説明

ベルトコンベヤ

【課題】ベルトコンベヤにおいて電力を全く必要とせず、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送れること。
【解決手段】作業者が入力レバー8Aを手前に約13度回動させるとスプロケット23が下降しチェーン22,20を介して、バランスウエイト21の重さに抗して小スプロケット19が右回り方向に約0.7回転し、回転軸18aに取付けられた大スプロケット18も約0.7回転し、小スプロケット15の歯数は大スプロケット18の歯数の3分の1であるため、小スプロケット15は約2.1回転して、駆動力伝達軸15aも約2.1回転するため、ぜんまいばね30も約2.1回転分巻き上げられる。作業者が入力レバー8Aを開放すると、駆動軸6aが左回り方向に約3.2回転するため、ワンウェイクラッチ26が噛み合って駆動ローラ6も回転し、搬送ベルト4が従動ローラ7方向に走行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要なときだけ人力でぜんまいばねを巻いて、または伸縮エネルギー蓄積機構に伸縮エネルギーを蓄えて搬送ベルトを走行させることができる、電力を全く必要としない省エネルギータイプのベルトコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベルトコンベヤは、一般に無端状の搬送ベルトを備え、この搬送ベルトは電動モータ或いは空気圧モータによって回転される駆動ローラによって走行させられ、搬送ベルトの上面に載置されたワークを搬送するものである。例えば、特許文献1に開示された特許発明にかかるベルトコンベヤにおいては、搬送ベルトの損傷を小さくする工夫がなされているが、モータを内蔵した駆動ローラや減速機付きモータに接続された駆動ローラ等によって搬送ベルトを駆動している。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されたベルトコンベヤを始めとする従来のベルトコンベヤは、いずれも電動モータ或いは空気圧モータ等によって駆動されるものであるから、結局は電力を必要とする。特に、大きな工場等では24時間ベルトコンベヤを稼動し続ける場合も多く、ワークを搬送しない場合でもベルトコンベヤだけが稼動している場合もあることから多大な電気エネルギーの浪費となる。また、ベルトコンベヤを好みの距離だけ走行させたり、ベルトコンベヤ上のワークを好みの位置まで搬送したり、さらにはベルトコンベヤを微小距離送るといった細かい制御は、従来の電動モータ・空気圧モータ等による駆動システムでは制御系が著しく複雑になり、実現が困難であった。
【0004】
そこで、本発明者は、特許文献2に示されるように、必要なときだけ人力でぜんまいばねを巻いて搬送ベルトを走行させることができ、電力を一切用いず大幅に省エネルギー化を図ることができるとともに、細かい制御を容易に行うことができるぜんまい式ベルトコンベヤを発明し、この発明について特許出願を行った。
【0005】
この特許文献2に記載されたぜんまい式ベルトコンベヤは、入力レバーまたは足踏みペダルによる入力軸の回動を複数の歯車の組み合わせ(回転数増大伝達機構)によって複数回の回転に変換し、この回転によってぜんまいばねを巻いて弾性エネルギーを蓄積し、一度に開放することによって搬送ベルトを所定距離だけ一気に送ることもでき、また入力レバーまたは足踏みペダルを少しずつ戻すことによって搬送ベルトを微小距離送る細かい制御も可能で、かつ電力を全く必要としない画期的なベルトコンベヤである。
【特許文献1】特許第3058637号公報
【特許文献2】特開2005−231815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に開示されたぜんまい式ベルトコンベヤにおいては、回転数増大伝達機構として複数の歯車を組み合わせているため、ベルトコンベヤ全体の重量が重くなって移動に不便であり、また歯車はやや高価なためベルトコンベヤ全体としてもやや高価になってしまう。さらに、入力レバーまたは足踏みペダルの回動角度が約150度と比較的大きく、これをより小さくしようとするとより多くの歯車が必要になって、回転数増大伝達機構がより大きくなるとともに重くなってしまうという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、電力を全く必要としないという上記ベルトコンベヤの長所を保ちながら、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかるベルトコンベヤは、互いに離間対向した1対のフレームと、前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に軸支された駆動軸に一体回転可能に取付けられた駆動ローラと、前記1対のフレームの他方(従動側フレーム)に軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラと、前記駆動ローラと前記従動ローラに掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルトと、前記駆動ローラと前記従動ローラの間において、前記搬送ベルトの下方向への移動を制限し、前記搬送ベルトの裏面を支持する支持部材と、前記駆動ローラの駆動軸または前記駆動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達軸に回動自在に接続されたぜんまいばねと、前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に前記駆動軸または前記駆動力伝達軸と離して軸支された入力軸と、前記入力軸と前記駆動軸または前記駆動力伝達軸の間に設けられた前記入力軸の回転を前記駆動軸または前記駆動力伝達軸に回転数を増大して伝達する複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構と、前記入力軸にその一端が固定された入力レバー及び/または入力ペダルとを具備するものである。
【0009】
ここで、複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構とは、回転数増大伝達機構を複数のスプロケットとチェーンのみで構成しても良いし、複数のスプロケットとチェーンとプーリーとベルトで構成しても良いし、複数のスプロケットとチェーンとプーリーとワイヤで構成しても良いし、複数のプーリーとベルトのみで構成しても良いし、複数のプーリーとワイヤのみで構成しても良いし、複数のプーリーとベルトとワイヤで構成しても良いという意味である。
【0010】
また、「入力レバー及び/または入力ペダル」とは、入力レバーと入力ペダルの双方を備えていても良いし、入力レバーのみを備えていても良いし、入力ペダルのみを備えていても良い、という意味である。
【0011】
さらに、ぜんまいばねは1対のフレームの一方(駆動側フレーム)の内側または外側に配設することができ、外側の場合には修理が容易であるが、突出部分ができるので、設置条件によって、選択決定される。また、ぜんまいばねは駆動軸に直接取付けられてもよいし、駆動軸に直接回転力を伝達する他の回転軸(駆動力伝達軸)に配設しても良い。
【0012】
請求項2の発明にかかるベルトコンベヤは、互いに離間対向した1対のフレームと、前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に軸支された駆動軸に一体回転可能に取付けられた駆動ローラと、前記1対のフレームの他方(従動側フレーム)に軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラと、前記駆動ローラと前記従動ローラに掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルトと、前記駆動ローラと前記従動ローラの間において、前記搬送ベルトの下方向への移動を制限し、前記搬送ベルトの裏面を支持する支持部材と、長さ方向の伸縮でもって、エネルギーの蓄積状態を特定可能な伸縮エネルギー蓄積機構と、前記伸縮エネルギー蓄積機構に蓄積されたエネルギーが放出されるときにスライドする回転自在な第1のプーリーと、一端を前記駆動軸の近傍の前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に設けられた止め具に固定され、他端を前記第1のプーリーに掛けてから前記駆動軸に一体に回転自在に固定された第2のプーリーに固定されて該第2のプーリーに巻き付けられたワイヤと、前記1対のフレームの一方に前記駆動軸または前記駆動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達軸と離して軸支された入力軸と、前記入力軸と前記駆動軸または前記駆動力伝達軸の間に設けられた前記入力軸の回転を前記駆動軸または前記駆動力伝達軸に回転数を増大して伝達する複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構と、前記入力軸にその一端が固定された入力レバー及び/または入力ペダルとを具備するものである。
【0013】
