説明

ペットボトルのリーク検査および外観検査装置

【課題】ペットボトルのリーク検査と外観検査を行うためのメインロータを1つにすることができ、ヘッドにおいて空気漏れがないペットボトルのリーク検査および外観検査装置を提供する。
【解決手段】ペットボトル1を支持して搬送するメインロータ4と、ペットボトル1の口部1mをシールして気体をボトル内に供給する容器押えヘッド35と、円形軌道の半径方向外側に配置された1台の照明LED1と円形軌道の半径方向内側に配置された少なくとも2台のカメラCAM1−a,CAM2−aとからなる第1検査ステーションS1と、円形軌道の半径方向内側に配置された1台の照明LED2と円形軌道の半径方向外側に配置された少なくとも2台のカメラCAM3−a,CAM4−aとからなる第2検査ステーションS2とを備え、検査ステーションS1,S2によりペットボトル1の胴部全周を検査可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトルのリーク検査および外観検査装置に係り、特に、ペットボトルに飲料等の液体を充填する前にピンホール等の欠陥を検出するためにペットボトル内に圧縮空気を充填してペットボトルから圧縮空気がリークするか否かを検査するリーク検査を行うとともに、ペットボトルの胴部および口側面に傷や異物付着がないか等の外観検査を行うペットボトルのリーク検査および外観検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料などを充填するために軽量のプラスチックボトルであるペットボトル(PETボトル)が多用されている。ペットボトルに飲料等の液体を充填する前には、ペットボトルにピンホール等の欠陥がないかを検査する必要があり、従来からペットボトルのリーク検査が行われている。このリーク検査においては、ペットボトルをメインロータの容器台上に載置し、ヘッドを下降させてペットボトルの口部に当接させ、ヘッドのパッキンによりペットボトルの口部をシールし、この状態で圧縮空気源から圧縮空気をヘッドを介してペットボトル内に供給する。そして、ペットボトル内へ所定量の圧縮空気を供給した後に、ペットボトル内を密閉し、メインロータによりペットボトルを円形軌道に沿って搬送しつつ、所定時間経過後にヘッドに接続された圧力センサによりペットボトル内の圧力を測定し、ペットボトルからのリーク(漏れ)を検出するようにしている。
【0003】
また、リーク検査装置を行った後に、ペットボトルの胴部および口側面に傷や異物付着がないか等の外観検査を行っている。この外観検査においては、ペットボトルをメインロータの容器台上に載置し、ペットボトルの口部をヘッドで保持してペットボトルを円形軌道に沿って搬送しつつペットボトルを自転させ、ペットボトルの胴部全周および口側面全周をカメラで撮影することにより外観検査を行っている。
【0004】
このように、ペットボトルのリーク検査と外観検査とを行うためには、リーク検査用のメインロータと外観検査用のメインロータの2つのメインロータを設置する必要があり、装置が大型化してしまい、重量も大きくなり、搬送や据付に支障を来す場合がある。また、部品点数も多くなり、装置が高価になるという問題点がある。さらに、ペットボトルが角型の場合には、外観検査後に角型ペットボトルを同一の向きに整列させるための方向規制が必要となり、装置が更に大型化するという問題点がある。
そのため、本件出願人は、特許文献1において、ペットボトルのリーク検査と、ペットボトルを自転させながら撮像して検査を行う外観検査とを1つのメインロータで行うことができる容器検査装置を提案したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−35623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された装置においては、ヘッドのパッキンによりペットボトルの口部をシールし、この状態で圧縮空気源から圧縮空気をヘッドを介してペットボトル内に供給した後に、ペットボトルを自転させるために、ペットボトルの口部を押さえているヘッドを回転させる必要がある。ところが、ペットボトルにはヘッドを介して圧縮空気が供給されるようになっているため、ヘッドを回転させる際に、ヘッドの回転すりあわせ部において空気の漏れを抑えることができず、ペットボトル内の空気が完全にシールできないためにリーク検査精度が出せないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、ペットボトルのリーク検査と外観検査を行うためのメインロータを1つにすることができ、検査装置全体をコンパクトにすることができるとともに、リーク検査時にヘッド等のリーク検査部において空気漏れを起こすことがないペットボトルのリーク検査および外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、複数のペットボトルを支持して所定の円形軌道に沿って搬送するメインロータと、前記メインロータに設置され、ペットボトルの口部に係合して該口部をシールするとともに気体をペットボトル内に供給する複数の容器押えヘッドと、前記メインロータの円形軌道の所定位置に配置され、メインロータにより搬送されるペットボトルを照明し、ペットボトルからの透過光を撮影してペットボトルの外観を検査する複数の検査ステーションとを備え、前記複数の検査ステーションは、前記円形軌道の半径方向外側に配置された1台の照明と前記円形軌道の半径方向内側に配置された少なくとも2台のカメラとからなる第1検査ステーションと、前記円形軌道の半径方向内側に配置された1台の照明と前記円形軌道の半径方向外側に配置された少なくとも2台のカメラとからなる第2検査ステーションとを含み、前記第1検査ステーションと前記第2検査ステーションとによりペットボトルの胴部全周を検査可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、メインロータの回転に伴って、ペットボトルは円形軌道に沿って搬送され、この搬送中に、容器押えヘッドがペットボトルの口部に当接して口部をシールした後に気体をペットボトル内に供給してリーク検査を開始する。このリーク検査中に、メインロータの回転に伴って、ペットボトルは第1検査ステーションに到達し、前記円形軌道の半径方向外側に配置された1台の照明によりペットボトルを照明し、前記円形軌道の半径方向内側に配置された少なくとも2台のカメラによりペットボトルからの透過光を撮像する。これにより、ペットボトルの胴部の半周または半周以上が撮像される。さらに、メインロータの回転に伴って、ペットボトルは第2検査ステーションに到達し、前記円形軌道の半径方向内側に配置された1台の照明によりペットボトルを照明し、前記円形軌道の半径方向外側に配置された少なくとも2台のカメラによりペットボトルからの透過光を撮像する。これにより、ペットボトルの胴部の残りの半周または半周以上が撮像される。得られた画像を画像処理装置により処理することにより、ペットボトルの胴部全周の外観検査を行う。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記第1検査ステーションに配置された少なくとも2台のカメラは、前記第1検査ステーションの撮像位置にあるペットボトルに対して、ペットボトルを中心として略60°〜70°離間した位置にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第1検査ステーションの前記各位置には、上下2台ずつカメラが配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記第2検査ステーションに配置された少なくとも2台のカメラは、前記第2検査ステーションの撮像位置にあるペットボトルに対して、ペットボトルを中心として略60°〜90°離間した位置にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第2検査ステーションの前記各位置には、上下2台ずつカメラが配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記メインロータの固定部に設置されたカムと、前記容器押えヘッドに連結されるとともに前記カムに接触可能なカムフォロワとを設け、前記メインロータの回転に伴い前記カムフォロワを前記カムに接触させながら移動させることにより、前記容器押えヘッドを上下動させて容器押えヘッドをペットボトルの口部に係合可能とすることを特徴とする。
本発明によれば、メインロータの回転に伴って、カムとカムフォロワの作用により容器押えヘッドが上下動し、容器押えヘッドをペットボトルの口部に係合させることができる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記容器押えヘッドは上下動のみし、自身の軸心の回りには非回転であることを特徴とする。
本発明によれば、容器押えヘッドは上下動のみし、自身の軸心の回りに非回転であるため、容器押えヘッドを含むリーク検査部において空気漏れを起こすことがなく、精度良いリーク検査を行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記第1検査ステーション及び第2検査ステーションは、ペットボトルの口側面全周を撮影可能であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、ペットボトルの口側面全周を撮影する検査ステーションを別途設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏する。
(1)ペットボトルのリーク検査と外観検査を行うためのメインロータを1つにすることができ、検査装置全体をコンパクトにすることができる。したがって、検査装置の搬送や据付が容易になり、また部品点数を減少させることができ、装置コストを低減できる。
(2)ペットボトルの胴部全周及び/又は口側面全周の外観検査を行うために、ヘッドおよびペットボトルを自転させる必要がないので、ヘッド等のリーク検査部において空気漏れを起こすことがなく、精度良いリーク検査を行うことができる。
