説明

ポリマーに添加剤を組み込む方法

本発明は、コーティングおよびプラスチックのようなポリマー材料に添加剤を組み込む方法であって、添加剤を含む組成物の除去可能なコーティングをポリマー材料の表面に塗布する前に、ポリマー材料を光で処理し、コーティングを添加剤をポリマー材料に拡散させるのに十分な時間、ポリマー材料に接触させておくことを含む方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングおよびプラスチックのようなポリマー材料に添加剤を組み込む方法であって、ポリマー材料の表面を光で処理してから、添加剤を含む組成物の除去可能なコーティングをポリマー材料の表面に塗布し、添加剤をポリマー材料に拡散させるのに十分な時間、コーティングをポリマー材料と接触させておくことを含む方法を提供する。
【0002】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2006/034980は、ポリマーの積極的な加熱を必要としない、ポリマー基材に光安定剤を補充または導入する方法を開示している。前記の方法では、有効量の紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)または両方を含む除去可能なコーティング組成物を基材の表面に塗布している。除去可能なコーティングには、UVA、HALSまたは両方を基材に拡散させるのに十分な時間、コヒーレント層をポリマー基材上に保持するために、十分な粘度または膜形成特性を有する非反応性の担体が配合されている。コーティング層は、安定剤を基材に拡散させるのに十分な時間、ポリマー基材と接触し続けるが、その時間が経過した後は、コーティングは、場合により除去されてよい。
【0003】
WO2006/034980の方法を使用して、光安定剤は、自動車用コーティング、船舶用コーティング、保護膜および機能性膜、熱可塑性品、およびプラスチック木材のような熱可塑性複合材料などのポリマー材料に組み込まれる。この方法は、時間を経た材料もしくは風化した材料への光安定剤(LS)の補充か、LSの非光安定材料への導入か、または既に安定化した系のLSの強化に使用される。
【0004】
この方法により処理されるポリマー基材を光、例えば紫外線に暴露してから、除去可能なコーティング層を塗布することにより、基材に組み込まれる安定剤の量が大幅に増大することが見出された。
【0005】
米国特許第5,487,914号は、自動車用コーティングにUVAを補充する方法を開示しており、米国特許第4,322,455号および同第4,323,597号は、ポリカーボネートの表面にUVAを含浸させる方法を開示している。いずれの方法も、追加の加熱工程を必要とする。
【0006】
米国特許第4,146,658号も、ポリカーボネートの表面含浸の方法を開示している。その実施例はすべて、ポリカーボネートを250°Fに加熱することを含む。米国特許第4,146,658号、同第4,322,455号および同第4,323,597号は、いずれも、UVA浸透を促進し、かつポリマー表面の擦傷を防ぐために、非常に特異的な溶媒を選択する必要がある。
【0007】
通常、光安定剤のような添加剤は、ポリマー品の形成、膜の塗布もしくはコーティングの硬化に先立つ、またはそれを含むいずれかの加工工程で、ポリマー系に組み込まれる。
【0008】
本発明は、ポリマーの加工後に、例えば、ポリマー品の形成後、膜の塗布後またはコーティングの硬化後に、ポリマー系の表面に効率よく添加剤を組み込むことを可能にする。
【0009】
例えば、本発明は、感温材料を熱的処理後の基材に組み込む;すなわち、光安定剤(LS)のような安定剤を、基材を保護する上でそれらが最も必要とされる基材の表面に組み込むこと;そして、LSおよびその他の安定剤を包含する添加剤を、光硬化に干渉せずに、光硬化系に組み込むことを可能にする。
【0010】
本発明は、光安定剤をポリマー基材に組み込む方法を提供するが、その方法は:
1種または複数種の添加剤を基材中に拡散させるのに十分な時間、コヒーレント層をポリマー基材上に保持するのに十分な粘度または膜形成特性を有する非反応性の担体を配合した、1種または複数種の有効量の添加剤を含む、除去可能なコーティング組成物を調製し;
ポリマー基材の表面を、除去可能なコーティング組成物の1種または複数種の添加剤の基材への拡散を高めるのに十分な時間、光で処理し;
光での処理後、1種または複数種の添加剤を含有する除去可能なコーティング組成物をポリマー基材に塗布し;そして
1種または複数種の添加剤を基材に拡散させるのに十分な時間、コーティング組成物をポリマー基材と接触させておくことを含む。
【0011】
コーティングの残留物は、添加剤の十分な拡散後、洗浄等のような方法で除去してよい。あるいは、コーティング残留物は、基材上に、無期限に、または自然の腐食もしくは摩耗が、残留物の除去を引き起こすまで放置してもよい。
【0012】
組成物は、液体、乳化液、ゲルまたは低融点固体の形態であってよく、基材を膨潤し得る実質的に不揮発性の溶媒をも含んでいてもよい。
【0013】
コーティング組成物の粘度または膜形成特性を制御することで、除去可能なコーティングの塗布後にポリマー基材を積極的に加熱する必要がない。周囲条件は、安定剤を拡散させるのに一般的に十分であろう。しかし、コーティング塗布後の、例えば、約60℃、例えば、約40℃まで、または約30℃までの基材の穏やかな加熱は、添加剤の移行を促進するであろうし、本発明の態様の1つとして包含される。
【0014】
本発明の1つの態様において、除去可能なコーティング組成物の1種または複数種の添加剤は、第一および第二の抗酸化剤のような安定剤、紫外線吸収剤のような光安定剤、ならびにヒンダードアミン光安定剤、ヒドロキシルアミン、ニトロン、他のラジカルトラップ等である。
【0015】
例えば、安定剤は、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)の群から選択される。
【0016】
例えば、光安定化組成物である本発明の除去可能なコーティングは、最低限で、非反応性担体、ならびにUV吸収剤およびHALSからなる群から選択される光安定化合物の少なくとも1種を含む。非反応性担体は、UV吸収剤、HALS、またはポリマーに対して、実質的に非反応性の担体である。この担体は、液体または低融点の固体(即ち約50℃未満の融点を有する)であってもよいが、本発明の方法の際に、担体とポリマー材料基材との間で密な接触が最適に得られることから、好ましくは液体である。担体は、単一の成分であっても、または、揮発性もしくは不揮発性であってもよい成分の混合物を含んでいてもよい。本発明の方法の際にポリマー材料表面が湿潤されるのであれば、個々の担体は本発明の方法にとって重要でない。
【0017】
除去可能なコーティング組成物はまた、添加剤をポリマーに拡散させるために十分な時間、ポリマー材料と接触し続けるために十分高い粘度を有するよう配合する。したがって、担体は、増粘剤および他のレオロジー調整剤を含んでいてもよい。
【0018】
本発明の除去可能なコーティング組成物の塗布に先立ち、処理対象のポリマー基材を、光に、典型的には、紫外線または高輝度の白色光に暴露する。この暴露が、添加剤のポリマー基材への拡散を促進する。場合により、室内または室外の周囲光でも十分であろう。
【0019】
したがって、ポリマー基材の処理に使用する光は、約190nm〜800nm(UV−可視領域)に及ぶことができる。一般に、約190nm〜600nmの波長が有用であり、UV領域における光の波長、約190nm〜400nmが、一般的に最も有効であると予想される。UV光および可視光の両方を同時に使用してもよく、例えば、基材を約190nm〜800nmのどの数値の波長の光で処理してもよい。
【0020】
特定の態様において、光は、UV光を含む。
【0021】
適切な放射が存在する時、例えば、太陽光または人工の光源からの光において、大変異なる種類の数多くの光源を使用する。点光源およびアレイ(“ランプカーペット”)の両方が適している。例は、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧−、高圧−、超高圧−および低圧の水銀ランプ、場合によりメタルハライドドープ(メタル−ハロゲンランプ)、マイクロ波誘導金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、超化学線蛍光管、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプ、電子懐中電灯、フォトグラフィックフラッドランプおよび発光ダイオード(LED)である。ランプと本発明による暴露対象の基材との距離は、ポリマー基材ならびにランプの種類および出力に依存して変化してよく、例えば、1、2センチから数メートル、例えば約2cm〜5mであってよい。
【0022】
使用する光の波長、光の輝度およびポリマー基材を暴露する時間は、すべて基材のポリマーに依存する。例えば、ポリオレフィンは、通常ごくわずかの光を吸収するが、他方、PETは、UV光を強く吸収する。ポリマー内の、染料のような、光を吸収する添加剤の存在もまた、必要な暴露量に影響する。光誘起反応を受けやすいポリマーの傾向もまた重要な因子である。
【0023】
ポリマーが受ける暴露光量は、表面での十分な反応を起こし、添加剤を容易に拡散させるのに十分な量ではあるが、ポリマーの顕著な光劣化を引き起こすのに足りる量ではない。例えば、場合によっては、コーティングのUV硬化において通常遭遇する光の量で十分であろう。フュージョンH、DおよびV電球は、UV硬化装置における典型的な光源であり、1回の暴露においてこれらの電球を組み合わせることは、通常おこなわれている。
