのと同時に、少なくとも1つ、好ましくは複数の、前もって定義されるアルゴリズムに基づいてプログラム可能なピペットモードを提供する。前もって定義されるアルゴリズムに基づいた好適なモードは、ピペット、分注繰返し、試料希釈、ピペット/混合、手動のピペット、逆ピペット、可変分注、可変吸引、試料希釈/混合及び段階希釈を含む。容積、スピード、ぺース、カウント、方向及び混合などのさまざまなパラメータをユーザがプログラム及び編集可能であっても、これら前もって定義されるアルゴリズムに基づいた10の機能的モードがソフトウェアに組み込まれることにより、従来から知られる各ピペット処理を実行する。多くの好適な機能的モードがプログラムされることで、入力もしくは計算された容積を含み、該容積は、連続的に分注された分割量における最後の分割量固有の容積である。最後の分注された分割量を用いることは、以前の分割量からピペットのエラーを分離するのに有益である。上述のように、これらそれぞれのモードを適用するために、ピペットにおいてスピード及びペースなどのいくつかの変数が全体で変更される。容積などの他のパラメータは、個々のモードに対して個々に編集される。前もって定義されたアルゴリズムに基づいた機能的モードについてのより完全な記載は、「発明を実施するための最良の形態」の段落において記載するが、本発明は必ずしもこれらの機能的モードを使用することに限定されるものではない。好ましくは、これらの機能的モードのそれぞれは、ピペットに表示されるメインメニューから利用可能であり、該メインメニューから、プログラム、編集及び実行のために個々のモードが選択される。所望の場合、ピペットにより、ユーザがメインメニューからこれら機能的モードの1もしくはそれ以上を取り除くことが可能である。
【0012】
一方、好適なピペットはまた、吸引、混合、分注及び除去の段階に基づき、ユーザがカスタムのピペット処理を作成可能なプログラムモードを含む。好適なピペットにより、ユーザは、メモリ内の多くのカスタムプログラム、例えば、10までのカスタムプログラムを作成及び保存することが可能であり、各プログラムは、好適な前もって定義された最大数の段階、例えば50の検証可能な段階しか含まない。カスタムプログラムはメインメニューを介してユーザにより後にアクセス可能であり、その後、好ましくはメインのカスタムメニューを介して、ユーザにより所望の一定のカスタム動作を実行する。
【0013】
好適なハンドヘルド型の電子ピペットは、プログラム機能が前もって定義された容積の制限を越える場合、一定のエラーチェック動作などのさらなる特徴を含み、該動作により、エラーメッセージを表示する。好適なエラーチェック動作では、ユーザが不正なプログラムを保存不可能であるが、たとえ不正なパラメータを入力しても、プログラムを継続することは可能である。一定のエラーチェック動作により一定のプログラムされた動作が不正であると判断されると、表示されるエラーメッセージは、プロンプトなどを保存するように変更する。エラーチェック動作は、前もって定義されたアルゴリズムに基づいた機能的モード及びカスタムプログラムから利用可能であることが好ましい。
【0014】
本発明のもう1つ別の観点において、ソフトウェアはピペットに表示される画面において色わけを用いることで、ユーザが直感的にピペットの状態を認識することを手助けする。例えば、実行画面の背景色はすべての機能的モードにおいて一貫しているが、編集画面の背景色及びヘルプ画面の背景色とは異なる。
【0015】
好適なハンドヘルド型の電子ピペットのもう1つの特徴は、スタートアップ時に現れるプログラム可能なスタートアップ画面の使用である。このようなスタートアップ画面は、製造者のロゴもしくはシステム識別情報もしくは個人の図柄もしくは情報を含む。
【0016】
図面及び本明細書の記載を確認すれば、本発明の他の観点及び特徴は、当業者にとっては明確である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ユーザインターフェース及びプログラム可能なマイクロプロセッサを備えるハンドヘルド型の電子ピペットの斜視図である。
【図2】図1に示すピペットの正面図である。
【図3a】本発明の好適な実施例に基づいたメインメニューのプログラム画面を示す。
【図3b】本発明の好適な実施例に基づいたメインメニューのプログラム画面を示す。
【図4a】本発明の好適な実施例に基づくメニューベースのソフトウェアの機能の概要を示すフローチャートであり、特に、一般的なピペットの幅広いモードの選択を示す。幅広いモードは、これらのモードに対応する、前もって定義されたアルゴリズム及びプログラム可能なオプションもしくは変数で選択される。そして、該ソフトウェアは、メインメニューからの他の選択も示し、オプション及びツールボックスオプションのカスタムプログラムを含む。
【図4b】本発明の好適な実施例に基づくメニューベースのソフトウェアの機能の概要を示すフローチャートであり、特に、一般的なピペットの幅広いモードの選択を示す。幅広いモードは、これらのモードに対応する、前もって定義されたアルゴリズム及びプログラム可能なオプションもしくは変数で選択される。そして、該ソフトウェアは、メインメニューからの他の選択も示し、オプション及びツールボックスオプションのカスタムプログラムを含む。
【図4c】本発明の好適な実施例に基づくメニューベースのソフトウェアの機能の概要を示すフローチャートであり、特に、一般的なピペット幅広いモードの選択を示す。幅広いモードは、これらのモードに対応する所定のアルゴリズム及びプログラム可能なオプションもしくは変数で選択される。そして、該ソフトウェアは、メインメニューからの他の選択も示し、オプション及びツールボックスオプションのカスタムプログラミングを含む。
【図5a】ユーザが本発明の好適な実施例に基づき、ピペットスピードを調節可能な「実行」画面を示す。
【図5b】ユーザが本発明の好適な実施例に基づき、ピペットスピードを調節可能な「実行」画面を示す。
【図6a】「実行」画面を介して「ヘルプ」機能にアクセスする方法と、「ヘルプ」画面の一例をそれぞれ示す。
【図6b】「実行」画面を介して「ヘルプ」機能にアクセスする方法と、「ヘルプ」画面の一例をそれぞれ示す。
【図7a】本発明の好適な実施例に基づく「編集」画面であり、ピペットプロトコルにおける特定の工程で容積を選択及び編集していることを示す。
【図7b】本発明の好適な実施例に基づく「編集」画面であり、ピペットプロトコルにおける特定の工程で容積を選択及び編集していることを示す。
【図8a】本発明の好適な実施例に基づく「お気に入り」の容積を設定及び選択するプログラム画面を示す。
【図8b】本発明の好適な実施例に基づく「お気に入り」の容積を設定及び選択するプログラム画面を示す。
【図8c】本発明の好適な実施例に基づく「お気に入り」の容積を設定及び選択するプログラム画面を示す。
【図9a】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9b】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9c】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9d】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9e】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9f】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9g】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図9h】「分注繰返し」モードに関するプログラム画面を示す。
【図10a】「手動のピペット」モードに関するプログラム画面である。そして、「マニュアルピペット」モードは、「方向」オプションの変更を示す。
【図10b】「マニュアルピペット」モードに関するプログラミング画面である。そして、「マニュアルピペット」モードは、「方向」オプションの変更を示す。
【図11a】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図11b】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図11c】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図11d】カスタムピペットプログラムの作成及び編集に関するプログラム画面である。
【図12a】カスタムピペットプログラムの「実行」画面の例である。
【図12b】カスタムピペットプログラムの「実行」画面の例である。
【図12c】カスタムピペットプログラムの「実行」画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ピペット(10)のユーザインターフェースのディスプレイに表示する情報を制御するメニュー形式のソフトウェアを示し、マイクロプロセッサをプログラムし、ピペット(10)を作動させるソフトウェアを示す。本発明の好適な実施例において、図1に示すように、ソフトウェアがピペット(10)に対して用いられる。図1は、単一のチャンネルピペット(10)を示し、「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に記載されている。該特許出願は、本特許出願の譲受人に対して譲渡された出願であり、本出願と同日付で出願されていて、参照として本明細書に組み込まれるものとする。より詳細については後述するが、図1に示される単一のチャンネルピペット(10)は、ユーザによりプログラム可能なハンドヘルド型の電子ピペットであり、液体の試料もしくは試薬を吸引及び分注する、もしくは、一般的に記載される他のピペットによる採取の幅広い機能を達成する。
【0019】
図1のハンドヘルド型ピペット(10)は、取付シャフト(12)を備え、該シャフト上に従来から知られている使い捨て可能なピペットチップ(14)が取付られている。図示しないが、ピペット(10)は、モータにより駆動する吸引シリンダ及びピストンを備える。ピペット(10)は、細長の本体を有し、該本体は、上部(16)及び下部(17)を備える。吸引シリンダ及びピストンは、下部(17)に配される。指フック(28)はピペット(10)の上部(10)の背部に位置する。ピペット(10)の上部(16)は、ユーザの手、ユーザの手のひらにおいて保持されるよう設計されている。その上、指フック(28)の底部にユーザの人差指を配し、ユーザの親指でピペット(10)の前面で制御操作が可能となっている。代替的に、ピペット(10)のプログラムを行う側とは反対側の手の指を都合よく使用することも可能である。
