説明

ライブラリ製造装置及びライブラリ製造方法

【課題】液状原料の種類や組合せ比率によって時間の経過とともに、ライブラリプレートに分注する前に分離や再凝集が起こる可能性があり、分注するに際し、組合せ比率が変化する可能性がある液状原料であっても、コンビナトリアル手法を用いて自動的に生成した組合せ比率の異なる多種類の液状試料を、組成を変化させることなくライブラリプレートに分注することができるライブラリ製造装置とライブラリ製造方法を提供する。
【解決手段】自動的に個別の混合容器中で混合、攪拌により生成した組合せ比率の異なる多種類の液状試料をライブラリプレートに分注する前に、個別の混合容器中の液状試料毎に少なくとも1回だけ混合容器から吸引し混合容器中へ吐出した後、ライブラリプレートに液状試料を分注する。これにより、液状試料の組成を変化さずにライブラリを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、コンビナトリアル手法を用いて複数種の液状原料を混合して組合せ
比率の異なる多種類の組成の液状試料を自動的に生成し、生成された組成を変化させるこ
となくライブラリプレートに分注ことができるライブラリ製造装置とライブラリ製造方法
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機材料を例に挙げると、近年、ファインセラミックス技術の進歩により、セラミック
ス材料の結晶構造、組成、結晶粒の大きさをミクロン〜ナノスケールで制御できるように
なっている。このため、セラミックス材料の電子材料等への応用展開の途が急速に拡大し
ている。なかでも、セラミックスの酸化物は、誘電特性や磁気特性、電気導電性等におい
て、幅広い物性を有する。セラミックス材料の機能の多様性は、セラミックス材料として
制御すべきパラメーターがその不定比性、結晶構造の異方性等も含めて極めて多様である
ことを意味している。
【0003】
その結果、従来のように出発原料である複数種の無機物質原料を異なる比率で混合、焼
成して得られるセラミックス材料を一つ一つ製造し、その性質を調べる方法では、目的の
物質材料に到達するまでに膨大な時間がかかるばかりでなく、勘と経験の及ばない偶然な
発見につながる可能性はきわめて低いものとなる。さらに、同じ系統の物質を取り扱う際
に、複数の人間で行うと、ヒューマンエラーによる誤差を生ずる確率が高くなる。新規セ
ラミックス材料の探索には、自動処理装置を用いることにより多種の原料の組合せを如何
に系統的に制御しつつ生成しうるかが、キーポイントになる。
【0004】
また、有機物質原料の場合においても、複数種の成分の組み合わせの研究が鋭意行われ
ている。例えば、ヒートポンプ装置に用いる、環境負荷が小さく効率のよい冷媒の開発に
おいては、単独の冷媒では限界があるため、3成分又はそれ以上の成分の混合冷媒を検討
することが行われている(特許文献1)。医薬品の分野でも、効果的な薬剤の開発におい
て、同様にコンビナトリアル手法が広く採用されていることはよく知られている。このよ
うに、複数種の原料を混合して組合せ比率の異なる膨大な数の試料からなるライブラリを
正確に、短時間で生成することができれば、広く科学技術分野で新規材料の探索が大いに
進捗することが期待できる。
【0005】
本発明者らは、複数の無機物質原料を異なる比率の組み合わせで混合してなる試料を多
数生成し分析する化学反応処理装置を発明し特許出願した(特許文献2)。この化学反応
処理装置を使うことにより、容易な制御により、多種多数の化学生成物を得るとともに、
それらを高効率で分析評価できることとなった。
【0006】
一般的に、液状原料を選ぶことにより、秤量の精度がよく均質な混合が容易であり、正
確な組成の試料を作製することができ、その結果、膨大な数の試料からなるライブラリを
分注により正確に、短時間で生成することができる。ここで、液状原料を混合して液状試
料を生成する際、液状試料を均質に混合するために攪拌する必要がある。そのため、組合
せ比率を広い範囲に設定すると、多種類の液状試料を攪拌することになり、分注までに一
定の時間が経過する。そのため、液状原料の種類や組合せ比率によっては時間の経過とと
もに、分注前に分離や再凝集が起こる可能性がある。つまり、液状試料を分注するに際し
、組合せ比率が変化する可能性が生じる。
【0007】
具体的には、上記化学処理装置においては、例えば、スラリー状の液状無機物質原料を
用い、幅広い組成範囲で液状試料を製造することができるが、攪拌して均質な液状試料に
した後、液状試料を一定時間放置すると、成分が凝集したり、沈殿したりする場合もあり
、液状試料の組成が変化する可能性があった。この現象は、有機物においても同様である
。そのため、分注前に液状試料の組成を変化させることなくライブラリを製造できる技術
開発を継続して行ってきた。
【0008】
【特許文献1】特開平9−324175号公報
【特許文献2】特開2001−219052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、液状原料の種類や組合せ比率によって時間の経過とともに、ライブラリプレ
ートに分注する前に分離や再凝集が起こる可能性があり、分注するに際し、組合せ比率が
変化する可能性がある液状原料であっても、コンビナトリアル手法を用いて自動的に生成
した組合せ比率の異なる多種類の液状試料を、組成を変化させることなくライブラリプレ
ートに分注することができるライブラリ製造装置とライブラリ製造方法を提供することを
