ラベル付き物品
【課題】 本発明の課題は、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルが、流通過程で脱落することを防止することである。
【解決手段】 本発明のラベル付き物品1は、凹凸面72と前記凹凸面72に連続した平滑面71とを有する物品7と、粘着剤層4が設けられた粘着ラベル2と、を備え、前記粘着ラベル2が、その粘着剤層4を介して前記物品7の凹凸面72と平滑面71に跨って貼着されており、前記凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応する前記粘着ラベル2の縁部に、ラベルの面内方向に向かって延びる切込み部5が形成されている。
【解決手段】 本発明のラベル付き物品1は、凹凸面72と前記凹凸面72に連続した平滑面71とを有する物品7と、粘着剤層4が設けられた粘着ラベル2と、を備え、前記粘着ラベル2が、その粘着剤層4を介して前記物品7の凹凸面72と平滑面71に跨って貼着されており、前記凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応する前記粘着ラベル2の縁部に、ラベルの面内方向に向かって延びる切込み部5が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の表面に粘着ラベルが貼着されたラベル付き物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の表面にラベルが貼着されたラベル付き物品が広く流通している。
このラベルは、物品に対して剥がれないように、水系接着剤や感熱性接着剤などの接着剤を介して物品に貼り付けられている場合もあれば、物品から剥離可能なように、粘着剤を介して貼り付けられている場合もある。
粘着剤を介して貼り付けられるラベルは、一般的に粘着ラベル又はタックラベルと呼ばれており、様々な目的で使用されている。
目的別による粘着ラベルとしては、例えば、物品の製造年月日や商品名などの表示するための汎用的な粘着ラベル、賞品応募券などとして利用するためのキャンペーンラベル(特許文献1)、及び、消費者の目に止まりやすく且つ広告宣伝効果を高めるためのPOPラベル(アイキャッチラベルとも呼ばれる)などが知られている。
【0003】
ところで、近年、物品として、クリスタルカット模様などの凹凸面が形成された容器(例えば、ダイヤモンドカット状の凹凸面が表面に形成された焼酎入りアルミニウム缶など)が多数流通している。
このような容器の表面には、通常、凹凸面に連続して平滑面が形成されているが、凹凸面が大面積を占めている。
かかる容器の凹凸面に粘着ラベルを貼着すると、凹凸面の凹部に粘着ラベルの粘着剤層が接触しないので、流通過程で、粘着ラベルが簡単に剥がれて容器から脱落するという問題点がある。一方、容器の平滑面に粘着ラベルを貼着すれば、前述のような粘着ラベルの剥がれは生じない。
しかしながら、平滑面の占有面積が小さい容器に対しては、ラベルの貼着位置や制限されたスペースの関係上、粘着ラベルの全体を平滑面に貼着できない場合がある。
【0004】
このような場合、粘着ラベルは、凹凸面と平滑面に跨って貼着される。
しかしながら、凹凸面と平滑面に跨って粘着ラベルを貼着すると、流通過程で、凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域が凹凸面から剥がれ、それに追従して、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域がその縁から次第に平滑面から剥がれていき、最終的に粘着ラベルが脱落するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−268557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルが脱落し難いラベル付き物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラベル付き物品は、凹凸面と前記凹凸面に連続した平滑面とを有する物品と、粘着剤層が設けられた粘着ラベルと、を備え、前記粘着ラベルが、その粘着剤層を介して前記物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着されており、前記凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する前記粘着ラベルの縁部には、ラベルの面内方向に向かって延びる切込み部が形成されている。
【0008】
一般に、ラベル付き物品の流通過程で、凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域は、密着面積が小さいので、凹凸面から剥がれ易い。
上記本発明のラベル付き物品は、凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する粘着ラベルの縁部に、切込み部が形成されている。
本発明のラベル付き物品において、その凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域が凹凸面から剥がれるときの剥離力は、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域にも伝搬するが、両領域の間には上記切込み部が形成されているので、その剥離力は切込み部の先端部に作用する。よって、前記剥離力が、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域の縁部に作用せず、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域が剥がれることを防止できる。
このため、仮に凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域が物品から剥がれたとしても、粘着ラベルの全体まで剥がれることがなく、よって、粘着ラベルの脱落を防止できる。
【0009】
本発明の好ましいラベル付き物品は、前記切込み部の始端部が境界線又はその境界線の近傍に対応し、前記切込み部が、前記境界線と平行な方向に延びている、又は、前記境界線に対して傾斜して平滑面側に延びている。
本発明の他の好ましいラベル付き物品は、前記切込み部が、所定幅を有する切込みからなり、前記切込み部の先端部が弧状に形成されている。
本発明の他の好ましいラベル付き物品は、前記凹凸面に貼着されている前記粘着ラベルの第2領域の厚みが前記平滑面に貼着されている前記粘着ラベルの第1領域の厚みよりも薄い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のラベル付き物品は、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルが脱落することを防止できる。
本発明によれば、様々な形状の凹凸面を有する物品に、脱落しないように粘着ラベルを貼着できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る粘着ラベルの平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】ダイヤモンドカット状の凹凸面が表面に形成されたアルミニウム缶の正面図。
【図5】図4の二点鎖線で囲んだV部の拡大図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【図7】本発明の1つの実施形態に係るラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凸部を示すための実線は、その一部を省略している。
【図8】図7のVIII−VIII線の拡大断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る粘着ラベルの平面図。
【図10】本発明のさらなる他の実施形態に係る粘着ラベルの平面図。
【図11】図10の粘着ラベルが貼着されたラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凸部を示すための実線は、その一部を省略している。
【図12】本発明の他の実施形態に係るラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凸部を示すための実線は、その一部を省略している。
【図13】本発明のさらなる他の実施形態に係るラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凹部を示すための実線は、省略している。
