説明

レーダ装置

【課題】ドップラーを用いないことにより、パルス繰り返し周波数が低い場合に周波数分布が折返してブレード枚数が偶数か奇数かの判定が行えないことを解消した、回転翼機目標に関する種類識別のための特徴量を抽出することのできるレーダ装置を提供する。
【解決手段】受信信号にある第一閾値を設けてフラッシュを検出する第一閾値検出器1、第一閾値より低い第二閾値を設けてフラッシュを検出する第二閾値検出器2、第一閾値検出器と第二閾値検出器のフラッシュの検出周期を算出するフラッシュ周期判定器3、フラッシュ周期判定器で得られた各閾値に対応するフラッシュの周期を比較して第一閾値に関する周期が第二閾値に関する周期の二倍になっている場合にローターのブレードの枚数が奇数、両周期が等しい場合にはブレード枚数が偶数であると判断するブレード数偶奇判定器4、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転翼機目標の回転機構(以下ローター)とレーダ装置の間の相対位置関係の変化に基づく反射信号の変化に基き回転翼機目標を検出、分類するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図26は、下記の特許文献1に記載された従来のこの種のレーダ装置のブロック構成図である。図において、501は送信機、502は送受切換器、503は送受信アンテナ、504は受信機、505はA/D変換器、506はFFT手段、507は処理器、508は表示器である。
【0003】
次に図16を用いて従来の装置の内容を説明する。送信機501で発生された高周波パルスは送受切換器502を介して送受信アンテナ503に供給される。送受信アンテナ503は、供給された高周波パルスを放射する。
【0004】
送受信アンテナ503から放射された高周波パルスは目標で反射され、この反射された信号(エコー)は、送受信アンテナ503に入り、送受切換器502を介して受信機504で復調される。受信機504で復調された受信信号は、A/D変換器505でA/D変換され、以後ディジタル信号で取り扱われる。
【0005】
A/D変換された受信信号は、FFT手段506でFFT(Fast Fourier Transform)される。FFTの処理は以下の(1)式で与えられる。
【0006】
【数1】

