説明

ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体の活性化剤

【課題】
PPARの活性化剤を提供すること。
【解決手段】
次の一般式(I)、


(式中、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基他を表し、
は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基他を表し、
、R、R及びRは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基他を表し、
Xは窒素原子他を表し、
Yは酸素原子他を表し、
Zは酸素原子、硫黄原子又は結合手他を表し、
pは1又は2を表し、
mは1〜4の整数を表し、
そして、nは0〜4の整数を表す。)
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩をPPARの活性化剤として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)の活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator activated receptor:PPAR)はこれまで大きく分けて3つのサブタイプの存在が知られており、PPARα、PPARγ及びPPARδと称せられている。(非特許文献1)
そして、これまで種々の化合物について、PPAR各サブタイプの転写活性化作用、さらには血糖降下、脂質代謝改善作用等に関する報告がなされている。
たとえば、次式、
【0003】
【化1】

【0004】
で表されるGW−501516(GSK)については、現在、脂質代謝改善剤として開発が進行中である旨の報告がなされている。(特許文献1)
また、GW−501516のチアゾール環をベンゾチオフェン環やベンゾフラン環に置き換えた次の一般式で表される化合物に関する特許も出願されている。(特許文献2)
【0005】
【化2】

【0006】
一方、本発明者らは、次の一般式、
【0007】
【化3】

【0008】
で表される化合物(特許文献3)、並びに特許文献4〜10記載の化合物等がPPARの転写活性化作用を有することを見出し特許出願している。

後記一般式(I)で表される本発明化合物は、上記特許文献1〜10記載の化合物におけるチアゾール環やベンゾチオフェン環等に相当する位置にベンゾチオフェンモノオキシド、ベンゾチオフェンジオキシドを有することを特徴とする。
更に特許文献2記載の化合物とは、特許文献2記載の化合物がベンゾチオフェン環とフェノキシ酢酸とを結ぶリンカー部分のアルキレン鎖が、硫黄原子や酸素原子(X)で中断されているのに対し、本発明化合物ではかかる中断を有しないことの相違を有する。
また、本発明化合物とGW−501516との相違は、特許文献2と同様なリンカー部分の相違と本発明化合物におけるベンゾチオフェンモノオキシド、ベンゾチオフェンジオキシド等の縮合環に相当する位置にGW−501516は、単環(チアゾール環)であることが挙げられる。
また、上記特許文献3ではAがピラゾール、チオフェン、フラン及びピロール等の単環であり、同じく特許文献4〜10記載の化合物も、特許文献3のAに相当する部分が単環であるのに対し、本発明化合物はベンゾチオフェンモノオキシド、ベンゾチオフェンジオキシド等の縮合環であることの相違を有する。
従って、本発明化合物と上述した公知文献記載の化合物とは構造上の明確な相違を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 01/000603
【特許文献2】WO 2005/077926
【特許文献3】WO 2006/090920
【特許文献4】WO 02/014291
【特許文献5】WO 02/076957
【特許文献6】WO 03/016291
【特許文献7】WO 03/033493
【特許文献8】WO 2007/004733
【特許文献9】WO 2007/119887
【特許文献10】WO 2008/016175
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,p7335−7359,1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体の活性化作用を有する下記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明は、次の一般式(I)、
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R及びRは同一又は異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、3〜7員環のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、5若しくは6員環の複素環基、アラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)又は5若しくは6員環の複素環基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、
は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)を表し、
、R、R及びRは同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、
Xは、CR又は窒素原子を表し、
ここで、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)表し、
Yは酸素原子、硫黄原子又はNRを表し、
ここで、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)を表し、
Zは酸素原子、硫黄原子、NR10又は結合手を表し、
ここで、R10は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)を表し、
pは1又は2を表し、
mは1〜4の整数を表し、
そして、nは0〜4の整数を表す。)

で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩に関する。
【0015】
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δの活性化剤に関する。
さらにまた、本発明は上記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARに媒介される疾患の治療および/または予防剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を詳細に説明する。
上記一般式(I)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10の炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基等が挙げられる。
、R及びRの炭素数2〜8のアルケニル基としては、ビニル基又はアリル基等が挙げられる。
及びRの炭素数2〜8のアルキニル基としては、プロパルギル基等が挙げられる。
及びRの3〜7員環のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等が挙げられる。
及びRの炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基等が挙げられる。
及びRのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基としては、1〜3個のフッ素原子、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子により置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基又はt−ブチル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基又は2−フルオロエチル基等が挙げられる。
、R及びRの炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基等で置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基等が挙げられ、好ましくはエトキシエチル基等が挙げられる。
及びRのハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基としては1〜3個のフッ素原子、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子により置換されたメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基又はt−ブチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルオキシ基、クロロメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、2−ブロモエチルオキシ基又は2−フルオロエチルオキシ基等が挙げられる。
、R及びRの炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基等が挙げられる
、R及びRの炭素数2〜8のアシル基としては、アセチル基が挙げられる。
、R及びRの3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等で置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基等が挙げられる。
、R、R、R、R及びR10のアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)としては、ベンジル基又はフェネチル基等が挙げられる。
及びRの5若しくは6員環の複素環基としては、ピリジル基等が挙げられる。
及びRの5若しくは6員環の複素環基で置換された炭素数1〜8のアルキル基としては、ピリジル基等で置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基等が挙げられる。
及びRの炭素数1〜8のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基等が挙げられる。
及びRの炭素数2〜12のジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。