【図14】図13のXIV−XIV線の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のラベル付き物品は、凹凸面と凹凸面に連続した平滑面とを有する物品と、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルと、を備え、凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する粘着ラベルの縁部に切込み部が形成されている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
【0013】
[粘着ラベル]
図1乃至図3は、本発明のラベル付き物品に用いられる粘着ラベル2を示す。
この粘着ラベル2は、ラベル基材3と、前記ラベル基材3の裏面に設けられた粘着剤層4と、を有する。
【0014】
この粘着ラベル2(ラベル基材3でも実質的に同じ)の縁部2a,2bには、粘着ラベル2の脱落を防止するために、切込み部5が形成されている。この切込み部5は、粘着ラベル2の対向する2つの縁部2a,2b(以下、第1縁部2a及び第2縁部2bという)にそれぞれ1箇所設けられている。
【0015】
前記2つの切込み部5の始端部5aを結んだ仮想線Xを基準にして粘着ラベル2を2つの領域に分けると、その一方の領域21(第1領域)は、物品の平滑面に貼着される部分となり、その他方の領域22(第2領域)は、物品の凹凸面に貼着される部分となる。この第2領域22の厚みは、第1領域21の厚みよりも薄くされている。
なお、図1に、仮想線Xを一点鎖線で示している。
【0016】
粘着ラベル2の平面視形状は、特に限定されない。図示例では、粘着ラベル2は、平面視略矩形状に形成されている。もっとも、粘着ラベル2の平面視形状は、略三角形状などの多角形状、略円形状、略楕円形状などでもよい。
粘着ラベル2の大きさは特に限定されず、適宜設計できる。例えば、平面視略矩形状の粘着ラベル2の大きさは、縦×横が10mm〜40mm×10mm〜40mm程度である。矩形状以外の平面視形状の粘着ラベル2の大きさは、例えば、前記矩形状の面積と同程度の面積に形成される。
【0017】
本実施形態におけるラベル基材3は、前記第1領域21を第2領域22よりも厚肉状とするために、少なくとも第1領域21が複数の基材から構成されている。なお、第2領域22も複数の基材から構成される場合には、第1領域21の基材数を第2領域22の基材数よりも多くすればよい。
図示例のラベル基材3は、第1領域21が2層の基材31,32から構成され、且つ、第2領域22が1層の基材32から構成されている。以下、2層の基材を区別するために、第1基材31及び第2基材32と記す。
【0018】
第1基材31は、物品の平滑面に貼着される部分である前記第1領域21と略同じ又はそれよりも小さな形状に形成されており、2つの切込み部5を結んだ仮想線Xを基準にして第2基材32の一方の領域21の上に積層されている。
従って、粘着ラベル2の第1領域21のラベル基材は、第1基材31及び第2基材32からなり、粘着ラベル2の第2領域22のラベル基材は、第2基材32のみからなる。
【0019】
第1基材31及び第2基材32は、ラベルとしての機械的強度を有する柔軟なシートであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
第1基材31及び第2基材32としては、例えば、紙、不織布、合成紙、合成樹脂製フィルムなどが挙げられる。第1基材31及び第2基材32は、それぞれ単一のシートでもよいし、剥がれないように2つ以上のシートが一体的に接着された積層体でもよい。第1基材31及び第2基材32が積層体である場合には、紙、不織布、合成紙、合成樹脂製フィルム及びこれら以外の機能シートから選ばれる2つ以上が積層された積層体を用いることができる。
特に、機械的強度に優れ且つ柔軟性があることから、合成紙若しくは合成樹脂製フィルムの単層又は合成紙若しくは合成樹脂製フィルムを含む積層体が好ましい。
【0020】
合成紙としては、例えば、(株)ユポ・コーポレーションの商品名「ユポ」、東洋紡績(株)の商品名「クリスパー」などを用いることができる。
合成樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂を含む延伸フィルムなどを用いることができ、中でも機械的強度に優れることから、これらの二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0021】
第1基材31及び第2基材32は、透明なシートでもよいし、不透明なシートでもよい。もっとも、第2基材32に施されたデザイン及び第1基材31の裏面に施されたデザインをそれぞれ隠蔽できることから、第1基材31は、不透明なシートが好ましい。具体的には、第1基材31は、合成紙などの不透明なシートが用いられる。
【0022】
第1基材31及び第2基材32の厚みは、特に限定されないが、一般的には、それぞれ30μm〜100μmである。
【0023】
第1基材31及び第2基材32には、必要に応じて、所望のデザインが印刷されていてもよい。なお、デザインの印刷層は図示していない。
第1基材31にデザインが施される場合には、第1基材31の裏面又は表面の少なくとも何れか一方に印刷が施され、好ましくは、第1基材31の表面及び裏面の双方に印刷が施される。第1基材31の表裏面の双方に印刷が施されていれば、第1基材31が第2基材32に貼着された状態において、第1基材31の表面に施されたデザインを消費者に見せることができ、第1基材31が第2基材32から引き剥がされた後には、第1基材31の裏面に施されたデザインを消費者に見せることができる。従って、第1基材31の裏面に賞品応募情報や籤情報などを印刷しておくことにより、第1基材31をキャンペーンラベルとして利用できる。
【0024】
一方、第2基材32にデザインが施される場合には、第2基材32の表面に印刷が施される。第2基材32が透明である場合には、第2基材32の裏面に印刷してもよい。
【0025】
粘着ラベル2の第1縁部2a及び第2縁部2bには、それぞれ切込み部5,5が設けられている。本実施形態の場合には、前記切込み部5は第2基材32に形成されている。
この各切込み部5を形成することにより、第1領域21の第1縁部2a側及び第2縁部2b側には、それぞれコーナー部211,211が形成されている。
【0026】
各切込み部5,5は、粘着ラベル2(第2基材32)の面内方向に向かって延びている。具体的には、各切込み部5,5は、それぞれ第1縁部2a及び第2縁部2bに位置する始端部5aと、粘着ラベル2の面内に位置する先端部5bと、を有し、始端部5aと先端部5bの間が連続して切り込まれている。始端部5aと先端部5bの間は、直線状に切り込むことが好ましいが、弧状などに切り込まれていてもよい。
【0027】
各切込み部5,5は、第1縁部2a及び第2縁部2bの延びる方向に対して略直交する方向に延びている。また、各切込み部5,5は、同じ方向に延びている。一方の切込み部5からその延びる方向に仮想線Xを引いたときに他方の切込み部5に重なるように、各切込み部5,5は形成されている。
【0028】
各切込み部5,5は、線状の切込みでもよいし、所定幅を有する切込み(打ち抜き状の切込み)でもよい。所定幅を有する切込みは、実質的に幅のない前記線状の切込みとは異なっており、非線状の切込みとも言える。
好ましくは、図示したように、各切込み部5,5は、所定幅を有する切込みからなり、その切込みの先端部5bが半円弧状に形成されている。
【0029】
所定幅を有する切込みからなる切込み部5の幅Wは、特に限定されないが、その幅Wが余りに小さいと、その切込みが線状の切込みと実質的に異ならなくなり、その幅Wが余りに大きいと、相対的に粘着ラベル2の面積が小さくなる。このような点から、前記切込み部5の幅Wは、1mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
また、切込み部5の延出長さLも特に限定されないが、その長さLが余りに小さいと、粘着ラベル2の剥がれを防止効果を十分に奏しないおそれがあり、その長さLが余りに大きいと、粘着ラベル2の外観を損ねる上、粘着ラベル2を物品に貼着するときに取り扱い難くなる。このような点から、切込み部5の延出長さLは、2mm〜10mmが好ましく、3mm〜8mmがより好ましい。
【0030】
前記第2基材32の裏面には、粘着剤層4がベタ状に設けられている。
粘着剤層4は、物品の表面に接着する剤であり、接着後に物品から剥離することができ且つ剥離後再貼付可能なものでもよいし、或いは、物品から剥離した後再貼付不可能なものでもよい。
【0031】
粘着剤層4は、第2基材32の裏面に粘着剤をベタ状に塗布することによって形成できる。
粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系などの感圧型粘着剤を用いることができる。感圧型粘着剤は、室温で粘着性を有し、加圧することによって物品に接着する粘着剤であって、物品から剥離後再貼付可能なものである。
