説明

ポインタ表示制御装置及びポインタ表示制御プログラム

【課題】静電容量検知式タッチパッドの誤動作の再発防止を自動的に行うことができるポインタ表示制御装置を提供する。
【解決手段】静電容量検知式タッチパッドからの入力データに基づいて表示装置の画面に表示されるポインタの位置を制御するポインタ表示制御装置であって、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したかを例えば前記ポインタの移動速度に基づいて判定する判定部と、前記判定部が前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定した場合に前記静電容量検知式タッチパッドの検出感度を低くする検出感度設定部とを備えるポインタ表示制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量検知式タッチパッドからの入力に基づいて画面に表示されるポインタの位置を制御するポインタ表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量検知式タッチパッドは、例えばノート型パーソナルコンピュータなどに搭載されている。ノート型パーソナルコンピュータでは、CPUがメモリに記憶されているプログラムに従って、静電容量検知式タッチパッドからの入力データに基づいて画面に表示されるポインタの位置を制御するポインタ表示制御装置として機能している。
【特許文献1】特表2005−528841号公報
【非特許文献1】“タッチパッドの設定について”、[online]、[平成18年8月25日検索]、インターネット<URL:http://prius.hitachi.co.jp/support/qanda2/emqanda/150h#touchpad.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば周囲の環境が乾燥していて静電気を帯びやすい状態になっている場合などにタッチパッドが誤動作を起こし、ポインタがあらぬところへジャンプすることがあった。
【0004】
従来、タッチパッドが誤動作した場合にその再発を防止するためには、ユーザ自身がタッチパッドの検出感度の設定を変更する操作を行う必要があった(例えば、非特許文献1を参照)。このため、ユーザがタッチパッドの検出感度の設定を変更する操作を知らない場合はタッチパッドの誤動作の再発防止ができなかった。また、ユーザがタッチパッドの検出感度の設定を変更する操作を知っている場合でもその操作がユーザにとっては煩わしいものであった。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、静電容量検知式タッチパッドの誤動作の再発防止を自動的に行うことができるポインタ表示制御装置及びポインタ表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係るポインタ表示制御装置は、静電容量検知式タッチパッドからの入力データに基づいて表示装置の画面に表示されるポインタの位置を制御するポインタ表示制御装置であって、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したかを判定する判定部と、前記判定部が前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定した場合に前記静電容量検知式タッチパッドの検出感度を低くする検出感度設定部とを備える構成としている。
【0007】
このような構成によると、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定した場合に前記静電容量検知式タッチパッドの検出感度を低くするので、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作の再発防止を自動的に行うことができる。
【0008】
ここで、前記判定部の一例としては、前記ポインタの移動速度を求め、前記ポインタの移動速度が所定値以上であれば、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定する判定部が挙げられる。
【0009】
また、前記判定部の他の例としては、前記静電容量検知式タッチパッドに対する一連のユーザ操作によるポインタの移動距離を求め、前記静電容量検知式タッチパッドに対する一連のユーザ操作によるポインタの移動距離が所定値以上であって、且つ前記静電容量検知式タッチパッドに対する一連のユーザ操作によるポインタの移動先が前記表示装置の画面に表示されるアイコン上でなければ、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定する判定部が挙げられる。
【0010】
また、上記目的を達成するために本発明に係るポインタ表示制御プログラムは、コンピュータを、上記各構成のポインタ表示制御装置として機能させるためのプログラムにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るポインタ表示制御装置及びポインタ表示制御プログラムによると、静電容量検知式タッチパッドの誤動作によってポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定した場合に静電容量検知式タッチパッドの検出感度を低くするので、静電容量検知式タッチパッドの誤動作の再発防止を自動的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0013】
静電容量検知式タッチパッドを備えるノート型パーソナルコンピュータの概略構成を図1に示す。図1に示すノート型パーソナルコンピュータは、静電容量検知式タッチパッド1と、CPU2と、表示装置3と、キー入力部4と、メモリ5とを備えている。静電容量検知式タッチパッド1は、所定の間隔(例えば、0.01秒毎)で静電容量変化のスキャニングを行っている。CPU2は、メモリ5に記憶されたプログラムを実行する装置であって、静電容量検知式タッチパッド1及びキー入力部4からデータを受け取り、そのデータを演算・加工した上でプリンタ等の出力装置(不図示)や表示装置3に出力する。
