説明

ポリピリドビスイミダゾールパルプおよびその製造方法

本発明は、ポリピリドビスイミダゾール繊維を含んでなる繊維パルプであって、約650ml以下のカナダ標準ろ水度(CSF)、グラム当たり0.5〜50平方メートルの比表面積、0.5〜2.0mmの長さ加重平均長さ、および10重量パーセントより大きい平衡含水率を有するパルプに関する。かかるパルプから製造される紙およびパルプの製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本件出願は、その開示が参照により本明細書に援用される、2005年12月21日出願の米国仮特許出願第60/752,928号明細書の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、粘着性のポリピリドビスイミダゾールパルプおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高性能材料から製造された紙が、改善された強度および/または熱安定性を紙に与えるために開発されてきた。例えば、アラミド紙は、芳香族ポリアミドよりなる合成紙である。その耐熱性および耐燃性、電気絶縁性、強靱性および可撓性のために、該紙は、電気絶縁材料および航空機ハニカム用ベースとして使用されてきた。これらの材料のうち、デュポン(DuPont)(米国)のノメックス(Nomex)(登録商標)繊維を含んでなる紙は、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フロックとフィブリドとを水中で混合し、次に混合したスラリーを形成ウェブの後続熱カレンダー加工付き製紙法にかけることによって製造される。この紙は、高温でさえ高いままである、強度および強靱性と共に優れた電気絶縁性を有することが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善された特性の高性能紙に対する継続的なニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
幾つかの態様では、本発明は、ポリピリドビスイミダゾール繊維を含んでなる繊維パルプであって、約700ml以下のカナダ標準ろ水度(CSF)、グラム当たり0.5〜50平方メートルの比表面積、0.5〜2.0mmの長さ加重平均(length−weighted average)長さ、および10重量パーセントより大きい平衡含水率を有するパルプに関する。
【0006】
幾つかの実施形態では、本パルプは15重量パーセントより大きい平衡含水率を有する。ある種の実施形態では、本パルプは20重量パーセントより大きい平衡含水率を有する。
【0007】
幾つかのパルプは150〜350mlのCSFを有する。ある種のパルプはグラム当たり5〜8平方メートルの比表面積を有する。幾つかのパルプは0.5〜1.2mmの長さ加重平均長さを有する。
【0008】
ある種の実施形態では、本パルプは15mm以下の最大寸法を有する。これらの実施形態の幾つかでは、本パルプは7mm以下の最大寸法を有する。
【0009】
幾つかの実施形態では、パルプブレンドは、アラミド、ポリベンザゾール、ポリイミド、ポリアミド−イミド、アクリル、セルロース、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、鞘−芯、もしくは複合繊維、またはそれらの混合物によって本明細書に記載されるパルプのために形成される。
【0010】
幾つかの実施形態では、ポリピリドビスイミダゾールパルプはブレンド中のパルプの総量の50重量パーセント未満を構成する。
【0011】
本発明はまた、本明細書に記載されるパルプを含んでなる紙にも関する。
【0012】
(a)(1)パルプ原料中の全固形分の10〜90重量%であり、10cm以下の平均長さを有するポリピリドビスイミダゾール繊維と、
(2)全パルプ原料の95〜99重量%である水と
を含んでなるパルプ原料を組み合わせ、
(b)パルプ原料を実質的に一様なスラリーへ混合し、
(c)スラリーを精製してポリピリドビスイミダゾール繊維をカットし、不規則形状のフィブリル化繊維状構造へフィブリル化し、そして
(d)精製スラリーから水の一部を除去してパルプを生成すること
を含んでなるポリピリドビスイミダゾールパルプの製造方法もまた提供される。
【0013】
幾つかの実施形態では、パルプ原料は、原料中の全固形分の90〜10重量%である非顆粒の繊維状またはフィルム様ポリマーフィブリドをさらに含んでなり、ポリマーフィブリドは、0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2ミクロン以下の厚さを有する。
【0014】
ある種の実施形態、組み合わせ工程では、ポリピリドビスイミダゾール繊維は、原料中の全固形分の25〜60重量%である。
【0015】
幾つかの実施形態では、除去工程の後に、水は全パルプの4〜60重量%であり、パルプは100〜700mlのカナダ標準ろ水度(CSF)を有する。
【0016】
幾つかの実施形態では、精製工程は、混合スラリーを一連のディスクリファイナーおよびスクリーンに通すことを含んでなる。ある種の実施形態では、ポリピリドビスイミダゾールパルプは1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
幾つかの実施形態では、本発明は、ポリピリドビスイミダゾール繊維を含んでなる繊維パルプであって、約700ml以下のカナダ標準ろ水度(CSF)、グラム当たり0.5〜50平方メートルの比表面積、0.5〜2.0mmの長さ加重平均長さ、および10重量パーセントより大きい平衡含水率を有するパルプに関する。
