マラリア用ワクチン
本発明は、新規なタンパク質粒子、その調製および精製方法、医療(特にマラリア感染の予防)におけるその使用、上記の粒子を含む組成物/ワクチン、またはモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体などの上記のタンパク質粒子に対する抗体、および特に治療におけるその使用に関する。さらに、酵母サッカロミセス・セレヴィシエまたはピキア・パストリスを使用することにより、特定の比を有する粒子を調製することができる。特に本発明は、以下の単量体:a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、およびb. B型肝炎ウイルスに由来するS抗原を含み、SのCSV-Sに対する比が0.1〜1の範囲であることを特徴とする免疫原性タンパク質粒子に関する。好適には、SのCSV-Sに対する比は0.19〜0.30または0.68〜0.80の範囲である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリポタンパク質粒子、その調製方法および精製方法、医療(特にマラリア感染の予防)におけるその使用、該粒子を含む組成物/ワクチン、またはモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体などの該タンパク質粒子に対する抗体、および特に治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアは世界の主要な健康問題の1つであり、この疾患により毎年200〜400万人以上の人々が死亡している。この疾患の最も蔓延している形態の1つは、熱帯および亜熱帯の地域にみられる寄生原虫であるプラスモディウム・ビバックス(P.vivax)によって引き起こされる。興味深いことに、この寄生虫は15℃という低温で蚊サイクルを完結することができ、マラリアが温帯気候において蔓延するのを可能としている。
【0003】
この疾患の最急性型の1つは、マラリアに起因する死亡の大半に関与する寄生原虫であるプラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum(P. falciparum))によって引き起こされる。
【0004】
プラスモディウム(Plasmodium)の生活環は複雑であり、完結するためには2つの宿主(ヒトおよび蚊)を必要とする。ヒトの感染は、感染した蚊の咬傷を介した血流中へのスポロゾイトの接種によって始まる。このスポロゾイトは肝臓へ移動し、そこで肝細胞に感染して、赤血球外細胞内段階を経てメロゾイト段階へと分化してこれが赤血球(RBC)に感染し、無性血中段階で循環複製を開始する。このサイクルは、RBC中の多数のメロゾイトが有性段階の生殖母細胞へと分化することによって完結し、この生殖母細胞は蚊に摂取され、蚊の中腸において一連の段階を経て成長してスポロゾイトを産生し、これが唾液腺へと移動する。
【0005】
プラスモディウム・ビバックスによって引き起こされる疾患が致命的であることはほとんどないという事実から、マラリアを予防および治療するための取り組みは、プラスモディウム・ファルシパルム(P.ファルシパルム)によって引き起こされるより致死性の疾患に集中している。
【0006】
プラスモディウム・ビバックスによって引き起こされる疾患は、通常は患者の死亡をもたらさないが、増加しているように思われる症例の量、患者の生活の質に及ぼす甚大な影響、貧血および死亡をもたらす当該疾患の重度罹患率の増加の報告、ならびに経済的影響のために、この疾患に対する有効なワクチン接種は依然として必要とされている。さらに、単一のワクチンで、該疾患の両方の病原に対する防御を提供することができれば有利であろう。
【0007】
プラスモディウム・ビバックスの特徴は、一部の株が、末梢循環に出現して臨床症状を示す前に、肝臓中に残っている潜在型によって遅延型感染を引き起こし得ることである。このため、個人が例えば伝染病汚染地域を旅行する場合、感染する可能性があり、なおかつ数ヶ月間症状を示さない可能性がある。これはマラリアの蔓延を引き起こす可能性があり、このため伝染病汚染地域へ旅行する人は、伝染病汚染地域への旅行後一定の期間中、輸血のための献血を行うことが禁じられている。
【0008】
プラスモディウム・ビバックスによるマラリア感染は、この寄生虫が前赤血球段階でのシゾゴニー(胞子虫類の無性生殖による増殖)を行う間、肝臓内に潜伏したままとなる。寄生虫が肝臓から抜け出す前のこの段階で寄生虫が制御される場合、患者にはこの疾患の臨床症状は観察されない。
【0009】
プラスモディウムのスポロゾイト段階は、マラリアワクチンの潜在的な標的として同定されている。不活性化した(放射線照射された)スポロゾイトを用いたワクチン接種は、実験上のヒトマラリアに対する防御を誘導することが示されている(Am. J, Trop. Med. Hyg 24: 297-402, 1975)。しかし、この方法に基づき、放射線照射されたスポロゾイトを用いて、一般向けのマラリア用ワクチンを実用的且つロジスティックに製造することは可能となってはいない。
【0010】
スポロゾイトの主要な表面タンパク質は、スポロゾイト周囲タンパク質(CSタンパク質)として知られている。このタンパク質は、スポロゾイトが、蚊による接種の開始部位から血液循環(ここでスポロゾイトが肝臓へ移動する)へと移行する間、その運動性および侵入に関与すると考えられている。
【0011】
プラスモディア(Plasmodia)属種のCSタンパク質は、非反復アミノ末端(N末端)フラグメントとカルボキシ末端(C末端)フラグメントにはさまれた中央の反復ドメイン(反復領域)によって特徴付けられる。このプラスモディウム・ビバックスの中央ドメインは、幾つかの反復ユニット(通常は、9個の直列アミノ酸からなる)のブロックで構成される。
【0012】
特定のアジア株では、中央反復領域の後に約12アミノ酸の付加配列が存在している。この付加配列の機能は未知である。しかし、研究はされていないが、一部の研究者によって、該アミノ酸がこの疾患の臨床症状の発症遅延に関連する可能性があるという仮説が立てられている。この付加配列のN末端は、領域Iとして知られる5アミノ酸の配列によって特徴付けられると考えられている。またC末端は、領域IIとして知られる12アミノ酸の配列を含むことによって特徴付けられるとも考えられている。領域IIは、全てのマラリアCSタンパク質間で高度に保存されている細胞接着モチーフを含む。
【0013】
WO 93/10152およびWO 98/05355は、プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来するワクチンについて記載しており、これらの文献に記載される方法を用いて、プラスモディウム・ファルシパルムに対するワクチン接種について多少の進歩がもたらされたと考えられる。Heppnerら 2005, Vaccine 23, 2243-50も参照のこと。
【0014】
プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質は、保存された中央反復領域を有する。対照的に、プラスモディウム・ビバックスについては、少なくとも2つの形態の(VK210またはI型およびVK247またはII型と呼ばれる)CSタンパク質が知られている。このことは、CSタンパク質の特定の種類にかかわらずプラスモディウム・ビバックスに対する一般的な防御を与える望ましい特性(免疫原性など)を全て有するCSタンパク質の構築物を同定することを、さらに困難にする。なぜなら、I型の中央反復領域に向けられた抗体は、II型の対応する領域上のエピトープを必ずしも認識せず、逆もまた同様であるためである。
【0015】
1980〜1990年代に、組換えプラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質を発現させてワクチンとして試験したが、限られた成果しか上げられなかった(Collinsら, 1989. Am. J. Trop. Med. Hyg. 40, 455-64)。架橋された1つまたはそれ以上のエピトープを利用して多重抗原ペプチド(MAP)に基づくワクチンを開発するために、幾つかの研究が行われている(NardelliおよびTam, 1995, Pharm. Biotechnol. 6, 803-19)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、少なくとも体液性免疫応答を生じ、また細胞性免疫応答も生じ得ると考えられる、マラリアワクチンにおいて使用するための抗原性粒子を提供する。またこの抗原は、ヘルパーT細胞(例えばTh1および/またはTh2細胞)も誘導することができる。
【0017】
従って本発明は、以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. B型肝炎ウイルスに由来するS抗原
を含み、SのCSV-Sに対する比が0.1〜1の範囲であることを特徴とする、免疫原性タンパク質粒子を提供する。
【0018】
好適には、SのCSV-Sに対する比は0.19〜0.30、例えば0.2〜0.25の範囲、例えば約または実質的に0.24であり、あるいは0.68〜0.80の範囲、例えば約または実質的に0.73である。
【0019】
通常、部分b)のS抗原は非融合S抗原である。
【0020】
配列リスト
配列番号1 ハイブリッドタンパク質CSVのヌクレオチド配列(大腸菌(E Coli)での発現用に最適化されている)
配列番号2 ハイブリッドタンパク質CSVのアミノ酸配列
配列番号3 ハイブリッドタンパク質CSVのヌクレオチド配列(酵母での発現用に最適化されている)
配列番号4 ハイブリッド融合タンパク質CSV-Sのヌクレオチド配列
配列番号5 ハイブリッド融合タンパク質CSV-Sのアミノ酸配列
配列番号6および7 RTS発現カセットのヌクレオチド配列および推定RTSタンパク質
配列番号8 CSV-S融合遺伝子(pHIL-D2組込みピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現ベクター中にクローン化したもの)のヌクレオチド配列
配列番号9 ピキア・パストリスにおいて発現されるCSV-S融合タンパク質のアミノ酸配列
配列番号10 S遺伝子(pPICZ-A組込みピキア・パストリスベクター中にクローン化したもの)のヌクレオチド配列
配列番号11 配列番号10によってコードされるアミノ酸配列。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】pRIT15546のプラスミドマップは、酵母エピソームベクターである。
【図2】所望の抗原とB型肝炎に由来するS抗原との「融合」に利用される、GSKが調製したプラスミドpGF1-S2のプラスミドマップ。異種DNA配列をSmaI部位間にクローニングし(12bpのSmaI DNAフラグメントの除去後)、それによりS遺伝子とのインフレーム融合を生成する。
【図3】pRIT15582のプラスミドマップ。XhoIを用いた消化は、CSV-S発現カセットとLEU2選択マーカーを有し、酵母染色体への挿入に用いられる8.5 kbの線状DNAフラグメントを遊離させる。
【図4】CSV-Sカセットを組込むために用いられる線状XhoIフラグメントの制限マップ。
【図5】Y1835株中で発現させた組換えタンパク質のウエスタンブロット。パネルA:ウエスタンブロットは抗S抗体を用いて示された。ロードしたサンプル(100μgの全タンパク質/ウェル)は以下のとおり。1:Y1631(RTS,S産生株、比較として); 2:Y1835; 3:Y1835; 4:Y1834。パネルB:ウエスタンブロットは抗CSV抗体を用いて示された。ロードしたサンプル(100μgの全タンパク質/ウェル)は以下のとおり。1:Y1631(RTS,S産生株、比較として); 2:Y1295; 3:Y1835; 4:Y1834; 5:未報告(nr)(別のCSVS構築物); 6:未報告(nr)(別の構築物-S抗原のみ)
【図6】Y1835株中で生産されたCSV-S,S混合粒子の電子顕微鏡写真。CSV-S,S粒子を、可溶性細胞抽出物から(RTS,S精製法に基づいて)精製し、電子顕微鏡解析に供した。粒子は、リンタングステン酸を用いた陰性染色の後に可視化された。顕微鏡のスケールは100nmに相当する。
【図7】CSV特異的抗体(Ab)応答(抗CSV血清学的検査(全イムノグロブリン(Ig)))
【図8】HBs特異的抗体応答
【図9】CSV特異的抗体応答(14pII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PII)
【図10】CSV特異的抗体応答(14pIII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PIII)
【図11】HBs特異的抗体応答(14pII)
【図12】HBs特異的抗体応答(14pIII)
【図13】CSV特異的抗体応答(14pII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PII)
【図14】CSV特異的抗体応答(14pIII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PIII)
【図15】HBs特異的抗体応答(14pII)
【図16】HBs特異的抗体応答(14pIII)
【図17】S:CVS-Sの比を計算するために使用したゲルを示す。S/CSVS比:0.73(Y1835 CSV-S,S精製粒子:S/CSV-S比の測定)
【図18】CSV-S遺伝子を含むpRIT15607のプラスミドマップ。
【図19】Y1840株で発現させた組換えタンパク質のウエスタンブロット。ウエスタンブロットは抗S抗体を用いて示された。以下の括弧内は、ロードされた全タンパク質の量を示す。1:GS115(ピキア・パストリス宿主細胞); 2:Y1840(100μg); 3:Y1840(50μg); 4:Y1840(25μg); 5:Y1840(12.5μg); 6:Y1833(100μg、CSV-Sを発現するS.c.株); 7:Y1835(100μg、CSV-SとSを共発現するS.c.株)
【図20】pRIT15607のプラスミドマップ。
【図21】Y1847株で発現させた組換えタンパク質のウエスタンブロット。ウエスタンブロットは抗S抗体を用いて示された。ロードしたサンプル(20μgの全タンパク質/ウェル)は以下のとおり。1:Y1835; 2:Y1840; 3:Y1847
【図22】Y1847株から調製した無細胞抽出物の塩化セシウム勾配。
【図23】可溶性細胞抽出物から精製し、電子顕微鏡解析に供した、Y1847株で生産されたCSV-S,S粒子の電子顕微鏡写真。粒子は、リンタングステン酸を用いた陰性染色の後に可視化された。顕微鏡のスケールは100nmに相当する。
【図24】SのCSV-Sに対する比を決定したY1847 CSV-S,S精製粒子。S/CSVS比:0.24。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記図において、測定された応答がCSV特異的である場合、それが融合タンパク質CSV-Sであるか粒子CSV-S,Sであるかにかかわらず、各実体中のCSVエレメントに対する応答が測定される。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、例えば各構成成分の相対密度に基づいて、CSV-Sの各分子につき約7.5個のS抗原分子が存在すると考えられる。
【0024】
驚くべきことに、本発明の粒子は、少なくとも一部の態様では、マウスにおいてin vivoで試験した場合に、対応するいわゆる単純粒子よりもずっと免疫原性であるようである。単純粒子は、主に融合タンパク質成分CSV-Sから構成され、非融合S抗原を全く「含まない」ウイルス様粒子である。理論に拘束されることは望まないが、本発明のCSV-Sと非融合S抗原とを含む混合粒子中では、CSV-S成分は、これに対する免疫応答を最適化する好都合な方法で配置されまたは方向付けられていると考えられる。
【0025】
本発明の粒子のさらなる利点は、非融合S抗原を含まない単純CSV-S粒子と同じまたは類似のレベルの免疫応答を誘発しながら、これらの粒子をより低用量で使用する可能性があることである。
【0026】
酵母細胞などの特定の宿主中では、融合タンパク質(S抗原を含む)は、いったん発現されると、該融合タンパク質の多数の単量体から構成されるタンパク質構造/粒子へと自発的に構築される。選択されたレシピエント酵母株が、そのゲノム中に組み込まれた1つ又はそれ以上のコピーのB型肝炎S発現カセットを既に有する場合、その後構築された粒子は、非融合S抗原の単量体も含み得る。
【0027】
さらに、特定の比を有する粒子は、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(例えば、RIT DC5 cir(o)という名称で寄託されているATCCデータベース(受託番号20820)中のDC5(寄託者:Smith Kline-RIT))を使用することによって調製することができる。有利なことに、かかる酵母は本発明の粒子の商業生産に適している。
【0028】
