説明

ポリマー組成物

組成物は液体媒体中に懸濁した、不完全に水和した水溶性ポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマー、特に、グアー、グアー誘導体、デンプン及びセルロースポリマーなどのポリサッカリドポリマーは、食品、パーソナルケア組成物、農薬組成物、及び、油田用途における使用のためのフラクチャリング流体などの組成物を含む、種々の用途に使用される市販材料である。
【0003】
多くの用途において、乾燥粉末の形態のポリマーを水性媒体に添加しそして溶解して、粘性水溶液を形成する。
【0004】
幾つかの用途において、高いポリマー含有分を有しそして所望の最終使用濃度へと簡単に希釈されうる液体濃厚物を提供することが望まれている。このアプローチは困難であることがあり、たとえば、濃縮水性ポリサッカリドポリマー溶液は高度に粘性でありそして取り扱いが困難である傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好な取り扱い性及び良好な貯蔵安定性を示す便利な形態のポリマーを提供することに対する興味が継続的に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様において、本発明は、液体媒体中に懸濁した、100質量部の組成物を基準として2.5質量部を超える量の不完全に水和した水溶性ポリマーを含む組成物に関する。
【0007】
第二の態様において、本発明は、水性媒体中に懸濁した、100質量部の組成物を基準として2.5を超え、約8質量部までのグアーポリマーを含む組成物であって、前記ポリマーは重量平均分子量が約100,000〜5,000,000グラム/モルであり、そして前記組成物は
(a)0.01s−1未満の剪断速度で5Pa.s以上の粘度、及び、
(b)10s−1を超える剪断速度で5Pa.s未満の粘度
を示す、組成物に関する。
【0008】
第三の態様において、本発明は、水性液体媒体、該水性液体媒体中に分散した不完全に水和した水溶性ポリマー、及び、該水溶性ポリマーの水和を抑制するための水和抑制剤の混合物を含むポリサッカリド組成物の製造方法であって、
前記液体媒体と前記水和抑制剤とを混合すること、及び、
前記水溶性ポリマーを、水性液体及び水和抑制剤の混合物と混合し、前記水溶性ポリマーを分散させることを含む方法に関する。
【0009】
第四の態様において、本発明は、100質量部の組成物を基準として、液体媒体、該液体媒体中に分散した、2.5質量部以下の量の非誘導化グアーポリマー及び誘導化グアーポリマーから選ばれる不完全に加水分解した水溶性ポリマー、
ヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー調節剤ポリマー、非誘導化グアーポリマー又は誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる、懸濁剤、及び、
界面活性剤化合物、非界面活性水溶性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる水和抑制剤、
を含む組成物に関する。
【0010】
第五の態様において、本発明は、
水及び水不混和性有機液体を含む水性液体媒体、
水及び水不混和性有機液体を乳化するための乳化剤、及び、
前記液体媒体中に分散した、不完全に加水分解した水溶性ポリマー、
を含み、エマルジョン、マイクロエマルジョン又はサスポエマルジョンの形態である、組成物に関する。
【0011】
第六の態様において、本発明は、
植物油、アルキル化植物油、極性プロトン性有機液体及びそれらの混合物から選ばれる非水性液体を含む非水性液体媒体、及び、
前記非水性液体媒体中に分散した、不完全に加水分解した水溶性ポリマー、
を含む組成物に関する。
【0012】
第七の態様において、本発明は、
100質量部の組成物を基準として、
液体媒体、
2.5質量部を超える量の水溶性ポリマーであって、ここで、該水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてかかる粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散している水溶性ポリマー、及び、
場合により、前記液体媒体中に溶解した又は分散した懸濁剤、及び、場合により、前記液体媒体中に溶解した又は分散した水和抑制剤、
を含む組成物に関する。
【0013】
第八の態様において、本発明は、
100質量部の組成物を基準として、
水性液体媒体、
2.5質量部以下の量の水溶性ポリマーであって、ここで、該水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてかかる粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散している水溶性ポリマー、及び、
前記液体媒体中に溶解した又は分散した懸濁剤、及び、
前記液体媒体中に溶解した又は分散した水和抑制剤、
を含む組成物に関する。
【0014】
第九の態様において、本発明は、
水及び水不混和性有機液体を含む液体媒体、
水及び水不混和性有機液体を乳化するための乳化剤、
ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリサッカリドポリマーであって、ここで、水溶性ポリサッカリドポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態であり、そしてかかる粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散している水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
場合により、前記液体媒体中に溶解又は分散しているヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー調節剤ポリマー、誘導化グアーポリマー又は非誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる、懸濁剤、
を含み、エマルジョン、マイクロエマルジョン又はサスポエマルジョンの形態である組成物に関する。
【0015】
第十の態様において、本発明は、
植物油、アルキル化植物油、極性プロトン性有機液体及びそれらの混合物から選ばれる非水性液体を含む非水性液体媒体、
ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリサッカリドポリマーであって、ここで、該水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてかかる粒子の少なくとも一部は前記非水性液体媒体中に分散している水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
場合により、前記非水性液体媒体中に分散しているヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子及びそれらの混合物から選ばれる、懸濁剤、
を含む組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は例1の水性ヒドロキシプロピルグアー懸濁液に関する、パスカル秒(Pa.s)で表現する粘度vs秒の逆数(1/s)で表現する剪断速度のプロットを示す。
【0017】
【図2】図2は例1の水性ヒドロキシプロピルグアー懸濁液に関する、剪断速度(秒の逆数(1/s))vsパスカル(Pa)で表現する剪断応力のプロットを示す。
【0018】
【図3】図3は例2の水性ポリアクリルアミド懸濁液に関する、パスカル秒(Pa.s)で表現する粘度vs秒の逆数(1/s)で表現する剪断速度のプロットを示す。
【0019】
【図4】図4は例2の水性ポリアクリルアミド懸濁液に関する、剪断速度(秒の逆数(1/s))vsパスカル(Pa)で表現する剪断応力のプロットを示す。
【0020】
【図5】図5(a)は例3の組成物のサンプルの写真を示す。
【0021】
図5(b)は比較例C3のサンプルの写真を示す。
【0022】
【図6】図6は例3の組成物に関する、パスカル秒(Pa.s)で表現する粘度vs秒の逆数(s−1)で表現する剪断速度のプロットを示す。
【0023】
【図7】図7は比較例C4の組成物に関する、パスカル秒(Pa.s)で表現する粘度vs秒の逆数(s−1)で表現する剪断速度のプロットを示す。
【0024】
【図8】図8は例5の組成物に関する、パスカル秒(Pa.s)で表現する粘度vs秒の逆数(s−1)で表現する剪断速度のプロットを示す。
【0025】
【図9】図9(a)は例6の組成物の光学顕微鏡写真を示す。
【0026】
図9(b)は例C6の組成物の光学顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書中に使用されるときに、「液体媒体」は25℃の温度及び1気圧の圧力で液相である媒体を意味する。液体媒体は非水性液体媒体又は水性液体媒体であることができる。
【0028】
1つの実施形態において、液体媒体は非水性液体媒体である。本明細書中に使用されるときに、用語「非水性媒体」は痕跡量以下の水を含む単相液体媒体を意味し、通常、100質量部(pbw)の非水性媒体を基準として0.1pbw以下の水である媒体を意味する。適切な非水性液体媒体としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジエチルエーテル、炭化水素オイルなどの非極性有機液体、ジクロロメタン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフランなどの極性非プロトン性有機液体、及び、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル及びエチレングリコールフェニルエーテルなどの極性プロトン性有機液体を含む、有機液体、ならびに、このような液体の混合物が挙げられる。1つの実施形態において、非水性媒体はすべての割合で水と混和性でない有機液体(「水不混和性有機液体」)、たとえば、非極性有機液体、長鎖、たとえば、C以上のアルコール、脂肪酸エステル及びアルキル化脂肪酸エステルを含む。適切な脂肪酸エステルとしては、ブチルミリステート、セチルパルミネート、デシルオレエート、グリセリルラウレート、グリセリルリシノレエート、グリセリルステアレート、グリセリルイソステアレート、ヘキシルラウレート、イソブチルパルミテート、イソセチルステアレート、イソプロピルイソステアレート、イソプロピルラウレート、イソプロピルリノレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールリシノレエート、プロピレングリコールステアレート及びプロピレングリコールイソステアレートなどの(C12〜C22)カルボン酸のアルキルもしくはヒドロキシルアルキルエステル及びそれらの混合物、たとえば、ヒマシ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、ナタネ油、サフラワーシード油、ゴマ油及び大豆油などの植物油、及び、(C12〜C22)カルボン酸の(C〜C)アルキル化エステル、たとえば、メチル化ナタネ油及びメチル大豆油が挙げられる。
【0029】
1つの実施形態において、液体媒体は水性液体媒体である。本明細書中で使用されるときに、用語「水性媒体」は痕跡量を超える水を含む単相液体媒体を意味し、通常、100pbwの水性媒体を基準として0.1pbwを超える水である媒体を意味する。適切な水性媒体は、より通常には、100pbwの水性媒体を基準として約5pbwを超え、さらにより通常には、10pbwを超える水を含む。1つの実施形態において、水性エマルジョンは、100pbwの水性媒体を基準として40pbwを超える水を含み、より通常には、50pbwを超える水を含む。水性媒体は、場合により、水性媒体中に溶解した水溶性もしくは水混和性成分をさらに含んでよい。用語「水混和性」は、本明細書中に使用されるときに、すべての割合で水と混和性であることを意味する。適切な水混和性有機液体としては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの(C〜C)アルコール、及び、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコールなどの(C〜C)ポリオールが挙げられる。本発明の組成物は、場合により、1種以上の水不溶性もしくは水不混和性成分、たとえば、水不混和性有機液体をさらに含んでよく、ここで、組み合わされた水性媒体及び水不溶性もしくは水不混和性成分はマイクロエマルジョン又は多相系、たとえば、エマルジョン、懸濁液又はサスポエマルジョンを形成し、ここで、水性媒体は水不溶性もしくは水不混和性成分の連続相中に分散された不連続相の形態であり、又は、より通常には、水不溶性もしくは水不混和性成分は水性媒体の連続相中に分散された不連続相の形態である。
【0030】
本明細書中に使用されるときに、本発明の水溶性ポリマー成分に関して、用語「水和」は、水溶性ポリマーの置換基、通常、親水性置換基、たとえば、ヒドロキシル基と、水分子、たとえば、水性媒体の水分子との、たとえば、水素結合による結合を意味する。水溶性ポリマーが水和される程度は非水和から完全な水和までの範囲であることができ、2つの両極端の間に部分水和度がある。下記により完全に議論されるとおり、水溶性ポリマーは本発明の組成物の粘度に寄与することができ、寄与度の大きさは水溶性ポリマーの水和度に依存する。水溶性ポリマーの水和度は、このように、水溶性ポリマーが組成物の粘度に与える寄与度の大きさに基づいて特徴化されうる。
(a)本明細書中で参照されるときに、「非水和」水溶性ポリマーは組成物の粘度に有意に寄与しない。一般に、非水和水溶性ポリマーは液体媒体の連続相中に分散した不連続相、たとえば、明確な粒子の形態であり、理想的には、ポリマーの親水性置換基と、液体媒体中に存在する水分子との相互作用がない。水性媒体の場合には、一般に、相の界面、たとえば、粒子の外側表面において、ポリマーの親水性置換基と、水性媒体の水分子との間に少なくともある程度の相互作用があるであろう。非水和水溶性ポリマーの場合には、非水和水溶性ポリマーの親水性置換基間の相互作用はポリマーの親水性置換基と水性媒体中に存在する水分子との間の相互作用を上回り、非水和水溶性ポリマーのポリマー鎖は緻密で、畳まれたコンフォメーションであり、そして、液体媒体が水性媒体である場合には、非水和水溶性ポリマーは水性媒体中に溶解せず、そして水性媒体の連続相中に分散した不連続相の形態のままであるものと信じられる。
