説明

レジシステム

【課題】全ての貨幣精算装置の貨幣収納部を金庫内に配置する場合と比較してコストを低減することができるとともに、閑散期には主に親ユニットの貨幣精算装置で精算処理を行うことにより安全な貨幣処理を行うことができるレジシステムを提供する。
【解決手段】レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムにおいて、複数のレジユニットは、親ユニット20および子ユニット30を備えている。親ユニット20の貨幣精算装置28は、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫内に配置された貨幣収納部120を有している。また、親ユニット20は子ユニット30に対して補充処理および回収処理を行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において、POS(Point-of-sales)レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムが設置されている。ここで、貨幣精算装置として、例えば、紙幣釣銭機および硬貨釣銭機からなる貨幣釣銭機が用いられるようになっている。また、従来から、複数のレジユニットのうち一のレジユニットを親ユニットとして扱うとともに他のレジユニットを子ユニットとして扱うような親子式のレジシステムが知られている。例えば、特許文献1には、複数の電子式キャッシュレジスターやPOSレジスターを店舗に設置し、子機(スレーブ)のレジスターを親機(マスター)のレジスターに通信接続し、子機のレジスターにおいて用いられるデータを親機のレジスターにより管理する方法が開示されている。また、特許文献2には、POS端末としてのスレーブ機および当該スレーブ機に通信接続されたマスター機をそれぞれ設け、売上データをタンキングデータとしてマスター機で一括管理して効率的な運用を行うPOSシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2715174号
【特許文献2】特開平11−110648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レジユニットが複数設けられたレジシステムでは、全てのレジユニットの貨幣精算装置における貨幣収納部をセキュリティ性の高い金庫内に設置した場合には、このような金庫は設置するのに費用がかかるため、システム全体としてコストアップにつながるという問題がある。
【0005】
また、従来のレジシステムでは、複数のレジユニットのうち一のレジユニットを親ユニットとして扱うとともに他のレジユニットを子ユニットとして扱った場合でも、貨幣精算装置が用いられるレジユニットではなく、ドロアで現金を管理するレジユニットであるため、親ユニットと子ユニットとの間で、親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を子ユニットの貨幣精算装置に補充する補充処理や、子ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を回収して親ユニットの貨幣精算装置に収納する回収処理は行われていなかった。このため、親子式のレジシステムでも、店舗の営業開始前における各貨幣精算装置に対する釣銭の補充作業や、店舗の営業終了後における各貨幣精算装置からの貨幣の回収作業を効率的に行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、親ユニットの貨幣精算装置の貨幣収納部のみを、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫内に配置することにより、全ての貨幣精算装置の貨幣収納部を金庫内に配置する場合と比較してコストを低減することができるとともに、閑散期には主に親ユニットの貨幣精算装置で精算処理を行うことにより安全な貨幣処理を行うことができるレジシステムを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、親ユニットが子ユニットに対して補充処理や回収処理を行うことにより、店舗の営業開始前における各貨幣精算装置に対する釣銭の補充作業や、店舗の営業終了後における各貨幣精算装置からの貨幣の回収作業を効率的に行うことができるレジシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレジシステムは、レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムにおいて、前記複数のレジユニットは、親ユニットおよび子ユニットからなり、前記親ユニットの貨幣精算装置は、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫内に配置された貨幣収納部を有することを特徴とする。
【0008】
このようなレジシステムによれば、親ユニットの貨幣精算装置の貨幣収納部のみを、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫内に配置することにより、全ての貨幣精算装置の貨幣収納部を金庫内に配置する場合と比較してコストを低減することができる。また、閑散期には主に親ユニットの貨幣精算装置で精算処理を行うことにより、顧客から受け取った紙幣を安全に管理することができる。
【0009】
本発明のレジシステムにおいては、前記親ユニットの貨幣精算装置における貨幣の収納量は、前記子ユニットの貨幣精算装置における貨幣の収納量よりも大きくなっていてもよい。
【0010】
本発明の他のレジシステムは、レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムにおいて、前記複数のレジユニットは、親ユニットおよび子ユニットからなり、前記親ユニットは前記子ユニットに対して、前記親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を前記子ユニットの貨幣精算装置に補充する補充処理、および前記子ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を回収して前記親ユニットの貨幣精算装置に収納する回収処理を行うようになっていることを特徴とする。
【0011】
このようなレジシステムによれば、親ユニットが子ユニットに対して補充処理や回収処理を行うことにより、店舗の営業開始前における子ユニットの各貨幣精算装置に対する釣銭の補充作業や、店舗の営業終了後における子ユニットの各貨幣精算装置からの貨幣の回収作業を効率的に行うことができる。
【0012】
本発明のレジシステムにおいては、前記親ユニットおよび前記子ユニットにそれぞれ通信接続され、前記親ユニットの貨幣精算装置の在高および前記子ユニットの貨幣精算装置の在高をそれぞれ管理する管理装置を更に備えていてもよい。
【0013】