(水素原子を除く)が有していても良い置換基は、同一又は異なったものが1〜3個、存在していても良く、またR(水素原子を除く)が有していても良い置換基は、同一又は異なったものが1〜2個存在していても良い。
【0017】
さらに、本発明化合物としては、次に示す化合物が好ましい。
(1)
が水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、3〜7員環のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基である上記一般式(I)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(2)
がハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基である上記一般式(I)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(3)
が水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基である上記一般式(I)又は上記(1)若しくは(2)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(4)
が炭素数3〜8のアルキル基である上記一般式(I)又は上記(1)若しくは(2)の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(5)
が水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、3〜7員環のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基である上記一般式(I)又は上記(1)〜(4)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(6)
が炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基である上記一般式(I)又は上記(1)〜(4)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(7)
及びRが水素原子である上記一般式(I)又は上記(1)〜(6)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(8)
及びRが同一又は異なっていても良く水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である上記一般式(I)又は上記(1)〜(7)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(9)
Xが窒素原子である上記一般式(I)又は上記(1)〜(8)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(10)
Yが酸素原子である上記一般式(I)又は上記(1)〜(9)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(11)
Zが酸素原子又は結合手である上記一般式(I)又は上記(1)〜(10)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(12)
mが2である上記一般式(I)又は上記(1)〜(11)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(13)
nが1又は2である上記一般式(I)又は上記(1)〜(12)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。


上記一般式(I)で表される化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
本発明化合物には、光学活性体やシス、トランスの幾何異性体等が存在する場合もあるが、何れも本発明に含まれる。
【0018】
次に上記一般式(I)で表される本発明化合物の合成スキームを以下に示す。
合成方法1
(上記一般式(I)で、R及びRが水素原子で、Zが酸素原子で、mが2で、pが2の場合)
【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

【0023】
(式中、Acはアセチル基、Rは低級アルキル基、Qはハロゲン原子等の脱離基を示し、そしてR、R、R、R、R、X、Y及びnは前記と同じ)

一般式(c)の化合物は、一般式(a)の化合物と一般式(b)の化合物を反応させることで得られる。得られた一般式(c)の化合物を脱アセチル化することで、一般式(d)の化合物が得られる。
一般式(d)の化合物に硫酸、亜硝酸ナトリウムを作用させ一般式(e)の化合物を得た後、塩基の存在下、一般式(e)の化合物と一般式(f)の化合物を反応させることで一般式(g)の化合物が得られる。一般式(g)の化合物を加水分解反応に付すことで、一般式(h)の化合物が得られ、更にこれをm―クロロ過安息香酸等の酸化剤で処理することで、一般式(i)の本発明化合物を得ることができる。
【0024】
合成方法2
(上記一般式(I)で、R及びRが水素原子で、Zが結合手で、nが2で、pが2の場合)
【0025】
【化9】

【0026】
【化10】

【0027】
【化11】

【0028】
(式中、Rは低級アルキル基を示し、そしてR、R、R、R、R、X、Y及びmは前記と同じ)

一般式(j)の化合物を臭化水素酸、亜硝酸ナトリウムで処理した後、一般式(k)の化合物と反応させることで、一般式(l)の化合物が得られる。
得られた一般式(l)の化合物から一般式(m)の化合物を得た後、加水分解反応に付すことで一般式(n)の化合物が得られる。
一般式(n)の化合物をヒドラジン一水和物等を用いて還元反応に付すことで一般式(o)の化合物が得られる。
ここで得られた化合物(o)をm―クロロ過安息香酸等の酸化剤で処理することで、一般式(p)の本発明化合物を得ることができる。

合成方法3
(上記一般式(I)で、pが1の場合)
【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
(式中、Rは低級アルキル基を示し、そしてR、R、R、R、R、R、R、X、Y、Z、m及びnは前記と同じ)

一般式(q)の化合物をエステル化し一般式(r)の化合物を得た後、これをm―クロロ過安息香酸等の酸化剤で処理することで、一般式(s)の化合物を得ることができる。
一般式(t)の本発明化合物は一般式(s)の化合物を加水分解反応に付すことで得ることができる。

なお、上記一般式(I)で表される本発明化合物は、上記の合成方法の他、後記の合成実施例、並びに特許文献1〜10記載の合成方法等を参考にして製造することができる。

次に、本発明化合物例を以下に示す。
代表化合物例1
【0032】
【化14】

【0033】
(式中、R、R、R、R、R、Z、p、m及びnは表1〜3記載のとおり)
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
代表化合物例2
【0038】
【化15】