【0007】
ここで回転翼機目標のローターの羽根(ブレード)の姿勢とレーダの位置関係と受信信号の関係について述べる。一般にブレードとレーダの観測方向が直交する時に、ブレードのレーダ断面積が大きくなる。よって、ヘリコプタを横から観測する場合のように、ローターの回転軸とレーダの観測方向が直交するような場合、ローターの回転角速度とローターに含まれるブレードの枚数に応じたある一定の周期で反射信号が大きな値になる。この現象は一般にフラッシュと呼ばれる。フラッシュ時のドップラー周波数はブレードがレーダに近づく場合には正の値に、レーダから遠ざかる場合には負の値になる。
【0008】
ここでは特に4点のFFTを考える。(1)式におけるA(n) (n=0,1,2,3)の値は処理器507に送られる。処理器507では、A(1)、A(3)の値を調べ、これらの値のいずれかが事前に設定した閾値を超えた場合にはフラッシュが検出されたとみなす。そしてA(1)とA(3)がほぼ等しい場合には、遠ざかるブレードと近づくブレードのフラッシュが同時に現れているのでこの時のブレードの枚数は偶数とみなされる。A(1)とA(3)が交互に閾値を超える場合には、遠ざかるブレードと近づくブレードのフラッシュが交互に現れているので、この場合はブレードの枚数は奇数とみなせる。
【0009】
処理器507ではこの性質を利用して、ブレード枚数を偶数か奇数か判定する。表示器508では結果を表示する。
【0010】
【特許文献1】特開平5−215843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような従来のレーダ装置では、パルス繰り返し周波数が低い場合に、周波数分布が折返して上記ブレード枚数が偶数か奇数かの判定が行えないという問題があった。又ローターの回転角速度とブレード枚数の積を知ることができないという問題があった。又ロータの回転角速度を知ることができないという問題があった。またロータブレードの枚数を知ることができないという問題があった。またロータブレードの長さを知ることができないという問題があった。又、回転機構を有する目標のうちの例えばプロペラ機とヘリコプタの類別を行えない問題があった。
【0012】
また、ブレードの回転角速度、枚数、ブレード長を知ることができないという問題があった。
【0013】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、回転翼機目標に関する種類識別のための上記各特徴量をそれぞれ抽出することのできるレーダ装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、ブレードの回転角速度、枚数、ブレード長等の上記情報量を抽出することのできるレーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係るレーダ装置は、複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、送信機で発生された送信パルスを目標に照射して、その散乱波を収集して受信機に送る送受信アンテナと、目標に対する見込み角が送受信アンテナとは異なる位置で目標の散乱波を収集して受信機に送る受信アンテナと、各受信機の出力信号において周期的な強い信号であるフラッシュを検出して、その発生時刻と発生時間間隔を出力するそれぞれのフラッシュ検出器と、各フラッシュ検出器の出力である、フラッシュの発生時刻の比較から、各フラッシュ検出器の出力間のフラッシュの発生時間差を得て、これと各アンテナからの目標の見込み角の差とから目標のローターの回転角速度を推定する角速度推定器と、角速度推定器の出力である角速度とフラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間間隔とから、ローターのブレード枚数を、ローターのブレード枚数が偶数の場合は2で、奇数の場合は1で割った値である基本ブレード枚数を推定する基本ブレード枚数推定器と、フラッシュ信号の周波数分布と角速度推定器の出力であるローターの回転角速度からブレードの長さを推定するブレード長推定器と、受信信号の周波数分布の時間変動からブレード枚数の偶数/奇数を判定するブレード枚数偶奇判定器と、基本ブレード枚数推定器の出力である基本ブレード枚数と、ブレード枚数偶奇判定器の出力であるブレード枚数の偶数/奇数判定結果から、ブレード枚数を推定するブレード枚数推定器と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、フラッシュ検出器が、受信機の出力である受信信号を閾値処理した後に近傍の値との比較から、ピークの位置を探索するピーク検出器と、全ピーク間の時間差を算出するピーク時間差算出器と、全ピーク間の時間差のうちの各ピーク間の時間差に対してそれぞれのピーク間の時間差が倍数になっているかどうかを判定して、その倍数の頻度が最も多いピーク間時間差をフラッシュの時間差として判定する倍数時間差算出器と、倍数時間差算出器で判定したフラッシュの発生時間差の判定結果とその時のピークの位置からフラッシュの発生時間を決定するフラッシュ特徴抽出器と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、ブレード長推定器が、フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号におけるフラッシュ近傍の信号を切り出す連続時間幅信号切出器と、各切り出された受信信号ごとにフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、角速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、ブレード枚数偶奇推定器が、受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、ドップラースペクトルの時間履歴において、正負両方で設定した周波数における信号の時間変化を抽出する設定正負周波数信号検出器と、設定正負周波数信号検出器の出力である、設定した正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、ブレード長推定器が、フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号におけるフラッシュ近傍の信号を切り出す連続時間幅信号切出器と、各切り出された受信信号ごとに時間領域でゼロ詰め処理を行うゼロ詰め器と、ゼロ詰め後の信号のフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、ブレード長推定器が、フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号をフラッシュの発生時間間隔の長さで切り出す最適時間幅信号切出器と、各切り出された受信信号ごとにフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、ブレード長推定器が、受信信号のフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、受信信号中に複数のフラッシュ信号が含まれることを前提として、その干渉の影響で受信信号の周波数特性が変動する影響を周波数領域での移動平均処理で軽減した後に周波数幅を抽出する干渉考慮周波数幅検定器と干渉考慮周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、ブレード枚数偶奇推定器が、受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、ドップラースペクトルの時間履歴において、正負の各領域で信号を積分して、正負の周波数における信号の時間変化を抽出する正負周波数信号積分器と、正負周波数信号積分器の出力である、正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、フラッシュ検出器が、受信機の出力である受信信号を閾値処理した後に近傍の値との比較から、ピークの位置を探索するピーク検出器と、全ピーク間の時間差を算出するピーク時間差算出器と、全ピーク間の時間差のうちの各ピーク間の時間差に対してそれぞれのピーク間の時間差が倍数になっているかどうかを判定して、その倍数の頻度が最も多いピーク間時間差をフラッシュの時間差として判定する倍数時間差算出器と、倍数時間差算出器で判定したフラッシュの発生時間差と発生時間に基づいて、各ピークがフラッシュであるかどうかを再検定し、フラッシュであると判定されなかったピークについては除去し、フラッシュであると判定されたピークについてのみ最小二乗処理を適用してピーク間距離とピーク位置を算出する不要ピーク除去器と、不要ピーク除去器からのピーク間距離とピーク位置からフラッシュの発生時間を決定するフラッシュ特徴抽出器と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、送信機で発生された送信パルスを目標に照射して、その散乱波を収集して受信機に送る送受信アンテナと、目標に対する見込み角が送受信アンテナとは異なる位置で目標の散乱波を収集して受信機に送る受信アンテナと、各受信機の出力信号において周期的な強い信号であるフラッシュを検出して、その発生時刻と発生時間間隔を出力するそれぞれのフラッシュ検出器と、各フラッシュ検出器の出力である、フラッシュの発生時刻の比較から、各フラッシュ検出器の出力間のフラッシュの発生時間差を得て、これと各アンテナからの目標の見込み角の差とから目標のローターの回転角速度を推定する角速度推定器と、角速度推定器の出力である角速度とフラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間間隔とから、ローターのブレード枚数を、ローターのブレード枚数が偶数の場合は2で、奇数の場合は1で割った値である基本ブレード枚数を推定する基本ブレード枚数推定器と、受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、ドップラースペクトルの時間履歴において、正負両方で設定した周波数における信号の時間変化を抽出する設定正負周波数信号検出器と、設定正負周波数信号検出器の出力である、設定した正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、正負ピーク間隔比較器で得られたブレードの正負判定結果と基本ブレード枚数推定器で得られた基本ブレード枚数からブレード枚数を推定するブレード枚数推定器と、STFT器の出力であるドップラースペクトルの時間履歴を各時間ドップラー周波数ごとに全時間に渡り積分して、その結果に閾値処理に基づく周波数幅推定処理を適用して周波数幅を推定するSTFT型周波数幅検定器と、この周波数幅と、角速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、ブレードの枚数、ブレード長等の上記情報量を抽出することのできるレーダ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置のブロック構成図である。図1において、従来のもとの同一もしくは相当部分は同一符号で示す。1は第一閾値検出器、2は第二閾値検出器、3はフラッシュ周期判定器、4はブレード数偶奇判定器である。また、図2は本実施の形態の内容を説明するための図である。
【0027】
次に図1、図2に従って動作を説明する。本実施の形態では、ブレードの形状の非対称性に基づくフラッシュの振幅変調を用いて回転翼機目標であるヘリコプタ目標の類別(種類識別)のための特徴量を抽出する。
【0028】
図2の(a)、(b)は3枚ブレードのロータを観測している模式図であり、(a)(b)いずれにおいても点線で囲った部分がレーダの観測方向と垂直になっていることからフラッシュが生じる。しかし、同図に示されるように、(a)(b)の両者では、フラッシュを生じるブレードのレーダに対する姿勢が180度異なる。よって、それぞれのフラッシュの値は異なる。
【0029】
従って受信信号では同図(c)に示されるように、強いフラッシュと弱いフラッシュが交互に現れるような振幅変調がかかる。この現象は、単に3枚のみならず、5枚、7枚・・・の奇数枚ブレードのロータで同様に現れる。
【0030】
これに対して、偶数枚ブレードのロータでは、通常(a)の状態のブレードと(b)の状態のブレードのフラッシュが同時に現れるために、(d)に示すように上記のような振幅変調は現れない。よって、以上の差異を利用してブレードの偶数奇数判定を行える。
【0031】
送信機501〜A/D変換器505の動作は従来技術と同一である。すなわち送信機501で発生された高周波パルスは送受切換器502を介して送受信アンテナ503に供給され、送受信アンテナ503は、供給された高周波パルスを放射する。送受信アンテナ503から放射された高周波パルスは目標で反射され、この反射されたエコー信号は、送受信アンテナ503に入り、送受切換器502を介して受信機504で復調される。受信機504で復調された受信信号は、A/D変換器505でA/D変換され、以後ディジタル信号で取り扱われる。
【0032】
A/D変換器505の出力信号s(t)に対して第一閾値検出器1では、適切な第一の閾値Th1を設定し、この閾値を越える時刻tm(m=1,2,3,・・・, s(tm)>Th1)を得る。次に第二閾値検出器2では、適切な第二の閾値Th2(Th1>Th2)を設定し、この閾値を越える時刻tn(n=1,2,3,・・・, s(tn)>Th2)を得る。
【0033】
フラッシュ周期判定器3ではこれら閾値を越えた時刻列tmから第一閾値における隣接フラッシュ間の時間差の平均値tmean1、時刻列tnから第二閾値における隣接フラッシュ間の時間差の平均値tmean2を得る。ブレード数偶奇判定器4ではtmean1とtmean2を比較し、tmean1=tmean2ならばブレード数を偶数枚、tmean1=2tmean2ならブレード数を奇数枚と判定する。
【0034】
結果は表示器508で表示する。ブレードが偶数枚/奇数枚のいずれであるかは、ヘリコプタ等の目標の種類を特定する上での有効な特徴量となり、さらにドップラーを用いていないので従来のレーダ装置で述べた折返しの問題を回避できる。
【0035】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2によるレーダ装置のブロック構成図である。図3において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。21はωN積決定手段である。その他のブロックは図1と同一である。
【0036】
次に、図3を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。送信機501〜ブレード数偶奇判定器4の処理は実施の形態1と同様である。
【0037】
本実施の形態では、ωN積決定手段21では、次の(2)式によりロータの角速度ωとブレード枚数Nの積ωNを得る。
【0038】
【数2】

【0039】
ただし、αはブレード数遇奇判定器4で得られた、ブレード数が偶数であるか奇数であるかの判定結果を基に、偶数の場合は2、奇数の場合は1と与えられる係数である。以上より、回転翼機目標のロータの角速度ωとブレード枚数Nの積ωNが得られたので、これを表示器508で表示する。
【0040】
ロータの角速度ωとブレード枚数Nの積ωNはヘリコプタ等の各目標に固有の特徴量の一つであり、ヘリコプタを特定する上での有効な特徴量になる。
【0041】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置のブロック構成図である。図4において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。5031は送受信アンテナ、5032は送受信アンテナ、31はフラッシュ時間差算出器、32は角速度算出器である。その他のブロックは図1と同一である。ここでは送受信アンテナ5031又は5032と送信機501〜第一閾値検出器1からなる送受信部分を2組設けている。
【0042】
また、図5は本実施の形態の内容を説明するための図である。図において、33は送受信アンテナ5031で観測した場合に、フラッシュを生じる時刻のブレード、34は送受信アンテナ5032で観測した場合に、フラッシュを生じる時刻のブレードを表す。
【0043】
次に図4、図5を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、図5の(a)に示す目標に対して見込み角が異なる2つの送受信アンテナ5031、5032を用いて、ロータの回転角速度を推定する。見込み角の差をφとすると、ブレード33と34の間の角度差θはφに等しい。よって、二つの系でフラッシュの発生する時間差をΔt12とすると、その角速度ωは次の(3)式で与えられる。
【0044】
【数3】

