説明

プリント自動販売装置

【課題】本発明は保管スペースの飽和に伴うサービスの停止を抑制し、かつ顧客に対して確実に印刷物を受け渡すことが可能なプリント自動販売装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のプリント自動販売装置は、顧客の注文に応じてデジタル画像データを印刷し、その印刷物を提供するプリント自動販売装置であって、前記印刷物を注文毎に収納する収納部6を有し、収納部6に格納した印刷物を装置開口部から顧客に提供する受渡部4と、収納部6に収納されてから所定の時間が経過した印刷物が、収納部6から取り出されて格納される格納部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人で写真などのプリントを販売するプリント自動販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラの急速な普及により、顧客が持ち込んだデジタル画像データを店舗で写真として出力し、販売するサービスが提供されている。しかしながら、このようなサービスでは、顧客が写真を注文することが出来る時間が店舗の営業時間に制限される。また、店舗のスタッフなど他人に撮影画像を閲覧されるため、プライバシーの保護が配慮されているとはいえない。
【0003】
こうした問題の改善策として、例えば特許文献1には無人写真受渡装置が開示されている。これは、インターネットを利用した写真注文システムにおいて、注文を依頼した顧客にのみ仕上り写真プリントを受け渡す無人装置である。これにより、顧客にとっては注文時間の制約が解消され、さらにプライバシーも保護される。
【0004】
しかしながら、特許文献1の無人写真受渡装置によれば、顧客が注文する度に写真をプリントするため、仕上がった印刷物を注文毎に装置内に保管する必要がある。このため、繁忙期にも対応可能なだけの印刷物の保管スペースを確保しようとすれば、装置が大型化し、製造コストや設置場所、設置のための施工費用が高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献2には、写真注文の受渡日時の予約を行うことにより、印刷物が保管棚を占有する期間を出来るだけ短くし、限られた保管棚を有効に活用することが可能なネットプリントステーションが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−216533号公報
【特許文献2】特開2004−220321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2のネットプリントステーションでは、予約された時間に受渡が行われなかった場合に、仕上がった印刷物を不要物として処分しなければならないため、消耗品の無駄が発生する他、注文した顧客が後日に受け渡しを希望しても要望に答えられないという問題があった。
【0008】
本発明は上述の問題点に鑑み、保管スペースの飽和に伴うサービスの停止を抑制し、かつ顧客に対して確実に印刷物を受け渡すことが可能なプリント自動販売装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリント自動販売装置は、顧客の注文に応じてデジタル画像データを印刷し、その印刷物を提供するプリント自動販売装置であって、印刷物を注文毎に収納する収納部を有し、収納部に格納した印刷物を装置開口部から顧客に提供する受渡部と、収納部に収納されてから所定の時間が経過した印刷物が、収納部から取り出されて格納される格納部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプリント自動販売装置は、収納部に収納されてから所定の時間が経過した印刷物が収納部から取り出されて格納される格納部を備えるので、収納部が印刷物で飽和することによりサービスが停止することを防ぐことが出来る。また、過多な収納部を設置する必要がないので装置の小型化や低コスト化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係るプリント自動販売装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るプリント自動販売装置の構成を示すイメージ図である。
【図3】実施の形態1に係るプリント自動販売装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態2に係るプリント自動販売装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2の変形例に係るプリント自動販売装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態3に係るプリント自動販売装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態3に係るプリント自動販売装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態4に係るプリント自動販売装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態4に係るプリント自動販売装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、顧客の注文に応じてデジタル画像データを印刷し、その印刷物を提供する無人の装置をプリント自動販売装置と定義する。
