説明

レーダ装置及び目標位置算出方法

【課題】レーダ装置により算出される目標位置観測値のバタつきを抑制し、目標追尾処理を安定化させること。
【解決手段】本発明に係るレーダ装置(1)は、データ生成部(30)と、目標検出部(42)と、目標距離算出部(43)とを備える。データ生成部(30)は、追尾目標から受信した反射波に関するデータ(DA)を、レンジビン毎に生成する。目標検出部(42)は、距離ゲート(RG)内においてデータ(DA)が閾値レベル(TH)以上であるレンジビンの集合、あるいは、レンジビンの集合に振幅レベルが閾値レベル(TH)未満であるレンジビンがあるものの当該レンジビンの数や幅(隣接レンジビンの振幅レベルが閾値レベル(TH)未満であるレンジビンの数)が規定を満足しており集合と認められるものを、追尾目標に対応する目標レンジビン集合(TBG)として抽出する。目標距離算出部(43)は、目標レンジビン集合(TBG)に属する全レンジビンが示すそれぞれの距離の平均値を、追尾目標への距離である目標距離(R)として算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置、及びレーダ装置による目標位置算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強振幅レンジビンデータを用いて目標追尾を行うレーダ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。図1及び図2を参照して、強振幅レンジビンデータを用いて目標追尾を行うレーダ装置について説明する。
【0003】
図1に示されるように、レーダ装置で計測される距離は、その分解能に相当する「レンジビン」単位に区分けされる。レーダ装置は、追尾目標に対し必要な距離分解能に対応したパルス幅でビームを照射し、追尾目標で反射された反射波を受信する。追尾目標から受信した反射波からΣ信号やΔ信号が生成され、デジタイザによってΣ信号やΔ信号がレンジビン毎にデジタル化される。つまり、レーダ装置は、追尾目標からの反射波に関するデータ(Σ信号やΔ信号)を、レンジビン毎に生成する。
【0004】
その一方で、追尾目標の位置が過去の観測値から予測され、予測された目標位置を中心とする「距離ゲート(レンジゲート)RG」が生成される。そして、図2に示されるように、距離ゲートRG内においてΣ信号の振幅データが所定の閾値レベルTH以上であるレンジビンの集合が、追尾目標に対応する「目標レンジビン集合」として抽出される。更に、目標レンジビン集合のうちΣ信号の振幅データが最も大きい一つが、「強振幅レンジビン(ピークレンジピン)」として抽出される。そして、その強振幅レンジビンに対応した距離が、追尾目標への距離である「目標距離」として算出される。
【0005】
また、追尾目標に対する角度(方位角:azimuth angle や迎角:elevation angle)である「目標角度」は、次のようにして算出される。すなわち、目標角度は、上述の強振幅レンジビンに対応するデータ(Σ信号、Δ信号(方位角と迎角の両方を算出する場合は、方位角算出用Δ信号と迎角算出用Δ信号の両Δ信号))に基づいて、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって算出される。
【0006】
特許文献2は、目標類別装置を開示している。その目標類別装置は、目標のレンジ対RCS(レーダ反射断面積)特性を示すレンジプロファイルと当該目標の追尾情報とを入力し、当該目標の種類を出力する。具体的には、目標類別装置は、レンジプロファイルから目標長を推定する目標長推定部と、追尾情報を考慮しつつレンジプロファイルのパターン認識を行うパターン認識部と、目標長推定部で推定された目標長とパターン認識部でパターン認識されたレンジプロファイルとに基づき類別処理を行う類別部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−109834号公報
【特許文献2】特開2002−357657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
追尾目標の中で強反射(強振幅)が発生する位置は、必ずしもその目標の中心ではなく、目標の形状や物性に依存する。従って、例えば図1に示されるように、同一目標内で強反射が発生する箇所が前後2箇所になる場合もある。また、強反射位置(強振幅位置)は、一般的にレーダパルスの入射角に応じて変化する。そのため、レーダ装置と目標の間に相対運動があり目標への目視線角が時々刻々と変化する場合には、それに応じて強反射位置も時々刻々と変化する。
【0009】
従って、図1、図2の例に示すように、目標の距離と角度(例では方位角(azimuth angle)のみを計測)を計測するレーダ装置によって2箇所の同レベル強反射部位を有する目標を追尾した場合、2箇所の強反射部位からの受信振幅が時々刻々と変化し、強振幅レンジビンの位置が断続的に入れ替わる可能性がある。すなわち、算出される目標距離が“R1”と“R2”とで断続的に切り換わり、また、算出される目標角度が“Az1”と“Az2”とで断続的に切り換わる可能性がある。図3は、そのような算出目標距離及び算出目標角度の時間変化のシミュレーション結果を示している。図3に示されるように、算出目標距離及び算出目標角度が、時間的に変動し、バタつく可能性がある。
【0010】