【0024】
この他の便利な光源には、促進耐候試験に使用されるキセノン光およびパルスキセノン光、水銀ランプおよび太陽ランプが包含される。
【0025】
通常、より短い暴露時間が好まれるので、水銀発光ランプおよびパルスキセノンが、本方法を実施するために、魅力ある光源である。
【0026】
光源および処理する基材はともに、本発明を実施するために必要な光の量を決定する因子となるが、少なくとも約1J/cm2の光線量が必要となると予想される。典型的な光線量は、約3〜約250J/cm2、例えば、約5〜約150J/cm2、または例えば、約5〜約50J/cm2である。
【0027】
当然、個々の塗布に関する最良の光暴露条件に到達するには、一定量の実験が必要になるが、これは十分、実務家の能力の範囲内である。
【0028】
例えば、造形品、熱可塑性膜または硬化コーティング膜のようなポリマー基材は、添加剤を含有する除去可能なコーティングでの処理に先立ち、H、Dおよび/またはV電球を使用するFusion 600 watt VPS装置のような、UV硬化装置内で暴露してよい。基材は、UV硬化装置を通過するが、正確な光線量は、装置の出力設定、使用する電球の種類および基材が装置内を運ばれる速度によって決まる。装置を複数回通過させてもよい。
【0029】
例えば、造形品、熱可塑性膜または硬化コーティング膜のようなポリマー基材は、添加剤を含有する除去可能なコーティングでの処理に先立ち、Atlas Ci65 Xenon Weatherometerに見出される光源に、約1〜200時間暴露してよい。ボロシリケートインナーおよび/またはアウターフィルターを使用すると、利用できる光量が減り、所要時間を長引かせるであろう。しかし、フィルターがあることで、ポリマーの望まない劣化を招きかねない光である波長約290nm未満の光が遮断されるであろう。さらに、光源と基材との距離が拡大するにつれ、暴露に要する時間量も増大するであろう。
【0030】
例えば、メラミン架橋アクリルコーティングまたはポリプロピレンプラークまたはポリエステルシートを含む基材を、添加剤を含有する除去可能なコーティングでの処理に先立ち、水銀発光ランプまたはパルスキセノンランプのような、フィルターをかけないUV光源に、0.5〜24時間暴露してよい。250または290nm未満の光を遮断するフィルターを使用すると、所要の暴露時間が増すことがある。
【0031】
光処理中の水分の存在は、必ずしも排除する必要はなく、ある場合においては、本方法の助けとなろう。基材の損傷または変形を招くほどの高温でなければ、光処理中の温度に設ける制限はない。
【0032】
除去可能なコーティングの塗布後、ポリマー基材は、周囲温度で保持してもよく、または弱く加熱、例えば、約30℃〜約70℃に加熱してもよい。例えばポリマー基材は、周囲温度で一晩、またはオーブンもしくは暖められた部屋の中で約40℃〜約60℃の温度で約0.5〜約8時間保持されてよい。ここでも、最良の条件を確認するために、いくらかの実験が必要となるであろう。これらの時間よりも長い時間が必要かもしれないが、経済的側面から、間違いなく実務家は最高の条件を選択するであろう。
【0033】
添加剤がポリマー基材に十分移行したことが測定されたら、コーティングを洗い落としてもよい。UV吸収添加剤の場合、この測定は、除去可能なコーティングの塗布後、おそらく対象の基材とともに処理された分析標準の形で、様々な回数でポリマーのUV吸光量を測定することにより好都合に行われる。当然、一度方法が標準化されれば、この測定が、実務家の判断に応じて使用される品質管理事項となる。
【0034】
コーティングの除去は必須ではなく、ポリマー基材を一定期間保存する場合や除去可能なコーティング組成物が、艶出剤、保護性ワックスまたは何か他の有用な機能を有する配合剤でもある場合のように、場合によっては、除去しないことが有益であろう。
【0035】
本発明は、添加剤を任意のポリマー、コポリマーまたはポリマーブレンドに組み込むのに使用することができる。ポリマー材料、すなわちポリマー基材は、天然ポリマー、例えば、木材および天然繊維、および、熱可塑性、熱硬化性、エラストマー性、本質的に架橋のまたは架橋したポリマーをはじめとする合成ポリマーを包含する。
【0036】
天然ポリマーは、綿、ビスコース、亜麻、レーヨン、リネン、羊毛、セルロース、天然ゴム、またはセルロースアセテート、プロピオナートおよびブチラートのような、それらのポリマー相同性化学修飾誘導体、メチルセルロースのようなセルロースエーテルならびにコロホニウム樹脂および誘導体を包含する。
【0037】
多くの塗料およびコーティングが本方法から利益を得るが、それらは、非限定的に、自動車用用途におけるベースコートおよびクリアコートとして使用されるものを含む。そのような自動車用コーティングの具体例は、アクリル/メラミン、アクリル/ウレタン、ポリエステル/ウレタン、およびエポキシ/酸系の塗料であり、シラン官能性に基づくか、あるいはシラン官能性を組み込んだコーティングを包含する。
【0038】
船舶用コーティング、木材用コーティング、金属用の他のコーティング、ならびにプラスチックおよびセラミックへのコーティングをはじめとする他のコーティング系が、本開示から利益を得ることも、容易に明白となろう。そのような船舶用コーティングの具体例は、不飽和ポリエステル、スチレンおよび触媒を含むゲルコートである。粉末コーティングおよびUV硬化コーティングもまた、興味深い。
【0039】
プラスチックおよびプラスチック品は、本方法から利益を得るであろう。それらには、非限定的に、自動車または機械の部品の製造に用いられるプラスチック、透明板ガラス、屋外用家具、ボート、ヴァイナルサイディング、保護膜、プラスチック材および繊維強化複合材料のような複合材料、ならびにディスプレイに用いられる膜が挙げられる。そのようなプラスチックの具体例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、スチレン類、ポリアミド、ウレタン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリオレフィン、イオノマー、不飽和ポリエステル、ならびにABS、SANおよびPC/ABSをはじめとするポリマー樹脂のブレンドである。そのプラスチックは、例えば、ポリオレフィン、熱可塑性ポリオレフィン、PVC、ABS、またはPC/ABSである。
【0040】
熱可塑性、熱硬化性、エラストマー性、本質的に架橋のまたは架橋したポリマーの他の具体的な例は、すでにその全体が参照により本明細書に組み込まれたWO2006/034980に見出される。
【0041】
ポリマーは、例えば、膜、コーティング、射出成形品、押出加工品、繊維、シート、フェルトまたは織物の形態であってよい。
【0042】
ポリマー基材の最終形態に重要性はない。例えば、自動車のダッシュボードおよび郵便受けのような成形品、並びに、日よけ、カーペットおよび家具部品のような合成繊維で構成される物品、さらに屋外用マットのようなゴム製品は全て、本方法から利益を得ることができる。
【0043】
ポリマーは、例えば、自動車用コーティング、塗料、ステイン、ラミネートまたは他の保護用または装飾用コーティングのようなコーティングに見出されるポリマーであってよい。
【0044】
ポリマー基材は、場合により、抗酸化剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン、ホスファイトまたはホスホナイト、ベンゾフラン−2−オン類、チオ系相乗剤(thiosynergists)、ポリアミド安定剤、ステアリン酸金属塩{さん きんぞく えん}、造核剤、充填剤、補強剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、分散剤、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤、発泡剤等のような様々な従来の添加剤を含有していてよい。
【0045】
本方法は、光安定剤、紫外線吸収剤(UVA)およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)を導入するのに、極めて有効である。
【0046】
UVAは、そのような添加剤またはUVAの混合物であってもよく、その多くは当該技術分野で周知である。そのような物質の具体例は、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類、トリス−アリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン類、オルト−ヒドロキシベンゾフェノン類、シアノアクリラート類、オキサニリド類、ベンジリデンマロナート類、ベンゾキサジノンUV吸収剤、シンナマートおよびサリチラートをはじめとする置換および非置換の安息香酸のエステル、ホルムアミジン類、ジベンゾイルメタン類、ならびにパラ−アミノ安息香酸のエステルである。選択する的確なUVAまたはUVA混合物は、個々の用途に大きく依存する。例えば、より過酷な用途に使用する場合には、より堅牢なUVA、例えば、ベンゾトリアゾール類、オルトヒドロキシベンゾフェノン類、およびトリフェニルトリアジン類が好ましいであろう。
【0047】
