説明

ミスト発生装置

【課題】水素を含む液体を容易に肌面に供給可能なミスト発生装置を提供する。
【解決手段】ミスト発生装置が、外部ケースと、前記外部ケース内に収納された前記噴出口と対応する位置に開口を有する液体タンクと、前記液体タンクの開口を覆う金属メッシュと前記金属メッシュに固定された超音波振動子とを有する噴霧化ユニットと、を備え、前記金属メッシュを一方の電極と、前記金属メッシュから電気的に離間させて前記液体タンク内に配設された金属片を他方の電極とする水を電気分解する電気分解電極と、前記電気分解電極及び前記超音波振動子に給電する電源手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水や美容液などの液体を微粒化したミストを肌面に供給して美容処理を行うことが可能な携帯型のミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯性に優れ、どこにでも持ち運ぶことができ、ユーザの顔などに液体のミストを噴霧して肌に潤いを与え、または肌の細胞組織の活性を高める美容処理を行う噴霧装置が知られている。近年美容処理において、水に水素を溶解させた、水素水や還元水などと呼ばれる液体を肌に供給することによって、肌にうるおいを与える装置や技術が注目されている。
しかし、水に水素を溶解させるには、水の電解装置が必要であるが、従来の水の電解装置は、大型で携帯には不向きである。また、補給用に、水素を溶解させた水を密閉容器にいれて携帯することも考えられるが、水に溶解した水素は時間とともに水から離脱するため、長時間にわたって水素水として保持することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3161996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであり、水素を含む液体を容易に肌面に供給可能なミスト発生装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一実施形態のミスト発生装置は、正面にミスト噴出口を有する外部ケースと、
前記外部ケース内に収納された前記噴出口と対応する位置に開口を有する液体タンクと、前記液体タンクの開口を覆う金属メッシュと前記金属メッシュに固定された超音波振動子とを有する噴霧化ユニットと、を備え、前記金属メッシュを一方の電極とし、前記金属メッシュから電気的に離間させて前記液体タンク内に配設された金属片を他方の電極とする水を電気分解する電気分解電極と、前記電気分解電極及び前記超音波振動子に給電する電源手段と、前記電源手段から前記電気分解電極及び前記超音波振動子への給電をオン・オフ制御する前記外部ケース外から操作可能なスイッチ手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、水素を含む液体を容易に肌面に供給可能なミスト発生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ミスト発生装置1を正面から見た図。
【図2】ミスト発生装置1の内部を模式的に示す概略図。
【図3】制御用電子回路基板107の機能ブロック図。
【図4】ミスト発生装置1の動作を示すフローチャート。
【図5】ミスト発生装置2の内部を模式的に示す概略図。
【図6】ミスト発生装置3の内部を模式的に示す概略図。
【図7】変形例であるミスト発生装置4を正面から見た図。
【図8】変形例であるミスト発生装置5の内部を模式的に示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態を図に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、この実施形態のミスト発生装置1は、外部ケースとして機能する筺体10を備え、その表面にはミスト放出口100が設けられている。筺体10の上方には、保湿や肌面のケアのための化粧液や水(以下これらを単に「液体」と称す。)を筺体10内に入れる際に、使用者によって開閉される蓋部101が設けられている。また、筺体10の側面には、使用者によって液体の噴霧のオン・オフが操作されるスイッチ111の一部が露出している。なお、液体に添加される化粧水などに含まれる有効成分は、液体に導電性を付与して水の電気分解を容易にするが、例えば塩化ナトリウムなどは電気分解により有害なガスやアルカリを生成する恐れがあるので、このような成分は液体中に含まないようにするか又は通常よりも低い濃度とし、さらに、使用が長時間にわたらないように、一定時間経過後電源をオフにするタイマー装置を設けることが望ましい。
