メガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法
【課題】シールドトンネルの連通結合部に、両シールドトンネルのセグメント同士を繋いで補剛する補剛部材を設けて構造を安定化させて両トンネルを開削連通するにあたり、該補剛部材に対して要求される耐力を可及的に低下させることができ、もって該補剛部材の設置費用の低減化と工期の短縮化とが図れるメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法を提供する。
【解決手段】近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネル2,4の側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造及びその構築方法であり、連通部23の上下には、両シールドトンネルのセグメント12間を繋いで補剛する補剛部材6が設けられ、該連通部23に対向する両トンネルの側部部分に配設されたセグメント12aは、他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に形成されている。
【解決手段】近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネル2,4の側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造及びその構築方法であり、連通部23の上下には、両シールドトンネルのセグメント12間を繋いで補剛する補剛部材6が設けられ、該連通部23に対向する両トンネルの側部部分に配設されたセグメント12aは、他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して、相互に一体的に連通結合させて形成するメガネ型シールドトンネルの構造、及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、例えば都市土木等において、地下水の存在する地盤や軟弱な地盤に対するトンネルの構築工法として一般に採用されるもので、シールド掘進機の後方にトンネルの掘削内周面を覆う覆工体をセグメントによってリング状に逐次組み立てて形成していくとともに、形成した覆工体から推進反力を得ながらシールド掘進機を前進させて掘進作業を行ってゆくものである。
【0003】
ところで、この様なシールド工法を用いて地下構築物を構築にするにあたっては、例えば地下鉄道の駅構内や地下道路の分岐・合流部の構築等に際して、シールドトンネルを複数近接させて並設し、爾後、そのシールドトンネルの側部同士を相互に連通させて繋ぎ合わせ、その断面をメガネ状等の複合形態のトンネルに一体化させて形成することが行われている。ここで、この様な断面形態のトンネルでは形状的にその連通結合部位の剛性が弱くなるので、例えば特許第2619937号公報等に示されるように、当該連通結合部位には多数の支柱等の補剛部材を設けてその剛性を補うようにしている。
【0004】
しかし、上記のように支柱を設けてシールドトンネルの連通結合部位の強度を確保するようにすると、例えば道路の分岐・合流部等では当該支柱が邪魔になって相互のトンネル内への車両の円滑な往来が行えなくなる。特に、高速道路では安全かつ円滑な分岐・合流を行わせるためには、所定長に亘って無柱の区間が必要となる。従って、こうした分岐・合流部を構築するにあたっては、本線道路と分岐・合流用道路とを1つのシールドトンネル内に設置できるように、大円形断面のシールドトンネル構造を採用するか、または地上からの開削工法による大断面矩形構造を採用するか、若しくは道路自体の線形を変更して、分岐・合流部だけは地上に設置するしかなかった。
【0005】
そこで、本出願人は、支柱を無くして広い空間を確保できるトンネルおよびその構築方法の技術について開発を進め、特開2003−138899号公報にて開示したような提案をしている。
【0006】
即ち、当該公報にて示した技術では、隣接配置されたシールドトンネル間を、結合部を介して間接的に連通結合するにあたり、当該結合部には上下方向に平行に上版部と下版部とを設けるとともに、結合部の上方には地中ビームを設けている。この地中ビームは、発進部と到達部とアーチ部とを備え、当該アーチ部は中空円筒状をなしてトンネル上部側の外周を半周する半円状に形成され、両端が発進部と到達部とにそれぞれ一体化されている。そして、結合部と地中ビームとの間には、複数の吊アンカーが設置されている。吊アンカーは、下端側が結合部の上部に設けられた定着ブロックに定着固定されているとともに、各吊アンカーの上端側は、アーチ部の中空管体の側壁に定着固定されている。
【特許文献1】特許第2619937号公報
【特許文献2】特開2003−138899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案のものにあっては、並設されたシールドトンネルの外側に、それら結合部を支持するための大がかりな地中ビームとその発進部、到達部等からなる支持構造体を配置するものであるため、その工事もシールドトンネル両外側部から上部にまで及ぶ様な非常に大がかりなものとなってしまい、施工コスト面や工期、専有面積等の点で未だ改善の余地を残すものであった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールドトンネル相互の連通結合部に、両シールドトンネルのセグメント同士を繋いで補剛する地中ビーム等の補剛部材を設けて、その構造を安定化させて両トンネルを開削連通するにあたって、当該補剛部材に対する要求耐力を可及的に低下させることができ、もって当該補剛部材の設置費用の低減化と工期の短縮化とが図れるメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係るメガネ型シールドトンネル構造は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、該連通部に対向する両トンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に形成されている構成となしたことを特徴とする。
【0010】
あるいは、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、該連通部に対向する両トンネルの側部部分には、該側部部分に配設されたセグメントの剛性を他の部位のセグメントよりも高める補剛手段が設けられている構成となしたことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記補剛手段には支柱を採用し得る。あるいは、前記両シールドトンネルのセグメントを鋼製セグメントとなして、前記補剛手段は、前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートとなし得る。
【0012】
また、上記の目的を達成するために本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設するセグメントに、予め他の部位のセグメントよりも高剛性なものを用いて両シールドトンネルを形成しておき、前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛してから、該連通部を開削形成する構成となしたことを特徴とする。
【0013】
あるいは、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛するとともに、該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛してから、該連通部を開削形成する構成となしたことを特徴とする。
【0014】
または、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、該両シールドトンネル間の連通結合予定部位における上下両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、該連通結合予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛するセグメント補剛工程と、該鋼製曲管設置工程と該セグメント補剛工程との終了後に、該両シールドトンネルの連通結合部予定部位のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結部材を設置する連結部材設置工程とを備えた構成となしたことを特徴とする。
【0015】
また、前記連結部材設置工程後に、前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程を備えた構成となしたことを特徴とする。
【0016】
また、前記シールドトンネル連通工程の前に施工されて、両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙に充填したコンクリートの硬化後に、該内部支保工を撤去する支保工撤去工程とを備えている構成となしたことを特徴とする。
【0017】
また、前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液注入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしたことを特徴とする。
【0018】
また、前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしたことを特徴とする。
【0019】
また、前記鋼製曲管設置工程において、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とが別途に設けられ、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に位置をずらされて配される構成となしたことを特徴とする。
【0020】
また、前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が支柱でなる構成となしたことを特徴とする。
【0021】
また、前記両シールドトンネルのセグメントが鋼製セグメントでなり、前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が、前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートでなる構成となしたことを特徴とする。ここで、補剛手段として、前記支柱を併用するようにしても良い。
【0022】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管が内管と外管とからなる2重管構造とされている構成となしたことを特徴とする。
【0023】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼が挿通配置される構成となしたことを特徴とする。
