説明

フィデューシャルを配備するためのシステム及び方法

実施形態は、フィデューシャル配備システム(1000)と、それを使用するための方法と、を含んでいる。フィデューシャル(400)は、本システムの針の1つ又はそれ以上のスロット(806)に係合するように構成されている1つ又はそれ以上の突起(408)を含むことができる。針(800)は、複数のフィデューシャル(400)を標的場所に、一度に1つずつ連続式に送達するように構成することができる。一部の特定の実施形態では、フィデューシャル(400)のエコー源性的設置は特定の利点をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文献は、2009年4月30日出願の米国仮特許出願第61/174,196号の出願日の恩典を主張し、同仮出願をここに参考文献として援用する。
【0002】
本発明は、概括的には、1つ又はそれ以上のフィデューシャルを含んでいる医療装置システム及び同装置システムを使用するための方法に関する。より厳密には、本発明は、特別に構成されているフィデューシャル、同フィデューシャルと共に使用するように構成されている針、及びそれらの使用方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
医療処置では、患者の内部の標的区域を探知して治療することが必要とされる場合が多い。集中的線量送達放射線療法では、標的の周囲の健康な組織に損傷を与えることを抑制するために、標的を高い精度で探知することが求められる。放射線腫瘍学では、既に癌の浸食に苦しめられている患者においては隣接する身体部分の放射線への被曝を制限することが望ましいという理由から、標的の精確な場所を知ること又は推定することが特に重要である。しかしながら、放射線医学であれそれ以外であれ、全ての治療処置では、治療されるべき領域を正確に狙い撃つことができるのが最も望ましい。
【0004】
多くの用途では、何らかのやり方で働きかけられることを必要としている(例えば、癌性の腫瘍、嚢胞、偽性嚢胞、又は他の標的の様な)標的又は標的の一部を直接視検することはできない。一例として、肺又は膵臓の腫瘍を放射線で治療するときに、放射線治療の直前に患者の内部の実際の腫瘍を視検することは可能でないことがある。従って、放射線治療において健康な組織への損傷を回避しながら腫瘍に的を絞ることができるように、腫瘍を正確に探知できるようにするための何らかの機構を有していると極めて都合がよい。
【0005】
CAT(コンピュータ支援断層法)スキャン、MRI(磁気共鳴画像化法)、X線、超音波、又はその他の技法を使用して視覚化することができる標的領域についてさえ、治療の狙い撃ちでは困難が生じることが多い。このことは、とりわけ、標的組織が患者の胴部及び軟組織領域の内部にある場合に当て嵌まる。それらの部位の組織の可動性(例えば、呼吸中の内部器官の運動、患者の運動/体位の変化に伴う胸部組織の運動)のせいで、標的領域は、解剖学的な目印に対し、及び/又は上記の視覚化処置のうちの1つの処置中に患者の身体の外表面へ設置され得るマーカーに対し、固定されたままであるとは限らない。
【0006】
この問題に取り組むために幾つかの技法が開発されてきた。その様な技法の一つは、患者の中へ標的領域の周囲に沿ってマーカーを設置するというものである。マーカーは、能動的(例えば、療法の狙い撃ちで有用な或る種の信号を発する)であってもよいし、受動的(例えば、超音波、MRI、X線、又は他の狙い撃ち技法下で標的化のために使用することができる非強磁性金マーカーであって、治療装置に含まれ得るマーカー―フィデューシャルと呼ばれる―)であってもよい。
【0007】
フィデューシャルは、典型的には、放射線不透過性材料で形成されており、フィデューシャルをX線撮影検出下に位置マーカーとして使用して部位を狙い撃ちする装置を用いれば、標的を効果的に探知して治療することができる。典型的には、フィデューシャルは単純な施術で患者の中へ挿入することができる。経皮的設置が最もよく使用されている。しかしながら、患者の内部器官へのフィデューシャルの設置のために、近年、内視鏡を介した低侵襲性設置の使用が開発された。例えば、フィデューシャルの膵臓腫瘍の周囲に沿った経皮的設置は、複雑で、痛みを伴うこともある(特に針サイズがどうしても大き目になる肥満患者ではそうである)。患者の中の経皮的に植え込まれた物体を使用するもう1つのプロセスに、近接照射療法がある。近接照射療法では、高線量の放射線を腫瘍に提供するように、但し腫瘍の周囲の健康な組織には提供しないように、放射能源である「シード」が腫瘍の中へ及び/又は腫瘍に隣接して植え込まれる。
【0008】
図1A及び図1Bは、近接照射療法のシード又はフィデューシャルの設置に有効な先行技術の2部品からなる導入器100の長手方向断面図を示している。はじめに図1を参照すると、導入器100は、針102と、針102の内部に滑動可能に配置されているスタイレット104を含んでいる。スタイレット104は、第1ハンドル101と、尖っていない遠位端106を有している。針102は、第2ハンドル103と、第2ハンドル103を通って伸び、斜めに切り落とされた先端を有するカニューレ108を有している。カニューレ108はシード又はフィデューシャル110を保持するように構成されている。カニューレ108は、シード又はフィデューシャル110を患者へ経皮的に植え込むように構成されている遠位先端105を有している。
【0009】
「予備装填形態」では、シード又はフィデューシャル110は、骨蝋又は他の適した(単数又は複数の)生体適合性材料から作られている栓112によって、カニューレ108の中に維持されている。これは、典型的には、フィデューシャルが遠位の針の中へ入れられ、次いで骨蝋栓によって所定場所に保持される、「前装式」技法によって成される。これは幾つかの課題を提起することにもなりかねず、というのも、骨蝋栓112が患者の中の人工物として視認され、身体構造又は治療装置の鮮明な視覚化を妨げる可能性があるからである。この構成を用いると、カニューレ108を、それぞれのシード又はフィデューシャル110の送達後に、引き抜いて装填し直されなくてはならない。フィデューシャルの標的場所が非常に遠く離間していたなら、カニューレ108の多数回におよぶ導入にたった1つの経皮的導入器カニューレ/トロカールだけを使用することは不可能であるかもしれない。その様な状況では、患者は数回の経皮的穿刺(及び穿刺の度に増す、付きまとう感染の危険性)に堪えなくてはならない。
【0010】
