説明

ファイバレーザ装置

【課題】不可視レーザ光の照射位置を正確に決めるとともに、可視レーザ光の損失を少なくする。
【解決手段】不可視レーザ光を発生し、デリバリファイバ34を介して出力するファイバレーザ装置1において、可視レーザ光を発生する可視レーザ光源(可視光LD40)と、発生された不可視レーザ光が出力される出力ファイバ33とデリバリファイバ34との接合部51〜57の近傍のクラッドに、可視レーザ光源40によって発生された可視レーザ光を導入する導入部(出力ファイバ33)と、加工対象物に対する不可視レーザ光の照射の位置決めを行う場合に、可視レーザ光源40を駆動し、可視レーザ光をデリバリファイバ34のクラッドを介して出射させ、当該加工対象物の加工位置に可視レーザ光を照射する駆動部(制御部20)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバレーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を用いて対象物を加工する場合、加工対象物上にレーザが照射される位置を決めるための位置決めをする必要がある。
【0003】
不可視レーザ光では、レーザ光を視認することができないので、従来においては、例えば、特許文献1,2に示すように、ハーフミラー等を用いて、不可視レーザ光の光軸と、可視レーザ光の光軸が一致するように調整しておき、可視レーザ光を用いて位置決めする技術が存在している。
【0004】
また、特許文献3には、不可視レーザ光を導波する光ファイバに平行するように、可視レーザ光を導波する光ファイバを配置し、出射部において各ファイバから出力されたレーザ光をレンズで集光し、出射部から所定の距離においてこれらが同じ位置に集光する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−13348号
【特許文献2】特開平07−116878号
【特許文献3】特開昭62−008748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1〜3に開示されている技術では、不可視レーザ光と可視レーザ光の導波ルートが異なることから、加工対象物上における照射位置にずれを生じ、その結果として、正確に位置決めをすることができないという問題点がある。また、可視レーザ光の経路において、光学的な損失を生じる光学素子が存在する場合には、可視レーザ光が減衰し、視認性が低下してしまうという問題点もあった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、不可視レーザ光の照射位置を正確に決めるとともに、可視レーザ光の損失が少ないファイバレーザ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、不可視レーザ光を発生し、デリバリファイバを介して出力するファイバレーザ装置において、可視レーザ光を発生する可視レーザ光源と、発生された前記不可視レーザ光が出力される出力ファイバと前記デリバリファイバとの接合部の近傍のクラッドに、前記可視レーザ光源によって発生された前記可視レーザ光を導入する導入部と、加工対象物に対する前記不可視レーザ光の照射の位置決めを行う場合に、前記可視レーザ光源を駆動し、前記可視レーザ光を前記デリバリファイバの前記クラッドを介して出射させ、当該加工対象物の加工位置に可視レーザ光を照射する駆動部と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、不可視レーザ光の照射位置を正確に決めるとともに、可視レーザ光の損失を少なくすることができる。
【0009】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記デリバリファイバは、クラッドを覆う被覆の屈折率が当該クラッドの屈折率よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、被覆から外に可視レーザ光が漏れ出ることを防止することで、可視レーザ光をクラッド内を効率よく伝播させることができる。
【0010】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記デリバリファイバは、前記可視レーザ光が伝搬する領域を形成するようにクラッドの屈折率の分布が設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、クラッドから外に可視レーザ光が漏れ出ることを防止することで、可視レーザ光をクラッド内を効率よく伝播させることができる。
【0011】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記導入部は、前記デリバリファイバの前記接合部の近傍のクラッドから前記可視レーザ光を導入することを特徴とする。
このような構成によれば、デリバリファイバのクラッドに可視レーザ光を導入することにより、可視レーザ光の損失を少なくすることができる。
【0012】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記デリバリファイバのクラッドは、前記出力ファイバのクラッドよりも径が大きく、前記導入部は前記接合部において、径方向にはみ出した部分の前記デリバリファイバのクラッドの端面から前記可視レーザ光を導入することを特徴とする。
このような構成によれば、クラッド内に可視レーザ光を効率よく導入することができる。