【0045】
送信機501から送受信アンテナ5031を介して第一閾値検出器1でフラッシュの検出を行う処理、送信機501から送受信アンテナ5032を介して第一閾値検出器1でフラッシュの検出を行う処理は実施の形態1と同一である。フラッシュ時間差算出器31では、これら二つの系それぞれで得られた図5の(b)に示す受信信号s11(t)、s22(t)を比較して、両者の間のフラッシュ発生の時間差ωt12を得る。角速度算出器32では(3)式を用いて角速度ωを算出し、結果を表示器508に表示する。
【0046】
ブレード(又はローター)の角速度ωは各目標ごとに固有の値を取るので、目標を類別する際の有用な特徴量となる。
【0047】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置のブロック構成図である。図6において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。41はバイスタ角速度算出器、42は受信アンテナである。その他のブロックは図4と同一である。
【0048】
また、図7は本実施の形態の内容を説明するための図である。43は送受信アンテナ503で観測した場合に、フラッシュを生じる時刻のブレード、44は受信アンテナ42で観測した場合に、フラッシュを生じる時刻のブレードを表す。
【0049】
次に図6、図7を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、見込み角をφだけ変えて設置された、一つの送受信アンテナ503と一つの受信アンテナ42で受信された受信信号に現れるフラッシュの時間差からブレードの回転角速度ωを推定する。
【0050】
送信機501から送受信アンテナ503を介して第一閾値検出器1までの処理は実施の形態3と同一である。また、受信アンテナ42〜第一閾値検出器1では、送受信アンテナ503から目標に照射して得られる反射信号を受信してディジタル信号に変換してフラッシュの検出を行う。
【0051】
後者の系はバイスタティック構成なので、両アンテナの見込み角の差φとブレード43、44の角度差θの関係はθ=φ/2で与えられる。よって実施の形態3と同様にフラッシュ時間差算出器31で得られるフラッシュの時間差をΔt12とするとローターの回転角速度ωは次の(4)式で与えられる。
【0052】
【数4】

【0053】
バイスタ角速度算出器41では(4)式を用いて角速度ωを算出し、結果を表示器508に表示する。
【0054】
ブレード(又はローター)の角速度ωは各目標ごとに固有の値を取るので、目標を類別する際の有用な特徴量となる。
【0055】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5によるレーダ装置のブロック構成図である。図8において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。51はブレード枚数算出器である。その他のブロックは図3、図4と同一である。
【0056】
次に図8を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、送信機501から送受信アンテナ5031を介してωN積決定手段21で目標のロータの回転角速度ωとブレード枚数Nの積ωNを算出する処理は実施の形態2と同一であり、送受信アンテナ5031および送受信アンテナ5032の両者を介して得られる2種類の受信信号を基に、フラッシュ時間差算出器31、角速度算出器32を介してブレードの回転角速度ωを算出する処理は実施の形態3と同一である。
【0057】
ブレード枚数算出器51ではωN積決定手段21で得られたωNの値を、角速度算出器32で得られたωで割ることにより、ブレード枚数Nを推定し、結果を表示器508に表示する。
【0058】
ブレードの枚数Nは各目標ごとに固有の値を取るので、目標を類別する際の有用な特徴量となる。
【0059】
なお、本実施の形態でωを得るために用いた実施の形態3と同一の構成部分の代りに実施の形態4の構成を用いてもよく、同様の効果が得られる。
【0060】
実施の形態6.
図9はこの発明の実施の形態6によるレーダ装置のブロック構成図である。図9において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。61はフーリエ変換器、62は周波数幅算出器、63はブレード長算出器である。その他のブロックは図8と同一である。図10は本実施の形態の内容を説明するための図である。
【0061】
次に図9、図10を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、角速度算出器32でローターの角速度ωを得るまでの処理、ブレード枚数算出器51でブレードの枚数Nを得るまでの処理は実施の形態5と同一である。
【0062】
ここではさらに、A/D変換器505で得られた受信信号s(t)にフーリエ変換器61でフーリエ変換を適用して、周波数スペクトルS(f)を得る。周波数幅算出器62では、フーリエ変換器61で得られた周波数スペクトルS(f)に図10の(b)に示すように閾値Tfを設けて、これを上回る値を示すドップラー周波数帯域幅Δfを得る。
【0063】
一般にラジアル速度Vで運動する目標を波長λのレーダで観測した場合のドップラー周波数は−2V/λで与えられる。図10の(a)に示すブレード長L(図では回転軸の反対側のブレードも含めて長さ2Lと示されている)のロータが回転する場合、最大ラジアル速度はLω、最小ラジアル速度は−Lωで与えられるからそのドップラー周波数幅Δfは次の(5)式で与えられる。
【0064】
【数5】

