説明

マクロセル内での無線通信ハンドオフ

【課題】マクロセル・サービスエリア内に室内マイクロセル等任意の数のマイクロセルを含む場合の、パイロット・ポリューション、トラフィック容量損失、近隣者リスト・リソース枯渇およびPNオフセット又はスクランブリング・コード割り当てに関連する欠点を回避する。
【解決手段】無線通信システム内でのハンドオフは複数のマイクロセルBTSの各々に対し、マクロセルとマイクロセルのうちの任意の1つとの間のハンドオフを容易化するために共通のセル定義コードを使用する。マクロセルからマイクロセルBTSのうちの任意の1つへのハンドオフを始動させるために、PNオフセットまたはスクランブリング・コード等の共通のセル定義コードが使用される。移動局の位置特性がBTSのいずれがハンドオフに関与するかを特定する。マイクロセルのうちの任意の1つからマクロセルへの全てのハンドオフを始動させるために、一例では別の共通のセル定義コードが使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、通信に関する。より詳細には、本発明は無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムはよく知られており、広く使用されている。多くのシステムが、地理的またはそれ以外の明確な領域内で無線サービスまたはサービスエリアを提供するように配置されている。大部分のシステムが、特定の領域にわたってサービスエリアを提供するように配置された複数の基地局トランシーバ(BTS)を含む。各BTSに対するサービスエリアの領域は、一般にセルと呼ばれる。知られているように、多くのセルは、セル内の無線サービスエリアを増大させるために、複数のセクタに分割される。
【0003】
状況によっては、マクロセル領域内にこのマクロセルの特定部分にサービスを提供することが意図された別のBTSユニットが存在するため、セルがマクロセルとみなされ得る。マクロセル内のこれらのより小さい領域は、マイクロセルと呼ばれ得る。マイクロセルを確立するためのBTSの1つの例示的使用は、建物内に無線サービスエリアを提供するためにその建物内にBTSを含むことである。そのようにすることの1つの理由は、建物の内部全体に信頼できる無線サービスを提供するための充分な無線周波数(RF)サービスエリアを外側のBTS設備が提供することが不可能であり得ることである。室内BTS設備を含むことの別の理由は、マクロセルBTSに対して、システム全体の能力を増大させる可能性がある、そのような建物内のユーザからのトラフィックを処理する必要性を軽減することである。
【0004】
移動局は、この移動局が対応するセルまたはセクタのサービスエリア内に存在する場合、少なくとも1つのBTSと通信することが一般的である。移動局は移動するため、セルまたはセクタの間でしばしばハンドオフする必要がある。そのようにするための1つの技術は、移動局が次のBTSと通信する前に1つのBTSとの通信を停止するハード・ハンドオフとして知られている。別の技術は、ハンドオフ手順の際に、移動局が同時に複数のBTSと通信するソフト・ハンドオフとして知られている。
【0005】
建物内等にマイクロセルを確立するためにBTS設備を含むことは、例えば、マクロセルおよびマイクロセルBTS間のハンドオフの管理に関する難問および複雑性をもたらす。そのようなハンドオフは、サービス品質の点から非常に望ましい。移動体加入者が建物に入る際に、例えば、マクロセルBTSと室内BTSとの間のハンドオフは、この移動体加入者が建物の内側および外側で連続的なサービスエリアを有することを確実にする。多くの状況で、移動体加入者が、例えば、マクロセルのRF信号がその移動局に関する通信に関して有利であり得る窓の近くにいる場合、マクロセルと室内マイクロセルとの間でハンドオフが生じ得る。
【0006】
マクロセルとこのマクロセル内のマイクロセルとの間のハンドオフに関連する問題は、パイロット・ポリューション、近隣者リスト・リソース枯渇、疑似ランダム雑音オフセット(PNオフセット)割り当て、スクランブリング・コード割り当ておよびトラフィック容量損失を含む。
【0007】
パイロット・ポリューションは、建物内部に、またはそうでなければ別個のBTSによってサービスが提供されるマイクロセルとみなされる領域内に、望ましくないことに漏洩する外部マクロセルのRFから生じる。RF漏洩が内部RFと干渉するため、外部マクロセルのRFはこの点で内部を本質的に汚染する。場合によっては、マクロセルBTSとマイクロセルBTSが互いの近隣者リスト上にない場合、移動局が1つのセルのRFサービスエリアからもう一方のセルへ移動する際に、通常、呼の切断が生じる。
