ホースクランプ
【課題】締付リングをゆっくりと縮径できるホースクランプを提供する。
【解決手段】C字状に曲成された締付リング1と、締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップ2Aは巾広寸法を呈し、他方のグリップ2Bは巾狭寸法を呈するホースクランプにおいて、一対のグリップの間に係止部4と係合部を設け、一対のグリップを接近させて、係合部が係止部に係止した後、一対のグリップを更に周方向に接近させると、他方のグリップはテーパー状の誘導部5を介して横にずれて、係合部は係止部から外れる方向に移動し、その後は、係合部が係止部に接触することなく締付リングが縮径する一方、テーパー状の誘導部には、一方のグリップ寄りの締付リング上において、締付リングの一般面よりもその板厚分以上高くなる段差6が付与される。
【解決手段】C字状に曲成された締付リング1と、締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップ2Aは巾広寸法を呈し、他方のグリップ2Bは巾狭寸法を呈するホースクランプにおいて、一対のグリップの間に係止部4と係合部を設け、一対のグリップを接近させて、係合部が係止部に係止した後、一対のグリップを更に周方向に接近させると、他方のグリップはテーパー状の誘導部5を介して横にずれて、係合部は係止部から外れる方向に移動し、その後は、係合部が係止部に接触することなく締付リングが縮径する一方、テーパー状の誘導部には、一方のグリップ寄りの締付リング上において、締付リングの一般面よりもその板厚分以上高くなる段差6が付与される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムホース等を接続パイプの端部に締付固定するホースクランプの内、特に、ホルダーを用いることなく、その拡径状態が保持できるホルダーレスタイプのホースクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種ホースクランプは、具体的には図示しないが、金属帯板でC字状に曲成された締付リングと、該締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップに対しては、締付リング側に開設されたガイド溝の開口を有するアーチ状の巾広寸法となし、他方のグリップに対しては、上記ガイド溝内を移動できる巾狭寸法となすと共に、一方のグリップの側縁に内方に向かって伸びる係止片を形成し、他方のグリップの側縁に該係止片と係脱可能に係止する係合片を形成する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この為、従来のホースクランプの使用に際しては、一対のグリップをプライヤーで把持して周方向に接近させると、他方のグリップの係合片が一方のグリップの係止片の裏側に回り込んで係止して、締付リングを拡径状態に保持するので、後は、当該締付リング内にホースを挿入して、ホースを接続パイプの端部に嵌め込んで、今度は、一方のグリップと他方のグリップとをプライヤーで把持して巾方向に接近させると、他方のグリップの係合片が一方のグリップの係止片から滑り出て、その間の係止状態が解除されるので、これにより、締付リングが自身の復元力で自動的に縮径して、ホースを接続パイプに対して締付固定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−61855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来のホースクランプの下では、今まで使用されていたホルダーを用いずとも、締付リングの拡径状態が得られると共に、係合片の係止片に対する係止状態を解除すれば、締付リングを自動的に縮径できる利点を有するものではあるが、反面、係合片の係止片に対する係止状態を解除すると、締付リングがホース上で急激に縮径することとなるので、その反動により、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする恐れが十分に考えられた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、斯かる従来のホースクランプが抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、C字状に曲成された締付リングと、該締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップは、締付リング側に開設されたガイド溝の開口を有する巾広寸法を呈し、他方のグリップは、ガイド溝内を移動できる巾狭寸法を呈して、締付リングが自由状態で縮径した時には、ホースの締め付けを可能とし、一対のグリップを互いに接近させた時には、締付リングを拡径するホースクランプにおいて、締付リングに形成される係止部と、該係止部が係止する、グリップに形成される係合部と、前記他方のグリップをガイド溝の開口方向へ誘導するテーパー状の誘導部と、を有する。この誘導部は、係止部に続いて締付リングの同じ側の縁に形成される。
【発明の効果】
【0007】