【0065】
即ち、ブレード長Lは次の(6)式で与えられる。
【0066】
【数6】

【0067】
ブレード長算出器63では(6)式を用いてブレード長Lを算出し、これをブレード枚数算出器51で得られたブレード枚数Nと共に表示器508に表示する。
ブレード長Lは各目標ごとに固有のものであり、目標を類別する際の有用な特徴量になる。
【0068】
実施の形態7.
図11はこの発明の実施の形態7によるレーダ装置のブロック構成図である。図11において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。71はRCS算出器を表す。その他のブロックは図9と同一である。図12は本実施の形態の内容を説明するための図である。
【0069】
次に図11、図12を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。図11はRCS算出器71を除いて図9と同一である。RCS算出器71では、各種目標のブレードのRCS値分布を算出して、典型的な目標の実寸法Lと実際に光っている部分L’(図12の(a)中のハッチング部分)の比β(=L/L')を得る。実施の形態6の処理によりL'を得た場合、ブレード長算出器63では実寸法LをL=βL'で得る。
【0070】
以上の処理によりローターのブレードの実寸法を精度よく推定できる。ブレード長は各目標ごとに固有のものであり、目標を類別する際の有用な特徴量になる。
【0071】
実施の形態8.
図13はこの発明の実施の形態8によるレーダ装置のブロック構成図である。図13において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。81は目標追尾器、82は速度算出器、83はヘリコプタ判定器である。
【0072】
次に図13を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、回転機構を有するプロペラ機やジェット機、ヘリコプタのうちの、速度の遅いヘリコプタを類別する方式について述べる。いずれの目標についても、ある一定の周期でフラッシュを生じる可能性がある。しかし、一般にヘリコプタ目標は遅いことから、仮にフラッシュが検出された場合でも、目標の速度がある一定の値より高ければヘリコプタ目標ではないとみなして棄却する。
【0073】
図13において、送信機501から第一閾値検出器1まででフラッシュを検出する処理は実施の形態1と同一である。本実施の形態では、A/D変換器505の出力である受信信号からレンジ、アジマス、エレベーションに関する情報を抽出し、これをもとに各時刻における目標の位置を追尾する処理を目標追尾器81で実施する。速度算出器82では、各時刻における目標の位置から目標の速度を算出する。
【0074】
ヘリコプタ判定器83では、第一閾値検出器1でフラッシュが検出された場合に、速度算出器82で得られた速度がある閾値VT以上であれば、ヘリコプタ以外の回転機構を有する目標と判定する。速度がある閾値以下であれば、ヘリコプタと判定する。またフラッシュを検出しな場合はそれ以外の目標と判定する。
【0075】
以上の構成をとることにより、回転機構を有する目標のうちのヘリコプタをそれ以外と類別できる利点がある。
【0076】
実施の形態9.
図14はこの発明の実施の形態9によるレーダ装置のブロック構成図である。図14において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。図において、201はフラッシュ検出器、202は角速度推定器、203は基本ブレード枚数推定器、204はブレード長推定器、205はブレード枚数偶奇推定器、206はブレード枚数推定器である。
【0077】
また図15は本実施の形態のフラッシュ検出器201の処理ブロック図である。図において、211はピーク検出器、212はピーク時間差算出器、213は倍数時間算出器、214はフラッシュ特徴抽出器である。
【0078】
また図16は本実施の形態のブレード長推定器204の処理ブロック図である。図において、241は連続時間幅信号切出器、242はフーリエ変換器、243は周波数信号積分器、244は周波数幅検定器、245はブレード長算出器である。
【0079】
また図17は本実施の形態のブレード枚数偶奇推定器205の処理ブロック図である。図において、251はSTFT器、252は設定正負周波数信号検出器、253は正負ピーク間隔比較器である。
【0080】
また図18は本実施の形態のジオメトリ(幾何学的説明図)である。さらに図19は本実施の形態の処理内容を説明するためのタイムチャートである。
【0081】
次に図14から図19を用いて、本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、図18に示すように、2機のレーダradar#1,radar#2のうちの一方(radar#1)を送受に、もう一方(radar#2)を受信に用いて、ヘリコプタ目標をモノスタティック/バイスタティックの同時観測し、得られた観測値を用いて、目標のロータの回転角速度ω、ブレード枚数N、ブレード長Lを推定する。
【0082】
radar#1の送信機501で発生した高周波パルスを送受切換器502、送受信アンテナ503を介して目標に照射させる処理は従来技術と同一である。また、目標で反射・回折された散乱・回折波の一部を送受信アンテナ503、送受信切換器502を介して受信機504で受信/検波する処理も従来技術と同一である。
【0083】
radar#2ではradar#1から目標に照射されて発生した散乱・回折波を受信アンテナ5032を介して受信機504で受信する。すなわち、以上の処理で同一目標の受信波を異なる位置で得ることができる。
【0084】
各レーダの受信機504で得られた受信信号はフラッシュ検出器201に送られる。
【0085】
次にフラッシュ検出器201の処理内容を説明する。フラッシュ検出器201には、強度に関する1次元の配列が入力される。強度に関する1次元の配列とはは本実施の形態においては、各時刻における受信信号強度を表す。
【0086】
フラッシュ検出器201では、まず、ピーク検出器211(図15参照)で、設定した閾値を越えて、なおかつある設定した近傍セル内で一番受信強度の高いセルをそれぞれ探索する。次にピーク時間差算出器212では、ピーク検出器211で得られた各ピーク間のセル差(ここでは、時間差)をそれぞれ算出する。
【0087】
ロータの回転角速度は、ある短い時間内では、一定であると考えられるので、フラッシュの発生間隔も一定となる。そこで、理想的には、検出された各ピーク間の発生時間差は、隣接するピーク間の時間差(=フラッシュの発生周期)の倍数になっているはずである。
【0088】
このような観点から、倍数時間差算出器213では、各ピーク間時間差ごとに、その倍数の頻度を算出し、その頻度を最大とするピーク間時間差を、フラッシュのピーク間時間差Δτとして設定する。
【0089】
フラッシュ特徴抽出器214では、このピーク間時間差Δτに関するピークの組の位置と、Δτの値に基づいて、各フラッシュの発生時刻を決定する。
【0090】
フラッシュ検出器201では上記Δτおよび各フラッシュの発生時刻を特徴量として出力する。radar#1及びradar#2の両者で得られた上記フラッシュのΔτと各フラッシュの発生時刻は角速度推定器202に送られる。
【0091】
角速度推定器202では、radar#2の受信信号におけるフラッシュの発生時刻からradar#2の受信信号におけるフラッシュの発生時刻を引いた時間差ΔTを算出する。
【0092】
図18のようなジオメトリの場合、radar#1の受信信号上で発生するフラッシュはブレード(blade)の角度φがπ/2、3π/2の場合に発生された反射信号である。radar#1の受信信号上で発生するフラッシュはブレードの角度φがπ/2+θ/2、3π/2+θ/2の場合に発生された反射信号である。すなわち、バイスタティックレーダにおけるアスペクト角差がθの場合には、ブレードの姿勢がモノスタティックレーダに比べてθ/2だけずれた角度でフラッシュが発生する。
【0093】
そこで、バイスタティック角θを事前に測定可能な既知の値として、ロータブレードの回転角速度ωは上記ΔTとθを用いて式(7)で与えられる。
【0094】
【数7】

【0095】
角速度推定器202では以上の処理により、観測目標のロータブレードの回転角速度ωを得る。
【0096】
次に基本ブレード枚数推定器203の処理内容について説明する。一般に一枚のブレードでは一周する間に2回フラッシュを発生する。よって、N枚のブレードを持つロータでは一周する間にM=2N回フラッシュを発生すると考えることができる。しかし、実際は奇数枚数ロータでは上記が成り立つものの、偶数枚ロータでは、その構造の対称性から、接近するロータと遠ざかるロータが同時にフラッシュを発生するため、1周する間にM=2N/2=N回しかフラッシュを発生しない。そこでkをNが奇数で1、Nが偶数で2となる値として定義し、ロータ1周当りのフラッシュ発生回数Mを次式で与える。
【0097】
【数8】

【0098】
さて、1周あたりM回フラッシュを発生させるロータの回転角速度をω、フラッシュの発生時間間隔をΔτとすると、これらの間には次式(9)の関係がある。
【0099】
【数9】

【0100】
よって式(3)(4)よりブレード枚数Nは次式(10)で与えられる。
【0101】
【数10】

【0102】
式(10)中のN0をブレードの基本枚数と呼ぶ。N0は次式(11)で与えられる。
【0103】
【数11】

【0104】
基本ブレード枚数推定器203では式(11)により基本ブレード枚数N0を得る。
【0105】
次にブレード枚数偶奇推定器205の処理内容について説明する。ブレード枚数偶奇推定器205では、ブレード枚数の偶数/奇数判定を行い、先に述べたkを得る。
【0106】
STFT器251(図17参照)では、radar#1の受信機504で得られた受信信号に短時間フーリエ変換(Short Time Fourier Transform:STFT)を適用して、受信信号のドップラースペクトルの時間変化を得る。ここで、受信信号のドップラー周波数の時間変化について考えると、回転によってレーダから遠ざかる方向に移動するブレードがフラッシュを発生した場合には、そのドップラー周波数は負の値になる。これに対して、レーダに近づく方向に移動するブレードがフラッシュを発生する場合にはそのドップラー周波数は正の値になる。
【0107】
ここでローターのブレード枚数が奇数の場合には、遠ざかるブレードと近づくブレードが交互にフラッシュを発生するのにたいして、偶数の場合には、遠ざかるブレードと近づくブレードが同時にフラッシュを発生する。
【0108】
すなわち、受信信号のドップラースペクトルの時間変化に関しては、Nが奇数の場合には図19の(c)に表れるように正負のドップラー周波数成分が交互に現れる。これに対して、Nが偶数の場合には、正負のドップラー周波数成分が同時に現れる。
【0109】
よって、正負どちらか一方(例えば正)のドップラー成分を基準に、次に同じドップラー成分が発生するまでの時間をΔτf1、符号の異なるドップラー成分が発生するまでの時間をΔτf2とすると、kは次式(12)で与えられる。
【0110】
【数12】

【0111】
設定正負周波数信号検出器252では、STFT器251で得られた受信信号のドップラースペクトルの時間変化において、正負それぞれの周波数で事前に設定した周波数における信号の時間変化を抽出する。
【0112】
これら抽出された正負それぞれのドップラー周波数の信号に対して、フラッシュ検出器201では、フラッシュの検出処理を行い、正負それぞれのドップラー周波数におけるピークの発生時刻を得る。
【0113】
正負ピーク間隔比較器253では、フラッシュ検出器201で得られた正負のピーク検出結果を比較して、Δτf1、Δτf2を算出し、この値を式(12)に適用させてkを得る。
【0114】
ブレード枚数推定器206では、基本ブレード枚数推定器203で得られた基本ブレード枚数N0および、ブレード枚数の偶数奇数判定結果kを用いて式(10)よりブレード枚数Nを算出する。
【0115】
次にブレード長推定器204の処理内容について説明する。長さLのブレードが角速度ωで回転している場合,遠ざかるブレードと近づくブレードのフラッシュを含むエコーのドップラー周波数幅ΔFは次式(13)で与えられる。
【0116】
【数13】

