説明

マッサージ機

【課題】使用者の首と肩に対して空気式のマッサージ具に比べて強いマッサージを行うことができ、かつ、人手に似た複雑なマッサージ動作を実現できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】モータ5と、使用者の肩に当接する当接部53a,54aを有する肩アーム51を備えた肩施療部と、使用者の首に当接する当接部55aを有する首アーム55を備えた首施療部52と、モータ5駆動により回転し、肩施療部と首施療部52とを連動して動作させる駆動軸14と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の肩と首の双方をマッサージ可能なマッサージ機が知られている。このマッサージ機は、肩を施療する肩施療具と、首を施療する首施療具と、を有しており、これらの施療具はエアの給排気により膨張収縮するエアセルにより構成されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−45416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されたマッサージ機においては、施療具が空気式のマッサージ具であるエアセルにより構成されているため、マッサージ感が比較的ソフトであり、マッサージ動作も単調なものであった。従って、使用者にとっては物足りなさを感じてしまうという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、使用者の首と肩に対して空気式のマッサージ具に比べて強いマッサージを行うことができ、かつ人手に似た複雑なマッサージ動作を実現できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、モータと、使用者の肩に当接する当接部を有する肩アームを備えた肩施療部と、使用者の首に当接する当接部を有する首アームを備えた首施療部と、前記モータ駆動により回転し、前記肩施療部と前記首施療部とを連動して動作させる駆動軸と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の首と肩に対して空気式のマッサージ具に比べて強いマッサージを行うことができ、かつ、人手に似た複雑なマッサージ動作を実現できる。更に、肩施療部と首施療部を共通のモータにより駆動させることができ、装置の構造を簡素化することができる。
【0007】
また、前記首アームは、左右で対をなして互いに間隔をおいて配置され、前記駆動軸に対して回動可能かつ傾斜して取り付けられ、相互に近接離反して首を挟持・開放するよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、駆動軸を回転させることで、対をなす首アームによって首を挟持・開放してマッサージすることができる。
【0008】
また、前記肩アームは、前記駆動軸と連動機構を介して連結された回転軸に対して回動可能かつ傾斜して取り付けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、首アームは駆動軸に対して回動するとともに、肩アームは回転軸に対して首アームと連動して回動させることができる。
【0009】
また、前記駆動軸は、左右方向を軸方向とし、前記回転軸は、前後方向を軸方向とし、前記肩アームは、互いに間隔をおいて配置され相互に近接離反して肩を挟持・開放する第1アーム及び第2アームを有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、第1及び第2アームにより肩を挟み込んでマッサージすることができる。しかも、首アームを支持する駆動軸は左右方向を軸方向とし、肩アームを支持する回転軸は前後方向を軸方向としているため、駆動軸を首の後方に位置させ、回転軸を肩の上方に位置させた、各軸が使用者の身体に対して邪魔にならない好適な軸配置とすることができる。
【0010】
また、前記肩アームは、左右で対をなして互いに間隔をおいて配置され、相互に近接離反して肩に揉みマッサージを行うよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、対をなす肩アームにより、肩を左右方向に揉みマッサージすることができる。
【0011】
また、前記肩施療部による肩の挟持と、前記首施療部による首の挟持と、を交互に行うよう、前記肩アームの前記回転軸に対する傾斜角度、及び前記首アームの前記駆動軸に対する傾斜角度が設定されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、相互に近い位置に存在する部位である肩と首に対してマッサージする場合であっても、各部位に対するマッサージを使用者が感覚的に認識することができる。
【0012】
また、前記肩施療部が肩のみを挟持する肩挟持状態と、前記首施療部が首のみを挟持する首挟持状態と、前記首施療部が首を開放し、かつ前記肩施療部が肩を開放する開放状態と、を有するよう、前記肩アームの前記回転軸に対する傾斜角度、及び前記首アームの前記駆動軸に対する傾斜角度が設定されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、相互に近い位置に存在する部位である肩と首に対してマッサージする場合であっても、各部位に対するマッサージを使用者が感覚的に認識することができるとともに、両部位が弛緩する時間を与えることができリラックス感を向上させることができる。
【0013】
また、前記肩施療部が肩を挟持し、かつ前記首施療部が首を挟持する肩・首挟持状態を有するよう、前記肩アームの前記回転軸に対する傾斜角度、及び前記首アームの前記駆動軸に対する傾斜角度が設定された構成とすることもできる。
このような構成とすることにより、肩と首に対して同時にマッサージすることができ、施療範囲を拡大することができる。
【0014】