依って、一対のグリップをプライヤーで把持して周方向に接近させて、他方のグリップを係止部に係止すると、締付リングの拡径状態が得られ、この状態において、一対のグリップをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、他方のグリップは、係止部から外れて、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、締付リングをゆっくりと縮径することが可能となる。従って、従来のように、締付リングの急激な縮径で、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする心配がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施例に係るホースクランプを示す斜視図である。
【図2】同正面図である。
【図3】締付リングを拡径した状態を示す平面図である。
【図4】他方のグリップが係止部から外れた状態を示す平面図である。
【図5】締付リングが縮径する状態を示す平面図である。
【図6】(A)は他方のグリップの他例を示す要部斜視図、(B)は係止部に係止した状態を示す平面図である。
【図7】(A)は他方のグリップの別の他例を示す要部斜視図、(B)は係止部に係止した状態を示す平面図である。
【図8】第二実施例に係るホースクランプを示す斜視図である。
【図9】締付リングを拡径した状態を示す平面図である。
【図10】他方のグリップが誘導部に誘導される状態を示す平面図である。
【図11】係合部が係止部から外れた状態を示す平面図である。
【図12】締付リングが縮径する状態を示す平面図である。
【図13】(A)は係合部の他例を示す要部斜視図、(B)は段差の他例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
以下、本発明を図示する各好適な実施例に基づいて詳述すれば、まず、第一実施例に係るホースクランプは、図1・図2に示す如く、金属帯板でC字状に曲成された締付リング1と、該締付リング1の両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップ2A・2Bとから成り、一方のグリップ2Aは、締付リング1側に開設されたガイド溝3の開口3aを有するアーチ状の巾広寸法を呈し、他方のグリップ2Bは、上記ガイド溝3内を移動できる巾狭寸法を呈して、締付リング1が自由状態で縮径した時には、ホースの締め付けを可能とし、一対のグリップ2A・2Bを互いに接近させた時には、締付リング1を拡径する構成を前提としている。
【0010】
そして、第一実施例にあっては、上記ガイド溝3の一方のグリップ2A寄りの溝縁に他方のグリップ2Bの側縁を係脱可能に係止する凸状の係止部4を設けると共に、該係止部4から続くガイド溝3の溝縁に他方のグリップ2Bをガイド溝3の開口3a方向へ誘導するテーパー状の誘導部5を設けて、この連続する係止部4と誘導部5に対しては、図示する如く、締付リング1の一般面よりもその板厚分以上一段高くなる段差6を積極的に付与するものとする。尚、係止部4の外縁にもテーパー形状部7を設けるものとする。又、上記した係止部4と誘導部5の位置関係は、自由状態にある他方のグリップ2Bの側縁を基準とすると、係止部4の先端は当該基準となる側縁よりも外側に離れ、誘導部5の周縁は基準となる側縁の同一線上若しくは内側に突出するように設定するものとする。
【0011】
従って、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して周方向に接近させると、他方のグリップ2Bは、上記係止部4のテーパー形状部7に摺接しながら移動するので、この時点で、一対のグリップ2A・2Bを巾方向に相対的に若干ずらすと、他方のグリップ2Bの側縁が係止部4に係止して、これにより、締付リング1が拡径状態に保持されることとなるが、斯かる状態において、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、他方のグリップ2Bは、係止部4から外れて、今度は、テーパー状の誘導部5によって横にずれながらガイド溝3の開口3a方向へ誘導されるので、後は、逆に、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、他方のグリップ2Bは係止部4に接触することなく、ガイド溝3内を徐々に移動するので、これにより、締付リング1はゆっくりと縮径することが可能となる。
【0012】
依って、斯かる構成のホースクランプを用いて、ホース(図示せず)を接続パイプ(図示せず)の端部に締付固定する場合には、まず、一対のグリップ2A・2Bをプライヤー(図示せず)で把持して互いに周方向に接近させると、図3に示す如く、他方のグリップ2Bの側縁がテーパー形状部7の案内を得て凸状の係止部4に係止して、締付リング1が拡径状態に保持される。
【0013】
そこで、後は、拡径状態にある締付リング1内にホースを挿入して、ホースを接続パイプの端部に嵌め込んで、接近状態にある一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、図4に示す如く、他方のグリップ2Bは、係止部4から自動的に外れて、誘導部5に案内されて横にずれながらガイド溝3の開口3a方向へ誘導されるので、今度は、逆に、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、図5に示す如く、他方のグリップ2Bが係止部4に接触することなく、ガイド溝3内を徐々に移動して、締付リング1をゆっくりと縮径することが可能となる。従って、これにより、従来のように、締付リング1の急激な縮径で、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする心配が全くなくなる訳である。