【0117】
ここでCは光速、Fcは搬送波周波数である。よって、ブレード長Lは次式(14)で与えられる。
【0118】
【数14】

【0119】
連続時間幅信号切出器241(図16参照)では、radar#1のフラッシュ検出器201で得られたフラッシュ近傍のデータ列を切り出す。フーリエ変換器242では各フラッシュごとに連続時間幅信号切出器241で切り出されたデータ列に対してフーリエ変換を適用する。
【0120】
フーリエ変換により得られたフラッシュの周波数特性は、レーダから遠ざかるブレードから発せられたフラッシュの場合には負のドップラー周波数が、レーダに近づくブレードから発せられたフラッシュの場合には正のドップラー周波数が得られる。よって、周波数信号積分器243では、各フラッシュs(s=1,2,・・・,S)ごとに得られたドップラー周波数に関する電力分布ps(f)を次式(15)で積分して、周波数分布psumを得る。
【0121】
【数15】

【0122】
このpsumには正負両者の受信信号が含まれている。さらに、積分の効果により雑音の影響を低減できる。
【0123】
周波数幅検定器244では、このpsumの周波数幅ΔFを閾値処理により得る。ブレード長算出器245では以上で得られたΔFを用いて式(14)によりブレード長を算出する。
【0124】
以上の処理を行うことにより、ヘリコプタ目標を特徴づける有用な特徴量であるロータの回転角速度ω、ロータのブレード枚数N、及びブレード長Lを得ることができる効果がある。
【0125】
さらに、フラッシュ検出器の処理内容を図15に示したブロックにすることで、フラッシュの発生時間やその発生間隔を精度良く推定できるようになり、各特徴量の推定精度が向上する効果がある。
【0126】
さらに、ブレード長推定器を図16に示すブロックにすることで、ブレード長を雑音の影響を低減して精度良く推定できる効果がある。
【0127】
さらに、ブレード枚数偶奇推定器を図17に示すブロックで実現することでブレードの正負判定を精度良く行える効果がある。
【0128】
実施の形態10.
図20は本実施の形態のブレード長推定器204の処理ブロック図である。図20において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。341はゼロ詰め器である。
【0129】
次に、図14、図16、図20を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。実施の形態9と本実施の形態10では、連続時間幅信号切出器241の後段にゼロ詰め器341を配した点のみが異なる。
【0130】
ゼロ詰め器341では連続時間幅信号切出器241の出力である各フラッシュ近傍の受信信号のゼロ詰め処理を行い、後段のフーリエ変換器242における周波数ステップ幅を短くする。よって、その後段の周波数幅検定器244で周波数幅を精度良く推定することができる。つまり、ブレード長の推定精度を向上させることができる。
【0131】
本実施の形態の処理を行うことで、実施の形態9と同様の効果を得れる他、上記のブレード長の推定精度を向上させる効果がある。
【0132】
実施の形態11.
図21は本実施の形態のブレード長推定器204の処理ブロックを示す図である。図において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。441は最適時間幅信号切出器である。
【0133】
次に図14、図16、図21を用いて本実施の形態の処理内容を示す。実施の形態9と本実施の形態とでは、連続時間幅信号切出器241を最適時間幅信号切出器441に置き換えた点が異なる。最適時間幅信号切出器441では、radar#1のフラッシュ検出器201で得られたフラッシュの発生時間間隔の幅で受信信号を切り出す。
【0134】
ここで切り出し時には1つのフラッシュが時間的に隣接する2つの切り出し信号にまたがないように、切り出し信号の中央付近にフラッシュが配置されるように切り出す。各切り出された受信信号列にはフラッシュが一つ入っているのでこれに実施の形態と同じ処理を適用する。
【0135】
切り出し幅が広すぎて、切り出し信号中にフラッシュ信号が2系列入っていた場合には、そのフラッシュ間の干渉で、周波数幅を測定するのが困難になる。又、切り出し幅が狭すぎると実施の形態10のようなゼロ詰めの処理を行わないと、周波数ステップ幅が大きくなるために周波数幅の推定精度、言い換えるとブレード長の推定精度が劣化する。
【0136】
本実施の形態の処理を行うことで、実施の形態9と同様の効果を得れる他、以上のブレード長の推定精度が劣化する問題を解決することができる。
【0137】
実施の形態12.
図22は本実施の形態のブレード長推定器204の処理ブロックを示す図である。図において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。541は干渉考慮周波数幅検定器である。
【0138】
次に図14、図16、図22を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、図14中のブレード長推定器204を図16ではなく図22のブロックで構成した点が実施の形態9と異なる。
【0139】
本実施の形態では図16で連続時間幅信号切出器241でフラッシュ近傍の信号を切り出す処理を省略して、受信信号を直接フーリエ変換器242でフーリエ変換する点が第一に異なる。よって、フーリエ変換後の信号においては各フラッシュ間の干渉の影響で周波数成分が変動する。
【0140】
干渉考慮周波数幅検定器541では、干渉の影響で周波数成分が変動する影響を周波数に関する移動平均処理で低減して周波数幅ΔFを推定する。
【0141】
本実施の形態の処理を用いることで、実施の形態9と同様の効果を得れる他、連続時間幅信号切出器の処理を不要とするので、構成が単純になる。また、長時間の信号を用いて周波数幅の推定を行うので周波数分解能が向上し、結果としてブレード長の推定精度が向上する。
【0142】
実施の形態13.
図23は本実施の形態のブレード枚数偶奇推定器205の処理ブロックである。図において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。352は正負周波数信号積分器である。
【0143】
次に、図14、図17、図23を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、実施の形態9と比較して、ブレード枚数偶奇推定器205における設定正負周波数信号検出器252が、正負周波数信号積分器352に替っている部分のみが異なる。
【0144】
STFT器251における出力信号の電力分布をp(h,f) (ここでhはヒット、fはドップラーセルで、h=1,2,・・・,H0, f=−N0/2,−N0/2+1,・・・,0,・・・, N0/2−2,N0/2−1と表せる)とする。
【0145】
正負周波数信号積分器352では、正のドップラー周波数成分Pp(h)、負のドップラー周波数成分Pm(h)を次式(16)、(17)で計算する。
【0146】
【数16】

【0147】
【数17】

【0148】
fsは直流成分を除去するための適当な定数である。以下フラッシュ検出器201で正負のドップラー成分のピーク検出を行い、正負ピーク間隔比較器253でピーク間隔の比較を行う処理は実施の形態9と同一である。
【0149】
本実施の形態の処理を実施することで、実施の形態9と同様の効果を得れるのみならず、正負両領域でのピークの検出を、それぞれの領域での信号を積分して得られた信号を用いて行うため、耐雑音性能が向上する。
【0150】
実施の形態14.
図24は本実施の形態におけるフラッシュ検出器201の処理ブロックである。図において、上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。311は不要ピーク除去器である。
【0151】
次に、図14、図15、図24を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。本実施の形態では、実施の形態9と比較して、フラッシュ検出器201のブロックでの倍数時間差算出器213の後段に不要ピーク除去器311を配した点が実施の形態9と異なる。
【0152】
実施の形態9で説明したように、倍数時間差算出器213では全ピーク間の距離をすべて求めて、各ピーク間の距離に対して、全ピーク間のそれぞれの距離が倍数になっている割合を算出して、その割合が大きいものをピーク間の距離として設定した。この際、雑音信号の影響でピークが誤検出された場合には、そのピークの影響で倍数の関係が崩れ、正しいピーク間距離の推定が困難となる。
【0153】
不要ピーク除去器311では、倍数時間差算出器213で倍数の比率が高かった場合に関して、そのピーク間隔とピークの位置から、全ピークに関して、その時の倍数の関係を満足するかどうかを判定し、判定の結果倍数の関係を満足しない点を不要ピークとして除去する。さらに、満足するピーク列に対して最小二乗法を適用して、ピーク間距離とピーク位置を算出する。
【0154】
上記の処理を行うことで、ピーク間の距離を精度良く推定できるので、実施の形態9の効果を得れるのに加えて、特徴量の推定精度が向上するという利点がある。
【0155】
実施の形態15.
図25は本実施の形態のレーダ装置のブロック構成図である。図において上記実施の形態と同一もしくは相当部分は同一符号で示す。400はSTFT型周波数幅推定器である。
【0156】
次に図25を用いて本実施の形態の処理内容を説明する。角速度推定器202で角速度を得るまでの処理、ブレード枚数推定器206でブレード枚数を得るまでの処理は実施の形態9と同様である。本実施の形態では実施の形態9でフーリエ変換器242を用いて得ていた目標信号の周波数分布をSTFT器251の出力である周波数スペクトルの時間履歴p(h,f)より得る。
【0157】
STFT型周波数幅推定器400では、次式(18)により周波数分布psum(f)を得る。
【0158】
【数18】