【0008】
そのような状況に対して、マイクロセルまたは室内システムは、マイクロセル全体(例えば、建物の内部全体)に内部RFサービスエリアを提供するために外部マクロセル・システムを「圧倒する」ように設計される必要があり、それにより、ハンドオフを不必要にする。その一方で、室内またはマイクロセル・システムを強力にし過ぎると、内部システムからマクロセルの外部にRFの漏洩が生じる。これは、マクロセル性能に関する問題を同様に生じさせる可能性がある。
【0009】
近隣者リスト・リソース枯渇は、単一のマクロセル内に複数の室内マイクロセルが存在する状況で生じ得る。各マイクロセルまたは室内システムに関するBTSは、通常、マクロセルの近隣者リストに載っている。BTSを近隣者リストに有することは、建物の入口を介した望ましいハンドオフを容易化し、例えば、建物の上の階の全フロア領域にわたる呼の連続性を提供する。全ての室内BTSがマクロセルの近隣者リスト上に存在する必要があるため、そのようなBTSが数個以上ある場合、問題が生じる。通常の近隣者リスト・リソースは、サポートされ得るマイクロセルBTSの数に厳しい制限を設けている。通常の近隣者リスト・リソースの制限は、近隣者リスト上に約20個のBTSの列挙を規定する。これらの多くは、外部の通信をサポートするために必要とされる。複数の室内BTSを近隣者リストに追加することは問題になる。
【0010】
1つの提案される解決法は、近隣者リストに対して使用されるリソースを増大させる(例えば、より大きな近隣者リスト・サイズを設ける)ことである。これは、網羅される室内システムの数の厳しい制限を緩和するが、都市領域では多数の建物が網羅されるべき状況がなお存在する。近隣者リスト・サイズを増大させることの欠点は、一般に、移動局によるハンドオフ候補の測定時間を低速にし、マクロセルとのハンドオフ性能を低下させることである。近隣者リスト・サイズを増大させることの別の欠点は、ページング・チャネル占有を増大させることである。それゆえに、管理可能なサイズには限界があり、リストのサイズを増大させると性能の問題が生じるため、単に近隣者リストを増大させることは適切な解決法でない。
【0011】
生じる別の問題は、PNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当てを処理することに関する。マクロセルと室内マイクロセルとの間のハード・ハンドオフに関して公知の手法は、建物に入るために、内部で使用されない全ての外部キャリアに対するパイロット・ビーコンのセットを使用することを含む。外部で使用されない全ての内部キャリアに対するパイロット・ビーコンの別のセットが建物を出るために使用される。これらのパイロット・ビーコンは、ハンドオフの前の周波数で動作する移動局が見える周波数でPNオフセットまたはスクランブリング・コードを送信する。移動局は、通常、一度に1つの周波数だけに同調するため、パイロット・ビーコンは、ハード・ハンドオフの前に使用される周波数で動作している。PNオフセットまたはスクランブリング・コードは、ハード・ハンドオフを新規の周波数へと始動させる。
【0012】
より多くの室内BTSが配備されるにつれ、PNオフセットまたはスクランブリング・コードの計画がよりいっそう複雑になる。新規のPNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当てが、各室内BTSおよびセクタに対して必要とされる。これらのPNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当ては、各可能なキャリア上で、建物の進入および退出に関してマクロセルと調整される必要がある。利用可能なPNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当ての制限は、専用のBTS設備によって網羅され得る建物または他のマイクロセルの数にも厳しい制限を設ける。PNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当てに関するリソースは、適用規格によって固定される。複数の室内BTSが増加するにつれて、割り当てをみつけることがますます問題となる。
【0013】
