説明

リアルタイム分析装置及び方法

【課題】リアルタイム測定しながら、妨害する夾雑物を分離して定量精度の高い測定を行う分析装置を提供する。
【解決手段】試料ガスの導入配管を分岐し、一方は直接イオン源に導入しリアルタイムに分析しておき、もう一方は遅れてイオン源に導入されるようにしておく。リアルタイムの分析結果で、MSスペクトル上のスペクトルパターンが変化し、夾雑成分の濃度上昇が観察されたときに、試料の導入経路を切り替え、もう一方の導入配管に設けておいた分離部で夾雑成分を分離した上で、イオン源に導入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料ガスを連続分析する分析装置及びそれを用いた分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下では、ガスクロマトグラフィをGC(Gas Chromatography)、質量分析計をMS(Mass Spectrometer)、ガスクロマトグラフィと質量分析計を結合した装置をGC/MS(Gas Chromatography / Mass Spectrometer)、大気圧化学イオン化をAPCI(Atmospheric Pressure Chemical Ionization)、化学イオン化をCI(Chemical Ionization)、電子衝撃イオン化をEI(Electron Impact)と、それぞれ略記する。
【0003】
特許文献1には、試料ガスを直接APCIイオン源に導入し、連続的に分析する高感度分析装置が記載されている。さらに、特許文献2には、試料ガスを直接APCIイオン源に導入しリアルタイムに測定する際の定量方法として、測定対象分子とほぼ同じイオン化効率を有する標準物質を試料ガスに添加し、2種類の成分の分析結果を比較する方法が記載されている。
【0004】
特許文献3には、試料ガスの導入配管に流路切換手段を設け、試料ガスを大気圧イオン化質量分析計に直接導入する系統と、ガスクロマトグラフを介して大気圧イオン化質量分析計に導入する分析系統を切り替える構成が記載されている。
【0005】
特許文献4には、試料ガスをGCカラムで分離し、GCカラム出口をAPCIイオン源のイオン分子反応領域に設け、高感度化を図る構成について記載がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−310091号公報
【特許文献2】特開2001−147216号公報
【特許文献3】特開平11−295269号公報
【特許文献4】特開2006−86002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
測定対象の試料ガスを連続的に分析計に導入し測定するときに、測定対象成分に混入する夾雑成分が分析の妨げとなることがある。特許文献1には、連続測定しているときに、夾雑成分の混入により測定対象成分の感度が変動した場合の濃度較正方法に関する記載がない。
【0008】
特許文献2に記載された方法では、測定対象成分が多数あり、標準試料を添加するための導入系が複雑になる、あるいはコストなどの理由で標準試料の添加自体が適用できない場合がある。標準試料を添加しない場合、夾雑物濃度が変動した場合に測定対象成分のイオン化効率が変動し、MSスペクトル上の信号強度から濃度値へ較正することが困難であった。また一般的に、夾雑物濃度が変動したときは、測定対象試料ガス自体に、プロセス変動など何らかの変化を生じたときであり測定対象成分濃度も変動している可能性が大きい。しかし従来技術で内部標準試料を添加しない場合は、夾雑物濃度が変動した場合に測定対象成分を精度よく定量することは困難であった。
【0009】
特許文献3に記載されている方法では、試料ガスを大気圧イオン化質量分析計に直接導入する状態で分析し、夾雑物濃度が変動したのを検知して、ガスクロマトグラフを介して分析計に導入する流路に切り換えたとしても、夾雑物濃度が変動し始めたときの測定対象ガスは、先の分析で消費/排気されてしまっているので、分析が困難である。さらに、夾雑物を多様に含む試料ガスをガスクロマトグラフに連続的に導入しても様々な夾雑物が測定対象成分に複雑に重なり、感度変動などの影響を受けてしまうことになる。
