説明

ラップフィルム用収納箱

【課題】コアのないラップロールを使用する場合において、使用後半のラップロールの折れ曲がりを回避でき、最後まで円滑に巻き解けて繰り出せる、ラップフィルム用収納箱を提供する。
【解決手段】ラップフィルム用収納箱10は、収納箱本体部11と、蓋部12と、垂下片部13と、カッター14と、更に、ラップロールRを収容してからその上にラップフィルムFをスリット15aに通した状態に載置するスリット付きの中蓋15を有してなる。中蓋15は、使用の最初から最後まで、ラップフィルムFを全幅均等にラップロールRから引き剥がすガイド機能を果たす。使用の後半では、ラップフィルムFを箱外へ引出してカッター14まで導く操作を行うと、巻径が小さく軽量になったラップロールRが折れ曲がることなく中蓋15を載置したまま浮き上がり、この際に、中蓋15は、全幅にわたり均等にラップフィルムFをラップロールRから引き剥がすガイド機能を果たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等をラップ包装するラップフィルムを巻回したラップロールを収容するラップフィルム用収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のラップフィルム用収納箱は、収納箱本体部に収納したラップロールからラップフィルムを箱外へ所望の長さ繰り出し、収納箱本体部の外面と、蓋部又は蓋部より延在し収納箱本体部の前壁部外面に重なる垂下片部と、によりラップフィルムを押さえ、該ラップフィルムにテンションをかけつつカッターに当てることにより切断し得る機能を備えている。
【0003】
特に、従来のラップフィルム用収納箱の前壁部に、ラップフィルムに全幅に均等な張力がかかりラップフィルムがラップロールからしわの発生や偏りの生じない状態で繰り出されるように機能するスリット又は同等のガイド手段を備えたものが提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−203567号公報
【特許文献2】特開2002−326627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に記載されたラップフィルム用収納箱によれば、コアのないラップロール(芯なしラップロール)を使用する場合は、ラップロールの巻径が小さく軽量になって折れ曲がり易くなる使用の最後の頃には、ラップフィルムを箱外へ引出してカッターまで導く操作を行うときの引出し力が、ラップロールの長さ中央に集中し、この引出し力が、コアのないラップロールに対して折り曲げ力として作用し、ラップロールに折れ曲がりが生じるとラップフィルムの巻き解き繰り出しが行われ難くなる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情にかんがみ案出されたものであり、その課題とするところは、コアのないラップロールを使用する場合において、使用の後半のラップロールが折れ曲がり易くなる段階においても折れ曲がりを回避でき、ラップフィルムを最後まで円滑に巻き解けて繰り出せる、ラップフィルム用収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の包装用ラップフィルム用収納箱は、ラップフィルムを巻回したラップロールを上部の開口より収納し得る収納箱本体部と、前記収納箱本体部の一側縁に連接され前記開口を開閉する蓋部と、前記蓋部の前端縁に連接され前記蓋部が開口を閉じるときに前記収納箱本体部の前壁部の外面に重なる垂下片部と、適宜位置に設けられ前記ラップロールから箱外へ繰り出されるラップフィルムを切断するカッターと、を有するラップフィルム用収納箱において、前記収納箱本体部内には、前記ラップロールを収容してからその上に載置する中蓋を有し、該中蓋には、幅中央部に前記ラップロールから繰り出されるラップフィルムを通すスリットを備えている、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成の包装用ラップフィルム用収納箱によれば、蓋部を開けて初めてラップフィルムを使用する際に、既に、ラップロールから繰り出されるラップフィルムを全幅にわたりラップロールから?がし中蓋のスリットに通した状態にセットできる。このため、使用の初めからラップフィルムを箱外へ引出してカッターまで導く操作が容易であり、フィルムの全幅にわたり均等に引出すことができる。また、使用の最初から最後まで、ラップロールから繰り出されるラップフィルムを全幅均等にラップロールから引き剥がすガイド機能を果たす。特に、使用の後半では、ラップフィルムを箱外へ引出してカッターまで導く操作を行うと、巻径が小さく軽量になったラップロールの長さ中央に力が集中する。この力は、コアのないラップロールに対しては折り曲げ力として作用するが、ラップフィルムが中蓋のスリットに通されているので、力がラップフィルムの全幅に分散し、巻径が小さく軽量になったラップロールが折れ曲がるように作用することがなく、中蓋を載置したまま浮き上がり、この際に張力を全幅にわたり均等にラップフィルムを全幅にわたりラップロールから引き剥がすガイド機能を果たす。