目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、本発明者らが開発した上述の化学反応装置をさらに改良し、自動的に個別の
混合容器中で混合、攪拌により生成した組合せ比率の異なる多種類の液状試料をライブラ
リプレートに分注する前に、個別の混合容器中の液状試料毎に少なくとも1回だけ混合容
器から吸引し混合容器中へ吐出した後、ライブラリプレートに液状試料を分注する、液状
試料の組成を変化さずにライブラリを製造することができるライブラリ製造装置及びライ
ブラリ製造方法を提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器
中において混合する液状試料生成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸
引・吐出機構と、を有するライブラリ製造装置であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、前記攪拌機構の運転時間
と、前記吸引・吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライ
ブラリプレートに形成する1個の試料当りの分注量のデータの入力手段と、
前記入力手段に入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関する
各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段と、
前記制御手段により、前記液状試料生成機構を作動させて組合せ比率の異なる複数種の液
状試料を自動的に生成し、前記攪拌機構を作動させて前記入力手段から入力した運転時間
の間前記液状試料の攪拌をし、前記吸引・吐出機構を作動させて前記入力手段から入力し
た回数の前記液状試料の混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記
複数の液状試料のそれぞれを前記吸引・吐出機構によりライブラリプレートの所定の位置
に分注するライブラリ生成手段と、
を備えていることを特徴とするライブラリ製造装置、である。
【0012】
本発明に使用される液状試料は、特に限定されるものではなく、無機物質の溶液であっ
てもよいし、スラリーであってもよいし、有機物の溶液やエマルジョン等であってもよい

【0013】
本発明の攪拌機構としては、特に限定はされないが、回転軸に固着された柱状の攪拌棒
を使用するものが簡便であり攪拌効果が大きいので好適に採用できる。また、攪拌棒は単
独で使用されてもよいが、複数の攪拌棒を使用して、複数の液状試料を同時に攪拌するよ
うにすると、攪拌工程の時間が短縮できるので好適である。また、攪拌棒の断面形状は、
円形又は楕円形状のものであれば洗浄が容易なので好ましい。
【0014】
攪拌の効果を大きくするために、攪拌棒の中心軸を回転装置の回転軸の延長線から0.
5度以上2.0度以下の角度で傾けて固着すると、回転軸が回転する際、攪拌棒に適度な
振動が生じ攪拌の効果を大きくできるので好ましい。
【0015】
本発明において、吸引・吐出機構としては、ピペットチップを使用する公知のものが採
用できる。分注する前に吸引・吐出機構により入力手段から入力した回数の液状試料の吸
引・吐出を行うことにより、一度攪拌機構により均質に混合された液状試料を、分注直前
に再度均質に混合することができる。また、液状試料の吸引・吐出に使用するピペットチ
ップと分注用ピペットチップは同じものを使用するのが好ましい。その理由は、液状試料
を吸引・吐出したピペットチップ内面を液状試料で濡らしてあるので、ピペットチップ内
面と液状試料の親和性が安定し、吸引・吐出量が安定するので、分注の際、正確に液状試
料を秤量することが可能になるためである。
【0016】
また、吸引・吐出回数としては、少なくとも液状試料の全量を吸引・吐出する回数、好
ましくは液状試料の全量の3倍以上の量を吸引・吐出する回数が選ばれる。具体的には、
ピペットチップにより一度に液状試料の全量を吸引する場合は1回の吸引・吐出で液状試
料の全量を吸引・吐出できる。また、ピペットチップにより一度に液状試料の1/2の量
を吸引する場合は2回の吸引・吐出で液状試料の全量を吸引・吐出できる。この場合、液
状試料の全量の3倍以上の量を吸引・吐出するためには、6回の吸引・吐出を繰り返す必
要がある。
【0017】
ライブラリとしては、分析の効率を考慮すると9種類以上、好ましくは36種類以上、
さらに好ましくは座標の分割数10の3元組成図を前提にすれば66種類以上の異なる試
料が一枚のライブラリプレートに分注されることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、(2)複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中に
おいて混合する液状試料生成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・
吐出機構と、
を有するライブラリ製造装置であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、混合される前記複数種の
液状原料の識別名と、組成図の座標の分割数と、前記攪拌機構の運転時間と、前記吸引・
吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライブラリプレート
に形成する1個の試料当りの分注量のデータの入力手段と、
前記入力手段に入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関する