ここで、伸縮エネルギー蓄積機構としては、スライド機構の中にコイルばねまたは板ばねを組み込んだもの、縮めた状態でストッパーを掛けたエアシリンダにエアポンプで圧縮空気を送り込むもの、エアシリンダを入力レバーで圧縮または膨張させるもの、コイルばねまたはエアシリンダにピニオンロッドを取付け、直接プーリーとの噛み合わせで回転させるもの等を用いることができる。
【0014】
請求項3の発明にかかるベルトコンベヤは、請求項2の構成において、前記伸縮エネルギー蓄積機構は、前記1対のフレームに前記搬送ベルトと平行に固定されたフランジ付きガイドと、前記フランジ付きガイドに嵌合して前記搬送ベルトと平行方向にスライドする長いロッドと、前記長いロッドの前記従動ローラよりに固定されたばねホルダと前記フランジ付きガイドのフランジとの間に前記長いロッドを取り巻いて取付けられたコイルばねとを具備するものである。
【0015】
請求項4の発明にかかるベルトコンベヤは、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記駆動ローラは前記駆動軸または前記駆動力伝達軸が回転して前記ぜんまいばねまたは前記伸縮エネルギー蓄積機構がエネルギーを蓄積するときには回転せず、前記駆動軸または前記駆動力伝達軸が回転して前記ぜんまいばねまたは前記伸縮エネルギー蓄積機構が蓄積されたエネルギーを放出するときには回転するように、ワンウェイクラッチを介して前記駆動軸に取付けられているものである。
【0016】
請求項5の発明にかかるベルトコンベヤは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記駆動ローラの内部には前記駆動ローラの慣性を増すために全周に亘って重りが取付けられているものである。
【0017】
請求項6の発明にかかるベルトコンベヤは、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記支持部材の両側には前記搬送ベルトを必要な高さに支持するための複数の支持脚が取付けられているものである。
【0018】
請求項7の発明にかかるベルトコンベヤは、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記支持部材には全長に亘ってまたは前記支持部材の中間付近を中心として前記搬送ベルトが接触しても摩擦力が掛からないように前記搬送ベルトの搬送方向に回転する複数の回転ローラが設けられているものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明にかかるベルトコンベヤは、駆動側フレームに軸支された駆動軸に一体回転可能に取付けられた駆動ローラと、従動側フレームに軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラと、駆動ローラと従動ローラに掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルトと、駆動ローラと従動ローラの間において、搬送ベルトの下方向への移動を制限し、搬送ベルトの裏面を支持する支持部材と、駆動ローラの駆動軸または駆動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達軸に回動自在に接続されたぜんまいばねと、駆動側フレームに駆動軸または駆動力伝達軸と離して軸支された入力軸と、入力軸と駆動軸または駆動力伝達軸の間に設けられた入力軸の回転を駆動軸または駆動力伝達軸に回転数を増大して伝達する複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構と、入力軸にその一端が固定された入力レバー及び/または入力ペダルとを具備する。
【0020】
このような構成によって、入力レバーまたは入力ペダルを回動させると入力軸も同じ角度だけ回動し、複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤによって、入力軸の回動が複数回の回転となって駆動軸または駆動力伝達軸に伝達されて駆動軸または駆動力伝達軸に接続されたぜんまいばねを複数回巻き上げる。
【0021】
そして、入力レバーまたは入力ペダルを放すと、巻き上げられたぜんまいばねが弛緩することによって駆動ローラが回転して、搬送ベルトが所定方向に走行し、搬送ベルト上に載置された搬送物を所定距離だけ搬送する。また、入力レバーまたは入力ペダルを少しずつ戻すことによって、搬送ベルトを微小距離ずつ送ること(寸動送り)もできる。
【0022】
このように、本発明にかかるベルトコンベヤにおいては、駆動軸または駆動力伝達軸に接続されたぜんまいばねを、入力レバーまたは入力ペダルを僅かな角度だけ回動させることによって数回転巻き上げるための回転数増大伝達機構として、複数の歯車の代わりに複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを用いている。ここで、歯車(ギヤ)は1個3000円から4000円で市販されているのに対して、スプロケットとチェーンは1組1000円程度で入手することができ、プーリーとベルト若しくはワイヤは、さらに安価に入手できる。
【0023】
また、スプロケットとチェーンは(プーリーとベルト若しくはワイヤも)、歯車と異なり配置が自由であり、同じ距離だけ回転を伝達するのに部品点数を減らすことができるとともに、スプロケット・プーリーは歯車より軽量であることと相俟って、回転数増大伝達機構全体として、著しくコンパクトにかつ軽量化できる。したがって、電気が不要なため何処へでも持ち運んで設置して使用できるという本発明にかかるベルトコンベヤの長所をより一層生かすことができる。
【0024】
このようにして、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤとなる。
【0025】
請求項2の発明にかかるベルトコンベヤは、駆動側フレームに軸支された駆動軸に一体回転可能に取付けられた駆動ローラと、従動側フレームに軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラと、駆動ローラと従動ローラに掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルトと、駆動ローラと従動ローラの間において、搬送ベルトの下方向への移動を制限し、搬送ベルトの裏面を支持する支持部材と、長さ方向の伸縮でもって、エネルギーの蓄積状態を特定可能な伸縮エネルギー蓄積機構と、伸縮エネルギー蓄積機構に蓄積されたエネルギーが放出されるときにスライドする回転自在な第1のプーリーと、一端を駆動軸の近傍の駆動側フレームに設けられた止め具に固定され、他端を第1のプーリーに掛けてから駆動軸または駆動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達軸に一体に回転自在に固定された第2のプーリーに固定されて第2のプーリーに巻き付けられたワイヤと、1対のフレームの一方に駆動軸または駆動力伝達軸と離して軸支された入力軸と、入力軸と駆動軸または駆動力伝達軸の間に設けられた入力軸の回転を駆動軸または駆動力伝達軸に回転数を増大して伝達する複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構と、入力軸にその一端が固定された入力レバー及び/または入力ペダルとを具備する。
【0026】
このような構成によって、入力レバーまたは入力ペダルを回動させると入力軸も同じ角度だけ回動し、複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤによって、入力軸の回動が複数回の回転となって駆動軸または駆動力伝達軸に伝達されて駆動軸または駆動力伝達軸に一体に取付けられた第2のプーリーが回転してワイヤが巻き取られる。これによって、ワイヤが掛けられた第1のプーリーが第2のプーリー側に引張られ、この状態において伸縮エネルギー蓄積機構にエネルギーが蓄積される。
【0027】
そこで、入力レバーまたは入力ペダルを開放すれば、伸縮エネルギー蓄積機構に蓄えられていたエネルギーによって第2のプーリーと一体にまたは駆動力伝達軸を介して駆動軸が回転し、駆動ローラも一体に回転して搬送ベルトを走行させる。そして、搬送ベルトの走行距離は伸縮エネルギー蓄積機構に蓄積されるエネルギーと駆動軸の回転数の関係を予め調べておけば、自在に調節することができる。また、入力レバーまたは入力ペダルを少しずつ戻すことによって、搬送ベルトを微小距離ずつ送ること(寸動送り)もできる。
【0028】
このように、本発明にかかるベルトコンベヤにおいては、駆動軸または駆動力伝達軸に一体に取付けられた第2のプーリーを介して接続された伸縮エネルギー蓄積機構に、入力レバーまたは入力ペダルを僅かな角度だけ回動させることによって充分なエネルギーを蓄積するための回転数増大伝達機構として、複数の歯車の代わりに複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを用いている。
【0029】
ここで、歯車(ギヤ)は1個3000円から4000円で市販されているのに対して、スプロケットとチェーンは1組1000円程度で入手することができ、プーリーとベルト若しくはワイヤは、さらに安価に入手できる。したがって、回転数増大伝達機構をより安価に構成することができる。
【0030】
