説明

フィルム留具及びそれを用いたフィルム構造体の製造方法

【課題】施工が容易であり、フィルム屋根構造体として用いる場合にも十分な強度を有するフィルム構造体を得るためのフィルム留具を得る。
【解決手段】断面がそれぞれ略同一の柱状体のフィルム装着部材及び挿入部材を含む、フィルム端部を固定するためのフィルム留具であって、フィルム装着部材が、フィルム及び挿入部材を挿入し、フィルムを装着するためのフィルム装着溝部と、少なくとも一部がフィルム装着溝部に面する第一壁面と、少なくとも一部がフィルム装着溝部に面し、フィルム装着溝部を挟んで第一壁面と対向する第二壁面とを含み、第一壁面が、フィルム及び挿入部材の挿入方向に向かって第一壁面と第二壁面との間の幅が最狭幅から最広幅へと段差的に広くなるような段差部を有し、挿入部材が、段差部の最狭幅より大きな断面寸法を有する、フィルム留具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを主材料とするフィルム構造体の製造に用いることのできるフィルム留具、そのフィルム留具を用いたフィルム構造体及びフィルム構造体の製造方法に関する。また、本発明は、本発明のフィルム留具を用いたフィルム屋根構造体を有する建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フィルムを屋根材とする構造物は、農業用又は農園芸用ハウスとして、多く用いられている。例えば、特許文献1には、金属材で家形にフレームを組んだ農業用ハウスの屋根に、金属材で形成されたモヤを取付け、この上に、断面コ字形部と、この開口部の下部に一体に形成した垂直板部と、垂直板部の下部に一体に形成したモヤ係合部とからなる固定金具を取付け、この固定金具の断面コ字形部に、四角形状の金属枠の上下両面に透光性フィルムを張ったパネル状の中空平板状屋根材の上段側を嵌合させると共に、前記断面コ字形部の底面と、モヤの上面との間に下段側の中空平板状屋根材を嵌合させたことを特徴とする農業用ハウスの屋根構造が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、二枚の透明樹脂フィルムを、棟木から軒桁に至る際垂木に固定して袋状に構成した建造物の屋根であって、給気口から袋状物に温暖な空気を供給して、袋状物を緊張状態に維持し、袋状物内の空気を排気口から排出することを特徴とする建造物の透明樹脂フィルム製屋根が開示されている。
【0004】
フィルムを屋根材等に用いる場合には、フィルムの端部を固定するための部材を用いることが必要となる。例えば、特許文献3には、建造物の骨格を構成するフレームに、樹脂フィルムを張設して屋根及び/又は壁を形成した樹脂フィルム被覆建造物において、前記樹脂フィルムの下縁部を前記フレームに固定する押え部に、透水性シートを、その上端部は前記樹脂フィルムの内面側に位置し、下端部は前記建造物の外側に位置するように挿入したことを特徴とする樹脂フィルム被覆建造物が開示されている。また、特許文献4には、並設された複数のアーチ状パイプとそれらを平行状態でつなぐ肩用直管及び母屋とで構成された骨組を有し、前記アーチ状パイプの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記肩用直管の少なくとも両妻面近傍に単クランプ及びその側部に取り付けた中間金具を介して桁方向に延びるフィルム留め材が固定されていることを特徴とする補強構造を有するグリーンハウスが開示されている。
【0005】
また、特許文献5には、光透過性材料によって少なくとも一部が画された空間に遮光性媒体を導入した遮光フィルター、その遮光フィルターを有する遮光建築部材及びその遮光建築部材を、屋根又は側壁の全部又は一部に有する建築物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−89094号公報
【特許文献2】特開2004−81205号公報
【特許文献3】特開2005−204650号公報
【特許文献4】特開2007−306886号公報
【特許文献5】特開2008−054547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィルムを主材料とするフィルム構造体を有する建築物は、一般的に構造強度が十分ではないため、高い構造強度が必要ではないグリーンハウス等に限られている。また、フィルムを固定するためのフィルム留具の構造も複雑なので、フィルム留具を用いてフィルムを固定する際の施工が煩雑であり、手間がかかっている。そこで、本発明は、施工が容易であり、フィルム屋根構造体として用いる場合にも十分な強度を有するフィルム構造体を得るためのフィルム留具を得ることを目的とする。また、そのフィルム留具を用いたフィルム構造体、そのフィルム構造体を屋根フィルム構造体として用いた建築物及びそれらを容易に施工することのできる施工方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、断面がそれぞれ略同一の柱状体のフィルム装着部材及び挿入部材を含む、フィルム端部を固定するためのフィルム留具であって、フィルム装着部材が、フィルム及び挿入部材を挿入し、フィルムを装着するためのフィルム装着溝部と、少なくとも一部がフィルム装着溝部に面する第一壁面と、少なくとも一部がフィルム装着溝部に面し、フィルム装着溝部を挟んで第一壁面と対向する第二壁面とを含み、第一壁面が、フィルム及び挿入部材の挿入方向に向かって第一壁面と第二壁面との間の幅が最狭幅から最広幅へと段差的に広くなるような段差部を有し、挿入部材が、段差部の最狭幅より大きな断面寸法を有する、フィルム留具である。
【0009】
本発明のフィルム留具の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)挿入部材がV字型挿入部材であり、V字型挿入部材が、断面が略V字形となるように二つの帯状平板部のそれぞれの長辺の一つが結合され、頂点部を形成する形状であって、二つの帯状平板部の成す角度θが弾性的に変化可能である。
(2)V字型挿入部材の二つの帯状平板部の端部が第一壁面及び第二壁面に接しながら、V字型挿入部材を段差部の最狭幅の部分を通過させるときに、角度θ=θが、二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θより小さくなることを満足するように、二つの帯状平板部のそれぞれの幅及び角度θ=θを有する。
(3)フィルム装着部材の第二壁面の少なくとも一部が、平坦面であり、第二壁面の平坦面が、V字型挿入部材を、頂点部がフィルム装着溝部にあり、二つの帯状平板部のうちの一つの端部が段差部の最広幅の部分に隣接し、かつ、帯状平板部の他方の外側面全体が第二壁面に接するように配置するときに、帯状平板部の他方の外側面全体が第二壁面の平坦面の少なくとも一部に接するように形成される。
(4)V字型挿入部材の二つの帯状平板部の幅のうち、小さい方の幅L及び二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θが、式Wmin<L・sinθ(Wminは、段差部の最狭幅である)を満たす。
(5)V字型挿入部材の二つの帯状平板部の幅のうち、小さい方の幅L及び二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θが、式Wmax≦L・sinθ(Wmaxは、段差部の最広幅である)を満たす。
