説明

プレキャスト舗装版の敷設構造と敷設方法

【課題】プレキャスト舗装版を単位として敷設できると共に湧水の排出を行える。
【解決手段】地盤1上に導水材7を設置し、地盤1上に間隙kを開けてプレキャストコンクリート舗装版2を敷設する。プレキャストコンクリート舗装版2の下面2bに不透水シート9を設けて袋状に係止させる。プレキャストコンクリート舗装版2に設けた注入孔12を通して不透水シート9内にグラウトを注入して硬化させ、舗装版2にかかる荷重を受けて地盤1に伝達する。グラウトが充填された不透水シート9と地盤1との間に位置する導水材7を導水路として湧水を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に敷設してなるプレキャスト舗装版に湧水等の導水特性を持たせたプレキャスト舗装版の敷設構造と敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路用トンネル等において漏水が発生することがあり、トンネルの側壁面に形成した水抜き孔から湧水がわき出すことがある。この場合、湧水の影響によってトンネルの側壁面は常時濡れている。側壁面の水抜き孔から湧き出す漏水は側壁面に沿って降下して地盤のプレキャスト舗装版上に溜まり、また地盤から湧き出す湧水は舗装版の目地から湧出する。
そのため、舗装版は湿潤状態と乾燥状態を繰り返すことで、舗装版が劣化してしまい、補修が必要になる。
【0003】
また、漏水が多いトンネルにおける漏水対策は基本的に水抜き孔や水抜きボーリングであるが、舗装版の目地位置での漏水に対して側壁面の高さで水抜き対策を行っても背面地下水位は舗装版の位置までは下がらない。また、側溝の中に下向きの水抜き孔を計画する場合もあるが、ウエルポイント工法のように下方で強制的に排出しない限り地下水位が舗装版以下や側溝以下に下がることはない。
そのため、広範囲に広がる舗装目地からの湧水圧力に対しては、舗装版下面より水位が上がらないよう対策が必要である。
【0004】
これに対し、特許文献1に記載された補修用パネルによる水路の補修方法では、水路用トンネル内の地盤に敷設したプレキャストパネルを補修する場合、裏面に固定用の凸部を設けたパネルを水路の既設底面に敷設して底面との間に隙間を形成する。凸部に形成した穿孔口から底面にねじ込み式アンカーを打ち込み、ねじを締め込むことでパネルを底面に直接固定する。そして、パネル裏面の隙間に、パネル両端部における立ち上がり片と側壁面との間からモルタル材を裏込め充填するようにしている。この補修工法によれば、簡単な補修パネルにより施工が可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−127853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は水路トンネルに関するものであり、道路トンネル等のように、トンネル内で側壁面や舗装版に湧出する漏水の処理については開示がない。そのため、上述した舗装版の補修を含む敷設と湧水の処理とを同時に達成できる舗装版の敷設構造の改善が必要とされている。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて、プレキャスト舗装版を単位として敷設できると共に湧水の排出を行えるようにしたプレキャスト舗装版の敷設構造と敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプレキャスト舗装版の敷設構造は、地盤に対して間隙を開けて敷設したプレキャスト舗装版と、プレキャスト舗装版に設けた注入孔を通して裏込め材を注入して間隙を部分的に封止させる裏込め材充填仕切り部と、間隙において裏込め材が充填された前記裏込め材充填仕切り部で仕切られた領域に設けた導水路とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、地盤が不陸であっても間隙を開けてプレキャスト舗装版を施工することで適宜の姿勢で敷設でき、その後、注入孔を通して裏込め材を間隙内における裏込め充填仕切り空間に充填することで間隙を部分的に封止させる。間隙内において裏込め材充填仕切り部で仕切られた領域に導水路を形成することで、地盤から湧き出す湧水を導水路に集めて排出させることができる。また、プレキャスト舗装版の裏面側に形成した裏込め材充填仕切り部に裏込め材を充填して硬化させることで、プレキャスト舗装版にかかる荷重を硬化した裏込め材で受けて地盤に伝達できると共に、施工や補修に際してプレキャスト舗装版ごとに舗装面の部分的な施工を行うことができる。
【0009】