シード又はフィデューシャル110の所望配列を患者の中の標的場所に植え込むために、施術者は、(典型的には蛍光透視法的視覚化の下に)カニューレ108を第1の方向(矢印A)へ押し出して、先端105を患者の中へ挿入する。次いで、施術者は、第2ハンドル103を第1の方向にさらに押し出して、先端105を、シード/フィデューシャル110が植え込まれるべき患者の内部の望ましい深さに配置する。この動作の間中、施術者は、針102とスタイレット104を一体的に1つのユニットとして動かす。所望の深さ又は場所において、施術者は、一方の手で第1ハンドル101を、他方の手で第2ハンドル103を把持する。次いで、施術者は、第1ハンドル101を静止させたまま、同時に第2ハンドル103を第2の方向(矢印B)に第1ハンドル101に向かって摺動させて戻す。図1Bに示されている様に、この動作によって、カニューレ108はシード/フィデューシャル110を越えて後退し、その結果、シード/フィデューシャル110が患者に植え込まれる。代わりに、施術者は、第1ハンドル101を第1の方向(矢印A)へ動かし、その間に第2ハンドル103を第2の方向(矢印B)に摺動させて戻すようにしてもよい。これによって、スタイレット104は、シード110をカニューレ108から外へ押し出す。この処置は、その後、他のシード/フィデューシャル110を設置するために繰り返される。標的放射線療法のために使用される場合、典型的には最低でも3つのフィデューシャルが必要とされる。
【0011】
開示されている構造から理解されるであろうが、1つのフィデューシャルを配備した後、代わりに、スタイレット104を完全に引き抜き、次いで別のフィデューシャルを針ルーメンの中へ入れ、同ルーメンを通して、針遠位先端105が既に導かれている第2の場所まで前進させることによって、導入器100を近位端から装填し直すこともできる(「後装式」技法)。フィデューシャルの標的場所がこの技術を許容でき得る程度に互いに近接しているのであれば、この技法は、2つ以上のフィデューシャルを設置するのに必要な経皮的穿刺の回数を減らすことができる。しかしながら、この技法は、組織及び関連の体液の中にエアポケットを導入するので、超音波が使用中であるか又は程なく使用される予定の処置では問題をもたらす。それらエアポケットは組織や体液と一体で、標的区域や同区域の中又は周囲を診断又は治療するのに使用されている道具の超音波による視覚化を妨げかねない態様でエコーを発生させる。近接照射療法の幾つかの技法では、一連のフィデューシャルが針の中へ―別々にか又は縫合糸或いは同種の装置によって接続されてかの何れかで―予備挿入され、次いで、かなり密に近接してひとまとめに設置されるが、但し、その様な技法は、典型的には、3つ又はそれ以上のフィデューシャルを、例えば腫瘍の周囲への治療の標的化ために使用できるように十分にばらけた場所に設置する場合には有効ではない。
【0012】
プロセスは、ここ最近に開発された方式で内視鏡的に植え込む場合も、針とスタイレットが内視鏡の作業チャネルに通して使用するための当技術で既知の型式であること以外は同様である。現在の内視鏡的技法の1つの制約は、導入することのできるフィデューシャルのサイズである。内視鏡の作業チャネルのサイズ制限により、内視鏡から出て解剖学的標的までの前進中に(内部のスタイレット又は他の支持体を有していない)針を屈曲させる、折れ曲がらせる、湾曲させる、又はそれ以外に損傷させるという危険を冒すことなく典型的に使用できる最大の針は、19ゲージ針である。このことは、現在の円筒形フィデューシャルを使用する針ルーメンを通して導入することのできるフィデューシャルのサイズを制限する。内視鏡的技法は、一般に、上述されているのと同じ装填し直し問題に苦しめられている。経皮的穿刺は論題にならないとしても、「後装式」でスタイレットだけを後退させるか「前装式」で装置全体を後退させるかによらず、引き抜いて装填し直さなくてはならないことで、貴重な時間は割かれ、処置は複雑化し、追加の人員が必要になる可能性もある。
【0013】
フィデューシャルの操縦と設置には、超音波、特に内視鏡的超音波(EUS)を使用するのが望ましいであろう。そいうものとして、フィデューシャルのサイズとエコー源性プロファイルに基づく改良されたエコー源性を提供する可能な限り大きなフィデューシャルを提供し、使用することが望ましいであろう。針の中に多段式フィデューシャルが提供されていて、それぞれのフィデューシャルの設置後の手作業による装填し直しを要するのではなく、制御された連続方式(一度に1つずつ)で導入できるようになっているのが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0014】
本明細書に記載されているフィデューシャル配備システムの実施形態は、1つ又はそれ以上の突起を有する1つ又は複数のフィデューシャル、複数のフィデューシャルを連続式に送達するように構成されているスロット付きの針、及びフィデューシャルを標的領域へ送達する方法、のうちの1つ又はそれ以上を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】先行技術のフィデューシャル導入器及び使用方法を示している。
【図1B】先行技術のフィデューシャル導入器及び使用方法を示している。
【0016】
【図2A】フィデューシャルの第1の実施形態を示している。
【0017】
【図2B】フィデューシャルの第2の実施形態を示している。
【0018】
【図2C】フィデューシャルの第3の実施形態を側面図により示している。
【図2D】フィデューシャルの第3の実施形態を上面図により示している。
【図2E】フィデューシャルの第3の実施形態を横断面図により示している。
【0019】
【図3】フィデューシャルの第4の実施形態の上方斜視図を示している。
【図3A】フィデューシャルの第4の実施形態の横断面図を示している。
【0020】
【図4】フィデューシャルの第5の実施形態の上方斜視図を示している。
【図4A】フィデューシャルの第5の実施形態の横断面図を示している。
【0021】
【図5】フィデューシャルがそれに沿って滑動可能に配置されている縫合糸を含んでいる第6のフィデューシャル実施形態を示している。
【0022】
【図6】第7のフィデューシャル実施形態を示している。
【0023】
【図7】フィデューシャルの第8の実施形態の上方斜視図を示している。
【図7A】フィデューシャルの第8の実施形態の横断面図を示している。
【0024】
【図8】スロット付きの針の実施形態の上面図を示している。
【0025】
【図9】針のルーメンの中にフィデューシャルが配置された状態の図8の針の横断面図を示している。
【0026】
【図10】フィデューシャル配備システムの上方斜視図を示している。
【図10A】フィデューシャル配備システムの長手方向断面図を示している。
【0027】
【図11A】フィデューシャルを設置する方法を示している。
【図11B】図11Aと共に、フィデューシャルを設置する方法を示している。
【図11C】図11A及び図11Bと共に、フィデューシャルを設置する方法を示している。
【0028】
【図11D】フィデューシャルを設置する他の1つの方法を示している。
【図11E】フィデューシャルを設置する他の1つの方法を示している。
【0029】
【図12A】針とフィデューシャルの別の実施形態の上方斜視図を示している。
【図12B】図12Aの針とフィデューシャルの別の実施形態の上から見た平面図を示している。
【0030】
【図13】針とフィデューシャルの別の実施形態の上方斜視図を示している。
【図13A】図13の針とフィデューシャルの別の実施形態の横断面図を示している。
【0031】
【図14】Tアンカー付きの縫合糸を使用するフィデューシャル設置方法を示している。
【0032】
【図15】別のフィデューシャル実施形態を示している。