(6)V字型挿入部材の二つの帯状平板部の幅が同じであり、二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θが、10〜80度である。
(7)フィルム留具が、フィルム装着溝部を覆うように設置可能であるカバー部材をさらに含む。
(8)N組(Nは整数)のフィルム装着溝部、第一壁面及び第二壁面を有するフィルム装着部材と、1個以上N個以下のV字型挿入部材とを含む。
(9)Nが4であり、フィルム装着部材の両側にそれぞれ2つのフィルム装着溝部を有する。
【0010】
また、本発明は、フィルム留具を用いてフィルムが固定される、フィルム構造体である。
【0011】
また、本発明は、上述のフィルム留具を用いたフィルム屋根構造体を有する建築物である。
【0012】
また、本発明は、上述のフィルム留具を用いるフィルム構造体の製造方法であって、フィルム縁部がフィルム装着溝部の外側に位置し、フィルム縁部からのフィルム上の距離が第二壁面より第一壁面の方が近くなるように、フィルム端部をフィルム装着溝部へ挿入する工程(a)と、挿入部材をフィルム装着溝部に挿入し、挿入部材をフィルム装着溝部の中に配置する工程(b)と、第二壁面側のフィルムをフィルム装着溝部の外側方向に向かって引くことにより、挿入部材の一端が、段差部の最広幅の部分に隣接し、かつ、挿入部材の他端が第二壁面に接するような位置に挿入部材を配置する工程(c)とを含む、フィルム構造体の製造方法である。
【0013】
上述の本発明のフィルム構造体の製造方法において、好ましくは、挿入部材がV字型挿入部材であり、工程(b)において、V字型挿入部材の頂点部を先頭に、V字型挿入部材をフィルム装着溝部に挿入し、二つの帯状平板部がフィルムを介して第一壁面及び第二壁面に接しながら、V字型挿入部材を段差部の最狭幅の部分を通過させ、V字型挿入部材をフィルム装着溝部の中に配置することを含み、工程(c)において、挿入部材の一端が、V字型挿入部材の二つの帯状平板部のうちの一つの端部であり、挿入部材の他端が、帯状平板部の他方の外側面全体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、施工が容易であり、フィルム屋根構造体として用いる場合にも十分な強度を有するフィルム構造体を得るためのフィルム留具を得ることができる。また、そのフィルム留具を用いたフィルム構造体、そのフィルム構造体を屋根フィルム構造体として用いた建築物及びそれらを容易に施工することのできる施工方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のフィルム留具を用いたフィルム構造体の一例の断面模式図である。
【図2】本発明のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材の一例の断面模式図である。
【図3】フィルム装着部材の別の一例を有する本発明のフィルム留具を用いたフィルム構造体の断面模式図である。
【図4】挿入部材の一例である、V字型挿入部材の一例の断面模式図である。
【図5】V字型挿入部材の別の一例の断面模式図である。
【図6】フィルム端部をフィルム装着溝部へ挿入する工程を示す断面模式図である。
【図7】V字型挿入部材が、段差部の最狭幅の部分を通過するときの様子を示す断面模式図である。
【図8】V字型挿入部材が、段差部の最狭幅の部分を通過し、広幅部に達した様子を示す断面模式図である。
【図9】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材の一例の断面模式図である。
【図10】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるカバー部材の一例の断面模式図である。
【図11】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材の外側のフィルム装着溝部に対して、第一フィルム及びV字型挿入部材を装着することを示す断面模式図である。
【図12】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材の内側のフィルム装着溝部に対して、第一フィルム、第二フィルム及びV字型挿入部材を装着することを示す断面模式図である。
【図13】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材のフィルム装着溝部に対して、カバー部材が覆うように設置し、ボルトを挿入した状態を示す断面模式図である。
【図14】本発明の第二の態様のフィルム留具の下側から、フィルム装着部材側のナットAをボルトに対して装着することを示す断面模式図である。
【図15】本発明の第二の態様のフィルム構造体の断面模式図である。
【図16】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材であって、キー溝を有するフィルム装着部材の断面模式図である。
【図17】本発明の第二の態様のフィルム留具に含まれるフィルム装着部材であって、図16のA部の平面模式図である。
【図18】キーを有するボルトの正面模式図(a)、側面模式図(b)及び上面模式図(c)である。
【図19】本発明のフィルム構造体をフィルム屋根構造体として用いた建築物の一例の上面模式図である。
【図20】本発明のフィルム構造体をフィルム屋根構造体として用いた建築物の一例の正面模式図である。
【図21】本発明の第二の態様のフィルム構造体の断面模式図であって、二枚のフィルムが同じフィルム装着部に固定される例である。
【図22】本発明の第二の態様のフィルム構造体の断面模式図であって、一枚のフィルムがフィルム装着部に固定される例である。
【図23】挿入部材の一例である、平板型挿入部材の一例の断面模式図である。
【図24】挿入部材として平板型挿入部材を有する本発明のフィルム留具を用いたフィルム構造体の一例を示す。
【図25】本発明のフィルム留具を用いた遮光建築物の模式的断面図の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のフィルム留具1は、シート状のフレキシブルな材料であるフィルムの端部を固定するためのフィルム留具1である。図1に本発明のフィルム留具1を用いてフィルム端部を固定している一例の断面模式図を示す。本発明のフィルム留具1は、断面がそれぞれ略同一の柱状体のフィルム装着部材10及び挿入部材を含む。図1では、挿入部材として、V字型挿入部材20を用いる場合を示している。フィルム装着部材10及び挿入部材(V字型挿入部材20)の断面はそれぞれ略同一であるので、それらを用いて形成されるフィルム留具1自体も、断面が略同一の柱状体である。本発明のフィルム留具1では、フィルム装着部材10のフィルム装着溝部17にフィルム50を挿入し、さらに挿入部材(V字型挿入部材20)をフィルム装着溝部17に挿入することにより、フィルム50を固定することができる。フィルム装着部材10の第一壁面11には段差部13が存在するために、所定の位置に挿入した挿入部材(V字型挿入部材20)はフィルム装着溝部17から抜けることはなく、フィルム装着部材10の第一壁面11及び第二壁面15と挿入部材(V字型挿入部材20)とによって、フィルム50を挟んで固定することができる。また、フィルム50及び挿入部材(V字型挿入部材20)をフィルム装着溝部17に挿入するだけでフィルム50を固定することができるので、施工が非常に容易であり、フィルム50の固定に手間がかからない。