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール類は、例えば、公知の市販されるヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール、ならびに米国特許第3,004,896号;同第3,055,896号;同第3,072,585号;同第3,074,910号;同第3,189,615号;同第3,218,332号;同第3,230,194号;同第4,127,586号;同第4,226,763号;同第4,275,004号;同第4,278,589号;同第4,315,848号;同第4,347,180号;同第4,383,863号;同第4,675,352号;同第4,681,905号;同第4,853,471号;同第5,268,450号;同第5,278,314号;同第5,280,124号;同第5,319,091号;同第5,410,071号;同第5,436,349号;同第5,516,914号;同第5,554,760号;同第5,563,242号;同第5,574,166号;同第5,607,987号;同第5,977,219号;および同第6,166,218号に開示されたベンゾトリアゾール類であり、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−s−ブチル−5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス−α−クミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−(ω−ヒドロキシ−オクタ(エチレンオキシ)カルボニル−エチル)−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニル)エチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ドデシル化2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレン−ビス(4−t−オクチル(6−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−オクチル−5−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メチル3−(5−トリフルオロメチル)−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート、5−ブチルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−ブチルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、および5−フェニルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールである。
【0048】
トリス−アリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン類は、例えば、公知の市販されるトリス−アリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン類、ならびに米国特許第3,843,371号;同第4,619,956号;同第4,740,542号;同第5,096,489号;同第5,106,891号;同第5,298,067号;同第5,300,414号;同第5,354,794号;同第5,461,151号;同第5,476,937号;同第5,489,503号;同第5,543,518号;同第5,556,973号;同第5,597,854号;同第5,681,955号;同第5,726,309号;同第5,736,597号;同第5,942,626号;同第5,959,008号;同第5,998,116号;同第6,013,704号;同第6,060,543号;同第6,242,598号;および同第6,255,483号に開示されたトリアジン類であり、例えば、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−ブロモフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(4−ビフェニリル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルエチリデンオキシフェニル)−s−トリアジン、2−フェニル−4−〔2−ヒドロキシ−4−(3−s−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−s−アミルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−n−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ジ−n−ブチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ノニルオキシ*−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル〕−s−トリアジン(*は、オクチルオキシ基とノニルオキシ基とデシルオキシ基との混合を示す)、メチレンビス−{2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−s−トリアジン}、3:5'、5:5'および3:3'位で5:4:1の比で架橋したメチレン架橋ダイマー混合物、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシカルボニルイソプロピリデンオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−5−α−クミルフェニル)−s−トリアジン、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,6−ビス〔2−ヒドロキシ−4−(3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、2,4,6−トリス〔2−ヒドロキシ−4−(3−s−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル〕−s−トリアジン、4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−s−トリアジンと4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−s−トリアジンとの混合物、Tinuvin(登録商標)400(Ciba Specialty Chemicals Corp.)、4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−s−トリアジン、および4,6−ジフェニル−2−(4−ヘキシルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−s−トリアジンである。
【0049】
2−ヒドロキシベンゾフェノン類は、例えば、4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2',4'−トリヒドロキシ、および2'−ヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ誘導体である。
【0050】
置換および非置換の安息香酸のエステルは、例えば、4−tert−ブチルフェニルサリチラート、フェニルサリチラート、オクチルフェニルサリチラート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、ヘキサデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾアートである。オクチルメトキシシンナマート;2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマート;2−エチルヘキシルメトキシシンナマート;2−エチルへキシル−4−メトキシシンナマート;2−プロペン酸、3−(4−メトキシフェニル)−,2−エチルヘキシルエステル;オクチノキサート;および2−エチルヘキシルp−メトキシシンナマートである。
【0051】
シアノアクリラート類およびベンジリデンマロナート類は、例えば、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−ケイ皮酸メチルエステルまたはブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシケイ皮酸メチルエステル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、ジメチルp−メトキシベンジリデンマロナート、およびジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナートである。
【0052】
オキサニリド類は、例えば、4,4'−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2'−ジエトキシオキサニリド、2,2'−ジオクチルオキシ−5,5'−ジ−t−ブトキサニリド、2,2'−ジドデシルオキシ−5,5'−ジ−t−ブトキサニリド、2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、N,N'−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エトキサニリド、および2−エトキシ−2'−エチル−5,4'−ジ−t−ブトキサニリドとのその混合物、o−メトキシ二置換オキサニリドとp−メトキシ二置換オキサニリドとの混合物、ならびにo−エトキシ二置換オキサニリドとp−エトキシ二置換オキサニリドとの混合物である。