【0020】
好適な実施例において、ピペット(10)の前面は、タッチパッド制御(30)、タッチパッド制御(30)の下部に位置する実行ボタン(18)、実行ボタン(18)の下部に位置する取出ボタン(20)及びタッチバッド制御(30)の上部に位置するインターフェースディスプレイ(32)を含む。図1に示す構成において、タッチバッド制御(30)、実行ボタン(18)及び取出ボタン(20)のそれぞれが、ユーザの親指で都合よく操作可能であるため、片手で便利にプログラム及び操作可能である(もしくは、上述のように、ユーザはピペットをプログラムするために、反対側の指を使用可能である)。より詳細は後述するが、タッチパッド制御(30)は、メニュー操作のソフトウェアに基づき、ピペット(10)を制御するのに用いられる。該ソフトウェアは、ユーザインターフェースディスプレイ(32)に表示される情報を制御するとともに、マイクロプロセッサをプログラミングし、ピペットを動作させるインターフェースを提供する。選択されたもしくはカスタム開発されたピペット処理を行うために、ピペット(10)がプログラムされた後に、タッチパッド(30)の下方に位置する実行ボタン(18)は、ユーザにより作動される。
【0021】
実行ボタン(18)の下方に位置する取出ボタン(20)は、矢印(22)の方向にユーザが親指で動作させることで、使い捨て可能なピペットチップ(14)をピペット(10)から取り出される。より詳細には、取出ボタン(10)を下方に動かすことで、取出機構を作動させる。該機構は、取出スリーブ(17)を付勢ばねに対して下方に押し出し、これにより、付勢ばねがピペットチップ(14)の上部と係合し、ピペット(10)上の取付シャフト(12)からチップ(14)を取り出す。好適な取出機構は、「Pipettor Ejection Mechanism」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に開示されている。該特許出願は、本特許出願の譲受人に対して譲渡された出願であり、本出願と同日付で出願されていて、参照として本明細書に組み込まれるものとする。取付シャフト(12)及び使い捨て可能なピペットチップ(14)の好適な構成は、「Locking Pipette Tip and Mounting Shaft」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に開示されている。該特許出願は、本特許出願の譲受人に対して譲渡された出願であり、参照として本明細書に組み込まれるものとする。しかしながら、本発明の特徴は、上述の参照される同時係属の特許出願に開示される、好適な取出機構もしくは好適な取付シャフト及びピペットチップの構成に限定される必要はない。好適な実施例において、取出機構は、ユーザによる手動で駆動させ、取出ボタン(20)により作動する。一方、実行ボタン(18)及びタッチパッド制御(30)、電子的な制御もしくはプログラム入力部を提供する。
【0022】
本出願に組み込まれた「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルの特許出願について、少し参照すると、ピペット(10)はマイクロプロセッサと、少なくとも1メガバイトの電子的に消去可能なプログラムもしくは読み取り専用メモリ、すなわちフラッシュメモリを備える。フラッシュメモリとマイクロプロセッサを組み合わせることで、ディスプレイ(32)に表示させるアニメーションもしくはグラフに加え、プログラム及び調整情報が十分、記憶可能である。フラッシュメモリを使用することで、より大きなプログラム及びデータを記憶可能であるとともに、将来の拡張のために新しいソフトウェアをプログラムし直したり、消去し直したりすることが可能である。例えば、上述の本出願に組み込まれた「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルの特許出願のように、フラッシュメモリを使用することで、参照テーブルを個別に吸引及び分注を使用することが可能である。従って、吸引量及び分注量の両方に対するモータ運動に対して、より正確な修正を提供することが可能である。ピペット(10)のオペレーティングソフトウェアは、C言語及びアセンブリ言語を組み合わせることで好適にプログラムされる。
【0023】
インディケータ及びヘルプ画面を含むディスプレイ(32)は、あらゆるピペットのプログラム作業の双方向の出力ユーザインターフェースを提供する。微光の状況であっても明瞭な視認性を提供するために、ディスプレイ(32)は、バックライト付装置が好ましい。
同時係属中の「Electronic Pipettor Assembly」の特許出願に開示されるが、斜距離は約1.5インチになるように、ディスプレイ(32)は、カラーで、128×128ピクセルのLCDディスプレイサイズのものが好ましい。LCDディスプレイの明瞭度が改善されることで、ピペット(10)はユーザに対してより完全な情報を提供する。これにより、ディスプレイ上での省略の必要性を減少させ、及び/又はピペット(10)上の重要なヘルプ機能を提供することなどが可能となる。
【0024】
ユーザインターフェースディスプレイ(32)に表示されるメニューのナビゲーションは、タッチパッド制御(30)を用いることで達成される。好適なタッチパッド制御(30)は、円形のキャパシティタッチパッド(46)及び中央のエンターもしくは「OK」ボタン(48)を備える。タッチバッド制御(30)のハードウェアの構成は、同時係属中の「Electronic Pipettor Assembly」に記載され、組み込まれていているが、詳細については本明細書において提示しない。しかしながら、従来から知られているように、タッチパッド制御(30)は、相対的な回転運動を上下のスクロール運動に変換されるように、画面ディスプレイ(32)においてプログラムされる。例えば、時計回りの親指もしくは指の動きで、下方のメニューの選択をスクロールする。一方、反時計回りの親指もしくは指の動きで、上方のメニューの選択をスクロールする。さらに、タッチパッド制御(30)の中央にあるエンターボタン(48)が用いられ、円形のタッチパッド(46)における親指もしくは指で回転運動を行うことで、ディスプレイ(32)上での反転表示された数値を選択する。詳細については後述するが、「OK」ボタン(48)が編集すべき項目の選択に好適に用いられる、もしくは、他のプログラムのオプションの実装に好適に用いられる。加えて、好適な円形のタッチパッド(46)は、他に4つの部位を備え、これらは円形のタッチパッド(46)上に符号が付されることが好ましい。円形のタッチパッド(46)の上部には、「戻る」符号(50)を示し、メニュー選択の戻るボタンの役割を果たす。ユーザが円形のタッチパッド(46)上の戻るボタン(50)を押したままにすると、ディスプレイ(32)におけるメニューが以前に表示したメニューもしくは情報に戻る。円形のタッチパッド(46)は、また左右のナビゲーションボタン(52)(54)をそれぞれ含む。詳細については後述するが、ナビゲーションボタン(52)(54)は、しばしば好適な実施例において、画面上でメニューもしくはサブメニューオプションをスクロールすることでは利用不可能な特徴もしくはオプションを実装するために用いられる。円形のタッチパッド(46)は、また、「除去」符号(56)を備える。ユーザが除去ボタン(56)を押したままにすると、ピペット(10)は空になる。つまり、ユーザは除去ボタン(56)を押したままにすると、ピペット(10)は完全に分注が噴き出すようにプログラムされる。より詳細には、除去ボタン(56)を押すことで、プロンプトがユーザに対するディスプレイ(32)に表示され、実行ボタン(18)を押すことで、除去が行われることが好ましい。除去ボタン(56)を用いると、ユーザが研究室で処理を再開しようとする際などにおいては、ユーザは早い時期に処理を終わらせることが可能である。
【0025】
LCDディスプレイ(32)に表示されるメインメニューは、図3A及び図3Bに示される。メインメニュー画面(60)は、スクロール可能なリストを備え、該リストは、プログラムで制御可能な機能のリストを示す。リストは、前もって定義されたアルゴリズム及びカスタムプログラムオプション(92)及びツールボックスオプション(94)を有する多くの一般的なピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88,90)を備える。図2に示す左ナビゲーションボタン(54)を押すと、「ヘルプ」オプションを選択されることをメインメニュー(60)は、スクロール可能な機能のリストの下方に示す。一方、図2に示す右ナビゲーションボタン(52)を押すと、リストで反転表示された機能に対する「実行」オプションが選択されることをメインメニュー(60)は、スクロール可能な機能のリストの下方に示す。円形のタッチパッド(46)を使用することで、スクロール可能なリストは、上下にナビゲートされる。図3Aは、メニュー画面(60)が最初の6つのリストされた機能(72,74,76,78,80,82)を備えることを示し、図3Bは最後の6つのリストされた機能(84,86,88,90,92,94)がメインメニュー(60)にあることを示す。本発明の好適な実施例において、カスタムプログラムオプション及びツールボックスオプションに加え、メインメニュー(60)から選択された、前もって定義されたアルゴリズムを備えた10の選択可能な機能を有する。バッテリー表示(64)は、再充電可能なバッテリーの残量を示す。
【0026】
