説明

フルチカゾン製剤

【課題】投薬回数を少なくし、臨床効果を改善し、潜在的に副作用を少なくすることができるフルチカゾン製剤を提供する。
【解決手段】経口投与、肺投与、直腸投与、眼投与、結腸投与、非経口投与、槽内投与、腟内投与、腹腔内投与、局部(local)投与、頬投与、鼻投与、および局所(topical)投与からなる群より選択される投与のために処方された、(a)フルチカゾン粒子の有効平均粒径が約2000nm未満である、フルチカゾンまたはその塩の粒子;および(b)少なくとも1種類の表面安定剤を含む、フルチカゾン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤を含む組成物に関する。なお、本願は、2003年2月4日に出願された米国特許仮出願第60/444,626号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
A.ナノ粒子組成物に関する背景
米国特許第5,145,684号(「‘684特許」)で初めて述べられたナノ粒子組成物は、表面に非架橋表面安定剤が結合している、溶解度の低い治療剤または診断剤を含む粒子である。‘684特許は、フルチカゾンのナノ粒子組成物について述べていない。
【0003】
ナノ粒子組成物を作製する方法は、例えば、米国特許第5,518,187号および第5,862,999号の「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」;米国特許第5,718,388号「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」;ならびに米国特許第5,510,118号「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に記載されている。
【0004】
ナノ粒子組成物はまた、例えば、




に記載されている。これらの全てが参照として詳細に組み入れられる。
【0005】
さらに、2002年1月31日に公開された米国特許出願第20020012675号A1「Controlled Release Nanoparticulate Comopsitions」、および国際公開公報第02/098565号「System and Method for Milling Materials」はナノ粒子活性薬剤について述べており、参照として詳細に組み入れられる。これらの参考文献はどれもフルチカゾンのナノ粒子組成物について述べていない。
【0006】
非晶性の小さな粒子の組成物は、例えば、

に記載されている。
【0007】
B.フルチカゾンに関する背景
プロピオン酸フルチカゾンは、合成三フッ化コルチコステロイド(化学名S-フルオロメチル-6α,9-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオエート,17-プロピオネート、化学式C25H31F3O5S)である。プロピオン酸フルチカゾンは、分子量500.6の白色から白色に近い色の粉末である。プロピオン酸フルチカゾンは水にほとんど溶けず、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドに大量に溶解し、メタノールおよび95%エタノールにわずかに溶ける。
【0008】
プロピオン酸フルチカゾンは、英国特許第208877号において説明および請求されている。この化合物は強力な抗炎症活性を有し、呼吸障害(特に、喘息)の治療に特に有用である。ヒト肺サイトゾル調製物を用いたインビトロアッセイによって、プロピオン酸フルチカゾンは、デキサメタゾンの18倍、ブデソニドの活性型代謝産物であるベクロメタゾン-17-モノプロピオネート(BMP)のほぼ2倍の親和性を有するヒトグルココルチコイド受容体アゴニストであることが証明されている。
【0009】
投与方法に応じて、プロピオン酸フルチカゾンは、例えば、喘息、気腫、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、慢性気管支炎(bronchitus)、嚢胞性線維症、後天性免疫不全症候群(AIDSを含む)に関連した肺炎、季節性鼻炎もしくは通年性鼻炎、季節性もしくは通年性のアレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎(血管神経性鼻炎)などの呼吸器に関連した病気、または局所コルチコステロイドで治療可能な皮膚の状態などを治療するのに使用することができる。他の局所コルチコステロイドと同様に、プロピオン酸フルチカゾンには抗炎症性、止痒性、および血管収縮性がある。
【0010】
エアロゾルで投与されると、プロピオン酸フルチカゾンは肺に局所的に働く。従って、血漿中濃度から治療効果は予想されない。Physicians'Desk Reference, 57th Edition,pp.1433(Thompson PDR,NJ 2003)を参照のこと。標識されたおよび標識されていない従来のプロピオン酸フルチカゾンの経口投与を用いた研究から、主に、消化管および肝臓での不完全な吸収および全身前代謝のために、プロピオン酸フルチカゾンの経口全身バイオアベイラビリティはごくわずか(<1%)であることが証明されている。同上。
【0011】
局所コルチコステロイドの経皮吸収の程度は、ビヒクルおよび表皮バリアの完全性を含む多くの要因によって決定される。閉鎖包帯は浸透を促す。正常な無傷の皮膚から局所コルチコステロイドを吸収させることができる。皮膚に炎症および/または他の疾患プロセスがあると経皮吸収が高まる。同上、1498。
【0012】
(フォーム1で示される)結晶形態のプロピオン酸フルチカゾンは、粗生成物(例えば、英国特許第2088877号に記載のように得られた粗生成物)を酢酸エチルに溶解し、次いで、再結晶化することによって得られている。標準的な噴霧乾燥法からもまた、プロピオン酸フルチカゾンの既知のフォーム1だけが得られることが示されている。Cooperらへの米国特許第6,406,718号を参照のこと。超臨界流体法を用いて調製された別のプロピオン酸フルチカゾン多形がCooperらで述べられている。
【0013】
Cooperらは、超臨界流体の働きによってビヒクルの分散と抽出が実質的に同時に行われるように、超臨界流体と、少なくともプロピオン酸フルチカゾンを含むビヒクルの溶液または懸濁液を、温度および圧力が制御された粒子形成容器に同時導入する段階を含む、微粒子状プロピオン酸フルチカゾン生成物を形成する方法について述べている。超臨界流体として有用であると述べられている化学物質として、二酸化炭素、亜酸化窒素、六フッ化硫黄、キセノン、エチレン、クロロトリフルオロメタン、エタン、およびトリフルオロメタンが挙げられる。超臨界流体は、選択的に、メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはその任意の混合物などの1種類またはそれ以上の調節剤(modifier)を含んでもよい。超臨界流体調節剤(または共溶媒)は、超臨界流体に添加された時に、臨界点でのまたは臨界点付近での超臨界流体の固有特性を変える化学物質である。Cooperらによれば、超臨界流体を用いて生成されたプロピオン酸フルチカゾン粒子の粒径範囲は1〜10ミクロンであり、好ましくは1〜5ミクロンである。
【0014】
Cooperらのフルチカゾン組成物に関連した、いくつかの欠点がある。第1に、小さな粒径は、投与の際の迅速な溶解、その結果として生じる急速な作用開始ならびに大きなバイオアベイラビリティと関連付けられることがあるので、1ミクロン未満の粒径が望ましい。さらに、非常に小さな(すなわち、直径が約150nm未満の)フルチカゾン粒子は濾過滅菌(sterile filter)することができるので、このような組成物が望ましい。さらに、Cooperらのフルチカゾン粒子は超臨界流体の残渣を含んでいることがある。超臨界流体の残渣は薬学的特性を有さず、副作用の原因となる可能性があるので望ましくない。
【0015】
プロピオン酸フルチカゾンはいくつかの異なる市販形態で販売されている。ADVAIR DISKUS(登録商標)(グラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline),Research Triangle Park,NC)は、ミクロファインプロピオン酸フルチカゾンと、高選択性β2アドレナリン作動性気管支拡張薬であるキシナホ酸サルメテロールの組み合わせの吸入散剤である。この剤形は、3種類のプロピオン酸フルチカゾン用量:100mcg、250mcg、および500mcgで販売されている。ADVAIR(登録商標)DISKUS(登録商標)を健常被検者に投与した後、1〜2時間でプロピオン酸フルチカゾンは最高血漿中濃度に達する。Physicians'Desk Reference, 57th Edition,pp.1433(Thompson PDR,NJ 2003)を参照のこと。ADVAIR(登録商標)DISKUS(登録商標)500/50(500mcgプロピオン酸フルチカゾンおよび50mcgキシナホ酸サルメテロールを含む)を投与するか、プロピオン酸フルチカゾン散剤500mcgおよびサルメテロール散剤50mcgを同時投与するか、またはプロピオン酸フルチカゾン散剤500mcgのみを投与した時、プロピオン酸フルチカゾンの定常状態での平均最高血漿中濃度は、それぞれ、57pg/mL、73pg/mL、および70pg/mLであった。同上。ディスカス(DISKUS)装置を用いて成人患者(n=11)にプロピオン酸フルチカゾン吸入散剤を1日二回、一回500mcg投与した後、定常状態での最高プロピオン酸フルチカゾン血漿中濃度は検出不可能な濃度から266pg/mLであった。平均プロピオン酸フルチカゾン血漿中濃度は110pg/mLであった。健常ボランティアにおいてDISKUS(登録商標)装置を用いたプロピオン酸フルチカゾン吸入散剤の全身バイオアベイラビリティは平均18%である。同上。ADVAIR DISKUS(登録商標)は喘息の長期間1日二回の維持療法に用いられる。同上、1435。
【0016】
FLOVENT(登録商標)DISKUS(登録商標)(グラクソスミスクライン)は、ミクロファインプロピオン酸フルチカゾン(50mcg、100mcg、および250mcg)がラクトースの中に入っている経口吸入散剤である。同上、1526。標準的なインビトロ試験条件下では、FLOVENT(登録商標)DISKUS(登録商標)は、FLOVENT(登録商標)DISKUS(登録商標)50mcg、100mcg、および250mcgからそれぞれ、47mcg、94mcg、または235mcgのプロピオン酸フルチカゾンを送達する。同上。健常成人ボランティアにおけるDISKUS(登録商標)装置からのプロピオン酸フルチカゾンの全身バイオアベイラビリティは平均約18%である。FLOVENT(登録商標)DISKUS(登録商標)は、喘息の予防療法としての維持療法に、および喘息の経口コルチコステロイド療法を必要とする患者に用いられる。同上、1527。
【0017】
FLOVENT(登録商標)ROTADISK(登録商標)(グラクソスミスクライン)は、ミクロファインプロピオン酸フルチカゾン(50mcg、100mcg、および250mcg)がラクトースと混合されている経口吸入散剤である。同上、1530。標準的なインビトロ試験条件下では、FLOVENT(登録商標)ROTADISK(登録商標)は、FLOVENT(登録商標)ROTADISK(登録商標)50mcg、100mcg、および250mcgからそれぞれ、44mcg、88mcg、または220mcgのプロピオン酸フルチカゾンを送達する。同上。健常成人ボランティアにおけるROTADISK(登録商標)装置からのプロピオン酸フルチカゾンの全身バイオアベイラビリティは平均約13.5%である。同上。FLOVENT(登録商標)ROTADISK(登録商標)は、喘息の予防療法としての維持療法に、および喘息の経口コルチコステロイド療法を必要とする患者に用いられる。同上、1531。
【0018】
FLOVENT(登録商標)(グラクソスミスクライン)は、プロピオン酸フルチカゾン(44mcg、110mcg、または220mcg)が2種類のクロロフルオロカーボン噴射剤(トリクロロフルオロメタンおよびジクロロジフルオロメタン)とレシチンの混合物に溶解している微結晶懸濁液からなる経口吸入エアロゾルである。吸入器を動かすごとに、バルブから50mcg、125mcg、または250mcgのプロピオン酸フルチカゾンが、アクチュエータからそれぞれ44mcg、110mcg、または220mcgのプロピオン酸フルチカゾンが送達される。同上、1523。健常ボランティアにおけるプロピオン酸フルチカゾン吸入エアロゾルの全身バイオアベイラビリティの平均は、アクチュエータから送達される用量の約30%である。880mcg吸入投与後の最高血漿中濃度は0.1〜1.0ng/mLであった。同上。FLOVENT(登録商標)は、喘息の予防療法としての維持療法に用いられる。同上、1524。
【0019】
FLONASE(登録商標)(グラクソスミスクライン)は、噴霧スプレー定量ポンプによって投与されるミクロファインプロピオン酸フルチカゾン(50mcg)の水性懸濁液からなる鼻スプレーである。同上、1521。この剤形はまた、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、0.02%w/w塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80、および0.25%w/wフェニルエチルアルコールも含む。同上。間接的な計算から、鼻腔内経路によって送達されるプロピオン酸フルチカゾンの絶対的バイオアベイラビリティは平均2%未満であることが分かる。同上。アレルギー性鼻炎患者を3週間、鼻腔内治療した後、プロピオン酸フルチカゾン血漿中濃度は推奨量を超えた時にだけ検出濃度(50pg/mL)を上回り、その後、不定期の試料に低い血漿中濃度で見られるだけであった。同上。鼻腔内経路による低いバイオアベイラビリティのために、薬物動態データの大部分は他の投与経路を介して得られた。放射性標識薬物の経口投与を用いた試験から、プロピオン酸フルチカゾンは血漿からかなり抽出され、吸収は低いことが証明されている。経口バイオアベイラビリティはごくわずかであり、循環放射能の大部分は不活性型代謝産物によるものである。同上。経口投与の効果と鼻投与の効果を比較した研究から、FLONASE(登録商標)の治療効果は、鼻粘膜に適用されたプロピオン酸フルチカゾンの局所効果によるものであることが証明される。同上。FLONASE(登録商標)鼻スプレーは、季節性および通年性のアレルギー性鼻炎および非アレルギー性鼻炎の鼻症状の処置に用いられる。同上、1522。
【0020】
CUTIVATE(登録商標)(グラクソスミスクライン)は、皮膚科用局所プロピオン酸フルチカゾンクリームまたは軟膏(0.05%および0.005%濃度)である。このクリームおよび軟膏は、コルチコステロイド反応性皮膚病の炎症および痒みの症状の緩和に指示された中程度の効力のコルチコステロイドである。同上、1498。0.05%プロピオン酸フルチカゾンクリーム12.5gが3週間、一日2回投与された12人の健常男性のヒト試験において、血漿中濃度は、一般的に、定量濃度(0.05ng/mL)より低かった。0.05%プロピオン酸フルチカゾンクリーム25gを5日間、覆いをした状態で投与した6人の健常男性の別の試験において、フルチカゾンの血漿中濃度は0.07〜0.39ng/mLであった。同上、1496。0.005%プロピオン酸フルチカゾン軟膏26gを5日間まで一日2回、覆いをした状態で体幹および足に塗布した6人の健常ボランティアの試験において、フルチカゾンの血漿中濃度は0.08〜0.22ng/mLであった。同上。