【0009】
図2に示すように、筺体10内には、液体タンク102、噴霧化ユニット105、電極106、制御用電子回路基板107、バッテリー109、これらを電気的に接続する為の配線110などが配置されている。また、ここでは図示を省略したが、筺体10内には、筺体10の表面に露出したスイッチ111の他の部分が制御用電子回路基板107に電気的に接続されるように配置される。
【0010】
液体タンク102は、筺体10の上側に設置され、天井部102aに蓋部101が開閉自在に設けられる。液体タンク102は、天井部102aより供給された液体を貯える。
液体タンク102において底側であり、ミスト放出口100と対応する所定の位置には、ミスト放出口100と連通する液体導出部102bが設けられている。液体導出部102bには、噴霧化ユニット105が取り付けられる。液体タンク102に貯えられた液体は、その自重によって液体導出部102bに取り付けられた噴霧化ユニット105と接触する。
【0011】
噴霧化ユニット105は、液体タンク102から導出される液体を霧化して、ミスト放出口100から放出させる。噴霧化ユニット105は、小径の孔が多数設けられたウェーハ状の金属メッシュ105bの表面に、圧電セラミックス(PZT)で形成された超音波振動子105aが固着されたものである。超音波振動子105aに電圧が供給されることにより、超音波振動子105aに圧電効果が発生し、機械的な変位を生じて、結果として、超音波振動子105aと固着された金属メッシュ105bが前後に引かれたり伸ばされたりする。
例えば、超音波振動子105aが130kHzの超音波周波数で前後に振動するように制御されると、金属メッシュ105bの孔の両側に気圧差が生じて液体タンク102に貯えられた液体が微小に霧化される。圧電作用の原理により、超音波振動子105aは液体の霧化と同時にマイナスイオンを発生させる。このようにマイナスイオンが発生し、霧化した液体には、栄養成分と結合して肌の深層へと浸透し、皮膚細胞の水分及び栄養エキスの吸収を促す効果があるといわれている。
【0012】
金属メッシュ105bは、電極106とともに液体タンク102内の液体の量を検出するための液量検出手段として機能し、さらに電気分解電極部の一方としても機能する。このような機能を実現させるために、金属メッシュ105bには、超音波振動子105aとは別に、バッテリー109から電力が供給される。
電極106は、液体タンク102の内壁面に固着されており、金属メッシュ105bよりも高い位置(図中の高さSを参照)に配置される。
電極106は、金属メッシュ105bとともに液体タンク102内の液体を電気分解するための電気分解電極部の他方の極として機能する。
【0013】
(液体の量の検出について)
液体タンク102内の液面が高さSよりも高い場合、すなわち、電極106が液体に浸っている場合には、金属メッシュ105bおよび電極106間に電流が流れる、逆に液体タンク102内の液面が、高さSよりも低い場合には、金属メッシュ105bおよび電極106間には電流が流れない。この金属メッシュ105bおよび電極106間に電流が流れるか否か、または金属メッシュ105bおよび電極106間の電圧が一定以上か否かを検出するによって液体タンク102内に液体が十分に供給されているか検出できる。なお、電極106は金属メッシュ105bと同じ高さとなるように設けてもよい。この場合には、高さSが0[mm]に近くなり、液体タンク102内の液体がほぼなくなる程度の液位も検出可能となる。
【0014】
(電気分解について)
金属メッシュ105bは、カソード極(マイナス極)であり、電極106はアノード極(プラス極)である。金属メッシュ105bおよび電極106にバッテリー109の電力を供給することにより液体タンク102内の液体が電気分解され、カソード極である金属メッシュ105b側に水素イオンおよび、この水素イオンが電子を受け取ることで水素が発生し、アノード極である電極106側には酸素がそれぞれ発生する。金属メッシュ105b側に発生した水素は、水素イオンが含まれ霧化された液体とともにミスト放出口100から放出され、使用者の肌面に供給される。