(3)ペットボトルの外観検査を行うためにペットボトルを自転させる必要がないので、検査装置全体においてペットボトルの向きを変えずに搬送することができる。したがって、ペットボトルの各部位の外観検査を行うために複数の検査ステーションを最適な位置に分散配置することができ、ペットボトルの外観検査の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、ペットボトルのリーク検査および外観検査装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は、検査用メインロータの詳細構造を示す図であり、メインロータの断面図である。
【図3】図3は、ヘッドの詳細構造、ヘッドの周辺機器の構成および容器台の構成を示す図である。
【図4】図4(a),(b)は、検査用メインロータの円形軌道に沿って配置された2つの外観検査ステーションの構成を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のIV−IV線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るペットボトルのリーク検査および外観検査装置の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。なお、図1乃至図4において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、ペットボトルのリーク検査および外観検査装置の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、ペットボトルのリーク検査および外観検査装置は、検査対象のペットボトル1に定間隔を形成するための入口スクリュー2と、入口スクリュー2からペットボトル1を受け取って搬送するための入口スターホイール3と、ペットボトル1のリーク検査を行うとともにペットボトル1の外観検査を行うための検査用メインロータ4と、検査後のペットボトル1を良品と不良品とに分けて排出するための出口スターホイール5とを備えている。また、検査装置内にペットボトル1を搬入するためのエアフローコンベヤAFC1が入口スクリュー2に隣接して設置されており、検査装置からペットボトル1を外部に搬出するためのエアフローコンベヤAFC2が出口スターホイール5に隣接して設置されている。
【0018】
図1に示すように、検査用メインロータ4の円形軌道に沿って2つの外観検査ステーションS1,S2が配置されている。これら外観検査ステーションS1,S2には、照明とカメラとが配置されており、ペットボトル1の各部位を撮像して外観検査を行うようになっている。図1に示す例においては、外観検査ステーションS1においてペットボトル1の胴部および口側面の半周または半周以上を撮像して外観検査を行い、外観検査ステーションS2においてペットボトル1の胴部および口側面の残りの半周または半周以上を撮像して外観検査を行う。なお、外観検査ステーションS1,S2をそれぞれ2つの外観検査ステーションに分けて、ペットボトル1の胴部とペットボトル1の口側面とを個別に撮像して検査するようにしてもよい。
また、入口スターホイール3には、ペットボトル1の底部を撮像して外観検査を行う外観検査ステーションS3が設置されている。
【0019】
図2は、検査用メインロータの詳細構造を示す図であり、メインロータの断面図である。図2に示すように、検査用メインロータ4は、図示しない駆動源により回転駆動されるとともにカップリング11により一体に連結された上下の回転軸12と、回転軸12の下部に固定されて回転軸12と一体的に回転するベースプレート13と、回転軸12の上部に固定されて回転軸12と一体的に回転する支持プレート14と、上下動してリーク検査時にペットボトル1の口部1mに係合する複数のヘッド35とを備えている。回転軸12の下部は、軸受が内設された軸受ハウジング18を介して支持フレーム19により支持されている。回転軸12の上部は、支持プレート14に固定された軸受ハウジング20内の軸受(図示せず)により支持されている。
【0020】
前記ベースプレート13には、ペットボトル1を載置するための容器台15が設置されている。支持プレート14には複数のガイドバー28が立設されており、これらガイドバー28は所定の円周上に所定の間隔で配置されている。そして、各ガイドバー28には、カムフォロワ29を有したスライド部材30が上下動可能に取り付けられている。各スライド部材30にはヘッド35が固定されており、ヘッド35とスライド部材30とは一体的に上下動するようになっている。
【0021】
前記軸受ハウジング20には、中空の固定軸21が挿入され支持されており、固定軸21に固定プレート32が固定されている。そして、固定プレート32には、サポート33を介して円筒状のカム34が固定されている。円筒状のカム34の上端面は、全周に亘って高低差を設けて形成されており、円周方向にカム輪郭(cam profile)を構成している。したがって、メインロータ4の回転に伴って支持プレート14が回転すると、各スライド部材30のカムフォロワ29がカム34のカム輪郭に追従して上下動し、これにより、スライド部材30およびヘッド35がガイドバー28に沿って上下動するようになっている。