以上に説明されたように、強振幅レンジビンデータを用いて目標追尾を行う場合、距離ゲートRG内で強振幅レンジビンの位置がバタつき、その結果、目標位置観測値(算出される目標距離及び目標角度)がバタついてしまう恐れがある。このことは、追尾対象点のふらつきを招き、目標追尾処理を不安定化させる。
【0011】
本発明の1つの目的は、レーダ装置により算出される目標位置観測値のバタつきを抑制し、目標追尾処理を安定化させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明の1つの観点において、レーダ装置(1)が提供される。レーダ装置(1)は、データ生成部(30)と、目標検出部(42)と、目標距離算出部(43)とを備える。データ生成部(30)は、追尾目標から受信した反射波に関するデータ(DA)を、レンジビン毎に生成する。目標検出部(42)は、距離ゲート(RG)内において、データ(DA)に含まれるΣ信号の振幅が所定の又はCFAR(Constant False Alarm Rate)処理により算出される閾値レベル(TH)以上であるレンジビンの集合を、追尾目標に対応する目標レンジビン集合(TBG)として抽出する。あるいは、目標検出部(42)は、距離ゲート(RG)内において、レンジビンの集合にΣ信号の振幅レベルが上述の閾値レベル(TH)未満であるレンジビンがあるものの、当該レンジビンの数や幅(隣接レンジビンのΣ信号の振幅レベルが閾値レベル(TH)未満であるレンジビンの数)が規定を満足しており集合と認められるものを、追尾目標に対応する目標レンジビン集合(TBG)として抽出してもよい。目標距離算出部(43)は、目標レンジビン集合(TBG)に属する全レンジビンに対応する距離の平均値を、追尾目標への距離である目標距離(R)として算出する。
【0014】
レーダ装置(1)は更に、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって各レンジビンに対応する角度を算出する機能を有する目標角度算出部(44)を備えてもよい。目標角度算出部(44)は、目標レンジビン集合(TBG)に属する全レンジビン、又は目標レンジビン集合TBGに属するレンジビンのうちΣ信号の振幅が閾値レベル(TH)以上であるレンジビン、に対応するΣ信号とΔ信号から算出されたそれぞれの角度の平均値を、追尾目標に対する角度である目標角度(Az)として算出する。あるいは、目標角度算出部(44)は、算出された目標距離(R)に最も近いレンジビンに対応するΣ信号とΔ信号から算出した角度を、追尾目標に対する角度である目標角度(Az)としてもよい。
【0015】
尚、目標角度(El)の算出を行う必要がある場合は、データ生成部(30)において目標角度(Az)算出用のΔ信号に加えて目標角度(El)算出用のΔ信号を生成し、その目標角度(El)算出用のΔ信号とΣ信号を、目標角度算出部(44)で目標角度(Az)算出時と同様に処理することで目標角度(El)の算出を行う。
【0016】
レーダ装置(1)は更に、第1モード処理部(100)と、第2モード処理部(200)と、モード切換部(300)とを備えてもよい。第1モード処理部(100)は、上記目標距離算出部(43)である第1目標距離算出部(43)と、上記目標角度算出部(44)である第1目標角度算出部(44)とを備える。第2モード処理部(200)は、第2目標距離算出部(243)と、第2目標角度算出部(244)とを備える。第2目標距離算出部(243)は、目標レンジビン集合(TBG)からデータ(DA)に含まれるΣ信号の振幅が最大であるピークレンジビンを抽出し、ピークレンジビンが示す距離を目標距離(R)として算出する。第2目標角度算出部(244)は、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって、ピークレンジビンに対応するΣ信号とΔ信号から算出された角度を目標角度(Az)とする。モード切換部(300)は、第1モードの場合に第1モード処理部(100)を活性化し第2モード処理部(200)を非活性化し、第2モードの場合に第1モード処理部(100)を非活性化し第2モード処理部(200)を活性化する。
【0017】
レーダ装置(1)は更に、追尾位置算出部(52)を備えてもよい。ここで、追尾目標の中心位置は目標中心であり、目標中心への距離は目標中心距離であり、目標中心に対する角度は目標中心角度である。また、追尾目標のうち目標中心から所定のオフセット(xoff’,yoff’)だけ離れた位置は追尾位置であり、追尾位置への距離は追尾対象距離(Rtp)であり、追尾位置に対する角度は追尾対象角度(Aztp)である。このとき、追尾位置算出部(52)は、目標距離(R)及び目標角度(Az)のそれぞれを目標中心距離及び目標中心角度とみなし、目標距離(R)、目標角度(Az)及び所定のオフセット(xoff’,yoff’)に基づいて、追尾対象距離(Rtp)と追尾対象角度(Aztp)を算出する。
【0018】
本発明の他の観点において、レーダ装置(1)による目標位置算出方法が提供される。その目標位置算出方法は、[A]追尾目標から受信した反射波に関するデータ(DA)を、レンジビン毎に生成するステップと、[B]距離ゲート(RG)内においてデータ(DA)に含まれるΣ信号の振幅が所定の又はCFAR処理により算出される閾値レベル(TH)以上であるレンジビンの集合、あるいは、レンジビンの集合にΣ信号の振幅レベルが上述の閾値レベル(TH)未満であるレンジビンがあるものの当該レンジビンの数や幅(隣接レンジビンのΣ信号の振幅レベルが閾値レベル(TH)未満であるレンジビンの数)が規定を満足しており集合と認められるものを、追尾目標に対応する目標レンジビン集合(TBG)として抽出するステップと、[C]目標レンジビン集合(TBG)に属するレンジビンに対応するそれぞれの距離の平均値を、追尾目標への距離である目標距離(R)として算出するステップと、を含む。