各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段と、
前記制御手段により、前記入力手段から入力された前記液状原料の種類の数に相当する次
元の組成図を作成し、前記入力手段から入力された前記分割数に応じて、前記複数種の液
状原料を混合して得られる液状試料に含まれる各液状原料の割合を等分した組成点を定め
、各組成点に互いに異なる符号を付し、それらの符号に対応する組成点における前記複数
の液状原料の組合せ比率を自動的に計算し、前記液状試料生成機構を作動させて前記制御
手段によって計算された比率で混合して組合せ比率の異なる複数種の液状試料を自動的に
生成し、前記攪拌機構を作動させて前記入力手段から入力した運転時間の間前記液状試料
の攪拌をし、前記吸引・吐出機構を作動させて前記入力手段から入力した回数の前記液状
試料の混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記複数の液状試料の
それぞれを前記吸引・吐出機構によりライブラリプレートの所定の位置に分注するライブ
ラリ生成手段と、
を備えていることを特徴とするライブラリ製造装置、である。
【0019】
また、本発明は、(3)複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中に
おいて混合する液状試料生成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・
吐出機構と、を有するライブラリ製造装置を利用したライブラリ製造方法であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、前記攪拌機構の運転時間
と、前記吸引・吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライ
ブラリプレートに形成する1個の試料当りの分注量のデータを入力手段を介して制御手段
に入力するステップと、
前記入力手段から入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関す
る各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段により前記複数
種の液状原料を異なる組み合わせ比率で前記混合容器中において前記液状試料生成機構に
より混合し、液状試料を生成するステップと、
前記撹拌機構で前記液状試料を前記混合容器中で前記入力手段から入力した時間の間撹拌
して前記液状試料を均質化するステップと、
前記混合容器中の攪拌後の液状試料毎に前記吸引・吐出機構により前記入力手段から入力
した回数、混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記吸引・吐出機
構でライブラリプレートの所定の位置に前記各液状試料を分注するステップと、
を備えることを特徴とするライブラリ製造方法、である。
【0020】
また、本発明は、(4)複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中に
おいて混合する液状試料生成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・
吐出機構と、を有するライブラリ製造装置を利用したライブラリ製造方法であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、混合される前記複数種の
液状原料の識別名と、組成図の座標の分割数と、前記攪拌機構の運転時間と、前記吸引・
吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライブラリプレート
に形成する1個の試料当りの分注量のデータを入力手段を介して制御手段に入力するステ
ップと、
前記入力手段から入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関す
る各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段により前記組成
図を作成し表示するステップと、
前記組成図の範囲を設定するステップと、
設定された組成図の範囲と前記組成図の座標の分割数に従って前記複数種の液状原料の組
合せ比率を自動的に計算するステップと、
前記複数種の液状原料を自動的に計算された組合せ比率で、前記混合容器中において前記
液状試料生成機構により混合し、液状試料を生成するステップと、
前記撹拌機構で前記液状試料を前記混合容器中で入力手段から入力した時間の間撹拌して
前記液状試料を均質化するステップと、
前記混合容器中の攪拌後の液状試料毎に前記吸引・吐出機構により前記入力手段から入力
した回数、混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記吸引・吐出機
構でライブラリプレートの所定の位置に前記各液状試料を分注するステップと、
を備えることを特徴とするライブラリ製造方法、である。
【0021】
また、本発明は、(5)上記(3)又は(4)のライブラリ製造方法により製造された
ライブラリを焼成することを特徴とするライブラリ製造方法、である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のライブラリ製造装置及びライブラリ製造方法によれば、混合、攪拌後の分注前
に一定時間放置すると、成分が凝集したり、沈殿したりする液状試料であっても、液状試