【0039】
(式中、R、R、R、X、Y、W及びpは表4,5記載のとおり)
【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
代表化合物例3
【0043】
【化16】

【0044】
(式中、R、R、R、R、R、Z、p、m及びnは表6〜8記載のとおり)
【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】
次に本発明の薬理効果について述べる。
本発明化合物のPPAR活性化作用は、以下のように測定した。
CV−1細胞に受容体発現プラスミド,ルシフェラーゼ発現プラスミド及びβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミドを導入した。トランスフェクション試薬を用いて遺伝子導入を行った後,供試化合物存在下で培養した。可溶化細胞をルシフェラーゼ活性及びβ−GAL活性測定に用いた。ルシフェラーゼ活性はβ−GAL活性で補正し,GW−590735,Rosiglitazone,GW−501516で処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として,相対的なリガンド活性を算出した。(実施例5)
表9から明らかなように本発明化合物は優れたPPARδ活性化作用を示した。
【0049】
従って、本発明の一般式(I)で表される化合物は、優れたPPARδ活性化作用を有することから、PPARに媒介される疾患、即ち高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高TG血症、低HDL血症、高LDL and/or non-HDL血症、高VLDL血症、リポタンパク異常症、低アポリポタンパクA-I血症、アテローム動脈硬化症、動脈硬化性疾患、冠動脈性疾患、脳血管障害、末梢血管障害、メタボリック・シンドローム、シンドロームX、内臓脂肪型肥満を含む肥満、糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高インスリン血症、糖尿病性合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、血栓、アルツハイマー病、神経変性疾患、脱髄性疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、にきび、皮膚老化、発毛異常、炎症、関節炎、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎並びに結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び肺がんを含む癌等の予防、あるいは治療剤として期待される。
【0050】
特にPPARに媒介される疾患のうち、種々の脂質異常症、メタボリック・シンドローム、内臓脂肪型肥満を含む肥満、アテローム動脈硬化症およびその関連疾患又は糖尿病等の予防、あるいは治療剤として有用である。
【0051】
本発明化合物は、ヒトに対して一般的な経口投与又は非経口投与のような適当な投与方法によって投与することができる。

製剤化するためには、製剤の技術分野における通常の方法で錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐薬等の剤型に製造することができる。

これらの調製には、通常の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、色素、希釈剤などが用いられる。ここで、賦形剤としては、乳糖、D−マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖などが、崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)などが、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどが、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
【0052】
投与量は通常成人においては、注射剤で有効成分である本発明化合物を1日約0.1mg〜100mg,経口投与で1日1mg〜2000mgであるが、年齢、症状等により増減することができる。

次に、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0053】
[3−[2−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イルオキシ]酢酸

(1)1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノール

2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンスアルデヒド(30.0g、156mmol)を乾燥エーテル(1050mL)に溶解させた後、臭化イソプロピルマグネシウムテトラヒドロフラン溶液(300mL、0.78M)を90分間で滴下した。90分間後、反応溶液を飽和塩化アンモ二ウム水溶液に注いだ後、有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、ヘキサン:酢酸エチル(10:1,v/v)流分より表題化合物(15.0g,収率40%)を淡黄色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.89(3H,d,J=7Hz),
0.98(3H,d,J=7Hz),
1.92(1H,d,J=5Hz),
1.9−2.1(1H,m),
4.81(1H,t,J=5Hz),
7.28(1H,d,J=10Hz),
7.43(1H,d,J=8Hz),
7.60(1H,d,J=8Hz).

(2)1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン

上記で得た1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパノール(1.38g、5.84mmol)及びモレキュラーシーブス3A粉末(2.52g)を塩化メチレン(29mL)に懸濁し、クロロクロム酸ピリジニウム(2.52g、11.7mmol)を加えた。室温で2時間攪拌後、ジエチルエーテル(29mL)及びシリカゲル(Wako−gel、C−300HG、5.8g)を加えてさらに室温で10分間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、ろ液を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(20:1、v/v)流分より表題化合物(860mg、収率63%)を淡黄色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.20(6H,d,J=7Hz),
3.3−3.5(1H,m),
7.41(1H,d,J=10Hz),
7.50(1H,d,J=8Hz),
7.86(1H,d,J=8Hz).

(3)3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−カルボン酸メチル

無水テトラヒドロフラン(95mL)及び無水ジメチルスルホキシド(680mL)の混合溶媒に55%水素化ナトリウム(4.3g、108mmol)を水冷下で加えた。続いて窒素雰囲気下にてチオグリコール酸メチル(7.56mL,84.6mmol)を20分間かけて加えた。室温に戻し30分間攪拌した後、1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン(18.0g、72.9mmol)の無水テトラヒドロフラン(20mL)及び無水ジメチルスルホキシド(120mL)の混合溶媒をゆっくりと加えた。室温に戻し20時間攪拌後、反応溶液を氷冷水に注いだ後、酢酸エチルで抽出した。有機層を2N塩酸、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(20:1、v/v)流分より表題化合物を淡黄色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.50(6H,d,J=7Hz),
3.94(3H,s),
4.4−4.6(1H,m),
7.59(1H,d,J=8Hz),
8.12(1H,s),
8.21(1H,d,J=8Hz).