【0022】
図3は、ヘッド35の詳細構造、ヘッド35の周辺機器の構成および容器台15の構成を示す図である。ヘッド35はメインロータ4の所定円周上に複数個(本実施形態では36個)配置されており、ヘッド35はペットボトル1の口部1mに係合して口部1mを押圧する容器押えヘッドを構成している。各ヘッド35は、スライド部材30に固定された支持棒36と、支持棒36の下端に固定されたヘッド本体37と、ヘッド本体37の下端面に貼着されシール部材を構成するパッキン38と、ヘッド本体37から下方に突出した略半球状のノズル39とを備えている。また、ベースプレート13(図2参照)に設置された容器台15は、ヘッド35に対応してメインロータ4の所定円周上に複数個(本実施形態では36個)配置されている。容器台15は、昇降軸16に固定されており、ベースプレート13に対して昇降可能になっている。すなわち、昇降軸16を昇降させることにより、ペットボトルの容量に応じて容器台15の高さを調整できるようになっている。図3に示す例においては、容量1000mlのペットボトルの場合の容器台15の位置を実線で示し、容量500mlのペットボトルの場合の容器台15の位置を二点鎖線で示している。容器台15の高さを調整することにより、容器台15に載置されたペットボトル1の口部1mの天面は、ボトル容量に拘らず一定の高さになる。
【0023】
図3に示すように、前記ノズル39内には圧縮空気をペットボトル1内に噴出する開口39aが形成されており、この開口39aは、ノズル39内に形成された連通路39b及びヘッド本体37内に形成された連通路37aを介して空気供給用チューブ41に連通されている。
【0024】
図4(a),(b)は、検査用メインロータ4の円形軌道に沿って配置された2つの外観検査ステーションS1,S2の構成を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のIV−IV線矢視図である。図4(a),(b)においては、円形軌道Cpに沿って搬送されるペットボトル1が検査ステーションS1,S2の撮像位置にある場合を説明する。
図4(a),(b)に示すように、検査ステーションS1には、円形軌道の半径方向外側に配置された1台の照明LED1と円形軌道の半径方向内側に配置された4台のカメラCAM1−a,CAM1−b,CAM2−a,CAM2−bが配置されている。1台の照明LED1と4台のカメラCAM1−a,CAM1−b,CAM2−a,CAM2−bは直立状態で搬送されるペットボトル1の側方に配置され、カメラCAM1−a,CAM1−bは平面的に同一位置で鉛直方向にやや離間して配置され、カメラCAM2−a,CAM2−bは平面的に同一位置で鉛直方向にやや離間して配置されている。照明LED1は、ペットボトル1を挟んで、4台のカメラCAM1−a,CAM1−b,CAM2−a,CAM2−bと対向するように配置されている。また、照明LED1は円形軌道Cpの接線方向と平行に配置されている。カメラCAM1−a(CAM1−b)とカメラCAM2−a(CAM2−b)は、ペットボトル1に対して、カメラCAM1−a(CAM1−b)の光軸とカメラCAM2−a(CAM2−b)の光軸とのなす角度θ1が略60°〜70°となる位置に配置されている。ペットボトルは円形軌道で搬送されるため、上記角度θ1が略60°〜70°であってもカメラの視野は確保でき、ペットボトルの胴部の半周または半周以上を検査することが可能である。
【0025】
また、検査ステーションS2には、円形軌道の半径方向内側に配置された1台の照明LED2と円形軌道の半径方向外側に配置された4台のカメラCAM3−a,CAM3−b,CAM4−a,CAM4−bが配置されている。1台の照明LED2と4台のカメラCAM3−a,CAM3−b,CAM4−a,CAM4−bは直立状態で搬送されるペットボトル1の側方に配置され、カメラCAM3−a,CAM3−bは平面的に同一位置で鉛直方向にやや離間して配置され、カメラCAM4−a,CAM4−bは平面的に同一位置で鉛直方向にやや離間して配置されている。照明LED2は、ペットボトル1を挟んで、4台のカメラCAM3−a,CAM3−b,CAM4−a,CAM4−bと対向するように配置されている。また、照明LED2は円形軌道Cpの接線方向と平行に配置されている。カメラCAM3−a(CAM3−b)とカメラCAM4−a(CAM4−b)は、ペットボトル1に対して、カメラCAM3−a(CAM3−b)の光軸とカメラCAM4−a(CAM4−b)の光軸とのなす角度θ2が略60°〜90°となる位置に配置されている。ペットボトルは円形軌道で搬送されるため、上記角度θ2が略60°〜90°であってもカメラの視野は確保でき、ペットボトルの胴部の残りの半周または半周以上を検査することが可能である。
各照明LED1,LED2は、赤色LED照明または白色LED照明から構成されている。また、各カメラCAM1−a〜CAM4−bは、CCDカメラから構成されている。