【0024】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管内にコンクリートが充填される構成となしたことを特徴とする。
【0025】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線が配設される構成となしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上記のようにしてなる本発明のメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法によれば、シールドトンネル相互の連通結合部に、両シールドトンネルのセグメント同士を繋いで補剛する補剛部材を設けて、その構造を安定化させて両シールドトンネルを開削連通するにあたって、連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に補剛されているので、開削して連通させる部位の撓み変形を可及的似に小さくすることができ、もって当該補剛部材に対する要求耐力を可及的に低下させることができる。このため、当該補剛部材の設置数を減らしたり、補剛部材自体の剛性を低く設定できるようになって、その設置費用の軽減化と工期の短縮化とが図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係るメガネ型シールドトンネル構造及びその構築方法の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳述する。
【0028】
先ず、本発明に係るメガネ型シールドトンネル構造及びその構築方法について、その根本的な概念を説明すると、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して連通結合形成することで、メガネ型のシールドトンネルを構築するにあたって、連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材を設けるとともに、当該連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に形成しておくものである。
【0029】
即ち、連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの剛性を他の部位よりも高めておくことで、連通形成部位のセグメントを撤去して開削する際に、その撤去後のシールドトンネルの開削側部位に生じる撓み変形が可及的に小さくなるように抑制して、当該補剛部材に対して要求される耐力を可及的に低下させるようにする。そして、その結果として、当該補剛部材の設置数を減らしたり、補剛部材自体の剛性を低く設定できるようにするのである。
【0030】
連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの剛性を高める手段としては、セグメントの組み付け時点で、予め当該部位のセグメントに高剛性のものを設置しても良いし、当初は全周に亘って同一のセグメントを組み付けておき、開削する前の段階で、上記部位のセグメントの剛性を高める補剛手段を後付で設けて剛性を向上させるようにしても良い。
次に、その具体的な実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0031】
《第1実施形態》
図1〜図8は、第1実施形態におけるメガネ型シールドトンネルの構築方法の各施工工程を順次に示す概略図であり、本実施の形態では地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。
【0032】
図1に示すように、本線道路を設けるための大きい円形断面の第1シールドトンネル2と、この本線道路用の第1シールドトンネル2の側方に近接して、分岐・合流部用の道路を設けるための小さい円形断面の第2シールドトンネル4が並設されている。各シールドトンネル2,4はトンネル軸が相互に平行になるように隣接配置されている。また、各シールドトンネル2,4の内周面には、その全周に亘って同一規格の鋼製セグメント12が環状に組み付けられて覆工体10が形成されている。
【0033】
そして、このように近接して並設された2つの円形断面のシールドトンネル2,4は、その隣接する側部同士が開削されて連通結合されることで2連状態の道路トンネルが形成されることになる。なお、シールドトンネルの円形断面とは図示する真円状のものに限定されるものではなく、楕円状のものであっても良い。
【0034】
図2は鋼製曲管設置工程を示している。図示するように、この鋼製曲管設置工程では、両シールドトンネル2,4間の連通結合予定部位の上下両側部の地山8中に、シールドトンネル2,4の一方から他方に向けて、補剛部材として曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管6が掛け渡される。ここでは、第1シールドトンネル2側を発進部とし、第2シールドトンネル4側を到達部として鋼製曲管6が推進工法により順次地山8中に押し込まれて渡設される。そして、これらの鋼製曲管6はトンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置される。
【0035】
具体的には、図9に示すように、本実施形態例ではセグメント1リング毎に3つの鋼製曲管6が設けられる。即ち、各シールドトンネル2,4の覆工体10を形成するセグメント12は6個で1周分を形成している。それぞれのシールドトンネル2,4において鋼製曲管6が掛け渡される部位のセグメント12には鋼製曲管6の受け口部が予め着脱可能な蓋体で閉塞されて設けられていて、当該受け口部が開放されて鋼製曲管6が設置される。セグメント12は幅は1.2mの鋼板または鋼板コンクリート製であり40cm間隔で補強リブ14が立設されており、当該補強リブ14間に位置されて鋼製曲管6は40cmピッチで設けられている。鋼製曲管の径は30cmである。
【0036】
また、この第1実施形態では上記鋼製曲管6は専ら剛性保持用として設けられ、当該鋼製曲管6の外側には地盤改良用の薬液を周囲の地山8中に注入するための鋼製曲管16が同様にして設けられている。この薬液注入用鋼製曲管16はその管面に多数の薬液注入口(図示せず)を有し、剛性保持用の鋼製曲管6,6のほぼ中間部に位置されて、これらと相互のピッチがずらされて配置されており、これより地山8中に注入する薬液が上下の剛性保持用鋼製曲管6で挟まれている内方部分の地山中まで伝わり易くされている。薬液注入用鋼製曲管16の径は剛性保持用鋼製曲管6よりも細く10〜15cmとされている。
【0037】
図3は地盤改良工程を示し、上記薬液注入用鋼製曲管16を通じて周囲の地山8中の地盤改良領域18に薬液が注入されて地盤改良が行われる。なお、剛性保持用鋼製曲管6に薬液注入機能も併せ持たせて当該薬液注入用鋼製曲管16は省略する様にしても良い。さらには、当該薬液の注入は剛性保持用鋼製曲管6を通じて行わずに、覆工体10のセグメント12に予め形成してある薬液注入口から行って地盤改良するようにしても良い。
【0038】
地盤改良が済むと、図4のセグメント補剛工程に示すように、連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aを、補剛手段によって他の部位のセグメント12よりも高剛性に補剛する。ここでは補剛手段としてH形鋼等からなる支柱21が設けられる。支柱21は連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aに近接されて設けられ、各支柱21はその上端部と下端部とがそれぞれセグメント12に一体化されて結合され、以後は常設の補剛材とされる。
【0039】
ここで、この図示する第1実施形態例にあっては設定していないが、必要であれば、両シールドトンネル2,4内に、連通結合部のセグメントを切り広げたときに、それらシールドトンネル2,4に変形が生じることを防止するための内部支保工を、予め組立設置するようにしても良い。
【0040】
図5及び図6はシールドトンネル連通工程を示し、両シールドトンネル2,4の連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル2,4間の地山8を掘削して相互に連通させる。
【0041】
そして、図7の連結部材設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリング(覆工体10)の上下部それぞれの端縁同士に掛け渡して連結部材22が設置される。この連結部材22は鋼板製でなる。
【0042】
このようにして、連通部23が形成されるが、当該連通部23は無支柱となって2連状態の道路トンネルが形成されることになる。ここで、必要であれば連結部材22の設置後に、図8に示すように、上下の各連結部材22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24を充填するコンクリート充填工程を施工するようにしても良い。
【0043】
また、この第1実施形態では、前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間、具体的にはセグメント補剛工程の前に、前記鋼製曲管6を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしているが、不必要であれば当該地盤改良工程は省略するようにしても良い。
【0044】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管6は、図10(a)に示すように外管6aと内管6bとからなる2重管構造となしても良い。あるいは、図11(a)に示すように前記剛性保持用鋼製曲管6内には、H形鋼6cを挿通配置するようにしても良い。
【0045】
さらには、前記剛性保持用鋼製曲管6内の空隙には、当該剛性保持用鋼製曲管6の両端を閉塞板(図示せず)で閉止してコンクリート24を充填するようにしても良い。ここで、剛性保持用鋼製曲管6を二重管構成となした場合には、図10(b)〜(d)に示すように、当該コンクリート24は内管6bの内側の空隙のみへの充填、あるいは内管6bの外側の管状の空隙のみへの充填、若しくは内管6bの内外両側の空隙双方内への充填となしても良い。
【0046】
またさらには、図10及び図11に示すように、剛性保持用鋼製曲管6内には、当該剛性保持用鋼製曲管6にプレストレスを導入するために、その図心の近傍に沿わせてその全長に亘って、シース管26を介して鋼線28を配設し、当該鋼線28の両端を張力を付与した状態で閉塞板(図示せず)に固定係止させる様にしても良い。
【0047】
なお、図9〜図11にて示した剛性保持用鋼製曲管6は、円形断面のものとなっているが、これに限らず矩形断面のものを採用しても良い。
【0048】
《第2実施形態》