(4)[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]メタノール

窒素雰囲気下、水素化リチウムアルミニウム(3.34g、88.0mmol)を無水テトラヒドロフラン(600mL)に懸濁させ、氷冷下、上記で得た3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−カルボン酸メチル(26.6g、88.0mmol)の無水THF溶液(200mL)を1時間かけて滴下した。同条件下で1時間した後、ジエチルエーテルをゆっくりと加えた。続いて飽和塩化アンモニウム水溶液をゆっくりと滴下後、反応混合物をセライト濾過し酢酸エチルで洗浄した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下溶媒を留去した。得られた残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1、v/v)流分より表題化合物(22.1g、収率92%)を白色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.45(6H,d,J=7Hz),
1.95(1H,t,J=5Hz),
3.4−3.5(1H,m),
4.98(2H,d,J=5Hz),
7.55(1H,d,J=8Hz),
7.95(1H,d,J=8Hz),
8.09(1H,s).

(5)2−クロロメチル−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン

上記の3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−メタノール(3.9g、14.20mmol)を酢酸エチル(39mL)に溶解させた後、氷冷下で塩化チオニル(1.56mL、21.3mmol)を滴下した。室温に戻しで一晩攪拌後、氷冷水を加えた。酢酸エチル層を分取した後、酢酸エチル層を炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下溶媒を留去する事で表題化合物(3.94g、収率92%)を淡黄色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.50(6H,d,J=7Hz),
3.4−3.6(1H,m),
4.87(2H,s),
7.56(1H,d,J=8Hz),
8.01(1H,d,J=8Hz),
8.78(1H,s).

(6)N−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]アセトアミド

N−(3,5−ジメチルベンゾイソキサゾール−6−イル)アセトアミド(381mg、1.87mmol)を無水テトラヒドロフラン(15mL)に懸濁させ、窒素雰囲気下、−78℃にて2MのLDA(2.3mL、4.6mmol)を30分かけて滴下した。同温で30分撹拌後、上記で得た2−クロロメチル−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン(655mg、2.24mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(5mL)を30分かけて滴下した。同条件下で2時間撹拌した後、室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルを加えた。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、ヘキサン:酢酸エチル(1:1,v/v)流分より表題化合物(426mg,収率50%)を黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.34(6H,d,J=7Hz),
2.24(3H,s),
2.26(3H,br s),
3.31(2H,t,J=8Hz),
3.3−3.4(1H,m),
3.46(2H,t,J=8Hz),
7.09(1H,br s),
7.19(1H,s),
7.54(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s),
8.40(1H,br s).

(7)6−アミノ−3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール

上記で得たN−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]アセトアミド(326mg、0.708mmol)を1M塩酸(3mL)及び酢酸(7mL)の混合溶液に溶解し、23時間加熱還流した。室温まで冷却後、4N水酸化ナトリウムを加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、ヘキサン:酢酸エチル(2:1,v/v)流分より表題化合物(201mg,収率68%)を褐色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.36(6H,d,J=7Hz),
2.15(3H,s),
3.26(2H,t,J=8Hz),
3.3−3.5(1H,m),
3.4−3.5(2H,m),
3.99(2H,br s),
6.74(1H,s),
7.09(1H,s),
7.52(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s).

(8)3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−6−ヒドロキシ−5−メチルベンゾイソキサゾール

上記で得た6−アミノ−3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール(100mg、0.239mmol)を25%硫酸(2mL)に懸濁させ氷冷下で、亜硝酸ナトリウム(25mg,0.36mmol)の水溶液(1mL)を滴下した後、30分間撹拌した。この反応溶液を120℃に加熱した75%硫酸(1.5mL)に5分かけて滴下し、同温で1時間加熱した。室温まで放冷後、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水及び水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、ヘキサン:酢酸エチル(5:1,v/v)流分より、表題化合物(20mg,収率20%)を黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.36(6H,d,J=7Hz),
2.23(3H,s),
3.2−3.5(5H,m),
6.94(1H,s),
7.37(1H,s),
7.53(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.04(1H,s).

(9)3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イルオキシ酢酸エチル

上記で得た3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−6−ヒドロキシ−5−メチルベンゾイソキサゾール(528mg、1.26mmol)及び炭酸カリウム(261mg、1.87mmol)をアセトン(10mL)に懸濁した。氷冷下でブロモ酢酸エチル(0.21mL、1.89mmol)をゆっくり加えた後、4時間加熱還流した。室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(100:1から5:1,v/v)流分より表題化合物(421mg,収率66%)を無色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.26(3H,t,J=7Hz),
1.35(6H,d,J=7Hz),
2.27(3H,s),
3.2−3.5(5H,m),
4.27(2H,q,J=7Hz),
4.71(2H,s),
6.72(1H,s),
7.18(1H,s),
7.52(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.18(1H,s).