図4AからCは、メインメニュー(60)から選択するとともに選択(72,74,76,78,80,82,84,86,88,90及び94)のそれぞれに関連付けられた編集可能なオプションを示すフローチャートである。ただし、上述のフローチャートにおいて、カスタムプログラムオプション(92)は除かれる。該オプションについては、図11A乃至図11D及び図12A乃至図12Cに関連して後述する。メインメニュー(60)上のリストされたピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)は、前もって定義された、一般的なピペット処理に関するアルゴリズムに基づいている。つまり、「ピペット」モード(72)は、吸引容積と分注容積が同一の場合における、単なる液体輸送に用いられる。「分注繰返し」モード(74)は、プログラムされた容積の液体を繰返して分注するのに用いられる。「試料希釈」モード(76)は、同一のピペットチップ内の2つの異なる液体の両方を空隙(即ち希釈材、空隙及び試料)で分離させたままで、吸引するのに用いられ、その後に分注が完了する。「ピペット/混合」モード(78)は、同一の容積を吸引及び分注するのに用いられ、その後に所定の混合が行われる。未知の容積を吸引及び分注するのにオペレータによる制御がより多く求められる場合、「手動のピペット」モード(80)が用いられる。このモードにおいて、ソフトウェアインターフェースは、アイコンを提供することで、ユーザは吸引と分注との切換を行うことが可能である。「逆ピペット」モード(82)は、最後の分注周期と次の吸引との間に噴き出さないことを除くと、ピペットモード(72)と類似する。このモードは、試料に空気を導入することなく、チップに試薬を加えるのに用いられる。「可変分注」モード(84)は、異なる容積の分注を繰り返すのに用いられる。「可変吸引」モード(86)は、1以上のプログラムされた容積の吸引(同一のチップ)を連続的に行うのに用いられ、その後に単一の分注が行われる。「試料希釈/混合」(88)モードは、同一のピペットチップ内の2つの異なる液体の両方を空隙(即ち希釈材、空隙及び試料)で分離させたままで、吸引するのに用いられ、その後に分注及び直後に混合段階が行われる。「段階希釈」モード(90)を用いることで、特定の容積の吸引を行うことが可能となり、その後チップ内における連続的な混合を行い、新規の吸引容積にする。様々なピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)については、より詳細を後述する。
【0027】
概して図4を参照することで、各ピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に関連付けられた容積、ピペットスピード、ペース、カウントなどの様々なパラメータは、編集可能である。以下の図4及び表2は、好適な実施例において、前もって定義されたピペットモードでの編集可能なパラメータを示している。
【0028】
ソフトウェアの様々な特徴は、様々なピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)において共通である。例えば、図4に示すピペットスピード(62)は、各ピペットモードにおいて全体的に設定される。より詳細には、カスタムモードの時、分注スピード、混合スピード及び除去スピードが現状のままで、吸引スピードは全体的に設定される。全体でのパラメータの設定可能性については、各ピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と「スピード」の付されたブロック(91)を図4において実線で直接接続させることで提示する。同様に、図4a及び図4bのペース(63)は全体的に設定される。そして、この設定については分注繰返し(74)モード及び可変分注(84)モードが「ペース」の付されたブロック(63)と実線で導かれることで提示される。また同様に、図4は、ヘルプ機能が、あらゆるモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)からアクセス可能であることを示す。このことについては、あらゆるモードが「ヘルプ」の付されたブロック(95)に実線で導かれることにより提示される。一方、各モード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に関連付けられた編集可能なパラメータは、互いに概して異なる。このことは、図4において、実線の下方の点線が、「編集」と付されたボックス(97)へと導かれることで提示される。本発明の様々な観点について、様々なピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と関連して説明される。
【0029】
「ピペット」モード(72)について特に言及すると、このモードは、チューブ、バイアル及びマイクロプレート間の迅速なもしくは「整った」液体輸送に用いられる。「ピペット」モード(72)において、十分な吸引容積が、上述したように、分注される。「ピペット」モード(72)は、メインメニュー(60)から選択されると、図5Aに示すように、実行ピペット画面(96)が表示される。実行ピペット画面(96)は、「実行を押す」を導く指示を備える。そして、このことは、プログラムされたピペットの段階、すなわち吸引及び分注の段階を開始するために、ユーザが図1及び図2のピペット(10)上の実行ボタン(18)を実行すべきであることを意味する。分注中、実行ボタン(18)を押したままにすると、2段階の噴き出しが実行される(即ち、最初の噴き出しが液体中のチップにおいて生じる。しかしながら、ユーザが実行ボタン(18)を離して、液体からチップを取り外すとともに、液体を吸引してチップに戻るのを避けることをユーザが許容する時間に達するまで、ピストンは、自動でもとの場所へは戻らない。)チップは、その後に取り出される。
【0030】
図5a及び図5bは、ピペット実行中の、ピペットの実行画面(96)を示す。図5A及び図5Bにおいて、タッチパッド制御(30)を使用することで、ユーザは吸引スピードの変更、ヘルプ機能のアクセス、もしくは、吸引容積を変更するために編集画面に入ることが可能である。図5Aは、反転表示(ボックス(99))されたスピードの選択(98)を示し、図5Bは、「スピード」(98)がタッチパッド制御(30)上の「OK」ボタン(48)を用いて選択される時に表示されるポップアップ式のグラフ(100)を示す。図5Bにおいて、スピード選択のポップアップ(100)は、ゲージ(102)のグラフ表示を備える。ゲージ(102)はポインタ(104)を備え、該ポインタは、ユーザが円形のタッチパッド(46)を制御することに応じて動き、これにより、最小値もしくは最遅値の1から最大値もしくは最速値の10までの相対的なピペットスピードが調整される。また、選択されるスピードは、アルファベットや数値の文字(106)で示される。選択されるスピードは、タッチパッド制御(30)上のエンターボタン(48)を押すことで、ピペット(10)で設定される。好適には、吸引もしくは分注のスピードが変更されると、その後に続くあらゆる機能のために設定が用いられる。しかしながら、ユーザは何時においてもピペットスピードを変更可能である。既知のピペット技術に応じて、粘着性を有する試料は、最遅値で吸引及び分注されることで、正確なピペットが確保される。一方、速い速度で液体の分注を行う際、とくに液体が「引火性」(touch off)でない場合は、さらさらとした液体の輸送が可能である。相対的なピペットスピードが変更されると、好適には、上述に組み込まれた「Electronic Pipettor Assembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に記載された要領に従って、ピペット(10)はピペットスピードを制御する。
【0031】
図5A及び図5Bにおいて陰影で描写されるが、実行ピペット画面(96)の背景色は緑である。好適には、あらゆるピペットのモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)においても緑がよい。ヘルプ画面及び編集画面から実行画面を識別するために色分けされることが好ましい。
【0032】
図6A及び図6Bにおいて、ヘルプ機能は、実行ピペット画面(96)からアクセスされることが可能である。図6Aは、反転表示された「ヘルプ」選択及びボックス(101)を示し、ユーザはタッチパッド制御(30)上の「OK」ボタン(48)を押すことで、「ピペット」(72)モードを実行するためのヘルプを得ることが可能である。図6Bは、ヘルプが実行ピペット画面(96)から選択される際に、ディスプレイ(32)に表示されるヘルプ画面(108)の例を示す。図6A及び図6Bにおいて陰影で描写されるが、ヘルプ画面の背景色は白色である。好適には、他のどのヘルプ画面がいつ表示されても白色がよい。図6Bにおけるテキスト(108)は、ユーザがピペットのモード(72)の使用方法を説明する。メインメニューから他のモードが選択されている場合であっても、他の各ピペットのモード(74,76,78,80,82,84,86,88及び90)の使用方法についての説明は、ヘルプ画面(108)に表示される。一方、ヘルプ機能は、他の画面からアクセス可能であり、該ヘルプ機能は、特定の処理を実行している際に、ユーザにとって有益なほかの種類の情報を提供する。
【0033】
図7aは、実行ピペット画面(96)から、反転表示された「編集」選択及びボックス(103)を示す。「編集」機能を選択することで、ユーザは図7b及び図7cのピペット画面(110)に入力する。図7Bにおいて陰影で描写されるが、編集画面(110)の背景色は灰色である。好適には、他のどの編集画面がいつ表示されても灰色がよい。図7Bにおいて、画面(110)はピペットが設定された吸引容積(即ち、図7Bにおける1000μL)を示す。ユーザが2つのうち1つの方法で、容積を変更することが可能である。ユーザは円形のタッチパッド上の左ナビゲーションボタン(54)を選択することでお気に入り(111)のリストから容積を選択することが可能である。もしくは、ユーザは、図7Cにおけるポップアップ画面(113)を提示するために、タッチパッド制御(30)上のエンターボタン(48)を用いることが可能である。
【0034】
図7Cにおいて、容積選択は、グラフのゲージ(112)及びアルファベットや数値の文字(114)を用いることで、グラフでポップアップ画面(113)に表示される。グラフのゲージ(112)は、ユーザによって、ピペット(10)の最小吸引容積とピペット(10)の最大吸引容積との間を選択された容積を指し示すポインタ(116)を備える。画面(110)はまた粗設定(118)と微設定(120)を備える。ユーザは円形のタッチパッド(46)上のナビゲーションボタン(54)を押すことで粗設定を選択する。もしくは、円形のタッチパッド(46)上の右ナビゲーションボタン(52)を押すことで微設定(120)を選択する。円形タッチパッド(46)の回転運動を用いることで所望の容積を選択する。粗設定(118)は、微設定(120)よりも大きい増分の容積の変更を行う。増分の大きさは、ピペットの大きさに基づく。好ましくは、最小容積から最大容積までの全容積領域は、タッチパッド制御(30)の円形のタッチパッド(46)の3と1/2回転未満で得ることが可能である。好ましくは、3回転未満で得ることが可能である。数値の規模が最低値に戻ることが好ましい。これは、ユーザが最大容積を超えると、表示される容積が自動的に最低値に戻ること、もしくはその逆になることを意味する。下記の表(表1)は、ピペットの大きさに応じた粗増分及び微増分の好適な容積を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
