説明

レンガ壁面の施工用金物

【課題】 レンガ壁面の窓枠などの開口上端部にレンガを容易に縦に組むことを可能として窓枠上端の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面の強度や耐震性を向上させることができるレンガ壁面の施工用金物を提供することを目的とする。
【解決手段】 断面をL型状のアングル材として、該L型のアングル材の水平部分には、該アングル材の長手方向と平行に横筋を挿通するためのパイプを間隔をおいて複数備えるとともに、該アングル材の長手方向両端部には、縦筋を挿通するための開口部を備えた施工用金物を、レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に配設することにより、窓枠の上端にレンガを容易に縦に組むことを可能として窓枠上端の見場と優れた納まりを実現するとともに、窓枠上部のレンガ壁面の強度や耐震性を向上させることを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンガ積み建築物におけるレンガ壁面の、窓などの開口部上端を施工するための金物に関し、特に窓枠などの開口上端部へ配設して、窓枠上端の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面の強度や耐震性を向上させるための施工用金物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、レンガ積み建築物のレンガ壁面は、コンクリートの基礎に間隔をおいて複数立設した縦筋を、レンガの上下方向に貫通させた複数の縦孔に挿通するとともに、レンガの適宜な積み重ね段数毎に横筋を配設し、該横筋を建物躯体に取付金物で接続して構築されている。(本発明の図3参照)例えば、特許第3686346号公報(特許文献1)に開示された「外張り断熱構造及びその施工方法」の図1及び図2、及び特開2007−284973号(特許文献2)に開示された「レンガ積み建築物」の図2参照。
【0003】
また、前述のように構築されたレンガ壁面においては、窓枠部分が開口され、この開口した部分のレンガの組積み状態は、単に横積みして積み重ねたレンガの途中が抜けた状態で開口部したもの、あるいは、開口部の上辺と下辺のレンガを縦積みにして外観デザイン上のアクセントとしたものがある。例えば、次に示す特公平6−63343号公報(特許文献3)「ブリック工法」は、前述した後者の、開口部の上辺と下辺のレンガを縦積みにして構築されたもので、本文献の請求項2において、ブリック壁の開口部の上端には、一列の横積み形式の各ブリックの上部に各ブリックを縦積み方式とした縦積み部分を形成し、該縦積み部分の各ブリックには、あらかじめ所定径の孔が穿設されており、該各ブリックの孔に鉄筋を水平方向に貫通して相互に連結するとともに、前記鉄筋に係合しうる切欠部を一端近傍に有する第2緊結金物の前記切欠部に前記鉄筋を掛止し、該第2緊結金物の他端を前記外壁体に緊結してなり、前記一列の横積み形式の各ブリックは、水平方向に前記開口部の両面のブリック間に架設されたアングル形の補強部材で支持、補強したことで、鉛直力だけでなく水平力に対しても確実に抵抗し、格段に高い強度を保持することを可能としたものである。(ブリックを以下「レンガ」という)
【0004】
さらに、図5は従来のレンガ壁面の窓枠周囲の配筋状態を表したもので、窓枠以外の部分は基礎から屋根の軒下まで縦筋が配設されレンガ壁面(1)の所望の強度を保つが、窓枠部分は縦筋が途切れてしまうことを示している。
【0005】
【特許文献1】 特許第3686346号公報
【特許文献2】 特開2007−284973号
【特許文献3】 特公平6−63343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び2の発明では、前述したように、窓枠部分が開口したレンガ壁面においては、レンガ及びその内部に配筋された縦筋と横筋が分断されることから、窓枠部分の上端及び下端のレンガと配筋の納まりが複雑となり、強度的にも脆弱であり、見場と納まりが悪くなるという課題があった。
【0007】
特許文献3の発明は、前記した特許文献1及び2の課題を解決するように構成されたものであって、本文献の請求項2においては、レンガ壁面の開口部上端には、一列の横積みしたレンガの上部にレンガを縦積みした部分を形成し、該縦積み部分の各レンガにあらかじめ穿設した孔に鉄筋を水平方向に貫通して相互に連結するとともに、第2緊結金物の切欠部に前記鉄筋を掛止し他端を建物躯体に緊結するとともに、前記一列の横積み各レンガは、水平方向に前記開口部の両面のレンガ間に架設されたアングル形の補強部材で支持、補強した構成としている。しかしながら、本文献の発明は、開口部上端に縦積みしたレンガは緊結金物によって建物躯体と緊結され、単にその部分だけ強度を持って建物躯体に支持されているのであって、縦積みしたレンガのさらに上方に横積みされるレンガはモルタルで目地を固着するに過ぎず、レンガ壁面の強度としては縦筋と横筋とで格子状に配筋した場合と比較するとレンガ壁面の強度や耐震性に課題を残すものである。