【0032】
なお、前記粘着剤として、感熱性粘着剤を用いることも可能である。感熱性粘着剤は、室温下で粘着性を示さず、且つ加熱することによって粘着性を発揮する粘着剤である。粘着剤層4が感圧型粘着剤からなる場合には、粘着ラベル2は、離型紙上に仮貼着されて提供されるが、粘着剤層4が感熱性粘着剤からなる場合には、粘着ラベル2は、離型紙の上に仮貼着せずに提供される。
また、粘着剤は、透明又は不透明の何れでもよいが、透明なものを用いることが好ましい。
粘着剤層4の厚みは、特に限定されず、通常、15μm〜30μmである。
【0033】
さらに、第1基材31の裏面には、粘着剤層6が設けられている。この粘着剤層6は、前記粘着剤層4と同様な粘着剤を用いて形成できる。
第1基材31は、粘着剤層6を介して第2基材32に付着されている。第1基材32は、粘着剤層6を伴って第2基材から剥離できる。必要に応じて、粘着剤層6と共に第1基材31を第2基材32から容易に剥離できるようにするため、第1基材31の表面に公知の剥離剤が塗布されている。
【0034】
なお、前記粘着剤層6に代えて、第1基材31の裏面に、第1基材31を第2基材32に弱く付着させるための、弱接着層を設けてもよい。この弱接着層は、前記粘着剤層4よりも接着力が小さい。第1基材31を弱接着層を介して第2基材32に付着することにより、第1基材31を第2基材32から容易に引き剥がすことができる。弱接着層は、例えば、第1基材31の裏面に、シリコーン樹脂などの離型剤を含むホットメルト粘着剤を塗布することにより形成できる。また、弱接着層は、例えば、第1基材31の裏面に粘着剤を塗布し、その粘着剤の上から粘着力を弱めるためのマスキング剤を塗布することにより形成することもできる。
【0035】
[物品]
図4乃至図6は、本発明のラベル付き物品に用いられる物品7を示す。
物品7の表面には、平滑面71と凹凸面72が連続して形成されている。
凹凸面72は、物品の表面の所定の面積を占めており、凹凸面72は、平滑面71よりも外側に突出した凸部721と、凸部721よりも容器の内側(中心軸方向)に凹んだ凹部722と、を有する。例えば、前記物品7が金属缶である場合、前記凹凸面72は、缶周面の凸部721の形成予定部分を内側から外側に押し出すことにより形成できる。
【0036】
図示例の凹凸面72は、所定の凸部721と凹部722を1つの単位としてその1単位が複数規則的に形成されている。もっとも、凹凸面72は、異なる凸部721と凹部722からなる複数の単位から形成されていてもよい。
【0037】
凹凸面72における凸部721の表面の占める割合(次式参照)は、0%を越え70%以下であり、好ましくは1%〜60%であり、より好ましくは2%〜50%である。前記割合の下限を「0%を越え」としたのは、頂点部が極めて小さい点状である凸部721を形成することも可能であり、このような点状の凸部721の表面の占める割合は、凹凸面72全体からすると、限りなく0%に近づく場合があるからである。
凹凸面72における凸部721の表面の占める割合(%)=(貼着された粘着ラベル2が被さる凹凸面72における凸部721の表面積の和/同凹凸面72の面積)×100。
【0038】
一方、平滑面71は、平滑な面であれば特に限定されず、2次元的な平面でもよいし、湾曲した面でもよい。
前記平滑面71は、粘着ラベル2の第1領域21の全体が粘着剤層4を介して密着するような面であることが好ましい。もっとも、実際の物品7においては、殆どが平滑であるけども一部に粘着ラベル2の裏面が付着しない凹みが存在するような面も存在し、そのような面に粘着ラベル2を貼着しても、流通過程で、粘着ラベル2が剥離するという問題は現実的には生じない。
このため、本発明における平滑面71には、一部に前記凹みを有していてもよい。
【0039】
その平滑面71における前記凹みの占める割合(次式参照)は、10%以下であり、好ましくは5%以下である。
平滑面71における凹みの占める割合(%)=(貼着された粘着ラベル2が被さる平滑面71における凹み部分の占める面積の和/同平滑面71の面積)×100。
【0040】
本実施形態では、物品7として、飲料入りの容器を例示している。
この容器は、例えば、略円筒状に形成されたアルミニウム缶であり、その表面に凹凸面72と平滑面71が形成されている。
【0041】
凹部722は、凸部721よりも凹んでおり、凹部722の最深部は、平滑面71のレベルよりも内側、このレベルと同じ、又は、このレベルよりも外側の何れでもよい。この凹部722は、ダイヤモンドカット状に内側に凹んでいる(正四角錐状の凹み)。かかるダイヤカット状の凹部722に対して、凸部721は、正面から見て略矩形線状(正方形状など)である。
図示したような、円筒状の容器の平滑面71は、全体が平滑で且つ湾曲した面である。
【0042】
[ラベル付き物品]
図7及び図8は、本発明のラベル付き物品1を示す。
このラベル付き物品1は、上記粘着ラベル2が粘着剤層4を介して上記物品7の凹凸面72と平滑面71に跨って貼着されている。
この粘着ラベル2は、その切込み部5の始端部5aが物品7の凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応するように位置合わせして、物品7に貼着されている。
なお、図7に、境界線Yを一点鎖線で示し、図8(及び図6)に、境界線Yの位置を矢印で示している。
【0043】
ここで、凹凸面72と平滑面71の境界線Yは、観念的な仮想線である。本実施形態にあっては、その境界線Yは、平滑面71に隣接する複数の凹部722の端部を結んだ仮想直線である。
本実施形態では、凹凸面72と平滑面71の境界線Y上に粘着ラベル2の切込み部5が対応するようにして、粘着ラベル2が貼着されている。従って、粘着ラベル2の第1領域21(コーナー部211,211を含む)が、平滑面71に貼着され、粘着ラベル2の第2領域22が、凹凸面72に貼着されている。
【0044】
また、本実施形態の粘着ラベル2においては、各切込み部5,5は、仮想線X上に重なるように形成されているので、かかる粘着ラベル2を上記のようにして物品7に貼着したときには、各切込み部5,5は、境界線Yと平行な方向に延びている。
【0045】
凹凸面72に於いては、凸部721と粘着ラベル2の粘着剤層4が密着するため、粘着ラベル2の第2領域22の凹凸面72に対する密着面積割合(次式参照)は、上記凹凸面72における凸部721の表面の占める割合にほぼ対応している。もっとも、粘着ラベル2は柔軟であるため、凸部721の表面からその周囲にかけて粘着ラベル2が密着する場合もある。このような理由から、粘着ラベル2の第2領域22の凹凸面72に対する密着面積割合(次式参照)は、0%を越え約75%以下であり、好ましくは約1%〜約65%であり、より好ましくは約2%〜約55%である。
粘着ラベル2の第2領域22の凹凸面72に対する密着面積割合(%)=(凸部721の表面積の和/粘着ラベル2のうち凹凸面72に被さっている面積)×100。
【0046】
一方、平滑面71に於いては、粘着ラベル2の粘着剤層4が密着する。もっとも、一部に凹みを有する平滑面71にあっては、粘着ラベル2の第1領域21の平滑面71に対する密着面積割合は、上記平滑面71における凹みの占める割合に対応しており、90%以上であり、好ましくは95%以上である。
【0047】
上記ラベル付き物品1は、物品7の凹凸面72と平滑面71に跨って粘着ラベル2が貼着されており、その凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応する粘着ラベル2の縁部に、切込み部5が形成されている。
ラベル付き物品1の流通過程で、凹凸面72に貼着された粘着ラベル2の第2領域22は、密着面積が小さいので、凹凸面72から剥がれ易い。そして、この第2領域22が剥がれるときの剥離力は、第2領域22と一体的に繋がっている第1領域21にも伝搬するが、両者の間には切込み部5が存在するので、前記剥離力は、切込み部5の先端部5bに作用する。よって、前記剥離力が第1領域21のコーナー部211に作用し難く、第1領域21が第2領域22に追従して剥がれることを防止できる。
【0048】
つまり、粘着ラベル2の剥離は、粘着ラベル2の面内から生じることはなく、粘着ラベル2の縁部から生じるが、上記切込み部5を形成することによって、平滑面71に貼着された第1領域21の縁部(コーナー部211)に剥離力が作用し難くなる。このため、粘着ラベル2の第2領域22が物品7から剥がれたとしても、物品7の平滑面71に貼着された第1領域21が剥離せず、よって、粘着ラベル2の脱落を防止できる。
【0049】
また、前記切込み部5の先端部5bが半円弧状に形成されているので、その先端部5bから粘着ラベル2の面内方向に粘着ラベル2が裂けることを防止できる。