図12〜図20は、第2実施形態におけるメガネ型シールドトンネルの構築方法の各施工工程を順次に示す概略図であり、第1実施形態と同様に、地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。ここで、図12〜図14に示す工程は前述した第1実施形態の場合と全く同じであり、よってその説明は省略する。
【0049】
ところで、この第2実施形態では、図14に示す地盤改良工程が済むと、図15に示すように、連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aを、補剛手段によって他の部位のセグメント12よりも高剛性に補剛するセグメント補剛工程と、両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程とが行われる。ここで、セグメント補剛工程と内部支保工設置工程との施工順序はどちらが先であっても良く、これらの両工程はいずれもシールドトンネル連通工程の前に施工すれば良い。
【0050】
そして、上記内部支保工設置工程においては、両シールドトンネル2,4内に、連通結合部のセグメントを切り広げたときに、それらシールドトンネル2,4に変形が生じることを防止するための内部支保工20が横断面矩形状に組立設置される。
【0051】
また、セグメント補剛工程では、前記連通部に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されたセグメント12aの内部に、補剛手段としてコンクリート13が充填される。即ち、前述の第1実施形態での説明で述べてあるように、両シールドトンネル2,4は、それぞれその内周面の全周が同一規格の鋼製セグメント12で覆われているが、連通形成予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されているセグメント12aの内部に、補剛手段としてコンクリート13が充填される。つまり、シールド掘進機によるシールドトンネルの掘削形成時には、全周に亘って同一規格の鋼製セグメント12組み付けていき、後施工で所定位置の鋼製セグメント12内に、補剛手段としコンクリート13を充填して補剛していくので、セグメント組み立て時にあっては、規格の異なるセグメントが混在されることがない。
【0052】
図16及び図17はシールドトンネル連通工程を示し、当該工程では、両シールドトンネル2,4の連通結合予定部位のセグメントを切り開いて撤去するとともに、両シールドトンネル2,4間の地山8を掘削して相互に連通させる。
【0053】
そして、図18の連結部材設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリング(覆工体10)の上下部それぞれの端縁同士に掛け渡して連結部材22が設置される。この連結部材22は鋼板製でなる。
【0054】
連結部材22が設置されると、図19のコンクリート充填工程に示すように、上下の各連結部材22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24が充填される。そして、当該コンクリート24が硬化すると、図20の支保工撤去工程に示すように、内部支保工20が撤去されて無支柱の2連状態の道路トンネルが形成されることになる。
【0055】
ここで、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしているが、不必要であれば当該地盤改良工程は省略するようにしても良い。
【0056】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管6は、第1実施形態の場合と同様に、図10(a)に示すように外管6aと内管6bとからなる2重管構造となしても良い。あるいは、図11(a)に示すように前記剛性保持用鋼製曲管6内には、H形鋼6cを挿通配置するようにしても良い。さらには、前記剛性保持用鋼製曲管6内の空隙には、当該剛性保持用鋼製曲管6の両端を閉塞板(図示せず)で閉止してコンクリート24を充填するようにしても良い。ここで、剛性保持用鋼製曲管6を二重管構成となした場合には、図10(b)〜(d)に示すように、当該コンクリート24は内管6bの内側の空隙のみへの充填、あるいは内管6bの外側の管状の空隙のみへの充填、若しくは内管6bの内外両側の空隙双方内への充填となしても良い。さらには、図10及び図11に示すように、剛性保持用鋼製曲管6内には、当該剛性保持用鋼製曲管6にプレストレスを導入するために、その図心の近傍に沿わせてその全長に亘って、シース管26を介して鋼線28を配設し、当該鋼線28の両端を張力を付与した状態で閉塞板(図示せず)に固定係止させる様にしても良い。
【0057】
《第3実施形態》
図21〜図29は、第3実施形態におけるメガネ型シールドトンネルの構築方法の各施工工程を順次に示す概略図である。この場合も第1実施形態と同様に、地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。
【0058】
ところで、当該第3実施形態では、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネル2,4の側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造において、前記連通結合形成される連通部23の上下には、両シールドトンネル2,4のセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられるとともに、その連通部23に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されたセグメント12aは、シールド掘進機によって組み立てられる時点で、予め他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に形成されているものを配設するようにしている。
【0059】
即ち、図21に示すように、シールド掘進機によるシールドトンネル設置工程において、その覆工体10をなすセグメントを環状に接続して組み付けていく際に、連通部形成予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設するセグメント12aには、その他の部位に配設するセグメント12よりも、厚み寸法を大きく形成する等して高剛性に形成したものを用いるようにしている。
【0060】
ここで、当該第3実施形態にあっては、上記の如く、連通部形成予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設するセグメント12aには、他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に形成されているものを予め配設するという点以外は、図21〜図29にて示すシールドトンネル設置工程(図21)、鋼製曲管設置工程(図22)、地盤改良工程(図23)、内部支保工設置工程(図24)、シールドトンネル連通工程(図25、図26)、連結部材設置工程(図27)、コンクリート充填工程(図28)、支保工撤去工程(図29)の各工程は、図12〜図20を用いて説明した第2実施形態の場合と全く同じである。よってその説明は省略する。
【0061】
そして、上記第1実施形態〜第3実施形態のように構成されてなる本発明のメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法によれば、次の様な優れた効果を奏することができる。
【0062】
即ち、シールドトンネル2,4相互の連通結合部に、両シールドトンネル2,4のセグメント同士を繋いで補剛する鋼製曲管6等の補剛部材を設けて、その構造を安定化させて両シールドトンネル2,4を開削連通するにあたって、連通部23に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されたセグメント12aは、他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に補剛されているので、開削して連通させる部位のセグメントリングの端縁の撓み変形を可及的似に小さくすることができ、もって鋼製曲管6等からなる補剛部材に対して要求される耐力を可及的に低下させることができる。このため、当該補剛部材の設置数を減らしたり、補剛部材自体の剛性を低く設定できるようになって、その設置費用の軽減化と工期の短縮化とが図れる。
【0063】
また、アーチ状に湾曲した剛性保持用の鋼製曲管6をトンネル軸方向(長手方向)に沿って所定ピッチで、連通結合部の上下にこれを挟んで無数に設置するとともに、該両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結部材22を設け、かつ、連結部材22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24を充填して両シールドトンネル2,4を一体化するようになすことで、並設されたシールドトンネル2,4同士の連通結合部 を高剛性に形成でき、当該部位を無支柱化することができる。そして、このように連通部23を無支柱化することができるので、道路等の分岐合流部に適用すれば、シールドトンネル2,4相互間の車両の行き来を円滑かつ安全に行わせることが可能となる。
【0064】
また、分岐合流部の形成部位を大断面円形トンネル構造や、開削工法による大断面矩形構造にする必要が無いため、地上への影響を可及的に少なくすることができる。また、線形を変更することなく、本線等の一般部と分岐合流部とを、ともに地中トンネル構造にすることができる。
【0065】
また、両シールドトンネル2,4の外側に別途に支持構造を設置する必要が無く、シールドトンネル2,4の連通部23と連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aとを補剛することで構造を可及的に安定化させることができ、しかもシールドトンネル2,4内部からの施工のみで補剛部材の鋼製曲管6を設置できるため、施工コストの低減化、施工期間の短縮化、専有面積の縮小化等が図れて、合理的な構造となし得る。
【0066】
また、剛性保持用の鋼製曲管6と薬液注入用の鋼製曲管16とを別途に設け、薬液注入用鋼製曲管16は該剛性保持用鋼製曲管6,6間の外側に相互の配設位置をずらして配置することで、地山8中に注入する薬液が上下の鋼製曲管6で挟まれた内方部まで伝わり易くすることができる。
【0067】
また、剛性保持用の鋼製曲管6を内管6aと外管6bとからなる2重管構造とすること、あるいは、前記剛性保持用の鋼製曲管6内にH形鋼6cを挿通配置すること、もしくは前記剛性保持用の鋼製曲管6内の空隙にはコンクリート24を充填すること、さらには張力を付与した鋼線28を配設してプレストレスを導入することによって、連通結合部の更なる高剛性化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法の第1実施形態におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図2】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図3】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図4】同上、セグメント補剛工程を示す概略図である。