【0159】
得られたpsum(f)に対して閾値処理を行い、ΔFを推定する。以下ブレード長算出器245の処理は実施の形態9と同一である。
【0160】
本実施の形態の処理を用いることで、実施の形態9の効果に加えて、フーリエ変換器242を省くことができるので処理ブロックを簡素化できる効果がある。
【0161】
以上のようにこの発明によれば、複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、ブレードの回転によって受信信号に生じる大きさの異なる複数種のフラッシュのそれぞれの周期の関係、または異なる位置に設けられた複数のアンテナで受信したフラッシュの時間差に基づいて回転翼機目標の種類識別のための特徴量の抽出する手段を備えたことを特徴とするレーダ装置としたので、ドップラーを用いていないので従来のレーダ装置で述べた折返しの問題を回避した上で、ヘリコプタ等の目標の種類を特定する上での有効な特徴量を得ることができる。
【0162】
また、受信信号にある第一閾値を設けてフラッシュを検出する第一閾値検出器と、前記第一閾値より低い第二閾値を設けてフラッシュを検出する第二閾値検出器と、第一閾値検出器と第二閾値検出器のフラッシュの検出周期を算出するフラッシュ周期判定器と、フラッシュ周期判定器で得られた各閾値に対応するフラッシュの周期を比較して第一閾値に関する周期が第二閾値に関する周期の二倍になっている場合にローターのブレードの枚数が奇数、両周期が等しい場合にはブレード枚数が偶数であると判断するブレード数偶奇判定器と、を備えたので、ドップラーを用いていないので従来のレーダ装置で述べた折返しの問題を回避した上で、ブレードが偶数枚/奇数枚のいずれであるかを判定できる。
【0163】
また、前記フラッシュ周期判定器で得られた第一閾値に関するフラッシュ周期とブレード数偶奇判定器の出力を用いてローターの回転角速度とブレード枚数の積を算出するωN積決定手段を備えたので、目標を特定する上での有効な特徴量であるロータの角速度ωとブレード枚数Nの積ωNを判定することができる。
【0164】
また、目標に対する見込み角の異なる2つの送受信アンテナと、各送受信アンテナごとに受信信号にある第一閾値を設けてフラッシュを検出する第一閾値検出器と、各第一閾値検出器の出力を比較して各受信信号のフラッシュの出現時間差を測定するフラッシュ時間差算出器と、このフラッシュ時間差算出器の出力と二つの送受信アンテナの見込み角の差から目標のロータの回転角速度を推定する角速度算出器と、を備えたので、目標を特定する上での有効な特徴量であるブレードあるいはローターの角速度ωを判定することができる。
【0165】
また、一つの送受信アンテナと、このアンテナから放射され目標で反射された信号を見込み角の異なる位置で受信する受信アンテナと、各アンテナごとに受信信号にある第一閾値を設けてフラッシュを検出する第一閾値検出器と、各第一閾値検出器の出力を比較して各受信信号のフラッシュの出現時間差を測定するフラッシュ時間差算出器と、このフラッシュ時間差算出器の出力と二つの送受信アンテナの見込み角の差から目標のロータの回転角速度を推定するバイスタ角速度算出器と、を備えたので、目標を特定する上での有効な特徴量であるブレードあるいはローターの角速度ωを判定することができる。
【0166】
また、上記レーダ装置を融合させて構成し、さらにωN積決定手段の出力である目標の角速度とブレード枚数の積と、角速度算出器で得られた目標の角速度から目標のブレード枚数を算出するブレード枚数算出器を備えたので、目標を特定する上での有効な特徴量であるブレードの枚数Nを判定することができる。
【0167】
また、受信信号をフーリエ変換するフーリエ変換器と、このフーリエ変換器の出力結果から受信信号の周波数幅を測定する周波数幅算出器と、角速度算出器の出力結果である目標の角速度と前記周波数幅算出器で得られた周波数幅から目標のブレード長を算出するブレード長算出器と、を備えたので、目標を特定する上での有効な特徴量であるブレード長Lを判定することができる。
【0168】
また、事前に一般的なロータのレーダ断面積分布を求め、これからブレード上で強い反射を示す部分の長さと真の長さの比を算出するRCS算出器をさらに備え、ブレード長算出器がこのRCS算出器の結果を基にブレードの真の長さを算出するようにしたので、ローターのブレードの実寸法を精度よく推定できる。
【0169】
また、ローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、受信信号にある第一閾値を設けてフラッシュを検出する第一閾値検出器と、受信信号を基に目標の追尾を行う目標追尾器と、目標追尾器の出力である追尾結果を基に目標の速度を算出する速度算出器と、前記第一閾値検出器の出力であるフラッシュの検出結果と前記速度算出器の出力である速度を基に、フラッシュを検出し速度がある閾値以下ならヘリコプタ、フラッシュを検出して速度がある閾値以上ならヘリコプタ以外のローターを有する目標、フラッシュを検出しない場合はそれ以外の目標と判定するヘリコプタ判定器と、を備えたので、回転機構を有する目標のうちのヘリコプタをそれ以外と類別できる利点がある。
【0170】
また、複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、送信機で発生された送信パルスを目標に照射して、その散乱波を収集して受信機に送る送受信アンテナと、前記目標の散乱波を収集して受信機に送る受信アンテナと、各受信機の出力信号において周期的な強い信号であるフラッシュを検出して、その発生時刻と発生時間間隔を出力するそれぞれのフラッシュ検出器と、各フラッシュ検出器の出力である、フラッシュの発生時刻の比較から、各フラッシュ検出器の出力間のフラッシュの発生時間差を得て、これと各アンテナからの目標の見込み角の差とから目標のロータの回転角速度を推定する角速度推定器と、角速度推定器の出力である角速度とフラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間間隔とから、ロータのブレード枚数を、ロータのブレード枚数が偶数の場合は2で、奇数の場合は1で割った値である基本ブレード枚数を推定する基本ブレード枚数推定器と、フラッシュ信号の周波数分布と角速度推定器の出力であるロータの回転角速度からブレードの長さを推定するブレード長推定器と、受信信号の周波数分布の時間変動からブレード枚数の偶数/奇数を判定するブレード枚数偶奇判定器と、基本ブレード枚数推定器の出力である基本ブレード枚数と、ブレード枚数偶奇判定器の出力であるブレード枚数の偶数/奇数判定結果から、ブレード枚数を推定するブレード枚数推定器と、を備えたことを特徴とするレーダ装置としたので、ヘリコプタ目標を特徴づける有用な特徴量であるロータの回転角速度ω、ロータのブレード枚数N、及びブレード長Lを得ることができる効果がある。
【0171】
また、フラッシュ検出器を、受信機の出力である受信信号を閾値処理した後に近傍の値との比較から、ピークの位置を探索するピーク検出器と、全ピーク間の時間差を算出するピーク時間差算出器と、前記全ピーク間の時間差のうちの各ピーク間の時間差に対してそれぞれのピーク間の時間差が倍数になっているかどうかを判定して、その倍数の頻度が最も多いピーク間時間差をフラッシュの時間差として判定する倍数時間差算出器と、倍数時間差算出器で判定したフラッシュの発生時間差の判定結果とその時のピークの位置からフラッシュの発生時間を決定するフラッシュ特徴抽出抽出器と、で構成するようにしたので、フラッシュの発生時間やその発生間隔を精度良く推定できるようになり、各特徴量の推定精度が向上する効果がある。
【0172】
また、ブレード長推定器を、フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号におけるフラッシュ近傍の信号を切り出す連続時間幅信号切出器と、前記各切り出された受信信号ごとにフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、角速度推定器の出力である目標のロータの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、で構成したので、ブレード長を雑音の影響を低減して精度良く推定できる効果がある。
【0173】
また、ブレード枚数偶奇推定器を、受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、ドップラースペクトルの時間履歴において、正負両方で設定した周波数における信号の時間変化を抽出する設定正負周波数信号検出器と、設定正負周波数信号検出器の出力である、設定した正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、で構成したので、ブレードの正負判定を精度良く行える効果がある。
【0174】
また、ブレード長推定器を、フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号におけるフラッシュ近傍の信号を切り出す連続時間幅信号切出器と、前記各切り出された受信信号ごとに時間領域でゼロ詰め処理を行うゼロ詰め器と、前記ゼロ詰め後の信号のフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のロータの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、で構成したので、上記効果に加えて、ブレード長の推定精度を向上させる効果がある。
【0175】
ブレード長推定器を、フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号をフラッシュの発生時間間隔の長さで切り出す最適時間幅信号切出器と、前記各切り出された受信信号ごとにフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のロータの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、で構成したので、上記効果に加えて、ブレード長の推定精度が劣化する問題を解決することができる。