本発明のレジシステムにおいては、前記親ユニットは銀行のATM網に通信接続されていてもよい。
【0014】
この際に、前記親ユニットの貨幣精算装置から貨幣が出金される際に、貨幣の出金情報が前記親ユニットから銀行のATM網に送信されるようになっていてもよい。
【0015】
また、前記親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を前記子ユニットの貨幣精算装置に補充する補充処理が行われる際に、前記親ユニットの貨幣精算装置から出金された貨幣の出金情報が前記親ユニットから銀行のATM網に送信されるようになっていてもよい。
【0016】
また、前記子ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を回収して前記親ユニットの貨幣精算装置に収納する回収処理が行われる際に、前記親ユニットの貨幣精算装置に入金された貨幣の入金情報が前記親ユニットから銀行のATM網に送信されるようになっていてもよい。
【0017】
本発明のレジシステムにおいては、前記親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣は、銀行の管理権限下にあるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のレジシステムによれば、全ての貨幣精算装置の貨幣収納部を金庫内に配置する場合と比較してコストを低減することができるとともに、閑散期には主に親ユニットの貨幣精算装置で精算処理を行うことにより安全な貨幣処理を行うことができる。
【0019】
また、本発明の他のレジシステムによれば、親ユニットが子ユニットに対して補充処理や回収処理を行うことにより、店舗の営業開始前における各貨幣精算装置に対する釣銭の補充作業や、店舗の営業終了後における各貨幣精算装置からの貨幣の回収作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態によるレジシステムの構成の概略を示す上面図である。
【図2】図1等に示すレジシステムの概略的な機能ブロック図である。
【図3】図1等に示すレジシステムの親ユニットにおける紙幣入出金機の内部構成を示す側面図である。
【図4】図1等に示すレジシステムの子ユニットにおける紙幣入出金機の内部構成を示す側面図である。
【図5】図1等に示すレジシステムの親ユニットおよび子ユニットにおける硬貨入出金機の内部構成を示す側面図である。
【図6】図5に示す硬貨入出金機の内部構成を示す正面図である。
【図7】図1等に示すレジシステムの親ユニットの紙幣入出金機からATM出金を行う際の動作を説明するための図である。
【図8】図1等に示すレジシステムの親ユニットの紙幣入出金機に収納された紙幣を子ユニットの紙幣入出金機に準備金として補充する補充処理の動作を説明するための図である。
【図9】図1等に示すレジシステムの子ユニットの紙幣入出金機に収納された紙幣を回収して親ユニットの紙幣入出金機に収納する回収処理の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態に係るレジシステムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態によるレジシステムの構成の概略を示す上面図であり、図2は、図1等に示すレジシステムの概略的な機能ブロック図である。また、図3および図4は、それぞれ、親ユニットおよび子ユニットにおける紙幣入出金機の内部構成を示す側面図である。また、図5および図6は、硬貨入出金機の内部構成を示す側面図および正面図である。また、図7は、親ユニットの紙幣入出金機からATM出金を行う際の動作を説明するための図であり、図8は、親ユニットの紙幣入出金機に収納された紙幣を子ユニットの紙幣入出金機に準備金として補充する補充処理の動作を説明するための図である。また、図9は、子ユニットの紙幣入出金機に収納された紙幣を回収して親ユニットの紙幣入出金機に収納する回収処理の動作を説明するための図である。
【0022】
本実施の形態によるレジシステム10は、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売業の店舗等において、キャッシャー(店員)が顧客との間で紙幣や硬貨のやりとりを行う精算所に設置されている。具体的には、本実施の形態によるレジシステム10において、顧客が商品の精算を行う際に、顧客が商品をキャッシャーに手渡し、キャッシャーはスキャナーにより商品のスキャンを行い商品の合計金額を確認した後、顧客が紙幣や硬貨を支払い、その後、顧客が支払った金額と商品の合計金額との差の金額である釣銭を顧客が受け取るようになっている。
【0023】
図1に示すようなレジシステム10では、直線状に延びるカウンター11が設けられており、このカウンター11には、3つのレジユニットが設けられている。ここで、3つのレジユニットは、1つの親ユニット(マスターユニット)20および2つの子ユニット(スレーブユニット)30から構成されている。図1に示す例では、2つの子ユニット30の間に親ユニット20が設置されている。図1および図2に示すように、親ユニット20は、親POSレジスター22、紙幣入出金機24および硬貨入出金機26から構成されている。また、各子ユニット30は、子POSレジスター32、紙幣入出金機34および硬貨入出金機36から構成されている。本実施の形態では、図2に示すように、親ユニット20において、紙幣入出金機24および硬貨入出金機26により貨幣精算装置28が構成されている。また、子ユニット30において、紙幣入出金機34および硬貨入出金機36により貨幣精算装置38が構成されている。
【0024】
図1に示すようなレジシステム10では、親ユニット20の硬貨入出金機26および各子ユニット30の硬貨入出金機36はそれぞれ図1におけるカウンター11の左側、すなわち顧客側を向いている。一方、親ユニット20の紙幣入出金機24および各子ユニット30の紙幣入出金機34はそれぞれ図1におけるカウンター11の右側、すなわちキャッシャー側を向いている。また、カウンター11上において、親POSレジスター22や各子POSレジスター32の近傍には、スキャナー(図示せず)がそれぞれ設けられている。これらのスキャナーは、対応する親POSレジスター22や各子POSレジスター32にそれぞれ通信接続されている。そして、各スキャナーによりスキャンされた商品情報は、対応する親POSレジスター22や各子POSレジスター32にそれぞれ送られるようになっている。
【0025】
図1に示すようなレジシステム10では、各レジユニット(親ユニット20および子ユニット30)はそれぞれセミセルフ形式となっている。すなわち、キャッシャーがスキャナーにより商品のスキャンを行った後、顧客は親ユニット20の硬貨入出金機26や各子ユニット30の硬貨入出金機36への硬貨の入金を自ら行うとともに、釣銭として各硬貨入出金機26、36から出金された硬貨を顧客自らが取り出すようになる。一方、親ユニット20における親POSレジスター22、スキャナーおよび紙幣入出金機24、ならびに子ユニット30における子POSレジスター32、スキャナーおよび紙幣入出金機34はそれぞれキャッシャーにより操作されるようになっている。
