説明

プラバスタチンの精製方法

本発明は、純粋なプラバスタチン組成物及び純粋なコンパクチン組成物、及びそれらの調製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、水性発酵液において行われる反応からのプラバスタチン(pravastatin)の単離及び精製方法を包含する。特に、本発明は、プラバスタチン、例えばコンパクチンの発酵により製造されるプラバスタチンの合成、単離、及び精製を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
心血管疾患の合併症、例えば心筋梗塞、卒中、及び末梢血管疾患は、アメリカ合衆国において死亡の半分を占める。血流における低レベルの低密度リポタンパク質(LDL)は、血流を妨げ、そして血栓症を促進することができる冠状動脈損傷の形成に関連している。Goodman and Gilman, THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, p. 879 (9th ed. , 1996)。血漿LDLレベルの低減は、心血管疾患を有する患者、及び心血管疾患を有さないが、しかし高コレステロール血症を有する患者において臨床学的現象の危険性を低めることが示されている。Scandinavian Simvastatin Survival Study Group, 1994; Lipid Research Clinics Program, 1984a, 1984b。
【0003】
スタチン薬剤は現在、心血管疾患についての危険性の患者の血流におけるLDLレベルを低めるために利用できる最も治療的に効果的な薬剤である。この種の薬剤は、中でもコンパクチン、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン及びフルバスタチンを包含する。スタチン薬剤の作用の機構は、いくらか詳細に解明されて来た。スタチン薬剤は、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−補酵素Aレダクターゼ酵素(“HMG−CoAレダクターゼ”)を競争的に阻害することにより、肝臓におけるコレステロール及び他のステロールの合成を阻害する。HMG−CoAレダクターゼは、コレステロールの生合成における速度決定段階である、HMG−CoAのメバロネートへの転換を触媒する。結果的に、HMG−CoAレダクターゼ阻害は、肝臓におけるコレステロールの形成速度の低下を導く。
【0004】
プラバスタチンは、化合物[1S−[1α(β*、δ*)2α、6α、8β(R*)、8aα]]−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−β、δ、6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−(2−メチル−1−オキソブトキシ)−1−ナフタレン−ヘプタン酸の通常の医薬的名称である。(CAS Registry NO. 81093−370)。遊離酸形でのプラバスタチンの分子構造は、下記式(I)により表わされる:
【0005】
【化1】

【0006】
プラバスタチンは、ラクトンにおいて終結するカルボン酸基を末端基とし、そして2種のヒドロキシル基、すなわちカルボン酸基に対して、β位置での1つのヒドロキシル基及びδ位置での第2のヒドロキシル基を担持アルキル鎖を有する。アルキル鎖は、HMG−CoAレダクターゼに結合する分子の一部である。δ位置でのカルボン酸基及びヒドロキシル基は、ラクトン化する傾向がある。
【0007】
スタチンのように、ラクトンを形成する化合物は、遊離酸形又はラクトン形として、又は両形の均等な混合物として存在することができる。ラクトンを形成する化合物は、その化合物の遊離酸及びラクトン形が異なった極性を有するので、スタチン薬剤の製造の間、加工困難性を引起す。1つの形を精製する1つの方法は、不純物を取り除くと共にまた、他の形も取り除き、それにより、低い全体的収率をもたらす。結果的に、ラクトン化できる化合物を取り扱う場合、それらを高い収率で単離するためには、高い注意が払われるべきである。
【0008】
プラバスタチンは、他のスタチンよりも重量な治療利点を示す。プラバスタチンは、肝臓及び小腸におけるコレステロール合成を選択的に阻害するが、しかし末梢細胞におけるコレステロール合成は影響されないままである。Koga, T. etal.,Biochim. Biophys. Acta, 1045,115-120 (1990)。選択性は、ヘキサヒドロナフタレン核のC-6位置でのヒドロキシル基の存在によると思われる。C-6位置は、コンパクチンにおける水素原子及びロバスタチンにおけるメチル基により支配される。プラバスタチンは、他のより親油性の同種物よりも、末梢細胞の親油性膜を透過しにくい。Serajuddin など., J. Pharm. Sci., 80,830-34 (1991)。また、プラバスタチンの制限された移動度は、肝臓及び腸におけるそのより局在化された作用の原因と思われる。
【0009】
アメリカ特許第4,346,227号特許によれば、プラバスタチンは、次の種の微生物を用いて、コンパクチンの発酵により得られる:アプシジア・コエルレア(Absidia coerulea)IFO4423細胞胞子、クンニングハメラ・エキヌラタ(Cutininghamella echinulata)IFO4445、ストレプトミセス・ロソクロモゲナス(Streptomyces rosochromogenus)NRRL1233、シンセファラストラム・ラセモスム(Syncephalastrum racemosum)IFO4814及びシンセファラストラム・ラセモスム(Syncephalastrum racemosum)IFO4828。
【0010】
“227”特許の例1においては、発酵の後、プラバスタチンが、発酵液から、その発酵液をpH3に酸性化し、そしてプラバスタチン及び他の非親水性有機物を酢酸エチルにより抽出し、続いてブラインにより洗浄することにより分離された。プラバスタチン遊離酸は、触媒量のトリフルオロ酢酸の添加によりラクトン化され、次に希炭酸水素ナトリウムにより中和され、硫酸ナトリウム上で乾燥され、そして蒸発乾燥された。残渣は、分離用逆相高性能液体クロマトグラフィー(“HPLC”)により精製された。
【0011】
アメリカ特許第5,942,423号は、アクチノマジュラ(Actinomadura)の株を用いてのプラバスタチンへのコンパクチンの微生物ヒドロキシル化を開示する。好ましい態様においては、プラバスタチンは、通常知られている技法、例えば沈殿、抽出及びクロマトグラフィーを用いて、単離され、富化され、分離され、又は精製される。HPLCは、発酵液からのプラバスタチンの単離のための好ましい方法として開示されている。