【図15A】図15の別のフィデューシャル実施形態と共に使用するように構成されている別の針実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
「近位」及び「遠位」という用語が本明細書で使用されるとき、それらは一般的用法の意味で使用されており、装置又は関連物体のハンドル/医師側の端、装置又は関連物体の道具/患者側の端をそれぞれ指す。
【0034】
図2Aを参照しながら、フィデューシャル200の第1の実施形態を説明する。フィデューシャルは、身体内部の部位の境界を画定するのに使用されるべく患者の体内に配備するように構成されている。フィデューシャル200は、略円形の横断面を有する略円筒形である略柱状の本体を有している。本体の長手方向表面206には、超音波を反射する能力を強化し、それによって望ましいエコー源性プロファイルを提供するためのくぼみが付いていることが示されている。このくぼみによる特性は、代わりに、フィデューシャル200のエコー源性を強化するであろう、異なった凸凹、しぼ、又は肌理が付けられた表面特徴(例えば、ローレットやリブ)であって、EUS誘導による設置中の視覚化を支援し、1つ又はそれ以上のフィデューシャル200によってマークされた標的部位(例えば腫瘍)を超音波により視覚化する際に使用できるようになる表面特徴として具現化されていてもよい。フィデューシャル200は、金、白金、パラジウム、イリジウム、又はそれらの合金などの放射線不透過性の非強磁性材料で形成されるのが望ましく、1つの好適な実施形態は、パラジウムとレニウムの合金(この合金の利点には、望ましい放射線不透過性、金に勝る市場価格の安定性、その密度による超音波の反射性/エコーが含まれる)を含んでいる。放射線不透過性であれば、そのフィデューシャルを、蛍光透視法を使用する配備技法に使用できるばかりでなく、1つ又はそれ以上のフィデューシャル200の場所を知ることが望ましいとされる治療又は他の処置中にX線撮影手段に検出/視覚化させることができるようになる。非強磁性であれば、例えばMRIの様な磁界を用いる視覚化技法又は他の処置によって、フィデューシャルの向きが変わったり押し出されたりする可能性が少なくなるであろう。フィデューシャル又は針のエコー源性の造りは、表面の肌理によって強化されるかもしれないが、周囲の材料とは異なった超音波反射性を提供する埋め込まれた気泡やビードの様な構造的含有物によっても提供することができる。
【0035】
フィデューシャル本体201の長手方向面206からは突起208が突き出ている。突起208は、本体遠位端202に対応する突起遠位端207と本体近位端204に対応する突起近位端209を有している。本体遠位端202と本体近位端204は、それぞれ、略平面状であり、長手方向軸を横断している。この実施形態では、突起208は丸く、フィデューシャル本体の長手方向中心軸に実質的に平行であり、本体201の約半分の長さしかなく、長手方向に本体の遠位端202よりも近位端204により近い位置にある。或る好適な実施形態では、フィデューシャル200は、針ルーメンを通りそこから放出される構成と寸法となっている。内視鏡的送達システム用には、フィデューシャル本体201(突起を除く)は、好適には、針ルーメンの内径(ID)とほぼ同じか又はそれより小さい外径(OD)を有することになろうが、好適にはフィデューシャル本体のODが針のIDを上回ることはない。フィデューシャルのODとは、ここで使用される場合、その最も外側の境界が針ルーメンのID内にすっぽり嵌る仮想円(又は他の幾何学形状)を指す。換言すれば、フィデューシャルは、スロットの中へ突き出ている突起を除いて針ルーメンの中へ滑動可能に嵌る寸法であるのが好適である。
【0036】
突起より遠位のより長い本体部分は、以下に図7−図11Cに関連付けてより明らかになるように、針を通しての配備時に、2段目のフィデューシャルが配備に向けて位置付けられる前に、間違いなく、この2段目のフィデューシャルより遠位の1段目のフィデューシャルを完全に針から外に進めておくのに助けとなる。従って、多くの好適な実施形態では、フィデューシャルの突起(2段目及び後続のフィデューシャルの突起)はその遠位端よりも近位端により近接して設けられるものであり、そうすれば、フィデューシャル本体遠位部分は、十分に遠位方向に突き出るので、2段目のフィデューシャルが配備されるための位置に入るときまでに先行する1段目のフィデューシャルは完全に針ルーメンから外に進められているであろう(図10−図10A及び対応する本文参照)。仮にフィデューシャル中央部分201及び突起208の全表面が略平滑であるとしても、フィデューシャル200を形成する好適な材料と突起208の存在が、超音波下に患者の体内での探知及び/又は操縦にとって十分な解像度で容易に視覚化できる望ましいエコー源性プロファイルを提供することができるものと理解されたい。
【0037】
図2Bはフィデューシャル300の別の実施形態を示している。フィデューシャル300は略円形の横断面を有する略円筒形の本体を有している。本体301の長手方向表面306には、超音波を反射する能力を強化し、それにより望ましいエコー源性プロファイルを提供するように、うねが付いていることが示されている。このうねの特性は、代わりに、フィデューシャル300のエコー源性を強化するであろう、異なった非平滑の円筒形か又は他のしぼが付けられた表面特徴(例えば、ローレットやリブ)であって、EUS誘導による設置中の視覚化を支援し、1つ又はそれ以上のフィデューシャル300によってマークされた標的部位(例えば腫瘍)を超音波により視覚化する際に使用できるようになる表面特徴として具現化されていてもよい。
【0038】
フィデューシャル本体の長手方向面306からは突起308が突き出ている。突起308は、丸い本体遠位端302に向かって先細になっている突起遠位端307と、略平面状の本体近位端304に対応する突起近位端309を有している。この実施形態では、突起308は丸く、フィデューシャル本体の長手方向中心軸に実質的に平行であり、本体とほぼ同じ長さである。或る好適な実施形態では、フィデューシャル300は、針ルーメンを通ってそこから放出される構成と寸法となっている。内視鏡的送達システム用には、フィデューシャル本体(突起を除く)は、針ルーメンの内径(ID)とほぼ同じか又はそれより小さい外径(OD)を有することになるが、好適にはフィデューシャル本体のODが針のIDを上回ることはない。
【0039】
図2C−図2Eはフィデューシャル400の別の実施形態を示している。フィデューシャル400は、近位端及び遠位端の断面に沿った略円形横断面を有する塊として形成されている略円筒形の本体402を有している。フィデューシャル本体402の長手方向外周面406からは突起408が突き出ている。上から見ると(図2Dに図示)、突起408は略長円形である。(典型的な円筒形のフィデューシャルと比べて)不規則な形状と増加した表面積は、一部にはその組成のおかげで好適にも既に望ましいものとなっているフィデューシャルのエコー源性を強化する。
【0040】