【0026】
図2は、図1に示すレジシステム10の概略的な機能ブロック図である。図2に示すように、レジシステム10には在高管理ターミナル50が設けられており、この在高管理ターミナル50にはLAN40を介して親ユニット20における親POSレジスター22および貨幣精算装置28が通信接続されている。また、子ユニット30における子POSレジスター32および貨幣精算装置38もLAN40を介して在高管理ターミナル50に通信接続されている。在高管理ターミナル50は、親ユニット20の貨幣精算装置28の在高および子ユニット30の貨幣精算装置38の在高をそれぞれ管理するようになっている。また、レジシステム10にはPOSサーバー52が設けられており、このPOSサーバー52は、LAN40を介して、在高管理ターミナル50、親ユニット20における親POSレジスター22および貨幣精算装置28、ならびに子ユニット30における子POSレジスター32および貨幣精算装置38等にそれぞれ通信接続されている。
【0027】
また、図2に示すように、レジシステム10のLAN40には、銀行のATM網62を介して銀行ホスト60が接続されている。このことにより、銀行ホスト60と在高管理ターミナル50との間で、銀行のATM網62およびLAN40を介して信号の送受信を行うことができるようになっている。この際に、親ユニット20は銀行のATM網62に通信接続されるようになる。
【0028】
次に、親ユニット20の紙幣入出金機24の構成について図3を用いて説明する。図3は、親ユニット20の紙幣入出金機24の内部構成を示す構成図である。より詳細には、図3(a)は、入金部102に紙幣受入ユニット102aが装着されているときの状態を示す図であり、図3(b)は、入金部102に現金搬送カセット135が装着されているときの状態を示す図である。
【0029】
図3(a)に示すように、紙幣入出金機24の筐体100の前面(図3における右側の側面)には入金部102および出金部110がそれぞれ設けられている。入金部102には紙幣受入ユニット102aが着脱自在に装着されている。ここで、紙幣受入ユニット102aは、入金部102に装着されたときに紙幣入出金機24の外部から紙幣を受け入れて1枚ずつ筐体100内に繰り出すようになっている。このような紙幣受入ユニット102aは、キャッシャーが紙幣入出金機24へ紙幣を直接入金する場合に用いられるようになっている。なお、図3(b)に示すように、入金部102には、紙幣受入ユニット102aの代わりに、現金搬送カセット135を装着することができるようになっている。現金搬送カセット135が入金部102に装着されたときには、この現金搬送カセット135の内部に設けられた繰出機構により現金搬送カセット135内の紙幣が1枚ずつ筐体100内に繰り出されるようになっている。現金搬送カセット135は、親ユニット20の紙幣入出金機24と子ユニット30の紙幣入出金機34との間で紙幣を搬送する際に用いられるようになっている。また、この現金搬送カセット135が親ユニット20の紙幣入出金機24や子ユニット30の紙幣入出金機34から取り外されたときには、この現金搬送カセット135に収納された紙幣を当該現金搬送カセット135から外部に取り出すことができないようになっている。
【0030】
図3に示すように、紙幣入出金機24の筐体100内には紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部114が設けられており、この搬送部114の端部114aに、前述した入金部102が設けられている。そして、紙幣受入ユニット102aや現金搬送カセット135が入金部102に装着されたときに、これらの紙幣受入ユニット102aや現金搬送カセット135から繰り出された紙幣は搬送部114の端部114aを介して当該搬送部114により搬送されるようになっている。
【0031】
図3に示すように、搬送部114には識別部116が設けられており、この識別部116によって、搬送部114により搬送される紙幣の金種、正損、真偽等の識別を行うようになっている。
【0032】
また、紙幣入出金機24の筐体100の下部には金庫130が設置されており、この金庫130の内部には複数(具体的には例えば5つ)の収納繰出部120が設けられている。各収納繰出部120にはそれぞれ搬送部114に接続されており、搬送部114から各収納繰出部120に紙幣が金種別に送られてこれらの収納繰出部120に収納されるようになっている。また、各収納繰出部120に収納された紙幣は搬送部114に1枚ずつ繰出可能となっている。各収納繰出部120は、図3に示すような紙幣を1枚ずつ一対のテープ間に挟み込んだ状態で当該テープを紙幣とともに巻き取るテープリール式の収納繰出部であってもよく、あるいは、紙幣を積み重ねて収納するスタッカ式の収納繰出部(図示せず)であってもよい。
【0033】
また、金庫130内には回収カセット126が設けられており、この回収カセット126にも搬送部114が接続されている。そして、搬送部114から回収カセット126に紙幣が送られると、この回収カセット126の内部に紙幣が集積されるようになる。
【0034】
図3に示すように、金庫130にはダイヤルロック132が設けられており、銀行の収集特定者等の特定の権限を有する者のみがこのダイヤルロック132を操作して金庫130を開けることができるようになっている。金庫130が開けられると、特定の権限を有する者により回収カセット126内の紙幣が回収カセット126ごと回収されるようになる。
【0035】
このように、本実施の形態では、紙幣入出金機24の各収納繰出部120は、銀行の収集特定者等の特定の権限を有する者のみがアクセスすることができる金庫130内に配置されている。そして、この紙幣入出金機24の各収納繰出部120に収納された紙幣は、銀行の管理権限下となっている。このようにして、親ユニット20の紙幣入出金機24は、銀行のATM機としても機能するようになっている。
【0036】
また、図3に示すように、紙幣入出金機24には、機外リジェクト部117および機内リジェクト部118がそれぞれ設けられている。ここで、機外リジェクト部117には、入金部102により筐体100内に取り込まれた紙幣のうち識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣がリジェクト紙幣として搬送部114から送られるようになっており、この機外リジェクト部117によりリジェクト紙幣を紙幣入出金機24の外部に投出するようになっている。一方、機内リジェクト部118には、紙幣入出金機24の外部に投出することのできないようなリジェクト紙幣が搬送部114から送られるようになっており、この機内リジェクト部118にリジェクト紙幣を収納するようになっている。そして、キャッシャー等の管理権限のない操作者は機内リジェクト部118内の紙幣を取り出すことはできないようになっている。
