説明

レーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法

【課題】何らかの原因で強度画像や距離画像内の画素値が異常値になっている場合でも、目標物を検出することができるレーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法を得ることを目的とする。
【解決手段】目標領域検出処理部12が、目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素と特定物が不明な画素(目標物、背景領域及びクラッタ領域のいずれも構成していない画素)とから構成される和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空間に放射された電磁波の反射波から得られる強度画像(反射点の信号強度が画素値である画像)と距離画像(反射点までの距離値が画素値である画像)から目標物を検出するレーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に開示されているレーダ画像処理装置では、電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダから、その電磁波の反射点までの距離値が画素値である距離画像を入力すると、そのレーダが設置されている高度とビーム角度(ビーム走査方向であるアジマス方向の角度、エレベーション方向の角度)を用いて、その距離画像を三次元化することで、その反射点の高度値が画素値である高度画像を生成している。
このレーダ画像処理装置では、高度画像を生成すると、その高度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している画素を検出する。
なお、このレーダ画像処理装置では、目標物の誤検出を防止するため、雑音や電磁波の干渉によって画素値が異常値になっている場合、その画素を検出対象の画素から除外するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197378号公報(段落番号[0007])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーダ画像処理装置は以上のように構成されているので、画素値が異常値である画素を検出対象の画素から除外することで目標物の誤検出を防止している。しかし、画素値が異常値である画素が目標物を構成している画素である可能性は排除できず、画素値が異常値である画素が目標物を構成している画素である場合もある。このような場合には、当該画素を検出対象の画素から除外することで、目標物を見逃すことになり、目標物の検出性能が劣化してしまう課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、何らかの原因で強度画像や距離画像内の画素値が異常値になっている場合でも、目標物を検出することができるレーダ画像処理装置及びレーダ画像処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るレーダ画像処理装置は、電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダの高度角度情報を用いて、その電磁波の反射点までの距離値が画素値である距離画像を三次元化することで、その反射点の高度値が画素値である高度画像を生成する高度画像生成手段と、高度画像生成手段により生成された高度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出するとともに、その反射点における信号強度値が画素値である強度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する目標物構成画素検出手段と、目標物構成画素検出手段により検出された高度画像内の画素の中で、目標物構成画素検出手段により検出された強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する目標候補画素設定手段と、高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、目標物以外を構成している画素を検出する目標物以外画素検出手段とを設け、近似判定手段が、高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像内の画素の中で、目標物構成画素検出手段及び目標物以外画素検出手段により検出された画素以外の画素と目標候補画素設定手段により設定された目標候補画素とから構成される和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている上記目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダの高度角度情報を用いて、その電磁波の反射点までの距離値が画素値である距離画像を三次元化することで、その反射点の高度値が画素値である高度画像を生成する高度画像生成手段と、高度画像生成手段により生成された高度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出するとともに、その反射点における信号強度値が画素値である強度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する目標物構成画素検出手段と、目標物構成画素検出手段により検出された高度画像内の画素の中で、目標物構成画素検出手段により検出された強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する目標