突起408は、本体402の外面406に向けて、面取り、角取り、及び角丸、の1つ又はそれ以上の施された移行部分を提供していてもよいとされる突起端面407を有している。本体402は、突起408を除いて、略直円筒である。この実施形態では、突起408は丸く、フィデューシャル本体の長手方向中心軸に実質的に平行であり、本体402の約半分の長さしかなく、本体の長さに沿った中心に位置している。或る好適な実施形態では、フィデューシャル400は、針ルーメンを通ってそこから放出される構成と寸法である。内視鏡的送達システム用には、フィデューシャル本体(突起を除く)は、針ルーメンの内径(ID)とほぼ同じか又はそれより小さい外径(OD)を有することになろうが、好適にはフィデューシャル本体のODが針のIDを上回ることはない。
【0041】
図2C−図2Dに関連付けて、例示としての実施形態も説明する。1つの例示となる実施形態では、本体402は、長さ約0.12インチ(3.05mm)で、約0.34インチ(0.86mm)のODを有している。突起408は、長さ約0.06インチ(1.5mm)で、本体の中線に沿って整列している。突起408は、本体402のODより上に約0.008インチ(0.2mm)突き出ており、幅約0.011インチ(0.28mm)である。これらの測定値と比率は、本願における請求の範囲内にある限りにおいて、他の実施形態では変えられてもよい。例えば、突起は、より遠位或いはより近位に位置していてもよいし、本体の外面周りに部分的に螺旋を形成するように中線に対して或る角度を成していてもよい。一部の特定の好適な実施形態では、突起はフィデューシャルの近位端に配置されていて、その結果、フィデューシャル本体遠位部分がそこから突き出る格好になっている(図6の突起754の相対位置を参照)。図8−図10Aから理解されるであろうが、この構成では、2段目のフィデューシャル本体先導/遠位部分が、当該2段目のフィデューシャルの突起が針のタブ、上反り面、又は他の遠位側のフィデューシャル維持構造に係合する前に、1段目のより遠位のフィデューシャルを遠位方向に可能な限り遠くまで押し出せるようになる。
【0042】
図2Eは、図2Cの2E−2E線に沿った横断面の端面図を示している。それは本システムのフィデューシャル本体と突起の全体的な比率の1つの実施形態を示している。
【0043】
図3は複数の突起を含んでいるフィデューシャル500の或る実施形態を示している。フィデューシャル500は、略円筒形の本体502を有し、第1及び第2の平行する長い突起504が本体500の長さの殆どを延びている。フィデューシャル500は、更に、本体502の長手方向軸に沿って互いに長手方向に整列し且つうね突起504と平行な第3及び第4の短い2つの突起506を含んでいる。図3の3A−3A線に沿った横断面図である図3Aにより明らかに示されている様に、突起504、506の中心線は、互いに略等距離(互いから約60°)にあることが分かる。ここに開示されている、上記及び他の突起の特定の形状、フィデューシャル本体面上位置、及び全体的比率は、特許請求の範囲内で置き換え又はそれ以外の修正が行われてもよいものと理解されたい。
【0044】
図4及び4Aは、略円筒形の中央本体602と、突起604と、針ルーメン608を形成するやり方で中央本体602の殆どを円周方向に包囲する柱状の外側本体606と、を含んでいるフィデューシャル600の別の実施形態を示している。突起は、中央本体602を外側本体606に接続している。図4Aは、図4の4A−4A線に沿ったフィデューシャル600の横断面図を示している。
【0045】
図5は、本体701を長手方向に貫いて延びるフィデューシャル中央ルーメン702を有する弾丸形状のフィデューシャル700を示している。縫合糸710が、フィデューシャルルーメン702を通って伸びていて、Tアンカー712で遠位方向に終端している。フィデューシャル本体701の遠位端は丸く、弾丸様の遠位鼻部704を形成している。フィデューシャル700の表面は1対のドーム形突起706を含んでいる。
【0046】
以上に説明した実施形態は、それぞれ、略円筒形をしている略長手方向のフィデューシャル中央部分として形成されている本体を含んでいる。しかしながら、他のフィデューシャル実施形態は、非円筒形の主本体又は円筒形部分と非円筒形部分の両方を含んでいる主本体を含んでいてもよいものと理解されたい。図6は非円筒形のフィデューシャル750の実施形態を示している。フィデューシャル750は、略丸底三角形の横断面を有する略柱状の本体部分752を有している。それは1つの面に沿って略平行六面体状の突起754を有している。その略平面状の表面は望ましいエコー源性プロファイルを提供することができ、エコー源性プロファイルは表面に肌理(例えば、ローレット、くぼみ、うね、又は他の特徴)を付けることによって強化することができる。
【0047】
図7及び図7Aは、非円筒形のフィデューシャル780の別の実施形態を示している。図7Aの横断面図に最も明瞭に示されている様に、フィデューシャル780は、4つの突起を持つt形状の断面を有する略柱形の本体を有している。2つの略対称の突起782は、それぞれ、ほぼ同じ寸法を有し、つまり、中心の長手方向軸からほぼ同じ距離だけ伸びていて、それらの間を第3突起783が下向きに伸びている。各々の先端縁は、好適には、針の中に入れられたときに針の外側湾曲を補完するように少なくとも僅かに丸みが付けられている。第4突起784は、好適には、他の3つより丈が高い(即ち、中心の長手方向軸からより遠くへ突き出ている)。フィデューシャル780の遠位端786は、先細の幾何学形状を有していることが示されており、当該先細形状は鋭く尖った先で終端していてもよいし、丸い先端で終端していてもよい。
【0048】
図7Aの横断面図は、フィデューシャル780を、本システムの針(例えば、以下に図8に関連付けて説明されている針800)と共に使用することのできる1つの態様を示している。フィデューシャル780は、針ルーメンの中に、滑動可能且つ取り出し可能に配置されている。第4突起784は、溝792として具現化されている針スロットの中へ伸びており、第4突起782の高さと対称な突起782の高さ(それぞれ、フィデューシャル780の中心長手方向軸から測定)の間の差は、カニューレ790の壁の厚さにより僅かに小さいことが好適である。短い方の突起は、好適には、針ルーメンの内径内に嵌っていて、一般的には、それらのうちの1つ又はそれ以上が、フィデューシャル780をルーメンの中で整列させておくためにも、また望ましいエコー源性のための最大表面積を提供するためにも、針ルーメンと接触していることが望ましい。この実施形態の改良形態が、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲内で実践されてもよいものと理解されたい。例えば、2つ又は3つより多くの突起が使用されてもよいことが理解されるであろう。同様に、突起のうちの1つ又はそれ以上は、フィデューシャルの全長より短く延在していてもよいし、及び/又は、その長さに沿って1つ又はそれ以上の空間によって途切れていてもよい。突起の相対高さは、様々な実施形態の長さに沿って変えられてもよいし、及び/又は単一の実施形態内で1つ又はそれ以上の突起の高さが非対称になるように変えられてもよい。一般的に、この実施形態を溝付き針と共に使用する場合は、溝に係合する突起が、他の全ての突起よりも中心の長手方向軸から遠くへ伸びていることが好適であろう。