図8は「お気に入り容積」(122)を示す。好適には、ソフトウェアにより、ユーザが10のお気に入りの容積から定義、保存及び選択することが可能である。タッチパッド制御(30)はお気に入りの容積の番号、容積1、容積2、容積3等を選択するのに用いられ、これらの容積の番号をユーザは選択もしくは編集することを求める。ディスプレイ(122)は、円形タッチパッド(46)上の右ナビゲーションボタン(52)を押すことで、反転表示される容積、ボックス(126)、例えば「容積5、600μL」をユーザが選択可能な矢印(124)を示す。一方、ディスプレイ(122)は、円形のタッチパッド(46)上の左ナビゲーションボタン(54)を押すことで、特にお気に入りの選択と関連付けられた容積を編集可能な矢印(128)を示す。図8B及び図8Cはお気に入りの容積を設定するために、ポップアップ画面(130)の編集をしていることを示す。図8Bは、反転表示された「容積5」(画面(122)上の図8Aにおけるボックス(126)に提示される)を押されると、最初に現れるポップアップ画面(130)を示す。図8Cは、ユーザがお気に入りの容積を粗設定もしくは微設定のいずれかを使用して600μLから650μLにまで調整したことを示す。
【0037】
「ピペット」モード(72)において、吸引容積及びピペットスピードのみがプログラムされている。一般的に、スピード及び容積のプログラムは、好適には、他のモード(74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と同一であることが好ましい。既述したように、「ピペット」モード(72)が完全にプログラムされていると、ユーザは、チップ(14)が液体試料に位置するようにピペット(10)を置き、吸引を開始するために実行ボタン(18)を押す。そして、ユーザはピペットを受取容器に動かし、再び実行ボタン(18)を押すことで、完全な分注を実行する。
【0038】
図9A乃至図9Eは、「分注繰返し」モード(74)と特に関係する画面(60,134,136)を示す。図9Aは、ボックス(132)に示すように反転表示させる「分注繰返し」モードを備えるメインメニュー(60)を示す。「分注繰返し」モードがメインメニュー(60)から選択されると、図9Bの「分注繰返し」の実行の画面(134)が表示される。図9Bの分注繰返しの画面(134)において、ユーザはスピードの変更(図9Bに提示しないメニュー項目)、ペース変更(144)、「ヘルプ」(145)へのアクセス、もしくは他の変数(146)編集を選択することが可能である。スピード設定は、上述と同じように実行されることが好ましい。図9bのボックス(147)は、選択のために反転表示される「編集」機能を示す。
【0039】
編集機能(146)が図9Bにおける分注繰返し画面(134)から選択されると、図9Cは表示される分注繰返し編集画面(136)を示す。「分注繰返し」モード(74)に関連付けられた変数、即ち分注(148)、最後の分注(150)及びカウント(152)は、分注繰返し画面(136)に表示される。
【0040】
分注繰返し編集画面(136)から分注容積(148)が選択されると、ユーザは円形タッチパッド(46)上の左ナビゲーション矢印(54)を押すことでお気に入りの容積を選択するか、もしくは円形タッチパッド(46)上の右ナビゲーションキー(52)を押すことで分注容積を編集するかいずれかを選択可能である。このことは一般的に図7B乃至図7Cもしくは図8A乃至図8Cに関して記載されることと同様である。分注繰返し画面(136)はお気に入りの記録(153)及び選択された値を保存するための記録(154)を含む。お気に入りの容積の選択は、図8A乃至図8Cに関して記載されることと同様の方法で達成される。一方、お気に入りでない容積の選択は、図7A及び図7Bに示される処理に従って達成される。分注繰返し編集画面(136)は、また、分注容積(148)と同一もしくは類似の方法でソフトウェアにより選択される最後の分注(150)の容積の選択も備える。分注繰返し編集画面(136)は、また、分注容積(148)を有する分注された分割量の数であるカウント(152)の選択を含む。しかしながら、該画面は、最後の分注容積(150)のカウントは含まない。「分注繰返し」モード(74)において、分割量の分注容積(148)、最後の分注容積(150)及びカウント(152)に入力された値を基に、ソフトウェアは自動的に吸引容積を計算する。図9D及び図9Eにおいて、カウント(152)の値は、カウントの値(152)(図9Dにおいてボックス(155)で示される)を反転表示させて、円形のタッチパッド(46)を用いることで編集される。その後、円形タッチパッド(46)上のOKボタンを押すことで、ポップアップ画面(156)にカウントが現れるようになる。図9Eのポップアップ画面(156)は、グラフのゲージ(157)を有し、これにより、ユーザは、1と、ピペットの容積及び最小の分割量に応じてソフトウェアで決められる最大値との間でカウントを選択することが可能である。例えば、1250μlのピペットの場合、最小の分割量の容積は、50μlであり、最後の分注容量はカウントに含まれないため、最大のカウントは、24である。所望の容積及び/あるいはカウントが不正であれば、分注繰返し編集の画面(136)は、エラーメッセージを提供する。
【0041】
図9Bにおいて、分注繰返し実行画面(134)により、ユーザがペース(144)もしくは連続的な分割量の分注継続時間を選択することが可能である。ペース機能は、ユーザが実行ボタン(18)を押したままであると、実行され、ピペット(10)は、多数のプログラムされた容積(即ち、各分注間での選択されたペース(144)での分注容積(148)を分注する。実行ボタン(18)の離すと、ペースされていた分注が停止する。実行ボタン(18)を再び押すと、選択されたペースで分注を継続する。最後の分注容積もしくは先のあらゆる分注から累積したエラーを有する廃棄容積が到達すると、
ピペット(10)は警告音を発することが好ましい。その時点で、実行ボタン(18)が押されたままであると、最後の廃棄量を空にする。図4A及び図4Bに示すように、「分注繰返し」モード(74)及び「可変分注」モード(84)はペースオプション(63)を備える。
【0042】
好適な実施例において、無、遅、中、速の4つのペース間隔が利用可能である。無のペースが設定されると、ユーザは各分注を開始するために、実行ボタン(18)を押さなければならない。図9F及び図9Gにおいて、ユーザは、図9Fのボックス(138)に示される分注繰返し実行画面(134)上の「ペース」(158)を選択することで、リセットすることが可能である。ユーザがペース(138)を選択すると、グラフのゲージ(160)でのポップアップ(159)が分注繰返し実行画面(134)に現れる。グラフのゲージ(160)は、容積調整もしくはスピード調整のゲージのように、ポインタ(162)を備え、該ポインタは、無の最小ペースから最速ペースまでの円形のタッチパッド(46)を用いることで、ユーザは使用可能である。グラフのゲージ(160)は、また、ペースを表示し、該ペースは、ポインタによりアルファベットや数値の文字(164)で示される。ユーザは、タッチパッド制御(30)上の「OK」ボタン(48)を押すことでペースを選択する。
【0043】
表2は、機能に基づくプログラムモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)を示す。これらは、さまざまな編集可能なパラメータと同様に、好適なピペットのオペレーティングソフトウェアにプログラムされる。
【0044】
【表2】
【0045】
スピード、ヘルプ及び編集機能は、各モードにおいて利用可能である。吸引、分注、最後の分注、空隙及び混合の容積選択は、随時、様々なピペットモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に必要とされる。既述したように、容積即ち、特定の入力された吸引容積あるいはピペットソフトウェアで計算された情報に基づいた吸引容積が最大許容容積を超えて入力されると、容積エラーのメッセージが表示されることが好ましい。ソフトウェアの一定のエラーチェック動作により、ユーザは、不正なプログラムの保存が許可されないが、たとえ現在のプログラムが不正であっても、ユーザがプログラム作成を継続することは許可する。
【0046】
ペース機能は、「分注繰返し」モード(74)及び「可変分注」モード(84)に用いられる。方向機能は、「手動のピペット」モード(80)で用いられる。カウント機能は、「分注繰返し」モード(74)「可変分注」モード(84)及び「可変吸引」モード(86)に用いられる。混合のサイクルオプションは、「試料希釈/混合」(88)モード、「ピペット/混合」モード(78)及び「段階希釈」モード(90)に用いられる。そして、配列(rows)オプションは、「段階希釈」モード(90)に用いられる。さまざまな機能モード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)については、より詳細を述べる。
【0047】
「分注繰返し」モード(74)は、1つのもととなる容器から多数の器もしくはウェルに試薬を高速で追加するのに用いられる。「分注繰返し」モード(74)において、ピペット(10)は、多くの吸引容積を、多分割を介して、多数の対象に分注する。例えば、全マイクロプレートを速く満たす。過剰充填の吸引及びモータの逆転は、分注された分割量の正確性を確保するためになされるが、自動で行われることが好ましい。
【0048】
図9B及び図9Hにおいて、「分注繰返し」モードのサイクルを実行するために、ユーザは実行ボタン(18)を押して離すことで、図9の最初の吸引段階を開始する。十分に液体が吸引されると、ユーザは再び実行ボタン(18)を押し、図9Hに示すように、分注を開始する。そして、実行ボタンを押したままにすると、上述したように、ペースされた分割量を連続的に分注する。各分割量の分注の数は、ディスプレイ(134)(図9H)に提示される。ピペット(10)が計算された廃棄容積の量(即ち、最終の分注)を除去する状態にあると、増加が停止する。最後の分注の分割量は、先のあらゆる分注から累積されたエラーを含む。ユーザは最後の分注を使用するか、無視するかを選択できる。
【0049】
図9B及び図9Hに関連して記載されるが、処理が実行中の際、実行画面は、選択された処理の段階を表示することが好ましい。好ましくは、実行を現在待っている段階もしくは実行中の段階は反転表示される。例えば、図9B及び図9Hにおいて示すように、段階の前に点が付されるとともに、現在の段階の下に次の段階が表示される。処理中の第1段階が完了した後で、そして、最後の段階が開始される前に、処理を行う3つの段階を提示することが好ましい。即ち、直前の段階、現在の段階及び次の段階を提示することが好ましい。