【0012】
アメリカ特許第5,202,029号は、HPLCを用いてのHMG−CoAレダクターゼインヒビターの精製方法を論じている。当業者は、HPLCが化合物の大規模調製のための経済的精製方法ではなく、そして高い体積精製に関連する困難性がHPLCの使用を妨げることを認識するであろう。HPLCカラム上での不純物分離の後、HMG−CoAレダクターゼインヒビターは、溶離剤に溶解された溶質としてHPLCカラムから溶出される。溶離剤が部分的に蒸発され、そして次に、水が添加され、HMG−CoAレダクターゼインヒビターの結晶化が誘発される。
【0013】
アメリカ特許第5,616,595号は、濾過による発酵液から水不溶性化合物を回収するための連続方法を開示する。発酵液は、フィルターを用いて循環され、そしてフィルターを通しての水損失のために、個々の循環により、ますます濃縮されるように成る。所望する濃度に達すると、濃縮された発酵液は、所望する化合物が溶解する溶媒によりスラリーされる。次に、スラリーはフィルターを通して循環される。所望する化合物は、濾液として集められ、そして続いて、濾液から単離される。任意には、化合物はさらに精製され得る。この特許は前記方法が広範囲の種類の化合物、例えばロバスタチン、プラバスタチン及びシムバスタチンに適用できることを言及している。
【0014】
現在、プラバスタチンを製造するための最も経済的に実施できる方法は、C-6位置でのコンパクチンの酵素的ヒドロキシル化による。しかしながら、発酵液からスタチンを単離するための既知方法、特にプラバスタチンナトリウム塩から純粋なプラバスタチンを単離するための方法は不適切である。さらに、現在使用される方法は、医薬的に許容できる純度レベルを達成しないか、又は他方では、高い純度を達成するためには、経済的に非実用的なクロマトグラフィー分離を必要とする。
【発明の開示】
【0015】
発明の要約
本発明は、
a)コンパクチンCの量が、約0.16重量%以下に成るまで、コンパクチンC含有コンパクチンを精製し;そして
b)上記a)からのコンパクチンを用いて、プラバスタチンを合成することを含んで成る、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチンの合成方法を包含する。
a)における精製段階は、少なくとも1つの水相溶性有機溶媒にコンパクチンを溶解するか、又は懸濁し;反応混合物に、約0.4の水相性有機溶媒に対して約0.16の体積比率で水を添加し;前記反応混合物を、コンパクチンが結晶化する温度に冷却し;そして純粋なコンパクチン血漿を集めることを含んで成る結晶化工程により行われ得る。
【0016】
もう1つの態様においては、本発明は、上記結晶化工程に従って調製されるコンパクチン、及びそれを含んで成る医薬製剤を包含する。
【0017】
1つの態様においては、本発明は、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン組成物の合成方法でを包含し、ここで前記方法は、
a)コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る組成物を、少なくとも1つの水相溶性有機溶媒に溶解するか又は懸濁し;
b)前記水相溶性有機溶媒約0.4に対して約0.16の割合で水を添加し;
c)反応混合物を冷却し;
d)上記c)に起因する、コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る組成物のサンプルを単離し;
e)上記d)からの単離されたサンプルにおけるコンパクチンCの量を測定し;
f)上記e)におけるコンパクチンCの量が、約0.16重量%以下であるかどうか決定し;そして
g)上記e)において測定されるコンパクチンCの量が約0.16重量%又はそれ以上である場合、コンパクチンCの量が約0.16重量%以下になるまで、d)に起因する組成物を、結晶化により精製し、そしてそのようにして精製された組成物からプラバスタチン組成物を合成するか;又は
h)上記e)において測定されるコンパクチンCの量が約0.16重量%以下である場合、段階d)の組成物からプラバスタチン組成物を合成することを含んで成る。
【0018】
もう1つの態様においては、本発明は、0.16重量%以下のコンパクチンCを有するコンパクチンの発酵により製造される、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン、及びそれを含んで成る医薬製剤を包含する。
さらにもう1つの態様においては、本発明は、約0.16重量%以下のコンパクチンCを含むコンパクチンのヒドロキシル化によるプラバスタチンの合成方法を包含する。
【0019】
1つの態様においては、本発明は、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを有するプラバスタチンナトリウムを含んで成る組成物の調製方法を提供する。前記方法は、十分に低いレベルのコンパクチンCを含んで成るコンパクチンサンプルにより開始することを包含する。好ましくは、コンパクチンサンプルにおけるコンパクチンCの量は、約0.16重量%以下である。前記方法は、
a)少なくとも1つのコンパクチンバッチの少なくとも1つのサンプルを入手し;
b)上記a)のサンプルの個々におけるコンパクチンCのレベルを測定し;
c)上記b)において行われる測定に基づいて、約0.16%以下のコンパクチンCを含んで成るコンパクチンバッチを選択し;そして
d)上記c)において選択されたバッチを用いて、前記プラバスタチンナトリウムを合成することを含んで成る。
【0020】
もう1つの態様においては、本発明は、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを有するプラバスタチンナトリウムを含んで成る組成物、及びそれを含んで成る医薬製剤を提供する。
さらに、もう1つの態様においては、本発明は、約0.16重量%以下のコンパクチンCを含んで成るコンパクチン組成物、及びそれを含んで成る医薬製剤を提供する。
【0021】
1つの態様においては、本発明は、プラバスタチン塩を水に溶解し、プラバスタチンの水溶液を形成し;前記プラバスタチンの水溶液のpHを、約6.7〜約10に調節し;前記プラバスタチン水溶液と吸着カラム層とを接触し;プラバスタチンを溶出溶液により溶出し;そして純粋なプラバスタチンを有する画分を集めることを含んで成る、プラバスタチンの精製方法を提供する。水溶液でのプラバスタチン塩は、コンパクチンのヒドロキシル化により得られる。
もう1つの態様においては、本発明は、この精製方法により生成されるプラバスタチン、及びそれを含んで成る医薬製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の特定の記載