また、スプロケットとチェーンは(プーリーとベルト若しくはワイヤも)、歯車と異なり配置が自由であり、同じ距離だけ回転を伝達するのに部品点数を減らすことができるとともに、スプロケット・プーリーは歯車より軽量であることと相俟って、回転数増大伝達機構全体として、著しくコンパクトにかつ軽量化できる。したがって、電気が不要なため何処へでも持ち運んで設置して使用できるという本発明にかかるベルトコンベヤの長所をより一層生かすことができる。
【0031】
このようにして、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤとなる。
【0032】
請求項3の発明にかかるベルトコンベヤは、伸縮エネルギー蓄積機構が、1対のフレームに搬送ベルトと平行に固定されたフランジ付きガイドと、フランジ付きガイドに嵌合して搬送ベルトと平行方向にスライドする長いロッドと、長いロッドの従動ローラよりに固定されたばねホルダとフランジ付きガイドのフランジとの間に長いロッドを取り巻いて取付けられたコイルばねとを具備する。
【0033】
このような構成によって、入力レバーまたは入力ペダルを回動させると入力軸も同じ角度だけ回動し、複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤによって、入力軸の回動が複数回の回転となって駆動軸または駆動力伝達軸に伝達されて駆動軸または駆動力伝達軸に一体に取付けられた第2のプーリーが回転してワイヤが巻き取られる。これによって、ワイヤが掛けられた第1のプーリーが第2のプーリー側に引張られるため、長いロッドも一体にスライドしてばねホルダがシリンダのフランジに接近してコイルばねが圧縮される。
【0034】
そこで入力レバーまたは入力ペダルを開放すれば、コイルばねが反発して伸びるとともに蓄えられていた弾性力によって第2のプーリーと一体にまたは駆動力伝達軸を介して駆動軸が回転し、駆動ローラも一体に回転して搬送ベルトを走行させる。そして、搬送ベルトの走行距離は入力レバーを回動させる角度と駆動軸の回転数の関係を予め調べておけば、自在に調節することができる。また、入力レバーまたは入力ペダルを少しずつ戻すことによって、搬送ベルトを微小距離ずつ送ること(寸動送り)もできる。
【0035】
このようにして、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤとなる。
【0036】
請求項4の発明にかかるベルトコンベヤは、駆動ローラが駆動軸または駆動力伝達軸が回転してぜんまいばねまたは伸縮エネルギー蓄積機構がエネルギーを蓄積するときには回転せず、駆動軸または駆動力伝達軸が回転してぜんまいばねまたは伸縮エネルギー蓄積機構が蓄積されたエネルギーを放出するときには回転するように、ワンウェイクラッチを介して駆動軸に取付けられている。
【0037】
したがって、入力レバーまたは入力ペダルを所定方向に所定角度回動させてぜんまいばねまたは伸縮エネルギー蓄積機構にエネルギーを蓄積するときには駆動ローラは回転しないので、搬送ベルトを逆方向に走行させることもなく、余分な力を必要とせず軽い力で入力レバーまたは入力ペダルを回動させてエネルギーを蓄積することができる。
【0038】
そして、入力レバーまたは入力ペダルを開放して蓄積されたエネルギーを放出するときには、ワンウェイクラッチが噛み合って駆動ローラも駆動軸と一体に回転するので、搬送ベルトも所定方向に走行する。入力レバーまたは入力ペダルを任意の角度だけ回動させ、少しずつ戻すことによって、搬送ベルトを微小距離ずつ送ること(寸動送り)も容易である。
【0039】
このようにして、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤとなる。
【0040】
請求項5の発明にかかるベルトコンベヤにおいては、駆動ローラの内部に駆動ローラの慣性を増すために全周に亘って重りが取付けられている。これによって、ぜんまいばねが弛緩してまたは伸縮エネルギー蓄積機構からエネルギーが放出されて駆動ローラが回転すると、慣性力によって駆動ローラがぜんまいばねの弛緩または放出された伸縮エネルギーによる回転数の数倍回転して、搬送ベルトをより長距離走行させることができる。
【0041】
このようにして、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤとなる。
【0042】
請求項6の発明にかかるベルトコンベヤにおいては、支持部材の両側に搬送ベルトを必要な高さに支持するための複数の支持脚が取付けられている。ある程度の高さまでは、1対のフレームを高く作製することによって搬送ベルトを必要な高さに支持できるが、それにも限界があり、特に従動ローラと従動軸が取付けられるだけの従動フレーム側においては、フレーム材料の無駄遣いとなる。そこで、搬送ベルトを支えるために1対のフレーム間に架け渡されている支持部材の両側に必要な高さの支持脚を取付けることによって、搬送ベルトを必要な高さに支持することができる。
【0043】
ここで、搬送ベルトは略水平に支持されるとは限らず、必要に応じて斜めに、即ち従動ローラ側が高くまたは従動ローラ側が低く支持される。また、支持部材の幅が搬送ベルトの幅より広く支持部材の両側面が搬送ベルトから突出している場合は、支持部材の両側面に直接複数の支持脚を取付けることができるが、支持部材の幅が搬送ベルトの幅より狭く支持部材の両側面が搬送ベルトより引っ込んでいる場合は、支持部材の両側面に支持脚の数だけの中継ぎ部材を搬送ベルトから突出するように取付けて、この中継ぎ部材に支持脚を取付ける必要がある。
【0044】
このようにして、必要な高さに搬送ベルトが支持されて、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトを長く送ることができるベルトコンベヤとなる。
【0045】
請求項7の発明にかかるベルトコンベヤにおいては、支持部材に全長に亘ってまたは支持部材の中間付近を中心として搬送ベルトが接触しても摩擦力が掛からないように搬送ベルトの搬送方向に回転する複数の回転ローラが設けられている。
【0046】
通常、搬送ベルトは駆動ローラ及び従動ローラに緊張した状態で掛けられており、支持部材からは浮いた状態になっているが、重さのある搬送物を載置した場合には搬送ベルトがその部分で撓んで、搬送ベルトの裏面が支持部材と接触した状態となる。この状態で搬送ベルトを走行させると、搬送ベルトの裏面が支持部材と摩擦しながら移動することになり、搬送ベルトの表面には搬送物が滑らないように滑り難い素材を、搬送ベルトの裏面には摩擦抵抗を少なくするために滑り易い素材を使ってはいるが、それでも搬送ベルトの裏面が摩耗してしまう。
【0047】
しかし、本発明にかかるベルトコンベヤにおいては、支持部材に搬送ベルトの搬送方向に回転する複数の回転ローラが設けられているので、搬送物の重さで搬送ベルトの裏面が接触してもころがり摩擦となり、殆ど摩耗しなくて済むため、搬送ベルトの寿命を著しく延ばすことができる。また、搬送ベルトに掛かる抵抗が少なくなるため、同じ駆動エネルギーを掛けた場合には、走行距離がより伸びることになる。
【0048】
ここで、複数の回転ローラは支持部材の全長に亘って設けても良いが、両端の駆動ローラ及び従動ローラに近い部分は搬送ベルトの撓みが少なくなり、支持部材に接触しなくなるため、より撓み易い中間付近を中心として部分的に設けても効果がある。
【0049】
このようにして、電力を全く必要としないととともに、より軽くより安価でよりコンパクトで入力レバー・ペダルの回動角度がより小さくても搬送ベルトをより長く送ることができるとともに搬送ベルトの寿命を延ばすことができるベルトコンベヤとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0051】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0052】
図1(a)は本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤの全体構成を中間部分を省略して示す平面図、(b)は正面図である。図2は本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤの駆動部分の構成を正面側から見て示す縦断面図である。図3は本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤの駆動部分の構成を右側面側から見て示す縦断面図である。図4は本発明の実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤの従動ローラ近傍を拡大して示す斜視図である。
【0053】
図1に示されるように、本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1は、図示しないアルミニウム棒を間に挟んで組付けた2枚のメッキ鋼板からなる1対のフレームの一方としての駆動側フレーム2と、それと離間対向した2枚のメッキ鋼板からなる1対のフレームの他方としての従動側フレーム3と、これら1対のフレーム2,3に両端を固定された支持部材としてのアルミニウム板5と、アルミニウム板5側面の1対のフレーム2,3近傍に1対ずつ取付けられた支持脚10A,10B(向う側の支持脚はそれぞれ手前側の支持脚10A,10Bに重なって図示されず)とを基本骨格として構成されている。
【0054】
