説明

ポリエステル樹脂成形体

【課題】 耐熱性、光沢性、ヒートシール性などに優れた、蒸着層を有するポリエステル樹脂成形体を提供する。
【解決手段】 ジオール単位中の5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層と蒸着層とを有するポリエステル樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオール単位中に環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂を含む樹脂層と蒸着層とを有するポリエステル樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートのフィルムは強靭性、電気絶縁性、寸法安定性、耐薬品性などを併せ持ち、コスト・パフォーマンスにも優れることから、広範な用途に用いられている。
【0003】
一方、蒸着は、樹脂にガスバリア性、遮光性、遮熱性、金属光沢、導電性等を付与することができ、上記ポリエチレンテレフタレートと組み合わせることで、金銀糸、スタンピングホイル、蒸着コンデンサー、蒸着包材、熱線遮断フィルム、透明電極フィルム、磁気テープなど種々の用途に用いられている。
【0004】
しかし、ポリエチレンテレフタレートのフィルムは、一般的に延伸後、熱固定して結晶化させて製造している。結晶化に伴い光散乱の増加や軟化温度の上昇が起こるため、ポリエチレンテレフタレートの蒸着フィルムも光沢性やヒートシール性等に劣り、十分な装飾効果が得られない、あるいはヒートシール性を有する樹脂を積層する必要があるといった問題点を抱えているのが実情である。
【0005】
ポリエチレンテレフタレートの結晶性を低下させる方法としては、イソフタル酸や1,4-シクロヘキサンジメタノールなどを共重合することが考えられるが、これらの共重合ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が低くフィルムとして実用上耐えうる耐熱性を有していない(非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】湯木和男編、飽和ポリエステル樹脂ハンドブック、p.564〜565、日刊工業新聞社、1989年12月22日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の如き状況に鑑み、耐熱性、光沢性、ヒートシール性などに優れた、蒸着層を有するポリエステル樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ジオール単位中に特定の割合の環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂を含む樹脂層と蒸着層とを有するポリエステル樹脂成形体が耐熱性、光沢性、ヒートシール性などに優れた、蒸着層を有するポリエステル樹脂成形体であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ジオール単位中の5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層と蒸着層とを有するポリエステル樹脂成形体に関するものである。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂のジカルボン酸単位またはジオール単位とは、エステル結合による繰り返し単位を指し、該ポリエステル樹脂のエステル結合を加水分解した際に生成するジカルボン酸またはジオールの名称を挙げ、それらに由来するジカルボン酸単位またはジオール単位と表記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリエステル樹脂成形品は、耐熱性、光沢性、ヒートシール性に優れ、フィルム、シートなどの形態で、種々の用途で好適に用いることができ、本発明の工業的意義は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂成形体は樹脂層と蒸着層とを有し、且つ樹脂層中に環状アセタール骨格を有するポリエステル樹脂を含む。
【0010】
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)のジオール単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位は一般式(1):
【化3】

または一般式(2):
【化4】

で表される化合物に由来するジオール単位が好ましい。一般式(1)と(2)において、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基を表す。Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体、例えば、イソプロピル基、イソブチル基を表す。一般式(1)または(2)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
【0011】
また、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位としては、特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニルプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アリールアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等に由来するジオール単位が例示できる。ポリエステル樹脂(A)の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等に由来するジオール単位が好ましく、エチレングリコールに由来するジオール単位が特に好ましい。
【0012】
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)のジカルボン酸単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン等の脂肪族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位が例示できる。ポリエステル樹脂(A)の機械強度、耐熱性、及びジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位が特に好ましい。
