説明

フィルタ及び空気清浄機

【課題】複数種類の空気浄化能力を有し、圧力損失が少なく、省スペースのフィルタ、及び、複数種類の空気浄化能力を効率よく発揮するコンパクトな空気清浄機を提供する。
【解決手段】脱臭フィルタ112の本体部71は、夫々同一の厚み(以下、厚みDという)を有する2枚の脱臭フィルタ本体711,712を面方向に並置してなるため、本体部71は厚みDを有する。仮に、脱臭フィルタ本体711,712を積層した場合、本体部71の厚みは2D以上になる。つまり、脱臭フィルタ本体711,712が積層されたものと比べて、本体部71は圧力損失が少なく、厚み方向に省スペースである。第1の脱臭フィルタ本体711はアルデヒド系の臭い成分を主に除去し、第2の脱臭フィルタ本体712はアミン系の臭い成分を主に除去する。従って、脱臭フィルタ112を備える空気清浄機は、複数種類の空気浄化能力を効率よく発揮するコンパクトな構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過する空気を浄化するフィルタ及び空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄機は、空気を送風する送風機と、吸込口及び吹出口が設けられた通風路とを備えている。通風路の吸込口近傍には、各矩形板状の2枚のフィルタが縦姿勢で積層配置されている(特許文献1参照)。
送風機が空気を送風することによって、機外から吸込口を介して空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、2枚のフィルタ夫々をフィルタの厚み方向に通過することによって浄化されてから、吹出口を介して機外へ吹き出る。
特許文献1に記載されている2枚のフィルタは、脱臭フィルタ及び集塵フィルタである。
【0003】
ところで、脱臭フィルタには、アルデヒド系の臭い成分を主に除去するものと、アミン系の臭い成分を主に除去するものとが存在する。しかしながら、例えばタバコの臭気には、アルデヒド系の臭い成分及びアミン系の臭い成分が含まれている。従って、空気清浄機の通風路には、アルデヒド系の脱臭フィルタ、アミン系の脱臭フィルタ、及び集塵フィルタが積層配置されていることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−066466号公報
【特許文献2】特開2009−148402号公報
【特許文献3】特願2011−123315号
【特許文献4】特開2008−32387号公報
【特許文献5】特開2003−153831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、フィルタを通過した空気は、フィルタとの摩擦によって、圧力を失う。空気の圧力損失は、フィルタの積層枚数が多いほど、大きくなる。圧力損失が大きくなると、送風量が低減するため、空気の浄化効率が悪化する。
また、フィルタの積層枚数が多いほど、通風路において、フィルタを配置する空間を、フィルタの厚み分だけ広くしなければならない。
以上のことから、3枚以上のフィルタを積層配置してある空気清浄機は、2枚のフィルタを積層配置してある空気清浄機に比べて、圧力損失が大きい。故に、空気の浄化効率が悪い。しかも、フィルタを配置すべき空間が広いため、コンパクトな空気清浄機の設計が困難である。
【0006】
これらの問題を解消するためには、各フィルタの厚みを低減することが考えられる。しかしながら、フィルタを製造する際の制約、又は、フィルタの十分な空気浄化能力を維持するため等の理由によって、フィルタの厚みを低減することには限界がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、2種類以上の空気浄化能力を有する複数枚のフィルタ本体が面方向に並置された構成とすることにより、複数種類の空気浄化能力を有し、圧力損失が少なく、省スペースのフィルタ、及び、複数種類の空気浄化能力を効率よく発揮するコンパクトな空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフィルタは、通過する空気を浄化する複数枚のフィルタ本体を備えるフィルタであって、少なくとも2枚のフィルタ本体が、相異なる空気浄化能力を有し、前記複数枚のフィルタ本体を、面方向に並置してなることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るフィルタは、相異なる空気浄化能力を有する複数枚のフィルタ本体は、各フィルタ本体が主に除去する臭い成分が相異なるようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るフィルタは、相異なる空気浄化能力を有する複数枚のフィルタ本体の内、一のフィルタ本体はセルロース及びシリカゲルを用いてなり、他のフィルタ本体はセルロース及び活性炭を用いてなることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るフィルタは、一の臭い成分を主に除去する一のフィルタ本体の面積と、前記一の臭い成分とは異なる他の臭い成分を主に除去する他のフィルタ本体の面積との大小関係は、各面積が等しい場合に前記一のフィルタ本体が前記一の臭い成分を除去する除去率と、前記他のフィルタ本体が前記他の臭い成分を除去する除去率との大小関係と逆であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るフィルタは、一の臭い成分を主に除去する一のフィルタ本体に係る圧力損失と、前記一の臭い成分とは異なる他の臭い成分を主に除去する他のフィルタ本体に係る圧力損失との大小関係は、各圧力損失が等しい場合に前記一のフィルタ本体が前記一の臭い成分を除去する除去率と、前記他のフィルタ本体が前記他の臭い成分を除去する除去率との大小関係と逆であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る空気清浄機は、通過する空気を浄化する複数枚のフィルタ本体を備えるフィルタと、送風機と、該送風機が送風することによって、外部から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、前記フィルタを通過させてから外部へ吹き出すための通風路とを備える空気清浄機であって、前記フィルタは、本発明に係るフィルタであり、該フィルタは、前記通風路を通流する空気の通風方向に交差する姿勢で配されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る空気清浄機は、前記通風方向は横方向であり、前記複数枚のフィルタ本体は、同一の空気浄化能力を有する範囲が、縦方向に対称、又は前記複数枚のフィルタ本体の中心点に点対称に配されていることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、フィルタは、N枚のフィルタ本体を、面方向に並置してなる。ここで、NはN≧2の自然数である。
仮に、厚みD(D>0の実数)のフィルタ本体をN枚、厚み方向に並置(即ち積層)した場合、フィルタの厚みは少なくとも{D×N}になる。しかしながら、N枚のフィルタ本体を面方向に並置した場合、フィルタの厚みはDである。つまり、本発明に係るフィルタは、N枚のフィルタ本体を積層してなるフィルタ(以下、積層フィルタという)に比べて、厚みが{1/N}以下に低減されている。
【0016】
また、仮に、積層フィルタの厚みをDにするならば、N枚のフィルタ本体個々の厚みを少なくとも{D/N}に低減する必要がある。しかしながら、本発明に係るフィルタは、N枚のフィルタ本体個々の厚みをD未満に低減する必要がない。
ところで、本発明に係るフィルタは、少なくとも2枚のフィルタ本体が、相異なる空気浄化能力を有する。つまり、本発明に係るフィルタは、少なくとも2種類の空気浄化能力を有する。
【0017】
本発明にあっては、相異なる空気浄化能力を有するn枚のフィルタ本体は、各フィルタ本体が主に除去する臭い成分が相異なる。ここで、nは2≦n≦Nの自然数である。
従って、本発明に係るフィルタは、少なくともn種類の臭い成分を除去する脱臭フィルタとして機能することができる。
【0018】
本発明にあっては、相異なる空気浄化能力を有するn枚のフィルタ本体には、少なくとも、セルロース及びシリカゲルを用いてなるフィルタ本体と、セルロース及び活性炭を用いてなるフィルタ本体とが含まれている。