【0050】
図4における「試料希釈」モード(76)で、少量の試料容積をピペットチップから追跡するために、希釈剤を用いることにより、正確な試料希釈を達成する。希釈剤はまず、チップに吸引され、空隙に吸引される。それから、少ない容積の吸引された試料液体が続く。空隙は、チップにおいて、液体と分離させたままにし、持越し汚染(carryover contamination)を最小化させる。「試料希釈」モード(76)がメインメニュー(60)から選択されると、試料希釈実行画面が表示され(図示せず)、これにより、実行ボタン(18)を押す、もしくは、代替的にピペットスピードを調整する、ヘルプ機能にアクセスする、もしくは、編集モードを入力し希釈容積、空隙容積及び試料容積を設定することで、ユーザは「試料希釈」モードにおけるピペット(10)を実行可能である。好ましくは、容積は、図7A、図7B及び図7Cと関連して記載されるのと同じように、選択される。もしくは、図8A乃至図8Cに示すように選択及び/もしくはリセット可能なお気に入りを選択することで、選択される。一旦プログラムされると、「試料希釈」モード(76)の実行は、実行ボタン(18)を押して離すことで開始され、これにより、ピペットチップ(14)へと希釈剤の吸引が開始される。その後、再び実行ボタン(18)を押して離すことにより、ピペットチップ(14)は液体から取り外され、空隙の吸引を開始する。次に、チップ(14)が、試料の液体に設置され、試料を吸引するために、再び実行ボタン(18)が押される。最後に、チップ(14)の全ての中身は、実行ボタン(18)を押すことで同時に分注される。好ましくは、「試料希釈」モード(76)がプログラムされることで、「ピペット」モード(72)と同じように、2つの段階の噴き出しが実行される。
【0051】
図4の「ピペット/混合」モード(78)は、同一の容積が吸引及び分注される点において、「ピペット」モード(72)と類似する。しかしながら、「ピペット/混合」モード(78)は、分注後に混合オプションを組み込む。混合は、単一の分注段階の後に自動的に生じる。図4及び表2に示すように、ユーザは「ピペット」モード(72)のような吸引容積のみでなく、混合容積及び混合サイクルの数をプログラムすることが可能である。作業中に、試料が容器に分注された後に、連続的な混合が、実行ボタン(18)を押さなくても、チップが容器内にある間には、自動的に行われる。
【0052】
「手動のピペット」モード(82)が図4のメインメニュー(60)から選択されると、図10A及び図10Bに示す手動のピペット実行画面(166)が表示される。「手動のピペット」モード(80)は、吸引容積が定義されていない、もしくは、よく知られていない場合に用いられる。「手動のピペット」モード(80)において、ユーザは、手動で吸引及び分注段階中の容積を制御する。そして、ユーザは、どれくらいの液体が吸引されたのか、もしくはどれくらいの液体が分注のために残っているのかを画面(166)で確認可能である。このモード(80)は、例えば、滴定の際に有益である。手動のピペット実行画面(166)から、ユーザはピペットスピード及びピペット方向(即ち、吸引もしくは分注)を調整可能である、もしくは、最大吸引容積を調整するために、編集モードに入ることが可能である。スピードと容積を調整することは、既述したのとほぼ同じ方法で、連続的に実行される。より遅いピペットスピード(1から5)は、特に分注の際に、このモード(80)において、よりよい制御及び決定に用いられる。ピペットの方向の変更は、図10A(吸引)及び図10B(分注)に示される。図10Aにおいて、矢印(168)の方向は、上向きであり、ユーザが実行ボタン(18)を押すと、ピペット(10)は吸引するよう設定されることを示す。図10Bにおいて、矢印(170)の方向は、下向きであり、ピペットは、分注モードであることを示す。吸引の時、ユーザが実行ボタン(18)を離す際、もしくは、プログラムされた最大吸引容積に到達する際、モータは停止する。すると、ユーザは、ピペット方向を変更し、これにより、ユーザが図10Bに示すように実行ボタン(18)を押すと、ピペット(10)は分注を行う。ユーザが実行ボタン(18)を押すと、ピペット(10)は分注を行うので、チップ内に残る容積は、図10Bに示すように、活発に表示される。
【0053】
ユーザが吸引容積と最後の分注容積をプログラムしなければいけない点を除いては、「逆ピペット」モード(82)はまた、「ピペット」モード(72)と、類似する。最後の分注容積は、最初の分注の後にチップに残った液体の量を示す。そして、その液体の量は、上述したように、ピペットのエラーを累積する。「逆ピペット」モード(82)において、チップ内に最後の容積(累積したエラーを伴う)を維持した状態で、ユーザは吸引及び分注のサイクルを何度も繰り返す。通常の分注段階の後に、「逆ピペット」モード(82)において噴き出しはない。これにより、空気が試料へと導かれるのを妨げる。吸引参照テーブルは、吸引のストロークに用いられる。一方、分注参照テーブルは、上述において組み込まれた「Electronic Pipettor Assembly」というタイトルが付された、同時係属中の特許出願に開示されている。このようにして、複数の吸引及び分注サイクルが実行されると、累積されたエラーが最後の分注容積に残っている。噴出すことなく、選択された容積を分注するために、チップ内で最後の分注容積を維持し、ユーザが実行ボタン(18)を押したままにする。実行ボタン(18)を離すと、ユーザは実行ボタン(18)を用いることで再びプログラムされた容積を吸引可能である。好ましくは、吸引及び分注プロセスを停止するために、ユーザは、あらゆる分注段階の開始時に、実行ボタン(18)を押して離す。最後の分注の間、ユーザは実行ボタン(18)を押したままにすることで2段階の噴出しが行われることが可能になるように、ソフトウェアがプログラムされる。
【0054】
「可変分注」モード(84)において、ユーザは分注のペースを選択可能であり、カウント及び各カウントの分注容積を編集可能である。これらの選択は、一般的に前述したのと同じ方法で実行される。あまりないが、別々の分注の容積は、各カウントでプログラムされなければならないといった例外が存在する。「可変分注」モード(84)は、多数の容積を繰り返し分注するのに用いられる。そして、吸引容積が自動的に計算される。このモード(84)は、例えば、試薬もしくは分注容積が、希釈系列を設定するのに必要とされる際に役に立つ。
【0055】
ピペット(10)がプログラムされた後で、ユーザは、実行ボタン(18)を押して離すことで、「可変分注」モードを実行し、最初の吸引段階を開始する。試料が吸引されると、ユーザは実行ボタン(18)を押したままにして、各プログラムされた分注容積でペースされた分注を実行する。もしくは、ユーザが連続的に分注段階を押して離すことが可能である。ディスプレイは、分注の「カウント」数を示す。そして、この数は、廃棄容積の量を除去しようとする際、つまり最後の分注の際に、増分を停止する。この場合も、先の全ての分注から累積されたエラーを備える廃棄容積が到達すると、ピペット(10)は、好ましくは、警告音を発する。その時点で、ユーザが実行ボタン(18)を押し続けると、最後の廃棄容量が空になる。
【0056】
図4の「可変吸引」モード(86)は、1以上のプログラムされた容積を連続的に(同一のチップ内で)吸引するのに用いられる。このモードにおいて、ユーザは、スピード、カウント及び各カウントの吸引容積をプログラム可能である。吸引容積が周知となっている場合、このモード(86)は、様々な収集に応用するのに用いられる。例えば、マイクロウェルプレートにおける上澄みの収集もしくはユーザのバイアルをテストするのに非常に適している。
【0057】
「可変吸引」モード(86)を動作させるために、ピペットチップ(14)が液体に配され、ユーザが実行ボタン(18)を押して離すことで、第2の吸引容積の吸引が開始される。ピペットチップ(14)はそれから同一もしくは異なる液体に移動され、実行ボタンをおして離すことで、第2の吸引容積の吸引が開始される。このプロセスは、ユーザによりプログラムされる通りに繰り返される。プログラムされた数の吸引段階が完了した後、ユーザが実行ボタン(18)押したままにすることで、2つの段階の噴き出しを含んだ十分な分注が行われる。
【0058】
「試料希釈/混合」(88)は「試料希釈」モード(76)と、その後に続く「ピペット/混合」モード(78)に関する上述の混合サイクルとの組合せである。
【0059】
図4における「段階希釈」モード(90)により、特定の容積の吸引を可能とし、その後、連続的な混合を行い、チップ内で新しい吸引容積で終わる。このモードを用いることで、プレート、バイアルもしくはチューブにおいて段階的な希釈を実行するのに用いられる。一旦プログラムされ、ピペット(10)上の実行ボタン(18)を押して離すと、吸引が開始する。吸引後、実行ボタンが押されて離されてから、分注及び連続的な混合が開始される。この処理は、プログラムされるように多数の配列が続けられる。好適には、配列及び混合サイクルは、実行メニューのディスプレイで追跡される。混合サイクルは1つのカラーで示される。例えば混合時は赤である。各サイクルの記録は、2混合2のように、2つの数で示される。最初の番号は、配列カウンタであり、2番目の番号は、混合サイクルである。配列の番号における点は、進行中のプログラム段階を示す。
【0060】
前もって定義されたアルゴリズムを有する機能的なプログラムモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)に加えて、ピペット(10)は、また、カスタムプログラムモード(92)、即ち図4Cにおける「カスタム」モード(92)を提供する。好適な実施例において、カスタムプログラムモード(92)により、吸引、混合、分注及び除去の4つの基本的な機能を用いて、複数の段階のピペットプロトコルを生成及び保存することが可能である。ユーザは、メモリにおいて、多くのカスタムプログラム、例えば10までのカスタムプログラムを生成及び保存可能である。好ましくは、各プログラムは、前もって定義された最大数の段階、例えば50の検証可能な段階しか含まない。各プログラムは、カスタム1、カスタム2などの自動的に名前が付される。ピペット(10)にワイヤレスブルートゥース通信装置などのPC通信装置が実装されると、カスタムプログラムは、好ましくは、PC及び/または使用される異なるピペット(10)から呼び出されて、保存される。
【0061】