【図5】同上、シールドトンネル連通工程のセグメント切り開き段階を示す概略図である。
【図6】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図7】同上、連結部材設置工程を示す概略図である。
【図8】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図9】図2中のA部を内側から示す展開図である。
【図10】剛性保持用の鋼製曲管を二重管にした場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しない二重管構造のもの、(b)は内管の内側空隙内にコンクリートを充填したもの、(c)は内管の外側空隙内にコンクリートを充填したもの、(d)は内管の内外両側の空隙内にコンクリートを充填したものを示す。
【図11】剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置した場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しないもの、(b)はコンクリートを充填したものを示す。
【図12】本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法の第2実施形態におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図13】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図14】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図15】同上、セグメント補剛工程と内部支保工設置工程を示す概略図である。
【図16】同上、シールドトンネル連通工程のセグメント切り開き段階を示す概略図である。
【図17】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図18】同上、連結部材設置工程を示す概略図である。
【図19】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図20】同上、支保工撤去工程を示す概略図である。
【図21】本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法の第3実施形態におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図22】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図23】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図24】同上、内部支保工設置工程を示す概略図である。
【図25】同上、シールドトンネル連通工程のセグメント切り開き段階を示す概略図である。
【図26】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図27】同上、連結部材設置工程を示す概略図である。
【図28】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図29】同上、支保工撤去工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0069】
2 第1シールドトンネル
4 第2シールドトンネル
6 剛性保持用の鋼製曲管(補剛部材)
6a 外管
6b 内管
6c H型鋼
8 地山
10 覆工体
12 セグメント
12a 連通部に対向する部位のセグメント
13 コンクリート(補剛手段)
14 補強リブ
16 薬液注入用の鋼製曲管
18 地盤改良領域
20 内部支保工
21 支柱(補剛手段)
22 連結部材
23 連通部
24 コンクリート
26 シース管
28 鋼線
【技術分野】
【0001】
この発明は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して、相互に一体的に連通結合させて形成するメガネ型シールドトンネルの構造、及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、例えば都市土木等において、地下水の存在する地盤や軟弱な地盤に対するトンネルの構築工法として一般に採用されるもので、シールド掘進機の後方にトンネルの掘削内周面を覆う覆工体をセグメントによってリング状に逐次組み立てて形成していくとともに、形成した覆工体から推進反力を得ながらシールド掘進機を前進させて掘進作業を行ってゆくものである。
【0003】
ところで、この様なシールド工法を用いて地下構築物を構築にするにあたっては、例えば地下鉄道の駅構内や地下道路の分岐・合流部の構築等に際して、シールドトンネルを複数近接させて並設し、爾後、そのシールドトンネルの側部同士を相互に連通させて繋ぎ合わせ、その断面をメガネ状等の複合形態のトンネルに一体化させて形成することが行われている。ここで、この様な断面形態のトンネルでは形状的にその連通結合部位の剛性が弱くなるので、例えば特許第2619937号公報等に示されるように、当該連通結合部位には多数の支柱等の補剛部材を設けてその剛性を補うようにしている。
【0004】
しかし、上記のように支柱を設けてシールドトンネルの連通結合部位の強度を確保するようにすると、例えば道路の分岐・合流部等では当該支柱が邪魔になって相互のトンネル内への車両の円滑な往来が行えなくなる。特に、高速道路では安全かつ円滑な分岐・合流を行わせるためには、所定長に亘って無柱の区間が必要となる。従って、こうした分岐・合流部を構築するにあたっては、本線道路と分岐・合流用道路とを1つのシールドトンネル内に設置できるように、大円形断面のシールドトンネル構造を採用するか、または地上からの開削工法による大断面矩形構造を採用するか、若しくは道路自体の線形を変更して、分岐・合流部だけは地上に設置するしかなかった。
【0005】
そこで、本出願人は、支柱を無くして広い空間を確保できるトンネルおよびその構築方法の技術について開発を進め、特開2003−138899号公報にて開示したような提案をしている。
【0006】
即ち、当該公報にて示した技術では、隣接配置されたシールドトンネル間を、結合部を介して間接的に連通結合するにあたり、当該結合部には上下方向に平行に上版部と下版部とを設けるとともに、結合部の上方には地中ビームを設けている。この地中ビームは、発進部と到達部とアーチ部とを備え、当該アーチ部は中空円筒状をなしてトンネル上部側の外周を半周する半円状に形成され、両端が発進部と到達部とにそれぞれ一体化されている。そして、結合部と地中ビームとの間には、複数の吊アンカーが設置されている。吊アンカーは、下端側が結合部の上部に設けられた定着ブロックに定着固定されているとともに、各吊アンカーの上端側は、アーチ部の中空管体の側壁に定着固定されている。
【特許文献1】特許第2619937号公報
【特許文献2】特開2003−138899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案のものにあっては、並設されたシールドトンネルの外側に、それら結合部を支持するための大がかりな地中ビームとその発進部、到達部等からなる支持構造体を配置するものであるため、その工事もシールドトンネル両外側部から上部にまで及ぶ様な非常に大がかりなものとなってしまい、施工コスト面や工期、専有面積等の点で未だ改善の余地を残すものであった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールドトンネル相互の連通結合部に、両シールドトンネルのセグメント同士を繋いで補剛する地中ビーム等の補剛部材を設けて、その構造を安定化させて両トンネルを開削連通するにあたって、当該補剛部材に対する要求耐力を可及的に低下させることができ、もって当該補剛部材の設置費用の低減化と工期の短縮化とが図れるメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係るメガネ型シールドトンネル構造は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、該連通部に対向する両トンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に形成されている構成となしたことを特徴とする。
【0010】
あるいは、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、該連通部に対向する両トンネルの側部部分には、該側部部分に配設されたセグメントの剛性を他の部位のセグメントよりも高める補剛手段が設けられている構成となしたことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記補剛手段には支柱を採用し得る。あるいは、前記両シールドトンネルのセグメントを鋼製セグメントとなして、前記補剛手段は、前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートとなし得る。
【0012】
また、上記の目的を達成するために本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法は、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設するセグメントに、予め他の部位のセグメントよりも高剛性なものを用いて両シールドトンネルを形成しておき、前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛してから、該連通部を開削形成する構成となしたことを特徴とする。
【0013】
あるいは、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛するとともに、該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛してから、該連通部を開削形成する構成となしたことを特徴とする。
【0014】
または、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、該両シールドトンネル間の連通結合予定部位における上下両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、該連通結合予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛するセグメント補剛工程と、該鋼製曲管設置工程と該セグメント補剛工程との終了後に、該両シールドトンネルの連通結合部予定部位のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結部材を設置する連結部材設置工程とを備えた構成となしたことを特徴とする。