【0017】
なお、本発明のフィルム留具1に用いることのできる挿入部材は、V字型挿入部材20には限られない。挿入部材としては、例えば、図23に断面模式図を示すような平板状の挿入部材(平板型挿入部材25)を用いることができる。本発明に用いる挿入部材は、フィルム装着部材10の第一壁面11の段差部13の最狭幅(Wmin)より大きな断面寸法を有する。本明細書において、挿入部材の「断面寸法」とは、挿入部材の断面の任意の二点の間の距離のことをいう。具体的には、例えば、挿入部材が、図23に示すような平板型挿入部材25には、その断面の長さLが断面寸法である。挿入部材の断面寸法のうち少なくとも一つが、フィルム装着部材10の第一壁面11の段差部の最狭幅より大きいならば、挿入部材のその断面寸法を有する部分の一端を段差部13に、他端を第二壁面15に接するように配置した場合、フィルム装着部材10は、フィルム装着溝部17の内部にとどまることができる。具体的には、図24に平板型挿入部材25を用いた本発明のフィルム留具1の一例を示すように、挿入部材(平板型挿入部材25)が最狭幅(Wmin)より大きい断面寸法Lを有する場合には、挿入部材(平板型挿入部材25)はフィルム装着溝部17にとどまることができる。この結果、フィルム50は、フィルム装着部材10と挿入部材(平板型挿入部材25)との間に挟まれた状態となり、フィルム50を固定することができるのである。
【0018】
フィルム装着溝部17への挿入部材の装着をより確実にするためには、挿入部材は、フィルム装着部材10の第一壁面11の段差部13の最広幅(Wmax)より大きな断面寸法を有することが好ましい。また、挿入部材として、V字型挿入部材20を用いることが、フィルム装着溝部17への挿入部材の装着をさらに確実にするために好ましい。
【0019】
上述のように、本発明のフィルム留具1を用いると、フィルム50を挿入したフィルム装着溝部17にV字型挿入部材20及び平板型挿入部材25等の挿入部材を挿入するだけでフィルム50を簡単に固定することができるのであるから、フィルムを装着する施工が容易である。また、フィルム装着部材10の断面を略コの字形にすることができるので、フィルム装着部材10自体の構造強度を高くすることができる。そのため、本発明のフィルム留具1は、十分な構造強度が必要な用途、例えば、建築物等の構造体の垂木等に用いることができ、特にフィルム屋根構造体に好ましく用いることができる。以下、本発明を詳しく説明する。
【0020】
本発明のフィルム留具1は、フィルム端部を固定するためのフィルム留具1である。本発明のフィルム留具1は、断面がそれぞれ略同一の柱状体のフィルム装着部材10及び挿入部材(一例として、V字型挿入部材20)を含む。以下の説明では、挿入部材として、V字型挿入部材20を用いる場合を例に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0021】
図2に、本発明のフィルム留具1に含まれるフィルム装着部材10の一例の断面模式図を示す。本発明のフィルム留具1に含まれるフィルム装着部材10は、断面が略同一の柱状体である。図2に示すように、本発明のフィルム留具1に含まれるフィルム装着部材10は、フィルム装着溝部17と、第一壁面11と、第二壁面15とを含む。
【0022】
本発明のフィルム装着部材10に含まれるフィルム装着溝部17は、フィルム50及びV字型挿入部材20を挿入してフィルム50を装着するための溝状の部分である。図2に示すように、フィルム装着溝部17は、第一壁面11と、第二壁面15とにより両側の少なくとも一部を画定され、フィルム50及びV字型挿入部材20を挿入するためのフィルム挿入開口部18を有する。フィルム装着溝部17を介してフィルム挿入開口部18とは反対側の部分は、開口部とせずに閉じられた構造とすることが好ましい。そのような構造とすることにより、フィルム装着部材10の断面形状を略コの字形にすることができるので、フィルム装着部材10自体の構造強度を高くすることができるためである。
【0023】
フィルム装着部材10に含まれる第一壁面11は、その少なくとも一部がフィルム装着溝部17に面し、フィルム装着溝部17の一面の少なくとも一部を画定する。
【0024】
図2に示すように、フィルム装着部材10に含まれる第二壁面15は、少なくとも一部がフィルム装着溝部17に面し、フィルム装着溝部17を挟んで第一壁面11と対向する。すなわち、第二壁面15は、フィルム装着溝部17の、フィルム装着溝部17を挟んで対向する一面の少なくとも一部を画定する。
【0025】
挿入部材としてV字型挿入部材20を用いる場合には、第二壁面15は、その少なくとも一部に平坦面を有することが好ましい。本発明のフィルム留具1において、第二壁面15のうち、V字型挿入部材20が所定の位置に配置される場合に、少なくともV字型挿入部材20と接する部分の第二壁面15は、平坦面であることが、V字型挿入部材20の装着を確実にする上で好ましいからである。
【0026】
図2に示すように、第一壁面11は、段差部13を有する。段差部13とは、フィルム50及びV字型挿入部材20の挿入方向に向かって第一壁面11と第二壁面15との間の幅が最狭幅(Wmin)から最広幅(Wmax)へと段差的に広くなるような段差の部分のことをいう。すなわち、段差部13は、フィルム装着溝部17に対してオーバーハングを形成するような構造となっている。また、「最狭幅(Wmin)」及び「最広幅(Wmax)」とは、共に「段差部13」における第一壁面11と第二壁面15との間の幅であり、「最狭幅(Wmin)」とは段差部13における最も狭い幅のことをいい、「最広幅(Wmax)」とは段差部13における最も広い幅のことをいう。なお、本明細書において、段差部13の最狭幅の部分のことを「狭幅部12」といい、段差部13の最広幅の部分のことを「広幅部14」という。第一壁面11が段差部13を有することにより、図1に示すように、V字型挿入部材20をフィルム装着溝部17に挿入した場合、挿入部材が段差部の最広幅より大きな断面寸法(図5に示すL1)を有するため、V字型挿入部材20の片方の端部(平板端部23)が段差部13にとらえられる。この結果、フィルム装着溝部17に挿入したV字型挿入部材20は抜け出すことなくとどまり、V字型挿入部材20とフィルム装着部材10との間にフィルム50を挟んで固定することができる。また、図24に示すように、挿入部材として平板型挿入部材25を用いる場合にも、V字型挿入部材20と同様に、平板型挿入部材25の片方の端部が段差部13にとらえられ、フィルム50を固定することができる。他の形状の挿入部材を用いる場合についても同様にフィルム50を固定することができる。
【0027】
フィルム装着部材10の製作容易性の点から、第一壁面11は、段差部13を除き平坦面であることが好ましい。しかしながら、第一壁面11は、V字型挿入部材20をフィルム装着溝部17内にとらえておくという目的のために段差部13を有していれば良く、例えば、図3に示すフィルム装着部材10の第一壁面11ような不規則な構造の壁面であってもよい。
【0028】
フィルム装着部材10の材料は、その用途によって適宜選択することができる。高い構造強度を得る点から、フィルム装着部材10の材料は、アルミニウムや鋼材等の金属材料であることが好ましく、特に軽量で加工容易であることから、アルミニウムであることが好ましい。
【0029】