【0021】
現在販売されている形態のプロピオン酸フルチカゾンの副作用として、リンパの徴候および症状;動悸;過敏反応(血管性浮腫(agioedema)、皮疹、顔および舌の浮腫、痒み、じんま疹(urticaria)、気管支痙攣、喘鳴、呼吸困難、およびアナフィラキシー反応/アナフィラキシー様反応を含む);中耳炎;扁桃炎;鼻漏/後鼻漏/鼻汁;耳痛;咳;喉頭炎;嗄声/発声障害;鼻血;扁桃炎;鼻の徴候および症状;不特定の口腔咽頭プラーク;耳、鼻、および咽頭のポリープ;くしゃみ;鼻腔内の疼痛;鼻炎;咽頭狭窄;アレルギー性の耳障害、鼻障害、および咽頭障害;味覚および/または嗅覚の変化または消失;鼻中隔穿孔;鼻粘膜への出血;鼻の潰瘍;声の変化;体液の乱れ;体重増加;甲状腺腫;尿酸代謝障害;食欲障害;眼の刺激;かすみ目;緑内障;眼内圧の上昇および白内障;角膜炎および結膜炎;眼瞼結膜炎;悪心および嘔吐;腹痛;ウイルス性胃腸炎;胃腸炎/大腸炎;胃腸感染症;腹部の不快;下痢;便秘;虫垂炎;消化不良および胃障害;異常肝機能;外傷;発熱;う歯;歯の問題;口の刺激;口および舌の障害;胆嚢炎;下気道感染症;肺炎;関節痛および関節リウマチ;筋肉の痙攣および痙縮;骨折;創傷および裂傷;挫傷および血腫;熱傷;筋骨格炎症;骨および軟骨の障害;関節痛;捻挫/ひずみ;頸部の障害および/症状;筋肉の痛み/疼痛;痛みおよび疼痛;手足の疼痛;眩暈感/眩暈;振せん;入眠作用;圧縮神経症候群(compressed nerve syndrome);睡眠障害;脳神経の麻痺;偏頭痛;神経質;気管支炎;胸部のうっ血および/または症状;倦怠感および疲労;疼痛;浮腫および腫脹;細菌感染症;真菌感染症;移動障害;膿疱、こぶ、および塊;感情障害;急性鼻咽頭炎;呼吸困難;吸入薬による刺激;じんま疹;発疹/皮疹;汗および皮脂の障害;発汗;光線皮膚炎;皮膚炎および皮膚病;ウイルス性皮膚感染症;湿疹;真菌性皮膚感染症;痒み;ざ瘡および毛包炎;火傷;多毛症;紅斑の増加;じんま疹(hives);毛包炎;色素脱失;口周囲皮膚炎;皮膚萎縮;線条;汗疹;膿疱性乾癬;泌尿器感染症;細菌性生殖期感染症;月経困難;膣カンジダ症;骨盤腹膜炎;膣炎/外部膣炎;ならびに不規則な月経周期が挙げられる。同上、1438、1498-99、1523、1525、1529、および1532。
【0022】
投薬回数を少なくし、臨床効果を改善し、潜在的に副作用を少なくすることができるフルチカゾン製剤が当技術分野において必要とされている。本発明はこれらの必要を満たしている。
【発明の概要】
【0023】
本発明は、フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤を含む組成物に関する。組成物中のフルチカゾン粒子は約2000nm未満の有効平均粒径を有し得る。
【0024】
本発明の別の局面は、本発明のフルチカゾン組成物を含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物は、好ましくは、フルチカゾン、少なくとも1種類の表面安定剤、および少なくとも1種類の薬学的に許容される担体、ならびに任意の望ましい賦形剤を含む。
【0025】
さらに、本発明は、濾過滅菌可能なフルチカゾン組成物に関する。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、生体接着性フルチカゾン製剤に関する。このような組成物は、例えば、経口適用、鼻適用、局所適用に有用である。
【0027】
本発明は、さらに、フルチカゾン組成物を作製する方法を開示する。このような方法は、有効平均粒径が約2ミクロン未満のフルチカゾン粒子を含むフルチカゾン組成物を得るのに十分な時間および条件下で、フルチカゾンと少なくとも1種類の表面安定剤を接触させる段階を含む。1種類またはそれ以上の表面安定剤は、フルチカゾンのサイズリダクションの前、間、または後にフルチカゾンと接触させることができる。
【0028】
最後に、本発明は、本発明のフルチカゾン組成物を用いた治療方法に関する。
【0029】
前記の一般的な説明および下記の詳細な説明は両方とも例示および説明のためのものであり、本発明をさらに説明することを目的とする。他の目的、利点、および新規の特徴は、以下の発明の詳細な説明から当業者に容易に明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
本発明は、フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤を含む組成物に関する。組成物中のフルチカゾン粒子は約2000nm未満の有効平均粒径を有し得る。
【0031】
‘684特許に開示されているように、表面安定剤および活性薬剤の全ての組み合わせから、安定したナノ粒子組成物が得られるわけではない。驚くべきことに、安定したナノ粒子フルチカゾン製剤を作製できることが発見された。
【0032】
経口投与、鼻投与、または局所投与用の現行のフルチカゾン製剤には以下の問題がある:(1)薬物の溶解度が低いので、経口投与または鼻投与のために、水に溶解して懸濁液を作製することが必要であるか、または乾燥散剤を作製することが必要である;(2)毎日数回、投薬を繰り返さなければならない;(3)低いバイオアベイラビリティ;および(4)多種多様な副作用が現行のフルチカゾン剤形に関連している。
【0033】
本発明は、先行技術のフルチカゾン製剤が直面している問題を克服している。詳細に述べると、本発明のフルチカゾン組成物は以下の利点もたらし得る:(1)この組成物は、沈殿していることがあるか、または投薬の直前に調製しなければならない懸濁液としてではなく、使いやすいコロイド分散液として処方することができる;(2)この組成物は、容易に再分散する乾燥形態で処方することができる;(3)この組成物は、投薬回数を潜在的に少なくすることができる;(4)従来の微結晶形態または可溶形態のフルチカゾンと比較して、同じ薬理学的効果を得るために必要とされる薬物用量は少なくなることがある;(5)生体接着性フルチカゾン組成物は、鼻腔もしくは肺腔、または皮膚科的適用に望ましい適用部位をコーティングし、ある期間にわたって保持することができ、それによって、薬物の効力を高め、投薬を無くすか、投薬回数を減らすことができる;(6)粒径が非常に小さなナノ粒子フルチカゾン製剤は濾過滅菌することができる;および(7)本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物は有機溶媒もpHの極端な値も必要としない。
【0034】
本発明は、下記および本願全体を通して示される、いくつかの定義を用いて本明細書で説明される。
【0035】
本明細書で使用する「約」は当業者によって理解され、使用される状況においてある程度変化する。この用語が用いられる状況と仮定して、当業者に明らかでないこの用語が用いられり場合、「約」は、この特定の用語の±10%までを意味する。
【0036】
安定した薬物粒子に関して本明細書で使用する「安定した」は、以下のパラメータの1つまたはそれ以上を含むが、これに限定されない:(1)フルチカゾン粒子は、粒子間引力のために容認できないほど凝集もせず、塊にもならないこと、もしくは著しく粒径が経時的に大きくならないこと;(2)フルチカゾン粒子の物理学的構造は(例えば、非晶相から結晶相への変換によって)経時変化しないこと;(3)フルチカゾン粒子は化学的に安定であること;および/または(4)本発明のナノ粒子の調製において、フルチカゾンはフルチカゾンの融点もしくは融点を超えた温度で加熱段階に供されていないこと。
【0037】
「従来の活性薬剤または活性薬物」は、活性薬剤の非ナノ粒子組成物、または可溶化された活性薬剤もしくは活性薬物を意味する。非ナノ粒子活性薬剤の有効平均粒径は約2ミクロンより大きく、これは、活性薬剤粒子の少なくとも50%の大きさが約2ミクロンより大きいことを意味する(本明細書で定義するナノ粒子活性薬剤の有効平均粒径は約2ミクロン未満である)。
【0038】
本明細書で使用する「薬学的に許容される」は、妥当なベネフィット/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは面倒な問題を有さない、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した、適切な医療判断の範囲内の化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味する。
【0039】
本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」は、酸または塩基によって親化合物の塩を作製することによって親化合物が改変された誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例として、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これに限定されない。薬学的に許容される塩として、例えば、無毒の無機酸または有機酸から形成された、親化合物の従来の無毒の塩または第4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の無毒の塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導された塩;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸(hydroxymaleic acid)、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
【0040】
薬物投与量に関して本明細書で使用する「治療有効量」は、薬物がこのような治療を必要とするかなりの数の被検者に投与された時に、特定の薬理学的応答をもたらす投与量を意味するものとする。ある特定の場合において特定の被検者に投与される「治療有効量」は、当業者に「治療有効量」であるとみなされているが、本明細書に記載の疾患の治療において常に効果があるとは限らないことが強調される。薬物投与量は、特定の場合において、経口投与量として測定されるか、または血中で測定される薬物濃度に関するものであることがさらに理解されるべきである。
【0041】
A.本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物の好ましい特徴
1.本発明のフルチカゾン組成物によってもたらされる用量および投薬回数の減少
鼻または呼吸器の疾患の治療に用いられる従来のフルチカゾン製剤は、一般的に、一日2回、1回吸入されるか(ADVAIR(登録商標)DISKUS(登録商標)、FLOVENT(登録商標)、FLOVENT(登録商標)DISKUS(登録商標)、およびFLOVENT(登録商標)ROTADISK(登録商標)の場合、全三種類の強さがある)、必要に応じて定期的に投与されるか(FLONASE(登録商標))、またはCULTIVATE(登録商標)のクリームもしくは軟膏を一日1回または2回薄く塗ることによって投与される。Physicians'Desk Reference, 57th Edition,pp.1438,1497,1499,1522,1525,1528,and 1532(2003)を参照のこと。
【0042】
対照的に、本発明のフルチカゾン組成物は、現在販売されているフルチカゾン形態より少ない回数および少ない用量で投与することができる。従来のフルチカゾン剤形と比較して、フルチカゾン粒子の粒径が小さいので大きな吸収が確実に行われ、生体接着性ナノ粒子フルチカゾン組成物の場合、フルチカゾンが望ましい適用部位に長期間保持され、それによって剤形の有効性が高まるので、少ない投与量を使用することができる。
【0043】
2.生体接着性フルチカゾン組成物
本発明はまた、経口適用、鼻適用、または局所適用のための生体接着性フルチカゾン製剤に関する。本発明の生体接着性製剤は、主に、皮膚適用、経口適用(肺適用を含む)、および鼻適用に有用である。生体接着性ナノ粒子組成物は、米国特許第6,428,814号「Bioadhesive Nanoparticulate Compositions Having Cationic Surface Stabilizers」において初めて述べられた。
【0044】
生体接着性フルチカゾン組成物は、フルチカゾン粒子および少なくとも1種類のカチオン性表面安定剤を含む。フルチカゾン粒子は、約2ミクロン未満の有効平均粒径を有することができる。この組成物はまた1種類またはそれ以上の第2の表面安定剤を含んでもよく、この第2の表面安定剤は非カチオン性でもよい。
【0045】
生体接着性フルチカゾン製剤は、生物学的表面(例えば、毛、粘膜、皮膚など)に対して並外れた生体接着性を示す。用語「生体接着性」は、2種類の生物学的表面の間の、または生物学的表面と合成表面との間の任意の引力相互作用を意味する。本発明の生体接着性フルチカゾン組成物の場合、用語「生体接着性」は、フルチカゾン組成物と生物学的支持層(すなわち、胃腸ムチン、肺組織、鼻粘膜、皮膚など)との接着を述べるために用いられる。この生体接着現象を担い得る基本的に2つの機構:機械的または物理的な相互作用および化学的相互作用がある。これらのうちの第1の機構である機械的または物理的な相互作用は、生体接着性表面の良好な湿潤、生体接着性ポリマーの膨張、組織表面の隙間への生体接着性実体の浸透、または生体接着性組成物鎖と粘膜または他のこのような関連組織との相互貫通に起因する、生体接着性実体と受容組織との物理的な連結または相互貫通を伴う。可能性のある第2の生体接着機構である化学的機構は、強力な第1の結合(すなわち、共有結合)ならびにより弱い第2の力(例えば、イオン性引力、ファンデアワールス相互作用、および水素結合)を伴う。この化学型の生体接着が、本明細書に記載のフルチカゾン組成物の生体接着性を主に担っていると考えられる。しかしながら、このようなフルチカゾン組成物の生体接着性において、物理的および機械的な相互作用も二次的な役割を果たしている可能性がある。
【0046】
生物学的表面の性質のために、本発明のカチオン性表面安定剤は生体接着性製剤をもたらす。驚くべきことに、米国特許第6,428,814号に記載のように、活性薬剤の粒径が大きくなるにつれて、カチオン性表面安定剤を含むナノ粒子活性薬剤組成物の生体接着性は減少する。
【0047】
生体接着性フルチカゾン組成物は、組成物を生物学的表面に適用することが望ましい、どのような状況でも有用である。本発明の生体接着性フルチカゾン組成物は、標的の表面を、裸眼には見えない連続した均一な膜の形でコーティングする。
【0048】
本発明の組成物により示される接着は、フルチカゾン粒子が、長期間、生物学的表面から簡単に洗い落とされず、ふき取られず、または他の方法で取り除かれないことを意味する。生物学的細胞表面が取り替えられる期間が、生物学的表面への生体接着性フルチカゾン粒子の定着を制限する要因である。例えば、皮膚細胞は24〜48時間ごとに取り替えられる。従って、フルチカゾン組成物は、48時間ごとに皮膚に再適用しなければならないだろう。粘液細胞はほぼ5〜6時間ごとに脱落し、取り替えられる。他の生物学的表面(例えば、キチン、毛、歯、および骨)は定期的に細胞を脱落せず、従って、繰り返し適用する必要はないかもしれない。