本発明の方法は、i)プラバスタチンを合成するために、比較的純粋な出発材料を用いるか、又はii)吸着クロマトグラフィーを用いることにより、高い純度のプラバスタチンを生成する。従って、本発明の1つの観点においては、高い純度のプラバスタチンが、プラバスタチン合成の前、コンパクチンを精製する少なくとも1つの段階により、又は純粋なコンパクチンのバッチを選択することにより得られる純粋なコンパクチンを用いることにより合成される。
【0023】
高純度及び高収率のプラバスタチンが、複数回の抽出、又はHPLCによる精製を必要としないで得られる。従って、本発明は、プラバスタチンを単離するためのこれまでの方法よりも費用効果があり、且つ実際的であり、準備規模でのプラバスタチンの経済的に実際的な調製方法に関して、当業界における必要性を満たす。
本明細書において使用される場合、用語“プラバスタチンC”(ヨーロッパ薬局方においても使用される)とは、化学名称3S, 5S−3,5−ジヒドロキシ−7−[(1S, 2S, 6S, 8S, 8aR)−6−ヒドロキシ−2−メチル−8−[[(2S)−2−メチルペンタノイル]オキシ]−1,2,6,7,8、8a−ヘキサヒドロナフタレン−1−イル]ヘプタン酸を有するプラバスタチン不純物を意味する。
【0024】
本明細書において使用される場合、用語“コンパクチンC”とは、化学名称ペンタン酸,2−メチル−1,2,3,7,8、8a−ヘキサヒドロ−7−メチル−8−[2−(テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル)エチル]−1−ナフタレニルエステル、[1S−[1α(R*)、7β、8β(2S*, 4S*)、8aβ]]を有するコンパクチン不純物を意味する。登録番号は159225−32−8である。
【0025】
本明細書においては使用される場合、用語“コンパクチンバッチ”とは、低レベルの不純物(その1つはコンパクチンCであり得る)を含む、コンパクチンから実質的に成る組成物を意味する。コンパクチンバッチに関して本明細書において使用される場合、用語“サンプル”とは、コンパクチンCレベルを測定するために取られる“コンパクチンバッチ”の一部を意味する。
【0026】
本発明は、
a)約0.16重量%以下のコンパクチンCを含んで成る組成物が得られるまで、コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る組成物を精製し;そして
b)上記a)に起因する組成物を用いて、プラバスタチン組成物を合成することを含んで成る、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン組成物の合成方法を提供する。
【0027】
a)における組成物は、結晶化により精製され得る。好ましくは、a)における組成物は、それが約0.15重量%以下のコンパクチンCを含むまで、結晶化される。好ましくは、b)において合成されるプラバスタチン組成物は、約0.04重量%以下のプラバスタチンC、より好ましくは約0.03重量%以下のプラバスタチンC及び最も好ましくは約0.02重量%以下のプラバスタチンCを含む。
【0028】
結晶化方法は、コンパクチンを少なくとも1つの水相溶性有機溶媒に溶解するか又は懸濁し、反応混合物を形成し;その反応混合物に水を、約0.4の前記水相溶性有機溶媒に対して約0.16の体積で添加し;コンパクチンが結晶化する温度に反応混合物を冷却し;そして純粋なコンパクチン結晶を集めることを含んで成る。任意には、結晶化方法は、所望するコンパクチン純度を得るために、必要な場合、反復される。
【0029】
好ましくは、水相溶性有機溶媒は、少なくとも1つのC3-5ケトン、ニトリル及びC1-4アルコールを包含する。より好ましくは、前記水相溶性溶媒は、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、メチル−エチル−ケトン又はテトラヒドロフランの少なくとも1つである。最も好ましくは、水相溶性有機溶媒は、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルの少なくとも1つである。
【0030】
コンパクチンを溶解するか又は懸濁するために必要な水相溶性有機溶媒の体積は、ほとんどか又はまったく実験を伴わないで当業者により容易に決定され得る。前記体積は、コンパクチンの量及び水相溶性有機溶媒の沸点に依存して変化するであろう。典型的には、水相溶性有機溶媒の体積は、その水相溶性有機溶媒の還流温度でコンパクチンを溶解するか又は懸濁するのに十分である。好ましくは、水相溶性有機溶媒の体積は、コンパクチンの質量の約7倍、及びより好ましくはコンパクチンの質量の約5倍である。
【0031】
好ましくは、添加される水の量は、水相溶性有機溶媒の体積の約0.17〜約0.4倍である。水の添加の前、反応混合物は、約30℃の温度〜約還流温度、及び好ましくは約20℃〜約25℃の温度に加熱される。
【0032】
反応混合物は、コンパクチンが結晶化する温度まで冷却されるべきである。適切な温度は、結晶が可視できる温度として、当業者により容易に決定され得る。典型的には、コンパクチンの反応混合物は、約0℃〜約30℃の温度、及び好ましくは約20℃〜約25℃の温度に冷却される。反応混合物は典型的には、約1℃〜約6℃/時の速度で、及び好ましくは約2℃〜約4℃/時の速度で冷却される。冷却の後、反応混合物は任意には、次の冷却の前、16時間、約30℃に加熱され得る。
【0033】
次に、コンパクチン結晶は、当業者に通常知られているいずれかの方法を用いて集められる。そのような方法は、遠心分離機、濾過漏斗、ベルト濾過又はプレス濾過を包含するが、但しそれらだけには制限されない。コンパクチン結晶は、水及び水相溶性有機溶媒の溶液(1:1の体積比)により洗浄される。その後、集められたコンパクチン結晶は、当業者に通常知られている技法を用いて乾燥される。次に、純粋なコンパクチンは、高純度コンパクチン組成物を合成するために使用される。
【0034】
本発明はまた、約0.16重量%以下のコンパクチンCを含むコンパクチン、及びその医薬製剤も提供する。好ましくは、コンパクチンCは、約0.15重量%以下の量で存在する。
本発明はさらに、上記方法に従って調製されるコンパクチン、及びその医薬製剤を提供する。
【0035】