【0013】
(実施の形態1)
<構成>
図1は実施の形態1に係るプリント自動販売装置の構成を示すブロック図である。このプリント自動販売装置100は、顧客のプリント注文を受け付ける受付部1、受付部1より送信されたプリント注文を管理する管理部2、管理部2の指示により印刷を実行するプリンター3、プリンター3が印刷した印刷物を収納先まで移動する収納制御手段11、印刷物の収納先である収納部6を有し、収納した印刷物を顧客に受け渡す受渡部4、受渡部4から所定の印刷物を移動する移動制御手段12、移動制御手段12によって移動された印刷物を格納する格納部5を備えている。
【0014】
<動作>
図2に実施の形態1に係るプリント自動販売装置100のイメージ図を示す。
【0015】
受付部1は例えば、タッチパネルモニター付パソコンにメモリーカードリーダーを接続した装置で構成される。顧客がデジカメなどの撮影画像が保存されたメモリーカードをメモリーカードリーダーに挿入すると、受付部1はメモリーカード内の画像データを読み込んでモニターに表示する。顧客はモニターに表示された画像を確認し、タッチパネルの入力操作を通して印刷する画像を選択し、プリント枚数などを設定の上、注文を実行する。
【0016】
プリント注文が実行された画像データと注文情報は、受付部1から管理部2に送信される。ここで注文情報には、受付時間、画像ファイル名、印刷枚数、トリミングや色調整などの編集情報、顧客情報が含まれる。さらには、顧客によって入力された受け渡し予約時間についての情報が含まれてもよい。
【0017】
受付部1より送信された画像データと注文情報は、管理部2で処理される。なお、以下に示す管理部2の機能は、受付部1の装置に含まれ、同一の装置によって実現されていてもよい。また、例えば、顧客の自宅のPCなど受付部1以外の装置で画像データと注文情報を作成した上で、インターネットなどのネットワークを通じて外部から管理部2に送信することによって注文を実行しても良い。
【0018】
管理部2では、受信した画像データと注文情報を解析し、注文情報に従って各画像を印刷するようプリンター3に印刷指示を行う。プリンター3では管理部2の指示に従って写真を印刷する。プリンター3で印刷した印刷物は収納制御手段11によって受渡部4へ収納される。
【0019】
収納制御手段11は、例えば搬送用の駆動ベルトと印刷物受取用のトレイを備えており、プリンター3から排出された印刷物をトレイで受け、駆動ベルトでトレイごと印刷物を受渡部4内の収納部6に運搬する。なお、印刷物の運搬方法はベルト駆動による手段に限らず、注文毎に複数の受取トレイを切り替えることで実現してもよい。また、収納部6には予め印刷物の収納袋が準備され、収納袋に印刷物を移動する仕組みにしてもよい。
【0020】
受渡部4は少なくとも1つ以上の収納部6を備え、顧客との印刷物の受け渡しに使用可能な装置の開口部を備える。この印刷物受け渡し用の開口部は、顧客から受け渡し要求があった場合に、管理部2の指示に応じて印刷物の受け渡しを可能にする。例えば、開口部は、管理部2からの指示があった場合にのみ開錠される鍵を備える。また、開口部は1つであっても複数あっても構わず、複数の収納部6に共通の開口部が設けられる場合、受渡部4は収納部6から開口部まで印刷物を移動する手段を備えていてもよい。あるいは、各収納部6ごとに開口部が設けられていてもよく、この場合には装置の更なる小型化が可能である。
【0021】
図2には、各収納部6が鍵付きの開口部を備え、開口部は顧客からの要求に応じて開錠されるプリント自動販売装置を示している。
【0022】
管理部2は、受付部1からプリント注文を受信すると、プリント注文毎に注文識別情報を設定した上で、顧客に対し注文識別情報と共にパスワードなどの開錠キーを提供することで、注文を実行した顧客以外へのプリントの受け渡しを制限する。これにより、受付部1でプリント注文を実行した顧客は、受け渡し予定時刻までプリント自動販売装置の側を離れていることが可能になる。注文識別情報と開錠キーの提供方法については、受付部1での表示や電子メールでの送信など、いかなる方法を用いてもよい。
【0023】
ところで、プリント自動販売装置では、プリント注文を行った顧客が、印刷完了後に受渡部4より開錠キーを用いてプリントを受け取ることにより、顧客に対するサービスが終了する。しかし、顧客が予定時刻に受け取りに来ないため受け渡しが実行されない印刷物は、受渡部4にそのまま蓄積されることになる。そのため、例えば、受渡部4が6つの収納部6を備えるプリント自動販売装置では、6つの注文について受け渡しが実行されない場合に、次の注文の印刷物を収納する収納部6を準備することができず、プリント注文の受付や印刷待ち注文の印刷を実行することができない。
【0024】
そこで、本実施の形態のプリント自動販売装置では、収納部6に収納されてから所定の時間が経過した印刷物を格納部5に移動することによって、収納部6の飽和を防いでいる。