候補画素設定手段と、高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、目標物以外を構成している画素を検出する目標物以外画素検出手段とを設け、近似判定手段が、高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像内の画素の中で、目標物構成画素検出手段及び目標物以外画素検出手段により検出された画素以外の画素と目標候補画素設定手段により設定された目標候補画素とから構成される和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている上記目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定するように構成したので、何らかの原因で強度画像や距離画像内の画素値が異常値になっている場合でも、目標物を検出することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置の処理内容(レーダ画像処理方法)を示すフローチャートである。
【図3】検出マップ作成処理部4によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
【図4】第1の検出マップ更新処理部6によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
【図5】第2の検出マップ更新処理部8によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
【図6】第3の検出マップ更新処理部10によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
【図7】目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素を示す説明図である。
【図8】目標領域検出処理部12により特定された和集合の領域を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態3によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置を示す構成図である。
図1のレーダ画像処理装置では、電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダから強度画像(反射点の信号強度が画素値である画像)と距離画像(反射点までの距離値が画素値である画像)が与えられ、また、レーダの高度角度情報(例えば、レーダが設置されている高度、電磁波のビーム走査角度(アジマス方向の角度、エレベーション方向の角度))が与えられるものとする。
【0010】
図1において、強度値補正処理部1は距離画像内の画素値に応じて強度画像内の画素値を補正し、画素値補正後の強度画像を背景検出処理部3に出力する処理を実施する。なお、強度値補正処理部1は画素値補正手段を構成している。3次元変換処理部2はレーダの高度角度情報を用いて、距離画像を三次元化することで、反射点の高度値が画素値である高度画像を生成し、その高度画像を背景検出処理部3に出力する処理を実施する。なお、3次元変換処理部2は高度画像生成手段を構成している。
【0011】
背景検出処理部3は強度値補正処理部1から出力された強度画像を構成している画素の中で、背景領域を構成している画素(目標物以外を構成している画素)を検出するとともに、3次元変換処理部2から出力された高度画像を構成している画素の中で、背景領域を構成している画素を検出する処理を実施する。
また、背景検出処理部3は強度値補正処理部1から出力された強度画像及び3次元変換処理部2から出力された高度画像をクラッタ検出処理部5に出力する処理を実施する。
【0012】
検出マップ作成処理部4は強度画像及び高度画像を構成している画素と同数のフラグ(例えば、強度画像及び高度画像が「m×n画素」の画像であれば、m×n個のフラグ)を保持する検出マップを作成し、背景検出処理部3により検出された画素(背景領域を構成している画素)に対応するフラグを“1”、それ以外の画素に対応するフラグを“0”に設定する処理を実施する。
【0013】
クラッタ検出処理部5は背景検出処理部3から出力された強度画像を構成している画素の中で、クラッタ領域を構成している画素(目標物以外を構成している画素)を検出するとともに、背景検出処理部3から出力された高度画像を構成している画素の中で、クラッタ領域を構成している画素を検出する処理を実施する。
また、クラッタ検出処理部5は背景検出処理部3から出力された強度画像及び高度画像を高度値閾値処理部7及び強度値閾値処理部9に出力する処理を実施する。
【0014】
第1の検出マップ更新処理部6は検出マップ作成処理部4により作成された検出マップ内のフラグのうち、クラッタ検出処理部5により検出された画素(クラッタ領域を構成している画素)に対応するフラグを“1”に設定し、その検出マップを第2の検出マップ更新処理部8に出力する処理を実施する。
なお、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5及び第1の検出マップ更新処理部6から目標物以外構成画素検出手段が構成されている。
【0015】
高度値閾値処理部7はクラッタ検出処理部5から出力された高度画像内の各画素値と閾値Aを比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出する処理を実施する。
第2の検出マップ更新処理部8は第1の検出マップ更新処理部6から出力された検出マップ内のフラグのうち、高度値閾値処理部7により検出された画素(目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素)に対応するフラグを“1”に設定し、その検出マップを第3の検出マップ更新処理部10に出力する処理を実施する。
