説明

フルオロエラストマー

-10℃で60%より低く、好ましくは50%より低く、-25℃で90%より低く、好ましくは75%より低い、24時間後の圧縮永久歪(ASTM D 395/B)を有し、10モル%より高い量でヘキサフルオロプロペン(HFP)および式:CF2=CFOCF2OCF3 (a)のビニルエーテルを含み、本出願に記載されたFT-IR分光分析法を用いる方法の感度限界より低いポリマー中の-COF末端基の量を有する、VDF硬化性フルオロエラストマー、イオン硬化フルオロエラストマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温および低温での良好な機械的特性と組み合わさって、0℃より低い、特に-10℃から-25℃までの温度で改善された封止性(圧縮永久歪)を示すイオン硬化VDFフルオロエラストマーに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、-25℃まで改善された圧縮永久歪値を有し、-COF末端基が以下に示される方法で検知できない、実質的に-COF末端基を有しないイオン硬化されたフルオロエラストマーに関するものである。本発明のフルオロエラストマーは、改善された生産性を示す重合方法により得ることができる。
【背景技術】
【0003】
フルオロエラストマーが、耐熱および耐化学性、良好な機械的特性および圧縮永久歪のために、自動車、航空宇宙、石油、石油化学および電子産業で特に有用なポリマーであることは周知のことである。しかしながら、これらのポリマーは、広い温度範囲、高温および低温の両方で、上記の性質の改善された組み合わせを示すことが要求される。その上、0℃より低い、特に-10℃から-25℃までの温度で、フルオロエラストマーが改善された圧縮永久歪性、特に-10℃で60%より低く、好ましくは50%より低く、-25℃で90%より低く、好ましくは75%より低い圧縮永久歪性も有することが要求される。
【0004】
先行技術で種々のフルオロエラストマーは知られているが、-COFポリマー末端基の値および0℃より低い、特に-10℃から-25℃までの温度での圧縮永久歪は報告されていない。本出願人は、ポリマーが-COF末端基を有するとき、そのフルオロエラストマーは、高い機械的特性および弾性を示さないことを見出している。
【0005】
しかしながら、前記のように、特別な用途、特に自動車、航空宇宙、石油産業において、フルオロエラストマーが、0℃より低い、特に-10℃から-25℃までの温度でも、前記で定義されたような圧縮永久歪を有することが要求される。
【0006】
US特許3,450,684は、式:
CF2=CFO(CF2CFX0O)n'CF2CF2X0
(式中、X0 = F、Cl、CF3、Hであり、n'は1〜20の範囲であり得る)
のビニルエーテルに関する。
UV重合によって得られるホモポリマーも報告されている。例示されたコポリマーは、低温での機械的特性および弾性により特徴付けられていない。
【0007】
US特許4,487,903は、式:
CF2=CF(OCF2CFY0)n0OX2
(式中、n0は1〜4の範囲であり;Y0 = F、Cl、CF3、Hであり;X2はC1-C3パーフルオロアルキル基、C1-C3ω-ハイドロパーフルオロアルキル基、C1-C3ω-クロロパーフルオロアルキル基であり得る)
のパーフルオロビニルエーテルを用いることによる、フルオロエラストメリック(fluoroelastomeric)コポリマーの製造に関する。該ポリマーは、15〜50モル%の範囲のフルオロビニルエーテルの含量を有する。これらのビニルエーテルは、エーテルとして、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)およびパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)を用いることにより得られるものより低温で改善された性質を有するコポリマーを与える。該ビニルエーテルの反応性は非常に低く、高分子量したがって示された用途に対して良好な弾性を有するポリマーを得ることは難しい。この場合も、硬化エラストマーの特徴付けの
データは示されおらず、0℃より低い温度、特に-10℃および-25℃での圧縮永久歪は報告されていない。
【0008】
先行技術に示されるその他の問題は、パーフルオロビニルエーテルの低い反応性に関し、それゆえに、未反応モノマーを回収する必要性(GB特許1,514,700を参照);-C(O)F末端基を有するポリマーの安定性の問題(US特許3,635,926を参照)に関することである。これらの-C(O)F末端基は、ポリマーの安定性を増すために適当な反応剤によってさらに変換され得る(EP178,935を参照)。
【0009】
フルオロエラストマーを得るためのビニルエーテルを記載しているその他の特許が知られている。US特許6,255,536、EP 1,117,710、US特許5,696,216を参照。しかしながら、0℃より低い温度、特に-10℃および-25℃での圧縮永久歪および-C(O)F末端基値のどちらも報告されていない。
【0010】
EP 1,304,341は、式:CFXA=CXAOCF2ORA(式中、XA = F、Hであり;RAはC2-C6パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基またはC5-C6環状(パー)フルオロアルキル基である)のフルオロアルコキシビニルエーテルを含むフルオロエラストマーを記載している。特に、次のパーフルオロアルコキシビニルエーテル:CF2=CFOCF2OCF2CF3(MOVE 1)およびCF2=CFOCF2O-CF2CF2OCF3(MOVE 2)が記載されている。本出願人により行なわれた試験は、該フルオロエラストマーは-COFタイプのポリマー末端基を有することを示した。前記のように、このターミナル(terminal)基は該ポリマーの高温での機械的特性および耐熱性を悪くする。0℃より低い温度、特に-10℃および-25℃での圧縮永久歪値は報告されていない。
【0011】
US特許5,260,393は、ビニリデンフルオライド(VDF)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、例えばメチルビニルエーテルのようなパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)および任意にテトラフルオロエチレン(TFE)に由来するモノマー単位に基づく、O-リングの製造に適したフルオロエラストメリック コポリマーを記載している。これらのポリマーはイオン硬化性であり、低温および高温で良好な弾性を有し、硬化後金型からの剥離での良好な加工性を示す。この特許において、0℃より低い温度、特に-10℃および-25℃での圧縮永久歪値は報告されていない。本出願人により行われた試験は、-10℃および-25℃での圧縮永久歪値は良好でなく、それゆえ低温での封止性が劣ることを示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
次の性質:
− -COF末端基が以下に示される方法で検知されない、実質的に-COF末端基を有しない;− 広い温度範囲、低温および高温の両方で、特に-10℃で-25℃まで改善された機械的特性および圧縮永久歪;
− ポリマーのkg/時間×水のリッターで表わされる、フルオロエラストマーを製造する方法における改善された生産性
の組み合わせを有する入手可能な硬化VDFフルオロエラストマーを得ることの必要性を感じた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、驚くことにかつ予測しなかったことに、上記の性質の改善された組み合わせを有する硬化フルオロエラストマーを見出した。
本発明の目的は、-10℃で60%より低く、好ましくは50%より低く、-25℃で90%より低く、好ましくは75%より低い、24時間後の圧縮永久歪(ASTM D 395/B)を有し、10モル%より高い量でヘキサフルオロプロペン(HFP)および式:
CF2=CFOCF2OCF3 (a)
のビニルエーテルを含み、次の方法:
モノマーの重合の最後に、冷凍して凝固させ、続いて解凍することによりポリマーを単離する;次いで、そのポリマーを脱イオン水で2回洗浄し、恒量になるまでストーブ中で乾燥する;-COFポリマー末端基をFT-IR分光分析法によって決定する、ここで、50〜300ミクロンの厚さを有するポリマーフィルムについて、4000 cm-1〜400 cm-1の間で最初の走査を行なって最初のスペクトルを得、該フィルムをアンモニア飽和蒸気中に12時間置き、次いで最初のIRスペクトルと同じ条件下でIR最終スペクトルを測定し、最初のスペクトルから最終のスペクトルを差し引いて、「差スペクトル」を得、次式:
【0014】
【数1】