【0049】
図8はフィデューシャル導入針800の或る実施形態を示している。針800は斜めに切り落とされた遠位先端802を有することが示されている。同針の管状のカニューレ本体804は、カニューレ804の遠位端領域に沿って長手方向の針スロット806を有している。スロット806は、少なくとも1つの戻り止め面を含んでいるのが好適であり、2つの戻り止めを含んでいるのが更に好適である。スロット806は、カニューレ804の壁全体を貫いて開口しているものとして示されているが、当該スロットは、針壁の厚さより浅く伸びていてもよく、つまり、溝として具現化されていてもよいものと理解されたい。図8の実施形態では、戻り止めは、2つのタブ808の間のスロット806の狭まった部分807として形成されている。タブ808は、略台形であるが、他の実施形態では異なった幾何学形状を有していてもよい。針スロット806の縁806aとタブ近位縁808aとタブ中央縁808bとタブ遠位縁808cのそれぞれの移行部は、角ばっていてもよいし(例えば、面取り又は角取り)、丸くなっていてもよい(例えば、角丸)。タブ808は、好適には、スロット806の遠位端に近接している。カニューレ804は、概して、例えばフィデューシャル(一例として、図2A−図2Dに示されているもの、又は他のフィデューシャルであって、好適に(単数又は複数の)フィデューシャルをタブ808によって制御可能に維持する機能を備えた針ルーメン810を容易に通ることができるもの)の様なフィデューシャルを滑動可能に通すように構成されている針ルーメン810を、円周方向に画定している。針は、ニッケル−チタン合金、コバルト−クロム(CoCr)合金、ステンレス鋼、又は如何なる他の適した材料から構成されていてもよい。その先端は、図示されている斜めに切り落とされた形態とは異なった幾何学形状を有していてもよい。或る別の実施形態では、タブ808同士は、フィデューシャル上の突起の通行を許容するべく、強制的に上向き及び/又は外向きにより大きく撓ませられるように突き合わされていてもよい。また、針の外側表面は、強化されたエコー源性を提供するようにくぼみが付けられているか又はそれ以外に肌理が付けられていてもよい。
【0050】
図8を参照しながら例示となる針の実施形態も説明するが、当該の例示となる針の実施形態は、以上に図2C−図2Dに関連付けて説明した、例示となるフィデューシャル針の実施形態と使用するための構成と寸法であってもよい。当該の例示となる針の実施形態では、針ルーメンのIDは少なくとも約0.034インチ(0.86mm)である。針のODは約0.042インチ(1.07mm;約19ゲージ)で、約0.008インチ(0.2mm)の壁厚さを有している。タブより近位のスロット部分は、幅約0.02インチ(0.5mm)、長さ約0.42インチ(約10.7mm)である。タブそれぞれは、スロット縁から外へ約0.06インチ(0.15mm)張り出していて、長さ約0.02インチ(0.5mm)のスロット対向縁を有している(長さには、約0.005インチ(0.13mm)の半径範囲の、近位側及び遠位側のスロット縁からの傾斜移行部を含めず)。これらの測定値と比率は、本願特許請求の範囲内に留まる限りにおいて、ここに例示されているものを含めた他の実施形態では変えられてもよい。
【0051】
図9は、針800(図8)とフィデューシャル400(図2C−図2D)の断面の横断端面図を示している。この図は、針ルーメン810に対するフィデューシャル本体、及び針スロット806に対する突起408、の好適な精密許容差と好適な方向配置を示している。
【0052】
フィデューシャル配備システム1000を、外観図である図10と当該図10の10A−10A線に沿った長手方向断面図である図10Aを参照しながら、以上に説明した針800とフィデューシャル400を使用して説明する。システム1000は、可撓性の細長い針シース1002を含んでいる。可撓性が更に高い本体近位部分802を含んでいる針800は、シースルーメン1004を通って伸びている。ここでは複数のフィデューシャル400として示されているが少なくとも1つのフィデューシャル400が、針のカニューレ本体の針ルーメン810の遠位領域に滑動可能且つ取り出し可能に配置されている。中央の長手方向本体部分402は針ルーメン810の内径を実質的に占めている。それぞれのフィデューシャル400の突起408は、突起408が中に突き出ているスロット806が形成された針壁の厚さとほぼ同じ高さを有している。
【0053】
最遠位のフィデューシャル400の突起408は、針800のタブ808に当たって捕えられている。押し出し器として使用するように構成されているスタイレット1006が、針ルーメン810の一部を通って配置されており、このスタイレット1006は、近位端から操作するように構成されているのが好適であり、それによって、スタイレットを使用して、フィデューシャルを遠位方向に前進させる/押し出すこと、及び/又は、針がフィデューシャルの周りから引き抜かれる際にフィデューシャルを所定の場所に保持すること、ができる。フィデューシャルとスタイレットが針800の中にあることで、好適にも、針の柱強度が改善され、針が内視鏡の作業チャネル(図示せず)遠位端を通り抜け且つそこから外へ操縦されてゆく際に、屈曲したり、折れ曲がったり、又はそれ以外に損傷したりする可能性が低減する。
【0054】
図10−図10Aのフィデューシャル配備システムを使用する方法を、図11A−11Cを参照しながら、図10−10Aにより詳細に示されている構造に関連付けて説明する。或る好適な使用方法では、作業チャネル1102を含んでいる内視鏡1100が提供される。1つの好適な方法では、内視鏡は、超音波画像化用に構成されている遠位超音波アレイ1104を含んでいるEUS内視鏡である。内視鏡1100は、好適には、映像取得部1106(例えばCCD、光学カメラ、又は他の光学的視覚化のための手段)も含んでいる。以下の方法は、フィデューシャル400を患者の膵臓1150の腫瘍1152の周囲に設置することに関連付けて説明している。
【0055】
内視鏡1100は、図11Aには、患者の十二指腸1140を通って、その遠位端部分が、膵管1146が枝分かれして膵臓1150へとつながっている総胆管1144へのアクセスを提供するオディ括約筋1142に隣接するまで、導かれてきたところが示されている。
【0056】
図11Aに示されている様に、シース1002は、膵管の中へ、そして膵管1146を通って、腫瘍1152に隣接する場所まで進められている。図11Bに示されている様に、針800は、シース1002から外へ進められ、腫瘍1152の周囲の第1の標的部位へ導かれる(好適には、超音波による誘導下に行われるものであるが、蛍光透視法又は別の視覚化技法に置き代えられてもよいし、又はそれらによって確認することもできる)。一旦、針800の遠位端802が第1の標的に位置付けられると、最遠位のフィデューシャル400がそこに配備される。1つの態様では、配備は、針遠位端802とその中のフィデューシャル400を第1の標的に位置付け、次いで、フィデューシャル400が所望の第1の標的位置に留まるようにスタイレット1006の位置を維持しながら針800を後退させることによって達成することができる。別の態様では、配備は、針遠位端802とフィデューシャル400をそこに第1の標的に隣接して位置付け、次いで、針800をその位置に保持したまま、フィデューシャル400が所望の第1の標的位置へと進められるようにスタイレット1006を前進させることによって達成することができる。
