説明

プルロムチリン誘導体を使用する結核症治療

【課題】マイコバクテリウム属によって引き起こされる疾患の予防又は治療方法であって、治療が必要な被験体に、有効量のプルロムチリンを投与する治療方法であり、結核症の治療に有効な抗生物質を提供する。
【解決手段】マイコバクテリウム属によって媒介される疾患の治療のために例えば、下式の様なプルロムチリンの使用、投与方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルロムチリン(pleuromutilin)による、マイコバクテリウム属、例えば、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(ヒト型結核菌)によって媒介される疾患の治療のような、結核症治療に関する。
【背景技術】
【0002】
結核症は、マイコバクテリウム・ツベルクロシスによる感染によって媒介される慢性感染症である。結核症は、発展途上国に於ける主要な疾患であり、同様に世界の先進国に於ける増加する問題である。この感染は、かなりの期間無症候性であるけれども、この疾患は、発熱及び痰を伴わない咳になる、肺の急性炎症として最も一般的に明らかにされている。治療しない場合には、典型的に重い合併症及び死に至る。結核症は、一般的に、イソニアジド、例えば、メルク・インデックス(The Merck Index)、第12版、アイテム5203参照;リファンピン(リファピシン(登録商標))、例えば、メルク・インデックス、第12版、アイテム8382参照;ストレプトマイシン、例えば、メルク・インデックス、第12版、アイテム8983参照での治療によるような、抗生物質治療によって蔓延を食い止めることができるが、主な問題は、このような抗生物質に対する株の薬物耐性の発生である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者等は、マイコバクテリウム・ツベルクロシスのようなマイコバクテリウム属によって起こされる疾患の治療に於いて、例えば、薬物耐性株に対しても驚くべき活性を示す化合物種類を見出した。
【0004】
一つの局面に於いて、本発明は、マイコバクテリウム属によって媒介される疾患の治療のための医薬の調製に於けるプルロムチリンの使用を提供する。
【0005】
他の局面に於いて、本発明は、マイコバクテリウム属によって媒介される疾患の治療方法であって、このような治療が必要な被験体に、有効量、例えば、抗マイコバクテリウム有効量のプルロムチリンを投与することを含む方法を提供する。
【0006】
マイコバクテリウム属には、M.ツベルクロシスが含まれる。マイコバクテリウム属によって媒介される疾患には、マイコバクテリウム感染が含まれる。治療するためのプルロムチリンには、1種以上のプルロムチリン、例えば、異なったプルロムチリンの組合せ物が含まれる。治療には、治療及び予防が含まれる。本発明に従って使用するための又は本発明に従って疾患を治療するためのプルロムチリンは、以下、「本発明の(本発明に従った)プルロムチリン(群)」として指定される。
【0007】
本発明のプルロムチリンには、遊離塩基の形態でのプルロムチリン並びに存在する場合には、塩の形態での、溶媒和物の形態での及び塩と溶媒和物との形態での、例えば、シクロデキストリン複合体(complex)のような複合体の形態でのプルロムチリンが含まれる。本発明のプルロムチリンは、例えば、ジアステレオ異性体及びそれらの混合物を含む、異性体及びそれらの混合物の形態で存在してもよい。異性体混合物は、適切なとき、例えば、純粋な異性体を得るための、一般的な方法に従って分離することができる。本発明には、下記に引用する特許文献(この特許文献は、プルロムチリンの異性体形態に関して、参照してここに組み込まれる)に記載されているように、全ての異性体形態及び全ての異性体混合物での本発明に従ったプルロムチリンが含まれる。好ましくは、ムチリン(mutilin)環内の立体配置は、天然に産生されるムチリンに於けるのと同じものである。
【0008】
式:
【0009】
【化1】

の化合物であるプルロムチリンは、例えば、basidomycetes Pleurotus mutilus及びP.passeckerianusによって産生される、天然に生じる抗生物質である。例えば、メルク・インデックス、第12版、アイテム7694参照。
【0010】
プルロムチリンの基本環構造を有し、そして抗生物質活性を有する多数の更なるプルロムチリンが開発されてきた。
【0011】
本発明のプルロムチリンは、式:
【0012】
【化2】

[式中、Rは、ビニル又はエチルであり、そして点線は、結合であるか又は結合無しである]
に示されるような基本的構造要素を有するプルロムチリンが含まれる。
【0013】
下記のナンバリングシステムが、本願で使用される。
【0014】
【化3】

【0015】
位置19と位置20との間(及び位置1と位置2との間)の点線は、結合であるか又は結合無しである。式Aの化合物又は式PLEUの化合物に於いて、環系の位置4、7及び/又は8に於ける水素原子は、ジュウテリウムによって置き換えることができ、位置1と位置2との間の点線が結合無しである(位置1と位置2との間の単結合)場合、環系は、位置1及び/又は2に於いて、例えば、ハロゲン、ジュウテリウム又はヒドロキシによって更に置換されていてよい。位置14に於ける基−O−は、好ましくは、置換されたカルボニル基によって更に置換されている。
【0016】
本発明に従ったプルロムチリンの例には、例えば、下記の化合物が含まれる。
【0017】
米国特許第3,716,579号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0018】
【化4】

[式中、Rは、CH−(CH−CH=CH−(CH−COO−、CH−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CH−COO−、CH−(CH−CH=CH−(CH−COO−又は水素である]
の化合物;
英国特許第1,312,148号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0019】
【化5】

[式中、X、Y及びZは、下記のグループの何れか一つによって定義される通りである、
a.Xは−CO−CH−R(式中、Rは、H、Cl、Br、I、チオシアナト、アジド、(N,N−テトラメチレンチオカルバモイル)−メルカプト、ジチオ炭酸−O−(C1−3)アルキル、−S−フェニル、カルボキシルにより若しくは1個若しくは2個のOHによって置換された−S−フェニル、−S−ピリジル、−S−ベンジル、−S−(C1−5)アルキル又は1個以上のアミノ、OH若しくはカルボキシルによって置換された−S−(C1−5)アルキルである)であり、Yはビニルであり、そしてZはHである;
b.Xは−CO−CO−OHであり、Yはビニルであり、そしてZはHである;
c.Xは−COCHであり、Yはビニルであり、そしてZはHである;
d.XはCOCHNHであり、Yはエチルであり、そしてZはHである;
e.Xは式
【0020】
【化6】

の基であり、Yはエチルであり、そしてZはHである;
f.XはHであり、Yはビニルであり、そしてZはアセチルである;又は
g.XはCOR(式中、Rは(C1−5)アルキルである)であり、Yはビニルであり、そしてZはHである]
の化合物;
米国特許第4,278,674号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0021】
【化7】

[式中、Rは、ビニル又はエチルであり、nは2から5の整数であり、Xは硫黄又は基−Y−フェニレン−Z−若しくは基=NRであり、Y及びZは共に硫黄であるか又はY及びZの一方は硫黄であり、そして他方は酸素であり、RはH又は式I−US4278674(式中、Rは前記定義された通りであり、そして位置14で−O−CO−CH−基を介して結合されている)の第二ムチリン環であり、R及びRのそれぞれは(お互いから独立に)(C1−10)アルキルであり又はR及びRは、窒素原子と一緒に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ若しくは1−ヘキサヒドロ−1H−アゼピノを形成し又はR及びRは、窒素原子と一緒に、ピペラジニルを形成し、その第二窒素原子は、(C1−5)アルキル、(C1−4)ヒドロキシアルキル、(C2−5)アルキノイルオキシ(C1−4)アルキル若しくはベンゾイルオキシ(C1−4)アルキルによって置換されており、又は
は前記定義された通りであり、n=2であり、Rは、(C1−10)アルキル、(C1−4)ヒドロキシアルキル、(C2−5)アルキノイルオキシ(C1−4)アルキル若しくはベンゾイルオキシ(C1−4)アルキルであり、Xは=NR’であり、そしてRは、R’と一緒に、例えば、式
【0022】
【化8】

のチアムリン(tiamulin)としても知られている、14−デスオキシ−14−[(2−ジエチルアミノエチル)メルカプトアセトキシ]ムチリンのように、両方の窒素原子の間のエチレン橋を形成する]
の化合物;
米国特許第4,130,709号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0023】
【化9】

[式中、Rはエチル若しくはビニルであり、Rは、ヘキソピラノース、ヘキソフラノース、ペントピラノース、ペントフラノース、ピラノース及びフラノースアミノ糖のα−若しくはβ−アノマー、二糖類、三糖類から選択され、そしてRは、H、ベンゾイル若しくは(C2−4)アルカノイルであり、又はRは、2−デオキシ−2−(ヒドロキシイミノ)−3,4,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル若しくは−ガラクトピラノシル、2−デオキシ−2−(ヒドロキシイミノ)−α−D−ガラクトピラノシル、2−デオキシ−2−アミノ−4,6−ジ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル若しくは2−デオキシ−2−アセトアミド−3,4,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルであり、そしてRはHである]
の化合物;
米国特許第4,129,721号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0024】
【化10】

の化合物並びにその19,20−ジヒドロ誘導体及びそのテトラ(C2−6)アルカノイル誘導体;
欧州特許第0013768号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0025】
【化11】

[式中、Rはビニル又はエチルであり、mは0又は1であり、そしてRは、O、S及びNから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員又は6員の不飽和又は飽和複素環式環が、−S(CH−基に結合している、複素環式基である]
の化合物;
欧州特許第0153277号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0026】
【化12】

[式中、Rはビニル又はエチル(位置19及び20)であり、そしてRは、場合によりヒドロキシ置換されたアミノアルキル又は5−員飽和複素環である]
のような、N−アシル−14−O−[(1−アミノ−2−メチルプロパン−2−イル)チオアセチル]−ムチリン若しくは19,20−ジヒドロムチリン、例えば、式:
【0027】
【化13】

のバルネムリン(Valnemulin)(エコノル(Econor)(登録商標))を含む;
米国特許第516526号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0028】
【化14】

(式中、R及びRは、お互いから独立に、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである)
の化合物;
国際公開第9322288号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0029】
【化15】

[式中、R及びRは、お互いから独立に、H、アルキルであり又はR及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒に、シクロアルキルであり、そしてR及びRは、お互いから独立に、H、アルキル又は置換されたアルキルである]
の化合物;
国際公開第9725309号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0030】
【化16】