【0008】
また、開口部上端の一列の横積み形式の各レンガに架設されたアングル形の補強部材が一見して判るように露呈しているため、レンガ壁面の重厚で趣のある色彩や質感といった美的外観のディテールを損ねてしまう。さらに、縦積み部分のレンガにはあらかじめ所定径の孔が穿設されたものが用意されるが、横積み部分のレンガとは別途用意する必要があり、部材管理の煩わしさといった課題を有するものである。
【0009】
図5においては、窓枠以外の部分は基礎から屋根の軒下まで縦筋が配設されレンガ壁面(1)の所望の強度を保つが、窓枠部分は縦筋が途切れてしまう。従来は、窓枠下の笠木(6d)の直下に積み重ねられたレンガ(1a)内部の縦筋は、笠木(6d)の直下まで下方から延設した状態であって、隣り合う縦筋の先端部同士は互いに固定されていない。このため、笠木(6d)の直下に左右方向に連設された個々のレンガ(1a)は、単にモルタル(9)によって固着された状態であり、必ずしも耐震性を満足させるものではない。図5では窓枠下の笠木(6d)の直下に連設されたレンガ(1a)の上面に、全ネジボルト状の縦筋(2a)に螺合したT型ナット(21)の水平方向の貫通孔(21b)に横筋を挿通して隣り合う全ネジボルト縦筋(2a)の先端部同士が横筋(3)を介して互いに固定されるように構成して、窓枠下に積み重ねられたレンガ壁面(1)の強度が格段に増してさらなる耐震性の向上を可能としている。なお、この部分のT型ナット(21)の詳細な図面は図10の天地を逆にして参照されたい。また、窓枠上端についても従来は、窓枠上端の笠木(6d)から上方にレンガを積み重ねる場合の縦筋の基部は基礎(5)から立設されているわけではなく、固定されておらず遊んでいる状態であるため、窓枠上端から上方のレンガ壁面(1)の耐震性を満足させるものではない。そこで図5では窓枠上端の横筋(3)に前記T型ナット(21)を適宜な間隔で挿通してそこから縦筋を上方に延設するようにしたことで、窓枠上端から上方のレンガ壁面(1)の強度を格段に増して耐震性の向上を可能としたものである。(T型ナット(21)の詳細な図面は図10を参照されたい)しかしながら、前記した窓枠上端部においては、前記T型ナット(21)から延設された縦筋にレンガを(1a)を横積みして積み重ねることになり、下方から見たときに横筋(3)、T型ナット(21)、レンガの縦孔(1b)など造作が露呈してしまい極めて見場と納まりが悪くなるという課題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記した課題を考慮し、レンガ壁面の窓枠などの開口上端部にレンガを容易に縦に組むことを可能として窓枠上端の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面の強度や耐震性を向上させることができるレンガ壁面の施工用金物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に配設する施工用金物であって、断面をL型状のアングル材として、該L型のアングル材の水平部分には、該アングル材の長手方向と平行に横筋を挿通するためのパイプを間隔をおいて複数備えるとともに、該アングル材の長手方向両端部には、縦筋を挿通するための開口部を備えたことで解決される。
【0012】
また、レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に配設する施工用金物であって、断面をL型状のアングル材として、該L型のアングル材の水平部分には、該アングル材の長手方向と平行に横筋を挿通するためのパイプを間隔をおいて複数備えるとともに、該アングル材の長手方向両端部には、縦筋を挿通するための開口部を備え、該アングル材は正面視、開口部を有する両端部を残して上方に膨らむ円弧状としたことで解決される。
【発明の効果】
【0013】
断面をL型状のアングル材として、該L型のアングル材の水平部分には、該アングル材の長手方向と平行に横筋を挿通するためのパイプを間隔をおいて複数備えるとともに、該アングル材の長手方向両端部には、縦筋を挿通するための開口部を備えた施工用金物を、レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に配設することにより、窓枠の上端にレンガを容易に縦に組むことを可能として窓枠上端の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面の強度や耐震性を向上させることを可能とした。