【0019】
目標位置算出方法は更に、[D]目標レンジビン集合(TBG)に属する全レンジビン、又は目標レンジビン集合(TBG)に属するレンジビンのうちΣ信号の振幅が閾値レベル(TH)以上であるレンジビン、に対応するΣ信号とΔ信号から算出された角度の平均値を、追尾目標に対する角度である目標角度(Az)として算出するステップを含んでもよい。このとき、各レンジビンに対応する角度は、各レンジビンに対応するΣ信号とΔ信号を用いて振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって算出される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、レーダ装置により算出される目標位置観測値のバタつきを抑制し、目標追尾処理を安定化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、強振幅レンジビンデータを用いた典型的な追尾方法を説明するための概念図である。
【図2】図2は、強振幅レンジビンデータを用いた典型的な追尾方法を説明するための概念図である。
【図3】図3は、強振幅レンジビンデータを用いた典型的な追尾方法の場合の問題点を説明するためのグラフ図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態における目標位置算出方法を説明するための概念図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態による効果を説明するためのグラフ図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態の変形例における目標位置算出方法を説明するための概念図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態に係るレーダ装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図10A】図10Aは、本発明の第3の実施の形態における目標位置算出方法(2次元座標系における計算式)を説明するための概念図である。
【図10B】図10Bは、本発明の第3の実施の形態における目標位置算出方法(3次元座標系における計算式)を説明するための概念図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態に係るレーダ装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施の形態による効果を説明するためのグラフ図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施の形態における目標位置算出方法を説明するための概念図である。
【図14】図14は、本発明の第4の実施の形態に係るレーダ装置の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施の形態における目標位置算出方法を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
1.第1の実施の形態
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るレーダ装置1の構成を示すブロック図である。レーダ装置1は、アンテナ10、送受信部20、データ生成部30及び信号処理部40を備えている。
【0024】
送受信部20は、発振器21、送信機22及び受信機23を備えている。送信機22は、アンテナ10を介して、追尾目標に向けてビームを照射する。受信機23は、追尾目標で反射された反射波を、アンテナ10を介して受信する。
【0025】
データ生成部30は、アンテナ10及び送受信部20を介して得られた受信信号を基に、データ(Σ信号、Δ信号)を生成する。つまり、データ生成部30は、追尾目標から受信した反射波に関するデータDAを、レンジビン毎に生成する。より詳細には、データ生成部30は、ビーム形成部31及びデジタイザ32を備えている。ビーム形成部31は、受信機23によって受信された反射波から、Σ信号やΔ信号を生成する。デジタイザ32は、生成されたΣ信号やΔ信号を、レンジビン毎にデジタル化する。
【0026】
信号処理部40は、ゲート処理部41、目標検出部42、目標距離算出部43、目標角度算出部44、フィルタ処理部45、ゲート制御部46、送受信制御部47、及びビーム制御部48を備えている。
【0027】
ゲート処理部41は、ゲート処理を行う。具体的には、図5に示されるように、ゲート処理部41は、データ生成部30にて生成されたデータDAのうちの「距離ゲート(レンジゲート)RG」に含まれるレンジビンに対応するデータ(Σ信号、Δ信号)を抽出する。
【0028】
目標検出部42は、距離ゲートRGの中から追尾目標に相当するレンジビンを抽出する。具体的には、図5に示されるように、目標検出部42は、距離ゲートRG内においてデータDAに含まれるΣ信号の振幅が閾値レベルTH以上であるレンジビンの集合を、追尾目標に対応する「目標レンジビン集合TBG」として抽出する。尚、閾値レベルTHは、所定である、又は、CFAR(Constant False Alarm Rate)処理により算出される。あるいは、目標検出部42は、レンジビンの集合にΣ信号の振幅レベルが閾値レベルTH未満であるレンジビンがあるものの、当該レンジビンの数や幅(隣接レンジビンのΣ信号の振幅レベルが閾値レベルTH未満であるレンジビンの数)が規定を満足しており集合と認められるものを、追尾目標に対応する「目標レンジビン集合TBG」として抽出してもよい。