【0014】
尚、締付リング1の拡径状態においては、他方のグリップ2Bは締付リング1の復元力を利用して係止部4に係止することとなるので、一応、横ズレして係止部4から外れる心配はないが、より確実に横ズレを防止する必要がある場合には、例えば、図6に示す如く、他方のグリップ2Bの側縁に係止部4の内縁の凹形状に沿った折曲部8を形成するか、或いは、図7に示す如く、他方のグリップ2Bの巾方向全域に係止部4の内縁の凹形状に沿って深さが変化する窪み部9を形成して、他方のグリップ2Bの折曲部8又は窪み部9と係止部4とをオーバーラップさせるように構成すれば、他方のグリップ2Bの横ズレを一層確実に防止できるので、他方のグリップ2Bが係止部4から外れる心配がなくなる。
【0015】
又、第一実施例にあっては、連続する係止部4と誘導部5とに板厚分以上の段差6を積極的に付与した関係で、締付リング1を拡径する場合でも、縮径する場合でも、一対のグリップ2A・2Bの基部同士が干渉することがなくなるので、締付リング1のスムーズな拡径又は縮径が保障できる。尚、この係止部4と誘導部5との位置関係は、自由状態にある他方のグリップ2Bの側縁を基準とすると、係止部4は当該基準となる側縁よりも図中右側に位置し、誘導部5は基準となる側縁の同一線上若しくは図中左側に位置するので、この点からも、締付リング1のスムーズな拡径又は縮径が保障できる。
【0016】
(実施例2)
次に、第二実施例に係るホースクランプを説明すると、該第二実施例のものも、基本的には、第一実施例を踏襲するものであるが、異なるところは、図8に示す如く、ガイド溝3の一方のグリップ2A寄りの溝縁に、その先端が開口3aから逆方向に突出する係止部4を延設する一方、他方のグリップ2B寄りの締付リング1部分に、上記係止部4の先端に係脱可能に係止する係合部10を設けると共に、上記係止部4の外縁に他方のグリップ2Bをガイド溝3の開口3a方向へ誘導するテーパー状の誘導部5を設ける構成となしたものである。
【0017】
この為、第二実施例の下では、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して周方向に接近させて、この時点で、一対のグリップ2A・2Bを巾方向に相対的に若干ずらすと、図9に示す如く、係合部10が係止部4の先端に係止するので、これにより、締付リング1が拡径状態に保持されることとなる。
【0018】
そして、斯かる状態において、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、図10に示す如く、他方のグリップ2Bは、上記係止部4の外縁に設けられている誘導部5に摺接して横にずれながら移動するので、これにより、図11に示す如く、係合部10が係止部4から外れる。そこで、一対のグリップ2A・2Bを完全に接近させた後、今度は、逆に、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、図12に示す如く、係合部10が係止部4に接触することなく、他方のグリップ2Bがガイド溝3内を徐々に移動して、締付リング1をゆっくりと縮径することが可能となる。
【0019】
従って、第二実施例にあっても、締付リング1をゆっくりと縮径させることが可能となるので、従来のように、締付リング1の急激な縮径で、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする心配が全くなくなる訳である。又、第二実施例にあっては、係止部4の先端に横ズレ防止片11を突出させているので、係合部10が係止部4に対して横ズレして外れる心配も全くない。
【0020】
尚、第二実施例にあっては、他方のグリップ2B寄りの係合部10を単に切り起こして立ち上げたものであるが、図13のAに示す如く、立ち上げた後、その先端部を更に横方向に折曲するように構成することも可能であるし、係止部4に段差6を付与する場合も、係止部4が設けられているガイド溝3の側壁を単に一般面よりも一段高くしたものであるが、図13のBに示す如く、当該側壁を一般面と同一高さに維持して、溝縁と連続する部分に段差6を付与することも可能である。特に、この場合には、締付リング1のホースの外周面に対する締付面積を大きくとれるので、より確実な締付固定状態が得られることとなる。
以上の如く、本発明に係るホースクランプは、締付リングをゆっくりと縮径することが可能となるので、ゴムホース等を接続パイプの端部に締付固定するホースクランプとして、頗る好都合なものとなる。
【符号の説明】
【0021】
1 締付リング、 2A 一方のグリップ、 2B 他方のグリップ、 3 ガイド溝、 3a ガイド溝の開口、 4 係止部、 5 誘導部、 6 段差、 7 テーパー形状部、 8 折曲部、 9 窪み部、 10 係合部、 11 