【0014】
また、該アングル材を正面から見て、開口部を有する両端部を残して円弧状とした施工用金物を、上端部が円弧状となった窓枠などの開口上端部に配設することにより、窓枠の上端にレンガを容易にアーチ状に組むことを可能として窓枠上端の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面の強度や耐震性を向上させることを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、木造の在来工法によるレンガ積み建築物の正面図で、窓枠上端のレンガが縦に積まれている状態を示したものである。図2は図1のレンガ壁面(1)の内部の縦筋と横筋の配筋状態と、本発明のレンガ積み壁面の施工用金物(22)及び(23)の窓枠の開口上端部への配設状態の概要を示す図である。図3はレンガ壁面(1)の内部構造及び建物躯体の構造説明の斜視図、図4はレンガ壁面(1)の横筋(3)が配筋された位置の水平方向断面図である。
【0016】
先ず、本発明のレンガ積み壁面の施工用金物(22)を適用するレンガ積み建築物の、レンガ壁面(1)の構成を説明する。図3に示されるように、レンガ壁面(1)の内部には、基礎(5)の横方向に間隔をおいて縦筋(2a)が立設され、レンガ(1a)の上下方向に貫通させた複数の縦孔(1b)に挿通されて縦方向の配筋としている。縦筋(2a)は一本の長尺の通し縦筋ではなく、短尺で長手方向全てに亘ってネジが切られた全ネジボルト状で、連結ナット(2b)によって相互を螺合連結して延長することで一本の長尺の通し縦筋として所望の強度をもって構成される。また、図4に表されるように横筋(3)はレンガ(1a)の適宜な積み重ね段数毎に、縦筋(2a)の外方に位置するように配設し、横方向に適宜な間隔に配置された取付金物(4)によって建物躯体の柱(6b)、間柱(6c)にネジで固定することで、レンガ壁面(1)は通気層(8)を挟んで建物躯体と連結される。
【0017】
図6は、本発明の第1の実施例のレンガ壁面の施工用金物(22)の正面図(A)、平面図(B)で、図7は正面図(A)におけるA−A線断面図である。施工用金物(22)は、鉄材で表面に溶融亜鉛メッキなどの防錆処理を施してなり、図7に表されるように断面はL型状のアングル材である。水平部分の上面には、横筋を挿通するためのパイプ(22a)を施工用金物(22)の長手方向に複数溶接して備えるとともに、縦筋を挿通するための開口部(22b)を同じく長手方向の両端部近傍に開口して構成する。なお、長手方向に複数備えたパイプ(22a)は、概ね45cm程度の間隔で備えられている。
【0018】
図8は、レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に本発明の施工用金物(22)を配設した状態を表した図で、図9は、図8における左側上部の拡大図、図10は、T型ナットの説明図、図11は、図8のB−B線拡大断面図である。図8及び9に表されるように、施工用金物(22)は、窓枠左右の基礎(5)から立設された縦筋(2a)を、該施工用金物(22)の水平部分両端部近傍の開口部(22b)に挿通させるとともに、窓枠上端の笠木(6d)まで積み重ねられた窓枠左右のレンガ(1a)に水平部分を架橋して配設することで、レンガ壁面(1)の窓枠などの開口上端部に確実に固定されることになる。そして、配設された施工用金物(22)の水平部分に適宜間隔をおいて備えられた複数のパイプ(22a)に、その両端が、施工用金物(22)の横幅よりも40cm程度はみ出す長さの横筋(3)をスライドして挿通させる。このとき横筋(3)は、窓枠左右の基礎(5)から立設された縦筋(2a)の後方に配筋することで、施工用金物(22)が前方(建物外方)に脱落することが防止される。また、横筋(3)には、図10に表したT型ナット(21)を複数、適宜間隔をおいて挿通して備えるようにする。T型ナット(21)は図10に表されるように、垂直方向に全ネジボルト縦筋(2a)を螺合するために雌ネジを備えた螺合部(21a)と、水平方向に横筋(3)を挿通するための貫通孔(21b)とでT型に構成してなり、該螺合部(21a)に全ネジボルト状にした短尺の縦筋(2a)を螺合して上方に延設することで、窓枠上部の縦筋の基部が確実に固定されることになる。このときT型ナット(21)に螺合した縦筋(2a)は、図8及び9に表されるように縦に積まれるレンガ(1a)の間に位置するようにスライド調整して配筋する。