料の組成を変化させることなく分注が可能となり、正確な組成物からなるライブラリを製
造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態では、原料が液
状無機物質原料であり、複数種の液状原料の組合せ比率を直接入力するのではなく、液状
原料の識別名と組成図の座標の分割数とから自動的に計算する場合を取り上げて説明する
。図1は、本発明のライブラリ製造装置の実施形態を示す構成図であり、図2は、本発明
のライブラリ製造方法を示すフローチャートであり、図3は、本発明のライブラリ製造装
置の表示手段に表示される組成図であり、図4は、本発明のライブラリ製造装置で製造し
たライブラリを焼成したものの分析結果を示す組成図である。
【0024】
図1において、入力手段2では、(1)混合される複数種の液状無機物質原料の識別名
や濃度、(2)組成図の座標の分割数、(3)攪拌機構の運転時間、(4)、吸引・吐出
機構による液状試料の吸引・吐出回数及び(5)添加物の種類や量、がデータとして入力
される。ここで、添加物とは、本質的には試料の成分とならない物質であり、例えば、触
媒、溶媒、分散剤、増粘剤、界面活性剤等が挙げられる。添加物を添加する目的は、反応
を促進したり、溶質の分散を良好に保ったり、成形性を改良したりすること等が挙げられ
る。
【0025】
液状無機物質原料の濃度は、モル濃度にしておくと、液状試料のモル濃度を同一にする
ことが容易である。つまり、全ての液状無機物質原料のモル濃度を同一にしておくと、全
ての組合せ比率で液状試料のモル濃度を一定にすることができ、複数の液状無機物質原料
を混合した液状試料の容積を略一定にすることができ、以後の分析に好適である。このこ
とは、原料の溶質が有機物の場合も同様である。
【0026】
本発明においてはモル濃度を以下のように定義する。化学式をA,B,C
などとすると、通常、モル濃度は1リットルの溶液にA,B,CO
どを1モル、即ち1化学式(例えば、A,B,CO)含むことになるが、
本発明では、それらの化合物のモル濃度を1リットルの溶液にAO3/2,BO,CO
を含むものと定義する。
【0027】
組成図とは、原料の種類が3種類の場合は3次元となり、3元組成図とよばれる。また
、原料の種類が4種類の場合は、4元組成図となる。座標の分割数とは、その各頂点と頂
点を結ぶ辺を等間隔でいくつかに分割したときのその数のことであり、各辺に平行にその
等間隔に線を引いたときの線の交差する点又は辺上の点が組成点であり、組成比を示すも
のである。つまり、座標の分割数を多くすることにより、より細かい間隔で試料を生成す
ることができる。組成点に付する符号は、数字、アルファベット等任意のものを選択でき
るが、組成点を容易に区別、認識できるという観点からは、数字を選択するのが好ましい

【0028】
ここで、座標の分割数を20にすると、組成の組み合わせは、231になり、この条件
で試料製造を行うと、膨大な試料を製造することになる。そのため、分割数を多くするの
は、組成図の選択した特定の範囲に絞った後に行うのが効果的である。全ての範囲を設定
する場合、選択した特定の範囲設定の操作を行わないことにより自動的に行われる。
【0029】
また、本発明の方法及び装置は2種類以上の液状原料を混合してライブラリを製造する
場合に適用できる。2種類の液状原料の組合せ比率を入力することは困難ではないし、本
発明においても採用される方法である。しかし、3成分以上の原料を混合する場合には、
組合せ比率の計算が複雑になる。そこで、本実施の形態で説明するように、制御手段によ
って、入力手段から入力された原料の種類の数に相当する次元の組成図を作成し、入力手
段から入力された分割数に応じて、複数種の液状原料を混合して得られる液状試料に含ま
れる各液状原料の割合を等分した組成点を定め、各組成点に互いに異なる符号を付し、そ
れらの符号に対応する組成点における前記複数の液状原料の組合せ比率を自動的に計算す
るようにすると効果的である。
【0030】
組成図は、3成分の原料を対象とする3角座標の場合、視覚的に認識が容易なので特に
好適である。本発明においては、原料の識別名を入力手段2に入力する場合、原料名を入
力してもよいし、それぞれの原料を原料1、原料2、原料3、・・・のように区別して入
力してもよい。また、添加物を添加する場合には、同様に、添加物1、添加物2、・・・
のように区別して入力してもよい。
【0031】
また、混合される液状原料の試料製造条件、つまり、攪拌機構による攪拌時間や吸引・
吐出機構による液状試料の吸引・吐出回数がデータとして入力される。その他、試料製造
条件として、試料生成のための雰囲気温度、雰囲気気体等の条件が入力されてもよい。
【0032】
入力手段2に入力されたこれらのデータは電気通信で結ばれている制御手段1に送られ
る。記憶装置と演算装置を備えた制御手段1により、前記入力手段に入力されたデータと
予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関する各要素作業を自動的に実行させる。
入力手段2としては、例えば、キーボードやタッチパネル等が選ばれ、制御手段1の記憶
装置や演算装置に入力したデータを送信する。制御手段1では、入力手段2に入力された
原料の種類の数に相当する次元の組成図を作成する。つぎに、入力手段2から入力された
分割数によって決まる組成点に互いに異なる符合を付す。ここで、組成点は複数種の原料
を混合して得られる混合物に含まれる各原料の割合を分割数で等分することによって決定
される。それらの符号に対応する組成点における複数の原料の組合せ比率を自動的に計算
