説明

レーキ顔料を含む樹脂組成物

【課題】カラーフィルタの耐光性を向上させながら、高い色純度を確保しつつ、高透過率化を可能とする樹脂組成物の提供。
【解決手段】本発明による樹脂組成物は、レーキ顔料と、前記レーキ顔料に対して10〜35質量%の、ウレタン結合を有する分散剤とを含むものである。本発明の組成を満たす樹脂組成物を用いることで、カラーフィルタの耐光性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーキ顔料と、該レーキ顔料に対して特定量の、ウレタン結合を有する分散剤とを含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代型のディスプレイとして、エレクトロルミネッセンス(以下、ELということがある)素子で構成されたELディスプレイが期待されている。EL素子には無機EL素子と有機EL素子とがあり、いずれのEL素子も自己発光性であるために視認性が高く、また完全固体素子であるために耐衝撃性に優れるとともに取り扱いが容易であるという利点がある。このため、グラフィックディスプレイの画素やテレビ画像表示装置の画素、あるいは面光源等としての研究開発および実用化が進められている。特に、画像表示装置のさらなる高精細化により、カラーフィルタのさらなる高透過率化および高色純度化が望まれており、カラーフィルタの材料および製造方法に関し、種々の研究が行われてきた。
【0003】
カラーフィルタの材料である色材を含む樹脂組成物については、カラーフィルタの光学特性を左右するため、現在までに多くの研究がなされてきた。液晶ディスプレイ用カラーフィルタは、製造工程において230℃程度の高温工程を経るため、色材として用いられる顔料および染料の選択には耐熱性が問題となることがある。対して、有機EL用カラーフィルタは、このような高温工程を経ないため、180℃程度での耐熱性があれば実用化可能である。つまり、有機EL用カラーフィルタは、耐熱性への要求が低く、耐熱性の低い材料でも用いることが可能となる。しかし、耐光性に関しては、有機EL用途であっても更なる向上が望まれている。
【0004】
そのため、現在まで、カラーフィルタの耐光性を向上させるために種々の提案がなされてきた。例えば、色材自体の耐光性を向上させるために、染料をレーキ化したレーキ顔料を用いることは提案されているが、耐光性試験の条件設定・評価が不十分であり、実用可能な耐光性が得られているとは言い難い(例えば、特許文献1)。
【0005】
したがって、今尚、高透過率および高色純度を実現しながら、同時に、耐光性向上をも実現できる樹脂組成物の開発が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−81348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、カラーフィルタの耐光性を向上させながら、高い色純度を確保しつつ、高透過率化を可能とする樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、カラーフィルタの耐光性および透過率を向上させ、青色画素に関して十分な性能を実現できる表示用カラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂組成物において、ウレタン結合を有する分散剤の含有量を顔料に対して特定の範囲内に調節することにより上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、レーキ顔料と、前記レーキ顔料に対して10〜35質量%の、ウレタン結合を有する分散剤とを含む樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂組成物によれば、高い色純度を確保しつつ高透過率化を可能とし、さらに顔料の退色を効果的に防止することができる。また、本発明の表示用カラーフィルタによれば、カラーフィルタの透過率が高いため、青色発光をより効率的に利用することができ、青色画素に関して十分な性能を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
樹脂組成物
本発明において、樹脂組成物は、レーキ顔料と、該レーキ顔料に対して特定量の、ウレタン結合を有する分散剤とを含むものである。レーキ顔料と、ウレタン結合を有する分散剤とを併用することで、レーキ顔料を溶媒中に効果的に分散させることができ、透過率を向上させることができる。
【0012】
レーキ顔料
本発明の好ましい態様によれば、レーキ顔料は、トリアリールメタン系染料をレーキ化した顔料であることが好ましい。トリアリールメタン系染料の具体的な構造としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
【化1】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、もしくはハロゲン原子を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、もしくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す)
【化2】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、もしくはハロゲン原子を表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、もしくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す)
この様な染料をレーキ化した顔料を用いることで、高色純度および高透過率を実現することができる。また、染料のレーキ化により、色材の表面積低減による感度・耐薬品性をも改善することができる。好ましい態様では、レーキ顔料の含有量は、樹脂組成物の全量に対して、0.1〜20質量%である。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、レーキ顔料は、コンプレックスアシッドにより染料をレーキ化した顔料であることが好ましい。コンプレックスアシッドとしては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、およびリンタングステン・モリブデン酸等を挙げることができる。コンプレックスアシッドは、リンタングステン・モリブデン酸を含むものであることが好ましく、コンプレックスアシッドに含有されるタングステンとモリブデンのモル比率(タングステン/モリブデン)は、好ましくは90/10〜5/95、より好ましくは80/20〜5/95、さらに好ましくは70/30〜5/95である。コンプレックスアシッドに含有されるタングステンとモリブデンのモル比率が上記範囲程度であれば、レーキ顔料自体の耐光性を向上させることができる。コンプレックスアシッドによりレーキ化したレーキ顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー24、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー61:1、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー133、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー169、C.I.ピグメントイエロー183、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー191:1、C.I.ピグメントイエロー206、C.I.ピグメントイエロー209、C.I.ピグメントイエロー209:1、およびC.I.ピグメントイエロー212等を挙げることができる。これらのレーキ顔料であれば、耐光性および耐熱性がより向上しているため好ましい。