【0018】
本明細書に記載されるパルプを含んでなる紙が提供される。
【0019】
(a)パルプ原料:
(1)パルプ原料中の全固形分の10〜90重量%であり、10cm以下の平均長さを有するポリピリドビスイミダゾール繊維と、
(2)全パルプ原料の95〜99重量%である水と
を組み合わせ、
(b)パルプ原料を実質的に一様なスラリーへ混合し、
(c)スラリーを精製してポリピリドビスイミダゾール繊維をカットし、不規則形状のフィブリル化繊維状構造へフィブリル化し、そして
(d)精製スラリーから水の一部を除去してパルプを生成すること
を含んでなるポリピリドビスイミダゾールパルプの製造方法もまた提供される。
【0020】
本発明の目的のためには、「紙」は、フォアドリニール(Fourdrenier)機または傾斜ワイヤ機などの、抄紙機で製造できる平らなシートである。好ましい実施形態では、これらのシートは、水懸濁液からレイドダウンされ、そしてそれら自身の親和力、摩擦、絡み合い、バインダー、またはそれらの組み合わせによって一緒に接合されたランダムに配向した短い繊維の網状構造よりなる一般に薄い繊維シートである。
【0021】
本発明はポリピリドビスイミダゾール繊維を利用する。この繊維は、高強度のものである剛性ロッドポリマーから製造される。ポリピリドビスイミダゾール繊維のポリマーは、少なくとも20dl/gまたは少なくとも25dl/gまたは少なくとも28dl/gの固有粘度を有する。かかる繊維には、PIPD繊維(M5(登録商標)繊維としても知られ、ポリ[2,6−ジイミダゾ[4,5−b:4,5−e]−ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン)から製造される繊維)が含まれる。PIPD繊維は下の構造をベースにしている:
【0022】
【化1】

【0023】
ポリピリドビスイミダゾール繊維は、ポリベンゾイミダゾール繊維がポリビベンゾイミダゾールよりなるという点において、周知の商業的に入手可能なPBI繊維すなわちポリベンゾイミダゾール繊維とは区別することができる。ポリビベンゾイミダゾールfは剛性ロッドポリマーではなく、その繊維は、ポリピリドビスイミダゾール繊維と比較されたときに低い強度および低い引張弾性率を有する。
【0024】
PIPD繊維は、約310GPa(2100グラム/デニール)の平均弾性率および約5.8GPa(39.6グラム/デニール)以下の平均靱性を有する可能性があると報告されてきた。これらの繊維は、ブルー(Brew)ら著、Composites Science and Technology 59(1999)、1109ページ;ファンデルジャグト(Van der Jagt)、ビューカース(Beukers)著、Polymer 40(1999)、1035ページ;シッケマ(Sikkema)著、Polymer 39(1998)、5981ページ;クロップ(Klop)、ラムマース(Lammers)著、Polymer 39(1998)、5987ページ;ハーゲマン(Hageman)ら著、Polymer 40(1999)、1313ページによって記載されてきた。
【0025】
剛性ロッド・ポリピリドビスイミダゾールポリマーの一製造方法は、シッケマらに付与された米国特許第5,674,969号明細書に詳細に開示されている。ポリピリドビスイミダゾールポリマーは、乾燥原料とポリリン酸(PPA)溶液との混合物を反応させることによって製造されてもよい。乾燥原料は、ポリピリドビスイミダゾール形成モノマーおよび金属粉末を含んでなってもよい。本発明に使用される剛性ロッド繊維を製造するために使用されるポリピリドビスイミダゾールポリマーは、少なくとも25、好ましくは少なくとも100の繰り返し単位を有するべきである。
【0026】
本発明の目的のためには、ポリピリドビスイミダゾールポリマーの相対分子量は、メタンスルホン酸などの好適な溶媒でポリマー製品を0.05g/dlのポリマー濃度に希釈し、そして30℃で1つもしくはそれ以上の希薄溶液粘度を測定することによって好適にキャラクタリゼーションされる。本発明のポリピリドビスイミダゾールポリマーの分子量増加は、1つもしくはそれ以上の希釈溶液粘度測定によって好適に監視され、そしてそれらと相互に関係づけられる。従って、相対粘度(「V相対」または「η相対」または「n相対」)および固有粘度(「V固有」または「η固有」または「n固有」)の希薄溶液測定は典型的にはポリマー分子量を監視するために用いられる。希薄ポリマー溶液の相対粘度および固有粘度は、式
固有=ln(V相対)/C
(ここで、lnは自然対数関数であり、Cはポリマー溶液の濃度である)
に従って関係づけられる。V相対は、ポリマー溶液粘度対ポリマーを含まない溶媒のそれの単位なしの比であり、こうしてV固有は逆濃度の単位で、典型的にはグラム当たりのデシリットル(「dl/g」)として表される。従って、本発明のある種の態様では、メタンスルホン酸中0.05g/dlのポリマー濃度で、30℃で少なくとも約20dl/gの固有粘度を有するポリマー溶液を提供すると特徴づけられるポリピリドビスイミダゾールポリマーが製造される。本明細書に開示される本発明に由来するより高い分子量のポリマーは粘稠なポリマー溶液を生成するので、メタンスルホン酸中の約0.05g/dlポリマーの濃度が適量の時間で固有粘度を測定するために有用である。
【0027】