【0029】
目標距離算出部43は、追尾目標への距離である「目標距離R」を算出する。本実施の形態における目標距離Rの具体的な算出方法は後述される。
【0030】
目標角度算出部44は、データDA(Σ信号、Δ信号)を用い、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって各レンジビンに対応する角度を算出する機能を有する。特に、目標角度算出部44は、追尾目標に対する角度(方位角:azimuth angle)である「目標角度Az」を算出する。また、目標角度算出部44は、追尾目標に対する角度(迎角:elevation angle)である「目標角度El」を算出することも可能である。本実施の形態における目標角度Az、目標角度Elの具体的な算出方法は後述される。
【0031】
フィルタ処理部45は、目標距離算出部43によって算出された目標距離Rから、目標距離平滑値SRを算出する。また、フィルタ処理部45は、目標距離算出部43によって算出された目標距離Rに基づいて、次の時間の目標距離を予測する。そして、フィルタ処理部45は、目標距離予測値をゲート制御部46に出力する。
【0032】
ゲート制御部46は、目標距離予測値を中心とする新たな距離ゲートRGを生成し、その距離ゲートRGを上述のゲート処理部41に出力する。
【0033】
送受信制御部47は、送受信部20の動作を制御する。
【0034】
ビーム制御部48は、目標角度Azに基づいてビーム制御を行う。また、ビーム制御部48は、目標角度Az及び目標角度Elに基づいてビーム制御を行うことも可能である。
【0035】
図5を参照して、本実施の形態における目標距離Rと目標角度Azの算出方法を説明する。本実施の形態によれば、目標距離算出部43は、目標レンジビン集合TBGに属する各レンジビンに対応するそれぞれの距離の平均値を、目標距離Rとして算出する。つまり、目標距離算出部43は、目標レンジビン集合TBGの範囲で、距離の平均処理を行う。また、目標角度算出部44は、目標レンジビン集合TBGに属する全レンジビン、又は、目標レンジビン集合TBGに属するレンジビンのうちΣ信号の振幅が閾値レベルTH以上である各レンジビン、に対応するΣ信号とΔ信号から算出されたそれぞれの角度の平均値を、目標角度Azとして算出する。目標角度Elの算出が必要な場合は、データ生成部30にて目標角度El算出用のΔ信号を生成し、目標角度算出部44にて目標角度Az算出処理と同じ処理を行うことで目標角度Elを算出する。つまり、目標角度算出部44は、目標レンジビン集合TBGの範囲で、各レンジビン、又は、Σ信号の振幅が閾値レベルTH以上である各レンジビン、に対応するΣ信号とΔ信号から算出されたそれぞれの角度の平均処理を行う。
【0036】
図6は、本実施の形態において目標距離R及び目標角度Azを算出した際の時間変化のシミュレーション結果を示している。既出の図3の場合と比較して、目標距離Rと目標角度Azの両方に関して、バタつきが大きく抑制されていることが分かる。これは、目標レンジビン集合TBGの範囲で平均処理が行われたからである。目標位置観測値(目標距離R、目標角度Az)のバタつきが抑制されるため、目標追尾処理が安定化する。
【0037】
尚、図6から、次のことも分かる。すなわち、本実施の形態において算出される目標距離R及び目標角度Azは、それぞれ、目標中心距離及び目標中心角度に近い。目標中心距離は、追尾目標の中心位置である目標中心への距離であり、目標中心角度は、目標中心に対する角度である。この現象は、目標角度Elを算出する場合にも当てはまり、目標角度Elも目標中心角度に近くなる。このように目標距離R、目標角度Az、Elのそれぞれが目標中心距離及び目標中心角度に近いことは、目標レンジビン集合TBGの範囲で平均処理が行われたことに起因する。
【0038】
図7及び図8は、本実施の形態の変形例を示している。本変形例では、目標距離R、目標角度Azの算出方法が、上記のものと異なる。詳細には、目標角度算出部44は、目標距離算出部43によって算出された目標距離Rを参照し、目標レンジビン集合TBGの中から目標距離Rに最も近いレンジビンを抽出する。抽出したレンジビンのΣ信号の振幅が閾値レベルTH未満である場合、目標角度検出部44は、そのレンジビンに最も近くΣ信号の振幅が閾値レベルTH以上であるレンジビンを抽出する。そして、目標角度算出部44は、抽出したレンジビンに対応するΣ信号とΔ信号から算出された角度を、目標角度Azとして算出する。目標角度算出部44は、目標角度Elの算出が必要な場合は、データ生成部30にて生成された目標角度El算出用のΔ信号に対して目標角度Az算出処理と同処理を行い、目標角度Elを算出する。また、目標角度算出部44は、抽出したレンジビンを目標距離算出部43に引き渡す。目標距離算出部43は抽出したレンジビンに対応した距離を目標距離Rとして算出する。本変形例によっても、同等の効果が得られる。
【0039】
2.第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態では、目標位置算出方式を、第1の実施の形態で説明された方式と、従来の強振幅レンジビン(ピークレンジピン)を用いる方式とで切り換え可能である。第1の実施の形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0040】