【0053】
例えば、UVAは、
2−(3',5'−ジ−t−アミル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3'−t−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔3'−t−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンとα−クロロプロピオン酸エステル(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)の混合物との反応生成物、
2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(5'−t−オクチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3'−t−ブチル−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、
2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマート、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、
2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
α−カルボメトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、
α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−ケイ皮酸メチルエステルまたはブチルエステル、
α−カルボメトキシ−p−メトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、
ジメチルp−メトキシベンジリデンマロナート、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、
2,2'−ジエトキシオキサニリド、
2,2'−ジオクチルオキシ−5,5'−ジ−t−ブトキサニリド、
2,2'−ジドデシルオキシ−5,5'−ジ−t−ブトキサニリド、
2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、
N,N'−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、
2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エトキサニリド、および2−エトキシ−2'−エチル−5,4'−ジ−t−ブトキシアニリドとのその混合物、ならびに
o−メトキシ二置換オキサニリドとp−メトキシ二置換オキサニリドとの混合物、およびo−エトキシ二置換オキサニリドとp−エトキシ二置換オキサニリドとの混合物、
からなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0054】
例えば、UVAは、
2−(3'−t−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔3'−t−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンと、α−クロロプロピオン酸エステル(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)の混合物との反応生成物、
2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、および
2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド
からなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0055】
組成物に含まれるHALSは、そのような添加剤、またはHALSの混合物であってもよく、その多くは当該技術分野で周知である。HALSはまた、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。
【0056】
HALSは、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロナート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合体、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖状または環状縮合体、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセタート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシラート、1,1'−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)マロナート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバカート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシナート、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖状または環状縮合体、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合体、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合体、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの混合物、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンおよび4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合生成物(CAS登録番号〔136504−96−6〕);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ〔4,5〕デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ〔4,5〕デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、N,N'−ビスホルミル−N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシ−メチレン−マロン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ〔メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)〕シロキサン、マレイン酸無水物−α−オレフィン共重合体と2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンまたは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物である。
【0057】
立体障害アミンは、米国特許第5,980,783号、同第6,046,304号、および同第6,297,299号に記載された化合物の1種であってもよく、それらの開示は、本明細書に参照により組み込まれる。
【0058】
HALSは、また、N原子がヒドロキシ置換アルコキシ基で置換された立体障害アミンであり、例えば、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メトキシプロポキシ)−4−ヘキサデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとt−アミルアルコールからの炭素ラジカルとの反応生成物、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシナート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)グルタラート、および2,4−ビス{N−〔1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル〕−N−ブチルアミノ}−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジンのような化合物である。
【0059】
例えばHALSは、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロパン酸、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
1−アセチル−4−(3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、
4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、
2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ〔4,5〕デカン、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