[式中、Yはカルバモイルオキシであり、そのN−原子は、置換されていないか又は式:
【0031】
【化17】

[式中、Rはビニル又はエチルであり、R及びRは、お互いから独立に、H若しくは場合により置換された
−飽和若しくは不飽和(C1−6)炭化水素若しくは(C3−8)環式炭化水素、
−ヘテロシクリル若しくはアリール
であり、又は
及びRは、一緒に、1個の、N、O及びSから選択された追加のヘテロ原子を場合により含有し、そして炭化水素環、複素環式基若しくは芳香族基に場合により縮合した、3から8個の環原子からなる場合により置換された環式基を形成し、又は
は、上記の一価の基の1種であり、そしてRは、SO、COR、OR及びNR(式中、
は、場合により置換された
−飽和又は不飽和(C1−6)炭化水素又は(C3−8)環式炭化水素、
−ヘテロシクリル、アリール、(C1−6)アルキルアミノ又はアリールアミノ
であり、
は、場合により置換された
−飽和又は不飽和(C1−6)炭化水素又は(C3−8)環式炭化水素、
−ヘテロシクリル又はアリール
であり、
及びRは、お互いから独立に、H若しくは場合により置換された
−飽和若しくは不飽和(C1−6)炭化水素若しくは(C3−8)環式炭化水素、
−ヘテロシクリル若しくはアリール
であり、又は
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、1個の、N、O若しくはSから選択された追加のヘテロ原子を場合により含有し、そして炭化水素環、複素環式環若しくは芳香族基に場合により縮合した、場合により置換された(C3−8)環式基を形成する)から選択された基である)
の化合物のように、モノ置換又はジ置換されている]
の化合物:
国際公開第9805659号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0032】
【化18】

(式中、Rはビニル又はエチルであり、そしてRは、基R、RCH−又はRCH=CH−(式中、R及びRのそれぞれはアザ二環式環系であり、又はR及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒に、アザ二環式環系を形成する)である)
の化合物;
国際公開第9821855号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0033】
【化19】

[式中、n及びmは、お互いから独立に、0、1又は2であり、Xは、O、S、S(O)、SO、−COO−、−NH−、−CONH−、−NHCONH−又は結合であり、Rはビニル又はエチルであり、Rは、1個又は2個の塩基性窒素原子を含有し、環炭素原子を介して結合している、非芳香族単環式又は二環式基であり、例えば、Rは、場合により置換されたキヌクリジニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アザビシクロ[4.3.0]ノニル、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、アザビシクロ[3.3.0]オクチル、アザビシクロ[2.2.2]オクチル、アザビシクロ[3.2.1]オクテニル、アザビシクロ[3.3.1]ノニル又はアザビシクロ[4.4.0]デシルであり、RはH、OHであり;又はIA若しくはIBの位置14での単位R(CHX(CHCHCOOは、RC=CHCOO(式中、R若しくはRの一方は水素であり、そして他方はRであり、又はR及びRは一緒にRを形成する)によって置換されている]
の化合物;
国際公開第0007974号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0034】
【化20】

[式中、Rはビニル又はエチル(位置19及び20)であり、そしてRCOO−は、アシルオキシ、例えば、HOCHCO−又はR−X−CHCO−(式中、Xは、O、S又はNR’であり、そしてR及びR’は、お互いから独立に、脂肪族又は芳香族基である)であり、好ましくはRCOO−は、基RNCO−(式中、R及びRは、種々の意味を有する(例えば、R及びRは、国際公開第9725309号明細書に於いてR及びRの意味について開示されているような意味を有する))のようなカルバモイル基である]
のような、2−フルオロ置換基を有する、ムチリンの14−アシルオキシ誘導体又は19,20−ジヒドロムチリン;
国際公開第0027790号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0035】
【化21】

[式中、Rは、R(CHO(CH、R(CH、又は式:
【0036】
【化22】

(式中、Rは、1個又は2個の塩基性N原子を含有する、スピロ縮合した単環式環又は二環式環であり、同じか又は異なっていてよいX及びXは、それぞれ−CH−又は−C=Oであり、但し、X及びXの少なくとも1個は−C=Oであり、そしてYは、−NH−、−CH−又は−CH−CH−ものとする)
の基であり、Rは、場合により置換された、アリール基又は炭素原子を介して結合されたヘテロアリール基であり、例えば、Rは、場合により置換された、フェニル、チエニル、ピリジニル、フリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル又はベンズチアゾリルであり、mは1、2又は3であり、nは0、1又は2であり、pは1から4であり、Rはビニル又はエチルであり、そしてRはH、OH若しくはFでありそしてRはHであるか、又はRはHでありそしてRはFである]
の化合物;
国際公開第0037074号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0037】
【化23】

[式中、Rは、少なくとも1個のN原子を有する5員のヘテロ芳香族環を含む場合により置換されたヘテロアリール基、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、2−アザ−インドール又は6−アザインドールであり、そしてこれはN原子を介して結合しており、Rはビニル又はエチルであり、RはH、OH若しくはFでありそしてRはHであるか、又はRはHでありそしてRはFである]
の化合物;
国際公開第0073287号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0038】
【化24】

[式中、Rは、場合により置換されたアリール、例えば、アザビシクロオクチル、又は場合により置換された窒素含有基、例えば、ピペリジニルであり、Rはビニル又はエチルであり、RはH、OH若しくはFでありそしてRはHであるか、又はRはHでありそしてRはFである]
の化合物;
国際公開第0114310号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0039】
【化25】

[式中、Rは、窒素含有複素環、場合により置換されたアリール若しくは場合により置換されたヘテロアリール又はCHであり、例えば、Rは、場合により置換された、フェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピリミジン−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、2H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、アザビシクロヘプチル、アザビシクロオクチル又はピペリジニルであり、Rはビニル又はエチルであり、RはH、OH若しくはFでありそしてRはHであるか、又はRはHでありそしてRはFであり、Rはハロゲン又はSRであり、そしてRは、アミノアルキル、窒素含有複素環、又は場合により置換されたアリール若しくは場合により置換されたヘテロアリールであり、例えば、Rは、場合により置換された、フェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピリミジン−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル、2H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、アザビシクロヘプチル、アザビシクロオクチル又はピペリジニルである]
の化合物;
国際公開第0109095号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0040】
【化26】

[式中、Rは水素又はアルキルであり、Rは、水素又は式:
【0041】
【化27】

(式中、Xは、S、O又はNR10(式中、R10はH又はアルキルである)又はN(R’10(式中、R’10は、適切なアニオンの存在下でアルキルである)であり、そしてRは、アミノ、アルキル、アリール、ヘテロシクリル又はメルカプトであり、そしてXが酸素である場合、Rは追加的に水素である)
の基であり、Rはアリーレン、例えばフェニレン又はヘテロシクレンであり、Rは水素又はアルキルであり、Rは水素又はアルキルであり、R、R’、R、R及びRは、お互いから独立に、水素又はジュウテリウムであり、又はR及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、非芳香族ヘテロシクレンを形成し、そしてRは、式:
【0042】
【化28】

(式中、X及びRは、前記定義された通りである)
の基である]
の化合物、例えば、式:
【0043】
【化29】

[式中、R1sは、水素又は式:
【0044】
【化30】

(式中、R6sは、水素又はジュウテリウムであり、R2sは、水素、メチル又はtert−ブチルであり、R7sは、水素又はメチルであり、そしてR3s、R4s及びR5sは、水素又はジュウテリウムである)
の基である]
の化合物;
国際公開第0174788号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0045】
【化31】

[式中、Rは、5員又は6員の場合により置換されたヘテロアリール基、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イソキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンズイミダゾール、3−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン又はピラゾロ[1,5−a]ピリミジンであり、そしてRはビニル又はエチルである]
の化合物;
国際公開第0204414号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0046】
【化32】

[式中、Rは水素であり、Rは、水素又は式:
【0047】
【化33】

(式中、Xは、硫黄、酸素又はNR10(式中、R10は水素又はアルキルである)であり、そしてRは、アミノ、アルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、そしてXが酸素である場合、Rは追加的に水素である)
の基であり、Yは硫黄又は酸素であり、Rは水素又は1個以上の置換基であり、Rは水素又はアルキルであり、Rは水素又はアルキルであり、R及びR’は水素、ジュウテリウム又はハロゲンであり、R、R及びRは、水素又はジュウテリウムであり、mは0〜4から選択された数字であり、nは0〜10から選択された数字であり、そしてpは0〜10から選択された数字であり、但し、nプラスpは少なくとも1であるものとする]
の化合物のような、14−O−[(シクロアルキル−スルファニル)アセチル]ムチリン、14−O−[(シクロアルキル−アルキル−スルファニル)アセチル]ムチリン、14−O−[(シクロアルコキシ)アセチル]ムチリン又は14−O−[(シクロアルキル−アルコキシ)アセチル]ムチリンから選択された化合物;例えば、式:
【0048】
【化34】

(式中、R1pは、水素又はアミノ酸の残基である)
の化合物;
国際公開第0212199号明細書に開示されているような化合物、例えば、式:
【0049】
【化35】

[式中、Rは、
−環炭素原子を介して結合された5員又は6員の芳香族又はヘテロ芳香族環、好ましくはピリジルであって、結合の炭素に隣接する環炭素上のハロ、RO−、RS−又はRN−から選択された置換基を含む、
−環炭素原子を介して結合され、そして1個の酸素原子又は1個若しくは2個の窒素原子を含み、そしてフェニル、1個若しくは2個の窒素原子を含む5員若しくは6員のヘテロアリール環、又は硫黄、酸素若しくは窒素原子を含む5員若しくは6員のヘテロシクリル環に場合により縮合され、そして結合の炭素に隣接する環炭素上のオキソ又はチオキソから選択された置換基を更に含む、5員又は6員のジヒドロヘテロ芳香族環、
−環炭素原子を介して結合され、1個又は2個の窒素原子を含み、オキソ又はチオキソから独立に選択された2個の置換基(置換基の1個は、結合の炭素に隣接する環炭素上に存在する)を更に含む、6員のテトラヒドロヘテロ芳香族環、又は
−環炭素原子を介して結合され、そして9個又は10個の環原子及び1から4個の窒素原子を含む、二環式ヘテロアリール環
であり、Rの環は、場合により更に置換されていてよく、Rはビニル又はエチルであり、RはH、OH若しくはFでありそしてRはHであるか、又はRはHでありそしてRはFであり、そしてR及びRは一緒にオキソ基を形成し、又はR及びRはそれぞれHであり、RはH若しくはOHであり、RはHであるか又はRはHであり、RはH若しくはOHであり、Rは、場合により置換された(C1−6)アルキルであり、そしてR及びRは、水素又は場合により置換された(C1−6)アルキルから独立に選択される]
の化合物;
国際公開第0222580号明細書に開示されているような化合物、式:
【0050】
【化36】