本発明のフィルム留具1は、断面が略同一の柱状体の挿入部材を含む。フィルム50の固定を確実にする点から、挿入部材としては、V字型挿入部材20を用いることが好ましい。図4にV字型挿入部材20の一例の断面模式図を示す。本発明のフィルム留具1の挿入部材として用いることのできるV字型挿入部材20は、断面が略V字形となるように二つの帯状平板部21のそれぞれの長辺の一つが結合され、頂点部22を形成する形状である。二つの帯状平板部21は、別々の平板であって、二つの平板が頂点部22を形成するように結合した構造であることができる。また、断面がV字形となるように、一体として成形することもできる。製作容易である点から、断面がV字形となるように、一体として成形することによりV字型挿入部材20を製作することが好ましい。また、フィルム装着部材10及びV字型挿入部材20の長さ(フィルム50を装着する長さ)は、同じ長さを有することが好ましい。なお、V字型挿入部材20の断面寸法として、帯状平板部21の幅L1及びL2を有する。フィルム50の固定を確実にする点から、V字型挿入部材20の帯状平板部21の幅L1及びL2の少なくとも一方は、段差部の最狭幅より大きいことが必要であり、段差部の最広幅より大きいことが好ましい。
【0030】
本発明のフィルム留具1の挿入部材として用いることのできるV字型挿入部材20は、二つの帯状平板部21の成す角度θが弾性的に変化可能であることが好ましい。本発明において、「角度θ」とは、図4に示すように二つの帯状平板部21の成す角度のうち小さい方の角度をいう。また、V字型挿入部材20に外力が働いていないときの角度θを「θ」とする。また、図7に示すように、V字型挿入部材20が段差部13の最狭幅の部分を通過するときの角度θを「θ」とする。また、図1に示すように、V字型挿入部材20が段差部13の幅広部に達し、フィルム装着溝部17に装着された状態の角度θを「θ」とする。
【0031】
V字型挿入部材20をフィルム挿入開口部18からフィルム装着溝部17に挿入すると、二つの帯状平板部21の端部が第一壁面11及び第二壁面15に接しながら、V字型挿入部材20を段差部13の最狭幅の部分を通過する。このときに、V字型挿入部材20の最狭幅の部分を通過するときの角度θ=θは、二つの帯状平板部21に外力が加わらないときの角度θ=θより小さくなることが好ましい。V字型挿入部材20は、そのような角度θの条件を満足するような形状になるように、二つの帯状平板部21のそれぞれの幅及び角度θ=θを選択することができる。
【0032】
すなわち、本発明のフィルム留具1の挿入部材として用いることのできるV字型挿入部材20において、V字型挿入部材20をフィルム挿入開口部18からフィルム装着溝部17に挿入する際に、二つの帯状平板部21の端部(平板端部23)が第一壁面11及び第二壁面15に接しながら、V字型挿入部材20を段差部13の最狭幅の部分を通過することが好ましい。V字型挿入部材20が段差部13の最狭幅の部分を通過するときには、角度θ=θのときの平板端部23間の距離が、最狭幅より長いことが好ましい。その結果、V字型挿入部材20が段差部13の最狭幅の部分を通過するときには、二つの平板端部23は、第一壁面11及び第二壁面15に接し、外力を受けるため、角度θが小さくなり、角度θとなる。そして、平板端部23が段差部13の広幅部14に達したときに、角度θが角度θより大きくなるので、V字型挿入部材20の平板端部23を段差部13にとらえることができるのである。
【0033】
なお、本発明のフィルム留具1の挿入部材として用いることのできるV字型挿入部材20において、V字型挿入部材20の二つの帯状平板部21の幅L1及びL2のうち、小さい方の幅L(L1又はL2)及び二つの帯状平板部21に外力が加わらないときの角度θ=θが、式(1)
Wmin<L・sinθ (Wminは、段差部13の最狭幅である) ・・・(1)
を満たすことが好ましい。図4に示すように、L=L1の場合には、D=L1・sinθとなる。したがって、V字型挿入部材20が上式(1)を満たすならば、長さL2の帯状平板部21が第二壁面15に接するようにV字型挿入部材20を挿入する場合に、段差部13の最狭幅の部分を通過するときの角度θは、角度θより小さくなるのである。
【0034】
また、本発明のフィルム留具1の挿入部材として用いることのできるV字型挿入部材20において、V字型挿入部材20の二つの帯状平板部21の幅のうち、小さい方の幅L(L1又はL2)及び二つの帯状平板部21に外力が加わらないときの角度θ=θが、式(2)
Wmax≦L・sinθ (Wmaxは、段差部13の最広幅である) ・・・(2)
を満たすことが好ましい。この場合には、V字型挿入部材20が段差部13の幅広部に達し、フィルム装着溝部17に装着された状態の角度θ=θが、二つの帯状平板部21に外力が加わらないときの角度θより小さくなる。すなわち、V字型挿入部材20が弾性を有するため、この場合には、装着したフィルム50に対して力を加えてフィルム装着部材10に押し付けることができる。したがって、本発明のフィルム留具1によるフィルム50の装着をより確実に行うことができる。
【0035】
上述の式(1)及び(2)において、二つの帯状平板部21の幅が等しい場合(L1=L2の場合)の「小さい方の幅L」とは、L=L1=L2を意味することはいうまでもない。なお、図5に示すように、実際のV字型挿入部材20には、厚さtがあり、また取扱い容易性のため角を丸める等の形状となる場合がある。また、フィルム50を装着するのであるから、フィルム50の厚さも考慮に入れる必要がある。その場合には、上述の式(1)及び(2)を、V字型挿入部材20の厚さt、角の丸み及びフィルム50の厚さ等を考慮に入れて、適宜、式を修正することができる。
【0036】
本発明のフィルム留具1の挿入部材として用いることのできるV字型挿入部材20において、二つの帯状平板部21の幅が同じであることが好ましい。二つの帯状平板部21の幅が同じであると、V字型挿入部材20の向きを気にせず用いることができるためである。また、二つの帯状平板部21に外力が加わらないときの角度θ=θが、10〜90度、好ましくは15〜60度であることが、V字型挿入部材20のフィルム装着溝部17への装着の際にフィルム50の装着を確実にする点から好ましい。
【0037】
V字型挿入部材20の材料としては、フィルム装着のための構造強度が十分であり、角度θが変化可能なように弾性を有する材料を適宜選択して用いることができる。具体的には、V字型挿入部材20の材料としては、塩化ビニル等のプラスチック材料、カーボン繊維材料及び金属バネ材等の金属材料等から選択して用いることができる。一体成形により製造可能なことから、V字型挿入部材20の材料としては、塩化ビニル等のプラスチック材料を用いることが好ましい。
【0038】
図1に示すように、フィルム装着溝部17の中でフィルム50を装着するときのV字型挿入部材20は、頂点部22がフィルム装着溝部17にあり、二つの帯状平板部21のうちの一つの端部が段差部13の最広幅の部分に隣接し、かつ、帯状平板部21の他方の外側面全体が第二壁面15に接するように配置される。このような配置により、第二壁面15とV字型挿入部材20との間に挟まれるフィルム50の面積を大きくすることができ、フィルム50の装着を確実にすることができるためである。このときに、フィルム装着部材の第二壁面の少なくとも一部が平坦面であることが好ましい。すなわち、V字型挿入部材20が接する第二壁面15の部分が平坦面であることにより、フィルム50の装着を確実にすることができる。したがって、本発明のフィルム留具1において、V字型挿入部材20を、頂点部22がフィルム装着溝部17にあり、二つの帯状平板部21のうちの一つの端部が段差部13の最広幅の部分に隣接し、かつ、帯状平板部21の他方の外側面全体が第二壁面15に接するように配置するときに、帯状平板部21の他方の外側面全体が第二壁面15の平坦面の少なくとも一部に接するように、第二壁面15の平坦面が形成されることが好ましい。