により標準化する;次いで、アンモニア蒸気と反応した-COF末端基に関連する光学密度を測定し、M. Piancaらによる論文 "End groups in fluoropolymers", J. Fluorine Chem. 95 (1999), 71-84 (ここに、参考文献として組み込まれる)の73頁、表1に報告されている吸光係数を用いてmmol/ポリマーkgに変換する;実測値はポリマーのkg当たりの-COF末端基のミリモルとして、残った-COF末端基の濃度を表わす;本発明のフルオロエラストマーのスペクトルにおいて、-COF末端基に関連するバンド(1900〜1830 cm-1)は検知されず、この方法の感度限界は0.05 mmol/Kgである;
によれば1,900〜1,830 cm-1のバンドに感度限界より低い量の-COF末端ポリマー基を有する、イオン硬化VDFフルオロエラストマーである。
【0015】
より具体的には、ポリマー中の-COF末端基の量は、ニコレット(Nicolet)(登録商標) ネクサス(Nexus) FT-IR装置(256走査、解像度2 cm-1)を用いることにより決定した。
ポリマー中に、フッ素化ビス-オレフィンに由来する単位が、全モノマーのモルに対して0.01〜5モル%の間の少量で存在し得る。例えば、ここに、参考文献として組み込まれるEP 661,304に記載されたビス-オレフィンが用いられ得る。
【0016】
好ましくは、任意に用いられるビス-オレフィンは、式:
CH2=CH-(CF2)t0-CH=CH2
(ここで、t0は6〜10の整数である)
を有する。
任意に、本発明のフルオロエラストマーは、半晶質(パー)フルオロポリマーと混合状態であってもよく、フルオロエラストマー+半晶質(パー)フルオロポリマー混合物の乾燥重量の合計に対する重量パーセントで表わされた該フルオロエラストマーの量は、0重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜50重量%、さらに好ましくは10重量%〜30重量%である。
【0017】
半晶質(パー)フルオロポリマーは、ガラス転移温度Tgに加えて、少なくとも1つの結晶溶融温度を示す(パー)フルオロポリマーを意味する。
半晶質(パー)フルオロポリマーは、モノマーの合計に対して0.01モル%〜10モル%、好ましくは0.05モル%〜7モル%の量の、テトラフルオロエチレン(TFE)ホモポリマーから、またはエチレンタイプの不飽和を1つ含む1以上のモノマーとのTFEコポリマーから形成される。
【0018】
1つのエチレン不飽和を有する上記のコモノマーは、水素化されたおよびフッ素化されたタイプである。水素化されたものの中に、エチレン、プロピレン、アクリルモノマー、
例えばメチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルアクリレート、スチレンモノマーが挙げられ得る。
【0019】
フッ素化されたコモノマーの中に、次の:
− ヘキサフルオロプロペン(HFP)、ヘキサフルオロイソブテンのようなC3-C8パーフルオロオレフェン;
− ビニルフルオライド(VF)、ビニリデンフルオロイド(VDF)、トリフルオロエチレンのようなC2-C8水素化フルオロオレフィン、CH2=CH-Rf パーフルオロアルキルエチレン(ここで、RfはC1-C6パーフルオロアルキルである);
− クロロトリフルオロエチレン(CTFE)のようなC2-C8クロロ-および/またはブロモ-および/またはヨード-フルオロオレフィン;
【0020】
− CF2=CFORf (パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)(ここで、RfはC1-C6(パー)フルオロアルキル、例えばCF3、C2F5、C3F7である);
− CF2=CFOX (パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(ここで、XはC1-C12アルキル、またはC1-C12オキシアルキル、または1以上のエーテル基を有するC1-C12(パー)フルオロオキシアルキル、例えばパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルである);フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール
が挙げられ得る。
【0021】
PAVE、特にパーフルオロメチル-、エチル-、プロピルビニルエーテルおよびフロオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソールが好ましいコモノマーである。
本発明のフルオロエラストマーが半晶質(パー)フルオロポリマーを含むとき、混合は、フルオロエラストマーラテックスと半晶質パーフルオロポリマーラテックスとを所望の割合で混合し、次いでUS特許6,395,834およびUS特許6,310,142に記載されているようにして得られる混合物を共凝固すること(co-coagulating)により行なわれる。
【0022】
あるいは、半晶質(パー)フルオロポリマーが重合され、次いで該(パー)フルオロポリマー粒子上でフルオロエラストマーが重合される。このようにして、コア-シェル構造が得られる。
【0023】
本出願人は、フルオロエラストマー中に-COF末端基が上記の方法により実質的に存在しないとき、機械的特性と圧縮永久歪の最良の組み合わせが広い温度範囲、高温および低温の両方で得られることを見出した。
【0024】
本発明のフルオロエラストマーの量が、最終組成物のフルオロエラストマーの全重量に対して、少なくとも5〜10重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは50重量%の量である条件で、0.05 mmol/kgより低い-COF末端基の量を有する本発明のフルオロエラストマーは、0.05 mmol/kgより高い-COFの量を含むポリマーから得られるフルオロエラストマーと混合され得る。これらの組成物は、種々の方法で得ることができる。例えば、もし-COF末端基を与えるモノマー、例えばパーフルオロプロピルビニルエーテルが重合に用いられる場合は、本発明の改善された性質を得るために、重合の一部は、-COFポリマー末端基を与えるコモノマーの非存在下に行なわれ、それゆえ、実質的に-COF末端基を有しないポリマーフラクションが得られ、前記の性質の改善された組み合わせを可能にする。例えば、-COF末端基を有しないポリマーフラクションは、少なくとも5〜10重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは50重量%でなければならない。代替法は、実質的に-COF末端基を有しないポリマーフラクションと-COFを含むポリマーとを前記の割合で混合することである。
【0025】
0.05 mmol/Kgより高い量で-COF末端基を含むフルオロエラストメリックポリマーは、次
のコモノマーを含む:
− (パー)フルオロジオキソール、好ましくは次の式:
【化1】

(式中、
Y = F、ORf1(ここで、Rf1はC1-C5パーフルオロアルキル基であり、好ましくは、Rf1はCF3である)であり;
X1およびX2は互いに同一または異なって、FおよびCF3の中から選択され、好ましくはFであり;
Z1はF、H、Clから選択され、好ましくはFである)
を有する(パー)フルオロジオキソール;
【0026】
− 式:CF2=CFORf(ここで、RfはC3パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルビニルエーテル;
− CF2=CFOXa パーフルオロオキシアルキルビニルエーテル(ここで、Xaは1以上のエーテル基を有するC3-C12パーフルオロオキシアルキル、例えばパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルである);
【0027】
− 一般式:CFXAI=CXAIOCF2ORAI(ここで、RAIは直鎖状もしくは分枝鎖状のC2-C6(パー)フルオロアルキル基、またはC5-C6環式基、あるいは1〜3の酸素原子を含む、直鎖状もしくは可能なときは分枝鎖状のC2-C6(パー)フルオロオキシアルキル基であり;RAIが前記のフルオロアルキルまたはフルオロオキシアルキル基であるとき、それは次の:H、Cl、Br、Iから選択される、同一または異なった1〜2原子を含むことができ;XAI = F、Hである)のフルオロビニルエーテル (MOVE);一般式:CFXAI=CXAIOCF2-OCF2CF2YAI(ここで、YAI = F、OCF3であり;XAIは上記のとおりである)が好ましく;特に(MOVE 1) CF2=CFOCF2OCF2CF3および(MOVE 2) CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3
【0028】
イオン硬化フルオロエラストマーは、好ましくは次のモノマー(モル%で):
VDFを40〜90%、好ましくは50〜80%;
式(a)のモノマーを2〜20%、好ましくは6〜14%;
HFPを10〜30%、好ましくは12〜20%;
任意に、エチレンタイプの不飽和を少なくとも1つ有する1以上の(パー)フッ素化コモノマーを0〜30%
を含み、モノマーのモルパーセントの合計は100%である。
【0029】
エラストメリックポリマーについては、結晶部分が実質的に存在してはならないので、ポリマーはDSCで溶融ピークを示さないことを意味する。
VDFとHFPとモノマー(a)に加えて、その他のコモノマーが存在するとき、それらは、次の:
− C2-C8パーフルオロオレフィン、例えばTFE、ヘキサフルオロイソブテン;
− 式CF2=CFORf(ここで、RfはC1-C2パーフルオロアルキル基、好ましくはRf = CF3である)のパーフルオロアルキルビニルエーテル
から選択される。
【0030】
VDF、HFPおよびモノマー(a)に加えて、ポリマー中にその他のモノマーが存在するとき、好ましいコモノマーはテトラフルオロエチレン(TFE)および/またはパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)である。
【0031】
好ましいフルオロエラストマーの組成は(モル%で)、モノマーのモルパーセントの合計が100%であるとき、次のもの:
− VDFを40〜90%、好ましくは50〜80%;
式(a)のモノマーを2〜20%、好ましくは6〜14%;
HFPを10〜30%、好ましくは12〜20%;
任意に、
PMVEを0〜15%、好ましくは3〜10%;および/または
TFEを0〜30%、好ましくは5〜20%
である。
【0032】
前記のように、イオン硬化フルオロエラストマーは、前記の性質の改善された組み合わせ、特に、-10℃で60%より低く、好ましくは50%より低く、-25℃で90%より低く、好ましくは75%より低い圧縮永久歪値を示す。これらの圧縮永久歪値は、本発明のフルオロエラストマーがこれらの温度においてさえも弾性を維持していることを示す。市販で最良のイオン硬化製品が、-10℃および-25℃で高い弾性を示さない(実施例を参照)ことは注目されなければならない。
【0033】
一般的に、本発明のフルオロエラストマーは、-25℃〜-40℃の間、好ましくは-30℃〜-34℃の間のTgを示す。
本出願人は、予測しなかったことにかつ驚くことに、本発明のフルオロエラストマーが高い重合反応速度、それゆえ高収率で得られることを見出した。
【0034】
本フルオロエラストマーは、US特許4,789,717およびUS特許4,864,006に従って、パーフルオロポリオキシアルキレンのエマルジョン、分散体またはマイクロエマルジョンの存在下、水性エマルジョン中でのモノマーの重合により製造される。好ましくは、該合成はパーフルオロポリオキシアルキレンのマイクロエマルジョンの存在下に行なわれる。
【0035】
先行技術の公知の方法により、ラジカル開始剤、例えばパーサルフェート、パーホスフェート、アルカリもしくアンモニウムパーボレートまたはアルカリもしくアンモニウムパーカーボネートが、第一鉄、第一銅もしくは銀の塩、またはその他の容易に酸化可能な金属と任意に組み合わせて用いられる。反応媒体中に、種々の界面活性剤も任意に存在してもよく、それらの中で、式:
R3f-Xk-M+
(式中、R3fはC5-C16(パー)フルオロアルキル鎖または(パー)フルオロポリオキシアルキル鎖であり、Xk-は-COO-または-SO3-であり、M+はH+、NH4+またはアルカリ金属イオンから選択される)
のフッ素化された界面活性剤が特に好ましい。最も一般的に用いられるものの中で、アンモニウムパーフルオロオクタノエート、1以上のカルボキシ基を末端に有する(パー)フルオロポリオキシアルキレン等が思い出される。US特許4,990,283およびUS特許4,864,006を参照。
【0036】
重合反応は、一般的に、25℃〜150℃の間に含まれる温度、常圧〜10 MPaまでの間の圧力で行なわれる。
連鎖移動剤として、酢酸エチル、マロン酸ジエチル、エタン等のような先行技術で公知
のものが用いられ得る。
【0037】
本発明の任意の成分の半晶質(パー)フルオロポリマーは、本発明のフルオロエラストマーに対して前に記載されたエマルジョンまたはマイクロエマルジョン重合により製造される。
イオン硬化は、促進剤および硬化剤を用いて行なわれる。
【0038】
促進剤として、有機-オニウム誘導体が用いられる。一般的に、本発明に使用可能な有機-オニウム誘導体は、有機または無機の基に結合した、少なくとも1つのヘテロ原子、例えばN、P、S、Oを含む。本発明において使用されるのに適した有機-オニウム化合物は、例えばUS特許3,655,727、US特許3,712,877、US特許3,857,807、US特許3,686,143、US特許3,933,732、US特許3,876,654、US特許4,233,421、US特許4,259,463、US特許4,882,390、US特許4,912,171、US特許5,591,804、EP 182,299、EP 120,462;WestおよびHolcomb, "Fluorinated Elastomers", Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 8巻, 第3版 John Wiley & Sons, Inc., 500〜515頁(1979)に記載されたものである。
【0039】
用いられ得る有機-オニウム化合物は、例えば次のクラス:
A) 一般式:
【化2】

