説明

ローラ用中空シャフト、ローラ及び画像形成装置

【課題】高品質な画像を形成することに貢献する軽量なローラ用中空シャフト、並びに、長期間にわたって高品質な画像を形成することのできる、軽量なローラ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】筒状のシャフト本体5Aと、シャフト本体5Aの両端部に嵌入されるシャフト端部10Aとを含むローラ用中空シャフトであって、シャフト本体5Aの両端部とシャフト端部10Aとの軸線方向に沿う嵌入長さの合計長さLc及びシャフト本体5Aの全長Lgの関係が式(1)を満たし、シャフト本体5Aの全長Lg及びローラ用中空シャフト1の全長Lsの関係が式(2)を満たすローラ用中空シャフト1A、このローラ用中空シャフト1Aの外周面に弾性層を備えたローラ、及び、このローラを備えた画像形成装置。
(1)0.025<Lc/Lg<0.20 (2)0.75<Lg/Ls≦1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ用中空シャフト、ローラ及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、高品質な画像を形成することに貢献する軽量なローラ用中空シャフト、このローラ用中空シャフトを備えたローラ、及び、このローラを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、レーザープリンター及びビデオプリンター等のプリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置には、シャフトの外周面に形成された弾性層を有する各種ローラが装着されている。各種ローラとしては、例えば、クリーニングローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、加圧ローラ、紙送り搬送ローラ、定着ローラ等が挙げられる。
【0003】
近年、画像形成装置は、カラー画像化されると共に、小型化、画像の高精細化及び印刷速度の高速化等の性能が急速に向上している。画像形成装置におけるこれらの性能を向上させるには、ローラを駆動させる駆動機構の小型化、ローラの回転トルク低減、ローラの回転安定性等を目的として、各種ローラを軽量化することが有効である。そして、ローラを軽量化するには、ローラの弾性層は所定の機能を達成するように設計されているから、これら機能を低下させずに弾性層を軽量化するよりも、金属等の比較的質量の重い材料で中実体に形成されることの多いシャフトを軽量化する方が好都合である。
【0004】
シャフトが軽量化されたローラの一例として、例えば、中空体に形成されたシャフトを用いたローラが知られており、より具体的には、「鋼製のパイプ部の両端に鋼製の軸端部を気密に摩擦圧接した芯金と、該芯金の外周に設けたゴム弾性層とからなることを特徴とする現像ロール」が挙げられる(特許文献1参照。)。また、シャフトが軽量化されたローラの別の一例として、例えば、樹脂で中実体又は中空体に形成されたシャフトを用いたローラも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
ところで、画像形成装置において高品質の画像を形成するには、画像形成装置に装着されたローラが、所定の当接圧力で、長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接する必要がある。しかし、シャフトが軽量化されたローラを画像形成装置に装着すると、ローラと被当接体との当接状態又は圧接状態をローラの周方向及び/又は長手方向に均一に調整することができず、形成される画像の品質が低下することがあった。特に、シャフトが軽量化されたローラを前記特性が向上した画像形成装置に装着すると、形成される画像の品質が大きく低下することがあった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−275955号公報
【特許文献2】特開2003−195601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、高品質な画像を形成することに貢献する軽量なローラ用中空シャフトを提供すること、並びに、高品質な画像を形成することのできる、軽量なローラ及び画像形成装置を提供すること、にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、筒状のシャフト本体と、前記シャフト本体の両端部に嵌入されるシャフト端部とを有するローラ用中空シャフトであって、前記シャフト本体の両端部と前記シャフト端部との軸線方向に沿う嵌入長さの合計長さLc及び前記シャフト本体の全長Lgの関係が下記式(1)を満たし、かつ、前記シャフト本体の全長Lg及び前記ローラ用中空シャフトの全長Lsの関係が下記式(2)を満たすことを特徴とするローラ用中空シャフトであり、
(1) 0.025<Lc/Lg<0.20