(b)本明細書中で参照されるときに、「完全水和」水溶性ポリマーは水溶性ポリマーが可能とする最大限の寄与度で組成物の粘度に寄与する。完全に水和した水溶性ポリマーにおいて、水溶性ポリマーの親水性置換基と、水分子との間の結合は親水性置換基間の相互作用を上回り、完全に水和した水溶性ポリマーもポリマー鎖は、このため、展開されたランダムコイルコンフォメーションであり、そして、液体媒体が水性媒体である場合には、水性媒体及び完全水和水溶性ポリマーは単一層を形成し、すなわち、完全水和水溶性ポリマーは水性媒体中に溶解するものと信じられる。
(c)本明細書中で参照されるときに、「部分水和」水溶性ポリマーはポリマーの親水性置換基の一部が水分子と結合した水溶性ポリマーである。比較的に低いレベルの水和では、部分水和水溶性ポリマーは組成物の粘度に比較的に低い寄与度を示し、一方、比較的に高いレベルの水和では、所与の媒体中での所与の量の部分水和水溶性ポリマーの粘度寄与度はその量の水溶性ポリマーが完全に水和されたときにその媒体中に寄与することができる最大限の寄与度まではいかないが、それに近づく。水和が増加すると、水溶性ポリマーの粒子が膨潤し、膨潤した水溶性ポリマーの塊の内部の親水性置換基を含む水溶性ポリマーの多くの数の親水性置換基は水分子と結合するようになり、そして完全な水和に達したときに、水溶性ポリマーの鎖は累進的に展開し、そして展開されたランダムコイルコンフィグレーションに近づく。
【0031】
「非水和」及び「部分水和」は「不完全水和」として本明細書中で集合的に参照される。
【0032】
水溶性ポリマーの水和度は粘度測定により特性化されうる。たとえば、下記により詳細に記載されるとおりの所与の量の水性媒体中での所与の量の提案される水和抑制剤の存在下での所与の剪断条件での所与の量の水溶性ポリマーの粘度(「試験組成物」)は、提案される水和抑制剤の非存在下での同一量の水性媒体中の同一量の水溶性ポリマーの粘度(「ベースライン組成物」)と比較されうる。もし、試験組成物の粘度がベースライン組成物の粘度を等しいならば、試験組成物の水溶性ポリマーは完全水和である(そして提案される水和抑制剤はポリマーの水和を抑制するために試験された量で無効である)と認められる。もし、試験組成物の粘度がベースライン組成物の粘度よりも低いならば、試験組成物の水溶性ポリマーは不完全水和である(そして提案される水和抑制剤はポリマーの水和を抑制するために試験された量で有効である)と認められる。
【0033】
1つの実施形態において、液体媒体は水性液体媒体であり、水溶性ポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態である。1つの実施形態において、液体媒体は水性液体媒体であり、水溶性ポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態であり、そしてこのような粒子の少なくとも一部は水性液体媒体中に分散しており、より通常には、懸濁している。本発明の組成物中のこのような粒子の存在は、たとえば、光学顕微鏡により検知されうる。
【0034】
1つの実施形態において、本発明の組成物は10s−1以上の剪断速度において、10Pa.s未満、より通常には、約0.1〜10Pa.s未満、さらにより通常には、約0.1〜5Pa.s未満の粘度を示す。
【0035】
1つの実施形態において、本発明の組成物は非ニュートン性「ずり流動化」粘度を示し、すなわち、所与の範囲の剪断応力で、剪断応力の増加とともに粘度が低下する。流動挙動の2つの一般的な概して認識されているカテゴリー、すなわち、塑性流動挙動及び擬塑性流動挙動は、各々、ずり流動化流動挙動を含む。
【0036】
1つの実施形態において、本発明の組成物は塑性流動挙動を示す。本明細書中に使用されるときに、組成物の流動挙動に関する用語「塑性」は特徴的な「降伏強さ」、すなわち、組成物の流動を開始するために要求される最小剪断応力を示し、そして降伏強さを超えるある範囲の剪断応力にわたってずり流動化を示す組成物を意味する。塑性組成物は降伏強さを下回る剪断応力に付したときに流動性を示さず、そして降伏強さを超える剪断応力に付したときに流動し、ここで、降伏強さを超える中間的な範囲にわたって、組成物は、通常、剪断応力の増加とともに減少する非ニュートン性粘度を示し、すなわち、ずり流動化挙動を示し、そして、剪断応力の中間的な範囲を超える剪断応力では、組成物は剪断応力とともに変化しない粘度を示し、すなわち、ニュートン性流動挙動を示すことができる。
【0037】
1つの実施形態において、本発明の組成物は擬塑性流動挙動を示す。本明細書中に使用されるときに、組成物の流動挙動に関する用語「擬塑性」は前記組成物が剪断応力の増加とともに低下する粘度を示し、すなわち、ずり流動化挙動を示すことを意味する。
【0038】
各場合に、塑性もしくは擬塑性レオロジー性を有する組成物は低い剪断応力で流動に抗するが、ボトル中で振盪され又はオリフィスをとおして絞られるなどの高剪断応力に付されたときに、組成物は流動し、そして容易にポンプ送りし、注ぎ又は容器から取り出すことができる。一般に、沈降もしくは貯蔵条件は低い剪断プロセスであり、剪断速度は約10−6(1/s、又は、等しくはs−1)〜約0.01s−1の範囲であり、そしてポンプ送り又は注ぎは剪断速度が約1s−1以上、より通常には100s−1〜10,000s−1、さらにより通常には、100s−1〜1,000s−1の範囲の比較的に高剪断のプロセスである。
【0039】
1つの実施形態において、本発明の組成物は約1pbwから、又は、約1.5pbwから、又は約2pbwから、又は、2.5pbwを超え、約30pbwまで、又は、約25pbwまで、又は、約20pbwまで、又は、約15pbwまで、又は、約12pbwまでの水溶性ポリマーを含み、そして、10s−1以上の剪断速度において、10Pa.s以下、より通常には、約0.1〜10Pa.s以下、さらにより通常には、約0.1〜5Pa.s以下の粘度を示す。
【0040】
1つの実施形態において、本発明の組成物は低い剪断応力貯蔵条件下に沈降又は分離に抗し、高い剪断応力条件下ではになおもポンプ送り可能である。1つのこのような実施形態において、本発明の組成物は0.01s−1以下の剪断速度において、約1〜約1000Pa.s、より通常には、5〜約800Pa.s、さらにより通常には、約10〜約500Pa.sの粘度を示し、そして10s−1以上、より通常には、100s−1以上の剪断速度において、0.01s−1以下の剪断速度で示す粘度よりも低い粘度、通常、10Pa.s未満、より通常には、約0.1〜10Pa.s未満、さらにより通常には、約0.1〜5Pa.s未満の粘度を示す。
【0041】
1つの実施形態において、本発明の組成物は0.01s−1以下の剪断速度において、10Pa.s以上の粘度を示し、そして10s−1以上、より通常には、100s−1以上の剪断速度において、10Pa.s未満の粘度を示す。
【0042】
1つの実施形態において、本発明の組成物は0.01s−1以下の剪断速度において、5Pa.s以上の粘度を示し、そして10s−1以上、より通常には、100s−1以上の剪断速度において、5Pa.s未満の粘度を示す。
【0043】
1つの実施形態において、本発明の組成物は0.01s−1以下の剪断速度において、1Pa.s以上の粘度を示し、そして10s−1以上、より通常には、100s−1以上の剪断速度において、1Pa.s未満の粘度を示す。
【0044】
1つの実施形態において、組成物は0Paを超え、より通常には、0.01Paを超え、さらにより通常には、約0.01〜約10Pa、なおもより通常には、約0.1〜約5Paの降伏強さを示す。
【0045】
1つの実施形態において、本発明の組成物はチクソトロピー性をも示す。本明細書中に使用されるときに、組成物の流動特性に関する用語「チクソトロピー性」は時間依存的な非ニュートン性ずり流動粘度を示し、すなわち、剪断応力の増加により生じる組成物の粘度の低下が可逆的であり、剪断応力を中止したときに組成物が元の状態に戻ることを意味する。
【0046】
1つの実施形態において、本発明の組成物は懸濁剤をさらに含み、その懸濁剤は、通常、組成物にずり流動化粘度を付与し、降伏強さを付与し、又は、ずり流動化粘度及び降伏強さを付与するのに有効な量で液体媒体中に分散されており、一般に、本発明の組成物100pbwを基準として、0pbwを超え、約10pbwまで、より通常には、約0.2〜約5pbw、そしてさらにより通常には、約0.5〜約5pbwの懸濁剤の量で分散されている。
【0047】
1つの実施形態において、懸濁剤は、シリカ、より通常には、ヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、より通常には、クレー、レオロジー改質剤ポリマー及びそれらの混合物から選ばれる。液体媒体が水性媒体である1つの実施形態において、懸濁剤は、水溶性ポリマーとは異なり、そして水溶性ポリマーよりも容易に加水分解されるポリサッカリドポリマーを含む。たとえば、キサンタンガムは水性媒体に溶解し、そして水性媒体中で不完全に加水分解したグアー粒子を懸濁させるための懸濁剤として使用されうる。
【0048】
1つの実施形態において、液体媒体は水性媒体であり、そして水溶性ポリマーは不完全に加水分解されており、そしてそれ自体が水膨潤された粘性塊を形成することにより懸濁剤の機能を発揮し、その粘性塊は同量の完全水和状態の同水溶性ポリマーよりも低い粘度を有し、そして別個の懸濁剤は必要とされない。
【0049】
1つの実施形態において、本発明の組成物は水和抑制剤をさらに含み、その水和抑制剤は、通常、液体媒体中に、水性媒体中での水溶性ポリサッカリドの水和を抑制するのに有効な量で、それにより、本発明の組成物のポリサッカリドポリマー成分が不完全に水和される量で溶解され、一般に、100pbwの水性媒体を基準として、0pbwを超え、約70pbwまで、より通常には、約15〜約60pbw、さらにより通常には、約20〜約50pbwの水和抑制剤の量で溶解される。水和抑制剤成分の使用は、通常、液体媒体が水性媒体である本発明の組成物の実施形態において最も有利である。
【0050】
1つの実施形態において、水和抑制剤は、界面活性剤、水溶性非界面活性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる。本明細書中に使用されるときに、用語「非界面活性塩」はア二オン性、カチオン性、双性イオン性又は両性界面活性剤でない塩を意味し、そして、塩でありかつその主要な活性が界面の表面張力の変性以外の活性である活性成分、たとえば、農薬活性成分又は医薬活性成分を含む。用語「水分散性有機溶剤」は水混和性有機液体及び水中に分散性でありうる水不混和性液体を含み、たとえば、水不混和性有機液体の水中のエマルジョンの形態であることができる。
【0051】
本発明の組成物の懸濁剤及び/又は水和抑制剤は各々1つより多くの機能を発揮して良いことが評価されうる。たとえば、本発明の組成物中に水和抑制剤として機能する界面活性剤化合物はクリーニング組成物などの最終使用用途において所望の機能、たとえば、洗浄性の機能を発揮してもよく、又は、本発明の組成物中で水和抑制剤として機能する塩は医薬又は農薬組成物などの最終使用用途において所望の機能、たとえば、生物学的活性を発揮してもよい。
【0052】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には、約1pbwから、さらにより通常には、約2pbwから、なおもより通常には、2.5pbwを超え、約30pbwまで、より通常には、約25pbwまで、さらにより通常には、約20pbwまで、なおもより通常には、約12pbwまでの水溶性ポリマーを含む。
【0053】
1つの実施形態において、ポリマーはポリサッカリドポリマーである。ポリサッカリドポリマーは、通常、多数の親水性、通常には、ヒドロキシル置換基を一分子当たりに有し、より通常には、ポリサッカリドポリマーの1モノマー単位当たりに1個以上のヒドロキシル基を有する。
【0054】
ポリサッカリドポリマーの重量平均分子量が約10,000,000グラム/モル(g/mol)以下であり、より通常には約5,000,000グラム/モル以下であり、より通常には約100,000〜約4,000,000g/molであり、さらにより通常には約500,000〜約3,000,000g/molである1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、約15pbwまで、より通常には約1〜約12pbw、さらにより通常には約2〜約10pbw、なおもより通常には2.5pbwを超え、約8pbwまでのポリサッカリドポリマーを含む。ポリサッカリドポリマーの重量平均分子量は光散乱又は屈折率検知とともにゲルパーミエーションクロマトグラフィーなどの既知の方法により決定されうる。本明細書中に一般に使用されるとおり、すなわち、「誘導化」又は「非誘導化」などの明示の限定が存在しない場合には、用語「グアーポリマー」は集合的に非誘導化ポリサッカリドポリマー及び誘導化ポリサッカリドポリマーを指す。
【0055】
ポリサッカリドポリマーが約100,000g/mol未満の分子量の脱重合化グアーである1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、約50pbwまで又は約30pbwまで、より通常には約0.1pbwから、又は約1pbwから、約25pbwまで、さらにより通常には約1.5〜約20pbw、なおもより通常には約2pbw〜約15pbw、なおもより通常には2.5pbwを超え、約12pbwまでのポリサッカリドポリマーを含む。
【0056】
