説明

ピリミジン化合物を製造するための方法

【課題】ピリミジン化合物を製造するための方法及び有用な中間体の提供。
【解決手段】式RN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させジヒドロピリミジンを構築すること、及びそのジヒドロピリミジンを酸化して式(1)の化合物を構築する方法。RはH又はアルキル基であり、RはH、アルキル基又はアリール基であり、RとRはそれぞれ独立に、H、アルキル基又はアリール基であるか、又はRとRはそれらが結合している窒素原子と共に5乃至7員へテロ環を形成してもよく、EはH、非置換アルキル基、アリール基又は電子吸引基であり、そして、X及びXはそれぞれ独立に脱離基であるか、又はXとXとで=Oを表す。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はピリミジン化合物を製造するための方法、及びその製造において有用な中間体化合物に関する。
置換ピリミジン化合物は、特に医薬産業において有用な化合物である。ある種の2−アミノピリミジン化合物は医薬化合物、とりわけ、高コレステロール血症、高リポタンパク血症及び関節硬化症の治療に有用な医薬化合物、の製造において使用される中間体である。置換ピリミジン化合物への合成経路はEP−A−0521471及びWO01/04100に開示されている。それでもなお、置換ピリミジン化合物の製造のための他の経路を発見するという要望がある。
【0002】
本発明の第一の態様によれば、式(1)の化合物を製造するための方法であって、
【0003】
【化1】

【0004】
a)式RN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させジヒドロピリミジンを構築すること、及び
b)工程a)で生成した前記ジヒドロピリミジンを酸化して式(1)の化合物を構築すること、
を含む方法が提供される。
【0005】
式中、RはH又はアルキル基であり、RはH、アルキル基又はアリール基である。RとRはそれぞれ独立に、H、アルキル基又はアリール基であるか、又はRとRはそれらが結合している窒素原子と共に5乃至7員へテロ環を形成してもよい。EはH、非置換アルキル基、アリール基又は電子吸引基である。そして、X及びXはそれぞれ独立に脱離基であるか、又はXとXとで=Oを表す。
【0006】
工程a)で構築されたジヒドロピリミジンは式(2)で表すことができる。
【0007】
【化2】

【0008】
式(2)の化合物はいくつかの互変異性体として存在できるということが認識されるべきである。そして、互変異性体では二重結合は分子内の他の位置、特にピリミジン環周りの他の位置に非局在化している。何らかの理論に結びつけられることを望むのではないが、ある式(2)の化合物に対しては、式(2a)の互変異性体の構造が支配的であると考えられる。
【0009】
【化3】