【0016】
強度値閾値処理部9はクラッタ検出処理部5から出力された強度画像内の各画素値と閾値Bを比較することで、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する処理を実施する。
第3の検出マップ更新処理部10は第2の検出マップ更新処理部8から出力された検出マップ内のフラグのうち、強度値閾値処理部9により検出された画素(目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素)に対応するフラグを“1”に設定し、その検出マップを目標領域検出処理部12に出力する処理を実施する。
なお、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9及び第3の検出マップ更新処理部10から目標物構成画素検出手段が構成されている。
【0017】
目標候補画素設定処理部11は高度値閾値処理部7により検出された画素と強度値閾値処理部9により検出された画素の論理積を求めることにより、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素の中で、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する処理を実施する。なお、目標候補画素設定処理部11は目標候補画素設定手段を構成している。
【0018】
目標領域検出処理部12は目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素と第3の検出マップ更新処理部10から出力された検出マップ内のフラグ“0”に対応する画素とから構成される和集合の領域を特定し、その和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定する処理を実施する。
目標領域検出処理部12は和集合の領域の空間的な大きさが、目標物の空間的な大きさと近似していれば、目標物を検出した旨を示す目標検出情報を出力する。なお、目標領域検出処理部12は近似判定手段を構成している。
【0019】
図1の例では、レーダ画像処理装置の構成要素である強度値補正処理部1、3次元変換処理部2、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11及び目標領域検出処理部12のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、レーダ画像処理装置がコンピュータで構成されていてもよい。
レーダ画像処理装置がコンピュータで構成される場合、強度値補正処理部1、3次元変換処理部2、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11及び目標領域検出処理部12の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1によるレーダ画像処理装置の処理内容(レーダ画像処理方法)を示すフローチャートである。
【0020】
次に動作について説明する。
電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダから強度画像、距離画像及びレーダの高度角度情報が与えられるが、電磁波の反射点における信号強度値は、レーダから反射点までの相対距離が長い程、減衰が大きくなる。
そこで、強度値補正処理部1は、強度画像内の画素値である強度値が相対距離の影響を受けないようにするために、距離画像内の画素値に応じて強度画像内の画素値を補正する(図2のステップST1)。
具体的には、強度画像を構成している画素に対応している距離画像内の画素(同じ位置に存在している画素)の画素値である距離値が“L”である場合、例えば、レーザ光を送受するレーザレーダ(光波レーダ、ライダ)では、受信強度値は相対距離の2乗に反比例するため、その距離値Lの2乗を係数Cとし、その係数Cを強度画像内の画素値である強度値に乗算することで、その強度値を補正する。
C=L
補正後の強度値=補正前の強度値×C
【0021】
3次元変換処理部2は、レーダから距離画像を受けると、そのレーダの高度角度情報を用いて、その距離画像を三次元化することで3次元画像(反射点の高度値、奥行及び幅を要素とする画像)を生成する。
そして、3次元変換処理部2は、その3次元画像の1要素である反射点の高度値を画素値とする高度画像を生成する(ステップST2)。
距離画像の三次元化方法は公知の技術であり、特に問わないが、例えば、特許文献1に開示されている方法を用いることができる。
【0022】
背景検出処理部3は、強度値補正処理部1から画素値補正後の強度画像を受けると、その強度画像を構成している画素の中で、背景領域を構成している画素(目標物以外を構成している画素)を検出する(ステップST3)。
また、背景検出処理部3は、3次元変換処理部2から高度画像を受けると、その高度画像を構成している画素の中で、背景領域を構成している画素を検出する(ステップST3)。
【0023】
ここで、背景領域を構成している画素を検出する方法は、公知の方法を使用すればよいが、例えば、背景が地面であれば、高度画像では、高度値がレーダの高度値分だけ低い値を持ち、かつ、高度値の標準偏差が相対的に小さくなることを利用する方法が考えられる。
具体的には、高度画像内の任意領域(例えば、目標物の空間的な大きさよりも大きな領域)の高度値の平均値と標準偏差値を算出し、その平均値がほぼ0で(すなわち、レーダとの相対高度がレーダの高度情報として得られる高度値とほぼ等しく)、かつ、その標準偏差値が所定値よりも小さければ、その任意領域は背景(地面)であると判定し、その標準偏差値が所定値よりも大きければ、その任意領域は背景(地面)以外であると判定する方法である。