【0019】
上記したように、窓枠などの開口上端部に配設された施工用金物(22)に、レンガ(1a)を縦にして横一列に組む。このときレンガ(1a)の下側の縦孔(1b)の内側部分をカットして凹状にし、モルタル(9)の充填とともに施工用金物(22)の水平部分を挿入することで、施工用金物(22)に縦に組んだレンガ(1a)が周囲の横積みしたレンガ(1a)よりも突出して固定されることで外観上のアクセントになるとともに、下方から窓枠などの開口上端部を見たときの見場を向上させる。また、施工用金物(22)に横一列に縦組みしたレンガ(1a)の間から複数の縦筋(2a)が間隔をおいて突出する。そして、横一列に縦組みしたレンガ(1a)の上面に横筋(3)を配筋し、該突出した縦筋(2a)が横筋(3)の後方(屋内側)に位置するように配筋することで、施工用金物(22)の上方に横積みされたレンガ壁面(1)が前方(建物外方)に崩落することが防止される。以上のように構成したことにより、窓枠の上端にレンガを容易に縦に組むことを可能とし、窓枠などの開口上端部の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面(1)の強度や耐震性を向上させることを可能とした。
【0020】
第2の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。図12は、本発明の第2の実施例のレンガ壁面の施工用金物(23)の正面図(A)、平面図(B)で、第1の実施例との相違点は、正面から見て両端の水平部分以外を上方に膨らんだ円弧状に形成したことであり、材質やパイプ、開口部などは同一に構成される。図13は、レンガ壁面の円弧状の窓枠などの開口上端部に本発明の施工用金物(23)を配設した状態を表した図で、図14は、図13における左側上部の拡大図である。
【0021】
レンガ壁面に用いられる窓枠としては、第1の実施例のように一般的な四角いタイプ、意匠性を向上させた上端を円弧状にしたタイプがある。施工用金物(23)は、水平部分を円弧状に形成したことで、開口上端部を円弧状にした窓枠に容易に対応することを可能とした。基本的な構成は、第1の実施例と同様で、水平部分には、横筋を挿通するためのパイプ(23a)を施工用金物(23)の長手方向に複数溶接して備えるとともに、縦筋を挿通するための開口部(23b)を同じく長手方向の両端部近傍に開口して構成する。
【0022】
図13及び14に表されるように、施工用金物(23)は、窓枠左右の基礎(5)から立設された縦筋(2a)を、該施工用金物(23)の水平部分両端部近傍の開口部(23b)に挿通させるとともに、窓枠左右の上端の笠木(6d)まで積み重ねられた窓枠左右のレンガ(1a)に該施工用金物(23)の両側の端部を架橋して配設することで、レンガ壁面(1)の円弧状の窓枠などの開口上端部に確実に固定されることになる。そして、配設された施工用金物(23)の円弧状部分に適宜間隔をおいて備えられた複数のパイプ(23a)に、施工用金物(23)の横幅よりも40cm程度はみ出す長さの横筋(3)を円弧に合わせながらスライドして挿通させる。このとき横筋(3)は、窓枠左右の基礎(5)から立設された縦筋(2a)の後方に配筋することで、施工用金物(23)が前方(建物外方)に脱落することが防止される。また、この横筋(3)には、図10に表したT型ナット(21)を複数、適宜間隔をおいて挿通して備えるようにする。T型ナット(21)は図10に表されるように、垂直方向に全ネジボルト縦筋(2a)を螺合するために雌ネジを備えた螺合部(21a)と、水平方向に横筋(3)を挿通するための貫通孔(21b)とでT型に構成してなり、該螺合部(21a)に全ネジボルト状にした短尺の縦筋(2a)を螺合して上方に延設することで、窓枠上部の縦筋の基部が確実に固定されることになる。このときT型ナット(21)に螺合した縦筋(2a)は、図13及び14に表されるようにアーチ状に縦に組まれるレンガ(1a)の間に位置するようにスライド調整して配筋する。
【0023】