【0014】
分散剤
本発明の好ましい態様によれば、分散剤は、ウレタン結合を有するもの、好ましくはウレタン−ポリカプロラクトン系である。この様な分散剤であれば、その立体構造により、顔料の再凝集を防止し、顔料を効果的に分散させることができる。また、分散剤の含有量は、上記顔料に対して、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは15〜30質量%、さらに好ましくは20〜30質量%含まれるものである。分散剤の含有量が10質量%未満であると、分散効果が十分に得られず、35質量%を超えると、耐光性に悪影響を及ぼすおそれがある。なお、本発明においては、市販の分散剤を用いることもでき、例えば、Disperbyk161、Disperbyk162、Disperbyk163、Disperbyk164、Disperbyk166、Disperbyk167、Disperbyk168、Disperbyk170、Disperbyk171、Disperbyk174、およびDisperbyk182(ビッグケミー・ジャパン株式会社製)等が好ましい。
【0015】
エポキシ樹脂
本発明の好ましい態様によれば、樹脂組成物は、ベンゼン環構造を有するエポキシ樹脂をさらに有することが好ましい。ベンゼン環構造を有するエポキシ樹脂を樹脂組成物に加えることで、耐光性を向上させることができる。また、ベンゼン環構造を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール、スチルベン、およびビフェニル等の2官能フェノール化合物を原料とするエポキシ樹脂、好ましくはビスフェノールAとエピクロルヒドリンの共重合体、ならびに、ポリフェノールおよびフェノールノボラック等の多官能フェノール化合物を有するエポキシ樹脂等を挙げることができる。なお、本発明は上記例に限定されるものではない。好ましい態様では、エポキシ樹脂の含有量は、上記顔料に対して、好ましくは30〜220質量%、より好ましくは80〜220質量%である。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲程度であれば、耐光性をより向上させることができる。なお、本発明においては、市販のエポキシ樹脂を用いることもでき、例えば、エピコート806、エピコート1255HX30、エピコート152、エピコート807、エピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901(旭電化工業株式会社製)、エピクロン830、およびエピクロン840(大日本インキ工業株式会社製)等が好ましい。
【0016】
感光性樹脂組成物
本発明の好ましい態様によれば、感光性樹脂組成物は、上記の樹脂組成物が光重合開始剤をさらに含むものである。光重合開始剤を加えることで、カラーフィルタの製造工程におけるフォトレジストとして着色層の形成に用いることができる。
【0017】
光重合開始剤
本発明の好ましい態様によれば、光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を用いることができる。ラジカル重合性開始剤は、紫外線等のエネルギーによりフリーラジカルを発生するものであり、例えば、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。本発明においては、市販の光重合開始剤を用いることもでき、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれも、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)等のケトン系化合物、および2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のビイミダゾール系化合物が好ましい。好ましい態様では、光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の全量に対して、0.1〜30質量%である。
【0018】
その他の成分
本発明の好ましい態様によれば、樹脂組成物は、上記のレーキ顔料、分散剤、エポキシ樹脂、および光重合開始剤以外にも、必要に応じて、溶剤、モノマー、およびポリマー等をさらに含むものである。
【0019】
溶剤
上記の溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、および3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられる。本発明においては、市販の溶剤を用いることもでき、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(ダイセル化学工業株式会社製)、および3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、溶剤の含有量は、樹脂組成物の全量に対して、20〜90質量%である。溶剤の含有量が上記範囲程度であれば、樹脂組成物の粘度を所望の範囲に調整し、顔料分散性や顔料分散経時安定性を向上させることができる。また、色材濃度を一定範囲内にすることができるため、樹脂組成物を調製後、目標とする色度座標を達成することができる。
【0020】
モノマー
上記のモノマーとしては、例えば、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、ならびにメタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。本発明においては、市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー社製)、アロニックスM−400(東亞合成株式会社製)、およびアロニックスM−450(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、モノマーの含有量は、樹脂組成物の全量に対して、1〜40質量%である。
【0021】
ポリマー
上記のポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、ならびにこれらの酸無水物等が挙げられる。本発明においては、市販のポリマーを用いることもでき、例えば、アロニックスM−5600(東亞合成株式会社製)、アロニックスM−6200(東亞合成株式会社製)、アロニックスM−7100(東亞合成株式会社製)、およびアロニックスM−9050(東亞合成株式会社製)が好ましい。好ましい態様では、ポリマーの含有量は、樹脂組成物の全量に対して、1〜40質量%である。
【0022】
カラーフィルタ