また、背景が地面であれば、強度画像では、強度値が相対的に低い値になることを利用する方法が考えられる。
具体的には、強度画像内の画素値が所定値より小さければ、その画素値を有する画素は、背景(地面)を構成している画素であると判定し、強度画像内の画素値が所定値より大きければ、その画素値を有する画素は、背景(地面)以外を構成している画素であると判定する方法である。
【0024】
検出マップ作成処理部4は、強度画像及び高度画像を構成している画素と同数のフラグ(例えば、強度画像及び高度画像が「m×n画素」の画像であれば、m×n個のフラグ)を保持する検出マップを作成する。
検出マップ作成処理部4は、背景検出処理部3が背景領域を構成している画素を検出すると、その画素に対応するフラグを“1”に設定し、それ以外の画素に対応するフラグを“0”に設定する(ステップST4)。
図3は検出マップ作成処理部4によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
図3では、画像上部や左端などが背景領域である例を示している。
なお、図3では、図面を見易くするため“0”のフラグは記述しておらず、空白の欄には、“0”のフラグが設定されているものとする。
【0025】
クラッタ検出処理部5は、背景検出処理部3から画素値補正後の強度画像を受けると、その強度画像を構成している画素の中で、クラッタ領域を構成している画素(目標物以外を構成している画素)を検出する(ステップST5)。
また、クラッタ検出処理部5は、背景検出処理部3から高度画像を受けると、その高度画像を構成している画素の中で、クラッタ領域を構成している画素を検出する(ステップST5)。
【0026】
クラッタ領域を構成している画素の検出処理は、目標物が持ち得る画素値(信号強度値、高度値)以外の画素値を有する物体をクラッタとして検出するものである。
例えば、市街地において、普通自動車が検出対象の目標物である場合、街路樹や建物がクラッタとなる。
具体的には、予め、クラッタ検出処理部5がクラッタ(例えば、街路樹、建物)の画素値Pc(信号強度値、高度値)を記憶しておき、例えば、下記の式(1)に示すように、強度画像及び高度画像内の画素値Pが、クラッタの画素値Pcの±10%の範囲内であれば、その画素値Pを有する画素は、クラッタ領域を構成している画素であると判定する。
Pc×0.9 ≦ P ≦ Pc×1.1 (1)
【0027】
第1の検出マップ更新処理部6は、クラッタ検出処理部5がクラッタ領域を構成している画素を検出すると、検出マップ作成処理部4により作成された検出マップ内のフラグのうち、クラッタ領域を構成している画素に対応するフラグを“1”に設定して、その検出マップを第2の検出マップ更新処理部8に出力する(ステップST6)。
図4は第1の検出マップ更新処理部6によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
図4では、画像中央の下部にクラッタ領域がある例を示している。
ここでは、クラッタ領域を構成している画素に対応するフラグに“1”を設定する例を示しているが、クラッタの種類に応じたフラグを設定するようにしてもよい。
例えば、クラッタが街路樹であれば“2”を設定し、クラッタが建物であれば“3”を設定するなどが考えられる。
【0028】
高度値閾値処理部7は、クラッタ検出処理部5から高度画像を受けると、その高度画像内の各画素値Pと閾値Aを比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出する(ステップST7)。
例えば、下記の式(2)に示すように、高度画像内の画素値Pが閾値Aより大きければ、その画素値Pを有する画素は、目標物を構成している可能性がある画素であると判定する。
P ≧ A (2)
下記の式(3)に示すように、高度画像内の画素値Pが、閾値A1の±10%の範囲内であれば、その画素値Pを有する画素は、目標物を構成している可能性がある画素であると判定するようにしてもよい。
A1×0.9 ≦ P ≦ A1×1.1 (3)
【0029】
第2の検出マップ更新処理部8は、高度値閾値処理部7が、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出すると、第1の検出マップ更新処理部6から出力された検出マップ内のフラグのうち、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素に対応するフラグを“1”に設定し、その検出マップを第3の検出マップ更新処理部10に出力する(ステップST8)。
図5は第2の検出マップ更新処理部8によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
図5では、画像中央より右側に目標物を構成している可能性がある画素がある例を示している。
【0030】
強度値閾値処理部9は、クラッタ検出処理部5から強度画像を受けると、その強度画像内の各画素値Pと閾値Bを比較することで、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する(ステップST9)。
例えば、下記の式(4)に示すように、強度画像内の画素値Pが閾値Bより大きければ、その画素値Pを有する画素は、目標物を構成している可能性がある画素であると判定する。
P ≧ B (4)
下記の式(5)に示すように、強度画像内の画素値Pが、閾値B1の±10%の範囲内であれば、その画素値Pを有する画素は、目標物を構成している可能性がある画素であると判定するようにしてもよい。