1つの実施形態において、本発明の組成物は液体媒体、より通常には、水性媒体中に懸濁した2.5pbwを超え、約8pbwまでのグアーポリマーを含み、ここで、ポリマーは重量平均分子量が約100,000g/molから、より通常には約500,000g/molから約5,000,000、より通常には約4,000,000g/molまで、さらにより通常には約3,000,000g/molまでであり、そして組成物は、0.01s−1未満、より通常には0.001s−1未満の剪断速度において、5Pa.s以上、より通常には10Pa.s以上の粘度を示し、そして10s−1を超え、より通常には、100s−1を超える剪断速度において、0.01s−1以下の剪断速度で示される粘度よりも低い粘度、通常には、10Pa.s未満、より通常には、5Pa.s未満の粘度を示す。
【0057】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、
(a)液体媒体、
(b)不完全に水和した水溶性ポリマー、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態であり、その少なくとも一部は液体媒体中に分散されており、より通常には、懸濁しているポリマー、及び、
(c)組成物にずり流動化特性を付与するのに有効な量の懸濁剤、
を含む。
【0058】
1つの実施形態において、液体媒体は非水性媒体であり、そしてポリマーはポリサッカリドポリマーである。
【0059】
1つの実施形態において、液体媒体は水性媒体であり、そしてポリマーはポリサッカリドポリマーである。
【0060】
1つの実施形態において、液体媒体は水性媒体であり、そして本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、
(a)0pbwを超え、より通常には約10pbw以上であり、さらにより通常には約30pbw以上であり、なおもより通常には約40pbw以上である水、
(b)0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、又は、約1pbwから、より通常には約1.5pbwから、さらにより通常には約2pbwから、さらになおもより通常には約2.5pbwを超え、又は、約3pbwから、又は、約4pbwから、約50pbwまで、又は約30pbwまで、より通常には約25pbwまで、より通常には約20pbwまで、さらにより通常には約15pbwまで、なおもより通常には約12pbwまでの不完全に水和した水溶性ポリサッカリドポリマー、ここで、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、このような粒子の少なくとも一部は液体媒体中に分散され、より通常には、懸濁されている水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
(c)0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、さらにより通常には約0.2pbwから、なおもより通常には約0.5pbwから、約10pbwまで、より通常には約5pbwまでの懸濁剤、
を含む。
【0061】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、
(a)水性媒体、
(b)不完全に水和した水溶性ポリサッカリドポリマー、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態であり、その少なくとも一部は水性媒体中に分散されており、より通常には、懸濁されている水溶性ポリサッカリドポリマー、
(c)組成物にずり流動化特性を付与するのに有効な量の懸濁剤、及び、
(d)水性媒体中で水溶性ポリサッカリドの水和を抑制するのに有効な量の水和抑制剤、
を含む。
【0062】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、
(a)0pbwを超え、より通常には約10pbw以上であり、さらにより通常には約30pbw以上であり、なおもより通常には約40pbw以上である水、
(b)0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、又は、約1pbwから、なおもより通常には約1.5pbwから、さらにより通常には約2pbwから、なおもより通常には約2.5pbwを超え、又は、約3pbwから、又は、約4pbwから、約50pbwまで、又は約30pbwまで、より通常には約25pbwまで、より通常には約20pbwまで、さらにより通常には約15pbwまで、なおもより通常には約12pbwまでの不完全に水和した水溶性ポリサッカリドポリマーであって、ここで、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、このような粒子の少なくとも一部は液体媒体中に分散され、より通常には、懸濁されている水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
(c)0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、さらにより通常には約0.2pbwから、なおもより通常には約0.5pbwから、約10pbwまで、より通常には約5pbwまでの懸濁剤、及び、
(d)0pbwを超え、より通常には約10pbwから、さらにより通常には約15pbwから、なおもより通常には約20pbwから、約70pbwまで、より通常には約60pbwまで、さらにより通常には約50pbwまでの水和抑制剤、
を含む。
【0063】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、
(a)0pbwを超え、より通常には約10pbw以上であり、さらにより通常には約30pbw以上であり、なおもより通常には約40pbw以上である水、
(b)0pbwを超え、又は、約0.1pbwから、約50pbwまで、又は約30pbwまで、より通常には約1〜約25pbw、より通常には約1.5〜約20pbw、さらにより通常には約2〜約15pbw、なおもより通常には約2.5pbwを超え、約12pbwまでの不完全に水和した水溶性ポリサッカリドポリマーであって、ここで、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、このような粒子の少なくとも一部は液体媒体中に分散され、より通常には、懸濁されている水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
(c)0pbwを超え、約10pbwまで、より通常には約0.1〜約10pbw、さらにより通常には約0.2〜約5pbw、なおもより通常には約0.5〜約5pbwの懸濁剤、及び、
(d)0pbwを超え、約70pbwまで、より通常には約10〜約70pbw、さらにより通常には約15〜約60pbw、なおもより通常には約20〜約50pbwの水和抑制剤、
を含む。
【0064】
1つの実施形態において、懸濁剤はシリカであり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0065】
1つの実施形態において、懸濁剤はシリカであり、そして水和抑制剤は非界面活性塩と界面活性剤との混合物である。
【0066】
1つの実施形態において、懸濁剤はクレーであり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0067】
1つの実施形態において、懸濁剤はレオロジー改質剤ポリマーであり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0068】
1つの実施形態において、懸濁剤はシリカとクレーとの混合物であり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0069】
1つの実施形態において、懸濁剤はシリカとレオロジー改質剤との混合物であり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0070】
1つの実施形態において、懸濁剤はクレーとレオロジー改質剤との混合物であり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0071】
1つの実施形態において、懸濁剤はシリカとクレーとレオロジー改質剤との混合物であり、そして水和抑制剤は非界面活性塩、界面活性剤、水分散性有機溶剤、非界面活性塩と界面活性剤との混合物、非界面活性塩と水分散性有機溶剤との混合物、又は、非界面活性塩と界面活性剤と水分散性有機溶剤との混合物である。
【0072】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、
0pbwを超え、又は、約10pbw以上であり、又は、約30pbw以上である水性媒体、より通常には、水、又は、水と水混和性有機液体との混合物、
2.5pbwを超え、又は、約3pbwから、又は、約4pbwから、約50pbwまで、又は約30pbwまで、又は、約25pbwまで、又は、約20pbwまで、又は、約15pbwまで、又は、約12pbwまでの水溶性ポリマーであり、より通常には、水溶性ポリサッカリドポリマー、水溶性非ポリサッカリドポリマーから選ばれる水溶性ポリマーであり、さらにより通常には、ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアー、誘導化グアー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリマーであり、ここで、このような水溶性ポリマーは不完全に水和されており、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、このような粒子の少なくとも一部は液体媒体中に分散され、より通常には、懸濁されている水溶性ポリマー、及び、
0pbwから、又は、0pbwを超え、又は、約0.1pbwから、又は、約0.2pbwから、又は、約0.5pbwから、約10pbwまで、又は、約5pbwまでの懸濁剤であり、シリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、上記水溶性ポリマー以外の水溶性ポリマー、及びそれらの混合物から選ばれ、液体媒体中に溶解又は分散されている懸濁剤、及び、
0pbwから、又は0pbwを超え、又は、約2pbwから、又は、約5pbwから、約30pbwまで、又は約15pbwまで、又は約10pbwまでの水和抑制剤であり、界面活性剤、水溶性非界面活性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれ、液体媒体中に溶解又は分散されている水和抑制剤、
を含む。
【0073】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、
0pbwを超え、又は、約10pbw以上であり、又は、約30pbw以上である、水と水不混和性有機液体との混合物を含む、水性媒体、
水及び水不混和性有機液体を乳化させるのに有効な量の乳化剤であり、より通常には、非イオン系界面活性剤を含み、さらにより通常には、ソルビタン脂肪酸エステル、アリールアルコキシレート、アルコキシル化脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化トリグリセリド、アルコキシコポリマー、アルキルポリグルコシド、アルコキシル化脂肪族アミン及びエーテルアミン、ならびにそれらの混合物から選ばれる非イオン系界面活性剤を含み、より通常には、0pbwを超え、又は約2pbwから、約8pbwまで、又は、約6pbwまでの上記界面活性剤を含む、1種以上の乳化剤、
0pbwから、又は、0pbwを超え、又は、0.1pbwから、又は、約1pbwから、又は、約1.5pbwから、又は、約2pbwから、又は、2.5pbwを超え、又は、約4pbwから、約50pbwまで、又は、約30pbwまで、又は、約25pbwまで、又は、約20pbwまで、又は、約15pbwまで、又は、約12pbwまでの第一の水溶性ポリマーであり、より通常には、水溶性ポリサッカリドポリマー及び水溶性非ポリサッカリドポリマーから選ばれる水溶性ポリマーであり、さらにより通常には、ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアー、誘導化グアー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリマーであり、ここで、このような水溶性ポリマーは不完全に水和されており、より通常には、水溶性ポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態であり、このような粒子の少なくとも一部は液体媒体中に分散され、より通常には、懸濁されている、第一の水溶性ポリマー、及び、
0pbwから、又は、0pbwを超え、又は、約0.1pbwから、又は、約0.2pbwから、又は、約0.5pbwから、約10pbwまで、又は、約5pbwまでの懸濁剤であり、シリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、選択された上記第一の水溶性ポリマー以外の第二の水溶性ポリマー、及び、それらの混合物から選ばれ、液体媒体中に溶解又は分散されている、懸濁剤、及び、
0pbwから、又は0pbwを超え、又は、約2pbwから、又は、約5pbwから、約30pbwまで、又は約15pbwまで、又は約10pbwまでの水和抑制剤であり、界面活性剤、水溶性非界面活性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれ、液体媒体中に溶解又は分散されている、水和抑制剤、
を含み、該組成物はエマルジョン、マイクロエマルジョン又はサスポエマルジョンの形態である。
【0074】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、
0pbwを超え、又は、約10pbw以上であり、又は、約30pbw以上である、非水性液体媒体であり、より通常には、水不混和性有機液体、