なお、このような電気分解によって得られる液体は、還元水や活性水素水と呼ばれ、人体の活性酸素を除去する効果や、細胞の酸化によって発生するシミ、ソバカス等を除いて肌を若返らせる所謂アンチエイジングに効果があるといわれている。
以上が液体の量の検出及び電気分解についての説明である。
【0015】
バッテリー109は、二次電池(例えば、リチウムイオン電池やキャパシタなど)から構成され、制御用電子回路基板107の電子回路からの制御信号により、外部から電力の供給を受けて充電される(なお、ここでは外部からの給電端子などは図示を省略した)。バッテリー109に貯えられた電力は、制御用電子回路基板107の制御回路の制御による超音波振動子105aの駆動や金属メッシュ105b、電極106による液面の検出や電気分解に使用される。
スイッチ111は、使用者が超音波振動子105aの駆動のON−OFFを制御するために設けられる。
【0016】
図3に示すように、制御用電子回路基板107には、制御実行部107a、液面判定部107b、計時部107c、記憶部107dとして機能する制御回路が構成される。制御用電子回路基板107はタイマー手段としての機能を備える。
制御実行部107aは、バッテリー109の電力の充放電を制御する。この「充放電の制御」の一例は、超音波振動子105a、金属メッシュ105b、電極106へのバッテリー109からの電力の供給である。制御実行部107aは、スイッチ111の押下操作も検知する。制御実行部107aは、使用者のスイッチ111の操作を検知すると、超音波振動子105aを駆動させる。
さらに制御実行部107aは、液面判定部107b、計時部107c、記憶部107dそれぞれを制御する。
液面判定部107bは、金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れるか否かを検出する機能を備え、液体タンク102内の液体の液面の高さを判定する。
液面判定部107bは、制御実行部107aによる充放電の制御によって金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れたことを検出することによって、液体タンク102内の液体の液面が、図2における高さSよりも高い位置にあると判定する。また逆に、液面判定部107bは、制御実行部107aによる充放電の制御によって金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れなかったことを検出することによって、液体タンク102内の液体の液面が、図2における高さSよりも低い位置にあることを判定する。液面判定部107bは、液面の高さの判定結果を制御実行部107aに通知する。
【0017】
なお、液面判定部107bが「金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れるか否かを検出する機能」を備えず、代替となる機能を備えることで液体の液面の高さを判定するようにしてもよい。「代替となる機能」とは、例えば金属メッシュ105b、電極106間に流れる電流の変動を検知することである。使用中に液体が減少していき、金属メッシュ105b、電極106間で電流が流れにくくなったことを検知することで、液体タンク102内の液体の液面の高さを判定する。また、例えば、電流ではなく、金属メッシュ105b、電極106間に印加された電圧の値の変動を検知するようにしてもよい。
【0018】
計時部107cは、制御実行部107aに制御されて、金属メッシュ105bおよび電極106に対して流された電気分解用の電力の供給時間を計時する。計時部107cは、液体タンク102内の液体のPH値(ペーハ値)を制御するためにこの計時を行う。要するに、電気分解によって、液体タンク102内の液体のアルカリ化するのを防ぐために時間を計時する。
記憶部107dには、金属メッシュ105bおよび電極106に対して供給される電気分解用の電力の供給可能時間を示す情報(たとえば数秒〜数十秒の時間を示す情報)が保持される。記憶部107dが保持する情報は、制御実行部107aによって適宜読み書きされる。
【0019】
(ミスト発生装置1の動作の説明)
次に、図4を用いてミスト発生装置1の動作を説明する。
(1)スイッチ111の操作検出(ステップS101)
使用者によって、スイッチ111がオン操作されると、このオン操作を示す信号が制御実行部107aによって検知される。
(2)水位検出処理及びミスト発生装置停止処理(ステップS102〜103のNo)