このため、例えば、セルロース及びシリカゲルを用いてなるフィルタ本体がアルデヒド系の臭い成分を主に除去し、セルロース及び活性炭を用いてなるフィルタ本体がアミン系の臭い成分を主に除去する場合、本発明に係るフィルタは、タバコの臭気を除去する脱臭フィルタとして機能することができる。
【0019】
本発明にあっては、相異なる臭い成分を主に除去するフィルタ本体同士の面積の大小関係は、各フィルタ本体の面積が等しい場合の除去率の大小関係を逆転させたものである。
例えば、第1の臭い成分を主に除去する第1のフィルタ本体の面積と、第2の臭い成分を主に除去する第2のフィルタ本体の面積とが等しい場合に、第1のフィルタ本体が第1の臭い成分を除去する除去率R1 と、第2のフィルタ本体が第2の臭い成分を除去する除去率R2 との大小関係がR1 ≦R2 (又はR1 ≧R2 )であるならば、第1のフィルタ本体の実際の面積S1 と第2のフィルタ本体の実際の面積S2 との大小関係は、S1 ≧S2 (又はS1 ≦S2 )である。ただし、R1 ,R2 ,S1 ,S2 は夫々正の実数である。
【0020】
以上の結果、臭い成分を除去し難いフィルタ本体は、臭い成分を除去し易いフィルタ本体よりも広くなる。このため、臭い成分を除去し易いフィルタ本体に比べて、臭い成分を除去し難いフィルタ本体には、多量の空気が接触する。
従って、本発明に係るフィルタは、第1の臭い成分の除去率と、第2の臭い成分の除去率とが同程度になる。換言すれば、本発明に係るフィルタは、自身を通過した空気から、複数種類の臭い成分をむらなく除去することができる。
【0021】
本発明にあっては、相異なる臭い成分を主に除去するフィルタ本体同士に係る圧力損失の大小関係は、各フィルタ本体に係る圧力損失が等しい場合の除去率の大小関係を逆転させたものである。
【0022】
例えば、第1の臭い成分を主に除去する第1のフィルタ本体に係る圧力損失と、第2の臭い成分を主に除去する第2のフィルタ本体に係る圧力損失とが等しい場合に、第1のフィルタ本体が第1の臭い成分を除去する除去率E1 と、第2のフィルタ本体が第2の臭い成分を除去する除去率E2 との大小関係がE1 ≦E2 (又はE1 ≧E2 )であるならば、第1のフィルタ本体に係る実際の圧力損失L1 と第2のフィルタ本体に係る実際の圧力損失L2 との大小関係は、L1 ≧L2 (又はL1 ≦L2 )である。ただし、E1 ,E2 ,L1 ,L2 は夫々正の実数である。
【0023】
この結果、臭い成分を除去し難いフィルタ本体は、臭い成分を除去し易いフィルタ本体よりも、通気性が低くなる。このため、臭い成分を除去し易いフィルタ本体に比べて、臭い成分を除去し難いフィルタ本体の場合、空気がフィルタ本体を通過するときの風速が低下する。つまり、臭い成分を除去し易いフィルタ本体に比べて、臭い成分を除去し難いフィルタ本体には、空気が長時間接触する。
従って、本発明に係るフィルタは、第1の臭い成分の除去率と、第2の臭い成分の除去率とが同程度になる。換言すれば、本発明に係るフィルタは、自身を通過した空気から、複数種類の臭い成分をむらなく除去することができる。
【0024】
本発明にあっては、空気清浄機が、本発明に係るフィルタと、送風機及び通風路と備える。
本発明に係るフィルタは、通風路を通流する空気の通風方向に交差する姿勢で配される。換言すれば、通風方向はフィルタに交差する方向(例えば厚み方向)である。
仮に、通風方向がフィルタに沿う方向(例えば面方向)である場合、フィルタに交差する方向である場合と比べて、フィルタを配置する空間の通風方向の寸法を、フィルタの厚みDよりも大幅に増大させる必要がある。つまり、本発明に係る空気清浄機は、フィルタを配置する空間の通風方向の寸法が、フィルタの厚みD程度に低減されている。
【0025】
本発明にあっては、通風方向が横方向(例えば前方向、後方向、左方向、又は右方向等)である。従って、本発明に係るフィルタは、縦姿勢に配されている。また、複数枚のフィルタ本体は、同一の空気浄化能力を有する範囲が、縦方向に対称(即ち上下対称)、又は複数枚のフィルタ本体の中心点に点対称に配されている。
故に、通風路の内部の上半分に配されたフィルタ本体によって実現される空気浄化能力の種類と、通風路の内部の下半分に配されたフィルタ本体によって実現される空気浄化能力の種類とは同じである。
【0026】
通風方向が横方向である場合、一般に、通風路の内部の上半分の通流量は、下半分の通流量よりも少ない。このため、通流量が多い部分では空気が効率よく浄化され、通流量が少ない部分では空気が浄化され難い。
しかしながら、本発明に係る空気清浄機では、通風路の内部の上半分と下半分とで同一種類の空気浄化能力が実現されるため、特段の問題はない。
【0027】
仮に、複数枚のフィルタ本体が横方向に対称(即ち前後対称、又は左右対称等)に配されている場合、通風路の内部の上半分に配されたフィルタ本体によって実現される空気浄化能力の種類と、通風路の内部の下半分に配されたフィルタ本体によって実現される空気浄化能力の種類とが異なる可能性がある。従って、効率よく発揮される空気浄化能力と、発揮され難い空気浄化能力が生じてしまう。
【発明の効果】
【0028】
本発明のフィルタによる場合、複数枚のフィルタ本体が、相異なる空気浄化能力を有するため、複数種類の空気浄化能力を有することができる。
また、複数枚のフィルタ本体を面方向に並置することによって、積層フィルタに比べて、フィルタの厚みを低減することができる。従って、本発明に係るフィルタは、積層フィルタに比べて、空気の圧力損失を低減することができる。また、本発明に係るフィルタは、積層フィルタに比べて、厚み方向に省スペースである。
しかも、フィルタ本体個々は、製造時の制約、又は、所望される空気浄化能力の程度等の条件に応じた必要十分な厚みを有することができる。
【0029】
本発明の空気清浄機による場合、複数種類の空気浄化能力を有し、且つ圧力損失が少ない本発明のフィルタを備えているため、複数種類の空気浄化能力を発揮しつつも、空気の浄化効率を向上させることができる。
また、本発明のフィルタは薄く、更に、通風方向は本発明のフィルタに交差する方向である。このため、本発明の空気清浄機は、通風方向の構成をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の正面側から見た外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の背面側から見た外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の要部構成を模式的に示す側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る脱臭フィルタの構成を示す背面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る脱臭フィルタの構成を示す拡大背面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る空気清浄機の脱臭性能試験結果を示す図表である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る脱臭フィルタの他の構成を示す背面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る脱臭フィルタの構成を示す背面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る脱臭フィルタの他の構成を示す背面図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る脱臭フィルタの構成を示す背面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る脱臭フィルタの構成を示す拡大背面図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る脱臭フィルタの他の構成を示す拡大背面図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係る脱臭フィルタを備える生ゴミ処理機の要部構成を模式的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0032】
実施の形態 1.