【0010】
で表されるアルキル基は、直鎖、分岐及び環状のアルキル基を含み、それらは通例、1乃至8個の炭素原子を含む。好適な環状アルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基を含む。好適な直鎖及び分岐のアルキル基はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基を含む。より好ましくは、Rはイソプロピル基である。
【0011】
で表されるアルキル基は前記Rについてのものと同様である。
で表されるアリール基はホモアリール及びヘテロアリール基を含み、通例、5乃至7員芳香環の少なくとも一つを含む。アリール基の例は、フェニル基、ナフチル基及びピリジル基を含む。より好ましくは、Rはフェニル基である。
【0012】
及びRで表されるアルキル基及びアリール基は、前記RとRについて述べたものと同様である。ある好ましい実施態様においては、Rはメチル基であり、RはHである。別の好ましい実施態様においては、R及びRが共にHである
、R、R及びRで表されるアルキル基及びアリール基は非置換であってもよく、又は、一つ以上の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、置換されていてもよいアルコキシ(好ましくはC1−4アルコキシ)、置換されていてもよいアルキル(好ましくはC1−4アルキル)、置換されていてもよいアリール(好ましくはフェニル)、置換されていてもよいアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、置換されていてもよいヘテロ環、ポリアルキレンオキシド(好ましくはポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド)、カルボキシ、オキソ、ホスフェート、スルホ、ニトロ、シアノ、ハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ウレイド、−SOF、ヒドロキシ、エステル、−NR、−COR、−CONR、−NHCOR、カルボキシエステル、スルホン及び−SONRである。ここで、R及びRは、それぞれ独立に、H、置換されていてもよいアルキル(好ましくはC1−4アルキル)又は置換されていてもよいアリール(好ましくはフェニル)である。また、−NR、−CONR及び−SONRの場合は、R及びRはそれらが結合している窒素原子と共に脂環構造又は芳香環構造を表してもよい。前記の置換基に対する任意の置換基は、前記の置換基の同じリストから選択することができる。
【0013】
Eで表される非置換のアルキル基としては、Rに対して述べられた非置換のアルキル基である。
Eで表されるアリール基は、Rに対して述べられたものと同様である。
【0014】
Eで表される電子吸引基は、ニトロ基、ニトリル基、パーハロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基)、エステル基(特にアルキルカルボキシレート基)、スルホンアミド基、ケト基、アミド基、及びアルデヒド基(特にホルミル基)を含む。
【0015】
また、Eは式−CHXの基を表す。ここでX及びXは、それぞれ独立に、ハロ(特にクロロ基又はブロモ基)、アルコキシ基(特に、メトキシ又はエトキシ等のC1−4アルコキシ)又はアルキルチオ基(特にC1−4アルキルチオ)である。また、X及びXが連結して、それらが結合している炭素原子と共に環状アセタール又は環状チオアセタールを形成してもよい。そしてそれらの環は通例、5乃至7個の原子を環に含む。Eが式−CHXの基を表す場合、XがXと同じであることが好ましい。
【0016】
Eによって表される他の基は式−CHの基である。ここで、Eはハロ(特にブロモ又はクロロ)、又はリン原子含有部位を表す。リン原子含有部位としては、式−OP(=O)(OR等のホスフェートエステル、式−P(=O)(OR等のホスホネート、式−P(OR等のホスファイト、式−P(R等のホスフィン、又は式−P(=O)(R等のホスフィンオキシドである。ここで、Rはアルキル基(例えばC1−4アルキル)又はアリール基(例えばフェニル)を表す。Eがリン原子含有部位を表す場合、式−P(=O)(R等のホスフィンオキシドが好ましい。ここでRはメチル、エチル又はフェニルを表す。
【0017】
また、Eは、式−CR=CRの基を表す。ここで、R、R及びRはそれぞれ独立に、H、アルキル又はアリールを表す。好ましくは、RとRがHを表し、Rが置換されていてもよいC1−5アルキル鎖を表す。Rは好ましくは、二つのヒドロキシル基で置換されており、これは通例、保護された1,3−ジヒドロキシ部位として存在する。Rは好ましくは末端カルボキシル基、特にカルボキシエステル基を含む。Rは、より好ましくは下記の基である。
【0018】
【化4】

【0019】
式中、Rはアルキル基、好ましくはtert−ブチル基である。
式R−CO−CH−Eの化合物としては、特に、下記の化合物である。
【0020】
【化5】

【0021】
式中、Rはアルキル基、好ましくはtert−ブチル基である。
Eは、好ましくは、式−CO(C1−4アルキル)、特に−COMe、−COEt又は−COiPrを表す。
【0022】
及びXで表される脱離基はクロロ、ブロモ、ヨード、特にクロロ、及びアルコキシ基、特にメトキシ基等のC1−4アルコキシ基を含む。通例、X及びXが脱離基である場合、両者はクロロ、ブロモ及びヨードから選択されるか、又は、両者がアルコキシ基である。好ましくは、XとXとで=Oを表す。
【0023】
本発明の方法において使用される酸化剤は、ジヒドロピリミジンをピリミジンに酸化するための既存の酸化剤を含む。適当な酸化剤の例としては、クロラニル等のキノン類、特に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン等の置換ベンゾキノン類、臭素等のハロゲン類、マンガン酸バリウム、塩化銅(これらはフェナントロリンの存在下であってもよい)及び二酸化マンガン等の遷移金属酸化剤類、活性炭担持パラジウムや適切なプラチナ類金属等の金属酸化剤、及び単体硫黄を含む。好ましい酸化剤は、単体硫黄及び二酸化マンガンである。
【0024】
本発明のある実施態様、特にEがH又は非置換アルキル、特にHである場合には、工程a)の反応の生成物はジヒドロピリミジンではなく置換ピリミジンである。何らかの理論に結びつけられることを望むのではないが、形成されたジヒドロピリミジンが酸素の存在によってピリミジンに自動酸化されるか、又はジヒドロピリミジンの自己酸化又は不均化によるものと考えられる。
【0025】
式R−CO−CH−Eの好ましい化合物は、式(C1−4アルキル)−CO−CHCOの化合物である。ここでRはC1−4アルキルを表し、特にメチル、エチル又はイソプロピル基である。式R−CO−CH−Eの最も好ましい化合物は下記の化合物である。
【0026】
【化6】