【0013】
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)には、溶融粘弾性や分子量などを調整するために、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなどのモノアルコール単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、1,3,5−ペンタントリオール、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸単位、トリメリット酸、ピロメリット酸など多価カルボン酸単位、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸単位を含んでもよい。
【0014】
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)で特に成形性、耐熱性、機械的性能、耐加水分解性などを考慮すると環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位がエチレングリコール単位であり、ジカルボン酸単位がテレフタル酸単位、イソフタル酸単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸単位から選ばれる1種類以上のジカルボン酸単位であることが好ましい。
【0015】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は5〜80モル%であることが好ましく、より好ましくは5〜70モル%であり、特に好ましくは10〜50モル%である。環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が上記範囲にある場合、ポリエステル樹脂(A)は結晶性が低く透明性に優れ、またガラス転移温度が高くなり、本発明のポリエステル樹脂成形体の耐熱性、光沢性が優れる。
【0016】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)の耐熱性は用途に応じて適宜選択することができるが、ガラス転移温度は85〜150℃であることが好ましく、より好ましくは90〜140℃、特に好ましくは95〜130℃である。ガラス転移温度が上記範囲内にある場合、本発明のポリエステル樹脂成形体は優れた耐熱性を示す。ガラス転移温度は構成単位の種類及び割合により変化するが、主に環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン単位であり、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール構成単位がエチレングリコール単位であり、ジカルボン酸構成単位がテレフタル酸単位及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸単位である場合、上記範囲のガラス転移温度が達成される。
【0017】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)の極限粘度は成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。一般的に熱流動性が求められる射出成形で成形する場合には極限粘度が小さいポリエステル樹脂が適する場合が多く、押出成形で成形する場合や機械物性、耐薬品性等が重視される用途では極限粘度が高いポリエステル樹脂が適する場合が多い。本発明におけるポリエステル樹脂(A)ではフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値で0.5〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2dl/gであり、更に好ましくは0.6〜1.0dl/gである。極限粘度がこの範囲にある場合、本発明のポリエステル樹脂(A)は成形性及び機械的性能のバランスに優れる。
【0018】
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)の溶融粘度も成形方法や用途に応じて適宜選択することができる。極限粘度と同様に、一般的に熱流動性が求められる射出成形で成形する場合には溶融粘度が小さいポリエステル樹脂が適する場合が多く、押出成形で成形する場合や機械物性、耐薬品性等が重視される用途では溶融粘度が大きいポリエステル樹脂が適する場合が多い。溶融粘度の値としては温度240℃、せん断速度100sec−1において500〜7000Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは700〜5000Pa・sである。溶融粘度がこの範囲にある場合、本発明におけるポリエステル樹脂(A)は成形性及び機械的性能のバランスに優れる。溶融粘度はポリエステル樹脂(A)の極限粘度にも依存するが、構成単位にも大きく依存する。具体的には、環状アセタール骨格を有するジオール単位が多いほど溶融粘度は高くなる。
【0019】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)を製造する方法は特に制限はなく、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等も従来既知のものを用いることができ、これらは反応速度やポリエステル樹脂の色調、安全性、熱安定性、耐候性、自身の溶出性などに応じて適宜選択される。
【0020】
樹脂層に用いる樹脂は、ポリエステル樹脂(A)のみでも良いが、ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂を含む樹脂組成物でも良い。ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂としては、要求性能により適宜選択されれば良いが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル樹脂(A)を除くポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、無水マレイン酸グラフトエチレン−プロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン系ゴム、アクリルゴム、環状オレフィン重合体などのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体などのビニル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6などのポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキシドなどが挙げられる。特にポリエステル樹脂(A)を除くポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂を用いる場合、樹脂組成物が透明になり好ましい。上記のポリエステル樹脂(A)以外の樹脂は2種類以上を同時に用いても良い。
【0021】
樹脂層にポリエステル樹脂(A)を含む樹脂組成物を用いる場合、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(A)以外の樹脂の総量に対しするポリエステル樹脂(A)の割合は5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、特に好ましくは20重量%以上である。ポリエステル樹脂(A)の割合が上記範囲にある場合、樹脂組成物はポリエステル樹脂(A)に基づく耐熱性や透明性、低結晶性などを示すようになり好ましい。
【0022】
樹脂層に含まれるポリエステル樹脂(A)以外の樹脂を含む樹脂組成物の耐熱性は用途に応じて適宜選択することができるが、ガラス転移温度が85〜180℃であることが好ましく、より好ましくは90〜170℃、特に好ましくは95〜160℃である。ガラス転移温度が上記範囲内にある場合、本発明のポリエステル樹脂成形体は優れた耐熱性を示す。上記範囲のガラス転移温度は、ガラス転移温度が85〜150℃のポリエステル樹脂(A)を用いる、また、ガラス転移温度の高いポリアリレートやポリスルホン、ポリカーボネートを併用することで達成される。
【0023】
更に樹脂層には上記のポリエステル樹脂(A)またはポリエステル樹脂(A)以外の樹脂を含む樹脂組成物と共に有機フィラー及び/又は無機フィラーを配合しても良い。フィラーは用途により適宜選択できるが、例えば、有機フィラーとしては、木粉、竹粉、やし殻粉、コルク粉、パルプ粉などの粉末状フィラー、架橋ポリエステル、ポリスチレン、スチレン・アクリル、尿素樹脂などのバルン状・球状フィラー、カーボン繊維、合成繊維、天然繊維などの繊維状フィラーなどが挙げられる。また、無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、カオリンクレー、マイカ、ネフエリンシナイト、合成ケイ酸、石英粉、珪石粉、ケイソー土、硫酸バリウム、軽石粉などの粉末状フィラー、シラスバルン、ガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状フィラー、ガラス繊維、セピオライト、鉱物繊維、ウイスカーなどの繊維状フィラーなどが挙げられる。有機フィラー及び/又は無機フィラーの配合量は、用途により適宜選択できるが、樹脂層の0.01〜20重量%であることが好ましい。
【0024】
本発明のポリエステル樹脂成形体の蒸着層に用いる物質には、従来公知のものを使用することができ、用途や要求性能により適宜選択されれば良いが、例えば、炭素、金属、金属酸化物などが挙げられるが、蒸着の容易さから好ましくは、アルミニウム、亜鉛、錫、銅、ニッケル、クロム、銀、金、鉄、ビスマス、チタン、インジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、マンガン、タンタル、コバルト、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化珪素、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化亜鉛が用いられ、各種の性能、経済性などの面から、アルミニウム、亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素が特に好ましく用いられる。
【0025】
蒸着層の厚みは要求性能に応じて適宜選択すれば良いが5〜200nmであることが好ましい。上記範囲にある場合、ガスバリア性や金属光沢、印刷性など諸性能が十分に発揮される。
【0026】
本発明のポリエステル樹脂成形体を製造するための、樹脂層に蒸着層を形成する方法は特に制限は無く、従来公知の方法を適用することができる。具体的には、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法などの方法を挙げることができる。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂成形体は、用途に応じて種々の形態を取りうる。具体的には、蒸着層を有する、フィルム、シート、中空容器、繊維、発泡体等が挙げられ、更に、蒸着層を有するフィルムから成形されるレトルトパウチ、スタンディングパウチ、スパウトパウチなどのパウチ、蒸着層を有するシートから成形されるカップ、トレーなどのシート成形体も包含する。フィルム、シートなどの樹脂層に蒸着層を形成するのは容易であり、本発明のポリエステル樹脂成形体として、ポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層と蒸着層を有する蒸着フィルム又は蒸着シートが好ましい。
【0028】
本発明のポリエステル樹脂成形体の形態が蒸着フィルム又は蒸着シートの場合、樹脂層として用いるフィルム又はシートの厚みは2〜800μmであることが好ましく、より好ましくは5〜600μm、特に好ましくは7〜500μmである。また、JIS K 7105で測定されるヘイズは2%以下であることが好ましく、より好ましくは、1%以下である。上記の範囲にあるフィルム又はシートを使用すると、本発明のポリエステル樹脂成形体は機械的強度、光沢などに優れたものとなる。更に、樹脂層として用いるフィルム又はシートは未延伸のものでも延伸処理を施したものでも良い。延伸処理を施した場合は機械的強度やガスバリア性、耐ピンホール性が向上し、これらの性能が要求される用途に好適に用いることができる。