2,4−ジクロロ−6−t−オクチルアミノ−s−トリアジンと4,4'−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)との重縮合生成物、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
N,N',N'',N'''−テトラキス〔(4,6−ビス(ブチル−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)アミノ−s−トリアジン−2−イル)−1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカン、
N−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−n−ドデシルスクシンイミド、
N−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−n−ドデシルスクシンイミド、
4−C15〜C17アルカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
1,5−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−1,5−ジアザ−4−オキソプロパン、
1,3,5−トリス〔3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノ)−2−ヒドロキシ−プロピル〕イソシアヌラート、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、および
2,4−ジクロロ−6−〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−s−トリアジンと1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカンとの重縮合生成物、
からなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0060】
例えばHALSは、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロパン酸、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
1−アセチル−4−(3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、および
2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、
からなる群から選択される1種以上の化合物である。
【0061】
除去可能なコーティング中に、1種以上のUVAまたはHALSが存在することができ、UVAおよびHALSは、一緒に使用してよい。
【0062】
本発明は、このような安定剤を非安定系に加えたり、ポリマー系にすでに存在する安定剤の配合を強化したり、加工中に、または使用により失われた安定剤に取って換わることができる。
【0063】
他の安定剤もまた、本方法を介して組み込むことができる、例えば:
【0064】
アルキル化モノフェノール類、アルキルチオメチルフェノール類、ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、トコフェロール類、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、アルキリデンビスフェノール類、ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロナート類、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、ベンジルホスホナート類、アシルアミノフェノール類、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、アスコルビン酸、アミン系抗酸化剤、フェノチアジンホスファイトおよびホスホナイトをはじめとする抗酸化剤;
ヒドロキシルアミン類、ニトロン類およびアミンオキシド類、例えば、米国特許第5,844,029号および同第5,880,191号に開示されたアミンオキシド誘導体、ドデシルメチルアミンオキシド、トリデシルアミンオキシド、トリドデシルアミンオキシド、およびトリヘキサデシルアミンオキシド;
ベンゾフラノン類およびインドリノン類、例えば、米国特許第4,325,863号、同第4,338,244号、同第5,175,312号、同第5,216,052号、同第5,252,643号、同第5,369,159号、同第5,356,966号、同第5,367,008号、同第5,428,177号、または同第5,428,162号に開示されたもの、または3−〔4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル〕−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−〔4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル〕ベンゾフラン−2−オン、3,3'−ビス〔5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−〔2−ヒドロキシエトキシ〕フェニル)ベンゾフラン−2−オン〕、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン、Irganox(登録商標)HP-136(Ciba Specialty Chemicals Corp.)、および3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチル−ベンゾフラン−2−オン;ならびに
チオ系相乗剤(thiosynergists)、例えばジラウリルチオジプロピオナートまたはジステアリルチオジプロピオナートである。
【0065】
本発明の方法が有用である用途には、ある種の光安定剤の存在が硬化に干渉する可能性のある光硬化系、光安定剤のような添加剤が全体にわたってではなく表面にのみ必要とされる厚みのある物品、または、先に添加する添加剤にとって、加工条件が過酷な場合(例えば、高温または強酸触媒)が含まれる。添加剤を基材の全体にわたってではなく、表面に組み込むことは、大きな経済的節約にもなる。
【0066】
安定剤以外の添加剤、例えば、分散剤、可塑化剤、顔料、染料、蛍光増白剤、流れ調整剤、防炎剤、帯電防止剤、透明化剤、防腐剤および殺生物剤も、本発明の方法を介して組み込むことができる。
【0067】
本発明の他の用途は、実務家にとって自明となろう。
【0068】
除去可能なコーティング組成物を形成するために、添加剤を任意の技術に従い、組成物の非反応性担体および他のあらゆる補助的材料と混合するが、個々の混合物も加工も本発明にとって重要ではない。選択したUVAおよびHALSのような特定の添加剤やその他の添加剤は、担体の組成に依存するであろう。例えば、選択した添加剤は、ポリマー基材に均等かつ効率的に塗布させるために十分安定した溶液、懸濁液、またはエマルションを形成しなければならない。
【0069】
レオロジーは、理想的には擬塑性でなければならず、スプレーのような、せん断細分化(shear thinning)加工の際に容易な塗布を可能にし、しかも、付着時およびせん断応力の除去時に粘性が急速に回復しなければならない。
【0070】
添加剤が特定の担体からポリマー基材に拡散する速度も、用いる安定剤と濃度の両方の選択に影響を与えるであろう。
【0071】
コーティング組成物中に存在する添加剤の量もまた、コーティングの形態および基材への塗布方法に依存するであろう。コーティング組成物は、液体、乳化液、ゲル、または低融点固体の形態であってもよい。添加剤をポリマーに拡散させるのに十分長い時間、添加剤をポリマー表面と接触させておくことが重要である。したがってコーティング配合物は、以下の性質を有する。
【0072】
液体である場合、塗布の際のコーティング組成物は、20rpmで回転させた#4スピンドルを使用したBrookfield Viscometerで測定した場合、少なくとも約500cps、例えば約500〜約10,000cps、例えば約500〜約5000cps、または例えば約1000〜約2500cpsの粘度を有する。
【0073】
最適な厚さの選択は、添加剤の濃度をはじめとする複数の因子に依存するものの、ポリマー基材上のコーティング組成物の厚さは、塗布すると約25〜約1000ミクロンであり、本開示を参照すれば当業者の技術の範囲内であろう。例えば、コーティング組成物は、約50〜600ミクロン、例えば約50〜200ミクロンの湿潤膜になるよう塗布される。
【0074】
ポリマー表面に保持される添加剤の量が、拡散に必要な時間を通して少なくとも0.2g/m2に保持されるのであれば、この層を揮発性成分の蒸発により乾燥して、25〜1000ミクロンよりもかなり薄い膜にしてもよい。湿潤膜または乾燥膜のいずれかであるコーティング層に含有される添加剤は、例えば、約0.2g/m2〜約10g/m2または約0.5g/m2〜6g/m2である。例えば、コーティング組成物を配合して塗布し、ポリマー表面にコヒーレント層を残留させ、ポリマー表面に約0.5g/m2〜約2g/m2の添加剤を提供する。
【0075】
そのような液体配合物では、塗布した際のコーティング組成物中の添加剤の量は、約0.1〜約10重量%である。例えば、配合されたコーティングは、添加剤を約0.2〜約5重量%、例えば約0.4〜約2重量%の添加剤を含む。
【0076】