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る空気清浄機1の外観を示す斜視図である。図1は空気清浄機1を正面側から見たものであり、図2は背面側から見たものである。
図3は、空気清浄機1の要部構成を模式的に示す側断面図である。
図3の左側(及び右側)は、空気清浄機1の正面側(及び背面側)である。以下では、図3の左側(及び右側)を空気清浄機1の前側(及び後側)ともいう。図3の紙面垂直方向は、空気清浄機1の左右方向である。
【0033】
本実施の形態の空気清浄機1は、脱臭及び集塵による空気清浄機能と、正イオン及び負イオン(以下、正負イオンという)による空気清浄機能と、空気加湿機能とを有する。
まず、図1〜図3を参照して、空気清浄機1の概略構成を説明する。
空気清浄機1は、縦型直方体状の筐体6を備えている。筐体6は、前カバー61、天面カバー62、及び後カバー63等を有する。
空気清浄機1は、壁W及び床Fを有する室内において、筐体6の後カバー63が壁Wに対面する姿勢で、床Fに載置される。
【0034】
筐体6には、空気加湿機能と脱臭及び集塵による空気清浄機能とを実現するための第1通風路3、並びに、正負イオンによる空気清浄機能を実現するための第2通風路4が設けられている。第1通風路3及び第2通風路4は互いに区画されている。
次に、図2及び図3を参照して、第1通風路3について説明する。
第1通風路3は、この順に連通しているフィルタ収容部3a及び吹出風路3bを有する。また、第1通風路3には、第1吸込口31及び第1吹出口32が設けられている。
【0035】
第1吸込口31は、筐体6の後カバー63に開口しており、第1吸込口31を介して、空気清浄機1の外部とフィルタ収容部3aとが連通している。第1吹出口32は、筐体6の天面カバー62に開口しており、第1吹出口32を介して、吹出風路3bと空気清浄機1の外部とが連通している。
後述する第1送風機13が送風することによって、空気清浄機1の外部の空気は、第1吸込口31を介して第1通風路3へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ収容部3a及び吹出風路3bをこの順に通流してから、第1吹出口32を介して空気清浄機1の外部へ吹き出る。
【0036】
後パネル30は、第1吸込口31を閉塞するようにして、着脱可能に筐体6に取り付けられている。ただし、後パネル30には、複数個の通気孔300,300,…が形成されている。このため、第1吸込口31を介して通流する空気とは、更に詳細には、通気孔300,300,…を介して通流する空気のことである。通気孔300,300,…は、図示しないプレフィルタによって閉塞されており、このプレフィルタは、第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。
【0037】
フィルタ収容部3aの第1吸込口31近傍(更に詳細には、後パネル30の前側)には空気浄化室が設けられており、この空気浄化室に、空気浄化部11が収容されている。第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入した空気は、空気浄化部11を通過する。空気浄化部11に係る定格風量は、例えば6.5CMM(Cubic Meter Per Minute)である。
空気浄化部11を通過した空気は浄化される。このために、空気浄化部11は、各矩形板状の集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112を備えている。
【0038】
集塵フィルタ111は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、集塵フィルタ111を通過する空気中に含まれる微細な塵埃及び花粉等を、静電気によって捕集し、除去する。集塵フィルタ111は、矩形板状の集塵フィルタ本体と、集塵フィルタ本体を保持する枠体とを用いてなる。
脱臭フィルタ112は、脱臭フィルタ112を通過する空気中の臭い成分を除去する。脱臭フィルタ112の詳細な構成は後述する。
集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112夫々の上下方向の長さ(以下、高さという)と左右方向の長さ(以下、横幅という)とは等しいが、前後方向の長さ(以下、厚みという)に関しては、脱臭フィルタ112の方が薄い。
【0039】
ここで、第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入した空気は、フィルタ収容部3aを前方向へ通流する。即ち、フィルタ収容部3aの空気浄化室における通風方向は、横方向である。
集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112は、フィルタ収容部3aの空気浄化室内部に積層配置されている。このとき、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112夫々は、左右方向に沿って縦姿勢に配される。故に、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112の面方向は、通風方向に交差する方向である。
【0040】
図3では、空気浄化部11は鉛直に配されている。換言すれば、空気浄化部11は通風方向に直交している。しかしながら、空気浄化部11は、前方向に適宜に傾斜した前傾姿勢でもよい。この場合、使用者が後パネル30を取り外したときに、空気浄化部11が勝手に後方へ倒れ、筐体6から無用に脱落する、という不都合が抑制される。
【0041】
また、図3では、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112の内、脱臭フィルタ112が第1吸込口31側(即ち通風方向上流側)に位置している。このため、集塵フィルタ111が通風方向上流側に位置している場合よりも、集塵フィルタ111が悪臭によって汚染されることが抑制される。ただし、脱臭フィルタ112は、塵埃及び花粉等が付着することによって汚染され易くなる。とはいえ、脱臭フィルタ112は、例えば使用者がエア吸引によって塵埃及び花粉等を容易に除去することができるため、大きな問題にはならない。
【0042】
空気浄化部11と第1送風機13との間のフィルタ収容部3aには、加湿フィルタユニット5が配されている。
加湿フィルタユニット5は、加湿フィルタ51、水受け皿52、及び回転駆動機構53を備える。
加湿フィルタ51は円盤状をなし、吸水性及び通気性を有する加湿フィルタ本体と、加湿フィルタ本体を保持する枠体とを用いてなる。また、加湿フィルタ51は、縦姿勢に配されて、周方向の一部が水受け皿52にて浸水することによって、吸水する。
水受け皿52には、一定水位の水が貯留される。このために、水受け皿52は、公知の定水位弁が内蔵された図示しない給水タンクから給水される。
【0043】
回転駆動機構53は、加湿フィルタ51を周方向に回転させる。このとき、加湿フィルタ51は、周縁部が周方向に連続的に浸水及び吸水し、更に、周縁部から中央部へ水を吸い上げる。以上の結果、水受け皿52に貯留されていた水が、加湿フィルタ51全体に効率よく行き渡る。
【0044】
空気浄化部11を通過した空気は、加湿フィルタ51を通過する。加湿フィルタ51が回転しているとき、加湿フィルタ51を通過した空気は十分に吸湿する。一方、加湿フィルタ51が回転していないとき、加湿フィルタ51を通過した空気はほとんど吸湿しない。従って、空気清浄機1が空気清浄と共に空気加湿も行なう場合には、回転駆動機構53が作動して加湿フィルタ51を回転させる。一方、空気清浄のみで空気加湿を行なわない場合は、回転駆動機構53は作動しない。以下では、空気清浄機1が空気清浄と共に空気加湿も行なう場合を説明する。
【0045】