また、裏込め材充填仕切り部は、プレキャスト舗装版の裏面に取り付けられていて裏込め材が充填されるシートによって形成されていることが好ましい。
シートをプレキャスト舗装版の裏面に取り付けることで、裏込め材の充填領域をプレキャスト舗装版を単位として設定でき、シートに仕切られた空間内に充填される裏込め材が外部に流れ出すことを防止できる。なお、シートは不透水シートと透水性シートのいずれを用いても良い。
【0010】
また、裏込め材充填仕切り部は、プレキャスト舗装版の裏面に設けられていて裏込め材が充填された仕切り壁で仕切られて形成されていてもよい。
裏込め材充填仕切り部は仕切り壁とプレキャスト舗装版と地盤との間で仕切られるから、ここに裏込め材を充填することで舗装面の荷重を受ける裏込め材充填領域と湧水を排出する導水路とを区分けすることができる。
【0011】
また、裏込め材充填仕切り部は、プレキャスト舗装版の裏面に設けられていて裏込め材が注入孔を介して充填される裏込め材充填袋によって形成されていてもよい。
裏込め材充填袋に裏込め材を充填することで、プレキャスト舗装版と地盤との間隙を仕切ることができ、舗装面の荷重を受ける裏込め材充填袋と湧水を排出する導水路とを区分けすることができる。
【0012】
また、導水路は通水性材料からなる導水材であってもよく、地盤からの湧水は導水材を通して排出できる。
また、プレキャスト舗装版と地盤との間隙は、プレキャスト舗装版に設けた進退可能な高さ調整部材の一端を地盤に当接させることで形成されていてもよい。
地盤が不陸であっても高さ調整部材によって間隙の高さを調整することで水平または任意の傾斜角にプレキャスト舗装版を設置できる。
【0013】
本発明によるプレキャスト舗装版の敷設方法は、地盤に対して間隙を開けてプレキャスト舗装版を敷設し、次にプレキャスト舗装版に設けた注入孔を通して間隙に形成した裏込め材充填仕切り部内に裏込め材を注入して間隙を部分的に封止させ、裏込め材が充填された裏込め材充填仕切り部で仕切られた領域に導水路を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるプレキャスト舗装版の敷設構造と敷設方法によれば、プレキャスト舗装版にかかる荷重を裏込め材充填仕切り部内に充填した裏込め材で受けて地盤に伝達できると共に、プレキャスト舗装版と地盤との間隙内で裏込め材の注入スペースを限定的且つ閉鎖的に設定することで、湧水を排出するための導水路を同時に形成することができる。しかも、プレキャスト舗装版をプレキャスト舗装版単位で施工できることになり、部分的な施工や区画毎の施工を簡単且つ容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施形態による道路トンネルの要部縦断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態による道路トンネル内でのプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造を示す要部縦断面図である。
【図3】プレキャスト舗装版に設けた高さ調整ボルト部分の縦断面図である。
【図4】図2に示すプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造において、間隙にグラウトを充填した状態の図である。
【図5】本発明の第二の実施形態による道路トンネル内でのプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造を示す要部縦断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態による道路トンネル内でのプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造を示す要部縦断面図である。
【図7】本発明の第四の実施形態による道路トンネル内でのプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態によるプレキャスト舗装版の敷設構造について説明する。
図1乃至図4は第一の実施形態によるプレキャスト舗装版の敷設構造を示すものである。
図1は例えば道路トンネルを示すものである。図2には道路トンネルにおける路面の一部が開示されており、地盤1の上側にプレキャスト舗装版としてプレキャストコンクリート舗装版2が載置されて施工されている。地盤1は不陸であるため若干の間隙kを開けてプレキャストコンクリート舗装版2が1枚づつ施工されている。
【0017】