マクロセル内に室内BTSが存在する場合、トラフィック容量損失が生じる可能性がある。マクロセル・サービスエリア内にそのような建物が多数存在する場合、マクロセルは、マクロセル・サービスエリア内の全ての建物の種々の階と非常に増加したソフト・ハンドオフになり得る。これは、チャネル要素が比較的過度のソフト・ハンドオフで手いっぱいになるため、トラフィック容量に著しい損失を生じ得る。建物内に専用BTSを配備することに対する1つの強力な金銭的誘因は、サービスを提供するマクロセルに対するトラフィック容量枯渇の救済を提供することである。マクロセルとそのような建物内のBTSとの間で過度のソフト・ハンドオフが存在する場合、専用BTS設備を付加する誘因は減退する。
【0014】
ハード・ハンドオフの場合、近隣者リスト・リソースの枯渇と、PNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当てとに関する問題はなお存在する。マクロセルとこのマクロセルのサービスエリア内の室内セルとの間でハード・ハンドオフが用いられる場合、BTSトラフィック容量損失もパイロット・ポリューションもほぼ間違いなく存在しない。従来の見識は、ソフト・ハンドオフが一般にハード・ハンドオフよりも信頼できるとみなされているため、ソフト・ハンドオフを支持している。人によっては、全てのハード・ハンドオフが信頼できないものであると信じている。マクロセルと室内マイクロセルとの間のハンドオフの場合、シナリオはより信頼できるハード・ハンドオフを可能にする。はるかに小さい領域にわたって放射する、壁または天井に取り付けられたアンテナと相まって、個々の加入者の歩行速度は、マクロセル・ハンドオフ経験(即ち、マクロセル間のハンドオフ)を適用不可能にする。人によっては、適切なRFサービスエリア設計が、マクロセルと室内セルとの間の信頼できるハード・ハンドオフを容易化することが可能であると信じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特定の状況のニーズを満たすためにマクロセル・サービスエリア内に室内マイクロセル等の任意の数のマイクロセルを含むことが可能であることが望ましい。本発明は、そのニーズに対処し、上述したパイロット・ポリューション、トラフィック容量損失、近隣者リスト・リソース枯渇およびPNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当てに関連する欠点を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、マクロセルとこのマクロセル・サービスエリア内の複数のマイクロセルのうちのいずれかとの間のハンドオフを始動させるために、共通のセル定義コードを使用する固有の戦略を含む。
【0017】
通信の一例示的方法は、単一のマクロセル内の複数のマイクロセルに対し、マクロセルとマイクロセルのうちの少なくとも1つとの間のハンドオフを容易化するために、共通のセル定義コードを使用することを含む。
【0018】
一例は、マクロセルからマイクロセルのうちの少なくとも1つへのハンドオフを容易化するために共通のセル定義コードを使用することを含む。これは、例えば、移動体加入者が、室内サービスエリアを提供するための専用BTSを有する建物に入る場合、有用である。第2の共通セル定義コードは、マイクロセルのうちのいずれかからマクロセルへのハンドオフを容易化する。これは、移動体加入者が建物を出る際に有用である。
【0019】
1つの例示的実装は、PNオフセットまたはスクランブリング・コードを共通セル定義コードとして含む。
【0020】
そのような配置に対する1つの利点は、それが近隣者リストに対して必要なセル定義コードの数を非常に低減することである。一例では、マクロセルは近隣者リスト上にそのようなコードを1つだけ保持し、それによりマクロセルと、そのコードを有する複数のマイクロセルのうちの任意の1つとの間のハンドオフが容易化される。
【0021】
一例は、マクロセルと対応するマイクロセルとの間のハンドオフを容易化するための移動局位置決定技術を含む。一例では、現在マクロセルと通信する移動局が共通セル定義コードを検出するときはいつでも、複数のマイクロセルの各々で移動局からの出力測定が行われる。移動局からの出力測定を受信するマイクロセルは、ハンドオフが完了されるべきマイクロセルとして特定される。この例示的な技術は、ソフト・ハンドオフが使用され、同じ周波数がマイクロセルおよびマクロセルで使用されている場合、有用である。
【0022】
別の例は、マクロセルとマイクロセルとの間のハード・ハンドオフを含む。この例では、長いコード・マスクが、マクロセルおよび移動局によって使用される周波数上で移動局からの逆パイロット信号の位置を決定するために使用される。ハンドオフが完了されるべきマイクロセルは、位置を決定された逆パイロット信号に基づいて特定される。
【0023】