【0026】
図4(a),(b)に示すように、検査ステーションS1において撮像位置にあるペットボトル1を囲むように、1台の照明LED1と4台のカメラCAM1−a,CAM1−b,CAM2−a,CAM2−bとを設置して1台の照明によりペットボトル1を照明し、4台のカメラによりペットボトル1を透過した光を撮像することにより、ペットボトル1の胴部および口側面の半周または半周以上の外観検査をすることができる。そして、検査ステーションS2において撮像位置にあるペットボトル1を囲むように、1台の照明LED2と4台のカメラCAM3−a,CAM3−b,CAM4−a,CAM4−bとを設置して1台の照明によりペットボトル1を照明し、4台のカメラによりペットボトル1からの透過光を撮像することにより、ペットボトル1の胴部および口側面の残りの半周または半周以上の外観検査をすることができる。ペットボトル1が2つの検査ステーションS1,S2を通過することによりペットボトル1の胴部全周および口側面全周の外観検査が可能になる。
【0027】
図4(a),(b)においては、4箇所の位置にカメラを上下2台ずつ配置することにより、ペットボトルの胴部全周および口側面全周を撮影可能としたが、上下2台ずつ配置しなくても、例えば画角が広いカメラを1台配置することにより、ペットボトルの口側面から胴部下部までの透過光を撮像することもできる。
なお、上述したように、外観検査ステーションS1を2つの外観検査ステーションに分けてペットボトルの胴部全周と口側面全周を個別に撮影してもよい。
【0028】
次に、図1乃至図4に示すように構成されたペットボトルのリーク検査および外観検査装置の動作を図3を参照して説明する。
ペットボトル1は、エアフローコンベヤAFC1により検査装置内に搬入され、入口スクリュー2により隣接するペットボトル間に定間隔を形成した後に入口スターホイール3に移送される。ペットボトル1が入口スターホイール3から検査用メインロータ4に移送されると、メインロータ4の回転に伴って支持プレート14が回転し、円筒状のカム34のカム輪郭とカムフォロワ29の作用により、ヘッド35が下降し、ヘッド35のヘッド本体37がペットボトル1の口部1mに当接する。このとき、ヘッド本体37の下端面にはパッキン38が設けられているため、パッキン38はペットボトル1の口部1mの天面に密接し、ペットボトル1の口部1mのシールを行うことができる。
【0029】
ヘッド35の下端面に設けられたパッキン38とペットボトル1の口部1mとの間のシールが完了すると、圧縮空気源44より回転軸12内の連通路、マニホールド43、電磁バルブV、空気供給用チューブ41およびヘッド35内の連通路37aを介してノズル39に供給される。このとき、マニホールド43からノズル39に供給される圧縮空気は、HEPAフィルタ47により清浄化されるため、この圧縮空気は高い清浄度を有する。こうして、ノズル39からペットボトル1内に所定量の清浄な圧縮空気が供給され、ペットボトル1内は清浄な圧縮空気が充たされる。
【0030】
この状態で、ペットボトル1はメインロータ4の円形軌道Cpに沿って搬送され、図4に示す外観検査ステーションS1の撮像位置に到達したときに、1台の照明LED1によりペットボトル1を照明し、4台のカメラCAM1−a,CAM1−b,CAM2−a,CAM2−bによりペットボトル1からの透過光を撮像する。そして、得られた画像を画像処理装置(図示せず)により処理することにより、ペットボトル1の胴部および口側面の半周または半周以上の外観検査を行う。外観検査ステーションS1で検査が終了した後に、外観検査ステーションS2においてペットボトル1の胴部および口側面の残りの半周または半周以上の外観検査を行う。外観検査ステーションS2における検査が終了したときには、ペットボトル1に圧縮空気が充填されてから所定時間経過しているため、圧力センサ46によりペットボトル1内の圧力が測定される。そして、この所定時間経過後のペットボトル内の圧力が当初の圧力と同一であればペットボトルからのリーク(漏れ)はなく、ペットボトル1にピンホール等の欠陥がないと判定される。この判定後に、ヘッド35は上昇してペットボトル1の口部1mから離間し、リーク検査を終了する。このようにして、リーク検査および外観検査が終了したペットボトル1は検査用メインロータ4から出口スターホイール5に受け渡され、正常なペットボトル1は出口スターホイール5によって次工程に移送される。一方、不良品と判定されたペットボトル1は、不良品排出シュート50の位置で出口スターホイール5による支持が解除され、不良品排出シュート50に排出される。
【0031】
近年、清涼飲料容器の主流は、壜や缶からペットボトルへと移行している。インプラント成形による充填ラインも増え、ブロー成形後の検査がより重要となっている。飲料充填前のペットボトル検査では、外観検査とピンホールなどのリーク検査とが欠かせないものとなるが、従来は、これら外観検査とリーク検査を別々のメインロータで行ってきた。図1乃至図4に示すペットボトルのリーク検査および外観検査装置によれば、飲料充填前のペットボトル検査における外観検査とピンホールなどのリーク検査を1台のメインロータで行うことが可能となる。