フィルタ収容部3aと吹出風路3bとの境界部分には、第1送風機13が配されている。
第1送風機13はシロッコファン(多翼羽根車)を用いてなり、電動のファンモータ131と、ファン132とを備えている。
ファンモータ131は直流モータを用いてなり、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている。
ファン132は、ファンモータ131の出力軸に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の駆動によって回転し、ファン132が回転することによって、空気が送風される。
【0046】
フィルタ収容部3aにおいては、後側から前側へ略水平に空気が通流し、吹出風路3bにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流する。
第1吹出口32には、ルーバ33が配してある。吹出風路3bの内周面とルーバ33とは、第1吹出口32を介して吹き出した空気が壁Wに沿って上昇し易いように、空気が流れる向きを規制する。
以上のような第1通風路3に関しては、第1送風機13の送風により、実線の白抜矢符にて示すように空気が通流する。
【0047】
更に詳細には、室内から第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ収容部3aを前方向へ通流する。このとき、吸い込まれた空気は、空気浄化部11及び加湿フィルタ51を通過することによって浄化及び加湿される。以下、空気浄化部11及び加湿フィルタ51によって浄化及び加湿された空気を浄化加湿空気という。
次いで、浄化加湿空気は、フィルタ収容部3aから吹出風路3bへ通流する。吹出風路3bにおいては、浄化加湿空気は、後上方向へ通流し、最後に、第1吹出口32を介して室内へ吹き出る。
【0048】
室内へ吹き出た浄化加湿空気は、壁Wに吹き付けられ、更に壁Wに沿って上昇し、次いで天井に沿って壁Wに対面する壁へ移動し、更にこの壁に沿って下降してから、床Fに沿って壁Wへ移動する。つまり、浄化加湿空気は、室内全体を循環する。
【0049】
次に、図1及び図3を参照して第2通風路4について説明する。
第2通風路4は、互いに連通している吸込室4a及び吹出室4bを有する。第2通風路4には、第2吸込口41及び第2吹出口42が設けられている。
第2吸込口41は、筐体6の前カバー61に開口しており、第2吸込口41を介して、空気清浄機1の外部と吸込室4aとが連通している。
第2吹出口42は、筐体6の前カバー61と天面カバー62との境界部分に開口しており、第2吹出口42を介して、吹出室4bと空気清浄機1の外部とが連通している。
【0050】
後述する第2送風機14が送風することによって、空気清浄機1の外部の空気は、第2吸込口41を介して第2通風路4へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、吸込室4a及び吹出室4bをこの順に通流してから、第2吹出口42を介して空気清浄機1の外部へ吹き出る。
第2吸込口41には、エアフィルタ40が着脱可能に配されている。エアフィルタ40は、第2吸込口41を介して吸込室4aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。エアフィルタ40が除去する塵埃のサイズは、後パネル30のプレフィルタが除去する塵埃のサイズと同程度である。
【0051】
吸込室4aと吹出室4bとの境界部分には、第2送風機14が配されている。
第2送風機14はクロスフローファン(貫流羽根車)を用いてなり、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている電動のファンモータと、ファンモータの出力軸に固定されているファンとを備えている。第2送風機14のファンは、ファンモータの駆動によって回転し、ファンが回転することによって、空気が送風される。
【0052】
吹出室4bの中途には、イオン発生部12が配されている。
イオン発生部12は、図示しないイオン発生電極と、イオン発生電極に対向配置されている対向電極とを備え、コロナ放電によって、正負イオンが発生するよう構成されている。イオン発生電極は、吹出室4bに露出しており、発生した正負イオンは、吹出室4bを通流する空気中に浮遊する。
吸込室4aにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流し、吹出室4bにおいては、前上側へ傾斜して空気が通流する。
第2吹出口42には、ルーバ43が配してある。吹出室4bの内周面とルーバ43とは、第2吹出口42を介して吹き出した空気が室内の中央部分に到達し易いように、空気が流れる向きを規制する。
【0053】
第2吹出口42を介して吹き出した空気と共に室内へ放出された正負イオンは、菌類、ウィルス、及びアレルゲン等を死滅又は不活性化させ、悪臭の原因となる物質(例えばアセトアルデヒドのような有機化合物)を分解する。
以上のような第2通風路4に関しては、第2送風機14の送風により、破線の矢符にて示すように空気が通流する。
更に詳細には、室内から第2吸込口41を介して吸込室4aへ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、吸込室4aを後上方向へ通流してから吹出室4bを前上方向へ通流する。吹出室4bを通流する空気は、イオン発生部12で発生したイオンを含む空気(以下、イオン含有空気という)になる。そして、イオン含有空気は、第2吹出口42を介して室内へ吹き出る。
【0054】
室内へ吹き出たイオン含有空気は、室内の中央部分へ向かう。この結果、イオン含有空気が、室内の中央部分に容易に到達する。
【0055】
次に、脱臭フィルタ112の詳細な構成を詳述する。
図4及び図5は、脱臭フィルタ112の構成を示す背面図及び拡大背面図である。図5は、後述する枠体70の図示は省略してある。
脱臭フィルタ112は、矩形板状の本体部71と、本体部71を保持する枠体70とを用いてなる。
本体部71は、各矩形板状の2枚の脱臭フィルタ本体711,712を備えている。脱臭フィルタ本体711,712夫々はコルゲート(ハニカム一層)型のハニカム構造を有する。脱臭フィルタ本体711,712夫々の高さ、横幅、及び厚みDは等しい。また、脱臭フィルタ本体711,712夫々に係る圧力損失は等しい。
【0056】
本体部71は、脱臭フィルタ本体711,712を面方向に左右に並置してなる。具体的には、本体部71の左半分(図4に白地で示されている範囲)が第1の脱臭フィルタ本体711であり、本体部71の右半分(図4にハッチングで示されている範囲)が第2の脱臭フィルタ本体712である。従って、脱臭フィルタ本体711,712夫々の高さ及び厚みDは本体部71の高さ及び厚みに等しいが、脱臭フィルタ本体711,712夫々の横幅は本体部71の横幅の{1/2}である。
【0057】
第1の脱臭フィルタ本体711の右辺部と第2の脱臭フィルタ本体712の左辺部とは、EVA系の合成樹脂を用いてなる接着層710を介して接合されている。つまり、脱臭フィルタ本体711,712は、左右方向(即ち横方向)に並置して接合されている。
脱臭フィルタ本体711,712夫々は、自身を通過する空気を浄化するが、脱臭フィルタ本体711,712夫々が有する空気浄化能力は相異なる。
具体的には、第1の脱臭フィルタ本体711は、主に、アルデヒド系の臭い成分(アセトアルデヒド(CH3 CHO)及び酢酸(CH3 COOH)等)を、吸着し、分解することによって除去する。このような第1の脱臭フィルタ本体711は、セルロース及びシリカゲルを用いてなる。
【0058】
ここで、第1の脱臭フィルタ本体711の製造工程の一例を説明する。まず、製造者は、夫々シリカゲル混抄紙からなるフルート(波板状シート)部材及びライナー(平板状シート)部材を用いて、ハニカム構造のブロック体を形成する。次に、製造者は、このブロック体を、所要の高さ、横幅、及び厚みDにカットすることによって、第1の脱臭フィルタ本体711を形成する。