本発明の種々の特性および利点は、以下の詳細な説明から、当業者には明白になるであろう。詳細な説明に添付の図面は、以下のように簡潔に説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態で有用である無線通信システムの選択された部分を概略的に示す説明図である。
【図2】1つの例示的な手法を要約したフローチャート図である。
【図3】別の例示的な手法を要約したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、マクロセルと、マクロセル・サービスエリア内の室内セル等の複数のマイクロセルのうちの任意の1つとの間のハンドオフを始動させる固有の戦略を含む。開示された例は、マイクロセル・サービスエリア内の複数のマイクロセルのうちの各々に対して共通のセル定義コードを使用することを含む。1つの共通のセル定義コードは、マクロセルからマイクロセルへのハンドオフを始動させるために使用される。別の共通のセル定義コードは、マイクロセルからマクロセルへの全てのハンドオフを始動させるために使用される。移動局の位置を決定する技術は、移動局がマイクロセル・サービスエリアに入る際に、ハンドオフに関与するマイクロセルの充分な識別を提供する。
【0026】
図1は、無線通信システム20の選択された部分を概略的に示す。無線ネットワーク22は、公知の要素を含み、無線通信を容易化するために公知の方法で動作する。説明図では、基地局トランシーバ(BTS)24と、関連する無線塔が26で概略的に示されるマクロセルに対するサービスエリアを提供する。
【0027】
図で示された例は、複数の比較的大きい建物がマクロセル26内に存在する都市領域である。それらの建物の少なくともいくつかが、その建物内の無線周波数(RF)サービスエリアを提供するための専用BTSを有する。そのような建物の各々は、議論の目的で、マクロセル26内のマイクロセルとみなされる。1つの例示的マイクロセルBTS30は、建物32内にRFサービスエリアを提供するためにその建物内に含まれる。少なくとも1つのビーコン34が、建物の内部(例えば、ロビー)と外部との間の出口を提供するポータル36に関して戦略的に配置される。
【0028】
別の例示的BTS40は、建物42内に含まれる。ビーコン44がポータル46に関して戦略的に配置される。この例示的な建物42は、建物32より比較的大きく、例えば、建物の上側の階の内部にサービスエリアを提供するために別個のBTS48を含み、一方で、例えば、BTS40が建物の下側の階で適切なサービスエリアを提供する。建物42のマイクロセルの場合、例えば、マクロセル26とBTS40との間でハンドオフが生じ、移動体加入者が建物42内を移動する際にBTS40および48の間のハンドオフが生じ得る。
【0029】
説明図は、建物52に関連する別のBTS50を含む。少なくとも1つのビーコン54が、説明されるやり方でその領域での無線信号を提供するためにポータル56に関して戦略的に配置される。
【0030】
図で示された例の1つの特性は、マクロセル26と、建物32、42、および52の各々に関連するマイクロセルのうちの任意の1つとの間のハンドオフを始動させるために共通のセル定義コードが使用されることである。この例で共通のセル定義コードを使用することによって、マクロセル26内の各室内マイクロセルに対して同じセル定義コードが提供される。一例では、セル定義コードは、疑似ランダム雑音オフセット(PNオフセット)である。PNオフセットは、CDMAシステムで知られている。別の例は、スクランブリング・コードをセル定義コードとして使用することを含む。スクランブリング・コードは、例えば、UMTSシステムで知られている。
【0031】
一例は、移動局がマクロセル26内の建物またはマイクロセルに入る際に、ハンドオフを始動させるために共通のセル定義コードを使用することを含む。別の共通のセル定義コードは、移動局が建物またはマイクロセルを出る際に、ハンドオフを始動させるために使用される。そのような例では、マクロセルと室内BTSのうちの任意の1つとの間のハンドオフを容易化するために、全ての室内またはマイクロセルBTSを網羅するのに、1つのマクロセル近隣者リスト・エントリだけが必要とされる。さらに、2つだけのセル定義コード(例えば、PNオフセットまたはスクランブリング・コード)割り当てが必要とされる。この例は、マクロセルと、マクロセル・サービスエリア内の複数のマイクロセルのうちの任意の1つとの間のハンドオフの管理に対する著しい単純化を示す。
【0032】
