説明

ブラジャー

【課題】
従来のブラジャーを装着快適さ及び全体的な外観に関して改良することを課題とする。
【解決手段】
各場合に縁補強を形成するために、一つの縁取りストリップ(18又は27)が、ブラジャーの、ベース材料のブランクの対応する縁に超音波溶接によって線で固定され、更に少なくとも部分的に二次元で接着層(20,29)によってベース材料(17又は25,26)に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部の特徴を有するブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種類のブラジャーは公知であり、世界中で多くのバリエーションが入手可能である。それらは、広く様々な形状に形作られ、かつ中央ブリッジによって接合される、二つの胸カップから主に構成される一つのフロント部で作られている。フロント部の外側側面縁にはサイド部品が取り付けられており、その自由末端はブラジャーを装着者の背中において背部閉鎖装置によって留められる。サイド部品はフロント部に縫い付けられ得る、しかしフロント部と共にワンピースに設計されても良い。かかるブラジャーの主な機能として、胸を持ち上げて支えるだけでなく、胸の形を作ることでもあるために、通例、サポート紐の形態をした肩紐が備えられており、ブラカップとサイド部品の背中側末端とを接合している。当然ながら、そのようなブラジャーには高い装着快適さに加え、外観を引き立てることが期待されている。
【0003】
かかるブラジャーは一般的に、糸で縫われた継ぎ目によって互い接合された幾つかの部品から構成されており、それらの縁に沿った縁補強物のように、それらはしばしば保持、縁飾り、又は縁取りストリップを有し、特にサイド部品はしばしば弾性材料から構成されるので、一般的にはジグザグ縫いによって固定される。実際に、かかる継ぎ目はしばしば外着の下に認識され、衣服の外観を悪くすることにつながることが判明した。
【0004】
それに加え、継ぎ目によって固定されたストリップは通常、見かけの理由から主にブラジャーの内側に配置され、ブラジャー装着者の肌と直接接触するようになり、特に敏感な者に肌刺激を生じ得、著しく装着快適さを阻害する。少なくとも一つの柔らかい、毛長ビロード様表面を有する縁取りストリップの使用が縫い糸を毛長ビロード様材料内部へ埋めることをしても、今度はこれが、その毛長ビロード様特質により、外着の下にこれら縁取りストリップが認識されるという欠点を有する。このことは、特にブラジャーのサイド部品の領域における継ぎ目に関係している、というのはよくあったブラジャーには、装着者の上半身に抗して押し付けられるサイド部品の適切な張りが推定されるからである。
【0005】
外着の下に外側から認識される、又は、内側に向けられることにより、皮膚刺激の傾向を示すという継ぎ目の欠点は特に、自由縁に沿って縫い合わされた、且つ用いられた材料の弾性に鑑みてジグザグ縫いによって互いに接合された、二つかそれ以上の生地材料の層からサイド部品が構成されているブラジャーにおいて見られる。縁のほつれを防ぐためのベース材料のへりを折り込む必要性から、更に縁の厚みを増すことがしばしば続いて起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対し、本発明は、公知のブラジャーを装着快適さ及び外観に関して改良するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1の特徴を有するブラジャーによって本発明によって達成される。有利な展開は従属請求項から明白である。
【0008】
本発明の基本的概念は、特にサイド部品の縁補強のために用いられる縁取りストリップと、平坦な内部結合手段、特に接着層とを一緒に固定することから成る。自由縁におけるベース材料のほつれは、これと各縁取りストリップがそれら共通の外側縁上で、超音波によって溶接された継ぎ目で互いに接合されることで防がれる。その結果、ベース材料のへりを折り込む必要はもはや無く、それによって、それが生じるであろう肥厚が回避される。
【0009】
ブラジャーの外観は、各縁取りストリップが初めにベース材料の外側の縁と同一平面を成した辺縁領域に付けられ、且つ超音波によってその縁に沿ってそれと接合され、一方で縁取りストリップは次にベース材料の内側まで縁を囲むように折り曲げられ、最終的にはその表面で接着層によってベース材料と接合されるということで、改良される。このようにして、超音波溶接継ぎ目だけが各サイド部品の内側から、自由縁に沿って走る弱い線として認められ得るが、その構造によって皮膚刺激は生じないということが成し遂げられる。