駆動側フレーム2には駆動軸6aが水平に軸支され、駆動ローラ6が一体回転可能に取付けられており、同様に従動側フレーム3には従動軸7aが水平に軸支され、従動ローラ7が一体回転可能に取付けられ、これら駆動ローラ6と従動ローラ7には無端状の走行可能な搬送ベルト4が掛け渡されている。
【0055】
駆動軸6aと、駆動側フレーム2に同じく水平に軸支された入力軸との間には、後述する回転数増大伝達機構9が駆動側フレーム2内に設けられており、入力軸に図示しないリンク部材を介して固定された入力レバー8Aを手で持って回動させるか、入力軸に図示しないリンク部材を介して固定された入力ペダル8Bを足で踏んで回動させることによって、駆動軸6aに駆動力を伝達する駆動力伝達軸に駆動側フレーム2の向う側において取付けられている図示しないぜんまいばねが巻き上げられるようになっている。
【0056】
入力レバー8A(図1(a)では図示省略されている)が取付けられているリンクは、図1(b)においては回転数増大伝達機構9内の図示しない上部ストッパーに当接しており、入力レバー8Aがこの位置にあるときに、図示しないぜんまいばねは最も弛緩した状態になっている。この原点位置から、作業者が入力レバー8Aの先端のグリップ部を握って、図1(b)の紙面に垂直な方向に手前側に約13度回動させると、回転数増大伝達機構9の作用によって駆動力伝達軸は約2.1回転して、ぜんまいばねも約2.1回転分巻き上げられて弾性エネルギーを蓄積する。
【0057】
また、図1(a),(b)に示されるように、入力レバー8Aが取付けられているリンクには入力ペダル8Bも取付けられており、この入力ペダル8Bをリンクが回転数増大伝達機構9内の図示しない下部ストッパーに当接するまで踏み込むことによって、リンクは入力レバー8Aを約13度回動させたのと同じだけ回動して、回転数増大伝達機構9の作用によって駆動力伝達軸は約2.1回転して、ぜんまいばねも約2.1回転分巻き上げられて弾性エネルギーを蓄積する。
【0058】
上記特許文献2の実施の形態では入力レバーを約150度回動させることによってぜんまいばねを約3.5回転分巻き上げていたが、このように本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1においては、入力レバー8Aをその10分の1以下の約13度回動させるだけで、ぜんまいばねを約2.1回転分巻き上げることができ、入力レバー8A,入力ペダル8Bの回動角度がより小さくても搬送ベルト4を長く送ることができる。
【0059】
なお、上記特許文献2の実施の形態においては、ぜんまいばねを約3.5回転分巻き上げて弾性エネルギーを最大限蓄積するようにしていたが、ぜんまいばねを毎回最大限まで巻き上げているとぜんまいばねの寿命が短くなることと、巻き上げるのに必要な力が大きくなることから、本実施の形態1においてはぜんまいばねを約2.1回転分、即ち最大限の6割だけ巻き上げることとして、ぜんまいばねの寿命を長く保つとともに巻き上げるのに必要な力が小さくて済むようにしている。
【0060】
また、図1(a)に示されるように、支持部材としてのアルミニウム板5の幅は搬送ベルト4の幅より広いため、アルミニウム板5の側面は搬送ベルト4から突出しており、支持脚10Aはアルミニウム板5の側面に直接取付けることができる。但し、アルミニウム板5の幅で真っ直ぐ降ろしたのでは幅が狭くて安定性が悪いので、まず固定板をアルミニウム板5の側面中央の溝に固定ボルトで固定して、固定板の下端の脚部は紙面に垂直な面内において傾斜させて外側へ拡がるようにし、脚部の下端は水平に曲げて接地シャフト及び接地ゴムをナットで固定して支持脚10Aが構成されている。
【0061】
これによって、図1(a)の平面図に示されるように、支持脚10Aはアルミニウム板5の側面から左右に拡がって接地し、充分な安定性を持って搬送ベルト4を所定の高さに支持することができる。なお、支持部材としてのアルミニウム板5は、駆動側フレーム2には左右4本ずつ計8本の固定ボルトによって締付け固定され、従動側フレーム3には左右2本ずつ計4本の固定ボルトによって締付け固定されている。
【0062】
次に、回転数増大伝達機構9の詳細な構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3に示されるように、駆動側フレーム2の2枚のメッキ鋼板の間には、駆動ローラ6が、駆動側フレーム2に2個のボールベアリング軸受け27によって水平に軸支された駆動軸6aに、ワンウェイクラッチ26を介して一体回転可能に取付けられている。駆動ローラ6の内部には、慣性を増すために全周に亘って図示しない重りが取付けられており、駆動ローラ6の外周には搬送ベルト4が掛けられている。
【0063】
駆動軸6aの奥側には、駆動ローラ6と並んで駆動プーリー12が一体回転可能に取付けられており、この駆動プーリー12には、下方のフレームに2個のボールベアリング軸受け27によって水平に軸支された駆動力伝達軸15aに一体回転自在に取付けられたぜんまいプーリー14との間に、丸ベルト13が掛け渡されている。丸ベルト13にはテンションプーリー16が押し付けられており、丸ベルト13の駆動プーリー12とぜんまいプーリー14への掛け渡しを容易にしつつ、駆動力伝達軸15aから駆動軸6aへ駆動力が無駄なく伝達されるように丸ベルト13にテンションがかけられている。
【0064】
そして、図3に示されるように、駆動力伝達軸15aには、ぜんまいばね30が巻上げ・弛緩可能に取付けられている。このぜんまいばね30は、図2において駆動力伝達軸15aが右回り方向(時計回り方向)に回転する場合には弾性力に抗して巻き上げられて弾性エネルギーを蓄積し、駆動力伝達軸15aが左回り方向(反時計回り方向)に回転する場合には弛緩して、弾性エネルギーを放出する。
【0065】
さらに、図3に示されるように、駆動力伝達軸15aには、ぜんまいばね30とぜんまいプーリー14との間に小スプロケット16が一体回転可能に取付けられており、この小スプロケット16には、下方に2個のボールベアリング軸受け27によって水平に軸支された回転軸18aに一体回転可能に取付けられた大スプロケット18との間に、チェーン17が掛け渡されている。
【0066】
また、回転軸18aには小スプロケット19が一体回転可能に取付けられており、この小スプロケット19にはチェーン20が掛けられており、図2に示されるように、チェーン20の一方の端には円柱状のバランスウエイト21が上下方向にスライド可能に固定されている。また、チェーン20の他方の端には90度捻られた方向にチェーン22が接続されており、このチェーン22は、図3に示されるように、リンク24の先端に回転自在に取付けられたスプロケット23に掛けられて、下方のフレームの底面にその先端が固定されている。
【0067】
リンク24の後端は、支持脚10Bを構成するフレームに回転軸24aによって回転自在に軸支されており、さらに、スプロケット23の回転軸23aには、接続部材25を介して入力リンク8Cが支持脚10Bを構成するフレームに入力軸8aによって回転自在に軸支されている。入力リンク8Cの先端近傍には、想像線で示されるように入力レバー8Aが接続されており、また図3に示されるように、入力ペダル8Bが固定されている。
【0068】
そして、図2に示されるように、支持脚10Bを構成するフレーム内にリンク24の回動を規制する一組の上下ストッパー28を設けたことによって、入力レバー8Aは一定範囲(本実施の形態1においては約13度)しか回動せず、入力ペダル8Bは一定範囲(本実施の形態1においては約100mm)しか踏み込むことができない。これによって、ぜんまいばね30の巻き過ぎを確実に防止するとともに、搬送ベルト4の搬送距離を(ぜんまいばね30の巻上げ数を約2.1回転とすることによって)規定している。
【0069】
なお、本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1においては、入力レバー8Aと入力ペダル8Bが共に備えられた構成として、作業者が入力レバー8Aを手で回動させてベルトコンベヤ1を作動させるか、入力ペダル8Bを足で踏んでベルトコンベヤ1を作動させるかを自由に選択できるようにしているが、入力レバー8Aか入力ペダル8Bかいずれか一方のみを備えた構成としても良い。
【0070】
このような構成を有する本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1の作動原理について、図1乃至図3を参照して説明する。初期状態においては、前述したバランスウエイト21の重さによってチェーン20及びチェーン22を介してスプロケット23が引き上げられ、リンク24は一組の上下ストッパー28のうち上方ストッパー28に当接して止まった状態になっている。
【0071】
この状態から、作業者が入力レバー8Aを手で回動させ或いは入力ペダル8Bを足で踏むことによって、リンク24は下方ストッパー28に当接するまで回動して、スプロケット23が下降する(入力ペダル8Bが約100mm下降することによってスプロケット23は約45mm下降する)のに伴ってチェーン22及びチェーン20を介して、バランスウエイト21の重さに抗して小スプロケット19が図2において(即ち、正面から見て)右回り(時計回り)方向に約0.7回転し、回転軸18aに一体回転可能に取付けられた大スプロケット18も同じく右回り(時計回り)方向に約0.7回転する。
【0072】