制御実行部107aは、スイッチ111のオン操作の検知に対応して、金属メッシュ105b、電極106にバッテリー109のDC電流を供給し、液面判定部107bに金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れるか否かを検出させる。なお、ここではバッテリー9の電力の余計な消耗を避けるために金属メッシュ105b、電極106間には一瞬だけ電流を流すものとする。
【0020】
金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れなかった場合、液面の高さが低いことを示す信号が液面判定部107bから制御実行部107aに通知される。制御実行部107aは、液体タンク102内に十分な量の液体が貯められていないと判定し、超音波振動子105aを駆動させずにミスト発生装置1の動作を停止させる。
(3)ミスト放出処理(ステップS103のYes、ステップS104)
ステップS103において、金属メッシュ105b、電極106間に電流が流れた場合には、液面の高さが高いことを示す信号が、液面判定部107bから制御実行部107aに通知される。制御実行部107aは、液体タンク102内に十分な量の液体が貯められていると判定し、超音波振動子105aを駆動させる。超音波振動子105aの駆動により、ミスト放出口100から霧化された液体が放出される。
【0021】
(4)電気分解オン制御(ステップS105)
ステップS104と同時(または前後して)に、制御実行部107aは、金属メッシュ105b、電極106に電力を供給し、液体タンク102内の液体を電気分解させる。このことにより、ミスト放出口100からは、水素や水素イオンを含んだ活性水素水となった霧化された液体が放出される。
(5)電気分解継続・オフ制御(ステップS106〜109)
次に制御実行部107aは、計時部107cを制御して、金属メッシュ105bおよび電極106に対して行われる電気分解用の電力の供給時間を計時させる。制御実行部107aは、計時部107cが計時する時間を示す情報を常に監視している。制御実行部107aは、この計時時間が、記憶部107dに保持された電力の供給可能時間を示す情報と一致するか否かを判定する。
判定の結果、計時部107cが計時した時間を示す情報と、記憶部107dに保持された電力の供給可能時間(図4のステップS107の「規定値」)を示す情報とが一致した場合には、制御実行部107aは、金属メッシュ105bおよび電極106に対しての電力の供給を停止させ、液体タンク102内の液体の電気分解制御をオフにする。このとき、制御実行部107aは、計時部107cが計時した時間を示す情報を0秒にリセットする。この後、制御実行部107aは、例えばスイッチ111のオフ操作がなされるまで、超音波振動子105aの駆動を継続させ、ミスト放出口から霧化した液体を放出させる。なお、電気分解継続中に液体の水位が低くなった場合には、制御実行部107aは、金属メッシュ105bおよび電極106に対する電力の供給を停止し、さらに超音波振動子105aの駆動も停止させる。
【0022】
以上、説明したように、この実施の形態のミスト発生装置1によれば、使用者が美容処理を行おうとした場合、まず金属メッシュ105bおよび電極106を通電させることよって、液体タンク102内の液面の高さを検出する。この結果として液体タンク102内の液体の量が検出される。液体タンク102内に十分な量の液体がないと判定された場合には、超音波振動子105aを駆動させないので、不必要な電力の消費を抑止できる。
さらに、液体タンク102内に十分な量の液体があると判定された場合には、超音波振動子105aを駆動させるとともに、金属メッシュ105bおよび電極106を通電させ、液体タンク102内の液体を電気分解させる。電気分解により、水素や水素イオンを含む還元水、活性水素水と呼ばれる液体をミスト放出口100から噴霧することができる。また、ミスト発生装置1では、電気分解用の電極の一方を噴霧化ユニット105が備える金属メッシュ105bとすることにより、電気分解に必要な部品数を削減でき、ミスト発生装置1のコストを削減できる。