「カスタム」モード(92)において、各プログラムは、吸引もしくは混合の命令のいずれかから始まる。新しいカスタムプログラムを生成及び保存するために、ユーザは、タッチパッド制御を用いて、メインメニュー(60)から「カスタム」モード(92)を選択することで、図11Aに示すように、メインカスタム画面(180)が表示される。それから、ユーザが矢印(182)で示されるピペット(10)上の右ナビゲーションボタン(52)を押すことで、例えば図11Bにおいてカスタム1画面(184)と表示するように、カスタムプログラム編集画面を立ち上げる。プログラムは、例えば、カスタム1(しかしながら、後述するが、キーバッドの機能を用いることで、もしくは、PC通信装置を用いることで、変更可能である)のように、自動的に名前が付される。タッチパッド制御(30)を用いることで、ユーザは(図11Bにおいて、反転表示された領域(186)により示される)カスタムプログラムにおいて、第1段階(185)を選択する。このことは、上述したように、吸引もしくは混合のいずれかであるが、その後、タッチパッド制御(30)上のOKボタン(48)を押す。図11Cの編集画面(184)は、カスタムプログラムの例において第1段階は吸引段階であることを示し、該画面は、第1段階の吸引容積として、容積設定のゲージ(192)を有するポップアップ画面(190)をさらに示す。第1段階がプログラムされた後に、図11Dのカスタム編集画面(184)は、第1段階(1吸引50)が入力されていることを示し、ユーザに新しい段階を入力し、前の段階を編集し、もしくは前の段階を削除することを促している。「新しい段階」のオプションが図11Dのメニューから選ばれると、ユーザは再びタッチパッドを使用し、図11Bが示すように吸引、分注、混合もしくは除去の次の段階の動作を選択させる。そして、図11Cで示すように適切な容積を設定する。ユーザが前の段階を編集したい場合、タッチパッド制御(30)が用いられることで、編集したい動作の段階を選択し、その後、再び図11Dの「編集段階」のオプションを選択する。そして、ソフトウェアは、図11B及び図11Cの処理に必ず戻り、特定の段階を編集する。
【0062】
カスタムプログラムを実行するために、ユーザは「カスタム」モード(92)をメインメニュー(60)から選択し、メインカスタム画面(180A)を表示する。このことは、3つのカスタムプログラム、即ち「カスタム1」、「カスタム2」、「カスタム3」を有する図12Aにおいて、示される。ユーザは、タッチパッド制御(30)を用いて、OKを押すことで、カスタムプログラムの1つを選択し、例えば、図12bに示されるカスタム実行のような各カスタム実行画面(194)を画面(194)に提示する。その後、ユーザは実行ボタン(18)を押して離すと、カスタムプログラムにおける第1プログラム段階を開始する。代替的に、ユーザはピペットスピードを編集可能であり、プログラム編集モードを入力可能であり、もしくは図12bに示すように「ヘルプ」機能にアクセス可能である。一旦設定されると、実行ボタン(18)を押して離すと、第1プログラム段階が開始される。ユーザにより左ナビゲーションボタン(54)が押されることで、図12aに示されるカスタムプログラムのオプションを選択する。図12cにおいて、視認/編集機能により、所望で、ユーザは、特定のカスタムプログラムを見直し、変更することが可能である。削除機能により、ユーザは特定のカスタムプログラムを削除可能である。コピー機能によりユーザは特定のカスタムプログラムをコピー可能である。ユーザが図12bに示すようにカスタムプログラムを実行することを選択すると、実行画面(194)は、点の付いた現在のピペット段階を表示し、該点は、実行ボタン(18)の起動により実行されている現在の段階を示す。実行ボタン(18)は、一般的に、機能に基づくモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)と同じように、あらゆるピペットの段階を開始するのに用いられる。
【0063】
ソフトウェアは、ピペット(10)のカスタムプログラムを制約する制限もしくはルールを備えることが好ましい。例えば、各全てのプログラムは、除去メッセージが自動的にディスプレイに現れる最後の段階を備えることが好ましい。もしくは、例えば、吸引及び分注容積の組み合わせが不可能である場合、ピペットは必要な調整を行うようにプログラムされる、もしくは、エラーが出されたことを単に示される。
【0064】
図4において、「ツールボックス」オプション(94)を示す。この「ツールボックス」オプションは、好適な実施例において、ユーザはさまざまなサブメニュー、即ち、「優先」、「較正及びサービス」、「ワイヤレス」及び「所有者情報」を選択することが可能である。「優先」のサブメニューにおいて、ユーザは段階の完了、プログラムの完了、除去キー、若しくはエラーメッセージ等がある際に、警告音を選択することが可能である。ユーザは、例えば、ディスプレイ、壁紙などだけでなく、ディスプレイが暗くなる時間及び消去時間を設定することが可能である。好ましくは、スタートアップしてすぐに、数秒で現れるスタートアップ画面を備える。スタートアップ画面はこのましくはプログラム可能であり、これにより、該画面は、製造業者のロゴもしくは個人の図柄もしくは情報を含む。従って、例えばシステムの識別に用いられることが可能である。上述したように、「Electronic Pipettor Asembly」というタイトルが付された同時係属中の特許出願に組み込まれるが、好適なピペット(10)は少なくとも1メガバイトのフラッシュメモリを備えることが好ましい。このフラッシュメモリは、スタートアップ画面の情報、図柄もしくはロゴを保存するのに非常に適している。好ましくは、ピペット(10)が充電されると、スタートアップ画面が表示される。例えば、複数のピペット(10)の充電スタンドを有する実験室では、自分の名前が入れることが可能であるのが望ましい。さらに、「優先」のサブメニューから、ユーザは、機能に基づくプログラムモード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)のうちどれをメインメニュー(60)に表示させるかを選択可能である。例えば、モード(72,74,76,78,80,82,84,86,88及び90)のうち1もしくはそれ以上を停止することを望む場合である。
【0065】
「較正」のサブメニューは好ましくは、較正が必要な際のリマインダもしくはタイマ、サービス履歴、及び機能的な一定の較正を備える。あらゆる適切な一定の較正が実行され、例えば、卓上の有効な較正プロトコルに従って、フラッシュメモリ内の吸引及び/又は分注テーブルの移動などが実行される。
【0066】
「ワイヤレス」サブメニューは、例えば、PCの有するブルートゥースワイヤレス通信装置の使用を可能とするソフトウェアを備える。
【0067】
「所有者情報」のサブメニューは、氏名及び住所などのユーザの情報を入力するとともに、器具のシリアル番号を確認することが可能である。好ましくは、「所有者情報」画面は、タッチパッド制御でキーボードディスプレイをナビゲートすることで、個々に選択、入力及び編集可能なアルファベットや数値の文字のキーボードディスプレイを備える。
【0068】
本発明の好適な実施例について、上述している。本明細書記載の全ての特徴を具体化していないが、様々な本発明の特徴がピペットにおいて用いられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザにより作動される前記本体の前面に配されたタッチパッド制御と、
ユーザにより作動される前記ピペットに配された実行ボタンと、
前記タッチパッド制御の上部で、ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムすることを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項2】
前記タッチパッド制御は、円形のタッチパッドを備え、該タッチパッドにおける、親指もしくは指の回転運動がディスプレイの上下のカーソル運動に変換され、
前記タッチパッド制御は、さらに、
前記円形タッチパッドの中心に配されるエンターボタンを備えることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項3】
前記円形のタッチパッドは、4つのセレクタ部位、即ち、前記円形タッチパッドの上部に配された戻るボタン、前記円形のタッチパッドの下部に配された除去ボタン、及び前記円形タッチパッドの左右側に配された左右ナビゲーションボタンをそれぞれ備えることを特徴とする、請求項2記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項4】
容積の選択はユーザインターフェースディスプレイにグラフ表示され、ソフトウェアは、ピペットの最小値から最大値に及ぶ前記容積の選択に利用可能な容積を示すグラフのゲージを用いて、グラフ表示された容積選択を制御し、ユーザは前記タッチパッド制御を用いて所望の容積へスクロールすることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項5】
前記ディスプレイはグラフのポインタを用いて、容積選択の値へのスクロールを示すことを特徴とする、請求項4記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項6】
容積選択の値への前記スクロールは、アルファベットや数値の文字で表示されることを特徴とする、請求項5記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項7】
前記タッチパッド制御は、円形のタッチパッドを備え、該タッチパッドにより、ユーザは、ユーザの親指もしくは指を前記円形タッチパッドの周囲において時計回りもしくは反時計回りのいずれかの方向に回転させることにより、所望の容積を選択可能であり、前記ピペットはさらに粗設定及び微設定を有し、ユーザが微設定よりも粗設定を用いることで、より少ない回転で容積の選択に利用可能な全領域の値をナビゲートできることを特徴とする、請求項2記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項8】
全領域の容積選択は、前記粗設定において、3と2分の1未満の回転で達することが可能であることを特徴とする、請求項7記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項9】
前記ソフトウェアは、1もしくは1以上のお気に入りの容積選択をコンピュータメモリ内に保存されるようプログラム可能であることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項10】
