説明

ベルトコンベヤ

【課題】周辺および附帯する装置や機器の取り外しを最小限に留めることで、容易にベルトの交換が可能であり、さらにベルトの蛇行調整を容易に実施可能なベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】各フレーム10には、Z軸方向に延設された溝部10a1と、この底部分で連通し、X軸方向に延びる溝部とが設けられている。各フレーム10に取り付けられた各カム部20のカム本体部は、リンクプレート22を介して、ローラ軸12cの各端部に押圧力を作用させることができる。ローラ12は、カム部20を回転させることで、ローラ軸12cの各端部が溝部10a1を移動可能となり、フレーム10から取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤに関し、特に、無端ベルトの交換、およびベルトの蛇行調整のための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
生産現場において、材料あるいは製品などの搬送手段としてベルトコンベヤが用いられている。
ベルトコンベヤは、互いに間隙をあけて並設された2本のフレームと、この2本のフレームの両端部分において、フレーム間で軸支された一対のローラと、一対のローラ間に張設されたベルトとから構成されている。
【0003】
ベルトコンベヤにおけるベルトとしては、無端ベルトが用いられることが多い。これは、無端ベルトは、ジョイントベルトに比べて、コンベヤ駆動による伸びが僅かであり、また、ジョイント部分に起因する振動という問題を生じないという優位性があるためである。また、無端ベルトは、ジョイントベルトに比べて安価であり、ランニングコストという観点から優位である。
【0004】
ところで、ベルトは経年劣化や使用に起因する破損、あるいは磨滅などを生じるため、一定の駆動時間毎に交換することが必要となる。従来の無端ベルトを用いるベルトコンベヤにおいては、上記のような無端ベルトによる優位性を享受し得る反面、無端ベルト交換のために煩雑な作業が必要となる。
具体的に、従来のベルトコンベヤにおける無端ベルトの取り外しは、一方のローラの軸支状態を解除して、フレームの長手方向に沿ってスライドさせ、これによりベルトを緩める。そして、緩めた状態のベルトをコンベヤの幅方向に抜き出すという作業を以って行う。また、ベルトの取り付けは、上記と逆の作業を行うことでなされる。ここで、ベルトをコンベヤの幅方向に抜き出す際には、フレームに取り付けられた脚部材やガイド、あるいはセンサ等を予め取り外すことが必要であり、ベルト交換後には再度これらを取り付けることが必要となる。
【0005】
このようなベルト交換に要する煩雑な作業は、生産ラインの長時間の停止を余儀なくし、生産効率の低下を招く一因となる。このようなベルト交換の作業の効率化を図るべく、例えば、特許文献1〜4などを始めとして、種々の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−157621号公報
【特許文献2】特許3290414号公報
【特許文献3】特開2002−239191号公報
【特許文献4】特開2005−255268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜4で提案されている技術を含む従来技術では、ベルト交換に際してフレームや、これに附帯された機器を取り外す必要があり、煩雑な作業を伴うという問題が残る。また、実際の生産ラインなどでは、ベルトコンベヤの両側に別のベルトコンベヤが配置されていたり、あるいは、他の装置が配置されていたりして、大きなスペースが確保されていないことも多い。さらに、フレームには、センサが取り付けられることもあるが、ベルト交換のためにセンサを一度取り外した場合には、ベルト交換の終了後に再度センサを取り付ける際に、その位置や角度の調整を厳密に行わなければならず、煩雑で時間のかかる作業が必要となる。
【0008】
また、ベルトコンベヤでは、定期あるいは不定期にベルトの蛇行調整を行う必要があるが、上記特許文献1〜4で提案されている技術を含む従来のベルトコンベヤでは、その調整が容易ではなく、このためにも長時間のライン停止を余儀なくされることがある。
本発明は、このような問題の解決を図るべくなされたものであって、周辺および附帯する装置や機器の取り外しを最小限に留めることで、容易にベルトの交換が可能であり、さらにベルトの蛇行調整を容易に実施可能なベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、次の構成を採用することを特徴とする。
本発明に係るベルトコンベヤは、2本のフレームと、一対のローラと、無端ベルトを備える。
2本のフレームは、各々が長尺状をし、互いの間に間隙をあけて並設されている。一対のローラは、2本のフレームの長手方向に互いに間隔をあけ、各々が2本のフレーム間で架設されている。無端ベルトは、一対のローラ間で張設されている。
【0010】
上記において、一対のローラの内の一方のローラは、2本のフレームに支持されるローラ軸と、当該ローラ軸に対し回転自在に軸支されたローラ本体とを有する。また、2本のフレームには、互いに対向する側(内側)に、2本のフレームの長手方向、およびベルトの幅方向の双方に対して交差する方向に延び、端部が開口された主溝部が形成されており、各フレームの主溝部には、その底部分から2本のフレームの長手方向に延設され、ローラ軸の支持部分に繋がる連絡溝部が連通されている。
【0011】
さらに、本発明に係るベルトコンベヤにおいて、2本のフレームには、ベルトの幅方向に沿って規定される軸周りに回転可能なカム部がそれぞれ取り付けられており、各カム部は、前記軸周りの回転を以って、2本のフレームの長手方向において、径変化するカム本体部を有する。