なお、この実施の形態では、液体タンク102内に十分な量の液体がないと判定された場合には、超音波振動子105aを駆動させない構成としたが、このとき、さらに液体タンク102内に十分な量の液体がないことを使用者に報知するようにしてもよい。この場合には、例えば、スピーカーやLEDを筐体10内に設け、制御実行部107aがこれらを制御することによって音や光で使用者に報知させる。音や光で使用者に液体タンク102内に十分な量の液体がないことを報知させることで、ミスト発生装置1の使い勝手がより向上する。
【0023】
[第2実施形態]
次に図5を参照して、本発明の第2実施形態であるミスト発生装置2について説明する。なお、ここでは、第1実施形態のミスト発生装置1と同様の構成や機能を備える要素には同一の符号をつけ、詳細な説明は省略する。
ミスト発生装置2は、例えばリビングや寝室で使用されることを想定しており、持ち運びを想定しているミスト発生装置1よりも大きな装置である。
図5に示すように、ミスト発生装置2は、筺体20を備え、その表面にはミスト放出口100が設けられている。筺体20は、超音波振動子105a、電極106、これらを電気的に接続する為の配線110を備える。
さらに、筺体20は、液体タンク202、制御用電子回路基板107とほぼ同様の機能を備える制御用電子回路基板207、補給タンク209、ポンプユニット211、給液管213、電源コード215、スイッチ111と同様の機能を備えるスイッチ216を備える。
【0024】
補給タンク209は、液体を大量に保持することが可能なボトル形状の箱体である。補給タンク209は筺体20に着脱自在に挿入できるように設けられ、補給タンク209内の液体がなくなったときに新しい補給タンク209に取り換えられることが望ましい。また、補給タンク209には、筺体20への未装着時に液体の漏れを防止するための機能(例えば、弁体や蓋)が設けられることが望ましい。補給タンク209は液体の導出孔を下に向けた状態で筺体20内に配置され、補給タンク209内の液体がその自重によって、常に落下するようになっている。補給タンク209の液体導出孔から落下した液体は、ポンプユニット211により吸い上げられ、このポンプユニット211に一端を接続された給液管213を介して液体タンク202に供給される。
液体タンク202は、第1実施形態の液体タンク102とほぼ同様の構造を有しており、超音波振動子105a、電極106などが収容される。液体タンク102の底面には、孔部202aが設けられ、給液管213が挿入される。液体タンク102には、孔部202aから挿入された給液管213によって、ポンプユニット211が吸い出した液体が供給される。
電源コード215は、制御用電子回路基板207や超音波振動子105a、電極106を駆動させる為の電力をミスト発生装置2外部から得る為のものである。電源コード215によって、建物のコンセントやパソコンから電力を得ることができる。
【0025】
以上のように構成されたミスト発生装置2では、基本的な動作はミスト発生装置1と同様である(図4参照)。しかしながら、ミスト発生装置2では補給タンク209や電源コード215を備えることにより、ミスト発生装置1よりも長時間の美容処理が可能となる。上記したように、ミスト発生装置2は例えばリビングや寝室などに置いて使用することを想定している。このようにミスト発生装置2をいわゆる「据え置き型」とする場合、超音波振動子105aや電極106、液体タンク202の寸法をミスト発生装置1が備える超音波振動子105aや電極106、液体タンク102よりも大きいものとしてよい。
【0026】
[第3実施形態]
次に図6を参照して、本発明の第3実施形態であるミスト発生装置3について説明する。なお、ここでは、第1、第2実施形態のミスト発生装置1、2と同様の構成や機能を備える要素には同一の符号をつけ、詳細な説明は省略する。
図6に示すように、ミスト発生装置3は、ミスト発生装置1、2の一部の機能及び構成を備えるミスト発生装置子機300a及び、ミスト発生装置2の一部の機能及び構成を備え、ミスト発生装置子機300aが取り出し自在に装着されて、装着状態のミスト発生装置子機300aに対して液体及び電力を供給するミスト発生装置親機300bを備える。
【0027】
ミスト発生装置子機300aは、筺体30aを備え、その表面にはミスト放出口100が設けられている。筺体30aは、蓋部101、超音波振動子105a、電極106、制御用電子回路基板107、バッテリー109、これらを電気的に接続する為の配線110、スイッチ111(図示せず)、液体タンク202を備える。
筺体30aは、さらに受電部31a、開口部33a、弁体35aを備える。