B1×0.9 ≦ P ≦ B1×1.1 (5)
【0031】
第3の検出マップ更新処理部10は、強度値閾値処理部9が、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出すると、第2の検出マップ更新処理部8から出力された検出マップ内のフラグのうち、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素に対応するフラグを“1”に設定し、その検出マップを目標領域検出処理部12に出力する(ステップST10)。
図6は第3の検出マップ更新処理部10によりフラグが設定された検出マップの一例を示す説明図である。
図6では、画像中央より右側に目標物を構成している可能性がある画素がある例を示しているが、高度値閾値処理部7により検出された画素と若干ずれている。
【0032】
目標候補画素設定処理部11は、高度値閾値処理部7及び強度値閾値処理部9が、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出すると、高度値閾値処理部7により検出された画素と強度値閾値処理部9により検出された画素の論理積を求めることにより、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素の中で、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する(ステップST11)。
図7は目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素を示す説明図である。
図7の例では、高度値閾値処理部7により検出された画素と強度値閾値処理部9により検出された画素が若干ずれているので、目標候補画素に設定される画素の個数は8個である。
【0033】
図6の検出フラグにおいて、“0”のフラグに対応する画素は、背景領域やクラッタ領域に属しておらず、また、目標候補画素にも設定されていない画素である。つまり、何を構成している画素であるのか不明な画素である(例えば、画素値である信号強度値や距離値がレーダにおけるセンサの飽和レベル付近であるために、正確な値が得られていない等の場合には、不明な画素になる)。
しかし、このような不明な画素は、目標物を構成している画素である場合があるため、実際の目標物を構成している画素は、図7に示すように、目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素だけでなく、“0”のフラグに対応する画素を含むことがある。
【0034】
目標領域検出処理部12は、目標候補画素設定処理部11が目標候補画素を設定すると、その目標候補画素と第3の検出マップ更新処理部10から出力された検出マップ内のフラグ“0”に対応する画素とから構成される和集合の領域を特定する(ステップST12)。
図8は目標領域検出処理部12により特定された和集合の領域を示す説明図である。
図8の例では、和集合の領域に含まれている画素の個数は14個である。
【0035】
目標領域検出処理部12は、和集合の領域を特定すると、その和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定する(ステップST13)。
具体的には、和集合の領域に含まれている画素の個数がWであり、予め設定されている目標物の空間的な大きさに対応する画素数がYであるとき、画素数Wが画素数Yに対して±N個の範囲内であれば、和集合の領域の空間的な大きさが、目標物の空間的な大きさと近似していると判定する。
【0036】
図8の例では、和集合の領域に含まれている画素の個数は14個であり、実際の目標物を構成している画素の個数は12個であるため(図7を参照)、Nが2以上であれば、近似していると判定される。
もし、この実施の形態1のように、和集合の領域を特定せずに、目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素の個数を画素数Yと比較して目標物を検出する場合、目標候補画素の個数は8個であるため、Nが4以上でなければ、目標物を検出することができず、検出性能が劣化する。
【0037】
目標領域検出処理部12は、和集合の領域の空間的な大きさが、目標物の空間的な大きさと近似していれば、目標物を検出した旨を示す目標検出情報を出力する(ステップST14)。
ここでは、説明の簡単化のために、画素数を比較することで、空間的な大きさが近似しているか否かを判定しているが、3次元変換処理部2により生成された3次元画像の要素である奥行や幅の情報を用いて、和集合の領域の空間的な大きさを算出して、目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0038】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダの高度角度情報を用いて、その電磁波の反射点までの距離値が画素値である距離画像を三次元化することで、その反射点の高度値が画素値である高度画像を生成する3次元変換処理部2と、3次元変換処理部2により生成された高度画像内の各画素値と閾値Aを比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出する高度値閾値処理部7と、強度画像内の各画素値と閾値Bを比較することで、目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する強度値閾値処理部9と、高度値閾値処理部7により検出された高度画像内の画素の中で、強度値閾値処理部9により検出された強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する目標候補画