(10)3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イルオキシ酢酸

上記で得た3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イルオキシ酢酸エチル(421mg、0.833mmol)をエタノール(5.1mL)に懸濁させた。この懸濁液に1M NaOH(1.7mL)を加え20時間攪拌した。反応溶液に氷水及び1M塩酸を加えて酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム:メタノール(100:1から5:1,v/v)流分より表題化合物(370mg)を淡黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.36(6H,d,J=7Hz),
2.27(3H,s),
3.3−3.5(5H,m),
4.78(2H,s),
6.87(1H,s),
7.23(1H,s),
7.52(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s).

(11)[3−[2−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イルオキシ]酢酸

上記の3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イルオキシ酢酸(14mg,0.029mmol)をクロロホルム(7mL)に溶解し、80%m−クロロ過安息香酸(16mg,0.074mmol)を加え、室温で70時間攪拌した。乾固しないよう濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、メタノール/クロロホルム=1/10の混合溶媒で溶出して表題化合物(14mg、収率93%)を淡黄色粉末として得た。
FAB−MS(m/e):510(M+1)
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=
1.19(6H,d,J=7Hz),
2.24(3H,s),
3.1−3.5(5H,m),
4.53(2H,s),
6.87(1H,s),
7.02(1H,s),
7.58(1H,s),
8.03(1H,s),
8.31(1H,s),
8.43(1H,s).
【実施例2】
【0054】
3−[3−[2−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸

(1)2−ブロモ−3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンズイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチル

実施例1(7)で得た6−アミノ−3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンズイソキサゾール(150mg、0.358mmol)をメタノール(1mL)−アセトン(2mL)に溶解した。氷冷下、48%臭化水素酸(0.17mL、1.4mmol)を滴下後、さらに水(1mL)に溶解した亜硝酸ナトリウム(30mg、0.43mmol)を加えて30分間撹拌した。室温に戻した後、アクリル酸メチル(0.23mL、2.5mmol)および酸化第一銅(5mg)を加えた。40℃で30分間撹拌後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、ヘキサン:酢酸エチル(5:1、v/v)流分より、表題化合物(135mg、収率66%)を黄色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.33(6H,d,J=7Hz),
2.33(3H,s),
3.3−3.4(4H,m),
3.47(2H,dd,J=5Hz,8Hz),
3.57(1H,dd,J=5Hz,8Hz),
3.75(3H,s),
4.42(1H,t,J=8Hz),
7.23(1H,s),
7.37(1H,s),
7.52(1H,d,J=8Hz),
7.92(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s).

(2)3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチル−ベンズイソキサゾール−6−イル]アクリル酸メチル

上記で得た2−ブロモ−3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンズイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチル(740mg、1.30mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.6mL、2.63mmol)を加えた。6時間加熱還流後、飽和塩化アンモニウム水溶液及び2M塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。残渣に表題化合物(600mg、収率95%)を黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.35(6H,d,J=7Hz),
2.41(3H,s),
3.3−3.4(3H,m),
3.48(2H,dd,J=5Hz,8Hz),
3.83(3H,s),
6.44(1H,d,J=16Hz),
7.27(1H,s),
7.53(1H,d,J=8Hz),
7.69(1H,s),
7.93(1H,d,J=8Hz),
7.99(1H,d,J=16Hz),
8.05(1H,s).

(3)3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチル−ベンズイソキサゾール−6−イル]アクリル酸

上記で得た3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチル−ベンズイソキサゾール−6−イル]アクリル酸メチル(600mg、0.213mmol)をメタノール(3.0mL)とテトラヒドロフラン(3.0mL)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に水酸化ナトリウム(98mg、2.46mmol)の水溶液を加え24時間攪拌した。反応溶液に2M塩酸(2.5mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。残渣に表題化合物(581mg、定量的収率)を淡黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.35(6H,d,J=7Hz),
2.42(3H,s),
3.3−3.4(3H,m),
3.49(2H,dd,J=5Hz,8Hz),
6.47(1H,d,J=16Hz),
7.28(1H,s),
7.53(1H,d,J=8Hz),
7.74(1H,s),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s),
8.09(1H,d,J=16Hz).

(4)3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸
上記で得た3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチル−ベンズイソキサゾール−6−イル]アクリル酸(555mg、1.17mmol)をエタノール(56mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(1.14mL、23.4mmol)を加えた。24時間加熱還流した後、2M塩酸(35mL)及び氷水を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム:メタノール(100:1から20:1、v/v)流分より、表題化合物(440mg、収率79%)を淡黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.35(6H,d,J=7Hz),
2.32(3H,s),
2.71(2H,t,J=7Hz),
3.07(2H,t,J=7Hz),
3.32(2H,dd,J=7Hz,8Hz),
3.3−3.5(1H,m),
3.47(2H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.25(1H,d,J=8Hz),
7.36(1H,s),
7.52(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.04(1H,s).