【0049】
有用なカチオン性表面安定剤の例として、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギン酸塩、リン脂質、および非重合化合物(例えば、双性イオン性安定剤、ポリ-n-メチルピリジニウム、アントリルピリジニウムクロリド、カチオン性リン脂質、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート、1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)2000](ナトリウム塩)(DPPE-PEG(2000)-アミンNaとしても知られる)(アバンティポーラーリピッド(Avanti Polar Lipids),Alabaster,Al)、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(ポリサイエンシーズ(Polysciences,Inc.),Warrington,PA)(S1001としても知られる)、ポロキサミン(poloxamine)(例えば、Tetronic 908(登録商標)、Poloxamine 908(登録商標)としても知られ、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの連続添加によって得られる四官能性ブロック共重合体である)(BASFウァインドットコーポレーション(BASF Wyandotte Corporation),Parsippany,N.J.)、リゾチーム、長鎖ポリマー(例えば、アルギン酸)、カラゲナン(FMC Corp.)、ならびにポリオックス(POLYOX)(ダウ(Dow),Midland,MI))が挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
他の有用なカチオン性安定剤として、カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、第4級アンモニウム化合物(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒロドキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはC12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリドまたはラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル-トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲナイド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT 336(商標))、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(例えば、脂肪酸のコリンエステル)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(例えば、ステアリルトリモニウムクロリドおよびジステアリルジモニウムクロリド)、臭化セチルピリジニウムまたは塩化セチルピリジニウム、4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(商標)およびALKAQUAT(商標)(アルカリルケミカルカンパニー(Alkaril Chemical Company))、アルキルピリジニウム塩;アミン(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、およびビニルピリジン)、アミン塩(例えば、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩)、ならびにアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化第4級アクリルアミド;メチル化第4級ポリマー(例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]およびポリ-[N-メチルビニルピリジニウムクロリド]);ならびにカチオン性ガー)が挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
このような例示的なカチオン性表面安定剤および他の有用なカチオン性表面安定剤は、J.Cross and E.Singer,Cationic Surfactants:Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker,1994);P.and D.Rubingh(Editor),Cationic Surfactants:Physical Chemistry(Marcel Dekker,1991);およびJ.Richmond,Cationic Surfactants:Organic Chemistry,(Marcel Dekker,1990)で述べられている。
【0052】
非重合性カチオン性表面安定剤は、任意の非重合化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン性有機金属化合物、第4級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物、第2級アンモニウム化合物、第3級アンモニウム化合物、および式NR1R2R3R4(+)の第4級アンモニウム化合物)である。式NR1R2R3R4(+)の化合物については、以下の通りである:
(i)R1-R4はどれもCH3でない;
(ii)R1-R4のうちの1つはCH3である;
(iii)R1-R4のうちの3つはCH3である;
(iv)R1-R4は全てCH3である;
(v)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つはC6H5CH2であり、R1-R4のうちの1つは7個以下の炭素原子からなるアルキル鎖である;
(vi)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つはC6H5CH2であり、R1-R4のうちの1つは19個以上の炭素原子からなるアルキル鎖である;
(vii)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つは基C6H5(CH2)n(n>1)である;
(viii)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つはC6H5CH2であり、R1-R4のうちの1つは少なくとも1個のヘテロ原子を含む;
(ix)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つはC6H5CH2であり、R1-R4のうちの1つは少なくとも1個のハロゲンを含む;
(x)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つはC6H5CH2であり、R1-R4のうちの1つは少なくとも1個の環式断片を含む;
(xi)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの1つはフェニル環である;または
(xii)R1-R4のうちの2つはCH3であり、R1-R4のうちの2つは純粋に脂肪族の断片である。
【0053】
このような化合物として、塩化ベヘンアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、セチルアミンヒドロフルオリド、塩化クロロアリルメテナミン(クオタニウム(Quaternium)-15)、塩化ジステアリルジモニウム(クオタニウム-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(クオタニウム-14)、クオタニウム-22、クオタニウム-26、クオタニウム-18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリドヒドロクロリド、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレイルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、タローアルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミンジヒドロクロリド、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、塩酸イオフェタミン、塩酸メグルミン、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミルトリモニウム、塩化オレイルトリモニウム、ポリクオタニウム(polyquaternium)-1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、タロートリモニウムクロリド、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
これらの表面安定剤の大部分は既知の薬学的薬学的賦形剤であり、The American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって共同出版され、参照として詳細に組み入れられる、Handbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press,2000)で詳細に述べられている。
【0055】
3.濾過滅菌可能なナノ粒子フルチカゾン組成物
本発明によれば、濾過滅菌されたフルチカゾン組成物は、(1)有効平均粒径が約200nm未満のフルチカゾン粒子、および(2)少なくとも1種類の表面安定剤を含んでもよい。2種類以上の表面安定剤が併用されてもよい。
【0056】
本発明の他の態様において、濾過滅菌可能なナノ粒子フルチカゾン組成物の有効平均粒径は、約140nm未満、約130nm未満、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60mn未満、または約50nm未満である。組成物はこのような小さい有効平均粒径を有するので、容易に濾過滅菌することができる。
【0057】
本発明の好ましい態様において、フルチカゾン粒子の少なくとも約99.9%の有効平均粒径は200nm未満であるか(D99)、またはフルチカゾン粒子の少なくとも約90%の有効平均粒径は130nm未満である(D90)。
【0058】
膜フィルター孔径が約0.2ミクロン(200nm)未満またはそれに等しい時、0.2ミクロンフィルターは本質的に全ての細菌を除去するのに十分であるので、濾過は費用対効果が非常に高い均質溶液滅菌法である。ある特定の化合物は他の方法(例えば、加熱またはγ線照射)では滅菌できないという点で、濾過滅菌は費用対効果が高いことに加えて他の利点を有する。
【0059】
ミクロンサイズの薬物粒子の従来の懸濁液を滅菌するために、通常、濾過滅菌は用いられない。なぜなら、薬物粒子が大きすぎて膜の孔を通過できないからである。原則的に、0.2μm濾過は、ナノ粒子活性薬剤組成物を滅菌するのに使用することができる。しかしながら、ナノ粒子活性薬剤組成物は粒径範囲を有するので、平均粒径200nmの一般的なナノ粒子活性薬剤組成物の粒子の多くは大きさが200nmを超えることがある。このような大きな粒子は滅菌フィルターを詰まらせる傾向がある。従って、平均粒径が非常に小さなナノ粒子活性薬剤組成物だけしか濾過滅菌することができない。
【0060】
最近、米国食品医薬品局は、水性の経口吸入製品を滅菌することを求める指針を出した。これは、ナノ粒子薬物のエアロゾル製剤にとって問題となる。なぜなら、このような製剤を加熱滅菌すると結晶が成長し、粒子が凝集する可能性があり、濾過滅菌は小さな組成物粒径を必要とするので困難な場合があるからである。
【0061】
経口投与と比較して、コルチコステロイドの吸入による投与は全身副作用のリスクを下げるので好ましい。副作用のリスクの低下は、この投与方法に起因する。なぜなら、コルチコステロイドが局所に強く働き、全身には弱くしか働かず、それによって、脳下垂体副腎軸、皮膚、および眼に対する影響が最小限になるからである。吸入療法に関連した副作用は、主に、口腔咽頭カンジダ症および発声障害(咽頭筋肉の萎縮による)である。経口コルチコステロイドは、薄い皮膚を有する真皮の萎縮、線条、および斑状出血を引き起こすが、吸入コルチコステロイドは気道において同様の変化を引き起こさない。
【0062】
経口投与を上回る吸入投与の他の利点として、一般的により予測可能な投与をもたらす、気道へのステロイドの直接沈着が挙げられる。適切な管理に必要とされる経口用量は実質的に変化するが、吸入コルチコステロイドは、通常、狭い範囲内で有効である。しかしながら、吸入コルチコステロイドの有効性に影響を及ぼす多くの要因がある:気道炎症の程度、肺代謝の程度、吸い込まれる薬物の量および胃腸管で代謝される薬物の量、医薬剤の放出と吸息の調子を合わせる患者の能力、コルチコステロイドのタイプ、ならびに送達システム。
【0063】
免疫無防備状態の患者、乳幼児または小児の患者、および老人が非滅菌フルチカゾン剤形によって引き起こされる感染症に最もかかりやすいので、滅菌された吸入フルチカゾン剤形はこれらの患者群の治療に特に有用である。
【0064】
4.低粘度液体剤形
従来の微結晶性または非ナノ粒子フルチカゾン組成物の液体剤形は、比較的大きな体積で、高粘度の物質であると考えられ、患者集団にあまり受け入れられていなかった。さらに、粘度のある溶液はゆっくりとした注射器の押し出しを必要とし、チューブにくっつく可能性があるので、非経口投与およびエアロゾル投与において問題となる場合がある。さらに、水溶性の低い活性薬剤(例えば、フルチカゾン)の従来の製剤は、主に、水溶性の高い物質と用いられる静脈内投与法には安全でない傾向がある。
【0065】
本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物の液体剤形は、従来のフルチカゾン微結晶性化合物の液体剤形を上回る大きな利点をもたらす。本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物の液体剤形の低い粘度および滑らかな質感は、調製および使用の両方で利点をもたらす。これらの利点として、例えば、(1)摂取および消化が簡単な低粘度の製剤という認識のために被検者のコンプライアンスが良好であること;(2)カップまたは注射器を使用できるので調剤が簡単であること;(3)高濃度のフルチカゾンを処方し得るので、投与体積を少なくできること、従って、被検者が摂取する体積を少なくできること;および(4)全処方問題が簡単であることが挙げられる。
【0066】
摂取が簡単な液体フルチカゾン剤形は、小児患者、末期患者、および老人患者を考慮に入れる時に特に重要である。これらの患者集団による、粘度のある、またはざらついた製剤、および比較的大きな投与体積を必要とする製剤の認容性は高くない。液体経口剤形は、錠剤を摂取することが難しい患者集団(例えば、乳幼児および老人)にとって特に好ましい場合がある。