本発明で有用な模範的ピリドビスイミダゾール形成モノマーには、2,3,5,6−テトラアミノピリジンおよび、テレフタル酸、ビス−(4−安息香酸)、オキシ−ビス−(4−安息香酸)、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ピリドジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−キノリンジカルボン酸、またはそれらの任意の組み合わせをはじめとする、様々な酸が含まれる。好ましくは、ピリドビスイミダゾール形成モノマーには、2,3,5,6−テトラアミノピリジンおよび2,5−ジヒドロキシテレフタル酸が含まれる。ある種の実施形態では、ピリドビスイミダゾール形成モノマーはリン酸化されていることが好ましい。好ましくは、リン酸化ピリドイミダゾール形成モノマーは、ポリリン酸および金属触媒の存在下に重合させられる。
【0028】
金属粉末を、最終ポリマーの分子量を構築することを助けるために用いることができる。金属粉末には典型的には、鉄粉、スズ粉末、バナジウム粉末、クロム粉末、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0029】
ピリドビスイミダゾール形成モノマーおよび金属粉末は混合され、次に混合物はポリリン酸と反応させられてポリピリドビスイミダゾールポリマー溶液を形成する。追加のポリリン酸を必要ならばポリマー溶液に加えることができる。ポリマー溶液は典型的には、ダイまたは紡糸口金を通して押し出されてまたは紡糸されてフィラメントを製造するまたは紡糸する。
【0030】
PIPDパルプは、当業者に周知の従来のパルプ製造装置で製造することができる。例えば、スモック、ゲリー A.(Smook,Gary A.)、コクレック、M.J.(Kocurek,M.J.)著、「パルプおよび紙技術者ハンドブック(Handbook for Pulp & Paper Technologists)」、パルプおよび紙工業技術協会、カナダ国パルプおよび紙協会(Technical Association of the Pulp and Paper Industry;Canadian Pulp and Paper Association);ならびに米国特許第5,171,402号明細書および米国特許第5,084,136号明細書を参照されたい。
【0031】
PIPDパルプは、パルプが高い平衡含水率を有することを意味する、水への高い親和力を有する。これは、水を同程度に吸収しない、そして静的問題に苦しむ他の高性能パルプに普通に関連した凝集および欠陥をもたらす静的効果を排除するのを助けると考えられる。加えて、PIPDパルプおよびPIPDフロックは両方とも、粘着性という驚くべき属性を有する、すなわち、本パルプから専らまたは本フロックから専ら形成された紙は、高性能繊維から製造された先行技術紙から予想されるより驚くほど高い強度を有する。理論によって縛られたくないが、このより高い強度はパルプおよびフロックの一片の表面間の水素結合によると考えられる。
【0032】
本明細書で用いるところでは、「含水率」は、TAPPI(パルプ製紙業界技術協会)試験方法T210に従って測定される。
【0033】
用語「最大寸法」が用いられるとき、それは、物体の最長サイズ寸法(長さ、直径など)に関する。
【0034】
パルプ製造
パルプ製造は、例えば、
(a)10cm以下の平均長さを有するPIPD繊維をはじめとするパルプ原料と、全原料の95〜99重量パーセントである水とを組み合わせ、
(b)原料を実質的に一様なスラリーへ混合し、
(c)PIPD繊維をスタークおよびフィブリル付きの不規則形状のフィブリル化繊維状構造へ同時にフィブリル化し、カットし、パルプ状にすることによってスラリーを精製し、そして精製スラリー中の全固形分を実質的に一様に分散させ、そして
(d)精製スラリーから水を除去し、それによって5mm以下の最大寸法および2.0mm以下の長さ加重平均長さを有する繊維状構造のPIPDパルプを生成すること
を含んでなる方法によって例示される。
【0035】
組み合わせ工程
組み合わせ工程で、パルプ原料および水の分散系が形成される。水は全原料の95〜99重量パーセント、好ましくは全原料の97〜99重量パーセントの濃度に加えられる。さらに、水を最初に、パルプ原料を2番目に加えることができる。次に他の原料を、組み合わせられた原料を同時に混合しながら水中の分散を最適化するための速度で加えることができる。
【0036】
混合工程
混合工程で、原料は混合されて実質的に一様なスラリーを形成する。「実質的に一様な」とは、スラリーのランダムサンプルが、組み合わせ工程での全原料中と同じ重量パーセント・プラスまたはマイナス10重量パーセント、好ましくは5重量パーセント、最も好ましくは2重量パーセントの濃度の出発原料のそれぞれを含有することを意味する。混合工程は、回転ブレードまたは幾つかの他の攪拌機を含有する任意の容器で達成することができる。混合工程は、原料が加えられた後に、または原料が加えられつつあるかもしくは組み合わせられつつある間に起こり得る。
【0037】
精製工程