約0.1重量%以下のコンパクチンCを含んで成るプラバスタチン組成物のもう1つの入手方法は、製造されたコンパクチンバッチのサンプルにおけるコンパクチンCを測定することを包含する。前記方法は、約0.16重量%以下のコンパクチンCを含むそれらのコンパクチンバッチを選択し、そして選択されたバッチからプラバスタチン組成物を合成することを含んで成る。コンパクチンバッチが約0.16重量%又はそれ以上のコンパクチンCを含む場合、コンパクチンバッチは、上記方法に従って、結晶化により精製され得る。本発明の利点の1つは、高純度のプラバスタチンがHPLCによる精製を必要としないで得られることである。
【0036】
コンパクチンバッチのサンプルにおけるコンパクチンCの測定は、標準の分析化学技法、例えば逆相HPLC又は他の適切なクロマトグラフィー方法により行われ得る。コンパクチンの酵素的ヒドロキシル化によるプラバスタチンナトリウムの合成、及び純粋なプラバスタチンの単離は、アメリカ特許第5,942,423号及び第4,346,227号(引用により本明細書に組み込まれる)に記載される。プラバスタチンが単離される発酵又はヒドロキシル化発酵液は、コンパクチンの産業規模発酵のために知られているいずれかの水性発酵液である。
【0037】
本発明は、プラバスタチンナトリウム、及び約0.1重量%以下のプラバスタチンC、好ましくは約0.04重量%以下のプラバスタチンC、より好ましくは約0.03重量%以下のプラバスタチンC、及び最も好ましくは約0.02重量%以下のプラバスタチンCを含んで成る組成物を提供する。
【0038】
本発明は、吸着クロマトグラフィーを用いることを含んで成る、プラバスタチン又はプラバスタチン塩の精製方法を提供する。この方法は、プラバスタチン又はその塩を水に溶解し、水溶液を形成し;水溶液のpHを、約6.7〜約10に調節し;吸着カラム層に前記水溶液に添加し;プラバスタチンを溶出溶液により溶出し;そして高純度プラバスタチンを有する画分を集めることを含んで成る。精製方法は、所望するプラバスタチン純度を達成するために、必要に応じて反復され得る。
【0039】
使用される水の量は、プラバスタチン又はプラバスタチン塩を溶解するために十分であるべきであり、そしてプラバスタチン又は塩の量に依存して、その量は変化するので、当業者により容易に決定され得る。典型的には、使用される水の量は、1gのプラバスタチン塩当たり約8mlの水、及び好ましくは、1g当たり約6mlの水である。
水溶液のpHは、当業界に知られているいずれかの方法を用いて調節され得る。典型的には、水溶液のpHは、約6.7〜約10のpHを達成するのに十分な量で、塩基性溶液、例えば25%NaOHを用いて調節され得る。
【0040】
一般的に、吸着カラム層は、樹脂、例えば高い多孔性構造を有するポリマー吸着剤を包含し、それらの内部表面は、使用される環境に依存して、広範囲の種類の異なった種を吸着し、そして次に脱着することができる。この場合、極性溶媒、例えば水と共に、ポリマー吸着剤は、非極性又は疎水性挙動性を示し、そして溶解しにくい有機種を吸着することができる。1つの態様においては、吸着カラム層は、逆相シリカゲルカラムであり得る。市販の樹脂は、Rohm and Haas, Philadelphia Pennsylvaniaにより製造されるそれら、例えばAMBERLITETM XADTM 4, XADTM 7, XADTM 16, XADTM 16HP, XADTM 761,及びXADTM 1180を包含する。
【0041】
本発明の方法のために適切な他の樹脂は、Mitsubishi Kasei Corporation, Japanにより製造され、そして市販されているそれら、例えばDAIONTM HP 10,DAIONTM HP 20,DAIONTM HP 21, DAIONTM HP 30, DAIONTM HP 40,DAIONTM HP 50, DAIONTM SP800,DAIONTMSP 825, DAIONTM SP 850,DAIONTM SP 875,DAIONTM SP 205,DAIONTM SP 207,DAIONTMHP1MG, 及び DAIONTM HP2MGを包含する。逆相シリカゲルは、Merck & Co. , Whitehouse Station, N. J.により製造され、そして市販されるそれら、例えばC-18, RP-2, RP-8, 及びRP-18を包含する。
【0042】
溶出溶液によるプラバスタチン又はプラバスタチン塩の溶出は、当業者に知られている技法を用いて行われる。溶出溶液は典型的には、水、及びアセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール又はイソプロパノールの少なくとも1つを含んで成る。好ましくは、水:アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール又はイソプロパノールの比は、約7:3〜約9:1(体積による)、及びより好ましくは、8:2である。その後、高純度プラバスタチンを有する画分が集められ、体積を低められ、そして乾燥される。ヨーロッパ薬局方4.5(2003)を参照のこと。
【0043】
この方法により生成されるプラバスタチンは、約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含む。好ましくは、プラバスタチンは、約0.1重量%以下のプラバスタチンC、より好ましくは約0.03重量%以下のプラバスタチンC、及び最も好ましくは約0.02重量%以下のプラバスタチンCを含む。
本発明はさらに、本発明の方法により生成された、精製プラバスタチン及びプラバスタチンナトリウム、並びにそれを含んで成る医薬製剤を提供する。
【0044】
本発明の医薬製剤は、本明細書に開示される、精製されたプラバスタチン又はコンパクチンを含む。活性成分の他に、本発明に医薬製剤は、1又は複数の賦形剤を含むことができる。賦形剤は、種々の目的のために製剤に添加される。希釈剤は、固体医薬組成物の嵩を高め、そして前記組成物を含む医薬用量形を患者及び取り扱うケアー供与者を、より容易にすることができる。
【0045】
固体組成物のための希釈剤は、例えば微晶性セルロース(例えば、AVICEL(商標))、微小セルロース、ラクトース、スターチ、プレゲル化されたスターチ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストレート、デキストリン、第二リン酸カルシウム・二水和物、第三リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、EUDRAGIT(商標))、塩化カリウム、粉末化されたセルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタルクを包含する。
【0046】