【0067】
本発明によるナノ粒子フルチカゾンの液体剤形の粘度は、好ましくは、ほぼ同じ1ml当たりのフルチカゾン濃度の従来の非ナノ粒子フルチカゾン組成物の液体経口剤形の約1/200未満、約1/175未満、約1/150未満、約1/125未満、約1/100未満、約1/75未満、約1/50未満、または約1/25未満である。
【0068】
一般的に、本発明の液体ナノ粒子フルチカゾン剤形の粘度は、0.1(1/s)の剪断速度で、約2000mPa・s〜約1mPa・s、約1900mPa・s〜約1mPa・s、約1800mPa・s〜約1mPa・s、約1700mPa・s〜約1mPa・s、約1600mPa・s〜約1mPa・s、約1500mPa・s〜約1mPa・s、約1400mPa・s〜約1mPa・s、約1300mPa・s〜約1mPa・s、約1200mPa・s〜約1mPa・s、約1100mPa・s〜約1mPa・s、約1000mPa・s〜約1mPa・s、約900mPa・s〜約1mPa・s、約800mPa・s〜約1mPa・s、約700mPa・s〜約1mPa・s、約600mPa・s〜約1mPa・s、約500mPa・s〜約1mPa・s、約400mPa・s〜約1mPa・s、約300mPa・s〜約1mPa・s、約200mPa・s〜約1mPa・s、約175mPa・s〜約1mPa・s、約150mPa・s〜約1mPa・s、約125mPa・s〜約1mPa・s、約100mPa・s〜約1mPa・s、約75mPa・s〜約1mPa・s、約50mPa・s〜約1mPa・s、約25mPa・s〜約1mPa・s、約15mPa・s〜約1mPa・s、約10mPa・s〜約1mPa・s、または約5mPa・s〜約1mPa・sである。このような粘度は被検者の摂取にとって非常に魅力的であり、良好な被検者の全コンプライアンスにつながる可能性がある。
【0069】
粘度は濃度および温度に依存する。一般的に、濃度が高くなると粘度が高くなるのに対して、温度が高くなると粘度は低くなる。前記で定義された粘度は、約20℃で測定された測定値を意味する(20℃での水の粘度は1mPa・sである)。本発明は異なる温度で測定された等価な粘度を含む。
【0070】
本発明の別の重要な局面は、本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物は濁っていないことである。本明細書で使用する「濁っている」は、裸眼で見ることができる、または「ざらついている」と感じることができる粒子状物質の特性を意味する。本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物は、水と同じくらい簡単に容器から注ぎ出すことができるか、または取り出すことができるが、非ナノ粒子フルチカゾンまたは可溶化フルチカゾンの液体剤形は、特に「非常にゆっくりと流れる」特徴を示すと考えられる。
【0071】
本発明の液体製剤は、投与のために任意の体積で処方することができるが、好ましくは、従来の非ナノ粒子フルチカゾン組成物の液体剤形に等しい体積、またはそれより少ない体積で処方することができる。
【0072】
5.本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物の固形剤形の再分散特性
本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物の固形剤形(例えば、乾燥粉末エアロゾル)のさらなる特徴は、再分散されたフルチカゾン粒子の有効平均粒径が約2ミクロン未満になるように、この剤形が再分散することである。投与の際に、本発明の組成物に存在するナノ粒子フルチカゾン粒子が実質的にナノ粒子の粒径に再分散しなければ、ナノ粒子粒径へのフルチカゾンの処方によって得られる利益を、この剤形が失う可能性があるので、このことは重要である。
【0073】
これは、ナノ粒子フルチカゾン組成物が小さな粒径のフルチカゾンから利益を得る理由である。投与の際に、ナノ粒子フルチカゾン粒子が小さな粒径に再分散しなければ、「凝集塊」または凝集したフルチカゾン粒子が形成される。このような凝集した粒子の形成と共に、剤形のバイオアベイラビリティは低下することがある。
【0074】
さらに、本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物の固形剤形は、生体関連水性媒体への再構成によって証明されるように、ヒトなどの哺乳動物または動物への投与の際にナノ粒子フルチカゾン粒子の著しい再分散を示す。このような生体関連水性媒体は、この媒体の生体関連性の基礎となる望ましいイオン強度およびpHを示す任意の水性媒体でよい。望ましいpHおよびイオン強度は、ヒト身体で見られる生理状態を代表するpHおよびイオン強度である。このような生体関連水性媒体は、例えば、望ましいpHおよびイオン強度を示す、電解質水溶液でもよく、任意の塩、酸、もしくは塩基の水溶液でもよく、その組み合わせでもよい。
【0075】
生体関連pHは当技術分野において周知である。例えば、胃では、pHは2よりわずかに低い(一般的に、1より大きいpH)から4または5まで及ぶ。小腸では、pHは4〜6の場合があり、結腸では6〜8の場合がある。生体関連水性イオン強度も当技術分野において周知である。絶食状態の胃液のイオン強度は約0.1Mであるのに対して、絶食状態の腸液のイオン強度は約0.14である。例えば、Lindahl et al.,「Characterization of Fluids from the Stomach and Proximal Jejunum in Men and Women」Pharm.Res.,14(4):497-502(1997)を参照のこと。
【0076】
試験溶液のpHおよびイオン強度は特定の化学内容物より重要であると考えられている。従って、適切なpHおよびイオン強度の値は、強酸、強塩基、塩、1種類または複数の種類の共役酸-塩基対(すなわち、弱酸およびその酸の対応する塩)、単価電解質(monoprotic electrolyte)および多価電解質(polyprotic electrolyte)などの非常に多くの組み合わせによって得ることができる。
【0077】
代表的な電解質溶液は、HCl溶液(約0.001M〜約0.1Mの濃度にわたる)、およびNaCl溶液(約0.001M〜約0.1Mの濃度にわたる)、およびその混合物でもよいが、これに限定されない。例えば、電解質溶液は、約0.1M以下のHCl、約0.01M以下のHCl、約0.001M以下のHCl、約0.1M以下のNaCl、約0.01M以下のNaCl、約0.001M以下のNaCl、およびその混合物でもよいが、これに限定されない。これらの電解質溶液のうち、近位胃腸管のpH条件およびイオン強度条件のために、0.01M HClおよび/または0.1M NaClがヒトの絶食生理状態を最も代表する。
【0078】
0.001M HCl、0.01M HCl、および0.1M HClの電解質濃度は、それぞれ、pH3、pH2、およびpH1に相当する。従って、0.01M HCl溶液は、胃の中で見られる代表的な酸性条件を模倣する。0.1M NaCl溶液を使用すると、胃腸液を含む体全体にわたって見られるイオン強度条件に相当近づけることができるが、ヒトGI管の中の摂食条件を模倣するために0.1Mより高い濃度を使用することがある。
【0079】
望ましいpHおよびイオン強度を示す、塩、酸、塩基、またはその組み合わせの例示的な溶液として、リン酸/リン酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウム塩、酢酸/酢酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウム塩、炭酸/重炭酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウム塩、ならびにクエン酸/クエン酸塩+塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウム塩が挙げられるが、これに限定されない。
【0080】
本発明の他の態様において、(水性媒体、生体関連媒体、または他の任意の適切な媒体に再分散された)本発明の再分散フルチカゾン粒子の有効平均粒径は、光散乱法、顕微鏡法、または他の適切な方法によって測定されるように、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150mn未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満である。
【0081】
再分散性は、当技術分野において周知の任意の適切な手段を用いて試験することができる。例えば、米国特許第6,375,986号「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」の実施例の項を参照のこと。
【0082】
6.組み合わせ活性薬剤組成物
本発明は、1種類もしくはそれ以上の非フルチカゾン活性薬剤を用いて処方された、または1種類もしくはそれ以上の非フルチカゾン活性薬剤と同時投与される、本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物を含む。非フルチカゾン活性薬剤は、従来の薬剤(可溶化薬剤もしくはマイクロ粒子薬剤)またはナノ粒子薬剤である。このような組み合わせ組成物を使用する方法も本発明に含まれる。非フルチカゾン活性薬剤は、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、またはその混合物の状態で存在してもよい。
【0083】
本発明のナノ粒子フルチカゾン組成物と組み合わせて投与しようとする化合物は、ナノ粒子フルチカゾン組成物とは別個に処方されてもよく、ナノ粒子フルチカゾン組成物と同時に処方されてもよい。ナノ粒子フルチカゾン組成物が第2の活性薬剤と同時に処方される場合、第2の活性薬剤は任意の適切なやり方(例えば、即時放出型、急速開始型、徐放型、または二重放出型)で処方することができる。
【0084】
非フルチカゾン活性薬剤がナノ粒子の粒径(すなわち、約2ミクロン未満の粒径)を有すれば、好ましくは、1種類またはそれ以上の表面安定剤が活性薬剤の表面に結合するだろう。さらに、活性薬剤がナノ粒子の粒径を有すれば、好ましくは、少なくとも1種類の液体分散媒体への溶解度が低く、液体分散媒体に分散する。「溶解度が低い」は、液体分散媒体への活性薬剤の溶解度が約30mg/mL未満、約20mg/mL未満、約10mg/mL未満、または約1mg/mL未満であることを意味する。有用な液体分散媒体として、水、塩水溶液、ベニバナ油、ならびに溶媒(例えば、エタノール、t-ブタノール、ヘキサン、およびグリコール)が挙げられるが、これに限定されない。
【0085】
このような非フルチカゾン活性薬剤は、例えば、治療剤でもよい。治療剤は、生物学的製剤を含む医薬剤でもよい。活性薬剤は、例えば、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、抗肥満薬、中枢神経系興奮薬、カロテノイド、コルチコステロイド、エラスターゼ阻害剤、抗真菌薬、腫瘍学的療法、制吐薬、鎮痛薬、心血管薬、抗炎症性薬(例えば、NSAIDsおよびCOX-2阻害剤)、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリンを含む)、抗凝血薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン様作用薬、抗ミコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静薬(睡眠薬および神経遮断薬)、収斂薬、αアドレナリン作動性受容体遮断薬、βアドレナリン作動性受容体遮断薬、血液製剤および代替品、強心薬、造影剤、コルチコステロイド、咳止め(去痰薬および粘液溶解薬)、診断剤、診断用イメージング剤、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫学的薬剤、脂質調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経作用薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート(biphosphonate)、プロスタグランジン、放射性薬品、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー薬、興奮薬および食欲抑制薬、交感神経作用薬、甲状腺薬、血管拡張薬、ならびにキサンチンを含む様々な既知の種類の薬物から選択することができる。
【0086】
これらの種類の活性薬剤の説明および各種類の中の化学種の一覧は、参照として詳細に組み入れられる、Martindale's The Extra Pharmacopoeia,31st Edition(The Parmaceutical Press,London,1996)に記載されている。活性薬剤は市販されている、および/または当技術分野において周知の技法によって調製することができる。
【0087】
例示的な栄養補助食品およびサプリメントは、例えば、参照として詳細に組み入れられる、Roberts et al.,Nutraceuticals:The Complete Encyclopedia of Supplements,Herbs,Vitamines, and Healing Foods(American Nutraceutical Association,2001)に開示されている。サプリメントおよび栄養補助食品はまた、Physicians' Desk Reference for Nutritional Supplements,1st Ed.(2001)およびThe Physicians' Desk Reference for Herbal Medicines,1st Ed.(2001)でも開示され、両方とも参照として詳細に組み入れられる。栄養補助食品およびサプリメントはフィトケミカルまたは機能性食品としても知られ、一般的に、サプリメント、ビタミン、ミネラル、ハーブ、または身体に対して医学的または薬学的な効果があるヒーリングフード(healing food)の任意の1つである。
【0088】
例示的な栄養補助食品またはサプリメントとして、ルテイン、葉酸、脂肪酸(例えば、DHAおよびARA)、果物および野菜の抽出物、ビタミンおよびミネラルのサプリメント、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ(Aloe Vera)、ググル(Guggul)、グルタミン、アミノ酸(例えば、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、およびバリン)、緑茶、リコペン、ホールフード(wholefood)、食品添加剤、ハーブ、植物由来栄養素(phytonutrient)、抗酸化物質、果物のフラボノイド成分、マツヨイグサ油、アマニ、魚および海洋動物の油、ならびにプロバイオティクスが挙げられるが、これに限定されない。栄養補助食品およびサプリメントはまた、望ましい特性を有するように遺伝子操作されたバイオ食品(「ファーマフード(pharmafood)」としても知られる)を含む。
【0089】
B.フルチカゾン組成物