[式中、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピロリジニル又はピペリジニルを形成し、Rは、式:
【0051】
【化37】

の基であり、R及びR’は、水素、ジュウテリウム又はハロゲンであり、Rは水素又はアルキルであり、Rは水素又はアルキルであり、R、R及びRは、水素又はジュウテリウムであり、Rは、アミノ、アルキル、アリール、ヘテロシクリル又はメルカプトであり、そしてXが酸素である場合、Rは追加的に水素であり、R10は水素又はアルキルであり、R’10はアルキルであり、Xは、硫黄、酸素、NR10又は適切なアニオンの存在下でN(R’10であり、Yは硫黄又は酸素であり、そしてmは0、1又は2であり、但し、R及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピペリジニルを形成し、mが0であり、YがSであり、そしてYが、該ピペリジン環の位置3で結合しているとき、残基Yを介してピペリジン環に結合している式Iの基は、(S)−立体配置又は(R)−立体配置のいずれか、好ましくは(S)−立体配置になっているものとする]
の化合物、好ましくは、式:
【0052】
【化38】

[式中、R3p、R’3p、R6p、R7p及びR8pは、インデックス番号に対応して、R、R’、R、R及びRについて式I−WO0222580の化合物について定義された通りであり、そしてR5pは、水素又は1個以上の置換基であり、そして硫黄原子を介してピペリジン環に結合している基が、該ピペリジン環の位置3にあり、そしてR5pが水素である場合、硫黄原子に結合している基は、(S)−立体配置又は(R)−立体配置のいずれかになっている]
の化合物、
式:
【0053】
【化39】

[式中、R3q、R’3q、R6q、R7q及びR8qは、インデックス番号に対応して、R、R’、R、R及びRについて式I−WO0222580の化合物について定義された通りであり、そしてR5qは、水素又は1個以上の置換基、好ましくは水素であり、そしてRは、カルボキシル基が分離除去された場合に残留するアミノ酸のその部分である]
の化合物、
式:
【0054】
【化40】

[式中、R3r、R’3r、R4r、R6r、R7r及びR8rは、インデックス番号に対応して、R、R’、R、R、R及びRについて式I−WO0222580の化合物について定義された通りであり、そしてR5rは、水素又は1個若しくは2個以上の置換基であり、そしてR1rは、カルボキシル基が分離除去された場合に残留するアミノ酸のその部分である]
の化合物、又は式:
【0055】
【化41】

[式中、R3s、R’3s、R4s、R6s、R7s及びR8sは、インデックス番号に対応して、R、R’、R、R、R及びRについて式I−WO0222580の化合物について定義された通りであり、そしてR5sは、水素又は1個以上の置換基、好ましくは水素であり、そしてR1sは、カルボキシル基が分離除去された場合に残留するアミノ酸のその部分であり、例えば、式Iの化合物に於いて、硫黄原子を介してピペリジン環に結合している基は、(S)−立体配置又は(R)−立体配置のいずれかになっており、例えば、基R1sに於いて、アミノ酸残基のアミン基は、(S)−立体配置又は(R)−立体配置のいずれかになっている]
の化合物。
【0056】
更に、本発明者等は、抗菌活性及びマイコバクテリウム・ツベルクロシスに対する活性を示す、新規なプルロムチリンを見出した。
【0057】
他の局面に於いて、本発明は、式:
【0058】
【化42】

(式中、REXは、表1に記載した通りである)
の化合物からなる群から選択されたプルロムチリンを提供する。表1の全ての実施例に於いて、化合物は、化合物が式I’EXのものである実施例12を除いて、式IEXのものである。説明された、そして実施例に記載したような方法に従って、例えば、類似して得られた化合物のH−NMRデータも、表1に示す。
【0059】
【表1】





【0060】
他の局面に於いて、本発明は、式:
【0061】
【化43】

[式中、点線は結合であり(位置a=b間で二重結合)、R1Aは水素であり、そしてR2Aは存在しない、又は
点線は結合無しであり(位置a−b間で単結合)、そして、R1A及びR2Aは、お互いから独立に、水素、ハロゲン若しくはジュウテリウムであり、
3Aは(C1−6)アルキルであり、
4Aは、水素、(C1−6)アルキル、基−C(=NH)−NH、又はアミノ酸の残基であり、
5Aは水素であり、又は
4A及びR5Aは、一緒に、基=CH−NHであり、
6Aは、水素又はジュウテリウムであり、そして
は、0、1、2、3、4又は5である]
の化合物を提供する。
【0062】
式IAの化合物に於いて、好ましくは、
点線は結合無しであり、
1Aは水素であり、
2Aは水素であり、
3Aは、メチルのような(C1−4)アルキルであり、
4A及びR5Aは、上記定義された通りであり、
6Aは水素であり、そして
は、2、3又は4であり、
例えば、式:
【0063】
【化44】

(式中、REXは、表2に記載した通りである)
の化合物からなる群から選択されたプルロムチリンを含む。説明された、そして実施例に記載したような方法に従って、例えば、類似して得られた化合物のH−NMRデータも、表2に示す。
【0064】
【表2】




【0065】
他の局面に於いて、本発明は、式:
【0066】
【化45】

(式中、R1Bは、前記定義された通りのR1Aの意味を有し、
2Bは、前記定義された通りのR2Aの意味を有し、
10Bは、前記定義された通りのR6Aの意味を有し、
点線は、前記定義された通りの意味を有し、
は、前記定義された通りのmの意味を有し、
3Bは、水素又は(C1−6)アルキルであり、
は、−O−R4B又は−NR5B6Bであり、
4Bは、水素又は基−NR7B8Bによって場合により置換された(C1−6)アルキルであり、
5B及びR6Bは、お互いから独立に、(C1−4)アルキルであり、
7B及びR8Bは、お互いから独立に、(C1−4)アルキルであり又は
7B及びR8Bは、それらが結合している窒素原子と一緒に、5から8個の環員を有する脂肪族ヘテロシクリルを形成し、そして
9Bは、水素又は(C1−4)アルキルである)
の化合物のような、14−O−(オキシミノ−(C3−8)シクロアルキルスルファニルメチルカルボニル)−プルロムチリン及び14−O−(ヒドラゾノ−(C3−8)シクロアルキルスルファニルメチルカルボニル)−プルロムチリンを提供する。
【0067】
式Iの化合物に於いて、好ましくは、
1Bは水素であり、
2Bは水素であり、
点線は存在せず(単結合)、
は2、3又は4であり、
3Bは、水素又はメチルのような(C1−4)アルキルであり、
は、前記定義された通りであり、
4Bは、水素又は基−NR7B8Bによって置換された(C1−4)アルキル、例えばエチルであり、
5B及びR6Bは前記定義された通りであり、
7B及びR8Bは、お互いから独立に、(C1−4)アルキル、例えば、エチルであり又はR7B及びR8Bは、それらが結合している窒素原子と一緒に、ピロリジン若しくはピペリジンを形成し、
9Bは前記定義された通りであり、そして、
10Bは水素であり、
例えば、式:
【0068】
【化46】

(式中、REXは、表3に記載した通りである)
の化合物からなる群から選択された、14−O−(オキシミノ−(C3−8)シクロアルキルスルファニルメチルカルボニル)−プルロムチリン及び14−O−(ヒドラゾノ−(C3−8)シクロアルキルスルファニルメチルカルボニル)−プルロムチリンを含む。説明された、そして実施例に記載したような方法に従って、例えば、類似して得られた化合物のH−NMRデータも、表3に示す。
【0069】
【表3】




【0070】
他の局面に於いて、本発明は、式:
【0071】
【化47】

[式中、R1Cは、前記定義された通りのR1Aの意味を有し、
2Cは、前記定義された通りのR2Aの意味を有し、
点線は、前記定義された通りの意味を有し、
4Cは、前記定義された通りのR6Aの意味を有し、そして
3Cは、アミノ、(C1−4)アルキルアミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ、アミノ酸の残基、ヒドロキシ又は(C1−4)アルコキシである]
の化合物を提供する。
【0072】
式Iの化合物に於いて、好ましくは、
1Cは水素であり、
2Cは水素であり、
4Cは水素であり、
点線は存在せず(単結合)、そして
3Cは、アミノ、ジ(C1−4)アルキルアミノ又はアミノ酸の残基であり、
例えば、式:
【0073】
【化48】

(式中、REXは、表4に記載した通りである)
の化合物からなる群から選択されたプルロムチリンを含む。説明された、そして実施例に記載したような方法に従って、例えば、類似して得られた化合物のH−NMRデータも、表4に示す。
【0074】
【表4】



【0075】
他の局面に於いて、本発明は、14−O−(ヒドロキシ−又はオキソ)−(ヘテロシクリルスルファニルメチルカルボニル)−プルロムチリン(但し、ヘテロシクリルは、ヘテロ原子として1個の窒素を含む、4から8個の環員、好ましくは5から7個の環員の脂肪族環である)、例えば、式:
【0076】
【化49】