例えば、凹凸面72から剥がれて浮き上がった第2領域22が異物に引掛かったとしても、第1領域21と第2領域22を分離するような裂け目が粘着ラベル2に生じることを防止できる。
【0050】
また、前記粘着ラベル2は第2領域22の厚みが第1領域21の厚みよりも薄いので(例えば、第2領域22が1層の基材(第2基材32)からなり、第1領域21が2層の基材(第1基材31及び第2基材32)からなる)、第2領域22の方が剛性が低くなっている。かかる剛性の低い第2領域22によれば、湾曲状の凹凸面72に沿って柔軟に曲がって凸部721の表面に密着するので、流通過程でラベル付き物品1に衝撃が加わっても、第2領域22が凸部721から剥がれ難くなる。
【0051】
[他の実施形態]
本発明のラベル付き物品は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々な態様に変更できる。以下、本発明のラベル付き物品の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同様の構成及び効果についてはその説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0052】
上記実施形態において、粘着ラベル2の切込み部5は、所定幅を有する切込みであってその先端部5bが弧状に形成されているが、切込み部5の先端部5bは、弧状に形成されている場合に限定されない。
また、上記実施形態において、粘着ラベル2の切込み部5は、所定幅を有する切込みを例示したが、切込み部5は、例えば、図9に示すような、線状の切込みでもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、2つの切込み部5,5は、第1縁部2a及び第2縁部2bの延びる方向に対して略直交する方向に延びているが、切込み部5は、ラベルの面内方向に向かって延びていることを条件としてこれに限定されない。例えば、切込み部5が、粘着ラベル2の縁部に対して傾斜する方向に延びていてもよい。この場合、切込み部5は、粘着ラベル2の縁部に対して上向き傾斜して延びていてもよいし、或いは、下向き傾斜して延びていてもよい。粘着ラベル2の脱落を防止できることから、図10に示すように、切込み部5は、粘着ラベル2の縁部に対して上向き傾斜する方向に延びて形成されていることが好ましい。なお、図10の粘着ラベル2は、第1基材31が積層されていない、又は、それが積層されていても不図示としている。
【0054】
この図10の粘着ラベル2は、その第1縁部2a及び第2縁部2bから、それに上向き傾斜して各切込み部5,5が形成されている。このように傾斜した切込み部5,5についても、第1縁部2aにおける切込み部5の始端部5aと、第2縁部2bにおける切込み部5の始端部5aとは、第1縁部2aと直交する仮想線Xの上に位置していることが好ましい。
【0055】
かかる傾斜状の切込み部5,5を有する粘着ラベル2は、上記実施形態と同様に、その切込み部5の始端部5aが物品7の凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応するように位置合わせして、物品7に貼着される。
このように粘着ラベル2が物品7に貼着されたラベル付き物品1は、図11に示すように、切込み部5の始端部5aが境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応し、その切込み部5が、前記境界線Yに対して傾斜して物品7の平滑面71側に延びている。
【0056】
なお、図11では、切込み部5の始端部5aが境界線Y上に対応するように、粘着ラベル2が貼着されたラベル付き物品1を図示している。この場合、切込み部5の先端部5bは、平滑面71に重なる。
このように物品7に貼着された粘着ラベル2の切込み部5が境界線Yに対して平滑面71側に延びていると、剥離力が第1領域21のコーナー部211に作用し難く、粘着ラベル2の脱落を防止できる。
【0057】
また、上記実施形態において、凹凸面72と平滑面71の境界線Y上に切込み部5の始端部5aが対応するように粘着ラベル2が貼着されたラベル付き物品1を例示したが、上述のように、凹凸面72と平滑面71の境界線Yの近傍に切込み部5の始端部5aが対応するようにして、粘着ラベル2が貼着されていてもよい。
【0058】
この場合、切込み部5が前記境界線Yの近傍であって平滑面71側に位置するように粘着ラベル2が貼着される場合、及び、切込み部5が前記境界線Yの近傍であって凹凸面72側に位置するように粘着ラベル2が貼着される場合の2つのパターンがある。好ましくは、図12に示すように、切込み部5が境界線Yの近傍であって平滑面71側に位置するように粘着ラベル2が物品7に貼着される。なお、図12に、境界線Yを一点鎖線で示している。
【0059】
切込み部5の始端部5aが境界線Yの近傍であって凹凸面72側に位置するように粘着ラベル2が貼着されていると、粘着ラベル2の第1領域21のコーナー部211,211が凹凸面72に被さるので、粘着ラベル2の第2領域22が剥がれたときに、第1領域21のコーナー部211,211もそれに追従して物品7の表面から剥がれ、第1領域21の貼着が不安定になるおそれがあるからである。
なお、境界線Yの近傍は、例えば、切込み部5の始端部5aと境界線Yの間が3mm以下となる位置、好ましくは2mm以下となる位置を例示できる。
【0060】
さらに、上記実施形態においては、平滑面71よりも外側に突出した凸部721を有する凹凸面72の物品7に粘着ラベル2を貼着しているが、これに限定されない。
例えば、図13及び図14に示す物品7は、平滑面71と、平滑面71と同じ高さ(レベル)にある凸部721と凸部721よりも容器の内側(中心軸方向)に凹んだ凹部722とを有する凹凸面72と、を有する。例えば、前記物品7が金属缶である場合、前記凹凸面72は、缶周面の凹部722の形成予定部分を外側から内側に押し込むことにより形成できる。
【0061】
この平滑面71と凹凸面72を有する物品7に、上記実施形態と同様にして、粘着ラベル2を貼着しても、本発明のラベル付き物品1が得られる。
【0062】
上記実施形態において、粘着ラベル2は、第1基材31と第2基材32を有し、第1基材31が第2基材32の一方の領域(粘着ラベル2の第1領域21)の上に剥離可能に積層されているラベル基材3が用いられているが、これに限定されず、第1基材31が第2基材32と略同形に形成され且つ第2基材32の表面全体に剥離可能に積層されていてもよい。
【0063】
さらに、本発明で用いられる粘着ラベル2は、上記実施形態のように、第2基材32の上に第1基材31が剥離可能に積層されたラベル基材3を用いる場合に限られず、1層のラベル基材3を用いて形成することもできる。
もっとも、上記実施形態のように、第1基材31が第2基材32に剥離可能に積層されたラベル基材3を用いて形成された粘着ラベル2は、第1基材31をキャンペーンラベルとして利用できるので好ましい。
【0064】
また、上記実施形態において、粘着ラベル2が貼着される物品7として、飲料入りのアルミニウム缶を例示したが、物品7は、平滑面71と凹凸面72が連続して形成されている限り、特に限定されない。
本発明において、物品7は、例えば、所謂PETボトルなどの合成樹脂製成形容器、ガラス製容器、陶器製容器、金属製容器、紙製包装箱などの平滑面と凹凸面を有する各種容器でもよいし、或いは、玩具のような商品そのものでもよい。
特に、粘着ラベル2を貼着する平滑面71及び凹凸面72が、合成樹脂製、ガラス製、陶器製、金属製の物品7に対して本発明のような粘着ラベル2を貼着すると、本発明の効果をより顕著に奏する。
【符号の説明】
【0065】
1…ラベル付き物品、2…粘着ラベル、21…粘着ラベルの第1領域、22…粘着ラベルの第2領域、2a…粘着ラベルの第1縁部、2b…粘着ラベルの第2縁部、3…ラベル基材、31…第1基材、32…第2基材、4…粘着剤層、5…切込み部、5a…切込み部の始端部、5b…切込み部の先端部、7…物品、71…物品の平滑面、72…物品の凹凸面、Y…境界線
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の表面に粘着ラベルが貼着されたラベル付き物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の表面にラベルが貼着されたラベル付き物品が広く流通している。
このラベルは、物品に対して剥がれないように、水系接着剤や感熱性接着剤などの接着剤を介して物品に貼り付けられている場合もあれば、物品から剥離可能なように、粘着剤を介して貼り付けられている場合もある。
粘着剤を介して貼り付けられるラベルは、一般的に粘着ラベル又はタックラベルと呼ばれており、様々な目的で使用されている。