【0057】
図10−図10Aに示されている針800及びフィデューシャル400の構造から理解される様に、使用者は、好適にも、フィデューシャルの前進/配備を、一度に1つ、に制御することができるであろう。こうして、フィデューシャル400は、「配備用意」位置、即ちその突起遠位面408aがタブ近位縁808aに当たって係合している位置、に入れられる。フィデューシャル400を配備するには、使用者は、スタイレット1006又は針800の一方を他方に対して、突起408にタブ808を前進通過させるのに十分な力で動かさなくてはならない。
【0058】
使用者は、好適にも、突起408がタブ808を通過する際には抵抗があり、その抵抗は突起がタブを通り越すとすぐに減少する触感を感じる。次いで、使用者は、好適には、再度抵抗に遭って、最遠位のフィデューシャルの後の次のフィデューシャルがタブ近位縁808aに突き当たったことが示されるまで、スタイレットと針の相対動作を継続する。
【0059】
フィデューシャルとそれぞれのフィデューシャル上の突起は、当該フィデューシャルが針遠位先端802を実質的に通り越すことと次の最遠位フィデューシャルの突起がタブ近位縁808aに突き当たることが同時に起こって最遠位のフィデューシャルの配備完了となるような比率であるのが好適である。そういうものとして、幾つかのフィデューシャル実施形態では、突起より遠位のフィデューシャル本体部分が突起より近位の本体部分より長くなるように、突起をフィデューシャル本体上でより近位側に配置するのが都合がよいかもしれない。(例えば、図2Aのフィデューシャル200を参照)。図11Cは、針とシースが両方ともフィデューシャルから退去した状態で所定場所にあるフィデューシャルを示している。
【0060】
次に、使用者は、針800をシース1002の中へ、針を第2の標的部位へ再び伸ばせられるように十分な距離だけ引き込み、そうして以上に説明した手順を繰り返すことができる。3段目、4段目、及びそれ以降のフィデューシャルの設置では、これらの手順段階が繰り返される。当技術では知られている様に、これらのフィデューシャルは放射線療法の様な療法の「正の標的化」及び/又は「負の標的化」のために使用することができる(「正の標的化」は「そこを治療する」ということを表し、「負の標的化」は「そこを治療しない」ということを表す)。本システムは数多くの利点をもたらす。例えば、探知されてはいるが診断未確定の組織塊を生検するために、既に内視鏡的処置を施術中である患者について検討する。内視鏡的生検が行われ、組織スライドは即座に準備されたとする。当該組織塊はフィデューシャルの設置が示唆される治療によって恩恵を受けるであろうとの診断が(何であれ利用可能で役に立ちそうな他のデータを併せて用いて)下されたなら、医師はただちにフィデューシャルを以上に説明したやり方で配備することができる。
【0061】
より大きな針とフィデューシャルの使用を許容する好適な方法の実施形態をそれぞれ図11Dと図11Eを参照しながら説明する。図11Dには、内視鏡1100が患者の胃1157の中へ導かれてきたところが示されている。シース1002は、その遠位端が胃壁に隣接するまで進められ、次いで、針800が、胃壁を貫いて、膵臓1150へ、そして腫瘍1152の中へと進められている。この胃の場所は、フィデューシャル導入システムに標的部位(腫瘍1152)へのアクセスを提供するのに十分な程度に標的に近接している。この方法は、好適には、超音波アレイ1104を使用した超音波による視覚化の下に実行される。他の2つのフィデューシャル400が既に腫瘍1152の中に設置されていることが示されている。
【0062】
内視鏡1100は、図11Eには、患者の十二指腸1140を通って導かれてきたところが示されている。シース1002は、その遠位端が十二指腸壁に隣接するまで進められ、次いで、針800が十二指腸壁を貫いて、膵臓1150へ、そして腫瘍1152の中へと進められている。十二指腸1140の中のこの場所は、フィデューシャル導入システムに標的部位(腫瘍1152)へのアクセスを提供するのに十分な程度に標的に近接している。この方法は、好適には、超音波アレイ1104を使用した超音波による視覚化の下に実行される。1つのフィデューシャル400が既に腫瘍1152の中に設置されていることが示されている。針800は、別のフィデューシャル400を放出したばかりで、部分的に引き込まれている。
【0063】
本方法を、蛍光透視法を殆ど或いは全く使用せずに、直接/ビデオ画像化及び超音波画像化を使用して完遂することができることは、患者(放射線療法を受けなければならないかもしれず、その場合、放射線への全被曝量を治療上及び診断上必要最低限に抑えることが望まれる)の放射線被曝を最小限にするという利点をもたらす。本発明を実施すれば、患者、医師及び他の治療/診断職員、及び治療施設にとって時間と出費の利点が見込まれる、というのも、本発明の実施により、それらエンティティの全てが、2回目の内視鏡処置を予定に組んで施行すること、及び/又は、初期診断処置を説明されている先行技術で現在利用できる時間消費型の方法と材料を用いて拡大すること、を免れるからである。
【0064】
図12A及び12Bは、或る針実施形態1202を、上述の図4及び4Aに関連付けて論じたフィデューシャル実施形態600と一体に示している。針1202は、カニューレ本体1204を貫くスロット1206を有するカニューレ本体1204を含んでいる。フィデューシャル600は、針1202の上へ載せられるが、フィデューシャル600はその塊の一部に針の外側の周囲に配置される部分を有しているので、針1202は、図2A−図2E、図3、図5、図6、及び図7に示されている様なフィデューシャル実施形態と共に使用するのに実用的とされるより小さい針になろう。針カニューレ本体1204はフィデューシャル針ルーメン608に通して配置されている。フィデューシャル突起604は、針スロット1206を通って伸びており、以上に説明されている様に進行と制御された放出を提供している。図12Bは、針1202をそのスロット1206とスロット遠位縁上の1対の小さな戻り止め隆起1208と共に上から見た図を示している。
【0065】
図13は、図3に示されているフィデューシャル実施形態500と一体で有用となり得る様な多スロット針1300を示している。針1300は、遠位の或る長さに沿って延在する3つの細長いスロット1304を有するカニューレ本体1302を含んでいる。図3に示されているもの(504、506)の様な突起は、スロット1304を通って進行することができる。他の針実施形態では、2つのスロット又は3つより多くのスロットが設けられていてもよい。図13Aは、図13の13A−13A面に沿った横断面図を含む、針1300のもう1つの図を示しており、突起504、506の針スロット1304との相互作用をより明確に示している。