また、前記肩アーム及び前記首アームを支持するベース部と、前記肩アームと前記ベース部とを連結し、前記第1及び第2アームが相互に近接離反する動作を許容しつつ前記回転軸とともに連れ回る動作を規制する規制部材と、前記首アームと前記ベース部とを連結し、対の前記首アームが相互に近接離反する動作を許容しつつ前記駆動軸とともに連れ回る動作を規制する規制部材と、を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、肩アーム及び首アームに揉み動作を実行させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使用者の首と肩に対して空気式のマッサージ具に比べて強いマッサージを行うことができ、かつ人手に似た複雑なマッサージ動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】参考発明の実施形態に係るマッサージ機を設置した背凭れ部の斜視図である。
【図2】構成要素の一部を省略したマッサージ機の斜視図である。
【図3】構成要素の一部を省略したマッサージ機の斜視図である。
【図4】構成要素の一部を省略したマッサージ機の正面図である。
【図5】構成要素の一部を省略したマッサージ機の左側面図である。
【図6】マッサージ機の要部を示す右側面図である。
【図7】カム部材の構成を説明するマッサージ機の要部を示す図である。
【図8】マッサージ機の制御ブロック図である。
【図9】叩き部材の模式図である。
【図10】当接部の移動軌跡を示す説明図である。
【図11】マッサージプログラム(その1)のフロー図である。
【図12】マッサージプログラム(その2)のフロー図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る構成要素の一部を省略したマッサージ機の斜視図である。
【図14】構成要素の一部を省略したマッサージ機の斜視図である。
【図15】構成要素の一部を省略したマッサージ機の正面図である。
【図16】構成要素の一部を省略したマッサージ機の左側面図である。
【図17】カム部材の構成を説明するマッサージ機の要部を示す底面図である。
【図18】当接部の移動軌跡を示す説明図であり、(a)は肩挟持状態における使用者の背面図、(b)は肩挟持状態における使用者の平面図、(c)は肩挟持状態における首アーム55の正面模式図、(d)は肩挟持状態における肩アーム51の左側面模式図である。
【図19】当接部の移動軌跡を示す説明図であり、(a)は首挟持状態における使用者の背面図、(b)は首挟持状態における使用者の平面図、(c)は首挟持状態における首アーム55の正面模式図、(d)は首挟持状態における肩アーム51の左側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[参考発明に係る実施形態]
以下、まず、参考発明の実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。図1は、参考発明の実施形態に係るマッサージ機1を設置した背凭れ部101の斜視図である。図2及び図3は、構成要素の一部を省略したマッサージ機1の斜視図である。図4は、構成要素の一部を省略したマッサージ機1の正面図である。図5は、構成要素の一部を省略したマッサージ機1の左側面図である。図6は、マッサージ機1の要部を示す右側面図である。図7は、カム部材17,18の構成を説明するマッサージ機1の要部を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は正面図である。図8は、マッサージ機1の制御ブロック図である。なお、図2では、後述するカバー部材7を省略して図示しており、図3〜5では、図2から更に後述するホルダ9等を省略して図示している。
【0018】
図1に示すとおり、参考発明の実施形態に係るマッサージ機1は、主に椅子100の背凭れ部101の上部に着脱可能又は固定的に配置したり、床面に載置したりして枕として使用される。なお、本明細書における方向の概念は、後述する回転軸4の軸方向を「前後方向」とし、対の回転軸4,4が並ぶ方向を「左右方向」とし、前記前後方向及び前記左右方向に垂交する方向を「上下方向」と規定する。マッサージ機1の各使用形態に即して説明すると、例えば、椅子100の背凭れ部101に配置して使用する場合は、椅子100に着座した使用者が正面を向いて、その前方が「前」であり、後方が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」である。また、床面に載置して使用する場合は、仰向けになって頭をマッサージ機1に載置した使用者が天井を向いて、天井側が「前」であり、床面側が「後」であり、左手側が「左」であり、右手側が「右」であり、頭側が「上」であり、腰側が「下」となる。その他の場合は適宜説明する。以下、マッサージ機1の使用形態の一例として、椅子100の背凭れ部101に配置して使用する場合について代表して説明する。
【0019】
図1〜図5に示すとおり、マッサージ機1は、背凭れ部101の前面上部に設置されるベース部2と、ベース部2に支持され使用者の被施療部(肩)を挟み込んでマッサージする肩施療部としての肩アーム3と、肩アーム3に対して回転可能に取り付けられた回転軸4を有する駆動機構と、回転軸4を駆動させるための駆動原としてのモータ5と、モータ5の駆動制御や後述する叩き部材27の駆動制御を行う制御部6と、使用者の身体(頭)を支持する支持部7aを有し、少なくとも駆動機構を覆う合成樹脂等からなるカバー部材7と、により主として構成されている。
【0020】
図2に示すとおり、ベース部2は、背凭れ部101の前面上部に当接して設定される略板状のベース本体8と、ベース本体8の前部に設けられ後述する駆動機構を支持するとともに駆動機構を外部から保護するホルダ9と、により構成されている。ホルダ9は、ベース本体8の前部から立設され駆動機構を上方から保護する上部9aと、ベース本体8の前部から立設され駆動機構を左右方向から保護する側部9bと、を有しており、このホルダ9はベース本体8の前部に左右一対設けられている。ホルダ9の側部9bには、肩アームが動作した際の干渉を防止する開口部9cが設けられている。カバー部材7における対のホルダ9,9の間には、使用者の身体(頭)を安定的に支持する支持部7aが設けられている。なお、この支持部7aはクッション性を有していることが好ましい。そして、支持部7aに身体(頭)を支持した状態で、肩アーム3によって被施療部(肩)に対してマッサージを行う。