【0013】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記導入部は、前記デリバリファイバの前記接合部の近傍のクラッドの外周面から前記可視レーザ光を導入することを特徴とする。
このような構成によれば、可視レーザ光源に入射される戻り光を少なくすることができるので、可視レーザ光源の短命化や損傷を防ぐことができる。
【0014】
また、他の発明は、上記発明に加えて、前記導入部は、前記デリバリファイバの前記接合部の近傍のクラッドの外周面にクラッドが接触して配置され、前記可視レーザ光がクラッドを伝播する光ファイバを有し、当該光ファイバのクラッドを伝播する前記可視レーザ光が前記接触部分から、前記デリバリファイバの前記クラッドに入射されることを特徴とする。
このような構成によれば、クラッド内に可視レーザ光を効率よく導入することができるとともに、可視レーザ光源に入射される戻り光を少なくすることができるので、可視レーザ光源の短命化や損傷を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不可視レーザ光の照射位置を正確に決めるとともに、可視レーザ光の損失が少ないファイバレーザ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す制御部の構成例を示す図である。
【図3】図1に示す出力ファイバとデリバリファイバの接合部の詳細な構成例を示す図である。
【図4】図3に示す出力ファイバ、デリバリファイバ、および、可視光出力ファイバの接合状態の詳細を示す図である。
【図5】可視光出力ファイバを出力ファイバに略平行に配置する場合の両者の関係を示す図である。
【図6】可視光出力ファイバを出力ファイバに非平行に配置する場合の両者の関係を示す図である。
【図7】接合部にモニタPDと可視光カットフィルタを配置した状態を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の構成例を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態の構成例を示す図である。
【図10】図9に示す第3実施形態のデリバリファイバの屈折率の一例を示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第5実施形態の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(A)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態の構成例を示す図である。この図に示すように、第1実施形態に係るファイバレーザ装置1は、レーザ発振装置10およびレーザ増幅装置30を主要な構成要素としており、レーザ発振装置10によって発生された不可視レーザ光を、レーザ増幅装置30によって増幅し、デリバリファイバ34を介して出力する。
【0019】
ここで、レーザ発振装置10は、励起光合波器11、HR(High Reflector)12、増幅用光ファイバ13、OC(Output Coupler)14、励起用LD(Laser Diode)駆動電源15、および、励起用LD16を有しており、制御部20によって制御され、不可視レーザ光を発生する。また、レーザ増幅装置30は、励起光合波器31、増幅用光ファイバ32、出力ファイバ33、デリバリファイバ34、励起用LD駆動電源35、および、励起用LD36を有しており、制御部20によって制御され、不可視レーザ光を増幅してデリバリファイバ34を介して出力する。可視光LD40は、可視光を発生して出力するシングルモードLDである。フィルタ41は、可視光を透過して接合部57からデリバリファイバ34に入射させ、デリバリファイバ34から戻って来る戻り光を減衰させる。
【0020】
レーザ発振装置10を構成する励起光合波器11は、例えば、TFB(Tapered Fiber Bundle)等によって構成され、励起用LD16から出力されるレーザ光を、光ファイバのクラッドに励起光として導入する。HR12は、例えば、高反射ファイバグレーティング(FBG)であり、周期的に光ファイバの屈折率を変化させて形成され、増幅用光ファイバ13からのレーザ光を100%に近い反射率で反射する。増幅用光ファイバ13は、例えば、Er(Erbium)、Yb(Ytterbium)等の希土類のイオンが添加されたシングルモードコアを有するDCF(Double Clad Fiber)によって構成され、コアに添加されたイオンを外部から導入した励起光で励起することで、例えば、1080nmの赤外レーザ光を発振して出力する。なお、本実施形態におけるDCFは、前述したシングルモードコアの外部にクラッドが2層形成されており、励起光は内側のクラッドを伝播するように構成されているが、コアはシングルモードには限られず、マルチモード(例えば、基本モードと数個程度の低次モードを伝播するような)コアであっても良い。
【0021】
OC14は、HR12と同様に、周期的に光ファイバの屈折率を変化させて形成され、増幅用光ファイバ13からのレーザ光の一部(例えば、10%)を通過させるとともに、残りを反射する。なお、HR12、増幅用光ファイバ13、および、OC14によって光ファイバ共振器が構成される。
【0022】
励起用LD駆動電源15は、制御部20の制御に応じて励起用LD16を駆動する。励起用LD16は、例えば、波長が915nmで、数W以上の出力光強度を有する、1または複数のマルチモードレーザダイオードによって構成される。