各プレキャストコンクリート舗装版2には、図3に示すようにねじ孔3が上面2a及び下面2bを貫通して形成されている。ねじ孔3の上部にはテーパ部3aが形成され、テーパ部3aの下部は雌ねじ部3bとされている。ねじ孔3の雌ねじ部3bに高さ調整部材として高さ調整ボルト4が螺合されて、プレキャストコンクリート舗装版2の下面(裏面)2bから突出して先端が地盤1に当接している。
高さ調整ボルト4の突出量によって地盤1とプレキャストコンクリート舗装版2との間隙kの高さが調整可能とされている。高さ調整ボルト4をねじ孔3内の雌ねじ部3bにねじ込んで、高さ調整ボルト4の突出量を調整した後でテーパ部3aをモルタルで埋め込むとよい。
【0018】
プレキャストコンクリート舗装版2の下面2bには、図2に示すように、地盤1との間隙kを広げる凹部6が所定間隔で形成されている。凹部6には地盤1上に導水路を形成する導水材7として例えば帯状のヘチマ状構造体が設けられ、地盤1から湧き出る湧水を吸収して集めて導水材7の長手方向に流出させるようにしている。ヘチマ状構造体はポリプロピレン樹脂を主素材とする上面が粗で下面が密の立体形状の侵食防止マットである。
導水材7の下面には不織布等の透水シート8が設けられているが、透水シート8は設けなくても良い。
導水材7の上面には例えば不透水シート9が載置されている。不透水シート9はプレキャストコンクリート舗装版2の面積より若干広い面積を有しており、地盤1及び導水材7の上に載置されてその四方の端部は湾曲されまたは折り曲げられてプレキャストコンクリート舗装版2の側面2bにボルトやピン等の取付金具10によって係止されている。これによって不透水シート9はプレキャストコンクリート舗装版2の下面2bに袋状に保持される。なお、シートとして不透水シート9に代えて透水性のシートを用いてもよく、いずれのシートを用いても、後述する裏込め材をシート内に充填して保持できればよい。
【0019】
また、プレキャストコンクリート舗装版2には凹部6以外の領域に上下面2a、2bを貫通する注入孔12が所定間隔で複数設けられている。注入孔12は裏込め材として例えばグラウトGをプレキャストコンクリート舗装版2と地盤1との間の間隙kに不透水シート9の袋内で充填させるものである。間隙kにグラウトGが充填され硬化されることで、プレキャストコンクリート舗装版2の上面2aを走行する車両の重量を受けて地盤1に伝達することができる。
袋状の不透水シート9は間隙k内において1枚のプレキャストコンクリート舗装版2を単位としてグラウトGの充填スペースを閉鎖的に仕切る構成を有している。しかも、導水材7は不透水シート9の下側にあるから、導水材7内にグラウトGが浸入して硬化し導水性や吸水性を阻害することはない。
【0020】
本第一実施形態によるプレキャストコンクリート舗装版2の敷設構造は上述の構成を有しており、次に図2及び図4によりプレキャストコンクリート舗装版2の敷設方法について説明する。
図2において、図1に示す道路トンネルの地盤1上に設けた既設の劣化したプレキャストコンクリート舗装版2を交換し補修する場合、図示しない既設のプレキャストコンクリート舗装版を地盤1から剥がす。
そして、地盤1上に所定間隔で帯状の導水材7を設置する。次に導水材7の設置位置に凹部6が対向するようにプレキャストコンクリート舗装版2を地盤1上に施工する。なお、プレキャストコンクリート舗装版2には、ねじ孔3内に予め高さ調整ボルト4を挿入して雌ねじ部3cに螺合させて締め込んでおき、下側のテーパ部3bにモルタル等の充填材を埋め込んでおくとよい。
【0021】
次に、プレキャストコンクリート舗装版2の下面2bから突出する高さ調整ボルト4について、下面2bが地盤1及び導水材7から離間して所要の間隙kを有すると共に既設の他のプレキャストコンクリート舗装版2と面一となるように、突出量を調整する(図3参照)。高さ調整ボルト4の突出量を調整した段階で、上側のテーパ部3aにもモルタル等の充填材を埋め込む。
この段階で、プレキャストコンクリート舗装版2の下面2bに予め取り付けられた不透水シート9は、プレキャストコンクリート舗装版2の四辺の側面2cに各辺の端部が係止されているから間隙k内でプレキャストコンクリート舗装版2毎に仕切られた袋状の空間を形成している。
【0022】
次に、プレキャストコンクリート舗装版2の各注入孔12内に裏込め材としてグラウトGを充填し、不透水シート9を介して間隙k内に充満させる。これにより、不透水シート9とプレキャストコンクリート舗装版2との間でグラウトGが流動し、導水材7の上方へも流動するが、不透水シート9で仕切られているので導水材7内に侵入することはない。
このようにして、図4に示すように間隙k内にグラウトGが充填されて硬化する。
上述した手順と同様にして、施工したプレキャストコンクリート舗装版2に隣接する地盤1上に導水材7を設置し,新たなプレキャストコンクリート舗装版2を同様に施工してグラウトGを注入孔12から充填させる。