【0027】
式(CHCH−CO−CH−CO−Cの化合物、特に式(CHCH−CO−CH−CO−CH(CHは本発明の一つの態様である。このような化合物は、メチルイソブチリルアセテート及びエチルイソブチリルアセテート等の類似の化合物について知られている方法と同様の方法によって製造することができる。
【0028】
式R−CHXの好ましい化合物は下記の化合物である。
【0029】
【化7】

【0030】
式中、Xは置換基、特にハロであり、nは0又は1乃至5である。好ましいXはクロロ又はフルオロ、アルキル(好ましくはメチル)、又はアルコキシ(好ましくはメトキシ)である。好ましいnは1であり、Xは4位の位置である。特に好ましい化合物は4−フルオロベンズアルデヒドである。
【0031】
式RN−C(=NH)NHの好ましい化合物はグアニジン及びメチルグアニジンである。式RN−C(=NH)NHの化合物は塩基フリー(free base)で使用されることもできるが、多くの実施態様においては、硝酸塩、炭酸塩又は硫酸塩、又は特に塩酸塩、等の塩として好都合に使用される。
【0032】
本発明において使用される好ましい触媒は、塩基である。
本発明の方法において使用される塩基は、好ましくは無機塩基である。無機塩基の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び炭酸水素塩を含む。特に、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム、及び好ましくは炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。
【0033】
本発明の方法の工程a)では、好ましくは、反応条件に対して不活性である溶媒が使用される。多くの実施態様において極性溶媒が使用され、好ましくは、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド及びテトラヒドロフラン等の非プロトン性極性溶媒が使用される。好ましい溶媒としては、また、N−メチルピロリジン、及び、特にジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド類である。所望により、溶媒を混合して使用することができる。
【0034】
本発明の多くの好ましい実施態様においては、状況に応じて溶媒の存在下で、式R−CO−CH−Eの化合物、式R−CHXの化合物及び式RN−C(=NH)NHの化合物を含む混合物が形成され、そして、この混合物に触媒が添加される。
【0035】
本発明の工程a)に用いられる反応条件は、方法により、例えば、使用される試薬及び/又は溶媒の性質に依存して、広範囲で変化されることができるということが認識されるべきである。工程a)では、通例、約50℃乃至約80℃、例えば、約55℃乃至約65℃の範囲の反応温度が使用される。多くの実施態様において、1.5:1乃至3.5:1、例えば2:1という、式RN−C(=NH)NHの化合物の式R−CO−CH−Eの化合物に対するモル比が好適に使用される。多くの実施態様において、式R−CO−CH−Eの化合物に対して式R−CHXの化合物は化学量論的モル比又は、例えば1.2:1までの小過剰のモル比で使用される。
【0036】
工程b)では、好ましくは、反応条件において不活性な溶媒が使用される。溶媒は、使用される酸化剤の性質に応じて選択され、そして、工程a)に対する前記の溶媒を含む。工程b)において使用される他の溶媒としては、トルエン等の炭化水素類、及びメチルターシャリーブチルエーテル等のエーテル類等の非極性溶媒を含む。所望により、溶媒を混合して使用することができる。
【0037】
本発明の方法の工程b)に用いられる反応条件は、例えば、使用される試薬及び/又は溶媒の性質に依存して、広範囲で変化されることができるということが認識されるべきである。工程b)では、通例、約50℃乃至約140℃、例えば、約100℃乃至約120℃の範囲の反応温度が使用される。多くの実施態様において、ジヒドロピリミジンに対して化学量論的モル比又は過剰量の酸化剤が使用される。好ましい実施態様においては、酸化剤としてはMnOが使用され、そして共沸条件が使用される。より好ましくは、溶媒としてはトルエンが使用され、ジヒドロピリミジンに対して2:1乃至4:1のモル比のMnOが使用される。
【0038】
式(2)の化合物及びその互変異性体、特に、Rが非置換フェニル又はo−ニトロフェニルの場合にEがHでなく、RとRが共に非置換アルキル基でなく、そしてRが−CHでない式(2a)の化合物は新規であり、従って、本発明の第二の態様を形成する。そのような化合物において、R及びRの少なくとも一つがHを表し、そしてRが一つ以上のハロゲンで置換されたフェニル基、特に4−フルオロフェニル基を表す場合が好ましい。
【0039】
本発明の第一の態様における工程a)が本発明の第三の態様を形成する。
本発明の第一の態様における工程b)が本発明の第四の態様を形成する。
及びRの一方又は双方がHである場合、式(1)又は式(2)の化合物は、試薬との反応により環外窒素原子上に置換基が導入されることができる。特に、アルキル基(特にメチル)、又は、アルキル又はアリールスルホニル基(特にメシル)が導入されることができる。
【0040】
本発明の好ましい態様において、式(3)の化合物を製造するための方法が提供される。
【0041】
【化8】