【0021】
図1〜図5に示すとおり、肩アーム3は、使用者の被施療部(肩)の上面をマッサージする第1アーム10と、使用者の被施療部(肩)の後面をマッサージする第2アーム11と、により構成されており、この肩アーム3は左右で対をなしてベース部2に設けられている。この第1及び第2アーム10,11は、その先端部に被施療部に当接する合成樹脂等からなる当接部10a,11aを有している。第1及び第2アーム10,11は相互に近接離反するよう、互いに略前後方向に間隔をおいて対向配置されている。
【0022】
図5に示すとおり、第1アーム10は、板材により形成されており、後述する第1コンロッド12への取り付け位置より下方において前方へ略垂直に屈曲している。すなわち、第1アーム10は、第1コンロッド12への取り付け位置においては板面が前後方向を向いており、当接部10aを有する先端部付近においては板面が上下方向を向いている。一方、図4及び図5に示すとおり、第2アーム11は、上下方向に長い板材により形成されており、板面が全て前後方向を向いているが、上下方向中途部より下方において左右方向内側に屈曲している。従って、第1アーム10の当接部10aは被施療部(肩)に対して上方から当接し、第2アーム11の当接部11aは被施療部(肩)に対して後方から当接することとなる。また、第1アーム10と第2アーム11は、その長手方向寸法が異なっている。具体的には、第2アーム11は第1アーム10よりも上下方向寸法が長く設定されており、第2アーム11の当接部11aは第1アーム10の当接部10aよりも下方に位置するよう構成されている。
【0023】
図6及び図7に示すとおり、この第1及び第2アーム10,11は、前後方向を軸方向とする同一の回転軸4にそれぞれ回転可能に設けられている。この回転軸4は、モータ5に連動連結された駆動軸14に設けられた第1ねじ歯車15と噛合する第2ねじ歯車16を有しており、モータ駆動により回転する駆動軸14の回転に伴って連動して回転可能とされている。回転軸4及び第2ねじ歯車16はホルダ9によって外部から保護されており、回転軸4はホルダ9に回転可能に支持されている。この第1ねじ歯車15及び第2ねじ歯車16により、回転軸4と駆動軸14を連動して回転させる連動機構を構成している。また、これら回転軸4、駆動軸14、第1ねじ歯車15、及び第2ねじ歯車16により、モータ5の駆動力を肩アーム3に伝達する駆動機構を構成している。
【0024】
第1及び第2アーム10,11は、回転軸4の回転によるマッサージ動作を第1及び第2アーム10,11に伝達する第1コンロッド12及び第2コンロッド13にそれぞれ固着して取り付けられている。この第1及び第2コンロッド12,13には前後方向に開口する嵌合穴12a,13aが形成されており、この嵌合穴12a,13aに回転軸4がカム部材17,18を介して回転可能に取り付けられている。このカム部材17,18は、前後方向から見て円板状に形成されており、その外周にベアリング(図示せず)を有している。カム部材17,18は、回転軸4に対して一体回転するよう取り付けられており、その外形の幾何学的な円の中心から離れた位置に回転軸心(回転軸4)が設けられている。また、カム部材17,18は回転軸4に対して傾斜する傾斜面17a,18aを有しており、この傾斜面17a,18aに沿うように第1及び第2コンロッド12,13がカム部材17,18に取り付けられている。すなわち、肩アーム3は、コンロッド12,13を介して回転軸4に対して偏心及び傾斜して設けられていることとなる。第1コンロッド12の嵌合穴12aに嵌合するカム部材17と、第2コンロッド13の嵌合穴13aに嵌合するカム部材18とは、左右方向から見てハの字になるよう互いに逆方向に傾斜している。また、2つのカム部材17,18は、前方から見て回転軸4の軸心に対する位相が互いに一致している。
【0025】
図2及び図8に示すとおり、ベース部2には、モータ5と、減速器19を介してモータ5に連結された左右方向を軸方向とする駆動軸14と、モータ5の駆動制御を行うCPU、メモリ(RAM)、及び記憶部(ROM)を有するマイコン等よりなる制御部6が設けられている。この制御部6は、使用者が操作する操作部20に電気的に接続されており、操作部20から入力される入力信号に基づいて、駆動回路21を介してモータ5の回転方向や回転速度を駆動制御するよう構成されている。この操作部20は、カバー部材7の表面に露出して設けられている(図1参照)。
【0026】
図2及び図6に示すとおり、駆動軸14は、左右のホルダ9に回転可能に支持されており、左右方向において左右対のホルダ9に対応する位置にそれぞれ第1ねじ歯車15が設けられている。なお、左右の第1ねじ歯車15はホルダ9内部に位置しており、外部から保護されている。この左右の第1ねじ歯車15が前述した左右の回転軸4が有する第2ねじ歯車16にそれぞれ噛合しており、モータ5を駆動させることによって駆動軸14とともに左右の回転軸4,4を同期して回転させることができる。従って、駆動軸14と回転軸4をこのような構成としたことにより、1基のモータ5により、左右対の肩アーム3,3を同期して動作させることが可能となっている。なお、左側の肩アーム3を支持する回転軸4に設けられた第2ねじ歯車16、及びこの第2ねじ歯車16に噛合する第1ねじ歯車15は「左ねじれ」であり、右側の肩アーム3を支持する回転軸4に設けられた第2ねじ歯車16、及びこの第2ねじ歯車16に噛合する第1ねじ歯車15は「右ねじれ」である。すなわち、左側のねじ歯車15,16と右側のねじ歯車15,16とは、ねじれ方向が左右逆に構成されており、左右の回転軸4は互いに逆方向に回転する。