[式中、
Qは、次の意味:窒素、リン、ヒ素、アンチモン、硫黄を有し;
X1は、例えばハライド、サルフェート、アセテート、ホスフェート、ホスホネート、ハイドロキサイド、アルコキサイド、フェネート、ビスフェネートのような、有機または無機のアニオンであり;
nはX1イオンの原子価であり;
【0040】
R2、R3、R4、R5は互いに独立して、次の意味:
− C1-C20アルキル、C6-C20アリールもしくはアリールアルキル、C1-C20アルケニル、またはそれらの組み合わせ;
− 塩素、フッ素、臭素から選択されるハロゲン;
− またはシアノ基、-ORBおよびCOORB(ここで、RBは上記の意味を有するアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルケニルである)
有し、
ここで、R2、R3、R4、R5基の2つの基は、ヘテロ原子Qと一緒になって環状構造を形成することができ;
Qが硫黄原子のとき、R2、R3、R4、R5基の1つは存在しない]
を有する化合物;
【0041】
B) 次の一般式:
mI[P(NR6R7)nIR84-nI]+ YmI- (II)
R9[P(NR6R7)rR83-r]2+ pYmI- (III)
[式中、
R6、R7およびR8は同一または異なって、次の意味:
− C1-C18、好ましくはC1-C12アルキル、C4-C7シクロアルキル、C6-C18、好ましくはC6-C12のアリールもしくはアリールアルキル;
− オキシアルキルまたはポリ(オキシアルキル)(ここで、アルキルは上記のとおりであり、ポリオキシアルキル基は遊離のまたはエーテル化された末端OH官能基を有する)
を有し、
R6、R7およびR8はハロゲン、CN、OH、カルブアルコキシ(carbalkoxy)基を任意に含むことができ;
ここで、R6およびR7は窒素原子と一緒になってヘテロ環を形成することができ;
【0042】
− R9はC1-C6アルキレン、オキシアルキレンまたはC6-C12アリレンの2価基であり;
− nIは1〜4の整数であり;
− rは1〜3の整数であり;
− mIは1〜2の整数であり、Yイオンの原子価に対応し;
− pはmI×p = 2であるような係数であり;
− Yはm原子価を有するアニオンであり、有機または無機であることができ;例えば、Yはハライド、パークロレート、ナイトレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、オキサレート、アセテート、ステアレート、ハロアセテート、パラ-トルエンスルホネート、フェネート、ビスフェネート、ハイドロキサイドから選択され;Yは錯体アニオン、例えばZnCl42-、CdCl42-、NiBr42-、HgI3-であってもよい]
を有するアミノ-ホスホニウム誘導体;
【0043】
C) 式:
【化3】

(式中、
Arはフェニル、置換されたフェニル(例えばメトキシフェニル、クロロフェニル、トリルのような)であり;
R10は水素、メチル、エチル、プロピル、カルブアルコキシであり;
R11はカルブアルコキシ、C1-C8アルキル、シアノおよびアミド基であるか、
またはR10とR11はP=C結合の炭素原子と一緒になって環式基、例えばシクロペンタジエンを形成する)
を有するホスホラン、特にトリアリールホスホラン;
【0044】
D) 式:
[N(R12)2]c+ Xcc- (V)
(式中、
R12は、P、S、OまたはNのような1つのヘテロ原子を末端に有する1価の有機基であり、該有機基は該へテロ原子を介して窒素原子と共有結合している;
cはXcアニオンの原子価であり;
Xcは、有機または無機アニオン、例えばハライド、ハイドロキサイド、サルフェート、チオサルフェート、ナイトレート、ホルメート、アセテート、シアネート、チオシアネート、テトラフェニルボレート、ホスフェート、ホスホネート、アルコキサイド、フェネート、ビスフェネートまたはパークロレートである)
を有するイミニウム塩
に属する。
【0045】
好ましくは、4級アンモニウム塩またはホスホニウム塩(例えばEP 335,705およびUS特許3,876,654を参照);アミノ-ホスホニウム塩(例えばUS特許4,259,463を参照);ホスホラン(例えばUS特許3,752,787を参照)が用いられる。
【0046】
クラスA)の有機-オニウム誘導体の例は、次の:トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムビサルフェート、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリブチルアリルホスホニウムクロライド、トリブチルベンジルホスホニウムクロライド、ジブチルジフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、トリアリールスルホニウムクロライドである。
【0047】
クラスB)のアミノ-ホスホニウム誘導体の例は、ベンジルジフェニル(ジエチルアミノ)ホスホニウムおよびベンジルトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム塩である。
クラスD)の化合物の例は、8-ベンジル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンクロライドである。
有機-オニウム誘導体の混合物も用いられ得る。
【0048】
硬化剤として、例えばEP 335,705およびUS特許4,233,427に記載されているような、芳香族もしくは脂肪族のポリヒドロキシル化された化合物またはそれらの誘導体が用いられ得る。例えば、ジ-、トリ-およびテトラヒドロキシベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ならびに式:
【化4】