利用可能である相対的なピペットスピードは、ユーザインターフェースディスプレイにグラフ表示され、前記ソフトウェアは、最小値から最大値にまで及ぶ利用可能である相対的ピペットスピードの選択を示すグラフのゲージを用いることで、グラフ表示されるピペットスピードの選択を制御し、ユーザが所望の相対的なピペットスピードへと前記タッチパッド制御を用いてスクロールすることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項11】
特定の処理における連続的な吸引もしくは分注段階の所望の全カウント値は、ユーザインターフェースディスプレイにグラフ表示され、少なくとも部分的に、グラフのゲージを用いることでソフトウェアが所望のカウント値のグラフ表示を制御し、前記グラフ表示から、ユーザは前記タッチパッド制御を用いて、前記所望のカウントを選択し、そしてさらに前記グラフゲージ位置に対応する前記全カウント値が、アルファベットや数値の文字で示されることを特徴とする、請求項4記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項12】
前記ソフトウェアは、実行ボタンが動作されると、分注が繰り返される間の継続時間を設定するペース選択を備え、前記ペース選択は少なくとも無、遅、中及び速の設定を備え、これら設定は、ユーザインターフェースディスプレイに表示され、前記タッチパッド制御を介して、ユーザにより選択もしくは編集可能であることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項13】
前記選択されるピペットモードの段階もしくは一定のカスタム動作は、前記処理が実行される間、ディスプレイに示され、これにより、前記第1の段階が完了した後、及び処理が表示される最後の段階が開始される前に、少なくとも3つの処理の段階が表示され、表示された段階は以前に完了した段階、現在の段階及び次の段階であることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項14】
各ピペットモードのソフトウェアは、前記選択したピペットモード、一定の動作を通じ段階を追ってユーザに指示する実行画面、及び前記選択されたプログラムをどのように実行するかの説明にアクセス可能な手段をユーザに提供するヘルプ画面に関する変数をユーザは編集可能であることを特徴とする、請求項13記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項15】
前記各編集画面は、同一の主要な背景色を有し、実行画面のそれぞれもまた、前記編集画面の主要な背景色とは異なる主要な背景色を有し、各ヘルプ画面もまた、前記編集画面及び実行画面の主要な背景色とは異なる背景色を有することを特徴とする、請求項14記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項16】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザインターフェースディスプレイと、
プログラム可能なマイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、ユーザインターフェースに表示される情報を制御するとともに、前記ピペットを動作させるために前記マイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、前もって定義されたアルゴリズムに基づいて少なくとも1つのプログラム可能なピペットモードを提供し、さらに、編集可能な一定のカスタムピペット動作を作成する能力を提供することを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項17】
前記ソフトウェアは、前もって定義されたアルゴリズムに基づき、ピペット、分注繰返し、試料希釈、ピペット/混合、手動のピペット、逆ピペット、可変分注、可変吸引、試料希釈/混合、及び段階希釈のプログラム可能なピペットモードの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項16記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項18】
吸引容積の編集能力、分注容積の編集能力、最後の分注容積の編集能力、ピペットスピードの編集能力、連続的分注の間におけるペースの編集能力、連続的な分注もしくは吸引段階のカウントを提供する能力のオプションのうち、1もしくは1以上のプログラム可能なピペットモードが利用できることを特徴とする、請求項14記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項19】
少なくとも1つの前記プログラム可能なピペットモードは、手動のピペットモードであり、前記ピペットが手動のピペットモードである時に、前記ピペットは、吸引方向と分注方向の間で前記ピペットの方向を変更する能力を備えることを特徴とする、請求項16記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項20】
前記プログラム可能なピペットモードは、メインメニューからアクセス可能であり、ユーザは、1もしくは1以上のプログラム可能なピペットモードを前記メインメニューから除去する機能が提供されることを特徴とする、請求項16記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項21】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザプログラム入力装置と、
前記ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、前記ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、ピペットの最小値から最大値に及ぶ容積の選択に利用可能な値を示すグラフのゲージを用いて、グラフ表示された容積選択を制御し、
ユーザは、前記ユーザプログラム入力装置を用いて所望の値を選択することで、前記ユーザインターフェースディスプレイ上のグラフのポインタを移動させることを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項22】
前記ソフトウェアは、コンピュータメモリ内で、1もしくは1以上のお気に入りの容積の選択を保存するようプログラムされることを特徴とする、請求項21記載のハンドヘルド型の電子ピペット
【請求項23】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザプログラム入力装置と、
前記ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、前記ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、エラーメッセージを表示する一定のエラーチェック動作を備え、プログラム機能が前もって定義された容積の制限を越えると、ユーザは不正なプログラムを保存不可能であるが、ユーザがプログラム作成を継続することは可能であり、前記一定のエラーチェック動作により、前記一定のプログラム動作が適正であると判断されると、表示されたエラーメッセージを変更し、プロンプトを保存することを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項24】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザプログラム入力装置と、
前記ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
フラッシュメモリと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、前記ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、個人用のスタートアップ画面を備え、個人の図柄もしくは情報に関するデータは、フラッシュメモリ内に保存及び再プログラム可能であることを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項1】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザにより作動される前記本体の前面に配されたタッチパッド制御と、
ユーザにより作動される前記ピペットに配された実行ボタンと、
前記タッチパッド制御の上部で、ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムすることを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項2】
前記タッチパッド制御は、円形のタッチパッドを備え、該タッチパッドにおける、親指もしくは指の回転運動がディスプレイの上下のカーソル運動に変換され、
前記タッチパッド制御は、さらに、
前記円形タッチパッドの中心に配されるエンターボタンを備えることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項3】
前記円形のタッチパッドは、4つのセレクタ部位、即ち、前記円形タッチパッドの上部に配された戻るボタン、前記円形のタッチパッドの下部に配された除去ボタン、及び前記円形タッチパッドの左右側に配された左右ナビゲーションボタンをそれぞれ備えることを特徴とする、請求項2記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項4】
容積の選択はユーザインターフェースディスプレイにグラフ表示され、ソフトウェアは、ピペットの最小値から最大値に及ぶ前記容積の選択に利用可能な容積を示すグラフのゲージを用いて、グラフ表示された容積選択を制御し、ユーザは前記タッチパッド制御を用いて所望の容積へスクロールすることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項5】
前記ディスプレイはグラフのポインタを用いて、容積選択の値へのスクロールを示すことを特徴とする、請求項4記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項6】
容積選択の値への前記スクロールは、アルファベットや数値の文字で表示されることを特徴とする、請求項5記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項7】