さらに、本明細書中の特定の比を有する粒子は、酵母ピキア・パストリスを使用することによって調製することができる。有利なことに、かかる酵母は、本発明の粒子の商業生産に適している。さらに、特に特定のプロモーターを使用する場合、高収量の粒子が得られる。パストリスでの収量は、対応するDNAをサッカロミセス・セレヴィシエにおいて発現させた場合の収量より多い。ある場合には、この収量は、サッカロミセス・セレヴィシエを使用した場合に得られる収量の10倍またはそれ以上となり得る。
【0029】
上記の酵母は、そのゲノム中に1、2、3、4、または5コピー(例えば4コピー)のCSV-Sを含み得る。
【0030】
1つの態様において、酵母は、組換え酵母株Y1835である。
【0031】
1つの態様において、酵母は、組換え酵母株Y1847である。
【0032】
本明細書中で言及される「比」は、例えば適当なゲル中のS抗原バンドとCSV-Sバンドの密度の計算に基づく、平均値である(例えば、図17および24参照)。
【0033】
当該粒子の調製のため、様々な方法を用いて酵母を操作することができる。例えば、融合タンパク質の発現カセットを、S抗原についての少なくとも1つの発現カセットを既に含む酵母のゲノムに挿入してもよい。当技術分野の当業者は、本発明の粒子の調製のための好適な宿主を調製することが十分にできる。さらなる詳細は以下に提供される。
【0034】
理論に拘束されることは望まないが、本発明の粒子を酵母細胞から遊離させるために用いられる界面活性剤、例えばTween(Tween20またはTween80など)は、本発明のリポタンパク質粒子の安定化に役立ち得ると考えられる。
【0035】
CSV-S
本発明で用いられる融合タンパク質CSV-Sは、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質(CSV)に由来する部分を含む。このCSV抗原は、プラスモディウム・ビバックスのI型CSタンパク質および/またはプラスモディウム・ビバックスのII型タンパク質に見られるような天然(native)タンパク質であり得る。別法として、このCSVタンパク質は、該I型およびII型のCSタンパク質に由来するエレメント(要素)を含むハイブリッドタンパク質またはキメラタンパク質であってよい。後者がS抗原に融合される場合、本明細書中ではこれを「ハイブリッド融合タンパク質」と呼ぶ。
【0036】
「CSV-S」は、本明細書中で、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質由来の配列/フラグメントと、B型肝炎のS抗原由来の配列/フラグメントとを含む融合タンパク質を包含する総称として使用される。
【0037】
I型CSタンパク質を有するプラスモディウム・ビバックスは、II型CSタンパク質を有するプラスモディウム・ビバックスよりも蔓延している。従って、1つの態様において、本発明は、I型に由来するCSタンパク質を利用する。別の態様において、本発明は、I型に由来する反復ユニットとII型に由来する反復ユニットを含む(例えば、I型に由来する反復ユニットの方が、II型の反復ユニットよりも多くハイブリッドに含まれる)ハイブリッドタンパク質を提供する。
【0038】
ハイブリッド/キメラタンパク質は、通常:
プラスモディウム・ビバックスのI型スポロゾイト周囲タンパク質の中央反復部分に由来する少なくとも1つの反復ユニット、および
プラスモディウム・ビバックスのII型スポロゾイト周囲タンパク質の中央反復部分に由来する少なくとも1つの反復ユニット
を含む。
【0039】
本発明においては、プラスモディウム・ビバックスの任意の好適な株を使用することが可能であり、例えばラテンアメリカ株、アメリカ株(すなわちSal 1、Belem)、朝鮮株、中国株、タイ株、インドネシア株、インド株、およびベトナム株が挙げられる。配列番号2の構築物は、朝鮮株(より具体的には韓国株)に基づく。
【0040】
B型肝炎に由来する表面抗原の存在は、CSタンパク質部分の免疫原性をブースト(追加免疫)し、安定性を助け、且つ/またはこのタンパク質の再生製造に役立つと考えられる。
【0041】
1つの実施形態において、ハイブリッド融合タンパク質(CSV-S)は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有する。この配列において、アミノ酸6〜262位はCSVに由来し、269〜494位はS抗原に由来する。残りのアミノ酸は、遺伝的構築(特に適宜変化させることができる)によって導入される。4個のアミノ酸Met Met Ala Proは、特にプラスミドpGF1-S2から誘導される(図4参照)。
【0042】
配列番号5のタンパク質のヌクレオチド配列は、配列番号4に示される。
【0043】
1つの実施形態において、本発明の粒子は、抗酸化剤、例えばチオール官能基を含む抗酸化剤(例えばモノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、システイン、グルタチオンまたはその混合物)を含む液体製剤として提供される。この液体製剤は、適切なアジュバントで再構成される1回用量または2回用量として提供し得る。この製剤は、必要に応じて、例えば3mLガラスバイアルなどのガラスバイアル中で提供することができる。1つの態様において、このバイアルはアンバー色(褐色)である。別のまたはさらなる態様において、この製剤から酸素が除去される。
【0044】
1つの実施形態において、本発明の粒子は、場合により好適な抗酸化剤、例えばチオール官能基を含む抗酸化剤(モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、システイン、グルタチオンまたはその混合物など)と結合させた/組み合わせた、凍結乾燥形態で提供することができる。
【0045】
別の態様において、本発明のハイブリッド融合タンパク質は、例えば米国出願公開第2006/194196号(WO 2004/113369としても公開)に記載のとおり、変異体Sタンパク質に由来する部分を含む。この文献は、標識変異体HDB05について記載する。特にこの文献は、図1と図6では変異体タンパク質と野生型タンパク質との比較を、また図4と図5では変異体の遺伝子を記載している。文献中の配列12〜22は、変異体Sタンパク質の特定のポリペプチドを表す。上記の各記載は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0046】
融合タンパク質CSV-Sは、例えば、プラスミドpGF1-S2を用いて調製することが可能であり(さらに詳細には、図2および実施例を参照のこと)、このプラスミドは、CSVに対応する適切な配列がSmaIクローニング部位に挿入されている場合、好適な条件下で融合タンパク質CSV-Sを生産することができる。
【0047】
ベクターpRIT15546は、CSV-S発現カセットを担持する酵母エピソーム性発現ベクター(2μベースのベクター)である。その組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15546ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0048】
pRIT15546ベクターの構築
酵母発現用の適切なコドン使用頻度を有するCSV合成遺伝子を構築し、pUC57ベクター中にサブクローニングした(GenBank/EMBLアクセッション番号Y14837)。結果として得られたプラスミドpUC57/CSVと酵母発現ベクターpGf1-S2を、いずれも適切な酵素で制限消化した。ベクターpGf1-S2は、多段階クローニング法により(GSKにおいて)構築した。S発現カセットを既に担持するこのベクターは、B型肝炎ウイルスのS遺伝子とのN末端インフレーム融合での融合遺伝子の構築を可能とする。配列確認後の最終的な発現ベクターは、pRIT15546と名付けた(図8)。
【0049】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、1つの実施形態において、例えば酵母遺伝子に由来する、転写制御エレメントに隣接しており、また発現ベクターに組み込まれる。
【0050】
サッカロミセス・セレヴィシエ
本発明のハイブリッドタンパク質の発現カセットは、例えば、以下の特性を含めて構築することができる:
・例えばサッカロミセス・セレヴィシエTDH3遺伝子に由来する、プロモーター配列;
・適切な融合タンパク質をコードする配列;
・例えばサッカロミセス・セレヴィシエARG3遺伝子に由来する、配列中に含まれる転写終結配列。
【0051】
好適なプロモーターの例は、サッカロミセス・セレヴィシエのTDH3遺伝子由来のプロモーターである(Mustiら)。
【0052】
次いで、好適なプラスミドを用いて、ハイブリッド融合タンパク質をコードする配列を好適な合成用宿主に挿入することができる。好適なプラスミドの例として、好適な発現カセットを担持する2ミクロンベースのベクターであるpRIT15546が挙げられる。さらに詳細には、図1および実施例を参照のこと。
【0053】
このプラスミドは、通常、選択に役立つ組込みマーカー(例えば、抗生物質耐性またはLEU2もしくはHIS栄養要求性をコードする遺伝子)を含む。
【0054】
上記のとおり、CSV-SをコードするカセットおよびB型肝炎に由来するS抗原をコードするカセットの少なくとも1つを有するサッカロミセス・セレヴィシエの使用を利用して、本発明の粒子を提供することができる。
【0055】
通常、宿主は、粒子中の各融合タンパク質についての発現カセットを有し、ゲノム中に組み込まれたS抗原についての1つまたはそれ以上の発現カセットも有する。
【0056】
1つの実施形態において、酵母は、1、2、3、4、5または6コピー、例えば4または5コピーの、組み込まれたS抗原を有する。
【0057】
従って本発明は、本発明の粒子の2つまたはそれ以上の構成成分をコードするDNAなどのポリヌクレオチドを含む宿主にも及ぶ。
【0058】
本発明は、CSV-Sをコードするカセットと、S抗原をコードするカセットの少なくとも1つとを含むサッカロミセス・セレヴィシエに及ぶ。
【0059】
本発明で用いられるヌクレオチド配列またはその一部(例えば、CS/ハイブリッドタンパク質をコードする部分だが、場合によりタンパク質Sをコードする部分ではない)は、酵母などの宿主中での発現用にコドン最適化することができる。
【0060】
本発明はまた、本発明の粒子を調製するためのサッカロミセス・セレヴィシエ(特にY1835)の使用にも及ぶ。
【0061】
本発明の他の態様は、本発明の粒子の調製方法を提供し、この方法は、当該タンパク質をコードするDNA配列をサッカロミセス・セレヴィシエ(例えば組換え酵母Y1835)において発現させるステップと、場合によりその生成物を回収するさらなるステップを含んでなる。
【0062】
本発明はまた、CSV-S(特に本明細書中に記載されるハイブリッド融合タンパク質)をコードするDNA、およびB型肝炎に由来するS抗原をコードするDNAをサッカロミセス・セレヴィシエなどの酵母において発現させる方法から得られる生成物にも及ぶ。
【0063】
ピキア・パストリス
本発明のハイブリッドタンパク質の発現カセットは、例えば、以下の特性を含めて構築することができる。
【0064】
・例えばピキア・パストリスのAOX1遺伝子に由来する、プロモーター配列。
・適切な融合タンパク質をコードする配列。
・例えばピキア・パストリスのAOX1遺伝子調節エレメントに由来する、配列中に含まれる転写終結配列。
【0065】
好適なプロモーターの例は、ピキア・パストリスAOX1遺伝子由来のプロモーターである。このAOXプロモーターは、極めて強力で、厳密に調節されるプロモーターであり、通常は高収量の組換えタンパク質をもたらす。一般に、本発明の粒子を調製するためにこのプロモーターを使用する場合、サッカロミセス・セレヴィシエにおける収量よりも10倍多い収量が得られる。
【0066】
ピキア・パストリスと共に使用し得る代替プロモーターは、GAPプロモーターである。
【0067】
次いで、好適なプラスミドを用いて、ハイブリッド融合タンパク質をコードする配列を好適な合成用宿主に挿入することができる。好適なプラスミドの例として、好適な発現カセットを担持するための2ミクロンベースのベクターであるpRIT15546が挙げられる。
【0068】
このプラスミドは、通常、選択に役立つ組込みマーカー(例えば、抗生物質耐性またはLEU2もしくはHIS栄養要求性をコードする遺伝子)を含む。
【0069】
上記のとおり、CSV-SをコードするカセットおよびB型肝炎に由来するS抗原をコードするカセットの少なくとも1つを有するピキア・パストリスの使用を利用して、本発明の粒子を提供することができる。
【0070】
通常、宿主は、粒子中の各融合タンパク質についての発現カセットを有し、ゲノム中に組み込まれたS抗原についての1つまたはそれ以上の発現カセットも有する。
【0071】
1つの実施形態において、酵母は、1、2、3、4、5または6コピー、例えば4または5コピーの、組み込まれたS抗原を有する。
【0072】
本発明はまた、本発明の粒子の2つまたはそれ以上の構成成分をコードするDNAなどのポリヌクレオチドを含む宿主にも及ぶ。
【0073】
本発明は、CSV-Sをコードするカセットと、S抗原をコードするカセットの少なくとも1つとを含むピキア・パストリスに及ぶ。
【0074】
本発明で用いられるヌクレオチド配列またはその一部(例えば、CS/ハイブリッドタンパク質をコードする部分だが、場合によりタンパク質Sをコードする部分ではない)は、酵母などの宿主中での発現用にコドン最適化することができる。
【0075】
本発明はまた、本発明の粒子を調製するためのピキア・パストリス(特にY1847)の使用にも及ぶ。
【0076】
本発明の他の態様は、本発明の粒子の調製方法を提供することであり、この方法は、当該タンパク質をコードするDNA配列をピキア・パストリス(例えば組換え酵母Y1847)において発現させ、その生成物を回収することを含む。
【0077】
本発明はまた、沈殿ステップ、イオン交換およびゲル浸透クロマトグラフィー、および塩化セシウム超遠心分離を含む、本発明の粒子の精製方法にも及ぶ。
【0078】
本発明はまた、特にマラリアの治療または予防のために、さらなる活性成分と組み合わせて(例えばさらなる活性成分と混合して)使用するための本発明のタンパク質粒子を含む組成物またはワクチンにも関する。
【0079】
本発明はまた、本発明における粒子を含むワクチンにおいて使用するための組成物または構成成分、さらにまた本発明のタンパク質粒子を好適な賦形剤と混合して含むワクチンにも関する。
【0080】
本発明において用いられるワクチン用の構成成分は、本発明の粒子と少なくとも1つの賦形剤とを含み、かつワクチン中への含有に適した実体に関する。ワクチン用の構成成分は、通常はアジュバント成分を含まない。
【0081】
本明細書に関する「ワクチン」は、粒子および安定化剤、賦形剤および全てのアジュバント成分を含み、ヒトへの注射に適した製剤に関する。
【0082】
製剤
本明細書において、「賦形剤」は、医薬製剤中の、それ自体では治療効果を有さない構成成分を指す。希釈剤または液体担体は、賦形剤の定義の範囲に含まれる。アジュバントもまた、賦形剤の定義の範囲に含まれる。なぜならアジュバントは免疫応答を刺激することができるが、治療的成分の非存在下ではこの免疫応答は非特異的だからである。
【0083】
本明細書において、「免疫原性」は、本発明のマラリア構成成分またはS抗原構成成分に対する特異的免疫応答を誘発する能力を指すことを意図する。この応答は、例えば、リポタンパク質粒子が、適切な用量で、また好適なアジュバントを含み/必要とし得る適切な製剤として投与される場合に生じ得る。所要の免疫原性応答を得るためには、元の用量と同様の用量またはそれより少ない用量を含むブースターが必要となる可能性がある。
【0084】
本発明の組成物/医薬製剤は、プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する抗原(例えば、Pv RII(DBPの受容体結合ドメイン)などのDBP、PvTRAP、PvMSP2、PvMSP4、PvMSP5、PvMSP6、PvMSP7、PvMSP8、PvMSP9、PvAMA1およびRBPまたはこれらのフラグメントから選択される抗原)などの1種またはそれ以上の他の抗原も混合して含み得る。
【0085】
他の例では、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する抗原としては、PfEMP-1、Pfs16抗原、MSP-1、MSP-3、LSA-1、LSA-3、AMA-1およびTRAPが挙げられる。他のプラスモディウム抗原としては、プラスモディウム・ファルシパルムのEBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、Pf332、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs48/45、Pfs230および他のプラスモディウム属種におけるそれらの類似体が挙げられる。
【0086】
本発明の組成物/医薬製剤は、本発明の粒子と混合して、RTS,Sの粒子(WO 93/10152に記載)も含み得る。
【0087】
本発明のワクチンでは、粒子の水溶液を直接使用することができる。別法として、前もって凍結乾燥させた、もしくは凍結乾燥させていない本発明の粒子を、公知のアジュバントのいずれかと混合し、あるいはこれに吸収させることができる。