本発明は、フルチカゾン粒子および少なくとも1種類の表面安定剤を含む組成物を提供する。表面安定剤はフルチカゾン粒子の表面に吸着または結合する。本明細書において有用な表面安定剤はフルチカゾン粒子ともそれ自身とも化学反応しない。一つ一つ吸着された表面安定剤分子には分子間結合が本質的に無い。組成物は2種類以上の表面安定剤を含んでもよい。
【0090】
本発明はまた、フルチカゾン組成物と、1種類またはそれ以上の無毒の生理学的に許容される担体、補助剤、またはビヒクル(総称して担体と呼ぶ)を含む。
【0091】
フルチカゾン組成物は、非経口注射(例えば、静脈内注射、筋肉内注射、または皮下注射)、経口投与(固形、液体、またはエアロゾル(すなわち、肺投与)の形をしている)、膣投与、鼻投与、直腸投与、眼投与、局部投与(散剤、クリーム、軟膏、またはドロップ)、頬投与、槽内投与、腹腔内投与、局所投与などのために処方することができる。本発明の例示的なフルチカゾン剤形として、液体分散液、ゲル、散剤、スプレー、再分散可能な固形剤形、軟膏、クリーム、エアロゾル(肺投与および鼻投与)、固形剤形などが挙げられるが、これに限定されない。
【0092】
1.フルチカゾン粒子
本明細書で使用する用語「フルチカゾン」は、合成三フッ化コルチコステロイド(化学名S-フルオロメチル-6α,9-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソアンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオエート,17-プロピオネート)、ならびにその塩および誘導体を意味する。本明細書で使用する「フルチカゾン」は、プロピオン酸フルチカゾンならびに他の形態のフルチカゾンを含む。
【0093】
プロピオン酸フルチカゾンは、実験式C25H31F3O5Sおよび分子量500.6の白色から白色に近い色の粉末である。プロピオン酸フルチカゾンは水にほとんど溶けず、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドに大量に溶解し、メタノールおよび95%エタノールにわずかに溶ける。
【0094】
本発明のフルチカゾンは、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、またはその混合物の状態でもよい。
【0095】
プロピオン酸フルチカゾンは強力な抗炎症活性を有し、炎症性または閉塞性の気道障害の治療に特に有用である。他の局所コルチコステロイドと同様に、プロピオン酸フルチカゾンには抗炎症性、止痒性、および血管収縮性がある。
【0096】
2.表面安定剤
フルチカゾン用の表面安定剤の選択は重要であり、望ましい製剤を実現するために大規模な実験が必要とされる。
【0097】
1種類を超える表面安定剤の組み合わせを本発明において使用することができる。発明において使用することができる有用な表面安定剤として、既知の有機および無機の薬学的賦形剤(例えば、イオン性、非イオン性、アニオン性、および双性イオン性界面活性剤)が挙げられるが、これに限定されない。このような賦形剤として、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然生成物、および界面活性剤が挙げられる。好ましい表面安定剤として、チロキサポールなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0098】
結果として得られる組成物に生体接着性を付与する1種類またはそれ以上のカチオン性表面安定剤を選択することによって、望ましい投与方法に応じて、生体接着性フルチカゾン製剤を調製することができる。有用なカチオン性表面安定剤は前記に記載されている。
【0099】
他の有用な表面安定剤の代表例として、ヒプロメロース(以前はヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはHPMCとして知られていた)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸塩、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販されているTween(登録商標)(例えば、Tween 20(登録商標)およびTween 80(登録商標)(ICIスペシャルティケミカルズ(ICI Speciality Chemicals)));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 3550(登録商標)およびCarbowax 934(登録商標)(ユニオンカルバイド(Union Carbide)))、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン(superione)、およびトライトン(triton)としても知られる)、ポロキサマー(例えば、Pluronic F68(登録商標)およびPluronic F108(登録商標)(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体));ポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、Poloxamine 908(登録商標)としても知られ、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの連続添加によって得られる四官能性ブロック共重合体である)(BASFウァインドットコーポレーション,Parsippany,N.J.);Tetronic 1508(登録商標)(T-1508)(BASFウァインドットコーポレーション)、Triton X-200(登録商標)(スルホン酸アルキルアリールポリエーテル)(ロームアンドハース(Rohm and Haas));Crodesta F-110(登録商標)(ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物)(コルダ(Croda Inc.));p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)(Olin-10G(登録商標)またはSurfactant 10-G(登録商標)(オリンケミカルズ(Olin Chemicals),Stamford,CT)としても知られる);Crodesta SL-40(登録商標)(コルダ);ならびにSA9OHCO(C18H37CH2(CON(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2)(イーストマンコダック(Eastman Kodak Co.));デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;PEG誘導体化リン脂質、PEG誘導体化コレステロール、PEG誘導体化コレステロール誘導体、PEG誘導体化ビタミンA、PEG誘導体化ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダム共重合体などが挙げられる。
【0100】
本明細書に記載の表面安定剤は市販されている、および/または当技術分野において周知の技法によって調製することができる。表面安定剤の大部分は、The American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって共同出版され、参照として詳細に組み入れられる、Handbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press,2000)で詳細に述べられている。
【0101】
3.他の薬学的賦形剤
本発明による薬学的組成物はまた、1種類またはそれ以上の結合剤、増量剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、着香剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤を含んでもよい。このような賦形剤は当技術分野において周知である。
【0102】
増量剤の例は、ラクトース一水和物、無水ラクトース、および様々なデンプンであり、結合剤の例は、様々なセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102)、結晶セルロース、ならびにケイ化結晶セルロース(ProSolv SMCC(商標))である。
【0103】
適切な潤滑剤(圧縮しようとする粉末の流動性に作用する薬剤を含む)は、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosile(登録商標)200)、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルである。
【0104】
甘味料の例は、任意の天然甘味料または人工甘味料(例えば、スクロース、キシリトール、ナトリウムサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、およびアクサルファーム(acsulfame)である。着香剤の例は、Magnasweet(登録商標)(マフコ(MAFCO)の商標)、風船ガムフレーバー、および果実フレーバーなどである。
【0105】
防腐剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル(例えば、ブチルパラベン)、アルコール(例えば、エチルアルコールもしくはベンジルアルコール)、フェノール化合物(例えば、フェノール)、または第4級化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム)である。
【0106】
適切な希釈剤として、薬学的に許容される不活性の増量剤(例えば、結晶セルロース、ラクトース、第二リン酸カルシウム、糖類、および/または前述のいずれかの混合物)が挙げられる。希釈剤の例として、結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102);ラクトース(例えば、ラクトース一水和物、無水ラクトース、およびPharmatose (登録商標)DCL21;第二リン酸カルシウム(例えば、Emcompress(登録商標));マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;ならびにグルコースが挙げられる。
【0107】
適切な崩壊剤として、低架橋ポリビニルピロリドン、コーンスターチ、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、および修飾デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ならびにその混合物が挙げられる。
【0108】
発泡剤の例は、有機酸と炭酸塩または重炭酸塩などの発泡対である。適切な有機酸として、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、およびアルギン酸、ならびに無水物および酸の塩が挙げられる。適切な炭酸塩および重炭酸塩として、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウムグリシン、炭酸L-リジン、および炭酸アルギニンが挙げられる。または、発泡対の重炭酸ナトリウム成分のみが存在してもよい。
【0109】
4.フルチカゾン粒径
発明の組成物は、光散乱法、顕微鏡法、または他の適切な方法によって測定されるように、好ましくは、約2000nm(すなわち、2ミクロン)未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500mn未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100mn未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400mn未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150mn未満、約140nm未満、約130nm未満、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、または約50nm未満の有効平均粒径を有するフルチカゾン粒子を含む。
【0110】
ナノ粒子フルチカゾン組成物が1種類またはそれ以上の非フルチカゾンナノ粒子活性薬剤をさらに含む場合、このような活性薬剤の有効平均粒径は約2000nm(すなわち、2ミクロン)未満である。本発明の他の態様において、ナノ粒子非フルチカゾン活性薬剤の有効平均粒径は、前記の技法によって測定されるように、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500mn未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100mn未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400mn未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150mn未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満でもよい。
【0111】
「約2000nm未満の有効平均粒径」とは、前記の技法によって測定された時、ナノ粒子フルチカゾン粒子またはナノ粒子非フルチカゾン活性薬剤粒子の少なくとも50%の粒径が約2000nm未満であることを意味する。本発明の他の態様において、ナノ粒子フルチカゾン粒子またはナノ粒子非フルチカゾン活性薬剤粒子の少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも約99.9重量%の粒径は有効平均未満(すなわち、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満など)である。
【0112】
ナノ粒子フルチカゾン組成物が、従来のまたはマイクロ粒子状のフルチカゾン組成物または非フルチカゾン活性薬剤組成物と組み合わされる場合、このような組成物は可溶化されるか、または約2ミクロンを超える有効平均粒径を有する。「約2ミクロンを超える有効平均粒径」とは、前記の技法によって測定された時、従来のフルチカゾン粒子または従来の非フルチカゾン活性薬剤粒子の少なくとも50重量%の粒径が約2ミクロンを超えることを意味する。本発明の他の態様において、従来のフルチカゾン粒子または従来の非フルチカゾン活性薬剤粒子の少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも約99.9重量%の粒径が約2ミクロンを超えることを意味する。
【0113】
本発明において、ナノ粒子フルチカゾン組成物のD50の値は、フルチカゾン粒子の50重量%がこの値未満の粒径であることを示す。同様に、D90は、フルチカゾン粒子の90重量%がこの値未満の粒径であることを示す。
【0114】
5.フルチカゾンおよび表面安定剤の濃度
フルチカゾンおよび1種類またはそれ以上の表面安定剤の相対量は大きなばらつきがあることがある。個々の成分の最適量は、例えば、親水性親油性バランス(HLB)、融点、および表面安定剤の水溶液の表面張力などに左右されることがある。