【0049】
[式中、
Z'は、次の意味:
− 少なくとも1つの塩素またはフッ素原子で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C13脂肪族、C4-C13脂環式、C6-C13芳香族またはアリールアルキレン性の2価の基;
− チオ、オキシ、カルボニル、スルフィニルまたはスルホニル基
の1つを有し;
− xは0または1であり;
− uは1または2であり;
− 式(VI)の化合物の芳香環は、塩素、フッ素もしくは臭素;-CHO、C1-C8アルコキシ、-COOR10(ここで、R10はHまたはC1-C8アルキル、C6-C14アリール、C4-C12シクロアルキルである)から選択されるその他の置換基を任意に有していてもよい]
のビスフェノールが挙げられ得る。
【0050】
式(VI)において、Z'がアルキレンであるとき、それは、例えばメチレン、エチレン、クロロエチレン、フルオロエチレン、ジフルオロエチレン、1,3-プロピレン、テトラメチレン、クロロテトラメチレン、フルオロテトラメチレン、トリフルオロテトラメチレン、2-メチル-1,3-プロピレン、2-メチル-1,2-プロピレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンで
あり得る。Z'がアルキリデンであるとき、それは、例えばエチリデン、ジクロロエチリデン、ジフルオロエチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、トリフルオロイソプロピリデン、ヘキサフルオロイソプロピリデン、ブチリデン、ヘプタクロロブチリデン、ヘプタフルオロ-ブチリデン、ペンチリデン、ヘキシリデン、1,1-シクロヘキシリデンであり得る。
【0051】
Z'がシクロアルキレンであるとき、それは、例えば1,4-シクロヘキシレン、2-クロロ-1,4-シクロヘキシレン、2-フルオロ-1,4-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、シクロペンチレン、クロロシクロペンチレン、フルオロシクロペンチレン、およびシクロヘプチレンであり得る。さらに、Z'は、m-フェニレン、p-フェニレン、2-クロロ-1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、o-フェニレン、メチルフェニレン、ジメチルフェニレン、トリメチルフェニレン、テトラメチルフェニレン、1,4-ナフチレン、3-フルオロ-1,4-ナフチレン、5-クロロ-1,4-ナフチレン、1,5-ナフチレンおよび2,6-ナフチレンのようなアリレン基であり得る。
【0052】
式(VI)の硬化剤の中で、ビスフェノールAFとして知られているヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4-ヒドロキシベンゼン)、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホンおよびビスフェノールAとして知られているイソプロピリデンビス(4-ヒドロキシベンゼン)が好ましい。
【0053】
硬化剤として使用可能なその他のポリヒドロキシ化合物は、例えばカテコール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、ヒドロキノン、2-メチル-ヒドロキノン、2,5-ジメチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノンのようなジヒドロキシベンゼン、1,5-ジヒドロキシナフタレンである。
【0054】
その他のポリオールベースの硬化剤は、例えばビスフェノールAFのジカリウム塩およびビスフェノールAFのモノナトリウムモノカリウム塩のような、ビスフェノールのアニオンとアルカリ金属のカチオンから形成される塩である。
【0055】
さらに、硬化剤として、促進剤と硬化剤との塩、例えば-オニウム ビスフェネート、すなわち、1または両方のヒドロキシが-オニウム塩の形態にある、ビスフェノールの塩も用いられ得る。ビスフェネートの対イオンとして、上記の有機-オニウム反応促進剤誘導体 成分b)に対応する全てのカチオンが用いられ得る。
【0056】
その他の硬化剤は、例えばEP 335,705およびUS特許4,233,427に記載されている。
促進剤および硬化剤の代わりに、促進剤と硬化剤との付加物が用いられ得る。特に、ビスフェノールと-オニウム塩から形成される、好ましくはモル比で硬化剤:促進剤が1:1〜5:1、好ましくは2:1〜5:1にある付加物が用いられる。
【0057】
該付加物は、示されたモル比での促進剤と硬化剤との間の反応生成物の溶融、または示された量で、硬化剤に付加された1:1付加物の溶融により得られる。
付加物が用いられるとき、その付加物中に含まれるものに加えて、任意に、遊離の促進剤も存在し得る。
好ましくは、付加物が用いられるとき、その付加物中に含まれるものに加えて、任意に、遊離の硬化剤が存在し得る。
【0058】
付加物の製造に対して、次のカチオン:1,1-ジフェニル-1-ベンジル-N-ジエチル-ホスホランアミン、テトラブチルホスホニウム、テトラブチルアンモニウムが特に好ましく;アニオンのうちで、ビスフェノール化合物(ここで、2つの芳香環は、3〜7の炭素原子を有するパーフルオロアルキレン基から選択されるアルキレン基で結合しており、芳香環の
OHはパラ位にある)が特に好ましい。
【0059】
付加物の製造は、ここに参考文献として組み込まれる、本出願人名での欧州特許EP 684,277、EP 684,276に記載されている。
硬化剤として使用可能なその他の化合物は、次のもの:
− 次の:
HOCH2-CF2OCF2CF2OCF2-CH2OH
HOCH2-CF2O(CF2CF2OCF2CF2OCF2O)zCF2-CH2OH
HOCH2-CF2CF2OCF2CF2-CH2OH
H2NCH2-CF2O(CF2CF2OCF2CF2OCF2O)zCF2-CH2NH2
(ここで、zは1〜15の整数である)
から選択される2官能性のフルオロエーテルおよびフルオロポリエーテル
である。
【0060】
これらの化合物は、US特許4,810,760およびUS特許4,894,418に記載されている。
フルオロエラストマー中により容易に取り込まれて有利性を示す、上記2官能性フルオロポリエーテルの塩を用いることも可能である。該塩において、2つの末端基の少なくとも1つは、金属、好ましくは2価の金属のアルコラートであるか、または出発の末端基がアミン性(aminic)であるとき、それはアンモニウム塩である。
【0061】
最初のタイプの末端基の例は:
− -CH2OMgOH、-CH2OCaOH、-CH2OZnOHであり;2番目のタイプの末端基は、例えば-CH2NH3+Cl-である。
− 1以上のヒドロキシ基がエステルまたはカーボネートとしてブロックされたポリオール。これらの化合物は、硬化剤として用いられ得る。
【0062】
このクラスの化合物は、ヒドロキシ基の少なくとも1つがエステル基またはカーボネート基で置換されている、ポリヒドロキシル化された化合物、特にポリフェノールおよび上記の2官能性フルオロポリエーテルを含む。これらの化合物は、US特許5,728,773およびUS特許5,929,169に記載されている。
− 1以上のヒドロキシ基がシリルエーテルの形でブロックされているか保護されているポリオール。これらの化合物は、硬化剤として用いられ得る。
【0063】
該クラスの化合物は、ヒドロキシ基の少なくとも1つが-OSiRk3(ここで、Rkは、水素および/またはフッ素を含む、C1-C20の脂肪族の直鎖状または分枝鎖状の構造、C3-C20の脂環式構造またはC6-C20芳香族構造を有する基である)で置換されている、ポリヒドロキシル化された化合物、特にポリフェノールおよび上記の2官能性フルオロポリエーテルを含む。4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビス-(トリメチルシリル-ジフェノール)が好ましい。このクラスの化合物は、EP 879,851に記載されている。
【0064】
硬化ブレンドは、
i) ビニリデンフロオライドコポリマーのイオン硬化において知られているものから選択される1以上の無機酸の受容体を、フルオロエラストメリックコポリマー100部当たり1〜40部の量;
ii) ビニリデンフルオライドコポリマーのイオン硬化において知られているものから選択される1以上の塩基性化合物を、フルオロエラストメリックコポリマー100部当たり0.5〜10部の量
も含む。
【0065】
ポイントii)の塩基性化合物は、一般に、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2、弱酸の金属塩、
例えばCa、Sr、Ba、NaおよびKの炭酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩および亜リン酸塩、ならびに上記水酸化物と上記金属塩との混合物から選択され、タイプi)の化合物のうちでMgOが挙げられ得る。
【0066】
ブレンド成分の前記の量は、本発明のフルオロエラストマーの100 phrに対してを意味する。次いで、硬化ブレンドに、増粘剤、顔料、抗酸化剤、加工助剤等のような、その他の慣用の添加剤が加えられ得る。
加工助剤として、脂肪酸のエステルおよびアミド、長鎖脂肪族アルコール、低分子量ポリエチレン、ステアリン酸およびその無機塩が、硬化ブレンドに加えられ得る。該助剤量は、一般的に、10 phrより低く、好ましくは5 phrより低い。
【0067】
本発明の硬化性組成物に任意に加えられるその他の化合物は、置換された二有機サルファーオキサイド(diorgan sulphur oxides)、例えばスルホンおよびスルホランである。該化合物は、ブレンドの硬化速度を増すことができる。該化合物は、例えばUS特許4,287,320に記載されている。置換された二有機サルファーオキサイドは、好ましくは、少なくとも1つのS原子、硫黄原子のみに結合した1または2の酸素原子、ならびに一般式:
(R')(R'')S(O)xA (VI)
【0068】
(式中、
xAは1または2であり;
R'およびR''は同一または異なって、1〜20またはそれ以上の最大で30まで、好ましくは1〜8の炭素原子を含む有機基であり;R'およびR''は一緒になって、硫黄原子と複素環を形成する、ただ1つのアルキレン基を形成することができ;R'およびR''は、炭素原子の直鎖、分枝鎖または環状鎖、または芳香族鎖によって形成され、R'およびR''はヘテロ原子、例えば酸素、および/または置換分、例えばハロゲン、アルコキシ、スルフィニル、スルホニル、カルブアルコキシ、オキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アルキル、アリールを任意に含み得る)
を有する炭素-硫黄結合によって、硫黄原子に結合した2つの有機基R'およびR''を含む。
【0069】
置換された二有機サルファーオキサイドは、二有機スルホキサイドおよび二有機スルホンを含み、例えば"Organic Syntheses", I巻, 718〜725頁, II巻, 1709〜1715頁, Reinhold Publishing Co., N.Y., N.Y., 1957に記載されている。ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホンおよびビス(4-クロロフェニル)スルホンが特に好ましい。好ましくは、0.01〜5 phrの量でテトラメチレンスルホンが用いられる。
【0070】
好ましくは、硬化ブレンドは、次の:カーボンブラック、硫酸バリウム、シリカ、シリケート、半晶質フルオロポリマーから選択される不活性な充填剤を含み得る。上記のように、半晶質フルオロポリマーは、好ましくは、5〜90 nm、より好ましくは10〜60 nmのサイズを有する。
【0071】
本発明の任意の成分の半晶質(パー)フルオロポリマーは、本発明のフルオロエラストマーに対する前記のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン重合法により製造される。
促進剤量は、好ましくは0.05〜5 phrの間であり、硬化剤のそれは、好ましくは0.15〜4
phrの間である。
酸受容体の量は1〜40 phrの間、塩基性化合物の量は0〜20 phrの間に含まれる。
【0072】
式(a) CF3OCF2OCF=CF2のモノマーは、次の工程:
I -120℃〜-20℃、好ましくは-100℃〜-40℃の範囲の温度で、任意に、反応条件下で液体でかつ不活性なパーハロゲン化溶媒の存在下に操作し、任意に、フッ素が不活性ガス、例えば窒素またはヘリウムで希釈され、フルオロホルメートCF3OCOFを元素のフッ素と式