【0023】
制御部20は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、I/F(Interface)24、および、バス25を主要な構成要素としている。ここで、CPU21は、ROM22に格納されているプログラム22aおよびデータ22bに基づいて各部を制御する。ROM22は、不揮発性の半導体記憶装置であり、プログラム22aおよびデータ22bを記憶する。RAM23は、揮発性の半導体記憶装置であり、CPU21がプログラムを実行する際のワークエリアとして動作する。I/F24は、例えば、DAC(Digital Analog Converter)およびADC(Analog Digital Converter)等によって構成され、CPU21から供給されたデジタルデータを、アナログ信号に変換して励起用LD駆動電源15,35および可視光LD40に供給する。バス25は、CPU21、ROM22、RAM23、および、I/F24を相互に接続し、これらの間でデータの授受を可能にするための信号線群である。なお、この実施形態では、制御部20として、CPU等を用いるようにしたが、本実施形態はこのような場合にのみ限定されるものではなく、例えば、DSP(Digital Signal Processor)を用いたり、あるいはデジタル制御方式ではなく、アナログ制御方式を用いたりしてもよい。
【0024】
励起光合波器31は、例えば、TFBによって構成され、励起用LD36から出力されるレーザ光を、光ファイバのクラッドに励起光として導入する。増幅用光ファイバ32は、例えば、Er、Yb等の希土類のイオンが添加されたシングルモードコアを有するDCFによって構成され、コアに添加されたイオンを外部から導入した励起光で励起することで、レーザ発振装置10から出力される1080nmの赤外レーザ光を増幅して出力する。なお、本実施形態におけるDCFの構成については、前述した増幅用光ファイバ13の場合と同様である。出力ファイバ33は、増幅用光ファイバ32から出力される光を接合部57を介してデリバリファイバ34に出力する。デリバリファイバ34は、マルチモードファイバまたはシングルモードファイバによって構成され、出力ファイバ33から出力される不可視レーザ光を、加工対象物まで導く。
【0025】
図3は、接合部57の詳細な構成を示す断面図である。この図3に示すように、出力ファイバ33とデリバリファイバ34とは、接合部57で接合されている。出力ファイバ33は、中心にコア33a、その外側にクラッド33b、最も外側に被覆33cを有している。デリバリファイバ34は、中心にコア34a、その外側にクラッド34b、最も外側に被覆34cを有している。第1実施形態では、出力ファイバ33およびデリバリファイバ34は、ともにシングルモードファイバであり、また、クラッド径は出力ファイバ33が200μmとされ、デリバリファイバ34が330μmとされている。なお、デリバリファイバ34の被覆34cは、クラッド34bよりも屈折率が小さい素材によって構成されている。出力ファイバ33とデリバリファイバ34のコアは略同径とされ光軸が一致するように接合されている。
【0026】
クラッド34bは、前述したように、クラッド33bに比較してその径が大きくなるように設定されているため、接合部57では図3に示すように、クラッド34bがクラッド33bよりもはみ出した状態となっている。また、出力ファイバ33とデリバリファイバ34の接合部57の周辺部の被覆が一定の長さに渡って除去されている。フィルタ41の出力には、例えば、モードフィールド径が波長1310nmにおいて9.2±0.5μm、クラッド径が125.0±0.7μmの可視光出力ファイバ42が接続され、例えば、図4に示すように、この可視光出力ファイバ42の端部は出力ファイバ33およびデリバリファイバ34と同様に接合部57周辺部の被覆42cが一定の長さに渡って除去された上で、クラッド33bからはみ出した部分のクラッド34bの端面に取り付けられている。
【0027】
可視光出力ファイバ42とクラッド34bの形成する角度は、図中太線で示す可視レーザ光とクラッド34bの外周面との間に形成される角度θが、可視レーザ光が全反射する臨界角よりも小さくなるように設定されている。このようにすることで、可視光出力ファイバ42からの可視光をより効率的にクラッド34bを伝搬させることができる。さらに、可視光出力ファイバ42から放射される可視レーザ光のNA(Numerical Aperture)が上記臨界角の範囲内とすると、より可視レーザ光の結合損失を少なくでき望ましい。なお、可視光出力ファイバ42を適切な角度にてクラッド34bの端面に接続する方法としては、例えば、予め臨界角θを測定し、可視光出力ファイバ42とデリバリファイバ34の角度がこの臨界角θとなるように調整した後に、可視光出力ファイバ42とデリバリファイバ34とを光硬化樹脂等によって接着したり、あるいは、デリバリファイバ34に可視光出力ファイバ42を融着したり、可視光出力ファイバ42とデリバリファイバ34のそれぞれについて接合部57付近を接着することで両者の相対位置を固定することなどによって実現される。たとえば、図4に示すように、接合部57には接着剤は塗布せずに、その周辺部、例えば図示したように可視光出力ファイバ42やデリバリファイバ34の被覆部に接着剤を塗布し接着剤固定部として、両者の相対位置が固定される。また、臨界角θに合わせるのではなく、可視光LD40を点灯した状態で、可視光出力ファイバ42とデリバリファイバ34とを接続し、デリバリファイバ34からの可視光レーザの出力が最大となるように角度の調整を行った後に接着するようにしてもよい。なお、図3に示す例では、可視光出力ファイバ42の光軸が、クラッド34bの内側からクラッド34bの照射面に当たるようになっているが、本発明はこのような場合にのみ限定されるものではなく、例えば、θがほぼ0、すなわち、デリバリファイバ34の光軸方向に略平行に可視レーザ光が入射されるようにしてもよい。本実施形態では、クラッド34bの径方向のはみ出し部分が65μmであり、可視光出力ファイバ42の中心軸がクラッド34bの外縁よりも内側にあるため、このような構成としても効率的に可視レーザ光をデリバリファイバ34内を伝播させることができる。