そして、本発明に係るベルトコンベヤでは、上記一方のローラにおけるローラ軸の各端部が、各カム部の回転角が第1の状態にあるときに、カム本体部からの押圧力により、連絡溝部の奥に押し込まれた状態となり、各カム部の回転角が第2の状態にあるときに、カム本体部からの押圧力の解除により、連絡溝部中を、主溝部の底部分まで移動自在の状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るベルトコンベヤでは、フレームの長手方向に対して直交する軸周りに、カム部を回転させることで、上記一方のローラにおけるローラ軸の各端部を連絡溝部中で移動させることができる。そして、カム部の回転角が第1の状態にあるときには、ローラ軸の各端部はカム本体部からの押圧力を受けて連絡溝部の奥に押し込まれた状態となる。よって、ベルトコンベヤの駆動時には、カム部を第1の状態としておくことで、ローラ軸にガタつきを生じることがない。
【0013】
なお、第1の状態における回転角をカム部毎に微調整することにより、フレームの長手方向に対するローラ軸の角度調整をすることができ、ベルトの蛇行を効果的に補正することができる。
また、カム部の回転角が第2の状態にあるときには、上記一方のローラにおけるローラ軸の各端部はカム本体部からの押圧力の解除により、主溝部の底部分まで移動自在の状態となる。そして、主溝部は、フレームの長手方向およびベルトの幅方向の双方に対して交差する方向に延設されており、その端部が開口されている。よって、カム部の回転角が第2の状態にあるときには、ローラ軸の各端部を、主溝部の開口からコンベヤ上方あるいは下方に取り外すことが可能となる。ここで、一対のローラの内のもう一方のローラについては、上記一方のローラと同様の構成を採用することもできるし、採用しないこともできる。例えば、上記一方のローラを取り外した場合には、これによりベルトに緩みをもたせることができ、この緩みを利用して、もう一方のローラをフレームの長手方向外側へとスライドさせて外すという構成などを採用することができる。
【0014】
従って、本発明に係るベルトコンベヤでは、周辺および附帯する装置や機器の取り外しを最小限に留めることで、容易にベルトの交換が可能であり、さらにベルトの蛇行調整を容易に実施可能である。
本発明に係るベルトコンベヤでは、一例として、以下のようなバリエーションを採用することが可能である。
【0015】
本発明に係るベルトコンベヤでは、上記構成において、各カム部における外方に露出された領域に、回転の際に治工具の挿入を受け入れる孔部が設けられており、各カム部における孔部が、2本のフレームの長手方向、およびベルトの幅方向の双方に対して交差する方向に向けて開口されているという構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、コンベヤの側方に大きなスペースがない場合にあっても、各カム部の孔部から治工具を差し込み、これによりカム部を回転させることが可能である。よって、カム部の回転角を第1の状態と第2の状態との間で変化させるために、コンベヤ側方に隣接する設備や別のベルトコンベヤなどを移動させる必要がなく、ベルト交換時における作業の効率化という観点から優れている。
【0016】
また、本発明に係るベルトコンベヤは、上記構成において、カム部に設けられた孔部が、その深さ方向の少なくとも一部領域に雌ねじ加工が施されており、雌ねじ加工が施された部分に虫ねじが螺合されている。そして、各カム部は、2本のフレームの各々における対応箇所に植設された軸部に対して、虫ねじが緩められた状態で回転自在となり、虫ねじが締められた状態で回転が規制されるという構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、穴部を通して虫ねじを締めたり緩めたりすることができ、ベルトの交換に際して、回転自在とするための作業が効率的となる。
【0017】
なお、本発明に係るベルトコンベヤでは、虫ねじを螺合するための雌ねじ加工を施す場所は、必ずしも上記孔部と連通する場所である必要はなく、カム部を回転させる際に治工具を挿入する孔部とは別に、虫ねじを螺合するための雌ねじを設けることとしてもよい。
また、本発明に係るベルトコンベヤでは、各カム部におけるカム本体部とローラ軸の各端部との間に、リンク部材が介挿されているという構成を採用することができる。このようにカム本体部とローラ軸の各端部との間に、リンク部材を介挿させることとする場合には、カム部を設ける位置と、カム部の回転角が第1の状態のときのローラ軸の各端部の位置(ベルトコンベヤの駆動時におけるローラ軸の軸芯位置)とを離れている場合にも、カム本体部のサイズを大きくする必要がない。このため、カム部におけるカム本体部のサイズを小さく抑えることで、カム部がフレームの上下に飛び出すのを防止することができ、ベルトコンベヤ上を搬送されるワークに影響しない。即ち、上記構成を採用する場合には、ワークのサイズが大きくても、カム部が接触することがない。
【0018】
また、本発明に係るベルトコンベヤでは、ベルトに対して、駆動力をベルトに伝達するための駆動ローラが外接されており(中間駆動型のベルトコンベヤ)、さらに、前記ベルトに対しては、当該ベルトの張力調整用のテンションローラが内接されており、駆動ローラとテンションローラとの間の間隙が、ベルトの厚みよりも大きいという構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、ベルトのテンションを効果的に調整することができる。
【0019】
なお、上記において「駆動ローラとテンションローラとの間の間隙」とは、ベルトの伸びを考慮した上で、ベルトの延びが最大となった状態(ベルトの寿命末期)においても、「ベルトの厚みよりも大きい」ということを意味する。即ち、駆動ローラとテンションローラとの間の上記隙間により、有効にベルトの張力調整をなし得る。
