説明

ローカル防災無線通信システム及び方法

【課題】災害からの被害を最小限に押さえるため、被災地の住民があらゆる通信媒体を通じて即時に詳細な情報を収集でき、周辺地域から被災地への通話を規制する。
【解決手段】
本発明のローカル無線通信システムは防災無線システムから災害情報と第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する。受信された信号が第一制御情報を含んでいる場合、ガス安全装置にガス遮断信号を供給し、屋内に設置された監視手段を用い屋内状況を監視し、該屋内状況を通信網を介し携帯端末に送信し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は災害発生時の情報を提供する無線信号による遠隔制御防災技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防災無線システムは地震や火災などの災害発生時において、災害に関する音声情報を防災無線により一斉放送し、これを屋外拡声装置が受信し屋外にいる地域住民に知らせている。また、災害に関する文字情報を防災無線により一斉放送し、これを個別受信機が受信し屋内にいる住民に知らせている。また、火災警報装置やガス安全装置などのホームセキュリティシステムが設置されている住居の場合、受信した災害情報によりこれらの装置が起動する。本発明に関連する従来技術として特許文献1及び2をあげることができる。
【特許文献1】特開2001−211441
【特許文献2】特開2004−228884
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
災害状況を知らされた被災者が次にとる行動が危険回避に繋がるため、被災者にとってあらゆる通信媒体を通じて即時に詳細な情報を収集できることが望まれる。従って、従来の防災無線システムは上記の点に関し不十分であり、改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の観点において、ローカル無線通信システムは防災無線システムから第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する無線受信機能と、前記第一制御情報が含まれている場合、ガス安全装置にガス遮断信号を供給し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する信号処理機能とを具備することを特徴とする。
【0005】
本発明の第二の観点において、ローカル無線通信システムは防災無線システムから第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する無線受信機能と、前記第一制御情報が含まれている場合、屋内に設置された監視手段を用い屋内状況を監視し、該屋内状況を通信網を介し携帯端末に送信し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する信号処理機能とを具備することを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明の好適実施形態のローカル防災無線システムは、前記エリア別非常時無線信号がさらに災害情報を含み、前記信号処理機能は該災害情報をラジオ受信機またはテレビ受像機を用い再生することを特徴とする。また、前記テレビ受像機がインターネット対応である場合、前記信号処理機能は該受像機を介しインターネットのURLによりインターネットサイトから災害の詳細情報を取得し、該受像機がインターネット対応でない場合、前記信号処理機能はインターネットのURLにより直接インターネットサイトから災害の詳細情報を取得し、取得した詳細情報を該受像機で再生することを特徴とする。
【0007】
本発明の第三の観点において、ローカル無線通信方法は防災無線システムから第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する第一の処理と、前記第一制御情報が含まれている場合、ガス安全装置にガス遮断信号を供給し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する第二の処理から成ることを特徴とする。
【0008】
本発明の第四の観点において、ローカル無線通信方法は防災無線システムからと第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する第一の処理と、前記第一制御情報が含まれている場合、屋内に設置された監視手段を用い屋内状況を監視し、該屋内状況を通信網を介し携帯端末に送信し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する第二の処理から成ることを特徴とするローカル防災無線通信方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、将来オールIP化によるホーム通信ネットワークが普及するにともない、防災情報端末として核となる戸別受信機を起点に被災者のための情報提供と被災者の安否連絡を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の防災無線システムに連動するローカル(ホーム)無線通信システムを示す。図1において、本発明のローカル無線通信システム5は防災無線システムからエリア別災害情報を受信する家庭用(ホーム)無線通信システムとして例示されている。該防災無線システムは防災システム1と、該防災システムと連動する消防システム2と,防災システム1と消防システム2から災害情報を受信する防災システム操作卓3と、該操作卓からエリア別非常時信号を受信し、これを被害地域にエリア別非常時無線信号として放送する複数の無線送信局4から構成される。各無線送信局4から送信されるエリア別非常時無線信号は被災地の災害状況を伝える音声情報と文字情報から成る災害情報、インターネットの災害サイトのURL(Uniform Resource Locator)を含む。