【0176】
また、ブレード長推定器を、受信信号のフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、受信信号中に複数のフラッシュ信号が含まれることを前提として、その干渉の影響で受信信号の周波数特性が変動する影響を周波数領域での移動平均処理で軽減した後に周波数幅を抽出する干渉考慮周波数幅検定器と、干渉考慮周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のロータの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、で構成したので、上記効果に加えて連続時間幅信号切出器の処理を不要とするので、構成が単純になる。また、長時間の信号を用いて周波数幅の推定を行うので周波数分解能が向上し、結果としてブレード長の推定精度が向上する。
【0177】
また、ブレード枚数偶奇推定器を、受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、ドップラースペクトルの時間履歴において、正負の各領域で信号を積分して、正負の周波数における信号の時間変化を抽出する正負周波数信号積分器と、正負周波数信号積分器の出力である、正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、で構成したので、上記効果に加えて、正負両領域でのピークの検出を、それぞれの領域での信号を積分して得られた信号を用いて行うため、耐雑音性能が向上する。
【0178】
また、フラッシュ検出器を、受信機の出力である受信信号を閾値処理した後に近傍の値との比較から、ピークの位置を探索するピーク検出器と、全ピーク間の時間差を算出するピーク時間差算出器と、前記全ピーク間の時間差のうちの各ピーク間の時間差に対してそれぞれのピーク間の時間差が倍数になっているかどうかを判定して、その倍数の頻度が最も多いピーク間時間差をフラッシュの時間差として判定する倍数時間差算出器と、倍数時間差算出器で判定したフラッシュの発生時間差と発生時間に基づいて、各ピークがフラッシュであるかどうかを再検定し、フラッシュであると判定されなかったピークについては除去し、フラッシュであると判定されたピークについてのみ最小二乗処理を適用してピーク間距離とピーク位置を算出する不要ピーク除去器と、不要ピーク除去器からのピーク間距離とピーク位置からフラッシュの発生時間を決定するフラッシュ特徴抽出抽出器と、で構成したので、上記効果に加えて、ピーク間の距離を精度良く推定できるので、特徴量の推定精度が向上するという利点がある。
【0179】
また、複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、送信機で発生された送信パルスを目標に照射して、その散乱波を収集して受信機に送る送受信アンテナと、前記目標の散乱波を収集して受信機に送る受信アンテナと、各受信機の出力信号において周期的な強い信号であるフラッシュを検出して、その発生時刻と発生時間間隔を出力するそれぞれのフラッシュ検出器と、各フラッシュ検出器の出力である、フラッシュの発生時刻の比較から、各フラッシュ検出器の出力間のフラッシュの発生時間差を得て、これと各アンテナからの目標の見込み角の差とから目標のロータの回転角速度を推定する角速度推定器と、角速度推定器の出力である角速度とフラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間間隔とから、ロータのブレード枚数を、ロータのブレード枚数が偶数の場合は2で、奇数の場合は1で割った値である基本ブレード枚数を推定する基本ブレード枚数推定器と、受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、ドップラースペクトルの時間履歴において、正負両方で設定した周波数における信号の時間変化を抽出する設定正負周波数信号検出器と、設定正負周波数信号検出器の出力である、設定した正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、正負ピーク間隔比較器で得られたブレードの正負判定結果と基本ブレード枚数推定器で得られた基本ブレード枚数からブレード枚数を推定するブレード枚数推定器と、STFT器の出力であるドップラースペクトルの時間履歴を各時間ドップラー周波数ごとに全時間に渡り積分して、その結果に閾値処理に基づく周波数幅推定処理を適用して周波数幅を推定するSTFT型周波数幅検定器と、この周波数幅と、角速度推定器の出力である目標のロータの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、で構成したので、上記効果に加えて、フーリエ変換器を省くことができるので処理ブロックを簡素化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1の内容を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3の内容を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態4によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図7】この発明の実施の形態4の内容を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態5によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図9】この発明の実施の形態6によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図10】この発明の実施の形態6の内容を説明するための図である。
【図11】この発明の実施の形態7によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図12】この発明の実施の形態7の内容を説明するための図である。
【図13】この発明の実施の形態8によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図14】この発明の実施の形態9によるレーダ装置のブロック構成図である。
【図15】この発明の実施の形態9のフラッシュ検出器の処理ブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態9のブレード長推定器の処理ブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態9のブレード枚数偶奇推定器の処理ブロック図である。
【図18】この発明を説明するたのジオメトリ(幾何学的説明図)である。
【図19】この発明の処理内容を説明するためのタイムチャートである。
【図20】この発明の実施の形態10のブレード長推定器の処理ブロック図である。
【図21】この発明の実施の形態11のブレード長推定器の処理ブロックを示す図である。
【図22】この発明の実施の形態12のブレード長推定器の処理ブロックを示す図である。
【図23】この発明の実施の形態13のブレード枚数偶奇推定器の処理ブロックである。
【図24】この発明の実施の形態14のフラッシュ検出器の処理ブロックである。
【図25】この発明の実施の形態15のレーダ装置のブロック構成図である。
【図26】従来のこの種のレーダ装置のブロック構成図である。
【符号の説明】
【0181】
1 第一閾値検出器、2 第二閾値検出器、3 フラッシュ周期判定器、4 ブレード数偶奇判定器、21 ωN積決定手段、31 フラッシュ時間差算出器、32 角速度算出器、41 バイスタ角速度算出器、42 受信アンテナ、51 ブレード枚数算出器、61 フーリエ変換器、62 周波数幅算出器、63 ブレード長算出器、71 RCS算出器、81 目標追尾器、82 速度算出器、83 ヘリコプタ判定器、201 フラッシュ検出器、202 角速度推定器、203 基本ブレード枚数推定器、204 ブレード長推定器、205 ブレード枚数偶奇推定器、206 ブレード枚数推定器、211 ピーク検出器、212 ピーク時間差算出器、213 倍数時間算出器、214 フラッシュ特徴抽出器、241 連続時間幅信号切出器、242 フーリエ変換器、243 周波数信号積分器、244 周波数幅検定器、245 ブレード長算出器、251 STFT器、252 設定正負周波数信号検出器、253 正負ピーク間隔比較器、311 不要ピーク除去器、341 ゼロ詰め器、352 正負周波数信号積分器、400 STFT型周波数幅推定器、441 最適時間幅信号切出器、501 送信機、502 送受切換器、503,5031,5032 送受信アンテナ、504 受信機、505 A/D変換器、508 表示器、541 干渉考慮周波数幅検定器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、
送信機で発生された送信パルスを目標に照射して、その散乱波を収集して受信機に送る送受信アンテナと、
目標に対する見込み角が前記送受信アンテナとは異なる位置で前記目標の散乱波を収集して受信機に送る受信アンテナと、
各受信機の出力信号において周期的な強い信号であるフラッシュを検出して、その発生時刻と発生時間間隔を出力するそれぞれのフラッシュ検出器と、
各フラッシュ検出器の出力である、フラッシュの発生時刻の比較から、各フラッシュ検出器の出力間のフラッシュの発生時間差を得て、これと各アンテナからの目標の見込み角の差とから目標のローターの回転角速度を推定する角速度推定器と、