ハンドオフが建物に入ると、移動局がハンドオフされるべき室内BTSを特定するために、付加的な移動局位置決定機能が含まれる。共通のセル定義コードは、ハンドオフを始動するように指示を与えるが、それは複数のマイクロセルの間で共有されているため、ハンドオフが必要なマイクロセルを具体的に特定することが不可能である。一度、適切な建物、マイクロセルまたはBTSが特定されれば、ハンドオフを完了することが可能である。
【0033】
一例として、移動体加入者60が建物32に入ることを考慮されたい。移動体加入者60は、移動局62を使用しており、移動局62は、加入者60が建物32の外部にいる間、マクロセルBTS24と通信する。移動体加入者60が建物32に入る際に、BTS24からBTS30にハンドオフするのが望ましい。
【0034】
図2は、そのようなハンドオフを容易化するための1つの例示的な手法を要約するフローチャート図70を含む。72で、移動局62がマクロセル26内で通信している。ビーコン34は、例えば、室内BTS30、40、50の各々に対して共通のセル定義コードを提供する信号を送信する。移動局62がポータル36に近づいて建物32に入る際、移動局がビーコン34によって送信される共通のセル定義コードを検出する。1つの例示的CDMAシステムでは、セル定義コードがPNオフセットを備えている。1つの例示的UMTSシステムでは、セル定義コードがスクランブリング・コードを備えている。
【0035】
図2では、74で移動局が共通のセル定義コードを検出する。これは、移動局62によって現在使用される周波数でマクロセルBTS24に報告される。BTS24または対応する移動体交換局(MSC)等のネットワーク22の別の部分は、共通のセル定義コードの検出をハンドオフの始動として使用する。ハンドオフを完了するために、MSCは、移動局62がいずれの建物に入ろうとしているかを特定する必要がある。共通のセル定義コードは、いずれのマイクロセルがハンドオフに関与するべきであるかを特定しない。対応するマイクロセルの位置を決定するためのプロセスは、図2の76で概略的に示されている。
【0036】
そのようなハンドオフを完了するために2つの可能性が存在する。ソフト・ハンドオフの場合、移動局62がハンドオフの前にBTS24とある周波数で通信している。ソフト・ハンドオフが可能であるように、同じ周波数がマイクロセル内でサポートされる。そのような場合、図2の例は、各マイクロセルBTS30、40、50が移動局からの出力測定を要求する78のステップに進むことを含む。MSCは、各マイクロセルに関連する各BTSに移動局62からそのような出力測定を要求するように命令し得る。実際には、移動局62がその中に移動しているまたは移動した建物のマイクロセルだけが移動局62から出力測定を受信する。そのマイクロセルは、ハンドオフがされるべきマイクロセルとして80で特定される。図2のプロセスは、マクロセルと特定されたマイクロセルとの間のハンドオフを始動することによって82で継続する。
【0037】
一例では、移動局が室内BTS30またはビーコン34からセル定義コード(例えば、PNオフセット)を検出するまでハンドオフの始動は生じない。一例は、選択された閾値を上回るパイロット信号強度を移動局が同時に検出することを要求することを含む。移動局は、検出されたパイロット信号強度をマクロセルBTS24に報告し、マクロセルBTS24はそれを必要に応じてMSCに報告する。一度、それが生じると、システムは移動局が建物の外部から内部に移行していることを知る。
【0038】
ハード・ハンドオフが使用される状況では、図2の例は、84での位置決定機能ステップを含む。この例では、各マイクロセル内に調整可能な位置決定無線が含まれる。例えば、BTS30が調整可能な位置決定無線64を含み、一方、BTS40が調整可能な位置決定無線66を含む。一例では、BTSの無線構成要素に付加的なソフトウェアを付加することによって調整可能な位置決定無線が実現される。本発明の利益を有する当業者は、彼らの特定のニーズを満たすようにどのように位置決定無線を配置すればよいか理解するであろう。
【0039】
ハード・ハンドオフが使用されているため、移動局がマクロセルBTS24と通信する周波数は対応する室内BTSによって使用されていない。位置決定無線をマクロセル上りリンク周波数に合わせ、移動局からの逆パイロットを探す。3G移動局の場合、マクロセル上りリンク・キャリアに合わせ、逆パイロットを探すことが可能である。CDMA移動局の場合、このプロセスに対して特定の長いコード・マスクが使用される。2G移動局の場合、位置決定無線は長いコード・マスクを探すために多経路検出オプションを使用する。
【0040】