0pbwを超え、又は、約0.1pbwから、又は、約1pbwから、又は、約1.5pbwから、又は、約2pbwから、又は、2.5pbwを超え、又は、約4pbwから、約50pbwまで、又は、約30pbwまで、又は、約25pbwまで、又は、約20pbwまで、又は、約15pbwまで、又は、約12pbwまでの水溶性ポリマーであり、より通常には、水溶性ポリサッカリドポリマー及び水溶性非ポリサッカリドポリマーから選ばれる水溶性ポリマーであり、さらにより通常には、ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアー、誘導化グアー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリマーであり、ここで、水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、このような粒子の少なくとも一部は非水性液体媒体中に分散され、より通常には、懸濁されている、水溶性ポリマー、及び、
0pbwから、又は、0pbwを超え、又は、約0.1pbwから、又は、約0.2pbwから、又は、約0.5pbwから、約10pbwまで、又は、約5pbwまでの懸濁剤であり、より通常には、シリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子及びそれらの混合物から選ばれ、非水性液体媒体中に分散されている、懸濁剤、
を含む。
【0075】
適切な水溶性ポリサッカリドポリマーとしては、たとえば、ガラクトマンナン、たとえば、グアー誘導体を含むグアー、キサンタン、ポリフルクトース、たとえば、レバン、デンプン誘導体を含むデンプン、たとえば、アミロペクチン、及び、セルロース誘導体を含むセルロース、たとえば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースアセテートプロピオネートが挙げられる。
【0076】
ガラクトマンナンは、単糖類のマンノース及びガラクトースから主としてなるポリサッカリドである。マンノース要素は元の植物によってさまざまな距離で1,6結合-D-ガラクトピラノシル-残基を含む、数百の(1,4)-β-D-マンノピラノシル残基からなる鎖を形成している。天然のガラクトマンナンは、グアーガム、グアースプリット、ローカストビーンガム及びタラガムを含む多くの源から入手可能である。さらに、ガラクトマンナンは、古典的な合成経路によって得ることができ、又は、天然ガラクトマンナンの化学変性により得ることができる。
【0077】
グアーガムは、マメ科植物のCyamopsis tetragonolobusの種子に見られる粘液を指す。水溶性画分(85%)は「グアラン」と呼ばれ、それは直鎖の(1,4)-β-D-マンノピラノシル単位と、(1,6)結合によって結合されたα-D-ガラクトピラノシル単位からなる。グアラン中のD-ガラクトース/D-マンノース比率は約1:2である。グアーガムは、通常、2,000,000〜5,000,000g/molの重量平均分子量を有する。たとえば、約50,000〜約2,000,000g/molの減少した分子量を有するグアーも知られている。
【0078】
グアー種子は、脆性胚(胚)を間に挟んでいる1対の硬い非脆性胚乳部からなり、以下において「グアースプリット」と呼ぶ。脱皮した後、種子は分割され、胚(種子の43〜47%)はスクリーニングにより除去され、スプリットは破砕される。破砕されたスプリットは約78〜82%のガラクトマンナンポリサッカリド及び少量の幾つかのタンパク材料、無機非界面活性塩、水不溶性ガム及び細胞膜、さらには、ある量の残留種皮及び胚を含むことが報告されている。
【0079】
ローカストビーンガム又はイナゴマメガムは、イナゴマメの木、Ceratonia siliquaの種子の精製済胚乳である。このタイプのガムのガラクトース/マンノース比率は約1:4である。ローカストビーンガムは市販されている。
【0080】
タラガムはタラの木の精製済シードガムから誘導される。ガラクトース/マンノースの比率は約1:3である。タラガムは市販されている。
【0081】
興味深い他のガラクトマンナンは変性ガラクトマンナンであり、誘導体化グアーポリマー、たとえば、カルボキシメチルグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー、カチオン性ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシブチルグアー及び高級ヒドロキシアルキルグアーを含むヒドロキシアルキルグアー、カルボキシメチルグアー、カルボキシプロピルグアー、カルボキシブチルグアー及び高級カルボキシアルキルグアーを含むカルボキシアルキルグアー、グアランのヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化及びカルボキシメチル化誘導体、カルビン(carubin)のヒドロキシエチル化及びカルボキシメチル化誘導体、ならびに、カシアガムのヒドロキシプロピル化及びカルボキシメチル化誘導体である。
【0082】
興味深いキサンタンはキサンタンガム及びキサンタンゲルである。キサンタンガムはXathomonas campestrisによって産生されるポリサッカリドガムであり、主ヘキソース単位としてD-グルコース、D-マンノース、D-グルクロン酸を含み、また、ピルベートも含み、そして部分的にアセチル化されている。
【0083】
レバンはβ-2,1結合を介して分岐して、β-2,6結合を介して結合している5員環を含むポリフルクトースである。レバンは138°Cのガラス転移温度を示し、粒状形態で入手可能である。1〜2百万の分子量で、密充填された球状粒子の直径は約85nmである。
【0084】
変性セルロースは、ヒドロキシ基、ヒドロキシカルボキシル基又はヒドロキシアルキル基などの少なくとも1つの官能基を含むセルロースであり、たとえば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシブチルセルロースである。
【0085】
グアーガムスプリットの誘導体の製造方法は一般に知られている。通常、グアースプリットを1種以上の誘導化剤と適切な反応条件下で反応させて、所望の置換基を有するグアーポリサッカリドを製造する。適切な誘導化試薬は市販されており、通常、エポキシ基、クロロヒドリン基又はエチレン系不飽和基などの反応性官能基、及び、カチオン性、非イオン性又はアニオン性置換基などの少なくとも1つの他の置換基、又は、このような置換基の前駆体を1分子当たりに含み、ここで、置換基は、アルキレン又はオキシアルキレン基などの二価結合基により誘導化剤の反応性官能基に結合することができる。適切なカチオン性置換基としては、第一級、第二級又は第三級アミノ基あるいは第四級アンモニウム、スルホニウム又はホスフィニウム基が挙げられる。適切な非イオン性の置換基としては、ヒドロキシプロピル基などのヒドロキシアルキル基が挙げられる。適切なアニオン性基としては、カルボキシメチル基などのカルボキシアルキル基が挙げられる。カチオン性、非イオン性及び/又はアニオン性置換基は、それぞれの適切な誘導化剤との一連の反応により、又は、同時反応によりグアーポリサッカリド鎖に導入されうる。
【0086】
グアーは架橋剤で処理することができ、たとえば、ホウ砂(テトラホウ酸ナトリウム)は一般にグアースプリットの表面を部分架橋する水−スプリットプロセスの反応工程での加工助剤として一般に使用され、それによって、処理の間にグアースプリットにより吸収される水の量が低減される。他の架橋剤、たとえば、グリオキサール又はチタネート化合物は知られている。
【0087】
1つの実施形態において、本発明の組成物のポリサッカリド成分は非誘導化ガラクトマンナンポリサッカリドであり、より通常には、非誘導化グアーガムである。
【0088】
1つの実施形態において、ポリサッカリドは、ポリサッカリドの1つ以上のサイトにおいて、各サイトに対して独立してカチオン性置換基、非イオン性置換基及びアニオン性置換基からなる群より選ばれる置換基により置換された誘導化ガラクトマンナンポリサッカリドである。
【0089】
1つの実施形態において、本発明の組成物のポリサッカリド成分は誘導化ガラクトマンナンポリサッカリドであり、より通常には、誘導化グアーである。適切な誘導化グアーとしては、たとえば、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムグアー、ヒドロキシプロピルラウリルジメチルアンモニウムグアー、ヒドロキシプロピルステアリルジメチルアンモニウムグアー、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルグアー、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム基を含むグアー、カルボキシメチルヒドロキシプロピル基を含むグアー及びそれらの混合物が挙げられる。
【0090】
誘導化ポリサッカリドポリマー中の誘導化基の量は誘導化ポリサッカリドポリマーの置換度又は誘導化ポリサッカリドポリマーのモル置換度によって特徴付けることができる。
【0091】
本明細書中で使用されるときに、所与のタイプの誘導化基及び所与のポリサッカリドポリマーに関する用語「置換度」はポリサッカリドポリマーの各モノマー単位に結合されたこのような誘導化基の平均数を意味する。1つの実施形態において、誘導化ガラクトマンナンポリサッカリドは、約0.001〜約3.0の合計置換度(「DS」)を示す:
ここで、DSはカチオン性置換基についてのDS(「DScationic」)と、非イオン性置換基についてのDS(「DSnonionic」)と、アニオン性置換基についてのDS(「DSanionic」)との合計である。
DScationicは0〜約3であり、より通常には約0.001〜約2.0であり、さらにより通常には約0.001〜約1.0である。
DSnonionicは、0〜3.0であり、より通常には約0.001〜約2.5であり、さらにより通常には約0.001〜約1.0である。
DSanionicは、0〜3.0であり、より通常には約0.001〜約2.0である。
【0092】
本明細書中で使用されるときに、用語「モル置換度」又は「MS」はグアーの単糖類単位のモル当たりの誘導化基のモル数を指す。モル置換度は、Zeisel-GC法により決定することができる。本発明で利用されるモル置換度は、通常、約0.001〜約3の範囲にある。
【0093】
1つの実施形態において、ポリサッカリドポリマーは粒子の形態である。1つの実施形態において、ポリサッカリドポリマーの粒子は、初期の、すなわち、水性媒体中での懸濁の前の乾燥粒子に対して決定される平均粒度が、光散乱により測定して約5〜200μmであり、より通常には、約20〜200μmであり、そして初期の粒度以上の水性媒体中での粒度を示し、すなわち、5μm以上、より通常には20μm以上の水性媒体中での粒度を示し、初期の粒度からの増加は水性媒体中でのポリサッカリドポリマーの部分水和により生じる膨潤によるものである。
【0094】
1つの実施形態において、水溶性ポリマーは水溶性非ポリサッカリドポリマーである。適切な水溶性非ポリサッカリドポリマーとしては、たとえば、レシチンポリマー、ポリ(エチレンオキシド)ポリマーなどのポリ(アルキレンオキシド)ポリマー、及び、エチレン系不飽和モノマーから誘導される水溶性ポリマーが挙げられる。エチレン系不飽和モノマーから誘導される適切な水溶性ポリマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び/又はN−ビニルピロリドンから誘導される水溶性ポリマーが挙げられ、それはこのようなモノマーのホモポリマー、たとえば、ポリ(アクリルアミド)ポリマー及びポリ(ビニルピロリドン)ポリマー、ならびにこのようなモノマーと1種以上のコモノマーとのコポリマーである。エチレン系不飽和モノマーから誘導される適切な水溶性コポリマーとしては、ジアミノアルキル(メタ)アクリレート又はジアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの混合物などの少なくとも1種のカチオン性モノマーと、アクリルアミド又はメタクリルアミドなどの1種以上の非イオン性モノマーの重合により製造される水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。1つの実施形態において、非ポリサッカリドポリマーは約1,000,000g/molを超え、より通常には2,000,000g/molを超え、約20,000,000g/molまでであり、より通常には、約10,000,000g/molまでの重量平均分子量を示す。
【0095】
1つの実施形態において、本発明の組成物の懸濁剤成分はヒュームドシリカを含む。ヒュームドシリカは、通常、水素酸素火炎中のケイ素化合物、たとえば、四塩化ケイ素の気相加水分解によって生成される。燃焼プロセスは二酸化ケイ素分子を形成し、それが凝縮して、粒子を形成する。粒子は衝突し、結合しそして一緒に焼結する。これらのプロセスの結果として、通常、三次元分枝鎖凝集体ができ、通常、約0.2〜0.3ミクロンの平均粒度である。一度、凝集体がシリカの融点(1710℃)より下に冷却されると、さらなる衝突が凝集と呼ばれる鎖の機械的絡み合いをもたらす。
【0096】
1つの実施形態において、適切なヒュームドシリカはBET比表面積が50〜400平方メートル毎グラム(m2/g)であり、より通常には約100m2/g〜約400m2/gである。
【0097】
1つの実施形態において、本発明の組成物の懸濁剤成分は、単独で、又は、1種以上の他の懸濁剤との組み合わせで、組成物にずり流動化粘度を付与するために有効な量のヒュームドシリカを含み、通常には、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、さらにより通常には約0.5pbwから、約10pbwまで、より通常には約5pbwまで、さらにより通常には、約2.5pbwまでの量のヒュームドシリカを含む。
【0098】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、約10pbwまで、より通常には約0.1〜約5pbw、さらにより通常には約0.5〜約2.5pbwのヒュームドシリカを含む。
【0099】