【0025】
すなわち、管理部2は、収納部6に収納されたプリントの受け渡し予定時刻から所定時間が経過しているか否かを判定し、経過していれば移動制御手段12が当該プリントを格納部5に移動する。ここで受け渡し予定時刻は、注文受付日時や印刷所要時間に従って設定されるか、顧客が注文時に指定するものである。移動制御手段12は、例えば収納制御手段11と同様、搬送用の駆動ベルトにより収納部6から格納部5へプリントを移動させる構成であっても良い。また、簡易な移動方法として、収納部6からその下部に設置した印刷物格納部5へプリントを落下させる方法を用いても良い。
【0026】
以上のように、受け渡し予定時刻から所定時間が経過した印刷物を格納部5に移動することで、収納部6の飽和を防ぎ、その後の注文受付を滞らせることなくサービスを継続することを可能にする。また、飽和を防ぐことを目的として過多な収納部6を設ける必要がないので、装置の小型化や低コスト化を実現する。
【0027】
上記に説明した顧客へのプリント注文の受渡処理と格納部5への移動処理について、図3に示すフローチャートを用いて再度説明する。管理部2は、受付部1よりプリント注文を受信し、プリンター3にて印刷が完了すると、受け渡し予定時刻が経過しているか否かを確認する(ステップS1)。受け渡し予定時刻は上述の通り、注文受付日時と印刷所要時間によって設定されるか、顧客が指定したものである。ここでは、受け渡し予定時刻を経過した場合にのみ顧客へプリント注文の受け渡しが可能になるものとして説明を行うが、受け渡し予定時刻が経過していなくても印刷が終了し受け渡しが可能な状態であれば、受け渡しを許可してもよい。
【0028】
受け渡し予定時刻を経過すると、管理部2は遅延時間のカウントを開始する(ステップS2)。その後、所定時間が経過するまでに顧客から注文識別情報と開錠キーが入力されたら(ステップS3でYes)、入力事項の正誤を判断し(ステップS4)、正しいと判断した場合は受渡部4で印刷物の受け渡しを行う(ステップS5)。一方、誤っていると判断した場合は印刷物の受け渡しを行わない。
【0029】
受け渡し予定時刻を経過した後、所定時間を経過するまでに顧客から注文識別情報と開錠キーの入力がない場合(ステップS3でNo,ステップS6でYes)は、印刷物の受渡部4から格納部5への移動処理に移行する。
【0030】
格納部5への移動処理では、まず、管理部2が格納部5の空き状況を確認する(ステップS7)。空きがなければ、印刷物を移動することが出来ないので処理を終了する。空きがあれば、移動制御手段12により印刷物を格納部5へ移動する(ステップS8)。
【0031】
<効果>
本実施の形態のプリント自動販売装置100は、印刷物を注文毎に収納する収納部6を有し、収納部6に格納した印刷物を装置開口部から顧客に提供する受渡部4と、収納部6に収納されてから所定の時間が経過した印刷物が、収納部6から取り出されて格納される格納部5とを備えるので、収納部6が飽和することなくサービスを継続することが可能になる。また、過剰なサイズの収納部6を設ける必要がないため、装置の小型化や低コスト化が実現する。
【0032】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係るプリント自動販売装置の構成図である。実施の形態2のプリント自動販売装置101は、実施の形態1のプリント自動販売装置100の構成に加えて移動情報通知部7を設けることにより、格納部5に格納された印刷物を確実に顧客に受け渡すことを目的としている。移動情報通知部7以外の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
移動情報通知部7は、格納部5に移動した印刷物の注文識別情報(印刷物移動情報)を所定の受信者へ送信することにより、該当する印刷物が格納部5に格納されたことを通知する。例えば、予め登録しておいた顧客情報などに従い、電子メールを用いて通知を行う事が可能である。
【0034】
受け渡し予定時刻から所定時間が経過した印刷物は、移動制御手段12によって格納部5に移動される。それと同時に移動情報通知部7では、プリント自動販売装置101の管理者や当該印刷物を注文した顧客などに対して当該印刷物の注文識別情報を送信し、当該印刷物が格納部5に移動したことを通知する。
【0035】
格納部5に格納された印刷物は、受渡部4で顧客へ受け渡すことが出来ないため、移動情報通知部7から印刷物移動情報を通知することによって、顧客への受け渡しを実現する。印刷物移動情報を受信した顧客は、プリント自動販売装置101で印刷物を受け取ることができないことを確認する。装置管理者の方では、顧客に印刷物を受け渡すためプリント自動販売装置101の格納部5から当該印刷物を回収する必要があることを確認する。それで、受け渡し予定時刻から所定時間が経過した印刷物の受け渡し方法について、例えば店頭で受け渡すなど、装置管理者が顧客に事前に告知しておくことにより、確実に顧客へ受け渡すことが可能となる。
【0036】
<変形例>