素設定処理部11と、高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、背景領域を構成している画素を検出する背景検出処理部3と、高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、クラッタ領域を構成している画素を検出するクラッタ検出処理部5とを設け、目標領域検出処理部12が、目標候補画素設定処理部11により設定された目標候補画素と特定物が不明な画素(目標物、背景領域及びクラッタ領域のいずれも構成していない画素)とから構成される和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定するように構成したので、何らかの原因で強度画像や距離画像内の画素値が異常値になっている場合でも、目標物を検出することができる効果を奏する。
【0039】
即ち、何を構成している画素であるのか不明な画素(背景領域やクラッタ領域に属しておらず、目標候補画素にも設定されていない画素)も目標候補画素に含めて、目標物を検出するようにしているので、何を構成している画素であるのか不明な画素が、実際には目標物を構成している画素であるような場合に、目標物を見逃してしまう不具合の発生を防止することができる効果を奏する。
【0040】
また、この実施の形態1によれば、距離画像内の画素値に応じて強度画像内の画素値を補正し、画素値補正後の強度画像を背景検出処理部3に出力する強度値補正処理部1を設けているので、各反射点までの距離の差が大きい場合でも、正確な強度値が得られるようになり、目標物の検出性能を高めることができる効果を奏する。
【0041】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2によるレーダ画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
異常値判定処理部21は第3の検出マップ更新処理部10から出力された検出マップ内のフラグ“0”に対応する画素に係る信号強度値及び距離値が異常値であるか否かを判定し、その画素に係る信号強度値及び距離値が異常値であれば、その画素に対応するフラグを“0”から“1”に変更する処理を実施する。なお、異常値判定処理部21は近似判定手段を構成している。
【0042】
図9の例では、レーダ画像処理装置の構成要素である強度値補正処理部1、3次元変換処理部2、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11、異常値判定処理部21及び目標領域検出処理部12のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、レーダ画像処理装置がコンピュータで構成されていてもよい。
レーダ画像処理装置がコンピュータで構成される場合、強度値補正処理部1、3次元変換処理部2、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11、異常値判定処理部21及び目標領域検出処理部12の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
【0043】
上記実施の形態1では、目標候補画素と検出マップ内のフラグ“0”に対応する画素とから構成される和集合の領域を特定するものを示したが、フラグ“0”に対応する画素の中には、その画素の画素値が明らかに異常値であることが分かる場合がある。
画素値が明らかに異常値である場合も、上記実施の形態1と同様に、当該画素を和集合の領域に含めて、目標物を検出することは可能であるが、画素値が明らかに異常値である場合、その画素に対応するフラグを“0”から“1”に変更して、その画素を和集合の領域を構成している画素から除外するようにしてもよい。
なお、何を構成している画素であるのか特性することができず、フラグが“0”に設定されていても、その画素の画素値が明らかな異常値でなければ、その画素に対応するフラグは“1”に変更することはない。
【0044】
次に動作について説明する。
異常値判定処理部21を実装している点以外は、上記実施の形態1と同様であるため、異常値判定処理部21の処理内容だけを説明する。
異常値判定処理部21は、第3の検出マップ更新処理部10から出力された検出マップ内のフラグ“0”に対応する画素に係る信号強度値及び距離値が異常値であるか否かを判定するが、信号強度値及び距離値がレーダのセンサにおける飽和レベルに近い場合、信号強度値及び距離値が正常な値にならず、異常値となることがある。
そこで、異常値判定処理部21は、信号強度値及び距離値が飽和値であるか否かを判定し、飽和値であれば、その信号強度値及び距離値が異常値であると認定し、その信号強度値等を有する画素に対応するフラグを“0”から“1”に変更する。
【0045】
飽和値であるか否かを判定する方法としては、強度画像及び距離画像における所定領域内の画素の平均値及び標準偏差値を算出し、その平均値がセンサの設計値として得られる飽和レベルに近く、かつ、その標準偏差値が所定の閾値よりも小さければ、飽和値であると認定する方法が考えられる。
なお、信号強度値及び距離値がセンサの飽和レベルに近い場合、目標物との相対距離が近い、あるいは、目標物の有効反射断面積が大きい、あるいは、レーザレーダの場合には、目標物の色が白色に近いことが考えられる。
【0046】
ここでは、信号強度値及び距離値が飽和値であるか否かを判定するものを示したが、例えば、レーザレーダにおいて、黒色の物体、物体の影又は鏡面反射に起因する低信号対雑音比の画素であれば、その画素の信号強度値及び距離値が異常値であると判定するようにしてもよい。