また、本発明に係るベルトコンベヤでは、テンションローラによるベルトの張力調整が、テンションローラのローラ軸の各端部が、基準となるベースから押圧力を付加されることによりなされるという構成を採用することができる。
【0020】
また、本発明に係るベルトコンベヤでは、テンションローラが、ベースからの押圧力が解除された状態において、フレームの長手方向に交差する方向に取り外し自在、または、当該テンションローラのローラ軸をフレームの長手方向に対して斜め方向へと回転させ、フレームの長手方向に取り外し自在となるという構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、ベルトコンベヤの側方にスペースがあれば、テンションローラを側方へと取り出すことができ、側方にスペースがないときには、テンションローラのローラ軸をフレームの長手方向に対して斜め方向となるように回転させ、フレームの長手方向へとテンションローラを取り出すことができる。これにより、ベルトの交換を簡易な作業で行える。
【0021】
また、本発明に係るベルトコンベヤでは、テンションローラのローラ軸の各端部において、その外周部に窪み部が形成されており、ベースからの押圧力の付加が、先端部分が窪み部に挿入されたロッドを間に介挿した状態でなされているという構成を採用することができる。そして、このような構成を採用する場合において、テンションローラの取り外しの際、ロッドの先端部分が窪み部から外され、且つ、当該テンションローラの取り外しの方向に対し、ロッドが斜め方向に傾けられるという構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、ベースからロッドを完全に取り外さなくても、テンションローラの取り外しが可能であり、作業の効率化という観点から効果的である。
【0022】
また、本発明に係るベルトコンベヤでは、上記一方のローラが従動ローラであるという構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1に係るベルトコンベヤ1の外観構成を示す外観斜視図である。
【図2】(a)は、ベルトコンベヤ1におけるローラ12,13,44,45,46の相対的な位置関係を示す模式図であり、(b)は、テンションローラ45の一端部を示す模式斜視図であり、(c)は、その模式断面図である。
【図3】(a)は、ベルトコンベヤ1の駆動時におけるテンションローラ45の配置を示す側面図であり、(b)は、ベルト14の交換時におけるテンションローラ45の配置を示す側面図である。
【図4】(a)は、ベルトコンベヤ1の駆動時におけるテンションローラ45の配置を示す平面図であり、(b)は、ベルト14の交換時におけるテンションローラ45の配置を示す平面図である。
【図5】ベルトコンベヤ1におけるヘッドローラ12周辺の構成を示す展開斜視図である。
【図6】(a)は、カム21の平面図であり、(b)は、カム21の断面図である。
【図7】ベルトコンベヤ1において、フレーム10へのカム部21の取り付け形態を示す断面図である。
【図8】(a)は、カム21の回転が規制された状態を示す断面図であり、(b)は、カム21の回転の規制が解除された状態を示す断面図である。
【図9】(a)は、ヘッドローラ12の移動が規制された状態を示す模式平面図であり、(b)は、ヘッドローラ12の移動規制が解除された状態を示す模式平面図である。
【図10】ベルト14の蛇行調整方法を示す模式上面図である。
【図11】実施の形態2に係るベルトコンベヤ2の外観構成を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明を実施するための一形態について、図面を参酌しながら説明する。
なお、以下の説明に係る実施の形態は、本発明の構成上の特徴および当該特徴的構成から奏される作用効果を分かりやすく説明するための一例として用いるものである。よって、本発明は、その本質的な特徴部分を除き、以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
【0025】
[実施の形態1]
1.外観構成
本実施の形態に係るベルトコンベヤ1の外観構成について、図1を用い説明する。
本実施の形態に係るベルトコンベヤ1は、所謂、中間駆動タイプのベルトコンベヤである。
【0026】
図1に示すように、ベルトコンベヤ1は、2本のフレーム10,11と、フレーム10,11のX軸方向両端に軸支されたヘッドローラ12およびテールローラ13と、ローラ12,13間に張設されたベルト14とを有する。また、ベルトコンベヤ1は、ローラ12とローラ13との中間部分におけるZ軸方向下部に、駆動ローラ44、テンションローラ45およびベンドローラ46も有している。駆動ローラ44、テンションローラ45およびベンドローラ46は、モータ41が取り付けられたモータベース40に軸支されており、駆動ローラ44に接合されたギア43は、モータ41に結合されたギア42に対し噛合している。
【0027】
図1に示すように、テンションローラ45およびベンドローラ46の各ローラ軸45a,46aの端部は、モータベース40の一側壁40aに対して、調整ロッド47,48で押圧されており、調整ロッド47,48の調整を以って、それぞれX軸方向の位置が調整されている。なお、後述するが、調整ロッド47がモータベース40の一側壁40aを挿通する部分には、長孔40bが開けられている。
【0028】
フレーム10,11の各々には、ガイド18,19が取り付けられている。また、フレーム10,11の各々には、ローラ12,13に対し、X軸方向の少し内側となる位置に、Z軸方向に挿通する溝部10a1,10a2,11a1,11a2が切られている。また、フレーム10,11には、溝部10a1,10a2,11a1,11a2が切られた箇所よりも、さらにX軸方向に少し内側に、カム21,39,・・が取り付けられている。