【0039】
以上、V字型挿入部材20を用いる場合を例に説明したが、挿入部材としては平板型挿入部材25等の他の形状のものを用いることもできる。また、本発明のフィルム留具1の第二壁面15は、挿入部材と接する部分が必ずしも平坦面でなくてもよい。また、第二壁面15の挿入部材の接する部分の表面は、対応する挿入部材の表面形状と同様な形状とすることによって、第二壁面15と挿入部材とに挟まれるフィルム50の装着を確実にすることができる。
【0040】
本発明のフィルム留具1は、上述のような構造のフィルム装着部材10及びV字型挿入部材20を含むことにより、図1に示すようにフィルム50を確実に固定し、フィルム構造体とすることができる。
【0041】
本発明のフィルム構造体に用いることのできるフィルムは、フレキシブルなシート状材料であればよく、フィルム構造体の用途によって適宜選択することができる。例えば、本発明のフィルム構造体を、建築物のフィルム屋根構造体として用いる場合には、採光のために透明又は半透明のフィルムを用いることができる。この用途に用いることのできるフィルムは、具体的には、可視光の透過率が90%以上のフッ素系樹脂を材料としたシート状材料、例えば、特開2000−287599号公報で開示されたフッ素系樹脂フィルムを用いることができる。また、ポリオレフィンフィルム及び塩化ビニルフィルム等のフィルムも用いることができる。また、紫外線カットフィルムを用いることにより、太陽光の紫外線部分を除去することができる。これらのフィルムは、適度な強度及び耐久性を有することも必要となるため、シート状材料の厚さは10〜250μm、好ましくは60〜250μm、より好ましくは100〜200μmとすることができる。
【0042】
次に、本発明のフィルム構造体の製造方法について、図1に示すフィルム構造体を例にして説明する。
【0043】
本発明のフィルム構造体の製造方法には、上述のフィルム留具1を用いる。すなわち、図2に示すようなフィルム装着部材10及びそれに対応するV字型挿入部材20等の挿入部材を用意する。
【0044】
次に、本発明の製造方法は、フィルム縁部53がフィルム装着溝部17の外側に位置し、フィルム縁部53からのフィルム50上の距離が第二壁面15より第一壁面11の方が近くなるように、フィルム端部をフィルム装着溝部17へ挿入する工程(a)を含む。すなわち、フィルム構造体のフィルム部分となるフィルムの主要部分が、第二壁面に沿ってフィルム装着溝部17へ入るようにフィルムを配置する。図6に、本工程を示す断面模式図を図示する。なお、本発明において、「フィルム縁部53」とは、フィルム50の最縁辺の部分をいい、「フィルム端部」とは、フィルム縁部53に隣接する部分であって、フィルム留具1に装着され固定される部分を含む一定の幅を有するフィルム50の部分をいう。
【0045】
次に、本発明の製造方法は、挿入部材をフィルム装着溝部17に挿入し、挿入部材をフィルム装着溝部17の中に配置する工程(b)を含む。挿入部材としてV字型挿入部材20を用いる場合には、V字型挿入部材20の頂点部22を先頭に、V字型挿入部材20をフィルム装着溝部17に挿入し、二つの帯状平板部21がフィルム50を介して第一壁面11及び第二壁面15に接しながら、V字型挿入部材20が段差部13の最狭幅の部分を通過させ、V字型挿入部材20をフィルム装着溝部17の中に配置する。本工程の断面模式図を、図7及び図8に示す。図7には、V字型挿入部材20が段差部13の最狭幅の部分を通過するときの様子を示している。このときのV字型挿入部材20の角度θはθより小さくなり、θとなる。図8には、V字型挿入部材20が段差部13の最狭幅の部分を通過し、広幅部に達した後の様子を示している。なお、工程(b)は、工程(a)の後に行うことができるが、工程(a)及び工程(b)をほぼ同時に行うこともできる。すなわち、フィルム50と、V字型挿入部材20とを重ね、フィルム端部のフィルム装着溝部17への挿入と、V字型挿入部材20のフィルム装着溝部17への挿入とをほぼ同時に行うことができる。
【0046】
次に、本発明の製造方法は、第二壁面15側のフィルムをフィルム装着溝部17の外側方向に向かって引くことにより、挿入部材の一端が、段差部13の最広幅の部分に隣接し、かつ、挿入部材の他端が第二壁面15に接するような位置に挿入部材を配置する工程(c)を含む。なお、「挿入部材の一端」及び「他端」は、挿入部材がフィルム50を固定するように装着されたときに、それぞれ挿入部材のうち、段差部13の最広幅の部分に隣接する部分及び第二壁面15に接する部分のことをいう。挿入部材としてV字型挿入部材20を用いる場合には、挿入部材の一端とは、V字型挿入部材20の二つの帯状平板部21のうちの一つの端部(平板端部23)であり、挿入部材の他端とは、帯状平板部21の他方の外側面全体のことをいう。すなわち、第二壁面15側のフィルム50をフィルム装着溝部17の外側方向に向かって引くことにより、V字型挿入部材20を、頂点部22がフィルム装着溝部17にあり、二つの帯状平板部21のうちの一つの端部が段差部13の最広幅の部分に隣接し、かつ、帯状平板部21の他方の外側面全体が第二壁面15に接するような位置に配置することができる。その結果、図1に断面模式図を示すフィルム構造体を得ることができる。V字型挿入部材20がこのような位置に配置されると、フィルム50はフィルム装着部材10とV字型挿入部材20との間に挟みこまれ、フィルム50の固定は確実となり、フィルム50のフィルム縁部53とは反対方向からフィルム50を引っ張ったとしても、容易に抜けることがない。なお、フィルム縁部53付近のフィルム端部は不要な部分であるので、切断するなど適宜処理することができる。挿入部材がフィルム50を固定するように装着されたときに、V字型挿入部材20の角度θはθより小さい角度θとなることが、フィルム50の固定を確実にする点から好ましい。
【0047】
次に、本発明の別の態様のフィルム留具1について説明する。なお、本態様のフィルム留具1では、挿入部材としてV字型挿入部材20を用いる場合を例に説明するが、平板型挿入部材25等の他の挿入部材を用いることもできる。
【0048】
図9に、本発明の第二の態様のフィルム留具1に含まれるフィルム装着部材(四溝フィルム装着部材100)の一例の断面模式図を示す。また、図10に、本発明の第二の態様のフィルム留具1に含まれるカバー部材200の一例の断面模式図を示す。また、図15に、本態様のフィルム留具1を用いたフィルム構造体の一例の断面模式図を示す。図15に示すように、本態様のフィルム留具1は、四溝フィルム装着部材100及びV字型挿入部材20の他に、フィルム装着溝部17を覆うように設置可能であるカバー部材200をさらに含む。カバー部材200を含むことにより、四溝フィルム装着部材100と、カバー部材200とが接する部分の少なくとも一部を、装着されたフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)を挟みこむためのフィルムシール部250とすることができる。二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)を挟みこむことによりシールし、二重のフィルムの間の空間を密閉空間(密閉部)とすることができる。また、カバー部材200は振れ止め部201を有する。振れ止め部201は、四溝フィルム装着部材100のフィルム挿入開口部18と嵌合することができる。そのため、カバー部材200が振れ止め部201を有することにより、カバー部材200の四溝フィルム装着部材100に対する装着を容易にすることができる。第一フィルム51及び第二フィルム52を重ね合わせた部分が、空気漏れ防止のシール(密閉部)としての役割を担うことになる。