なお、第1の脱臭フィルタ本体711として、特許文献2に記載のフィルタを用いることが好適である。
【0059】
一方、第2の脱臭フィルタ本体712は主に、アミン系の臭い成分(例えばアンモニア(NH3 ))を、吸着し、分解することによって除去する。このような第2の脱臭フィルタ本体712は、セルロース及び活性炭を用いてなる。
ここで、第2の脱臭フィルタ本体712の製造工程の一例を説明する。まず、製造者は、夫々活性炭ペーパーからなるフルート部材及びライナー部材を用いて、ハニカム構造のブロック体を形成する。次に、製造者は、このブロック体を、所要の高さ、横幅、及び厚みDにカットすることによって、第2の脱臭フィルタ本体712を形成する。
なお、第2の脱臭フィルタ本体712として、特許文献3に記載のフィルタを用いることが好適である。
【0060】
前述のように、フィルタ収容部3aの空気浄化室における通風方向は、横方向である。このため、空気浄化室の上半分の通流量は、下半分の通流量よりも少ない。故に、脱臭フィルタ112の上半分に吹き付ける空気の量は、下半分に吹き付ける空気の量よりも少ない。
しかしながら、脱臭フィルタ112の本体部71は、同一の空気浄化能力を有する範囲(具体的にはアルデヒド系の臭い成分を主に除去する範囲、又はアミン系の臭い成分を主に除去する範囲)が、上下対称(即ち縦方向に対称)に配されている。
【0061】
このため、第1の脱臭フィルタ本体711の上半分(又は下半分)の空気通過量と、第2の脱臭フィルタ本体712の上半分(又は下半分)の空気通過量とは、略等しい。換言すれば、第1の脱臭フィルタ本体711全体の空気通過量と、第2の脱臭フィルタ本体712全体の空気通過量とは、略等しい。従って、第1の脱臭フィルタ本体711によるアルデヒド系の臭い成分の除去と、第2の脱臭フィルタ本体712によるアミン系の臭い成分の除去とが、何れも効率よく行なわれる。
【0062】
仮に、脱臭フィルタ本体711,712夫々の空気通過量が異なる場合、空気通過量が多い方が除去すべき臭い成分は効率よく除去されるが、空気通過量が少ない方が除去すべき臭い成分は、効率よく除去することができない。
【0063】
図6は、空気清浄機1の脱臭性能試験結果を示す図表である。
発明者らは、空気清浄機1を用いて、JEMA1467に準拠した脱臭性能試験を行なった。この脱臭性能試験では、発明者らは、1m3 のボックス内でタバコを5本燃焼させ、ボックス内に載置した空気清浄機1を定格風量で運転させた。そして、各臭い成分の濃度を測定し、測定値に基づいて、各臭い成分の除去率を求めた。
ここで、除去率は、空気清浄機1の運転開始前の臭い成分の濃度Cb 、及び運転開始後の濃度Ca とすると、除去率={Cb −Ca }/Cb ×100 で表わされる。
【0064】
タバコの臭気には、臭い成分として、アセトアルデヒド、酢酸、及びアンモニアが含まれている。
空気清浄機1の運転開始前の各臭い成分の濃度[ppm ]は、アセトアルデヒドが8.0ppm、酢酸が6.0ppm、及びアンモニアが12.0ppm であった。
空気清浄機1の運転開始後、1分が経過した場合の各臭い成分の濃度[ppm ]は、アセトアルデヒドが4.0ppm 、酢酸が1.5ppm、及びアンモニアが1.0ppmであり、夫々の除去率は夫々50.0%、75.0%、及び91.7%であった。そして、タバコの臭気の除去率は、66.7%であった。
【0065】
このように、本実施の形態の空気清浄機1は、1分間ではタバコの臭気を全部除去することができない。これは、短時間の運転によって、タバコの臭気を含む空気が脱臭フィルタ112を全く通過しなかったか、脱臭フィルタ112を通過する回数が少なかったか、又は、脱臭フィルタ本体711,712の一方しか通過しなかったからである、と考えられる。
【0066】
空気清浄機1の運転開始後、30分が経過した場合の各臭い成分の濃度[ppm ]は、何れも0.0ppm であり、除去率は100 %であった。そして、タバコの臭気の除去率は、100.0 %であった。
このように、本実施の形態の空気清浄機1は、30分間でタバコの臭気を全部除去することができる。これは、長時間の運転によって、タバコの臭気を含む空気が、脱臭フィルタ本体711,712の両方を何度も通過したからである、と考えられる。
そして、空気清浄機1の使用者は、通常、空気清浄機1を、少なくとも数十分間、連続的に運転させる。
以上のことから、空気清浄機1は、十分な脱臭性能を有している、といえる。
【0067】
次に、脱臭フィルタ本体711,712を面方向に並置する理由について説明する。
脱臭フィルタ本体711,712夫々は、ハニカム構造のブロック体をカットすることによって形成されている。このため、脱臭フィルタ本体711,712夫々の厚みDを低減することには限界がある。例えば、厚みDの下限値は8mmである。
従って、脱臭フィルタ本体711,712を厚み方向に並置(即ち積層)した場合、本体部71の厚みは厚みDの少なくとも2倍(以下、厚み2Dという)になる。このため、本体部71の厚みを16mm未満にすることができない。
【0068】
一方、脱臭フィルタ本体711,712を面方向に並置した場合、本体部71の厚みは厚みDである。このため、本体部71の厚みを最小で8mmにすることができる。
厚み2Dの本体部71に係る圧力損失は、厚みDの本体部71に係る圧力損失よりも大きい。圧力損失の増大は送風量の低減につながるため、空気の浄化効率が悪化する。
また、厚み2Dの本体部71を備える脱臭フィルタ112は、厚みDの本体部71を備える脱臭フィルタ112よりも分厚い。このため、厚み2Dの本体部71を備える脱臭フィルタ112は、集塵フィルタ111と共にフィルタ収容部3aの空気浄化室に収容することができない。
【0069】
敢えて厚み2Dの本体部71を備える脱臭フィルタ112を収容するためには、集塵フィルタ111を薄くするか、空気浄化室の通風方向の寸法を大きくする必要がある。しかしながら、集塵フィルタ111を薄くすれば、集塵フィルタ111の集塵性能が低下する虞がある。また、空気浄化室の寸法を変更するためには、筐体6の大型化、又は加湿フィルタユニット5の小型化等の設計変更が必要になる。
以上のことから、本体部71は、脱臭フィルタ本体711,712が厚み方向に並置されている構成よりも、面方向に並置されている構成の方が有利である。
【0070】
図7は、脱臭フィルタ112の他の構成を示す背面図である。
図7に示す脱臭フィルタ112の本体部71は、各矩形状の4枚の脱臭フィルタ本体713,714,715,716(以下、脱臭フィルタ本体713〜716という)を備えている。脱臭フィルタ本体713〜716夫々の高さ、横幅、及び厚みDは等しい。また、脱臭フィルタ本体713〜716夫々に係る圧力損失は等しい。
【0071】
本体部71は、脱臭フィルタ本体713〜716を面方向に千鳥に並置してなる。具体的には、本体部71の左上半分及び右下半分が第1の脱臭フィルタ本体713,715(図7に白地で示されている方)である。また、本体部71の右上半分及び左下半分が第2の脱臭フィルタ本体714,716(図7にハッチングで示されている方)である。従って、脱臭フィルタ本体713〜716夫々の厚みDは本体部71の厚みに等しいが、脱臭フィルタ本体713〜716夫々の高さ及び横幅は本体部71の高さ及び横幅の{1/2}である。
【0072】
脱臭フィルタ本体713〜716夫々は、隣接する他の脱臭フィルタ本体と、EVA系の合成樹脂を用いてなる接着層を介して接合されている。つまり、脱臭フィルタ本体713〜716は、上下方向及び左右方向に並置して接合されている。