受電部31aは、筺体30aの底面に設けられ、ミスト発生装置親機300bから電力を供給される為の端子部である。受電部31aから供給された電力は、バッテリー109に蓄えられる。また、ここでは図示を省略したが受電部31aは制御用電子回路基板107に接続される信号線を備えている。この信号線によって、制御用電子回路基板107とミスト発生装置親機300bとの間で種々の信号を送受信する。「種々の信号」は、例えば、ミスト発生装置親機300bが制御用電子回路基板107を制御可能とするためのものであり、超音波振動子105aの駆動のオン・オフや金属メッシュ105b、電極106への給電の制御に用いられる。
【0028】
開口部33aは、筺体30aの底面に設けられ、ミスト発生装置親機300bから液体の供給を受けるためのものであり、後述するミスト発生装置親機300bが備える給液管313が挿入される。開口部33aに給液管313が挿入されることで、ミスト発生装置親機300bにたいしてミスト発生装置子機300aが固定され、安定した液体供給が可能となる。
開口部33aには、筺体30aにおいて給液管213の一端が接続され、開口部33aに通じる給液管213の口部には弁体35aが設けられる。
弁体35aは、給液管213の一端部を封じるように開閉自在に配設され、通常時は閉状態となるように取り付けられている。そして弁体35aは、給液管313が挿入されることで、上方向に押し上げられて開状態となる。弁体35aが通常時は閉状態となるように取り付けられていることで、液体タンク202からの液漏れを防止できる。
【0029】
ミスト発生装置親機300bは、筺体30bを備える。筺体30bは、補給タンク209、ポンプユニット211、電源コード215、スイッチ111と同様の機能を備えるスイッチ216備える。
さらに、筺体30bは、給液管313、給電端子315、制御用電子回路基板307を備える。
給液管313は、ポンプユニット211に一端を接続され、他端が筺体30bの外側に露出する管である。給液管313は、ポンプユニット211吸い上げた液体をミスト発生装置子機300aに供給するためのガイドとして機能する。
給電端子315は、電源コード215を介して供給された電力をミスト発生装置子機300aに供給する為のものであり、ミスト発生装置子機300aの受電端子31aに出し入れ自由に挿入されるピン状の端子である。給電端子315は、上記した「種々の信号」をミスト発生装置子機300aと送受信するための図示はしない信号線を備える。
制御用電子回路基板307は、制御用電子回路基板107とほぼ同様の機能を備える。制御用電子回路基板307は、ミスト発生装置子機300aへの充電のオン・オフや、超音波振動子105aの駆動のオン・オフなどを制御する。これらの制御は、給電端子315および受電部31aを介して、制御用電子回路基板107との間で上記した「種々の信号」を送受信することで行われる。
【0030】
以上のように構成されたミスト発生装置3では、基本的な動作はミスト発生装置1と同様である(図4参照)。ミスト発生装置3では、通常時にはミスト発生装置子機300aがミスト発生装置親機300bに装着された状態で使用される。
ミスト発生装置3では、ミスト発生装置親機300bが補給タンク209や電源コード215を備えることにより長時間の美容処理が可能となる。さらにミスト発生装置親機300bからミスト発生装置子機300aを取り外すことができ、取り外したミスト発生装置子機300aを使用して美容処理を行える。このため、外出先でも簡単に水素を用いた美容処理を行える。
なお、ここではミスト発生装置親機300bは、主に液体の補給や外部からの電力の供給する機能を備える例を説明したが、ミスト発生装置親機300bは、このほかにも様々な機能を備えてもよい。例えば、ミスト発生装置親機300bが、液体タンク102、超音波振動子105a、電極106などを備えるようにしてもよい。この場合には、ミスト発生装置子機300aがミスト発生装置親機300bに装着されていなくともミスト発生装置親機300b単体で美容処理を行える。
【0031】
[変形例1]
次に図7を用いて、本発明の変形例1にであるミスト発生装置4について説明する。なお、ここでは、第1実施形態のミスト発生装置1と同様の箇所には同一の符号をつけ、詳細な説明は省略する。図7に示すように、ミスト発生装置4は、第1実施形態のミスト発生装置1の筺体10に、美容処理を行いたい肌面(例えば、使用者の顔)にあてられる電極40a及び使用者が手で握る(または触れるように持つ)電極40bを設け、イオン導入を可能とした変形例である。