精製工程で、パルプ原料は、次の通り同時に精製され、変換されまたは改質される。PIPD繊維は、スタークおよびフィブリルを有する不規則形状の繊維状構造へフィブリル化され、カットされ、パルプ状にされる。全固形分は、精製スラリーが実質的に一様であるように分散される。精製工程は好ましくは、混合スラリーを1つもしくはそれ以上のディスクリファイナーに通すこと、またはスラリーを単一リファイナーにリサイクルバックすることを含んでなる。用語「ディスクリファイナー」とは、互いに回転し、それによってディスク間の剪断作用により原料を精製する1つもしくはそれ以上のペアのディスクを含有するリファイナーを意味する。1つの好適なタイプのディスクリファイナーでは、精製されつつあるスラリーは、互いに狭い間隔で配置された円形回転子ディスクと固定子ディスクとの間にポンピングされる。各ディスクは、少なくとも部分的に放射状に広がる表面溝付きの、他のディスクと向かい合う表面を有する。用いることができる好ましいディスクリファイナーは米国特許第4,472,241号明細書に開示されている。一様な分散および十分な精製のために必要な場合、混合スラリーは2回以上ディスクリファイナーに、または一連の少なくとも2つのディスクリファイナーに通すことができる。混合スラリーがたった1つのリファイナーで精製されるとき、生じたスラリーは不十分に精製され、非一様に分散される傾向がある。完全にまたは実質的に1つの固体原料、もしくは他のもの、または両方の、または3つが存在する場合に全3つの集合体または凝集体は、分散形態であるよりむしろ実質的に一様な分散系を形成することができる。かかる集合体または凝集体は、混合スラリーがリファイナーに2回以上通されるかまたは2つ以上のリファイナーに通されるときにバラバラになり、スラリー中に分散されるより大きな傾向を有する。精製されるパルプを1つもしくはそれ以上のスクリーンに通して長い、不十分に精製された繊維および塊を捕捉してもよく、それらは次に、長い繊維が受け入れられる長さまたは濃度へ低減するまで1つもしくはそれ以上のリファイナーに再び通されてもよい。
【0038】
任意の前精製工程
全原料を一緒に組み合わせる前に、PIPD繊維は、最良の全体的効果のために短くされる必要があるかもしれない。これが行われる一方法は、約5ガロン未満の容量のバケツで、2cmより長いが10cmより短い繊維と水とを組み合わせることによる。次に、水および繊維を混合して第1懸濁液を形成し、第1ディスクリファイナーによって処理して繊維を短くする。ディスクリファイナーは長い繊維を2cm以下の平均長さへカットする。ディスクリファイナーはまた、繊維を部分的にフィブリル化し、部分的にパルプ状にする。本方法は、小バッチが組み合わせられて、混合しそして前に記載されたようなリファイナーを通してポンピングするのに十分な容量を生成する状態で、小バッチの水および繊維を使用して繰り返されてもよい。水は、必要ならば、加えられるかまたはデカンテーションされて水濃度を全原料の95〜99重量パーセントに上げる。組み合わせられたバッチは次に、必要ならば、混合して精製のための実質的に一様なスラリーを達成することができる。
【0039】
脱水工程
パルプ中の水は、繊維状固形分を水から分離するための任意の利用可能な方法によって、例えば、濾過、篩分け、または圧搾によって除去されてもよい。水は、水平フィルターなどの脱水装置でパルプを集めることによって除去することができ、そして必要ならば、追加の水が、パルプフィルターケーキに圧力をかけるかまたはそれを圧搾することによって除去することができる。脱水されたパルプは場合により次に所望の含水率まで乾燥させることができる、および/または包装するもしくはロールに巻き取ることができる。幾つかの好ましい実施形態では、水は、生じたパルプをスクリーン上で集め、そしてロールへ巻き取ることができる程度まで除去される。幾つかの実施形態では、存在中の約60総重量%以下の水、好ましくは4〜60総重量%水が所望量の水である。幾つかの他の実施形態では、100重量%もしくはそれ以上の範囲の、より高い総量の水を有するパルプが望ましい。幾つかの他の実施形態では、本パルプは200重量%ほどに多くの水を有してもよい。
【0040】
パルプからの製紙
PIPDパルプからの製紙は、
a)PIPDパルプの水性分散系を調製し、
b)水性分散系を希釈し、
c)水性分散系から水を排出させて湿った紙を生成し、
d)得られた紙を脱水し乾燥させ、そして
e)紙を物理的特性試験のために順化させること
を含んでなる方法によって例示される。
【0041】
フロックからの製紙
PIPDフロックからの製紙は、
a)PIPDフロックの水性分散系を調製し、
b)水性分散系を希釈し、
c)水性分散系から水を排出させて湿った紙を生成し、
d)得られた紙を脱水し乾燥させ、そして
e)紙を物理的特性試験のために順化させること
を含んでなる方法によって例示される。
【0042】
PIPDパルプおよび/またはフロックからの製紙はまた、周囲温度または高温でのカレンダー加工により紙高密度化の追加の工程を含むことができる。
【0043】
以下の実施例は、PIPDパルプおよび異なるタイプのフロックをベースとする紙の製造および特性を実証する。
【実施例】
【0044】
試験方法
次に続く非限定的な実施例で、次の試験方法を、様々な報告される特性および性質を測定するために用いた。ASTMは米国材料試験協会(American Society of Testing Materials)を意味し、TAPPIはパルプ製紙業界技術協会(Technical Association of Pulp and Paper Industry)を意味する。
【0045】
紙の厚さおよび坪量は、対応してASTM D645およびASTM D646に従って測定した。厚さ測定値を紙の見掛け密度の計算に用いた。
【0046】
紙の密度(見掛け密度)は、ASTM D202に従って測定した。
【0047】
引張強度および引張剛性は、ASTM D828に従って試験検体2.54cm幅および18cmのゲージ長を使用してインストロン(Instron)タイプ試験機で本発明の紙および複合材料について測定した。