本発明の好ましい態様によれば、カラーフィルタは、上記の樹脂組成物または感光性樹脂組成物により形成した着色層を含む表示装置用カラーフィルタであり、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いるものである。上記の樹脂組成物または感光性樹脂組成物を用いることで、高色純度および高透明性を保ちながら、耐光性が向上したカラーフィルタを得ることができる。特に、有機EL用途であれば、OLED光源の青色発光ピーク波長での透過率が高いため、青色発光をより効率的に利用することができる。
【0023】
カラーフィルタの製造方法
本発明によるカラーフィルタの製造方法は特に限定されないが、以下に示される好ましい態様に従い行うことができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、上記の樹脂組成物を基材上に塗布し、減圧乾燥後、プリベークして、溶剤を除去する。組成物の塗布には、従来公知の方法を用いることでき、例えばスピンコート法、印刷法、インクジェット法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ビードコート法、およびスリット&スピンコート法等が挙げられる。続いて、紫外線を露光して、組成物を硬化させる。さらに、ポストベークすることで透明着色パターンを基材上に形成させることができる。好ましい態様においては、ポストベーク温度を250℃以下、より好ましくは200℃以下にすることが好ましい。ポストベーク温度が上記程度であれば、色材の透過率および色純度の低下を抑えることができるためである。
【実施例】
【0024】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
【0025】
実施例1
着色樹脂組成物の調製
まず、顔料に配合するための硬化性樹脂組成物を以下の方法で調製した。重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63質量部、アクリル酸(AA)を12質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)を6質量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を7質量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、更に100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、更にメタクリル酸グリシジル(GMA)を7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部、及びハイドロキノンを0.2質量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
共重合樹脂溶液(固形分50%)の組成
・メタクリル酸メチル(MMA)(株式会社クラレ製): 63.0質量部
・アクリル酸(AA)(日本触媒製): 12.0質量部
・メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA)(日本触媒製): 6.0質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)(純正化学社製):88.0質量部
・2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名:ABN−R、株式会社日本ファインケム社製): 7.0質量部
・メタクリル酸グリシジル(GMA)(日本油脂株式会社製): 7.0質量部
・トリエチルアミン(和光純薬社製): 0.4質量部
・ハイドロキノン(精工化学社製): 0.2質量部
【0026】
次に、下記の材料を室温で攪拌および混合して硬化性樹脂組成物を得た。
硬化性樹脂組成物の組成
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%): 18.0質量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名:SR399、サートマー社製): 27.0質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):4.0質量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(純正化学社製): 51.0質量部
【0027】
続いて、下記の材料を、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製、ビーズ径:0.3mm)を用いて混合し、各色の色材を含む樹脂組成物(着色樹脂組成物)を得た。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=85/15):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
0.99質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 21.68質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)74.1質量部
【0028】
青色フィルタの製造
0.7mmのガラス基板(旭硝子株式会社製 AN材)にスピンコーターを用いて、青色樹脂組成物を塗布して、80℃で3分間プリベークし、塗膜を乾燥させた。次に、乾燥塗膜に所定のマスクを用いて高圧水銀ランプにて200mJ/cmで露光後、200℃で30分間ポストベークして青色フィルタを製造した。
【0029】
実施例2
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=85/15):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
0.66質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 22.30質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)73.7質量部
【0030】
実施例3
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=85/15):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
0.99質量部
・エポキシ樹脂:エピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)4.1質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 17.60質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)74.1質量部
【0031】
実施例4
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=70/30):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
0.99質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 21.68質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)74.1質量部