【0037】
次に、子ユニット30の紙幣入出金機34の構成について図4を用いて説明する。図4は、子ユニット30の紙幣入出金機34の内部構成を示す構成図である。
【0038】
図4に示すように、子ユニット30の紙幣入出金機34の筐体150の前面(図4における右側の側面)には入金部152および出金部160が設けられている。入金部152には入金部カバー152aおよび紙幣繰出機構152bが設けられており、キャッシャーが紙幣入出金機34へ紙幣を直接入金する場合には、紙幣を積層状態で入金部152にセットし、入金部152にセットされた紙幣を入金部カバー152aにより上方から押さえつけた後、紙幣繰出機構152bにより紙幣が1枚ずつ筐体150内に繰り出されるようになっている。また、紙幣入出金機34の筐体150内には搬送部164が設けられており、この搬送部164は、紙幣繰出機構152bにより筐体150内に繰り出された紙幣を1枚ずつ搬送するようになっている。搬送部164には識別部166が設けられており、紙幣繰出機構152bにより筐体150内に繰り出された紙幣は識別部166によりその金種、正損、真偽等が識別されるようになっている。
【0039】
また、筐体150内において複数の収納繰出部170が設けられており、各収納繰出部170はそれぞれ搬送部164に接続されている。各収納繰出部170は、紙幣を金種別に収納するようになっている。より詳細には、識別部166による識別結果に基づいて、紙幣繰出機構152bにより筐体150内に繰り出された紙幣は搬送部164により各収納繰出部170に金種別に送られるようになっている。また、各収納繰出部170は、当該収納繰出部170に収納された紙幣を1枚ずつ搬送部164に繰り出すことができるようになっている。各収納繰出部170は、図4に示すような紙幣を1枚ずつ一対のテープ間に挟み込んだ状態で当該テープを紙幣とともに巻き取るテープリール式の収納繰出部であってもよく、あるいは、紙幣を積み重ねて収納するスタッカ式の収納繰出部(図示せず)であってもよい。
【0040】
なお、本実施の形態では、親ユニット20の紙幣入出金機24には、子ユニット30の紙幣入出金機34よりも多くの量の紙幣を収納することができるようになっている。より具体的には、親ユニット20の紙幣入出金機24の収納繰出部120の紙幣収納量と、子ユニット30の紙幣入出金機34の収納繰出部170の紙幣収納量とは略同一となっているが、親ユニット20の紙幣入出金機24には収納繰出部120が5つ設けられているのに対し、子ユニット30の紙幣入出金機34には収納繰出部170が3つしか設けられていないので、親ユニット20の紙幣入出金機24全体の紙幣収納量は、子ユニット30の紙幣入出金機34全体の紙幣収納量よりも大きくなる。
【0041】
また、図4に示すように、筐体150内において、現金搬送カセット135が着脱自在に装着されるカセット装着部180が設けられている。カセット装着部180は搬送部164に接続されており、カセット装着部180に現金搬送カセット135が装着されたときに、搬送部164から現金搬送カセット135に紙幣を送ることができるとともに、現金搬送カセット135に収納された紙幣を搬送部164に繰り出すことができるようになっている。
【0042】
また、出金部160には出金部シャッター160aが設けられている。紙幣が出金部160に送られた後、キャッシャーは出金部シャッター160aを開くことにより、出金部160に集積された紙幣を取り出すことができるようになっている。
【0043】
次に、親ユニット20の硬貨入出金機26および子ユニット30の硬貨入出金機36の構成の詳細について図5および図6を用いて説明する。本実施の形態では、親ユニット20の硬貨入出金機26および子ユニット30の硬貨入出金機36は略同一の構成となっている。
【0044】
図5は、硬貨入出金機26、36の内部構成を示す側面図であり、図6は、図5に示す硬貨入出金機26、36の正面図である。
【0045】
図5および図6に示すように、硬貨入出金機26、36は、略直方体形状の筐体212と、筐体212外から硬貨を受け入れる硬貨受入口214(図6参照)と、硬貨受入口214に受け入れられた硬貨が送られて貯留されるとともに貯留された硬貨を1枚ずつ繰り出す貯留繰出機構230とを備えている。貯留繰出機構230は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤232と、この回転円盤232の表面232bとの間に硬貨を貯留する硬貨貯留空間233を形成するカバー部材234と、を備えている。
【0046】
また、筐体212内において、貯留繰出機構230から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送する入金搬送部220が設けられており、この入金搬送部220には、当該入金搬送部220により搬送される硬貨の識別を行う識別部222が設けられている。入金搬送部220には無端状ベルト220pが設けられている。無端状ベルト220pは複数のプーリに張架されており、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト220pは図5における反時計回りの方向に循環移動させられるようになっている。また、この無端状ベルト220pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚引っ掛けられることにより、搬送面上で硬貨が1枚ずつ搬送させられるようになっている。
【0047】
また、筐体212内において入金搬送部220の下方には複数(具体的には8つ)の収納繰出機構250が設けられている。各収納繰出機構250は、識別部222による硬貨の識別結果に基づいて、入金搬送部220に設けられた選別部224によりシュート226を介して当該入金搬送部220から硬貨が送られて収納されるようになっている。また、各収納繰出機構250は、当該収納繰出機構250に収納された硬貨を1枚ずつ繰り出すようになっている。より詳細には、各収納繰出機構250は、鉛直方向に対して所定角度で傾斜しており傾斜姿勢で回転させられる回転円盤252と、この回転円盤252の表面252bとの間に硬貨を収納する硬貨収納空間253を形成するカバー部材254と、を備えている。
【0048】
また、硬貨入出金機26、36には、筐体212外へ硬貨を投出する硬貨投出口218が設けられており、筐体212内には、各収納繰出機構250から繰り出された硬貨を硬貨投出口218に搬送する出金搬送部270が設けられている。出金搬送部270は、各収納繰出機構250の下方に設けられ略水平方向に沿って延びる第1の出金搬送部分270aと、第1の出金搬送部分270aから送られた硬貨を硬貨投出口218に搬送する第2の出金搬送部分270bとを有している。また、出金搬送部270は、複数のプーリに張架された無端状ベルト270pから構成されている。そして、一のプーリに取り付けられたモータにより無端状ベルト270pは図5における時計回りおよび反時計回りの両方向に循環移動させられるようになっている。無端状ベルト270pには複数の突起部材(図示せず)が等間隔で設けられており、一の突起部材に硬貨が1枚以上引っ掛けられることにより、無端状ベルト270pにより硬貨が1枚以上ずつ搬送させられるようになっている。