投与量形、例えば錠剤に圧縮される固体医薬組成物は、圧縮の後、活性成分及び他の賦形剤を一緒に結合することための賦形剤を含むことができる。固体医薬組成物のための結合剤は、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えば、カルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素化された植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KLUCEL(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、METHOCEL(商標))、液体グルコース、珪酸アルミニウム・マグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えば、KOLLIDON(商標)、PLASDONE(商標))、プレゲル化されたスターチ、アルギン酸ナトリウム及びスターチを包含する。
【0047】
患者の胃における圧縮された固体医薬組成物の溶解速度は、組成物への砕解剤の添加により高められ得る。砕解剤は、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC−DI−SOL(商標)、PRIMELLOSE(商標))、コロイド状二酸化珪素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON(商標)、POLYPLASDONE(商標))、グアーガム、珪酸アルミニウム・マグネシウム、メチルセルロース、微晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末化されたセルロース、プレゲル化されたスターチ、アルギ酸ナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート(例えば、EXPLOTAB(商標))及びスタートを包含する。
【0048】
潤滑剤は、圧縮されていない固体組成物の流動性を改良するために、及び投与量の精度を改良するために添加され得る。潤滑剤として機能することができる賦形剤は、コロイド状二酸化珪素、三珪酸マグネシウム、粉末化されたセルロース、スターチ、タルク及び第三リン酸カルシウムを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0049】
用量形、例えば錠剤が、粉末化された組成物の圧縮により製造される場合、その組成物は、パンチ及び染料からの圧縮にゆだねられる。パンチ及び染料からの圧縮にゆだねられる。いくつかの賦形剤及び活性成分は、ピット及び他の表面不規則性の生成物による獲得を引起すことができる、パンチ及び染料の表面への付着傾向を有する。滑剤は、付着性を低め、そして染料からの生成物の開放を容易にするために組成物に添加され得る。滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアレート、グルセリルパルミトステアレート、水素化されたヒマシ油、水素化された植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛を包含する。
【0050】
風味剤及び風味増強剤は、用量形を、患者に対して口に合うようにする。本発明の組成物に含まれ得る、医薬生成物のための通常の風味剤及び風味増強剤は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メンソール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール及び酒石酸を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
固体及び液体組成物はまた、それらの外観を改良し、そして/又は生成物及び/又は生成物及び単位用量レベルの患者による同定を促進するために、いずれか医薬的に許容できる着色剤を用いて着色され得る。
本発明の液体医薬組成物においては、コンパクチンのプラバスタチン及びいずれか他の固体賦形剤が、液体キャリヤー、例えば水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセリンに溶解されるか又は懸濁される。
【0051】
液体医薬組成物は、液体キャリヤーに不溶性である活性成分又は他の賦形剤を、組生物を通して均等に分散するために乳化剤を含むことができる。本発明の流体組成物において有用である乳化剤は、例えばゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドラス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール及びセチルアルコールを包含する。
【0052】
液体医薬組成物はまた、生成物の口内感触を改良し、そして/又は胃腸管の内層を被覆するために粘度増強剤を含むことができる。そのような剤は、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム又はナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、スターチトラガカント及びキサントガムを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0053】
甘味剤、例えばソルビトール、サッカリン、ナトリウムサッカリン、スクロース、アスパータム、フルクトース、マンニトール、及び転化糖が、味覚を改良するために添加され得る。
保存剤及びキレート化剤、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化されたヒドロキシルトルエン、ブチル化されたヒドロキシアニソール、及びエチレンジアミン四酢酸が、貯蔵安定性を改良するために摂取のための安全レベルで添加され得る。
【0054】
本発明によれば、液体組成物はまた、緩衝液、例えばグルコン酸、乳酸、クエン酸又は酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は酢酸ナトリウムを含むことができる。賦形剤の選択及び使用される量は、この分野における標準の方法及び基準研究の経験及び考慮に基づいて配合科学者により容易に決定され得る。
【0055】
本発明の固体組成物は、粉末、顆粒、凝集体及び圧縮組成物を包含する。用量は、経口、頬、直腸、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内)、吸入及び眼投与のために適切な用量である。いずれかの所定の場合における最も適切な投与は、処理される病状の性質及び重症度に依存するが、本発明の最も好ましい経路は経口である。その用量は、単位用量形で便利には提供され、そして医薬業界において良く知られているいずれかの方法により調製され得る。
【0056】