[式中、R1Dは、前記定義された通りのR1Aの意味を有し、
2Dは、前記定義された通りのR2Aの意味を有し、
4Dは、前記定義された通りのR6Aの意味を有し、
点線は、前記定義された通りの意味を有し、そして
3Dは、4から8個の環員の、ヘテロ原子として1個の窒素原子を含む脂肪族ヘテロシクリル又は(C4−8)シクロアルキル(但し、ヘテロシクリル又はシクロアルキルは、ヒドロキシ又はオキソによって置換されている)である]
の化合物を提供する。
【0077】
式Iの化合物に於いて、好ましくは、
1Dは水素又はジュウテリウムであり、
2Dは水素又はジュウテリウムであり、
点線は存在せず(単結合)、
3Dは、前記定義された通りであり、例えば、ヘテロシクリルは、好ましくは5から7個の環員を有し、例えば、ヒドロキシピロリジノ、ヒドロキシピペリジノ、オキソ−ペルヒドロアゼピニルのようなヘテロシクリルは、炭素結合を介して式IDの化合物中の硫黄に結合し、そしてシクロアルキルは、好ましくは(C5−6)シクロアルキル、例えば、シクロペンタノイルであり、
4Dは水素又はジュウテリウムであり、
例えば、式:
【0078】
【化50】

(式中、REXは、表5に記載した通りである)
の化合物からなる群から選択されるプルロムチリンを含むものからなる群から選択される、14−O−(ヒドロキシ−又はオキソ−ヘテロシクリルスルファニルメチルカルボニル)−プルロムチリン(但し、ヘテロシクリルは、ヘテロ原子として1個の窒素を含む、4から8個の環員、好ましくは5から7個の環員の脂肪族環である)を含む。表5の化合物は、式I”EXの化合物である実施例41の化合物を除いて、式IEXの化合物である。説明された、そして実施例に記載したような方法に従って、例えば、類似して得られた化合物のH−NMRデータも、表5に示す。
【0079】
【表5】


【0080】
表1から表5に記載した通りの式の化合物並びに式I、I、I、I、IEX、I’EX及びI”EXの化合物を含む、本発明によって提供される新規な化合物を、本明細書に於いて、「本発明の(に従った)新規な化合物(群)」と指定する。「アミノ酸の残基」には、本発明の新規な化合物の何れか1種に於いて定義されるときはいつも、例えば、天然及び合成アミノ酸、例えば、バリン及び本明細書中で定義された他のアミノ酸、最も好ましくはバリンを含む、アミノ酸のその部分が含まれ、カルボン酸基からヒドロキシ基が分離除去される場合に残るもの、例えば、バリン[HO−CO−CH(NH)−CH(CH]の場合には、残基−CO−CH(NH)−CH(CHが含まれる。
【0081】
本発明の新規な化合物に於いて、それぞれの単一の定義された置換基は、例えば、定義されたそれぞれの他の置換基から独立に、好ましい置換基であってよい。
【0082】
本発明の新規な化合物には、全ての形にある、例えば、遊離形態、塩の形態、溶媒和物の形態並びに塩及び溶媒和物の形態にある化合物が含まれる。
【0083】
他の局面に於いて、本発明は、塩の形態にある本発明の新規な化合物を提供する。
【0084】
本発明の新規な化合物の塩には、例えば、金属塩又は酸付加塩を含む、医薬適合性の塩が含まれる。金属塩には、例えば、アルカリ塩又はアルカリ土類塩が含まれ、酸付加塩には、式Iの化合物と、酸、例えば、水素フマル酸(hydrogen fumaric acid)、フマル酸、ナフタリン−1,5−スルホン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、塩酸、ジュウテロ塩酸(deuterochloric acid)、好ましくは塩酸との塩が含まれる。遊離形にある本発明の新規な化合物は、塩の形にある対応する化合物に転換させることができ、その逆も同様である。遊離形態又は塩の形態及び溶媒和物の形態にある本発明の新規な化合物は、遊離形態又は非溶媒和形態にある塩の形態にある対応する化合物に転換させることができ、その逆も同様である。
【0085】
本発明の新規な化合物は、異性体及びそれらの混合物、例えば、光学異性体、ジアステレオ異性体、シス−、トランス−配座異性体の形態で存在することができる。本発明の化合物には、例えば、非対称炭素原子が含有されていてよく、それでジアステレオ異性体及びそれらの混合物、例えば、ラセミ化合物の形態で存在し得る。例えば、本発明の新規な化合物には、アミノ酸の残基が含まれていてよい。このようなアミノ酸残基に於いて、アミノ基が結合している炭素原子は、非対称炭素原子であり得、それで結合しているアミノ基は、R−又はS−立体配置にあり得る。本発明の新規な化合物は、例えば、スルファニル基に結合されたシクロアルキルを含んでよく、このシクロアルキルは更に置換されていてよく、該置換基はシス又はトランス配座で存在し得る。例えば、スルファニル基が結合しているシクロアルキル基の炭素原子は、例えば、該シクロアルキル基が更に置換されている場合には非対称であり得、該シクロアルキル基に結合している置換基は、R−又はS−立体配置であり得る。例えば、本発明の新規な化合物は、また、オキシム基を含んでいてよい。イミノ基に結合されたヒドロキシ基は、シン立体配置又はアンチ立体配置にあってよい。異性体混合物は、適切なとき、例えば、純粋な異性体を得るために一般的な方法に従って、例えば類似して、分離することができる。本発明には、全ての異性体形態にある及び全ての異性体混合物にある本発明の新規な化合物が含まれる。本発明には、また、互変異性体が存在し得る場合には、本発明の新規な化合物の互変異性体が含まれる。
【0086】
本明細書に記載した全ての化合物、例えば、本発明の新規な化合物は、適切なとき、例えば、一般的な方法に従って、例えば、同様にして、例えば、又は本明細書に特定されたようにして、製造することができる。
【0087】
他の局面に於いて、本発明は、式:
【0088】
【化51】

(式中、R1Pは、前記定義された通りのR1Aの意味を有し、
2Pは、前記定義された通りのR2Aの意味を有し、
3Pは、前記定義された通りのR6Aの意味を有し、
点線は、前記定義された通りの意味を有し、そして
は、特許請求項6から11の何れか1項に記載した通りの意味を有する)
の化合物の製造方法であって、
a.式:
【0089】
【化52】

(式中、R1P及びR2Pは、前記定義された通りであり、そして点線は、前記定義された通りの意味を有する)
の化合物をチオ尿素と反応させ、続いて還元して、式:
【0090】
【化53】