【0028】
ここで、可視光出力ファイバ42の半径がデリバリファイバ34のクラッド34bの径方向のはみ出し部分よりも大きい場合には、両者を略平行としたときに可視光出力ファイバ42の中心軸がデリバリファイバ34のクラッド34bの外縁部内には入らない。このような場合でも、図3に示したように、可視光出力ファイバ42の光軸が臨界角θとなる範囲内でデリバリファイバ34と非平行に接続し、必要に応じて両者の端面間に距離を設けることにより、可視光出力ファイバ42の中心軸がデリバリファイバ34のクラッド34bのはみ出し部分の端面を通るように、可視レーザ光を入射させることができる。このとき、デリバリファイバ34のクラッド34bのはみ出し部分の端面と、可視光出力ファイバ42の端面間は、図4に示すように、接合部57を覆うように、両者間の可視レーザ光の結合が可能な程度に屈折率が整合された接着剤やグリス等で充填されるとよい。
【0029】
図5および図6を参照して、デリバリファイバ34のクラッド34bに対する可視光出力ファイバ42の配置の仕方についてより具体的に説明する。図5および図6のいずれも、接合部57近傍を拡大して図示したものである。図5には、可視光出力ファイバ42が出力ファイバ33に略平行に配置され、接合部57にてデリバリファイバ34のクラッド34bのはみ出した部分の端面に略突き当てられたものが示されている。ここで、図5(A)に示されたように、可視光出力ファイバ42のコア42aは、その外縁部がクラッド34bの外縁部よりも内側(デリバリファイバ34の中心軸側)にある。そのため、可視光出力ファイバ42のコア42aの少なくとも一部がデリバリファイバ34のクラッド34bと端面で対向し当該コア42aから出射する可視レーザ光の横モードの一部がクラッド34bに結合するので、可視光出力ファイバ42のコア42aを伝播した可視レーザ光を、デリバリファイバ34のクラッド34bに入射させることができる。さらに、図5(B)に示されたように、可視光出力ファイバ42の中心軸がデリバリファイバ34のクラッド34bの外縁より内側になるようにすれば、可視レーザ光をより効率的にデリバリファイバ34のクラッド34bを伝播させることができる。
【0030】
図6は、可視光出力ファイバ42を出力ファイバ33と非平行として、デリバリファイバ34のクラッド34bのはみ出した部分の端面に可視レーザ光を入射させたものである。ここで、図6(A)に示されたように、可視光出力ファイバ42のコア42aは、その外縁部の延長線がクラッド34bの外縁部よりも内側(デリバリファイバ34の中心軸側)にある。そのため、可視光出力ファイバ42のコア42aから出力した可視レーザ光の横モードの少なくとも一部がデリバリファイバ34のクラッド34bに結合するので、可視光出力ファイバ42のコア42aを伝播した可視レーザ光を、デリバリファイバ34のクラッド34bに入射させることができる。さらに、図6(B)に示されたように、可視光出力ファイバ42の中心軸がデリバリファイバ34のクラッド34bの外縁より内側になるようにすれば、可視レーザ光をより効率的にデリバリファイバ34のクラッド34bを伝播させることができる。
【0031】
また、図7に示すように、接合部57の近傍には、出力ファイバ33のコア33aからデリバリファイバ34のコア34aに結合する際に散乱する不可視レーザ光を受光するように、モニタPD(Photo Diode)70を設けてもよい。さらに、モニタPD70の前面に可視光カットフィルタ71を設けても良く、これにより接合部57付近で散乱する可視光をカットしてより精度よく不可視レーザ光の出力をモニタすることができる。
【0032】
なお、上記実施形態、および下記の各実施形態では特に記述しない限り可視光LD40をシングルモードとしているが、これはマルチモードとしてもよく、また、可視光出力ファイバ42も可視LD波長においてシングルモード、マルチモードいずれにおいても本発明の効果を得ることができる。
【0033】
可視光LD40は、例えば、波長638nmの赤色レーザ光を発生するレーザダイオードによって構成されている。なお、可視光LD40としては、本実施形態のように赤色に限られず、可視光であれば、視認性を考慮して緑色のもの等を用いても構わない。フィルタ41は、可視光LD40から出力される可視光を透過し、不可視レーザ光を照射中に接合部57から逆方向に伝播してくる戻り光を減衰する光学フィルタ(例えば、可視光を通過帯域とし、赤外光を遮断帯域とするSWPF(Short Wavelength Pass Filter)またはBPF(Band Pass Filter))によって構成される。なお、戻り光は、後述する不可視レーザ光波長(1080nm)から主に構成される。また、その他にも、不可視レーザ光によって約60nm長波側に発生するラマン散乱光や、不可視レーザ光波長に近接して発生するブリユアン散乱光を含んでも良く、SWPFの遮断帯域はこれらの波長域を含むのが望ましい。