【0027】
このように構成されたマッサージ機1は、第1及び第2アーム10,11を矢視a(図5参照)の方向に相互に近接離反させて、被施療部を挟み込んでマッサージを行うことができる。また、第1及び第2アーム10,11を、第1及び第2アーム10,11が相互に近接離反する方向と交差する方向である左右方向に対しても十分に動作させることができ、左右方向へのマッサージ動作を行うことができる。しかも、肩アーム3は左右対をなして設けられているため、対の肩アーム3,3が矢視b(図4参照)の方向に相互に近接離反して、被施療部に対して揉みマッサージを行うことができる。
【0028】
図4〜図6に示すとおり、肩アーム3は、後述する規制部材22を介してベース部2に連結されている。以下、この規制部材22の構成について具体的に説明する。この規制部材22は、下端部がコンロッド12,13の上部に取り付けられ、かつ、上端部にボールジョイント等よりなる自在継手23aを有する上下方向に延びるロッド部材23と、ロッド部材23の上端部に自在継手23aを介して取り付けられたスライダ24と、スライダ24を前後スライド可能にガイドする前後方向に延びるレール25と、により構成されている。このロッド部材23及びスライダ24は、第1及び第2アーム10,11のそれぞれに設けられており、両スライダ24,24は、共通のレール25に対してスライドするよう構成されている。そして、このレール25は、ホルダ9における上部9aの下面に取り付けられている。従って、第1及び第2アーム10,11が近接離反する動作を許容しつつ、両アーム10,11が回転軸4とともに連れ回る動作を規制することができる。
【0029】
また、図4に示すとおり、この規制部材22は、両回転軸4,4の左右外側に位置している。すなわち、ロッド部材23の下端部はコンロッド12,13の上部において回転軸4の左右方向外側に取り付けられており、レール25はホルダ9の上部9aにおいて回転軸4の左右方向外側に取り付けられている。従って、肩アーム3の当接部10a,11aを、回転軸4の左右位置を基準として、左右外側よりも左右内側へ大きく動作させることができる。
【0030】
また、図2及び図3に示すとおり、マッサージ機1は、肩アーム3の位置を検出する位置検出部材26を有している。この位置検出部材26は、非接触式の磁気センサ(ホールIC)よりなり、制御部6に設けられた検出部(センサ)26aと、駆動軸14の外周部に設けられた磁石よりなる被検出部26bにより構成されている。位置検出部材26の検出部26aは、制御部6に電気的に接続されており、検出部26aによる被検出部26bの検出信号が制御部6に送信されるよう構成されている(図8参照)。本実施形態では、1本の駆動軸14に対して対の回転軸4,4が連動連結されているため、駆動軸14の回転位置を検出するだけで、対の肩アーム3,3の位置を検出することができる。すなわち、第1及び第2アーム10,11の近接離反方向における間隔を検出することができるとともに、対の肩アーム3,3の近接離反方向における間隔を検出することができる。
【0031】
以下、叩き部材27の構成について説明する。図9は、叩き部材27の模式図である。
また、図3及び図9等に示すとおり、肩アーム3の当接部11aは、被施療部側に作用する叩き部材27を有している。この叩き部材27は、例えばソレノイド式とされており、駆動回路28より入力される電気信号により、電磁ソレノイド27aが励磁されてプランジャ27bが被施療部に対して進退動作するよう構成されている。この駆動回路28には前述した制御部6が電気的に接続されており、制御部6から駆動回路28への入力信号をON/OFFすることで、電磁ソレノイド27aを励磁したり消磁したりすることができる。従って、駆動回路28への入力信号をONとした場合は、プランジャ27bが高速で進退動作を繰り返して叩き動作を行い、駆動回路28への入力信号をOFFとした場合は、プランジャ27bの進退動作は停止する。本実施形態では、叩き部材27は、第2アーム11の当接部11aのみに設けられているが、第1アーム10の当接部10aのみ、又は第1及び第2アーム10,11の双方の当接部10a,11aに設けられていてもよい。また、この叩き部材27に代えて、単なる施療子としてもよいし、バイブレータとしてもよい。
【0032】
また、図示しないが、肩アーム3を外部から覆う伸縮性を有する伸縮カバー部材を設けてもよい。マッサージ機1をこのよう構成した場合、当接部10a,11aに対応する位置において、伸縮カバー部材に対して、被施療部を指圧又は押圧する施療子を着脱可能に設けてもよい。この場合、伸縮カバー部材の外部にポケットを設けて施療子を出し入れ自在としてもよいし、伸縮カバー部材の外部及び施療子に面ファスナー等よりなる着脱部材を設けて施療子を着脱自在としてもよい。このような構成とすることにより、使用者の好みによって施療子を着脱して、マッサージの体感や強さを調整することができる。
【0033】
以下、肩アーム10,11における各当接部10a,11aの移動軌跡について説明する。図10は、当接部10a,11aの移動軌跡を示す説明図であり、(a)は使用者の背面図、(b)は使用者の平面図である。
左右の第1アーム10の当接部10aは、被施療部(肩)の上面において、左右方向に相互に近接離反しながら前後方向及び上下方向に3次元的な軌跡を描いて移動する。また、左右の第2アーム11の当接部11aは、被施療部(肩)の後面において、左右方向に相互に近接離反しながら前後方向及び上下方向に3次元的な軌跡を描いて移動する。そして、第1アーム10が有する当接部10aの前後方向の移動と第2アーム11が有する当接部11aの前後方向の移動は互いに逆向きである。なお、第1アーム10と第2アーム11は、その長手方向寸法や形状が異なっているため、その当接部10a,11aの移動軌跡もそれぞれ異なっている。
【0034】