(5)3−[3−[2−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸

3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸(24mg,0.05mmol)をクロロホルム(2.4mL)に溶解し、80%m−クロロ過安息香酸(27mg,0.013mmol)を加え、室温で64時間攪拌した。溶液を直接、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処しメタノール/クロロホルム=1/50の混合溶媒で溶出して微黄色結晶15mgを得、ヘキサン(5mL)で2回洗って表題化合物(14mg、収率56%)を微黄色結晶として得た。

FAB−MS(m/e):508(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.29(6H,d,J=7Hz),
2.40(3H,s),
2.71(2H,t,J=8Hz),
3.07(2H,t,J=8Hz),
3.1−3.3(1H,m),
3.23(2H,t,J=8Hz),
3.43(2H,t,J=8Hz),
7.37(1H,s),
7.49(1H,s),
7.69(1H,d,J=8Hz),
7.81(1H,d,J=8Hz),
8.00(1H,s).
【実施例3】
【0055】
3−[3−[2−[3−イソプロピル−1−オキソ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸

(1) 3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチル
3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸(72mg,0.15mmol)をメタノール(7mL)に溶解させた後、濃硫酸(0.07mL)を加え16時間加熱還流した。冷水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を減圧下留去して表題化合物(72mg、収率100%)を褐色油状物として得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.35(6H,d,J=7Hz),
2.32(3H,s),
2.65(2H,t,J=8Hz),
3.05(2H,t,J=8Hz),
3.3−3.4(3H,m),
3.47(2H,dd,J=6Hz,8Hz),
3.70(3H,s),
7.24(1H,s),
7.34(1H,s),
7.53(1H,d,J=9Hz),
7.93(1H,d,J=9Hz),
8.05(1H,s).

(2)3−[3−[2−[3−イソプロピル―1−オキソ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸
3−[3−[2−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチル(72mg,0.15mmol)をクロロホルム(7mL)に溶解し、80%m−クロロ過安息香酸(26mg,0.12mmol)を5分要して加え、室温で4時間攪拌した。さらに、80%m−クロロ過安息香酸(13mg,0.06mmol)を加え、室温で4時間攪拌した後、80%m−クロロ過安息香酸(8mg,0.04mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この反応混合物にシリカゲルを加え、減圧下濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処した。酢酸エチル/ヘキサン=1/4から1/1の混合溶媒で溶出して3−[3−[2−[3−イソプロピル―1−オキソ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチル(22mg)を淡黄色油状物として得た。続いて得られた3−[3−[2−[3−イソプロピル―1−オキソ−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]−5−メチルベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチルをメタノール(0.1mL)とテトラヒドロフラン(0.1mL)の混合溶媒に溶解させた。この溶液に水酸化ナトリウム(5mg、0.13mmol)の水溶液を加え24時間攪拌した。反応溶液に2M塩酸(2.5mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム:メタノール(100:1から50:1、v/v)流分より、表題化合物(8mg、収率36%)を淡黄色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.23(3H,d,J=7Hz),
1.29(3H,d,J=7Hz),
2.38(3H,s),
2.65(2H,t,J=8Hz),
3.06(2H,t,J=8Hz),
3.0−3.2(1H,m),
3.2−3.4(4H,m),
3.70(3H,s),
7.34(1H,s),
7.46(1H,s),
7.67(1H,d,J=8Hz),
7.74(1H,d,J=8Hz),
8.15(1H,s).

IR(KBr,cm−1):2975,2929,1702,1436,1328,1303,1259,1234,1213,1162,1153,1116,1083,883,869,815,721,418.
【実施例4】
【0056】
3−[5−メチル−3−[2−[1,1−ジオキソ−3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸

(1)1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタン−1−オン
窒素雰囲気下、1−ブロモ−2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.30mL、2.1mmol)を無水テトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、−78℃まで冷却し、n−ブチルリチウムのテトラヒドロフラン溶液(1.65mL、1.50mol/L)を滴下した。同温で15分攪拌した後、n−ブチルアルデヒド(0.18mL,2.5mmol)のTHF溶液(2mL)を滴下した。さらに同温で30分攪拌した後、酢酸(1mL)のテトラヒドロフラン溶液(2mL)を加え、室温まで昇温した後、さらに水を加えた。有機層を分取した後、水層をエーテルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタノールを得た。続いて、得られた1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタノール及びモレキュラーシーブス3A粉末(750mg)を塩化メチレンに懸濁し、クロロクロム酸ピリジニウム(887mg、4.12mmol)を加えた。室温で16時間攪拌後、ジエチルエーテル(20mL)及びシリカゲル(Wako−gel、C−300HG、2g)を加えてさらに室温で10分間撹拌した。グラスフィルターを用いて反応混合物をろ過し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(6:1、v/v)流分より表題化合物(323mg、収率67%)を白色結晶として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.00(3H,t,J=7Hz),
1.7−1.8(2H,m),
2.97(2H,t,J=7Hz),
7.42(1H,d,J=10Hz),
7.49(1H,d,J=8Hz),
7.95(1H,t,J=8Hz).