図9は、第2の実施の形態に係るレーダ装置1の信号処理部40の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る信号処理部40は、第1モード処理部100、第2モード処理部200、モード切換部300、及び制御部400を備えている。
【0041】
第1モード処理部100は、第1の実施の形態で説明された方式で、目標距離R、目標角度Az及び必要に応じて目標角度Elを算出する。より詳細には、第1モード処理部100は、目標検出部42、目標距離算出部43(第1目標距離算出部)、及び目標角度算出部44(第1目標角度算出部)を備えている。
【0042】
第2モード処理部200は、既出の図2で示されたような強振幅レンジビン(ピークレンジビン)を用いる従来方式で、目標距離R、目標角度Az及び必要に応じて目標角度Elを算出する。より詳細には、第2モード処理部200は、目標検出部242、目標距離算出部243(第2目標距離算出部)、及び目標角度算出部244(第2目標角度算出部)を備えている。目標検出部242は、目標検出部42と同様に、目標レンジビン集合TBGを抽出する。目標距離算出部243は、目標レンジビン集合TBGからデータDAに含まれるΣ信号の振幅が最大であるピークレンジビンを抽出し、当該ピークレンジビンが示す距離を目標距離Rとして算出する。目標角度算出部244は、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって、ピークレンジビンに対応するΣ信号とΔ信号から算出される角度を目標角度Az及び必要に応じて目標角度Elとして算出する。
【0043】
モード切換部300は、第1モード処理部100と第2モード処理部200のいずれか一方を、追尾モードに応じて活性化する。より詳細には、第1追尾モードの場合、モード切換部300は、第1モード処理部100を活性化し、第2モード処理部200を非活性化する。一方、第2追尾モードの場合、モード切換部300は、第1モード処理部100を非活性化し、第2モード処理部200を活性化する。
【0044】
制御部400は、目標距離R、目標角度Az及び必要に応じて目標角度El、又は外部装置から入力される外部指令ECに基づいて追尾モードを決定し、決定した追尾モードで動作するようモード切換部300を制御する。
【0045】
例えば、追尾レーダによって誘導制御を行うミサイルの場合、ミサイル〜目標間の相対距離が十分に遠方の範囲であれば、バタつきを持った追尾レーダの目標位置観測値によって追尾初期の誘導制御を行ったとしても、ミサイルの命中精度上許容される場合が多い。よって、追尾レーダ目標位置観測値のバタツキがミサイルの命中精度上許容される遠方領域では、第2追尾モードを実行する。一方、命中精度上、追尾レーダの目標位置観測値のバタツキが問題となる目標近傍領域では、第1追尾モードを実行する。これにより、ミサイル〜目標間相対距離が遠方である領域において目標追尾処理負荷を低減して、他のデータ処理(目標の分離識別等)に計算資源を割り振ることができる。
【0046】
第2の実施の形態によれば、限られたデータ処理能力で、安定的追尾処理と高負荷データ処理(目標識別等)とを両立させることができる。
【0047】
3.第3の実施の形態
追尾目標の中の特定の部位(例:艦船のブリッジ)を、追尾対象位置に設定したい場合がある。特許文献2(特開2002−357657号公報)には、目標レンジプロファイルを用いたパターンマッチングによる目標識別方式が開示されている。その目標識別方式を使えば、特定部位の追尾が可能である。しかしながら、パターンマッチングが必要であるため、信号処理負荷が極めて高いという難点がある。
【0048】
上述の通り、本発明の第1の実施の形態は、目標距離R及び目標角度Azがそれぞれ目標中心距離及び目標中心角度に近いという特性を有している。この特性を利用することによって、特許文献2のような複雑な処理を実行することなく、特定部位の追尾が可能となる。第3の実施の形態では、第1の実施の形態を利用した特定部位の追尾について説明する。まず、図10Aを参照して、第3の実施の形態で用いる2次元座標系における計算式を説明する。
【0049】
レーダ座標系は、互いに直交するX軸とY軸、で定義されている。追尾目標の中心位置は、「目標中心」である。目標中心への距離である目標中心距離としては、目標距離算出部43によって算出される目標距離Rが用いられる。また、目標中心に対する角度である目標中心角度としては、目標角度算出部44によって算出される目標角度Azが用いられる。このとき、レーダ座標系における目標中心の2次元座標[Xc,Yc]は、それぞれ、式(1)で表される。
【0050】
式(1):
Xc=R×sin(Az)
Yc=R×cos(Az)
【0051】
目標座標系は、互いに直交するX’軸とY’軸、で定義されている。X’軸は追尾目標の進行方向であり、追尾目標の姿勢角ψはX軸とX’軸とのなす角度に等しい。また、追尾目標の中で特に追尾したい特定部位は、「追尾位置」である。追尾位置と目標中心とは、目標座標系において、所定のオフセット量[xoff’,yoff’]、だけ離れている。このとき、レーダ座標系におけるオフセット量[xoff,yoff]は、次の式(2)で表される。
【0052】
式(2):
xoff=cos(ψ)xoff’−sin(ψ)yoff’
yoff=sin(ψ)xoff’+cos(ψ)yoff’
【0053】
レーダ座標系における追尾位置の座標[Xtp,Ytp]は、次の式(3)で表される。