すなわち、第1及び第2アーム10,11の当接部10a,11aが相互近接することにより被施療部(肩)を挟み込むとともに、左右対の第2アーム11,11の当接部11a,11aが相互近接離反することにより被施療部(肩)の後面に揉み上げ・揉み下げを行う。第1アーム10の当接部10aが被施療部(肩)の上面に位置しているため、使用者の身体が上方に浮き上がることを防止して、第2アーム11の当接部11aによる揉み上げを効果的に行うことができる。しかも、第2アーム11の当接部11aが揉み上げを行う際、第1アーム10の当接部10aは下方に移動するよう構成されており、揉み上げをより効果的に行うことができる。この肩アーム3を人手に置き換えると、第1アーム10の当接部10aが人差し指から小指に相当し、第2アーム11の当接部11aが親指に相当するため、マッサージ機1は人手によるマッサージ感を実現することが可能となっている。
【0035】
以下、マッサージ機1が有するマッサージプログラムの一例について説明する。図11は、マッサージプログラム(その1)のフロー図である。図12は、マッサージプログラム(その2)のフロー図である。
図11に示すとおり、使用者が操作部20を操作してマッサージプログラム(その1)を開始させると、制御部6はモータ5を正転駆動させて肩アーム3による挟み込みマッサージや揉み上げ・揉み下げを開始させる(ステップS1)。そして、所定時間モータ5の正転駆動を継続させて、肩アーム3による挟み込みマッサージや揉み上げ・揉み下げを繰り返し行う。所定時間が経過すると、制御部6は、位置検出部材26により第1及び第2アーム10,11の相互の近接位置を判別する(ステップS2)。第1及び第2アーム10,11が近接位置(例えば、最も近接した位置)にあると判別された場合は、制御部6はモータ5の駆動を停止する(ステップS3)。続いて、制御部6は電磁ソレノイド27aを励磁させて叩き部材27を所定時間駆動させ、所定時間経過後、電磁ソレノイド27aを消磁させて叩き部材27の駆動を停止する(ステップS4〜S6)。続いて、制御部6はモータ5を反転駆動させて肩アーム3による挟み込みマッサージや揉み上げ・揉み下げを開始させる(ステップS7)。
【0036】
マッサージプログラム(その1)によれば、第1及び第2アーム10,11が近接位置にあるときに叩き部材27を駆動するので、被施療部に対して叩き動作を効果的に与えることができる。また、第1及び第2アーム10,11の動作を停止した状態で叩き部材27を駆動するので、使用者は、叩き動作に意識が集中し、叩き動作を十分に感じ取ることができる。
【0037】
図12に示すとおり、使用者が操作部20を操作してマッサージプログラム(その2)を開始させると、制御部6はモータ5を正転駆動させて肩アーム3による挟み込みマッサージや揉み上げ・揉み下げを開始させる(ステップS8)。そして、所定時間モータ5の正転駆動を継続させて、肩アーム3による挟み込みマッサージや揉み上げ・揉み下げを繰り返し行う。所定時間が経過すると、制御部6は、位置検出部材26により第1及び第2アーム10,11の相互の近接位置を判別する(ステップS9)。第1及び第2アーム10,11が近接位置(例えば、最も近接した位置)にあると判別された場合は、制御部6は、小刻みに正転・反転を繰り返すようモータ5を駆動制御する(ステップS10)。
【0038】
マッサージプログラム(その2)によれば、モータ5の正転・反転を小刻みに繰り返すため、第1及び第2アーム10,11によって被施療部を迅速に挟持・開放することができる。また、左右対の肩アーム3,3によって被施療部を迅速に揉み上げ・揉み下げすることができる。
【0039】
[本発明に係る実施形態]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機50の全体構成について説明する。なお、前述した参考発明の実施形態に係るマッサージ機1と共通する構成については同符号を付し、説明を省略する。また、以下では、マッサージ機50の使用形態の一例として、参考発明の実施形態と同様、椅子100の背凭れ部101に配置して使用する場合について代表して説明する。
【0040】
図13及び図14は、本発明の一実施形態に係る構成要素の一部を省略したマッサージ機50の斜視図である。図15は、構成要素の一部を省略したマッサージ機50の正面図である。図16は、構成要素の一部を省略したマッサージ機50の左側面図である。図17は、カム部材57の構成を説明するマッサージ機50の要部を示す底面図である。なお、図13では、前述したカバー部材7を省略して図示しており、図14〜図16では、図13から更にホルダ9等を省略して図示しており、図17では、左側の首施療部52を省略して図示している。
【0041】
参考発明の実施形態に係るマッサージ機1との本質的な相違点は、肩アーム51の構成と、使用者の首をマッサージする首施療部52を更に有している点にある。すなわち、図13〜図16に示すとおり、マッサージ機50は、背凭れ部101の前面上部に設置されるベース部2と、ベース部2に支持され使用者の被施療部(肩)を挟み込んでマッサージする肩施療部としての肩アーム51と、ベース部2に支持され使用者の首をマッサージする首施療部52と、肩アーム51に対して回転可能に取り付けられた回転軸4、及び首施療部52に対して回転可能に取り付けられた駆動軸14を有する駆動機構と、回転軸4及び駆動軸14を駆動させるための駆動原としてのモータ5と、モータ5の駆動制御や前述した参考発明の実施形態と同様の叩き部材(図示せず)の駆動制御を行う制御部6と、使用者の身体(頭)を支持する支持部(図示せず)を有し、少なくとも駆動機構を覆う合成樹脂等からなる参考発明の実施形態と同様のカバー部材(図示せず)と、により主として構成されている。
【0042】
以下、肩アーム51の構成について説明する。
図13〜図16に示すとおり、肩アーム51は、使用者の被施療部(肩)の前面をマッサージする第1アーム53と、使用者の被施療部(肩)の後面をマッサージする第2アーム54と、により構成されており、この肩アーム51は左右で対をなしてベース部2に設けられている。この第1及び第2アーム53,54は、その先端部に被施療部(肩)に当接する合成樹脂等からなる当接部53a,54aを有している。第1及び第2アーム53,54は相互に近接離反するよう、互いに略前後方向に間隔をおいて対向配置されている。また、左右対の肩アーム51,51は左右方向に相互に近接離反するよう構成されている。