し、制御手段により、計算された比率で液状原料を混合した組合せ比率の異なる複数の試
料にそれぞれ添加物を加えた試料を自動的に生成させる。
【0033】
また、制御手段1に電気通信で結ばれている表示手段3には、座標の分割数に対応した
組成図31が表示される。図示はしていないが、組成図31の組成点には全て異なる符号
が付されている。これらの符号は表示されてもよいし、表示されなくてもよい。
【0034】
ライブラリ製造装置は、液状試料生成機構4として、図1に示すように、液状原料が入
れられた3個の原料ボトル411と2個の添加物ボトル412をラック413に保持する
原料ボトル保持部41と、分注ピペット421をラック422に保持する分注ピッペット
保持部42と、各液状原料と添加物が分注され予め設定された比率で混合される66個の
混合容器431をラック432に保持する混合容器保持部43とを備えている。
【0035】
また、前記混合容器431内の各液状試料を駆動装置442に取り付けられた攪拌棒4
41で攪拌・混合する攪拌機構44と、吸引・吐出機構51とを備えている。吸引・吐出
機構51は、分注ピペット421の搬送ヘッドとなされており、搬送手段5により原料容
器、混合容器、ライブラリープレート間を搬送される。吸引・吐出機構と分注ピペット4
21のヘッドとは別であってもよいが、兼ねていると、(i)同じ機能の装置を一つにで
きるのでコスト的に有利、(ii)吸引・吐出した後にピペットチップを取り替えないでライ
ブラリプレートへ分注するほうが、正確な量を分注できる、(iii)ピペットチップの付
け替えの工程を省略できる、などの利点がある。
【0036】
原料ボトル411、添加物ボトル412、分注ピペット421、混合容器431はそれ
ぞれラック413、422、432によって着脱可能に保持されている。この実施形態で
は、図1に示すように、原料ボトル411は3個用意され、3種類の液状原料を分注する
ことができるようになっており、添加物ボトルは2個用意され、2種類の添加物を分注す
ることができるようになっている。また、混合容器431は66個用意され、原料組合せ
比率の異なる66種類の試料を製造できるようになっている。
【0037】
また、分注ピペット421は、吸引・吐出機構51に着脱可能に保持され、個別の混合
容器への分注動作に使用される。つまり、搬送手段5によって分注ピペット421を原料
ボトル411及び添加物ボトル412と混合容器431との間を移動させることができ、
原料ボトル411と添加物ボトル412からの原料と添加物の予め設定した量を吸引し、
混合容器431へ吐出することを可能としている。また、混合容器431中の液状試料を
予め設定した回数、吸引・吐出した後、分注ピペット421で吸引して予め設定した量の
液状試料を図示しないライブラリプレートに分注することを可能にしている。
【0038】
この吸引・吐出の際に、ピペットチップの内面を液状試料で一度以上、濡らしておく方
が、液状試料のピペットチップへのなじみ具合が安定するので、吸引・吐出量が安定する
。なお、実施例では、混合容器への分注用とライブラリプレートへの分注用と同じ種類の
ピペットを使っているが、混合容器への分注量とライブラリプレートへの分注量が極端に
異なる場合は、ライブラリプレート用として、他のピペット保持部を準備することが好ま
しい。ライブラリプレート上の試料数が多くなれば、異なる種類のピペットを使用するこ
とが好ましい。
【0039】
混合容器431のラック432は、矢印で示すように、分注ピッペット保持部42の近
傍から攪拌機構44の下部に移動可能となされている。攪拌機構44は、駆動装置442
に6本の撹拌棒441が備えられており、一度に6個の混合容器の内容物を均質に撹拌・
混合できるようになされている。攪拌時間を1分と設定すると、全ての液状試料を攪拌し
、均質化するために、11分を要することになる。
【0040】
次に、本発明のライブラリ製造装置の動作を、工程に従って詳しく説明する。まず、液
状原料を原料ボトル411に入れ、液状の添加物を添加物ボトル412に入れ、原料ボト
ルラック413に保持する。次に、分注工程では、分注ピペット421を利用し、原料ボ
トル411と添加物ボトル412から予め設定した量の原料と添加物を採取し、搬送手段
5により混合容器保持部43まで運び、混合容器431に分注する。この動作を各原料容
器411に対して繰り返し、各混合容器431に対して異なる組合せ比率となるように分
注していく。また、予め設定した量の添加物を各混合容器431に分注していく。
【0041】
混合容器へ分注する原料と添加物の量は適宜定める。ライブラリプレート上への1個の
試料当りの分注量は、溶液の濃度や、試料の分析内容により変わる。例えば、混合容器へ
の分注量を1000μlとした場合、20μl〜200μl程度の量をライブラリプレー
ト上への1個の試料当りの分注量とする。X線による分析の場合は、100μlを1個の
試料当りのライブラリプレート上への分注量とすることが好ましい。
【0042】
液状原料を用いているので、原料を、シリンジポンプ等を利用した分注ピペット421
による吸引容量で秤量することができ、かつ、均質な混合が可能になる。分注ピペット4
21は、原料や添加物の混入を避けるために、原料や添加物の種類が変わる毎に新しいも
のと自動的に交換される。ここで、原料や添加物の混入を避けるために、分注ピペット4
21の洗浄工程を加えることも可能である。
【0043】
続いて、攪拌工程が実行される。分注工程が終わると、混合容器431のラック432
が攪拌機構44の下に移動する。そして、混合される混合容器431の上に撹拌棒441