【0034】
なお、デリバリファイバ34から加工対象物に対して出力される可視光の出力強度は、視認性を確保するために、例えば、2μW程度以上が良い。なお、レーザ使用時の可視光の視認を容易にするためには、10μW以上となるように可視光LD40の出力を設定することが望ましい。すなわち、可視光LD40から出射された可視レーザ光は、デリバリファイバ34内で多少減衰された後に、加工対象物に照射されるが、減衰後であっても視認可能な強度である2μW以上が確保されるように設定される。また、ファイバレーザ装置1が赤外レーザを照射している際の可視光LD40に入射される戻り光の強度は、可視光LD40の損傷や短命化を防ぐために、例えば、10mW以下になるようにフィルタ41の特性を設定することが望ましい。
【0035】
接合部50〜57は、各光学部品から伸出する光ファイバ同士を相互に接合する。なお、接合部56は増幅用光ファイバ32と出力ファイバ33とを接合し、接合部57は前述したように出力ファイバ33とデリバリファイバ34とを接合する。
【0036】
なお、接合部50の前段側(図の左側)の終端部に、当該光ファイバ端からの光出力がアルミニウム(Al)などの金属部材に入射することによって、入射光を熱変換する熱変換部を接続し、同熱変換部に入射した高出力の不可視レーザ光の戻り光を熱変換した後に放熱するように構成しても良い。なお、熱変換部としては、前述したものの他に、例えば、光ファイバ端付近に軸ずれ融着部を設け、そこからの漏れ光を金属部材等に伝達して熱変換するものを用いても良い。
【0037】
また、接合部56と接合部57の間に、出力ファイバ33のクラッドを伝播する光を除去するクラッドモード除去部を設けてもよい。なお、クラッドモード除去部としては、例えば、ダブルクラッドの外側のクラッドを除去し、クラッドを除去した部分に内側のクラッドよりも屈折率が高い物質を塗布することにより形成される。もちろん、これ以外の構成であってもよい。
【0038】
つぎに、第1実施形態の動作について説明する。加工対象物を加工する前の段階では、制御部20は可視光LD40および励起用LD16,36の動作を停止した状態としている。このような状態において、加工対象物が図示しない加工台に載置され、赤外レーザ光を照射する位置を決める(位置決めする)ための操作がされると(例えば、図示しない「位置決めボタン」が操作されると)、制御部20のCPU21がI/F24を介してこの操作を検出する。CPU21は、プログラム22aに基づいて、位置決めを行うための処理を実行する。具体的には、CPU21は、プログラム22aに基づいて、データ22bから制御データを取得し、I/F24によってD/A変換した後、可視光LD40に供給する。この結果、可視光LD40は、例えば、赤色の可視レーザ光を射出する。可視光LD40から出射されたレーザ光は、フィルタ41および可視光出力ファイバ42のコアを介してデリバリファイバ34のクラッド34bに入射される。前述したように、クラッド34bを覆う被覆34cは、クラッド34bよりも屈折率が小さく、また、可視光レーザの入射角θは臨界角よりも小さくなるように設定されているので、可視光レーザは、クラッド34b中を全反射しながら伝播した後、端面から出射され、加工対象物に照射される。クラッド34bから出射される可視レーザ光の光軸の中心と、コア34aから出射される不可視レーザ光の光軸の中心は略一致しているので、この可視レーザ光の照射位置を参照して、照射位置を調整することで、位置合わせを行うことができる。なお、可視レーザ光は、クラッド34bを通過する過程で多少減衰されるが、前述したように、出力光の強度が2μW以上となるように設定することで、視認性を確保することができる。
【0039】
このように、可視光LD40から照射された可視レーザ光を、加工に先立って、加工対象物の赤外レーザ光が照射される位置に照射することにより、加工位置を正確に位置決めすることができる。
【0040】
位置決めが完了すると、制御部20は可視光LD40の照射を停止する。これにより、加工対象物への可視レーザ光の照射が停止される。なお、可視レーザ光の照射を停止せずに、加工対象物への赤外レーザ光の照射を実施し、加工を開始してもよい。つづいて、加工開始の指示がなされると、CPU21は、照射強度に応じた励起用LD16,36の駆動用データをデータ22bから取得し、I/F24に供給する。I/F24は、供給された駆動用データをD/A変換し、励起用LD駆動電源15,35に供給する。励起用LD駆動電源15,35は、I/F24から供給された指示値に応じて、励起用LD16,36を駆動する。この結果、励起用LD16,36は励起光を射出し、励起光合波器11,31を介して、増幅用光ファイバ13,32のクラッドに導入する。これにより、レーザ発振装置10では、HR12、増幅用光ファイバ13、および、OC14においてレーザ発振が起こり、赤外レーザ光がOC14から射出する。レーザ増幅装置30では、増幅用光ファイバ32においてレーザ発振装置10から出力された赤外レーザ光を増幅し、出力ファイバ33および接合部57を介してデリバリファイバ34を介して加工対象物に照射する。なお、赤外レーザ光が照射される位置は、可視レーザ光の照射される位置と略同じであるので、加工対象物の所望の位置に赤外レーザ光を照射することができる。
【0041】