前記タッチパッド制御は、円形のタッチパッドを備え、該タッチパッドにより、ユーザは、ユーザの親指もしくは指を前記円形タッチパッドの周囲において時計回りもしくは反時計回りのいずれかの方向に回転させることにより、所望の容積を選択可能であり、前記ピペットはさらに粗設定及び微設定を有し、ユーザが微設定よりも粗設定を用いることで、より少ない回転で容積の選択に利用可能な全領域の値をナビゲートできることを特徴とする、請求項2記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項8】
全領域の容積選択は、前記粗設定において、3と2分の1未満の回転で達することが可能であることを特徴とする、請求項7記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項9】
前記ソフトウェアは、1もしくは1以上のお気に入りの容積選択をコンピュータメモリ内に保存されるようプログラム可能であることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項10】
利用可能である相対的なピペットスピードは、ユーザインターフェースディスプレイにグラフ表示され、前記ソフトウェアは、最小値から最大値にまで及ぶ利用可能である相対的ピペットスピードの選択を示すグラフのゲージを用いることで、グラフ表示されるピペットスピードの選択を制御し、ユーザが所望の相対的なピペットスピードへと前記タッチパッド制御を用いてスクロールすることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項11】
特定の処理における連続的な吸引もしくは分注段階の所望の全カウント値は、ユーザインターフェースディスプレイにグラフ表示され、少なくとも部分的に、グラフのゲージを用いることでソフトウェアが所望のカウント値のグラフ表示を制御し、前記グラフ表示から、ユーザは前記タッチパッド制御を用いて、前記所望のカウントを選択し、そしてさらに前記グラフゲージ位置に対応する前記全カウント値が、アルファベットや数値の文字で示されることを特徴とする、請求項4記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項12】
前記ソフトウェアは、実行ボタンが動作されると、分注が繰り返される間の継続時間を設定するペース選択を備え、前記ペース選択は少なくとも無、遅、中及び速の設定を備え、これら設定は、ユーザインターフェースディスプレイに表示され、前記タッチパッド制御を介して、ユーザにより選択もしくは編集可能であることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項13】
前記選択されるピペットモードの段階もしくは一定のカスタム動作は、前記処理が実行される間、ディスプレイに示され、これにより、前記第1の段階が完了した後、及び処理が表示される最後の段階が開始される前に、少なくとも3つの処理の段階が表示され、表示された段階は以前に完了した段階、現在の段階及び次の段階であることを特徴とする、請求項1記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項14】
各ピペットモードのソフトウェアは、前記選択したピペットモード、一定の動作を通じ段階を追ってユーザに指示する実行画面、及び前記選択されたプログラムをどのように実行するかの説明にアクセス可能な手段をユーザに提供するヘルプ画面に関する変数をユーザは編集可能であることを特徴とする、請求項13記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項15】
前記各編集画面は、同一の主要な背景色を有し、実行画面のそれぞれもまた、前記編集画面の主要な背景色とは異なる主要な背景色を有し、各ヘルプ画面もまた、前記編集画面及び実行画面の主要な背景色とは異なる背景色を有することを特徴とする、請求項14記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項16】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザインターフェースディスプレイと、
プログラム可能なマイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、ユーザインターフェースに表示される情報を制御するとともに、前記ピペットを動作させるために前記マイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、前もって定義されたアルゴリズムに基づいて少なくとも1つのプログラム可能なピペットモードを提供し、さらに、編集可能な一定のカスタムピペット動作を作成する能力を提供することを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項17】
前記ソフトウェアは、前もって定義されたアルゴリズムに基づき、ピペット、分注繰返し、試料希釈、ピペット/混合、手動のピペット、逆ピペット、可変分注、可変吸引、試料希釈/混合、及び段階希釈のプログラム可能なピペットモードの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項16記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項18】
吸引容積の編集能力、分注容積の編集能力、最後の分注容積の編集能力、ピペットスピードの編集能力、連続的分注の間におけるペースの編集能力、連続的な分注もしくは吸引段階のカウントを提供する能力のオプションのうち、1もしくは1以上のプログラム可能なピペットモードが利用できることを特徴とする、請求項14記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項19】
少なくとも1つの前記プログラム可能なピペットモードは、手動のピペットモードであり、前記ピペットが手動のピペットモードである時に、前記ピペットは、吸引方向と分注方向の間で前記ピペットの方向を変更する能力を備えることを特徴とする、請求項16記載のハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項20】
前記プログラム可能なピペットモードは、メインメニューからアクセス可能であり、ユーザは、1もしくは1以上のプログラム可能なピペットモードを前記メインメニューから除去する機能が提供されることを特徴とする、請求項16記載のハンドヘルド型電子ピペット。
【請求項21】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザプログラム入力装置と、
前記ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、前記ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、ピペットの最小値から最大値に及ぶ容積の選択に利用可能な値を示すグラフのゲージを用いて、グラフ表示された容積選択を制御し、
ユーザは、前記ユーザプログラム入力装置を用いて所望の値を選択することで、前記ユーザインターフェースディスプレイ上のグラフのポインタを移動させることを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項22】
前記ソフトウェアは、コンピュータメモリ内で、1もしくは1以上のお気に入りの容積の選択を保存するようプログラムされることを特徴とする、請求項21記載のハンドヘルド型の電子ピペット
【請求項23】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザプログラム入力装置と、
前記ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、前記ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、エラーメッセージを表示する一定のエラーチェック動作を備え、プログラム機能が前もって定義された容積の制限を越えると、ユーザは不正なプログラムを保存不可能であるが、ユーザがプログラム作成を継続することは可能であり、前記一定のエラーチェック動作により、前記一定のプログラム動作が適正であると判断されると、表示されたエラーメッセージを変更し、プロンプトを保存することを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【請求項24】
ハンドヘルド型の電子ピペットであって、
ユーザの手で保持するのに適合した細長の本体と、
ユーザプログラム入力装置と、
前記ピペットの前面に配されるユーザインターフェースディスプレイと、
マイクロプロセッサと、
フラッシュメモリと、
メニューで操作するソフトウェアを備え、該ソフトウェアは、前記ユーザインターフェースディスプレイに表示される情報を制御するとともに、ピペットを作動するためにマイクロプロセッサをプログラムし、
前記ソフトウェアは、個人用のスタートアップ画面を備え、個人の図柄もしくは情報に関するデータは、フラッシュメモリ内に保存及び再プログラム可能であることを特徴とする、ハンドヘルド型の電子ピペット。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図9h】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図9f】
【図9g】
【図9h】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【公表番号】特表2010−539489(P2010−539489A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525031(P2010−525031)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/076190
【国際公開番号】WO2009/039037
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510003612)ヴィアフロ コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/076190
【国際公開番号】WO2009/039037
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510003612)ヴィアフロ コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】
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