特許文献4には、測定対象成分を連続測定する方法については記載が無い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の質量分析装置では、試料ガスの導入配管を分岐し、一方は直接イオン源に導入しリアルタイムに分析しておき、もう一方は遅れてイオン源に導入するようにする。また、このもう一方の導入配管に分離部を設け、夾雑成分を分離してイオン源に導入する。リアルタイムの分析結果で、MSスペクトル上のスペクトルパターンが変化し、夾雑成分の濃度上昇が観察されたときに、試料の導入経路を切り替え、分離部で夾雑成分を分離した上で、イオン源に導入する。このような構成にすることにより、夾雑物濃度が変動した場合に夾雑物の影響を受けずに精度の高い定量が可能となる。あるいは分離部を設けない構成で、リアルタイム分析の結果で測定レンジをオーバーしてしまう高い試料濃度が導入されたときに、試料の導入経路を切り換えて、装置の測定レンジを変更した上で、遅れて同じ試料成分をイオン源に導入することにより、突発的な濃度上昇に対しても精度よく測定することが可能となる。
【0011】
本発明の1つの構成では、試料ガスを直接イオン源に導入する流路と、固体吸着剤を詰めた吸着管に試料ガスを導入する流路とに、導入配管を分岐し、吸着管の下流に分離部を設け、分離部の出口は同じイオン源、あるいは別のイオン源に繋げる。通常の分析では、直接イオン源に導入した試料ガスをリアルタイムに分析しておき、夾雑物がスペクトル上増加したことが確認できたときに、流路を切り替え、吸着管に濃縮された成分を分離部を通して、夾雑物と分離した後、同じイオン源又は別のイオン源に導入し、分析する。このようにすると、夾雑物が増加したときの試料成分が吸着管に濃縮されており、分離部で夾雑物を分離することにより、精度の高い定量分析を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リアルタイムな分析を行いながら、夾雑物濃度が変動した際にも定量精度が高い分析を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例1)
図1は、本発明による装置の実施例を示す概略図である。通常の連続的なリアルタイム測定では、サンプルは分岐部1で分岐され、その一方は導入配管2、バルブ3を経由しイオン源4に導入され、リアルタイムに分析される。もう一方は、導入配管5に導入され、排気配管10からバルブ11を経由して排気される。イオン源4に導入された試料ガスは、排気配管8から流量コントローラ9を経由して排出される。導入配管5にはバルブ6が設けられ、リアルタイム分析時(バルブ3が開の時)には閉じられている。バルブ6の下流には分離部7が繋がり、配管14を経由してイオン源4に繋がる。このような、バルブ等の切替えについては、コントローラー40にて制御される。分析部12については、四重極型質量分析計、イオントラップ型質量分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換型質量分析計など各質量分析計の他、イオンモビリティ型分析計なども用いることができる。ここでは、以下質量分析計を用いる場合を例に説明する。また、イオン源4については、APCI、EI、CI、DARTTM(Direct Analysis in Real Time)などのイオン化方法を用いることができる。
【0014】
上記に示した装置で測定対象成分に関してリアルタイムな連続測定しておきながら、質量スペクトル上、他の夾雑成分が変動していないかを同時に確認する。他の夾雑成分が質量スペクトル上大幅に増加した場合に、サンプルが分離部7を通ってイオン源に導入されるように切り換える。夾雑成分が増加したかどうかの判断は、図2に示したように行う。測定対象成分101の他の夾雑物102の質量数(m/z)の通常の変動上限103をデータ処理用コンピュータ13のデータベースに入れておく。このとき、測定している質量数全域にわたって1つの変動上限値を決めても良いし、ある特定の質量数の夾雑物が通常でも高めであることが分かっている場合には、その質量数の変動上限は他の質量数のものより高めにしておくなど適宜、変動上限を決めておいてもよい。連続測定中にその上限を超えたピークが観測された場合は、そのピークに該当する夾雑物104が増加したことを示していることになる。コントローラー40は、図2の夾雑物104のように上限103を超えたときに、バルブ3とバルブ11を閉じ、バルブ6を開けるように制御する。サンプルは導入配管5、バルブ6を通り分離部7に導入される。分離部7で夾雑物が分離され、配管14を通りイオン源4に導入される。分離部7では、例えば夾雑物の沸点が200℃で測定対象成分の沸点が60℃と沸点に差がある場合に、分離部7にガラス管内に充填した吸着剤(TENAXTMなど)を用いて120℃位に保持すると、沸点が高い夾雑物は吸着され、沸点が低い測定対象成分は吸着されずに通過し、配管14を通りイオン源4に導入される。このとき、導入配管5が導入配管2よりも、分岐部からイオン源までの長さが長くなっているために、リアルタイム分析により、夾雑物濃度が上昇したときの測定対象成分が遅れて配管14から導入され夾雑物が分離され定量精度が高く分析することができる。