CAF=CA'F (IV)
を有するオレフィン化合物と、液相中で反応して、式:
CF3OCF2OCFACF2A' (V)
(式中、AおよびA'は互いに同一または異なって、H、ClまたはBrである。但し、それらは両方Hでなない)
のフルオロハロゲンエーテルを得ること;
【0073】
II 化合物(V)のAおよびA'が両方ハロゲンのときは脱ハロゲン化、またはAもしくはA'の1つが水素で、もう一方がハロゲンであるときは脱ハロゲン化水素
によって製造され得る。
【0074】
用いられる脱ハロゲン化または脱ハロゲン化水素反応は、先行技術で周知である。CF3OF/COのモル比は、0.1〜10の間、好ましくは0.2〜5の間、より好ましくは0.5〜2の間である。フルオロホルメート工程Iのフッ素化で用いられる任意のパーハロゲン化溶媒は、好ましくは、その鎖中に1以上の酸素原子および/またはその末端にアミン基を任意に有する、フッ素および/または塩素を含む有機化合物である。
【0075】
パーハロゲン化溶媒がパーフッ素化されているとき、それは、例えば、パーフルオロカーボン、パーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアミン、またはそれらの混合物から選択され得る。
【0076】
フルオロホルメートCF3OCOFは、80℃〜250℃の間、好ましくは120℃〜230℃の間、さらに好ましくは150℃〜200℃の間の温度に維持された反応器中に反応物を供給することによって、CF3OF(フルオロオキシパーフルオロメタン)とCOの気相での熱反応により高い変換率および選択性で製造され得る。
【0077】
CF3OCOFを含む反応混合物は、混合物成分を分離することなく、工程Iの反応器中に直接供給され得る。このようにして、全体の工程が特に単純かつ効率的になる。前記のように、CF3OFの変換率およびCF3OCOFへの選択性は高い(実施例を参照)。
【0078】
CF3OCOFを製造するための記載された本方法において、80℃〜250℃の範囲に反応温度を上げることにより、変換率は上がっても、高い選択性は実質的に維持される。
【0079】
CF3OCOFを製造するためのもう1つの方法は、冷却された石英の鞘に収納され、反応混合物中に浸された水銀高圧UVランプを備えた反応器中に、2つの反応物を供給することによる、0℃〜100℃の間、好ましくは20℃〜50℃の間の温度での紫外線照射の存在下での液相中の光化学ルートによる。本出願人は、この方法が高い選択性を有することを見出した。さらに、気相中で行なわれる反応に比べてより高収率が得られる。この方法は、好ましくは、パーフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、パーフッ素化3級アミン、フルオロクロロカーボン、またはそれらの混合物から選択される、不活性なパーフッ素化溶媒の存在中でかつ反応条件下で液体状態で行なわれる。
【0080】
CF3OCOFを製造するための方法において、CF3OFの変換が定量的でないとき、反応器から出てくる気流は、未反応の反応物と一緒に反応生成物から形成される混合物を含む。CF3OFは、該気流を、フッ素化オレフィン、例えばCFCl=CFClを含む冷却トラップ中に通すことにより除去され得る。後者はCF3OFと反応し、フルオロハロゲンエーテルを形成し、次で、分別蒸留により、CF3OCOFが分離され、それは工程Iで利用可能である。
【0081】
あるいは、反応器から出てくる気流は、フルオロホルメートCF3OCOFを濃縮するために
冷却され、次いで、CF3OFとCOが分離され、それらは、前記の範囲にCF3OF/CO比を保つことにより、反応器に再循環され得る。
【0082】
CF3OCOFは、好ましくは、80℃〜250℃の温度で、フルオロオキシパーフルオロメタンと一酸化炭素を反応させることにより製造される。
CF3OCOFが製造される反応器は、好ましくはガラス、例えばPTFE、PFAのような不活性なパーフッ素化プラスチック、例えばAISI 316のような金属合金から作られ、反応が起こる場所がガラスまたはパーフッ素化プラスチックでコーティングされるのが好ましい。より好ましくは、ガラスまたはフッ素化プラスチックが用いられる。
【0083】
前記のように、本発明のフルオロエラストマーは、高温での、機械的特性、特に弾性率、破断応力および破断点伸び、圧縮永久歪で示されるような弾性、および耐熱性の改善された組み合わせを示し、同時に、低温、-0℃および-25℃においてさえも、上記の性質の改善された組み合わせを示す。
【0084】
本発明の硬化フルオロエラストマーは、特に0℃より低く、-25℃に至るまでの温度でのo-リング、シャフトシール、燃料ホース、ガスケットとしての使用のための製品として用いられ得る。
【実施例】
【0085】
以下の実施例は、限定的目的を有せずに、本発明を説明する。
実施例
分析方法
ポリマーTgの測定
Tgは、ASTM D 3418基準に従って、DSC分析により測定された。中点(mid-point)および開始Tg値が測定された。
【0086】
極性-COF末端基の測定
モノマーの重合の最後に、ポリマーは、-20℃で冷凍による凝固、続いて室温で、ポリマーが底に沈殿するスラリーが得られるまで解凍することにより単離される;次いで、そのポリマーは、脱イオン水で2回洗浄され、恒量になるまで、ストーブ中90℃で乾燥される(約12時間);-COFポリマー末端基は、50〜300ミクロンの厚さを有するポリマーフィルム上について、4000 cm-1〜400 cm-1で最初の走査を行なって最初のスペクトルを得、該フィルムをアンモニア飽和蒸気中に12時間置き、次いで最初のIRスペクトルと同じ条件下でIR最終スペクトルを測定し、最初のスペクトルから最終のスペクトルを差し引いて、「差スペクトル」を得、次式:
【0087】
【数2】