【0066】
図14は、上述の図5に関連付けて説明した型式の縫合糸搭載型フィデューシャル700の設置を示している。この例示では、Tアンカー分配針(図示せず;これらの針は、本技術でよく知られている)を使用して、Tアンカー712が標的組織725の中へおろされて、針が引き抜かれている。フィデューシャル700は、縫合糸710の上に搭載されており、押し出しカテーテル727を用いて組織725の中へ進められている。この構造と方法は、突起を含んでいるかどうかを問わず複数のフィデューシャルを設置するための異なった手段を提供している(突起が存在している場合には、フィデューシャル700はスロット付きの針と共に、概ね、以上に図11A-図11Cに関連付けて説明した様に施術される方法で使用できるであろう)。
【0067】
図15A及び図15Bは、各々、施条フィデューシャル1500と、同フィデューシャルと共に使用するように構成されているスロット付きの針1520を示している。フィデューシャル1500は、螺旋状にねじが切られた肌理を有する表面を有する円錐形の遠位先端1504を有する略円筒形の主本体1502を含んでいる。突起1506が本体1502の外周の周囲に部分的に螺旋状に巻き付けられている。このフィデューシャル1500用の針1520を図15Bに示している。それは、突起1506に適応するように構成されている螺旋状のスロット1524を有する略管状のカニューレ本体1522を有している。スロット1524は、一方の縁に沿って単一の戻り止めタブ1526を含んでいる。理解されるであろうが、針1520を通って進められてゆくフィデューシャル1500は、それが針を出て行く際に施条回転することになる。或る特定の組織の型では、この回転はフィデューシャルがより簡単に前進するのに助けとなる。
【0068】
様々な実施形態を例示している図の描画は、必ずしも縮尺合わせされているわけではない。描画によっては、或る特定の詳細が強調のため誇張されているものもあり、そのため、部分の数又は比率は、どの様な異なる数又は比率も、1つ又はそれ以上の請求項によってその様に指定されていない限り、制限を課すものと読み取られてはならない。当業者には理解される様に、実施形態については、ここに提示されている請求項の範囲内に留まる限りにおいて、本明細書で異なった実施形態について説明されている特徴を互いに及び/又は現在知られているか又は将来開発される技術と組み合わせることを含め、ここで明示的に例示されていない実施形態を、本発明の範囲内で実践することもできる。例えば、本システムの針とフィデューシャルは、腹腔鏡型の処置の様な別の低侵襲性外科処置を含め、特許請求されている本発明の範囲内で経皮的に使用することができる。例えば、標的部位は、内視鏡によって(患者の自然開口部、例えば口、肛門、膣を通して導入された低侵襲性の内視鏡を使用して)アクセスでき得る場所の様な、胃腸管の中又はその近くの場所(例えば、肝臓、膵臓)であってもよい。これには−より広義には−NOTES(自然開口部越経管腔的内視鏡手術)処置を介して到達できる部位が含まれる。本方法及び装置は、経皮的な内視鏡的処置(例えば腹腔鏡的処置)又は経皮的な非内視鏡的処置の様な他の低侵襲性外科的技法で使用することもできるが、侵襲性がより少ない内視鏡的処置と共に使用されるのが最も好適である。従って、以上の詳細な説明は、限定を課すというよりむしろ説明を目的としているものと考えられることを意図している。よって、次に続く特許請求の範囲が、あらゆる等価物を含め、本発明の精神と範囲を定義するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0069】
100 導入器
101 第1ハンドル
102 針
103 第2ハンドル
104 スタイレット
105 カニューレ遠位端
106 スタイレット遠位端
108 カニューレ
110 シード/フィデューシャル
112 栓
200 フィデューシャル
201 フィデューシャル本体
202 フィデューシャル本体遠位端
204 フィデューシャル本体近位端
206 フィデューシャル本体長手方向表面
207 突起遠位端
208 突起
209 突起近位端
300 フィデューシャル
301 フィデューシャル本体
302 フィデューシャル本体遠位端
304 フィデューシャル本体近位端
306 フィデューシャル本体長手方向表面
307 突起遠位端
308 突起
309 突起近位端
400 フィデューシャル
402 フィデューシャル本体
406 フィデューシャル本体長手方向外周面
407 突起端面
408 突起
408a 突起遠位面
500 フィデューシャル
502 フィデューシャル本体
504、506 突起
600 フィデューシャル
602 フィデューシャル中央本体
604 突起
606 フィデューシャル外側本体
608 針ルーメン
700 フィデューシャル
701 フィデューシャル本体
702 フィデューシャル中央ルーメン
704 フィデューシャル遠位鼻部
706 突起
710 縫合糸
712 Tアンカー
725 標的組織
727 押し出しカテーテル
750 フィデューシャル
752 フィデューシャル本体
754 突起
780 フィデューシャル
782、783、784 突起
786 フィデューシャル遠位端
790 カニューレ
792 溝
800 フィデューシャル導入針
802 針遠位先端
804 カニューレ本体
806 針スロット
806a スロット縁
807 スロットの狭まった部分
808 タブ
808a タブ近位縁
808b タブ中央縁
808c タブ遠位縁
810 針ルーメン
1000 フィデューシャル配備システム
1002 シース
1004 シースルーメン
1006 スタイレット
1100 内視鏡
1102 作業チャネル
1104 遠位超音波アレイ
1106 映像取得部
1140 十二指腸
1142 オディ括約筋
1144 総胆管
1146 膵管
1150 膵臓
1152 腫瘍
1157 胃
1202 針
1204 カニューレ本体
1206 スロット
1208 戻り止め隆起
1300 針
1302 カニューレ本体
1304 スロット
1500 フィデューシャル
1502 フィデューシャル本体
1504 フィデューシャル遠位先端
1506 突起
1520 針
1522 カニューレ本体
1524 螺旋状スロット
1526 戻り止めタブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針と少なくとも1つのフィデューシャルとを備えているフィデューシャル配備システムであって、
前記針は、
その長手方向の少なくとも一部分を貫いて配置されている針ルーメンを画定している管状のカニューレ本体と、
針遠位端領域であって、
前記針ルーメンの遠位端において開口している針遠位端と、
半径方向に前記カニューレ本体の厚さの少なくとも一部を貫いて延び、前記針ルーメンに向けて開口していて、少なくとも1つの戻り止めを含んでいる、少なくとも1つの略長手方向の針スロットと、を有している、針遠位先端領域と、
を備えており、
前記少なくとも1つのフィデューシャルは、
柱状の本体であって、
前記針ルーメンの中に滑動可能に配置されているフィデューシャル中央部分と、