【0042】
その方法は、
a)式RHN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させて式(2)又は式(2a)で表されるジヒドロピリミジン(ただし、RはRを表し、RはHである。)を構築すること、
b)工程a)で生成した前記ジヒドロピリミジンを酸化して式(4)の化合物を構築すること、
【0043】
【化9】

【0044】
及び、c)前記式(4)の化合物と式RSO−Xの化合物を反応させて式(3)の化合物を構築すること、を含む。
式中、R、R、E、X及びXは前記の定義どおりであり、Rはアルキル基又はアリール基、好ましくはメチル基であり、RはH、アルキル基又はアリール基であり、そしてXは脱離基、好ましくはCl又はBrを表す。
【0045】
で表されるアルキル基及びアリール基は、Rに対して前述したものと同様である。多くの実施態様において、RはH又はメチル基を表す。
、R、E、X及びXに対する好ましいものは、前述したものである。
【0046】
本発明について、以下の実施例によってより詳細に述べるが、それらに限定されるものではない。
実施例
実施例1.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジン−5−カルボン酸メチルの製造
a)冷却器が装着され、窒素ラインに連結された100mlの2口丸底フラスコにp−フルオロベンズアルデヒド(0.57ml、5mmol)、メチルイソブチリルアセテート(“MIBA”、0.79g、5.5mmol)、グアニジン塩酸塩(1.19g、12.5mmol)、炭酸カリウム(2.76g、40mmol)、及び無水ジメチルホルムアミド(DMF)10mlが加えられた。その混合物が、撹拌されながら、20時間、70℃に加熱された。この間に、反応混合物は無色から黄色に変化した。冷却後、DMFが減圧下で除去され、そして、残留物がブライン(50ml)と酢酸エチル(200ml)に分配された。水層が酢酸エチル(200ml)で洗浄され、合わされた有機層が硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過された。減圧下で溶媒が除去され1gの黄色固体が得られた。HNMR及びLCは、2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチルが主成分(82%)であることを示した。
HNMR(250MHz,CSO);δ0.95−1.1(2xd,6H,CH(C),3.45(s,3H,O−CH),4.0(septet,1H,C(CH),6.1(broad s,2H,NH),7.1−7.3(m,5H,N−H及び4C−H aromatic)。
【0047】
b)脱気後、窒素で充填された25mlの3口丸底フラスコに2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチル(100mg)と無水THF15mlが加えられた。そして窒素雰囲気下、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(135mg、0.45mmol)が加えられた。その赤色溶液が室温で撹拌された。40分後、2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジン−5−カルボン酸メチルがHPLC及びLC−MSにより確認された。生成物は、他の方法で製造された高純度の標準品との比較によって同定された。両方の試料はHPLCで等しく溶出され、また、正及び負のエレクトロスプレー質量分析において同じイオンを示した。
【0048】
実施例2.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチルの製造
グアニジン塩酸塩(12.1g)、4−フルオロベンズアルデヒド(7.0g)、メチル 4−メチル−3−オキソペンタノエート(8.9g)、及びDMF(150ml)が、冷却器が装着され窒素ラインに連結された容器に加えられた。その混合物は、透明溶液となるまで撹拌された。炭酸カリウム(17.5g)が加えられ、混合物は70℃で3時間加熱された。反応混合物が室温まで冷却され、濾過された。それは2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチルを55%収率で含んでいた。減圧下で反応溶媒を除去し、得られた残渣オイルからアセトニトリルにより生成物を沈殿させ、そしてアセトニトリルより再結晶することによって分析用の試料を調製した。
HNMR(250MHz,CSO);δ0.95−1.1(2xd,6H,CH(C),3.45(s,3H,O−CH),4.0(septet,1H,C(CH),6.1(broad s,2H,NH),7.1−7.3(m,5H,N−H及び4C−H aromatic)。
【0049】
実施例3.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