即ち、図4に示す脱臭フィルタ112の本体部71は、同一の空気浄化能力を有する範囲が上下対称に配されているが、図7に示す脱臭フィルタ112の本体部71は、同一の空気浄化能力を有する範囲が、本体部71の中心点に点対称に配されている。
【0073】
このため、第1の脱臭フィルタ本体713(又は第1の脱臭フィルタ本体715)の空気通過量と、第2の脱臭フィルタ本体714(又は第2の脱臭フィルタ本体716)の空気通過量とは、略等しい。換言すれば、第1の脱臭フィルタ本体713,715全体の空気通過量と第2の脱臭フィルタ本体714,716全体の空気通過量とは、略等しい。従って、第1の脱臭フィルタ本体713,715によるアルデヒド系の臭い成分の除去と、第2の脱臭フィルタ本体714,716によるアミン系の臭い成分の除去とが、何れも効率よく行なわれる。
【0074】
このように、図4に示す脱臭フィルタ112と図7に示す脱臭フィルタ112とは構成が異なるが、図4に示す脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1の脱臭性能と図7に示す脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1の脱臭性能とは、同程度である。
【0075】
実施の形態 2.
本実施の形態の空気清浄機1と実施の形態1の空気清浄機1とは、脱臭フィルタ112の構造を除けば、同一の構成を有する。以下では、本実施の形態の脱臭フィルタ112を説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0076】
図8は、本発明の実施の形態2に係る脱臭フィルタ112の構成を示す背面図である。
図8に示す脱臭フィルタ112は、実施の形態1の本体部71に替えて、本体部72を備える。
本体部72は、各矩形板状の30枚の第1の脱臭フィルタ本体721,721,…と各矩形板状の30枚の第2の脱臭フィルタ本体722,722,…とを面方向に千鳥に並置してなる。脱臭フィルタ本体721,721,…,722,722,…夫々の高さ、横幅、及び厚みDは等しい。また、脱臭フィルタ本体721,721,…,722,722,…夫々に係る圧力損失は等しい。
【0077】
図9は、本発明の実施の形態2に係る脱臭フィルタ112の他の構成を示す背面図である。
図9に示す脱臭フィルタ112が備える本体部72は、各菱形板状の30枚の第1の脱臭フィルタ本体723,723,…と各菱形板状の30枚の第2の脱臭フィルタ本体724,724,…とを面方向に千鳥に並置してなる。脱臭フィルタ本体723,723,…,724,724,…夫々の高さ、横幅、及び厚みDは等しい。ただし、本体部72は矩形板状であるため、第1の脱臭フィルタ本体723,723,…の内の10枚は、菱形板の縦半分に相当する形状をなしており、第2の脱臭フィルタ本体724,724,…の内の10枚は、菱形板の横半分に相当する形状をなしている。また、脱臭フィルタ本体723,723,…,724,724,…夫々に係る圧力損失は等しい。
【0078】
以上のような図8及び図9に示す脱臭フィルタ112は、本体部72の意匠性が向上されている。しかも、このような脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1の脱臭性能は、実施の形態1の空気清浄機1の脱臭性能と同程度である。
【0079】
実施の形態 3.
本実施の形態の空気清浄機1と実施の形態1,2の空気清浄機1とは、脱臭フィルタ112の構造を除けば、同一の構成を有する。以下では、本実施の形態の脱臭フィルタ112を説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態3に係る脱臭フィルタ112の構成を示す背面図である。図10は、実施の形態1の図4に対応する。
図10に示す脱臭フィルタ112は、実施の形態1,2の本体部71,72に替えて、本体部73を備える。
【0080】
本体部73は、各矩形板状の2枚の脱臭フィルタ本体731,732を備えている。脱臭フィルタ本体731,732夫々はコルゲート型のハニカム構造を有する。脱臭フィルタ本体731,732夫々の高さ及び厚みDは等しい。また、脱臭フィルタ本体731,732夫々に係る圧力損失は等しい。
第1の脱臭フィルタ本体731の横幅は、第2の脱臭フィルタ本体732の横幅の1.5 倍である。従って、脱臭フィルタ本体731,732の横幅比、延いては面積比は、3:2である。
【0081】
本体部73は、脱臭フィルタ本体731,732を面方向に左右に並置してなる。具体的には、本体部73の左側から{3/5}の範囲(図10に白地で示されている方)が第1の脱臭フィルタ本体731であり、本体部73の右側から{2/5}の範囲(図10にハッチングで示されている方)が第2の脱臭フィルタ本体732である。
【0082】
次に、脱臭フィルタ本体731,732の面積が相異なる理由を説明する。
まず、発明者らが行なったワンパス脱臭性能試験について説明する。
発明者らは、第1の脱臭フィルタ本体731と同一の構成を有する第1の試験片と、第2の脱臭フィルタ本体732と同一の構成を有する第2の試験片とを準備した。ただし、第1及び第2の試験片夫々の面積は等しく、第1及び第2の試験片夫々に係る圧力損失は等しく、各試験片の厚みは10mmである。
【0083】
次いで、発明者らは、所定濃度(具体的には約5ppm〜10ppm )のアセトアルデヒド、酢酸、及びアンモニアを含む空気が、所定の風速(具体的には1m/sec)で、第1及び第2の試験片夫々を1回だけ通過するようにした。そして、各試験片の通過前と通過後とで、空気に含まれている各臭い成分の濃度を測定し、測定値に基づいて、各臭い成分の除去率を求めた。
次の表1は、アセトアルデヒド及び酢酸の除去率と、アンモニアの除去率と、除去率比とを示している
【0084】
【表1】

【0085】
表1に示すように、アセトアルデヒド及び酢酸の除去率は50%である。アンモニアの除去率は75%である。つまり、空気中に含まれているアンモニアは、脱臭フィルタ112を1回通過しただけで75%が除去されるのに対し、アセトアルデヒド及び酢酸は、50%しか除去されない。即ち、アセトアルデヒド及び酢酸の除去率と、アンモニアの除去率との除去率比は2:3である。
以上のことから、第1及び第2の試験片を用いてなる脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1は、3種類の臭い成分をむらなく除去することができない、ということがわかる。
【0086】
次に、第1の脱臭フィルタ本体731の面積を、第2の脱臭フィルタ本体732の1.5倍にしてある理由について説明する。
ここで、脱臭フィルタ本体731,732の面積比は、ワンパス脱臭性能試験における除去率比の逆数である。換言すれば、脱臭フィルタ本体731,732の面積の大小関係は、除去率の大小関係と逆である。
第1の脱臭フィルタ本体731は、アセトアルデヒド及び酢酸を除去し難いが、面積が大きい。一方、第2の脱臭フィルタ本体732は、アンモニアを除去し易いが、面積が小さい。即ち、脱臭フィルタ112を通過する空気は、第1の脱臭フィルタ本体731に接触し易く、第2の脱臭フィルタ本体732に接触し難い。
【0087】
この結果、本実施の形態の脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1を用いて、ワンパス脱臭性能試験を行なった場合、アセトアルデヒド及び酢酸の除去率とアンモニアの除去率とは等しくなる、と考えられる。即ち、除去率比が1:1になる、と考えられる。
以上の結果、本実施の形態の脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1は、3種類の臭い成分をむらなく除去することができる。
つまり、脱臭フィルタ本体731,732の面積が相異なる理由は、空気清浄機1の空気浄化能力を更に向上させるため、である。
【0088】
実施の形態 4.