【0011】
さらに、エリア別非常時無線信号は、当該地域が被災地の場合、上記の災害情報と、家庭内のガス安全装置103と火災報知器104を強制起動するための第一制御信号を含み、当該地域が被災地の周辺である場合、前記災害情報のほかに被災地への通話を規制する第二制御信号(発信規制信号)を含む。
【0012】
各防災無線送信局4がカバーする地域内の各家庭に前記ローカル無線通信システムが設けられる。ローカル無線通信システム5は戸別受信機102を有しアンテナ101を介し無線送信局4からのエリア別災害情報を受信する。戸別受信機102はRFID(Radio Frequency Identification)、携帯電話モデム、無線LANモデム、メールサーバーを内蔵し、ガス安全装置103,火災報知機104,TV受像機105,ラジオ受信機106、固定電話107,携帯電話108に接続される。
【0013】
戸別受信機102は無線受信機能201,信号処理機能202と有線通信機能203から成る。無線受信機能201は当該地域の無線送信局4から無線周波数帯域の災害情報をアンテナ101を介し受信し、これを基本周波数帯域の信号に変換し、信号処理機能202に供給する。信号処理機能202は供給された入力信号を分析し、含まれている情報を検出し、対応する出力先に供給する。当該地域が被災地の場合、信号処理機能202は被災地の状況を示す災害の音声情報と文字情報をテレビ受像器105に災害の音声情報をラジオ受信機に供給し、第一制御信号をガス安全装置103と火災報知器104に供給し、これらの機器を起動する。火災報知器104は温度センサを含み、屋内の状況(温度)を監視する。当該地域が被災地の周辺である場合、信号処理機能202は前記被災地の状況を示す災害の音声情報と文字情報をテレビ受像器105に災害の音声情報をラジオ受信機に供給し、第二制御信号(発信制御信号)を固定電話107と屋内におかれた携帯電話108に供給する。
【0014】
有線通信機能203は信号処理機能202と、テレビ受像機105と,固定電話107に接続され、通信網6との間で相互のラインインターフェースとして動作する。
【0015】
図2はローカル無線通信システム5の動作の詳細を示す。災害が発生すると、最寄りの防災無線送信局4から非常時無線信号が到来し、アンテナ101で受信され、無線受信機能201により基本周波数領域に変換され、信号処理機能202に入力され、ここで含まれている情報が個別に抽出される。
【0016】
当該地域が被災地の場合、信号処理機能202は第一制御信号をガス安全装置103と火災報知器104に供給し、これらの機器を起動する。ガス安全装置103はガス調理器へのガスの供給を停止し、火災報知器104は警報音を発生する。さらに、火災報知器104の温度センサは屋内の温度を監視し、その結果を信号処理機能202に供給する。信号処理機能202は携帯電話108の現在の設置場所が屋内か屋外かを判定し、屋外であれば通信網6を介し温度センサが検出した屋内の状況を携帯電話108に音声と電子メールで通知する。
【0017】
次に、当該地域が被災地であるか被災地の周辺であるかに拘わらず、TV受像機105がインターネット対応である場合、信号処理機能202はエリア別の災害状況を示す音声情報と、URL+文字情報をテレビ受像器105に、音声情報のみをラジオ受信機106に供給する。TV受像機105は災害音声情報をスピーカで再生し、災害文字情報を画面で表示し、受け取ったURLにより有線通信機能203を介しインターネットの災害情報供給サイトにアクセスし災害の詳細情報を取得しこれを画面に表示する。テレビ受像機105がインターネット対応でない場合、点線(図2)で示すように、信号処理機能202は音声情報と文字情報をテレビ受像器105に供給し、URLにより有線通信機能203を介し直接インターネットのサイトにアクセスし災害の詳細情報を取得しテレビ受像機105に表示する。
【0018】
当該地域が被災地の周辺である場合、信号処理機能202は第二制御信号(発信制御信号)を検出する。この制御信号は被災地のエリア番号が含まれており、信号処理機能202は固定電話107と屋内におかれた携帯電話108に発信規制信号を供給し、これらの電話から被災地への通話を規制する。これにより被災地域の住民からの安否および救助の連絡が円滑に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の防災情報提供システムとローカル無線通信システムのブロック図。
【図2】図1の信号処理機能の動作を示す説明図 。
【符号の説明】
【0020】
1,防災システム
2,消防システム
3,防災システム操作卓
4,防災無線送信局
5,ローカル(ホーム)無線通信システム
6,通信網
101,アンテナ
102,戸別受信機
103,ガス安全装置
104,火災報知器(温度センサ)
105,テレビ受像機
106,ラジオ受信機
107,固定電話
108,携帯電話
201,無線受信機能
202,信号処理機能