が位置した所で静止する。次に、攪拌機構44が下降し、撹拌棒441が混合容器431
の中の液に差し込まれ、駆動装置442により撹拌棒441の回転が始まり、原料が均質
に混合される。全ての液状試料の混合が終わると、攪拌機構44が上昇する。
【0044】
次に、混合容器431のラック432が元の位置にもどる。また、搬送手段5により吸
引・吐出機構51にライブラリプレートへの分注用の新たな分注ピペット421が保持さ
れ、攪拌後の一つの混合容器431内の液状試料の分注ピペット421による吸引・吐出
が入力手段から入力された回数行われた後、同じ分注ピペット421を用いて直ちにその
混合容器431内の1個の試料当りの分注量の液状試料が図示しないライブラリプレート
の所定の位置に分注される。他の混合容器431内の液状試料も同様にライブラリプレー
トの所定の位置に分注され、ライブラリが製造される。
【0045】
同じ種類のライブラリを製造する場合は、混合容器に残った液状試料を使って以上の工
程を繰り返すことにより効率的に製造できる。具体的には、同じライブラリを異なる温度
処理をするといった場合や、異なる薬剤に対する反応を測定する、異なる生体物質による
反応を測定するといった場合等が挙げられる。この場合、製造されるライブラリの枚数か
ら、製造する液状試料の量を決めることが好ましい。
【0046】
なお、混合容器に残って不要とされる液状試料は、必要な処理を施し、安全に廃棄する
ことが必要となる。この際、液状試料は容器ごと回収した後、容器と液状試料とを分離し
、別々に処理・廃棄することが好ましい。また、各液状試料をピペットで全量吸引して排
液容器に吐出できるようにしておけば、容器と液状試料との分離は、より容易になるので
好ましい。混合容器から液状試料を完全に分離するためには、単なる吸引による除去では
難しい。そのため、コンタミネーションを防ぐために、混合容器は一連の工程毎に取り替
えることが好ましい。混合容器を洗浄等により不純物の付着していない状態にし、再度利
用するといったことは、資源の有効利用という点から好ましい。
【0047】
製造されたライブラリが、酸化金属の混合物のように、さらに反応を起こさせて特性を
発現させるものである場合、600℃以上、組成によっては800℃以上の温度で焼成す
る。
【実施例】
【0048】
次に、図1、図2を参照して、本発明の試料製造方法の実施例を説明する。具体的な試
料製造の例として、リチウム二次電池正極材料として期待される三成分系ラムスデライト
型結晶相の分析を挙げて説明する。出発原料である液状原料として、(1)酢酸クロム(
Cr(OCOCH)の0.5mol/l水溶液、(2)水酸化リチウム水和物(L
iOH・HO)の0.5mol/l水溶液及び(3)水を分散媒とした酸化チタン(T
iO)スラリー濃度0.5mol/lの3種類を用いた。また、添加物として、エチレ
ングリコールとトリエチレングリコールを用いた。上記3種類の液状原料を3個の原料ボ
トル411に、2種類の添加物を2個の添加物ボトル412に準備した。
【0049】
まず、入力ステップ11で、上記3種類の液状原料の識別名とそのモル濃度と、組成図
の座標の分割数を10と、添加物の種類と量と、攪拌時間1分と吸引・吐出回数3回と、
その他の試料製造条件を入力手段2により入力した。この際、液状原料は、それぞれを識
別名として画面表示されている原料1、原料2、原料3に濃度を入力することにより識別
名を選択した。添加物も同様にそれぞれを添加物1、添加物2として入力した。
【0050】
入力が終わると、制御手段1により組成図作成ステップ12が実行され、表示手段3に
図3に示す組成図31が表示される。ここで、座標の分割数は10であり、このときの組
成の組み合わせは66とおりになる。また、図示はしていないが、組成図31の組成点に
は、頂点を1とし、その下の段は左から2,3、さらにその下の段は4,5,6というよ
うに数字による符号が付されている。
【0051】
さらに、範囲設定ステップ13では、入力手段2で表示手段3に表示された組成図31
の範囲を設定した。ここでは、広い範囲の組合せ比率の液状試料を製造するため、組成図
31の全ての範囲を設定した。
【0052】
続いて、制御手段1により組合せ比率計算ステップ14が実行され、設定された組成図
の全範囲において、組成図の座標の分割数10に従って組成点ごとの3種の液状原料の組
合せ比率を自動的に計算した。続いて、原料分注ステップ15において、組合せ比率の異
なる66とおりの液状試料を配合した。次に、添加物添加ステップ16で、2種類の添加
物を予め設定した量添加した。
【0053】
続いて、攪拌ステップ17で、各液状試料を入力手段から入力した攪拌時間により1分
間攪拌した。1度に6種類の液状試料の攪拌を行ったので、66種類全ての液状試料を攪
拌し、均質化するために合計11分間を要した。このようにして、66種類という多種類
の液状試料が自動的に製造された。
【0054】
つまり、最初の混合容器内の液状試料が攪拌により均質化されてから11分が経過して
おり、特に、酸化チタンスラリーを成分として多く含む液状試料は、成分が沈殿し上部に
半透明の層が観測された。
【0055】
吸引・吐出ステップ18で、1の混合容器中の液状試料を入力手段から入力した回数で
ある3回だけ分注ピペット421で吸引・吐出した後、ライブラリ製造ステップ191に
おいて、同じ分注ピペット421でライブラリプレートに1個の試料当りの量を分注した
。次に、2番目の混合容器中の液状試料、3番目の混合容器中の液状試料というように、
その他の混合容器中の液状試料に対しても同様な操作を繰り返した。合計66回の操作を