(2)3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−カルボン酸メチル

上記で得た1−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタン−1−オン(320mg、1.37mmol)を用い、実施例1(3)と同様の手法により表題化合物(230mg、収率56%)を無色油状物として得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.03(3H,t,J=7Hz),
1.71(2H,m),
3.2−3.4(2H,m),
3.95(3H,s),
7.63(1H,d,J=8Hz),
7.95(1H,d,J=8Hz),
8.12(1H,s).

(3)[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]メタノール

上記で得た3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−カルボン酸メチル(230mg、0.761mmol)を用い、実施例1(4)と同様の手法により表題化合物(126mg、収率60%)を得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.98(3H,t,J=7Hz),
1.6−1.7(2H,m),
1.89(1H,t,J=6Hz),
2.84(2H,t,J=7Hz),
4.96(2H,d,J=6Hz),
7.58(1H,d,J=8Hz),
7.77(1H,d,J=8Hz),
8.10(1H,s).

(4)2−クロロメチル−3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン

上記で得た3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−メタノール(1.5g、5.47mmol)を酢酸エチル(54.7mL)に溶解させた後、氷冷下で塩化チオニル(0.60mL、8.21mmol)を滴下した。室温で24時間攪拌後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(10:1,v/v)流分より表題化合物(1.33g、収率83.3%)を淡黄色油状物として得た。

(5)N−[5−メチル−3−[2−[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]アセトアミド

N−(3,5−ジメチルベンゾイソキサゾール−6−イル)アセトアミドおよび2−クロロメチル−3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェンを用い実施例1(6)と同様の手法により目的物を得た。
微黄色結晶
収率38%
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.94(3H,t,J=7Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.22(3H,s),
2.26(3H,s),
2.67(2H,t,J=7Hz),
3.2−3.5(4H,m),
7.09(1H,br s),
7.16(1H,s),
7.55(1H,d,J=8Hz),
7.67(1H,d,J=8Hz),
8.06(1H,s),
8.40(1H,br s).

(6)6−アミノ−5−メチル−3−[2−[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール
実施例1(7)と同様の手法により目的物を得た。
橙色結晶
収率87%
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.95(3H,t,J=8Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.14(3H,s),
2.71(2H,t,J=8Hz),
3.2−3.5(4H,m),
3.99(2H,s),
6.75(1H,s),
7.08(1H,s),
7.55(1H,d,J=8Hz),
7.68(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s).

(7)2−ブロモ−3−[5−メチル−3−[2−[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸メチル
実施例2(1)と同様の手法により目的物を得た。
黄色油状物
収率70%
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.94(3H,t,J=7Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.32(3H,s),
2.68(2H,t,J=7Hz),
3.3−3.6(6H,m),
3.75(3H,s),
4.42(1H,t,J=7Hz),
7.23(1H,s),
7.37(1H,s),
7.55(1H,d,J=8Hz),
7.67(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s).

(8)3−[5−メチル−3−[2−[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]アクリル酸メチル
実施例2(2)と同様の手法により目的物を得た。
淡橙色結晶
収率94%
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.95(3H,t,J=7Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.40(3H,s),
2.70(2H,t,J=7Hz),
3.3−3.5(4H,m),
3.84(3H,s),
6.44(1H,d,J=16Hz),
7.25(1H,s),
7.55(1H,d,J=9Hz),
7.68(1H,d,J=9Hz),
7.70(1H,s),
8.00(1H,d,J=16Hz),
8.06(1H,s).

(9)3−[5−メチル−3−[2−[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]アクリル酸
実施例2(3)と同様の手法により目的物を得た。
微黄色結晶
収率97%
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.95(3H,t,J=8Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.41(3H,s),
2.70(2H,t,J=8Hz),
3.3−3.5(4H,m),
6.47(1H,d,J=16Hz),
7.26(1H,s),
7.55(1H,d,J=9Hz),
7.68(1H,d,J=9Hz),
7.73(1H,s),
8.06(1H,s),
8.07(1H,d,J=16Hz).

(10)3−[5−メチル−3−[2−[3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸

実施例2(4)と同様の手法により目的物を得た。
淡黄色結晶
収率72%
FAB−MS(m/e):476(M+1)
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.94(3H,t,J=7Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.32(3H,s),
2.70(2H,t,J=7Hz),
2.71(2H,t,J=7Hz),
3.07(2H,t,J=7Hz),
3.3−3.5(4H,m),
7.24(1H,s),
7.37(1H,s),
7.55(1H,d,J=8Hz),
7.69(1H,d,J=8Hz),
8.05(1H,s).
IR(KBr,cm−1):
2964,2929,2376,2349,1705,1624,1516,1458,1437,1406,1360,1327,1257,1217,1155,1113,1082,1057,957,883,868,843,818,719,673,648.