【0054】
式(3):
Xtp=Xc+xoff
Ytp=Yc+yoff
【0055】
追尾位置への距離は追尾対象距離Rtpである。また、追尾位置に対する角度は追尾対象角度Aztp又はEltpである。追尾対象距離Rtp及び追尾対象角度Aztpは、次の式(4)で表される。
【0056】
式(4):
Rtp=(Xtp+Ytp0.5
Aztp=Arg(Ytp+j×Xtp) (ここで、jは虚数単位である)
【0057】
このように、目標座標系におけるオフセット量[xoff’,yoff’]を予め与えておけば、目標距離R、目標角度Az及び目標姿勢角ψから、そのオフセット量に応じた追尾対象距離Rtp及び追尾対象角度Aztpを算出可能である。
【0058】
図11は、第3の実施の形態に係るレーダ装置1の信号処理部40の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る信号処理部40は、第1の実施の形態における構成に加えて、姿勢角推定フィルタ51、追尾位置算出部52、切換部53及び切換部54を備えている。第1の実施の形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0059】
姿勢角推定フィルタ51は、各種情報(目標距離算出部43によって算出される目標距離R、目標角度算出部44によって算出される目標角度Az、また必要に応じてレーダ装置以外のセンサ情報)に基づいて、追尾目標の運動方向を算出する。そして、姿勢角推定フィルタ51は、その運動方向の情報から、目標姿勢角ψを推定する。
【0060】
追尾位置算出部52は、追尾対象距離Rtp及び追尾対象角度Aztpを算出する。具体的には、追尾位置算出部52は、目標距離算出部43によって算出された目標距離Rを、目標中心距離とみなす。また、追尾位置算出部52は、目標角度算出部44によって算出された目標角度Azを、目標中心角度とみなす。姿勢角推定フィルタ51は、目標姿勢角ψを算出する。目標座標系におけるオフセット量[xoff’,yoff’]は、プリセットされている。それらパラメータと上述の式(1)〜(4)を用いることによって、追尾位置算出部52は、追尾対象距離Rtp及び追尾対象角度Aztpを算出する。
【0061】
切換部53は、目標中心距離Rあるいは追尾対象距離Rtpのいずれか一方を選択して出力する。切換部54は、目標中心角度Azあるいは追尾対象角度Aztpのいずれか一方を選択して出力する。例えば、目標運動の情報は追尾開始後より得られる為、追尾開始直後のしばらくの期間は姿勢角推定フィルタ51の姿勢角推定誤差が大きい。従って、姿勢角推定フィルタ51における姿勢角推定誤差が大きい状態では、切換部53は目標中心位置Rを出力し、切換部54は目標中心角度Azを出力する。姿勢角推定フィルタ51における姿勢角推定誤差が十分に小さい状態で、切換部53は追尾対象距離Rtpを出力し、切換部54は追尾対象角度Aztpを出力する。
【0062】
図12は、本実施の形態におけるシミュレーション結果を示している。図12から、所望の追尾位置への追尾が実現できていることが分かる。このように、本実施の形態によれば、特許文献2のような複雑な処理を実行することなく、比較的に低信号処理負荷で、特定部位の追尾が可能となる。
【0063】
尚、本実施の形態は、特定部位追尾機能を3次元座標系に機能拡張することが可能である(図10B参照)。図10Bに示されるように、目標中心距離を目標距離R、目標中心角度を目標角度Az及びEl、レーダ座標系における目標中心を[Xc,Yc,Zc]、レーダ座標系における追尾位置を[Xtp,Ytp,Ztp]、目標座標系におけるオフセット量を[xoff’,yoff’,zoff’]、レーダ座標系におけるオフセット量を[xoff,yoff,zoff]、レーダ座標系における目標姿勢角をψ、θ、φ、とする。尚、レーダ座標系(X、Y、Z)をψ(Z軸まわり)、θ(Y軸まわり)、φ(X軸まわり)の回転順序で回転した座標系は、目標座標系(X’、Y’、Z’)をレーダ座標系の原点位置へ(各直交軸を回転させずに)平行移動した座標系である。このとき、目標距離算出部43によって目標距離Rを算出し、目標角度算出部44によって目標角度Az、Elを算出し、それらの算出結果を姿勢角推定フィルタ51に入力する。姿勢角推定フィルタ51において3次元座標系での追尾目標の運動方向及び目標姿勢角ψ、θ、φを算出する。そして、図10Bに示されている3次元座標系による計算式を用いることによって、追尾対象距離Rtp及び追尾対象角度Aztp、Eltpを算出することができる。
【0064】
尚、同一の目標に対して、複数の追尾対象位置が設定されてもよい。この場合、それぞれの追尾対象位置のオフセット量をプリセットしておき、外部装置等からの指示によっていずれか一つを選択すればよい。
【0065】
4.第4の実施の形態
本発明の第4の実施の形態では、上述の第3の実施の形態とは異なる方法で、特定部位の追尾が実現される。
【0066】
まず、図13を参照して、第4の実施の形態で用いる計算式を説明する。追尾目標の全長は、目標長Lmである。追尾目標の先頭から追尾対象位置までの距離は、オフセット距離Ltpである。このとき、追尾目標の先頭から追尾対象位置までのオフセット率γtpは、次の式(5)で表される。
【0067】
式(5):
γtp=Ltp/Lm
【0068】
式(5)を変形すると、次の式(6)が得られる。
【0069】
式(6):
Ltp=γtp×Lm
【0070】