【0014】
まず、本発明の第一実施形態について説明する。本発明の第一実施形態において、図1に示すノート型パーソナルコンピュータでは、CPU2がメモリ5に記憶されている本発明に係るポインタ表示制御プログラムに従って、図2のフローチャート動作のように静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて表示装置3の画面に表示されるポインタの位置を制御する本発明に係るポインタ表示制御装置として機能している。
【0015】
図1に示すノート型パーソナルコンピュータの電源がオンになり、CPU2が本発明に係るポインタ表示制御プログラムを実行すると図2のフローチャートが開始され、表示装置3の画面のデフォルト位置(例えば画面中央)にポインタが表示される。
【0016】
ステップS10では、CPU2が静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて、ユーザによる静電容量検知式タッチパッド1の操作が有ったかを判定する。CPU2は、静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに検出感度レベルを超えるレベルでの変化が有れば、静電容量検知式タッチパッド1の操作が有ったと判定し(ステップS10のYES)、ステップS20に移行する。
【0017】
ステップS20では、CPU2が、静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて、静電容量検知式タッチパッド1のパッド面に近接(接触を含む)している指の移動方向及び移動距離を検出し、その検出結果に対応して表示装置3の画面に表示されるポインタが移動するように、表示装置3にポインタ表示用のデータを出力する。
【0018】
続くステップS30では、CPU2が、ステップS20におけるポインタの移動速度(=ポインタの移動距離/静電容量検知式タッチパッド1のスキャニング周期)を計算し、その計算結果が所定値以上であるかを判定する。
【0019】
ポインタの移動速度が所定値以上でなければ(ステップS30のNO)、直接ステップS60に移行する。一方、ポインタの移動速度が所定値以上であれば(ステップS30のYES)、ステップS20におけるポインタの移動が誤動作によるジャンプであると判定し(ステップS40)、静電容量検知式タッチパッド1の検出感度を低くして(ステップS50)、静電容量検知式タッチパッド1の誤動作の再発防止を図った後、ステップS60に移行する。
【0020】
ステップS60では、CPU2が、キー入力部4からの入力データに基づいて、電源をオフにする終了操作が有ったかを判定する。終了操作が無ければ(ステップS60のNO)、ステップS10に戻る。一方、終了操作が有れば(ステップS60のYES)、電源をオフにする動作が行われ、フローチャートの動作が終了する。
【0021】
なお、上述した動作では、静電容量検知式タッチパッド1が誤動作する使用環境において、ポインタが一度はジャンプすることを避けることができない。そこで、ステップS10とステップS20の間に、ステップS10でのタッチパッド操作が行われる直前のポインタ表示位置を一時的に記憶しておくステップを設け、ステップS40においてジャンプと判定した場合、ステップS10でのタッチパッド操作が行われる直前のポインタ表示位置にポインタが戻るようにしておくことが望ましい。これにより、静電容量検知式タッチパッド1が一旦誤動作してしまった場合でも、ポインタを誤動作前の表示位置に戻すことができる。
【0022】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。本発明の第二実施形態において、図1に示すノート型パーソナルコンピュータでは、CPU2がメモリ5に記憶されている本発明に係るポインタ表示制御プログラムに従って、図3のフローチャート動作のように静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて表示装置3の画面に表示されるポインタの位置を制御する本発明に係るポインタ表示制御装置として機能している。また、CPU2は、メモリ5に記憶されている本発明に係るポインタ表示制御プログラム以外のプログラムに従って、表示装置3に少なくとも一つのアイコンを表示させている。
【0023】
図1に示すノート型パーソナルコンピュータの電源がオンになり、CPU2が本発明に係るポインタ表示制御プログラムを実行すると図3のフローチャートが開始され、表示装置3の画面のデフォルト位置(例えば画面中央)にポインタが表示される。
【0024】
ステップS110では、CPU2が静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて、ユーザによる静電容量検知式タッチパッド1の操作が有ったかを判定する。CPU2は、静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに検出感度レベルを超えるレベルでの変化が有れば、静電容量検知式タッチパッド1の操作が有ったと判定し(ステップS110のYES)、ステップS110の操作が行われる直前のポインタ表示位置を一時的に記憶し(ステップS120)、その後ステップS130に移行する。
【0025】
ステップS130では、CPU2が、静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて、静電容量検知式タッチパッド1のパッド面に近接(接触を含む)している指の移動方向及び移動距離を検出し、その検出結果に対応して表示装置3の画面に表示されるポインタが移動するように、表示装置3にポインタ表示用のデータを出力する。
【0026】