【0049】
図9に示す四溝フィルム装着部材100は、断面形状が線対称の形状であり、一組のフィルム装着溝部17、第一壁面11及び第二壁面15を含む部分(「フィルム装着部」という)が4つ配置されている構造である。すなわち、図9の左側半分に第一フィルム装着部101及び第二フィルム装着部102が配置され、右側半分に第三フィルム装着部103及び第四フィルム装着部104が配置されている。したがって、四溝フィルム装着部材100の両側に、それぞれ2つのフィルム装着溝部17を有する構造になっている。すなわち、四溝フィルム装着部材100のような構造とすることにより、本発明のフィルム留具1は、複数のフィルム装着部を有する構造とすることにより、複数のフィルムを装着することができる。一般的には、本発明のフィルム留具1は、N組(Nは整数)のフィルム装着溝部17、第一壁面11及び第二壁面15(N個のフィルム装着部)を有するフィルム装着部材と、N個の挿入部材(例えば、V字型挿入部材20)とを含むような構造とすることができる。フィルム留具1の用途に応じて、フィルム装着部材が装着可能なフィルムの数を適宜選択し、フィルム装着部材を設計することができる。また、全てのフィルム装着部にフィルム50を装着する必要は必ずしもないのであるから、フィルム留具1は、固定するフィルム50の数に応じて、1個以上N個以下の挿入部材(V字型挿入部材20)を含むことができる。また、一つのフィルム装着部に複数枚のフィルム50を装着することもできる。
【0050】
建築物の屋根にフィルムを用いたフィルム屋根構造体300では、屋根材のフィルムを二重のフィルムとすることが多い。したがって、この場合、上述のNは4であり、フィルム装着部材は4個のフィルム装着部有し、4個の挿入部材を有する。具体的には、図15に示すように、フィルム留具1の両側のそれぞれ1組の二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)を固定するような構造となるように構成することができる。
【0051】
次に、図15に示すような、本発明の第二の態様のフィルム留具1を用いたフィルム構造体の製造方法について、V字型挿入部材20を用いる場合を例に説明する。
【0052】
本態様の製造方法では、図9に示すような四溝フィルム装着部材100、それに対応する図4又は図5に示すような所定の形状の4個のV字型挿入部材20及び図10に示すようなカバー部材200を用意する。
【0053】
次に、本態様の製造方法では、図11に断面模式図の一例を示すように、四溝フィルム装着部材100の外側のフィルム装着溝部17に第一フィルム51及びV字型挿入部材20を装着する。なお、本態様の製造方法において、第一フィルム51及びV字型挿入部材20の四溝フィルム装着部材100への装着方法は、上述の図1に示す態様の場合と同様である。また、このとき、第一フィルム51のフィルム縁部53と、第一壁面11の段差部13との間のフィルムが、十分な長さを有するようにすることにより、次に述べるように、内側のフィルム装着溝部17に第一フィルム51を再度装着することができる。
【0054】
次に、本態様の製造方法では、図12に断面模式図の一例を示すように、四溝フィルム装着部材100の内側のフィルム装着溝部17に第二フィルム52及びV字型挿入部材20を装着する。このとき、第二フィルム52に第一フィルム51を重ね合わせ、第一フィルム51及び第二フィルム52を共に四溝フィルム装着部材100に装着することにより、第一フィルム51及び第二フィルム52の間のシールを確実にすることができる。この結果、第一フィルム51及び第二フィルム52の間に空気を入れる場合に、第一フィルム51及び第二フィルム52を重ね合わせた部分が、空気漏れ防止のシール(密閉部)としての役割を担うことになる。
【0055】
次に、本態様の製造方法では、図13に断面模式図の一例を示すように、カバー部材200がフィルム装着溝部17を覆うように、カバー部材200を設置する。四溝フィルム装着部材100の第一シール部111とカバー部材200の第一シール押さえ部211との間は、フィルムシール部250として、第一フィルム51及び第二フィルム52の間の空気漏れ防止のシールを行うことができる。同様に、第二シール部112と第二シール押さえ部212との間も、フィルムシール部250となる。
【0056】
四溝フィルム装着部材100と、カバー部材200との固定は、ボルト41及び二つのナット(ナットA42及びナットB43)を用いて行うことができる。なお、この固定を効率的に行うために、図16及び図16のA部付近の上面模式図である図17に示すように、四溝フィルム装着部材100は、キー溝145を有することが好ましい。キー溝145は複数のボルト孔140を連続的に横断するような、連続的な溝であることができる。また、ボルト41は、図18に正面模式図(a)、側面模式図(b)及び上面模式図(c)として示すように、キー溝145に対応するキー45を有することが好ましい。図13には、図18に示すようなボルト41を、ボルト孔140に挿入し、キー溝145にボルト41のキー45が嵌合した状態を示す。なお、この場合、カバー部材200は、キー45を有するボルト41が通過可能であるが、ナットB43は通過可能ではない開口部を有している。
【0057】
図18に示すようなボルト41を用いると、カバー部材200側のナットB43をボルト41に装着することなしに、図14に示すように、フィルム留具1の下側から、四溝フィルム装着部材100側のナットA42をボルト41に対して装着することができる。その後、フィルム留具1の上側から、カバー部材200側のナットB43を装着し、締め上げ、四溝フィルム装着部材100とカバー部材200とを固定することができる。
【0058】
なお、ボルト41がキー45を有しない場合には、ボルト41にナットB43を装着したものをボルト孔140に挿入し、フィルム留具1の下側から、四溝フィルム装着部材100側のナットA42を装着することとなるが、ナットA42の装着の際にボルト41が空回りしてしまい不便である。フィルム留具1にはフィルム50が両側に装着されているので、フィルム留具1の上側に手を回すことができないので、ボルト41の固定が困難なのである。したがって、四溝フィルム装着部材100とカバー部材200との固定のためには、上述のキー溝145を有する四溝フィルム装着部材100及びキー45を有するボルト41を用いることが好ましい。
【0059】
図15に示す本発明のフィルム留具1の場合、ボルト孔140の設置間隔は、例えば、最大3m間隔、好ましくは最大2m間隔、より好ましくは最大1m間隔とすることができる。また、フィルム留具1の長さは、用途によって異なるが、例えば建築物のフィルム屋根構造体300などに用いる場合には、施工性の点から、0.5〜10m、好ましくは1〜8m、より好ましくは2〜6m、具体的には4m程度とすることができる。
【0060】
このようにして、図15に示すようなフィルム構造体を得ることができ、そのフィルム構造体を有する建築物を得ることができる。