【0029】
上記のようなフィルム又はシートを用いた場合、本発明のポリエステル樹脂成形体の光沢度は高くなる。蒸着層が金属からなる場合、JIS K 7105で測定される光沢度(60度)は、好ましくは樹脂層側で850%以上、蒸着層側で750%以上である。光沢度が上記範囲にある場合、外観が良く、高い商品価値を有する。
【0030】
ガラス転移温度の高い樹脂を含む樹脂層を用いることで、本発明のポリエステル樹脂成形体の耐熱性は高くなる。85℃の熱水に10秒間浸漬した場合の熱収縮率は、未延伸の成形体では好ましくは1.5%以下であり、より好ましくは1%以下である。また延伸された成形体では、好ましくは5%以下であり、より好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
【0031】
本発明のポリエステル樹脂成形体は、蒸着されたポリエチレンテレフタレートの成形体に匹敵するガスバリア性を有する。本発明のポリエステル樹脂成形体の酸素透過度は温度23℃、湿度60%でJIS K7126に準じて測定した場合に2cc/m・日以下であることが好ましく、より好ましくは1cc/m・日以下である。また水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%でJIS K7129に準じて測定した場合に2g/m・日以下であることが好ましく、より好ましくは1g/m・日以下である。
【0032】
本発明のポリエステル樹脂成形体のヒートシール性は、180℃でヒートシールした場合に、剥離強度が0.5kgf/15mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.7kgf/15mm以上である。結晶性の高いポリエチレンテレフタレートではこのように高い剥離強度は達成できない。
【0033】
本発明のポリエステル樹脂成形体は、それぞれ2以上の樹脂層と蒸着層を有しても良い。例えば、樹脂層の両面に蒸着層を設けた成形体でも良いし、逆に蒸着層の両面に樹脂層を設けた成形体でも良い。また、本発明のポリエステル樹脂成形体は樹脂層、蒸着層以外の層を有しても良く、例えば、樹脂層と蒸着層の接着性を上げるためのアンカー層、蒸着層を保護するための樹脂層・コーティング層、印刷層、他の素材に貼付ための接着・粘着剤層、接着剤・粘着剤を保護するための離型フィルム層、滑り性をよくするための樹脂層などが挙げられる。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂成形体は、種々の用途に用いることができる。例えば、ホットスタンピングホイル、全面転写布、ラベル、ネーマー、粘着テープ、装飾材、金銀糸、飾り、造花、グリッター、包装材料、ソーラーコントロール、断熱材、保温シート、農業用反射シート、再帰反射フィルム、鏡、スクリーン、コンデンサー、放電記録紙、振動板、電波シールド、帯電防止、静電シールド、面発熱体、フレキシブルサーキット、薄膜スイッチ、磁気記録材、透明導電フィルム、透明断熱フィルム、感光フィルム、通電転写リボン、反射防止フィルム、ホログラフィフィルム、レインボーフィルム等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0036】
ポリエステル樹脂、未延伸シート、延伸フィルムの評価方法は以下の通りである。
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合
ポリエステル樹脂(A)中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合はH−NMR測定にて算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
【0037】
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
【0038】
(3)極限粘度
極限粘度は試料0.5gをフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)120gに加熱溶解し、濾過後、25℃まで冷却して調製した。装置は(株)柴山科学機械製作所製、毛細管粘度計自動測定装置SS−300−L1を用い、温度25℃で測定を行った。
【0039】
(4)溶融粘度
極限粘度は、(株)東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ 1Cを用いて測定した。キャピラリの径は1mm、長さは10mmであり、測定条件は測定温度240℃、予熱時間3分、せん断速度100sec−1である。
【0040】
(5)ヘイズ
JIS K7105に準じて測定した。測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
【0041】
(6)光沢度
JIS K7105に準じて測定した。測定装置は、日本電色工業社製の光沢度計(型式:VG−2000)である。入射角、受光角はそれぞれ60度で測定した。
【0042】
(7)熱収縮率
100mm×100mmに切り出したフィルム又はシートの中心部分に押出方向と平行に20mmの印を付け、85℃の熱水に10秒間浸漬した。熱収縮率は、印部分の浸漬後の長さから以下の式により算出した。
熱収縮率(%)=((20−浸漬後の長さ(mm))/20)×100
【0043】
(8)酸素透過度
JIS K7126に準じて測定した。測定装置は、モダンコントロールズ社製(型式:OX−TRAN10/50A)を使用した。測定条件は、温度23℃、湿度60%である。
【0044】
(9)水蒸気透過度
JIS K7129に準じて測定した。測定条件は温度40℃、湿度90%である。
【0045】
(10)ヒートシール性
ヒートシール性は、15mm幅の短冊状の試験片をシール幅10mmで180℃、2.5kgf/cmJで2秒間ヒートシールしたものを剥離強度で評価した。剥離強度は(株)東洋精機製作所製ストログラフ V1−Cを用いて測定した。測定条件はチャック間距離50mm、ロード10kgf、T型剥離、剥離速度300mm/分である。
【0046】
原料樹脂
実施例、比較例で使用した樹脂を以下に記す。
(1)ポリエチレンテレフタレート:日本ユニペット(株)製、RT−553(表中表記:PET)
(2)ポリアリレート樹脂:ユニチカ(株)製、U−ポリマー U−100(表中表記:PAR)