続くステップS140では、静電容量検知式タッチパッド1の操作が継続されているか、すなわち、前回の静電容量検知式タッチパッド1の操作から所定の期間(例えば0.1秒)が経過する迄に次の静電容量検知式タッチパッド1の操作が有ったかを判定する。
【0027】
静電容量検知式タッチパッド1の操作が継続されていれば(ステップS140のYES)、CPU2が、静電容量検知式タッチパッド1からの入力データに基づいて、静電容量検知式タッチパッド1のパッド面に近接(接触を含む)している指の移動方向及び移動距離を検出し、その検出結果に対応して表示装置3の画面に表示されるポインタが移動するように、表示装置3にポインタ表示用のデータを出力し(ステップS150)、その後ステップS140に戻る。
【0028】
一方、静電容量検知式タッチパッド1の操作が継続されていなければ(ステップS140のNO)、一連の操作完了後のポインタ表示位置を一時的に記憶し(ステップS160)、その後ステップS170に移行する。
【0029】
ステップS170では、CPU2が、ステップS120において一時的に記憶したポインタ表示位置とステップS160において一時的に記憶したポインタ表示位置とが所定距離以上離れているかを判定する。
【0030】
ステップS120において一時的に記憶したポインタ表示位置とステップS160において一時的に記憶したポインタ表示位置とが所定距離以上離れていなければ(ステップS170のNO)、直接ステップS210に移行する。一方、ステップS120において一時的に記憶したポインタ表示位置とステップS160において一時的に記憶したポインタ表示位置とが所定距離以上離れていれば(ステップS170のYES)、CPU2は、ステップS160において一時的に記憶したポインタ表示位置がアイコンの表示位置上にあるかを判定する(ステップS180)。
【0031】
ステップS160において一時的に記憶したポインタ表示位置がアイコンの表示位置上にあれば(ステップS180のYES)、静電容量検知式タッチパッド1の誤動作に伴うポインタのジャンプではなくユーザが意図したポインタの移動であると考えられるため、直接ステップS210に移行する。一方、ステップS160において一時的に記憶したポインタ表示位置がアイコンの表示位置上になければ(ステップS180のNO)、ポインタの移動が誤動作によるジャンプであると判定し(ステップS190)、静電容量検知式タッチパッド1の検出感度を低くして(ステップS200)、静電容量検知式タッチパッド1の誤動作の再発防止を図った後、ステップS210に移行する。
【0032】
ステップS210では、CPU2が、キー入力部4からの入力データに基づいて、電源をオフにする終了操作が有ったかを判定する。終了操作が無ければ(ステップS210のNO)、ステップS110に戻る。一方、終了操作が有れば(ステップS210のYES)、電源をオフにする動作が行われ、フローチャートの動作が終了する。
【0033】
なお、上述した動作では、静電容量検知式タッチパッド1が誤動作する使用環境において、ポインタが一度はジャンプすることを避けることができない。そこで、ステップS190においてジャンプと判定した場合、ステップS120において一時的に記憶した表示位置にポインタが戻るようにしておくことが望ましい。これにより、静電容量検知式タッチパッド1が一旦誤動作してしまった場合でも、ポインタを誤動作前の表示位置に戻すことができる。
【0034】
尚、本実施例ではノート型パーソナルコンピュータで実施したが、PDA(Personal Digital Assistants)や、携帯電話装置等にタッチパッドを備えて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、静電容量検知式タッチパッドを備えるノート型パーソナルコンピュータの概略構成を示す図である。
【図2】は、本発明の第一実施形態でのポインタ表示制御に関するフローチャートである。
【図3】は、本発明の第二実施形態でのポインタ表示制御に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 静電容量検知式タッチパッド
2 CPU
3 表示装置
4 キー入力部
5 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量検知式タッチパッドからの入力データに基づいて表示装置の画面に表示されるポインタの位置を制御するポインタ表示制御装置であって、
前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したかを判定する判定部と、
前記判定部が前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定した場合に前記静電容量検知式タッチパッドの検出感度を低くする検出感度設定部とを備えることを特徴とするポインタ表示制御装置。
【請求項2】
前記判定部が、前記ポインタの移動速度を求め、前記ポインタの移動速度が所定値以上であれば、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定する請求項1に記載のポインタ表示制御装置。
【請求項3】
前記判定部が、前記静電容量検知式タッチパッドに対する一連のユーザ操作によるポインタの移動距離を求め、前記静電容量検知式タッチパッドに対する一連のユーザ操作によるポインタの移動距離が所定値以上であって、且つ前記静電容量検知式タッチパッドに対する一連のユーザ操作によるポインタの移動先が前記表示装置の画面に表示されるアイコン上でなければ、前記静電容量検知式タッチパッドの誤動作によって前記ポインタがユーザの意図しない位置に移動したと判定する請求項1に記載のポインタ表示制御装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1〜3のいずれかに記載のポインタ表示制御装置として機能させるためのポインタ表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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