本方法を介して添加剤を組み込む際、除去可能なコーティング組成物中の添加剤は、化合物1種から、または、一緒になって本明細書に詳細を記載した重量パーセントとなる、複数の化合物の混合物からなることができる。添加剤は、同一の活性を有する必要はなく、例えば組成物は、2種の光安定剤を含有してよいが、2種のUVAでもよく、光安定剤および抗酸化剤ならびに/または帯電防止剤を含有してもよい。
【0077】
コーティングをゲル、濃厚な油またはワックス状固体として塗布する場合、塗布の際のコーティングの粘度はかなり高くなるが、その塗布方法、例えば布またはブラシでコーティングを広げることによって、かなり薄い初期層にしてもよい。この場合、コーティング中のLSの濃度は一般に高く、ポリマー表面上の光安定剤は最低で約0.2g/m2に達する。
【0078】
ゲル、油またはワックス状固体として塗布されるそのようなコーティングにおいて、添加剤は、組成物の全重量に基づいて、組成物の少なくとも約5重量%含まれ、組成物の実質的にほぼ全量含まれていてもよい。好ましくは添加剤は、組成物の約8〜約50重量%含まれる。例えば、ゲル、油またはワックス状固体である本発明のコーティング組成物に対して、添加剤は、組成物の約10〜約30重量%含まれる。
【0079】
組成物の形態または塗布の方法に関わらず、そのいずれも本発明の実施にとって重要ではないが、本方法を介して添加剤を組み込む場合、添加剤が拡散に必要な時間を通してポリマー表面に少なくとも0.2g/m2、理想的には約0.5〜約2g/m2付着するように、コーティングを配合する。
【0080】
本開示を参考にすれば、的確な配合物は、当業者により日常の実験をとおして容易に決定される。
【0081】
担体の主な役割は、均質に塗布させて、添加剤とポリマー表面とを密に接触させることである。場合により、担体は、基材を膨張させ得る実質的に非揮発性の溶媒を含んでいてもよく、溶媒の1種はグリセリンである。
【0082】
有用な担体は、溶媒、有機オリゴマーおよびポリマー、増粘剤をはじめとするレオロジー調整剤、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸の塩をベースとするセッケンなどのセッケン、シリコーンおよび乳化剤からなる群から選択される、単独成分または材料の混合物であってもよい。
【0083】
有用な溶媒の例は、非限定的に、水、炭化水素溶媒、例えばオクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、Stoddard溶媒、Isopar溶媒、フッ化炭素、芳香族溶媒、例えばキシレンおよびメシチレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、デカノール、脂肪アルコール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールをはじめとするグリコール、ケトン、例えばアセトン、ブタノン、ペンタノン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン、脂肪族アルコールの酢酸エステルをはじめとするエステル、アミド、および尿素が挙げられる。
【0084】
有機オリゴマーおよびポリマーは、非限定的に、石油ゼリー、パラフィン油、鉱物油、ポリアクリル酸、アクリルオリゴマー、ポリアクリラートおよびポリアクリルアミドを包含する。
【0085】
増粘剤およびレオロジー調整剤は、非限定的に、擬塑性チキソトロープ、例えばVISCALEX(登録商標)AT89(液体分散アクリル酸共重合体)またはVISCALEX(登録商標)HV30(メタクリル酸共重合体会合性増粘剤)、Newtonian流体、アクリルポリマー、架橋アクリルポリマー、会合性増粘剤、アルギナート、カラゲナン、セルロースおよび誘導体(ナトリウムおよびカリウムなどの異なる対イオンを有するカルボキシメチルセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、グアー、グアー誘導体、ローカストビーンガム、キサンタンガム、有機粘土、水膨潤性粘土、シリカ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、アルカリ膨潤性エマルション型増粘剤(ASE)、疎水的に改質されたASE(HASE)、疎水的に改質されたウレタン増粘剤(HEUR)、および液体分散ポリマー(LDP)を包含する。
【0086】
有用な界面活性剤は、非限定的に、アニオン性界面活性剤、例えばスルホナート、カルボキシラート、スルファート、およびホスファート;非イオン性界面活性剤、例えばアセチレングリコール、アルキルポリグリコシド、アルコールエトキシラート、アルキルフェノールエトキシラート、アルカノールアミド、ブロック共重合体、ジアルキルシロキサンおよびフッ素系界面活性剤;カチオン性界面活性剤、例えば第四級アミン、ならびに両性化合物、例えばN−アルキルベタインを包含する。
【0087】
組成物のコーティングを塗布する方法は、組成物の特性、例えば、液体であるか、ワックス状固体であるかに一部依存するが、本発明にとって重要ではない。コーティングの塗布は、スプレーにより、または適切なアプリケーター、例えば、布、スポンジ、ブラシ、あるいは、艶出剤、油、セッケンまたはワックスの塗布に使用される他の装置によって、広げることにより行うことができる。
【0088】
塗布の1つの方法は、液体形態のコーティングをポリマー材料上にスプレーして、コーティングを上記の厚さの湿潤膜層または粘液またはエマルションのいずれかとして、残留させることである。
【0089】
本開示を参照すれば、本発明の多くの改良が当業者に明白であろう。本発明の真の範囲に含まれるそのような改良は全て、添付の特許請求の範囲に含まれるだろう。
【0090】
実施例
以下の非限定的実施例は、本発明の説明に役立つ。
【0091】
UVA1 2−(3'−t−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
UVA2 2−〔3'−t−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
UVA3 2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
UVA4 トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンと、α−クロロプロピオン酸エステルの混合物(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)との反応生成物、
UVA5 2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
UVA6 2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
UVA7 2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
UVA8 α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
【0092】
HALS1 ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
HALS2 ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
HALS3 7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロパン酸、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−,ドデシルエステル、
HALS4 3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
HALS5 2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン
【0093】
VISCALEX(登録商標)AT89は、液体分散アクリル酸共重合体である。
VISCALEX(登録商標)HV30は、メタクリル酸共重合体会合性増粘剤である。
ISOPAR(登録商標)H、TEXANOL(登録商標)およびStoddard溶媒は、高沸点の市販される炭化水素系溶媒である。
【0094】
実施例1〜14は、本発明における除去可能なコーティングとして有用な組成物を示す。本開示を参照すれば、他の配合物は当業者に明白であろう。パーセント値は全て、組成物全量に対する概算の重量パーセント値である。
【0095】
実施例1:
高粘度シリコーン 15%
低粘度シリコーン 10%
UVA1 5%
HALS1 5%
乳化剤 4%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2%
水 59%
【0096】
実施例2:
ISOPAR(登録商標)溶媒 25%
UVA8 5%
HALS2 2.5%
スルホスクシナート湿潤剤 0.2%
アミノメチルプロパノール 0.3%
VISCALEX(登録商標)HV30 1%
水 66%
【0097】
実施例3:
パラフィン油 30%
UVA4 3%
HALS1 1.5%
WITCONATE(登録商標)P10-59(湿潤剤) 1%
Triton X100(殺生物剤) 1%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
RHEOVIS(登録商標)152(レオロジー調整剤) 1%
水 62.2%
【0098】
実施例4:
モンタンワックス 50%
脂肪族炭化水素溶媒 35%
HALS1 5%
水添ひまし油ワックス 10%
【0099】
