説明

ベルトコンベヤ

【課題】運転動力を省力化することができると共に、コンベヤベルトが強磁性体の影響を受けることがないようにしたベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】一対のプーリーに掛け回された無端状のコンベヤベルト1の下方に、ローラー2を設置したベルトコンベヤにおいて、ローラー2に対向するコンベヤベルト1の裏面に反磁性体5を接着すると共に、ローラー2内に磁石6を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベヤに関し、更に詳しくは、運転動力を省力化することができると共に、コンベヤベルトが強磁性体の影響を受けることがないようにしたベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、運搬物を搬送するベルトコンベヤのコンベヤベルトは、長手方向に所定の間隔を置いて回転自在に設置された複数のローラーに接触しながら走行している。そのため、コンベヤベルトとローラーとの間に摩擦抵抗が発生し、ベルトコンベヤの運転動力を増大させる原因となっている。
【0003】
また、空気浮上式ベルトコンベヤのように、フレーム内で空気圧によりコンベヤベルトを浮上させるタイプのベルトコンベヤでは、上記のような接触による摩擦抵抗が発生することは少ないが、圧縮空気を送り出すコンプレッサーの駆動に多大な運転動力が必要となる。また、コンベヤベルトが幅広になると、ベルト幅方向の端部がフレーム内面と接触する可能性が高くなるため、より多くの圧縮空気を送り込まなければならない。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1は、コンベヤベルトの裏面にマグネットベルトを装着すると共に、そのマグネットベルトと同じ磁極を有するマグネットプレートをコンベヤベルトの下方に設置することで、コンベヤベルトを磁力により反発支持するようにしたベルトコンベヤを提案している。
【0005】
しかしながら、上記のベルトコンベヤでは、コンベヤベルト自体が磁力を有するようになるため、ベルトコンベヤの近傍に鉄などの強磁性体が存在すると、引力が発生してベルトの蛇行や偏走行が発生するおそれがある。また、鉄製治具を用いてのコンベヤベルトの取付作業やメンテナンスに支障をきたす可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−16908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、運転動力を省力化することができると共に、コンベヤベルトが強磁性体の影響を受けることがないようにしたベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明のコンベヤベルトは、一対のプーリーに掛け回された無端状のコンベヤベルトを備えたベルトコンベヤにおいて、前記コンベヤベルトの裏面に反磁性体を装着すると共に、前記反磁性体に対向する位置に磁石を設置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のベルトコンベヤによれば、コンベヤベルトの裏面に反磁性体を装着すると共に、その反磁性体に対向する位置に磁石を設置したので、反磁性体と磁石の反発力によりコンベヤベルトが浮上して、ローラーなどの他の部品との接触が抑えられるため、運転動力を省力化することができる。また、反磁性体は強い外部磁場に対してのみ反磁性を示すため、コンベヤベルトは鉄などの強磁性体の影響を受けることはないので、ベルト走行を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態からなるベルトコンベヤの往路側の断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態からなるベルトコンベヤの往路側の断面図である。
【図3】図2に示す実施形態の別の例である。
【図4】図2に示す実施形態の更に別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態からなるベルトコンベヤの断面を示す。
【0013】
このベルトコンベヤは、無端状のコンベヤベルト1と、そのコンベヤベルト1の下方にベルト幅方向に直列に配置された回転自在な3台のローラー2とを備えている。コンベヤベルト1は、図示しない一対の回転駆動するプーリーに掛け回されており、搬送面3に載置された運搬物を搬送するようになっている。3台のローラー2は、コンベヤベルト1が幅方向に湾曲するように、両端の2台がベルト幅方向の内側へ向けて傾斜している。これら3台のローラー2は、コンベヤベルト1の長手方向に所定の間隔をおいて複数組が設置されている。
【0014】
このようなベルトコンベヤにおいて、コンベヤベルト1の裏面4におけるローラー2と対向する位置には、薄板状の反磁性体5が埋設されていると共に、それぞれのローラー2の内部には磁石6が設置されている。
【0015】
このように構成したことにより、反磁性体5と磁石6の反発力によりコンベヤベルト1を浮上させて、ローラー2との摩擦抵抗を抑えることができるため、ベルトコンベヤの運転動力を省力化することができる。また、反磁性体5は強い外部磁場に対してのみ反磁性を示すため、ベルトコンベヤの近傍に鉄などの強磁性体が存在するような場合でも、コンベヤベルト1が影響を受けることはない。そのため、ベルトの蛇行や偏走行の発生を防ぐことができる。更に、鉄製治具などを用いてのコンベヤベルト1の取付作業やメンテナンスに支障をきたすことはない。