【0061】
なお、図9に示す四溝フィルム装着部材100及び図10に示すカバー部材200を含むフィルム留具1では、4つのフィルム装着部の全てを用いる必要は必ずしもない。すなわち、図21に示すように、左側半分及び右側半分にそれぞれ二つあるフィルム装着部のうち、左側半分及び右側半分のそれぞれいずれか一箇所のフィルム装着部を用いて、第一フィルム51及び第二フィルム52を固定することができる。この場合、第一フィルム51及び第二フィルム52を重ね、さらにその上から一つのV字型挿入部材20をフィルム装着溝部17に挿入することにより、第一フィルム51及び第二フィルム52を固定することができる。この固定方法の場合には、一つのV字型挿入部材20により二つのフィルムを固定することができるので、低コストとなる。
【0062】
また、図9に示す四溝フィルム装着部材100及び図10に示すカバー部材200を含むフィルム留具1では、第一フィルム51及び第二フィルム52のように二重のフィルムとする必要は必ずしもない。すなわち、図22に示すように、左側半分及び右側半分にそれぞれ二つあるフィルム装着部のうち、左側半分及び右側半分のそれぞれいずれか一箇所のフィルム装着部を用いて、一つのフィルム50を固定することができる。すなわち、一重のフィルム50を固定する場合にも、四溝フィルム装着部材100及びカバー部材200を含むフィルム留具1を用いることができる。四溝フィルム装着部材100及びカバー部材200を汎用品として大量生産する場合には、低コストでこれらの部材を製造することができるので、一重のフィルム50を固定するために一重フィルム固定用のフィルム留具1を別途設計し、製造するより低コストとなる。同様に、四溝フィルム装着部材100の左右のうちいずれかの片側のみをフィルム50の固定に用いることができる。
【0063】
本発明のフィルム構造体は、建築物等の構造体の柱及び梁等の構造体フレームに取り付けることによって、建築物の一部とすることができる。図15に示す本発明のフィルム留具1を用いたフィルム構造体は、図19(上面模式図)及び図20(正面模式図)に示すように、建築物のフィルム屋根構造体300として用いることができる。図19及び図20では、本発明のフィルム構造体を構成するフィルム留具1を、建築物の垂木として用いる例を示している。
【0064】
本発明のフィルム留具1は、ジョイント等の接続部材を用いるならば、任意の長さのフィルム留具1とすることができるので、大規模な建築物、例えば屋内野球場や屋内サッカー場や屋内テニスコートなどのフィルム屋根構造体300の垂木として用いることができる。例えば、図15に示すように、一重フィルム又は二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)の大きさが幅X=2m、長さY=25mである場合には、接続部材で接続した合計長さ25mのフィルム留具1を用いて一重又は二重のフィルムの長さ方向の端部を固定することができる。なお、二重フィルムの内部にエアーを導入して、二重フィルムにふくらみをもたせることができる。
【0065】
図15に示す本発明のフィルム留具1を垂木として用いる場合、最大3m間隔、好ましくは最大2m間隔、より好ましくは最大1m間隔で垂木を支える支持体を配置することができる。この場合の図15に示すフィルム留具1の大きさは、例えば、四溝フィルム装着部材100の材料をアルミニウムとし、フィルム留具1フィルム留具1の主要部の幅Wdの寸法を、50〜70mm程度、具体的には60mm程度とすることにより、図19及び図20に示すフィルム屋根構造体300の建築物として十分な構造強度を有することができる。
【0066】
本発明のフィルム留具1は、特許文献5(特開2008−054547号公報)に開示されている、温室ハウス等に好適に用いることのできる遮光建築物を施工する際に用いることができる。本発明のフィルム留具1を、特許文献5に開示されている遮光建築物400の施工に用いる場合の模式的断面図を図25に示す。この遮光建築物400は、二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)の間に遮光性気体402を導入することにより遮光フィルターとなり、入射光460を遮光することができる。すなわち、遮光建築物400の中への透過光461の光強度を調節することができる。この遮光建築物400において、二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)の固定を、図15又は図21に示すような本発明のフィルム留具1を用いて行うことができる。本発明のフィルム留具1を用いるならば、二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)の固定を容易に行うことができるので、特許文献5に開示されている遮光建築物400の施工を好適に行うことができる。
【0067】
次に、遮光性気体402を二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)の間に導入し、遮光フィルターを形成する方法について説明する。図25は、遮光建築物400と共に、遮光フィルターを形成するための配管及び付属する装置を模式的に表した図である。
【0068】
遮光性気体発生装置410は、所定の粒径と光学定数(光吸収係数αや反射率Rなど)を有する遮光性粒子を発生するための機構を備える。例えば、遮光性気体発生装置410は、特開平8-299613号公報で開示されているように、スモーク発生液を過熱気化する方法により、遮光性粒子生成部11において遮光性粒子を発生する機構を備える。この場合のスモーク発生液としては、例えば、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、蒸留水を混合した液体を用いることができる。遮光性粒子の粒径は、0.01〜100μm程度の範囲を使用できるが、遮光性粒子が搬送気体中に安定して浮遊させるためには0.05〜10μm程度が好ましい。
【0069】
遮光性気体発生装置410は、気体導入管406により、遮光フィルター(二重のフィルムの間の空間)の気体導入口に接続されている。気体導入管406には、加圧ブロア(図示せず)及び気体導入バルブ408が配置することができる。加圧ブロアにより、遮光性気体を大気圧より高い圧力にして、遮光フィルターの気体導入口から遮光フィルターの空間へと送り込むことができる。また、遮光フィルターの気体導出口には、気体排出管407が接続されている。気体排出管407は、除害装置415に接続されているが、図示しない切替弁によって循環用配管へも接続できる構造とすることができる。この循環用配管は、遮光性気体発生装置410へと接続され、遮光性気体を再利用することができる。除害装置415は、遮光性気体に有毒物が含まれている場合に大気中へ排気する前に除害するための装置である。具体的には、スクラバーを利用した装置、吸着筒により遮光性粒子を吸着する装置などを用いることができる。なお、遮光性気体に有毒物が含まれていない場合には除害装置415は不要である。切替弁の替わりに遮光フィルターに循環用配管及び除害装置への気体導出口をそれぞれ設けてもよく、配管系はその具体的な応用によって様々な形に設計変更をすることができる。
【0070】