実施例5:
Stoddard溶媒 20%
UVA5 2%
低分子量シリコーン 10%
OPTIFLO(登録商標)H400 増粘剤(Sud-Chemie) 5%
モルホリンオレアート 5%
水 58%
【0100】
実施例6:
テキサノール 30%
UVA2 5%
HALS2 2%
VISCALEX(登録商標)HV30 2%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
水 60.7%
【0101】
実施例7:
高粘度シリコーン 15%
低粘度シリコーン 10%
UVA1 1%
HALS1 1%
乳化剤 4%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2%
水 67%
【0102】
実施例8:
ISOPAR溶媒 25%
UVA7 1%
HALS2 0.5%
Alcopol O 0.2%
アミノメチルプロパノール 0.3%
VISCALEX(登録商標)HV-30 1%
水 72%
【0103】
実施例9:
パラフィン油 30%
UVA6 0.6%
HALS5 1%
Witconate P1059 1%
Triton X100 1%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
Rheovis 152 1%
水 65.1%
【0104】
実施例10:
モンタンワックス 50%
脂肪族炭化水素溶媒 35%
HALS3 1%
水添ひまし油ワックス 14%
【0105】
実施例11:
Stoddard溶媒 20%
HALS2 1%
低分子量シリコーン 10%
OPTIFLO(登録商標)H400 増粘剤(Sud-Chemie) 5%
モルホリンオレアート 5%
水 59%
【0106】
実施例12:
テキサノール 30%
UVA2 1%
HALS4 0.6%
VISCALEX(登録商標)HV30 2%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
水 66.1%
【0107】
実施例13:
高粘度シリコーン 15%
低粘度シリコーン 10%
UVA1 0.5%
HALS2 0.5%
乳化剤 4%
乳化剤 4%
VISCALEX(登録商標)AT89/ISOPAR(登録商標)H 1:1 2%
水 64%
【0108】
20rpmで回転させた#4スピンドルを用いたBrookfield Viscometerで測定したとき1000〜2000cpsになるように、必要に応じて、標準法で上記組成物の粘度を調整した。ポリマー表面にスプレーすることで、あるいは、上記組成物の1種を飽和させたアプリケータ、例えばブラシ、スポンジ、布または紙雑巾で、ポリマー基材の表面全体をなでることで、光処理したポリマー基材にコーティングを塗布した。
【0109】
実施例14:
以下の配合剤は、薄い膜厚で塗布されるかなり濃厚なコーティングを例示している。
パラフィン油 40%
UVA6 25%
HALS1 10%
Witconate P1059 1%
Triton X100 1%
アミノメチルプロパノール 〜0.3%
Rheovis 152 1%
水 〜12%
水添ひまし油ワックス 〜10%
【0110】
配合物を均質化して、光処理したポリマー基材に布で塗布し、均質な被膜にした。
【0111】
実施例15および16は、前もってUVに暴露したポリマー膜のほうが、非UV暴露ポリマー膜よりも、添加剤を容易に吸収することを示している。
【0112】
実施例15:
本発明の組成物を、光処理した基材に塗布した。本実施例の光暴露は、所要時間よりも長いが、光処理後の添加剤吸収量の増大を示し、また、添加剤の組み込みを測定する方法を説明するのに役立つ。345nmでのUV吸収量を使用して、Perkin Elmer Lambda 800複光束分光計を用いて、存在するUVA量を測定した。
【0113】
UVA3を、樹脂固体に対し1.5重量%含有し、HALSを、樹脂固体に対し1.0重量%含有する、市販の高固体熱硬化性アクリルメラミンオートクリアコートの標準配合物で、クォーツディスクをスピンコートし、250°Fで30分間硬化させた後に、Ziess Interferometerによる測定で約20ミクロン厚の膜を得た。Atlas Ci65 Xenon Weatherometer内で、ボロシリケートのインナーおよび/またはアウターフィルターを使用して、SAE J 1960のサイクルに従い、0.55W/m2で500時間、ディスクを暴露した。
【0114】
500時間の光暴露後、吸収スペクトルを得て、サンプルを以下の配合物の1つで処理し、55℃で24時間オーブン内で保存した。その後、サンプルを最初に水/食器用洗剤の混合物で、次いでイソプロパノール/水の混合物で、十分に洗浄し、UV吸収スペクトルを測定した。サンプルの1セットは、処理をせず、比較用とした。
【0115】
本発明の両安定剤含有コーティング組成物は、以下を含有する:
非イオン性中粘度のポリジメチルシロキサンの60%水性エマルション 10g
水 90g
増粘剤 1.5g
アミノメチルプロパノール 0.5g
グリコール 1.2g
【0116】
配合剤Aはさらに、UVA1 1.2gを含有する。
配合剤Bはさらに、UVA1 1.2gおよびHALS1 1.2gを含有する。
【0117】
データを下記の表に示す。
ディスク 膜厚 347nmでの吸収量
0時間 光 500時間 AT 500時間
非処理
1−1 20.5ミクロン 1.345 1.243 −−−−−
1−2 20.6 1.394 1.295 −−−−−
1−3 22.8 1.456 1.343 −−−−−
【0118】
配合剤Aで処理
2−1 22.5ミクロン 1.368 1.254 >4
2−2 21.4 1.427 1.319 >4
2−3 22.8 1.466 1.375 >4
【0119】
配合剤Bで処理
3−1 23.2ミクロン 1.375 1.280 2.544
3−2 20.9 1.294 1.187 2.373
3−3 22.2 1.302 1.209 2.408
【0120】
ATは、本発明の組成物の処理後に得た吸収量データである。
【0121】
実施例16:
実施例15からの配合物Aを、風雨にさらしてない、非安定化サンプルに塗布した。345nmでのUV吸収量を用いて、存在するUVA量を測定した。
【0122】
光安定剤が存在しない以外は実施例15と同様の、市販の高固体熱硬化性アクリルメラミンオートクリアコートの標準配合剤で、クォーツディスクをスピンコートし、250°Fで30分間硬化させた後に、Ziess Interferometerによる測定で約30ミクロン厚の膜を得た。
【0123】
サンプルを、実施例15からの配合物Aで処理した。サンプルを2、4および8時間(放置時間)屋外に置き、それから上記のとおり十分に洗浄した。別のサンプルを、55℃で24時間オーブン内で保存し、上記のとおり十分に洗浄した。UV吸収スペクトルを処理の前後で測定した。
【0124】
ディスク 放置時間 347nmでの吸収量
BT AT
5 2時間 0.044 0.067
6 4時間 0.044 0.074
7 8時間 0.044 0.618
8 55℃ 24時間 0.045 0.222
【0125】
BTは、本発明の組成物の処理前に得た吸収量データである。
ATは、本発明の組成物の処理後に得た吸収量データである。
【0126】
どのケースにおいても、UVA1は、サンプル膜によって吸収されたが、実施例16のサンプルのいずれも、実施例15のディスク2−1、2−2、2−3のサンプルと同程度には、吸収しなかった。
【0127】
実施例17:
市販の二軸延伸ポリプロピレン包装膜および配合ポリプロピレンキャスト膜を、100%出力でのH電球を使って、14フィート/分の速度でFusion 600 watt VPS UV硬化装置に1回通して、次に、実施例16の手順に従って配合物Aで処理した。345nmでのUV吸収量を用いて、存在するUVA量を測定した。
【0128】
実施例18:
実施例17のプロセスを30フィート/分の速度で繰り返した。
【0129】
実施例19:
硬化装置に膜を2回通した以外、実施例18のプロセスを繰り返した。
【0130】
実施例20:
硬化装置に膜を4回通した以外、実施例19のプロセスを繰り返した。
【0131】
実施例21:
硬化装置に膜を8回通した以外、実施例18のプロセスを繰り返した。
【0132】
実施例22:
基材として、ポリプロピレン膜の代わりにポリエステルプラークおよびポリカーボネートプラークを使用した以外、実施例18のプロセスを繰り返した。
【0133】
実施例23:
基材として、ポリプロピレン膜の代わりにTPOバンパーを使用した以外、実施例22のプロセスを繰り返した。
【0134】
実施例24:
本発明の組成物を、光処理した基材に塗布した。クォーツディスクを光開始剤Irgacure 2959(4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ2−プロピルケトン)3%を含有する、脂肪族エポキシアクリラート/脂肪族ウレタントリアクリラート/TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリラート)/TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリラート)(48/32/8/12重量%)をベースとする、UV−硬化性クリアコート配合物の標準配合物でスピンコートした。コーティングをスピンコートで、1.5インチ径のクォーツディスクに、約25ミクロンの膜厚に塗布し、2個の80W/cm H型水銀電球を使用して、10メートル/分の速度で2回通過させて硬化した。膜厚を、Zeiss interferometerを使用して測定した。