1つの実施形態において、本発明の組成物の懸濁剤成分は、無機の、通常には、アルミノシリケート又はマグネシウムシリケート、コロイド形成性クレー、通常、スメクタイト(モンモリロナイトとしても知られている)クレー、アタパルジャイト(パリゴルスカイトとしても知られている)クレー、又はそれらの混合物を含む。これらのクレー材料は、膨張性層状クレーとして記載でき、ここで、このようなクレーに関して本明細書中に使用される際の用語「膨張性」は、水との接触時に膨潤し、又は、膨張する層状クレー構造の能力に関する。
【0100】
スメクタイトは三層クレーである。スメクタイト型クレーには2つの明確なクラスがある。第一のクラスのスメクタイトにおいて、酸化アルミニウムはシリケート結晶格子中に存在し、そしてクレーは典型的な式Al2(Si205)2(OH)2を有する。第二のクラスのスメクタイトにおいて、酸化マグネシウムはシリケート結晶格子中に存在し、クレーは典型的な式Mg3(Si205)(OH)2を有する。上記式中の水和水の範囲はクレーが付される処理により変動されうる。このことは、水和クレーの膨張可能特性はシリケート格子構造によって決定されるという点で、本組成物中のスメクタイトクレーの使用には重要でない。さらに、鉄及びマグネシウムによる原子置換はスメクタイトの結晶格子内で発生することができる一方、Na+、Ca+2などの金属カチオンならびにH+は電気的中性を提供するために水和の水中で存在することができる。このようなクレー材料中の鉄の存在は、好ましくは、クレーと任意の組成物成分との化学的相互作用を最小限に抑えるために回避されるが、このようなカチオン置換は、クレーの所望の物理的性質が実質的にそれによって変更されないので、一般にここでの使用には重要ではない。
【0101】
膨張性マグネシウムシリケートスメクタイトクレーが3八面体結晶格子を有するのに対して、ここに有用な層状膨張性アルミノシリケートスメクタイトクレーは2八面体結晶格子をさらに特徴とする。
【0102】
適切なスメクタイトクレーとしては、たとえば、モンモリロナイト(ベントナイト)、ボルコンスコイト(volchonskoite)、ノントロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト及びバーミキュライトが挙げられ、それらは市販されている。
【0103】
アタパルジャイトはスメクタイトとは異なる四面体及び八面体単位セルの要素の重ね合わせの原理を有するマグネシウムが豊富なクレーである。アタパルジャイト単位セルの理想化組成は次式で与えられる:(H2O)4(OH)2Mg5Si8O204H2O。アタパルジャイトクレーは市販されている。
【0104】
上述のように、本発明の組成物で用いられるクレーは、プロトン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのカチオン対イオンを含む。それは、一般に、支配的又は排他的に吸収される1つのカチオンをベースとするクレーとは区別される。たとえば、ナトリウムクレーは、吸収されるカチオンが支配的にナトリウムであるクレーである。このような吸収されるカチオンは水溶液中に存在するカチオンと交換反応に関与することができる。
【0105】
市販入手されるクレー材料は様々な別離の鉱物実体の混合物を含むことができる。鉱物のこのような混合物は本組成物での使用に適切である。さらに、天然クレーは、しばしば、異なるタイプのクレー鉱物の単位層が互いに積層されている(混層)(interstratification)粒子からなる。このようなクレーは混層クレーと呼ばれ、これらの材料も、ここでの使用に適切である。
【0106】
1つの実施形態において、本発明の組成物の懸濁剤成分は、単独で、又は、1種以上の他の懸濁剤との組み合わせで、組成物にずり流動粘度を付与するために有効な量の無機コロイド形成性クレーを含み、通常には、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、さらにより通常には約0.5pbwから、約10pbwまで、より通常には約5pbwまで、さらにより通常には、約2.5pbwまでの量の無機コロイド形成性クレーを含む。
【0107】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、約10pbwまで、より通常には約0.1〜約5pbw、さらにより通常には約0.5〜約2.5pbwの無機コロイド形成性クレーを含む。
【0108】
ヒュームドシリカ又はクレー懸濁剤を、通常、液体媒体に導入しそして混合して、液体媒体中でヒュームドシリカ又はクレー懸濁剤を分散させる。
【0109】
1つの実施形態において、本発明の組成物の懸濁剤の成分はレオロジー改質剤ポリマーを含む。レオロジー改質剤ポリマーは、水性組成物を増粘するために使用されるポリマーである。適切なレオロジー改質剤ポリマーは知られており、通常、3つの一般的なクラス、すなわち、アルカリ膨潤性ポリマー、水素橋かけレオロジー改質剤及び疎水性会合性増粘剤のいずれかに該当する。
【0110】
アルカリ膨潤性ポリマーは、アルカリ媒体中に入れられたときに膨張するpH応答性ポリマーであり、アルカリ膨潤性ポリマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのエチレン系不飽和カルボン酸モノマーから誘導される単位を含むホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0111】
適切な水素橋かけレオロジー改質剤としては、たとえば、親水性コロイド、たとえば、セルロースならびにカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースセルロースなどの親水性セルロース誘導体、及び、天然ガム及びガム誘導体、たとえば、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、キサンタンガム、レオザン(Rheozan)、及びカラギーナンなどが挙げられる。1つの実施形態では、水素橋かけレオロジー改質剤は、本発明の組成物の不完全に水和した水溶性ポリマー成分とは異なる第二の水溶性ポリマーである。たとえば、不完全に水和した水溶性ポリマーが第一のポリサッカリドポリマーである実施形態において、水素橋かけレオロジー改質剤は、第一のポリサッカリドポリマーよりも容易に水和される第二のポリサッカリドポリマーであることができる。
【0112】
適切な疎水性会合性レオロジー改質剤は知られており、そのような疎水性会合性レオロジー改質剤としては、疎水性置換基及び親水性置換基の両方を含む疎水的に変性した天然又は合成ポリマーが挙げられ、たとえば、ポリ(オキシエチレン)又はポリ(オキシプロピレン)主鎖などのポリ(オキシアルキレン)などの合成親水性ポリマー主鎖及び(C10〜C30)炭化水素基などの疎水性ペンダント基を有する疎水的に変性したセルロース誘導体及びポリマーが挙げられる。非イオン性会合性増粘剤は、通常、高い塩濃度に対して比較的に感度が低いので好ましく、そのような増粘剤としては、たとえば、PEG-200グリセリルタロエート、PEG-200水素化グリセリルパルメート、PPG-14パルメト-60ヘキシルジカルバメート、PEG-160ソルビタントリイソステアレートが挙げられる。
【0113】
1つの実施形態において、本発明の組成物の懸濁剤成分は、単独で、又は、1種以上の他の懸濁剤との組み合わせで、組成物にずり流動粘度を付与するために有効な量のレオロジー改質剤ポリマーを含み、通常には、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には約0.1pbwから、さらにより通常には約1pbwから、約10pbwまで、より通常には約5pbwまでの量のレオロジー改質剤ポリマーを含む。
【0114】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、約10pbwまで、より通常には約0.1〜約10pbw、さらにより通常には約1〜約5pbwのレオロジー改質剤ポリマーを含む。
【0115】
レオロジー改質剤懸濁剤を、通常、液体媒体に導入しそして混合して、液体媒体中でレオロジー改質剤ポリマーを分散させる。
【0116】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は界面活性剤を含む。本明細書中で使用されるときに、用語「界面活性剤」は水の表面張力を低下させることができる化合物、より通常には、洗剤特性が知られている5つのクラス、すなわち、カチオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれかから選択される化合物、ならびに、それらの混合物を意味する。
【0117】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分はカチオン性界面活性剤を含む。適切なカチオン性界面活性剤は当該技術分野で知られており、たとえば、アミン塩、たとえば、エトキシル化タローアミン、ココアルキルアミン及びオレイルアミン、第四級アンモニウム化合物、たとえば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリル/ミリスチルトリメチルアンモニウムメトスルフェート、ステアリルオクチルジモニウムメトスルフェート、二水素化パルモイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート、イソステアリルベンジルイミドニウムクロリド、ココイルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウムクロリド、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリニウム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0118】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分はアニオン性界面活性剤を含む。適切なアニオン性界面活性剤は当該技術分野で知られており、たとえば、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリドナトリウムスルフェート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
【0119】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は両性界面活性剤を含む。適切な両性界面活性剤は当該技術分野で知られており、脂肪族基が直鎖又は枝分かれ鎖であることができる脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記載される界面活性剤であって、ここで、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含み、そして1つはカルボキシル基、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネートなどのアニオン性水可溶化基を含む界面活性剤が挙げられる。1つの実施形態において、両性界面活性剤はココアンフォアセテート、ココアンフォジアセテート、ラウロアンフォアセテート及びラウロアンフォジアセテートから選ばれる少なくとも1つの化合物を含む。
【0120】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は両性イオン性界面活性剤を含む。適切な両性イオン性界面活性剤は当該技術分野で知られており、たとえば、脂肪族基が直鎖又は枝分かれ鎖であることができる脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載される界面活性剤であって、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含み、そして1つはカルボキシル基、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネートなどのアニオン性基を含む界面活性剤が挙げられる。適切な両性イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、たとえば、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルα-カルボキシ-エチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス-(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス-(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ-カルボキシプロピルベタイン及びラウリルビス-(2−ヒドロキシプロピル)α-カルボキシエチルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及び、アルキルスルタイン、たとえば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス-(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン及びアルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられる。
【0121】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は非イオン性界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は当該技術分野で知られており、たとえば、約8〜約22個の炭素原子を含むアルキル基を有する長鎖アルキルグルコシド、コカミドMEAなどのヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、アルコールアルコキシレート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0122】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分はカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物から選ばれる2種以上の界面活性剤の混合物を含む。