前記針スロットの中へ突き出ている少なくとも1つの側方突起と、を含んでいる、柱状の本体と、
前記針ルーメンの一部を通って伸びていて、前記少なくとも1つのフィデューシャルを前記戻り止めを越えて前記針の遠位端の開口から外へ前進させるように構成されているスタイレットと、
を備えている、
フィデューシャル配備システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフィデューシャルの前記少なくとも1つの突起は、複数の突起からなる、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項3】
前記複数の突起のうちの2つ以上が互いに略長手方向で整列している、請求項2に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィデューシャルは複数のフィデューシャルからなり、各フィデューシャルが近位端と遠位端とを有し、前記複数のフィデューシャルのうちの少なくとも1つのフィデューシャルの前記近位端は、前記複数のフィデューシャルのうちの別のフィデューシャルの前記遠位端に直接隣接しており、各フィデューシャルの長手方向の長さは各フィデューシャルの突起の長手方向の長さよりも長くなっている、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの略長手方向の針スロットは、第1針スロットと第2針スロットとを含む複数の針スロットからなる、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのフィデューシャルの前記少なくとも1つの突起は、第1突起と第2突起を含む複数の突起からなり、前記第1突起は少なくとも部分的に前記第1針スロット内に位置しており、前記第2突起は少なくとも部分的に前記第2針スロット内に位置している、請求項5に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフィデューシャルは、複数のフィデューシャルからなり、前記フィデューシャルの前記突起の間に長さ方向のギャップがあり、前記ギャップの長さは少なくとも前記戻り止めと同じ長さである、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項8】
前記フィデューシャル中央部分には、略非円筒形部分を備えている、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのフィデューシャルは、少なくとも1つのエコー源性面を備えている、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項10】
当該フィデューシャル配置システムが、少なくとも部分的に内視鏡の作業チャネルに通して配置されるようになっている、請求項1に記載のフィデューシャル配備システム。
【請求項11】
フィデューシャルを患者の身体の中へ設置する方法において、
請求項10に記載のフィデューシャル配備システムを準備する段階と、
内視鏡の遠位端を患者の体内の第1の標的部位に近接する場所へ導く段階と、
前記針の遠位端を前記第1の標的部位へ導く段階と、
前記少なくとも1つのフィデューシャルを、(i)前記スタイレットを前記針ルーメンを通して遠位方向に前進させて、前記少なくとも1つのフィデューシャルを前記少なくとも1つの戻り止め面を越えて前記第1の標的部位の中へ押し出す、(ii)前記針を前記スタイレットに対して、前記少なくとも1つの戻り止め面が近位方向に前記フィデューシャル突起を越えて引っ張られ、前記フィデューシャルが前記針ルーメンから外へ前記第1の標的部位の中へ放出されるように後退させる、及び(iii)それらの組合せ、から選択された行為を行うことによって配備する段階と、を含む方法。
【請求項12】
前記針を前記第1の標的部位から近位方向に引き抜き、前記針を第2の標的部位へ導く段階を更に備えている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記針の遠位端を前記第1の標的部位へ導く段階は、超音波による視覚化を使用して、前記針ルーメンの中の前記少なくとも1つのフィデューシャルの視覚化によって前記針の所在場所を確定することを含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのフィデューシャルは、第2のフィデューシャルを含んでおり、前記少なくとも1つのフィデューシャルを配備する段階中の前記スタイレットと前記針の互いに対する相対運動は、前記第2のフィデューシャルの突起が前記少なくとも1つの戻り止め面に接触するまで継続される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
身体内部の部位を境界を画定するために使用され患者体内に配備するように構成されているフィデューシャルにおいて、
柱状の本体であって、フィデューシャル近位端と、フィデューシャル遠位端と、フィデューシャル外径を越えて突き出ており、スロット付きの針のルーメンの中の前記フィデューシャルを整列及び維持するように構成されている少なくとも1つの側方突起を含む長手方向に延びるフィデューシャル中央部分と、を有する柱状の本体を備える、フィデューシャル。
【請求項16】
前記少なくとも1つの側方突起は、第1突起と第2突起を含む複数の突起からなる、請求項15に記載のフィデューシャル。
【請求項17】
前記フィデューシャル中央部分は、円筒状の部分をからなる、請求項15に記載のフィデューシャル。
【請求項18】
前記フィデューシャル中央部分は、非円形の横断面を備えている、請求項15に記載のフィデューシャル。
【請求項19】
エコー源性を強化するように構成されている少なくとも1つの非平滑面を備えている、請求項15に記載のフィデューシャル。
【請求項20】
当該フィデューシャルを縫合糸に沿って通行させるように構成されている中央ルーメンを更に備えている、請求項15に記載のフィデューシャル。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図4】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図8】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図11D】
image rotate

【図11E】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図15A】
image rotate


【公表番号】特表2012−525215(P2012−525215A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508533(P2012−508533)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/031842
【国際公開番号】WO2010/126750
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】