そして、1つのプレキャストコンクリート舗装版2を単位として順次、横方向と縦方向にプレキャストコンクリート舗装版2を敷設してゆく。
なお、上述した説明は既設のプレキャストコンクリート舗装版2による路面の補修方法についてのものであるが、本発明は上述した補修方法に限定されることなく、新たにプレキャストコンクリート舗装版2を敷設する場合にも適用できることはいうまでもない。
【0023】
上述のように本実施形態によるプレキャストコンクリート舗装版2の敷設構造及び敷設方法によれば、トンネル内での路面の補修または新たな敷設を、プレキャストコンクリート舗装版2を単位として順次接続して行うことができる。そのため、例えば夜間のみ或いは昼間のみ工事する場合等、路面の部分的な施工、断続的施工を容易に行うことができる。
また、トンネル内でのプレキャストコンクリート舗装版2の施工に際して、プレキャストコンクリート舗装版2の下面2b側の凹部6に対向して導水材7を設置するから、施工完了後に地盤1から湧き出る湧水や側壁面から漏出する漏水を地盤1上の導水材7に集水して強制的に排出させることができる。そのため、舗装版2を敷設した路面に湧水が滞水したり乾湿を繰り返したりして劣化が進行することを抑制できる。
また、プレキャストコンクリート舗装版2が配列された路面を走行する車輌の荷重はプレキャストコンクリート舗装版2からグラウトGの硬化層で受けて地盤1へ伝達できる。
【0024】
次に本発明の他の実施形態について説明するが、上述した第一の実施形態において用いたものと同一または同様な部品や部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
図5は本発明の第二の実施形態によるプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造を示すものである。本第二の実施形態では、プレキャストコンクリート舗装版14はその下面14bに凹部のない略平板形状とされている。
そして、図5に示すように、地盤1上に間隙kを開けてプレキャストコンクリート舗装版14を施工した状態で、導水材7の上面はプレキャストコンクリート舗装版14の下面14bに当接している。そのため、間隙kにおいて、導水材7と導水材7との間に小間隙k1が形成され、この小間隙k1に注入孔12が連通した構成を有している。
他の構成は第一の実施の形態による敷設構造と同一である。
【0025】
図5に示す状態で、注入孔12からグラウトGを注入すると、グラウトGは隣接する導水材7、7間で不透水シート9とプレキャストコンクリート舗装版14の下面14bによって仕切られた小間隙k1に充填される。そのため、グラウトGの硬化材は導水材7の延在方向に沿って延びて、これに直交する方向にグラウトGと導水材7とが交互に配列される。
【0026】
次に、本発明の第三の実施形態によるプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造について図6により説明する。
本第三の実施形態では、プレキャストコンクリート舗装版16の下面16bは第一の実施形態におけるプレキャストコンクリート舗装版2と同様に所定間隔で凹部6が形成されている。図6では、隣接する二つのプレキャストコンクリート舗装版16,16の境界領域が示されている。
そして、図6に示すプレキャストコンクリート舗装版16の下面16bにおいて、凹部6に隣接する面を例えば平面状の凸面部17と規定する。凸面部17の凹部6に近接する位置とプレキャストコンクリート舗装版16の端部には、それぞれ間隔を開けてシール部材18,18が仕切り壁として設けられている。各シール部材18は下端面が地盤1に当接している。
シール部材18は適宜の部材を用いることができるが、液密であることが好ましい。シール部材18は例えばシールゴムと回復膨張性発泡PU(ポリウレタン)目地テープ(コンプリバンド(登録商標))とが積層して構成されている。
【0027】
プレキャストコンクリート舗装版16と地盤1との間隙kにおいて、凹部6とその両側のシール部材18とで仕切られる空間k2は導水路20を構成する。連続するプレキャストコンクリート舗装版16の下面16bで、導水路20は隣接するプレキャストコンクリート舗装版16の導水路20に連通して湧水を流出させるようになっているが、シール部材18は各プレキャストコンクリート舗装版16毎に下面16bで仕切られた多角形枠形状、例えば四角形枠形状に形成されている。
これにより、下面16bにおいてシール部材18で仕切られる閉鎖空間は小間隙k3を形成しており、小間隙k3内にはプレキャストコンクリート舗装版16の注入孔12が開口している。なお、本実施形態では、不透水シート9は設けられていない。