以上に説明したように、本実施形態では、可視レーザ光を、出力ファイバ33とデリバリファイバ34の接合部57の近傍のクラッドから入射するようにしたので、それよりも前段から入射した場合に比較して、可視レーザ光の減衰を抑えることができる。例えば、増幅用光ファイバ32の前段または増幅用光ファイバ13の前段から可視レーザ光を入射することも可能であるが、そのような位置から入射した場合、可視レーザ光が通過する増幅用光ファイバ13,32および接合部50〜57において減衰が生じるため、加工対象物に到達する可視レーザ光の強度が大きく減衰する。このような減衰は、赤外レーザ光を照射中に、増幅用光ファイバ13,32においてフォトダークニング現象が発生した場合に特に顕著となる。一方、本実施形態では、可視レーザ光は増幅用光ファイバ13,32を通過しないので、フォトダークニング現象による減衰は生じないため、可視レーザ光の減衰を抑えることができる。
【0042】
(B)第2実施形態
つぎに、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、デリバリファイバの構成のみが第1実施形態と異なっているので、以下ではデリバリファイバの構成に主眼をおいて説明する。図8は、第2実施形態における接合部57の詳細な構成を示す断面図である。この図8に示すように、第2実施形態では、出力ファイバ33とデリバリファイバ64とは、接合部57で接続されている。デリバリファイバ64は、中心にコア64a、その外側にクラッド64b、最も外側に被覆64cを有している。第2実施形態では、デリバリファイバ64はマルチモードファイバとされ、クラッド64bの径は360μmで、コア64aの径は50μmとされている。出力ファイバ33は第1実施形態と同様にシングルモードファイバとされクラッド33bの径は200μmとされ、コア33aは11μmとされている。なお、デリバリファイバ64の被覆64cは、クラッド64bよりも屈折率が小さい素材によって構成されている。出力ファイバ33とデリバリファイバ64のコアはその光軸が一致するように接合されている。なお、クラッド64bとクラッド33bとの関係および可視光出力ファイバ42の接合方法については、第1実施形態の場合と同様であるのでその説明は省略する。
【0043】
なお、第2実施形態では、第1実施形態の場合と比較すると、デリバリファイバ64の構成が異なるのみで、それ以外の構成は第1実施形態と同様であり、また、その動作も第1実施形態と同様であるので、第2実施形態の動作の説明については省略する。
【0044】
以上に説明したように、本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、接合部50〜51および増幅用光ファイバ13,32における可視レーザ光の減衰を抑えることができるので、可視光LD40として発光強度が低い素子を使用することができるため、製造コストを低減することができる。
【0045】
(C)第3実施形態
つぎに、第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態では、デリバリファイバの構成のみが第1実施形態と異なっているので、以下ではデリバリファイバの構成に主眼をおいて説明する。図9は、接合部57の詳細な構成を示す断面図である。この図9に示すように、第3実施形態では、出力ファイバ33とデリバリファイバ74とは、接合部57で接続されている。デリバリファイバ74は、中心にコア74a、その外側にクラッド74b、最も外側に被覆74cを有している。第3実施形態では、デリバリファイバ74のクラッド74b内に可視光レーザが伝播する領域が形成されるように屈折率分布が調整されている。図10は、デリバリファイバ74の屈折率分布の一例を示す図である。図10(A)の例では、ファイバ中心に位置する屈折率が最も高い領域がコア74aに対応している。コア74aの外側のクラッド74bは屈折率が異なる2つの領域によって形成されている。すなわち、コア74aの外側にはコア74aよりも屈折率が低い領域(矢印で示される領域)が設けられ、その外側には屈折率がさらに低い領域が設けられている。また、図10(B)の例では、ファイバ中心に位置する屈折率が最も高い領域がコア74aに対応している。コア74aの外側のクラッド74bは屈折率が異なる3つの領域によって構成されている。すなわち、コア74aの外側にはコア74aよりも屈折率が低い領域に挟まれた、コア74aよりも若干屈折率低い領域(矢印で示される領域)が設けられている。図10(A)のデリバリファイバ74では、ファイバの中心軸を中心として、クラッド74b内を可視レーザ光が伝播する。また、図10(B)のデリバリファイバ74では、矢印で示された領域に可視レーザ光が入射され、矢印で囲まれた範囲を中心として可視レーザ光が伝播される。つまり、図10(B)では矢印で示すリング状の領域を中心として可視レーザ光が伝播される。このため、第3実施形態では、第1,2実施形態とは異なり、被覆34cの屈折率は任意に設定することができる。
【0046】
なお、第3実施形態は、第1実施形態と比較すると、クラッド74bにおいて、可視レーザ光が伝播される領域のみが異なっており、その他は、第1実施形態と同様であるので、その動作については説明を省略する。
【0047】
本発明の第3実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、接合部50〜51および増幅用光ファイバ13,32における可視レーザ光の減衰を抑えることができる。また、可視レーザ光が伝播する領域を設けることにより、可視レーザ光を加工対象物までより少ない減衰量で伝播することができる。なお、図9の例では、デリバリファイバ74としてシングルモードファイバを用いているが、マルチモードファイバを用いるようにしてもよい。