(実施例2)
図3は、導入配管5の分離部7の上流に濃縮部20を設けた構成図である。図1の説明と同様に、通常はサンプルは導入配管2からバルブ3を経由してイオン源4に導入され連続的にリアルタイム分析を行う。同時にサンプルの一部は導入配管5から濃縮部20に導入される。濃縮部20は複数個の濃縮管から構成される(図3では2個の場合で説明)。但し、サンプルによっては濃縮管は一つでもよい。切替バルブ15を経由して、サンプルは濃縮管16Aに入る。濃縮管16Aには、成分を化学的・物理的に吸着・吸収するものが使われる。以下、固体表面に吸着する機能を持つものを例に説明する。濃縮管16Aは測定対象成分を吸着する十分低い温度で保持し、成分を吸着する。濃縮管16Aに吸着されずに通過した不活性ガスなどは、切替バルブ17Aを経由して、排気管18Aから排気される。濃縮管に導入するサンプル流量は、排気管18A/Bに設けた流量コントローラ22A/Bで制御するのが良い。その間、もう一方の濃縮管16Bは加熱し、その前に吸着していた成分を脱着して再生させておく。濃縮管16Bの上流に切替バルブ21を経由してキャリアガスボンベ19からキャリアガスガスが導入され、脱着した成分が切替バルブ17Bを経由して排気管18Bから排気される。キャリアガスとしては、ヘリウム、窒素など不活性ガスを使うことが好ましい。
【0015】
リアルタイム分析で夾雑物濃度が変動しない場合は、適度な時間間隔(例えば1分程度)で濃縮部20の2つの濃縮管16Aと16Bの吸着と再生を交互に切り替える。すなわち、濃縮管16Aを再生に切り替えるときは、切替バルブ15と21を切り替えてサンプルが濃縮管16Bに、キャリアガスが濃縮管16Aに導入されるようにする。さらに濃縮管16Aを加熱し吸着された成分を脱着して切り替えバルブ17Aを経由して排気管18Aから排気する。同時に濃縮管16Bを冷却し、サンプル中の成分を吸着する。
【0016】
リアルタイム分析で夾雑物の濃度が上昇したことが確認されたときに、コントローラー40による制御により、吸着していた成分を脱着して分離部7を経由してイオン源4に導入する。例えば、濃縮管16Aが吸着中であったときに夾雑物濃度が上昇した場合、キャリアガスを切り換えバルブ21から導入して濃縮管16Aを加熱し脱着するときに、排気管18Aから成分を排気せずに、切替えバルブ17Aを切り換えて分離部7に導入する。さらにバルブ3を閉じる。分離部7で夾雑成分と測定対象成分が分離され、定量精度を高く分析することができる。分離部7には、上記の沸点の差を利用する他に、GCによる分離を用いることができる。
【0017】
分離部7にGCを用いた図3の構成で得られる測定のシーケンスを図4に示す。リアルタイムで分析している間は、濃縮管16Aと16Bは、吸着と脱着を繰り返す。リアルタイム分析中に夾雑物濃度の上昇を検知した場合に、コントローラーの制御により、吸着プロセスにあった濃縮管(図4の例では濃縮管16B)に吸着された成分を脱着する際に、排気管18Bから成分を排気せずに分離部7(GC)に導入する。GCでは夾雑成分と測定対象成分が分離されてイオン源に導入される。脱着している間は、もう一方の濃縮管(16A)は、次の測定に備えて吸着プロセスに入るのが良い。脱着された成分がイオン源に導入され測定される信号は図4に示すようなクロマトグラムのピークとなり、面積値から濃縮管(16B)で吸着されていた時間の積算濃度を求めることが出来る。測定後は、リアルタイムに測定するモードに戻っても良いし、もう一方の濃縮管(16A)に吸着された成分を脱着して同様なGC分離を行って測定しても良い。図3の例は濃縮部は2個の場合であるが、濃縮部を1個にして、濃縮部に吸着した成分を脱着して分析後リアルタイム分析に戻ることも可能である。
【0018】
分離部7にGCを用いた図3の構成の測定のフローチャートを図5に示す。まず、バルブ3を開にし、切り替えバルブ17Aと17Bをガスが排気管18Aと18Bに流れるようにそれぞれ切り換える(S11)。サンプルを分岐部1、導入配管2を経由してイオン源4に導入してリアルタイム測定を行う(S12)。このとき濃縮部20の濃縮管16Aと16Bは交互に吸着、脱着を切り換える(S13)。リアルタイムで測定したマススペクトル上の夾雑物成分のピーク強度が予め設定しておいたデータベース内の強度レベルと照合し(S14)、夾雑物成分ピークが設定したレベルよりも低ければ、そのままリアルタイム測定を続ける。そして、ある時点で測定した夾雑成分のピーク強度が設定したレベルを超えた場合、バルブ3を閉じ、切り替えバルブ17A(図5でレベルを超えたときに濃縮管16Aが吸着プロセスにあった場合)を切り替えて脱着した成分を分離部7(GC)に導入する(S15)。分離された測定対象成分をクロマトグラムのピークの形で分析(S16、S17)した後、リアルタイム分析に戻り測定を継続する。