203,有線通信機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災無線システムから第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する無線受信機能と、
前記第一制御情報が含まれている場合、ガス安全装置にガス遮断信号を供給し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する信号処理機能とを具備することを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項2】
防災無線システムから第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する無線受信機能と、
前記第一制御情報が含まれている場合、屋内に設置された監視手段を用い屋内状況を監視し、該屋内状況を通信網を介し携帯端末に送信し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する信号処理機能とを具備することを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項3】
請求項2において、前記信号処理機能は前記非常時無線信号に前記第一制御情報が含まれている場合、ガス安全装置にガス遮断信号を供給することを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項4】
請求項1または2において、前記エリア別非常時無線信号はさらに災害情報を含み、前記信号処理機能は該災害情報をラジオ受信機またはテレビ受像機を用い再生することを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項5】
請求項4において、前記テレビ受像機がインターネット対応である場合、前記信号処理機能は該受像機を介しインターネットのURLによりインターネットサイトから災害の詳細情報を取得し、該受像機がインターネット対応でない場合、前記信号処理機能はインターネットのURLにより直接インターネットサイトから災害の詳細情報を取得し、取得した詳細情報を該受像機で再生することを特徴とするローカル防災無線システム。
【請求項6】
請求項1または2において、前記第一制御情報に応じ屋内に警報音を発生する手段を具備することを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項7】
請求項6において、前記警報音発生手段は火災報知器であることを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項8】
請求項2において、前記監視手段は温度センサであることを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項9】
請求項1または2において、前記無線受信機能と前記信号処理機能は戸別受信機を構成することを特徴とするローカル防災無線通信システム。
【請求項10】
防災無線システムから第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する第一の処理と、
前記第一制御情報が含まれている場合、ガス安全装置にガス遮断信号を供給し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する第二の処理から成ることを特徴とするローカル防災無線通信方法。
【請求項11】
防災無線システムからと第一または第二制御信号を含むエリア別非常時無線信号を受信する第一の処理と、
前記第一制御情報が含まれている場合、屋内に設置された監視手段を用い屋内状況を監視し、該屋内状況を通信網を介し携帯端末に送信し、前記第二制御情報が含まれている場合、被災地域外の電話端末から被災地域への通話を規制する第二の処理から成ることを特徴とするローカル防災無線通信方法。
【請求項12】
請求項11において、前記無線信号に前記第一制御情報が含まれている場合、前記第二の処理はガス安全装置にガス遮断信号を供給する処理を含むことを特徴とするローカル防災無線通信方法。
【請求項13】
請求項10または11において、前記エリア別非常時無線信号はさらに災害情報を含み、前記災害情報をラジオ受信機またはテレビ受像機を用い再生する第三の処理から成ることを特徴とするローカル防災無線通信方法。
【請求項14】
請求項13において、前記テレビ受像機がインターネット対応である場合、前記第三の処理は該受像機を介しインターネットのURLによりインターネットサイトから災害の詳細情報を取得し、該受像機がインターネット対応でない場合、前記信号処理機能はインターネットのURLにより直接インターネットサイトから災害の詳細情報を取得し、取得した詳細情報を該受像機で再生することを特徴とするローカル防災無線方法。
【請求項15】
請求項1または2において、前記第二の処理は前記第一制御情報に応じ屋内に警報音を発生することを特徴とするローカル防災無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−159502(P2009−159502A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337735(P2007−337735)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】