図14は、第4の実施の形態に係るレーダ装置1の信号処理部40の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る信号処理部40は、第1の実施の形態における構成に加えて、目標長算出部60、姿勢角推定フィルタ61、追尾位置算出部62、切換部63及び切換部64を備えている。第1の実施の形態と重複する説明は、適宜省略される。
【0071】
目標長算出部60は、目標レンジビン集合TBGの幅を、目標長Lmとして算出する(図15参照)。
【0072】
姿勢角推定フィルタ61は、各種情報(目標距離算出部43によって算出される目標距離R、目標角度算出部44によって算出される目標角度Az、また必要に応じてレーダ装置以外のセンサ情報)に基づいて、追尾目標の運動方向を算出する。そして、姿勢角推定フィルタ61は、その運動方向を追尾目標の先頭方向とみなす。
【0073】
追尾位置算出部62は、まず、オフセット距離Ltpを算出する。具体的には、目標長Lmは、目標長算出部60によって算出されている。オフセット率γtpは、プリセットされている。それらパラメータと上述の式(6)を用いることによって、追尾位置算出部62は、オフセット距離Ltpを算出する。
【0074】
次に、追尾位置算出部62は、目標レンジビン集合TBGのうち先頭からオフセット距離Lpだけ離れた位置にある1つのレンジビンを、「追尾セル」として抽出する(図15参照)。ここで、追尾目標の先頭方向は、姿勢角フィルタ61によって得られている。もし、抽出したレンジビンのΣ信号の振幅が閾値レベルTH未満である場合は、そのレンジビンに最も近くΣ信号の振幅が閾値レベルTH以上であるレンジビンを「追尾セル」として抽出する。そして、追尾位置算出部62は、その追尾セルに対応する距離を、追尾対象距離Rtpとして算出する。更に、追尾位置算出部62は、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって、追尾セルに対応するΣ信号とΔ信号から算出される角度を追尾対象角度Aztpとして算出する。
【0075】
切換部63は、目標中心距離Rあるいは追尾対象距離Rtpのいずれか一方を選択して出力する。切換部64は、目標中心角度Azあるいは追尾対象角度Aztpのいずれか一方を選択して出力する。例えば、目標運動の情報は追尾開始後より得られる為、追尾開始直後のしばらくの期間は姿勢角推定フィルタ61の姿勢角推定誤差が大きい。従って、姿勢角推定フィルタ61における姿勢角推定誤差が大きい状態では、切換部63は目標中心位置Rを出力し、切換部64は目標中心角度Azを出力する。姿勢角推定フィルタ61における姿勢角推定誤差が十分に小さい状態で、切換部63は追尾対象距離Rtpを出力し、切換部64は追尾対象角度Aztpを出力する。
【0076】
本実施の形態によっても、特許文献2のような複雑な処理を実行することなく、比較的に低信号処理負荷で、特定部位の追尾が可能となる。
【0077】
尚、本実施の形態についても、第3の実施の形態と同様に、特定部位追尾機能を3次元座標系に機能拡張することが可能である。具体的には、目標距離算出部43によって目標距離Rを算出し、目標角度算出部44によって目標角度Az、Elを算出し、それらの算出結果を姿勢角推定フィルタ61に入力し、姿勢角推定フィルタ61において3次元座標系で追尾目標の運動方向及び追尾目標の先頭方向を推定し、追尾位置算出部62において、追尾対象角度Aztpの算出機能に加えて、抽出された「追尾セル」に対応するΣ信号と迎角算出用Δ信号から算出される角度を追尾対象角度Eltpとして算出する機能を付加することで実現可能である。
【0078】
尚、同一の目標に対して、複数の追尾対象位置が設定されてもよい。この場合、それぞれの追尾対象位置のオフセット率γtpをプリセットしておき、外部装置等からの指示によっていずれか一つを選択すればよい。
【0079】
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0080】
1 レーダ装置
10 アンテナ
20 送受信部
21 発振器
22 送信機
23 受信機
30 データ生成部
31 ビーム形成部
32 デジタイザ
40 信号処理部
41 ゲート処理部
42 目標検出部
43 目標距離算出部
44 目標角度算出部
45 フィルタ処理部
46 ゲート制御部
47 送受信制御部
48 ビーム制御部
51 姿勢角推定フィルタ
52 追尾位置算出部
53 切換部
54 切換部
60 目標長算出部
61 姿勢角推定フィルタ
62 追尾位置算出部
63 切換部
64 切換部
100 第1モード処理部
200 第2モード処理部
242 目標検出部
243 目標距離算出部
244 目標角度算出部
300 モード切換部
400 制御部
DA データ
RG 距離ゲート
TH 閾値レベル
TBG 目標レンジビン集合
R 目標距離
Az 目標角度
El 目標角度
SR 目標距離平滑値
EC 外部指令
Rtp 追尾対象距離
Aztp 追尾対象角度
Eltp 追尾対象角度
Xc レーダ座標系における目標中心のX座標値
Yc レーダ座標系における目標中心のY座標値
Zc レーダ座標系における目標中心のZ座標値
Xtp レーダ座標系における追尾位置のX座標値
Ytp レーダ座標系における追尾位置のY座標値
Ztp レーダ座標系における追尾位置のZ座標値
xoff’ 目標座標系におけるX座標オフセット量
yoff’ 目標座標系におけるY座標オフセット量
zoff’ 目標座標系におけるZ座標オフセット量
xoff レーダ座標系におけるX座標オフセット量
yoff レーダ座標系におけるY座標オフセット量