繰り返してライブラリを製造した。分注ピペット421で3回吸引・吐出した液状試料は
、目視により均質であることを確認した。ここで、ライブラリプレートとしては、66の
凹部(ウエル)を有する白金製のものを使用した。
【0056】
その後、焼成ステップ192で、ライブラリを、絶対温度で、1173度、1273度
、1373度で所定時間加熱した。焼成された試料は、添加物であるエチレングリコール
やトリエチレングリコールを含まないものに比べて、ひび割れや変形の少ないものが得ら
れ、良好なX線回折線が計測可能なものであった。
【0057】
焼成された試料のX線回折線を計測し、X線回折データファイル(例えば、JCPDS
ファイル)と照合し、生成物中の既知相であるラムスデライト結晶相を抽出した。ここで
は、反応トレー上の全ての試料について回折図を抽出し、原料数を3であるので、3次元
空間に解析照合結果をプロットし、図4に示すように、組成図上に表示した。
【0058】
図4に示すように、分析結果が当初の組成図に書き込まれた。ラムスデライト結晶相が
観測された組成32を黒丸で示す。この結果から、ラムスデライト結晶相は、絶対温度1
373度で、広い範囲で観測され、図4の組成図31内の選択した特定の範囲32でラム
スデライト結晶相が生成することが期待される。組成図31内の特定の範囲32を設定し
、分割数を20又は30というように増やすことにより、さらに詳細な分析が可能となる

【0059】
以上、本発明の実施例を図面により説明したが、本発明の具体的構成はこの実施例に限
られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に
含まれる。例えば、組成図は3成分系に限らず、4成分系以上の系であってもよい。例え
ば、4成分系では、組成図を3角錐で視覚的に表示することが可能である。組成図の範囲
設定は、面で設定してもよいし、各組成そのものを設定してもよい。組成図の分割数は1
0より小さくてもよいし、20より大きくてもよい。また、2以上の数であれば任意に設
定してよい。また、攪拌時間は1分に限定されるものではなく、液状試料の均質化に必要
な時間を任意に設定することができる。また、液状原料を分注するピペットチップとライ
ブラリプレートに分注するピペットチップとは同形状のものを使用する必要はなく、容量
や形状の異なるものを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のライブラリ製造装置及びライブラリ製造方法によれば、複数の無機物質原料又
は有機物質原料及びそれらを組み合わせた原料を数十から数百とおりの組合せ比率で混合
し、且つ化学処理条件を種々変更した組成物の合成が効率的に正確にできるので、膨大な
実験数をこなすことができ、新物質の発見を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の試料製造装置の実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の試料製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の試料製造装置で得られた座標の分割数10の組成図である。
【図4】本発明の試料製造装置で製造した試料を焼成したものの分析結果を示す組成図である。
【符号の説明】
【0062】
31 座標の分割数10の組成図
32 組成図の設定された範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中において混合する液状試料生
成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・吐出機構と、を有するライ
ブラリ製造装置であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、前記攪拌機構の運転時間
と、前記吸引・吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライ
ブラリプレートに形成する1個の試料当りの分注量のデータの入力手段と、
前記入力手段に入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関する
各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段と、
前記制御手段により、前記液状試料生成機構を作動させて組合せ比率の異なる複数種の液
状試料を自動的に生成し、前記攪拌機構を作動させて前記入力手段から入力した運転時間
の間前記液状試料の攪拌をし、前記吸引・吐出機構を作動させて前記入力手段から入力し
た回数の前記液状試料の混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記
複数の液状試料のそれぞれを前記吸引・吐出機構によりライブラリプレートの所定の位置
に分注するライブラリ生成手段と、
を備えていることを特徴とするライブラリ製造装置。
【請求項2】
複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中において混合する液状試料生
成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・吐出機構と、
を有するライブラリ製造装置であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、混合される前記複数種の
液状原料の識別名と、組成図の座標の分割数と、前記攪拌機構の運転時間と、前記吸引・
吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライブラリプレート
に形成する1個の試料当りの分注量のデータの入力手段と、
前記入力手段に入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関する
各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段と、
前記制御手段により、前記入力手段から入力された前記液状原料の種類の数に相当する次
元の組成図を作成し、前記入力手段から入力された前記分割数に応じて、前記複数種の液
状原料を混合して得られる液状試料に含まれる各液状原料の割合を等分した組成点を定め
、各組成点に互いに異なる符号を付し、それらの符号に対応する組成点における前記複数
の液状原料の組合せ比率を自動的に計算し、前記液状試料生成機構を作動させて前記制御
手段によって計算された比率で混合して組合せ比率の異なる複数種の液状試料を自動的に
生成し、前記攪拌機構を作動させて前記入力手段から入力した運転時間の間前記液状試料
の攪拌をし、前記吸引・吐出機構を作動させて前記入力手段から入力した回数の前記液状
試料の混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記複数の液状試料の
それぞれを前記吸引・吐出機構によりライブラリプレートの所定の位置に分注するライブ
ラリ生成手段と、
を備えていることを特徴とするライブラリ製造装置。
【請求項3】
複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中において混合する液状試料生
成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・吐出機構と、を有するライ
ブラリ製造装置を利用したライブラリ製造方法であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、前記攪拌機構の運転時間
と、前記吸引・吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライ
ブラリプレートに形成する1個の試料当りの分注量のデータを入力手段を介して制御手段
に入力するステップと、
前記入力手段から入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関す
る各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段により前記複数
種の液状原料を異なる組み合わせ比率で前記混合容器中において前記液状試料生成機構に
より混合し、液状試料を生成するステップと、
前記撹拌機構で前記液状試料を前記混合容器中で前記入力手段から入力した時間の間撹拌
して前記液状試料を均質化するステップと、
前記混合容器中の攪拌後の液状試料毎に前記吸引・吐出機構により前記入力手段から入力
した回数、混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記吸引・吐出機
構でライブラリプレートの所定の位置に前記各液状試料を分注するステップと、
を備えることを特徴とするライブラリ製造方法。
【請求項4】
複数種の液状原料を異なる組合せ比率毎に個別の混合容器中において混合する液状試料生
成機構と、前記液状試料の攪拌機構と、前記液状試料の吸引・吐出機構と、を有するライ
ブラリ製造装置を利用したライブラリ製造方法であって、
前記複数種の液状原料の組合せ比率及び混合容器への分注量と、混合される前記複数種の
液状原料の識別名と、組成図の座標の分割数と、前記攪拌機構の運転時間と、前記吸引・
吐出機構による前記液状試料の吸引・吐出回数及び吸引・吐出量と、ライブラリプレート
に形成する1個の試料当りの分注量のデータを入力手段を介して制御手段に入力するステ
ップと、
前記入力手段から入力されたデータと予め設定された工程に基づきライブラリ製造に関す
る各要素作業を自動的に実行させる記憶装置と演算装置を備えた制御手段により前記組成
図を作成し表示するステップと、
前記組成図の範囲を設定するステップと、
設定された組成図の範囲と前記組成図の座標の分割数に従って前記複数種の液状原料の組
合せ比率を自動的に計算するステップと、
前記複数種の液状原料を自動的に計算された組合せ比率で、前記混合容器中において前記
液状試料生成機構により混合し、液状試料を生成するステップと、
前記撹拌機構で前記液状試料を前記混合容器中で入力手段から入力した時間の間撹拌して
前記液状試料を均質化するステップと、
前記混合容器中の攪拌後の液状試料毎に前記吸引・吐出機構により前記入力手段から入力
した回数、混合容器中からの吸引と混合容器中への吐出を行った後に、前記吸引・吐出機
構でライブラリプレートの所定の位置に前記各液状試料を分注するステップと、
を備えることを特徴とするライブラリ製造方法。
【請求項5】
請求項4又は5記載のライブラリ製造方法により製造されたライブラリを焼成することを
特徴とするライブラリ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−136863(P2006−136863A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330945(P2004−330945)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】