により標準化することによる、ニコレット(登録商標)ネクサスFT-IR装置(256走査、解像度2 cm-1)を用いたFT-IR分光分析法によって測定される;
【0088】
次いで、アンモニア蒸気と反応した-COF末端基に関連する光学密度が測定され、-COF末端基は、この反応物により、検知可能なピークを生じる;光学密度は、M. Piancaらによる論文 "End groups in fluoropolymers", J. Fluorine Chem. 95 (1999), 71-84 (ここに、参考文献として組み込まれる)の73頁、表1に報告されている、215リッター/(mol×cm)に等しい、1884 cm-1での-COF基のモル吸光係数を用いて、mmol/ポリマーKgに変換される;実測値はポリマーのkg当たりの-COF末端基のミリモルとして残留-COF末端基の濃度を
表わす;本発明のフルオロエラストマーのスペクトルにおいて、-COF末端基に関連するバンド(1900-1830 cm-1)は検知されず、この方法の感度限界は0.05 mmol/Kgである。
【0089】
圧縮永久歪
圧縮永久歪は、-10℃および-25℃で、24時間の滞留時間後(ASTM D 395/B)の硬化試料で測定される。
【0090】
TR10測定
TR10は、ASTM D 1329基準に従って測定される。測定に対して、参考試料として、モル組成でVDF 78.4%およびHFP 21.6%を有するVDF/HFPコポリマーが用いられ、それはTR10値-17℃を与えた。該ポリマーは以下に記載のようにして製造された。
【0091】
545 rpmで作動する撹拌器を備えた、垂直(vertical)10 L反応器中に水(6.5 L)を導入する。
反応器を85℃まで加熱し、次いで、次のモル組成:VDF = 53%、HFP = 47%を有するまで反応器上端にモノマーを供給することにより、19相対bar(1.9 MPa)の圧力にする。
アンモニウム パーサルフェート(APS)(7.8 g)および酢酸エチル(14.8 g)を反応器に供給する。酢酸エチルを、モノマー変換率5%で7.4 gの量供給し、残りの4つに分けられた部分、各1.85 gをモノマー変換率、それぞれ24%、43%、62%および81%で順次添加する。
【0092】
圧力を、全重合の間、
VDF = 78.5モル%、
HFP = 21.5モル%
から形成される混合物を供給することにより、一定に維持する。
70分後に反応を停止する。
【0093】
電解質剤(硫酸アルミニウム)を用いることにより、ラテックスを凝固し、洗浄し、80℃で24時間乾燥する。
2850 gのポリマーを得る。
19F NMR測定によって、ポリマーは、次の組成、モル基準で78.4%のVDFおよび21.6%のHFPを有する結果となる。
【0094】
実施例A
ガラス反応器中、170℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
内径55.6 mm、長さ510 mmを有し、6×6ガラス ラッシヒ リング(フリーな内部容量842 ml)を充填した、電気抵抗によるサーモスタットを保持した管状のガラス反応器を用いる。
US特許4,400,872に記載されたようにして合成したCF3OFの気流(1.5リッター/時間)と同時にCO気流(1.5リッター/時間)を、反応器中に5時間、170℃の温度を維持して供給する。反応器から出てくる気流を、オン ライン・ガスクロマトグラフ分析により連続的に分析する。
【0095】
次いで、該気流を、残留CF3OFがオレフィンと反応してCF3OCFClCF2Clを与えるように、CFCl=CFCl(A 1112)の15gを含む-110℃に維持したトラップ中で、CO以外を濃縮する。
生じた混合物の分別蒸留後に、99.8%の純度でCF3OCOFを33.9 g(供給されたCF3OFに対するモル収率76.5%);CF3OCFClCF2Clを12.3 g;COF2を3.4 g得る。
供給されたCF3OFを基に計算して、変換率は84.5%、選択性は90%である。
【0096】
実施例B
PTFE反応器中、170℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
内径4 mm、長さ13.2 mのPTFE管状サーモスタット付き反応器を使用する。
CF3OFの気流(1.5リッター/時間)およびCOの気流(2.0リッター/時間)を同時に、170℃の温度に維持した反応器中に供給する。
反応器から出てくる気流をガスクロマトグラフィーで分析し、それは、次のモル組成:CF3OF(7.3%)、CF3OCOF(54.2%)、COF2(9.1%)およびCO(29.4%)を有する。
【0097】
実施例C
PTFE反応器中、120℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
120℃の温度に維持した、実施例Bで使用したのと同じ反応器に、CF3OFの気流(1.5リッター/時間)およびCOの気流(2.0リッター/時間)を同時に6時間供給する。反応器から出てくる気流をガスクロマトグラフィーで分析し、それは、過剰なCOは除外して、次のモル組成:CF3OF(86.7%)、CF3OCOF(13.3%)を有する。
次に、該気流を、残留CF3OFがオレフィンと反応するように、A 1112(50 g)を含む-110℃に維持したトラップ中で、CO以外を濃縮する。
生じた混合物の分別蒸留後に、99%の純度でCF3OCOFを6.8 g得る。
変換されたCF3OFを基に計算して、選択性は98%である。変換率は13.0%である。
【0098】
実施例D
AISI 316反応器中、170℃での熱反応によるCF3OCOFの製造
内径4 mm、長さ11.3 mのAISI 316管状サーモスタット付き反応器を使用する。
CF3OFの気流(1.5リッター/時間)およびCOの気流(1.5リッター/時間)を同時に、170℃の温度に維持した反応器中に6時間供給する。反応器から出てくる気流を、A 1112(30
g)を含む-110℃に維持したトラップ中で濃縮する。
トラップ成分の分別蒸留後に、99%の純度でCF3OCOFを31.2 g、フルオロハロゲンエーテルを31.8 gおよびCOF2を3.7 g得る。変換率は66.6%で、選択性は86.5%である。
【0099】
実施例E
光化学反応によるCF3OCOFの製造
撹拌装置および光源150 W、光学経路1 cmのUVランプ Hanau TQ 150を備えた300 mlの円柱状ガラス反応器に、パーフルオロポリエーテル ガルデン(登録商標) LS-165(500 g)を導入する。次いで、He(3.0リッター/時間)で希釈したCF3OF(2.0リッター/時間)およびCO(2.0リッター/時間)を、同時に、5時間供給する。
反応器から出てくる気体を、A 1112(30 g)を含む-110℃に維持したトラップ中で濃縮する。濃縮した混合物の分別蒸留後に、純度99%でCF3OCOF(22.9 g)、フルオロハロゲンエーテルCF3OCFClCF2Cl(41.8 g)、COF2(5.8 g)、トリフルオロメチルカーボネート(5.4 g)を得る。
CF3OF変換率は60.5%である。選択性は63.6%である。
【0100】
実施例F
CF3OCOFと元素のフッ素および式CFCl=CFClのフルオロオレフィンとの反応および続くフルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化による式(a)のモノマーの取得
CFCl=CFCl(A 1112)(20 g)、実施例Aで得られたCF3OCOF(30 g)をガラス反応器(50 ml)中に移す。生じた溶液を-100℃に維持し、窒素で希釈されたフッ素を、1リッター/時間の流速でバブルする。
反応の最後での物質収支は92%であり、反応粗生成物(52 g)の19F-NMR分析は、フルオロホルメートの変換率が54%で、フルオロハロゲンエーテルCF3OCF2OCFClCF2Clを与える選択性は93%であることを示す。未反応のフルオロホルメートを、撹拌下に水を加えることにより、反応粗生成物から除く。それを25℃にし、有機相を回収し、MgSO4で乾燥する。混合物を濾過し、得られる残留物を蒸留し、74℃で沸騰する、純度99%のフルオロハロ
ゲンエーテルに相当するフラクション(31.8 g)を回収する。
【0101】
フルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化を、機械的撹拌装置、温度計、滴下ロート、蒸留カラムおよび-78℃のトラップ装置を備えたフラスコ(1リッター)を用いて行なう。ジメチルホルムアミド(DMF)(450 ml)、亜鉛末(62 g)およびZnCl2(8.3 g)をフラスコ中に導入する。懸濁液の温度を80℃にし、前の反応により単離されたフルオロハロゲンエーテル(150 g)を加える。添加終了後、それを1時間反応させる。最後には温度が120℃になるまで徐々に上がり、さらに1時間反応させる。最後に、それを取りはずし、そこから純度99%(沸点23℃)の式(a) CF3OCF2OCF=CF2のモノマー(106 g)を回収する。
【0102】
実施例1
VDF/TFE/HFP/モノマー(a)( 77/7/12/4 モル%)コポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5リッター)中を脱気した後、脱イオン水(3.5リッター)を導入した。
オートクレーブ内を85℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、オートクレーブ内を、次のモノマー混合物(その組成はモル%で、VDF 67.4%、TFE 3.4%、HFP
26.0%、式(a)のモノマー 3.2%である)で、20 bar(2.0 MPa)に加圧する。
【0103】
次いで、オートクレーブ中に、
− 開始剤としてアンモニウム パーサルフェート(APS)(4.55 g);
− 酢酸エチル(7.53 ml);
(該化合物の添加は、重合の最初から開始し、モノマーの変換が20%増加するごとに、それぞれ1.51 mlの全5分割で行なった);
を導入する。
【0104】
全重合の間、混合物(モル%で):VDF 78.7%、TFE 3.9%、HFP 13.3%、式(a)のモノマー 4.1%を供給することにより、20バール(2.0 MPa)の一定圧力を維持する。
モノマーの変換100%に相当する、54分の反応後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出する。
ラテックスをアンモニウム サルフェート溶液(ラテックス各リッターに対してAl2(SO4)3を6グラム)で凝固し、空気循環ストーブ中、90℃で24時間乾燥する。
ポリマー 983 gを得る。
供給されたモノマーに対して反応したモノマーの量は、83.4%の結果になる。
【0105】
アセトン中、熱くして溶かしたポリマーの19F-NMR測定により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントを3.7%、VDFを77.1%、TFEを6.7%、HFPを12.5%と決定する。
DSCにより測定されたTgは-29.5℃(中点)および-32.8℃(開始)である。
得られたポリマーを、表1に示すphrの割合で、架橋添加剤とロール間隙混合機(roll open mixer)中で混合する。機械的特性および圧縮永久歪を表1に示す。
【0106】
実施例2比較
ソルヴェイ ソレクシスより販売されている工業用ポリマー商標L636(登録商標)を用いる。
アセトン中、熱くして溶かしたポリマーの19F-NMR測定により、ポリマー中のモノマーのモルパーセントは、次の:VDF 77.5%、TFE 6.5%、PMVE 4.0%、HFP 12%である。
DSCにより測定されたTgは-27.0℃(中点)および-31℃(開始)である。
得られたポリマーを、表1に示すphrの割合で、架橋添加剤とロール間隙混合機中で混合する。機械的特性および圧縮永久歪を表1に示す。
【0107】
実施例3
VDF/TFE/HFP/PMVE/モノマー(a)( 67/7/11/5/10 モル%)コポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5リッター)中を脱気した後、脱イオン水(3.5リッター)を導入した。
オートクレーブ内を85℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、オートクレーブ内を、次のモノマー混合物(その組成はモル%で、VDF 52.5%、TFE 4.0%、HFP
29.8%、PMVE 6.6%、式(a)のモノマー 7.2%である)で、20 bar(2.0 MPa)に加圧する。
【0108】
次いで、オートクレーブ中に、
− 開始剤としてアンモニウム パーサルフェート(APS)(4.55 g);
− 酢酸エチル(7.53 ml);
(該化合物の添加は、重合の最初から開始し、モノマーの変換が20%増加するごとに、それぞれ1.51 mlの全5分割で行なった);
を導入する。
【0109】
全重合の間、混合物(モル%で):VDF 64.3%、TFE 7.2%、HFP 13.2%、PMVE 5.2%、式(a)のモノマー 10%を供給することにより、20 bar(2.0 MPa)の一定圧力を維持する。
モノマーの変換100%に相当する、53分の反応後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出する。
ラテックスをアンモニウム サルフェート溶液(ラテックス各リッターに対してAl2(SO4)3を6グラム)で凝固し、空気循環ストーブ中、90℃で24時間乾燥する。
ポリマー 992 gを得る。
供給されたモノマーに対して反応したモノマーの量は、95.1%の結果になる。
【0110】
アセトン中、熱くして溶かしたポリマーの19F-NMR測定により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントを10.1%、VDFを66.6%、TFEを7.4%、HFPを10.7%、PMVEを5.2%と決定する。
DSCにより測定されたTgは-31.9℃(中点)および-34.7℃(開始)である。
得られたポリマーを、表2に示すphrの割合で、架橋添加剤とロール間隙混合機中で混合する。機械的特性および圧縮永久歪を表2に示す。
【0111】
実施例4
VDF/TFE/HFP/PMVE/モノマー(a)( 68/9/12/5/6 モル%)コポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5リッター)中を脱気した後、脱イオン水(3.5リッター)を導入する。
オートクレーブ内を85℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、オートクレーブ内を、次のモノマー混合物(その組成はモル%で、VDF 44.8%、TFE 3.3%、HFP
28.3%、PMVE 15.2%、式(a)のモノマー 8.4%である)で、20 bar(2.0 MPa)に加圧する。
【0112】
次いで、オートクレーブ中に、
− 開始剤としてアンモニウム パーサルフェート(APS)(4.55 g);
− 酢酸エチル(7.53 ml);
(該化合物の添加は、重合の最初から開始し、モノマーの変換が20%増加するごとに、それぞれ1.51 mlの全5分割で行なった);
を導入する。
【0113】
全重合の間、混合物(モル%で):VDF 67.0%、TFE 7.6%、HFP 14.8%、PMVE 5.4%、式(a)のモノマー 5.2%を供給することにより、20 bar(2.0 MPa)の一定圧力を維持する。
モノマーの変換100%に相当する、55分の反応後、オートクレーブを冷却し、ラテック
スを排出する。
ラテックスをアンモニウム サルフェート溶液(ラテックス各リッターに対してAl2(SO4)3を6グラム)で凝固し、空気循環ストーブ中、90℃で24時間乾燥する。
ポリマー 987 gを得る。
供給されたモノマーに対して反応したモノマーの量は、87.0%の結果になる。
【0114】
アセトン中、熱くして溶かしたポリマーの19F-NMR測定により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントを5.9%、VDFを67.8%、TFEを8.8%、HFPを12.2%、PMVEは5.3%と決定する。
DSCにより測定されたTgは-27.7℃(中点)および-30.5℃(開始)である。
得られたポリマーを、表2に示すphrの割合で、架橋添加剤とロール間隙混合機中で混合する。機械的特性および圧縮永久歪を表2に示す。
【0115】
実施例5
VDF/TFE/HFP/PMVE/モノマー(a)( 70/9/13/5/3 モル%)コポリマー
630 rpmで作動する撹拌装置を備えたオートクレーブ(5リッター)中を脱気した後、脱イオン水(3.5リッター)を導入する。
オートクレーブ内を85℃に加熱し、反応の間中、この温度を維持した。次いで、オートクレーブ内を、次のモノマー混合物(その組成はモル%で、VDF 50.0%、TFE 4.3%、HFP
36.8%、PMVE 6.3%、式(a)のモノマー 2.6%である)で、20 bar(2.0 MPa)に加圧する。
【0116】
次いで、オートクレーブ中に、
− 開始剤としてアンモニウム パーサルフェート(APS)(4.55 g);
− 酢酸エチル(7.53 ml);
(該化合物の添加は、重合の最初から開始し、モノマーの変換が20%増加するごとに、それぞれ1.51 mlの全5分割で行なった);
を導入する。
【0117】
全重合の間、混合物(モル%で):VDF 69.1%、TFE 8.2%、HFP 15.1%、PMVE 5.5%、式(a)のモノマー 2.1%を供給することにより、20 bar(2.0 MPa)の一定圧力を維持する。
モノマーの変換100%に相当する、54分の反応後、オートクレーブを冷却し、ラテックスを排出する。
ラテックスをアンモニウム サルフェート溶液(ラテックス各リッターに対してAl2(SO4)3を6グラム)で凝固し、空気循環ストーブ中、90℃で24時間乾燥する。
ポリマー 976 gを得る。
供給されたモノマーに対して反応したモノマーの量は、89.7%の結果になる。
【0118】
アセトン中、熱くして溶かしたポリマーの19F-NMR測定により、ポリマー中のモノマー(a)のモルパーセントを2.7%、VDFを69.6%、TFEを9.0%、HFPを13.5%、PMVEを5.2%と決定する。
DSCにより測定されたTgは-25.0℃(中点)および-27.6℃(開始)である。
得られたポリマーを、表2に示すphrの割合で、架橋添加剤とロール間隙混合機中で混合する。機械的特性および圧縮永久歪を表2に示す。表において、FORXA51(登録商標)は、5/1の重量比でのビスフェノールAF/1,1-ジフェニル-1-ベンジル-N-ジエチルホスホルアミン付加物の商用名である。
【0119】
表に対するコメント
表1および2から、本発明のポリマーに対する-10℃および-25℃の温度での圧縮永久歪値は、比較例のそれらよりも低い結果であることが推測される。さらに、本発明のポリマー
は、200℃で機械的特性および圧縮永久歪の良好な値を有する結果となる。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
-10℃で60%より低く、好ましくは50%より低く、-25℃で90%より低く、好ましくは75%より低い、24時間後の圧縮永久歪(ASTM D 395/B)を有し、10モル%より高い量でヘキサフルオロプロペン(HFP)および式:
CF2=CFOCF2OCF3 (a)
のビニルエーテルを含み、次の方法:
モノマーの重合の最後に、冷凍して凝固させ、続いて解凍することによりポリマーを単離する;次いで、そのポリマーを脱イオン水で2回洗浄し、恒量になるまでストーブ中で乾燥する;-COFポリマー末端基をFT-IR分光分析法によって決定する、ここで、50〜300ミクロンの厚さを有するポリマーフィルムについて、4000 cm-1〜400 cm-1の間で最初の走査を行なって最初のスペクトルを得、該フィルムをアンモニア飽和蒸気中に12時間置き、次いで最初のIRスペクトルと同じ条件下でIR最終スペクトルを測定し、最初のスペクトルから最終のスペクトルを差し引いて、「差スペクトル」を得、次式:
【数1】