【0028】
本第三の実施形態によるプレキャストコンクリート舗装版16の敷設構造では、地盤1上にプレキャストコンクリート舗装版16を施工して間隙kを設定した状態で、注入孔12からグラウトGをシール部材18で仕切られた小間隙k3の閉鎖空間に限定的に充填して硬化させる。硬化したグラウトGによってプレキャストコンクリート舗装版16にかかる車輌の荷重を受けて地盤1に伝達する。
そして、施工後には、凹部6とシール部材18で仕切られた空間k2を導水路20として、地盤1から湧き出る湧水を導水路20に集水させて排出させることができる。
【0029】
次に、図7は本発明の第四の実施形態によるプレキャストコンクリート舗装版の敷設構造を示すものである。
本第四の実施形態では、プレキャストコンクリート舗装版18の下面18bは平面状であるが、第一の実施形態と同様に凹部6が形成されていてもよい。そして、プレキャストコンクリート舗装版18の下面18b側には注入孔12に接続された裏込め材充填袋としてグラウトバッグ19が接続されている。しかも、グラウトバック19はプレキャストコンクリート舗装版18と地盤1との間の間隙k内に設けられている。
そして、注入孔12を通してグラウトGをグラウトバック19内に充填させてグラウトバック19を拡径させると、拡径されたグラウトバック19によって間隙kが部分的に封止される。そのため、図6において、グラウトGが充填されて拡径された隣接する二つのグラウトバック19,19によって空間k4を形成し、この空間k4が導水路20を形成することになる。
【0030】
なお、上述の各実施形態では道路トンネルに設けたプレキャストコンクリート舗装版2の敷設構造について説明したが、本発明は道路トンネルに限定されることなく各種のトンネルの舗装面に採用することができる。また、本発明はトンネルの舗装面等に限定されることなく、湧水などの発生する可能性のある任意の舗装面に適用できることはいうまでもない。
なお、不透水シート9、シール材18で仕切られた小間隙k3、グラウトバック19は裏込め材充填仕切り部を構成する。
【符号の説明】
【0031】
1 地盤
2、14,16,18 プレキャストコンクリート舗装版
3 ねじ孔
4 高さ調整ボルト
5 運転室
7 導水材
9 不透水シート
12 注入孔
18 シール材
19 グラウトバック
20 導水路
G グラウト
k 間隙
k1,k3 小間隙
k2,k4 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に対して間隙を開けて敷設したプレキャスト舗装版と、
該プレキャスト舗装版に設けた注入孔を通して裏込め材を注入して前記間隙を部分的に封止させる裏込め材充填仕切り部と、
前記間隙において裏込め材が充填された前記裏込め材充填仕切り部で仕切られた領域に設けた導水路と
を備えたことを特徴とするプレキャスト舗装版の敷設構造。
【請求項2】
前記裏込め材充填仕切り部は、前記プレキャスト舗装版の裏面に取り付けられていて裏込め材が充填されるシートによって形成されている請求項1に記載されたプレキャスト舗装版の敷設構造。
【請求項3】
前記裏込め材充填仕切り部は、前記プレキャスト舗装版の裏面に設けられていて裏込め材が充填された仕切り壁で仕切られて形成されている請求項1に記載されたプレキャスト舗装版の敷設構造。
【請求項4】
前記裏込め材充填仕切り部は、前記プレキャスト舗装版の裏面に設けられていて注入孔を介して裏込め材が充填される裏込め材充填袋によって形成されている請求項1に記載されたプレキャスト舗装版の敷設構造。
【請求項5】
前記導水路は通水性材料からなる導水材である請求項1乃至4のいずれかに記載されたプレキャスト舗装版の敷設構造。
【請求項6】
前記プレキャスト舗装版と地盤との間隙は、前記プレキャスト舗装版に設けた進退可能な高さ調整部材の一端を地盤に当接させることで形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載されたプレキャスト舗装版の敷設構造。
【請求項7】
地盤上に間隙を開けてプレキャスト舗装版を敷設し、
次に該プレキャスト舗装版に設けた注入孔を通して前記間隙に形成した裏込め材充填仕切り部内に裏込め材を注入して前記間隙を部分的に封止させ、
前記裏込め材が充填された前記裏込め材充填仕切り部で仕切られた領域に導水路を設けたことを特徴とするプレキャスト舗装版の敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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