(3)ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、ユーピロン E−2000(表中表記:PC)
(4)ポリアミド樹脂:三菱ガス化学(株)製、MXナイロン6011(表中表記:PA)
(5)1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート:イーストマンケミカル(株)製、イースターPETG 6763(表中表記:PETG)
【0047】
<製造例1〜4>
〔ポリエステル樹脂(A)の製造〕
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置、窒素導入管を備えた150リットルのポリエステル製造装置に表1に記載の原料モノマーを仕込み、ジカルボン酸成分に対し酢酸マンガン四水和物0.03モル%の存在下、窒素雰囲気下で215℃迄昇温してエステル交換反応を行った。ジカルボン酸成分の反応転化率を90%以上とした後、ジカルボン酸成分に対して、酸化アンチモン(III)0.02モル%とリン酸トリメチル0.06モル%を加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。評価試験結果を表1に示す。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
DMT:ジメチルテレフタレート
EG:エチレングリコール
SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
DOG:5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン
【0048】
表1
製造例番号 製造例1 製造例2 製造例3 製造例4
モノマー仕込量(モル)
ジカルボン酸成分(モル)
DMT 201.8 174.6 290.6 208.0
ジオール成分(モル)
SPG 62.6 80.3 17.6 0.0
EG 341.1 356.2 508.5 330.7
DOG 0.0 0.0 0.0 43.7
ポリエステル樹脂の評価結果
環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合(モル%)
31 46 6 19
ガラス転移温度(℃) 104 113 87 89
極限粘度(dl/g) 0.70 0.66 0.65 0.73
溶融粘度(Pa・s) 2150 2950 1590 2100
【0049】
<製造例5〜13>
〔シートの製造〕
表1に記載のポリエステル樹脂(A)(製造例5〜7)あるいはポリエステル樹脂(A)を含む樹脂組成物(製造例8〜11)、ポリエステル樹脂(A)以外ポリエステル樹脂(製造例12、13)を、Tダイを備えたプラスチック工学研究所製二軸押出機PTM−30を用い、厚さ200μmの未延伸シートを得た。評価試験結果を表2〜4に示す。
【0050】
表2
製造例番号 製造例5 製造例6 製造例7 製造例8
樹脂
ポリエステル樹脂(A)(重量部)
製造例1 100 0 0 67
製造例2 0 100 0 0
製造例4 0 0 100 0
ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂(重量部)
PET 0 0 0 33
シートの評価結果
ガラス転移温度(℃) 93
ヘイズ(%) 0.5 0.5 0.7 0.6
【0051】
表3
製造例番号 製造例9 製造例10 製造例11 製造例12
樹脂
ポリエステル樹脂(A)(重量部)
製造例1 50 0 0 0
製造例2 0 60 0 0
製造例3 0 0 80 0
ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂(重量部)
PET 0 0 0 100
PAR 50 0 0 0
PC 0 40 0 0
PA 0 0 20 0
シートの評価結果
ガラス転移温度(℃) 148 127 91 82
ヘイズ(%) 0.5 0.4 1.8 0.7
【0052】
表4
製造例番号 製造例13
樹脂
ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂(重量部)
PETG 100
シートの評価結果
ガラス転移温度(℃) 83
ヘイズ(%) 0.6
【0053】
<製造例14〜18>
〔延伸フィルムの製造〕
製造例5、8、11〜13で製造した未延伸シートを(株)東洋精機製作所製二軸延伸装置を用いて同時二軸延伸を行った。延伸倍率は未延伸フィルムの押出方向(MD)と幅方向(TD)夫々3.8倍とし、厚さ15μmの延伸フィルムを製造した。なお、製造例15〜17では180℃で熱固定を行った。延伸フィルムの評価結果を表5、6に示す。
【0054】
表5
製造例番号 製造例14 製造例15 製造例16 製造例17
使用したシート 製造例5 製造例8 製造例11 製造例12
フィルムの評価結果
ヘイズ(%) 0.5 0.9 0.9 3.2
【0055】
表6
製造例番号 製造例18
使用したシート 製造例13
フィルムの評価結果
ヘイズ(%) 0.5
【0056】
<実施例1〜12>、<比較例1〜4>
〔ポリエステル樹脂成形体(蒸着フィルム、蒸着シート)の製造〕
製造例5〜7、9、10、12〜18で製造した未延伸シート及び延伸フィルムに表2に示した金属あるいは金属酸化物を蒸着し、蒸着シート及び蒸着フィルムを製造した。評価結果を表7〜10に示す。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
Al:アルミニウム
Al:酸化アルミニウム
ITO:酸化インジウム錫
SiO:酸化ケイ素
【0057】
表7
実施例番号 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
シート又はフィルム 製造例5 製造例6 製造例7 製造例9
蒸着層 Al Al Al ITO
ポリエステル樹脂成形体の評価結果
光沢度(%)
樹脂層側 970 860 160 130
蒸着層側 900 890 100 100
熱収縮率(%) 0.1 0.0 0.7 0.0
酸素透過度(cc/m・日)0.8 0.9 0.7 0.6
水蒸気透過度(g/m・日)0.7 0.8 0.5 0.4
ヒートシール性(kgf/15mm)
1.2 1.0 1.3 0.7