本実施の形態の空気清浄機1と実施の形態1〜3の空気清浄機1とは、脱臭フィルタ112の構造を除けば、同一の構成を有する。以下では、本実施の形態の脱臭フィルタ112を説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態4に係る脱臭フィルタ112の構成を示す拡大背面図である。図11は、実施の形態1の図5に対応する。
図11に示す脱臭フィルタ112は、実施の形態1〜3の本体部71〜73に替えて、本体部74を備える。
【0089】
本体部74は、各矩形板状の2枚の脱臭フィルタ本体741,742を備えている。脱臭フィルタ本体741,742夫々はコルゲート型のハニカム構造を有する。脱臭フィルタ本体741,742夫々の高さ、横幅、及び厚みDは等しい。
本体部74は、脱臭フィルタ本体741,742を面方向に左右に並置してなる。具体的には、本体部74の左半分が第1の脱臭フィルタ本体741であり、本体部74の右半分が第2の脱臭フィルタ本体742である。第1の脱臭フィルタ本体741の右辺部と第2の脱臭フィルタ本体742の左辺部とは、接着層740を介して接合されている。
【0090】
第1の脱臭フィルタ本体741に係る圧力損失は15Paであり、第2の脱臭フィルタ本体742に係る圧力損失は10Paである。従って、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失比は、3:2である。
ここで、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失の差について説明する。
【0091】
第1の脱臭フィルタ本体741に含まれている各フルート部74aのピッチは、第2の脱臭フィルタ本体742に含まれている各フルート部74bのピッチよりも小さい。従って、第1の脱臭フィルタ本体741の開口面積は、第2の脱臭フィルタ本体742の開口面積よりも小さい。換言すれば、第1の脱臭フィルタ本体741は、第2の脱臭フィルタ本体742に比べて、いわゆる「フィルタの目」が細かい。この結果、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失に差異が生じる。
【0092】
次に、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失が相異なる理由を説明する。
ここで、発明者らが行なったワンパス脱臭性能試験について説明する。
発明者らは、第1の脱臭フィルタ本体741と同一の構成を有する第3の試験片と、第2の脱臭フィルタ本体742と同一の構成を有する第4の試験片とを準備した。ただし、第3及び第4の試験片夫々の面積は等しく、第3及び第4の試験片夫々に係る圧力損失は等しく、各試験片の厚みは10mmである。
【0093】
次いで、発明者らは、所定濃度のアセトアルデヒド、酢酸、及びアンモニアを含む空気が、所定の風速で、第3及び第4の試験片夫々を1回だけ通過するようにした。そして、各試験片の通過前と通過後とで、空気に含まれている各臭い成分の濃度を測定し、測定値に基づいて、各臭い成分の除去率を求めた。この結果、アセトアルデヒド及び酢酸の除去率と、アンモニアの除去率との除去率比が2:3であることがわかった。
以上のことから、第3及び第4の試験片を用いてなる脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1は、3種類の臭い成分をむらなく除去することができない、ということがわかる。
【0094】
一方、本実施の形態の脱臭フィルタ112は、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失比が、除去率比の逆数である。換言すれば、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失の大小関係は、除去率の大小関係と逆である。
第1の脱臭フィルタ本体741は、アセトアルデヒド及び酢酸を除去し難いが、空気が第1の脱臭フィルタ本体741を通過するときの風速が低い。即ち、空気が第1の脱臭フィルタ本体741に長時間接触する。一方、第2の脱臭フィルタ本体742は、アンモニアを除去し易いが、空気が第2の脱臭フィルタ本体742を通過するときの風速が高い。即ち、空気が第1の脱臭フィルタ本体741に短時間しか接触しない。
【0095】
この結果、本実施の形態の脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1を用いて、ワンパス脱臭性能試験を行なった場合、アセトアルデヒド及び酢酸の除去率とアンモニアの除去率とは等しくなる。即ち、除去率比が1:1になる。
以上の結果、本実施の形態の脱臭フィルタ112を備える空気清浄機1は、3種類の臭い成分をむらなく除去することができる。
つまり、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失が相異なる理由は、空気清浄機1の空気浄化能力を更に向上させるため、である。
【0096】
ところで、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失を相異ならせる手法は、フルート部74a,74bのピッチを相異ならせる手法に限るものではない。
【0097】
図12は、本発明の実施の形態4に係る脱臭フィルタ112の他の構成を示す拡大背面図である。図12は、図11に対応する。
図12に示す本体部74も、第1の脱臭フィルタ本体743の開口面積を、第2の脱臭フィルタ本体744の開口面積よりも適宜に小さくしてある。このために、本体部74は、第1の脱臭フィルタ本体743に含まれている各フルート部74cの厚みを、第2の脱臭フィルタ本体744に含まれている各フルート部74dの厚みよりも適宜に大きくしてある。この結果、脱臭フィルタ本体741,742に係る圧力損失比は、3:2になる。
つまり、フルート部74c,74dの厚みを異ならせることによって、脱臭フィルタ本体743,744に係る圧力損失を相異ならせることができる。
【0098】
なお、脱臭フィルタ112を構成する複数枚の脱臭フィルタ本体夫々の厚みは同一でなくてもよい。例えば、臭い成分を除去し易い脱臭フィルタ本体に比べて、臭い成分を除去し難い脱臭フィルタ本体の厚みが大きい構成でもよい。
また、脱臭フィルタ112を構成する各脱臭フィルタ本体の空気浄化能力は、アルデヒド系の臭い成分を主に除去するもの、及びアミン系の臭い成分を主に除去するものに限定されるものではない。例えば、各脱臭フィルタ本体の空気浄化能力は、有機酸系の臭い成分(例えば酢酸)を主に除去するもの、硫黄系の臭い成分(例えばメチルメルカプタン)を主に除去するもの、又はインドール系の臭い成分(例えばインドール)を主に除去するもの等であってもよい。
【0099】
脱臭フィルタ112の空気浄化能力は2種類に限定されるものではなく、3種類以上であってもよい。この場合、例えばアルデヒド系の臭い成分を主に除去する第1の脱臭フィルタ本体と、アミン系の臭い成分を主に除去する第2の脱臭フィルタ本体と、硫黄系の臭い成分を主に除去する第3の脱臭フィルタ本体と、…が面方向に並置して接合される。
さて、従来の一般的な空気清浄機には、第2通風路4が設けられていない。また、第1吹出口32の近傍に、イオン発生部12が配されていることがある。このような構成であっても、本実施の形態1〜4のような脱臭フィルタ112を備えることによって、本発明の効果を得ることができる。
【0100】
本実施の形態1〜4のような脱臭フィルタ112は、本発明の実施の形態におけるフィルタとして機能し、脱臭フィルタ本体711〜716,721〜724,731,732,741〜744は、本発明の実施の形態におけるフィルタ本体として機能する。
【0101】
実施の形態 5.