まず「イオン導入」について説明する。「イオン導入」とは、皮膚に微弱な電流を流すことで、水溶性の薬物を肌内に効果的に導入することである。通常はマイナスの電極を肌面にあて、プラスの電極を手に持つことで、皮膚に微弱な電流を流す。
例えば、肌面上に、水に溶けるとマイナスに帯電するイオンを含む物質(例えばビタミンC誘導体)を塗布した場合、このマイナスに帯電するイオンを含む物質と肌面に当てたマイナスの電極との間で反発力が生じ、マイナスに帯電するイオンを含む物質が顔の皮膚の奥へと浸透していく。
【0032】
また、陽イオン(例えば、水素イオン)を肌面上に供給する場合には、プラスの電極を肌面にあて、マイナスの電極を手に持つ必要がある。したがって、ミスト発生装置4では、美容処理を行いたい肌面にあてられる電極40aはプラスの電極であり、使用者が手で触れる電極40bはマイナスの電極である。
電極40aは、筺体10のミスト放出口100が配置された表面に、使用者の肌面と接触する接触面を露出させるようにして設けられる。電極40aは、筺体10内において、バッテリー109のプラス端子と図示はしない配線などにより電気的に接続される。
【0033】
電極40bは、筺体10のミスト放出口100が配置された表面に一部が露出し、さらにその裏面に渡って帯状に配置される(ここで、図7中の破線は、筺体10の裏面上に露出する電極40bの輪郭線である)。電極40bは、筺体10内において、バッテリー109のマイナス端子と図示はしない配線などにより電気的に接続される。
以上のように構成されたミスト発生装置4では、使用者によって筺体10が持たれることで、使用者の手の一部と電極40bが接触する。そして、ミスト放出口100から放出された霧状の液体が供給された肌面上に電極40aを接触させることで、電極40a、電極40aが接触する肌面、電極40bと接触する手、電極40bの順に微電流が流れ、肌面上に供給された水素イオンを皮膚内に効果的に導入することができ、美容処理を効果的に行える。
なお、上記のように使用者に微弱な電流を流すことによって水素イオンを皮膚内に効果的に導入するのではなく、使用者の肌面を霧状の液体に含まれる水素イオンと逆の極性となるように帯電させることで、この水素イオンを皮膚内に効果的に導入するようにしてもよい。
【0034】
[その他の変形例]
以上、ミスト発生装置1〜4について説明したが、本願発明はこれらに限定されず、様々な変形が可能である。例えば、ミスト発生装置3の変形例においてミスト発生装置親機300bが液体タンク102、超音波振動子105a、電極106などを備える場合には、これらの寸法をミスト発生装置1が備えるものよりも大きいものとすることができる。本願発明に係るミスト発生装置では、超音波振動子105aの一部を電極の一方とするので、超音波振動子105aを備えることが可能ならば、大型、小型を問わず様々な大きさのミスト発生装置を提供することができる。
【0035】
さらに別の変形例として、図8に示すミスト発生装置5ように電極40b(または電極40aでもよい)を備え、電極40bと金属メッシュ105bとの間にバッテリー109から電圧を印加させるミスト発生装置が考えられる。電極40bと金属メッシュ105bとの間にバッテリー109から電圧を印加させることでミスト放出口100から自由電子が放出される場合がある。この場合には、ミスト放出口100から放出された自由電子は、電極40bと接触することによって帯電した使用者の肌面に吸着されやすくなる。この肌面に吸着した自由電子によって、霧化された液体に含まれるイオン化された分子(ここでは水素イオン)が肌面に吸着されやすくなる。この結果、噴霧された液体に含まれるイオン化された分子を皮膚内に効果的に導入することができ、美容処理を効果的に行える。
【0036】
また、電極40bに電圧が印加され、使用者の肌面が帯電することで、ミスト放出孔100から噴霧された液体をレナード効果や噴霧帯電といわれる現象を活用して効果的に肌面に供給できる場合がある。
レナード効果とは、水滴は偏極しており、表面には負電荷が揃って分布し、内部には正電荷が分布している可能性があることに着目したものであり、水滴が機械的に分裂して表面がはぎ取られた結果、水粒子が負または正に帯電する場合があるとされるものである。