【0049】
また、筐体212内において、出金搬送部270の下方には回収ボックス280が設けられている。回収ボックス280は筐体212に対して着脱自在に設けられている。また、回収ボックス280には出金搬送部270における第1の出金搬送部分270aから回収用の硬貨が送られるようになっている。そして、回収ボックス280に硬貨が収納された後、筐体212から回収ボックス280を取り出すことにより、硬貨を回収ボックス280ごと回収することができるようになっている。
【0050】
次に、このような構成からなるレジシステム10における動作について以下に説明する。本実施の形態のレジシステム10により精算処理を行う際には、親ユニット20または子ユニット30において顧客はまず精算すべき商品をキャッシャーに手渡し、キャッシャーはスキャナー(図示せず)により商品のスキャンを行う。スキャナーによりスキャンされた商品情報は親POSレジスター22または子POSレジスター32に送られ、親POSレジスター22または子POSレジスター32の表示画面(図示せず)で商品の合計金額が表示される。その後、顧客は硬貨を硬貨入出金機26、36に直接入金するとともに、紙幣をキャッシャーに手渡し、キャッシャーは顧客から手渡された紙幣を紙幣入出金機24、34に入金する。
【0051】
その後、親POSレジスター22または子POSレジスター32は、硬貨入出金機26、36および紙幣入出金機24、34に入金された硬貨および紙幣の合計入金金額に基づいて、釣銭の金額を算出する。そして、硬貨入出金機26、36および紙幣入出金機24、34からそれぞれ硬貨および紙幣が釣銭として出金されるが、硬貨入出金機26、36から出金された硬貨は顧客が自ら取り出し、紙幣入出金機24、34から出金された紙幣はキャッシャーが取り出した後、キャッシャーが顧客に手渡すようになる。このようにして、顧客とキャッシャーとの間で行われる精算処理の一連の動作が終了する。
【0052】
本実施の形態のレジシステム10では、閑散期には主に親ユニット20で精算処理を行うようにする。親ユニット20の紙幣入出金機24は銀行のATMとしても機能するようになっているので、この紙幣入出金機24に入金された紙幣は、ATM入金とすることができ、このため顧客から受け取った紙幣を安全に管理することができるようになる。一方、繁忙期には親ユニット20および子ユニット30の両方で精算処理を行うようになるが、この場合には、店舗の営業時間が終了して締め処理を行う際に、子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣を回収して親ユニット20の紙幣入出金機24に収納する回収処理を行う。このようにして、子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣についても、親ユニット20の紙幣入出金機24にATM入金するようになる。なお、このような回収処理の動作の詳細については後述する。
【0053】
また、本実施の形態では、前述したように、親ユニット20の紙幣入出金機24は、銀行のATM機としても機能するようになっている。このような親ユニット20の紙幣入出金機24からATM出金を行う際の動作について図7を用いて説明する。
【0054】
通常精算時において、顧客のカード番号等の情報および出金すべき金額に係る情報が親ユニット20の親POSレジスター22に入力されると、親ユニット20の紙幣入出金機24の各収納繰出部120に収納された紙幣がこの紙幣入出金機24から出金される(図7の符号(a)参照)。この際に、親POSレジスター22から在高管理ターミナル50に、紙幣入出金機24から出金された紙幣に関する情報(以下、ATM出金情報ともいう。具体的には、出金された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報がATM出金情報となる)が送信される(図7の符号(b)参照)。そして、在高管理ターミナル50から銀行のATM網62にATM出金情報が送信され、最終的に銀行のATM網62から銀行ホスト60にATM出金情報が送信されるようになる(図7の符号(c)参照)。このようにして、親ユニット20の紙幣入出金機24から紙幣が出金される際に、ATM出金情報が親ユニット20の親POSレジスター22から在高管理ターミナル50を介して銀行のATM網62に送信される。なお、図7に示す態様では、ATM出金情報は親ユニット20の親POSレジスター22から在高管理ターミナル50を介して銀行のATM網62に送信されているが、他の態様として、ATM出金情報が親ユニット20の親POSレジスター22から(在高管理ターミナル50を経ずに)銀行のATM網62に直接的に送られるようになっていてもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、親ユニット20は子ユニット30に対して、親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣を子ユニット30の紙幣入出金機34に補充する補充処理、および子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣を回収して親ユニット20の紙幣入出金機24に収納する回収処理を行うようになっている。このような補充処理および回収処理は、図8および図9に示すような出納管理ターミナル51により行われるようになっている。出納管理ターミナル51は、在高管理ターミナル50に設けられていてもよいし、あるいは親ユニット20の親POSレジスター22に設けられていてもよい。
【0056】
親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣を子ユニット30の紙幣入出金機34に準備金として補充する補充処理の動作について図8を用いて説明する。
【0057】
補充処理を行うにあたり、まず、親ユニット20の紙幣入出金機24の各収納繰出部120に収納された紙幣をこの紙幣入出金機24から出金する(図8の符号(a)参照)。具体的には、紙幣入出金機24の各収納繰出部120から搬送部114に紙幣を繰り出し、繰り出された紙幣を搬送部114により出金部110に搬送することにより、キャッシャーは出金部110に集積された紙幣を取り出すことができるようになる。なお、他の出金方法としては、入金部102に現金搬送カセット135を装着した後、紙幣入出金機24の各収納繰出部120から搬送部114に紙幣を繰り出し、繰り出された紙幣を搬送部114により現金搬送カセット135に搬送するようにしてもよい。この場合には、準備金としての紙幣が現金搬送カセット135に収納された後、キャッシャーは現金搬送カセット135ごと紙幣を親ユニット20から子ユニット30に搬送するようになる。
