説明

ランプ装置および連結部材

【課題】 3本以上のランプをコンパクトに保持しつつ、ショートを抑制することが可能なランプ装置および連結部材を提供する。
【解決手段】
実施形態のランプ装置は、端部にピンチシール部112を有する3本以上の管状ランプ1と、溝部24を3つ以上有し、それぞれの管状ランプ1の管軸が略平行になるように、溝部24にそれぞれのピンチシール部112を収容可能なベース2と、を具備するものであり、溝部24は、隣接配置される管状ランプ1の管軸に対して直交する断面における中心C同士を結んだ線を第1の線L1、ピンチシール部112の管軸に対して直交する断面における長手方向に平行な線を第2の線L2としたとき、第1の線L1と第2の線L2によって形成される角度αが、5°≦α≦30°を満たすように形成されており、溝部24にはピンチシール部112が収容されるとともに、セメント3が注入され、管状ランプ1とベース2とが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複写機やプリンターのトナー定着等、主に熱源としての用途に使用されるランプ装置および連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンターのトナー定着等に用いられる管状ランプは、ガラス管の内部にフィラメントを配置した構造である。この種の用途において、省エネルギー化のために、複数本の管状ランプを用いるランプ装置が開発されている。例えば、特許文献1のランプ装置では、複数本のランプは、隣り合うランプの中心の各々を結んだ仮想直線の複数によって正多角形が構成され、かつ、各々のランプにおけるピンチシール部の扁平な面が互いに異なる仮想直線と平行となる状態で、配置され、かつ、各々のランプにおけるピンチシール部の扁平な面が隣り合うランプと結んだ仮想直線に沿って伸びる状態で配置されている。このランプ装置においては、装置をコンパクトに構成することが可能である。
【0003】
しかしながら、特許文献1のような構成にすると、複数本の管状ランプが短絡(ショート)する場合が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4289167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、3本以上のランプをコンパクトに保持しつつ、ショートを抑制することが可能なランプ装置および連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、実施形態のランプ装置は、端部にピンチシール部を有する3本以上の管状ランプと、溝部を3つ以上有し、それぞれの前記管状ランプの管軸が略平行になるように、前記溝部にそれぞれの前記ピンチシール部を収容可能な連結部材と、を具備するランプ装置において、前記溝部は、隣接配置される前記管状ランプの管軸に対して直交する断面における中心同士を結んだ線を第1の線、前記ピンチシール部の管軸に対して直交する断面における長手方向に平行な線を第2の線としたとき、前記第1の線と前記第2の線によって形成される角度αが、5°≦α≦30°を満たすように形成されており、前記溝部には前記ピンチシール部が収容されるとともに、接着部材が注入されて、前記管状ランプと前記連結部材とが接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態のランプ装置について説明するための図である。
【図2】第1の実施形態のランプ装置に搭載された管状ランプについて説明するための図である。
【図3】図2に示した管状ランプのA−A’断面を矢印方向から見た状態について説明するための図である。
【図4】第1の実施形態のランプ装置の断面について説明するための図である。
【図5】従来のランプ装置について説明するための図である。
【図6】第1の実施形態のランプ装置の断面について説明するための図である。
【図7】第1の実施形態においてαを5°および30°としたランプ装置について説明するための図である。
【図8】第1の実施形態においてαを10°および20°としたランプ装置について説明するための図である。
【図9】第2の実施形態のランプ装置について説明するための図である。
【図10】ランプ装置の他の実施形態について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のランプ装置について、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のランプ装置について説明するための図である。
【0010】
ランプ装置は、管状ランプ1、ベース2、セメント3およびハーネス4で構成されている。
【0011】
管状ランプ1は、図2に示すような例えば長さが300mm程度のランプであり、主要部としてガラス管11を備えている。ガラス管11は、石英ガラスなどの耐熱性に優れたガラス材料からなる細長い管であり、管状部111とピンチシール部112とで構成されている。管状部111は、ガラス管11の大部分を占める円筒状の部分であり、内部に空間を備えている。この空間には、微量の窒素や臭素、ヨウ素などのハロゲン物質や、アルゴン、ネオン、窒素などのガスが封入されている。これらガス等の封入は、管状部111の管軸方向の略中央付近に形成されたチップ痕113によって行われる。ピンチシール部112は、管状部111の両端にピンチシールにより形成された矩形状の封着部である。
【0012】