【0123】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は、単独で、又は、1種以上の他の水和抑制剤との組み合わせで、ポリサッカリドの水和を防止し又は少なくとも抑制するために有効な量の界面活性剤を含み、通常には、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には約2pbwから、さらにより通常には約5pbwから、約60pbwまで、より通常には約50pbwまで、さらにより通常には約40pbwまでの量の界面活性剤を含む。
【0124】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、約60pbwまで、より通常には約2〜約50pbw、さらにより通常には約5〜約40pbwの界面活性剤を含む。
【0125】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は水溶性非界面活性塩を含む。適切な水溶性非界面活性塩としては、有機非界面活性塩、無機非界面活性塩及びそれらの混合物、ならびに高分子電解質が挙げられ、たとえば、非キャップ化ポリアクリレート、ポリマレエート又はポリカルボキシレート、リグニンスルホネート又はナフタレンスルホネートホルムアルデヒドコポリマーが挙げられる。水溶性非界面活性塩は、カチオン成分及びアニオン成分を含む。適切なカチオンは一価であっても又は多価であってもよく、有機であっても又は無機であってもよく、たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、セシウム及びリチウムカチイオン、ならびに、モノ-、ジ-、トリ-又は第四級アンモニウムもしくはピリジニウムカチオンが挙げられる。適切なアニオンは一価であっても又は多価であってもよく、有機であっても又は無機であってもよく、たとえば、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、シアン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩アニオンが挙げられる。適切な水溶性非界面活性塩としては、たとえば、一価カチオンと多価アニオンとの非界面活性塩、たとえば、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム、一価アニオンと多価カチオンとの非界面活性塩、たとえば、塩化カルシウム、臭化カルシウム、亜鉛ハロゲン化物、塩化バリウム及び硝酸カルシウム、及び、一価アニオンと一価カチオンとの非界面活性塩、たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、アルカリ金属硝酸塩及びアンモニウム硝酸塩が挙げられる。
【0126】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、水溶性塩であるカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤を含まない。
【0127】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、水溶性塩であるカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤又は両性イオン性界面活性剤、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。水溶性塩である界面活性剤の量は、本発明の組成物の水溶性塩成分の総量を決定する目的で水溶性塩の合計量に含める。
【0128】
下記に議論されるとおり、1つの実施形態において、組成物は最終使用組成物を濃縮した希釈可能な形態であり、さらに、意図する最終用途に適している1種以上の活性成分、たとえば、パーソナルケア有益剤、農薬活性成分、又は、医薬活性成分を含む。そのような活性成分は、水溶性非界面活性塩であってよい。水溶性非界面活性塩である活性成分の量は、本発明の組成物の水溶性塩成分の合計量を決定する目的で水溶性物質の合計量に含める。
【0129】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、単独で、又は、1種以上の他の水和抑制剤との組み合わせで、ポリサッカリドの水和を防止し又は少なくとも抑制するために有効な量の水溶性塩を含み、通常には、すべての水溶性非界面活性塩の量、水溶性塩である本発明の組成物のすべての界面活性剤成分の量及び水溶性である本発明の組成物のすべての活性成分の量を含めて、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には約2pbwから、さらにより通常には約5pbwから、約70pbwまで、より通常には約65pbwまで、さらにより通常には約60pbwまでの量の水溶性塩を含む。
【0130】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、すべての水溶性非界面活性塩の量、水溶性塩である本発明の組成物のすべての界面活性剤成分の量及び水溶性である本発明の組成物のすべての活性成分の量を含めて、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、約70pbwまで、より通常には約2〜約65pbw、さらにより通常には約5〜約60pbwの水溶性塩を含む。
【0131】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は水分散性有機溶剤を含む。適切な水分散性有機溶剤としては、たとえば、(C〜C18)アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、オレイルアルコールなどの一価アルコール、及び、たとえば、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール及びグリセロールなどの多価アルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキルエーテルジオール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0132】
1つの実施形態において、本発明の組成物の水和抑制剤成分は、水分散性の、より通常には、水溶性の有機溶剤を含む。適切な水分散性有機溶剤としては、たとえば、一価アルコール、多価アルコール、アルキルエーテルジオール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0133】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、単独で、又は、1種以上の他の水和抑制剤との組み合わせで、ポリサッカリドの水和を防止し又は少なくとも抑制するために有効な量の水分散性有機溶剤を含み、通常には、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、より通常には約2pbwから、さらにより通常には約5pbwから、約40pbwまで、より通常には約30pbwまで、さらにより通常には約25pbwまでの量の水分散性有機溶剤を含む。
【0134】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、100pbwの組成物を基準として、0pbwを超え、約40pbwまで、より通常には約2〜約30pbw、さらにより通常には約5〜約25pbwの水分散性有機溶剤を含む。
【0135】
本発明の組成物は、通常、組成物の成分を一緒に混合することによって製造される。
【0136】
液体媒体が水を含み、又は、水と水混和性有機液体とを含む水性媒体である1つの実施形態において、組成物は、通常、
水性液体媒体と、任意成分の水和抑制剤を混合し、
水性液体媒体と、使用する場合には、その任意成分の水和抑制剤との混合物と、水溶性ポリマーを混合し、
水性液体媒体と、使用する場合には、その任意成分の水和抑制剤と、水溶性ポリマーとの混合物と、任意成分の懸濁剤を混合することにより製造される。この添加方法は水溶性ポリマーの水和を回避し、取り扱いが困難であるほど高い粘度を有する中間組成物の形成のリスクを回避する。
【0137】
液体媒体が水と水不混和性有機液体とを含む水性媒体である別の実施形態において、組成物は、通常、
水と、場合により、乳化剤のすべて又は一部と、場合により、懸濁剤とを混合し、
水不混和性有機液体と、水溶性ポリマーと、場合により、乳化剤のすべて又は一部と、場合により、懸濁剤とを混合し、
水をベースとする混合物と、水不混和性有機液体をベースとする混合物とを組み合わせて、組成物を形成することにより製造される。乳化剤は、水の混合物又は水混和性有機液体の混合物のいずれかに添加されても、又は、乳化剤の一部が各混合物に添加されてもよい。もし、任意成分の懸濁剤を用いるならば、懸濁剤のすべてが水に添加され、懸濁剤のすべてが水不混和性有機液体に添加され、又は、懸濁剤の第一の部分が水に添加されそして懸濁剤の第二の部分が水不混和性有機液体に添加されてもよい。水不混和性有機液体に加えて使用されてよい任意成分の水和抑制剤は、水又は水不混和性有機液体のいずれかに添加されてよい。この添加方法は水溶性ポリマーの水和を回避し、取り扱いが困難であるほど高い粘度を有する中間組成物の形成のリスクを回避する。
【0138】
液体媒体が非水性液体媒体であり、より通常には、水不混和性有機液体である別の実施形態において、農薬、水溶性ポリマー、任意成分の懸濁剤及び任意成分の水和抑制剤は、通常、非水性液体媒体に添加されそして混合されて組成物を形成する。
【0139】
1つの実施形態において、本発明の組成物は希釈増粘挙動を示し、すなわち、本発明の組成物が水で希釈されるときに、組成物の粘度は初期的に希釈の増加とともに増加し、最大値に達し、その後、さらなる希釈とともに減少する。希釈の増加に伴う粘度の増加は、組成物の界面活性剤及び/又は塩成分の濃度が希釈の増加とともに減少するときに、溶解した水溶性ポリサッカリドの濃度が増加することに対応する。
【0140】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、たとえば、パーソナルケア組成物、ホームケア組成物、農薬組成物、油田用途での使用のための組成物などの水性最終使用組成物を配合するための高ポリサッカリド含有分のポンプ送り可能な液体源として有用である。
【0141】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、現場条件下に安定であり、低粘度であり、容易に輸送可能であり、注液可能でかつポンプ送り可能であり、そして、農地条件下で水で希釈可能である農業アジュバント組成物である。
【0142】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、農薬活性成分、場合により他のアジュバント成分、及び水と混合され、標的害虫へのスプレー塗布用の希釈農薬組成物を形成する。
【0143】
1つの実施形態において、組成物は、最終使用組成物を使用の濃厚な希釈可能な形態であり、さらに、1つ以上の活性成分、たとえば、意図する最終用途に適したパーソナルケア有益剤、農薬活性成分又は医薬活性成分を含む。1つの実施形態において、濃厚物は、最終使用組成物を形成するために希釈され、最終使用組成物は、皮膚、髪あるいは植物の葉などの標的基材と接触し、濃厚物の水溶性ポリマー成分は基材上に活性成分を送達させるのを促進する。
【0144】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、必要なときに調製され、そして十分に安定であり、すなわち、組成物の静止サンプルは、調製と使用の間の期待される時間内に、たとえば、1時間以内、より通常には、2時間以内に、液体媒体から不完全に水和した水溶性ポリマーなどの成分が層へと分離し及び/又は沈殿するなどの重力により生じる分離の証拠を視覚検査により示さない。
【0145】
1つの実施形態において、本発明の組成物は良好な貯蔵安定性を示し、そして組成物の静止サンプルは、たとえば、室温などの所与の貯蔵条件下に、1週間、より通常には1ヶ月、さらにより通常には、3ヶ月などの所与の時間内に、重力により生じる分離の証拠を視覚検査により示さない。
【0146】
1つの実施形態において、本発明の組成物は良好な貯蔵安定性を示し、そして組成物の静止サンプルは、たとえば、54℃まで、より通常には45℃までの高温貯蔵温度での加速老化条件下に、たとえば、24時間、より通常には4日間、さらにより通常には1週間などの所与の時間内に、重力により生じる分離の証拠を視覚検査により示さない。
【実施例】
【0147】
例1及び比較例C1
例1の組成物は、界面活性剤及び懸濁剤であるヒュームドシリカの存在下でのヒドロキシプロピルグアーの水性懸濁液であった。比較例C1の組成物は、比較例C1の組成物がヒュームドシリカ懸濁剤成分を含まないこと以外は例1の組成物に類似した水性懸濁液であった。
【0148】
例1及び比較例C1の水性懸濁液を、一方のグアーのモル置換度が1.2であり、もう一方のグアーのモル置換度が0.12であり、それぞれ重量平均分子量が約2,000,000g/molであるヒドロキシプロピルグアー粒子の乾燥混合物を、界面活性剤((C12-C14)アルキルジメチルベタイン)及び塩(硫酸アンモニウム及び塩化ナトリウム)の水溶液に攪拌しながら徐々に添加することにより製造した。防腐剤(プロキセル(Proxel)(登録商標)GXL, Arch Chemicals Inc.)を添加して、生体安定性を提供した。水溶液を、実質的に均一な懸濁液が形成されるまで攪拌下に置いた。水溶液中の界面活性剤及び塩の存在により、水溶液中でのグアーガムの水和を防止し又は抑制した。例1の組成物において、懸濁剤(アエロジル(Aerosil)(登録商標)200、Evonik DeGussa)を水性懸濁液に攪拌しながら添加し、組成物にずり流動化特性を付与した。
【0149】