【0009】
上記構成のラップフィルム用収納箱において、前記中蓋は、長手方向の一側外方から前記スリット内へ前記ラップロールから繰り出されるラップフィルムを通すための、前記スリットの一端と中蓋側端とを結ぶすり割りを備えていることが望ましい。この構成によれば、中蓋のスリット内へラップロールから繰り出されるラップフィルムを通し作業が簡単に短時間で行えるから、量産性に適する。また、使用時、フィルムの引出しの途中で不意に切れてしまい、フィルム端縁が中蓋のスリットを通り抜けてしまった場合でも、中蓋にすり割りがあることにより、フィルム端縁を中蓋のスリットに通して使用可能な状態に復旧させることが迅速容易に行える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のラップフィルム用収納箱によれば、ラップフィルムを通すスリットを有する中蓋を備えたことにより、ラップフィルムを箱外へ所望長さ引出してカッターまで導く操作を行うときに、ラップフィルムの全幅に均等な張力がかかり、ラップフィルムがラップロールからしわの発生や偏りが生じない状態で繰り出されるガイド機能を備え、更に、コアのないラップロールを使用する場合において、ラップロールが折れ曲がり易くなる使用の後半においても、ラップフィルムを箱外へ引出してカッターまで導く操作を行うときの引出し力をフィルムの全幅に平均化して伝わるようにして、コアのないラップロールの折れ曲がりを回避でき、ラップフィルムを最後まで円滑に巻き解けて繰り出せる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係るラップフィルム用収納箱について図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
まず、図1及び図2に示すように、ラップフィルム用収納箱10は、収納箱本体部11と、蓋部12と、垂下片部13と、カッター14と、を有し、更に、収納箱本体部11内には、ラップロールRを収容してからその上にラップフィルムFをスリット15aに通した状態に載置するスリット付きの中蓋15Aを有してなる。
【0012】
収納箱本体部11と蓋部12と垂下片部13は、例えばコートボール紙(550g/m2 )等の紙材を用いて所要展開形状にプレスにより打ち抜き形成され、該所要展開形状の板紙を折り曲げかつ必要に応じて接着剤を用いて横長の略角柱密閉空間を形成するように設けられている。中蓋15Aは、上記と同様に、紙材を用いてプレスにより打ち抜き形成される。
【0013】
収納箱本体部11は、底壁部と前壁部と後壁部と左右の側壁部とを含み、ラップフィルムFを巻回したラップロールRを上部の開口より収納し得る部分である。蓋部12は、収納箱本体部11の一側縁(底壁部上縁)に連接され開口を開閉する。垂下片部13は、蓋部12の前端縁に連接され蓋部12が開口を閉じるときに収納箱本体部11の前壁部11aの外面に重なる。左右の側壁部には、ラップロールRの端面開口に入り込んで該ラップロールRの浮き上がり等の動きを制限する規制片16を備えている。この規制片16は、ミシン目カット線と薄肉となるようにプレスされた折り線とで囲繞された舌状部分であり、ユーザーが、該舌状部分を指で押圧してミシン目カット線を切断しラップロールRの端面開口に入り込ませるものである。
【0014】
カッター14は、適宜位置に設けられラップロールRから箱外へ繰り出されるラップフィルムFを切断する。ここでは、カッター14は、金属薄板、プラスチック板、或いは板紙をプレス打ち抜きしてなるか、又はプラスチック成形してなり、収納箱本体部11の底壁部下面前縁に設けられ、波状三角刃(刃先)を前方へ突出している。
【0015】
中蓋15Aは、幅中央部にラップロールRから繰り出されるラップフィルムFを通すスリット15aを備え、更に、長手方向の一側外方から前記スリット15a内へ前記ラップロールRから繰り出されるラップフィルムFを通すための、スリット15aの一端と中蓋側端とを結ぶすり割り15bを備えている。
【0016】