実施の形態1〜4においては、本発明の空気清浄機、即ち本発明のフィルタを備える空気清浄機について説明した。
しかしながら、本発明のフィルタは、空気清浄機に備えられる構成に限定されず、例えば特許文献4に記載されているような空気調和機、又は特許文献5に記載されているような電気掃除機等に備えられる構成でもよい。つまり、本発明のフィルタは、送風機による送風又は排気の際に、空気がフィルタを通過するよう構成されている各種の装置に適用することができる。
以下では、本発明のフィルタを備える生ゴミ処理機の実施の形態について説明する。
【0102】
図13は、本発明の実施の形態5に係る脱臭フィルタを備える生ゴミ処理機の要部構成を模式的に示す側断面図である。
生ゴミ処理機は、ハウジング92に収容されている処理槽91を備える。ハウジング92の上面には、上蓋921により開閉自在に覆われて生ゴミの投入口922が開設されており、投入口922は、下方に向けて延設された投入シュート923により、処理槽91の上部に連通させてある。
【0103】
処理槽91に収容されているバイオ基材90には、有機物を分解する能力を有する好気性の微生物が生息させてある。また、処理槽91の内部には、攪拌体911が配してある。投入口922から投入される生ゴミは、バイオ基材90上に落下し、攪拌体911によって攪拌されてバイオ基材90中に取り込まれ、微生物の活動により分解処理される。
投入シュート923の前側には、給気ファン93が取付けてある。給気ファン93が駆動された場合、処理槽91の内部へ外気が供給される。
投入シュート923の後側は、排気ダクト940を介してハウジング92の外部に連通されている。排気ダクト940の中途には、ハウジング92の外側を吐出側とする排気ファン94が配されている。
【0104】
排気ダクト940の吸気口には、脱臭フィルタ95が、排気ダクト940を通流する空気の通風方向に交差する姿勢で取り付けられている。脱臭フィルタ95は、例えば実施の形態1の脱臭フィルタ112と同様に、2枚の脱臭フィルタ本体を面方向に並置してなる。
2枚の脱臭フィルタ本体の内、一方は、硫化水素臭又は酢酸臭等の酸性臭を伴う酸性ガスを中和する空気浄化能力を有し、他方は、アンモニア臭又はトリメチルアミン臭等の塩基性臭を伴う塩基性ガスを中和する空気浄化能力を有する。
このような脱臭フィルタ95は、本発明の実施の形態におけるフィルタとして機能する。
【0105】
排気ファン94が駆動された場合、処理槽91内部のガスが投入シュート923及び排気ダクト940を介して吸い込まれ、脱臭フィルタ95を通過してから、ハウジング92の外部へ吹き出る。
以上の結果、処理槽91の内部で発生した悪臭が、排気と共に外部へ漏れ出すことを抑制することができる。
脱臭フィルタ95は、2種類の空気浄化能力を有し、圧力損失が少なく、省スペースである。従って、脱臭フィルタ95を備える生ゴミ処理機は、2種類の空気浄化能力を発揮するコンパクトな構成である。
【0106】
なお、本発明のフィルタは、脱臭フィルタ112,95に限定されるものではない。例えば、本発明のフィルタは、脱臭フィルタ本体と集塵フィルタ本体とを面方向に並置してなるフィルタでもよい。
【0107】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、脱臭フィルタ112,95又は空気清浄機1に、実施の形態1〜5に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 空気清浄機
112,95 脱臭フィルタ(フィルタ)
13 第1送風機(送風機)
3 第1通風路(通風路)
711〜716,721〜724,731,732,741〜744 脱臭フィルタ本体(フィルタ本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する空気を浄化する複数枚のフィルタ本体を備えるフィルタであって、
少なくとも2枚のフィルタ本体が、相異なる空気浄化能力を有し、
前記複数枚のフィルタ本体を、面方向に並置してなることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
相異なる空気浄化能力を有する複数枚のフィルタ本体は、各フィルタ本体が主に除去する臭い成分が相異なるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
相異なる空気浄化能力を有する複数枚のフィルタ本体の内、
一のフィルタ本体はセルロース及びシリカゲルを用いてなり、
他のフィルタ本体はセルロース及び活性炭を用いてなることを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
一の臭い成分を主に除去する一のフィルタ本体の面積と、前記一の臭い成分とは異なる他の臭い成分を主に除去する他のフィルタ本体の面積との大小関係は、
各面積が等しい場合に前記一のフィルタ本体が前記一の臭い成分を除去する除去率と、前記他のフィルタ本体が前記他の臭い成分を除去する除去率との大小関係と逆であることを特徴とする請求項2又は3に記載のフィルタ。
【請求項5】
一の臭い成分を主に除去する一のフィルタ本体に係る圧力損失と、前記一の臭い成分とは異なる他の臭い成分を主に除去する他のフィルタ本体に係る圧力損失との大小関係は、
各圧力損失が等しい場合に前記一のフィルタ本体が前記一の臭い成分を除去する除去率と、前記他のフィルタ本体が前記他の臭い成分を除去する除去率との大小関係と逆であることを特徴とする請求項2から4の何れかひとつに記載のフィルタ。
【請求項6】
通過する空気を浄化する複数枚のフィルタ本体を備えるフィルタと、
送風機と、
該送風機が送風することによって、外部から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、前記フィルタを通過させてから外部へ吹き出すための通風路と
を備える空気清浄機であって、
前記フィルタは、請求項1から5の何れかひとつに記載のフィルタであり、
該フィルタは、前記通風路を通流する空気の通風方向に交差する姿勢で配されていることを特徴とする空気清浄機。
【請求項7】
前記通風方向は横方向であり、
前記複数枚のフィルタ本体は、同一の空気浄化能力を有する範囲が、縦方向に対称、又は前記複数枚のフィルタ本体の中心点に点対称に配されていることを特徴とする請求項6に記載のフィルタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−78540(P2013−78540A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221291(P2011−221291)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】