低信号対雑音比の画素であるか否かを判定する方法としては、低信号対雑音比の画素は孤立して存在することが少ないため、飽和画素ではない異常値の画素の分布を調べ、それらの画素が所定範囲内に密に分布していれば、それらの画素は低信号対雑音比の画素であると認定する方法が考えられる。
なお、低信号対雑音比の画素である場合には、レーザレーダの場合には、目標物の色が黒色に近い、あるいは、鏡面反射していることが推測される。
【0047】
また、レーザレーダの場合、スペックルノイズやショットノイズ等のレーザ光の物理的な要因による雑音画素を検出し、その雑音画素の信号強度値及び距離値は異常値であると判定するようにしてもよい。
雑音画素であるか否かを判定する方法としては、雑音画素は比較的狭い領域に、孤立点状に分布することが多いため、異常値の画素の分布を調べ、所定範囲内に孤立点として分布している画素は雑音画素であると認定する方法が考えられる。
【0048】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3によるレーダ画像処理装置を示す構成図であり、図において、図9と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
画像分割処理部22は高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、略同一値の画素値を有する画素、あるいは、画素値が連続的に変化している画素が集まっている領域を特定して、上記高度画像及び強度画像を上記領域単位に分割する処理を実施する。なお、画像分割処理部22は画像分割手段を構成している。
【0049】
図10の例では、レーダ画像処理装置の構成要素である強度値補正処理部1、3次元変換処理部2、画像分割処理部22、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11、異常値判定処理部21及び目標領域検出処理部12のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、レーダ画像処理装置がコンピュータで構成されていてもよい。
レーダ画像処理装置がコンピュータで構成される場合、強度値補正処理部1、3次元変換処理部2、画像分割処理部22、背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11、異常値判定処理部21及び目標領域検出処理部12の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
【0050】
上記実施の形態1,2では、強度画像及び高度画像を構成している画素毎に、目標物、背景領域、クラッタ領域及び判定不能のいずれに属しているかを分類しているが、略同一値の画素値を有する画素、あるいは、画素値が連続的に変化している画素が集まっている領域は、同一の物体を構成している画素が集まっている領域である可能性が高いので、画像分割処理部22の後段の処理部(背景検出処理部3、検出マップ作成処理部4、クラッタ検出処理部5、第1の検出マップ更新処理部6、高度値閾値処理部7、第2の検出マップ更新処理部8、強度値閾値処理部9、第3の検出マップ更新処理部10、目標候補画素設定処理部11、異常値判定処理部21及び目標領域検出処理部12)が、領域単位に各々の処理を実施することで(例えば、当該領域に属している1つの画素を代表画素として、その代表画素が有する画素値を使用して処理する。あるいは、当該領域に属している画素が有する画素値の平均値を使用して処理する。)、演算量を削減するようにしてもよい。
【0051】
次に動作について説明する。
画像分割処理部22は、高度画像及び強度画像内の各画素値を参照して、高度画像及び強度画像を分割する。
即ち、画像分割処理部22は、下記のようにして、高度画像及び強度画像を分割する。(1)画像の所定領域内において、隣接している画素の画素値(強度値、高度値)がほぼ同一の値(例えば、画素値の差分が3%未満)であれば、その隣接している画素を同一の領域に分類する
(2)画像の所定領域内において、隣接している画素の画素値(強度値、高度値)が連続的に変化していれば、その隣接している画素を同一の領域に分類する
【0052】
画像分割処理部22の後段の処理部は、上述したように、画像分割処理部22により分割された領域単位に各々の処理を実施する。
同一の領域に属している画素は、同一の物体を構成している画素が集まっている領域である可能性が高いので、画像分割処理部22の後段の処理部が、領域単位に各々の処理を実施しても、目標物の検出性能の低下を招く可能性は低い。
なお、画像分割処理部22の後段の処理部が、領域単位に各々の処理を実施することで、大きな演算量の削減効果が得られる。また、領域内に存在する少量の判定不能画素(画素値が異常値である画素)の影響を低減できる可能性がある。
【0053】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 強度値補正処理部(画素値補正手段)、2 3次元変換処理部(高度画像生成手段)、3 背景検出処理部(目標物以外構成画素検出手段)、4 検出マップ作成処理部(目標物以外構成画素検出手段)、5 クラッタ検出処理部(目標物以外構成画素検出手段)、6 第1の検出マップ更新処理部(目標物以外構成画素検出手段)、7 高度値閾値処理部(目標物構成画素検出手段)、8 第2の検出マップ更新処理部(目標物構成画素検出手段)、9 強度値閾値処理部(目標物構成画素検出手段)、10 第3の検出マップ更新処理部(目標物構成画素検出手段)、11 目標候補画素設定処理部(目標候補画素設定手段)、12 目標領域検出処理部(近似判定手段)、21 異常値判定処理部(近似判定手段)、22 