角速度推定器の出力である角速度とフラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間間隔とから、ローターのブレード枚数を、ローターのブレード枚数が偶数の場合は2で、奇数の場合は1で割った値である基本ブレード枚数を推定する基本ブレード枚数推定器と、
フラッシュ信号の周波数分布と角速度推定器の出力であるローターの回転角速度からブレードの長さを推定するブレード長推定器と、
受信信号の周波数分布の時間変動からブレード枚数の偶数/奇数を判定するブレード枚数偶奇判定器と、
基本ブレード枚数推定器の出力である基本ブレード枚数と、ブレード枚数偶奇判定器の出力であるブレード枚数の偶数/奇数判定結果から、ブレード枚数を推定するブレード枚数推定器と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
フラッシュ検出器が、
受信機の出力である受信信号を閾値処理した後に近傍の値との比較から、ピークの位置を探索するピーク検出器と、
全ピーク間の時間差を算出するピーク時間差算出器と、
前記全ピーク間の時間差のうちの各ピーク間の時間差に対してそれぞれのピーク間の時間差が倍数になっているかどうかを判定して、その倍数の頻度が最も多いピーク間時間差をフラッシュの時間差として判定する倍数時間差算出器と、
倍数時間差算出器で判定したフラッシュの発生時間差の判定結果とその時のピークの位置からフラッシュの発生時間を決定するフラッシュ特徴抽出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
ブレード長推定器が、
フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号におけるフラッシュ近傍の信号を切り出す連続時間幅信号切出器と、
前記各切り出された受信信号ごとにフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、
フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、
周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、
周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、角速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項4】
ブレード枚数偶奇推定器が、
受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、
ドップラースペクトルの時間履歴において、正負両方で設定した周波数における信号の時間変化を抽出する設定正負周波数信号検出器と、
設定正負周波数信号検出器の出力である、設定した正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、
フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項5】
ブレード長推定器が、
フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号におけるフラッシュ近傍の信号を切り出す連続時間幅信号切出器と、
前記各切り出された受信信号ごとに時間領域でゼロ詰め処理を行うゼロ詰め器と、
前記ゼロ詰め後の信号のフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、
フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、
周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、
周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項6】
ブレード長推定器が、
フラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間をもとに、受信信号をフラッシュの発生時間間隔の長さで切り出す最適時間幅信号切出器と、
前記各切り出された受信信号ごとにフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、
フーリエ変換器の出力である各フラッシュのドップラースペクトルを積分する周波数信号積分器と、
周波数信号積分器の出力である受信信号のドップラースペクトルに閾値処理を適用し、その周波数幅を推定する周波数幅検定器と、
周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項7】
ブレード長推定器が、
受信信号のフーリエ変換を行うフーリエ変換器と、
受信信号中に複数のフラッシュ信号が含まれることを前提として、その干渉の影響で受信信号の周波数特性が変動する影響を周波数領域での移動平均処理で軽減した後に周波数幅を抽出する干渉考慮周波数幅検定器と
干渉考慮周波数幅検定器の出力である受信信号の周波数幅と、各速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項8】
ブレード枚数偶奇推定器が、
受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、
ドップラースペクトルの時間履歴において、正負の各領域で信号を積分して、正負の周波数における信号の時間変化を抽出する正負周波数信号積分器と、
正負周波数信号積分器の出力である、正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、
フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項9】
フラッシュ検出器が、
受信機の出力である受信信号を閾値処理した後に近傍の値との比較から、ピークの位置を探索するピーク検出器と、
全ピーク間の時間差を算出するピーク時間差算出器と、
前記全ピーク間の時間差のうちの各ピーク間の時間差に対してそれぞれのピーク間の時間差が倍数になっているかどうかを判定して、その倍数の頻度が最も多いピーク間時間差をフラッシュの時間差として判定する倍数時間差算出器と、
倍数時間差算出器で判定したフラッシュの発生時間差と発生時間に基づいて、各ピークがフラッシュであるかどうかを再検定し、フラッシュであると判定されなかったピークについては除去し、フラッシュであると判定されたピークについてのみ最小二乗処理を適用してピーク間距離とピーク位置を算出する不要ピーク除去器と、
不要ピーク除去器からのピーク間距離とピーク位置からフラッシュの発生時間を決定するフラッシュ特徴抽出器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項10】
複数のブレードを有するローターを搭載した目標に対して電波を送信し該目標からの反射波を受信して目標の種類識別のための特徴量を得るレーダ装置であって、
送信機で発生された送信パルスを目標に照射して、その散乱波を収集して受信機に送る送受信アンテナと、
目標に対する見込み角が前記送受信アンテナとは異なる位置で前記目標の散乱波を収集して受信機に送る受信アンテナと、
各受信機の出力信号において周期的な強い信号であるフラッシュを検出して、その発生時刻と発生時間間隔を出力するそれぞれのフラッシュ検出器と、
各フラッシュ検出器の出力である、フラッシュの発生時刻の比較から、各フラッシュ検出器の出力間のフラッシュの発生時間差を得て、これと各アンテナからの目標の見込み角の差とから目標のローターの回転角速度を推定する角速度推定器と、
角速度推定器の出力である角速度とフラッシュ検出器の出力であるフラッシュの発生時間間隔とから、ローターのブレード枚数を、ローターのブレード枚数が偶数の場合は2で、奇数の場合は1で割った値である基本ブレード枚数を推定する基本ブレード枚数推定器と、
受信信号に短時間フーリエ変換処理を適用してドップラースペクトルの時間履歴を算出するSTFT器と、
ドップラースペクトルの時間履歴において、正負両方で設定した周波数における信号の時間変化を抽出する設定正負周波数信号検出器と、
設定正負周波数信号検出器の出力である、設定した正負の周波数での信号の時間変化から周期的な強いピークの発生時間と時間差をそれぞれ探索するフラッシュ検出器と、
フラッシュ検出器で得られた正負それぞれのピークの発生時間と時間差から、正負のピークの発生タイミングを判断し、正負のピークが同時に現れる場合には偶数、交互に現れる場合には奇数とブレード枚数の偶数奇数判定を行う正負ピーク間隔比較器と、
正負ピーク間隔比較器で得られたブレードの正負判定結果と基本ブレード枚数推定器で得られた基本ブレード枚数からブレード枚数を推定するブレード枚数推定器と、
STFT器の出力であるドップラースペクトルの時間履歴を各時間ドップラー周波数ごとに全時間に渡り積分して、その結果に閾値処理に基づく周波数幅推定処理を適用して周波数幅を推定するSTFT型周波数幅検定器と、
この周波数幅と、角速度推定器の出力である目標のローターの回転角速度の推定結果からブレード長を推定するブレード長算出器と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−330009(P2006−330009A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251156(P2006−251156)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【分割の表示】特願2001−141677(P2001−141677)の分割
【原出願日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】