【0088】
アジュバント
1つの実施形態において、アジュバントはToll様受容体(TLR)4リガンドであり、例えば、リピドA誘導体(特にモノホスホリルリピドAまたは、さらに特に3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL))などのアゴニストである。
【0089】
3-脱アシル化モノホスホリルリピドAは、米国特許第4,912,094号および英国特許出願番号第2,220,211号(Ribi)から公知であって、Ribi Immunochem, Montana, USAから入手可能であり、Corixa corporationから商標MPL(登録商標)の下に販売されている。3D-MPLは、IFN-g(Th1)表現型を有するCD4+T細胞応答を主に促進する。3D-MPLは、GB 2 220 211 Aに開示されている方法に従って製造することができる。化学的には、これは3、4、5または6つのアシル化鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。好適には、本発明の組成物中で、小粒子3D-MPLを使用し得る。小粒子3D-MPLは、0.22μmのフィルターを通して滅菌ろ過され得るような粒子サイズを有する。かかる調製物は、WO 94/21292号に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、TLR4アゴニストであると考えられている。
【0090】
本発明の製剤において使用する別の免疫賦活剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の木であるキラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、これがアジュバント活性を有することは、Dalsgaardらが1974年に初めて記載した("Saponin adjuvant", Archiv. fur die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。Quil Aに付随する毒性を有することなくアジュバント活性を保持しているQuil Aの精製フラグメント(例えば、QS7とQS21(QA7とQA21としても知られている))は、HPLCによって単離されている(EP 0 362 278)。QS-21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮に由来する天然のサポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および優勢IgG2a抗体応答を誘導する。
【0091】
ステロールをさらに含むQS21の特定の製剤が記載されている(WO 96/33739)。QS21:ステロールの比は、典型的には、重量比でほぼ1:100〜1:1程度である。通常は過剰のステロールが存在し、QS21:ステロールの比は、少なくとも1:2 w/wである。典型的には、ヒトへの投与のため、QS21とステロールは、ワクチン中に約1μg〜約100μgの範囲(例えば、用量当たり約10μg〜約50μg)で存在する。
【0092】
リポソームは一般的に、例えば、通常は室温で非晶質のホスファチジルコリン(例えば卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンまたはジラウリルホスファチジルコリン)などの中性脂肪を含む。リポソームは、QS21が存在する場合に、飽和脂質で構成されるリポソームのリポソーム-QS21構造の安定性を高めることができる荷電脂質も含み得る。これらの場合、荷電脂質の量は1〜20% w/w、例えば5〜10%であることが多い。リン脂質に対するステロールの比は、1〜50%(モル/モル)、例えば20〜25%である。
【0093】
サポニンは、ミセル、混合ミセル(通常、限定するものではないが、胆汁塩との混合物)の形態に分離してもよいし、あるいはコレステロールおよび脂質と共に製剤化される場合にはISCOMマトリックス(EP 0 109 942)、リポソームもしくは関連のコロイド構造(例えばワーム様もしくはリング様多量体複合体または脂質/層状構造およびラメラ)の形態であってもよいし、あるいは水中油型エマルション(例えば、WO 95/17210に記載される)の形態であってもよい。
【0094】
1つの態様において、アジュバントは3D-MPLを含む。
【0095】
1つの態様において、アジュバントはQS21を含む。
【0096】
1つの態様において、アジュバントはCpGを含む。
【0097】
1つの態様において、アジュバントは、水中油型エマルションとして製剤化される。
【0098】
1つの態様において、アジュバントは、リポソームとして製剤化される。
【0099】
アジュバントの組み合わせとして、3D-MPLとQS21(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油型エマルション(WO 95/17210, WO 98/56414)、他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)、またはリポソーム製剤としての3D-MPLとQS21が挙げられる。他の好適なアジュバント系は、US 6558670およびUS 6544518に記載される、3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組み合わせを含む。
【0100】
本発明の1つの実施形態において、本発明は、本明細書中に定義される粒子を含む以下:
・例えばバルク組成物としての、または個人用量(例えば同一容器に入った1回用量もしくは2回用量)での医薬組成物、または
・ワクチン組成物
を提供し、該ワクチン組成物はアジュバントをさらに含む。
【0101】
1つの態様において、本発明は、以下:
・例えば用量当たり10〜100μgに相当する量の本発明の粒子、
・用量当たり1〜10mgに相当する範囲のアルカリ金属塩(例えば塩化ナトリウム)、
・例えば用量当たり100〜1000μgの範囲に相当する量のリン脂質(DOPCなど)、および
・場合により、例えば用量当たり10〜250μgの範囲に相当する量のコレステロール
を含む組成物を提供する。
【0102】
1つの態様において、上記の組成物は、抗酸化剤、例えばチオール官能基を有する抗酸化剤(モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、システイン、グルタチオンまたはその混合物など)をさらに含む。
【0103】
1つの態様において、各用量または2回用量は凍結乾燥される。
【0104】
ワクチンの単回用量は、500μLの液体として患者に提供することができる。ワクチンは、使用前に注射用水で最終体積にする必要があり得る。
【0105】
ワクチン調製物は、Vollerら(University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A., 1978)によって編集された"New Trends and Developments in Vaccines"に一般的に記載されている。リポソーム内へのカプセル封入は、例えば、Fullertonによる米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0106】
量
各ワクチン用量中に存在する本発明のタンパク質粒子の量は、標準的なワクチン中で重大な副作用を伴うことなく適切な免疫応答または免疫防御応答を誘導する量として選択される。かかる量は、どの特異的免疫源が使用されるか、及びそのワクチンがアジュバント化されているか否かによって異なる。通常、各用量は、1〜1000μgのタンパク質、例えば1〜200μg(10〜100μgなど)のタンパク質を含むことが期待される。特定のワクチンの最適量は、抗体力価および患者における他の応答の観察を含む標準的な試験によって確定することができる。最初のワクチン接種の後、被験体は、約4週間以内にブースト(追加免疫)を受け、その後、感染のリスクが存在する限り6ヶ月〜12ヶ月毎にブーストを繰り返し得る。本発明の粒子に対する免疫応答は、アジュバントおよび/または免疫賦活剤の使用により増強されると考えられる。
【0107】
使用される3D-MPLの量は、通常は少ないが、ワクチン製剤に依存して、用量当たり1〜1000μg、例えば用量当たり1〜500μg、さらに用量当たり1〜100μg(特に用量当たり10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90μg)であってよい。
【0108】
本発明のアジュバントまたはワクチン中のCpGオリゴヌクレオチドまたは免疫賦活オリゴヌクレオチドの量は、通常は少ないが、ワクチン製剤に依存して、用量当たり1〜1000μg、例えば用量当たり1〜500μgであってよい。
【0109】
本発明のアジュバント中で使用するサポニンの量は、用量当たり1〜1000μg、特に用量当たり1〜500μg(例えば用量当たり1〜250μg)、また例えば用量当たり1〜100μgの範囲(特に用量当たり10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90μg)であってよい。
【0110】
本発明の製剤は、予防目的および/または治療目的の両方(特に予防目的)に使用することができる。従って本発明は、例えばマラリア(重度のマラリアを含む)の治療および/または予防用医薬において使用するための、本明細書中に記載されるワクチン組成物を提供する。
【0111】
本発明の他の態様は、上記に記載される医薬組成物またはワクチンの有効量を投与することにより、プラスモディウム感染症にかかりやすい患者を治療する方法にある。
【0112】
本明細書において、含む(comprising)は、包含する(including)と解釈される。
【0113】
特定のエレメントを含む本発明の態様はまた、関連するエレメントからなるかまたは関連するエレメントから本質的になる別個の実施態様にまで及ぶことも意図する。
【0114】
本明細書の背景の項は、本発明をその文脈の中でとらえる目的で提供される。この背景の項は、関連情報が公知であり、または関連情報が技術常識を構成すると自認するものとして解釈されるべきではない。
【0115】
以下の実施例は、本発明の粒子を調製するために使用し得る方法を説明するために示す。実施例は、本発明の態様を形成し得るものであっても、形成し得ないものでもよい。
【実施例】
【0116】
実施例1
Y1834株の説明
酵母組換え株Y1834を使用して、本発明の融合タンパク質を発現させることができる。この株は、組換え発現ベクターpRIT15546で形質転換されたサッカロミセス・セレヴィシエ宿主株DC5からなる。
【0117】
DC5は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、his3、can1-11を有する実験室酵母株(ATCC No:20820)である。二重leu-2変異は、機能的LEU-2遺伝子コピーを有するpRIT15546ベクターの取り込みと維持の選択を可能とする。増殖培地中にロイシンが欠如している場合、LEU-2遺伝子を有するベクターを担持する細胞だけが増殖することができる。
【0118】
ベクターpRIT15546は、発現カセットを有する酵母エピソーム発現ベクター(2μベースのベクター)である。組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15546ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0119】
pRIT15546ベクターの構築
酵母発現用の適切なコドン使用頻度を有する合成遺伝子を構築し、pUC57ベクター中にサブクローニングした。結果として得られたプラスミドpUC57/CSVと酵母発現ベクターpGf1-S2は、いずれも適切な酵素で制限消化した。ベクターpGf1-S2は、多段階クローニング法により(GSKにおいて)構築した。既にS発現カセットを担持するこのベクターは、B型肝炎ウイルスのS遺伝子とのN末端インフレーム融合での融合遺伝子の構築を可能とする。配列確認後の最終的な発現ベクターは、pRIT15546と名付けた(図1)。
【0120】
DC5株の形質転換
ロイシンおよびヒスチジン栄養要求性DC5株を、酵母標準プロトコールを用いて、組換えプラスミドpRIT15546で形質転換した。形質転換細胞を寒天選択プレート上にプレーティングした。1つの形質転換体を選択し、Y1834という公式名称を受けた。
【0121】
組換えタンパク質の発現:
Y1834を、8μg/mlのヒスチジンを補充したYNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が0.5になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製する。
【0122】
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで15分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(4〜20%)にかける。
破壊緩衝液: 50mMリン酸ナトリウムバッファ(PH7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度10 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、15分間/5000rpmで遠心分離した。
【0123】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(4〜20%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。
【0124】
ウエスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)(希釈:1/500)
市販の抗S抗体は、この方法で用いられる抗S抗体に代替することができる。別法として、抗CSV抗体、例えば米国国立衛生研究所(NIH)から入手可能な、MR4として知られる抗CSV抗体を使用することができる。
【0125】
実施例2:
Y1835株の説明
酵母組換え株Y1835は、CSV-S融合タンパク質とS抗原とを同時に発現する。CSV-Sタンパク質とSタンパク質とを共発現する株を得るため、S発現カセットの組込みコピー5つを既に担持するサッカロミセス・セレヴィシエ株Y1295を、組換え組込み発現ベクターpRIT15582で形質転換した(図3)。
【0126】
Y1295株は、多段階形質転換法によってGSKにおいて構築した。Y1295株の構築は、WO 93/10152に記載されている。Y1295株は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、gal1を有する。leu-2の変異は、CSV-Sカセットと機能的LEU2遺伝子を含むpRIT15582由来の線状DNAフラグメントの取り込みの選択を可能とする。
【0127】
ベクターpRIT15582は、CSV-S発現カセットを有する酵母組込み発現ベクター(Tyベースのベクター)である。組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15582ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0128】
pRIT15582組込みベクターの構築
pRIT15582ベクターを構築するために使用した出発物質は、発現プラスミドpRIT15546(図1)であった。このプラスミドの構築は、実施例1に記載される。HindIIIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15546の消化で、完全長CSV-S発現カセット(pTDH3 + CSV-S + tARG3)に対応する、3706bpの長さのDNAフラグメントを遊離させる。このHindIII DNAフラグメント(T4 DNAポリメラーゼで充填した後)を、Tyベースの組込みベクターpRIT13144上の唯一のSalIクローニング部位に挿入した(SalI制限消化/T4処理)。結果として得られたプラスミドpRIT15582は、上記の発現カセットに加えて、選択マーカーとして酵母LEU2遺伝子を含む(図3)。XhoIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15582の消化は、内在性Tyエレメントを含む自由端の相同組換えによって酵母ゲノム中に組込まれ得る、図4に示す8500bpの線状フラグメントを遊離させる。
【0129】
Y1295株の形質転換
Sタンパク質とCSV-Sタンパク質の両方を発現する株を得るため、Y1295株を8500bpの線状XhoIフラグメント(図4)で形質転換し、Leu+コロニーを選抜した。様々な比でゲノム中に存在する両方の発現カセットのセットを含む幾つかの組込み体を得た。4コピーのCSV-Sカセットを担持する1つの形質転換体を選択し、公式名称Y1835を与えた。
【0130】
組換えタンパク質の発現:
Y1835を、YNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が約0.5(0.8)になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製する。
【0131】
免疫ブロッティングによる発現生成物の解析:
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで5〜10分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(12.5%)にかける。
破壊緩衝液: 50mMリン酸ナトリウムバッファ(PH7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 2.5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度20 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、5〜10分間/5000rpmで遠心分離した。
【0132】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。
【0133】
ウエスタンブロット解析(図5):
試薬: 1/マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)-(希釈:1/250)
2/ウサギポリクローナル抗体 抗CSV(WRAIRより好意で提供)-希釈 1/20,000
市販の抗S抗体ならびに抗プラスモディウム・ビバックス/CSP抗体は、この方法で用いられる抗S抗体ならびに抗プラスモディウム・ビバックス/CSP抗体に代替することができる。
【0134】
実施例3:
以下の抗原を評価した:
1. CSV-S,S:サッカロミセス・セレヴィシエにおいて生成され、B型肝炎ウイルスに由来するS抗原に融合させたCSV構築物(すなわち、反復領域中の多型に向けられ、CSVタンパク質のN末端部分およびC末端部分を含むハイブリッドCSV分子。さらに、この構築物は公知のTエピトープおよびBエピトープを含む。)(CSV-S)からなる混合粒子。さらに、これらの粒子中には遊離S抗原が存在する。
【0135】
2. CSV-S:単純粒子が、独自に上記のCSV-S構築物によって構成された。
【0136】
マウスにおいて、AS01B中で再構成したこれらのワクチン候補の免疫原性を評価した。実験は、以下に詳述するとおりに行った。
【0137】
マウスに、以下:
・単純粒子(CSV-S)と、QS21とMPLとを含むリポソームアジュバント製剤(0日目、14日目、および28日目)、または
・混合粒子(CSV-S,S)と、QS21とMPLとを含むリポソームアジュバント製剤(0日目、14日目、および28日目)
を注射した。
【0138】
上記の実体を以下の用量で試験した:
【0139】
これらの量を計算して、CSVの対応する量を提供した。
【0140】
抗体応答は、2回目の免疫化の14日後(14pII)と3回目の免疫化の14日後(14pIII)に測定した。
【0141】
以下のリードアウトを行った:
抗体応答(各群の動物個体それぞれに由来する血清に対してELISAを行った):
- 2つの時点で測定した:14pIIおよび14pIII
- 2つの血清学的検査を測定した:a)CSVに対する抗体応答
b)HBsに対する抗体応答
- 各時点において、それぞれ4匹〜5匹のいずれかのマウスからなる4つのプールからデータを集めた。
結果は、図7〜16に示される。
【0142】
図7は、混合粒子CSV-S,Sの全ての用量について、CSVエレメントに対する同レベルの抗体応答が生じることを示す。
【0143】
図8は、混合粒子(CSV-S,S)中のS抗原に対する免疫応答が、単純粒子(CSV-S)に対して生じる応答より大きいことを示す。
【0144】
図9は、試験したCSV-S,Sの3つの用量について、2回目の免疫化の14日後に、CSVエレメントに対する同レベルの抗体応答が生じることを示す。同じ傾向が、3回目の注射の14日後における結果を示す図10に認められる。
【0145】
実施例4:
Y1840株の説明
ピキア・パストリス株Y1840は、CSV-S融合タンパク質を発現する。Y1840株は、ゲノム中に組み込まれた、4コピーのCSV-S融合遺伝子を含む。CSV-S融合タンパク質を発現する株を得るため、ピキア・パストリス株GS115を、CSV-Sカセットと機能的HIS4遺伝子を担持する組込み線状DNAフラグメントで形質転換した。
【0146】
GS115は、以下の遺伝子型:his4を有する実験室酵母株(ATCC No:20864)である。his4変異は、CSV-Sカセットと機能的HIS4遺伝子を担持するpRIT15607由来の線状DNAフラグメントの取り込みの選択を可能とする。
【0147】
ベクターpRIT15607は、CSV-S発現カセットを担持するピキア・パストリス組込み発現ベクターである。その組換え発現は、強力で、厳密に調節されるメタノール誘導性AOX1プロモーターによって駆動される。pRIT15607ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0148】
pRIT15607ベクターの構築
pRIT15546上に存在するCSV-S融合遺伝子をPCRで増幅し、pGEM-T Easy中間ベクター(Promega、カタログNo:#A1360)中にクローン化した。配列確認後、組換えプラスミドを適当な制限酵素で消化し、pHIL-D2 ピキア・パストリス組込みベクター中にクローン化した。配列確認後の最終的な発現ベクターを、pRIT15607と名付けた(図18)。NotIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15607の消化は、内在性AOX1遺伝子座における相同組換えによって酵母ゲノム中に組込まれ得る、6816bpの線状フラグメントを遊離させる。
【0149】
GS115株の形質転換
GS115宿主株を、組換えプラスミドpRIT15607で形質転換した。発現カセットとHIS4選択マーカーを担持する線状DNAフラグメントを遊離させるため、この組込みベクターを、形質転換の前にNotIで制限消化した。NotI制限消化は、AOX1遺伝子座における組込みを促す。形質転換細胞を、寒天選択プレート上にプレーティングした。多コピー組込み体クローンを、定量的ドットブロット解析によって選択した。高コピー数の組込みCSV-S発現カセットを有している選択されたクローンの中から、CSV-S組換えタンパク質について最も高い発現レベルを示す1つのクローンを選択し、公式名称Y1840を与えた。このクローンは、4コピーのCSV-S融合遺伝子を有する。
【0150】
組換えタンパク質の発現:
Y1840を、炭素源として1%グリセロールを補充したYNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が約0.5(この場合0.709)になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、炭素源として(誘導物質として)1%メタノールを補充した同量のYNB培地中に再懸濁し、30℃で約16時間インキュベートする。
【0151】
抽出物の調製:
メタノール誘導した細胞を遠心分離し、細胞ペレットを破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズまたはフレンチプレス)。抽出物は、5000rpmで5〜10分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(12.5%)にかける。
破壊緩衝液: 60mM Na2HPO4
40mM NaH2PO4
1mM MgSO4
10Mm KCl
Tween-20 (0.5%)
2Mm PMSF
細胞濃度: 2.5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度20 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、5〜10分間/5000rpmで遠心分離した。
【0152】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。図23を参照のこと。
ウエスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)-(希釈:1/250)
市販の抗S抗体は、この方法で用いられる抗S抗体に代替することができる。別法として、抗CSV抗体、例えば米国国立衛生研究所(NIH)から入手可能な、MR4として知られる抗CSV抗体を使用することができる。
CSV-S融合タンパク質: 理論分子量(MW): 51762ダルトン
見掛けの分子量(MW): 55 kDa
実施例5:
Y1847株の説明
ピキア・パストリス株Y1847は、CSV-S融合タンパク質とS抗原とを同時に発現する。CSV-Sタンパク質とSタンパク質とを共発現する株を得るため、CSV-S発現カセットの組込みコピー4つを既に担持するピキア・パストリス株Y1840を、組換え組込み発現ベクターpRIT15478で形質転換した。
【0153】
Y1840株の構築は、上記の実施例4に記載される。
【0154】
ベクターpRIT15478は、S発現カセットを担持するpPICZ-A(Invitrogen、カタログNo.V190-20)組込み発現ベクターである。その組換え発現は、メタノール誘導性AOX1プロモーターによって駆動される。pRIT15478ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0155】
pRIT15478組込みベクターの構築
pRIT15469組換えプラスミド(このプラスミドはB型肝炎に由来するS遺伝子を有する)をテンプレートとして用いて、S遺伝子をPCRで増幅した。上流プライマー:
は、ATG開始コドン(太字)の前にEcoRIの認識配列(下線)を含む。下流プライマー:
は、終止コドン(太字)の直後にXhoIの認識配列(下線)を含む。EcoRIおよびXhoI制限酵素を用いた消化の後、PCR生成物をpPICZ-AベクターのEcoRIおよびXhoIクローニング部位の間に直接挿入した。このインサートのヌクレオチド配列の確認後、上記の組換えプラスミドをpRIT15478と名付けた。pRIT15478の物理マップは、図18に示される。
【0156】
Y1840株の形質転換
形質転換の前に、pRIT15478ベクターを、SacIを用いた制限消化によって5'AOX1領域中で線状化した。この線状化ベクターは、遺伝子挿入によって宿主の5'AOX1領域に組込まれる。
【0157】
ピキア・パストリス株Y1840のコンピテント細胞を、Invitrogenの使用説明書に従って、エレクトロポレーションによって10μgのpRIT15478ベクターで形質転換した。形質転換体を、100μg/mlのゼオシン(Zeocin)を含む寒天選択プレート上にプレーティングした。多コピー組込みクローンを定量的ドットブロット解析によって選択した。
【0158】
既に存在する4個のCSV-Sカセットに加えてSカセットを5コピー担持する1つの形質転換体を選択し、公式名称Y1847を与えた。
【0159】
組換えタンパク質の発現:
Y1847を、1%グリセロールを補充したYNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が0.5になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、1%メタノール(誘導物質として)を添加した同量のYNB培地中に再懸濁し、30℃で16時間インキュベートする。細胞抽出物を調製する。
【0160】
免疫ブロッティングによる発現生成物の分析:
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで15分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(12.5%)にかける。
破壊緩衝液: 50mMリン酸ナトリウムバッファ(PH7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 2.5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度20 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、15分間/5000rpmで遠心分離した。
【0161】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。
【0162】
ウエスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)-(希釈:1/500)
市販の抗S抗体は、この方法で使用される抗S抗体に代替することができる。別法として、抗CSV抗体を使用することができる。
【0163】
密度勾配遠心分離:
Y1847株での粒子の形成を、CsCl密度勾配遠心分離によって解析した。粗抽出物(全タンパク質のおよそ20mg)を、12mlの1.5M CsCl勾配上で解析した(Beckman 70.1 Tiローター中、+8℃で、40.000rpm、88時間)。画分(およそ0.6ml)を回収し、抗S抗体を用いた免疫ブロットによって解析した。図22に示すように、ウエスタンブロットのCSV-SとSのピークは、浮遊密度1.22g/cm3に相当する勾配の同じ画分(No.10)に現われる。二重(混合)粒子の形成は、勾配解析によって裏付けられる。
【0164】
参考文献
(1) Harford N, Cabezon T, Colau B, et al., "Construction and Characterization of a Saccharomyces Cerevisiae Strain (RIT4376) Expressing Hepatitis B Surface Antigen", Postgrad Med J 63, Supp. 2: 65-70, 1987.
(2) Jacobs E, Rutgers T, Voet P, et al., "Simultaneous Synthesis and Assembly of Various Hepatitis B Surface Proteins in Saccharomyces cerevisiae", Gene 80: 279-291, 1989.
(3) Vieira J and Messing J, "The pUC plasmids, an M13mp7-Derived System for Insertion Mutagenesis and Sequencing with Synthetic Universal Primers", *_Gene 19: 259-268, 1982.
(4) Hinnen A, Hicks JB, and Fink GR, "Transformation of Yeast", Proc Nat1 Acad Sci USA 75: 1929-1933, 1980.
(5) Broach JR, Strathern JN, and Hicks JB, "Transformation in Yeast Development of a Hybrid Cloning Vector and Isolation of the CAN 1 Gene", Gene 8: 121-133, 1979.
(6) Zhang H, et al., "Double Stranded SDNA Sequencing as a Choice for DNA Sequencing", Nucleic Acids Research 16: 1220, 1988.
(7) Dame JB, Williams JL. Mc Cutchan TF, et al., "Structure of the Gene Encoding the Immunodominant Surface Antigen on the Sporozoites of the Human Malaria Parasite Plasmodium falciparum", Science 225: 593-599, 1984.
(8) Valenzuela P, Gray P, Quiroga M, et al., "Nucleotide Sequences of the Gene Coding for the Major Protein of Hepatitis B Virus Surface Antigen", Nature 280: 815-819, 1979.
(9) In SS, Kee-Hoyung L, Young RK, et al., “ comparison of Immunological responses to Various Types of Circumsporozoite Proteins of Plasmodium vivax in Malaria Patients of Korea”, Microbiol. Immunol. 48(2): 119-123, 2004;Microbiol. Immunol. 2004; 48(2): 119-123.