【0048】
パルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は、パルプの希薄懸濁液が排水されるかもしれない速度の尺度であり、TAPPI試験方法T227に従って測定した。
【0049】
繊維長さは、オプテスト・イクイップメント社(OpTest Equipment Inc.)によって製造された繊維品質分析計(Fiber Quality Analyzer)を用いてTAPPI試験方法T271に従って測定した。
【0050】
実施例1〜8は、異なるタイプのフロックと共にPIPDパルプの組成物をベースとする紙の製造および特性を実証する。比較例Aは、PIPDパルプの代わりに組成物にパラ−アラミド・パルプでの類似の紙が実施例6からの紙(両紙とも50重量%の同じパラ−アラミドフロックを含有する)と対比してはるかにより弱いことを示す。
【0051】
N/cm単位の引張強度は0.00057X*Y(ここで、Xは%単位での紙の全固形分中のPIPDパルプの容量部分であり、Yはg/m単位での紙の坪量である)より大きいかまたはそれに等しい。
【0052】
p−アラミド・パルプで製造した比較例Aからの紙の引張強度(1.45N/cm)は、パラ−アラミド・パルプの代わりに同じ含有率のPIPDパルプでの紙についての境界強度(1.77N/cm)より下であり、実施例6からのかかる紙についての実際の数値(3.68N/cm)よりはるかに下である。
【0053】
PIPDパルプ・ベース紙のはるかにより高い強度は、製紙でおよび最終用途への紙のさらなる加工でかなりの利点をそれらに与えた(より軽い坪量へ行くことおよび/またはより簡単な、より安価な装置を用いることは可能である)。
【0054】
実施例9〜16は、実施例1〜8からの形成紙をベースとするカレンダー加工紙の製造を実証する。多くの複合材料用途向けには、高密度構造が望ましく、カレンダー加工はかかる密度に達することを可能にする。
【0055】
ハニカムおよび他の構造用途において、全てではない多くのケースで、紙の自由体積は樹脂で満たされる。特性/重量比の最適化は、幾らかの自由体積/空隙ありの樹脂含浸構造物を与える。実施例17および18は、PIPDパルプおよびパラ−アラミドフロックとのその組成物をベースとする樹脂含浸紙(比較的小さい樹脂含有率の)を実証する。比較例Bでは、パラ−アラミドフロックとメタ−アラミドフィブリドとの市販の組成物をベースとする樹脂含浸紙を記載する。ほぼ同じ樹脂含有率で、PIPDパルプ・ベースの紙は、同じまたはより高い剛性およびはるかにより高い強度を提供する。
【0056】
実施例1
3.2g(乾燥重量の)の約200mlのCSFの湿ったPIPDパルプを300mlの水と共にウェアリング・ブレンダー(Waring Blender)に入れ、1分間攪拌した。分散系をおおよそ21×21cmのハンドシート金型に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0057】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き(hand couch)、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0058】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0059】
実施例2
0.8g(乾燥重量の)の約200mlのCSFの湿ったPIPDパルプを300mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。2.4gのメタ−アラミドフロックを約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0060】
メタ−アラミドフロックは、線密度0.22テックス(2.0デニール)および0.64cmの長さのポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フロック(商品名ノメックス(登録商標)でデュポンによって販売される)であった。
【0061】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0062】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0063】
実施例3
0.8g(乾燥重量の)の約200mlのCSFの湿ったPIPDパルプを300mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。2.4gの炭素繊維を約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0064】
炭素繊維は、東邦テナックス・アメリカ社(Toho Tenax America,Inc.)によって販売されるPAN−ベースのフォータフィル(FORTAFIL)(登録商標)150炭素繊維(約3mm長さ)であった。
【0065】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0066】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0067】
実施例4
1.6g(乾燥重量の)の約300mlのCSFの湿ったPIPDパルプを800mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。1.6gのメタ−アラミドフロックを約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0068】