一度、位置決定無線が逆パイロットを検出すると、移動局の位置が決定される。対応するBTSが、ハンドオフに関与するマイクロセルとして86で特定される。一度、適切なマイクロセルが特定されると、ハンドオフが82で始動される。
【0041】
ここで、移動体加入者67が建物42内で移動局68を使用していると考える。移動体加入者67が建物42の外部に接近する際に、例えば、BTS40とBTS24との間のハンドオフが必要になる。この例では、移動局が建物32、42または52のうちの1つを去る場合の全ての状況に対し、PNオフセットまたはスクランブリング・コード等の専用の共通のセル定義コードが使用される。この例では、共通のセル定義コードを送信することによってビーコン44がポータル46の付近の領域(例えば、ロビー)を「照らす」。
【0042】
移動局加入者67がポータル46に接近する際に、マイクロセルからマクロセル26へのハンドオフを始動させるための専用の共通のセル定義コードを移動局68が検出する。図3は、このシナリオを要約するフローチャート図90を含む。92で移動局は建物42のマイクロセル内で通信している。94で、移動局68が建物42の外部に接近する際に、移動局が共通のセル定義コードを検出する。
【0043】
ハード・ハンドオフの場合、移動局は、マイクロセルからマクロセル26へのハンドオフを始動させるために使用される共通のセル定義コードを内部の周波数上で検出し、BTS40を介して元のMSCに出力測定を報告する。MSCは、BTS40の識別を既に知っており、対応するマイクロセルがマクロセル26に関して既知の位置にあるので、MSCはマクロセル26内のいずれのセクタへのハンドオフが完了されるべきであるかを既に知っている。移動局68からのRF測定報告は、MSCに対し、標準BTSおよび移動体ハード・ハンドオフ機構を使用して利用可能なマクロセル周波数のうちの1つに切り替えるように移動局68に指示することを始動させる。これは、図3の96で生じる。
【0044】
この例では、PNオフセット割り当て等の1つだけのセル定義コードが建物を退出するために必要とされ、その割り当てがなされている全ての建物の退去に関して同じセル定義コードが使用され得る。この例の1つの利点は、付加的なPNオフセット計画またはスクランブリング・コード割り当てが必要でなく、全ての室内BTSが、単一で同一のセル定義コードを用いてマイクロセルのうちの任意の1つからマクロセルへのハンドオフを始動させるように構成され得ることである。
【0045】
ソフト・ハンドオフの例も同様のやり方で行われる。移動体加入者67がポータル46に接近する際に、移動局68がセル定義コードを検出する。ネットワーク22のMSCがこのセル定義コードに関連するRF出力測定を受信する。MSCは例えば、BTS40の位置を知っているので、移動局68がまさに建物42を退去しようとしている領域内に移動局が存在することをMSCは既に知っている。MSCは、一例では、ソフト・ハンドオフを始動させるために、室内BTS40上のセル定義コード(例えば、PNオフセット)をマクロセルのそれらにマッピングする。
【0046】
ソフト・ハンドオフの場合、室内BTSからマクロセルへのソフト・ハンドオフを、移動局が実際に建物をまさに退去するか退去中であるシナリオだけに限定することが望ましい。例えば、個人98が建物52の上側の階で移動局100を使用している間、ソフト・ハンドオフを回避することが望ましい。マクロセル・トラフィック容量を最大化するために、室内BTSが内部トラフィックをできる限り搬送するべきである。建物の上側の階での移動局に関与するソフト・ハンドオフは、マクロセル・トラフィック容量を減少させる。
【0047】
一例は、同じ周波数が内部および外部で使用される場合、マクロセルを室内BTS近隣者リストに載せないことによって、そのようなソフト・ハンドオフを回避することを含む。マクロセルが室内BTS近隣者リスト上に存在しない場合、ほとんどの状況で、マイクロセルからマクロセルへのハンドオフは生じない。しかしながら、建物のロビーまたは他のアクセスポイントでは、内部システムから外部マクロセルへのソフト・ハンドオフが望ましい。全ての内部システムからマクロセルへのハンドオフを始動させる専用のセル定義コードは、建物のアクセスポイント(例えば、ロビー内)に近い領域だけで内部キャリア周波数で選択的に送信され得る。例えば、ビーコン34、44または54のうちの1つの適切な距離の範囲内の移動局は、マクロセル26へのハンドオフを始動させるために適切なセル定義コードを検出する。MSCが、そのような検出されたセル定義コードに関連するRF出力測定を受信する場合、例えば、移動局がアクセスポイントに近くて建物の上側の階にいないと判定される。MSCは、ソフト・ハンドオフを始動させるために、例えば、室内BTSのPNオフセットをマクロセルのそれらにマッピングすることによって、応答する。