画像分割処理部(画像分割手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダの高度角度情報を用いて、上記電磁波の反射点までの距離値が画素値である距離画像を三次元化することで、上記反射点の高度値が画素値である高度画像を生成する高度画像生成手段と、上記高度画像生成手段により生成された高度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出するとともに、上記反射点における信号強度値が画素値である強度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、上記目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する目標物構成画素検出手段と、上記目標物構成画素検出手段により検出された高度画像内の画素の中で、上記目標物構成画素検出手段により検出された強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する目標候補画素設定手段と、上記高度画像生成手段により生成された高度画像及び上記強度画像を構成している画素の中で、上記目標物以外を構成している画素を検出する目標物以外構成画素検出手段と、上記高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像内の画素の中で、上記目標物構成画素検出手段及び上記目標物以外構成画素検出手段により検出された画素以外の画素と上記目標候補画素設定手段により設定された目標候補画素とから構成される和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている上記目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定する近似判定手段とを備えたレーダ画像処理装置。
【請求項2】
目標物以外構成画素検出手段は、高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、背景領域を構成している画素及びクラッタ領域を構成している画素を検出することを特徴とする請求項1記載のレーダ画像処理装置。
【請求項3】
距離画像内の画素値に応じて強度画像内の画素値を補正し、画素値補正後の強度画像を目標物構成画素検出手段及び目標物以外構成画素検出手段に出力する画素値補正手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ画像処理装置。
【請求項4】
近似判定手段は、目標物構成画素検出手段及び目標物以外構成画素検出手段により検出された画素以外の画素が異常値であるか否かを判定し、上記画素に係る信号強度値及び距離値が異常値であれば、上記画素を和集合の領域を構成している画素から除外することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のレーダ画像処理装置。
【請求項5】
高度画像生成手段により生成された高度画像及び強度画像を構成している画素の中で、略同一値の画素値を有する画素が集まっている領域、あるいは、画素値が連続的に変化している画素が集まっている領域を特定して、上記高度画像及び上記強度画像を上記領域単位に分割する画像分割手段を設け、
目標物構成画素検出手段、目標候補画素設定手段と、目標物以外構成画素検出手段及び近似判定手段が、上記画像分割手段により分割された領域単位に各々の処理を実施することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のレーダ画像処理装置。
【請求項6】
高度画像生成手段が、電磁波を空間に放射して反射波を受信するレーダの高度角度情報を用いて、上記電磁波の反射点までの距離値が画素値である距離画像を三次元化することで、上記反射点の高度値が画素値である高度画像を生成する高度画像生成処理ステップと、目標物構成画素検出手段が、上記高度画像生成処理ステップで生成された高度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、目標物を構成している可能性がある高度画像内の画素を検出するとともに、上記反射点における信号強度値が画素値である強度画像内の各画素値と所定の閾値を比較することで、上記目標物を構成している可能性がある強度画像内の画素を検出する目標物構成画素検出処理ステップと、目標候補画素設定手段が、上記目標物構成画素検出処理ステップで検出された高度画像内の画素の中で、上記目標物構成画素検出処理ステップで検出された強度画像内の画素と同じ位置にある画素を目標候補画素に設定する目標候補画素設定処理ステップと、目標物以外構成画素検出手段が、上記高度画像生成処理ステップで生成された高度画像及び上記強度画像を構成している画素の中で、上記目標物以外を構成している画素を検出する目標物以外構成画素検出処理ステップと、近似判定手段が、上記高度画像生成処理ステップで生成された高度画像及び強度画像内の画素の中で、上記目標物構成画素検出処理ステップ及び上記目標物以外構成画素検出処理ステップで検出された画素以外の画素と上記目標候補画素設定処理ステップで設定された目標候補画素とから構成される和集合の領域の空間的な大きさが、予め設定されている上記目標物の空間的な大きさと近似しているか否かを判定する近似判定処理ステップとを備えたレーダ画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−255657(P2012−255657A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127418(P2011−127418)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】