【0029】
カム21,39,・・は、Y軸に平行な軸周りに回転可能となっている。
2.ベルト14の張設形態
ベルトコンベヤ1におけるベルト14の張設形態について、図2(a)を用い説明する。なお、図2(a)では、ベルト14と、ローラ12,13,44,45,46だけを模式的に示している。
【0030】
図2(a)に示すように、ヘッドローラ12、テールローラ13およびテンションローラ45は、ベルト14に対して内側に配されており、ベルト14に対し内接している。
一方、駆動ローラ44およびベンドローラ46は、ベルト14に対して外接している。
ここで、テンションローラ45は、調整ロッド47の調整により(図1を参照)、X軸方向に移動させることができ、これによりベルト14のテンションを適正な範囲に調整することができる(矢印Aで示す部分)。
【0031】
3.テンションローラ45の構造
テンションローラ45の構造について、図2(b)、(c)を用い説明する。
図2(b)に示すように、テンションローラ45は、ローラ軸45aとローラ外周部45cとの間にベアリング45bが介挿された構成を有し、ローラ軸45aに対してローラ外周部45cが回転自在の状態となっている。
【0032】
また、図2(b)の矢印Bで指し示す部分および図2(c)に示すように、テンションローラ45のローラ軸45aの側面には、調整ロッド47の先端部分を受けるための穴(窪み)45dが設けられている。これは、ベルトコンベヤ1の駆動時において、調整ロッド47の先端部分が、テンションローラ45のローラ軸45aから外れないようにするためのものである。即ち、ベルトコンベヤ1の駆動時において、穴45dに対し、矢印Cの方向に挿入された調整ロッド47の先端部分は、穴45cの側周壁との当接により、ローラ軸45aから外れることはない。
【0033】
4.ベルトコンベヤ1の駆動時とベルト14の交換時のテンションローラ45の各状態
図3(a)に示すように、モータベース40には、テンションローラ45の外径よりも若干大径の孔40cが開けられている。そして、孔40cのX軸方向右側部分には、X軸方向右側に延びる長孔40dが連続して開けられている。長孔40dは、孔40cの径中心からX軸方向に向け開けられている。
【0034】
図3(a)に示すように、テンションローラ45のローラ軸45aは、円形のZ軸方向上下が、X軸方向に沿ってカットされた断面形状を有し、長孔40d内では回転しないようになっている。そして、ベルトコンベヤ1の駆動時においては、ローラ軸45aに設けられた穴45dに調整ロッド47の先端部分が挿入されている。
ベルトコンベヤ1の駆動時においては、調整ロッド47は、モータベース40の一側壁40aに対し、ナット49とナット50との締め込みにより、ガタつかないようになっている。なお、モータベース40の一側壁40aには、調整ロッド47を挿通させるために、長孔40bが開けられている。
【0035】
次に、図3(b)に示すように、ベルト14の交換時には、先ず、ナット50を緩めて調整ロッド47の先端部分をローラ軸45aの穴から外す。そして、モータベース40の一側壁40aに開けられた長孔40bを利用して、調整ロッド47の先端部分がX軸方向に対し斜め下方向となるようにする。この状態において、テンションローラ45は、X軸方向左側へと移動が可能となり、ベルト14のテンションを緩めることができる。
【0036】
なお、テンションローラ45については、図3(b)の状態から、モータベース40に開けられた孔45cを通して、紙面手前側へと取り外すことができる。ただし、ベルトコンベヤ1の側方に大きなスペースをとれない場合には、次のような方法でテンションローラ45を取り外すこともできる。
テンションローラ45を図3(b)に示す状態にした場合には、図4(a)に示すように、ベルトコンベア1の中心軸Ax0に対して、テンションローラ45の中心軸Ax1は略直交している。次に、図4(b)に示すように、テンションローラ45の中心軸Ax1を、 ベルトコンベア1の中心軸Ax0に対して斜め方向となるように、ベルトコンベア1の中心軸Ax0に対して回転させる。これにより、ベルト14(図4(b)では、図示を省略)の側方からテンションローラ45を抜き出すことができる。
【0037】
なお、図3(b)および図4(b)の状態では、ベルト14のテンションは緩められているので、ベルトコンベア1の中心軸Ax0に対してテンションローラ45の回転の支障となることはない。
以上のようにして、テンションローラ45を取り外すこととしてもよい。
5.ヘッドローラ12周辺の構成
ベルトコンベヤ1のヘッドローラ12周辺の構成について、図5を用い説明する。
【0038】
図5に示すように、ベルトコンベヤ1のフレーム10,11は、コの字状をした接続フレーム51により、互いの間に間隔をあけた状態で接合されている。また、フレーム10,11には、各内側にX軸方向に向けて延びる溝部10c,11cが設けられている。上述のZ軸方向に延びる溝部10a1,10a2,11a1,11bは、その底部分で溝部10c,11cと連通している。
【0039】
また、フレーム10,11には、カム20,21の挿入を受け入れる孔部11b1,・・が設けられている。フレーム10,11の孔部11b1,・・は、その内側で溝部10c,11cに連通されている。
フレーム10,11の各溝部10c,11cには、固定プレート25,・・および軸ピン27,・・がそれぞれ挿入されている。また、フレーム10,11の内側には、固定プレート25,・・に対応する固定プレート28,29が当接され、止めねじ30〜33で固定プレート25,・・に結合される。固定プレート25,・・と固定プレート28,29との各結合により、軸ピン27,・・は、各フレーム10,11に対してガタつきなく取り付けられる。
【0040】