【0015】
また、前記連結部材設置工程後に、前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程を備えた構成となしたことを特徴とする。
【0016】
また、前記シールドトンネル連通工程の前に施工されて、両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙に充填したコンクリートの硬化後に、該内部支保工を撤去する支保工撤去工程とを備えている構成となしたことを特徴とする。
【0017】
また、前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液注入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしたことを特徴とする。
【0018】
また、前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしたことを特徴とする。
【0019】
また、前記鋼製曲管設置工程において、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とが別途に設けられ、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に位置をずらされて配される構成となしたことを特徴とする。
【0020】
また、前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が支柱でなる構成となしたことを特徴とする。
【0021】
また、前記両シールドトンネルのセグメントが鋼製セグメントでなり、前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が、前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートでなる構成となしたことを特徴とする。ここで、補剛手段として、前記支柱を併用するようにしても良い。
【0022】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管が内管と外管とからなる2重管構造とされている構成となしたことを特徴とする。
【0023】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼が挿通配置される構成となしたことを特徴とする。
【0024】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管内にコンクリートが充填される構成となしたことを特徴とする。
【0025】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線が配設される構成となしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
上記のようにしてなる本発明のメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法によれば、シールドトンネル相互の連通結合部に、両シールドトンネルのセグメント同士を繋いで補剛する補剛部材を設けて、その構造を安定化させて両シールドトンネルを開削連通するにあたって、連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に補剛されているので、開削して連通させる部位の撓み変形を可及的似に小さくすることができ、もって当該補剛部材に対する要求耐力を可及的に低下させることができる。このため、当該補剛部材の設置数を減らしたり、補剛部材自体の剛性を低く設定できるようになって、その設置費用の軽減化と工期の短縮化とが図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係るメガネ型シールドトンネル構造及びその構築方法の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳述する。
【0028】
先ず、本発明に係るメガネ型シールドトンネル構造及びその構築方法について、その根本的な概念を説明すると、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士を開削して連通結合形成することで、メガネ型のシールドトンネルを構築するにあたって、連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材を設けるとともに、当該連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に形成しておくものである。
【0029】
即ち、連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの剛性を他の部位よりも高めておくことで、連通形成部位のセグメントを撤去して開削する際に、その撤去後のシールドトンネルの開削側部位に生じる撓み変形が可及的に小さくなるように抑制して、当該補剛部材に対して要求される耐力を可及的に低下させるようにする。そして、その結果として、当該補剛部材の設置数を減らしたり、補剛部材自体の剛性を低く設定できるようにするのである。
【0030】
連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの剛性を高める手段としては、セグメントの組み付け時点で、予め当該部位のセグメントに高剛性のものを設置しても良いし、当初は全周に亘って同一のセグメントを組み付けておき、開削する前の段階で、上記部位のセグメントの剛性を高める補剛手段を後付で設けて剛性を向上させるようにしても良い。
次に、その具体的な実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0031】
《第1実施形態》
図1〜図8は、第1実施形態におけるメガネ型シールドトンネルの構築方法の各施工工程を順次に示す概略図であり、本実施の形態では地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。
【0032】
図1に示すように、本線道路を設けるための大きい円形断面の第1シールドトンネル2と、この本線道路用の第1シールドトンネル2の側方に近接して、分岐・合流部用の道路を設けるための小さい円形断面の第2シールドトンネル4が並設されている。各シールドトンネル2,4はトンネル軸が相互に平行になるように隣接配置されている。また、各シールドトンネル2,4の内周面には、その全周に亘って同一規格の鋼製セグメント12が環状に組み付けられて覆工体10が形成されている。
【0033】
そして、このように近接して並設された2つの円形断面のシールドトンネル2,4は、その隣接する側部同士が開削されて連通結合されることで2連状態の道路トンネルが形成されることになる。なお、シールドトンネルの円形断面とは図示する真円状のものに限定されるものではなく、楕円状のものであっても良い。
【0034】
図2は鋼製曲管設置工程を示している。図示するように、この鋼製曲管設置工程では、両シールドトンネル2,4間の連通結合予定部位の上下両側部の地山8中に、シールドトンネル2,4の一方から他方に向けて、補剛部材として曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管6が掛け渡される。ここでは、第1シールドトンネル2側を発進部とし、第2シールドトンネル4側を到達部として鋼製曲管6が推進工法により順次地山8中に押し込まれて渡設される。そして、これらの鋼製曲管6はトンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置される。
【0035】
具体的には、図9に示すように、本実施形態例ではセグメント1リング毎に3つの鋼製曲管6が設けられる。即ち、各シールドトンネル2,4の覆工体10を形成するセグメント12は6個で1周分を形成している。それぞれのシールドトンネル2,4において鋼製曲管6が掛け渡される部位のセグメント12には鋼製曲管6の受け口部が予め着脱可能な蓋体で閉塞されて設けられていて、当該受け口部が開放されて鋼製曲管6が設置される。セグメント12は幅は1.2mの鋼板または鋼板コンクリート製であり40cm間隔で補強リブ14が立設されており、当該補強リブ14間に位置されて鋼製曲管6は40cmピッチで設けられている。鋼製曲管の径は30cmである。
【0036】
また、この第1実施形態では上記鋼製曲管6は専ら剛性保持用として設けられ、当該鋼製曲管6の外側には地盤改良用の薬液を周囲の地山8中に注入するための鋼製曲管16が同様にして設けられている。この薬液注入用鋼製曲管16はその管面に多数の薬液注入口(図示せず)を有し、剛性保持用の鋼製曲管6,6のほぼ中間部に位置されて、これらと相互のピッチがずらされて配置されており、これより地山8中に注入する薬液が上下の剛性保持用鋼製曲管6で挟まれている内方部分の地山中まで伝わり易くされている。薬液注入用鋼製曲管16の径は剛性保持用鋼製曲管6よりも細く10〜15cmとされている。
【0037】
図3は地盤改良工程を示し、上記薬液注入用鋼製曲管16を通じて周囲の地山8中の地盤改良領域18に薬液が注入されて地盤改良が行われる。なお、剛性保持用鋼製曲管6に薬液注入機能も併せ持たせて当該薬液注入用鋼製曲管16は省略する様にしても良い。さらには、当該薬液の注入は剛性保持用鋼製曲管6を通じて行わずに、覆工体10のセグメント12に予め形成してある薬液注入口から行って地盤改良するようにしても良い。
【0038】
地盤改良が済むと、図4のセグメント補剛工程に示すように、連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aを、補剛手段によって他の部位のセグメント12よりも高剛性に補剛する。ここでは補剛手段としてH形鋼等からなる支柱21が設けられる。支柱21は連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aに近接されて設けられ、各支柱21はその上端部と下端部とがそれぞれセグメント12に一体化されて結合され、以後は常設の補剛材とされる。
【0039】
ここで、この図示する第1実施形態例にあっては設定していないが、必要であれば、両シールドトンネル2,4内に、連通結合部のセグメントを切り広げたときに、それらシールドトンネル2,4に変形が生じることを防止するための内部支保工を、予め組立設置するようにしても良い。
【0040】
図5及び図6はシールドトンネル連通工程を示し、両シールドトンネル2,4の連通結合部のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル2,4間の地山8を掘削して相互に連通させる。