目的別による粘着ラベルとしては、例えば、物品の製造年月日や商品名などの表示するための汎用的な粘着ラベル、賞品応募券などとして利用するためのキャンペーンラベル(特許文献1)、及び、消費者の目に止まりやすく且つ広告宣伝効果を高めるためのPOPラベル(アイキャッチラベルとも呼ばれる)などが知られている。
【0003】
ところで、近年、物品として、クリスタルカット模様などの凹凸面が形成された容器(例えば、ダイヤモンドカット状の凹凸面が表面に形成された焼酎入りアルミニウム缶など)が多数流通している。
このような容器の表面には、通常、凹凸面に連続して平滑面が形成されているが、凹凸面が大面積を占めている。
かかる容器の凹凸面に粘着ラベルを貼着すると、凹凸面の凹部に粘着ラベルの粘着剤層が接触しないので、流通過程で、粘着ラベルが簡単に剥がれて容器から脱落するという問題点がある。一方、容器の平滑面に粘着ラベルを貼着すれば、前述のような粘着ラベルの剥がれは生じない。
しかしながら、平滑面の占有面積が小さい容器に対しては、ラベルの貼着位置や制限されたスペースの関係上、粘着ラベルの全体を平滑面に貼着できない場合がある。
【0004】
このような場合、粘着ラベルは、凹凸面と平滑面に跨って貼着される。
しかしながら、凹凸面と平滑面に跨って粘着ラベルを貼着すると、流通過程で、凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域が凹凸面から剥がれ、それに追従して、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域がその縁から次第に平滑面から剥がれていき、最終的に粘着ラベルが脱落するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−268557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルが脱落し難いラベル付き物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラベル付き物品は、凹凸面と前記凹凸面に連続した平滑面とを有する物品と、粘着剤層が設けられた粘着ラベルと、を備え、前記粘着ラベルが、その粘着剤層を介して前記物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着されており、前記凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する前記粘着ラベルの縁部には、ラベルの面内方向に向かって延びる切込み部が形成されている。
【0008】
一般に、ラベル付き物品の流通過程で、凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域は、密着面積が小さいので、凹凸面から剥がれ易い。
上記本発明のラベル付き物品は、凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する粘着ラベルの縁部に、切込み部が形成されている。
本発明のラベル付き物品において、その凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域が凹凸面から剥がれるときの剥離力は、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域にも伝搬するが、両領域の間には上記切込み部が形成されているので、その剥離力は切込み部の先端部に作用する。よって、前記剥離力が、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域の縁部に作用せず、平滑面に貼着された粘着ラベルの領域が剥がれることを防止できる。
このため、仮に凹凸面に貼着された粘着ラベルの領域が物品から剥がれたとしても、粘着ラベルの全体まで剥がれることがなく、よって、粘着ラベルの脱落を防止できる。
【0009】
本発明の好ましいラベル付き物品は、前記切込み部の始端部が境界線又はその境界線の近傍に対応し、前記切込み部が、前記境界線と平行な方向に延びている、又は、前記境界線に対して傾斜して平滑面側に延びている。
本発明の他の好ましいラベル付き物品は、前記切込み部が、所定幅を有する切込みからなり、前記切込み部の先端部が弧状に形成されている。
本発明の他の好ましいラベル付き物品は、前記凹凸面に貼着されている前記粘着ラベルの第2領域の厚みが前記平滑面に貼着されている前記粘着ラベルの第1領域の厚みよりも薄い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のラベル付き物品は、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルが脱落することを防止できる。
本発明によれば、様々な形状の凹凸面を有する物品に、脱落しないように粘着ラベルを貼着できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る粘着ラベルの平面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】ダイヤモンドカット状の凹凸面が表面に形成されたアルミニウム缶の正面図。
【図5】図4の二点鎖線で囲んだV部の拡大図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【図7】本発明の1つの実施形態に係るラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凸部を示すための実線は、その一部を省略している。
【図8】図7のVIII−VIII線の拡大断面図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る粘着ラベルの平面図。
【図10】本発明のさらなる他の実施形態に係る粘着ラベルの平面図。
【図11】図10の粘着ラベルが貼着されたラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凸部を示すための実線は、その一部を省略している。
【図12】本発明の他の実施形態に係るラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凸部を示すための実線は、その一部を省略している。
【図13】本発明のさらなる他の実施形態に係るラベル付き物品の正面図。ただし、物品の凹凸面の凹部を示すための実線は、省略している。
【図14】図13のXIV−XIV線の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のラベル付き物品は、凹凸面と凹凸面に連続した平滑面とを有する物品と、物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着された粘着ラベルと、を備え、凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する粘着ラベルの縁部に切込み部が形成されている。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
なお、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
【0013】
[粘着ラベル]
図1乃至図3は、本発明のラベル付き物品に用いられる粘着ラベル2を示す。
この粘着ラベル2は、ラベル基材3と、前記ラベル基材3の裏面に設けられた粘着剤層4と、を有する。
【0014】
この粘着ラベル2(ラベル基材3でも実質的に同じ)の縁部2a,2bには、粘着ラベル2の脱落を防止するために、切込み部5が形成されている。この切込み部5は、粘着ラベル2の対向する2つの縁部2a,2b(以下、第1縁部2a及び第2縁部2bという)にそれぞれ1箇所設けられている。
【0015】
前記2つの切込み部5の始端部5aを結んだ仮想線Xを基準にして粘着ラベル2を2つの領域に分けると、その一方の領域21(第1領域)は、物品の平滑面に貼着される部分となり、その他方の領域22(第2領域)は、物品の凹凸面に貼着される部分となる。この第2領域22の厚みは、第1領域21の厚みよりも薄くされている。
なお、図1に、仮想線Xを一点鎖線で示している。
【0016】
粘着ラベル2の平面視形状は、特に限定されない。図示例では、粘着ラベル2は、平面視略矩形状に形成されている。もっとも、粘着ラベル2の平面視形状は、略三角形状などの多角形状、略円形状、略楕円形状などでもよい。
粘着ラベル2の大きさは特に限定されず、適宜設計できる。例えば、平面視略矩形状の粘着ラベル2の大きさは、縦×横が10mm〜40mm×10mm〜40mm程度である。矩形状以外の平面視形状の粘着ラベル2の大きさは、例えば、前記矩形状の面積と同程度の面積に形成される。
【0017】