(2) 0.75<Lg/Ls≦1
請求項2は、前記シャフト端部は、前記シャフト端部と軸を共有する支持軸を有することを特徴とする請求項1に記載のローラ用中空シャフトであり、
請求項3は、前記シャフト本体と前記シャフト端部とは、同一材料で形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラ用中空シャフトであり、
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のローラ用中空シャフトの外周面に弾性層を備えたことを特徴とするローラであり、
請求項5は、請求項4に記載のローラを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るローラ用中空シャフトは、筒状のシャフト本体における両端部に嵌入されるシャフト端部の嵌入長さ、及び、ローラ用中空シャフトの全長に対するシャフト本体の全長が適正な長さに調整されたことにより、その軽量化を犠牲にすることなく、かつシャフト本体の軸線とシャフト端部の軸線とが一致し、同時に、回転しても偏心することがないように、なっている。すなわち、この発明に係るローラ用中空シャフトは、シャフト端部の嵌入長さLcとシャフト本体の全長Lgとが、次の関係、Lc/Lgが0.025を超え0.20未満の範囲にあり、ローラ用中空シャフトの全長Lsとシャフト本体の全長Lgとが、次の関係、Lg/Lsが0.75を超え1以下の範囲にあるので、軽量化が図られていると共に、ローラ用中空シャフトの中心線から外周面までの距離が周方向に均一になって、回転しても大きく偏心することがなく、その結果、このローラ用中空シャフトに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、このローラを画像形成装置に装着して回転させた場合にも、このローラが所定の当接圧力で長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接する状態を保持することができる。したがって、この発明によれば、高品質な画像を形成することに貢献する軽量なローラ用中空シャフト、並びに、高品質な画像を形成することのできる軽量なローラ及び高品質な画像を形成することのできる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図2は、この発明に係るローラ用中空シャフトの一実施例であるローラ用中空シャフト1A(シャフト1Aと称することがある。)を示す図であり、このシャフト1Aは、筒状のシャフト本体5Aと、前記シャフト本体5Aの両端部に嵌入される2つのシャフト端部10Aとを備えている。このローラ用中空シャフト1Aは、シャフト本体5Aの両端部とシャフト端部10Aとの軸線方向に沿う嵌入長さ(Lc及びLc、図2参照。)の合計長さLc及びシャフト本体5Aの全長Lgの関係、並びに、シャフト本体5Aの全長Lg及びローラ用中空シャフト1Aの全長Lsとの関係がそれぞれ下記式(1)及び(2’)を満たしている。
【0011】
(1) 0.025<Lc/Lg<0.20
(2’) 0.75<Lg/Ls<1
【0012】
図1及び図2に示されるように、前記シャフト本体5Aは、その両端部に開口(以下、両端開口部と称する。)を有し、かつ、後述するシャフト端部10Aと共に嵌合部6を形成するように、所定の位置から両端開口部までの領域における内径が拡径された円筒体を成し、その外表面の一部又は全部に後述する弾性層が形成される。シャフト本体5Aが、その両端部に、後述するシャフト端部10Aと共に嵌合部6を形成するように、所定の位置から両端開口部までの内径が拡径された領域(以下、内径拡径領域と称することがある。)を有していると、この内径拡径領域に後述するシャフト端部10Aが嵌入されて、強固に嵌合した嵌合部6が形成されると共に、シャフト端部10Aのシャフト本体5Aに対する潜り込みが防止され、ローラ用中空シャフト1Aの全長Lsの寸法安定性を保つことが可能になる。このシャフト本体5Aは、導電特性を有していても有していなくてもよく、ローラの用途等に応じて導電特性の有無が決定される。
【0013】
シャフト本体5Aは、その軸線方向にわたって均一な外径を有していればよく、ローラの用途等に応じて所望の厚さに調整される。シャフト本体5Aの外径は、通常、例えば、5〜60mm程度に調整され、好ましくは、10〜30mm程度に調整される。シャフト本体5Aが前記範囲の外径を有し、さらに、シャフト本体5Aの厚さを、例えば、0.5〜8mm程度、好ましくは、1〜5mm程度に調整することによって、シャフト1Aとしたときの強度を大きく低下させることがなく、その結果、シャフト1Aを用いて作製されたローラが所定の当接圧力で長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接する状態を保持することができる。また、前記式(1)及び式(2)を満足し、かつ、前記のようにシャフト本体5Aの厚さを適正化することによって、ローラ用中空シャフト1Aの軽量化を大きく犠牲にすることがなく、かつシャフト本体5Aの軸線とシャフト端部10Aの軸線とを一致させ、同時に、ローラ用中空シャフト1Aを回転しても偏心することがないようにすることができる。