横ズレ防止片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムホース等を接続パイプの端部に締付固定するホースクランプの内、特に、ホルダーを用いることなく、その拡径状態が保持できるホルダーレスタイプのホースクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種ホースクランプは、具体的には図示しないが、金属帯板でC字状に曲成された締付リングと、該締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップに対しては、締付リング側に開設されたガイド溝の開口を有するアーチ状の巾広寸法となし、他方のグリップに対しては、上記ガイド溝内を移動できる巾狭寸法となすと共に、一方のグリップの側縁に内方に向かって伸びる係止片を形成し、他方のグリップの側縁に該係止片と係脱可能に係止する係合片を形成する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この為、従来のホースクランプの使用に際しては、一対のグリップをプライヤーで把持して周方向に接近させると、他方のグリップの係合片が一方のグリップの係止片の裏側に回り込んで係止して、締付リングを拡径状態に保持するので、後は、当該締付リング内にホースを挿入して、ホースを接続パイプの端部に嵌め込んで、今度は、一方のグリップと他方のグリップとをプライヤーで把持して巾方向に接近させると、他方のグリップの係合片が一方のグリップの係止片から滑り出て、その間の係止状態が解除されるので、これにより、締付リングが自身の復元力で自動的に縮径して、ホースを接続パイプに対して締付固定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−61855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、従来のホースクランプの下では、今まで使用されていたホルダーを用いずとも、締付リングの拡径状態が得られると共に、係合片の係止片に対する係止状態を解除すれば、締付リングを自動的に縮径できる利点を有するものではあるが、反面、係合片の係止片に対する係止状態を解除すると、締付リングがホース上で急激に縮径することとなるので、その反動により、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする恐れが十分に考えられた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、斯かる従来のホースクランプが抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、C字状に曲成された締付リングと、該締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップは、締付リング側に開設されたガイド溝の開口を有する巾広寸法を呈し、他方のグリップは、ガイド溝内を移動できる巾狭寸法を呈して、締付リングが自由状態で縮径した時には、ホースの締め付けを可能とし、一対のグリップを互いに接近させた時には、締付リングを拡径するホースクランプにおいて、締付リングに形成される係止部と、該係止部が係止する、グリップに形成される係合部と、前記他方のグリップをガイド溝の開口方向へ誘導するテーパー状の誘導部と、を有する。この誘導部は、係止部に続いて締付リングの同じ側の縁に形成される。
【発明の効果】
【0007】
依って、一対のグリップをプライヤーで把持して周方向に接近させて、他方のグリップを係止部に係止すると、締付リングの拡径状態が得られ、この状態において、一対のグリップをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、他方のグリップは、係止部から外れて、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、締付リングをゆっくりと縮径することが可能となる。従って、従来のように、締付リングの急激な縮径で、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする心配がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施例に係るホースクランプを示す斜視図である。
【図2】同正面図である。
【図3】締付リングを拡径した状態を示す平面図である。
【図4】他方のグリップが係止部から外れた状態を示す平面図である。
【図5】締付リングが縮径する状態を示す平面図である。
【図6】(A)は他方のグリップの他例を示す要部斜視図、(B)は係止部に係止した状態を示す平面図である。
【図7】(A)は他方のグリップの別の他例を示す要部斜視図、(B)は係止部に係止した状態を示す平面図である。
【図8】第二実施例に係るホースクランプを示す斜視図である。
【図9】締付リングを拡径した状態を示す平面図である。
【図10】他方のグリップが誘導部に誘導される状態を示す平面図である。
【図11】係合部が係止部から外れた状態を示す平面図である。
【図12】締付リングが縮径する状態を示す平面図である。
【図13】(A)は係合部の他例を示す要部斜視図、(B)は段差の他例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
以下、本発明を図示する各好適な実施例に基づいて詳述すれば、まず、第一実施例に係るホースクランプは、図1・図2に示す如く、金属帯板でC字状に曲成された締付リング1と、該締付リング1の両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップ2A・2Bとから成り、一方のグリップ2Aは、締付リング1側に開設されたガイド溝3の開口3aを有するアーチ状の巾広寸法を呈し、他方のグリップ2Bは、上記ガイド溝3内を移動できる巾狭寸法を呈して、締付リング1が自由状態で縮径した時には、ホースの締め付けを可能とし、一対のグリップ2A・2Bを互いに接近させた時には、締付リング1を拡径する構成を前提としている。