各組成物の安定性は、組成物のサンプルをラボ作業台上に室温条件下で100ミリリットル(mL)をガラス容器に静置させ、重力による組成物の成分の分離を検知するために組成物を視覚的に観察することによって評価した。組成物の成分の分離を不安定性の証拠とした。所与の時間内に分離を示さなかった組成物は、その期間安定であるものと特性化した。比較例C1は安定でなく、分離し、すなわち、不完全に水和したグアーの沈殿が数時間以内に観察された。例1は安定であり、少なくとも1ヶ月、沈殿又は層への分離の証拠を示さなかった。
【0150】
例1及びC1の組成物を製造するのに使用される材料及びその相対量ならびに例1及び比較例C1の各々の安定性結果を下記の表Iに示す。
【表1】

【0151】
Peltier-ベースの温度コントロールを装備したクロスハッチスチールプレートジオメトリを用いてAR-G2 応力-制御レオメータ (TA Instruments)にて例1の組成物をレオロジー測定に付した。サンプルの温度を25℃に維持した。安定した速度走査試験を用いた。
【0152】
例1の組成物の粘度(パスカル秒(Pa.s))vs.剪断速度(秒の逆数(1/s))のプロットを図1に示す。例1の組成物は低い剪断条件下に高い粘度を有しかつ高い剪断条件下に低い粘度を有するずり流動化系であることが判った。図1に示すとおり、例1の組成物の粘度は低い剪断条件で比較的に高く(たとえば、10−2−1の剪断速度で約150Pa.s)、そのことは貯蔵の間のグアー粒子の沈降などの組成物の成分の分離に対する耐性を付与し、そして、この組成物の粘度は高い剪断条件下で比較的に低く(たとえば、100s−1の剪断速度で約0.4Pa.s)、このことで、組成物は高剪断条件下で全くポンプ送り可能となり、そして取り扱いが容易になった。
【0153】
例1の組成物の剪断速度(秒の逆数(1/s))vs.剪断応力(パスカル(Pa))のプロットを図2に示す。剪断速度/剪断応力に基づいて、例1の組成物は降伏値が約1.2Paであることが判った。
【0154】
例1の組成物の安定性を幾つかの異なる温度で評価した。例1の組成物のサンプルを、20mLガラスバイアル中に異なる貯蔵条件下、すなわち、−16℃、4℃、45℃、54℃、及び、「凍結−解凍」サイクル下、すなわち、−12℃と25℃との間で、両端の温度の間で8時間の傾斜及びその温度で4時間の保持のサイクル下で静置させ、そして24時間、4日間、1週間、2週間、3週間及び4週間、分離の証拠について視覚的に調べた。不完全に水和したポリマーの沈殿などの分離の視覚的証拠を示さなかったサンプルを安定であると分類した。評価の結果を下記の表IIに要約した。結果は、例1の組成物が各々の異なる貯蔵条件下に良好な貯蔵安定性を示したことを表している。
【表2】

【0155】
例1の組成物のサンプルを水で希釈し、希釈されたサンプルの粘度を室温にてブルックフィールドDV II粘度計を用いて試験した。粘度結果を下記の表IIIに示す。上記に観測されたとおり、未希釈の組成物はポンプ送り可能であった。中程度の希釈、すなわち、元のサンプル体積の2〜5倍への水での希釈の後には、剪断粘度は未希釈の組成物と比較して有意に増加した。元のサンプル体積の10倍などの比較的に高い希釈では、剪断粘度は未希釈の組成物と比較して減少した。
【表3】

【0156】
例2及び比較例C2
例2及び例C2の組成物は、各々、3.0wt%の、重量平均分子量が約5,000,000〜6,000,000g/molであるポリアクリルアミドを、界面活性剤(C12-C14アルキルジメチルベタイン及びポリカルボン酸のナトリウム塩)及び他の塩(塩化ナトリウム)の存在下に含んだ。例2の組成物では、懸濁剤(アエロジル(Aerosil)(登録商標)200、Evonik DeGussa)を水性懸濁液に攪拌しながら添加し、組成物にずり流動化特性を付与した。当該材料及びその当該量を下記の表IV中の各々の組成物について要約する。
【表4】

【0157】
ポリアクリルアミドポリマーを脱イオン水中に常に攪拌しながら添加することにより濃厚化した水性ポリアクリルアミド溶液(4.77wt%)を最初に調製した。濃厚化したポリアクリルアミド溶液は極端に粘性であり、全く流動可能でなかった。その後、界面活性剤及び塩成分の溶液ならびに防腐剤成分を、常に攪拌しながら、濃厚化したポリアクリルアミド水溶液中に徐々に添加し、例2及びC2の組成物を形成した。ポリアクリルアミドポリマーを、界面活性剤及び塩成分の存在下に脱可溶化し、そして若干曇った組成物が形成された。例2の組成物において、懸濁剤(キサンタンガム)を水性ポリアクリルアミド、界面活性剤及び塩の混合物に添加し、次いで、約50℃に加熱しながら常に攪拌した。比較例C2の組成物には懸濁剤を添加しなかった。
【0158】
ラボ作業台上で20mLガラスバイアル中にて室温条件下に組成物のサンプルを静置させ、そして重力による組成物の成分の分離を検知するために組成物を視覚的に観測することにより、各組成物の安定性を評価した。組成物の成分の分離を不安定性の証拠とした。所与の時間内に分離を示さなかった組成物をその時間安定であると特性化した。例2の組成物は少なくとも1週間観測して、沈殿又は層への分離などの組成物の重力による分離を示さず、ポリ(アクリルアミド)が水性媒体中に懸濁したままであり、安定であることが判った。懸濁剤の非存在下に、比較例C2の組成物は組成物の重力による分離が数時間以内に観測され、不安定であることが判った。
【0159】
Peltier-ベースの温度コントロールを装備したクロスハッチスチールプレートジオメトリを用いてAR-G2 応力-制御レオメータ (TA Instruments)にてレオロジー測定を行った。サンプルの温度を25℃に維持した。安定した速度走査試験を用いた。図3は、例2の組成物の粘度を剪断速度に対してプロットしたことを示す。図3に示すとおり、例2の組成物はずり流動化を示し、ここで、低い剪断条件で粘度が比較的に高く(たとえば、10−2−1の剪断速度で約190Pa.s)、そのことは貯蔵の間の組成物の成分の重力により生じる分離に対する耐性を付与し、そして、高い剪断条件下で粘度が比較的に低く(たとえば、100s−1の剪断速度で約0.3Pa.s)、このことで、組成物は高剪断条件下で全くポンプ送り可能となり、そして取り扱いが容易になった。
【0160】
例1の組成物の剪断速度(秒の逆数(1/s))vs.剪断応力(パスカル(Pa))のプロットを図4に示す。剪断速度/剪断応力に基づいて、例2の組成物は降伏値が約0.7Paであることが判った。
【0161】
例2の組成物の安定性を幾つかの異なる温度で評価した。例2の組成物のサンプルを、20mLガラスバイアル中に異なる貯蔵条件下、すなわち、−16℃、4℃、45℃、54℃、及び、「凍結−解凍」サイクル下、すなわち、−12℃と25℃との間で、両端の温度の間で8時間の傾斜及びその温度で4時間の保持のサイクル下で静置させ、そして24時間、4日間、1週間、2週間、分離の証拠について視覚的に調べた。不完全に水和したポリマーの沈殿などの分離の視覚的証拠を示さなかったサンプルを安定であると分類した。評価の結果を下記の表Vに要約する。結果は、例2の組成物が各々の異なる貯蔵条件下に良好な貯蔵安定性を示したことを表している。
【表5】

【0162】
例3及び比較例C3
下記の表VIに示した例3及び比較例C3の組成物は、各々、約2.2%のグアー(各々分子量が約2,000,000g/molであり、モル置換度が1.2及び0.15であるヒドロキシプロピルグアーの混合物)を、界面活性剤(C12-C14アルキルジメチルベタイン)、硫酸アンモニウム及び他の成分の存在下に含んだ。例3の組成物では、懸濁剤(アエロジル(Aerosil)200、Evonik DeGussa)を水性懸濁液に添加し、一方、例C3は懸濁剤成分を含まなかった。
【表6】

【0163】
例3及び比較例C3の組成物を、界面活性剤、硫酸アンモニウム、グリセリン、消泡剤及び防腐剤の水溶液中に攪拌しながらヒドロキシプロピルグアー粒子の乾燥混合物を徐々に添加することにより製造した。実質的に均一な懸濁液が形成されるまで水溶液を攪拌下に付した。例3の組成物では、水性懸濁液に攪拌しながら懸濁剤を添加し、実質的に均一な懸濁液を製造した。比較例C3には懸濁剤を添加しなかった。
【0164】
60mm直径のクロスハッチスチールプレートジオメトリを用いてAR-G2 応力-制御レオメータ (TA Instruments)にてレオロジー測定を行った。サンプルの温度を25℃に維持した。安定した走査試験を用いた。図6は、例3の組成物についての粘度曲線を剪断速度の関数として示している。組成物はずり流動化挙動を示し、ここで、低い剪断条件で粘度が高く(たとえば、0.13s−1の剪断速度で48.18Pa.s)、そのことは貯蔵の間のグアー粒子の沈降などの組成物の成分の分離に対する耐性を付与し、そして、この組成物の粘度は高い剪断条件下で比較的に低く(たとえば、79.59s−1の剪断速度で0.12Pa.s)、このことで、組成物は高剪断条件下でポンプ送り可能となり、そして取り扱いが容易になった。
【0165】
例3及び比較例C3の組成物の安定性を、ラボ作業台上で50mLガラス容器中に室温条件下で組成物の各々のサンプルを静置させ、そして重力による組成物の成分の分離を検知するために組成物を視覚的に調べることにより評価した。比較例C3は安定でなく、グアーは数時間以内に沈殿した。例3は安定であり、少なくとも2週間、沈殿又は層への分離の証拠を示さなかった。図5(a)は例3の写真であり、分離又は沈殿の証拠を示さず、そして図5(b)は比較例C3の写真であり、層への分離を示した。
【0166】
例4及び5ならびに比較例C4
下記の表VII及びVIIIに示した量で、界面活性剤(C12-C14アルキルジメチルベタイン)、硫酸アンモニウム及び他の成分の存在下に、約6.1%のグアー(例4及びC4)及び9.66%のグアー(例5)をそれぞれ含んだ。例4及び例5の組成物では、懸濁剤(アエロジル(Aerosil)200、Evonik DeGussa)を水性懸濁液に添加した。例C4は懸濁剤を含まなかった。
【表7】

【表8】

【0167】
例4及び5ならびに比較例C4の水性組成物を、界面活性剤、硫酸アンモニウム、グリセリン、消泡剤及び防腐剤の水溶液中に攪拌しながら、グアー粒子の乾燥混合物を徐々に添加することにより製造した。実質的に均一な懸濁液が形成されるまで水溶液を攪拌下に付した。例4及び5の組成物では、水性懸濁液に攪拌しながら懸濁剤を添加し、実質的に均一な溶液を製造した。比較例C4には懸濁剤を添加しなかった。
【0168】
例4及び5ならびに比較例C4の組成物の各々の安定性を、ラボ作業台上で50mLガラス容器中に室温条件下で組成物のサンプルを静置させ、そして重力による組成物の成分の分離を検知するために組成物を視覚的に調べることにより評価した。各組成物は室温にて少なくと4週間安定であった。
【0169】
60mm直径のクロスハッチスチールプレートジオメトリを用いてAR-G2 応力-制御レオメータ (TA Instruments)にてレオロジー測定を行った。サンプルの温度を25℃に維持した。安定した走査試験をすべての組成物に対して用いた。図7及び8は、それぞれ、比較例C4及び例5の組成物についての粘度曲線を剪断速度の関数として示している。両方の組成物はずり流動化挙動を示す。例C4の組成物では、0.13s−1の剪断速度で271.2Pa.sの粘度であり、79.59s−1の剪断速度で0.68Pa.sの粘度であった。例5の組成物では、0.13s−1の剪断速度で128.4Pa.sの粘度であり、79.59s−1の剪断速度で0.26Pa.sの粘度であった。
【0170】
例6及び比較例C6
例6及び比較例C6の組成物は、4%のグアー(各々分子量が約2,000,000g/molであり、モル置換度が1.2及び0.15であるヒドロキシプロピルグアーの混合物)及び下記の表IXに示す他の成分を含み、例3の組成物と同様に調製した。比較例C6の組成物ではグアーを含まなかった。この場合、懸濁剤を水性懸濁液に添加し、直接的に、界面活性剤、塩、グリセリン及び消泡剤の水溶液中に入れた。組成物を攪拌し、実質的に均一な組成物を製造した。
【表9】

【0171】
例6及び比較例C6の組成物のサンプルを攪乱することなく室温にて放置し、気泡を散逸させた。その後、サンプルを2.5倍対物レンズを有するLeica 明視野顕微鏡下に観察した。異なる領域での画像を観察し、それらが非常に類似していることが判った。例6及び比較例C6の配合物の代表的な画像を図9(a)及び9(b)に示す。
【0172】
例6の配合物は不完全に水和したグアーポリマーグアーを含み、一方、例C6の組成物は例6と類似であるが、例C6の組成物はグアーを含まない。図9(a)は例6で約100ミクロンの粒子の存在を示し、比較例C6の組成物については、図9(b)中に粒子を示さず、そのことは図9(a)に見ることができる粒子がグアーのみであることを示す。
【0173】
例7及び8
例7及び8の組成物を下記のとおりに製造した。グアー粉末を、植物油(及び例8ではポリエチレングリコール)及び乳化剤の混合物中に添加し、そして混合した。その後、懸濁剤(ベントナイトクレー)を溶液中に添加し、配合物を安定化させた。その後、混合物を高速ミキサーを用いて混合した。50mLガラス容器中にて室温で組成物のサンプルを静置させ、そして重力による組成物の成分の分離を検知するために組成物を視覚的に観測することにより、組成物の安定性を評価した。20回転/分(rpm)でRV2スピンドルを装備したブルックフィールド粘度計を用いて組成物の粘度を室温にて測定した。組成物は流動可能であり、そして少なくとも1ヶ月間、最少の分離(10%以下)でもって安定であることが判った。材料及びその相対量を下記の表Xに示す。
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体媒体中に懸濁した、100質量部の組成物を基準として2.5質量部を超える量の不完全に水和した水溶性ポリマーを含む、組成物。
【請求項2】