【0041】
そして、図7の連結部材設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリング(覆工体10)の上下部それぞれの端縁同士に掛け渡して連結部材22が設置される。この連結部材22は鋼板製でなる。
【0042】
このようにして、連通部23が形成されるが、当該連通部23は無支柱となって2連状態の道路トンネルが形成されることになる。ここで、必要であれば連結部材22の設置後に、図8に示すように、上下の各連結部材22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24を充填するコンクリート充填工程を施工するようにしても良い。
【0043】
また、この第1実施形態では、前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間、具体的にはセグメント補剛工程の前に、前記鋼製曲管6を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしているが、不必要であれば当該地盤改良工程は省略するようにしても良い。
【0044】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管6は、図10(a)に示すように外管6aと内管6bとからなる2重管構造となしても良い。あるいは、図11(a)に示すように前記剛性保持用鋼製曲管6内には、H形鋼6cを挿通配置するようにしても良い。
【0045】
さらには、前記剛性保持用鋼製曲管6内の空隙には、当該剛性保持用鋼製曲管6の両端を閉塞板(図示せず)で閉止してコンクリート24を充填するようにしても良い。ここで、剛性保持用鋼製曲管6を二重管構成となした場合には、図10(b)〜(d)に示すように、当該コンクリート24は内管6bの内側の空隙のみへの充填、あるいは内管6bの外側の管状の空隙のみへの充填、若しくは内管6bの内外両側の空隙双方内への充填となしても良い。
【0046】
またさらには、図10及び図11に示すように、剛性保持用鋼製曲管6内には、当該剛性保持用鋼製曲管6にプレストレスを導入するために、その図心の近傍に沿わせてその全長に亘って、シース管26を介して鋼線28を配設し、当該鋼線28の両端を張力を付与した状態で閉塞板(図示せず)に固定係止させる様にしても良い。
【0047】
なお、図9〜図11にて示した剛性保持用鋼製曲管6は、円形断面のものとなっているが、これに限らず矩形断面のものを採用しても良い。
【0048】
《第2実施形態》
図12〜図20は、第2実施形態におけるメガネ型シールドトンネルの構築方法の各施工工程を順次に示す概略図であり、第1実施形態と同様に、地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。ここで、図12〜図14に示す工程は前述した第1実施形態の場合と全く同じであり、よってその説明は省略する。
【0049】
ところで、この第2実施形態では、図14に示す地盤改良工程が済むと、図15に示すように、連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aを、補剛手段によって他の部位のセグメント12よりも高剛性に補剛するセグメント補剛工程と、両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程とが行われる。ここで、セグメント補剛工程と内部支保工設置工程との施工順序はどちらが先であっても良く、これらの両工程はいずれもシールドトンネル連通工程の前に施工すれば良い。
【0050】
そして、上記内部支保工設置工程においては、両シールドトンネル2,4内に、連通結合部のセグメントを切り広げたときに、それらシールドトンネル2,4に変形が生じることを防止するための内部支保工20が横断面矩形状に組立設置される。
【0051】
また、セグメント補剛工程では、前記連通部に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されたセグメント12aの内部に、補剛手段としてコンクリート13が充填される。即ち、前述の第1実施形態での説明で述べてあるように、両シールドトンネル2,4は、それぞれその内周面の全周が同一規格の鋼製セグメント12で覆われているが、連通形成予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されているセグメント12aの内部に、補剛手段としてコンクリート13が充填される。つまり、シールド掘進機によるシールドトンネルの掘削形成時には、全周に亘って同一規格の鋼製セグメント12組み付けていき、後施工で所定位置の鋼製セグメント12内に、補剛手段としコンクリート13を充填して補剛していくので、セグメント組み立て時にあっては、規格の異なるセグメントが混在されることがない。
【0052】
図16及び図17はシールドトンネル連通工程を示し、当該工程では、両シールドトンネル2,4の連通結合予定部位のセグメントを切り開いて撤去するとともに、両シールドトンネル2,4間の地山8を掘削して相互に連通させる。
【0053】
そして、図18の連結部材設置工程に示すように、両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリング(覆工体10)の上下部それぞれの端縁同士に掛け渡して連結部材22が設置される。この連結部材22は鋼板製でなる。
【0054】
連結部材22が設置されると、図19のコンクリート充填工程に示すように、上下の各連結部材22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24が充填される。そして、当該コンクリート24が硬化すると、図20の支保工撤去工程に示すように、内部支保工20が撤去されて無支柱の2連状態の道路トンネルが形成されることになる。
【0055】
ここで、前記鋼製曲管設置工程と内部支保工設置工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えた構成となしているが、不必要であれば当該地盤改良工程は省略するようにしても良い。
【0056】
また、前記剛性保持用の鋼製曲管6は、第1実施形態の場合と同様に、図10(a)に示すように外管6aと内管6bとからなる2重管構造となしても良い。あるいは、図11(a)に示すように前記剛性保持用鋼製曲管6内には、H形鋼6cを挿通配置するようにしても良い。さらには、前記剛性保持用鋼製曲管6内の空隙には、当該剛性保持用鋼製曲管6の両端を閉塞板(図示せず)で閉止してコンクリート24を充填するようにしても良い。ここで、剛性保持用鋼製曲管6を二重管構成となした場合には、図10(b)〜(d)に示すように、当該コンクリート24は内管6bの内側の空隙のみへの充填、あるいは内管6bの外側の管状の空隙のみへの充填、若しくは内管6bの内外両側の空隙双方内への充填となしても良い。さらには、図10及び図11に示すように、剛性保持用鋼製曲管6内には、当該剛性保持用鋼製曲管6にプレストレスを導入するために、その図心の近傍に沿わせてその全長に亘って、シース管26を介して鋼線28を配設し、当該鋼線28の両端を張力を付与した状態で閉塞板(図示せず)に固定係止させる様にしても良い。
【0057】
《第3実施形態》
図21〜図29は、第3実施形態におけるメガネ型シールドトンネルの構築方法の各施工工程を順次に示す概略図である。この場合も第1実施形態と同様に、地下高速道路の分岐・合流部の構築に適用する場合を例示している。
【0058】
ところで、当該第3実施形態では、近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネル2,4の側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造において、前記連通結合形成される連通部23の上下には、両シールドトンネル2,4のセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられるとともに、その連通部23に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されたセグメント12aは、シールド掘進機によって組み立てられる時点で、予め他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に形成されているものを配設するようにしている。
【0059】
即ち、図21に示すように、シールド掘進機によるシールドトンネル設置工程において、その覆工体10をなすセグメントを環状に接続して組み付けていく際に、連通部形成予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設するセグメント12aには、その他の部位に配設するセグメント12よりも、厚み寸法を大きく形成する等して高剛性に形成したものを用いるようにしている。
【0060】
ここで、当該第3実施形態にあっては、上記の如く、連通部形成予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設するセグメント12aには、他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に形成されているものを予め配設するという点以外は、図21〜図29にて示すシールドトンネル設置工程(図21)、鋼製曲管設置工程(図22)、地盤改良工程(図23)、内部支保工設置工程(図24)、シールドトンネル連通工程(図25、図26)、連結部材設置工程(図27)、コンクリート充填工程(図28)、支保工撤去工程(図29)の各工程は、図12〜図20を用いて説明した第2実施形態の場合と全く同じである。よってその説明は省略する。
【0061】
そして、上記第1実施形態〜第3実施形態のように構成されてなる本発明のメガネ型シールドトンネル構造およびその構築方法によれば、次の様な優れた効果を奏することができる。
【0062】
即ち、シールドトンネル2,4相互の連通結合部に、両シールドトンネル2,4のセグメント同士を繋いで補剛する鋼製曲管6等の補剛部材を設けて、その構造を安定化させて両シールドトンネル2,4を開削連通するにあたって、連通部23に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分に配設されたセグメント12aは、他の部位に配設されるセグメント12よりも高剛性に補剛されているので、開削して連通させる部位のセグメントリングの端縁の撓み変形を可及的似に小さくすることができ、もって鋼製曲管6等からなる補剛部材に対して要求される耐力を可及的に低下させることができる。このため、当該補剛部材の設置数を減らしたり、補剛部材自体の剛性を低く設定できるようになって、その設置費用の軽減化と工期の短縮化とが図れる。
【0063】