【0010】
特にブラジャーのサイド部品における本発明に係る縁補強の形成によって、糸によって作られるいかなる継ぎ目も省略される。しかし、有利には弾性を有するブラジャーのベース材料及び縁取りストリップの両方が、少なくとも部分的に、超音波の作用によって複数の接点で溶解され得る熱可塑性材料から構成されていることが必須である。
【0011】
本発明は、単層のサイド部品の場合のみ成し遂げられない。その代わり、かかるブラジャーの更なる装着快適さの改良のために、縁補強として付けられた縁取りストリップを含むベース材料の内側を、更なるベース材料の層で覆うことも可能である。
【0012】
本発明の更なる特徴及び有利な実施形態は図中に表された。これらは以下のことを示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1において、本発明に係るブラジャー1が前から見た図として示されている。ブラジャー1は、胸を受けるための二つの胸カップ3を有するフロント部2を有している。胸カップ3は公知の方法でデザインされ得る、それによって例えば内側及び外側を生地材料で覆われた発泡コアを含むことが可能である、又は下部及び側面縁に強化ワイヤを備えられても良い。胸カップ3は、本実施形態においては概ね台形をしている中央ブリッジ4によって互いに接合される。
【0014】
胸カップの下部縁5及び側面縁6に沿って、サイド部品7が取り付けられ、図中に示されたそれの左側は、その背部末端においてアイストリップ8を有しており、一方で反対側のサイド部品7にはその末端においてフックストリップ9が備えられている。アイストリップ8とフックストリップ9とは公知のように、背部閉鎖装置を形成するようにそれ自体で及びひとりでに相互作用する。それに加えて、サイド部品7は下部縁10、上部縁11及び背部縁12によって範囲を定められている。
【0015】
図1も示すように、本発明に係るブラジャー1は、胸カップ3の上部縁15における紐装着部14からサイド部品7の背部縁12まで、及びこの縁(背部縁12)に沿って背部閉鎖装置の部分まで、つまりアイストリップ8及びフックストリップ9までそれぞれ進む、肩紐13を有する。
【0016】
図1が本発明に係るブラジャーの前面図を示す一方、図2には隣接してサイド部品7を備えた、たった一つの胸カップ3の内側図が示されている。ここでは、胸カップ3が、下部縁5及び側面縁6に沿って進む強化ワイヤ16によってどのように強化され得るのかも示している。
【0017】
特に、図2の線III〜IIIに沿ったサイド部品7を通る断面図を示す図3によって示されるように、サイド部品7はベース材料の一つの層17から構成される。通例これは生地、一般的には弾性材料であって、少なくとも部分的に熱可塑性で変形可能な繊維で作られる。図2と図3の組み合わせが示すように、サイド部品7の下部縁10とその上部縁11との両方が縁取りストリップ18によって各々補強される。有利には、同様に弾性材料から構成され且つ熱可塑性で変形可能な繊維を含む縁取りストリップ18が、ベース材料17の外側縁であるその外側縁において、ブラジャー1の外側からは見えない(図1参照)超音波溶接継ぎ目19によってベース材料と接合される。この超音波溶接継ぎ目19は線形固定のみを示しているが、縁取りストリップ18とベース材料17の内側表面22との間の、実際の接合は、縁取りストリップ18の全表面を覆うか、又は図3中に認められ得るような、縁取りストリップ18の縁に沿った細片状にのみ施される、接着層20から構成される。
【0018】
部品のこの接合の製造は、有利には以下のようにして成される。縁取りストリップ18が最初に、縁10及び11に沿ってベース材料17の外側表面21まで取り付けられる。次に、超音波溶接継ぎ目19が縁10及び11に沿ってつけられる。この後、溶接継ぎ目19を備えた縁取りストリップ18は各々、縁10及び11をの周りをくるっと回って折られ、縁取りストリップ18とベース材料17の内側表面22との間の二次元接合が接着層20によって作られる。
【0019】
接着層20は、有利には感熱性接着剤から構成される。このように、圧力及び/又は熱を加えることによって、部品と他の部品との強固な結合が成し遂げられ得る。この処理において、接着層20は接着ストリップの形態でつけられても良い。しかし、互いに接合されるべき表面を圧力及び又は熱を加えることによって適切に使用可能となり得る適切な接着剤によって直接覆うか、又は片面側が適切な接着剤で既に覆われていることによって使用可能な状態である縁取りストリップ18を用いることも可能である。これら要求に合う接着剤は公知である。