グアニジン塩酸塩(24.1g)、4−フルオロベンズアルデヒド(13.9g)、エチル 4−メチル−3−オキソペンタノエート(16.2g)、及びDMF(300ml)が、冷却器が装着され窒素ラインに連結された容器に加えられた。その混合物は、透明溶液となるまで撹拌された。炭酸ナトリウム(26.8g)が加えられ、混合物は70℃で4時間加熱された。反応混合物は2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチルを75%収率で含んでいた。反応混合物のDMFが35−40質量%になるまで、減圧下でDMFが除去された。トルエン(112ml)が加えられ、温度が55℃に調節された。この溶液が、10%塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄され、10℃に冷却され、トルエン(32ml)で洗浄され、真空オーブン中50℃で乾燥された。
HNMR(250MHz,CSO);δ1.0(t,3H,CH),1.1(d,6H,CH(C),3.9(q,2H,CCH),4.05(septet,1H,C(CH),5.2(s,1H,N−C−H),6.1(broad s,2H,NH),7.1(t,2H,C−H aromatic),7.15−7.3(m,3H,N−H及び2C−H aromatic)。
【0050】
実施例4.イソプロピル 4−メチル−3−オキソペンタノエートの製造
メチル 4−メチル−3−オキソペンタノエート(304g)、イソプロピルアルコール(500ml)及びp−トルエンスルホン酸(3.8g)の混合物が、撹拌されながら90℃で加熱還流された。3時間後、400mlの溶媒が常圧下の蒸留によって回収された。新たなイソプロピルアルコールが加えられ、混合物はさらに3時間還流された。LCにおいて95:5の生成物:出発原料のピーク面積比が観測されて95%の変換が達成されるまで、蒸留、新たな溶媒の追加及び還流のサイクルが続けられた。残っている揮発性溶媒が蒸留によって除去され、得られた液体が10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄され、無水硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過されて、イソプロピル 4−メチル−3−オキソペンタノエートを透明な液体として得た(301g、83%)。
HNMR(250MHz,CSO);δ1.05,1.2(2xd,12H,C−CH(C,O−CH(C),2.7(septet,1H,C−C(CH),3.6(s,2H,CH),4.05(septet,1H,O−C(CH)。
【0051】
実施例5.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸イソプロピルの製造
グアニジン塩酸塩(12.1g)、4−フルオロベンズアルデヒド(7.0g)、イソプロピル 4−メチル−3−オキソペンタノエート(8.9g)及びDMF(150ml)が、冷却器が装着され窒素ラインに連結された容器に加えられた。その混合物は、透明溶液となるまで撹拌された。炭酸カリウム(17.5g)が加えられ、混合物は70℃で3時間加熱された。反応混合物が室温まで冷却され、濾過され、そして、減圧下でエバポレーションによって溶媒が除去された。得られたオイルは、水中、80℃で摩砕された。冷却後、得られたスラリーが濾過され、乾燥され、2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸イソプロピルを67%収率で得た。
HNMR(250MHz,CSO);δ0.9−1.15(d,12H,C−CH(C,O−CH(C),4.0(septet,1H,C−C(CH),4.75(septet,1H,O−C(CH),5.2(s,1H,N−C−H),6.1(broad s,2H,NH),7.1(t,2H,C−H aromatic),7.2(m,3H,N−H及び2C−H aromatic)。
【0052】
実施例6.4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
1−メチルグアニジン塩酸塩(8.25g)、4−フルオロベンズアルデヒド(4.2g)、エチル 4−メチル−3−オキソペンタノエート(5.0g)、及びDMF(100ml)が、冷却器が装着され窒素ラインに連結された容器に加えられた。その混合物は、透明溶液となるまで撹拌された。炭酸ナトリウム(4.0g)が加えられ、混合物は70℃で2時間加熱された。反応混合物が室温まで冷却され、濾過され、そして、減圧下でエバポレーションによって溶媒が除去された。得られたオイルは、水中、50℃で摩砕された。冷却後、得られたスラリーが濾過され、乾燥され、4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチルを63%収率で得た。
HNMR(250MHz,CSO);δ0.95−1.1(m,9H,CH及びCH(C),2.7(s,3H,NH−C),3.9(q,2H,CCH),4.0(septet,1H,C(CH),5.2(s,1H,N−C−H),6.4(broad s,1H,N−CH),7.1(t,2H,C−H aromatic),7.2(m,3H,N−H及び2C−H aromatic)。
【0053】
実施例7.4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(1−ピラゾリル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチルの製造