【0010】
そして、第一実施例にあっては、上記ガイド溝3の一方のグリップ2A寄りの溝縁に他方のグリップ2Bの側縁を係脱可能に係止する凸状の係止部4を設けると共に、該係止部4から続くガイド溝3の溝縁に他方のグリップ2Bをガイド溝3の開口3a方向へ誘導するテーパー状の誘導部5を設けて、この連続する係止部4と誘導部5に対しては、図示する如く、締付リング1の一般面よりもその板厚分以上一段高くなる段差6を積極的に付与するものとする。尚、係止部4の外縁にもテーパー形状部7を設けるものとする。又、上記した係止部4と誘導部5の位置関係は、自由状態にある他方のグリップ2Bの側縁を基準とすると、係止部4の先端は当該基準となる側縁よりも外側に離れ、誘導部5の周縁は基準となる側縁の同一線上若しくは内側に突出するように設定するものとする。
【0011】
従って、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して周方向に接近させると、他方のグリップ2Bは、上記係止部4のテーパー形状部7に摺接しながら移動するので、この時点で、一対のグリップ2A・2Bを巾方向に相対的に若干ずらすと、他方のグリップ2Bの側縁が係止部4に係止して、これにより、締付リング1が拡径状態に保持されることとなるが、斯かる状態において、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、他方のグリップ2Bは、係止部4から外れて、今度は、テーパー状の誘導部5によって横にずれながらガイド溝3の開口3a方向へ誘導されるので、後は、逆に、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、他方のグリップ2Bは係止部4に接触することなく、ガイド溝3内を徐々に移動するので、これにより、締付リング1はゆっくりと縮径することが可能となる。
【0012】
依って、斯かる構成のホースクランプを用いて、ホース(図示せず)を接続パイプ(図示せず)の端部に締付固定する場合には、まず、一対のグリップ2A・2Bをプライヤー(図示せず)で把持して互いに周方向に接近させると、図3に示す如く、他方のグリップ2Bの側縁がテーパー形状部7の案内を得て凸状の係止部4に係止して、締付リング1が拡径状態に保持される。
【0013】
そこで、後は、拡径状態にある締付リング1内にホースを挿入して、ホースを接続パイプの端部に嵌め込んで、接近状態にある一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、図4に示す如く、他方のグリップ2Bは、係止部4から自動的に外れて、誘導部5に案内されて横にずれながらガイド溝3の開口3a方向へ誘導されるので、今度は、逆に、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、図5に示す如く、他方のグリップ2Bが係止部4に接触することなく、ガイド溝3内を徐々に移動して、締付リング1をゆっくりと縮径することが可能となる。従って、これにより、従来のように、締付リング1の急激な縮径で、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする心配が全くなくなる訳である。
【0014】
尚、締付リング1の拡径状態においては、他方のグリップ2Bは締付リング1の復元力を利用して係止部4に係止することとなるので、一応、横ズレして係止部4から外れる心配はないが、より確実に横ズレを防止する必要がある場合には、例えば、図6に示す如く、他方のグリップ2Bの側縁に係止部4の内縁の凹形状に沿った折曲部8を形成するか、或いは、図7に示す如く、他方のグリップ2Bの巾方向全域に係止部4の内縁の凹形状に沿って深さが変化する窪み部9を形成して、他方のグリップ2Bの折曲部8又は窪み部9と係止部4とをオーバーラップさせるように構成すれば、他方のグリップ2Bの横ズレを一層確実に防止できるので、他方のグリップ2Bが係止部4から外れる心配がなくなる。
【0015】
又、第一実施例にあっては、連続する係止部4と誘導部5とに板厚分以上の段差6を積極的に付与した関係で、締付リング1を拡径する場合でも、縮径する場合でも、一対のグリップ2A・2Bの基部同士が干渉することがなくなるので、締付リング1のスムーズな拡径又は縮径が保障できる。尚、この係止部4と誘導部5との位置関係は、自由状態にある他方のグリップ2Bの側縁を基準とすると、係止部4は当該基準となる側縁よりも図中右側に位置し、誘導部5は基準となる側縁の同一線上若しくは図中左側に位置するので、この点からも、締付リング1のスムーズな拡径又は縮径が保障できる。
【0016】
(実施例2)
次に、第二実施例に係るホースクランプを説明すると、該第二実施例のものも、基本的には、第一実施例を踏襲するものであるが、異なるところは、図8に示す如く、ガイド溝3の一方のグリップ2A寄りの溝縁に、その先端が開口3aから逆方向に突出する係止部4を延設する一方、他方のグリップ2B寄りの締付リング1部分に、上記係止部4の先端に係脱可能に係止する係合部10を設けると共に、上記係止部4の外縁に他方のグリップ2Bをガイド溝3の開口3a方向へ誘導するテーパー状の誘導部5を設ける構成となしたものである。
【0017】
この為、第二実施例の下では、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して周方向に接近させて、この時点で、一対のグリップ2A・2Bを巾方向に相対的に若干ずらすと、図9に示す如く、係合部10が係止部4の先端に係止するので、これにより、締付リング1が拡径状態に保持されることとなる。