本実施形態におけるラベル基材3は、前記第1領域21を第2領域22よりも厚肉状とするために、少なくとも第1領域21が複数の基材から構成されている。なお、第2領域22も複数の基材から構成される場合には、第1領域21の基材数を第2領域22の基材数よりも多くすればよい。
図示例のラベル基材3は、第1領域21が2層の基材31,32から構成され、且つ、第2領域22が1層の基材32から構成されている。以下、2層の基材を区別するために、第1基材31及び第2基材32と記す。
【0018】
第1基材31は、物品の平滑面に貼着される部分である前記第1領域21と略同じ又はそれよりも小さな形状に形成されており、2つの切込み部5を結んだ仮想線Xを基準にして第2基材32の一方の領域21の上に積層されている。
従って、粘着ラベル2の第1領域21のラベル基材は、第1基材31及び第2基材32からなり、粘着ラベル2の第2領域22のラベル基材は、第2基材32のみからなる。
【0019】
第1基材31及び第2基材32は、ラベルとしての機械的強度を有する柔軟なシートであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
第1基材31及び第2基材32としては、例えば、紙、不織布、合成紙、合成樹脂製フィルムなどが挙げられる。第1基材31及び第2基材32は、それぞれ単一のシートでもよいし、剥がれないように2つ以上のシートが一体的に接着された積層体でもよい。第1基材31及び第2基材32が積層体である場合には、紙、不織布、合成紙、合成樹脂製フィルム及びこれら以外の機能シートから選ばれる2つ以上が積層された積層体を用いることができる。
特に、機械的強度に優れ且つ柔軟性があることから、合成紙若しくは合成樹脂製フィルムの単層又は合成紙若しくは合成樹脂製フィルムを含む積層体が好ましい。
【0020】
合成紙としては、例えば、(株)ユポ・コーポレーションの商品名「ユポ」、東洋紡績(株)の商品名「クリスパー」などを用いることができる。
合成樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂を含む延伸フィルムなどを用いることができ、中でも機械的強度に優れることから、これらの二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0021】
第1基材31及び第2基材32は、透明なシートでもよいし、不透明なシートでもよい。もっとも、第2基材32に施されたデザイン及び第1基材31の裏面に施されたデザインをそれぞれ隠蔽できることから、第1基材31は、不透明なシートが好ましい。具体的には、第1基材31は、合成紙などの不透明なシートが用いられる。
【0022】
第1基材31及び第2基材32の厚みは、特に限定されないが、一般的には、それぞれ30μm〜100μmである。
【0023】
第1基材31及び第2基材32には、必要に応じて、所望のデザインが印刷されていてもよい。なお、デザインの印刷層は図示していない。
第1基材31にデザインが施される場合には、第1基材31の裏面又は表面の少なくとも何れか一方に印刷が施され、好ましくは、第1基材31の表面及び裏面の双方に印刷が施される。第1基材31の表裏面の双方に印刷が施されていれば、第1基材31が第2基材32に貼着された状態において、第1基材31の表面に施されたデザインを消費者に見せることができ、第1基材31が第2基材32から引き剥がされた後には、第1基材31の裏面に施されたデザインを消費者に見せることができる。従って、第1基材31の裏面に賞品応募情報や籤情報などを印刷しておくことにより、第1基材31をキャンペーンラベルとして利用できる。
【0024】
一方、第2基材32にデザインが施される場合には、第2基材32の表面に印刷が施される。第2基材32が透明である場合には、第2基材32の裏面に印刷してもよい。
【0025】
粘着ラベル2の第1縁部2a及び第2縁部2bには、それぞれ切込み部5,5が設けられている。本実施形態の場合には、前記切込み部5は第2基材32に形成されている。
この各切込み部5を形成することにより、第1領域21の第1縁部2a側及び第2縁部2b側には、それぞれコーナー部211,211が形成されている。
【0026】
各切込み部5,5は、粘着ラベル2(第2基材32)の面内方向に向かって延びている。具体的には、各切込み部5,5は、それぞれ第1縁部2a及び第2縁部2bに位置する始端部5aと、粘着ラベル2の面内に位置する先端部5bと、を有し、始端部5aと先端部5bの間が連続して切り込まれている。始端部5aと先端部5bの間は、直線状に切り込むことが好ましいが、弧状などに切り込まれていてもよい。
【0027】
各切込み部5,5は、第1縁部2a及び第2縁部2bの延びる方向に対して略直交する方向に延びている。また、各切込み部5,5は、同じ方向に延びている。一方の切込み部5からその延びる方向に仮想線Xを引いたときに他方の切込み部5に重なるように、各切込み部5,5は形成されている。
【0028】
各切込み部5,5は、線状の切込みでもよいし、所定幅を有する切込み(打ち抜き状の切込み)でもよい。所定幅を有する切込みは、実質的に幅のない前記線状の切込みとは異なっており、非線状の切込みとも言える。
好ましくは、図示したように、各切込み部5,5は、所定幅を有する切込みからなり、その切込みの先端部5bが半円弧状に形成されている。
【0029】
所定幅を有する切込みからなる切込み部5の幅Wは、特に限定されないが、その幅Wが余りに小さいと、その切込みが線状の切込みと実質的に異ならなくなり、その幅Wが余りに大きいと、相対的に粘着ラベル2の面積が小さくなる。このような点から、前記切込み部5の幅Wは、1mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
また、切込み部5の延出長さLも特に限定されないが、その長さLが余りに小さいと、粘着ラベル2の剥がれを防止効果を十分に奏しないおそれがあり、その長さLが余りに大きいと、粘着ラベル2の外観を損ねる上、粘着ラベル2を物品に貼着するときに取り扱い難くなる。このような点から、切込み部5の延出長さLは、2mm〜10mmが好ましく、3mm〜8mmがより好ましい。
【0030】
前記第2基材32の裏面には、粘着剤層4がベタ状に設けられている。
粘着剤層4は、物品の表面に接着する剤であり、接着後に物品から剥離することができ且つ剥離後再貼付可能なものでもよいし、或いは、物品から剥離した後再貼付不可能なものでもよい。
【0031】
粘着剤層4は、第2基材32の裏面に粘着剤をベタ状に塗布することによって形成できる。
粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系などの感圧型粘着剤を用いることができる。感圧型粘着剤は、室温で粘着性を有し、加圧することによって物品に接着する粘着剤であって、物品から剥離後再貼付可能なものである。
【0032】
なお、前記粘着剤として、感熱性粘着剤を用いることも可能である。感熱性粘着剤は、室温下で粘着性を示さず、且つ加熱することによって粘着性を発揮する粘着剤である。粘着剤層4が感圧型粘着剤からなる場合には、粘着ラベル2は、離型紙上に仮貼着されて提供されるが、粘着剤層4が感熱性粘着剤からなる場合には、粘着ラベル2は、離型紙の上に仮貼着せずに提供される。
また、粘着剤は、透明又は不透明の何れでもよいが、透明なものを用いることが好ましい。
粘着剤層4の厚みは、特に限定されず、通常、15μm〜30μmである。
【0033】
さらに、第1基材31の裏面には、粘着剤層6が設けられている。この粘着剤層6は、前記粘着剤層4と同様な粘着剤を用いて形成できる。
第1基材31は、粘着剤層6を介して第2基材32に付着されている。第1基材32は、粘着剤層6を伴って第2基材から剥離できる。必要に応じて、粘着剤層6と共に第1基材31を第2基材32から容易に剥離できるようにするため、第1基材31の表面に公知の剥離剤が塗布されている。
【0034】
なお、前記粘着剤層6に代えて、第1基材31の裏面に、第1基材31を第2基材32に弱く付着させるための、弱接着層を設けてもよい。この弱接着層は、前記粘着剤層4よりも接着力が小さい。第1基材31を弱接着層を介して第2基材32に付着することにより、第1基材31を第2基材32から容易に引き剥がすことができる。弱接着層は、例えば、第1基材31の裏面に、シリコーン樹脂などの離型剤を含むホットメルト粘着剤を塗布することにより形成できる。また、弱接着層は、例えば、第1基材31の裏面に粘着剤を塗布し、その粘着剤の上から粘着力を弱めるためのマスキング剤を塗布することにより形成することもできる。
【0035】
[物品]
図4乃至図6は、本発明のラベル付き物品に用いられる物品7を示す。
物品7の表面には、平滑面71と凹凸面72が連続して形成されている。