この場合には、ミスト放出孔100からは超音波振動子105aの駆動によって微粒化され、負または正に帯電した液体が噴霧されることになる。そして、電極40bに電圧が印加されることによって、使用者の肌面が帯電し、この帯電した肌面に負または正に帯電した液体が吸着しやすくなるという効果を得ることが可能となる。
【0037】
以上、各実施の形態や変形例を説明したが、本願発明ではさらなる変形が可能である。例えば、金属メッシュ105bをカソード極(マイナス極)とし、電極106をアノード極(プラス極)として説明したが、これに限定されず、液体タンク102などに供給される液体の種類に応じて、金属メッシュ105bをアノード極(プラス極)とし、電極106をカソード極(マイナス極)とするようにしてもよい。これと、同様に電極40a、40bの極性も適宜変更してよい。また、超音波振動子105a、金属メッシュ105b、電極40aまたは40bを備え、電極106を備えない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1,2,3,4,5…ミスト発生装置、10,20,30a…筺体、106,40a,40b…電極、100…ミスト放出口、102,202…液体タンク、105…噴霧化ユニット、105a…超音波振動子、105b…金属メッシュ、107,207,307…制御用電子回路基板、109…バッテリー、111,216…スイッチ300a…ミスト発生装置子機、300b…ミスト発生装置子機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面にミスト噴出口を有する外部ケースと、
前記外部ケース内に収納された前記噴出口と対応する位置に開口を有する液体タンクと、
前記液体タンクの開口を覆う金属メッシュと前記金属メッシュに固定された超音波振動子とを有する噴霧化ユニットと、
を備え、
前記金属メッシュを一方の電極とし、前記金属メッシュから電気的に離間させて前記液体タンク内に配設された金属片を他方の電極とする水を電気分解する電気分解電極と、
前記電気分解電極及び前記超音波振動子に給電する電源手段と、
前記電源手段から前記電気分解電極及び前記超音波振動子への給電をオン・オフ制御する前記外部ケース外から操作可能なスイッチ手段と
を有することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
前記電気分解電極間の通電状態を監視し前記電気分解電極間の通電状態に基づいて前記超音波振動子への給電のオンオフを制御する制御手段をさらに具備する請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記電気分解電極への通電時間を計測し、所定の時間経過後に前記電気分解電極への通電を遮断するタイマー手段をさらに備える請求項1または2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記外部ケースには把持部が設けられ、この把持部には使用者の把持した肌に微弱な電流を流すための電極が設けられる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のミスト発生装置。
【請求項5】
正面にミスト噴出口を有する外部ケースと、
前記外部ケース内に収納された前記噴出口と対応する位置に開口を有する液体タンクと、
前記液体タンクの開口を覆う金属メッシュと前記金属メッシュに固定された超音波振動子とを有する噴霧化ユニットと、
前記外部ケースに設けられ、使用者の肌面と接触する電極と、
前記電極及び前記金属メッシュに給電する電源手段と、
を有することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
前記噴霧化ユニットが、前記金属メッシュを一方の電極とし、前記金属メッシュから電気的に離間させて前記液体タンク内に配設された金属片を他方の電極とする水を電気分解する電気分解電極をさらに有し、
前記電源手段が、前記電気分解電極に給電をすること
を特徴とする請求項5に記載のミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−17667(P2013−17667A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153596(P2011−153596)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】