【0048】
この例示的手法は、室内BTSの導入に関して望まれる結果である、所望する場合にだけソフト・ハンドオフを容易化することと、マクロセルの容量を最大化することとの著しい利点を提供する。
【0049】
一例は、対応する建物のアクセスポイントまたはポータルの近く以外で、外部システムから内部システムへのソフト・ハンドオフが可能にならないように、移動局が建物に入る際にハンドオフを始動させるために使用されるセル定義コードをマクロセル近隣者リスト上に載せないことを含む。そのような例では、マクロセルから室内マイクロセルのうちの1つへのハンドオフの容易化に関して、マクロセル近隣者リスト・エントリが使用されない。
【0050】
図で例示された例は、示されている複数の建物の全てに対する単一のセル定義コードを含むが、マクロセルによっては、建物が別個の複数にグループ化され得るように充分大きな数の建物を含む状況がある。そのような状況では、マクロセルとそれらの建物内の対応するBTSとの間のハンドオフを始動させる第1の共通のセル定義コードを有する第1の複数の建物が存在し得る。第2の複数の建物は、マクロセルと対応するBTSとの間のハンドオフを始動させる、第2の異なる共通のセル定義コードを有し得る。言い換えれば、本発明のいくつかの例示的な実装では、必ずしもマクロセル内の全ての建物ではないが、マクロセル内の複数の建物に対して、共通のセル定義コードを使用する。そのような状況でさえも、縮小された近隣者リスト・サイズ、拡張されたトラフィック容量、低減されたパイロット・ポリューション、および単純化されたPNオフセットまたはスクランブリング・コード割り当てが全て実現され得る。
【0051】
開示された例は、単一のマクロセル・セクタのサービスエリア内に配備された多数の室内BTSに対して途切れのないハンドオフをサポートするための拡張可能な解決法を提供する。さらに、開示された例は、室内BTSを既存のネットワークに追加する場合、PNオフセットまたはスクランブリング・コードの計画を非常に単純化する。ハード・ハンドオフのシナリオではより少数のパイロット・ビーコンが必要とされるため、図解も単純化される。
【0052】
前述の説明は、実際は、限定的ではなくむしろ例示的である。必ずしも本発明の本質から逸脱しない、開示された例に対する変更および修正は、当業者には明白になるであろう。本発明に与えられる法的保護の範疇は、添付の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信する方法であって、
単一のマクロセル内の複数のマイクロセルに対し、前記マクロセルと前記マイクロセルのうちの少なくとも1つとの間のハンドオフを容易化するために、共通のセル定義コードを使用するステップを含み、
前記マクロセルにサービスを提供する基地局と現在通信している移動局が、前記共通のセル定義コードを検出するかどうかを判定するステップと、
前記複数のマイクロセルの各々で前記移動局からの出力測定を行うステップと、
前記行われた出力測定に基づいて前記移動局がハンドオフされるべき前記マイクロセルのうちの1つを特定するステップとを含む、方法。
【請求項2】
通信する方法であって、
単一のマクロセル内の複数のマイクロセルに対し、前記マクロセルと前記マイクロセルのうちの少なくとも1つとの間のハンドオフを容易化するために、共通のセル定義コードを使用するステップを含み、
前記マクロセルにサービスを提供する基地局と現在通信している移動局が、前記共通のセル定義コードを検出するかどうかを判定するステップと、
前記マクロセルおよび前記移動局によって使用される周波数上で、前記移動局からの逆パイロット信号の位置を決定するステップと、
前記位置を決定された逆パイロット信号に基づいて、前記移動局がハンドオフされるべき前記マイクロセルのうちの1つを特定するステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−48449(P2013−48449A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−216387(P2012−216387)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2008−558300(P2008−558300)の分割
【原出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】