用量形は、固体用量形、例えば錠剤、粉末、カプセル、坐剤、サケット、トローチ及びロゼンジ、並びに液体シロップ、懸濁液及びエリキシルを包含する。
本発明の用量は、組成物、好ましくは本発明の粉末化された又は顆粒化された固体組成物を含むカプセル(ハード又はソフトシェルのいずれか)であり得る。シェルは、ゼラチンから製造され、そして任意には、可塑剤、例えばグリセリン及びソルビトール、及び不透明剤又は着色剤を含む。
【0057】
活性成分及び賦形剤は、当業界において知られている方法に従って、組成物及び用量形に配合され得る。
錠剤化又はカプセル充填のための組成物は、湿式顆粒化により調製され得る。湿式顆粒化においては、粉末形での活性成分及び賦形剤のいくらか又はすべてが、ブレンドされ、そして次に、液体、典型的には粉末の顆粒への凝集を引起す水の存在下で、さらに混合される。顆粒はスクリーンされ、そして/又は微粉砕され、乾燥され、そして次に、所望する粒度にスクリーンされ、そして/又は微粉砕される。次に顆粒は錠剤化されるか、又は他の賦形剤、例えば滑剤及び/又は潤滑剤が、錠剤化の前、添加され得る。
【0058】
錠剤組成物は、便利には、ドライブレンドにより調製され得る。例えば、活性剤及び賦形剤のブレンドされた組成物が、スラグ又はシートに圧縮され、そして次に、圧縮された顆粒に微粉砕される。続いて、圧縮された顆粒が錠剤に圧縮され得る。
乾燥顆粒化に変わるものとして、ブレンドされた組成物は、直接的圧縮技法を用いて、圧縮された用量形に直接的に圧縮され得る。直接的な圧縮は、顆粒を有さないより均等な錠剤を生成する。直接的な圧縮錠剤化のために特に適切である賦形剤は、微晶性セルロース、噴霧乾燥されたラクトース、リン酸二カルシウム・二水和物及びコロイド状シリカを包含する。直接的圧縮錠剤化におけるそれらの及び他の賦形剤の正しい使用は、当業者、特に直接的に圧縮錠剤化の配合専門家に知られている。
【0059】
本発明のカプセル充填は、錠剤化に関して記載された前述のブレンド及び顆粒のいずれかを含んで成るが、しかしながら、それらは最終錠剤化段階にゆだねられない。
PLAVIXの用量決定は、指図として使用され得る。PLAVIXは経口投与される。PLAVIXの推薦される経口用量は、1日1度、75mgである。
【0060】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明はさらに、本発明の組成物の調製及び使用方法を詳細に記載する次の例により定義される。材料及び方法に対する多くの修飾が本発明の範囲内で実施され得ることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0061】
プラバスタチンの発酵及び回収は、当業者に通常知られている方法、例えば引用により本明細書に組み込まれるアメリカ特許第6,444,452号に記載されるそれらの方法を用いて行われた。
例1プラバスタチン合成
(a)0.1%リン酸、及び25% NaOHにより調節されたpH、及び(b)蒸留水及びアセトニトリルの混合物(1:9)の移動相によるWatersカラムRP-18(5m、2.1×150mm)を用いてのHPLCによる出発コンパクチンの分析。カラムを、240nmの検出波長を用いて40℃で50分間、実施した。コンパクチンの量を、10mgのコンパクチン及び10mgのコンパクチンアンモニウム塩の標準化された溶液を用いて決定した。
【0062】
【表1】

【0063】
サンプルを、0.4mg/mlの濃度で調製し、そして不純物プロフィールを、標準化されたサンプルに比較してピーク面積として決定した。このサンプルに関しては、不純物は、0.25重量%の量でのコンパクチンCである。
次に、純粋なコンパクチンを、プラバスタチンに発酵し、そしてアメリカ特許第6,444,452号に開示される方法に従って単離した。HPLCによるプラバスタチン塩の分析は、不純物プラバスタチンCが0.12重量%の量で存在したことを決定した。
【0064】
例2プラバスタチン精製
例1からのプラバスタチン塩(90g)を、水(540ml)に溶解し、pHを、25% NaOHを用いて6.7〜10に調節した。プラバスタチン塩溶液を、吸着樹脂層(550mlの吸着樹脂×ADTM1180)に通した。カラム直径は3.2cmであり、そして適用される流速は、90ml/時であった。プラバスタチン塩の吸着の後、カラムを4Lの水:アセトン(8:2)により溶出し、そしてプラバスタチン含有画分を組合し(1760ml)、体積を減じ、そしてプラバスタチン塩(64.8g)を単離した。ヨーロッパ薬局方に記載されるように、HPLCによる不純物分析は、プラバスタチンCが0.04重量%の量で存在したことを決定した。
【0065】
例3コンパクチン精製
0.2重量%の量で存在するコンパクチンCを有するコンパクチンサンプルを、結晶化により精製した。コンパクチンサンプル(30g)を、アセトン(5体積倍)に懸濁し、そして加熱還流した。水(1.25体積倍)を、前記加熱された懸濁液に添加し、そしてその溶液を、2℃/時の冷却速度で20℃に冷却した。冷却の後、形成される結晶を、20℃での2時間、攪拌し、そして続いて、濾過により集め、水:アセトン(1:1)の溶液により洗浄し、そして乾燥した。乾燥の後、結晶性コンパクチン(28.2g)を集め、そしてヨーロッパ薬局方に記載のようにして、HPLCにより分析した。結晶コンパクチンは、0.15重量%のコンパクチンCを有した。
【0066】
例4高純度プラバスタチンの合成
0.2重量%の量でのコンパクチンCを有するコンパクチンサンプルを、結晶化により精製した。コンパクチンサンプル(30g)を、メタノール(5体積倍)に懸濁し、そして加熱還流した。水(1.5体積倍)を、前記加熱された懸濁液に添加し、そしてその溶液を、2℃/時の冷却速度で20℃に冷却した。その後、溶液を30℃に加熱し、そして16時間、攪拌した。冷却の後、形成される結晶を、濾過により集め、水:メタノール(1:1)の溶液により洗浄し、そして乾燥した。乾燥の後、結晶性コンパクチン(27.2g)を集め、そしてHPLCにより分析した。結晶コンパクチンは、0.15重量%のコンパクチンCを有した。
【0067】
次に、純粋なコンパクチンを、アメリカ特許第6,444,452号に開示される方法に従って、プラバスタチンに発酵する。達成できるプラバスタチンCレベルは、0.02重量%である。
【0068】
例5高純度プラバスタチンの合成
0.2重量%の量でのコンパクチンCを有するコンパクチンサンプルを、結晶化により精製した。コンパクチンサンプル(30g)を、イソプロパノール(5体積倍)に懸濁し、そして加熱還流した。水(1.5体積倍)を、前記加熱された懸濁液に添加し、そしてその溶液を、2℃/時の冷却速度で25℃に冷却した。冷却の後、形成される結晶を、濾過により集め、水:イソプロパノール(1:1)の溶液により洗浄し、そして乾燥した。乾燥の後、結晶性コンパクチン(22.9g)を集め、そしてHPLCにより分析した。結晶コンパクチンは、0.16重量%のコンパクチンCを有した。