【0043】
図16に示すとおり、第1及び第2アーム53,54は、上下方向に長い板材により形成されており、第1及び第2コンロッド12,13への取り付け位置より下方における第1屈曲部53b,54bにおいて前方へ屈曲し、第1屈曲部53b,54bより前方における第2屈曲部53c,54cにおいて下方へ屈曲している。すなわち、第1及び第2アーム53,54は、第1及び第2コンロッド12,13への取り付け位置及び当接部53a,54aを有する先端部付近において、板面が前後方向を向いている。従って、第1アーム53の当接部53aは被施療部(肩)に対して前方から当接し、第2アーム54の当接部54aは被施療部(肩)に対して後方から当接することとなる。また、第1及び第2アーム53,54は、その長手方向寸法がそれぞれ異なるよう設定されている。具体的には、第2アーム54は第1アーム53よりも上下方向寸法が長く設定されており、第2アーム54の当接部54aは第1アーム53の当接部53aよりも下方に位置するよう構成されている。従って、肩の前側に対して鎖骨を避けてマッサージを行うことができ、肩の後側に対して肩甲骨付近まで深くマッサージを行うことができる。
【0044】
以下、首施療部52の構成について説明する。
図14及び図15に示すとおり、首施療部52は、使用者の首をマッサージする左右で対をなす首アーム55により構成されている。この対の首アーム55は、その先端部に首に当接する合成樹脂等からなる当接部55aを有している。対の首アーム55は左右方向に相互近接離反するよう、互いに左右方向に間隔をおいて対向配置されている。そして、この首アーム55は、前述した駆動軸14にそれぞれ回転可能に設けられている。
【0045】
図14〜図16に示すとおり、首アーム55は、駆動軸14の回転によるマッサージ動作を首アーム55に伝達する第3コンロッド56に固着して取り付けられている。この第3コンロッド56には左右方向に開口する嵌合穴56aが形成されており、この嵌合穴56aに駆動軸14がカム部材57を介して回転可能に取り付けられている。このカム部材57は、左右方向から見て円板状に形成されており、その外周にベアリング(図示せず)を有している。カム部材57は、駆動軸14に対して一体回転するよう取り付けられている。また、図15に示すとおり、カム部材57は駆動軸14に対して傾斜する傾斜面57aを有しており、この傾斜面57aに沿うように第3コンロッド56がカム部材57に取り付けられている。すなわち、首アーム55は、第3コンロッド56を介して駆動軸14に対して傾斜して設けられていることとなる。左の第3コンロッド56の嵌合穴56aに嵌合するカム部材57と、右の第3コンロッド56に嵌合穴56aに嵌合するカム部材57とは、前方から見てハの字になるよう互いに逆方向に傾斜している。
【0046】
図15〜図17に示すとおり、首施療部52の首アーム55は、後述する規制部材58を介してベース部2に連結されている。以下、この規制部材58の構成について具体的に説明する。この規制部材58は、前端部が第3コンロッド56の後部に取り付けられ、かつ、後端部にボールジョイント等よりなる自在継手59aを有する前後方向に延びるロッド部材59と、ロッド部材59の後端部に自在継手59aを介して取り付けられたスライダ60と、スライダ60を上下スライド可能にガイドする上下方向に延びるレール61と、により構成されている。そして、このレール61は、ベース本体8における前面に取り付けられている(図14参照)。従って、左右対の首アーム55,55が近接離反する動作を許容しつつ、両アーム55,55が駆動軸14とともに連れ回る動作を規制することができる。
【0047】
また、図16に示すとおり、この規制部材58は、駆動軸14の下方に位置している。すなわち、ロッド部材59の前端部は第3コンロッド56の後部において駆動軸14の下方に取り付けられており、レール61はベース本体8の前面において駆動軸14の下方に取り付けられている。従って、首アーム55の当接部55aを、駆動軸14の上下位置を基準として、下側よりも上側へ大きく動作させることができる。
【0048】
そして、例えば図6に示したとおり、首アーム55を支持する駆動軸14には第1ねじ歯車15が設けられており、肩アーム51を支持する回転軸4には第1ねじ歯車15に噛合する第2ねじ歯車16が設けられているため、首アーム55と肩アーム51を共通のモータ5により連動して動作させることができ、マッサージ機50の構造を簡素化することができる。すなわち、この第1ねじ歯車15及び第2ねじ歯車16により、首アーム55と肩アーム51を連動して動作させる連動機構が構成されている。また、回転軸4に対して回動可能かつ傾斜して取り付けられた肩アーム51、及び駆動軸14に対して回動可能かつ傾斜して取り付けられた首アーム55の動作をモータ駆動により行うので、空気式のマッサージ具に比べて強いマッサージを行うことができ、かつ、人手に似た複雑なマッサージ動作を実現できる。また、図13及び図14に示すとおり、首アーム55を支持する駆動軸14は左右方向を軸方向とし、肩アーム51を支持する回転軸4は前後方向を軸方向としていることから、駆動軸14を使用者の首の後面に位置させ、回転軸4を使用者の肩の上面に位置させた、各軸4,14が使用者の身体に対して邪魔にならない好適な軸配置とすることができる。
【0049】
このように構成されたマッサージ機50は、第1及び第2アーム53,54を矢視c(図16参照)の方向に相互に近接離反させて、被施療部である肩を挟み込んでマッサージを行うことができる。また、第1及び第2アーム53,54を、第1及び第2アーム53,54が相互に近接離反する方向と交差する方向である左右方向に対しても十分に動作させることができ、左右方向へのマッサージ動作を行うことができる。しかも、肩アーム51は左右対をなして設けられているため、対の肩アーム51,51が矢視d(図15参照)の方向に相互に近接離反して、被施療部である肩に対して揉みマッサージを行うことができる。また、対の首アーム55,55を矢視e(図15参照)の方向に相互に近接離反させて、被施療部である首に対して揉みマッサージを行うことができる。