フレーム10,11の各孔部11b1,・・には、カム20,21の一部が挿入され、カム20,21の一部は、フレーム10,11の側方外側に少し飛び出した状態となる。そして、カム20,21には、Y軸方向に孔20a,21aが設けられており、この孔20a,21aをトラスねじ34,35が挿通し、軸ピン27,・・に設けられたねじ孔27a,・・に対して螺合される。これにより、カム20,21は、軸ピン27,・・に支持される。
【0041】
また、カム20,21には、Z軸方向上側に孔20b,21bが開けられており、この孔20b,21bは、カム20,21をその径方向に挿通している。図5では、図示していないが、孔20b,21bは、その内方で拡径され、雌ねじが切られている。この雌ねじに対しては、虫ねじ36,37が螺合されている。虫ねじ36,37は、これを締め付けた場合に、軸ピン27,・・に対して各カム20,21が回転しないように規制するためのものである。なお、虫ねじ36,37の締め付けおよびその解除は、孔20b,21bから六角レンチを挿入することにより行われる。
【0042】
ヘッドローラ12は、ローラ軸12c周りに周囲の部分が回転自在となっている。そして、ヘッドローラ12は、そのローラ軸12cの両端12b,・・を溝部10a1,11a1からZ軸方向下向きに挿入された後、溝部10c,11cをX軸方向左下に向けて移動されることで、フレーム10,11に対して取り付けられる。なお、フレーム10,11の溝部10c,11cのそれぞれにおいて、ヘッドローラ12におけるローラ軸12cの端部12b,・・が所定の箇所よりX軸方向左側に移動しないように規制するストッパ部材を設けることとしてもよい。ただし、ベルトコンベヤ1では、ストッパを設けなくても、ヘッドローラ12およびテールローラ13によりベルト14にテンションを掛けた状態とすることで、各ローラ12,13などにガタつきを生じることはない。
【0043】
ヘッドローラ12のローラ軸12cの各端部12b,・・とカム20,21との間には、リンクプレート22,23が介挿される。なお、リンクプレート22,23に開けられた孔22a,23aは、それぞれ止めねじ30,32が干渉するのを避けるためのものであり、且つ、リンクプレート22,23がX軸方向に抜け落ちるのを防止するためのものである。
【0044】
6.カム20,21,39,・・の構成
カム20,21,39,・・の構成について、図6を用い説明する。なお、図6では、カム20を図示しているが、カム21については、カム20に対して、図1のX−Z面を基準に面対称の構成を有する。また、カム39,・・については、図1にX軸方向において、逆向きの形態となる。
【0045】
図6(a)に示すように、カム20は、円形の平面形状を有するカム操作部20cとカムプロファイルが形成されたカム本体部20dとが一体に形成されている。カム本体部20dのカムプロファイルは、直線部分20eと円弧部分20fと、これらに間を繋ぐ接続部分20gとを有し構成されている。なお、カム20の中央部には、軸ピンの挿通を受け入れる孔20aが形成されている。
【0046】
次に、図6(a)におけるカム20のD−D‘断面の図6(b)に示すように、カム操作部20cには、これを径方向に挿通する孔20bが設けられている。そして、孔20bと孔20aとは、カム20の内部において直交している。
また、図6(b)に示すように、孔20bの内方部分では、孔20aと直交する箇所の上下に、雌ねじが切られた部分20h,20iが設けられている。虫ねじ36(図5を参照)は、下方の部分20iの開口から螺入され、一旦、上方の部分20hまで螺入された後、軸ピンが挿入された状態で、下向きに戻されて軸ピンを押さえ付ける。
【0047】
なお、上述のように、カム21については、カム20に対して、図1のX−Z面を基準に面対称であって、基本的に同一構成を有する。また、カム39については、カムプロファイルが左右逆(図1のX軸方向において逆)である点を除き、基本的に同一構成を有する。
7.フレーム10,11へのカム20,21,39,・・の取り付け
フレーム10,11へのカム20,21,39,・・の取り付けについて、図7を用い説明する。なお、図7では、フレーム10へのカム20の取り付け構成を図示しているが、フレーム11へのカム21,39,・・の取り付け構成についても、基本的に同様の構成である。
【0048】
図7に示すように、フレーム10には、固定プレート24と固定プレート28との間に挟み込まれ、ガタつかないように軸ピン26が予め取り付けられている。なお、固定プレート24は、溝部10cに挿入され、固定プレート28に対して止めねじ31,・・で接合されている。
一方、カム20には、その孔20bに対し、下方の部分20iから上方の部分20hに虫ねじ36が、予め螺入されている。そして、カム20におけるカム本体部20dを、フレーム10に開けられた孔10b1に挿入する。このとき、軸ピン26は、カム20をY軸方向に挿通する孔20aの中に侵入することになる。軸ピン26のY軸方向左側の先端がカム20のY軸方向左側の主面と略面一となった状態で、軸ピン26に設けられたねじ孔26aに対して、トラスねじ34が螺合される。これにより、カム20がフレーム10に取り付けられる。
【0049】
次に、上記状態で先に侵入させておいた虫ねじ36をZ軸方向下向きに移動させて、軸ピン26の外周面を押圧することで、カム20が軸ピン26に対して回転するのを規制することができる。
図7に示すように、フレーム10の溝部10cには、固定プレート24が挿入された状態で、Y軸方向およびZ軸方向に殆ど隙間を残さなくなる。
【0050】
また、図7に示すように、カム20では、孔20bの一方の開口がZ軸方向上向きとなっており、フレーム10にカム20を取り付けた際にも、上方から孔20bが見える状態となっている。
なお、フレーム10,11へのカム21,39,・・の取り付けについても、同様の構成となっている。
【0051】