【0058】
また、親ユニット20の紙幣入出金機24から紙幣を出金する際に、親POSレジスター22から出納管理ターミナル51に、紙幣入出金機24から出金された紙幣に関する情報(以下、出金情報ともいう。具体的には、出金された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報が出金情報となる)が送信される(図8の符号(b)参照)。出納管理ターミナル51は、親POSレジスター22から出金情報を受け取ると、子ユニット30の子POSレジスター32に対して入金待ち指示を送信する(図8の符号(c)参照)。このことにより、子ユニット30の紙幣入出金機34は、通常の精算モードから入金待ちモードに切り換わるようになる。このような入金待ちモードでは、親ユニット20の紙幣入出金機24から出金された準備金としての紙幣が子ユニット30の紙幣入出金機34に入金されるまで、この子ユニット30の紙幣入出金機34では他の処理を行うことができないようになる。
【0059】
その後、キャッシャーは子ユニット30の紙幣入出金機34に紙幣を入金する(図8の符号(d)参照)。具体的には、親ユニット20の紙幣入出金機24の出金部110から紙幣が取り出され、この紙幣がキャッシャーにより親ユニット20から子ユニット30に搬送された場合には、キャッシャーはこの紙幣を子ユニット30の紙幣入出金機34における入金部152に積層状態でセットする。そして、入金部152にセットされた紙幣は紙幣繰出機構152bにより1枚ずつ筐体150内に繰り出され、識別部166により識別された後、金種別に各収納繰出部170に収納されるようになる。一方、キャッシャーが現金搬送カセット135ごと紙幣を親ユニット20から子ユニット30に搬送した場合には、キャッシャーはこの現金搬送カセット135を子ユニット30の紙幣入出金機34におけるカセット装着部180に装着する。そして、カセット装着部180に現金搬送カセット135が装着されると、現金搬送カセット135に収納された紙幣は搬送部164に繰り出され、金種別に各収納繰出部170に収納されるようになる。
【0060】
子ユニット30の紙幣入出金機34に紙幣が入金されると、子ユニット30の子POSレジスター32は、紙幣入出金機34に入金された紙幣に関する情報(以下、入金情報ともいう。具体的には、入金された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報、あるいは入金ステータスが入金情報となる)を出納管理ターミナル51に送信する(図8の符号(e)参照)。ここで、入金ステータスとして、親ユニット20の紙幣入出金機24から出金された紙幣の合計金額と子ユニット30の紙幣入出金機34に入金された紙幣の合計金額とが等しい場合には「入金完了」となり、子ユニット30の紙幣入出金機34に入金された紙幣の合計金額が親ユニット20の紙幣入出金機24から出金された紙幣の合計金額に対して不足する場合や、予め設定された時間内に子ユニット30の紙幣入出金機34への入金動作が開始されなかった場合には「入金未完了」となる。
【0061】
出納管理ターミナル51は、子ユニット30の子POSレジスター32から入金情報を受け取ると、子ユニット30の子POSレジスター32に対して入金待ち解除指示を送信する(図8の符号(f)参照)。このことにより、子ユニット30の紙幣入出金機34は、入金待ちモードから通常の精算モードに切り換わるようになる。また、出納管理ターミナル51は、親ユニット20の親POSレジスター22に対してATM出金確認指示を送信する(図8の符号(g)参照)。ここで、ATM出金確認指示とは、親ユニット20の紙幣入出金機24からの紙幣の出金動作が、ATMとして機能する紙幣入出金機24からのATM出金であることを確認するための指示である。そして、親ユニット20の親POSレジスター22は、出納管理ターミナル51からATM出金確認指示を受け取ると、銀行のATM網62にATM出金情報(具体的には、出金された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報)を送信し、最終的に銀行のATM網62から銀行ホスト60にATM出金情報が送信されるようになる(図8の符号(h)参照)。このようにして、親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣を子ユニット30の紙幣入出金機34に補充する補充処理が行われる際に、ATM出金情報が親ユニット20の親POSレジスター22から銀行のATM網62に送信されるようになる。なお、図8に示す態様では、ATM出金情報が親ユニット20の親POSレジスター22から銀行のATM網62に直接的に送信されているが、他の態様として、このようなATM出金情報が出納管理ターミナル51から銀行のATM網62に送られるようになっていてもよい。
【0062】
次に、子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣を回収して親ユニット20の紙幣入出金機24に収納する回収処理の動作について図9を用いて説明する。前述のように、親ユニット20の紙幣入出金機24は銀行のATM機としても機能するようになっており、このような回収処理の動作を行うことにより子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣が銀行の口座に預金されるようになるので紙幣を安全に管理することができるようになる。
【0063】
回収処理を行うにあたり、まず、子ユニット30の紙幣入出金機34の各収納繰出部170に収納された紙幣をこの紙幣入出金機34から出金する(図9の符号(a)参照)。具体的には、紙幣入出金機34の各収納繰出部170から搬送部164に紙幣を繰り出し、繰り出された紙幣を搬送部164により出金部160に搬送することにより、キャッシャーは出金部160に集積された紙幣を手動で取り出すことができるようになる。なお、他の出金方法としては、カセット装着部180に現金搬送カセット135を装着した後、紙幣入出金機34の各収納繰出部170から搬送部164に紙幣を繰り出し、繰り出された紙幣を搬送部164により現金搬送カセット135に搬送するようにしてもよい。この場合には、回収されるべき紙幣が現金搬送カセット135に収納された後、キャッシャーは現金搬送カセット135ごと紙幣を子ユニット30から親ユニット20に搬送するようになる。
【0064】
また、子ユニット30の紙幣入出金機34から紙幣を回収する際に、子POSレジスター32から出納管理ターミナル51に、紙幣入出金機34から回収された紙幣に関する情報(以下、回収情報ともいう。具体的には、回収された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報が回収情報となる)が送信される(図9の符号(b)参照)。出納管理ターミナル51は、子POSレジスター32から出金情報を受け取ると、親ユニット20の親POSレジスター22に対して入金待ち指示を送信する(図9の符号(c)参照)。このことにより、親ユニット20の紙幣入出金機24は、通常の精算モードから入金待ちモードに切り換わるようになる。このような入金待ちモードでは、子ユニット30の紙幣入出金機34から回収された紙幣が親ユニット20の紙幣入出金機24に入金されるまで、この親ユニット20の紙幣入出金機24では他の処理を行うことができないようになる。