【0050】
以下、肩アーム51及び首アーム55における各当接部53a,54a,55aの移動軌跡について説明する。図18は、当接部53a,54a,55aの移動軌跡を示す説明図であり、(a)は肩挟持状態における使用者の背面図、(b)は肩挟持状態における使用者の平面図、(c)は肩挟持状態における首アーム55の正面模式図、(d)は肩挟持状態における肩アーム51の左側面模式図である。図19は、当接部53a,54a,55aの移動軌跡を示す説明図であり、(a)は首挟持状態における使用者の背面図、(b)は首挟持状態における使用者の平面図、(c)は首挟持状態における首アーム55の正面模式図、(d)は首挟持状態における肩アーム51の左側面模式図である。
【0051】
図18(a)及び図19(a)に示すとおり、左右の第1アーム53の当接部53aは、肩の前面において、左右方向に相互に近接離反しながら前後方向及び上下方向に3次元的な軌跡を描いて移動する。また、左右の第2アーム54の当接部54aは、肩の後面において、左右方向に相互に近接離反しながら前後方向及び上下方向に3次元的な軌跡を描いて移動する。そして、第1アーム53が有する当接部53aの前後方向の移動と第2アーム54が有する当接部54aの前後方向の移動は互いに逆向きである。なお、第1アーム53と第2アーム54は、その長手方向寸法や形状が異なっているため、その当接部53a,54aの移動軌跡もそれぞれ異なっている。
【0052】
すなわち、図18(b)及び図19(b)にも示すとおり、第1及び第2アーム53,54の当接部53a,54aが相互近接することにより肩を前後から挟み込むとともに、左右対の第1アーム53,53の当接部53a,53aが相互近接離反することにより肩の前面に揉み上げ・揉み下げを行い、左右対の第2アーム54,54の当接部54a,54aが相互近接離反することにより肩の後面に揉み上げ・揉み下げを行う。第1及び第2アーム53,54の当接部53a,54aがそれぞれ前後に間隔をおいて対向配置されているため、使用者の肩を前後から挟み込みながら、第1及び第2アーム53,54の当接部53a,54aによる揉み上げ・揉み下げを効果的に行うことができる。この肩アーム51を人手に置き換えると、第1アーム53の当接部53aが人差し指から小指に相当し、第2アーム54の当接部54aが親指に相当するため、マッサージ機50は人手によるマッサージ感を実現することが可能となっている。
【0053】
図18(a)及び図19(a)に示すとおり、左右の首アーム55の当接部55aは、首の側面において、左右方向に相互に近接離反しながら前後方向及び上下方向に3次元的な軌跡を描いて移動する。すなわち、首アーム55,55の当接部55a,55aが相互近接することにより首を左右から挟み込んで揉み上げ・揉み下げを行うことができる。
【0054】
本発明の一実施形態に係るマッサージ機50は、図18に示すとおり、第1アーム53及び第2アーム54が相互近接して、肩アーム51により肩を前後から挟持し、左右の首アーム55,55は相互離反して首を開放した肩挟持状態と、図19に示すとおり、左右の首アーム55,55が相互近接して首を挟持し、第1アーム53及び第2アーム54は相互離反して肩を開放した首挟持状態と、を有するよう、肩アーム51の回転軸4に対する傾斜角度、及び首アーム55の駆動軸14に対する傾斜角度がそれぞれ設定されている。すなわち、図18(c),(d)に示すとおり、肩アーム51である第1アーム53及び第2アーム54は、側面視でその下部側が相互に近接し、かつその上部側が相互に離反した状態で回転軸4に対して傾斜して取り付けられ、首アーム55,55は、正面視でその下部側が相互に近接し、かつその上部側が相互に離反した状態で駆動軸14に取り付けられている。そして、図18に示す肩挟持状態からモータ5を駆動して駆動軸14を所定角度回転させると、図19(c),(d)に示すとおり、肩アーム51である第1アーム53及び第2アーム54は、側面視でその下部側が相互に離反し、かつその上部側が相互に近接し、首アーム55,55は、正面視でその下部側が相互に離反し、かつその上部側が相互に近接した首挟持状態となる。
【0055】
上述したとおり、マッサージ機50は、肩のみを挟持する肩挟持状態と、首のみを挟持する首挟持状態と、を有しているため、相互に近い位置に存在する部位である肩と首に対してマッサージする場合であっても、各部位に対するマッサージを使用者が感覚的に認識することができる。一方、肩と首を挟持するタイミングを完全に一致させた場合は、使用者は肩と首のいずれをマッサージされているのか感覚的に認識することができず、良好なマッサージ効果を得ることはできない。
【0056】
また、マッサージ機50は、図18及び図19に示した肩挟持状態及び首挟持状態に加えて、肩及び首の両方の挟持を解放した開放状態を更に有していてもよい。このような構成とすることにより、相互に近い位置に存在する部位である肩と首に対してマッサージする場合であっても、各部位に対するマッサージを使用者が感覚的に認識することができるとともに、両部位が弛緩する時間を与えることができリラックス感を向上させることができる。一方、開放状態を設けない場合は、使用者は常時、首又は肩をマッサージされ続けることとなり、リラックス感を得ることはできない。
【0057】
なお、第1アーム53及び第2アーム54が相互近接して、肩アーム51により肩を前後から挟持し、かつ左右の首アーム55,55が相互近接して首を左右から挟持した肩・首挟持状態を有するよう、肩アーム51の回転軸4に対する傾斜角度、及び首アーム55の駆動軸14に対する傾斜角度がそれぞれ設定されていてもよい。すなわち、肩アーム51である第1アーム53及び第2アーム54を、側面視でその下部側が相互に近接し、かつその上部側が相互に離反した状態で回転軸4に対して傾斜して取り付け、首アーム55,55を、正面視でその上部側が相互に近接し、かつその下部側が相互に離反した状態で駆動軸14に取り付けてもよい。このような構成とした場合、肩と首に対して同時にマッサージすることができ、施療範囲を拡大することができる。