8.カム20,21,39,・・の回転とその規制
軸ピン26,27,・・に対して、カム20,21,39,・・は、ベルトコンベヤ1の駆動時には、互いの回転が規制され、ベルト14(図1を参照)の交換やベルトの蛇行調整の際には、規制が解除される。カム20,21,39,・・の回転とその規制について、図8を用い説明する。なお、図8では、軸ピン26とカム20とについて図示している。他のカム21,39,・・についても、同様の操作で回転可能となる。
【0052】
図8(a)に示すように、ベルトコンベヤ1の駆動時においては、軸ピン26に対して虫ねじ36が締め付けられることで、軸ピン26に対しカム20の回転が規制されている。
図8(b)に示すように、カム20を回転させようとする際には、カム20の孔20bから六角レンチ38を挿入し、虫ねじ36を回転させて、軸ピン26の外周面に対する虫ねじ36の押圧力を解除する。これにより、カム20は、軸ピン26周りに回転自在となり、虫ねじ36を緩めるのに用いた六角レンチ38をレバーとして用いて、カム20を回転させることができる。
【0053】
9.ヘッドローラ12の取り外し
フレーム10,11からのヘッドローラ12の取り外し方法について、図9を用い説明する。なお、図9では、フレーム10に対するローラ軸12cの一方の端部12aについてのみ、模式的に図示している。
ベルトコンベヤ1の駆動時においては、リンクプレート22のX軸方向右側の端は、カム20のカム本体部20dにおける接続部分20gに当接した状態となっている。ただし、ベルト14の蛇行調整のため、カム本体部20dにおける円弧部分20fに当接した状態となる場合もある。
【0054】
図9(a)に示すカム20の回転角の状態では、リンクプレート22を介して、ヘッドローラ12におけるローラ軸12cの端部12aは、X軸方向左側へと押し込まれた状態となっている。そして、この状態を以って、ベルト14が弛みなく張設された状態となる。なお、上述のように、リンクプレート22には、孔22aが設けられており、当該孔22aにより止めねじ30との干渉が避けられるとともに、止めねじ30が、リンクプレート22の抜け止めともなっている。
【0055】
図9(b)に示すように、ヘッドローラ12をフレーム10,11から取り外そうとする場合には、図8(b)のように虫ねじ36を緩めた後、カム20を回転させてカム本体部20dの直線部分20eがリンクプレート22の先端に向き合うようにする。そして、この状態でヘッドローラ12あるいはベルト14をX軸方向右側へと引っ張ることで、ローラ軸12cの端部12aが溝部10a1の底部分まで移動する。
【0056】
図示をしていないが、他のカム21,39,・・についても同様の回転角として、端部12b,・・も溝部10a2,11a1,11a2の底部分まで移動させることで、端部12b,・・をそれぞれ溝部10a2,11a1,11a2に沿って移動させることで、ヘッドローラ12およびテールローラ13をそれぞれZ軸方向上側(コンベヤの上方)に取り外すことができる。
【0057】
なお、図示を省略しているが、ベルト14の取り外しに際しては、内部に配されているベルト受け板も一緒に外す構成となっている。
10.ベルト14の蛇行調整
ベルトコンベヤ1におけるベルト14の蛇行調整方法について、図10を用い説明する。なお、以下ではヘッドローラ12でのベルト14の蛇行調整について説明するが、テールローラ13でも同様にベルト14の蛇行調整を行うことができる。
【0058】
ベルトコンベヤ1において、ヘッドローラ12でのベルト14の蛇行調整を行う場合には、カム20とカム21との各回転角を各々調整することによりなされる。具体的には、カム20を回転させることで、ヘッドローラ12のローラ軸12cの端部12a(図9(a)を参照)をX軸方向の左側奥へと押し込むことができ、これによりヘッドローラ12の軸芯を軸Lから軸Lへと補正することができる。
【0059】
逆に、カム21を回転させることで、ヘッドローラ12のローラ軸12cの端部12b(図9(a)を参照)をX軸方向の左側奥へと押し込むことができ、これによりヘッドローラ12の軸芯を軸Lから軸Lへと補正することができる。
あるいは、カム20,21の回転により、一方の端部12a,12bの押し込み度合いを緩めることによっても、ヘッドローラ12の軸芯の補正が可能となる。
【0060】
以上のようにして、本実施の形態に係るベルトコンベヤ1では、側方(周辺)にスペースがない場合にも、ベルト14の蛇行調整が可能である。
11.ベルトコンベヤ1の優位性
本実施の形態に係るベルトコンベヤ1では、カム20,21をY軸周りに回転させることで、ヘッドローラ12におけるローラ軸12cの各端部12a,12bを溝部10c,11c中で移動させ、同様に、カム39,・・を回転させることで、テールローラ13におけるローラ軸の各端部を溝部10c,11c中で移動させることができる。そして、カム20,21の回転角が図9(a)に示す状態にあり、カム39,・・の回転角がこれに相当する状態にあるときには、ローラ軸12cの各端部12a,12bはカム本体部20d,・・からの押圧力を受けてX軸方向左側奥に押し込まれ、テールローラ13のローラ軸の各端部もカム本体部からの押圧力を受けてX軸方向右奥に押し込まれた状態となる(図1および図9(a)を参照)。よって、ベルトコンベヤ1の駆動時には、カム20,21を図9(a)に示す状態とし、カム39,・・をこれに相当する状態としておくことで、ヘッドローラ12のローラ軸12cおよびテールローラ13のローラ軸にガタつきを生じることがない。
【0061】
また、図10でも示した通り、カム20とカム21のそれぞれの回転角を微調整することにより、ヘッドローラ12の軸芯の角度調整を行うことができ、カム39,・・の回転角を微調整することにより、テールローラ13の軸芯の角度調整を行いことができ、これにより、ベルト14の蛇行を効果的に補正することができる。