により標準化する;次いで、アンモニア蒸気と反応した-COF末端基に関連する光学密度を測定し、M. Piancaらによる論文 "End groups in fluoropolymers", J. Fluorine Chem. 95 (1999), 71-84 (ここに、参考文献として組み込まれる)の73頁、表1に報告されている吸光係数を用いてmmol/ポリマーkgに変換する;実測値はポリマーのkg当たりの-COF末端基のミリモルとして、残った-COF末端基の濃度を表わす;本発明のフルオロエラストマーのスペクトルにおいて、-COF末端基に関連するバンド(1900〜1830 cm-1)は検知されず、この方法の感度限界は0.05 mmol/Kgである;
によれば1,900〜1,830 cm-1のバンドに感度限界より低い量の-COFポリマー末端基を有する、イオン硬化VDFフルオロエラストマー。
【請求項2】
フッ素化されたビス-オレフィンに由来の単位を0.01〜5モル%の間の量で含む、請求項1に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項3】
任意に用いられるビス-オレフィンが式:
CH2=CH-(CF2)t0-CH=CH2
(式中、t0は6〜10の整数である)
を有する、請求項2に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項4】
フルオロエラストマー+半晶質(パー)フルオロポリマーの混合物の乾燥重量の合計に対する重量パーセントで表わされたフルオロエラストマー量が、0重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜50重量%、さらに好ましくは10重量%〜30重量%である、半晶質(パー)フルオロポリマーとの混合状態にある、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項5】
半晶質(パー)フルオロポリマーが、0.01モル%〜10モル%、好ましくは0.05モル%〜7モル%の量の、テトラフルオロエチレン(TFE)ホモポリマーから、またはエチレンタイプの不飽和を少なくとも1つ含む1以上のモノマーとのTFEコポリマーから形成される、請求項4に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項6】
エチレン不飽和を有するコモノマーが水素化されたタイプおよびフッ素化されたタイプである、請求項5に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項7】
水素化されたコモノマーが、エチレン、プロピレン、アクリルモノマー、スチレンモノマーである、請求項5または6に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項8】
フッ素化されたコモノマーが、次の:
− C3-C8パーフルオロオレフィン;
− C2-C8水素化フルオロオレフィン;CH2=CH-Rf パーフルオロアルキルエチレン(ここで、RfはC1-C6パーフルオロアルキルである)
− C2-C8クロロ-および/またはブロモ-および/またはヨード-フルオロオレフィン;
− CF2=CFORf (パー)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)(ここで、RfはC1-C6(パー)フルオロアルキルである);
− CF2=CFOX(パー)フルオロ-オキシアルキルビニルエーテル(ここで、XはC1-C12アルキルまたはC1-C12オキシアルキルまたは1以上のエーテル基を有するC1-C12(パー)フルオロオキシアルキル、例えばパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルである);フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール
から選択される、請求項5〜7のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項9】
コモノマーがPAVEおよびフルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソールである、請求項5〜8のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項10】
0.05 mmol/Kgより低い-COF末端基の量を有するフルオロエラストマーの量が、混合物中のフルオロエラストマーの全重量に対して、少なくとも5〜10重量%、好ましくは20〜40重量%、より好ましくは50重量%である、0.05 mmol/Kgより高い-COF末端基の量を含むポリマーから得られるフルオロエラストマーと混合状態にある、請求項1〜9のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項11】
0.05 mmol/Kgより高い量で-COF末端基を含むフルオロエラストマーポリマーが、次のコモノマー:
− (パー)フルオロジオキソール、好ましくは次の式:
【化1】