1H−ピラゾールカルボキシアミジン(Bernatowics,Wu及びMatsuedaの方法に従って製造された;J.Org.Chem.,52,2497−2502,1992;0.91g)、4−フルオロベンズアルデヒド(0.37g)、メチル 4−メチル−3−オキソペンタノエート(0.4g)、炭酸カリウム(1.38g)及びDMF(10ml)が小さな容器に加えられた。混合物が85℃で6時間加熱された。反応混合物が室温まで冷却され、濾過され、そして、溶媒が減圧下エバポレーションによって除去された。得られたオイルは水中で摩砕された。そして、得られたスラリーが濾過され、洗浄され、乾燥された。カラムクロマトグラフィーによって単離された主成分は4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(1−ピラゾリル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチルであった。
HNMR(250MHz,CSO);δ1.05−1.2(2xd,6H,CH(C),3.55(s,3H,O−CH),4.0(septet,1H,C(CH),5.5(s,1H,N−C−H),6.55(m,1H,pyrazolyl C−H),7.0(t,2H,phenyl C−H),7.3(m,3H,N−H及び2 phenylC−H),7.7(m,1H,pyrazolyl C−H),8.4(m,1H,pyrazolyl C−H)。
【0054】
実施例8.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジンの製造
グアニジン塩酸塩(1.19g)、4−フルオロベンズアルデヒド(0.62g)、3−メチル−ブタン−2−オン(0.47g)、及びDMF(20ml)がフラスコに加えられた。その混合物は、透明溶液となるまで撹拌された。ナトリウムtert−ブトキシド(2.36g)が加えられ、混合物は室温で18時間撹拌された。反応混合物は2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジンを30%収率で含んでいた。主生成物は、シリカ上、酢酸エチル/ヘキサン(1:4)で溶離したフラッシュカラムクロマトグラフィーによって単離された。
HNMR(250MHz,CDCl);δ1.25(d,6H,CH(C),2.8(septet,1H,C(CH),6.6(broad s,2H,NH),7.35(t,2H,C−H aromatic),8.15(m,2C−H aromatic)。
【0055】
実施例9.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチル(22.6g)がトルエン(150ml)に溶解され、溶液が得られるまで加熱された。二酸化マンガン(18.8g)がトルエン(150ml)のスラリーとして加えられ、混合物は変換が完結するまで、共沸条件下6時間還流された。少量の水がディーン・スタークトラップに回収された。スラリーが濾過され、減圧下でエバポレーションによって溶媒が除去され、2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルが結晶性固体として96%収率で得られた。
HNMR(250MHz,CSO);δ0.95(t,3H,CH),1.2(d、6H,CH(C),3.1(septet,1H,C(CH),4.05(q,2H,CCH),7.1(broad s,2H,NH),7.3(t,2H,C−H aromatic),7.55(m,2C−H aromatic)。
【0056】
実施例10.2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
二酸化マンガンの代わりに単体硫黄(4.7g)を使用し、反応時間を24時間として、実施例9に記載の方法が行われた。生成物はほぼ定量的な変換で得られた。
【0057】
実施例11.4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノ−ピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
2−アミノ−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチルの代わりに10mmolの4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−メチルアミノ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸エチルを使用し、そして、他の試薬及び成分を比例的に減少して使用して、実施例9に記載の方法が行われた。生成物はほぼ定量的な変換で得られた。
HNMR(250MHz,CSO);δ0.95(t,3H,CH),1.2(d、6H,CH(C),2.85(d,3H,N−CH),3.1(septet,1H,C(CH),4.05(q,2H,CCH),7.3(t,2H,C−H aromatic),7.45−7.65(broad s,3H,N−H及び2C−H aromatic)。
本発明のある態様:
22.式(3)の化合物を製造するための方法であって、
【0058】
【化10】