【0020】
つまり二層材料の場合、サイド部品7の長軸縁と同様の方法で、中央ブリッジ14の縁が、縁、及び続く折り込み並びに肩紐において超音波溶接を用いて固定されることも可能である、その場合にはベース材料のストラップ様ブランクの縁は肩紐の周りをぐるっと回って横から折られ、且つ接着層によってそれと接合される。
【0021】
図4及び図5も、ブラジャー1のサイド部品が二層のベース材料から構成される場合に行われるべき手順を示しており、装着者の体に面している各内側層は、縁補強として縁につけられた縁取りストリップを完全に覆っている。
【0022】
図4はサイド部品7の概略内面図であって、図5は図4中の線V〜Vに沿った断面図である。ここで、図4及び図5は各々問題となっているサイド部品7の最終段階を示しており、よってこの段階では、このサイド部品7はブラジャー1の他の部品、つまり胸カップを備えたフロント部、背部閉鎖装置、及び肩紐と接合されている。
【0023】
特に、図5はどのようにしてサイド部品7がベース材料の二層、つまり外側層25及び内側層26で構成されるのかを示している。ここで、縁取りストリップ27は、サイド部品7の下部縁10及び上部縁11の両方に、各場合、層25と26との間に配置される。それらは二つの層25及び26と各々超音波溶接によって固定され且つ、各場合、ベース材料の内側層と接着層29によって接合される。
【0024】
処理に関して、これら二層サイド部品の製造は次のように記載され得る。最初の処理工程において、縁取りストリップ27がベース材料の、内側層26のブランクの縁に付けられ、これらストリップは、有利には、内側層26に面している側を接着層29が既に覆っている。ここで、接着層29は各縁取りストリップに直接つけられ得る、又は適切に覆われた接着ストリップが、縁取りストリップとベース材料の層との間に置かれ得る。次に、縁取りストリップ27を備えた、ベース材料のこの内側層26は、ベース材料の外側層25の上に置かれ、特に各場合、ベース材料の二層の側面は互いに重ねられ、最終段階においてサイド部品7の外側を形成する。この段階において、全ての部品は互いに超音波溶接継ぎ目28によって固定される。この溶接継ぎ目は、部品の結合をもたらすだけでなく、分離線をきれいにする。
【0025】
次の工程において、このようにして備えられたサイド部品7がひっくり返される、つまり、内側表面が外側を向く。これは、サイド部品7をフロント部2へ又は胸カップ3へ縫うために設計された、図4中に示されたサイド部品7の場合、開いている内側縁30によって行うことができる。この裏返しの結果、初期には互いに向き合っているベース材料の層25、26がひっくり返され、それによってそれら外側が外に面して置かれるようになり、一方で縁取りストリップ27はベース材料の二つの層25及び26間の内側に置かれる。
【0026】
二層になったサイド部品7の裏返しの結果、超音波溶接継ぎ目28はサイド部品7の内側に、図4の内側図に認められるように、縁に対して直角に置かれるようになる。
【0027】
完了処理工程において、縁取りストリップ27とベース材料の内側層26との間の接着層29は、圧力及び/又は熱を加えることによって使用可能にされ、それによって個々の部品の相互作用は可能な最も小さい厚み成果に最適化される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るブラジャーの前面図である。
【図2】延びているサイド部品を有する胸カップの内側図である。
【図3】図1の線III〜IIIに沿った断面図である。
【図4】ブラジャーの異なる実施形態のサイド部品の概略内面図である。
【図5】図4の線V〜Vに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ブラジャー
2 フロント部
3 胸カップ
4 中央ブリッジ
5 (3の)下部縁
6 (3の)側面縁
7 サイド部品
8 アイストリップ
9 フックストリップ
10 (7の)下部縁
11 (7の)上部縁
12 (7の)背部縁
13 肩紐
14 肩紐装着部
15 (3の)上部縁
16 強化ワイヤ
17 ベース材料層
18 縁取りストリップ
19 超音波溶接継ぎ目
20 接着層
21 外側表面
22 内側表面
23 −