この回転は、チェーン17によって小スプロケット15に伝達されるが、小スプロケット15の歯数は大スプロケット18の歯数の3分の1であるため、大スプロケット18が約0.7回転することによって小スプロケット15は右回り(時計回り)方向に約2.1回転して、駆動力伝達軸15aも右回り(時計回り)方向に約2.1回転するため、駆動力伝達軸15aに取付けられたぜんまいばね30も約2.1回転分巻き上げられる。
【0073】
ここで、駆動力伝達軸15aが正面から見て右回り(時計回り)方向に約2.1回転するのに伴って、駆動力伝達軸15aに固定されたぜんまいプーリー14も右回り(時計回り)方向に約2.1回転し、この回転は丸ベルト13によって駆動プーリー12に伝達されて、駆動軸6aが(ぜんまいプーリー14の直径が駆動プーリー12の直径の約1.5倍であるため)右回り(時計回り)方向に約3.2回転するが、駆動ローラ6はワンウェイクラッチ26を介して駆動軸6aに取付けられているため、駆動軸6aが正面から見て右回り(時計回り)方向に回転しても駆動ローラ6は回転せず、したがって搬送ベルト4も移動することはない。
【0074】
これによって、ぜんまいばね30を巻き上げるのに余分な力を必要とせず、またぜんまいばね30を巻き上げる際に搬送ベルト4が逆走するという不具合も起きることがない。
【0075】
このようにぜんまいばね30を巻き上げて弾性エネルギーを蓄えた状態で、作業者が入力レバー8A或いは入力ペダル8Bを開放すると、バランスウエイト21の重量及びぜんまいばね30の弾性エネルギーが相俟って、入力レバー8A及び入力ペダル8Bが原点に復帰するとともに、リンク24が先端に取付けられたスプロケット23が上昇する方向に回動し、小スプロケット19が正面から見て左回り(反時計回り)方向に約0.7回転し、回転軸18aに一体回転可能に取付けられた大スプロケット18も同じく左回り(反時計回り)方向に約0.7回転する。
【0076】
この回転は、チェーン17によって小スプロケット15に伝達され、小スプロケット15の歯数が大スプロケット18の歯数の3分の1であるため、大スプロケット18が約0.7回転することによって小スプロケット15は正面から見て左回り(反時計回り)方向に約2.1回転して、駆動力伝達軸15aも左回り(反時計回り)方向に約2.1回転するため、ぜんまいプーリー14も左回り(反時計回り)方向に約2.1回転する。
【0077】
この回転は、丸ベルト13によって駆動プーリー12に伝達されて、駆動軸6aが左回り(反時計回り)方向に約3.2回転するため、ワンウェイクラッチ26が噛み合って、駆動ローラ6も正面から見て左回り(反時計回り)方向に回転して、これによって搬送ベルト4が従動ローラ7方向に走行する。ここで、前述の如く、駆動ローラ6の内部には慣性を増すために全周に亘って重りが取付けられているため、駆動ローラ6は約3.2回転以上回転して、搬送ベルト4をより長距離走行させて、搬送ベルト4に載置された搬送物をより長距離搬送することができる。
【0078】
また、作業者が入力レバー8A或いは入力ペダル8Bを少しずつ元に戻すことによって、搬送ベルト4を少しずつ走行させて、搬送ベルト4に載置された搬送物を少しずつ搬送すること(寸動送り)も容易にできる。
【0079】
このように、本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1においては、回転数増大伝達機構9をスプロケット15,18,19,23及びチェーン17,20,22、並びにプーリー12,14と丸ベルト13で構成したために、僅かな部品点数と自由な配置で構成することができ、かつスプロケット及びチェーンやプーリーと丸ベルトは歯車よりも軽量でしかも安価であるため、ベルトコンベヤ1としても回転数増大伝達機構9の部分がコンパクトになるとともに全体としても軽量かつ低コストにすることができる。
【0080】
また、スプロケット及びチェーンは自由な配置で構成できるため、回転数増大の効果が大きく、上記特許文献2の実施の形態(回転数増大伝達機構を歯車で構成したもの)では入力レバーを約150度回動させないとぜんまいばねを約3.5回転分巻き上げられなかったのに対して、本実施の形態1のベルトコンベヤ1においては、入力レバー8Aを僅か約13度回動させるだけでぜんまいばね30を約2.1回転分巻き上げることができ、入力レバーの回動角度を凡そ10分の1にすることができるという作用効果が得られる。
【0081】
さらに、本実施の形態1のベルトコンベヤ1は、電力が不要で全体としても軽量であるという長所を生かして、移動設置式のベルトコンベヤとしての用途が広がるものと考えられる。例えば、河川の堤防決壊による洪水時に、現場へ運んで設置して土嚢を搬送する等の緊急時の用途にも対応できる。
【0082】
このようにして、本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1においては、電力を全くしないだけでなく、より軽くより安価でよりコンパクトで、入力レバー8A・入力ペダル8Bの回動角度がより小さくても搬送ベルト4を長く送ることができる。
【0083】
さらに、本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1の特有の作用効果として、図2に示されるように、バランスウエイト21を正面から見て左側に配置して、入力軸8aを右側に配置することによって、入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを回動させるとぜんまいばね30が正面から見て右回り(時計回り)方向に巻き上げられて弾性エネルギーが蓄積され、入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを開放すると駆動ローラ6が正面から見て左回り(反時計回り)方向に回転して、搬送ベルト4が左方向に走行する。
【0084】
したがって、バランスウエイト21を正面から見て右側に配置して、入力軸8aを左側に配置するとともに、ぜんまいばね30を逆向きに取付けることによって、駆動ローラ6が正面から見て右回り(時計回り)方向に回転して、搬送ベルト4が右方向に走行するので、部品を増やしたり交換したりする必要がなく、極めて容易に搬送ベルト4の走行方向を逆にすることができるという利点がある。
【0085】
次に、本実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤ1Aについて、図4を参照して説明する。なお、本実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤ1Aの構成は、支持部材の構造を除いて本実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1と同様であるため、全体の図示を省略するとともに、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
図4に示されるように、本実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤ1Aにおいては、搬送ベルト4の支持部材として、アルミニウム板5の代わりに断面コの字形の1対のレール5Cの間に複数の回転ローラ5Bを回転自在に取付けたローラコンベヤ5Aを使用している。
【0087】
通常、搬送ベルト4は駆動ローラ6及び従動ローラ7に緊張した状態で掛けられており、支持部材5からは浮いた状態になっているが、重さのある搬送物を載置した場合には搬送ベルト4がその部分で撓んで、搬送ベルト4の裏面が支持部材5と接触した状態となる。この状態で搬送ベルト4を走行させると、搬送ベルト4の裏面が支持部材5と摩擦しながら移動することになり、搬送ベルト4の裏面には摩擦抵抗を少なくするために滑り易い素材を使ってはいるが、それでも搬送ベルト4の裏面が摩耗してしまう。
【0088】
しかし、本実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤ1Aにおいては、支持部材5Aに搬送ベルト4の搬送方向に回転する複数の回転ローラ5Bが設けられているので、搬送物の重さで搬送ベルト4の裏面が接触してもころがり摩擦となり、殆ど摩耗しなくて済むため、搬送ベルト4の寿命を著しく延ばすことができる。また、搬送ベルト4に掛かる抵抗が少なくなるため、同じ駆動エネルギーを掛けた場合には、走行距離がより伸びることになる。
【0089】
ここで、本実施の形態1の変形例においては、複数の回転ローラ5Bを支持部材5Aの全長に亘って設けているが、両端の駆動ローラ6及び従動ローラ7に近い部分は搬送ベルト4の撓みが少なくなり、支持部材5Aに接触しなくなるため、より撓み易い中間付近を中心として部分的に設けても効果がある。
【0090】
このようにして、本実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤ1Aにおいては、電力を全く必要としないだけでなく、より軽くより安価でよりコンパクトで、入力レバー8A・入力ペダル8Bの回動角度がより小さくても搬送ベルト4をより長く送ることができるとともに搬送ベルト4の寿命を延ばすことができる。
【0091】
なお、本実施の形態1においては、ぜんまいばね30を駆動軸6aに駆動力を伝達する駆動力伝達軸15aに取付けた場合について説明したが、ぜんまいばね30を駆動軸6aに直接取付けることもできる。