凹凸面72は、物品の表面の所定の面積を占めており、凹凸面72は、平滑面71よりも外側に突出した凸部721と、凸部721よりも容器の内側(中心軸方向)に凹んだ凹部722と、を有する。例えば、前記物品7が金属缶である場合、前記凹凸面72は、缶周面の凸部721の形成予定部分を内側から外側に押し出すことにより形成できる。
【0036】
図示例の凹凸面72は、所定の凸部721と凹部722を1つの単位としてその1単位が複数規則的に形成されている。もっとも、凹凸面72は、異なる凸部721と凹部722からなる複数の単位から形成されていてもよい。
【0037】
凹凸面72における凸部721の表面の占める割合(次式参照)は、0%を越え70%以下であり、好ましくは1%〜60%であり、より好ましくは2%〜50%である。前記割合の下限を「0%を越え」としたのは、頂点部が極めて小さい点状である凸部721を形成することも可能であり、このような点状の凸部721の表面の占める割合は、凹凸面72全体からすると、限りなく0%に近づく場合があるからである。
凹凸面72における凸部721の表面の占める割合(%)=(貼着された粘着ラベル2が被さる凹凸面72における凸部721の表面積の和/同凹凸面72の面積)×100。
【0038】
一方、平滑面71は、平滑な面であれば特に限定されず、2次元的な平面でもよいし、湾曲した面でもよい。
前記平滑面71は、粘着ラベル2の第1領域21の全体が粘着剤層4を介して密着するような面であることが好ましい。もっとも、実際の物品7においては、殆どが平滑であるけども一部に粘着ラベル2の裏面が付着しない凹みが存在するような面も存在し、そのような面に粘着ラベル2を貼着しても、流通過程で、粘着ラベル2が剥離するという問題は現実的には生じない。
このため、本発明における平滑面71には、一部に前記凹みを有していてもよい。
【0039】
その平滑面71における前記凹みの占める割合(次式参照)は、10%以下であり、好ましくは5%以下である。
平滑面71における凹みの占める割合(%)=(貼着された粘着ラベル2が被さる平滑面71における凹み部分の占める面積の和/同平滑面71の面積)×100。
【0040】
本実施形態では、物品7として、飲料入りの容器を例示している。
この容器は、例えば、略円筒状に形成されたアルミニウム缶であり、その表面に凹凸面72と平滑面71が形成されている。
【0041】
凹部722は、凸部721よりも凹んでおり、凹部722の最深部は、平滑面71のレベルよりも内側、このレベルと同じ、又は、このレベルよりも外側の何れでもよい。この凹部722は、ダイヤモンドカット状に内側に凹んでいる(正四角錐状の凹み)。かかるダイヤカット状の凹部722に対して、凸部721は、正面から見て略矩形線状(正方形状など)である。
図示したような、円筒状の容器の平滑面71は、全体が平滑で且つ湾曲した面である。
【0042】
[ラベル付き物品]
図7及び図8は、本発明のラベル付き物品1を示す。
このラベル付き物品1は、上記粘着ラベル2が粘着剤層4を介して上記物品7の凹凸面72と平滑面71に跨って貼着されている。
この粘着ラベル2は、その切込み部5の始端部5aが物品7の凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応するように位置合わせして、物品7に貼着されている。
なお、図7に、境界線Yを一点鎖線で示し、図8(及び図6)に、境界線Yの位置を矢印で示している。
【0043】
ここで、凹凸面72と平滑面71の境界線Yは、観念的な仮想線である。本実施形態にあっては、その境界線Yは、平滑面71に隣接する複数の凹部722の端部を結んだ仮想直線である。
本実施形態では、凹凸面72と平滑面71の境界線Y上に粘着ラベル2の切込み部5が対応するようにして、粘着ラベル2が貼着されている。従って、粘着ラベル2の第1領域21(コーナー部211,211を含む)が、平滑面71に貼着され、粘着ラベル2の第2領域22が、凹凸面72に貼着されている。
【0044】
また、本実施形態の粘着ラベル2においては、各切込み部5,5は、仮想線X上に重なるように形成されているので、かかる粘着ラベル2を上記のようにして物品7に貼着したときには、各切込み部5,5は、境界線Yと平行な方向に延びている。
【0045】
凹凸面72に於いては、凸部721と粘着ラベル2の粘着剤層4が密着するため、粘着ラベル2の第2領域22の凹凸面72に対する密着面積割合(次式参照)は、上記凹凸面72における凸部721の表面の占める割合にほぼ対応している。もっとも、粘着ラベル2は柔軟であるため、凸部721の表面からその周囲にかけて粘着ラベル2が密着する場合もある。このような理由から、粘着ラベル2の第2領域22の凹凸面72に対する密着面積割合(次式参照)は、0%を越え約75%以下であり、好ましくは約1%〜約65%であり、より好ましくは約2%〜約55%である。
粘着ラベル2の第2領域22の凹凸面72に対する密着面積割合(%)=(凸部721の表面積の和/粘着ラベル2のうち凹凸面72に被さっている面積)×100。
【0046】
一方、平滑面71に於いては、粘着ラベル2の粘着剤層4が密着する。もっとも、一部に凹みを有する平滑面71にあっては、粘着ラベル2の第1領域21の平滑面71に対する密着面積割合は、上記平滑面71における凹みの占める割合に対応しており、90%以上であり、好ましくは95%以上である。
【0047】
上記ラベル付き物品1は、物品7の凹凸面72と平滑面71に跨って粘着ラベル2が貼着されており、その凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応する粘着ラベル2の縁部に、切込み部5が形成されている。
ラベル付き物品1の流通過程で、凹凸面72に貼着された粘着ラベル2の第2領域22は、密着面積が小さいので、凹凸面72から剥がれ易い。そして、この第2領域22が剥がれるときの剥離力は、第2領域22と一体的に繋がっている第1領域21にも伝搬するが、両者の間には切込み部5が存在するので、前記剥離力は、切込み部5の先端部5bに作用する。よって、前記剥離力が第1領域21のコーナー部211に作用し難く、第1領域21が第2領域22に追従して剥がれることを防止できる。
【0048】
つまり、粘着ラベル2の剥離は、粘着ラベル2の面内から生じることはなく、粘着ラベル2の縁部から生じるが、上記切込み部5を形成することによって、平滑面71に貼着された第1領域21の縁部(コーナー部211)に剥離力が作用し難くなる。このため、粘着ラベル2の第2領域22が物品7から剥がれたとしても、物品7の平滑面71に貼着された第1領域21が剥離せず、よって、粘着ラベル2の脱落を防止できる。
【0049】
また、前記切込み部5の先端部5bが半円弧状に形成されているので、その先端部5bから粘着ラベル2の面内方向に粘着ラベル2が裂けることを防止できる。
例えば、凹凸面72から剥がれて浮き上がった第2領域22が異物に引掛かったとしても、第1領域21と第2領域22を分離するような裂け目が粘着ラベル2に生じることを防止できる。
【0050】
また、前記粘着ラベル2は第2領域22の厚みが第1領域21の厚みよりも薄いので(例えば、第2領域22が1層の基材(第2基材32)からなり、第1領域21が2層の基材(第1基材31及び第2基材32)からなる)、第2領域22の方が剛性が低くなっている。かかる剛性の低い第2領域22によれば、湾曲状の凹凸面72に沿って柔軟に曲がって凸部721の表面に密着するので、流通過程でラベル付き物品1に衝撃が加わっても、第2領域22が凸部721から剥がれ難くなる。
【0051】
[他の実施形態]
本発明のラベル付き物品は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々な態様に変更できる。以下、本発明のラベル付き物品の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同様の構成及び効果についてはその説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0052】
上記実施形態において、粘着ラベル2の切込み部5は、所定幅を有する切込みであってその先端部5bが弧状に形成されているが、切込み部5の先端部5bは、弧状に形成されている場合に限定されない。
また、上記実施形態において、粘着ラベル2の切込み部5は、所定幅を有する切込みを例示したが、切込み部5は、例えば、図9に示すような、線状の切込みでもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、2つの切込み部5,5は、第1縁部2a及び第2縁部2bの延びる方向に対して略直交する方向に延びているが、切込み部5は、ラベルの面内方向に向かって延びていることを条件としてこれに限定されない。例えば、切込み部5が、粘着ラベル2の縁部に対して傾斜する方向に延びていてもよい。この場合、切込み部5は、粘着ラベル2の縁部に対して上向き傾斜して延びていてもよいし、或いは、下向き傾斜して延びていてもよい。粘着ラベル2の脱落を防止できることから、図10に示すように、切込み部5は、粘着ラベル2の縁部に対して上向き傾斜する方向に延びて形成されていることが好ましい。なお、図10の粘着ラベル2は、第1基材31が積層されていない、又は、それが積層されていても不図示としている。