二重のフィルム(第一フィルム51及び第二フィルム52)を固定した本発明のフィルム留具1は、建築物骨格431や建築物側壁432に取り付けられ、二重のフィルムは温室ハウス等の遮光建築物400の屋根を形成している。入射光50の光量を、遮光フィルター(二重のフィルムの間の空間)の遮光性気体402により減衰することができる。この結果、遮光建築物400が温室ハウスの場合には、植物435の成長に最適な透過光461することができる。また、この遮光により、透過光による不必要なハウス内温度の上昇を抑制することができる。
【0071】
本発明のフィルム留具1を用いてフィルムを固定したフィルム構造体は、上述の例以外にも、明り取り用の窓等の小規模な用途にも用いることができる。また、本発明のフィルム留具1は、シート状のフィルムを固定する用途であれば、どのようなものにも用いることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 フィルム留具
10 フィルム装着部材
11 第一壁面
12 狭幅部
13 段差部
14 広幅部
15 第二壁面
17 フィルム装着溝部
18 フィルム挿入開口部
20 V字型挿入部材
21 帯状平板部
22 頂点部
23 平板端部
25 平板型挿入部材
41 ボルト
42 ナットA
43 ナットB
45 キー
50 フィルム
51 第一フィルム
52 第二フィルム
53 フィルム縁部
100 四溝フィルム装着部材
101 第一フィルム装着部
102 第二フィルム装着部
103 第三フィルム装着部
104 第四フィルム装着部
111 第一シール部
112 第二シール部
140 ボルト孔
145 キー溝
200 カバー部材
201 振れ止め部
211 第一シール押さえ部
212 第二シール押さえ部
250 フィルムシール部
300 フィルム屋根構造体
400 遮光建築物
402 遮光性気体
406 気体導入管
407 気体排出管
408 気体導入バルブ
409 気体排出バルブ
410 遮光性気体発生装置
415 除害装置
431 建築物骨格
432 建築物側壁
435 植物
460 入射光
461 透過光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面がそれぞれ略同一の柱状体のフィルム装着部材及び挿入部材を含む、フィルム端部を固定するためのフィルム留具であって、
フィルム装着部材が、
フィルム及び挿入部材を挿入し、フィルムを装着するためのフィルム装着溝部と、
少なくとも一部がフィルム装着溝部に面する第一壁面と、
少なくとも一部がフィルム装着溝部に面し、フィルム装着溝部を挟んで第一壁面と対向する第二壁面とを含み、
第一壁面が、フィルム及び挿入部材の挿入方向に向かって第一壁面と第二壁面との間の幅が最狭幅から最広幅へと段差的に広くなるような段差部を有し、
挿入部材が、段差部の最狭幅より大きな断面寸法を有する、フィルム留具。
【請求項2】
挿入部材がV字型挿入部材であり、
V字型挿入部材が、断面が略V字形となるように二つの帯状平板部のそれぞれの長辺の一つが結合され、頂点部を形成する形状であって、二つの帯状平板部の成す角度θが弾性的に変化可能である、請求項1記載のフィルム留具。
【請求項3】
V字型挿入部材の二つの帯状平板部の端部が第一壁面及び第二壁面に接しながら、V字型挿入部材を段差部の最狭幅の部分を通過させるときに、角度θ=θが、二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θより小さくなることを満足するように、二つの帯状平板部のそれぞれの幅及び角度θ=θを有する、請求項2記載のフィルム留具。
【請求項4】
フィルム装着部材の第二壁面の少なくとも一部が平坦面である、請求項3記載のフィルム留具。
【請求項5】
V字型挿入部材の二つの帯状平板部の幅のうち、小さい方の幅L及び二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θが、式
Wmin<L・sinθ (Wminは、段差部の最狭幅である)
を満たす、請求項2〜4のいずれか1項記載のフィルム留具。
【請求項6】
V字型挿入部材の二つの帯状平板部の幅のうち、小さい方の幅L及び二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θが、式
Wmax≦L・sinθ (Wmaxは、段差部の最広幅である)
を満たす、請求項2〜5のいずれか1項記載のフィルム留具。
【請求項7】
V字型挿入部材の二つの帯状平板部の幅が同じであり、二つの帯状平板部に外力が加わらないときの角度θ=θが、10〜80度である、請求項2〜6のいずれか1項記載のフィルム留具。
【請求項8】
フィルム留具が、フィルム装着溝部を覆うように設置可能であるカバー部材をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項記載のフィルム留具。
【請求項9】
N組(Nは整数)のフィルム装着溝部、第一壁面及び第二壁面を有するフィルム装着部材と、
1個以上N個以下のV字型挿入部材とを含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のフィルム留具。
【請求項10】
Nが4であり、フィルム装着部材の両側にそれぞれ2つのフィルム装着溝部を有する、請求項9記載のフィルム留具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載のフィルム留具を用いてフィルムが固定される、フィルム構造体。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項記載のフィルム留具を用いたフィルム屋根構造体を有する建築物。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項記載のフィルム留具を用いるフィルム構造体の製造方法であって、
フィルム縁部がフィルム装着溝部の外側に位置し、フィルム縁部からのフィルム上の距離が第二壁面より第一壁面の方が近くなるように、フィルム端部をフィルム装着溝部へ挿入する工程(a)と、
挿入部材をフィルム装着溝部に挿入し、挿入部材をフィルム装着溝部の中に配置する工程(b)と、
第二壁面側のフィルムをフィルム装着溝部の外側方向に向かって引くことにより、挿入部材の一端が、段差部の最広幅の部分に隣接し、かつ、挿入部材の他端が第二壁面に接するような位置に挿入部材を配置する工程(c)と
を含む、フィルム構造体の製造方法。
【請求項14】
挿入部材がV字型挿入部材であり、
工程(b)において、V字型挿入部材の頂点部を先頭に、V字型挿入部材をフィルム装着溝部に挿入し、二つの帯状平板部がフィルムを介して第一壁面及び第二壁面に接しながら、V字型挿入部材を段差部の最狭幅の部分を通過させ、V字型挿入部材をフィルム装着溝部の中に配置することを含み、
工程(c)において、挿入部材の一端が、V字型挿入部材の二つの帯状平板部のうちの一つの端部であり、挿入部材の他端が、帯状平板部の他方の外側面全体である、請求項13記載のフィルム構造体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2010−268736(P2010−268736A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123970(P2009−123970)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(506294897)株式会社ホッコウ (2)
【Fターム(参考)】