(式中、R1P及びR2Pは、前記定義された通りである)
の化合物を得る工程、
b.工程aで得られた式IIの化合物を、式:
−H
(式中、Rは、前記定義された通りであり、反応性形態、例えばメシラート又はトシラートであり、場合により保護された形態である)
の化合物と反応させて、式Iの化合物(即ち、本発明の新規な化合物)を得るか又は式Iの化合物の前駆体(pre−form)を得る工程、
c.場合により更に、工程b.で得られた前駆体を反応させて、式Iの化合物を得る工程、例えば、ジュウテリウムを導入して、式I(式中、置換基は前記定義された通りである)の化合物を得る工程、及び
d.工程b.又は工程c.で得られた式Iの化合物を、反応混合物から単離する工程
を含む方法を提供する。
【0091】
は、
置換された(C4−8)シクロアルキル、
置換されたフェニル、
4から8個の環員を有し、ヘテロ原子として1個若しくは2個の窒素原子を含む、置換された脂肪族ヘテロシクリル、
(置換された)アミノによって置換されたアルキル、
ヘテロシクリルによって置換されたアルキル、又は
それぞれの環内に5個の環員及び1個の酸素原子を含む、置換された二環式脂肪族ヘテロシクリル
であり、例えば、特許請求項6から11に記載されているような、本発明の新規なプルロムチリンに於けるRの意味を含む。
【0092】
本発明によって提供される方法は、本明細書中に引用された特許文献の何れかに記載されているような方法と同様にして、例えば、国際公開第0109095号明細書、国際公開第0204414号明細書及び国際公開第0222580号明細書のような、本明細書中に引用された特許文献中に記載されているような化合物の製造方法と同様にして又は本明細書に記載されているようにして実施することができる。
【0093】
本明細書中に引用された全ての特許文献は、特に、特許請求の範囲及び例えば、置換基の好ましい意味を含む置換基の意味に関して並びに製造方法に関して、参考として援用される。
【0094】
本発明のプルロムチリンには、式Iの本発明の新規な化合物が含まれる。本発明のプルロムチリンには、1種以上の、好ましくは1種の本発明のプルロムチリン、例えば、本発明の1種のプルロムチリン又は異なったプルロムチリンの組合せ物が含まれる。
【0095】
本発明者等は、式Iの化合物を含む本発明の新規な化合物が、国際公開第0109095号明細書、国際公開第0204414号明細書及び国際公開第0222580号明細書に記載されているのと同様の表示で、例えば、国際公開第0109095号明細書、国際公開第0204414号明細書及び国際公開第0222580号明細書に記載されているのと同様の試験システムに於いて並びに追加的に本明細書に記載されている試験システムに於いて、プルロムチリンと同様の薬理学的活性を示すことを見出した。それで、式Iの化合物は、薬剤として有用である。
【0096】
他の局面に於いて、本発明は、薬剤として、好ましくは抗生物質のような抗菌剤として、例えば、マイコバクテリウム・ツベルクロシスのようなマイコバクテリウム属によって媒介される疾患の治療に於ける薬剤としての使用を含む、抗嫌気性菌薬として使用するための式Iの化合物を提供する。
【0097】
他の局面に於いて、本発明は、例えば、例えばブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌、マイコバクテリウム属、例えばマイコバクテリウム・ツベルクロシスから選択された細菌によって媒介される疾患の、そして例えば、マイコプラズマ、クラミジア及び真性嫌気性菌によって媒介される疾患の、微生物疾患の治療のための医薬の調製に使用するための、式Iの化合物を提供する。
【0098】
他の局面に於いて、本発明は、例えば、例えばブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌、マイコバクテリウム属、例えばマイコバクテリウム・ツベルクロシスから選択された細菌によって媒介される疾患の、そして例えば、マイコプラズマ、クラミジア及び真性嫌気性菌によって媒介される疾患の、微生物疾患の治療方法であって、このような治療が必要な被験体に、例えば、製薬的組成物の形態で、有効量の、例えば、式Iの化合物を含有する本発明の新規な化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0099】
治療には、治療及び予防が含まれる。
【0100】
このような治療のために、適切な用量は、勿論、例えば、使用する本発明の化合物の化学的性質及び薬物動力学データ、個々の宿主、投与の方式並びに治療する状態の性質及び重篤度に依存して変化する。しかしながら、一般的に、大きい哺乳動物、例えばヒトで満足できる結果を得るために、指示される一日用量は、約0.05gから約5.0gの本発明の新規な化合物の範囲内であり、例えば、1日4回以下の分割された用量で便利に投与される。
【0101】
本発明のプルロムチリンで、マイコバクテリウム属によって媒介される疾患を治療するために、同様の考慮が適用される。
【0102】
本発明の新規な化合物は、全ての一般的な経路により、例えば、鼻側、頬側、直腸、経口投与を含む経腸的に、例えば、静脈内、筋肉内、皮下投与を含む非経口的に又は例えば、表皮、鼻腔内、気管内投与を含む局所的に、例えば、被覆若しくは非被覆錠剤、カプセル剤、注射可能溶液若しくは懸濁液の形態で、例えば、アンプル、バイアルの形態で、クリーム、ゲル、ペースト、吸入器粉末、泡、チンキ剤、口紅、滴剤、スプレー剤の形態で又は坐剤の形態で投与することができる。
【0103】
マイコバクテリウム属によって媒介される疾患に於いて、本発明のプルロムチリンを投与するために、局所適用を除いて、同様の考慮が適用される。
【0104】
本発明の新規な化合物は、医薬適合性の塩、例えば、酸付加塩若しくは金属塩の形態で又は遊離形態で、場合により溶媒和物の形態で投与することができる。塩の形態での本発明の新規な化合物は、遊離形態での、場合により溶媒和物の形態での本発明の新規な化合物と同じオーダーの活性を示す。
【0105】
マイコバクテリウム属によって媒介される疾患に於いて、本発明のプルロムチリンを投与するために、同様の考慮が適用される。
【0106】
本発明の新規な化合物は、単独で又は1種以上の他の製薬的に活性な薬剤と組み合わせて、本発明に従った薬剤治療のために使用することができる。このような他の製薬的に活性な薬剤には、例えば、抗生物質、例えばセファロスポリン、ペニシリン、エリスロマイシン、テトラサイクリンを含む、他の抗菌剤が含まれる。
【0107】
同様の考慮が、マイコバクテリウム属によって媒介される疾患に於ける本発明のプルロムチリンのために適用されるが、適切な他の製薬的に活性の薬剤には、リファンピシン(リファンピシン(登録商標))、ストレプトマイシン(ストレプトマイシン(登録商標))、エタンブトール(エタンブトール(登録商標))、ピリジナミド(Pyrizinamid)(ピリジナミド(登録商標))のような、マイコバクテリウム属によって媒介される疾患の治療で活性であることが知られている薬剤が含まれる。
【0108】
組合せ物には、2種以上の製薬的に活性な薬剤が同じ配合物中に存在する固定組合せ物、分離した配合物中の2種以上の製薬的に活性な薬剤が、同じパッケージ内で、例えば、同時投与のための使用説明書と共に販売されているキット及び製薬的に活性な薬剤が別々に包装されているが、同時投与又は逐次投与のための使用説明書が付いている自由組合せ物が含まれる。
【0109】
他の局面に於いて、本発明は、少なくとも1種の製薬的賦形剤、例えば、例えば充填材、結合剤、崩壊剤、流動調節剤、滑剤、蔗糖及び甘味剤、芳香剤、保存剤、安定剤、湿潤剤及び/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩及び/又は緩衝剤を含む適切な担体及び/又は希釈剤と一緒に、本発明の新規な化合物、例えば、式Iの化合物を含有し、例えば、更に他の製薬的に活性な薬剤を含有する製薬的組成物を提供する。
【0110】
マイコバクテリウム属によって媒介される疾患で投与するための、本発明のプルロムチリンを含有する製薬的組成物は、上記と同様の賦形剤を含有していてよい。
【0111】
他の局面に於いて、本発明は、少なくとも1種の製薬的賦形剤と一緒に本発明のプルロムチリンを含有し、更に、リファンピシン(リファンピシン(登録商標))、ストレプトマイシン(ストレプトマイシン(登録商標))、エタンブトール(エタンブトール(登録商標))、ピリジナミド(ピリジナミド(登録商標))のような、マイコバクテリウム属、例えば、M.ツベルクロシス感染の治療で有用である他の製薬的に活性な薬剤を含有する製薬的組成物を提供する。
【0112】
このような組成物は、例えば、混合、顆粒化、被覆、溶解又は凍結乾燥方法により、一般的な方法に従って、例えば、同様にして製造することができる。単位剤形には、例えば、1mgから約500mgのような、約0.5mgから約1500mgが含有されていてよい。
【0113】
マイコバクテリウム・ツベルクロシスによって媒介される疾患で投与するための本発明のプルロムチリンは、リファンピシン又はストレプトマイシンと同様の方式で且つ同様の用量で投与することができる。
【0114】
本発明のプルロムチリンは、好ましくは、式I−US4278674の化合物、式I−EP0153277の化合物、I−WO0109095の化合物、I−WO0204414の化合物、式I−WO0222580の化合物、表1の化合物、式Iの化合物又は式Iの化合物からなる群から選択され、
例えば、
−式I−チアムリンの化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式I−バルネムリンの化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0115】
【化54】

の化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0116】
【化55】

の化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0117】
【化56】

の化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0118】
【化57】

の化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0119】
【化58】

の化合物、
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0120】
【化59】

の化合物、
−式:
【0121】
【化60】

の化合物及び
−例えば、塩酸塩の形態での、式:
【0122】
【化61】

の化合物が含まれる。
【0123】
マイコバクテリウム属、例えば、M.ツベルクロシスの株に対する活性は、下記の一般的試験手順に従って測定することができる。
【0124】
一般的試験手順
公知の適切な寒天希釈試験に従って実施する。
【0125】
寒天は基質として使用する。寒天が固化する少し前に、異なった濃度の試験化合物を添加し、尚液体である寒天塊の中に混合する(寒天希釈試験に従って)。試験化合物を含有しない対照も、株成長能力の測定のために調製する。このようにして調製した寒天に、固化後に、マイコバクテリウム・ツベルクロシス株を接種する。インキュベーションは、通常のインキュベーター内で37℃で実施する。栄養補給培地として、ミドルブルック(Middlebrook)7H10+OADC(オレイン、アルブミン、デキストロース、カタラーゼ)エンリッチメント(Enrichment)(pH6.71−6.73)を使用する。
【0126】
株成長の99%を阻害する、寒天中の化合物濃度である、最低阻害濃度(MIC)を、接種して3週間後、4週間後及び5週間後に測定する。
【0127】
本発明のプルロムチリンは、マイコバクテリウム属、例えば、M.ツベルクロシスの株に対して活性を示し、それで、マイコバクテリウム属によって引き起こされる感染の治療に有用である。本発明のプルロムチリンは、驚くべきことに、耐性及び多耐性M.ツベルクロシス株、例えば、結核症の治療に有用である公知の薬物、例えば、イソニアシド(Isoniacid)、リファンピシン、ストレプトマイシンでの治療に対して耐性である株に対しても活性である。
【0128】
下記の実施例に於いて、全ての温度は℃目盛であり、補正しない。下記の略語を使用する。
BOC:tert−ブトキシカルボニル
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeOH:メタノール
MS:質量分光法
RT:室温
TBAF:テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
クロマトグラフィーは、シリカゲル上で実施する。
【0129】
(製造実施例)
I.本発明の(新規な)プルロムチリンの製造
(実施例I−A)
塩酸塩の形態での、14−O−[(N−(3−メチル−2(R)−アミノ−ブチリル)−ピペリジン−3−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリン
I−AA) 14−O−[(N−BOC−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリン
方法1:
532mgの22−O−トシル−プルロムチリンを、10mLのTHF中の、217mgのN−BOC−ぺぺリジン−3(S)−チオール及び112mgのカリウムtert−ブチラートの溶液に添加し、得られた混合物を3時間攪拌し、得られた混合物をEtAcと食塩水との間に分配させ、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[(N−BOC−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンが得られる。
【0130】
方法2:
50mLのEtOH中の、1.97gの22−メルカプト−プルロムチリン、1.39gのN−BOC−3(R)−メチルスルホニルオキシピペリジン及び0.12gのナトリウムの溶液を、90℃で12時間加熱し、得られた混合物から、溶媒を蒸発させ、蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[(N−BOC−ピペリジン−3−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンが得られる。
【0131】
【化62】

【0132】
I−AB) 塩酸塩の形態での、14−O−[(N−(3−メチル−2(R)−アミノ−ブチリル)−ピペリジン−3−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリン
20mLのCHCl及び1mLのTFA中の、280mgの14−O−[(N−BOC−ピペリジン−3−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンの溶液を、RTで30分間攪拌し、得られた混合物から、溶媒を蒸発させる。得られた蒸発残渣を、40mLのCHClで処理し、55mgのN−メチル−モルホリン、110mgのN−BOC−(R)−バリン及び105mgのDCCを添加し、得られた混合物を3時間攪拌する。得られた混合物から、沈殿したジシクロヘキシルウレアを濾別し、得られた濾液をクロマトグラフィーに付す。得られた精製された14−O−[(N−(3−メチル−2(R)−アミノ−ブチリル)−ピペリジン−3−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンを、CHCl中のTFAで処理し、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をエーテル性HClで処理する。塩酸塩の形態での、14−O−[(N−(3−メチル−2(R)−アミノ−ブチリル)−ピペリジン−3−イル)−スルファニルアセチル]−ムチリンが得られる。
【0133】
【化63】