【0092】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について、図5乃至図7を参照して説明する。
【0093】
図5は本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの全体構成を駆動側フレームの一部を構成する第3のフレームの手前側フレーム板を外し、かつ中間部分を省略して示す側面図である。図6は本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの全体構成を中間部分を省略して示す平面図である。図7(a)は本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの駆動部分の構成を示す平面図、(b)は側面図である。
【0094】
なお、本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの回転数増大伝達機構39の構成は、一部を除いて実施の形態1のベルトコンベヤ1の回転数増大伝達機構9の構成と同様であるため、一部を図示して説明し、同一の部分については図示及び説明を省略する。
【0095】
図5に示されるように、本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31は、支持部材を間に挟んで組付けた第2のフレームとしての従動側フレーム33と、それと離間対向した、第3のフレームと中間のフレーム板を共用する第1のフレームとからなる全体が図示されない駆動側フレーム32と、駆動側フレーム32に軸支された駆動軸36aに一体回転可能に取付けられた駆動ローラ36と、従動側フレーム33に軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラ37と、駆動ローラ36と従動ローラ37に掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルト34を中心として構成されている。
【0096】
さらに、これら1対の全体が図示されない駆動側フレーム32と従動側フレーム33に両端を固定された支持部材としての図示されないアルミニウム板には、搬送ベルト34の両側面をカバーするように両側面に突出した断面コの字形のパネル35が、駆動側フレーム32と従動側フレーム33の間に亘ってネジ止めされている。
【0097】
この断面コの字形のパネル35には、コの字形パネル35の底面左端と駆動側フレーム32の一部を構成する第3のフレームの右端に、搬送ベルト34を必要な高さに支持するための支持脚40,41がそれぞれ取付けられている。安定を保つために、支持脚40の脚部本体40Aの下端には紙面に垂直方向に伸びるコの字形部材40Bが固定され、コの字形部材40Bの手前側と向う側にはそれぞれ支持底40Cが固定されている。
【0098】
一方、右側の支持脚41は、駆動側フレーム32の下方に接続された回転数増大伝達機構39のフレームの下に設けられており、重量のある駆動側フレーム32及び回転数増大伝達機構39を支持するため、図6の平面図で示されるように、H字形の底面脚部が設けられている。
【0099】
駆動側フレーム32の一部を構成する第3のフレーム(手前側フレーム板32Cと中間フレーム板32Bとからなる)の中間フレーム板32Bにはフランジ付きガイド45が搬送ベルト34と平行に固定され、フランジ付きガイド45には長いロッド46が嵌合して搬送ベルト34と平行方向にガタツキなくスライドする。この長いロッド46の左端には、ばねホルダ47が固定されており、フランジ付きガイド45のフランジ45aとばねホルダ47の間には、コイルばね48が長いロッド46を取り巻いて取付けられている。
【0100】
一方、長いロッド46の右端には第1のプーリー42が回転自在に取付けられ、駆動側フレーム32の一部を構成する第3のフレームの中間フレーム板32Bには丈夫でかつ柔軟なワイヤ43の一端が固定され、第1のプーリー42に掛けられてから、第3のフレーム内に突出した駆動軸36aに一体回転自在に固定された第2のプーリー44に巻き付けられて、この第2のプーリー44にワイヤ43の他端が固定されている。
【0101】
さらに、駆動側フレーム32の右端には、回転数増大伝達機構39の一部を収納する下方フレームが駆動側フレーム32を支持するように設けられており、さらにこの下方フレームは駆動側の支持脚41の一部を構成する支持フレームによって支持されている。この支持フレーム内にも、回転数増大伝達機構39の一部が収納されており、支持フレームの下方には、実施の形態1と同様の入力軸8aが駆動軸36aと離して駆動軸36aと同じく水平に軸支されている。
【0102】
この入力軸8aには、実施の形態1と同様の入力リンク8Cを介して、実施の形態1と同様の入力レバー8A及び入力ペダル8Bが一体に回動可能に固定されている。そして、入力軸8aと駆動軸36aとの間には、入力軸8aの回転を駆動軸36aに回転数を増大して伝達する回転数増大伝達機構39が設けられている。
【0103】
次に、図6の平面図を参照して、本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31についてさらに詳細に説明する。
【0104】
図6に示されるように、駆動側フレーム32の中間フレーム板32Bの向う側には、中間フレーム板32Bとの間で駆動軸36aを水平に軸支する第1のフレームの外側フレーム板32Aが設けられており、駆動軸36aには駆動ローラ36が一体回転可能に取付けられている。第1のフレーム(外側フレーム板32Aと中間フレーム板32Bの一部とからなる)とこれに離間対向して設けられた第2のフレーム33との間には、搬送ベルト34の上側を支持するための支持部材としてのアルミニウム板35Aが架け渡されて、駆動側フレーム32の一部を構成する第1のフレームと従動側フレームとしての第2のフレーム33にそれぞれ固定されている。
【0105】
そして、駆動ローラ36と従動ローラ37には無端状の搬送ベルト34が張った状態で掛け渡されており、後述するように入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを操作することによって、白い矢印の方向へ高速で移動して搬送ベルト34の上に載置された製品等を搬送する。また、前述の如く、コの字形パネル35の底面左端には搬送ベルト34を必要な高さに支持するための支持脚40が取付けられている。安定を保つために、この支持脚40の支持脚本体40Aの下端にはコの字形部材40Bが固定され、コの字形部材40Bの両端にはそれぞれ支持底40Cが固定されている。
【0106】
次に、本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31の駆動機構について、図7を参照してさらに説明する。
【0107】
図7(a),(b)に示されるように、フランジ付きガイド45のフランジ45aにはブラケット45bが一体になっており、このブラケット45bにおいて、中間フレーム板32Bに4本のネジでネジ止めされている。また、図7(a)に示されるように、外側フレーム板32Aと中間フレーム板32Bの間には補助ローラ49が回転自在に軸支されており、この補助ローラ49は図7(b)に示されるように、搬送ベルト34の張りを一段と強くし、且つ搬送ベルト34の下側を従動ローラ37までの間、搬送ベルト34の上側とほぼ平行にし、見栄えを良くしたものである。
【0108】
また、コイルばね48が実線で示される圧縮された状態から想像線で示される伸びた状態となり、長いロッド46が実線で示される位置から想像線で示される位置まで高速でスライドする際に、ばねホルダ47が第3のフレーム32の左端に衝突する衝撃を緩和するために、ゴム製のストッパー47aが設けられている。
【0109】
さらに、この際に第2のプーリー44が高速回転して巻き取られていたワイヤ43が波打って第2のプーリー44から外れるのを防ぐために、第2のプーリー44の近傍にワイヤ抑え44aが固定されている。このワイヤ抑え44aには端面に深い溝が切ってあり、ワイヤ43はこの溝の中を通っている。ワイヤ43の一端はワイヤ止め43aに強固に固定されており、第1のプーリー42に掛けられた後、前記ワイヤ抑え44aの深い溝の中を通って第2のプーリー44に巻き付けられ、ワイヤ43の他端は第2のプーリー44に強固に固定されている。
【0110】
一方、駆動側フレーム32の一部を構成する第3のフレーム内に突出した駆動軸36aに固定されている第2のプーリー44の向こう側には、やはり駆動軸36aと一体に回転する小径のスプロケット50が固定されており、この小スプロケット50には、実施の形態1と同様に下方フレームに軸支された回転軸18aと一体に回転する大径のスプロケット18との間に、チェーン51が掛けられている。この回転軸18aには、やはり一体に回転する小径のスプロケット19が固定されており、この小スプロケット19には実施の形態1と同様にチェーン20が掛けられている。
【0111】
以下の構成は、図2及び図3の下半分に示される実施の形態1と同様であるので、図示及び説明を省略する。即ち、本実施の形態2にかかる回転数増大伝達機構39と実施の形態1にかかる回転数増大伝達機構9との違いは、大スプロケット18に掛けられているチェーン51が、駆動力伝達軸に固定されたスプロケットではなく、駆動軸36aに固定されたスプロケット50に直接掛けられている点にある。
【0112】