【0032】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1 ペットボトル
1m 口部
2 入口スクリュー
3 入口スターホイール
4 検査用メインロータ
5 出口スターホイール
11 カップリング
12 回転軸
13 ベースプレート
14 支持プレート
15 容器台
16 昇降軸
17 固定用レバー
18 軸受ハウジング
19 指示フレーム
20 軸受ハウジング
28 ガイドバー
29 カムフォロワ
30 スライド部材
32 固定プレート
33 サポート
34 円筒状のカム
35 ヘッド
36 支持棒
37 ヘッド本体
37a 連通路
38 パッキン
39 ノズル
39a 開口
39b 連通路
41 空気供給用チューブ
50 不良品排出シュート
AFC1,AFC2 エアフローコンベヤ
CAM1−a,CAM1−b,CAM2−a,CAM2−b,CAM3−a,CAM3−b,CAM4−a,CAM4−b カメラ
Cp 円形軌道
LED1,LED2 照明
S1〜S3 外観検査ステーション
V 電磁バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のペットボトルを支持して所定の円形軌道に沿って搬送するメインロータと、
前記メインロータに設置され、ペットボトルの口部に係合して該口部をシールするとともに気体をペットボトル内に供給する複数の容器押えヘッドと、
前記メインロータの円形軌道の所定位置に配置され、メインロータにより搬送されるペットボトルを照明し、ペットボトルからの透過光を撮影してペットボトルの外観を検査する複数の検査ステーションとを備え、
前記複数の検査ステーションは、前記円形軌道の半径方向外側に配置された1台の照明と前記円形軌道の半径方向内側に配置された少なくとも2台のカメラとからなる第1検査ステーションと、前記円形軌道の半径方向内側に配置された1台の照明と前記円形軌道の半径方向外側に配置された少なくとも2台のカメラとからなる第2検査ステーションとを含み、
前記第1検査ステーションと前記第2検査ステーションとによりペットボトルの胴部全周を検査可能であることを特徴とするペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項2】
前記第1検査ステーションに配置された少なくとも2台のカメラは、前記第1検査ステーションの撮像位置にあるペットボトルに対して、ペットボトルを中心として略60°〜70°離間した位置にあることを特徴とする請求項1記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項3】
前記各位置には、上下2台ずつカメラが配置されていることを特徴とする請求項2記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項4】
前記第2検査ステーションに配置された少なくとも2台のカメラは、前記第2検査ステーションの撮像位置にあるペットボトルに対して、ペットボトルを中心として略60°〜90°離間した位置にあることを特徴とする請求項1記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項5】
前記各位置には、上下2台ずつカメラが配置されていることを特徴とする請求項4記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項6】
前記メインロータの固定部に設置されたカムと、前記容器押えヘッドに連結されるとともに前記カムに接触可能なカムフォロワとを設け、前記メインロータの回転に伴い前記カムフォロワを前記カムに接触させながら移動させることにより、前記容器押えヘッドを上下動させて容器押えヘッドをペットボトルの口部に係合可能とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項7】
前記容器押えヘッドは上下動のみし、自身の軸心の回りには非回転であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項8】
前記第1検査ステーション及び第2検査ステーションは、ペットボトルの口側面全周を撮影可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。
【請求項9】
ペットボトルの口側面全周を撮影する検査ステーションを別途設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のペットボトルのリーク検査および外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−103020(P2012−103020A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249343(P2010−249343)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】