【0115】
フルチカゾン濃度は、フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量(他の賦形剤は含まない)に基づいて、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、または約90重量%〜約0.5重量%と変化することがある。
【0116】
少なくとも1種類の表面安定剤の濃度は、フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量(他の賦形剤は含まない)に基づいて、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、または約10重量%〜約99.5重量%と変化することがある。
【0117】
B.ナノ粒子フルチカゾン製剤を作製する方法
本発明のフルチカゾン組成物は、例えば、粉砕、均質化、沈殿の技法を用いて作製することができる。ナノ粒子組成物を作製する例示的な方法は‘684特許で述べられている。ナノ粒子組成物を作製する方法は、

でも述べられている。これらは全て参照として詳細に組み入れられる。
【0118】
結果として得られたナノ粒子フルチカゾン組成物は、固形、半固形、または液体剤形製剤(例えば、徐放製剤、固形剤形の急速融解製剤、エアロゾル製剤、鼻用製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、固形トローチ剤、散剤、クリーム、軟膏など)で使用することができる。
【0119】
1.ナノ粒子フルチカゾン分散液を得るための粉砕
ナノ粒子フルチカゾン分散液を得るためのフルチカゾンの粉砕は、フルチカゾンの溶解度が低い液体分散媒体にフルチカゾン粒子を分散させ、その後に、フルチカゾン粒径を望ましい有効平均粒径まで小さくするために、粉砕媒体(好ましくは、大きさが約500マイクロメートル未満)の存在下で機械的手段を適用する段階を含む。分散媒体は、フルチカゾンの溶解度が低い任意の媒体(例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t-ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、またはグリコール)でよい。水が好ましい分散媒体である。
【0120】
フルチカゾン粒子の大きさは、少なくとも1種類の表面安定剤の存在下で小さくすることができる。または、摩擦の後に、フルチカゾン粒子と1種類またはそれ以上の表面安定剤を接触させることができる。サイズリダクションプロセスの間に、希釈剤などの他の化合物をフルチカゾン/表面安定剤組成物に添加することができる。分散液は連続して製造されてもよく、またはバッチ方式で製造されてもよい。
【0121】
2.ナノ粒子フルチカゾン組成物を得るための沈殿
望ましいナノ粒子フルチカゾン組成物を形成する別の方法は、微量沈殿(microprecipitation)による方法である。これは、微量の毒性溶媒も可溶化重金属不純物も全く含まない、1種類またはそれ以上の表面安定剤および1種類またはそれ以上のコロイド安定性を強化する界面活性剤の存在下で、溶解度の低い活性薬剤の安定した分散液を調製する方法である。このような方法は、例えば、(1)フルチカゾンを適切な溶媒に溶解する段階;(2)段階(1)からの製剤を、少なくとも1種類の表面安定剤を含む溶液に添加する段階;および(3)適切な非溶媒を用いて、段階(2)からの製剤を沈殿させる段階を含む。この方法の後、形成された塩が存在すれば、従来の手段による分散液の透析またはダイアフィルトレーションおよび濃縮によって、塩を取り出すことができる。
【0122】
3.ナノ粒子フルチカゾン組成物を得るための均質化
ナノ粒子活性薬剤組成物を調製する例示的な均質化方法は、米国特許第5,510,118号「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticules」で述べられている。
【0123】
このような方法は、フルチカゾンの溶解度が低い液体分散媒体にフルチカゾン粒子を分散させた後に、望ましい有効平均粒径までフルチカゾンの粒径を小さくするために分散液を均質化する段階を含む。フルチカゾン粒子の大きさは、少なくとも1種類の表面安定剤の存在下で小さくすることができる。または、摩擦の前または後に、フルチカゾン粒子と1種類またはそれ以上の表面安定剤を接触させることができる。サイズリダクションプロセスの前、間、または後に、希釈剤などの他の化合物をフルチカゾン/表面安定剤組成物に添加することができる。分散液は連続して製造されてもよく、またはバッチ方式で製造されてもよい。
【0124】
C.本発明のフルチカゾン組成物を用いた治療方法
本発明は、本発明のフルチカゾン組成物を用いて、必要としている被検者を治療する方法に関する。
【0125】
本明細書で使用する用語「被検者」は、動物、好ましくは、ヒトまたは非ヒトを含む哺乳動物を意味するのに用いられる。用語「患者」および「被検者」は同義に用いられることがある。
【0126】
1.本発明の方法およびフルチカゾン剤形
本発明のフルチカゾン組成物は、任意の従来手段を介して被検者に投与することができる。従来手段として、経口投与、直腸投与、眼投与、非経口投与(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、または皮下投与)、槽内投与、肺投与、腟内投与、腹腔内投与、局所投与(例えば、散剤、軟膏、もしくはドロップ)、またはバッカル錠もしくは鼻スプレーとしての投与が挙げられるが、これに限定されない。
【0127】
エアロゾル吸入用にフルチカゾン組成物が処方される場合、このような剤形の投与のために任意の適切な装置を使用することができる。このような装置は当技術分野において周知である。
【0128】
非経口注射に適したフルチカゾン組成物は、生理学的に許容される滅菌された水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、および滅菌された注射液または分散液に再構成するための滅菌散剤を含んでもよい。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、その適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられるが、これに限定されない。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合、必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。
【0129】
フルチカゾン組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤を含んでもよい。微生物の増殖の阻止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)によって確実に行うことができる。糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましい場合もある。モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を使用することによって、注射可能な剤形を長期間吸収させることができる。
【0130】
経口投与用の固形剤形として、ゲル、散剤、カプセル、錠剤、丸剤、および顆粒剤が挙げられるが、これに限定されない。このような固形剤形において、活性薬剤は、通常、以下の少なくとも1つと混合される:(a)1種類またはそれ以上の不活性賦形剤(または担体)(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム);(b)増量剤またはエキステンダー(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸);(c)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩(alignate)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴム;(d)保湿剤(例えば、グリセロール);(e)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸錯体、および炭酸ナトリウム);(f)溶液抑制剤(solution retarder)(例えば、パラフィン);(g)吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム化合物;(h)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール);(i)吸着剤(例えば、カオリンおよびベントナイト);ならびに(j)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはその混合物)。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤を含んでもよい。
【0131】
経口投与用の液体剤形として、薬学的に許容されるエアロゾル、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が挙げられる。活性薬剤に加えて、液体剤形は、当技術分野において一般的に用いられる不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤)を含んでもよい。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などである。
【0132】
このような不活性希釈剤に加えて、組成物は補助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、着香剤、および香料)も含んでよい。
【0133】
2.フルチカゾン投与量
本発明の方法は、フルチカゾンを含む有効量の組成物を被検者に投与する段階を含む。投与方法に応じて、本発明のフルチカゾン組成物は、本明細書に記載の任意の障害の治療において有用である。
【0134】
フルチカゾン投与量に関して本明細書で使用する「治療有効量」は、薬物がこのような治療を必要とするかなりの数の被検者に投与された時に、特定の薬理学的応答をもたらす投与量を意味するものとする。ある特定の場合において特定の被検者に投与される「治療有効量」は、当業者に「治療有効量」であるとみなされているが、本明細書に記載の疾患の治療において常に効果があるとは限らないことが強調される。フルチカゾン投与量は、特定の場合において、経口投与量として測定されるか、または血中で測定される薬物濃度に関するものであることがさらに理解されるべきである。
【0135】
フルチカゾンの有効量は実験により求めることができ、純粋な形態で、または薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグの形態が存在する場合、このような形態で使用できることを、当業者は理解するだろう。特定の組成物および投与方法に対して望ましい治療応答を得るのに有効なフルチカゾン量を得るために、本発明の組成物中の実際のフルチカゾン投与濃度は変えられることがある。従って、選択される投与濃度は、望ましい治療効果、投与経路、投与されたフルチカゾンの効力、望ましい治療期間、および他の要因に左右される。
【0136】
投与単位組成物は、一日量を構成するのに使用できるような約数の量を含んでもよい。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の投与濃度は、様々な要因:実現しようとする細胞応答および生理学的応答の種類および程度;使用される特定の薬剤または組成物の活性;使用される特定の薬剤または組成物;患者の年齢、体重、身体全体の健康、性別、および食事;薬剤の投与時間、投与経路、および排泄率;治療期間;特定の薬剤と併用される、または同時に用いられる薬物;ならびに医学分野で周知の同様の要因に左右されることが理解されるだろう。
【0137】
3.本発明のフルチカゾン組成物を用いて治療することができる例示的な障害
フルチカゾン組成物は障害(例えば、呼吸器に関連した病気)を治療するのに使用することができる。本発明による炎症性または閉塞性の気道疾患の治療は対症療法でも予防療法でもよい。本発明が適用可能な炎症性または閉塞性の気道疾患は、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息を含む、全ての種類または起源の喘息を含む。喘息の治療はまた、喘鳴症状を示し、「喘鳴小児(wheezy infant)」(大きな医学的懸念があり、現在、初期または早期喘息患者と特定されることが多い、確立された患者カテゴリー)と診断された、または診断可能な被検者(例えば、4歳または5歳未満の被検者)の治療を含むと理解されるべきである(便宜上、この特定の喘息疾患を「喘鳴小児症候群」と呼ぶ)。
【0138】
喘息治療における予防効果は、症候性発作(例えば、急性喘息発作もしくは気管支収縮発作)の回数および重篤度の低下、肺機能の改善、または気道過敏の改善によって証明される。他の対症療法(すなわち、症候性発作が起こった時の症候性発作の療法、または症候性発作が起こった時に症候性発作を制限するか、もしくは初期で止めることを目的とした療法)(例えば、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド)または気管支拡張剤)に必要な条件の低下によってさらに証明することができる。
【0139】
喘息における予防利益は、「モーニングディッピング(morning dipping)」を起こしやすい被検者において特に明らかであるかもしれない。「モーニングディッピング」は、かなりの割合の喘息患者によく見られ、午前4時〜6時ごろの時間(すなわち、以前に投与されたどの喘息対症療法とも通常、実質的にかけ離れた時間)の喘息発作を特徴とする、認められた喘息症候群である。
【0140】
本発明が適用可能な他の炎症性または閉塞性の疾患および状態として、急性肺障害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性閉塞性気道疾患(COAD)、または慢性閉塞性肺性疾患(chronic obstructive lung disease:COLD)(慢性気管支炎および気腫を含む)、気管支拡張症、ならびに他の薬物療法(特に、他の吸入薬物療法)の結果とした生じた気道過敏の増悪が挙げられる。本発明が適用可能なさらなる炎症性または閉塞性の気道疾患として、全ての種類または起源の塵肺(肺の炎症性(一般的に職業性)疾患、慢性または急性にかかわらず、しばしば気道閉塞を伴い、塵埃を繰り返し吸入することによって引き起こされる)(例えば、アルミニウム肺、炭粉症、石綿症、石粉症、睫毛脱落症、鉄症、珪肺症、タバコ症(tabacosis)、綿肺症を含む)、ならびに炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)が挙げられる。
【0141】
他の治療として、ホウィップル病、AIDS関連肺炎、季節性鼻炎もしくは通年性鼻炎、季節性もしくは通年性のアレルギー性鼻炎および非アレルギー性(血管神経性)鼻炎、または局所コルチコステロイドで治療可能な皮膚の状態を挙げることができる。