(実施例3)
以上の説明では、リアルタイム測定に用いるイオン源と、夾雑物を分離して測定するイオン源が同一であったが、図6に示すように、別のイオン化法を用いたイオン源に測定しても良い。図6の例では、リアルタイム測定に用いるイオン源4は針電極30を用いた大気圧化学イオン源で、夾雑物を分離して測定するイオン源31はEIイオン源である。EIイオン化では、イオン化時に生成するフラグメントパターンからイオンを同定するための情報が得られる。通常の測定では大気圧化学イオン化で測定して、夾雑物が増えた時に上述のように夾雑物を分離して測定対象成分を高い定量精度で分析するとともに、どのような夾雑物が変動したのか、定性的な情報が得られる。図6の例では、リアルタイムで測定するときは、放電針30に印加する電源32をONにする信号をコントローラ40から送り、EIイオン化を行うフィラメント34の電源35をOFFにする信号をコントローラ40から送る。夾雑物濃度が上昇し分離部7を経由してEIイオン源31に導入して分析するときは、電源32をOFFにする信号をコントローラ40から送り、EIイオン化を行うためのフィラメント34の電源35をONにする信号をコントローラ40から送る。配管14からサンプルが導入されるイオン源31には、図6で示したEIイオン源の他に、CIイオン源など他のイオン化方法も用いることができる。
【0019】
あるいは、図3に示した例で負イオン化と正イオン化の2つの大気圧化学イオン源を切り替えるようにしておき、測定対象成分が、正のイオン化では感度が高いが夾雑成分の影響を受けやすく、負のイオン化では感度が低いが夾雑成分の影響を受けにくい物質の場合は、リアルタイム測定は負イオン化で行い、測定対象成分の濃度が低下し感度測定限界に近づいたときに夾雑成分を分離する正イオン化に切り換えることもできる。
【0020】
このようなリアルタイム分析と夾雑物分離分析を行う分析計を化学プラントからの排ガス測定に適用したときに、測定対象成分の環境有害物質(たとえばダイオキシン類)の濃度変動をモニタリングしながら、測定の妨害となる夾雑物(たとえば塩化水素、硫化水素などの無機物質や炭化水素類など)の濃度上昇が見られたときに、本来働くべきそうした物質の除去プロセスに異常がある可能性もあるために、オペレータにアラームを出して除去プロセスの異常を知らせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
試料を、リアルタイム分析と、夾雑物の影響により定量精度が悪化したときに夾雑物を分離して分析する2つの測定法を持ち、より定量精度の高い分析が行える分析装置および方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による分析装置の構成例を示す概略図。
【図2】本発明による夾雑物濃度の上昇を認識するための概念図。
【図3】分離部の上流に濃縮部を設けた構成例を示す図。
【図4】測定のシーケンスを示す図。
【図5】測定のフローチャートを示す図。
【図6】APCIイオン化とEIイオン化を切り替える分析例を示す図。
【符号の説明】
【0023】
1…分岐部、2…導入配管、3…バルブ、4…イオン源、5…導入配管、6…バルブ、7…分離部、8…排気配管、9…流量コントローラ、10…排気配管、11…バルブ、12…分析部、13…データ処理用コンピュータ、14…配管、15…切り替えバルブ、16A、16B…濃縮管、17A、17B…切り換えバルブ、18A、18B…排気管、19…キャリアガスボンベ、20…濃縮部、21…切り換えバルブ、22A、22B…流量コントローラ、30…針電極、31…EIイオン源、32…電源、34…フィラメント、35…電源、40…コントローラ、41…質量分析部、101…測定対象成分のマススペクトルピーク、102…夾雑成分のマススペクトルピーク、103…変動上限レベル、104…上限値を越えた夾雑成分ピーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガスをイオン源に導入する第一の導入配管と、
前記第一の導入配管に流れる前記試料ガスの一部を分岐して前記イオン源に導入する第二の導入配管を有し、