【0134】
(実施例I−B)
塩酸塩の形態での、14−O−[(N−(3−メチル−2(R)−アミノ−ブチリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−2(S)−フルオロ−ムチリン
IBA) 14−O−(トシルオキシアセチル)−2(S)−フルオロ−ムチリン
5mLのCHCl中の500mgの14−O−(ヒドロキシアセチル)−2(S)−フルオロ−ムチリン(例えば、Vyplel Hら、J Fluorine Chem;第23巻、第482頁(1983年)参照)の溶液に、450mgのトルエンスルホン酸無水物及び0.21mLのピリジンを添加し、得られた混合物をRTで4時間攪拌する。得られた混合物をCHClで希釈し、1N HCl、NaHCO水溶液及びHOで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[トシルオキシアセチル]−2(S)−フルオロ−ムチリンが得られる。
【0135】
IBB) 塩酸塩の形態での、14−O−[(N−(3−メチル−2(R)−アミノ−ブチリル)−ピペリジン−3(S)−イル)−スルファニルアセチル]−2(S)−フルオロ−ムチリン
実施例IABの方法と同様にして、14−O−[トシルオキシアセチル]−2(S)−フルオロ−ムチリンから出発して得る。キャラクタリゼーションデータは、表1、実施例12にある。
【0136】
(実施例I−C)
塩酸塩の形態での、14−O−[(3−グアニジノ−フェニルスルファニル)−アセチル]ムチリン
ICA) 14−O−[(3−アミノ−フェニルスルファニル)−アセチル]ムチリン
100mLの乾燥EtOH中の、0.92gのナトリウム及び5gの3−アミノ−チオフェノールの溶液を、250mLのエチルメチルケトン中の21.3gの22−O−トシル−プルロムチリン(H.Eggerら、J.Antibiotics、第29巻、第923頁(1976年)参照)の溶液に、25℃で注意深く温度制御しながら添加する。得られた混合物を25℃で15時間保持し、濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮し、クロマトグラフィーに付す。14−O−[(3−アミノ−フェニルスルファニル)−アセチル]ムチリンが得られる。
【0137】
【化64】


【0138】
ICB) 塩酸塩の形態での、14−O−[(3−グアニジノ−フェニルスルファニル)−アセチル]ムチリン
20mLのジオキサン中の、2.4gの14−O−[(3−アミノ−フェニルスルファニル)−アセチル]ムチリン、1.5gのシアナミド及び0.44mLの濃HClの溶液を、室温で28時間攪拌する。結晶形態で、塩酸塩の形態での、14−O−[(3−グアニジノ−フェニルスルファニル)−アセチル]ムチリンが得られる。キャラクタリゼーションデータは、前記の表にある。
【0139】
(実施例I−D)
塩酸塩の形態での、14−O−[(3R−ヒドロキシピペリジン−4−(R)イル)−スルファニル−アセチル]ムチリン及び14−O−[(3S−ヒドロキシピペリジン−4−(S)イル)−スルファニル−アセチル]ムチリン(ジアステレオ異性体混合物)
1mLの2−ブタノン中に溶解させた1.06gのプルロムチリン−22−O−トシラートを、20mLのTHF中の、466mgのN−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−チオール及び224mgのカリウムtert−ブチラートの溶液にゆっくり添加し、得られた混合物を2時間攪拌し、得られた混合物を、食塩水とEtAcとの間に分配させ、0.1N HClで抽出し、そして得られた相を分離する。得られた有機相を乾燥させ、得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[(3R−ヒドロキシピペリジン−4−(R)イル)−スルファニル−アセチル]ムチリン及び14−O−[(3S−ヒドロキシピペリジン−4−(S)イル)−スルファニル−アセチル]ムチリンの混合物が得られ、これをエーテル性HClで処理して、対応する塩酸塩が得られる。キャラクタリゼーションデータは、表5、実施例42にある。
【0140】
(実施例I−E)
ジュウテロクロリドの形態での、2,2,4−トリジュウテロ−14−O−[((3−(S)−ヒドロキシ−ピペリジン−4−(S)−イル)スルファニル)−アセチル]ムチリン
5mLのDCl(DO中20%)を含有する30mLのジオキサン中の300mgの実施例IDで得られた化合物の溶液を、25℃で6日間保持する。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、濃縮残渣を凍結乾燥に付す。ジュウテロクロリドの形態での、2,2,4−トリジュウテロ−14−O−[((3−(S)−ヒドロキシ−ピペリジン−4−(S)−イル)スルファニル)−アセチル]ムチリンが得られる。キャラクタリゼーションデータは、表5、実施例41にある。
【0141】
(実施例I−F)
14−O−[3−(R)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン(a)
14−O−[3−(S)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン(b)
14−O−[3−(S)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン(c)
14−O−[3−(R)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン(d)
10mLのTHF中に溶解させた2.66gのプルロムチリン−22−O−トシラートを、25mLのTHF中の1.65gの3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−(R/S)−チオール及び560mgのカリウムtert−ブチラートの溶液に、ゆっくり添加し、得られた混合物を2時間攪拌し、食塩水とEtAcとの間に分配させる。得られた混合物を0.1N HClで抽出し、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。純粋な
(a)14−O−[3−(R)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン
(b)14−O−[3−(S)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン
(c)14−O−[3−(S)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン及び
(d)14−O−[3−(R)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリンが得られる。
【0142】
【化65】

【0143】
(実施例I−G)
塩酸塩の形態での、14−O−[3−(R)−((R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニル)−アセチル]−ムチリン及び14−O−[3−(S)−((R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)−スルファニル)−アセチル]−ムチリン(トランス−ジアステレオ異性体の混合物)
620mgの、14−O−[3−(R)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン及び14−O−[3−(S)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリンの1:1混合物を、10mLの乾燥エーテル性HCl及び10mLのCHClの混合物中に溶解させる。この混合物を5時間攪拌し、塩酸塩の形態での、14−O−[3−(R)−((R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニル)−アセチル]−ムチリン及び14−O−[3−(S)−((R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)−スルファニル)−アセチル]−ムチリンのトランス−ジアステレオ異性体の混合物を得、そして単離する。
【0144】
【化66】

【0145】
(実施例I−H)
塩酸塩の形態での、14−O−[3−(R)−((R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)−スルファニル)−アセチル]−ムチリン及び14−O−[3−(S)−((R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニル)−アセチル]−ムチリン(シス−ジアステレオ異性体の混合物)
出発物質として、14−O−[3−(R)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(S)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリン及び14−O−[3−(S)−((N−BOC−(R)−バリル−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)スルファニル)アセチル]ムチリンの1:1混合物を使用する以外は、実施例I−Gの方法と同様にして得る。
【0146】
【化67】

【0147】
(実施例I−I)
塩酸塩の形態での、14−O−[((N−(R)−バリル−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
I−IA) 4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパン−2−オン
5mLのピリジン中の、828mgの3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン−オキシム及び570mgのトルエンスルホニルクロリドの溶液を、RTで4時間攪拌し、60℃で更に2時間攪拌する。得られた混合物を、希硫酸(15mLのHO中の2mLの濃HSO)とCHClとの間に分配させ、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパン−2−オンが得られる。
【0148】
【化68】

【0149】
I−IB) 4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパン
3.3gの4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパン−2−オンを、15mLのLiAlHの1M溶液及び50mLのTHFの混合物に添加する。得られた混合物を80℃で1時間加熱し、200mLのNHCl20%水溶液の中に注ぎ、得られた混合物をEtAcで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパンが得られる。
【0150】
I−IC) N−BOC−(4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル))−アゼパン
100mLのTHF中の、2.63gの4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパン、2.18gのBOC−無水物及び1gのトリエチルアミンの溶液を、25℃で12時間攪拌し、得られた混合物から溶媒を蒸発させる。得られた蒸発残渣を、CHClと1M HClとの間に分配させる。得られた有機相から溶媒を蒸発させ、蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。N−BOC−(4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル))−アゼパンが得られる。
【0151】
【化69】

【0152】
I−IC) N−BOC−4−(R/S)−アゼパン−チオール
適切な出発物質を使用する以外は、実施例II−Dの方法と同様にして得る。
【0153】
I−ID) 14−O−[((N−BOC−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
10mLのTHF中に溶解させた1.06gのプルロムチリン−22−O−トシラートの溶液を、25mLのTHF中の420mgのN−BOC−4−(R/S)−アゼパン−チオール及び220mgのカリウムtert−ブチラートの溶液に、ゆっくり添加し、得られた混合物を2時間攪拌する。得られた混合物を、食塩水とEtAcとの間に分配させ、得られた混合物を0.1N HClで抽出し、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[((N−BOC−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンが得られる。
【0154】
【化70】

【0155】
I−IE) 塩酸塩の形態での、14−O−[((アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
400mgの14−O−[((N−BOC−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンを、10mLの乾燥エーテル性HCl及び10mLのCHClの混合物中に溶解させる。得られた混合物を5時間攪拌し、塩酸塩の形態での、14−O−[((アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンを単離する。キャラクタリゼーションデータは、表1、実施例14にある。
【0156】
I−IF) 塩酸塩の形態での、14−O−[((N−(R)−バリル−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
10mLのTHF中の、245mgの塩酸塩の形態での14−O−[((アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン、110mgのBOC−R−バリン、95mgのEDC及び100mgのトリエチルアミンの混合物を、RTで2時間攪拌する。得られた混合物を食塩水とEtAcとの間に分配させ、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[((N−BOC−(R)−バリル−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン塩酸塩が得られる。BOC−保護基を、5mLのエーテル性HClで処理することによって開裂させ、塩酸塩の形態での、14−O−[((N−(R)−バリル−アゼパン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンが得られる。キャラクタリゼーションデータは、表1、実施例15にある。
【0157】
(実施例I−J)
14−O−[((アゼパン−2−オン−4−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
4−(R/S)−メルカプト−アゼパン−2−オンから出発して、実施例IAB)の方法と同様にして得る。キャラクタリゼーションデータは、表5、実施例43にある。
【0158】
(実施例I−K)
14−O−{[(3−オキソ−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]アセチル}−ムチリン
5mLのピリジン中の3.95gの14−メルカプト−アセチル−ムチリンの溶液を、0.81gのシクロペント−2−エノン及び触媒量のトリエチルアミンで処理する。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、EtAcで希釈し、1N HCl及びHOで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−{[(3−オキソ−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]アセチル}−ムチリンが得られる。キャラクタリゼーションデータは、表5、実施例44にある。
【0159】
(実施例I−L)
14−O−{[(3−ヒドロキシイミノ−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]アセチル}−ムチリン(シン形及びアンチ形)
3.88gの14−O−{[(3−オキソ−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]アセチル}−ムチリンを、40mLのDMF中の566mgのヒドロキシルアミン塩酸塩及び1.13mLのトリエチルアミンと共に、一晩攪拌する。得られた混合物から溶媒を蒸留分離し、得られた蒸留残渣をEtAc中に取り、得られた混合物を0.1N HCl及び食塩水で抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。シン−及びアンチ−形態での14−O−{[(3−ヒドロキシイミノ−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]アセチル}−ムチリンの混合物を得、この混合物を、クロマトグラフィーによって分離して、純粋なシン形及び純粋なアンチ形を得るか又は得られた混合物の形態で更なる反応工程に於いて使用する。キャラクタリゼーションデータは、表3、実施例24にある。
【0160】
(実施例I−M)
塩酸塩の形態での、14−O−{[(3−(2−ジエチルアミノ−エトキシイミノ)−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]−アセチル}−ムチリン
200mgの14−O−{[(3−ヒドロキシイミノ−シクロペンタン−(R/S)−イル)−スルファニル]アセチル}−ムチリン及び70mgのジエチルアミノエチルクロリド塩酸塩を、5mLのCHCl中で攪拌し、90mgのカリウムtert−ブトキシドを添加し、そして攪拌をRTで2日間続ける。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をクロマトグラフィーに付し、得られた関連するクロマトグラフィー画分を、EtOと1N HClとの間に分配させ、水性層を凍結乾燥させる。14−O−{[(3−(2−ジエチルアミノ−エトキシイミノ)−シクロペント−(R/S)−イル)−スルファニル]−アセチル}−ムチリン塩酸塩(シン/アンチ混合物)が得られる。キャラクタリゼーションデータは、表3、実施例26にある。
【0161】
(実施例I−N)
14−O−[(2−(R)−((R)−バリル)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン塩酸塩
I−NA) 14−O−[((2−(R)−アミノシクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
5mLのTHF中に溶解させた1.06gのプルロムチリン−22−O−トシラートを、50mLのEtOH中の、334mgの塩酸塩の形態での2−(R)−アミノシクロヘキサン−(R)−チオール(例えば、G.Kavadias及びR.Droghini、Can.J.Chem.、1978年、第56巻、第2743頁参照)及び92mgのナトリウムの溶液にゆっくり添加し、得られた混合物を2時間攪拌し、食塩水とEtAcとの間に分配させ、0.1N HClで抽出し、乾燥させる。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[((2−(R)−アミノシクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンが得られる。
【0162】
【化71】