このような構成を有する本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31における搬送ベルト34の走行の仕組みについて、図5乃至図7及び図2乃至図4を参照して説明する。初期状態においては、実施の形態1と同様にバランスウエイト21の重さによってチェーン20及びチェーン22を介してスプロケット23が引き上げられ、リンク24は一組の上下ストッパー28のうち上方ストッパー28に当接して止まった状態になっている。
【0113】
この状態から、作業者が入力レバー8Aを手で回動させ或いは入力ペダル8Bを足で踏むことによって、リンク24は下方ストッパー28に当接するまで回動して、スプロケット23が下降する(入力ペダル8Bが約100mm下降することによってスプロケット23は約45mm下降する)のに伴ってチェーン22及びチェーン20を介して、バランスウエイト21の重さに抗して小スプロケット19が図7(b)において(即ち、正面から見て)右回り(時計回り)方向に約0.7回転し、回転軸18aに一体回転可能に取付けられた大スプロケット18も同じく右回り(時計回り)方向に約0.7回転する。
【0114】
この回転は、チェーン51によって小スプロケット50に伝達されるが、小スプロケット50の歯数は大スプロケット18の歯数の4分の1であるため、大スプロケット18が約0.7回転することによって小スプロケット50は右回り(時計回り)方向に約2.8回転して、駆動軸36aも右回り(時計回り)方向に約2.8回転するため、駆動軸36aに固定されている第2のプーリー44はワイヤ43を巻き取る方向に回転する。
【0115】
これによって、図6及び図7に示されるように、想像線で示される原位置にあった第1のプーリー42はワイヤ43が巻き取られるに連れて右側へ引張られるので、長いロッド46も想像線で示される原位置から実線で示される位置までスライドして、弛緩していたコイルばね48も実線で示されるように圧縮される。このとき、駆動軸36aに固定されている図示されないワンウェイクラッチが回動を駆動ローラ36に伝達しないため、搬送ベルト34が逆方向に走行することもなく、軽い力でコイルばね48を圧縮することができる。
【0116】
このようにコイルばね48を圧縮して弾性エネルギーを蓄えた状態で、作業者が入力レバー8A或いは入力ペダル8Bを開放すると、バランスウエイト21の重量及びコイルばね48の弾性エネルギーが相俟って、入力レバー8A及び入力ペダル8Bが原点に復帰するとともに、リンク24が先端に取付けられたスプロケット23が上昇する方向に回動し、小スプロケット19が正面から見て左回り(反時計回り)方向に約0.7回転し、回転軸18aに一体回転可能に取付けられた大スプロケット18も同じく左回り(反時計回り)方向に約0.7回転する。
【0117】
この回転は、チェーン51によって小スプロケット50に伝達され、小スプロケット50の歯数が大スプロケット18の歯数の4分の1であるため、大スプロケット18が約0.7回転することによって小スプロケット50は正面から見て左回り(反時計回り)方向に約2.8回転して、駆動軸36aも左回り(反時計回り)方向に約2.8回転するため、図示しないワンウェイクラッチが噛み合って、駆動ローラ36も正面から見て左回り(反時計回り)方向に回転して、これによって搬送ベルト34が従動ローラ37方向に走行する。
【0118】
ここで、前述の如く、駆動ローラ36の内部には慣性を増すために全周に亘って重りが取付けられているため、駆動ローラ36は約2.8回転以上回転して、搬送ベルト34をより長距離走行させて、搬送ベルト34に載置された搬送物をより長距離搬送することができる。
【0119】
また、作業者が入力レバー8A或いは入力ペダル8Bを少しずつ元に戻すことによって、搬送ベルト34を少しずつ走行させて、搬送ベルト34に載置された搬送物を少しずつ搬送すること(寸動送り)も容易にできる。
【0120】
このように、本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31においては、回転数増大伝達機構39をスプロケット18,19,23,50及びチェーン20,22,51で構成したために、僅かな部品点数と自由な配置で構成することができ、かつスプロケット及びチェーンは歯車よりも軽量でしかも安価であるため、ベルトコンベヤ31としても回転数増大伝達機構39の部分がコンパクトになるとともに全体としても軽量かつ低コストにすることができる。
【0121】
また、スプロケット及びチェーンは自由な配置で構成できるため、回転数増大の効果が大きく、上記特許文献2の実施の形態(回転数増大伝達機構を歯車で構成したもの)では入力レバーを約150度回動させないと駆動軸を約3.5回転させられなかったのに対して、本実施の形態2のベルトコンベヤ31においては、入力レバー8Aを僅か約13度回動させるだけで駆動軸36aを約2.8回転させることができ、入力レバーの回動角度を凡そ10分の1にすることができるという作用効果が得られる。
【0122】
さらに、本実施の形態2のベルトコンベヤ31は、電力が不要で全体としても軽量であるという長所を生かして、移動設置式のベルトコンベヤとしての用途が広がるものと考えられる。例えば、河川の堤防決壊による洪水時に、現場へ運んで設置して土嚢を搬送する等の緊急時の用途にも対応できる。
【0123】
このようにして、本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31においては、電力を全くしないだけでなく、より軽くより安価でよりコンパクトで、入力レバー8A・入力ペダル8Bの回動角度がより小さくても搬送ベルト34を長く送ることができる。
【0124】
さらに、本実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31に特有の作用効果として、図2に示されるように、バランスウエイト21を正面から見て左側に配置して、入力軸8aを右側に配置することによって、入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを回動させると伸縮エネルギー蓄積機構を構成するコイルばね48が圧縮されて弾性エネルギーが蓄積され、入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを開放すると駆動ローラ36が正面から見て左回り(反時計回り)方向に回転して、搬送ベルト34が左方向に走行する。
【0125】
したがって、バランスウエイト21を正面から見て右側に配置して、入力軸8aを左側に配置するとともに、ワイヤ43を第1のプーリー42及び第2のプーリー44に逆方向に掛けかえることによって、駆動ローラ36が正面から見て右回り(時計回り)方向に回転して、搬送ベルト34が右方向に走行するので、部品を増やしたり交換したりする必要がなく、極めて容易に搬送ベルト34の走行方向を逆にすることができるという利点がある。
【0126】
なお、本実施の形態2においては、コイルばね48を中心とする伸縮エネルギー蓄積機構を駆動軸36aに直接取付けた場合について説明したが、駆動軸36aに駆動力を伝達する駆動力伝達軸を別に設けて、この駆動力伝達軸に伸縮エネルギー蓄積機構を取付けて駆動力伝達軸からベルト、ワイヤまたはチェーンを介して回転力を駆動軸36aに伝達する方式とすることもできる。
【0127】
また、本実施の形態2においては、支持部材としてアルミニウム板35Aを用いた場合について説明したが、図4に示される実施の形態1の変形例のように、複数の回転ローラを有する支持部材を用いることもできる。
【0128】
本発明を実施するに際しては、ベルトコンベヤのその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤ1は、搬送ベルト4を走行させる駆動ローラ6が取付けられた駆動軸6aと入力レバー8A及び入力ペダル8Bの一端が固定された入力軸8aとの間に回転数増大伝達機構9が設けられているため、入力レバー8Aを手で持って回動させ、または入力ペダル8Bを足で踏み込むと入力軸8aの回動が何回転にもなって駆動力伝達軸15aに伝達され、駆動力伝達軸15aに取付けられたぜんまいばね30が巻き上げられる。
【0130】
そこで手または足を離せば、ぜんまいばね30が弛緩するとともに蓄えられていた弾性力によって駆動軸6aが回転し、駆動ローラ6も一体に回転して搬送ベルト4を走行させる。そして、搬送ベルト4の走行距離は入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを回動させる角度と駆動軸6aの回転数の関係を予め調べておけば、自在に調節することができる。これによって、電力を用いずに必要なときに必要なだけ搬送ベルト4を走行させることができ、ぜんまいばね30の巻き上げ限界の範囲内で入力レバー8Aまたは入力ペダル8Bを任意の角度だけ回動させ、少しずつ戻すことによって、搬送ベルト4を微小距離ずつ送ること(寸動送り)も容易である。
【0131】
このようにして、必要なときだけ手動でぜんまいばね30を巻いて搬送ベルト4を走行させることができ、電力を一切用いず大幅に省エネルギー化を図ることができるとともに、細かい制御も容易に行うことができる。
【0132】