(10) Rathore D, Sacci JB, de la Vega P, et al., ”Binding and Invasion of Liver Cells by Plasmodium falciparum Sporozoites”, J. Biol. Chem. 277(9): 7092-7098, 2002.Rathore et al., 2002, J. Biol. Chem. 277, 7092-8
【0165】
配列リスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なリポタンパク質粒子、その調製方法および精製方法、医療(特にマラリア感染の予防)におけるその使用、該粒子を含む組成物/ワクチン、またはモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体などの該タンパク質粒子に対する抗体、および特に治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアは世界の主要な健康問題の1つであり、この疾患により毎年200〜400万人以上の人々が死亡している。この疾患の最も蔓延している形態の1つは、熱帯および亜熱帯の地域にみられる寄生原虫であるプラスモディウム・ビバックス(P.vivax)によって引き起こされる。興味深いことに、この寄生虫は15℃という低温で蚊サイクルを完結することができ、マラリアが温帯気候において蔓延するのを可能としている。
【0003】
この疾患の最急性型の1つは、マラリアに起因する死亡の大半に関与する寄生原虫であるプラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum(P. falciparum))によって引き起こされる。
【0004】
プラスモディウム(Plasmodium)の生活環は複雑であり、完結するためには2つの宿主(ヒトおよび蚊)を必要とする。ヒトの感染は、感染した蚊の咬傷を介した血流中へのスポロゾイトの接種によって始まる。このスポロゾイトは肝臓へ移動し、そこで肝細胞に感染して、赤血球外細胞内段階を経てメロゾイト段階へと分化してこれが赤血球(RBC)に感染し、無性血中段階で循環複製を開始する。このサイクルは、RBC中の多数のメロゾイトが有性段階の生殖母細胞へと分化することによって完結し、この生殖母細胞は蚊に摂取され、蚊の中腸において一連の段階を経て成長してスポロゾイトを産生し、これが唾液腺へと移動する。
【0005】
プラスモディウム・ビバックスによって引き起こされる疾患が致命的であることはほとんどないという事実から、マラリアを予防および治療するための取り組みは、プラスモディウム・ファルシパルム(P.ファルシパルム)によって引き起こされるより致死性の疾患に集中している。
【0006】
プラスモディウム・ビバックスによって引き起こされる疾患は、通常は患者の死亡をもたらさないが、増加しているように思われる症例の量、患者の生活の質に及ぼす甚大な影響、貧血および死亡をもたらす当該疾患の重度罹患率の増加の報告、ならびに経済的影響のために、この疾患に対する有効なワクチン接種は依然として必要とされている。さらに、単一のワクチンで、該疾患の両方の病原に対する防御を提供することができれば有利であろう。
【0007】
プラスモディウム・ビバックスの特徴は、一部の株が、末梢循環に出現して臨床症状を示す前に、肝臓中に残っている潜在型によって遅延型感染を引き起こし得ることである。このため、個人が例えば伝染病汚染地域を旅行する場合、感染する可能性があり、なおかつ数ヶ月間症状を示さない可能性がある。これはマラリアの蔓延を引き起こす可能性があり、このため伝染病汚染地域へ旅行する人は、伝染病汚染地域への旅行後一定の期間中、輸血のための献血を行うことが禁じられている。
【0008】
プラスモディウム・ビバックスによるマラリア感染は、この寄生虫が前赤血球段階でのシゾゴニー(胞子虫類の無性生殖による増殖)を行う間、肝臓内に潜伏したままとなる。寄生虫が肝臓から抜け出す前のこの段階で寄生虫が制御される場合、患者にはこの疾患の臨床症状は観察されない。
【0009】
プラスモディウムのスポロゾイト段階は、マラリアワクチンの潜在的な標的として同定されている。不活性化した(放射線照射された)スポロゾイトを用いたワクチン接種は、実験上のヒトマラリアに対する防御を誘導することが示されている(Am. J, Trop. Med. Hyg 24: 297-402, 1975)。しかし、この方法に基づき、放射線照射されたスポロゾイトを用いて、一般向けのマラリア用ワクチンを実用的且つロジスティックに製造することは可能となってはいない。
【0010】
スポロゾイトの主要な表面タンパク質は、スポロゾイト周囲タンパク質(CSタンパク質)として知られている。このタンパク質は、スポロゾイトが、蚊による接種の開始部位から血液循環(ここでスポロゾイトが肝臓へ移動する)へと移行する間、その運動性および侵入に関与すると考えられている。
【0011】
プラスモディア(Plasmodia)属種のCSタンパク質は、非反復アミノ末端(N末端)フラグメントとカルボキシ末端(C末端)フラグメントにはさまれた中央の反復ドメイン(反復領域)によって特徴付けられる。このプラスモディウム・ビバックスの中央ドメインは、幾つかの反復ユニット(通常は、9個の直列アミノ酸からなる)のブロックで構成される。
【0012】
特定のアジア株では、中央反復領域の後に約12アミノ酸の付加配列が存在している。この付加配列の機能は未知である。しかし、研究はされていないが、一部の研究者によって、該アミノ酸がこの疾患の臨床症状の発症遅延に関連する可能性があるという仮説が立てられている。この付加配列のN末端は、領域Iとして知られる5アミノ酸の配列によって特徴付けられると考えられている。またC末端は、領域IIとして知られる12アミノ酸の配列を含むことによって特徴付けられるとも考えられている。領域IIは、全てのマラリアCSタンパク質間で高度に保存されている細胞接着モチーフを含む。
【0013】
WO 93/10152およびWO 98/05355は、プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質に由来するワクチンについて記載しており、これらの文献に記載される方法を用いて、プラスモディウム・ファルシパルムに対するワクチン接種について多少の進歩がもたらされたと考えられる。Heppnerら 2005, Vaccine 23, 2243-50も参照のこと。
【0014】
プラスモディウム・ファルシパルムのCSタンパク質は、保存された中央反復領域を有する。対照的に、プラスモディウム・ビバックスについては、少なくとも2つの形態の(VK210またはI型およびVK247またはII型と呼ばれる)CSタンパク質が知られている。このことは、CSタンパク質の特定の種類にかかわらずプラスモディウム・ビバックスに対する一般的な防御を与える望ましい特性(免疫原性など)を全て有するCSタンパク質の構築物を同定することを、さらに困難にする。なぜなら、I型の中央反復領域に向けられた抗体は、II型の対応する領域上のエピトープを必ずしも認識せず、逆もまた同様であるためである。
【0015】
1980〜1990年代に、組換えプラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質を発現させてワクチンとして試験したが、限られた成果しか上げられなかった(Collinsら, 1989. Am. J. Trop. Med. Hyg. 40, 455-64)。架橋された1つまたはそれ以上のエピトープを利用して多重抗原ペプチド(MAP)に基づくワクチンを開発するために、幾つかの研究が行われている(NardelliおよびTam, 1995, Pharm. Biotechnol. 6, 803-19)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、少なくとも体液性免疫応答を生じ、また細胞性免疫応答も生じ得ると考えられる、マラリアワクチンにおいて使用するための抗原性粒子を提供する。またこの抗原は、ヘルパーT細胞(例えばTh1および/またはTh2細胞)も誘導することができる。
【0017】
従って本発明は、以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. B型肝炎ウイルスに由来するS抗原
を含み、SのCSV-Sに対する比が0.1〜1の範囲であることを特徴とする、免疫原性タンパク質粒子を提供する。
【0018】
好適には、SのCSV-Sに対する比は0.19〜0.30、例えば0.2〜0.25の範囲、例えば約または実質的に0.24であり、あるいは0.68〜0.80の範囲、例えば約または実質的に0.73である。
【0019】
通常、部分b)のS抗原は非融合S抗原である。
【0020】
配列リスト
配列番号1 ハイブリッドタンパク質CSVのヌクレオチド配列(大腸菌(E Coli)での発現用に最適化されている)
配列番号2 ハイブリッドタンパク質CSVのアミノ酸配列
配列番号3 ハイブリッドタンパク質CSVのヌクレオチド配列(酵母での発現用に最適化されている)
配列番号4 ハイブリッド融合タンパク質CSV-Sのヌクレオチド配列
配列番号5 ハイブリッド融合タンパク質CSV-Sのアミノ酸配列
配列番号6および7 RTS発現カセットのヌクレオチド配列および推定RTSタンパク質
配列番号8 CSV-S融合遺伝子(pHIL-D2組込みピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現ベクター中にクローン化したもの)のヌクレオチド配列
配列番号9 ピキア・パストリスにおいて発現されるCSV-S融合タンパク質のアミノ酸配列
配列番号10 S遺伝子(pPICZ-A組込みピキア・パストリスベクター中にクローン化したもの)のヌクレオチド配列
配列番号11 配列番号10によってコードされるアミノ酸配列。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】pRIT15546のプラスミドマップは、酵母エピソームベクターである。
【図2】所望の抗原とB型肝炎に由来するS抗原との「融合」に利用される、GSKが調製したプラスミドpGF1-S2のプラスミドマップ。異種DNA配列をSmaI部位間にクローニングし(12bpのSmaI DNAフラグメントの除去後)、それによりS遺伝子とのインフレーム融合を生成する。
【図3】pRIT15582のプラスミドマップ。XhoIを用いた消化は、CSV-S発現カセットとLEU2選択マーカーを有し、酵母染色体への挿入に用いられる8.5 kbの線状DNAフラグメントを遊離させる。
【図4】CSV-Sカセットを組込むために用いられる線状XhoIフラグメントの制限マップ。
【図5】Y1835株中で発現させた組換えタンパク質のウエスタンブロット。パネルA:ウエスタンブロットは抗S抗体を用いて示された。ロードしたサンプル(100μgの全タンパク質/ウェル)は以下のとおり。1:Y1631(RTS,S産生株、比較として); 2:Y1835; 3:Y1835; 4:Y1834。パネルB:ウエスタンブロットは抗CSV抗体を用いて示された。ロードしたサンプル(100μgの全タンパク質/ウェル)は以下のとおり。1:Y1631(RTS,S産生株、比較として); 2:Y1295; 3:Y1835; 4:Y1834; 5:未報告(nr)(別のCSVS構築物); 6:未報告(nr)(別の構築物-S抗原のみ)
【図6】Y1835株中で生産されたCSV-S,S混合粒子の電子顕微鏡写真。CSV-S,S粒子を、可溶性細胞抽出物から(RTS,S精製法に基づいて)精製し、電子顕微鏡解析に供した。粒子は、リンタングステン酸を用いた陰性染色の後に可視化された。顕微鏡のスケールは100nmに相当する。
【図7】CSV特異的抗体(Ab)応答(抗CSV血清学的検査(全イムノグロブリン(Ig)))
【図8】HBs特異的抗体応答
【図9】CSV特異的抗体応答(14pII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PII)
【図10】CSV特異的抗体応答(14pIII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PIII)
【図11】HBs特異的抗体応答(14pII)
【図12】HBs特異的抗体応答(14pIII)
【図13】CSV特異的抗体応答(14pII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PII)
【図14】CSV特異的抗体応答(14pIII)(Elisa マウス全Ig 抗CSV 14PIII)
【図15】HBs特異的抗体応答(14pII)
【図16】HBs特異的抗体応答(14pIII)
【図17】S:CVS-Sの比を計算するために使用したゲルを示す。S/CSVS比:0.73(Y1835 CSV-S,S精製粒子:S/CSV-S比の測定)
【図18】CSV-S遺伝子を含むpRIT15607のプラスミドマップ。
【図19】Y1840株で発現させた組換えタンパク質のウエスタンブロット。ウエスタンブロットは抗S抗体を用いて示された。以下の括弧内は、ロードされた全タンパク質の量を示す。1:GS115(ピキア・パストリス宿主細胞); 2:Y1840(100μg); 3:Y1840(50μg); 4:Y1840(25μg); 5:Y1840(12.5μg); 6:Y1833(100μg、CSV-Sを発現するS.c.株); 7:Y1835(100μg、CSV-SとSを共発現するS.c.株)
【図20】pRIT15607のプラスミドマップ。
【図21】Y1847株で発現させた組換えタンパク質のウエスタンブロット。ウエスタンブロットは抗S抗体を用いて示された。ロードしたサンプル(20μgの全タンパク質/ウェル)は以下のとおり。1:Y1835; 2:Y1840; 3:Y1847
【図22】Y1847株から調製した無細胞抽出物の塩化セシウム勾配。
【図23】可溶性細胞抽出物から精製し、電子顕微鏡解析に供した、Y1847株で生産されたCSV-S,S粒子の電子顕微鏡写真。粒子は、リンタングステン酸を用いた陰性染色の後に可視化された。顕微鏡のスケールは100nmに相当する。
【図24】SのCSV-Sに対する比を決定したY1847 CSV-S,S精製粒子。S/CSVS比:0.24。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上記図において、測定された応答がCSV特異的である場合、それが融合タンパク質CSV-Sであるか粒子CSV-S,Sであるかにかかわらず、各実体中のCSVエレメントに対する応答が測定される。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、例えば各構成成分の相対密度に基づいて、CSV-Sの各分子につき約7.5個のS抗原分子が存在すると考えられる。
【0024】
驚くべきことに、本発明の粒子は、少なくとも一部の態様では、マウスにおいてin vivoで試験した場合に、対応するいわゆる単純粒子よりもずっと免疫原性であるようである。単純粒子は、主に融合タンパク質成分CSV-Sから構成され、非融合S抗原を全く「含まない」ウイルス様粒子である。理論に拘束されることは望まないが、本発明のCSV-Sと非融合S抗原とを含む混合粒子中では、CSV-S成分は、これに対する免疫応答を最適化する好都合な方法で配置されまたは方向付けられていると考えられる。
【0025】
本発明の粒子のさらなる利点は、非融合S抗原を含まない単純CSV-S粒子と同じまたは類似のレベルの免疫応答を誘発しながら、これらの粒子をより低用量で使用する可能性があることである。
【0026】
酵母細胞などの特定の宿主中では、融合タンパク質(S抗原を含む)は、いったん発現されると、該融合タンパク質の多数の単量体から構成されるタンパク質構造/粒子へと自発的に構築される。選択されたレシピエント酵母株が、そのゲノム中に組み込まれた1つ又はそれ以上のコピーのB型肝炎S発現カセットを既に有する場合、その後構築された粒子は、非融合S抗原の単量体も含み得る。
【0027】
さらに、特定の比を有する粒子は、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)(例えば、RIT DC5 cir(o)という名称で寄託されているATCCデータベース(受託番号20820)中のDC5(寄託者:Smith Kline-RIT))を使用することによって調製することができる。有利なことに、かかる酵母は本発明の粒子の商業生産に適している。
【0028】
さらに、本明細書中の特定の比を有する粒子は、酵母ピキア・パストリスを使用することによって調製することができる。有利なことに、かかる酵母は、本発明の粒子の商業生産に適している。さらに、特に特定のプロモーターを使用する場合、高収量の粒子が得られる。パストリスでの収量は、対応するDNAをサッカロミセス・セレヴィシエにおいて発現させた場合の収量より多い。ある場合には、この収量は、サッカロミセス・セレヴィシエを使用した場合に得られる収量の10倍またはそれ以上となり得る。
【0029】
上記の酵母は、そのゲノム中に1、2、3、4、または5コピー(例えば4コピー)のCSV-Sを含み得る。
【0030】
1つの態様において、酵母は、組換え酵母株Y1835である。
【0031】
1つの態様において、酵母は、組換え酵母株Y1847である。
【0032】
本明細書中で言及される「比」は、例えば適当なゲル中のS抗原バンドとCSV-Sバンドの密度の計算に基づく、平均値である(例えば、図17および24参照)。
【0033】
当該粒子の調製のため、様々な方法を用いて酵母を操作することができる。例えば、融合タンパク質の発現カセットを、S抗原についての少なくとも1つの発現カセットを既に含む酵母のゲノムに挿入してもよい。当技術分野の当業者は、本発明の粒子の調製のための好適な宿主を調製することが十分にできる。さらなる詳細は以下に提供される。
【0034】
理論に拘束されることは望まないが、本発明の粒子を酵母細胞から遊離させるために用いられる界面活性剤、例えばTween(Tween20またはTween80など)は、本発明のリポタンパク質粒子の安定化に役立ち得ると考えられる。
【0035】
CSV-S
本発明で用いられる融合タンパク質CSV-Sは、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質(CSV)に由来する部分を含む。このCSV抗原は、プラスモディウム・ビバックスのI型CSタンパク質および/またはプラスモディウム・ビバックスのII型タンパク質に見られるような天然(native)タンパク質であり得る。別法として、このCSVタンパク質は、該I型およびII型のCSタンパク質に由来するエレメント(要素)を含むハイブリッドタンパク質またはキメラタンパク質であってよい。後者がS抗原に融合される場合、本明細書中ではこれを「ハイブリッド融合タンパク質」と呼ぶ。
【0036】
「CSV-S」は、本明細書中で、プラスモディウム・ビバックスのCSタンパク質由来の配列/フラグメントと、B型肝炎のS抗原由来の配列/フラグメントとを含む融合タンパク質を包含する総称として使用される。
【0037】
I型CSタンパク質を有するプラスモディウム・ビバックスは、II型CSタンパク質を有するプラスモディウム・ビバックスよりも蔓延している。従って、1つの態様において、本発明は、I型に由来するCSタンパク質を利用する。別の態様において、本発明は、I型に由来する反復ユニットとII型に由来する反復ユニットを含む(例えば、I型に由来する反復ユニットの方が、II型の反復ユニットよりも多くハイブリッドに含まれる)ハイブリッドタンパク質を提供する。
【0038】
ハイブリッド/キメラタンパク質は、通常:
プラスモディウム・ビバックスのI型スポロゾイト周囲タンパク質の中央反復部分に由来する少なくとも1つの反復ユニット、および
プラスモディウム・ビバックスのII型スポロゾイト周囲タンパク質の中央反復部分に由来する少なくとも1つの反復ユニット
を含む。
【0039】
本発明においては、プラスモディウム・ビバックスの任意の好適な株を使用することが可能であり、例えばラテンアメリカ株、アメリカ株(すなわちSal 1、Belem)、朝鮮株、中国株、タイ株、インドネシア株、インド株、およびベトナム株が挙げられる。配列番号2の構築物は、朝鮮株(より具体的には韓国株)に基づく。
【0040】
B型肝炎に由来する表面抗原の存在は、CSタンパク質部分の免疫原性をブースト(追加免疫)し、安定性を助け、且つ/またはこのタンパク質の再生製造に役立つと考えられる。
【0041】
1つの実施形態において、ハイブリッド融合タンパク質(CSV-S)は、配列番号5に示されるアミノ酸配列を有する。この配列において、アミノ酸6〜262位はCSVに由来し、269〜494位はS抗原に由来する。残りのアミノ酸は、遺伝的構築(特に適宜変化させることができる)によって導入される。4個のアミノ酸Met Met Ala Proは、特にプラスミドpGF1-S2から誘導される(図4参照)。