【0069】
次に、純粋なコンパクチンを、アメリカ特許第6,444,452号に開示される方法に従って、プラバスタチンに発酵する。達成できるプラバスタチンCレベルは、0.03重量%である。
【0070】
例6高純度プラバスタチンの合成
0.2重量%の量でのコンパクチンCを有するコンパクチンサンプルを、結晶化により精製した。コンパクチンサンプル(30g)を、アセトニトリル(5体積倍)に懸濁し、そして加熱還流した。水(1.5体積倍)を、前記加熱された懸濁液に添加し、そしてその溶液を、2℃/時の冷却速度で25℃に冷却した。冷却の後、形成される結晶を、濾過により集め、水:アセトニトリル(1:1)の溶液により洗浄し、そして乾燥した。乾燥の後、結晶性コンパクチン(24.2g)を集め、そしてHPLCにより分析した。結晶コンパクチンは、0.15重量%のコンパクチンCを有した。
【0071】
次に、純粋なコンパクチンを、アメリカ特許第6,444,452号に開示される方法に従って、プラバスタチンに発酵する。達成できるプラバスタチンCレベルは、0.02重量%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラバスタチン(pravastatin)及び約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成る組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約0.04重量%以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約0.03重量%以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、約0.02重量%以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項3記載の組成物。
【請求項5】
コンパクチン(compactin)及び約0.16重量%以下のコンパクチンCを含んで成る組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約0.15重量%以下のコンパクチンCを含んで成る請求項5記載の組成物。
【請求項7】
約0.1重量%のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン組成物の合成方法であって、
a)コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る少なくとも1つのバッチの少なくとも1つのサンプルを入手し;
b)上記a)のサンプルの個々におけるコンパクチンCのレベルを測定し;
c)約0.16%以下のコンパクチンCを含んで成るコンパクチンバッチを選択し;そして
d)上記c)において選択されたバッチを用いて、前記プラバスタチン組成物を合成することを含んで成る方法。
【請求項8】
前記段階c)のコンパクチンバッチが、約0.15重量%以下のコンパクチンCを含んで成る請求項7記載の方法。
【請求項9】
約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン組成物の合成方法であって、
a)約0.16重量%以下のコンパクチンCを含んで成る組成物が得られるまで、コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る組成物を精製し;そして
b)上記a)に起因する組成物を用いて、プラバスタチン組成物を合成することを含んで成る方法。
【請求項10】
前記段階a)における精製が、
a)コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る組成物を、少なくとも1つの水相溶性有機溶媒に溶解するか又は懸濁し;
b)前記水相溶性有機溶媒約0.4に対して約0.16の割合で水を添加し;
c)冷却し;そして
d)コンパクチン及び約0.16重量%以下のコンパクチンCを含んで成る組成物を回収
することを含んで成る方法。
【請求項11】
前記精製された組成物が、約0.15重量%以下のコンパクチンCを含んで成る請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
約0.1重量%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン組成物の合成方法であって、
a)コンパクチンCを含んで成る組成物を、少なくとも1つの水相溶性有機溶媒に溶解するか又は懸濁し;
b)前記水相溶性有機溶媒約0.4に対して約0.16の割合で水を添加し;
c)冷却し;
d)上記c)に起因する、コンパクチン及びコンパクチンCを含んで成る組成物のサンプルを単離し;
e)上記d)からの単離されたサンプルにおけるコンパクチンCの量を測定し;
f)上記e)におけるコンパクチンCの量が、約0.16重量%以下であるかどうか決定し;そして
g)上記e)において測定されるコンパクチンCの量が約0.16重量%又はそれ以上である場合、コンパクチンCの量が約0.16重量%以下になるまで、上記d)に起因する組成物を、結晶化により精製し、そしてそのようにして精製された組成物からプラバスタチン組成物を合成するか;又は
h)上記e)において測定されるコンパクチンCの量が約0.16重量%以下である場合、段階d)の組成物からプラバスタチン組成物を合成することを含んで成る方法。
【請求項13】
前記段階f)及びh)におけるコンパクチンCの量が、約0.15重量%以下である請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記段階g)におけるコンパクチンCの量が、約0.15重量%又はそれ以上である請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記プラバスタチン組成物が、コンパクチンのヒドロキシル化又は発酵により合成される請求項7,9又は12のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記水相溶性溶媒が、C3-5ケトン、ニトリル及びC1-4アルコールを含んで成る請求項10又は12記載の方法。
【請求項17】
前記水相溶性溶媒が、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、メチル−エチル−ケトン又はテトラヒドロフランの少なくとも1つである請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記段階b)における水が、前記水相溶性有機溶媒約0.4に対して約0.17の割合で添加される請求項10又は12記載の方法。