メタ−アラミドフロックは実施例2でと同じものであった。
【0069】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0070】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0071】
実施例5
1.6g(乾燥重量の)の約300mlのCSFの湿ったPIPDパルプを800mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。1.6gの炭素繊維を約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0072】
炭素繊維は実施例3でと同じものであった。
【0073】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0074】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0075】
実施例6
1.6g(乾燥重量の)の約300mlのCSFの湿ったPIPDパルプを800mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。1.6gのパラ−アラミドフロックを約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0076】
パラ−アラミドフロックは、約0.16テックスの線密度および約0.67cmのカット長を有するポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)フロック(商品名ケブラー(KEVLAR)(登録商標)49でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)によって販売される)であった。
【0077】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0078】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0079】
実施例7
2.4g(乾燥重量の)の約300mlのCSFの湿ったPIPDパルプを800mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。0.8gのメタ−アラミドフロックを約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0080】
メタ−アラミドフロックは実施例2でと同じものであった。
【0081】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0082】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0083】
実施例8
2.4g(乾燥重量の)の約300mlのCSFの湿ったPIPDパルプを800mlの水と共にウェアリング・ブレンダーに入れ、1分間攪拌した。0.8gの炭素繊維を約2500g水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。両分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に一緒に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0084】
炭素繊維は実施例3でと同じものであった。
【0085】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0086】
最終紙の組成および特性を表1に示す。
【0087】
実施例9〜16
紙サンプルをそれぞれ実施例1〜8におけるように製造したが、乾燥後に、約300℃および約1200N/cmの線圧で20.3cmの作業ロール直径の金属−金属カレンダーのニップでさらにカレンダー加工した。
【0088】
最終紙の特性を表1に示す。
【0089】
実施例17および18
樹脂含浸紙を、溶剤ベースのフェノール樹脂(デュレッツ・コーポレーション(Durez Corporation)製のプリオフェン(PLYOPHEN)23900)の実施例9および14からの紙への含浸、引き続く吸取紙での表面からの過剰分の樹脂の除去および次の通り昇温することによるオーブン中での硬化によって製造した:室温から82℃までの加熱およびこの温度での15分間の保持、121℃への昇温およびこの温度でのもう15分間の保持、そして182℃への昇温およびこの温度での60分間の保持。最終含浸紙の特性を表2に示す。
【0090】
比較例A
紙を実施例6と同様に製造したが、湿ったPIPDパルプの代わりに、ケブラー(登録商標)パルプ銘柄1F361としてデュポンによって販売される、約200mlのCSFの湿ったp−アラミド・パルプを使用した。
【0091】
最終紙の特性を表1に示す。
【0092】
比較例B
0.64g(乾燥重量の)の約40mlのCSFのメタ−アラミドフィブリドと2.56gのパラ−アラミドフロックとを2500gの水と共に実験室パルプ粉砕機に入れ、3分間攪拌した。分散系をおおよそ21×21cmハンドシート金型に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。
【0093】