また、カム20,21の回転角が図9(b)に示す状態にあり、カム39,・・がこれに相当する状態にあるときには、ヘッドローラ12におけるローラ軸12cの各端部12a,12bが、カム本体部20d,・・からの押圧力の解除により、溝部10a1,11a1の各底部分まで移動自在の状態となり、同様に、テールローラ13におけるローラ軸の各端部が、カム39,・・のカム本体部からの押圧力の解除により、溝部10a2,11a2の各底部まで移動自在の状態となる。この状態とすることにより、ヘッドローラ12およびテールローラ13をそれぞれZ軸方向上方に取り外すことが可能となる。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係るベルトコンベヤ1では、周辺および附帯する装置や機器の取り外しを最小限に留めることで、容易にベルト14の交換が可能であり、さらにベルト14の蛇行調整を容易に実施可能である。
[実施の形態2]
1.外観構成
実施の形態2に係るベルトコンベヤ2の外観構成について、図11を用い説明する。
【0063】
図11に示すように、本実施の形態に係るベルトコンベヤ2は、2本のフレーム60,61と、フレーム60,61のX軸方向両端に軸支された駆動ローラ63および従動ローラ62と、ローラ62,63間に張設されたベルト64とを有する。
駆動ローラ63には、スプロケット65が接合されている。また、フレーム60,61の各々には、脚部材66,67,・・と、ガイド68,69が取り付けられている。なお、図11では、図示を省略しているが、スプロケットには、チェーンなどを介して回転動力源(モータなど)が接続されている。
【0064】
図11に示すように、フレーム60,61におけるX軸方向左下には、カム71,・・が取り付けられている。カム71,・・は、Y軸周りに回転可能となっている。また。フレーム60,61には、従動ローラ62とカム71,・・との間の部分に、Z軸方向上側に開口を有する溝部60a,61aが設けられている。
なお、フレーム60,61に対するカム71,・・の取り付け、および従動ローラ62の構造などに関しては、上記実施の形態1と同様である(図5〜図10を参照)。
【0065】
2.ベルトコンベヤ2の優位性
本実施の形態に係るベルトコンベヤ2では、カム60,61をY軸周りに回転させることで、従動ローラ62におけるローラ軸の各端部を、フレーム60,61におけるX軸方向に延設された溝中で移動させることができる。そして、カム71,・・の回転角が、図9(a)に示すのと同様の状態にあるときには、従動ローラ62のローラ軸の各端部はカム71,・・のカム本体部からの押圧力を受けてX軸方向左側奥に押し込まれた状態となる。よって、ベルトコンベヤ2の駆動時には、カム71,・・を図9(a)に示すのと同様の状態としておくことで、従動ローラ62のローラ軸にガタつきを生じることがない。
【0066】
また、図10で示したのと同様に、カム71,・・の各回転角を微調整することにより、従動ローラ62の軸芯の角度調整を行うことができ、これにより、ベルト64の蛇行を効果的に補正することができる。
また、カム71,・・の回転角が図9(b)に示すのと同様の状態にあるときには、従動ローラ62におけるローラ軸の各端部は、カム71,・・のカム本体部からの押圧力の解除により、フレーム60,61のZ軸方向に延設された溝部60a,61aの各底部分まで移動自在の状態となる。この状態とすることにより、従動ローラ62をZ軸方向上方に取り外すことが可能となる。
【0067】
そして、従動ローラ62を取り外すことによって生じるベルト64の緩みにより、駆動ローラ63をZ軸方向上側へと取り外すことができる。
以上のように、本実施の形態に係るベルトコンベヤ2でも、周辺および附帯する装置や機器の取り外しを最小限に留めることで、容易にベルト64の交換が可能であり、さらにベルト14の蛇行調整を容易に実施可能である。
【0068】
[その他の事項]
上記実施の形態に係るベルトコンベヤ1,2では、カム20,21,39,71,・・のカム本体部20d,・・とヘッドローラ12、テールローラ13、従動ローラ62の各ローラ軸12c,・・における各端部12a,12b,・・との間に、リンクプレート22,23,・・(図5、図9を参照。)が介挿される構成としたが、必ずしもリンクプレートを介挿させる必要はない。ただし、リンクプレート22,23,・・を介挿させる構成とする場合には、カム20,21,39,71,・・の取り付け位置とヘッドローラ12、テールローラ13、従動ローラ62の各ローラ軸12c,・・の位置との関係での、設計の自由度を高くすることができ、また、フレーム10,11,60.61の上端あるいは下端からカム20,21,39,71,・・がZ軸方向にはみ出すことを防止できるという優位性がある。
【0069】
また、上記実施の形態1,2では、図6(a)に示すようなカムプロファイルを有するカム20,21,39,71,・・を採用することとしたが、カムプロファイルについては、適宜の変更が可能である。例えば、何段階かで中心からの径が変化するようなカムプロファイルを採用することもできる。また、カム20,21,39,71,・・における目視可能な箇所に、カムの回転角を示す目印などを付けておくこともできる。これにより、さらにベルト14,64の蛇行調整が容易となる。
【0070】
また、図6(b)に示すように、上記実施の形態におけるカム20,21,39,71,・・では、回転角調整のための孔20b,・・の奥部分に虫ねじ36,37,・・を螺入するための雌ねじを形成することとしたが、別々に形成することも可能である。また、回転角の調整のためには、孔20b,・・だけでなく、カム20,21,39,71,・・におけるカム操作部20c,・・の外周部分に治工具を噛合させることができる凹凸などを設けることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、無端ベルトを用いながらも、ベルトの交換およびベルトの蛇行調整の各作業を容易になし得、メインテナンス性に優れたベルトコンベヤを実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0072】