【0054】
この図10の粘着ラベル2は、その第1縁部2a及び第2縁部2bから、それに上向き傾斜して各切込み部5,5が形成されている。このように傾斜した切込み部5,5についても、第1縁部2aにおける切込み部5の始端部5aと、第2縁部2bにおける切込み部5の始端部5aとは、第1縁部2aと直交する仮想線Xの上に位置していることが好ましい。
【0055】
かかる傾斜状の切込み部5,5を有する粘着ラベル2は、上記実施形態と同様に、その切込み部5の始端部5aが物品7の凹凸面72と平滑面71の境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応するように位置合わせして、物品7に貼着される。
このように粘着ラベル2が物品7に貼着されたラベル付き物品1は、図11に示すように、切込み部5の始端部5aが境界線Y又はその境界線Yの近傍に対応し、その切込み部5が、前記境界線Yに対して傾斜して物品7の平滑面71側に延びている。
【0056】
なお、図11では、切込み部5の始端部5aが境界線Y上に対応するように、粘着ラベル2が貼着されたラベル付き物品1を図示している。この場合、切込み部5の先端部5bは、平滑面71に重なる。
このように物品7に貼着された粘着ラベル2の切込み部5が境界線Yに対して平滑面71側に延びていると、剥離力が第1領域21のコーナー部211に作用し難く、粘着ラベル2の脱落を防止できる。
【0057】
また、上記実施形態において、凹凸面72と平滑面71の境界線Y上に切込み部5の始端部5aが対応するように粘着ラベル2が貼着されたラベル付き物品1を例示したが、上述のように、凹凸面72と平滑面71の境界線Yの近傍に切込み部5の始端部5aが対応するようにして、粘着ラベル2が貼着されていてもよい。
【0058】
この場合、切込み部5が前記境界線Yの近傍であって平滑面71側に位置するように粘着ラベル2が貼着される場合、及び、切込み部5が前記境界線Yの近傍であって凹凸面72側に位置するように粘着ラベル2が貼着される場合の2つのパターンがある。好ましくは、図12に示すように、切込み部5が境界線Yの近傍であって平滑面71側に位置するように粘着ラベル2が物品7に貼着される。なお、図12に、境界線Yを一点鎖線で示している。
【0059】
切込み部5の始端部5aが境界線Yの近傍であって凹凸面72側に位置するように粘着ラベル2が貼着されていると、粘着ラベル2の第1領域21のコーナー部211,211が凹凸面72に被さるので、粘着ラベル2の第2領域22が剥がれたときに、第1領域21のコーナー部211,211もそれに追従して物品7の表面から剥がれ、第1領域21の貼着が不安定になるおそれがあるからである。
なお、境界線Yの近傍は、例えば、切込み部5の始端部5aと境界線Yの間が3mm以下となる位置、好ましくは2mm以下となる位置を例示できる。
【0060】
さらに、上記実施形態においては、平滑面71よりも外側に突出した凸部721を有する凹凸面72の物品7に粘着ラベル2を貼着しているが、これに限定されない。
例えば、図13及び図14に示す物品7は、平滑面71と、平滑面71と同じ高さ(レベル)にある凸部721と凸部721よりも容器の内側(中心軸方向)に凹んだ凹部722とを有する凹凸面72と、を有する。例えば、前記物品7が金属缶である場合、前記凹凸面72は、缶周面の凹部722の形成予定部分を外側から内側に押し込むことにより形成できる。
【0061】
この平滑面71と凹凸面72を有する物品7に、上記実施形態と同様にして、粘着ラベル2を貼着しても、本発明のラベル付き物品1が得られる。
【0062】
上記実施形態において、粘着ラベル2は、第1基材31と第2基材32を有し、第1基材31が第2基材32の一方の領域(粘着ラベル2の第1領域21)の上に剥離可能に積層されているラベル基材3が用いられているが、これに限定されず、第1基材31が第2基材32と略同形に形成され且つ第2基材32の表面全体に剥離可能に積層されていてもよい。
【0063】
さらに、本発明で用いられる粘着ラベル2は、上記実施形態のように、第2基材32の上に第1基材31が剥離可能に積層されたラベル基材3を用いる場合に限られず、1層のラベル基材3を用いて形成することもできる。
もっとも、上記実施形態のように、第1基材31が第2基材32に剥離可能に積層されたラベル基材3を用いて形成された粘着ラベル2は、第1基材31をキャンペーンラベルとして利用できるので好ましい。
【0064】
また、上記実施形態において、粘着ラベル2が貼着される物品7として、飲料入りのアルミニウム缶を例示したが、物品7は、平滑面71と凹凸面72が連続して形成されている限り、特に限定されない。
本発明において、物品7は、例えば、所謂PETボトルなどの合成樹脂製成形容器、ガラス製容器、陶器製容器、金属製容器、紙製包装箱などの平滑面と凹凸面を有する各種容器でもよいし、或いは、玩具のような商品そのものでもよい。
特に、粘着ラベル2を貼着する平滑面71及び凹凸面72が、合成樹脂製、ガラス製、陶器製、金属製の物品7に対して本発明のような粘着ラベル2を貼着すると、本発明の効果をより顕著に奏する。
【符号の説明】
【0065】
1…ラベル付き物品、2…粘着ラベル、21…粘着ラベルの第1領域、22…粘着ラベルの第2領域、2a…粘着ラベルの第1縁部、2b…粘着ラベルの第2縁部、3…ラベル基材、31…第1基材、32…第2基材、4…粘着剤層、5…切込み部、5a…切込み部の始端部、5b…切込み部の先端部、7…物品、71…物品の平滑面、72…物品の凹凸面、Y…境界線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸面と前記凹凸面に連続した平滑面とを有する物品と、粘着剤層が設けられた粘着ラベルと、を備え、
前記粘着ラベルが、その粘着剤層を介して前記物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着されており、
前記凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する前記粘着ラベルの縁部には、ラベルの面内方向に向かって延びる切込み部が形成されていることを特徴とするラベル付き物品。
【請求項2】
前記切込み部の始端部が境界線又はその境界線の近傍に対応し、前記切込み部が、前記境界線と平行な方向に延びている、又は、前記境界線に対して傾斜して平滑面側に延びている、請求項1に記載のラベル付き物品。
【請求項3】
前記切込み部が、所定幅を有する切込みからなり、前記切込み部の先端部が弧状に形成されている、請求項1又は2に記載のラベル付き物品。
【請求項4】
前記凹凸面に貼着されている前記粘着ラベルの第2領域の厚みが前記平滑面に貼着されている前記粘着ラベルの第1領域の厚みよりも薄い、請求項1乃至3の何れか一項に記載のラベル付き物品。
【請求項1】
凹凸面と前記凹凸面に連続した平滑面とを有する物品と、粘着剤層が設けられた粘着ラベルと、を備え、
前記粘着ラベルが、その粘着剤層を介して前記物品の凹凸面と平滑面に跨って貼着されており、
前記凹凸面と平滑面の境界線又はその境界線の近傍に対応する前記粘着ラベルの縁部には、ラベルの面内方向に向かって延びる切込み部が形成されていることを特徴とするラベル付き物品。
【請求項2】
前記切込み部の始端部が境界線又はその境界線の近傍に対応し、前記切込み部が、前記境界線と平行な方向に延びている、又は、前記境界線に対して傾斜して平滑面側に延びている、請求項1に記載のラベル付き物品。
【請求項3】
前記切込み部が、所定幅を有する切込みからなり、前記切込み部の先端部が弧状に形成されている、請求項1又は2に記載のラベル付き物品。
【請求項4】
前記凹凸面に貼着されている前記粘着ラベルの第2領域の厚みが前記平滑面に貼着されている前記粘着ラベルの第1領域の厚みよりも薄い、請求項1乃至3の何れか一項に記載のラベル付き物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−192961(P2012−192961A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58890(P2011−58890)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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