【0065】
その後、キャッシャーは親ユニット20の紙幣入出金機24に紙幣を入金する(図9の符号(d)参照)。具体的には、子ユニット30の紙幣入出金機34の出金部160から紙幣が取り出され、この紙幣がキャッシャーにより子ユニット30から親ユニット20に搬送された場合には、キャッシャーは親ユニット20の紙幣入出金機24の入金部102に紙幣受入ユニット102aを装着し(図4(a)参照)、子ユニット30から親ユニット20に搬送された紙幣をこの紙幣受入ユニット102aにセットする。そして、紙幣受入ユニット102aにセットされた紙幣は1枚ずつ筐体100内に繰り出され、識別部116により識別された後、金種別に各収納繰出部120に収納されるようになる。一方、キャッシャーが現金搬送カセット135ごと紙幣を子ユニット30から親ユニット20に搬送した場合には、キャッシャーはこの現金搬送カセット135を親ユニット20の紙幣入出金機24における入金部102に装着する(図4(b)参照)。そして、入金部102に現金搬送カセット135が装着されると、現金搬送カセット135に収納された紙幣は搬送部114に繰り出され、識別部116により識別された後、金種別に各収納繰出部120に収納されるようになる。
【0066】
親ユニット20の紙幣入出金機24に紙幣が入金されると、親ユニット20の親POSレジスター22は、紙幣入出金機24に入金された紙幣に関する情報(以下、入金情報ともいう。具体的には、入金された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報、あるいは入金ステータスが入金情報となる)を出納管理ターミナル51に送信する(図9の符号(e)参照)。ここで、入金ステータスとして、子ユニット30の紙幣入出金機34から回収された紙幣の合計金額と親ユニット20の紙幣入出金機24に入金された紙幣の合計金額とが等しい場合には「入金完了」となり、親ユニット20の紙幣入出金機24に入金された紙幣の合計金額が子ユニット30の紙幣入出金機34から出金された紙幣の合計金額に対して不足する場合や、予め設定された時間内に親ユニット20の紙幣入出金機24への入金動作が開始されなかった場合には「入金未完了」となる。
【0067】
出納管理ターミナル51は、親ユニット20の親POSレジスター22から入金情報を受け取ると、親ユニット20の親POSレジスター22に対して入金待ち解除指示を送信する(図9の符号(f)参照)。このことにより、親ユニット20の紙幣入出金機24は、入金待ちモードから通常の精算モードに切り換わるようになる。また、出納管理ターミナル51は、銀行のATM網62にATM入金情報(具体的には、紙幣入出金機24に入金された紙幣の金種毎の枚数や合計金額等の情報)を送信し、最終的に銀行のATM網62から銀行ホスト60にATM入金情報が送信されるようになる(図9の符号(g)参照)。このようにして、子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣を回収して親ユニット20の紙幣入出金機24に収納する回収処理が行われる際に、ATM入金情報が親ユニット20の親POSレジスター22から出納管理ターミナル51を介して銀行のATM網62に送信されるようになる。なお、図9に示す態様では、ATM出金情報は親ユニット20の親POSレジスター22から出納管理ターミナル51を介して銀行のATM網62に送信されているが、他の態様として、ATM出金情報が親ユニット20の親POSレジスター22から(出納管理ターミナル51を経ずに)銀行のATM網62に直接的に送られるようになっていてもよい。
【0068】
なお、図8および図9に示すような紙幣の補充処理や回収処理は出納管理ターミナル51により行われるようになっているが、このような態様に限定されることはない。出納管理ターミナル51の設置が省略され、代わりに在高管理ターミナル50により図8および図9に示すような紙幣の補充処理や回収処理が行われるようになっていてもよい。あるいは、親ユニット20の親POSレジスター22により、図8および図9に示すような紙幣の補充処理や回収処理が行われるようになっていてもよい。これらの場合でも、親ユニット20の紙幣入出金機24から出金された紙幣の出金情報(ATM出金情報)や、親ユニット20の紙幣入出金機24に入金された紙幣の入金情報(ATM出金情報)は、親ユニット20から銀行のATM網62に送信されるようになる。
【0069】
以上のように本実施の形態のレジシステム10によれば、複数のレジユニットは、親ユニット20および子ユニット30からなり、親ユニット20の紙幣入出金機24は、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫130内に配置された収納繰出部120を有している。このように、親ユニット20の紙幣入出金機24の収納繰出部120のみを、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫130内に配置することにより、全ての紙幣入出金機24、34の収納繰出部120、170を金庫内に配置する場合と比較してコストを低減することができる。また、閑散期には主に親ユニット20の紙幣入出金機24で精算処理を行うことにより、顧客から受け取った紙幣を安全に管理することができる。
【0070】
また、上述したように、親ユニット20の紙幣入出金機24には、子ユニット30の紙幣入出金機34よりも多くの量の紙幣を収納することができるようになっている。このことにより、銀行のATMとしても機能する紙幣入出金機24に多量の紙幣を収納することができるようになり、これらの多量の紙幣を安全に管理することができるようになる。
【0071】
また、本実施の形態のレジシステム10によれば、親ユニット20は子ユニット30に対して、親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣を子ユニット30の紙幣入出金機34に補充する補充処理、および子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣を回収して親ユニット20の紙幣入出金機24に収納する回収処理を行うことができるようになっている。このように、親ユニット20が子ユニット30に対して補充処理や回収処理を行うことにより、店舗の営業開始前における子ユニット30の各紙幣入出金機34に対する釣銭の補充作業や、店舗の営業終了後における子ユニット30の各紙幣入出金機34からの紙幣の回収作業を効率的に行うことができる。
【0072】