【0058】
[他の実施形態]
前述した参考発明及び本発明に係るマッサージ機1,50は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態であってもよい。
例えば、参考発明のマッサージ機1において、第1アーム10に代えて、当接部10aが被施療部(肩)の前側に配置されるようにしてもよい。具体的には、肩アーム3に代えて本発明のマッサージ機50に係る肩アーム51を採用してもよい。また、参考発明のマッサージ機1において、第2実施形態のマッサージ機50に係る首施療部52を追加的に設けてもよい。
また、参考発明及び本発明のマッサージ機1,50の使用形態として、椅子100の背凭れ部101に配置して枕として使用する場合について説明したが、その他の被施療部に使用してもよい。例えば、使用者の腕や脚に使用する場合は、必ずしも肩アーム3又は肩アーム51を対として設ける必要はなく、首施療部52は省略することが好ましい。
また、第1及び第2アーム10,11,53,54は回転軸4に対して偏心及び傾斜して取り付けられており、第2アーム11,54の回転軸4に対する偏心量及び/又は傾斜角度は、第1アーム10,53のそれよりも大きく設定されていてもよい。このような構成とすることにより、例えば、被施療部を肩とした場合、鎖骨が存在する肩の上側や前側に対しては、狭い範囲に浅い(弱い)マッサージを行うことができ、肩甲骨が存在する肩の後側に対しては、広い範囲に深い(強い)マッサージを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、使用者の首と肩に対して空気式のマッサージ具に比べて強いマッサージを行うことができ、かつ、人手に似た複雑なマッサージ動作を実現できるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,50 マッサージ機
2 ベース部
3,51 肩アーム(肩施療部)
4 回転軸
5 モータ
6 制御部
10,53 第1アーム
10a,53a 当接部
11,54 第2アーム
11a,54a 当接部
14 駆動軸
22,58 規制部材
27 叩き部材
52 首施療部
55 首アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
使用者の肩に当接する当接部を有する肩アームを備えた肩施療部と、
使用者の首に当接する当接部を有する首アームを備えた首施療部と、
前記モータ駆動により回転し、前記肩施療部と前記首施療部とを連動して動作させる駆動軸と、を有する
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記首アームは、
左右で対をなして互いに間隔をおいて配置され、
前記駆動軸に対して回動可能かつ傾斜して取り付けられ、相互に近接離反して首を挟持・開放するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記肩アームは、前記駆動軸と連動機構を介して連結された回転軸に対して回動可能かつ傾斜して取り付けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記駆動軸は、左右方向を軸方向とし、
前記回転軸は、前後方向を軸方向とし、
前記肩アームは、互いに間隔をおいて配置され相互に近接離反して肩を挟持・開放する第1アーム及び第2アームを有している
ことを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記肩アームは、左右で対をなして互いに間隔をおいて配置され、相互に近接離反して肩に揉みマッサージを行うよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記肩施療部による肩の挟持と、前記首施療部による首の挟持と、を交互に行うよう、前記肩アームの前記回転軸に対する傾斜角度、及び前記首アームの前記駆動軸に対する傾斜角度が設定されている
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記肩施療部が肩のみを挟持する肩挟持状態と、前記首施療部が首のみを挟持する首挟持状態と、前記首施療部が首を開放し、かつ前記肩施療部が肩を開放する開放状態と、を有するよう、前記肩アームの前記回転軸に対する傾斜角度、及び前記首アームの前記駆動軸に対する傾斜角度が設定されている
ことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記肩施療部が肩を挟持し、かつ前記首施療部が首を挟持する肩・首挟持状態を有するよう、前記肩アームの前記回転軸に対する傾斜角度、及び前記首アームの前記駆動軸に対する傾斜角度が設定されている
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記肩アーム及び前記首アームを支持するベース部と、
前記肩アームと前記ベース部とを連結し、前記第1及び第2アームが相互に近接離反する動作を許容しつつ前記回転軸とともに連れ回る動作を規制する規制部材と、
前記首アームと前記ベース部とを連結し、左右対の前記首アームが相互に近接離反する動作を許容しつつ前記駆動軸とともに連れ回る動作を規制する規制部材と、を有している
ことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−9733(P2013−9733A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143083(P2011−143083)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】