説明

フラットシールドケーブル

【課題】 シールド効果を低減させず、かつ作業性を低下させずに圧着端子を適用できるシールドケーブルを提供する。
【解決手段】 複数の信号線11、12とドレイン線13とを互いに並置し、これらをシールド層14で被覆した上にさらに絶縁性シース15で被覆してなるフラットシールドケーブルであって、該フラットシールドケーブルの接続端においてシールド層14及び絶縁性シース15のはぎ取り部分19が12〜15mmの長さに形成されるとともに、信号線11、12間及び信号線12とドレイン線13との間に長さ20〜80mmのスリット18、18’がそれぞれ形成されていることを特徴とするフラットシールドケーブル。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラットシールドケーブルに関し、特に圧着接続方式に有利なフラットシールドケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車においてシールドケーブルが多く使用されている。従来のシールドケーブルでその端部に圧着端子が適用されるタイプのものの構造を図2に示す。図2の(a)は従来のシールドケーブルの断面図、(b)はその接続端部を示す。図中、20がシールドケーブルである。このシールドケーブル20は、信号線21、22とドレイン線23を有し、これらの周囲にシールド層24が被覆され、さらにその周囲に絶縁性シース25が被覆され、全体として円形断面を有する構造となっている。
【0003】このような構造のシールドケーブル20に圧着端子26a〜26cを適用する場合、図2(b)に示すように、作業性を考慮すると、シールドケーブル20の接続側端部において、少なくともL=80mm程度は、絶縁性シース25及びシールド層24をはぎ取る必要があった。なお、図中27はコネクタハウジングである。
【0004】しかしながら、図2のようなシールドケーブル20において絶縁性シース25及びシールド層24を80mmもはぎ取ると、アセンブリ形態でのシールド効果が低減してしまうという問題があった。一方、このはぎ取り長さを短くすると作業性が悪くなってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来技術の問題点を解消し、シールド効果を低減させず、かつ作業性を低下させずに圧着端子を適用できるシールドケーブルを提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記課題を解決するため、複数の信号線とドレイン線とを互いに並置し、これらをシールド層で被覆した上にさらに絶縁性シースで被覆してなるフラットシールドケーブルであって、該フラットシールドケーブルの接続端においてシールド層及び絶縁性シースのはぎ取り部分が12〜15mmの長さに形成されるとともに、信号線間及び信号線とドレイン線との間に長さ20〜80mmのスリットがそれぞれ形成されていることを特徴とするフラットシールドケーブルが提供される。また、本発明によれば、上記構成において、前記フラットシールドケーブルの端部に圧着端子が適用されるフラットシールドケーブルが提供される。さらに、本発明によれば、上記構成において、前記フラットシールドケーブルが自動車用シールド線であることを特徴とするフラットシールドケーブルが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を実施例により説明する。図1に本発明に従うフラットシールドケーブルの構造を示す。このフラットシールドケーブルは自動車において特に好ましく使用されるもので、その端部に圧着端子が適用されるタイプのものである。図1の(a)はこのフラットシールドケーブルの断面図、(b)はその接続端部を示す。図中、10がフラットシールドケーブルである。このフラットシールドケーブル10は、信号線11、12とドレイン線13を有し、これらの要素11〜13は互いに平行に並置されている。要素11〜13は共通のシールド層14で被覆されており、このシールド層14の外周は絶縁性シース15で覆われており、全体として、フラットな構造を有している。シールド層14には、例えば銅コートポリエステルテープ、Al−PET、スズメッキ付きCu−PET等が使用され、絶縁性シース15には、PVC、ポリオレフィン系樹脂などの絶縁性材料が使用される。本発明では、図1(b)に示すように、信号線11と信号線12の間、及び信号線12とドレイン線13の間にスリット18、18’を形成するとともに、ケーブル接続端における絶縁性シース15及びシールド層14のはぎ取り部分19a〜19cの長さを端子圧着に必要な短い長さとした。スリット18、18’の長さLsは20〜80mm、好ましくは60〜80mmである。スリット18、18’の長さが上記範囲より長いとシールド効果は低下する方向にいくこととなり、上記範囲より短いと作業性が悪くなる。また、はぎ取り部分19a〜19cの長さLpは12〜15mm、好ましくは12mm程度である。はぎ取り部分19a〜19cの長さが上記範囲より長いとシールド効果が低減してしまい、上記範囲より短いと端子圧着が困難となる。なお、図において16a〜16cは圧着端子、17はコネクタハウジングである。
【0008】上記のように端部にスリット18、18’を形成するとともに、短い長さではぎ取り部分19を形成したものの信号線11、12、ドレイン線13にそれぞれ圧着端子16a〜16cを圧着し、コネクタハウジング17に挿入することで、接続作業を行うことができるが、スリット18、18’が作業性のよい長さに切り込まれているおり、かつはぎ取り部分19が端子圧着に必要な最低限の長さになっているため、作業性が良好でシールド効果を十分確保することができ、前記従来技術の問題が一挙に解決される。ちなみに、はぎ取り部分の長さを80mmから15mmにすることで、シールド効果は10dBほど向上する。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、前記構成を採用したので、シールドケーブルの圧着接続において、作業性を低下させることなくシールド性能の維持を図ることが可能となる。本発明のフラットシールドケーブルは、特に自動車用ケーブルとして好適なもので、オーディオ部品や、エンジンルームのセンサー等との接続に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明によるフラットシールドケーブルの断面図、(b)はこのフラットシールドケーブルの端部の様子を示す平面図である。
【図2】(a)は従来の圧着接続型シールドケーブルの断面図、(b)はこのシールドケーブルの端部の様子を示す平面図である。
【符号の説明】
10 フラットシールドケーブル
11、12 信号線
13 ドレイン線
14 シールド層
15 絶縁性シース
16a〜16c 圧着端子
17 コネクタハウジング
18、18’ スリット
19 はぎ取り部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の信号線とドレイン線とを互いに並置し、これらをシールド層で被覆した上にさらに絶縁性シースで被覆してなるフラットシールドケーブルであって、該フラットシールドケーブルの接続端においてシールド層及び絶縁性シースのはぎ取り部分が12〜15mmの長さに形成されるとともに、信号線間及び信号線とドレイン線との間に長さ20〜80mmのスリットがそれぞれ形成されていることを特徴とするフラットシールドケーブル。
【請求項2】 前記フラットシールドケーブルの端部に圧着端子が適用される請求項1に記載のフラットシールドケーブル。
【請求項3】 前記フラットシールドケーブルが自動車用シールド線であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフラットシールドケーブル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−331543(P2000−331543A)
【公開日】平成12年11月30日(2000.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−141472
【出願日】平成11年5月21日(1999.5.21)
【出願人】(395011665)株式会社ハーネス総合技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】