上記したように、円弧状の窓枠などの開口上端部に配設された施工用金物(23)に、レンガ(1a)を縦にして円弧に合わせてアーチ状に組む。このときレンガ(1a)の下側の縦孔(1b)の内側部分をカットして凹状にし、モルタル(9)の充填とともに施工用金物(23)の円弧状にした部分を挿入することで、施工用金物(23)にアーチ状に組んだレンガ(1a)が周囲の横積みしたレンガ(1a)よりも突出して固定されることで外観上のアクセントになるとともに、下方から円弧状の窓枠などの開口上端部を見たときの見場を向上させる。また、施工用金物(23)にアーチ状に組まれたレンガ(1a)の間から複数の縦筋(2a)がアーチの角度に相応して放射状に突出するので、レンガ(1a)を上方に横積みするために、突出した位置で鉛直方向に折り曲げる。そして、アーチ状に組まれたレンガ(1a)の頂点位置で水平に横筋(3)を配筋し、該突出した縦筋(2a)が横筋(3)の後方(屋内側)に位置するように配筋することで、施工用金物(23)の上方に横積みされたレンガ壁面(1)が前方(建物外方)に崩落することが防止される。以上のように構成したことにより、円弧状の窓枠などの開口部上端部にレンガを容易に縦にアーチ状に組むことを可能とし、窓枠などの開口上端部の見場と優れた納まりを実現するするとともに、窓枠上部のレンガ壁面(1)の強度や耐震性を向上させることを可能とした。
【0024】
前記した第1の実施例の施工用金物(22)は、レンガ壁面(1)の窓枠などの開口部分の幅に応じて適宜長手方向の幅を設定すれば良く、その場合、横筋(3)を挿通する複数のパイプ(22a)は、適宜な間隔(概ね45cm程度のピッチが好適である)でその数量を増加させれば良い。
【0025】
また、第2の実施例の施工用金物(23)は、レンガ壁面(1)の円弧状の窓枠などの開口部分の幅や円弧の曲線に応じて適宜長手方向の幅や円弧の曲線を設定すれば良く、その場合、横筋(3)を挿通する複数のパイプ(23a)は、適宜な間隔(概ね45cm程度のピッチが好適である)でその数量を増加させれば良い。
【0026】
さらに、前記した第1及び第2の実施例の施工用金物(22)、(23)は、レンガ壁面(1)の窓枠などの開口上端部に配設した状態を説明したが、玄関ポーチなどの下がり壁部分にも極めて好適に適用することが可能であり、この場合においてもレンガを容易に縦やアーチ状に組むことを可能として下がり壁部分の見場と優れた納まりを実現するするとともに、その上部のレンガ壁面(1)の強度や耐震性を向上させることを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】レンガ積み建築物の正面図である。
【図2】レンガ壁面内部の配筋状態を示す図である。
【図3】レンガ壁面の内部構造及び建物躯体の構造説明の斜視図である。
【図4】レンガ壁面の水平方向断面図である。
【図5】従来のレンガ壁面の窓枠周囲の配筋状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図9】図8の左側上部の拡大図である。
【図10】T型ナットの説明図である。
【図11】図8のB−B線拡大断面図である。
【図12】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図14】図13の左側上部の拡大図である。
【符号の説明】
【0028】
1 レンガ壁面
1a レンガ
1b 縦孔
2a 縦筋
2b 長ナット
21 T型ナット
21a 螺合部
21b 貫通孔
22、23 施工用金物
22a、23a パイプ
22b、23b 開口部
3 横筋
4 取付金物
4a ネジ穴
4b 取付部
4c ステー部
4d 保持部
5 基礎
5a アンカー
6a 土台
6b 柱
6c 間柱
6d 笠木
7a 内装材
7b 透湿防水シート
8 通気層
9 モルタル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に配設する施工用金物であって、断面をL型状のアングル材として、該L型のアングル材の水平部分には、該アングル材の長手方向と平行に横筋を挿通するためのパイプを間隔をおいて複数備えるとともに、該アングル材の長手方向両端部には、縦筋を挿通するための開口部を備えたことを特徴とするレンガ壁面の施工用金物。
【請求項2】
レンガ壁面の窓枠などの開口上端部に配設する施工用金物であって、断面をL型状のアングル材として、該L型のアングル材の水平部分には、該アングル材の長手方向と平行に横筋を挿通するためのパイプを間隔をおいて複数備えるとともに、該アングル材の長手方向両端部には、縦筋を挿通するための開口部を備え、該アングル材は正面視、開口部を有する両端部を残して上方に膨らむ円弧状としたことを特徴とする請求項1に記載のレンガ壁面の施工用金物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−31618(P2010−31618A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213316(P2008−213316)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(504461460)SAYYAS JAPAN株式会社 (6)