本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤ31も、弾性力蓄積手段としてぜんまいばね30の代わりにコイルばね48を用いた点が大きく異なるのみであり、入力レバー8Aを手で持って回動させ、または入力ペダル8Bを足で踏み込んで離すと、蓄えられていた弾性力によって駆動軸36aが回転し、駆動ローラ36も一体に回転して搬送ベルト34を走行させる。
【0133】
したがって、電気を使用していないことから、水周りの作業場、例えば、調理室、炎天下の農作業場、コンベヤが水中に入る水槽への搬入または水槽からの搬出に使用できる。さらには、河川の堤防の決壊による洪水等の際には、現場へ運んで設置して、堤防を修復するための土嚢を搬送するのにも使用することができる。
【0134】
また、調理室においては、調理室と配膳室との間の受け渡しにも、絶縁変圧器等の絶縁性を高める防水構造の配線が不要となるから、ベルトコンベヤが廉価となる。また、駆動しないときには、全くエネルギーを使用していないから、常に連続運転する従来のベルトコンベヤと相違するので、省エネ効果がある。
【0135】
そして、薬局等の調合室と受け渡し場所間の搬送、クリーンルームと外部との受け渡し、野菜・果物の選果場での選果作業と選果後の搬送、勿論、部品組立工場の人海作業からメインコンベヤへの受け渡し、グループ単位の部品等の組み立てと搬送、函詰単位の搬送等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1(a)は本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤの全体構成を中間部分を省略して示す平面図、(b)は正面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤの駆動部分の構成を正面側から見て示す縦断面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1にかかるベルトコンベヤの駆動部分の構成を右側面側から見て示す縦断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の変形例にかかるベルトコンベヤの従動ローラ近傍を拡大して示す斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの全体構成を第3のフレームの手前側フレーム板を外し、かつ中間部分を省略して示す側面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの全体構成を中間部分を省略して示す平面図である。
【図7】図7(a)は本発明の実施の形態2にかかるベルトコンベヤの駆動部分の構成を示す平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0137】
1,1A,31 ベルトコンベヤ
2,32 駆動側フレーム
3,33 従動側フレーム
4,34 搬送ベルト
5,5A,35A 支持部材
5B 回転ローラ
6,36 駆動ローラ
6a,36a 駆動軸
7,37 従動ローラ
7a 従動軸
8a 入力軸
8A 入力レバー
8B 入力ペダル
9,39 回転数増大伝達機構
10A,10B,40,41 支持脚
15,18,19,23 スプロケット
15a 駆動力伝達軸
17,20,22 チェーン
26 ワンウェイクラッチ
30 ぜんまいばね
42 第1のプーリー
43 ワイヤ
44 第2のプーリー
45 フランジ付きガイド
45a フランジ
46 長いロッド
47 ばねホルダ
48 コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間対向した1対のフレームと、
前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に軸支された駆動軸に一体回転可能に取付けられた駆動ローラと、
前記1対のフレームの他方(従動側フレーム)に軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラと、
前記駆動ローラと前記従動ローラに掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルトと、
前記駆動ローラと前記従動ローラの間において、前記搬送ベルトの下方向への移動を制限し、前記搬送ベルトの裏面を支持する支持部材と、
前記駆動ローラの駆動軸または前記駆動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達軸に回動自在に接続されたぜんまいばねと、
前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に前記駆動軸または前記駆動力伝達軸と離して軸支された入力軸と、
前記入力軸と前記駆動軸または前記駆動力伝達軸の間に設けられた前記入力軸の回転を前記駆動軸または前記駆動力伝達軸に回転数を増大して伝達する複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構と、
前記入力軸にその一端が固定された入力レバー及び/または入力ペダルと
を具備することを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
互いに離間対向した1対のフレームと、
前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に軸支された駆動軸に一体回転可能に取付けられた駆動ローラと、
前記1対のフレームの他方(従動側フレーム)に軸支された従動軸に一体回転可能に取付けられた従動ローラと、
前記駆動ローラと前記従動ローラに掛け渡された無端状の走行可能な搬送ベルトと、
前記駆動ローラと前記従動ローラの間において、前記搬送ベルトの下方向への移動を制限し、前記搬送ベルトの裏面を支持する支持部材と、
長さ方向の伸縮でもって、エネルギーの蓄積状態を特定可能な伸縮エネルギー蓄積機構と、
前記伸縮エネルギー蓄積機構に蓄積されたエネルギーが放出されるときにスライドする回転自在な第1のプーリーと、
一端を前記駆動軸の近傍の前記1対のフレームの一方(駆動側フレーム)に設けられた止め具に固定され、他端を前記第1のプーリーに掛けてから前記駆動軸に一体に回転自在に固定された第2のプーリーに固定されて該第2のプーリーに巻き付けられたワイヤと、
前記1対のフレームの一方に前記駆動軸または前記駆動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達軸と離して軸支された入力軸と、
前記入力軸と前記駆動軸または前記駆動力伝達軸の間に設けられた前記入力軸の回転を前記駆動軸または前記駆動力伝達軸に回転数を増大して伝達する複数のスプロケットとチェーン及び/またはプーリーとベルト若しくはワイヤを有する回転数増大伝達機構と、
前記入力軸にその一端が固定された入力レバー及び/または入力ペダルと
を具備することを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記伸縮エネルギー蓄積機構は、前記1対のフレームに前記搬送ベルトと平行に固定されたフランジ付きガイドと、前記フランジ付きガイドに嵌合して前記搬送ベルトと平行方向にスライドする長いロッドと、前記長いロッドの前記従動ローラよりに固定されたばねホルダと前記フランジ付きガイドのフランジとの間に前記長いロッドを取り巻いて取付けられたコイルばねとを具備することを特徴とする請求項2に記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記駆動ローラは前記駆動軸または前記駆動力伝達軸が回転して前記ぜんまいばねまたは前記伸縮エネルギー蓄積機構がエネルギーを蓄積するときには回転せず、前記駆動軸または前記駆動力伝達軸が回転して前記ぜんまいばねまたは前記伸縮エネルギー蓄積機構が蓄積されたエネルギーを放出するときには回転するように、ワンウェイクラッチを介して前記駆動軸に取付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記駆動ローラの内部には前記駆動ローラの慣性を増すために全周に亘って重りが取付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記支持部材の両側には前記搬送ベルトを必要な高さに支持するための複数の支持脚が取付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記支持部材には全長に亘ってまたは前記支持部材の中間付近を中心として前記搬送ベルトが接触しても摩擦力が掛からないように前記搬送ベルトの搬送方向に回転する複数の回転ローラが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のベルトコンベヤ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−112578(P2007−112578A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306082(P2005−306082)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(591284379)豊明工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】