上記構成の包装用ラップフィルム用収納箱によれば、蓋部12を開けて初めてラップフィルムを使用する際に、既に、ラップロールRから繰り出されるラップフィルムFを全幅にわたりラップロールRから?がし中蓋15のスリット15aに通した状態にセットできるから、使用の初めからラップフィルムFを箱外へ引出してカッター14まで導く操作が容易であり、フィルムの全幅にわたり均等に引出すことができる。
【0017】
メーカーが、ラップフィルムFを中蓋15Aのスリット15aに通した状態にセットする場合、中蓋15が収納箱と分離したものであるからハンドリング性が良く、更に、スリット15aの一端にすり割り15bがあるので、ラップフィルムFをスリット15aに通すことが容易にできる。上記ラップフィルム用収納箱10は、ラップロールRを使いきった時に新しいラップロールを交換使用する場合にも適用され、この場合、消費者でもラップフィルムFをスリット15aに通すことが容易にできる。
【0018】
そして、中蓋15Aは、使用の最初から最後まで、ラップロールRから繰り出されるラップフィルムFを全幅均等にラップロールRから引き剥がすガイド機能を果たす。特に、使用の後半では、ラップフィルムFを箱外へ引出してカッター14まで導く操作を行うと、巻径が小さく軽量になったラップロールRの長さ中央に力が集中する。この力は、コアのないラップロールRに対しては折り曲げ力として作用するが、ラップフィルムFが中蓋15のスリット15aに通されているので、巻径が小さく軽量になったラップロールRが折れ曲がることなく中蓋15Aを載置したまま浮き上がり、この際に、中蓋15Aは、張力を全幅にわたり均等にラップフィルムFをラップロールRから引き剥がすガイド機能を果たす。
【0019】
〔その他の実施の形態〕
本発明は上記第1の実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【0020】
図4、図5は、上記第1の実施の形態とは相違している2種類の中蓋15B,15Cを示している。スリット15aとすり割り15bがあることについては、上記図3に示す中蓋15Aと同一である。
【0021】
上記ラップフィルム用収納箱10は、コートボール紙等のような紙材から構成したが、本発明の収納箱は、上記収納箱と同様な構造のものを、適度な肉厚を有する硬質合成樹脂板、例えば、厚さ0.2mm〜2.0mm程度のPE,PP等の合成樹脂板を用いて構成してもよい。上記ラップフィルム用収納箱10は、コアにラップフィルムを巻回してなるラップロールを収容する場合にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るラップフィルム用収納箱の斜視図である。
【図2】図1のラップフィルム用収納箱の使用状態を示す縦断面図である。
【図3】図1のラップフィルム用収納箱の中蓋の斜視図である。
【図4】他の実施の形態に係る中蓋の斜視図である。
【図5】他の実施の形態に係る中蓋の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ラップフィルム用収納箱
11 収納箱本体部
12 蓋部
13 垂下片部
14 カッター
15A,15B,15C 中蓋
15a スリット
15b すり割り
R ラップロール
F ラップフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムを巻回したラップロールを上部の開口より収納し得る収納箱本体部と、
前記収納箱本体部の一側縁に連接され前記開口を開閉する蓋部と、
前記蓋部の前端縁に連接され前記蓋部が開口を閉じるときに前記収納箱本体部の前壁部の外面に重なる垂下片部と、
適宜位置に設けられ前記ラップロールから箱外へ繰り出されるラップフィルムを切断するカッターと、
を有するラップフィルム用収納箱において、
前記収納箱本体部内には、前記ラップロールを収容してからその上に載置する中蓋を有し、該中蓋には、幅中央部に前記ラップロールから繰り出されるラップフィルムを通すスリットを備えている、
ことを特徴とするラップフィルム用収納箱。
【請求項2】
前記中蓋は、長手方向の一側外方から前記スリット内へ前記ラップロールから繰り出されるラップフィルムを通すための、前記スリットの一端と中蓋側端とを結ぶすり割りを備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム用収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−292508(P2009−292508A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148186(P2008−148186)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】