(式中、
Y = F、ORf1(ここで、Rf1はC1-C5パーフルオロアルキルであり、好ましくはRf1はCF3である)であり;
X1およびX2は互いに同一または異なって、FおよびCF3の間から選択され、好ましくはFであり;
Z1はF、H、Clから選択され、好ましくはFである)
を有する(パー)フルオロジオキソール;
− 式CF2=CFORf(ここで、RfはC3パーフルオロアルキルである)のパーフルオロアルキルビニルエーテル;
− CF2=CFOXaパーフルオロオキシアルキルビニルエーテル(ここで、Xaは1以上のエーテル基を有するC3-C12パーフルオロオキシアルキル、例えばパーフルオロ-2-プロポキシ-プロピルである);
− 一般式CFXAI=CXAIOCF2ORAI(ここで、RAIは直鎖状、分枝鎖状のC2-C6(パー)フルオロアルキル基、またはC5-C6環式、あるいは1〜3の酸素原子を含む、直鎖状もしくは可能なときは分枝鎖状のC2-C6(パー)フルオロオキシアルキル基であり;RAIが、前記で定義されたフルオロアルキルまたはフルオロオキシアルキル基であるとき、それは次の:H、Cl、Br、Iから選択される、同一または異なった1〜2の原子を含むことができ;XAI = F、Hである)のフルオロビニルエーテル (MOVE);一般式:CFXAI=CXAIOCF2OCF2CF2YAI(ここで、YAI = F、OCF3であり;XA1は前記のとおりである)が好ましく;特に(MOVE 1) CF2=CFOCF2OCF2CF3および(MOVE 2) CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3
を含む、請求項10に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項12】
次のモノマー(モル%で):
VDFを40〜90%、好ましくは50〜80%;
式(a)のモノマーを2〜20%、好ましくは6〜14%;
HFPを10〜30%、好ましくは12〜20%;
任意に、エチレンタイプの不飽和を少なくとも1つ有する1以上の(パー)フッ素化コモノマーを0〜30%
を含み、モノマーのモルパーセントの合計が100%である、請求項1〜11のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項13】
1つのエチレン不飽和を有するコモノマーが、次の:
− C2-C8パーフルオロオレフィン、例えばTFE、ヘキサフルオロイソブテン;
− 式CF2=CFORf(ここで、RfはC1-C2パーフルオロアルキル、好ましくはRf = CF3である)のパーフルオロアルキルビニルエーテル
から選択される、請求項12に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項14】
1つのエチレン不飽和を有するコモノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)および/またはパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)である、請求項13に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項15】
モノマーのモルパーセントの合計が100%であり、次の組成(モル%):
− VDFを40〜90%、好ましくは50〜80%;
式(a)のモノマーを2〜20%、好ましくは6〜14%;
HFPを10〜30%、好ましくは12〜20%;
任意に、
PMVEを0〜15%、好ましくは3〜10%;および/または
TFEを0〜30%、好ましくは5〜20%
を含む、請求項12〜14のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項16】
イオン硬化が、有機-オニウム誘導体から選択される促進剤および硬化剤を用いて行なわれる、請求項1〜15のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項17】
有機-オニウム誘導体が、有機または無機の基と結合した少なくとも1つのヘテロ原子、例えばN、P、S、Oを含む、請求項16に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項18】
有機-オニウム化合物が、次のクラス:
A) 一般式:
【化2】

[式中、
Qは、次の意味:窒素、リン、ヒ素、アンチモン、硫黄を有し;
X1は、有機または無機のアニオン、好ましくはハライド、サルフェート、アセテート、ホスフェート、ホスホネート、ハイドロキサイド、アルコキサイド、フェネート、ビスフェネートであり;
nはX1イオンの原子価であり;
R2、R3、R4、R5は互いに独立して、次の意味:
− C1-C20アルキル、C6-C20アリールもしくはアリールアルキル、C1-C20アルケニル、またはそれらの組み合わせ;
− 塩素、フッ素、臭素から選択されるハロゲン;
− またはシアノ基、-ORBおよびCOORB(ここで、RBは上記の意味を有するアルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルケニルである)
有し、
ここで、R2、R3、R4、R5基の2つの基は、ヘテロ原子Qと一緒になって環状構造を形成することができ;
Qが硫黄原子のとき、R2、R3、R4、R5基の1つは存在しない]
を有する化合物;
B) 次の一般式:
mI[P(NR6R7)nIR84-nI]+ YmI- (II)
R9[P(NR6R7)rR83-r]2+ pYmI- (III)
[式中、
R6、R7およびR8は同一または異なって、次の意味:
− C1-C18、好ましくはC1-C12アルキル、C4-C7シクロアルキル、C6-C18、好ましくはC6-C12のアリールもしくはアリールアルキル;
− オキシアルキルまたはポリ(オキシアルキル)(ここで、アルキルは上記のとおりであり、ポリオキシアルキル基は遊離のまたはエーテル化された末端OH官能基を有する)
を有し、
R6、R7およびR8はハロゲン、CN、OH、カルブアルコキシ基を任意に含むことができ;
ここで、R6およびR7は窒素原子と一緒になってヘテロ環を形成することができ;
R9はC1-C6アルキレン、オキシアルキレンまたはC6-C12アリレンの2価基であり;
− nIは1〜4の整数であり;
− rは1〜3の整数であり;
− mIは1〜2の整数であり、Yイオンの原子価に対応し;
− pはmI×p = 2であるような係数であり;
− Yはm原子価を有するアニオンであり、有機または無機であることができ;好ましくは、ハライド、パークロレート、ナイトレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、オキサレート、アセテート、ステアレート、ハロアセテート、パラトルエンスルホネート、フェネート、ビスフェネート、ハイドロキサイドから選択され;Yは錯体アニオン、例えばZnCl42-、CdCl42-、NiBr42-、HgI3-であってもよい]
を有するアミノ-ホスホニウム誘導体;
C) 式:
【化3】

(式中、
Arはフェニル、置換されたフェニルであり;
R10は水素、メチル、エチル、プロピル、カルブアルコキシであり;
R11はカルブアルコキシ、C1-C8アルキル、シアノおよびアミド基であるか、
またはR10とR11はP=C結合の炭素原子と一緒になって環式基を形成する)
を有するホスホラン、特にトリアリールホスホラン;
D) 式:
[N(R12)2]c+ Xcc- (V)
(式中、
R12は、P、S、OまたはNのような1つのヘテロ原子を末端に有する1価の有機基であり、該有機基は該へテロ原子を介して窒素原子と共有結合している;
cはXcアニオンの原子価であり;
Xcは、有機または無機アニオン、好ましくはハライド、ハイドロキサイド、サルフェート、チオサルフェート、ナイトレート、ホルメート、アセテート、シアネート、チオシアネ
ート、テトラフェニルボレート、ホスフェート、ホスホネート、アルコキサイド、フェネート、ビスフェネートまたはパークロレートである)
を有するイミニウム塩
から選択される、請求項16または17に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項19】
クラスA)の有機-オニウム誘導体が、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムビサルフェート、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリブチルアリルホスホニウムクロライド、トリブチルベンジルホスホニウムクロライド、ジブチルジフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、トリアリールスルホニウムクロライドから選択され;
クラスB)のアミノ-ホスホニウム誘導体が、ベンジルジフェニル(ジエチルアミノ)ホスホニウムおよびベンジルトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム塩から選択され;
クラスD)の化合物が、好ましくは8-ベンジル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンクロライドである、
請求項18に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項20】
硬化剤が、芳香族もしくは脂肪族のポリヒドロキシル化された化合物またはそれらの誘導体である、請求項16〜19のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項21】
硬化剤が、ジ-、トリ-およびテトラヒドロキシベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ならびに式:
【化4】

[式中、
Z'は、次の意味:
− 少なくとも1つの塩素またはフッ素原子で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C13脂肪族、C4-C13脂環式、C6-C13芳香族またはアリールアルキレン性の2価の基;
− チオ、オキシ、カルボニル、スルフィニルまたはスルホニル基
の1つを有し;
− xは0または1であり;
− uは1または2であり;
− 式(VI)の化合物の芳香環は、塩素、フッ素もしくは臭素;-CHO、C1-C8アルコキシ、-COOR10(ここで、R10はHまたはC1-C8アルキル、C6-C14アリール、C4-C12シクロアルキルである)から選択されるその他の置換基を任意に有していてもよい]
のビスフェノールから選択される、請求項20に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項22】
式(VI)の硬化剤が、ヘキサフルオロイソ-プロピリデンビス(4-ヒドロキシベンゼン)、4,4'-ジヒドロキシ-ジフェニルスルホンおよびイソプロピリデンビス(4-ヒドロキシベンゼン)である、請求項21に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項23】
促進剤および硬化剤の代わりに、促進剤と硬化剤との付加物が用いられ得る、請求項16〜22のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項24】
付加物が、好ましくは硬化剤:促進剤のモル比が1:1〜5:1、好ましくは2:1〜5:1にある、ビスフェノールと-オニウム塩から形成される、請求項1〜15のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項25】
付加物とは別に、付加物に含まれるものに加えて遊離の促進剤;および/または付加物に含まれるものに加えて遊離の硬化剤が存在する、請求項23または24に記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項26】
付加物において、カチオンが次の:1,1-ジフェニル-1-ベンジル-N-ジエチル-ホスホランアミン、テトラブチルホスホニウム、テトラブチルアンモニウムであり、アニオンにはビスフェノール化合物(ここで、2つの芳香環は、3〜7の炭素原子を有するパーフルオロアルキレン基から選択されるアルキレン基で結合しており、芳香環のOHはパラ位にある)がある、請求項23〜25のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項27】
硬化ブレンドが、
i) ビニリデンフロオライドコポリマーのイオン硬化において知られているものから選択される1以上の無機酸の受容体を、フルオロエラストメリックコポリマー100部当たり1〜40部の量;
ii) ビニリデンフルオライドコポリマーのイオン硬化において知られているものから選択される1以上の塩基性化合物を、フルオロエラストメリックコポリマー100部当たり0.5〜10部の量
で含む、請求項1〜26のいずれかに記載の硬化フルオロエラストマー。
【請求項28】
塩基性化合物ii)が、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2、弱酸の金属塩、好ましくはCa、Sr、Ba、NaおよびKの炭酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩および亜リン酸塩、ならびに上記水酸化物と上記金属塩との混合物から選択され、タイプi)の化合物のうちでMgOが好ましく用いられる、請求項27に記載の硬化フルオロエラストマー。

【公表番号】特表2009−524717(P2009−524717A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551753(P2008−551753)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050353
【国際公開番号】WO2007/085546
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(503023047)ソルヴェイ ソレクシス エス.ピー.エー. (40)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Solexis S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Turati 12 − MILANO,Italy
【Fターム(参考)】