【0163】
I−NB) 塩酸塩の形態での、14−O−[(2−(R)−((R)−バリル)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
10mLのTHF中の、245mgの14−O−[((2−(R)−アミノシクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン、110mgのBOC−(R)−バリン、95mgのEDC及び68mgのHOBTの混合物を、RTで2時間攪拌する。得られた混合物を食塩水とEtAcとの間に分配させ、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[((2−(R)−(N−BOC−(R)−バリル)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンが得られる。BOC−保護基を、5mLのエーテル性HClで処理することによって開裂させ、塩酸塩の形態での、14−O−[(2−(R)−((R)−バリル)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンが得られる。
【0164】
【化72】

【0165】
(実施例I−O)
14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリン塩酸塩
I−OA) トルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル
50mLのピリジン中の5gの(3R,3aS,6R,6aR)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3,6−ジオールの溶液を、7.8gのトルエンスルホニルクロリドと共に16時間攪拌する。得られた混合物から溶媒を蒸留除去し、そして得られた蒸留残渣をEtAc中に溶解させ、1N HCl、NaHCO飽和水溶液及びHOで抽出する。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。トルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステルが得られる。
【0166】
【化73】

【0167】
I−OB) (3R,3aR,6S,6aR)−6−アジド−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−オール
30mLのDMF中の2.5gのトルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステルの溶液を、0.8gのアジ化ナトリウムと共に、還流下で2時間加熱し、溶媒を蒸留除去し、そして得られた蒸留残渣をEtAc中に溶解させ、HOで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。(3R,3aR,6S,6aR)−6−アジド−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−オールが得られる。
【0168】
I−OC) {(3S,3aR,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
25mLのジオキサン中の1.5gの(3R,3aR,6S,6aR)−6−アジド−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−オールの溶液に、75mgの炭素上パラジウム(10%)を添加し、得られた混合物を水素化に付す。得られた混合物を濾過し、3.2mLのエチルジイソプロピルアミン及び4.1gの(BOC)Oと共に一晩攪拌する。得られた混合物から溶媒を蒸発させる。得られた蒸発残渣をEtAc中に溶解させ、NaHCO飽和水溶液、1N HCl及び食塩水で抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。{(3S,3aR,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルが得られる。
【0169】
【化74】

【0170】
I−OD) トルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6S,6aR)−6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル
10mLのピリジン中の700mgの{(3S,3aR,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルの溶液を、785mgのトルオルスルホニルクロリドと共に16時間攪拌し、溶媒を蒸留除去し、そして蒸留残渣をEtAc中に溶解させ、1N HCl、NaHCO飽和水溶液及びHOで抽出する。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。トルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6S,6aR)−6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステルが得られる。
【0171】
I−OE) 14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリン
267mgのカリウムtert−ブトキシドを、20mLのDMSO中の950mgのトルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6S,6aR)−6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル及び1032mgの14−メルカプト−アセチル−ムチリンの溶液に添加する。得られた混合物を70℃で1時間攪拌し、EtAcと食塩水との間に分配させる。得られた有機相をHOで洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させる。得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンが得られる。
【0172】
【化75】

【0173】
I−OF) 14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリン
950mgの14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンを、20mLのCHCl中に溶解させ、得られた混合物を3mLのTFAと共に2時間攪拌する。得られた混合物をEtAcで希釈し、NaHCO飽和水溶液で抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンが得られる。
【0174】
I−OG) 塩酸塩の形態での、14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリン
180mgの14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンを、ジエチルエーテルと0.1N HClとの間に分配させる。得られた水性相を凍結乾燥させる。塩酸塩の形態での、14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンが得られる。キャラクタリゼーションデータは、前記の表4、実施例36aにある。
【0175】
(実施例I−P)
塩酸塩の形態での、14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−((R)−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリン
20mLのCHCl中の400mgの14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−アミノ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンの溶液を、128mgのN−BOC−(R)−バリン、147mgのEDC、104mgのHOBTで処理し、得られた混合物をRTで一晩攪拌する。得られた混合物をCHClで希釈し、HOで抽出し、乾燥させ、溶媒を蒸発させる。得られた蒸発残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーに付し、得られた関連するクロマトグラフィー画分を、CHCl中のTFAで再び処理し、溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残渣をEtOと0.1N HClとの間に分配させ、得られた水性相を凍結乾燥させる。塩酸塩の形態での、14−O−{[(3S,3aS,6S,6aR)−6−((R)−2−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルスルファニル]−アセチル}−ムチリンが得られる。キャラクタリゼーションデータは、表5、実施例38aにある。
【0176】
(実施例I−Q)
塩酸塩の形態での、14−O−[((3−(R/S)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリン
10mLのTHF中の10.6gのプルロムチリン−22−O−トシラートを、250mLのTHF中の5.2gのN−BOC−3−(R/S)−メルカプト−シクロヘキシルアミン及び2.74gのカリウムtert−ブチラートの溶液にゆっくり添加する。得られた混合物を2時間攪拌し、食塩水とEtAcとの間に分配させ、そして0.1N HClで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。14−O−[((N−BOC−3(R/S)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンが得られ、これは、エーテル性HClで処理することによって、塩酸塩の形態での、14−O−[((3−(R/S)−アミノ−シクロヘキサン−1−(R/S)−イル)−スルファニルアセチル)]−ムチリンに転化される。
【0177】
【化76】

【0178】
II.本発明の(新規な)プルロムチリンの調製のための中間体(出発物質)の製造
(実施例II−A)
14−メルカプト−アセチル−ムチリン
II−AA) 14−O−[(カルバミミドイルスルファニル)アセチル]ムチリン−トシラート
250mLのアセトン中の15.2gのチオ尿素及び106.4gのプルロムチリン−22−O−トシラートの溶液を、還流下で1.5時間加熱し、溶媒を除去し、そして100mLのヘキサンを添加する。沈殿が形成し、濾別し、そして乾燥させる。14−O−[(カルバミミドイルスルファニル)アセチル]ムチリン−トシラートが得られる。
【0179】
II−AB) 14−メルカプト−アセチル−ムチリン
25mLのHO中の4.7gのNaの溶液を、20mLのEtOH及び35mLのHOの混合物中の12.2gの14−O−[(カルバミミドイルスルファニル)アセチル]ムチリン−トシラートの溶液(約90℃に加温した)に添加する。100mLのCClを、得られた反応混合物に添加し、得られた混合物を還流下で約2時間加熱する。得られた2相系を分離し、有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。14−メルカプト−アセチル−ムチリンが得られる。
【0180】
(実施例II−B)
N−BOC−3(R)−メチルスルホニルオキシ−ピペリジン
II−BA) N−BOC−3(R)−ヒドロキシ−ピペリジン
70mLのジオキサン中の、3.48gの3−(R)−ヒドロキシピペリジン、8.72gの二炭酸ジ−tert−ブチル及び4gのN−メチル−モルホリンの懸濁液を、RTで18時間攪拌する。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残渣をCHCl中に溶解させ、1N HClで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。N−BOC−3(R)−ヒドロキシ−ピペリジンが得られる。
【0181】
II−BB) N−BOC−3(R)−メチルスルホニルオキシ−ピペリジン
100mLのピリジン中の5.08gのN−BOC−3(R)−ヒドロキシ−ピペリジン及び8.7gのメタンスルホン酸無水物の溶液を、RTで22時間攪拌し、ピリジンを蒸留分離し、蒸留残渣をCHCl中に溶解させ、得られた混合物を1N HClで抽出し、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。N−BOC−3(R)−メチルスルホニルオキシ−ピペリジンが得られる。
【0182】
【化77】

【0183】
(実施例II−C)
N−BOC−ピペリジン−3(S)−チオール
II−CA) N−BOC−3−(S)−チオアセトキシ−ピペリジン
10mLのTHF中の2.2gのN−BOC−3−(R)−ヒドロキシ−ピペリジンの溶液を、アルゴン及び1mLのチオ酢酸下で、10mLのTHF中の3.4gのトリフェニルホスフィン及び2.65mLのアザジ炭酸−イソプロピラートの溶液に添加する。得られた混合物を70℃で18時間保持し、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。N−BOC−3−(S)−チオアセトキシ−ピペリジンが得られる。
【0184】
【化78】