前記液体媒体は水性媒体であり、そして前記ポリマーは水溶性ポリサッカリドポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は該組成物にずり流動化特性を付与するために有効な量の懸濁剤を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記懸濁剤はヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー及びそれらの混合物から選ばれる、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記液体媒体は水性媒体であり、そして前記組成物は前記水性媒体中の前記水溶性ポリサッカリドの水和を抑制するのに有効な量の水和抑制剤をさらに含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
前記水和抑制剤は界面活性剤化合物、水溶性非界面活性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
パーソナルケア有益剤、農薬活性成分又は医薬活性成分をさらに含み、そして前記水溶性ポリマーは標的基材への前記液体媒体からの有益剤又は活性成分の送達を促進する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記液体媒体は水を含み又は水及び水混和性有機液体を含む水性液体媒体である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記液体媒体は水及び水不混和性有機液体を含む水性液体媒体であり、そして前記組成物はエマルジョン、マイクロエマルジョン又はサスポエマルジョンの形態である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記液体媒体は植物油、アルキル化植物油、極性プロトン性有機液体及びそれらの混合物から選ばれる非水性液体を含む非水性液体媒体である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記液体媒体は水性液体媒体であり、
前記水溶性ポリマーはポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれ、
前記組成物はヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、前記非誘導化グアーポリマー又は誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる懸濁剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
界面活性剤化合物、非界面活性水溶性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる水和抑制剤をさらに含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記液体媒体は水性液体媒体であり、
前記水溶性ポリマーは非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリサッカリドポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は界面活性剤化合物、非界面活性水溶性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる水和抑制剤をさらに含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
ヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、非誘導化グアーポリマー又は誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマーから選ばれる懸濁剤をさらに含む、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物は10s−1以上の剪断速度で10Pa.s未満の粘度を示す、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
水性媒体中に懸濁した、100質量部の組成物を基準として、2.5質量部を超え、約8質量部までの量のグアーポリマーであって、重量平均分子量が約100,000〜約5,000,000グラム/モルであるグアーポリマーを含む組成物であって、該組成物は
(a)0.01s−1未満の剪断速度で5Pa.s以上の粘度を示し、
(b)10s−1を超える剪断速度で5Pa.s未満の粘度を示す、
組成物。
【請求項18】
水性液体媒体、該水性液体媒体中に懸濁した不完全に水和した水溶性ポリマー及び該水溶性ポリマーの水和を抑制するための水和抑制剤の混合物を含むポリサッカリド組成物の製造方法であって、
前記液体媒体と前記水和抑制剤を混合すること、及び、
前記液体と前記水和抑制剤との混合物と前記水溶性ポリマーを混合し、該水溶性ポリマーを分散させること、
を含む方法。
【請求項19】
水性液体媒体、水溶性ポリマー及び水和抑制剤の混合物と懸濁剤を混合することをさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
100質量部の組成物を基準として、
水性液体媒体、
前記液体媒体中に分散した、2.5質量部以下の量の、ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー及び誘導化グアーポリマーから選ばれる不完全に加水分解した水溶性ポリマー、
ヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、前記非誘導化グアーポリマー又は誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる懸濁剤、及び、
界面活性剤化合物、非界面活性水溶性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる水和抑制剤、
を含む、組成物。
【請求項21】
水及び水不混和性有機液体を含む水性液体媒体、
前記水及び水不混和性液体を乳化するための乳化剤、
前記液体媒体中に分散した、不完全に加水分解した水溶性ポリマー、
を含み、
エマルジョン、マイクロエマルジョン又はサスポエマルジョンの形態である、組成物。
【請求項22】
ヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、前記非誘導化グアーポリマー又は誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる懸濁剤をさらに含む、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
場合により、乳化剤のすべて又は一部と水とを混合すること、
水溶性ポリマーと、場合により、乳化剤のすべて又は一部と、水不混和性有機液体とを混合すること、及び、
水、又は、水と乳化剤との混合物と、水溶性ポリマーと水不混和性有機液体との混合物、又は、水溶性ポリマーと水不混和性有機液体と乳化剤との混合物と合わせて組成物を形成すること、
を含む、請求項21記載の組成物の製造方法。
【請求項24】
脂肪酸エステル、アルキル化脂肪酸エステル及びそれらの混合物から選ばれる非水性液体を含む非水性液体媒体、及び、
前記非水性液体媒体中に分散した、不完全に加水分解した水溶性ポリマー、
を含む、組成物。
【請求項25】
ヒュームドシリカ及び無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子から選ばれる懸濁剤をさらに含む、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
100質量部の組成物を基準として、
液体媒体、
2.5質量部を超える量の水溶性ポリマーであって、ここで、前記水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてこのような粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散している、水溶性ポリマー、
場合により、前記液体媒体中に溶解又は分散している懸濁剤、及び、
場合により、前記液体媒体中に溶解又は分散している水和抑制剤、
を含む、組成物。
【請求項27】
請求項26記載の組成物を、農薬化合物、場合により他の農薬アジュバント、及び水と混合して、標的害虫へのスプレイ塗布用の農薬組成物を形成することを含む、農薬組成物の製造方法。
【請求項28】
前記液体媒体は水性媒体であり、
前記水溶性ポリマーはポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれ、ここで、前記水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてこのような粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散しており、
場合により、前記懸濁剤はヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、誘導化グアーポリマー又は非誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれ、そして、
場合により、前記水和抑制剤は、前記液体媒体中に溶解又は分散した、界面活性剤、水溶性非界面活性塩、水分散性有機溶剤及びそれらの混合物から選ばれる水和抑制剤である、
請求項26記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物は10s−1以上の剪断速度で10Pa.s以下の粘度を示す、請求項26記載の組成物。
【請求項30】
100質量部の組成物を基準として、
水性液体媒体、
2.5質量部以下の量の水溶性ポリマーであって、ここで、該水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてこのような粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散している、水溶性ポリマー、
前記液体媒体中に溶解又は分散している懸濁剤、及び、
前記液体媒体中に溶解又は分散している水和抑制剤、
を含む、組成物。
【請求項31】
請求項30記載の組成物を、農薬化合物、場合により他の農薬アジュバント、及び水と混合して、標的害虫へのスプレイ塗布用の農薬組成物を形成することを含む、農薬組成物の製造方法。
【請求項32】
水及び水不混和性有機液体を含む液体媒体、
前記水及び水不混和性液体を乳化するための乳化剤、
ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリサッカリドポリマーであって、ここで、前記水溶性ポリサッカリドポリマーの少なくとも一部は水溶性ポリマーの粒子の形態であり、そしてこのような粒子の少なくとも一部は前記液体媒体中に分散している、水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
場合により、前記液体媒体に溶解又は分散しているヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子、レオロジー改質剤ポリマー、誘導化グアーポリマー又は非誘導化グアーポリマー以外の水溶性ポリサッカリドポリマー、及びそれらの混合物から選ばれる懸濁剤、
を含み、
エマルジョン、マイクロエマルジョン又はサスポエマルジョンの形態である、組成物。
【請求項33】
前記組成物は、100質量部の組成物を基準として、
約0.1質量部〜約50質量部の水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
約0.1質量部〜約10質量部の懸濁剤、
を含む、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物は10s−1を超える剪断速度で10Pa.s以下の粘度を示す、請求項32記載の組成物。
【請求項35】
請求項32記載の組成物を、農薬化合物、場合により他の農薬アジュバント、及び水と混合して、標的害虫へのスプレイ塗布用の農薬組成物を形成することを含む、農薬組成物の製造方法。
【請求項36】
脂肪酸エステル、アルキル化脂肪酸エステル及びそれらの混合物から選ばれる非水性液体を含む非水性液体媒体、
ポリアクリルアミドポリマー、非誘導化グアーポリマー、誘導化グアーポリマー及びそれらの混合物から選ばれる水溶性ポリサッカリドポリマーであって、ここで、前記水溶性ポリマーの少なくとも一部は粒子の形態であり、そしてこのような粒子の少なくとも一部は前記非水性液体媒体中に分散している、水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
場合により、前記非水性液体媒体に分散しているヒュームドシリカ、無機コロイドもしくはコロイド形成性粒子及びそれらの混合物から選ばれる懸濁剤、
を含む、組成物。
【請求項37】
前記組成物は、100質量部の組成物を基準として、
約0.1質量部〜約50質量部の水溶性ポリサッカリドポリマー、及び、
約0.1質量部〜約10質量部の懸濁剤、
を含む、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物は10s−1以上の剪断速度で10Pa.s以下の粘度を示す、請求項36記載の組成物。
【請求項39】
請求項36記載の組成物を、農薬化合物、場合により他の農薬アジュバント、及び水と混合して、標的害虫へのスプレイ塗布用の農薬組成物を形成することを含む、農薬組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−503937(P2013−503937A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527866(P2012−527866)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/002426
【国際公開番号】WO2011/028286
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(508339035)
【Fターム(参考)】