図5に、実施の形態2の変形例に係るプリント自動販売装置の構成を示す。このプリント自動販売装置102は、図4に示すプリント自動販売装置101の構成に加えて受渡方法通知部8を設けるものである。受渡方法通知部8以外の構成はプリント自動販売装置101と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
受け渡し予定時刻から所定時間が経過した印刷物は、移動制御手段12によって格納部5に移動される。それと同時に、移動情報通知部7では管理者や顧客などに印刷物移動情報を通知し、さらに受渡方法通知部8からは顧客にプリント注文の受け渡し方法を通知する。受け渡し方法の通知を受けた顧客は、印刷物をその通知内容に従って受け取ることができる。装置管理者にとっては、プリント注文格納分5に格納された印刷物の受け渡し方法を顧客に事前に告知しておかなくとも、確実に顧客へ受け渡すことが可能となる。
【0038】
なお、受渡方法通知部8の機能は移動情報通知部7に含まれ、同一の装置でこれらを実現しても良い。
【0039】
<効果>
本実施の形態に係るプリント自動販売装置101は、印刷物が格納部5に格納されたことを顧客及び管理者に通知する移動情報通知部7を備えるので、受け渡し予定時刻を所定時間超過した印刷物について、その受け渡し方法を管理者が顧客に事前に告知しておくことにより、印刷物を確実に顧客へ受け渡すことが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態の変形例に係るプリント自動販売装置102は、印刷物が格納部5に格納されると、当該印刷物の受け渡し方法を顧客に通知する受渡方法通知部8を備えるので、受け渡し予定時刻を所定時間超過した印刷物を、受渡方法通知部8の通知内容に従って確実に顧客へ受け渡すことが可能となる。
【0041】
(実施の形態3)
図6は実施の形態3に係るプリント自動販売装置の構成図である。このプリント自動販売装置103は、図5に示すプリント自動販売装置102の構成に加えて格納部飽和警告部9を備えるものである。格納部飽和警告部9以外の構成はプリント自動販売装置102と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
格納部飽和警告部9は、格納部5が飽和した場合に管理者に警告を通知することにより、管理者に印刷物を格納部5から回収するよう促す。これにより、格納部5が飽和してプリント自動販売装置103のサービスが停止することを防ぐことが出来る。警告を通知するタイミングは、格納部5が現に飽和した場合に限らず、格納部5の残り容量が予め設定した閾値を下回った場合にしても良い。
【0043】
図7は、プリント自動販売装置103における、顧客への受け渡し処理と格納部5への移動処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、格納部5の残り容量が閾値を下回った場合に警告を通知する例を示している。図7において、図3に示す実施の形態1のプリント自動販売装置100のフローチャートと同様のプロセスには同一の参照番号を付している。なお、ステップS7の前工程までは図3で示したものと同様であるため、説明を省略する。
【0044】
格納部5への移動処理では、まず、管理部2が格納部5の空き状況を確認する(ステップS7)。格納部5の空き状況は以下の3つの状態に分類される。(a)格納部5に印刷物を移動する領域が確保できない場合(空きなし)、(b)格納部5に印刷物を移動する領域を確保できるが、残り容量が閾値未満である場合(空き少)、(c)格納部5に印刷物を移動する領域を確保でき、残り容量が閾値以上である場合(空き有)。本装置は以上3つの状態に応じた処理を行う。
【0045】
すなわち、格納部5に空きがない場合は、印刷物を移動することが出来ないので格納部飽和警告部9が管理者に警告を通知し(ステップS10)、処理を終了する。
【0046】
格納部5の残り容量が閾値を下回っており空きが少ない場合は、移動制御手段12が印刷物を格納部5へ移動すると共に(ステップS9)、格納部飽和警告部9が管理者に警告を通知する(ステップS11)。警告を受けた管理者が格納部5から印刷物を回収することにより、格納部5の飽和を未然に防がれ、サービスの提供を継続して行うことができる。なお、警告の通知タイミングは印刷物を格納部5へ移動した時に限らず、常時監視を行って警告通知を行っても良い。印刷物を格納部5へ移動すると、移動情報通知部7は管理者や顧客に対して当該印刷物の注文識別情報を送信し、当該印刷物が格納部5に移動したことを通知する(ステップS12)。さらに、受渡方法通知部9が当該印刷物の受け渡し方法を顧客に通知し(ステップS13)、処理を終了する。
【0047】
格納部5の残り容量が閾値以上であり空きが十分にある場合は、移動制御手段12が印刷物を格納部5へ移動する(ステップS8)。その後、移動情報通知部7により印刷物が格納部5に移動したことを通知し(ステップS12)、受渡方法通知部8により受け渡し方法の通知を行う(ステップS13)。
【0048】
<効果>
本実施の形態のプリント自動販売装置103によれば、格納部5の残り容量が所定の閾値より少ないことを管理者に通知する格納部飽和警告部9を備えるので、格納部5の飽和によるサービス停止を防ぐことができる。
【0049】
(実施の形態4)