また、アーチ状に湾曲した剛性保持用の鋼製曲管6をトンネル軸方向(長手方向)に沿って所定ピッチで、連通結合部の上下にこれを挟んで無数に設置するとともに、該両シールドトンネル2,4の切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結部材22を設け、かつ、連結部材22と鋼製曲管6との間の空隙にコンクリート24を充填して両シールドトンネル2,4を一体化するようになすことで、並設されたシールドトンネル2,4同士の連通結合部 を高剛性に形成でき、当該部位を無支柱化することができる。そして、このように連通部23を無支柱化することができるので、道路等の分岐合流部に適用すれば、シールドトンネル2,4相互間の車両の行き来を円滑かつ安全に行わせることが可能となる。
【0064】
また、分岐合流部の形成部位を大断面円形トンネル構造や、開削工法による大断面矩形構造にする必要が無いため、地上への影響を可及的に少なくすることができる。また、線形を変更することなく、本線等の一般部と分岐合流部とを、ともに地中トンネル構造にすることができる。
【0065】
また、両シールドトンネル2,4の外側に別途に支持構造を設置する必要が無く、シールドトンネル2,4の連通部23と連通結合予定部位に対向する両シールドトンネル2,4の側部部分のセグメント12aとを補剛することで構造を可及的に安定化させることができ、しかもシールドトンネル2,4内部からの施工のみで補剛部材の鋼製曲管6を設置できるため、施工コストの低減化、施工期間の短縮化、専有面積の縮小化等が図れて、合理的な構造となし得る。
【0066】
また、剛性保持用の鋼製曲管6と薬液注入用の鋼製曲管16とを別途に設け、薬液注入用鋼製曲管16は該剛性保持用鋼製曲管6,6間の外側に相互の配設位置をずらして配置することで、地山8中に注入する薬液が上下の鋼製曲管6で挟まれた内方部まで伝わり易くすることができる。
【0067】
また、剛性保持用の鋼製曲管6を内管6aと外管6bとからなる2重管構造とすること、あるいは、前記剛性保持用の鋼製曲管6内にH形鋼6cを挿通配置すること、もしくは前記剛性保持用の鋼製曲管6内の空隙にはコンクリート24を充填すること、さらには張力を付与した鋼線28を配設してプレストレスを導入することによって、連通結合部の更なる高剛性化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法の第1実施形態におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図2】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図3】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図4】同上、セグメント補剛工程を示す概略図である。
【図5】同上、シールドトンネル連通工程のセグメント切り開き段階を示す概略図である。
【図6】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図7】同上、連結部材設置工程を示す概略図である。
【図8】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図9】図2中のA部を内側から示す展開図である。
【図10】剛性保持用の鋼製曲管を二重管にした場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しない二重管構造のもの、(b)は内管の内側空隙内にコンクリートを充填したもの、(c)は内管の外側空隙内にコンクリートを充填したもの、(d)は内管の内外両側の空隙内にコンクリートを充填したものを示す。
【図11】剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼を挿通配置した場合の各種変形例の断面図であり、(a)はコンクリートを充填しないもの、(b)はコンクリートを充填したものを示す。
【図12】本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法の第2実施形態におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図13】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図14】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図15】同上、セグメント補剛工程と内部支保工設置工程を示す概略図である。
【図16】同上、シールドトンネル連通工程のセグメント切り開き段階を示す概略図である。
【図17】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図18】同上、連結部材設置工程を示す概略図である。
【図19】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図20】同上、支保工撤去工程を示す概略図である。
【図21】本発明に係るメガネ型シールドトンネルの構築方法の第3実施形態におけるシールドトンネル設置工程を示す概略図である。
【図22】同上、鋼製曲管設置工程を示す概略図である。
【図23】同上、地盤改良工程を示す概略図である。
【図24】同上、内部支保工設置工程を示す概略図である。
【図25】同上、シールドトンネル連通工程のセグメント切り開き段階を示す概略図である。
【図26】同上、シールドトンネル連通工程の地山掘削段階を示す概略図である。
【図27】同上、連結部材設置工程を示す概略図である。
【図28】同上、コンクリート充填工程を示す概略図である。
【図29】同上、支保工撤去工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0069】
2 第1シールドトンネル
4 第2シールドトンネル
6 剛性保持用の鋼製曲管(補剛部材)
6a 外管
6b 内管
6c H型鋼
8 地山
10 覆工体
12 セグメント
12a 連通部に対向する部位のセグメント
13 コンクリート(補剛手段)
14 補強リブ
16 薬液注入用の鋼製曲管
18 地盤改良領域
20 内部支保工
21 支柱(補剛手段)
22 連結部材
23 連通部
24 コンクリート
26 シース管
28 鋼線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、
前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、
該連通部に対向する両トンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に形成されている、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項2】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、
前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、
該連通部に対向する両トンネルの側部部分には、該側部部分に配設されたセグメントの剛性を他の部位のセグメントよりも高める補剛手段が設けられている、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項3】
前記補剛手段が支柱でなることを特徴とする請求項2記載のメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項4】
前記両シールドトンネルのセグメントが鋼製セグメントでなり、前記補剛手段が前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートでなる、
ことを特徴とする請求項2記載のメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項5】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、
該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設するセグメントに、予め他の部位のセグメントよりも高剛性なものを用いて両シールドトンネルを形成しておき、
前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛してから、該連通部を開削形成する、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項6】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、
前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛するとともに、
該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛してから、該連通部を開削形成する、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項7】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、
該両シールドトンネル間の連通結合予定部位における上下両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、
該連通結合予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛するセグメント補剛工程と、
該鋼製曲管設置工程と該セグメント補剛工程との終了後に、該両シールドトンネルの連通結合部予定部位のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、
該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結部材を設置する連結部材設置工程と、
を備えたことを特徴とするメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項8】
前記連結部材設置工程後に、前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程を備えたことを特徴とする請求項7に記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項9】
前記シールドトンネル連通工程の前に施工されて、両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、
前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙に充填したコンクリートの硬化後に、該内部支保工を撤去する支保工撤去工程と、
を備えていることを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項10】