【0142】
以下の実施例は本発明を例示するために示される。しかしながら、本発明は、本実施例に記載の特定の条件または詳細に限定されないことが理解されるべきである。本明細書全体を通して、米国特許を含む公的に入手可能な文書への任意のおよび全ての参照が参照として詳細に組み入れられる。
【実施例】
【0143】
実施例1
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0144】
150ccバッチチャンバーを備えたDYNO(登録商標)Mill KDL(ウィリーエーバコフェンAG(Willy A.Bachofen AG),Maschinenfabrik,Basel,Switzerland)において、食塩水に溶解した5%w/wプロピオン酸フルチカゾン(アボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories),Abbott Park,IL)および2.5%チロキサポールの混合物を高エネルギー粉砕条件下で1.25時間粉砕した。200μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル(The Dow Chemical Co.),Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0145】
ホリバ(Horiba)LA-910粒径分析器(イルビン(Irvine),CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は92nmであることが分かった。
【0146】
この組成物は、5℃、25℃、および40℃で少なくとも8週間安定であった。
【0147】
実施例2
本実施例の目的は、濾過滅菌されたナノ粒子プロピオン酸フルチカゾン組成物を調製することであった。
【0148】
実施例1の粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物を、首尾よく、0.8/0.2ミクロンシリンジフィルターを用いて濾過滅菌した。この濾過滅菌組成物は、5℃、25℃、および40℃で少なくとも8週間安定であった。
【0149】
実施例3
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0150】
18ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー(Elan Drug Delivery,Inc.);米国特許第6,431,478号を参照のこと)において、食塩水に溶解した5%w/wプロピオン酸フルチカゾンおよび2%チロキサポールの混合物を高エネルギー粉砕条件下で40分間粉砕した。200μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0151】
ホリバLA-910粒径分析器(イルビン,CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は147nmであることが分かった。
【0152】
実施例4
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0153】
18ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー)において、食塩水に溶解した5%w/wプロピオン酸フルチカゾンおよび2%ポロキサマー338の混合物を高エネルギー粉砕条件下で60分間粉砕した。500μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0154】
ホリバLA-910粒径分析器(イルビン,CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は153nmであることが分かった。
【0155】
実施例5
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0156】
150ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー)において、5%w/wプロピオン酸フルチカゾン、1%ポロキサマー188、および0.01%塩化ベンザルコニウムの、水を含む混合物を高エネルギー粉砕条件下で30分間粉砕した。500μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0157】
ホリバLA-910粒径分析器(イルビン,CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は381nmであることが分かった。
【0158】
実施例6
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0159】
18ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー)において、5%w/wプロピオン酸フルチカゾン、2%コリドン(kollidon)17 PF、および0.01%塩化ベンザルコニウムの、水を含む混合物を高エネルギー粉砕条件下で40分間粉砕した。500μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0160】
ホリバLA-910粒径分析器(イルビン,CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は152nmであることが分かった。5℃で観察された組成物の安定性は不良であった。
【0161】
実施例7
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0162】
18ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー)において、5%w/wプロピオン酸フルチカゾンおよび2%リゾチームの混合物を高エネルギー粉砕条件下で30分間粉砕した。500μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0163】
ホリバLA-910粒径分析器(イルビン,CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は311nmであることが分かった。
【0164】
実施例8
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0165】
18ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー)において、5%w/wプロピオン酸フルチカゾンおよび2%ポリソルベート80の混合物を高エネルギー粉砕条件下で40分間粉砕した。200μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0166】
ホリバLA-910粒径分析器(イルビン,CA)を用いて行った粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析から、プロピオン酸フルチカゾンの最終平均粒径は115nmであることが分かった。5℃での組成物の安定性は不良であった。
【0167】
実施例9
本実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子分散液を調製することであった。
【0168】
18ccバッチチャンバーを備えたNanoMill(登録商標)(エランドラックデリバリー)において、5%w/wプロピオン酸フルチカゾン、1%ヒプロメロース、および0.01%塩化ベンザルコニウムの、水を含む混合物を高エネルギー粉砕条件下で粉砕した。500μm高分子摩擦媒体(ダウケミカル,Midland,MI)を粉砕プロセスに使用した。
【0169】
粒径が極めて大きかったために、粉砕プロピオン酸フルチカゾン組成物の粒径分析を行うことができなかった。多量の粉砕されていない薬物が顕微鏡写真で見られた。
【0170】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の方法および組成物に様々な変更および変化を加えることができることが当業者に明らかであろう。従って、本発明の変更および変化が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にあれば、本発明は本発明の変更および変化を含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フルチカゾン粒子の有効平均粒径が約2000nm未満である、フルチカゾンまたはその塩の粒子;および
(b)少なくとも1種類の表面安定剤を含む、フルチカゾン組成物。
【請求項2】
フルチカゾン粒子の有効平均粒径が、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nn未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約140nm未満、約130nm未満、約120nm未満、約110nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
フルチカゾン粒子の少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも約99.9%の粒径が有効平均粒径未満である、請求項2または3記載の組成物。
【請求項4】
フルチカゾンが結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、およびその混合物からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
経口投与、肺投与、直腸投与、眼投与、結腸投与、非経口投与、槽内投与、腟内投与、腹腔内投与、局部(local)投与、頬投与、鼻投与、および局所(topical)投与からなる群より選択される投与のために処方された、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
1種類またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、またはその組み合わせをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量(他の賦形剤は含まない)に基づいて、フルチカゾンが約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、および約90重量%〜約0.5重量%からなる群より選択される量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量(他の賦形剤は含まない)に基づいて、少なくとも1種類の表面安定剤が、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、および約10重量%〜約99.5重量%からなる群より選択される量で存在する、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも2種類の表面安定剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
表面安定剤が、アニオン性表面安定剤、カチオン性表面安定剤、双性イオン性表面安定剤、およびイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種類の表面安定剤が、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース(hypromellose)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン(poloxamine)、荷電リン脂質、ジオクチルスルホコハク酸塩、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホン酸塩、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG誘導体化リン脂質、PEG誘導体化コレステロール、PEG誘導体化コレステロール誘導体、PEG誘導体化ビタミンA、PEG誘導体化ビタミンE、ならびに酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダム共重合体からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種類のカチオン性表面安定剤が、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギン酸塩、非重合化合物、リン脂質、双性イオン性安定剤、ポリ-n-メチルピリジニウム、アントリルピリジニウムクロリド、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート、1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)2000](ナトリウム塩)、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポロキサミン、リゾチーム、アルギン酸、カラゲナン、およびポリオックス(POLYOX)からなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種類のカチオン性表面安定剤が、カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、第4級アンモニウム化合物、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒロドキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲナイド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(商標)、ALKAQUAT(商標)、アルキルピリジニウム塩、アミン、プロトン化第4級アクリルアミド、メチル化第4級ポリマー、およびカチオン性ガーからなる群より選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
アミンが、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ビニルピリジン、アミン塩、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アミンオキシド、およびイミドアゾリニウム塩からなる群より選択される、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