【0135】
ディスクの半数を、次に、同じUV硬化用電球下で、10メートル/分の速度でさらに2回通過させた。
【0136】
ディスクを、処理しないか、実施例16からの配合物の1種で処理した。各配合物で処理したディスクの半数を、60℃で1時間オーブン内で保存し、半数を室温で24時間保存した。
【0137】
サンプルを最初に水/食器用洗剤の混合物で、次に、イソプロパノール/水の混合物で洗浄し、UV吸収スペクトルを測定した。
【0138】
未処理のディスクは、オーブンと室温とで保存した両方とも、ベンゾトリアゾールUV吸収剤に典型的なUV吸収スペクトルを示さなかった。
【0139】
配合物Aで処理したディスクは、ベンゾトリアゾールUVA3に典型的なUV吸収スペクトルを示した。オーブン処理したサンプルの吸収量は、室温で処理したものよりも高い吸収量を示した。
【0140】
配合剤Bで処理したディスクもまた、ベンゾトリアゾールUVA3に典型的なUV吸収スペクトルを示した。オーブン処理したサンプルの吸収量は、室温で処理したものよりも高い吸収量を示し、両サンプルが、配合物Aで処理したサンプルよりも、幾分低い吸収量を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加剤をポリマー基材に組み込む方法であって、
1種または複数種の添加剤を基材中に拡散させるのに十分な時間、ポリマー基材上にコヒーレント層を保持するのに十分な粘度または膜形成特性を有する非反応性の担体を配合した、1種または複数種の有効量の添加剤を含む、除去可能なコーティング組成物を調製する工程;
ポリマー基材の表面を、除去可能なコーティング組成物の1種または複数種の添加剤の基材への拡散を高めるのに十分な時間、光で処理する工程;
光での処理後、1種または複数種の添加剤を含有する除去可能なコーティング組成物をポリマー基材上に塗布する工程;および
1種または複数種の添加剤を基材に拡散させるのに十分な時間、コーティング組成物をポリマー基材と接触させておく工程、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも1種の添加剤が、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1種または複数種の添加剤が、組成物の重量に基づいて、合計で、約0.1%〜約10重量%存在する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
20rpmで回転させた#4スピンドルを用いたBrookfield Viscometerで測定したとき、コーティング組成物が、約500〜約10,000cpsの粘度を有する液体である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
除去可能なコーティング組成物が、ゲル、油、またはワックス状固体であり、添加剤を組成物の全重量に基づいて約5〜約50重量%含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ポリマー基材が、除去可能なコーティングの塗布に先立ち、最低限で約1J/cmの光線量に暴露される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
光線量が、約3〜約250J/cmである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
除去可能なコーティングの塗布に先立ちポリマー基材を処理するのに使用する光が、190〜450nmの波長を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ポリマー基材が、金属、ポリマー、木材、複合材料、セラミック、またはガラス繊維の基材上の硬化させたコーティングである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
コーティングが、アクリル/メラミン、アクリル/ウレタン、ポリエステル/ウレタン、エポキシ/酸、およびシリコーン含有のコーティングからなる群から選択される自動車用コーティングである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ポリマー基材が、熱可塑性品である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性品が、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性ポリオレフィン、PVC、スチレン類、ポリアミド、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、イオノマー、不飽和ポリエステル樹脂、天然ゴム、合成ゴム、およびそれらのブレンドからなる群から選択される樹脂からなる、請求項12記載の方法。
【請求項13】
ポリマー基材が、熱硬化性または熱可塑性膜である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ポリマー基材が、ポリマーと、木材、ガラス、粘土、または無機物質の、粒子、ナノ粒子または繊維とを含む複合材料である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール類、オルトヒドロキシベンゾフェノン類、トリフェニルトリアジン類、ベンジリデンマロナート類、シアノアクリラートおよびオキサニリド類からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項16】
紫外線吸収剤が、
2−(3'−t−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2−〔3'−t−ブチル−5'−(2−メトキシカルボニルエチル)−2'−ヒドロキシフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物、
2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(α,α−ジメチルベンジル)−5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、
5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンとα−クロロプロピオン酸エステルの混合物(C7〜C9アルコールの異性体混合物から製造)との反応生成物、
2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3'−ドデシル−5'−メチル−2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2'−ヒドロキシ−5'−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、
ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロナート、および
2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、
からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項17】
ヒンダードアミン光安定剤が、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5.1.11.2〕ヘンエイコサン−20−プロパン酸、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−、ドデシルエステル、
3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2,5−ピロリジンジオン、
1−アセチル−4−(3−ドデシル−2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、および
2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、
からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項18】
コーティング組成物が、抗酸化剤、染料、蛍光増白剤、流れ調整剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、スリップ剤、架橋剤、架橋補助剤、ハロゲンスカベンジャー、防煙剤、防炎剤、防腐剤および殺生物剤からなる群から選択される添加剤を1種以上含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
ポリマー基材が、約30℃〜約70℃の温度で約0.5〜約24時間、オーブンまたは加熱した領域内で保持される、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2009−531488(P2009−531488A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502007(P2009−502007)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052376
【国際公開番号】WO2007/110324
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】