【0032】
実施例5
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=70/30):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
0.99質量部
・エポキシ樹脂:エピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)4.1質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 17.60質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)74.1質量部
【0033】
比較例1
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=85/15):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk2000(ビックケミー・ジャパン社製、アクリル系)
1.65質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 21.25質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)73.8質量部
【0034】
比較例2
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=85/15):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
0.165質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 22.72質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)73.8質量部
【0035】
比較例3
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー1(タングステン/モリブデン=85/15):
3.3質量部
・分散剤:Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン社製、ウレタン系)
1.65質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 21.25質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)73.8質量部
【0036】
比較例4
青色着色樹脂組成物の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして青色着色樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同様の方法で青色フィルタを製造した。
青色着色樹脂組成物の組成
・色材:C.I.ピグメントブルー15:6(商品名:Chromofine Blue5201A、大日精化工業製): 3.3質量部
・分散剤:Disperbyk111(ビックケミー・ジャパン社製、アクリル系)
1.65質量部
・上記硬化性樹脂組成物: 21.25質量部
・溶剤:3−メトキシブチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)73.8質量部
【0037】
耐光性試験
上記の実施例および比較例で製造したカラーフィルタの耐光性試験を以下の方法で行った。まず、耐光性試験前に、青色着色層の透過スペクトルを、顕微分光装置OSP−SP2000(OLYMPUS社製)を用いて測定した。次に、カラーフィルタに対して、ガラス面側からキセノンアークランプを用いたキセノンフェードメーター(東洋精機社製、商品名:サンテストXLS+)により、300Wの出力で100時間照射した後に透過スペクトルを測定した。耐光性試験前後の分光スペクトルより、耐光性試験前と試験後の色度差であるΔEabを算出して、青色着色層の耐光性を評価した。色度差は、数値が小さいほど耐光性が高いことを示すものである。なお、色差評価の光源には標準の光Cを用いた。また、実施例および比較例の色差から、下記式(I)を用いて色差低減率を算出した。
色差低減率={1−(各実施例の色差/比較例3の色差)}×100 式(I)
【0038】
輝度評価試験
続いて、上記の実施例および比較例で製造したカラーフィルタをハロゲン光源装置(三菱レイヨン製、商品名:ILLUMINATOR(US702))の上に置き、分光放射計SR―3(TOPCON製)にて輝度測定を行なった。
【0039】
評価基準
耐光性試験および輝度評価試験の評価基準は以下のとおりである。
・耐光性試験評価基準
評価◎:色差低減率が40%以上であった。
評価○:色差低減率が0%より大きく、40%未満であった。
評価×:色差低減率が0%であった。または色差が測定不可であった。
・輝度評価基準
評価○:比較例4の輝度(Yの値)よりも大きい値であった。
評価×:比較例4の輝度(Yの値)よりも小さい値であった。または輝度が測定不可であった。
【0040】
上記試験および評価の結果を表1に示す。本発明の組成を満たす樹脂組成物を用いて製造した実施例1〜5の青色フィルタは、比較例3の青色フィルタと比較して耐光性に優れることが分かる。また、実施例1〜5の青色フィルタは、比較例4の青色フィルタと比較して輝度が高いことが分かる。なお、比較例1および比較例2では、色材(レーキ顔料)が着色層中に十分に分散しておらず、製造した青色フィルタの色差および輝度を測定することができなかった。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーキ顔料と、
前記レーキ顔料に対して10〜35質量%の、ウレタン結合を有する分散剤と
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
ベンゼン環構造を有するエポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記レーキ顔料が、トリアリールメタン系染料をレーキ化した顔料である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記レーキ顔料が、リンタングステン・モリブデン酸を含むコンプレックスアシッドにより染料をレーキ化した顔料であり、前記コンプレックスアシッドに含有されるタングステンとモリブデンのモル比率(タングステン/モリブデン)が、90/10〜5/95である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物が、光重合開始剤をさらに含む、感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物または請求項5に記載の感光性樹脂組成物により形成した着色層を含む、表示用カラーフィルタ。
【請求項7】
有機エレクトロルミネッセンスに用いられる、請求項6に記載のカラーフィルタ。

【公開番号】特開2011−6602(P2011−6602A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152394(P2009−152394)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】