【0058】
表8
実施例番号 実施例5 実施例6 実施例7 実施例8
シート又はフィルム 製造例10 製造例14 製造例15 製造例16
蒸着層 Al Al Al SiO
ポリエステル樹脂成形体の評価結果
光沢度(%)
樹脂層側 850 910 855 145
蒸着層側 770 850 790 110
熱収縮率(%) 0.1 5.0 0.0 0.0
酸素透過度(cc/m・日)0.8 0.9 0.6 0.6
水蒸気透過度(g/m・日)0.8 0.7 0.6 0.4
ヒートシール性(kgf/15mm)
0.8 1.4 0.7 0.9
【0059】
表9
比較例番号 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
シート又はフィルム 製造例12 製造例13 製造例17 製造例18
蒸着層 Al Al Al Al
ポリエステル樹脂成形体の評価結果
光沢度(%)
樹脂層側 830 910 810 850
蒸着層側 720 850 670 770
熱収縮率(%) 1.9 12.0 1.5 44.7
酸素透過度(cc/m・日)0.7 0.8 0.6 0.9
水蒸気透過度(g/m・日)0.4 0.8 0.4 0.9
ヒートシール性(kgf/15mm)
0.3 2.1 0.1未満 1.8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール単位中の5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層と蒸着層とを有するポリエステル樹脂成形体。
【請求項2】
環状アセタール骨格を有するジオール単位が一般式(1):
【化1】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
または一般式(2):
【化2】

(式中、Rは前記と同様であり、Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
で表されるジオールに由来するジオール単位である請求項1記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項3】
環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である請求項2記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項4】
ポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層が、さらにポリエステル樹脂(A)を除くポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含む樹脂組成物を含み、樹脂層中の樹脂組成物の総量に対するポリエステル樹脂(A)の割合が5重量%以上である請求項1記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項5】
樹脂層が、ポリエチレンテレフタレートを含む請求項4記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項6】
樹脂層に含まれるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が85〜150℃である請求項1記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項7】
樹脂層に含まれる樹脂組成物のガラス転移温度が85〜180℃である請求項4記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項8】
樹脂層が、有機フィラー及び/又は無機フィラーを、ポリエステル樹脂(A)と有機フィラー及び/又は無機フィラーの総量に対し0.01〜20重量%の割合で含む請求項1記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項9】
樹脂層が、有機フィラー及び/又は無機フィラーを、樹脂組成物と有機フィラー及び/又は無機フィラーの総量に対し0.01〜20重量%の割合で含む請求項4記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項10】
蒸着層に用いる物質が、アルミニウム、亜鉛、錫、銅、ニッケル、クロム、銀、金、鉄、ビスマス、チタン、インジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、マンガン、タンタル、コバルト、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化珪素、酸化アンチモン、酸化ビスマス、および酸化亜鉛からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載のポリエステル成形体。
【請求項11】
蒸着層を、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法から選ばれる方法で形成する請求項1記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項12】
ポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層と蒸着層を有する蒸着フィルム又は蒸着シートである請求項1記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項13】
厚み2〜800μmであり、JIS K 7105で測定されるヘイズが2%以下であるフィルム又はシートに蒸着した蒸着フィルム又は蒸着シートである請求項12記載のポリエステル樹脂成形体。
【請求項14】
蒸着層が金属からなり、JIS K7105で測定される光沢度(60度)が樹脂層側で700%以上、蒸着層側で800%以上である蒸着フィルム又は蒸着シートである請求項12記載のポリエステル樹脂成形体。

【公開番号】特開2006−8805(P2006−8805A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186563(P2004−186563)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】