24 −
25 ベース材料の外側層
26 ベース材料の内側層
27 縁取りストリップ
28 超音波溶接継ぎ目
29 接着層
30 内側縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジャー装着者の上半身を取り囲む二つのサイド部品(7)、及び、二つの肩紐(13)を備えた胸カップ(3)を含むフロント部(2)を有するブラジャーにして、
上記二つの部品は背部閉鎖装置において互いに留められ、上記肩紐は胸カップ(3)の上部縁(15)からサイド部品(7)の背部領域(12)まで延び、ブラジャーのベース材料が、少なくともその縁の部分において縁取りストリップ(18、27)などを付けることによって補強される、ブラジャーにおいて、
各場合の縁補強を形成するために、一つの縁取りストリップ(18又は27)がブラジャーのベース材料のブランクの、対応する縁に超音波溶接を用いて線で固定され、且つ更に、少なくとも部分的に二次元で接着層(20、29)によってベース材料(17又は25,26)に接合されることを特徴とする、ブラジャー。
【請求項2】
縁取りストリップ(18、27)が、胸カップ(3)の上部縁(15)に沿って、及び/又はサイド部品(7)の長軸縁(10、11、12)沿って、及び/又は肩紐(13)の長軸縁に沿って延びることを特徴とする、請求項1に記載のブラジャー。
【請求項3】
縁取りストリップ(18、27)が少なくとも部分的に弾性材料で構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブラジャー。
【請求項4】
接着層(20、29)が感熱性材料で構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項5】
接着層(20、29)が、縁取りストリップ(18、27)の長軸縁に沿って細片の状態で延びることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項6】
接着層(20、29)がブラジャー(1)のベース材料の周縁帯に、好ましくはスプレー、圧延又は加圧することによって直接付けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項の記載のブラジャー。
【請求項7】
接着層(20、29)が縁取りストリップ(18又は27)に直接付けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項8】
接着層(20、29)が、各縁取りストリップ(18、27)を固定するために、縁取りストリップとブラジャーのベース材料との間に配置される接着ストリップに付けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項9】
接着ストリップが弾性特性を有することを特徴とする、請求項8に記載のブラジャー。
【請求項10】
接着層(20、29)が、ポリウレタン、ポリオレフィン、又は熱可塑性エラストマーで構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項11】
サイド部品(7)が単層のベース材料で構成され、且つ接着層(20)が縁取りストリップ(18)とベース材料(17)との間に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項12】
サイド部品(7)が二層(25、26)のベース材料で構成され、且つ接着層(29)が縁取りストリップ(27)と各場合のベース材料の一層(25又は26)との間に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のブラジャー。
【請求項13】
接着層が、縁取りストリップ(27)とブラジャー(1)装着者の体に面しているサイド部品(7)の内側層(26)との間に配置されることを特徴とする、請求項12に記載のブラジャー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−52186(P2009−52186A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−111316(P2008−111316)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(508123319)トリンフ インタートレード アーゲー (16)
【Fターム(参考)】