zoff レーダ座標系におけるZ座標オフセット量
φ レーダ座標系における目標姿勢角(ロール)
θ レーダ座標系における目標姿勢角(ピッチ)
ψ レーダ座標系における目標姿勢角(ヨー)
Lm 目標長
Ltp オフセット距離
γtp オフセット率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
追尾目標から受信した反射波に関するデータを、レンジビン毎に生成するデータ生成部と、
距離ゲート内において前記データの振幅が閾値レベル以上であるレンジビンの集合、あるいは、レンジビンの集合に前記振幅が前記閾値レベル未満のレンジビンがあるものの当該レンジビンの数や幅が規定を満足しており集合と認められるものを、前記追尾目標に対応する目標レンジビン集合として抽出する目標検出部と、
前記目標レンジビン集合に属する全レンジビンが示すそれぞれの距離の平均値を、前記追尾目標への距離である目標距離として算出する目標距離算出部と
を備える
レーダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
更に、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって各レンジビンに対応する角度を算出する機能を有する目標角度算出部を備え、
前記目標角度算出部は、前記目標レンジビン集合に属する全レンジビン、あるいは、前記振幅が前記閾値レベル以上であるレンジビン、に対応するそれぞれの角度の平均値を、前記追尾目標に対する角度である目標角度として算出する
レーダ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレーダ装置であって、
更に、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって各レンジビンに対応する角度を算出する機能を有する目標角度算出部を備え、
前記目標角度算出部は、前記算出された目標距離に最も近いレンジビン、あるいは、前記算出された目標距離に最も近いレンジビンの前記振幅が前記閾値レベル未満である場合は当該レンジビンに最も距離が近く前記振幅が前記閾値レベル以上であるレンジビン、に対応する角度を、前記追尾目標に対する角度である目標角度として算出する
レーダ装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のレーダ装置であって、
第1モード処理部と、
第2モード処理部と
第1モードの場合に前記第1モード処理部を活性化し前記第2モード処理部を非活性化し、第2モードの場合に前記第1モード処理部を非活性化し前記第2モード処理部を活性化するモード切換部と
を更に備え、
前記第1モード処理部は、
前記目標距離算出部である第1目標距離算出部と、
前記目標角度算出部である第1目標角度算出部と
を備え、
前記第2モード処理部は、
前記目標レンジビン集合から前記データの前記振幅が最大であるピークレンジビンを抽出し、前記ピークレンジビンが示す距離を前記目標距離として算出する第2目標距離算出部と、
振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって、前記ピークレンジビンに対応する角度を前記目標角度として算出する第2目標角度算出部と
を備える
レーダ装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のレーダ装置であって、
更に、追尾位置算出部を備え、
前記追尾目標の中心位置は目標中心であり、
前記目標中心への距離は目標中心距離であり、
前記目標中心に対する角度は目標中心角度であり、
前記追尾目標のうち前記目標中心から所定のオフセットだけ離れた位置は追尾位置であり、
前記追尾位置への距離は追尾対象距離であり、
前記追尾位置に対する角度は追尾対象角度であり、
前記追尾位置算出部は、前記目標距離及び前記目標角度のそれぞれを前記目標中心距離及び前記目標中心角度とみなし、前記目標距離、前記目標角度及び前記所定のオフセットに基づいて、前記追尾対象距離と前記追尾対象角度を算出する
レーダ装置。
【請求項6】
レーダ装置による目標位置算出方法であって、
追尾目標から受信した反射波に関するデータを、レンジビン毎に生成するステップと、
距離ゲート内において前記データの振幅が閾値レベル以上であるレンジビンの集合、あるいは、レンジビンの集合に前記振幅が前記閾値レベル未満のレンジビンがあるものの当該レンジビンの数や幅が規定を満足しており集合と認められるものを、前記追尾目標に対応する目標レンジビン集合として抽出するステップと、
前記目標レンジビン集合に属する全レンジビンが示すそれぞれの距離の平均値を、前記追尾目標への距離である目標距離として算出するステップと
を含む
目標位置算出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の目標位置算出方法であって、
更に、
前記目標レンジビン集合に属する全レンジビン、あるいは、前記振幅が前記閾値レベル以上であるレンジビン、に対応するそれぞれの角度の平均値を、前記追尾目標に対する角度である目標角度として算出するステップ
を含み、
各レンジビンに対応する角度は、振幅モノパルス方式あるいは位相モノパルス方式によって算出される
目標位置算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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