【0048】
(D)第4実施形態
つぎに、第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態では、第1実施形態と比較すると、可視レーザ光が入射される位置が異なっており、それ以外の構成は第1実施形態の場合と同様であるので、以下では可視レーザ光が入射される構成に主眼をおいて説明する。図11は、接合部57の詳細な構成を示す断面図である。この図11に示すように、第4実施形態では、可視光出力ファイバ42は、クラッド34bの接合部57の端面ではなく、接合部57から所定の距離だけ離れた位置のクラッド34bの外周面に接続されている。この図11の例では、可視光出力ファイバ42から出射された可視レーザ光は、クラッド34bの内部を反射しながら伝播される。なお、可視光出力ファイバ42を取り付ける位置としては、可視レーザ光が被覆34cに当たらない位置であって、クラッド34bの照射面とのなす角度θが臨界角よりも小さくなるように設定する。なお、入射する方向については、第1実施形態の場合と同様に、クラッド34bの内側からクラッド34bの照射面に当たるように設定される。
【0049】
なお、第4実施形態は、第1実施形態と比較すると、クラッド74bにおいて、可視レーザ光が入射される位置のみが異なっており、その他は、第1実施形態と同様であるので、その動作については説明を省略する。
【0050】
本発明の第4実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、接合部50〜51および増幅用光ファイバ13,32における可視レーザ光の減衰を抑えることができる。また、第4実施形態では、第1〜3実施形態に比較して、接合部57で散乱した光に起因して発生する熱の影響を緩和することができる。すなわち、第4実施形態では、レーザ発振装置10またはレーザ増幅装置30で発生したレーザ光や残留励起光などが接合部57で散乱し、熱に変換されて周辺温度が上昇することによる可視レーザ光の結合状態の変化を抑制することができる。なお、図11の例では、可視光出力ファイバ42の出力端からデリバリファイバ34のクラッド34b側面の入射部に、屈折率を略整合した接着剤、樹脂、グリスを充填しても良い。また、デリバリファイバ34としてシングルモードファイバを用いているが、マルチモードファイバを用いるようにしてもよい。
【0051】
(E)第5実施形態
つぎに、第5実施形態について説明する。なお、第5実施形態では、第1実施形態と比較すると、可視レーザ光を入射するための構成が異なっており、それ以外の構成は第1実施形態の場合と同様であるので、以下では可視レーザ光が入射される構成に主眼をおいて説明する。図12は、接合部57の詳細な構成を示している。この図12に示すように、第5実施形態では、可視光出力ファイバ82の一端部(図の右側の端部)は、被覆82cが除外された状態で、デリバリファイバ64のクラッド64bの外周面に、そのクラッド82bの外周面が接するように配置されている。なお、図12では図示が省略されているが、可視光出力ファイバ82の他端部(図の左側の端部)には、フィルタ41から出射される可視レーザ光が入射され、可視光出力ファイバ82のクラッド82b内を伝播される。なお、可視レーザ光をクラッド内に伝播させる方法としては、例えば、シングルモードファイバ、マルチモードファイバ、および、シングルモードファイバをこの順番で接続することにより、コア82aを伝播する可視レーザ光をクラッド82b内に導くことができる。あるいは、コアを有しない光ファイバを用いることによっても可視レーザ光をクラッド内に伝播させることができる。
【0052】
第5実施形態では、可視光LD40から出力された可視レーザ光は、可視光出力ファイバ82のクラッド82b内を図12に示す矢印のように伝播される。このようなクラッド82bを伝播する可視レーザ光は、クラッド64bとの接続部からクラッド64b内に入射され、クラッド64b内を伝播し、クラッド64bの端面から加工対象物に照射される。
【0053】
本発明の第5実施形態によれば、第1実施形態の場合と同様に、接合部50〜51および増幅用光ファイバ13,32における可視レーザ光の減衰を抑えることができる。また、第4実施形態の場合と同様に、可視光LD40に入射される戻り光を減少させることができる。なお、図12の例では、デリバリファイバ64としてマルチモードファイバを用いているが、シングルモードファイバを用いるようにしてもよい。
【0054】
(F)変形実施形態
なお、上記の各実施形態は、一例であって、これ以外にも各種の変形実施態様が存在する。例えば、以上の各実施形態では、レーザ発振装置10およびレーザ増幅装置30を有するファイバレーザ装置1を例に挙げて説明をしたが、例えば、レーザ発振装置10のみの構成とすることも可能である。また、以上の各実施形態では、レーザ発振装置10およびレーザ増幅装置30がともに前方励起の場合を例に挙げて説明したが、本発明に後方励起または双方向励起を適用することも可能である。すなわち、レーザ発振装置10のみの構成とする場合には、前方励起、後方励起、または、双方向励起のいずれかの構成とすることができる。また、レーザ発振装置10およびレーザ増幅装置30を有する構成とする場合には、レーザ発振装置10およびレーザ増幅装置30のそれぞれについて、前方励起、後方励起、または、双方向励起の中からいずれかを選択して適宜組み合わせるようにすることができる。
【0055】