パラ−アラミドフロックは実施例6でと同じものであった。
【0094】
メラ−アラミドフィブリドは、米国特許第3,756,908号明細書に記載されているようにポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)から製造した。
【0095】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0096】
その後、紙に実施例17および18に記載したようにフェノール樹脂を含浸させた。
【0097】
最終含浸紙の組成および特性を表2に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
追加の実施例を以下に提供する。
【0101】
実施例19
本発明のパルプを、2インチ未満のカット長を有する、かつ、約2dpf(フィラメント当たり2.2デシテックス)のフィラメント線密度を有するPIPDステープルの原料から製造した。PIPDステープルおよび水を一緒に5ミル板間隙設定を用いるスプラウト−ワルドロン(Sprout−Waldron)12インチ・シングルディスクリファイナー(Single Disc Refiner)へ直接フィードし、13mmの範囲での許容される加工長さに達するためにプレ−パルプ化した。
【0102】
プレ−パルプ化PIPD繊維を次に、高度に攪拌できる混合タンクに加え、混合して約1.5〜2.0重量パーセントの全原料濃度のポンピング可能な、実質的に一様なスラリーを形成した。スラリーを次にスプラウト−ワルドロン12インチ・シングルディスクリファイナーを通して再循環させ、精製した。
【0103】
リファイナーはプレ−パルプ化PIPD繊維を、精製スラリー中に実質的に一様に分散されたスタークおよびフィブリルを有する不規則形状の繊維状構造へ同時にフィブリル化し、カットし、そしてパルプ状にした。
【0104】
この精製スラリーを次に、フィルターバッグを用いて濾過し、圧搾によって脱水してPIPDパルプを形成した。試験したとき、パルプ中の繊維状構造は5mm以下の平均最大寸法および0.83mm以下の長さ加重平均長さを有した。
【0105】
実施例20
6.16グラムのPIPDパルプを2500mlの水に分散させ、0.25重量パーセントPIPDパルプを含有するスラリーを生成する。ブリティッシュ・スタンダード粉砕機(British Standard Disintegrator)を用いて5分に等しいもしくはそれより長い時間スラリーを粉砕することによって適切な分散系を達成する。6.16グラムのPIPDパルプは、平方ヤード当たり4.4オンスの坪量を有する8インチ平方シートを形成することと同じである。
【0106】
パルプスラリーを次に8インチ長さ×8インチ幅×12インチ高さの金型キャビティに移す。次に、追加の5000mlの水を金型キャビティに加えて分散系をさらに希釈する。有孔撹拌機または同等物を用いて金型キャビティ中でパルプスラリーを攪拌し、均一に分散させる。
【0107】
水を次に、大部分のパルプ固形分を通過させない取り外し可能な形成長網を通して金型キャビティ中の分散系から排出させる。水が排出した後、8インチ平方の湿った紙シートがメッシュ上に残る。
【0108】
湿った紙シートを次に脱水し、湿った紙シートおよび取り外し可能な長網を平面上の吸取紙シート間に置くことによって乾燥させる。軽い圧力を外側の吸取紙シートに均一にかけて湿った紙シートから水分を吸収するのを助ける。脱水した紙シートを次に形成長網から注意深く取り外す。それを次に2つの乾燥した吸取紙シート間に置き、ホットプレート温度を375°Fにセットした、ノーブル・アンド・ウッド(Noble and Wood)または同等のホットプレート上に置く。紙シートは、紙を乾燥させるためにホットプレート上に計15分間留まるべきである。
【0109】
紙に関して物理的試験を行う前に、シートを、温度と湿度とが調節された区域に紙を置くことによって順化させる。温度と湿度とが調節された区域の条件は、75°Fおよび55パーセント相対湿度である。
【0110】
実施例21
実施例20の方法を、それから紙が製造される最初の水性分散系にメタ−アラミドフィブリドなどのバインダー材料を添加して繰り返すことができる。特に有用な紙は、約70重量パーセントのPIPDパルプと約0.6mmの平均最大寸法、約7:1の最大寸法対最小寸法の比、および約1ミクロンの厚さを有する約30重量パーセントのメタ−アラミドフィブリドとの固形分組成を有する水性分散系から紙が製造されるときに製造することができる。
【0111】
実施例22
実施例20を、PIPDカット繊維、またはフロックから紙を製造するために繰り返すことができる。このケースでは、実施例2の水性分散系でPIPDパルプの代わりにPIPDフロックを使用する。有用な紙は、約1.2mmのカット長を有するPIPDフロックから製造することができる。
【0112】
実施例23
実施例22の方法を、それから紙が製造される最初の水性分散系にメタ−アラミドフィブリドなどのバインダー材料を添加して繰り返すことができる。特に有用な紙は、約1.2mmのカット長を有する約40重量パーセントのPIPDフロックと約0.6mmの平均最大寸法、約7:1の最大寸法対最小寸法の比、および約1ミクロンの厚さを有する約60重量パーセントのメタ−アラミドフィブリドとの固形分組成を有する水性分散系から紙が製造されるときに製造することができる。
【0113】
実施例24