【0185】
II−CB) N−BOC−ピペリジン−3(S)−チオール
10mLのMeOH中の259mgのN−BOC−3−(S)−チオアセトキシ−ピペリジンの溶液に、5mLのMeOH中の262mgのNaSCHの溶液を添加し、得られた混合物を2時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残渣を、EtAcとHCl水溶液との間に分配させる。得られた有機相から溶媒を蒸発させる。N−BOC−ピペリジン−3(S)−チオールが得られる。
【0186】
【化79】

【0187】
(実施例II−D)
3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−(R/S)−チオール
II−DA) 3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン
30mLのピリジン中の、3.32gの2,4,6−トリメチル−ベンジルメルカプタン及び3.84gのシクロヘキセン−3−オンの溶液を、40℃で3時間加熱する。得られた混合物を200mLの1M HClの中に注ぎ、得られた混合物をCHClで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーに付す。3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノンが得られる。
【0188】
【化80】

【0189】
II−DB) 3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン−オキシム(シン形及びアンチ形)
50mLのMeOH中の、5.24gの3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン、1.38gの塩酸塩の形態でのヒドロキシルアミン及び2gのトリエチルアミンの溶液を、25℃で12時間攪拌し、得られた混合物を200mLの食塩水の中に注ぎ、そして得られた混合物をCHClで抽出する。得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン−オキシムのシン形及びアンチ形の混合物が得られ、これをクロマトグラフィーに付す。純粋なシン−及び純粋なアンチ−3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン−オキシムが得られる。
【0190】
【化81】

【0191】
II−DC) 3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキシル−(R/S)−アミン
2.7gの3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキサノン−オキシムを、20mLのLiAlHの1M溶液及び15mLのジオキサンの混合物に添加し、得られた混合物を80℃で1時間加熱し、そして得られた混合物を200mLの20%NHCl水溶液の中に注ぐ。得られた混合物をEtAcで抽出し、得られた有機相を乾燥させ、そして溶媒を蒸発させる。3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキシル−(R/S)−アミンが得られる。
【0192】
II−DC) 3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−1−(R/S)−イル−スルファニルメチル−(2,4,6−トリメチルベンゾール)
20mLのTHF中の、1.05gの3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキシル−(R/S)−アミン、870mgのBOC−R−バリン、760mgのEDC及び404mgのトリエチルアミンの混合物を、RTで2時間攪拌する。得られた混合物を食塩水とEtAcとの間に分配させ、得られた有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−1−(R/S)−イル−スルファニルメチル−(2,4,6−トリメチルベンゾール)が得られる。
【0193】
【化82】

【0194】
II−DD) 3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−(R/S)−チオール
10mLのアンモニアを、−70℃で、15mLのTHF中の600mgの3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−1−(R/S)−イル−スルファニルメチル−2,4,6−トリメチルベンゾールの溶液内で凝縮させ、そしてナトリウムを、溶液が深い青色を留めるまで少しずつ添加する。得られた混合物に固体NHClを添加し、得られた混合物をRTまで加温し、窒素でフラッシュし、得られた固体残渣を濾別し、得られた濾液を濃縮し、そしてシリカゲル上でのクロマトグラフィーに付す。3−(N−BOC−(R)−バリル−アミノ)−シクロヘキサン−(R/S)−チオールが得られる。
【0195】
【化83】

【0196】
適切な出発物質を使用した以外は、実施例II−Dに記載したような方法と同様にして、下記の化合物を得る。
【0197】
(実施例II−D−1)
N−BOC−3−(R/S)−メルカプト−シクロヘキシルアミン
(実施例II−D−2)
4−(R/S)−メルカプト−アゼパン−2−オン
4−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−アゼパン−2−オンから。
【0198】
【化84】

【0199】
(実施例II−E)
N−BOC−3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキシル−(R/S)−アミン
100mLのTHF中の、11gの3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキシルアミン、9.15gのBOC−無水物及び4.2gのトリエチルアミンの溶液を、25℃で12時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、濃縮された残渣をCHClと1M HClとの間に分配させる。得られた有機相から溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。N−BOC−3−(R/S)−(2,4,6−トリメチル−ベンジル−スルファニル)−シクロヘキシル−(R/S)−アミンが得られる。
【0200】
【化85】

【0201】
(実施例II−F)
トルエン−4−スルホン酸(3S,3aS,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル及びトルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6S,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル
80mLのピリジン中の8.76gの(3S,3aS,6R,6aR)−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3,6−ジオールの溶液を、13.7gのトルエンスルホニルクロリドと共に16時間攪拌し、溶媒を蒸留除去し、そして蒸留残渣をEtAc中に溶解させ、1N HCl、NaHCO飽和水溶液及びHOで抽出する。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして蒸発残渣をクロマトグラフィーに付す。トルエン−4−スルホン酸(3S,3aS,6R,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル(a)及びトルエン−4−スルホン酸(3R,3aS,6S,6aR)−6−ヒドロキシ−ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル(b)が得られる。
【0202】
【化86】

【0203】
(実施例II−G)
N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−チオール、N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−チオール
12.5mLのTHF中の、1gのN−BOC−3,4−エポキシ−ピペリジン、1.9gのトリフェニルシリルメルカプタン及び0.7mLのトリエチルアミンの溶液を、70℃で24時間攪拌し、1.7gのTBAF及び0.9mLの酢酸を添加する。得られた混合物を1時間攪拌し、そして食塩水とEtAcとの間に分配させる。有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして得られた蒸発残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーに付す。(a):N−BOC−4−ヒドロキシ−ピペリジン−3−チオール及び(b):N−BOC−3−ヒドロキシ−ピペリジン−4−チオールが得られる。
【0204】
【化87】

【0205】
(試験実施例)
(実施例A)
マイコバクテリウム・ツベルクロシス株耐性の測定
表Aに記載したようなM.ツベルクロシス株に対する、公知の化合物、イソニアシド、リファンピシン及びストレプトマイシンの活性を、一般的手順に記載したような方法に従って、寒天希釈試験で測定する。MICを、3、4及び5週後に測定する。試験した株1から7は、イソシアニド、リファンピシン及び/又はストレプトマイシンに対して、感受性(S)であるか又は耐性(R)であることが分かった。結果は、下記の表Aに記載した通りである。
【0206】
【表6】

【0207】
株15は、レイバー株(labor strain)137kVである。耐性株及び感受性株は、既知の感受性/耐性を有する患者から単離される。株は、3から5週後の一般的試験手順に従った試験に於いて、そのMICが20μg/mLよりも高い場合に、耐性として指定される。
【0208】
(実施例B)
表A中に記載したM.ツベルクロシス株1から5及び7に対する試験化合物(TC)の活性を、試験化合物の異なった寒天濃度で、実施例Aに於けるような条件下で寒天希釈試験に於いて測定する。
【0209】
MICを3、4及び5週後に測定する。
【0210】
下記の試験化合物(TC)の活性を試験する。
【0211】
式I−チアムリンの化合物: TC−1
式I−バルネムリンの化合物: TC−2
式I−PREF1の化合物: TC−3
式I−PREF2の化合物: TC−4
式I−PREF3の化合物: TC−5
式I−PREF4の化合物: TC−6
式I−PREF5の化合物: TC−7
式I−PREF6の化合物: TC−8
式I−PREF7の化合物: TC−9
式I−PREF8の化合物: TC−10
下記の表Bに記載した試験結果が得られる。
【0212】
【表7】

【0213】
(実施例C)
実施例Bの方法に従って実施する。得られた試験結果を、表C、表D及び表Eに記載する。
【0214】
【表8】

【0215】
【表9】

【0216】
【表10】

【0217】
表BからEに於いて、カラム「TC/週」中の項「TC−番号」は、前記定義された通りの試験化合物を示す。例えば、TC−1は、式I−チアムリンを示し、そして「/週」は、このような試験化合物の試験に於けるMIC−測定点(接種からの週で)を示す。例えば、「TC−1/3」は、式I−チアムリンの化合物のMICを、接種から3週後に測定したことを示す。
【0218】
MICは、前記のように最低阻害濃度である。表B中に示される株番号1から4及び6から7、表C中に示される株番号1から9、表D中に示される株番号10から15並びに表E中に示される株番号1、12及び15は、実施例Aの対応するマイコバクテリウム・ツベルクロシス株を指す。
【0219】
式IEXの更なる化合物及び式I’EXの化合物(式中、REXは下記の表6で定義された通りである)は、また、株1、12及び15に対して活性を示すことが証明された(全ての化合物は塩酸塩の形態で試験した)。
【0220】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコバクテリウム属によって引き起こされる疾患の治療のための医薬の調製に於ける、プルロムチリンの使用。
【請求項2】
そのような治療が必要な被験体に、有効量のプルロムチリンを投与することを含む、マイコバクテリウム属によって媒介される疾患の治療方法。
【請求項3】
マイコバクテリウム属がマイコバクテリウム・ツベルクロシスである、請求項1に記載の使用又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
プルロムチリンが、式:
【化1】

[式中、Rは、ビニル又はエチルであり、そして点線は、結合であるか又は結合無しである]
に示されるような基本的構造要素を含む化合物である、請求項1〜3の何れか1項に記載の使用又は方法。
【請求項5】
プルロムチリンが、
式:
【化2】

の化合物、
式:
【化3】

の化合物、
式:
【化4】

の化合物、
式:
【化5】

の化合物、
式:
【化6】

の化合物、
式:
【化7】

の化合物、
式:
【化8】

の化合物、
式:
【化9】

の化合物、
式:
【化10】

の化合物及び
式:
【化11】

の化合物からなる群から選択される、請求項4に記載の使用又は方法。

【公開番号】特開2010−143934(P2010−143934A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5571(P2010−5571)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【分割の表示】特願2003−579798(P2003−579798)の分割
【原出願日】平成15年3月27日(2003.3.27)
【出願人】(307004693)ナブリバ・セラピユーテイクス・アクチエンゲゼルシヤフト (3)
【Fターム(参考)】