【0059】
a)式RHN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させジヒドロピリミジンを構築すること、
b)工程a)で生成した前記ジヒドロピリミジンを酸化して式(4)の化合物を構築すること、及び、
【0060】
【化11】

【0061】
c)前記式(4)の化合物と式RSO−Xの化合物を反応させて式(3)の化合物を得ること、を含む、上記方法
(式中、R、R、E、X及びXは請求項1の定義どおりであり、Rはアルキル基又はアリール基、好ましくはメチル基であり、RはH、アルキル基又はアリール基であり、そして、Xは脱離基、好ましくはCl又はBrである);
23.式(3)の化合物を製造するための方法であって、
【0062】
【化12】

【0063】
a)式RHN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させて式−NHRの環外基を有するジヒドロピリミジンを構築すること、
b)前記式(4)の化合物と式RSO−Xの化合物を反応させて式−N(R)SOの環外基を有するジヒドロピリミジンを構築すること、及び、
c)工程b)で生成した前記ジヒドロピリミジンを酸化して式(3)の化合物を構築すること、を含む上記方法
(式中、R、R、E、X及びXは請求項1の定義どおりであり、Rはアルキル基又はアリール基、好ましくはメチル基であり、RはH、アルキル基又はアリール基であり、そして、Xは脱離基、好ましくはCl又はBrである);
24.Rがイソプロピルであり、Rが4−フルオロフェニルであり、XとXとで=Oを表し、Rがメチルであり、Eが式−CO(C1−4アルキル)の基であり、そしてRがH又はメチルである、22又は23に記載の方法;
25.式(CHCH−CO−CH−CO−Cの化合物;
26.下記の式である、25に記載の化合物。
【0064】
【化13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)の化合物を製造するための方法であって、
【化1】

a)式RHN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させジヒドロピリミジンを構築すること、
b)工程a)で生成した前記ジヒドロピリミジンを酸化して式(4)の化合物を構築すること、及び、
【化2】

c)前記式(4)の化合物と式RSO−Xの化合物を反応させて式(3)の化合物を得ること、
を含む、上記方法
(式中、
はH又はアルキル基であり、
はH、アルキル基又はアリール基であり、
とRはそれぞれ独立に、H、アルキル基又はアリール基であるか、又はRとRはそれらが結合している窒素原子と共に5乃至7員へテロ環を形成してもよく、
EはH、非置換アルキル基、アリール基又は電子吸引基であり、
及びXはそれぞれ独立に脱離基であるか、又はXとXとで=Oを表し、
はアルキル基又はアリール基であり、
はH、アルキル基又はアリール基であり、そして
は脱離基である)。
【請求項2】
式(3)の化合物を製造するための方法であって、
【化3】

a)式RHN−C(=NH)NHの化合物と触媒の存在下で式R−CO−CH−Eの化合物と式R−CHXの化合物を反応させて式−NHRの環外基を有するジヒドロピリミジンを構築すること、
b)工程a)で生成した前記ジヒドロピリミジンと式RSO−Xの化合物を反応させて式−N(R)SOの環外基を有するジヒドロピリミジンを構築すること、及び、
c)工程b)で生成した前記ジヒドロピリミジンを酸化して式(3)の化合物を構築すること、
を含む上記方法
(式中、
、R、E、X及びXは請求項1の定義どおりであり、
はアルキル基又はアリール基であり、
はH、アルキル基又はアリール基であり、そして
は脱離基である)。
【請求項3】
がメチル基である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
がCl又はBrである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
がイソプロピルであり、Rが4−フルオロフェニルであり、XとXとで=Oを表し、Rがメチルであり、Eが式−CO(C1−4アルキル)の基であり、そしてRがH又はメチルである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(CHCH−CO−CH−CO−Cである式R−CO−CH−Eの化合物。
【請求項7】
下記の式である、請求項6に記載の化合物。
【化4】


【公開番号】特開2010−248222(P2010−248222A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142779(P2010−142779)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2005−502458(P2005−502458)の分割
【原出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】