前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液注入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項11】
前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項12】
前記鋼製曲管設置工程において、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とが別途に設けられ、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に位置をずらされて配されることを特徴とする請求項11に記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項13】
前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が、支柱でなることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項14】
前記両シールドトンネルのセグメントが鋼製セグメントでなり、前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が、前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートでなることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項15】
前記剛性保持用の鋼製曲管が内管と外管とからなる2重管構造とされていることを特徴とする請求項7〜14のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項16】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼が挿通配置されることを特徴とする請求項7〜1〜15のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項17】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にコンクリートが充填されることを特徴とする請求項7〜16のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項18】
前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線が配設されることを特徴とする請求項7〜17のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項1】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、
前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、
該連通部に対向する両トンネルの側部部分に配設されたセグメントは、他の部位に配設されるセグメントよりも高剛性に形成されている、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項2】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネル構造であって、
前記連通結合形成される連通部の上下には、両シールドトンネルのセグメント間を繋いで補剛する補剛部材が設けられ、
該連通部に対向する両トンネルの側部部分には、該側部部分に配設されたセグメントの剛性を他の部位のセグメントよりも高める補剛手段が設けられている、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項3】
前記補剛手段が支柱でなることを特徴とする請求項2記載のメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項4】
前記両シールドトンネルのセグメントが鋼製セグメントでなり、前記補剛手段が前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートでなる、
ことを特徴とする請求項2記載のメガネ型シールドトンネル構造。
【請求項5】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、
該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設するセグメントに、予め他の部位のセグメントよりも高剛性なものを用いて両シールドトンネルを形成しておき、
前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛してから、該連通部を開削形成する、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項6】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、
前記連通結合する連通部の形成予定部位の上下に、両シールドトンネルのセグメント間を繋ぐ補剛部材を設けて補剛するとともに、
該連通部の形成予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛してから、該連通部を開削形成する、
ことを特徴とするメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項7】
近接して並設された複数の円形断面のシールドトンネルの側部同士が開削されて連通結合形成されるメガネ型シールドトンネルの構築方法であって、
該両シールドトンネル間の連通結合予定部位における上下両側部の地山中に、該シールドトンネルの一方から他方に向けて、曲線ボーリング装置を用いて円弧状の鋼製曲管を掛け渡し、トンネル長手方向に沿って所定のピッチで所定数ずつ設置する鋼製曲管設置工程と、
該連通結合予定部位に対向する両シールドトンネルの側部部分のセグメントを、補剛手段によって他の部位のセグメントよりも高剛性に補剛するセグメント補剛工程と、
該鋼製曲管設置工程と該セグメント補剛工程との終了後に、該両シールドトンネルの連通結合部予定部位のセグメントを切り開いて、両シールドトンネル間の地山を掘削して連通させるシールドトンネル連通工程と、
該両シールドトンネルの切り開かれたセグメントリングの端縁同士に掛け渡して連結部材を設置する連結部材設置工程と、
を備えたことを特徴とするメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項8】
前記連結部材設置工程後に、前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙にコンクリートを充填するコンクリート充填工程を備えたことを特徴とする請求項7に記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項9】
前記シールドトンネル連通工程の前に施工されて、両シールドトンネル内に該トンネルの変形を防止する内部支保工を設置する内部支保工設置工程と、
前記連結部材と前記鋼製曲管との間の空隙に充填したコンクリートの硬化後に、該内部支保工を撤去する支保工撤去工程と、
を備えていることを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項10】
前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、シールドトンネルのセグメントに形成された薬液注入口から地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項11】
前記鋼製曲管設置工程とシールドトンネル連通工程との間に、前記鋼製曲管を通じて周囲の地山中に薬液を注入して地盤改良を行う地盤改良工程を備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項12】
前記鋼製曲管設置工程において、剛性保持用の鋼製曲管と薬液注入用の鋼製曲管とが別途に設けられ、該薬液注入用鋼製曲管は該剛性保持用鋼製曲管間の外側に位置をずらされて配されることを特徴とする請求項11に記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項13】
前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が、支柱でなることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項14】
前記両シールドトンネルのセグメントが鋼製セグメントでなり、前記セグメント補剛工程における前記補剛手段が、前記連通部に対向する両シールドトンネルの側部部分に配設されたセグメントの内部に充填されるコンクリートでなることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項15】
前記剛性保持用の鋼製曲管が内管と外管とからなる2重管構造とされていることを特徴とする請求項7〜14のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項16】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にH形鋼が挿通配置されることを特徴とする請求項7〜1〜15のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項17】
前記剛性保持用の鋼製曲管内にコンクリートが充填されることを特徴とする請求項7〜16のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【請求項18】
前記剛性保持用の鋼製曲管内には、該鋼製曲管にプレストレスを導入するために、張力を付与した鋼線が配設されることを特徴とする請求項7〜17のいずれかに記載のメガネ型シールドトンネルの構築方法。
【図1】
【図2】
【図9】
【図12】
【図13】
【図21】
【図22】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図9】
【図12】
【図13】
【図21】
【図22】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2008−75386(P2008−75386A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257451(P2006−257451)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
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