【請求項19】
前記段階a)が、約30℃の温度〜前記水相溶性有機溶媒のほぼ還流温度で行われる請求項10又は12記載の方法。
【請求項20】
前記段階a)における水相溶性有機溶媒の量が、コンパクチンの質量の約5倍である請求項10又は12記載の方法。
【請求項21】
前記段階c)における冷却が、約0℃〜約30℃の温度へである請求項10又は12記載の方法。
【請求項22】
前記段階c)における冷却が、約15℃〜約30℃の温度へである請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記段階c)における冷却が、約20℃〜約25℃の温度へである請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記段階c)における冷却が、約1℃/時〜約6℃/時の速度で行われる請求項10又は12記載の方法。
【請求項25】
前記段階c)における冷却が、約2℃/時〜約4℃/時の速度で行われる請求項24記載の方法。
【請求項26】
段階d)の前、約30℃の温度に16時間、加熱し、続いて、もう1度、冷却することを、さらに含んで成る請求項10又は12記載の方法。
【請求項27】
段階d)において得られる組成物を乾燥することをさらに含んで成る請求項10又は12記載の方法。
【請求項28】
プラバスタチンの精製方法であって、
a)プラバスタチン又はプラバスタチンナトリウムを水に溶解し、水溶液を形成し;
b)前記水溶液のpHを、約6.7〜約10に調節し;
c)前記水溶液を、吸着カラム層に添加し;
d)溶出溶液によりプラバスタチンを溶出し;そして
e)純粋なプラバスタチンを有する画分を集めることを含んで成る方法。
【請求項29】
前記精製されたプラバスタチンが、約0.1%以下のプラバスタチンCを含む請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記プラバスタチンナトリウムを溶解するために使用される水の量が、約6mlの水/g塩〜約8mlの水/g塩である請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記プラバスタチンナトリウムを溶解するために使用される水の量が、約6mlの水/g塩である請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記水溶液のpHが、約6.7〜約10のpHを達成するために十分な量で塩基性溶液を用いて調節され得る請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記pHを調節するために使用される塩基性溶液が、NaOHである請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記吸着カラム層が、樹脂又は逆相シリカゲルを含む請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記溶出溶液が、水、及び少なくとも1つのアセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール又はイソプロパノールを含んで成る請求項28記載の方法。
【請求項36】
水:アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール又はイソプロパノールの比が、約7:3〜約9:1(体積による)である請求項35記載の方法。
【請求項37】
水:アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール又はイソプロパノールの比が、約8:2(体積による)である請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記プラバスタチン組成物が、約0.04重量以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項7,9,12又は29のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記プラバスタチン組成物が、約0.03重量以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項38項記載の方法。
【請求項40】
前記プラバスタチン組成物が、約0.02重量以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項38項記載の方法。
【請求項41】
請求項7,9,12又は28のいずれか1項記載の方法に従って調製されるプラバスタチン組成物。
【請求項42】
請求項10記載の方法に従って調製されるコンパクチン組成物。
【請求項43】
請求項1,2,3,4又は41のいずれか1項記載のプラバスタチン組成物、及び医薬的に許容できるキャリヤーを含んで成る医薬組成物。
【請求項44】
請求項5,6又は42のいずれか1項記載のコンパクチン組成物、及び医薬的に許容できるキャリヤーを含んで成る医薬組成物。
【請求項45】
約0.1%以下のプラバスタチンCを含んで成るプラバスタチン組成物の製造のためへの、約0.16%以下のコンパクチンCを含んで生るコンパクチン組成物の使用。
【請求項46】
前記製造されるプラバスタチン組成物が、約0.04%以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項45記載の使用。
【請求項47】
前記製造されるプラバスタチン組成物が、約0.03%以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項46記載の使用。
【請求項48】
前記製造されるプラバスタチン組成物が、約0.02%以下のプラバスタチンCを含んで成る請求項47記載の使用。

【公表番号】特表2007−512366(P2007−512366A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541621(P2006−541621)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/039217
【国際公開番号】WO2005/051372
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(501309071)テバ ジョジセルジャール ザ−トケルエン ムケド レ−スベニュタ−ルシャシャ−グ (30)
【Fターム(参考)】