【0018】
そして、斯かる状態において、一対のグリップ2A・2Bをプライヤーで把持して更に周方向に接近させると、図10に示す如く、他方のグリップ2Bは、上記係止部4の外縁に設けられている誘導部5に摺接して横にずれながら移動するので、これにより、図11に示す如く、係合部10が係止部4から外れる。そこで、一対のグリップ2A・2Bを完全に接近させた後、今度は、逆に、プライヤーの把持を徐々に緩めていけば、図12に示す如く、係合部10が係止部4に接触することなく、他方のグリップ2Bがガイド溝3内を徐々に移動して、締付リング1をゆっくりと縮径することが可能となる。
【0019】
従って、第二実施例にあっても、締付リング1をゆっくりと縮径させることが可能となるので、従来のように、締付リング1の急激な縮径で、ホースの締付姿勢が不良となったり、ホースの締付位置が狂ったりする心配が全くなくなる訳である。又、第二実施例にあっては、係止部4の先端に横ズレ防止片11を突出させているので、係合部10が係止部4に対して横ズレして外れる心配も全くない。
【0020】
尚、第二実施例にあっては、他方のグリップ2B寄りの係合部10を単に切り起こして立ち上げたものであるが、図13のAに示す如く、立ち上げた後、その先端部を更に横方向に折曲するように構成することも可能であるし、係止部4に段差6を付与する場合も、係止部4が設けられているガイド溝3の側壁を単に一般面よりも一段高くしたものであるが、図13のBに示す如く、当該側壁を一般面と同一高さに維持して、溝縁と連続する部分に段差6を付与することも可能である。特に、この場合には、締付リング1のホースの外周面に対する締付面積を大きくとれるので、より確実な締付固定状態が得られることとなる。
以上の如く、本発明に係るホースクランプは、締付リングをゆっくりと縮径することが可能となるので、ゴムホース等を接続パイプの端部に締付固定するホースクランプとして、頗る好都合なものとなる。
【符号の説明】
【0021】
1 締付リング、 2A 一方のグリップ、 2B 他方のグリップ、 3 ガイド溝、 3a ガイド溝の開口、 4 係止部、 5 誘導部、 6 段差、 7 テーパー形状部、 8 折曲部、 9 窪み部、 10 係合部、 11 横ズレ防止片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C字状に曲成された締付リングと、該締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップは、締付リング側に開設されたガイド溝の開口を有する巾広寸法を呈し、他方のグリップは、ガイド溝内を移動できる巾狭寸法を呈して、締付リングが自由状態で縮径した時には、ホースの締め付けを可能とし、一対のグリップを互いに接近させた時には、締付リングを拡径するホースクランプにおいて、
締付リングに形成される係止部と、
前記係止部が係止する、グリップに形成される係合部と、
前記他方のグリップをガイド溝の開口方向へ誘導するテーパー状の誘導部と、を有し、
前記誘導部は、前記係止部に続いて締付リングの同じ側の縁に形成されることを特徴とするホースクランプ。
【請求項2】
前記係止部に対して締付リングの一般面より高くなる段差を付与したことを特徴とする請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項1】
C字状に曲成された締付リングと、該締付リングの両端部から交差して半径方向に起立する一対のグリップとから成り、一方のグリップは、締付リング側に開設されたガイド溝の開口を有する巾広寸法を呈し、他方のグリップは、ガイド溝内を移動できる巾狭寸法を呈して、締付リングが自由状態で縮径した時には、ホースの締め付けを可能とし、一対のグリップを互いに接近させた時には、締付リングを拡径するホースクランプにおいて、
締付リングに形成される係止部と、
前記係止部が係止する、グリップに形成される係合部と、
前記他方のグリップをガイド溝の開口方向へ誘導するテーパー状の誘導部と、を有し、
前記誘導部は、前記係止部に続いて締付リングの同じ側の縁に形成されることを特徴とするホースクランプ。
【請求項2】
前記係止部に対して締付リングの一般面より高くなる段差を付与したことを特徴とする請求項1に記載のホースクランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−19541(P2013−19541A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180941(P2012−180941)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2012−81466(P2012−81466)の分割
【原出願日】平成11年12月3日(1999.12.3)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2012−81466(P2012−81466)の分割
【原出願日】平成11年12月3日(1999.12.3)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】
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