また、以上の各実施形態では、可視レーザ光をデリバリファイバのクラッドに入射するようにしたが、接合部57近傍の出力ファイバ33のクラッド33bに入射するようにしてもよい。
【0056】
また、以上の各実施形態では、可視光LD40の出力側にフィルタ41を設けるようにしたが、フィルタ41を設けないようにしてもよい。例えば、戻り光の強度が小さい場合には、フィルタ41を省略することができる。なお、その場合には、可視光出力ファイバ42は可視光LD40に直接接続される。また、フィルタ41として、赤外レーザ光の波長帯域と略同じ波長帯域を反射帯域とするFBGを用いるようにしてもよい。
【0057】
また、以上の各実施形態では、レーザ増幅装置は1段の構成としたが、これを2段以上設けるようにしてもよい。
【0058】
また、以上の各実施形態では、可視光LD40として、赤色のレーザ光を用いるようにしたが、例えば、緑色のレーザ光を用いるようにしてもよい。なお、人間の目は、赤色よりも緑色に対する感度の方が高いので、緑色の可視光LDを用いる場合は、加工対象物に照射される可視レーザ光の強度を2μWよりも低い値に設定することができる。より詳細には、標準比視感度曲線によれば、人間の目には波長555nm付近の波長を最も明るく感じ、それよりも波長が長い赤色(例えば、波長635〜690nm)では感度が、例えば、1/5〜1/10程度まで低下する。そのため、555nm付近の波長を有する緑色の可視光LDを用いる場合、加工対象物に照射される可視レーザ光の強度は、2μWよりもさらに低い値(例えば、0.4〜0.2μW)とすることができる。
【0059】
また、以上の各実施形態では、励起用LDは励起用LD駆動電源によって駆動するようにしたが、制御部20が各励起用LDを直接駆動するようにしたり、あるいは、制御部からの制御信号に基づいてFET(Field Effect Transistor)を制御し、当該FETにより各励起用LDに流れる電流を制御するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ファイバレーザ装置
10 レーザ発振装置
11 励起光合波器
12 HR
13 増幅用光ファイバ
14 OC
15 励起用LD駆動電源
16 励起用LD
20 制御部(駆動部)
30 レーザ増幅装置
31 励起光合波器
32 増幅用光ファイバ
33 出力ファイバ
34 デリバリファイバ
35 励起用LD駆動電源
36 励起用LD
40 可視光LD(可視レーザ光源)
41 フィルタ
42 可視光出力ファイバ(導入部)
51〜57 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不可視レーザ光を発生し、デリバリファイバを介して出力するファイバレーザ装置において、
可視レーザ光を発生する可視レーザ光源と、
発生された前記不可視レーザ光が出力される出力ファイバと前記デリバリファイバとの接合部の近傍のクラッドに、前記可視レーザ光源によって発生された前記可視レーザ光を導入する導入部と、
加工対象物に対する前記不可視レーザ光の照射の位置決めを行う場合に、前記可視レーザ光源を駆動し、前記可視レーザ光を前記デリバリファイバの前記クラッドを介して出射させ、当該加工対象物の加工位置に可視レーザ光を照射する駆動部と、
を有することを特徴とするファイバレーザ装置。
【請求項2】
前記デリバリファイバは、クラッドを覆う被覆の屈折率が当該クラッドの屈折率よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のファイバレーザ装置。
【請求項3】
前記デリバリファイバは、前記可視レーザ光が伝搬する領域を形成するようにクラッドの屈折率の分布が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のファイバレーザ装置。
【請求項4】
前記導入部は、前記デリバリファイバの前記接合部の近傍のクラッドから前記可視レーザ光を導入することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファイバレーザ装置。
【請求項5】
前記デリバリファイバのクラッドは、前記出力ファイバのクラッドよりも径が大きく、
前記導入部は前記接合部において、径方向にはみ出した部分の前記デリバリファイバのクラッドの端面から前記可視レーザ光を導入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のファイバレーザ装置。
【請求項6】
前記導入部は、前記デリバリファイバの前記接合部の近傍のクラッドの外周面から前記可視レーザ光を導入することを特徴とする請求項1または2に記載のファイバレーザ装置。
【請求項7】
前記導入部は、前記デリバリファイバの前記接合部の近傍のクラッドの外周面にクラッドが接触して配置され、前記可視レーザ光がクラッドを伝播する光ファイバを有し、当該光ファイバのクラッドを伝播する前記可視レーザ光が前記接触部分から、前記デリバリファイバの前記クラッドに入射されることを特徴とする請求項1または2に記載のファイバレーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−102007(P2013−102007A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244064(P2011−244064)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】