図8は実施の形態4に係るプリント自動販売装置の構成図である。このプリント自動販売装置104は、実施の形態3に係るプリント自動販売装置103の構成に加えてプリント時間管理部10を備えるものである。プリント時間管理部10以外の構成はプリント自動販売装置103と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
プリント時間管理部10は、受け渡し予定時刻の少し前に印刷が完了するように、プリンター3における印刷開始時刻を決定し、管理部2は、当該印刷開始時刻に印刷を開始するようプリンター3に印刷指示を出す。なお、プリント時間管理部10の機能は管理部2に含まれ、同一の装置でこれらを実現しても良い。
【0051】
図9は、プリント時間管理部10の時間管理処理を示すフローチャートである。プリント時間管理部10は、管理部2よりプリント注文の印刷枚数を取得すると(ステップS21)、印刷所要時間[A]、印刷物移動時間[B]を算出する(ステップS22,S23)。ここで印刷物移動時間[B]とは、プリンター3で印刷された印刷物を収納部6に収納するのに要する時間のことである。さらに、プリント時間管理部10は管理部2から受け渡し予定時刻[C]を取得し(ステップS24)、印刷開始時刻[D]を算出する(ステップS25)。印刷開始時刻[D]は、[D]=[C]−[A]−[B]で算出する。
【0052】
ここで、簡単のため印刷物を出力するプリンター3が1台のみの場合を想定する。印刷開始時刻[D]を決定すると、プリント時間管理部10は当該印刷物の印刷時間、すなわち印刷開始時刻[D]から印刷所要時間[A]を経過するまでの時間が、予約済みの他のプリント注文の印刷時間と重複しているか否かを判定する(ステップS26)。重複している場合、当該印刷物の印刷開始時刻[D]を、重複した他のプリント注文の印刷時間よりも後にずらす処理を行う。すなわち、プリント時間管理部10は重複している他の注文の印刷終了時間[E]を管理部2から取得し(ステップS27)、他の注文の印刷終了時間[E]に規定時間[F]を加えて新たな印刷開始時刻とする(ステップS28)。ここで、規定時間[F]は予め決められたプリント終了処理に要する時間である。この一連の印刷開始時刻の再算出処理(ステップS26〜S28)は、時間管理対象となっている印刷物の印刷期間が、予約済みである他のプリント注文の印刷期間と重複しなくなるまで実施される。
【0053】
印刷期間が他の注文と重複しない印刷開始時刻を決定すると、プリント時間管理部10は管理部2に当該印刷開始時刻を送信する(ステップS29)。プリント注文管理部2は、印刷開始時刻を受信すると(ステップS30)、印刷開始時刻を経過するか否かを判定し(ステップS31)、経過するとプリンター3にて印刷を開始する。
【0054】
<効果>
本実施の形態のプリント自動販売装置は、印刷物の受け渡し予定時刻に基づき印刷開始時刻を調整するプリント時間管理部10を備えるので、受け渡し予定時刻の直前にプリントが完了するように印刷開始時刻を調整することにより、収納部6の占有期間をなるべく短期間にして効率良く活用し、収納部6や格納部5の飽和によるサービス停止を未然に防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0055】
1 受付部、2 管理部、3 プリンター、4 受渡部、5 格納部、6 収納部、7 移動情報通知部、8 受渡方法通知部、9 格納部飽和警告部、10 プリント時間管理部、11 収納制御手段、12 移動制御手段、100 プリント自動販売装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の注文に応じてデジタル画像データを印刷し、その印刷物を提供するプリント自動販売装置であって、
前記印刷物を注文毎に収納する収納部を有し、前記収納部に格納した前記印刷物を装置開口部から顧客に提供する受渡部と、
前記収納部に収納されてから所定の時間が経過した前記印刷物が、前記収納部から取り出されて格納される格納部とを備える、
プリント自動販売装置。
【請求項2】
前記印刷物が前記格納部に格納されたことを前記顧客及び管理者に通知する移動情報通知部をさらに備える、
請求項1に記載のプリント自動販売装置。
【請求項3】
前記印刷物が前記格納部に格納されると、当該印刷物の受渡方法を前記顧客に通知する受渡方法通知部をさらに備える、
請求項1又は2に記載のプリント自動販売装置。
【請求項4】
前記格納部の残り容量が所定の閾値より少ないことを管理者に通知する格納部飽和警告部をさらに備える、
請求項1〜3のいずれかに記載のプリント自動販売装置。
【請求項5】
前記印刷物の受け渡し予定時刻に基づき前記印刷物の印刷開始時間を調整するプリント時間管理部をさらに備える、
請求項1〜4のいずれかに記載のプリント自動販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−221050(P2012−221050A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83819(P2011−83819)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】