【0016】
反磁性体5は、図1に示すように、コンベヤベルト1の幅方向に所定の間隔をおいて別々に装着する代わりに、幅方向の全域に渡って装着するようにしてもよい。このことは、コンベヤベルト1の長手方向においても同様である。
【0017】
反磁性体5をコンベヤベルト1の裏面4に装着する方法としては、上述したように反磁性体5をバインダーで薄板状に固めたものを埋設する方法の他に、粉末状にした反磁性体5を溶剤と共に塗布する方法、バインダーで薄板状に固めた反磁性体5を接着する方法、あるいはコンベヤベルト1の製造段階でベルト裏側のカバーゴム層に反磁性体5を混入する方法などがある。
【0018】
反磁性体5としては、ビスマス、グラファイト及び銅などが例示されるが、コスト及び取扱性の観点から、グラファイトを用いることが望ましい。
【0019】
磁石6としては、永久磁石又は電磁石を用いることができる。前者の永久磁石を用いる場合には、磁石6のメンテナンスを省略することができる。この永久磁石には、磁力が大きいという理由から、ネオジム磁石が好ましく用いられる。また、後者の電磁石を用いる場合には、磁力の発生及び大きさを制御できるため、仕様の異なるコンベヤベルト1に対応することができると共に、運転休止時におけるコンベヤベルト1の取り扱いを容易にすることができる。
【0020】
図2は、本発明の別の実施形態からなるベルトコンベヤの断面を示す。
【0021】
このベルトコンベヤは、いわゆる空気浮上式ベルトコンベヤと呼ばれており、円筒状の金属製のフレーム7の内部に挿入された無端状のコンベヤベルト1の裏面4の中央部に、図示しないコンプレッサーから空気ダクト8を通じて供給された圧縮空気9をフレーム7下部の空気孔10から吹き付けることにより、コンベヤベルト1を浮上させつつ搬送面3に載置された運搬物を搬送するものである。なお、フレーム7は円筒状の他に、樋状にする場合もある。
【0022】
このコンベヤベルト1の裏面4には、幅方向の中央に対して対称となるように、薄板状の反磁性体5が埋設されていると共に、それら反磁性体5と対向するフレーム1外面の位置に磁石6が設置されている。
【0023】
このように構成したことにより、反磁性体5と磁石6の反発力によりコンベヤベルト1の浮上力の一部を負担して、コンプレッサーから供給される圧縮空気9を減らすことができるため、ベルトコンベヤの運転動力を省力化することができる。また、反磁性体5は強い外部磁場に対してのみ反磁性を示すため、フレーム7が強磁性体である場合や、フレーム7の近傍に強磁性体が存在するような場合でも、コンベヤベルト1が影響を受けることはない。そのため、ベルトの蛇行や偏走行の発生を防ぐことができる。更に、鉄製治具などを用いてのコンベヤベルト1の取付作業やメンテナンスに支障をきたすことはない。
【0024】
なお、空気浮上式ベルトコンベヤにおいては、ベルト端部11がフレーム7内面と接触しやすいため、図3に示すように、ベルト端部11にのみ反磁性体5を装着するのが効果的である。
【0025】
図2の実施形態において、反磁性体5と磁石6との間の反発力を大きくすることができる場合には、図4に示すように、ベルト中央部にも反磁性体5を埋設することにより、コンプレッサーを不要にして、更なる運転動力の省力化を達成することが可能である。反磁性体5と磁石6との間の反発力が大きくする方法としては、超伝導体とネオジム磁石とを組み合わせことが例示される。その場合には、コンベヤベルト1には、いわゆるピン止め効果による保持力も加わるため、コンベヤベルト1の走行を更に安定させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 コンベヤベルト
2 ローラー
3 搬送面
4 裏面
5 反磁性体
6 磁石
7 フレーム
8 空気ダクト
9 圧縮空気
10 空気孔
11 ベルト端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のプーリーに掛け回された無端状のコンベヤベルトを備えたベルトコンベヤにおいて、前記コンベヤベルトの裏面に反磁性体を装着すると共に、前記反磁性体に対向する位置に磁石を設置したことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記コンベヤベルトを樋状又は円筒状のフレームの内側に挿入した請求項1に記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記反磁性体を、前記コンベヤベルトの長手方向及び/又は幅方向に沿って、所定の間隔をおいて、又は連続して装着した請求項1又は2に記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記反磁性体を前記コンベヤベルトの裏面に塗布、接着、埋設又は混入した請求項1〜3のいずれかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記反磁性体がグラファイトである請求項1〜4のいずれかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記磁石が永久磁石又は電磁石である請求項1〜5のいずれかに記載のベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記永久磁石がネオジム磁石である請求項6に記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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