【0042】
配列番号5のタンパク質のヌクレオチド配列は、配列番号4に示される。
【0043】
1つの実施形態において、本発明の粒子は、抗酸化剤、例えばチオール官能基を含む抗酸化剤(例えばモノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、システイン、グルタチオンまたはその混合物)を含む液体製剤として提供される。この液体製剤は、適切なアジュバントで再構成される1回用量または2回用量として提供し得る。この製剤は、必要に応じて、例えば3mLガラスバイアルなどのガラスバイアル中で提供することができる。1つの態様において、このバイアルはアンバー色(褐色)である。別のまたはさらなる態様において、この製剤から酸素が除去される。
【0044】
1つの実施形態において、本発明の粒子は、場合により好適な抗酸化剤、例えばチオール官能基を含む抗酸化剤(モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、システイン、グルタチオンまたはその混合物など)と結合させた/組み合わせた、凍結乾燥形態で提供することができる。
【0045】
別の態様において、本発明のハイブリッド融合タンパク質は、例えば米国出願公開第2006/194196号(WO 2004/113369としても公開)に記載のとおり、変異体Sタンパク質に由来する部分を含む。この文献は、標識変異体HDB05について記載する。特にこの文献は、図1と図6では変異体タンパク質と野生型タンパク質との比較を、また図4と図5では変異体の遺伝子を記載している。文献中の配列12〜22は、変異体Sタンパク質の特定のポリペプチドを表す。上記の各記載は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0046】
融合タンパク質CSV-Sは、例えば、プラスミドpGF1-S2を用いて調製することが可能であり(さらに詳細には、図2および実施例を参照のこと)、このプラスミドは、CSVに対応する適切な配列がSmaIクローニング部位に挿入されている場合、好適な条件下で融合タンパク質CSV-Sを生産することができる。
【0047】
ベクターpRIT15546は、CSV-S発現カセットを担持する酵母エピソーム性発現ベクター(2μベースのベクター)である。その組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15546ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0048】
pRIT15546ベクターの構築
酵母発現用の適切なコドン使用頻度を有するCSV合成遺伝子を構築し、pUC57ベクター中にサブクローニングした(GenBank/EMBLアクセッション番号Y14837)。結果として得られたプラスミドpUC57/CSVと酵母発現ベクターpGf1-S2を、いずれも適切な酵素で制限消化した。ベクターpGf1-S2は、多段階クローニング法により(GSKにおいて)構築した。S発現カセットを既に担持するこのベクターは、B型肝炎ウイルスのS遺伝子とのN末端インフレーム融合での融合遺伝子の構築を可能とする。配列確認後の最終的な発現ベクターは、pRIT15546と名付けた(図8)。
【0049】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、1つの実施形態において、例えば酵母遺伝子に由来する、転写制御エレメントに隣接しており、また発現ベクターに組み込まれる。
【0050】
サッカロミセス・セレヴィシエ
本発明のハイブリッドタンパク質の発現カセットは、例えば、以下の特性を含めて構築することができる:
・例えばサッカロミセス・セレヴィシエTDH3遺伝子に由来する、プロモーター配列;
・適切な融合タンパク質をコードする配列;
・例えばサッカロミセス・セレヴィシエARG3遺伝子に由来する、配列中に含まれる転写終結配列。
【0051】
好適なプロモーターの例は、サッカロミセス・セレヴィシエのTDH3遺伝子由来のプロモーターである(Mustiら)。
【0052】
次いで、好適なプラスミドを用いて、ハイブリッド融合タンパク質をコードする配列を好適な合成用宿主に挿入することができる。好適なプラスミドの例として、好適な発現カセットを担持する2ミクロンベースのベクターであるpRIT15546が挙げられる。さらに詳細には、図1および実施例を参照のこと。
【0053】
このプラスミドは、通常、選択に役立つ組込みマーカー(例えば、抗生物質耐性またはLEU2もしくはHIS栄養要求性をコードする遺伝子)を含む。
【0054】
上記のとおり、CSV-SをコードするカセットおよびB型肝炎に由来するS抗原をコードするカセットの少なくとも1つを有するサッカロミセス・セレヴィシエの使用を利用して、本発明の粒子を提供することができる。
【0055】
通常、宿主は、粒子中の各融合タンパク質についての発現カセットを有し、ゲノム中に組み込まれたS抗原についての1つまたはそれ以上の発現カセットも有する。
【0056】
1つの実施形態において、酵母は、1、2、3、4、5または6コピー、例えば4または5コピーの、組み込まれたS抗原を有する。
【0057】
従って本発明は、本発明の粒子の2つまたはそれ以上の構成成分をコードするDNAなどのポリヌクレオチドを含む宿主にも及ぶ。
【0058】
本発明は、CSV-Sをコードするカセットと、S抗原をコードするカセットの少なくとも1つとを含むサッカロミセス・セレヴィシエに及ぶ。
【0059】
本発明で用いられるヌクレオチド配列またはその一部(例えば、CS/ハイブリッドタンパク質をコードする部分だが、場合によりタンパク質Sをコードする部分ではない)は、酵母などの宿主中での発現用にコドン最適化することができる。
【0060】
本発明はまた、本発明の粒子を調製するためのサッカロミセス・セレヴィシエ(特にY1835)の使用にも及ぶ。
【0061】
本発明の他の態様は、本発明の粒子の調製方法を提供し、この方法は、当該タンパク質をコードするDNA配列をサッカロミセス・セレヴィシエ(例えば組換え酵母Y1835)において発現させるステップと、場合によりその生成物を回収するさらなるステップを含んでなる。
【0062】
本発明はまた、CSV-S(特に本明細書中に記載されるハイブリッド融合タンパク質)をコードするDNA、およびB型肝炎に由来するS抗原をコードするDNAをサッカロミセス・セレヴィシエなどの酵母において発現させる方法から得られる生成物にも及ぶ。
【0063】
ピキア・パストリス
本発明のハイブリッドタンパク質の発現カセットは、例えば、以下の特性を含めて構築することができる。
【0064】
・例えばピキア・パストリスのAOX1遺伝子に由来する、プロモーター配列。
・適切な融合タンパク質をコードする配列。
・例えばピキア・パストリスのAOX1遺伝子調節エレメントに由来する、配列中に含まれる転写終結配列。
【0065】
好適なプロモーターの例は、ピキア・パストリスAOX1遺伝子由来のプロモーターである。このAOXプロモーターは、極めて強力で、厳密に調節されるプロモーターであり、通常は高収量の組換えタンパク質をもたらす。一般に、本発明の粒子を調製するためにこのプロモーターを使用する場合、サッカロミセス・セレヴィシエにおける収量よりも10倍多い収量が得られる。
【0066】
ピキア・パストリスと共に使用し得る代替プロモーターは、GAPプロモーターである。
【0067】
次いで、好適なプラスミドを用いて、ハイブリッド融合タンパク質をコードする配列を好適な合成用宿主に挿入することができる。好適なプラスミドの例として、好適な発現カセットを担持するための2ミクロンベースのベクターであるpRIT15546が挙げられる。
【0068】
このプラスミドは、通常、選択に役立つ組込みマーカー(例えば、抗生物質耐性またはLEU2もしくはHIS栄養要求性をコードする遺伝子)を含む。
【0069】
上記のとおり、CSV-SをコードするカセットおよびB型肝炎に由来するS抗原をコードするカセットの少なくとも1つを有するピキア・パストリスの使用を利用して、本発明の粒子を提供することができる。
【0070】
通常、宿主は、粒子中の各融合タンパク質についての発現カセットを有し、ゲノム中に組み込まれたS抗原についての1つまたはそれ以上の発現カセットも有する。
【0071】
1つの実施形態において、酵母は、1、2、3、4、5または6コピー、例えば4または5コピーの、組み込まれたS抗原を有する。
【0072】
本発明はまた、本発明の粒子の2つまたはそれ以上の構成成分をコードするDNAなどのポリヌクレオチドを含む宿主にも及ぶ。
【0073】
本発明は、CSV-Sをコードするカセットと、S抗原をコードするカセットの少なくとも1つとを含むピキア・パストリスに及ぶ。
【0074】
本発明で用いられるヌクレオチド配列またはその一部(例えば、CS/ハイブリッドタンパク質をコードする部分だが、場合によりタンパク質Sをコードする部分ではない)は、酵母などの宿主中での発現用にコドン最適化することができる。
【0075】
本発明はまた、本発明の粒子を調製するためのピキア・パストリス(特にY1847)の使用にも及ぶ。
【0076】
本発明の他の態様は、本発明の粒子の調製方法を提供することであり、この方法は、当該タンパク質をコードするDNA配列をピキア・パストリス(例えば組換え酵母Y1847)において発現させ、その生成物を回収することを含む。
【0077】
本発明はまた、沈殿ステップ、イオン交換およびゲル浸透クロマトグラフィー、および塩化セシウム超遠心分離を含む、本発明の粒子の精製方法にも及ぶ。
【0078】
本発明はまた、特にマラリアの治療または予防のために、さらなる活性成分と組み合わせて(例えばさらなる活性成分と混合して)使用するための本発明のタンパク質粒子を含む組成物またはワクチンにも関する。
【0079】
本発明はまた、本発明における粒子を含むワクチンにおいて使用するための組成物または構成成分、さらにまた本発明のタンパク質粒子を好適な賦形剤と混合して含むワクチンにも関する。
【0080】
本発明において用いられるワクチン用の構成成分は、本発明の粒子と少なくとも1つの賦形剤とを含み、かつワクチン中への含有に適した実体に関する。ワクチン用の構成成分は、通常はアジュバント成分を含まない。
【0081】
本明細書に関する「ワクチン」は、粒子および安定化剤、賦形剤および全てのアジュバント成分を含み、ヒトへの注射に適した製剤に関する。
【0082】
製剤
本明細書において、「賦形剤」は、医薬製剤中の、それ自体では治療効果を有さない構成成分を指す。希釈剤または液体担体は、賦形剤の定義の範囲に含まれる。アジュバントもまた、賦形剤の定義の範囲に含まれる。なぜならアジュバントは免疫応答を刺激することができるが、治療的成分の非存在下ではこの免疫応答は非特異的だからである。
【0083】
本明細書において、「免疫原性」は、本発明のマラリア構成成分またはS抗原構成成分に対する特異的免疫応答を誘発する能力を指すことを意図する。この応答は、例えば、リポタンパク質粒子が、適切な用量で、また好適なアジュバントを含み/必要とし得る適切な製剤として投与される場合に生じ得る。所要の免疫原性応答を得るためには、元の用量と同様の用量またはそれより少ない用量を含むブースターが必要となる可能性がある。
【0084】
本発明の組成物/医薬製剤は、プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する抗原(例えば、Pv RII(DBPの受容体結合ドメイン)などのDBP、PvTRAP、PvMSP2、PvMSP4、PvMSP5、PvMSP6、PvMSP7、PvMSP8、PvMSP9、PvAMA1およびRBPまたはこれらのフラグメントから選択される抗原)などの1種またはそれ以上の他の抗原も混合して含み得る。
【0085】
他の例では、プラスモディウム・ファルシパルムに由来する抗原としては、PfEMP-1、Pfs16抗原、MSP-1、MSP-3、LSA-1、LSA-3、AMA-1およびTRAPが挙げられる。他のプラスモディウム抗原としては、プラスモディウム・ファルシパルムのEBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、Pf332、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28、PFS27/25、Pfs48/45、Pfs230および他のプラスモディウム属種におけるそれらの類似体が挙げられる。
【0086】
本発明の組成物/医薬製剤は、本発明の粒子と混合して、RTS,Sの粒子(WO 93/10152に記載)も含み得る。
【0087】
本発明のワクチンでは、粒子の水溶液を直接使用することができる。別法として、前もって凍結乾燥させた、もしくは凍結乾燥させていない本発明の粒子を、公知のアジュバントのいずれかと混合し、あるいはこれに吸収させることができる。
【0088】
アジュバント
1つの実施形態において、アジュバントはToll様受容体(TLR)4リガンドであり、例えば、リピドA誘導体(特にモノホスホリルリピドAまたは、さらに特に3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL))などのアゴニストである。
【0089】
3-脱アシル化モノホスホリルリピドAは、米国特許第4,912,094号および英国特許出願番号第2,220,211号(Ribi)から公知であって、Ribi Immunochem, Montana, USAから入手可能であり、Corixa corporationから商標MPL(登録商標)の下に販売されている。3D-MPLは、IFN-g(Th1)表現型を有するCD4+T細胞応答を主に促進する。3D-MPLは、GB 2 220 211 Aに開示されている方法に従って製造することができる。化学的には、これは3、4、5または6つのアシル化鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。好適には、本発明の組成物中で、小粒子3D-MPLを使用し得る。小粒子3D-MPLは、0.22μmのフィルターを通して滅菌ろ過され得るような粒子サイズを有する。かかる調製物は、WO 94/21292号に記載されている。リピドAの合成誘導体は公知であり、TLR4アゴニストであると考えられている。
【0090】
本発明の製剤において使用する別の免疫賦活剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の木であるキラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、これがアジュバント活性を有することは、Dalsgaardらが1974年に初めて記載した("Saponin adjuvant", Archiv. fur die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。Quil Aに付随する毒性を有することなくアジュバント活性を保持しているQuil Aの精製フラグメント(例えば、QS7とQS21(QA7とQA21としても知られている))は、HPLCによって単離されている(EP 0 362 278)。QS-21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮に由来する天然のサポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および優勢IgG2a抗体応答を誘導する。
【0091】
ステロールをさらに含むQS21の特定の製剤が記載されている(WO 96/33739)。QS21:ステロールの比は、典型的には、重量比でほぼ1:100〜1:1程度である。通常は過剰のステロールが存在し、QS21:ステロールの比は、少なくとも1:2 w/wである。典型的には、ヒトへの投与のため、QS21とステロールは、ワクチン中に約1μg〜約100μgの範囲(例えば、用量当たり約10μg〜約50μg)で存在する。
【0092】
リポソームは一般的に、例えば、通常は室温で非晶質のホスファチジルコリン(例えば卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンまたはジラウリルホスファチジルコリン)などの中性脂肪を含む。リポソームは、QS21が存在する場合に、飽和脂質で構成されるリポソームのリポソーム-QS21構造の安定性を高めることができる荷電脂質も含み得る。これらの場合、荷電脂質の量は1〜20% w/w、例えば5〜10%であることが多い。リン脂質に対するステロールの比は、1〜50%(モル/モル)、例えば20〜25%である。
【0093】
サポニンは、ミセル、混合ミセル(通常、限定するものではないが、胆汁塩との混合物)の形態に分離してもよいし、あるいはコレステロールおよび脂質と共に製剤化される場合にはISCOMマトリックス(EP 0 109 942)、リポソームもしくは関連のコロイド構造(例えばワーム様もしくはリング様多量体複合体または脂質/層状構造およびラメラ)の形態であってもよいし、あるいは水中油型エマルション(例えば、WO 95/17210に記載される)の形態であってもよい。
【0094】
1つの態様において、アジュバントは3D-MPLを含む。
【0095】
1つの態様において、アジュバントはQS21を含む。
【0096】
1つの態様において、アジュバントはCpGを含む。
【0097】
1つの態様において、アジュバントは、水中油型エマルションとして製剤化される。
【0098】
1つの態様において、アジュバントは、リポソームとして製剤化される。
【0099】
アジュバントの組み合わせとして、3D-MPLとQS21(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油型エマルション(WO 95/17210, WO 98/56414)、他の担体と共に製剤化された3D-MPL(EP 0 689 454 B1)、またはリポソーム製剤としての3D-MPLとQS21が挙げられる。他の好適なアジュバント系は、US 6558670およびUS 6544518に記載される、3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組み合わせを含む。
【0100】
本発明の1つの実施形態において、本発明は、本明細書中に定義される粒子を含む以下:
・例えばバルク組成物としての、または個人用量(例えば同一容器に入った1回用量もしくは2回用量)での医薬組成物、または
・ワクチン組成物
を提供し、該ワクチン組成物はアジュバントをさらに含む。
【0101】
1つの態様において、本発明は、以下:
・例えば用量当たり10〜100μgに相当する量の本発明の粒子、
・用量当たり1〜10mgに相当する範囲のアルカリ金属塩(例えば塩化ナトリウム)、
・例えば用量当たり100〜1000μgの範囲に相当する量のリン脂質(DOPCなど)、および
・場合により、例えば用量当たり10〜250μgの範囲に相当する量のコレステロール
を含む組成物を提供する。
【0102】
1つの態様において、上記の組成物は、抗酸化剤、例えばチオール官能基を有する抗酸化剤(モノチオグリセロール、N-アセチルシステイン、システイン、グルタチオンまたはその混合物など)をさらに含む。
【0103】
1つの態様において、各用量または2回用量は凍結乾燥される。
【0104】
ワクチンの単回用量は、500μLの液体として患者に提供することができる。ワクチンは、使用前に注射用水で最終体積にする必要があり得る。
【0105】
ワクチン調製物は、Vollerら(University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A., 1978)によって編集された"New Trends and Developments in Vaccines"に一般的に記載されている。リポソーム内へのカプセル封入は、例えば、Fullertonによる米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0106】
量
各ワクチン用量中に存在する本発明のタンパク質粒子の量は、標準的なワクチン中で重大な副作用を伴うことなく適切な免疫応答または免疫防御応答を誘導する量として選択される。かかる量は、どの特異的免疫源が使用されるか、及びそのワクチンがアジュバント化されているか否かによって異なる。通常、各用量は、1〜1000μgのタンパク質、例えば1〜200μg(10〜100μgなど)のタンパク質を含むことが期待される。特定のワクチンの最適量は、抗体力価および患者における他の応答の観察を含む標準的な試験によって確定することができる。最初のワクチン接種の後、被験体は、約4週間以内にブースト(追加免疫)を受け、その後、感染のリスクが存在する限り6ヶ月〜12ヶ月毎にブーストを繰り返し得る。本発明の粒子に対する免疫応答は、アジュバントおよび/または免疫賦活剤の使用により増強されると考えられる。
【0107】