前記第二の導入配管から前記イオン源に導入される前記試料ガス成分が、前記第一の導入配管から前記イオン源に導入される時間よりも、遅れて前記イオン源に導入されることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分析装置において、前記分岐から前記イオン源までの前記第一の導入配管の長さよりも、前記分岐から前記イオン源までの第二の導入配管の長さが長いことを特徴とする分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の分析装置において、前記第一の導入配管から前記イオン源へ導入される試料ガスの流れを止め、前記第二の導入配管から前記イオン源へ前記試料ガスが導入されるように切替え制御を行う制御部を有し、制御部は、測定される信号強度の閾値を格納したデータベースを備え、前記制御部は、測定対象成分以外の信号強度が閾値を超えた場合に、切替え制御を行うことを特徴とする分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の分析装置において、前記第二の導入配管は、前記試料ガス中の成分を分離する分離部を有し、前記分離部を経由した前記試料が、前記イオン源に導入されることを特徴とする分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の分析装置において、前記第二の導入配管は、前記分岐部と前記イオン源との間に前記試料ガスを濃縮する濃縮部を有することを特徴とする分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の分析装置において、前記イオン源が、大気圧化学イオン化、電子衝撃イオン化、化学イオン化のいずれかのイオン化によるイオン源であることを特徴とする分析装置。
【請求項7】
請求項4に記載の分析装置において、前記分離部がガスクロマトグラフィであることを特徴とする分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の分析装置において、前記イオン源にてイオン化された前記試料が導入される分析部を有し、前記分析部は、四重極型質量分析計、イオントラップ型分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換型質量分析計、イオンモビリティ型分析計のいずれかであることを特徴とする分析装置。
【請求項9】
請求項5に記載の分析装置において、前記濃縮部は複数あり、第1の濃縮部と第2の濃縮部との間で、濃縮と脱着のタイミングが交互に異なることを特徴とする分析装置。
【請求項10】
請求項1に記載の分析装置において、前記イオン源を2つ有し、前記試料ガスは、前記第一の導入配管により第一のイオン源に導入され、前記第二の導入配管により第二のイオン源に導入されることを特徴とする分析装置。
【請求項11】
請求項10に記載の分析装置において、前記2つのイオン源の一方が負イオン化のイオン源であり、他方が正イオン化のイオン源であることを特徴とする分析装置。
【請求項12】
イオン源と、イオン源からのイオンを分析する分析部と、試料ガスをイオン源に導入する第一の導入配管と、前記第一の導入配管に流れる前記試料ガスの一部を分岐して前記イオン源に導入する第二の導入配管とを用いた分析方法であって、
試料ガスを前記第一の導入配管に導入し、前記イオン源からのイオンを分析して得られた信号の信号強度を測定する工程と、
前記信号に含まれる測定対象物以外の信号強度を、データベースに登録しておいた閾値と比較する工程と、
前記閾値を超えた場合に、前記第一の導入配管から前記イオン源へ導入される試料ガスの流れを止め、前記第二の導入配管から前記イオン源へ前記試料ガスが導入されるように切替える工程と、
前記第二の導入配管から導入された試料ガスについて、前記イオン源においてイオンを分析し、信号を取得することを特徴とする分析方法。
【請求項13】
請求項12に記載の分析方法において、前記第二の導入配管は、複数の濃縮部を有しており、前記第二の導入配管に導入された前記試料ガスの吸着と脱着のタイミングが前記複数の濃縮部で交互に異なるように制御する工程と、
前記閾値を超えた場合に、前記複数の濃縮部のいずれかで脱着した成分を、前記濃縮部と前記イオン源との間に設けられた分離部へ導入する工程と、
前記分離部に導入された成分を前記イオン源に導入して分析し、信号を取得することを特徴とする分析方法。
【請求項14】
請求項12に記載の分析方法において、前記第二の導入配管から、第一の導入配管から導入されるイオン源とは別のイオン源に対し、試料を導入することを特徴とする分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−139130(P2008−139130A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325130(P2006−325130)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】