(11)3−[5−メチル−3−[2−[1,1−ジオキソ−3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]エチル]ベンゾイソキサゾール−6−イル]プロピオン酸

実施例2(5)と同様の手法により目的物を得た。
白色結晶
収率40%
FAB−MS(m/e):508(M+1)
H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
0.99(3H,t,J=7Hz),
1.5−1.6(2H,m),
2.37(3H,s),
2.49(2H,t,J=8Hz),
2.72(2H,t,J=8Hz),
3.08(2H,t,J=8Hz),
3.32(2H,t,J=8Hz),
3.44(2H,t,J=8Hz),
7.37(1H,s),
7.47(2H,t,J=4Hz),
7.82(1H,d,J=8Hz),
7.98(1H,s).
【実施例5】
【0057】
薬理実験(PPAR活性化作用の測定)
(試験方法)
トランスフェクション
試験化合物のPPAR活性化作用を以下のように測定した。CV−1細胞(ATCC(American type culture collection))に受容体発現プラスミド(pSG5−GAL4−hPPARα or γ or δ LBD),ルシフェラーゼ発現プラスミド(pUC8−MH100×4−TK−Luc)及びβ−ガラクトシダーゼ(pCMX−β−GAL)発現プラスミド(Kliewer,S.A.et.Al.,(1992)Nature,358:771−774)を導入した。トランスフェクション試薬Lipofectamin2000(Invitrogen)を用いて遺伝子導入を行った後,供試化合物存在下で40時間培養した。可溶化細胞をルシフェラーゼ活性及びβ−GAL活性測定に用いた。ルシフェラーゼ活性はβ−GAL活性で補正し,GW−590735(PPARα選択的agonist),Rosiglitazone(PPARγ選択的agonist),GW−501516(PPARδ選択的agonist)で処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として,相対的なリガンド活性を算出した。
(試験結果)
試験結果を表9に示す。
実施例化合物のPPAR活性
【0058】
【表9】

【0059】
PPAR活性:対照薬を100%とした時の試験化合物10−7Mでの相対値
α:GW−590735 10−6
γ:Rosiglitazone 10−6
δ:GW−501516
実施例1及び4は10−6M、実施例2及び3は10―7

表9から明らかなように本発明化合物は優れたPPARδ活性化作用を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I)、
【化1】

(式中、R及びRは同一又は異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキルアミノ基、炭素数2〜12のジアルキルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、3〜7員環のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、5若しくは6員環の複素環基、アラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)又は5若しくは6員環の複素環基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、
は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアシル基、炭素数6〜10のアリール基、又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)を表し、
、R、R及びRは同一又は異なっていても良く、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、
XはCR又は窒素原子を表し、
ここで、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)表し、
Yは酸素原子、硫黄原子又はNRを表し、
ここで、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)を表し、
Zは酸素原子、硫黄原子、NR10又は結合手を表し、
ここで、R10は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキレン部分の炭素数は1〜8)を表し、
pは1又は2を表し、
mは1〜4の整数を表し、
そして、nは0〜4の整数を表す。)
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
が水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、3〜7員環のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基である請求項1記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
がハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基である請求項1記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
が水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基である請求項1〜3記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
が炭素数3〜8のアルキル基である請求項1〜3記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
が水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、3〜7員環のシクロアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、3〜7員環のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基である請求項1〜5記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
が炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基である請求項1〜5記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
及びRが水素原子である請求項1〜7記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
及びRが同一又は異なっていても良く水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である請求項1〜8記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
Xが窒素原子である請求項1〜9記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
Yが酸素原子である請求項1〜10記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
Zが酸素原子又は結合手である請求項1〜11記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
mが2である請求項1〜12記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
nが1又は2である請求項1〜13記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかの項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δの活性化剤。
【請求項16】
請求項1〜14の何れかの項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARに媒介される疾患の治療および/または予防剤。
【請求項17】
PPARに媒介される疾患が、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高TG血症、低HDL血症、高LDL and/or non-HDL血症、高VLDL血症、リポタンパク異常症、低アポリポタンパクA-I血症、アテローム動脈硬化症、動脈硬化性疾患、冠動脈性疾患、脳血管障害、末梢血管障害、メタボリック・シンドローム、シンドロームX、内臓脂肪型肥満を含む肥満、糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高インスリン血症、糖尿病性合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、血栓、アルツハイマー病、神経変性疾患、脱髄性疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、にきび、皮膚老化、発毛異常、炎症、関節炎、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎並びに結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び肺がんを含む癌である請求項16記載の治療および/または予防剤。
【請求項18】
PPARに媒介される疾患が種々の脂質異常症、メタボリック・シンドローム、内臓脂肪型肥満を含む肥満、アテローム動脈硬化症およびその関連疾患又は糖尿病である請求項16に記載の治療および/または予防剤。

【公開番号】特開2013−6769(P2013−6769A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234600(P2009−234600)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000228590)日本ケミファ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】