表面安定剤が、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン性有機金属化合物、第4級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物、第2級アンモニウム化合物、第3級アンモニウム化合物、塩化ベヘンアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、セチルアミンヒドロフルオリド、塩化クロロアリルメテナミン(クオタニウム(Quaternium)-15)、塩化ジステアリルジモニウム(クオタニウム-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(クオタニウム-14)、クオタニウム-22、クオタニウム-26、クオタニウム-18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリドヒドロクロリド、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレイルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、タローアルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミンジヒドロクロリド、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、塩酸イオフェタミン、塩酸メグルミン、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミルトリモニウム、塩化オレイルトリモニウム、ポリクオタニウム(polyquaternium)-1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、タロートリモニウムクロリド、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドからなる群より選択されるカチオン性非重合化合物である、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
生体接着性である、請求項1〜10、12、13、14、または15のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
濾過滅菌可能な(sterile filterable)フルチカゾン組成物。
【請求項18】
少なくとも1種類の表面安定剤をさらに含む、請求項17記載の濾過滅菌可能なフルチカゾン組成物。
【請求項19】
表面安定剤がチロキサポールである、請求項18記載の濾過滅菌可能なフルチカゾン組成物。
【請求項20】
フルチカゾン粒子の少なくとも約99.9%の有効平均粒径が約200nm未満である、請求項17〜19のいずれか一項記載の濾過滅菌可能なフルチカゾン組成物。
【請求項21】
フルチカゾン粒子の少なくとも約90%の有効平均粒径が約130nm未満である、請求項17〜19のいずれか一項記載の濾過滅菌可能なフルチカゾン組成物。
【請求項22】
(a)フルチカゾン粒子の少なくとも約99.9%の有効平均粒径が約200nm未満である、フルチカゾンまたはその塩の粒子;および
(b)表面安定剤としてのチロキサポールを含む、濾過滅菌可能なフルチカゾン組成物。
【請求項23】
(a)フルチカゾン粒子の有効平均粒径が約150nm未満である、フルチカゾンまたはその塩の粒子;および
(b)少なくとも1種類の表面安定剤を含む、濾過滅菌されたナノ粒子フルチカゾン組成物。
【請求項24】
フルチカゾン粒子の有効平均粒径が、約140nm未満、約130nm未満、約120nm未満、約110nm未満、約100mn未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
フルチカゾン粒子の少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも約99.9重量%の粒径は有効平均粒径未満である、請求項23または24記載の組成物。
【請求項26】
フルチカゾンが結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、およびその混合物からなる群より選択される、請求項23〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
経口投与、肺投与、直腸投与、眼投与、結腸投与、非経口投与、槽内投与、腟内投与、腹腔内投与、局部投与、頬投与、鼻投与、および局所投与からなる群より選択される投与のために処方された、請求項23〜26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
1種類またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、またはその組み合わせをさらに含む、請求項23〜27のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量(他の賦形剤は含まない)に基づいて、フルチカゾンが約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、および約90重量%〜約0.5重量%からなる群より選択される量で存在する、請求項23〜28のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
フルチカゾンおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量(他の賦形剤は含まない)に基づいて、少なくとも1種類の表面安定剤が、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、および約10重量%〜約99.5重量%からなる群より選択される量で存在する、請求項23〜29のいずれか一項記載の組成物。
【請求項31】
少なくとも2種類の表面安定剤を含む、請求項23〜30のいずれか一項記載の組成物。
【請求項32】
表面安定剤が、アニオン性表面安定剤、カチオン性表面安定剤、双性イオン性表面安定剤、およびイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項23〜31のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
少なくとも1種類の表面安定剤が、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、荷電リン脂質、ジオクチルスルホコハク酸塩、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホン酸塩、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG誘導体化リン脂質、PEG誘導体化コレステロール、PEG誘導体化コレステロール誘導体、PEG誘導体化ビタミンA、PEG誘導体化ビタミンE、ならびに酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダム共重合体からなる群より選択される、請求項23〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも1種類の表面安定剤がカチオン性であり、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギン酸塩、非重合化合物、リン脂質、双性イオン性安定剤、ポリ-n-メチルピリジニウム、アントリルピリジニウムクロリド、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート、1,2ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)2000](ナトリウム塩)、ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポロキサミン、リゾチーム、アルギン酸、カラゲナン、およびポリオックスからなる群より選択される、請求項23〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1種類の表面安定剤がカチオン性であり、カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、第4級アンモニウム化合物、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒロドキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲナイド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(商標)、ALKAQUAT(商標)、アルキルピリジニウム塩、アミン、プロトン化第4級アクリルアミド、メチル化第4級ポリマー、およびカチオン性ガーからなる群より選択される、請求項23〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項36】
アミンが、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ビニルピリジン、アミン塩、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アミンオキシド、およびイミドアゾリニウム塩からなる群より選択される、請求項35記載の組成物。
【請求項37】
表面安定剤が、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン性有機金属化合物、第4級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物、第2級アンモニウム化合物、第3級アンモニウム化合物、塩化ベヘンアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、セチルアミンヒドロフルオリド、塩化クロロアリルメテナミン(クオタニウム-15)、塩化ジステアリルジモニウム(クオタニウム-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(クオタニウム-14)、クオタニウム-22、クオタニウム-26、クオタニウム-18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリドヒドロクロリド、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレイルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、タローアルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミンジヒドロクロリド、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、塩酸イオフェタミン、塩酸メグルミン、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミルトリモニウム、塩化オレイルトリモニウム、ポリクオタニウム-1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、タロートリモニウムクロリド、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドからなる群より選択されるカチオン性非重合化合物である、請求項23〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項38】
生体接着性である、請求項23〜32、34、35、36、または37のいずれか一項記載の組成物。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれか一項記載のフルチカゾン組成物を作製する方法であり、以下の段階を含む方法:
有効平均粒径が約2000nm未満のフルチカゾン粒子を含むフルチカゾン組成物を得るのに十分な時間および条件下で、フルチカゾンまたはその塩の粒子と少なくとも1種類の表面安定剤とを接触させる段階。
【請求項40】
接触させる段階が粉砕を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
接触させる段階が湿式粉砕を含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
接触させる段階が均質化を含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
接触させる段階が以下の段階を含む、請求項39記載の方法:
(a)フルチカゾン粒子を溶媒に溶解する段階;
(b)結果として得られたフルチカゾン溶液を、少なくとも1種類の表面安定剤を含む溶液に添加する段階;および
(c)非溶媒を添加することによって、少なくとも1種類の表面安定剤を有する可溶化フルチカゾンを沈殿させる段階。
【請求項44】
フルチカゾン組成物を濾過滅菌する段階をさらに含む、請求項39〜43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
医薬剤を調製するための、請求項1〜38のいずれか一項記載のフルチカゾン組成物の使用。
【請求項46】
医薬剤が、フルチカゾン組成物による対症療法または予防療法のいずれかを必要とする被検者の治療において有用である、請求項45記載の使用。
【請求項47】
医薬剤が、呼吸器に関連する病気、炎症性気道疾患、閉塞性気道疾患、ホウィップル病、AIDSに関連した肺炎、喘息、気腫、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、嚢胞性線維症、肺炎、後天性免疫不全症候群に関連した呼吸障害、季節性鼻炎、通年性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎、季節性非アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、通年性非アレルギー性鼻炎、および局所コルチコステロイドで治療可能な皮膚の状態からなる群より選択される状態を有する被検者の治療において有用である、請求項45または46記載の使用。
【請求項48】
医薬剤が、内因性(非アレルギー性)喘息、外因性(アレルギー性)喘息、喘鳴小児症候群(wheezy-infant syndrome)、急性肺障害、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺性疾患、慢性気管支炎、気腫、気管支拡張症、他の薬物療法の結果とした生じた気道過敏の増悪、および塵肺からなる群より選択される状態を有する被検者の治療において有用である、請求項45または46記載の使用。

【公開番号】特開2011−121972(P2011−121972A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20544(P2011−20544)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2006−503269(P2006−503269)の分割
【原出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【出願人】(500370883)エラン ファーマ インターナショナル,リミティド (45)
【Fターム(参考)】