また、本実施の形態のレジシステム10においては、親ユニット20および子ユニット30にそれぞれ通信接続された在高管理ターミナル50が設置されており、この在高管理ターミナル50は、親ユニット20の貨幣精算装置28の在高および子ユニット30の貨幣精算装置38の在高をそれぞれ管理するようになっている。
【0073】
また、本実施の形態のレジシステム10においては、親ユニット20は銀行のATM網62に通信接続されており、この銀行のATM網62を介して親ユニット20は銀行ホスト60に通信接続されている。
【0074】
また、本実施の形態のレジシステム10においては、図7に示すように、親ユニット20の紙幣入出金機24から紙幣が出金される際に、紙幣の出金情報が親ユニット20から銀行のATM網62に送信されるようになっている。また、図8に示すように、親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣を子ユニット30の紙幣入出金機34に補充する補充処理が行われる際に、親ユニット20の紙幣入出金機24から出金された紙幣の出金情報が親ユニット20から銀行のATM網62に送信されるようになっている。また、図9に示すように、子ユニット30の紙幣入出金機34に収納された紙幣を回収して親ユニット20の紙幣入出金機24に収納する回収処理が行われる際に、親ユニット20の紙幣入出金機24に入金された紙幣の入金情報が親ユニット20から銀行のATM網62に送信されるようになっている。
【0075】
また、本実施の形態のレジシステム10においては、親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣は銀行の管理権限下となる。なお、本発明ではこのような態様に限定されることはなく、親ユニット20の紙幣入出金機24に収納された紙幣を、銀行の管理権限下ではなく店舗の管理権限下としてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態によるレジシステム10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0077】
上述した態様では、親ユニット20の紙幣入出金機24のみを銀行のATMとして機能させているが、親ユニット20の硬貨入出金機26も銀行のATMとして機能させるようにしてもよい。この場合は、親ユニット20の硬貨入出金機26における各収納繰出機構250を、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫内に配置し、この硬貨入出金機26に収納された硬貨のセキュリティ性を高めるようにする。また、この場合には、当該硬貨入出金機26に収納された硬貨も、紙幣入出金機24に収納された紙幣と同様に銀行の管理権限下となる。
【0078】
また、本実施の形態のレジシステム10では、在高管理ターミナル50の設置を省略することもできる。この場合には、親ユニット20の親POSレジスター22が、親ユニット20の貨幣精算装置28の在高および子ユニット30の貨幣精算装置38の在高をそれぞれ管理するようになる。
【符号の説明】
【0079】
10 レジシステム
20 親ユニット
22 親POSレジスター
28 貨幣精算装置
30 子ユニット
32 子POSレジスター
38 貨幣精算装置
50 在高管理ターミナル
62 銀行のATM網
120 収納繰出部
130 金庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムにおいて、
前記複数のレジユニットは、親ユニットおよび子ユニットからなり、
前記親ユニットの貨幣精算装置は、特定の権限を有する者のみが内部にアクセスすることができる金庫内に配置された貨幣収納部を有することを特徴とするレジシステム。
【請求項2】
前記親ユニットの貨幣精算装置における貨幣の収納量は、前記子ユニットの貨幣精算装置における貨幣の収納量よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1記載のレジシステム。
【請求項3】
レジスターおよび貨幣精算装置を有するレジユニットが複数設けられたレジシステムにおいて、
前記複数のレジユニットは、親ユニットおよび子ユニットからなり、
前記親ユニットは前記子ユニットに対して、前記親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を前記子ユニットの貨幣精算装置に補充する補充処理、および前記子ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を回収して前記親ユニットの貨幣精算装置に収納する回収処理を行うようになっていることを特徴とするレジシステム。
【請求項4】
前記親ユニットおよび前記子ユニットにそれぞれ通信接続され、前記親ユニットの貨幣精算装置の在高および前記子ユニットの貨幣精算装置の在高をそれぞれ管理する管理装置を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレジシステム。
【請求項5】
前記親ユニットは銀行のATM網に通信接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレジシステム。
【請求項6】
前記親ユニットの貨幣精算装置から貨幣が出金される際に、貨幣の出金情報が前記親ユニットから銀行のATM網に送信されるようになっていることを特徴とする請求項5記載のレジシステム。
【請求項7】
前記親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を前記子ユニットの貨幣精算装置に補充する補充処理が行われる際に、前記親ユニットの貨幣精算装置から出金された貨幣の出金情報が前記親ユニットから銀行のATM網に送信されるようになっていることを特徴とする請求項5または6記載のレジシステム。
【請求項8】
前記子ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣を回収して前記親ユニットの貨幣精算装置に収納する回収処理が行われる際に、前記親ユニットの貨幣精算装置に入金された貨幣の入金情報が前記親ユニットから銀行のATM網に送信されるようになっていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のレジシステム。
【請求項9】
前記親ユニットの貨幣精算装置に収納された貨幣は、銀行の管理権限下にあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレジシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97454(P2013−97454A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237598(P2011−237598)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】