使用される3D-MPLの量は、通常は少ないが、ワクチン製剤に依存して、用量当たり1〜1000μg、例えば用量当たり1〜500μg、さらに用量当たり1〜100μg(特に用量当たり10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90μg)であってよい。
【0108】
本発明のアジュバントまたはワクチン中のCpGオリゴヌクレオチドまたは免疫賦活オリゴヌクレオチドの量は、通常は少ないが、ワクチン製剤に依存して、用量当たり1〜1000μg、例えば用量当たり1〜500μgであってよい。
【0109】
本発明のアジュバント中で使用するサポニンの量は、用量当たり1〜1000μg、特に用量当たり1〜500μg(例えば用量当たり1〜250μg)、また例えば用量当たり1〜100μgの範囲(特に用量当たり10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90μg)であってよい。
【0110】
本発明の製剤は、予防目的および/または治療目的の両方(特に予防目的)に使用することができる。従って本発明は、例えばマラリア(重度のマラリアを含む)の治療および/または予防用医薬において使用するための、本明細書中に記載されるワクチン組成物を提供する。
【0111】
本発明の他の態様は、上記に記載される医薬組成物またはワクチンの有効量を投与することにより、プラスモディウム感染症にかかりやすい患者を治療する方法にある。
【0112】
本明細書において、含む(comprising)は、包含する(including)と解釈される。
【0113】
特定のエレメントを含む本発明の態様はまた、関連するエレメントからなるかまたは関連するエレメントから本質的になる別個の実施態様にまで及ぶことも意図する。
【0114】
本明細書の背景の項は、本発明をその文脈の中でとらえる目的で提供される。この背景の項は、関連情報が公知であり、または関連情報が技術常識を構成すると自認するものとして解釈されるべきではない。
【0115】
以下の実施例は、本発明の粒子を調製するために使用し得る方法を説明するために示す。実施例は、本発明の態様を形成し得るものであっても、形成し得ないものでもよい。
【実施例】
【0116】
実施例1
Y1834株の説明
酵母組換え株Y1834を使用して、本発明の融合タンパク質を発現させることができる。この株は、組換え発現ベクターpRIT15546で形質転換されたサッカロミセス・セレヴィシエ宿主株DC5からなる。
【0117】
DC5は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、his3、can1-11を有する実験室酵母株(ATCC No:20820)である。二重leu-2変異は、機能的LEU-2遺伝子コピーを有するpRIT15546ベクターの取り込みと維持の選択を可能とする。増殖培地中にロイシンが欠如している場合、LEU-2遺伝子を有するベクターを担持する細胞だけが増殖することができる。
【0118】
ベクターpRIT15546は、発現カセットを有する酵母エピソーム発現ベクター(2μベースのベクター)である。組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15546ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0119】
pRIT15546ベクターの構築
酵母発現用の適切なコドン使用頻度を有する合成遺伝子を構築し、pUC57ベクター中にサブクローニングした。結果として得られたプラスミドpUC57/CSVと酵母発現ベクターpGf1-S2は、いずれも適切な酵素で制限消化した。ベクターpGf1-S2は、多段階クローニング法により(GSKにおいて)構築した。既にS発現カセットを担持するこのベクターは、B型肝炎ウイルスのS遺伝子とのN末端インフレーム融合での融合遺伝子の構築を可能とする。配列確認後の最終的な発現ベクターは、pRIT15546と名付けた(図1)。
【0120】
DC5株の形質転換
ロイシンおよびヒスチジン栄養要求性DC5株を、酵母標準プロトコールを用いて、組換えプラスミドpRIT15546で形質転換した。形質転換細胞を寒天選択プレート上にプレーティングした。1つの形質転換体を選択し、Y1834という公式名称を受けた。
【0121】
組換えタンパク質の発現:
Y1834を、8μg/mlのヒスチジンを補充したYNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が0.5になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製する。
【0122】
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで15分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(4〜20%)にかける。
破壊緩衝液: 50mMリン酸ナトリウムバッファ(PH7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度10 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、15分間/5000rpmで遠心分離した。
【0123】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(4〜20%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。
【0124】
ウエスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)(希釈:1/500)
市販の抗S抗体は、この方法で用いられる抗S抗体に代替することができる。別法として、抗CSV抗体、例えば米国国立衛生研究所(NIH)から入手可能な、MR4として知られる抗CSV抗体を使用することができる。
【0125】
実施例2:
Y1835株の説明
酵母組換え株Y1835は、CSV-S融合タンパク質とS抗原とを同時に発現する。CSV-Sタンパク質とSタンパク質とを共発現する株を得るため、S発現カセットの組込みコピー5つを既に担持するサッカロミセス・セレヴィシエ株Y1295を、組換え組込み発現ベクターpRIT15582で形質転換した(図3)。
【0126】
Y1295株は、多段階形質転換法によってGSKにおいて構築した。Y1295株の構築は、WO 93/10152に記載されている。Y1295株は、以下の遺伝子型:leu2-3、leu2-112、gal1を有する。leu-2の変異は、CSV-Sカセットと機能的LEU2遺伝子を含むpRIT15582由来の線状DNAフラグメントの取り込みの選択を可能とする。
【0127】
ベクターpRIT15582は、CSV-S発現カセットを有する酵母組込み発現ベクター(Tyベースのベクター)である。組換え発現は、酵母TDH3遺伝子由来のプロモーターによって駆動される(構成的発現)。pRIT15582ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0128】
pRIT15582組込みベクターの構築
pRIT15582ベクターを構築するために使用した出発物質は、発現プラスミドpRIT15546(図1)であった。このプラスミドの構築は、実施例1に記載される。HindIIIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15546の消化で、完全長CSV-S発現カセット(pTDH3 + CSV-S + tARG3)に対応する、3706bpの長さのDNAフラグメントを遊離させる。このHindIII DNAフラグメント(T4 DNAポリメラーゼで充填した後)を、Tyベースの組込みベクターpRIT13144上の唯一のSalIクローニング部位に挿入した(SalI制限消化/T4処理)。結果として得られたプラスミドpRIT15582は、上記の発現カセットに加えて、選択マーカーとして酵母LEU2遺伝子を含む(図3)。XhoIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15582の消化は、内在性Tyエレメントを含む自由端の相同組換えによって酵母ゲノム中に組込まれ得る、図4に示す8500bpの線状フラグメントを遊離させる。
【0129】
Y1295株の形質転換
Sタンパク質とCSV-Sタンパク質の両方を発現する株を得るため、Y1295株を8500bpの線状XhoIフラグメント(図4)で形質転換し、Leu+コロニーを選抜した。様々な比でゲノム中に存在する両方の発現カセットのセットを含む幾つかの組込み体を得た。4コピーのCSV-Sカセットを担持する1つの形質転換体を選択し、公式名称Y1835を与えた。
【0130】
組換えタンパク質の発現:
Y1835を、YNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が約0.5(0.8)になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、細胞抽出物を調製する。
【0131】
免疫ブロッティングによる発現生成物の解析:
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで5〜10分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(12.5%)にかける。
破壊緩衝液: 50mMリン酸ナトリウムバッファ(PH7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 2.5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度20 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、5〜10分間/5000rpmで遠心分離した。
【0132】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。
【0133】
ウエスタンブロット解析(図5):
試薬: 1/マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)-(希釈:1/250)
2/ウサギポリクローナル抗体 抗CSV(WRAIRより好意で提供)-希釈 1/20,000
市販の抗S抗体ならびに抗プラスモディウム・ビバックス/CSP抗体は、この方法で用いられる抗S抗体ならびに抗プラスモディウム・ビバックス/CSP抗体に代替することができる。
【0134】
実施例3:
以下の抗原を評価した:
1. CSV-S,S:サッカロミセス・セレヴィシエにおいて生成され、B型肝炎ウイルスに由来するS抗原に融合させたCSV構築物(すなわち、反復領域中の多型に向けられ、CSVタンパク質のN末端部分およびC末端部分を含むハイブリッドCSV分子。さらに、この構築物は公知のTエピトープおよびBエピトープを含む。)(CSV-S)からなる混合粒子。さらに、これらの粒子中には遊離S抗原が存在する。
【0135】
2. CSV-S:単純粒子が、独自に上記のCSV-S構築物によって構成された。
【0136】
マウスにおいて、AS01B中で再構成したこれらのワクチン候補の免疫原性を評価した。実験は、以下に詳述するとおりに行った。
【0137】
マウスに、以下:
・単純粒子(CSV-S)と、QS21とMPLとを含むリポソームアジュバント製剤(0日目、14日目、および28日目)、または
・混合粒子(CSV-S,S)と、QS21とMPLとを含むリポソームアジュバント製剤(0日目、14日目、および28日目)
を注射した。
【0138】
上記の実体を以下の用量で試験した:
【0139】
これらの量を計算して、CSVの対応する量を提供した。
【0140】
抗体応答は、2回目の免疫化の14日後(14pII)と3回目の免疫化の14日後(14pIII)に測定した。
【0141】
以下のリードアウトを行った:
抗体応答(各群の動物個体それぞれに由来する血清に対してELISAを行った):
- 2つの時点で測定した:14pIIおよび14pIII
- 2つの血清学的検査を測定した:a)CSVに対する抗体応答
b)HBsに対する抗体応答
- 各時点において、それぞれ4匹〜5匹のいずれかのマウスからなる4つのプールからデータを集めた。
結果は、図7〜16に示される。
【0142】
図7は、混合粒子CSV-S,Sの全ての用量について、CSVエレメントに対する同レベルの抗体応答が生じることを示す。
【0143】
図8は、混合粒子(CSV-S,S)中のS抗原に対する免疫応答が、単純粒子(CSV-S)に対して生じる応答より大きいことを示す。
【0144】
図9は、試験したCSV-S,Sの3つの用量について、2回目の免疫化の14日後に、CSVエレメントに対する同レベルの抗体応答が生じることを示す。同じ傾向が、3回目の注射の14日後における結果を示す図10に認められる。
【0145】
実施例4:
Y1840株の説明
ピキア・パストリス株Y1840は、CSV-S融合タンパク質を発現する。Y1840株は、ゲノム中に組み込まれた、4コピーのCSV-S融合遺伝子を含む。CSV-S融合タンパク質を発現する株を得るため、ピキア・パストリス株GS115を、CSV-Sカセットと機能的HIS4遺伝子を担持する組込み線状DNAフラグメントで形質転換した。
【0146】
GS115は、以下の遺伝子型:his4を有する実験室酵母株(ATCC No:20864)である。his4変異は、CSV-Sカセットと機能的HIS4遺伝子を担持するpRIT15607由来の線状DNAフラグメントの取り込みの選択を可能とする。
【0147】
ベクターpRIT15607は、CSV-S発現カセットを担持するピキア・パストリス組込み発現ベクターである。その組換え発現は、強力で、厳密に調節されるメタノール誘導性AOX1プロモーターによって駆動される。pRIT15607ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0148】
pRIT15607ベクターの構築
pRIT15546上に存在するCSV-S融合遺伝子をPCRで増幅し、pGEM-T Easy中間ベクター(Promega、カタログNo:#A1360)中にクローン化した。配列確認後、組換えプラスミドを適当な制限酵素で消化し、pHIL-D2 ピキア・パストリス組込みベクター中にクローン化した。配列確認後の最終的な発現ベクターを、pRIT15607と名付けた(図18)。NotIエンドヌクレアーゼを用いたpRIT15607の消化は、内在性AOX1遺伝子座における相同組換えによって酵母ゲノム中に組込まれ得る、6816bpの線状フラグメントを遊離させる。
【0149】
GS115株の形質転換
GS115宿主株を、組換えプラスミドpRIT15607で形質転換した。発現カセットとHIS4選択マーカーを担持する線状DNAフラグメントを遊離させるため、この組込みベクターを、形質転換の前にNotIで制限消化した。NotI制限消化は、AOX1遺伝子座における組込みを促す。形質転換細胞を、寒天選択プレート上にプレーティングした。多コピー組込み体クローンを、定量的ドットブロット解析によって選択した。高コピー数の組込みCSV-S発現カセットを有している選択されたクローンの中から、CSV-S組換えタンパク質について最も高い発現レベルを示す1つのクローンを選択し、公式名称Y1840を与えた。このクローンは、4コピーのCSV-S融合遺伝子を有する。
【0150】
組換えタンパク質の発現:
Y1840を、炭素源として1%グリセロールを補充したYNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が約0.5(この場合0.709)になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、炭素源として(誘導物質として)1%メタノールを補充した同量のYNB培地中に再懸濁し、30℃で約16時間インキュベートする。
【0151】
抽出物の調製:
メタノール誘導した細胞を遠心分離し、細胞ペレットを破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズまたはフレンチプレス)。抽出物は、5000rpmで5〜10分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(12.5%)にかける。
破壊緩衝液: 60mM Na2HPO4
40mM NaH2PO4
1mM MgSO4
10Mm KCl
Tween-20 (0.5%)
2Mm PMSF
細胞濃度: 2.5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度20 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、5〜10分間/5000rpmで遠心分離した。
【0152】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。図23を参照のこと。
ウエスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)-(希釈:1/250)
市販の抗S抗体は、この方法で用いられる抗S抗体に代替することができる。別法として、抗CSV抗体、例えば米国国立衛生研究所(NIH)から入手可能な、MR4として知られる抗CSV抗体を使用することができる。
CSV-S融合タンパク質: 理論分子量(MW): 51762ダルトン
見掛けの分子量(MW): 55 kDa
実施例5:
Y1847株の説明
ピキア・パストリス株Y1847は、CSV-S融合タンパク質とS抗原とを同時に発現する。CSV-Sタンパク質とSタンパク質とを共発現する株を得るため、CSV-S発現カセットの組込みコピー4つを既に担持するピキア・パストリス株Y1840を、組換え組込み発現ベクターpRIT15478で形質転換した。
【0153】
Y1840株の構築は、上記の実施例4に記載される。
【0154】
ベクターpRIT15478は、S発現カセットを担持するpPICZ-A(Invitrogen、カタログNo.V190-20)組込み発現ベクターである。その組換え発現は、メタノール誘導性AOX1プロモーターによって駆動される。pRIT15478ベクターの構築は、以下に詳述する。
【0155】
pRIT15478組込みベクターの構築
pRIT15469組換えプラスミド(このプラスミドはB型肝炎に由来するS遺伝子を有する)をテンプレートとして用いて、S遺伝子をPCRで増幅した。上流プライマー:
は、ATG開始コドン(太字)の前にEcoRIの認識配列(下線)を含む。下流プライマー:
は、終止コドン(太字)の直後にXhoIの認識配列(下線)を含む。EcoRIおよびXhoI制限酵素を用いた消化の後、PCR生成物をpPICZ-AベクターのEcoRIおよびXhoIクローニング部位の間に直接挿入した。このインサートのヌクレオチド配列の確認後、上記の組換えプラスミドをpRIT15478と名付けた。pRIT15478の物理マップは、図18に示される。
【0156】
Y1840株の形質転換
形質転換の前に、pRIT15478ベクターを、SacIを用いた制限消化によって5'AOX1領域中で線状化した。この線状化ベクターは、遺伝子挿入によって宿主の5'AOX1領域に組込まれる。
【0157】
ピキア・パストリス株Y1840のコンピテント細胞を、Invitrogenの使用説明書に従って、エレクトロポレーションによって10μgのpRIT15478ベクターで形質転換した。形質転換体を、100μg/mlのゼオシン(Zeocin)を含む寒天選択プレート上にプレーティングした。多コピー組込みクローンを定量的ドットブロット解析によって選択した。
【0158】
既に存在する4個のCSV-Sカセットに加えてSカセットを5コピー担持する1つの形質転換体を選択し、公式名称Y1847を与えた。
【0159】
組換えタンパク質の発現:
Y1847を、1%グリセロールを補充したYNB(Kracker Scientific Incから入手可能な酵母窒素塩基(Yeast Nitrogen Base))最小培地中で、O.D.(620nm)が0.5になるまで30℃で増殖させる。その後細胞を回収し、1%メタノール(誘導物質として)を添加した同量のYNB培地中に再懸濁し、30℃で16時間インキュベートする。細胞抽出物を調製する。
【0160】
免疫ブロッティングによる発現生成物の分析:
抽出物の調製:
細胞を破壊緩衝液中に再懸濁し、機械的に破壊する(ガラスビーズ)。抽出物は、5000rpmで15分間遠心分離する。上清画分をSDS-PAGE(12.5%)にかける。
破壊緩衝液: 50mMリン酸ナトリウムバッファ(PH7.5)
4mM EDTA
Tween20(0.5%)
+プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete/ROCHE社)
細胞濃度: 2.5ml破壊緩衝液中に100ml培養物(OD 0.5) =濃度20 OD単位/ml