実施例20の方法を、PIPDフロックおよびPIPDパルプの両方を含有する紙を製造するために繰り返すことができる。このケースでは、有用な紙は、約1.2mmのカット長を有するPIPDフロックと0.83mm以下の長さ加重平均長さを有するPIPDパルプとの等重量部分を最初の水性分散系で組み合わせることによって製造することができる。
【0114】
実施例25
実施例24の方法を、PIPDフロック、PIPDパルプ、およびバインダー材料を含有する紙を製造するために繰り返すことができる。このケースでは、有用な紙は、約1.2mmのカット長を有するPIPDフロックと、0.83mm以下の長さ加重平均長さを有するPIPDパルプと、約0.6mmの平均最大寸法、約7:1の最大寸法対最小寸法の比、および約1ミクロンの厚さを有するメタ−アラミドフィブリドポリマーフィブリドとの等重量部分を最初の水性分散系で組み合わせることによって製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリピリドビスイミダゾール繊維を含んでなる繊維パルプであって、
約700ml以下のカナダ標準ろ水度(CSF)、
グラム当たり0.5〜50平方メートルの比表面積、
0.5〜2.0mmの長さ加重平均(length−weighted average)長さ、および
10重量パーセントより大きい平衡含水率
を有するパルプ。
【請求項2】
15重量パーセントより大きい平衡含水率を有する請求項1に記載のパルプ。
【請求項3】
20重量パーセントより大きい平衡含水率を有する請求項2に記載のパルプ。
【請求項4】
150〜350mlのCSFを有する請求項1に記載のパルプ。
【請求項5】
グラム当たり5〜8平方メートルの比表面積を有する請求項1に記載のパルプ。
【請求項6】
0.5〜1.2mmの長さ加重平均長さを有する請求項1に記載のパルプ。
【請求項7】
15mm以下の最大寸法を有する請求項1に記載のパルプ。
【請求項8】
7mm以下の最大寸法を有する請求項7に記載のパルプ。
【請求項9】
請求項1に記載のパルプとアラミド、ポリベンザゾール、ポリイミド、ポリアミド−イミド、アクリル、セルロース、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、鞘−芯、複合繊維、およびそれらの混合物の群から選択されるパルプとを含んでなるパルプブレンド。
【請求項10】
ポリピリドビスイミダゾールパルプがブレンド中のパルプの総量の50重量パーセント未満を構成する請求項9に記載のパルプブレンド。
【請求項11】
請求項1に記載のパルプとアラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド−イミド繊維、アクリル繊維、セルロース繊維、熱硬化性樹脂繊維、熱可塑性樹脂繊維、鞘−芯繊維、複合(マルチポリマー/多相)繊維、ガラス繊維、炭素繊維をはじめとする無機繊維、またはそれらの混合物である繊維とを含んでなるパルプ−繊維ブレンド。
【請求項12】
ポリピリドビスイミダゾールパルプが、ブレンド中のパルプおよび繊維の総量の50重量パーセント未満を構成する請求項11に記載のパルプ−繊維ブレンド。
【請求項13】
請求項1に記載のパルプを含んでなる紙。
【請求項14】
請求項11に記載のパルプを含んでなる紙。
【請求項15】
(a)(1)パルプ原料中の全固形分の10〜90重量%であり、10cm以下の平均長さを有するポリピリドビスイミダゾール繊維と、
(2)全パルプ原料の95〜99重量%である水と
を含んでなるパルプ原料を組み合わせ、
(b)パルプ原料を実質的に一様なスラリーへ混合し、
(c)スラリーを精製してポリピリドビスイミダゾール繊維を不規則形状のフィブリル化繊維状構造へフィブリル化し、そして
(d)精製スラリーから水の一部を除去してパルプを生成すること
を含んでなるポリピリドビスイミダゾールパルプの製造方法。
【請求項16】
パルプ原料が、原料中の全固形分の90〜10重量%である非顆粒の繊維状またはフィルム様ポリマーフィブリドをさらに含んでなり、ポリマーフィブリドが0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2ミクロン以下の厚さを有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組み合わせ工程において、ポリピリドビスイミダゾール繊維が原料中の全固形分の25〜60重量%である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
除去工程の後に、水が全パルプの4〜60重量%であり、パルプが100〜700mlのカナダ標準ろ水度(CSF)を有する請求項15に記載の方法。
【請求項19】
精製工程が混合スラリーを一連のディスクリファイナーおよびスクリーンに通すことを含んでなる請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ポリピリドビスイミダゾールパルプが1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2009−521619(P2009−521619A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547713(P2008−547713)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/062268
【国際公開番号】WO2007/076332
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】