ピンチシール部112の内部には、金属箔12が封着されている。金属箔12は例えばモリブデンからなる薄板であり、ピンチシール部112の板状面に沿うように配置されている。このピンチシール部112の長手方向の幅W(mm)は、図2のA−A’断面を矢印方向から見た図である図3に示すように、管状部111の外径R(mm)と同等か、外径R(mm)よりも小さい。例えば、ピンチシール部112の幅W、管状部111の外径Rは、5mmである。したがって、ピンチシール部112は、管状部111の外径Rの大きさにほぼ収まるようになるため、管状ランプ1をコンパクトになる。なお、同等とは、ピンチシール部112の幅Wと管状部111の外径Rの関係W/Rが0.9〜1.1、好適には0.95〜1.05の大きさであることを示している。
【0013】
ガラス管11の内部にはフィラメント13が設けられている。フィラメント13は、例えばタングステンからなる金属線である。フィラメント13は、150%前後のコイルピッチの発光部と、発光部を繋ぐ連結部を交互に繰り替えす構成である。なお、両端にはレグ部を備えており、レグ部は金属箔12に接続されている。
【0014】
管状部111の内部にはサポート部材14が設けられている。サポート部材14は、例えばタングステンからなる金属線であり、管状部111の内壁面に固定され、フィラメント13の発光部を保持している。サポート部材14は、所定の間隔を保ち、管軸方向に沿って複数設けられている。
【0015】
金属箔12のフィラメント部13が接続されていない側には、リード線15が接続されている。リード線15は、例えばモリブデンやタングステンなどからなる金属線であり、他端側は管軸に沿うように、ピンチシール部112から導出されている。
【0016】
本実施形態では、このような管状ランプ1が3本使用されている。それらの管状ランプ1は、管軸が略平行になるように、かつ管状部111が図5(b)に示すように近接するように、配置される。3本のランプは、構造はほぼ同じものであるが、フィラメント部13の構造が異なっている。第1のランプは管軸方向に約24cmに亘って加熱領域を備え、第2のランプは長手方向の中央において約12cmに亘って加熱領域を備え、第3のランプは長手方向の両端においてそれぞれ約8cmに亘って加熱領域を備えている。つまり、第1のランプはA4サイズ(210mm)、第2のランプははがきサイズ(100mm)、第3のランプは第2のランプとの組み合わせでA4サイズを加熱可能である。当然ながら、ランプの組み合わせはこれに限らず、例えばA3サイズ、A4サイズおよびはがきサイズに対応させることもできる。
【0017】
ベース2は、図4に示すような例えばセラミックなどの絶縁性に優れた連結部材であり、管状ランプ1の両端部に配置される。ベース2は、リード線収容部21とシール部収容部22とで構成されている。リード線収容部21は円柱状であり、ランプの管軸方向に沿って3つの円形状の穴部23を備えている。シール部収容部22は図4(b)に示すような角に丸みをもつ三角柱状であり、ランプの管軸方向に沿って3つの溝部24を備えている。この溝部24はピンチシール部112を収容可能なよう矩形の形状になっているとともに、穴部23と連通している。また、溝部24には、半円状の注入部241が形成されている。なお、図1からわかるようにベース2は同一構造ではなく、一方のベース2のリード線収容部21のみに、複写機等の保持構造に合致する突起部211が設けられている。
【0018】
セメント3は、ピンチシール部112とベース2を接着する接着部材であり、例えば、耐熱性に優れたアルミナ系の接着剤からなる。このセメント3は、溝部24にピンチシール部112を収容した状態で、注入部241から流し込まれることでピンチシール部112とベース2との接着を可能にしている。セメント3は、ピンチシール部112とベース2を接着できればよいので、溝24からはみ出すように注入しても良いし、溝24の一部を満たす程度しか注入しなくても良い。
【0019】
ハーネス4は、金属線周りに絶縁部材が被覆された被覆線であり、一端はリード線15と接続され、他端は複写機等の端子と接続される。なお、リード線15との接続部分は、ベース2の穴部23内に配置される。
【0020】
ベース2の詳細な構造およびランプ装置の各部を図4(b)および図5を参照してさらに詳しく説明する。
【0021】
溝部24は、隣接配置される管状ランプ1の管軸に対して直交する断面における中心C同士を結んだ線を第1の線L1、ピンチシール部112の管軸に対して直交する断面における長手方向に平行な線を第2の線L2としたとき、第1の線L1と第2の線L2によって形成される角度αが、例えば15°に設定されている。このように、第2の線L2が第1の線L1に対して所定の角度を持つように構成することで、ランプをコンパクトに保持することを可能にしながら、隣接する溝部24同士が空間的に繋がることが防止される。つまり、溝部24にセメント3を注入しても、それぞれの溝部24に注入されたセメント3同士が繋がることはなく、各溝部24において独立させることができる。
【0022】
ここで、第1の線L1と第2の線L2とがなす角度αを0°にしたときの状態を図6に示す。この図のように、角度αが0°であると、溝部24が繋がり、各溝部24に注入されたセメント3がその部分により繋がることがある。これは、ピンチシール部112の幅W(mm)と管状部111の外径R(mm)を同等としたために、溝部24の短辺の長さが長くなる場合に生じやすい。各溝部24に注入されたセメント3が繋がってしまうと、セメント3は多少の導電性を有しているため、管状ランプ1に投入する電圧を上げるとそのセメント3を介して各ランプがショートしてしまうことがある。
【0023】