粗抽出物の清澄化: 抽出物は、15分間/5000rpmで遠心分離した。
【0161】
組換えタンパク質の検出
清澄化した抽出物をSDS-PAGE(12.5%)にかけ、タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、免疫染色に供する。
【0162】
ウエスタンブロット解析:
試薬 = マウスモノクローナル抗体 抗S(GSK Biologicalsにより製造)-(希釈:1/500)
市販の抗S抗体は、この方法で使用される抗S抗体に代替することができる。別法として、抗CSV抗体を使用することができる。
【0163】
密度勾配遠心分離:
Y1847株での粒子の形成を、CsCl密度勾配遠心分離によって解析した。粗抽出物(全タンパク質のおよそ20mg)を、12mlの1.5M CsCl勾配上で解析した(Beckman 70.1 Tiローター中、+8℃で、40.000rpm、88時間)。画分(およそ0.6ml)を回収し、抗S抗体を用いた免疫ブロットによって解析した。図22に示すように、ウエスタンブロットのCSV-SとSのピークは、浮遊密度1.22g/cm3に相当する勾配の同じ画分(No.10)に現われる。二重(混合)粒子の形成は、勾配解析によって裏付けられる。
【0164】
参考文献
(1) Harford N, Cabezon T, Colau B, et al., "Construction and Characterization of a Saccharomyces Cerevisiae Strain (RIT4376) Expressing Hepatitis B Surface Antigen", Postgrad Med J 63, Supp. 2: 65-70, 1987.
(2) Jacobs E, Rutgers T, Voet P, et al., "Simultaneous Synthesis and Assembly of Various Hepatitis B Surface Proteins in Saccharomyces cerevisiae", Gene 80: 279-291, 1989.
(3) Vieira J and Messing J, "The pUC plasmids, an M13mp7-Derived System for Insertion Mutagenesis and Sequencing with Synthetic Universal Primers", *_Gene 19: 259-268, 1982.
(4) Hinnen A, Hicks JB, and Fink GR, "Transformation of Yeast", Proc Nat1 Acad Sci USA 75: 1929-1933, 1980.
(5) Broach JR, Strathern JN, and Hicks JB, "Transformation in Yeast Development of a Hybrid Cloning Vector and Isolation of the CAN 1 Gene", Gene 8: 121-133, 1979.
(6) Zhang H, et al., "Double Stranded SDNA Sequencing as a Choice for DNA Sequencing", Nucleic Acids Research 16: 1220, 1988.
(7) Dame JB, Williams JL. Mc Cutchan TF, et al., "Structure of the Gene Encoding the Immunodominant Surface Antigen on the Sporozoites of the Human Malaria Parasite Plasmodium falciparum", Science 225: 593-599, 1984.
(8) Valenzuela P, Gray P, Quiroga M, et al., "Nucleotide Sequences of the Gene Coding for the Major Protein of Hepatitis B Virus Surface Antigen", Nature 280: 815-819, 1979.
(9) In SS, Kee-Hoyung L, Young RK, et al., “ comparison of Immunological responses to Various Types of Circumsporozoite Proteins of Plasmodium vivax in Malaria Patients of Korea”, Microbiol. Immunol. 48(2): 119-123, 2004;Microbiol. Immunol. 2004; 48(2): 119-123.
(10) Rathore D, Sacci JB, de la Vega P, et al., ”Binding and Invasion of Liver Cells by Plasmodium falciparum Sporozoites”, J. Biol. Chem. 277(9): 7092-7098, 2002.Rathore et al., 2002, J. Biol. Chem. 277, 7092-8
【0165】
配列リスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. B型肝炎ウイルスに由来するS抗原
を含み、SのCSV-Sに対する比が0.1〜1の範囲であることを特徴とする、免疫原性タンパク質粒子。
【請求項2】
SのCSVS-Sに対する比が0.19〜0.30の範囲である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
比が0.2〜0.25の範囲である、請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
比が約0.24である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項5】
SのCSV-Sに対する比が0.68〜0.80の範囲である、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
前記比が約0.73である、請求項1または請求項5に記載の粒子。
【請求項7】
B型肝炎抗原がadw血清型に由来する、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子。
【請求項8】
CSV-S成分が配列番号5に示される配列を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子。
【請求項9】
粒子がピキア・パストリス(Pichia pastoris)において調製された、請求項1〜8のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項10】
粒子がサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)において調製された、請求項1〜8のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項11】
粒子が免疫原性である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子と、賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項13】
賦形剤がアジュバントである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
アジュバントがサポニンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
サポニンがQS21である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
アジュバントが3D-MPLを含む、請求項13〜15のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項17】
3D-MPLが小粒子MPLとして存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
アジュバントがリポソーム製剤である、請求項13〜17のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項19】
アジュバントが水中油型エマルションである、請求項13〜17のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項20】
以下:
・用量当たり10〜100μgの請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子、
・用量当たり1〜10mgのアルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム、
・用量当たり100〜1000μgのリン脂質、例えばDOPC、および
・場合により用量当たり10〜250μgのコレステロール
を含む、請求項12〜19のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項21】
プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する1つまたはそれ以上のさらなる抗原を混合してさらに含む、請求項12〜20のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項22】
混合したさらなる抗原がRTS,Sである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が非経口用ワクチンである、請求項12〜22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項24】
治療における使用のための、請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子または請求項12〜23のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項25】
マラリアの治療または予防のための医薬の製造のための、請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子または請求項12〜23のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【請求項26】
請求項1〜11のいずれか1つに定義されるタンパク質または請求項12〜23のいずれか1つに記載の組成物の有効量を特にワクチンとして投与するステップを含んでなる、プラスモディウム感染症にかかりやすい患者を治療する方法。
【請求項27】
CSV-SのDNA配列と、S抗原をコードする少なくとも1つのDNA配列とをコードするピキア・パストリス宿主。
【請求項28】
CSV-SのDNA配列と、S抗原をコードする少なくとも1つのDNA配列とをコードするサッカロミセス・セレヴィシエ宿主。
【請求項29】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子の調製のための、請求項27または請求項28に記載の宿主の使用。
【請求項30】
前記タンパク質をコードするヌクレオチド配列を酵母ピキア・パストリスまたはサッカロミセス・セレヴィシエにおいて発現させ、その生成物を回収することを含む、請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子の製造方法。
【請求項31】
酵母が組換え株Y1847である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
酵母が組換え株Y1835である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
生成物が、界面活性剤を含む好適な組成物を用いた処理による宿主細胞の溶解によって回収される、請求項30〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
界面活性剤が、Tween(例えばTween20および/またはTween80)を含む群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1つに記載の方法によって得られる生成物。
【請求項1】
以下の単量体:
a. プラスモディウム・ビバックス(P.vivax)のCSタンパク質に由来する配列とB型肝炎のS抗原に由来する配列を含む融合タンパク質(CSV-S)、および
b. B型肝炎ウイルスに由来するS抗原
を含み、SのCSV-Sに対する比が0.1〜1の範囲であることを特徴とする、免疫原性タンパク質粒子。
【請求項2】
SのCSVS-Sに対する比が0.19〜0.30の範囲である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
比が0.2〜0.25の範囲である、請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
比が約0.24である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項5】
SのCSV-Sに対する比が0.68〜0.80の範囲である、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
前記比が約0.73である、請求項1または請求項5に記載の粒子。
【請求項7】
B型肝炎抗原がadw血清型に由来する、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子。
【請求項8】
CSV-S成分が配列番号5に示される配列を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子。
【請求項9】
粒子がピキア・パストリス(Pichia pastoris)において調製された、請求項1〜8のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項10】
粒子がサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)において調製された、請求項1〜8のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項11】
粒子が免疫原性である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の粒子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子と、賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項13】
賦形剤がアジュバントである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
アジュバントがサポニンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
サポニンがQS21である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
アジュバントが3D-MPLを含む、請求項13〜15のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項17】
3D-MPLが小粒子MPLとして存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
アジュバントがリポソーム製剤である、請求項13〜17のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項19】
アジュバントが水中油型エマルションである、請求項13〜17のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項20】
以下:
・用量当たり10〜100μgの請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子、
・用量当たり1〜10mgのアルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム、
・用量当たり100〜1000μgのリン脂質、例えばDOPC、および
・場合により用量当たり10〜250μgのコレステロール
を含む、請求項12〜19のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項21】
プラスモディウム・ファルシパルムおよび/またはプラスモディウム・ビバックスに由来する1つまたはそれ以上のさらなる抗原を混合してさらに含む、請求項12〜20のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項22】
混合したさらなる抗原がRTS,Sである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が非経口用ワクチンである、請求項12〜22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項24】
治療における使用のための、請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子または請求項12〜23のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項25】
マラリアの治療または予防のための医薬の製造のための、請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子または請求項12〜23のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【請求項26】
請求項1〜11のいずれか1つに定義されるタンパク質または請求項12〜23のいずれか1つに記載の組成物の有効量を特にワクチンとして投与するステップを含んでなる、プラスモディウム感染症にかかりやすい患者を治療する方法。
【請求項27】
CSV-SのDNA配列と、S抗原をコードする少なくとも1つのDNA配列とをコードするピキア・パストリス宿主。
【請求項28】
CSV-SのDNA配列と、S抗原をコードする少なくとも1つのDNA配列とをコードするサッカロミセス・セレヴィシエ宿主。
【請求項29】
請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子の調製のための、請求項27または請求項28に記載の宿主の使用。
【請求項30】
前記タンパク質をコードするヌクレオチド配列を酵母ピキア・パストリスまたはサッカロミセス・セレヴィシエにおいて発現させ、その生成物を回収することを含む、請求項1〜11のいずれか1つに記載の粒子の製造方法。
【請求項31】
酵母が組換え株Y1847である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
酵母が組換え株Y1835である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
生成物が、界面活性剤を含む好適な組成物を用いた処理による宿主細胞の溶解によって回収される、請求項30〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
界面活性剤が、Tween(例えばTween20および/またはTween80)を含む群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1つに記載の方法によって得られる生成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2011−507817(P2011−507817A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538785(P2010−538785)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068130
【国際公開番号】WO2009/080803
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/068130
【国際公開番号】WO2009/080803
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
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