1,2.ベルトコンベヤ
10,11,60,61.フレーム
12.ヘッドローラ
13.テールローラ
14,64.ベルト
18,19,68,69.ガイドプレート
20,21,39,71.カム
22,23.リンクプレート
26,27.軸ピン
24,25,28,29.固定プレート
30,31,32,33.止めねじ
34,35.トラスねじ
36,37.虫ねじ
38.六角レンチ
40.モータベース
41.モータ
42,43.ギア
44、63.駆動ローラ
45.テンションローラ
46.ベンドローラ
47,48.調整ロッド
49,50.ナット
51.接続フレーム
62.従動ローラ
65.駆動スプロケット
66,67.脚部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が長尺状をし、互いに間隙をあけて並設された2本のフレームと、
前記2本のフレームの長手方向に互いに間隔をあけ、各々が前記2本のフレーム間で架設された一対のローラと、
前記一対のローラ間で張設された無端ベルトとを有し、
前記一対のローラの内、一方のローラは、前記2本のフレームに支持されるローラ軸と、当該ローラ軸に対し回転自在に軸支されたローラ本体とを有し、
前記2本のフレームには、互いが対向する側に、前記2本のフレームの長手方向、および前記ベルトの幅方向の双方に対して交差する方向に延び、端部が開口された主溝部が形成されており、
前記主溝部には、その底部分から前記2本のフレームの長手方向に延設され、前記ローラ軸の支持部分に繋がる連絡溝部が連通されており、
前記2本のフレームには、前記ベルトの幅方向に沿って規定される軸周りに回転可能なカム部がそれぞれ取り付けられており、
前記各カム部は、前記軸周りの回転を以って、前記2本のフレームの長手方向において、径変化するカム本体部を有しており、
前記一方のローラにおけるローラ軸の各端部は、
前記各カム部の回転角が第1の状態にあるときに、前記カム本体部からの押圧力により、前記連絡溝部の奥に押し込まれた状態となり、
前記各カム部の回転角が第2の状態にあるときに、前記カム本体部からの押圧力の解除により、前記連絡溝部中を、前記主溝部の底部分まで移動自在の状態となる
ことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記各カム部には、外方に露出された領域に、前記回転の際に治工具の挿入を受け入れる孔部が設けられており、
前記各カム部における前記孔部は、前記2本のフレームの長手方向、および前記ベルトの幅方向の双方に対して交差する方向に向けて開口されている
ことを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記孔部は、その深さ方向の少なくとも一部領域に雌ねじ加工が施されており、
前記雌ねじ加工が施された部分には、虫ねじが螺合されており、
前記各カム部は、前記2本のフレームの各々における対応箇所に植設された軸部に対して、前記虫ねじが緩められた状態で回転自在となり、前記虫ねじが締められた状態で回転が規制される
ことを特徴とする請求項2に記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記各カム部における前記カム本体部と前記ローラ軸の各端部との間には、リンク部材が介挿されている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記一対のローラ間で張設された前記ベルトに対しては、駆動力を前記ベルトに伝達するための駆動ローラが外接されており、
さらに、前記ベルトに対しては、当該ベルトの張力調整用のテンションローラが内接されており、
前記駆動ローラと前記テンションローラとの間の間隙は、前記ベルトの厚みよりも大きい
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記テンションローラによる前記ベルトの張力調整は、前記テンションローラのローラ軸の各端部が、基準となるベースから押圧力を付加されることによりなされる
ことを特徴とする請求項5に記載のベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記テンションローラは、前記ベースからの押圧力が解除された状態において、前記フレームの長手方向に交差する方向に取り外し自在、または、当該テンションローラのローラ軸を前記フレームの長手方向に対して斜め方向となるように回転させ、前記フレームの長手方向に取り外し自在となる
ことを特徴とする請求項6に記載のベルトコンベヤ。
【請求項8】
前記テンションローラのローラ軸の各端部には、その外周部に窪み部が形成されており、
前記ベースからの押圧力の付加は、先端部分が前記窪み部に挿入されたロッドが、間に介挿された状態でなされ、
前記テンションローラの取り外しの際には、前記ロッドの先端部分が前記窪み部から外され、且つ、当該テンションローラの取り外しの方向に対し、前記ロッドが斜め方向に傾けられる
ことを特徴とする請求項7に記載のベルトコンベヤ。
【請求項9】
前記一対のローラは、駆動力の伝達を受ける駆動ローラと、前記駆動ローラに対して前記ベルトを介して従動する従動ローラとであり、
前記一方のローラは、前記従動ローラである
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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