第1の線L1と第2の線L2とがなす角度αを変化させたときのベースを図7、図8に示す。図7(a)は角度αが5°、図7(b)は角度αが30°の場合であり、これらの角度でも隣接する溝部24同士が空間的に繋がることを防止でき、実際にこの装置の各管状ランプ1に電圧を印加してもショートすることはなかった。図8(a)は角度αが10°、図8(b)は角度αが20°の場合であり、これらの角度でも隣接する溝部24同士が空間的に繋がることを防止できるとともに、隣接する溝部24との最短距離Dを0.6mm以上確保することができる。最短距離Dを0.6mm以上確保することで、ショートの発生を確実に防止可能な優れた耐圧性を確保することができる。実際にこの装置の各管状ランプ1に高電圧を印加してもショートすることはなかった。以上から、第1の線L1と第2の線L2によって形成される角度αは、5°≦α≦30°、好適には10°≦α≦20°を満たすのが望ましい。
【0024】
第1の実施形態においては、隣接配置される管状ランプ1の管軸に対して直交する断面における中心C同士を結んだ線を第1の線L1、ピンチシール部112の管軸に対して直交する断面における長手方向に平行な線を第2の線L2としたとき、第1の線L1と第2の線L2によって形成される角度αが、5°≦α≦30°を満たすようにベース2に溝部24を形成し、その溝部24にピンチシール部112を収容するとともに、セメント3を注入部241から注入し、管状ランプ1とベース2とを接続したことで、複数の管状ランプ1をコンパクトに保持しつつ、ショートを抑制することができる。また、ピンチシール部112の長手方向の幅W(mm)を管状ランプ1の外径R(mm)と同等としたことで、ランプ装置をさらにコンパクトにすることができる。
【0025】
また、第1の線L1と第2の線L2によって形成される角度αが、10°≦α≦20°を満たすようにしたことで、隣接する溝部24同士の最短距離Dを0.6mm以上維持することができるため、優れた耐圧性を確保することができる。
【0026】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態のランプ装置について説明するための図である。この第2の実施形態の各部について、第1の実施形態のランプ装置の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0027】
第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、管状ランプ1の一つの直径R1を、他の管状ランプ1の直径Rよりも小さいものを使用した点にある。具体的には、R=5.0mmに対して、R1=4.0mmのランプを使用している。なお、第1の線L1と第2の線L2によって形成される角度α、β、γは、α=15°、β=20°、γ=10°となっている。
【0028】
上述の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ショートを抑制することができる。また、ベース2を小さく構成することができるため、ランプ装置をさらにコンパクトにすることができる。
【0029】
本発明は上記実施態様に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、ベース4は図10に示すように、溝部24を4つ形成したものであってもよく、つまり管状ランプ1を4本使用したものであってもよい。また、5本以上使用するものであってもかまわない。
【0030】
複数の管状ランプ1は、ガス圧、ガス種が異なるランプを組み合わせるようにしてもよい。また、あるランプはチップレスの構造としてもよい。
【0031】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 管状ランプ
11 ガラス管
111 管状部
112 ピンチシール部
2 ベース
3 セメント
4 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にピンチシール部を有する3本以上の管状ランプと、溝部を3つ以上有し、それぞれの前記管状ランプの管軸が略平行になるように、前記溝部にそれぞれの前記ピンチシール部を収容可能な連結部材と、を具備するランプ装置において、
前記溝部は、隣接配置される前記管状ランプの管軸に対して直交する断面における中心同士を結んだ線を第1の線、前記ピンチシール部の管軸に対して直交する断面における長手方向に平行な線を第2の線としたとき、前記第1の線と前記第2の線によって形成される角度αが、5°≦α≦30°を満たすように形成されており、
前記溝部には前記ピンチシール部が収容されるとともに、接着部材が注入されて、前記管状ランプと前記連結部材とが接続されていることを特徴とするランプ装置。
【請求項2】
前記ピンチシール部の長手方向の幅W(mm)は、前記管状ランプの外径R(mm)と同等であることを特徴とする請求項1に記載のランプ装置。
【請求項3】
溝部を3つ以上有し、端部にピンチシール部を有する3本以上の管状ランプを、それぞれの管軸が略平行になるように、前記溝部にそれぞれの前記ピンチシール部を収容かつ接着部材を注入することで固定可能な連結部材において、
前記溝部は、隣接配置される前記管状ランプの管軸に対して直交する断面における中心同士を結んだ線を第1の線、前記ピンチシール部の管軸に対して直交する断面における長手方向に平行な線を第2の線としたとき、前記第1の線と前記第2の線とが交わることによって形成される角度αが、5°≦α≦30°を満たすように形成されていることを特徴とする連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25979(P2013−25979A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158721(P2011−158721)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】