【0014】
シャフト本体5Aは、その軸線方向にわたって均一な厚さを有しているが、図2に示されるように、前記内径拡径領域は、その内径が拡径され、その厚さが薄く形成されている。この内径拡径領域の厚さは、シャフト本体5Aの内径拡径領域にシャフト端部10Aが嵌入された状態を維持することのできる厚さであればよい。この内径拡径領域の内径は、前記厚さを有するように調整されればよいが、後述する嵌入部12Aの外径よりも小さ過ぎると、前記内径拡径領域に嵌入部12Aを嵌入するのが困難であり、また、前記内径拡径領域に嵌入部12Aを嵌入することができても、嵌入部12Aの嵌入によりシャフト本体5Aの端部近傍が拡径することがある。この点を考慮すると、内径拡径領域の内径は、好ましくは、前記厚さの範囲内であって、後述する嵌入部12Aの外径に対して所定の公差を有する内径に調整される。ここで、前記所定の公差は、嵌入部12Aの外径に対して、JIS B0401(1986)の「2.2 常用する軸基準はめあいにおける公差域の相互関係」に規定された「しばりばめ」の軸の公差域クラス「P6〜X7」に相当する公差、すなわち、寸法差約−10〜約−70μmである。内径拡径領域の内径が所定の公差を有する内径に調整されると、シャフト本体5Aに後述するシャフト端部10Aが嵌入されて強固な嵌合部6が形成され、ローラの駆動機構で生じる駆動力をシャフト本体5Aに確実に伝達することができる。内径拡径領域における軸線方向の長さは、図2に示されるように、シャフト端部10Aが嵌入する長さと同一であるのがよく、したがって、シャフト本体5Aでは、嵌入長さLc及びLcと同じ長さに調整されている。
【0015】
シャフト本体5Aは、後述する式(1)及び(2’)並びにローラの用途等に応じて、所定長さの弾性層が形成可能な長さを有していればよく、通常、A4用紙及びA3用紙を適用することのできる長さを有する弾性層を形成可能な長さに調整される。具体的には、例えば、シャフト本体5Aは、200〜400mm程度の長さLgに調整される。
【0016】
シャフト本体5Aは、所望の強度を有する材料で形成されればよく、このような材料としては、例えば、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮若しくはこれらの合金等の金属、又は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、軽量化を図ることができると共に所望の強度と導電性とを有する点で、金属であるのが好ましく、アルミニウム又はステンレス鋼であるのが特に好ましい。
【0017】
なお、シャフト本体5Aに導電性が要求される場合には、前記金属を用いればよく、又は、例えば、前記樹脂で形成した絶縁性芯体にメッキを施してもよく、また、前記樹脂に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した材料を用いてもよい。
【0018】
図1及び図2に示されるように、前記シャフト端部10Aは、シャフト本体5Aの両端部(両端開口部)、より具体的には、内径拡径領域に嵌入されることにより、シャフト本体5Aの両端部を閉塞する。シャフト端部10Aは、シャフト本体5Aを一体に支持すると共に、図示しないローラの駆動機構で生じる駆動力をシャフト本体5Aに伝達し、シャフト本体5Aを回転駆動させる。このシャフト端部10Aは、導電特性を有していても有していなくてもよく、ローラの用途等に応じて導電特性の有無が決定される。
【0019】
図1及び図2に示されるように、シャフト端部10Aは、シャフト本体5Aにおける前記内径拡径領域に嵌入可能な外径を有する中実円筒体を成す嵌入部12Aと、シャフト本体5Aに嵌入されない一方の面から同心状に突出して形成された、嵌入部12Aよりも小さな外径を有する円筒体を成す支持軸13とを備えている。
【0020】
嵌入部12Aは、前記内径拡径領域に嵌入可能な外径を有していればよく、例えば、前記内径拡径領域の内径における所定の公差の範囲内において、前記内径拡径領域の内径よりもわずかに大きな外径を有しているのがよい。なお、製造上の観点から、嵌入部12Aの外径は適度な公差を有していてもよい。
【0021】
嵌入部12Aは、シャフト本体5Aの前記内径拡径領域に嵌入して、前記内径拡径領域、すなわち、シャフト本体5Aと共に嵌合部6を形成する。したがって、嵌入部12Aは、シャフト本体5Aの全長Lgと嵌合部6における軸線方向の長さの合計長さLcとが後述する式(1)を満足する長さに、その軸線の長さが調整される。
【0022】
嵌入部12Aは、中実に形成されている。嵌入部12Aが中実に形成されると、シャフト本体5Aの両端部に形成される後述する嵌合部6も中実に成り、シャフト1Aの強度を保持することができる。その結果、シャフト1Aを用いて作製されたローラを画像形成装置に装着すると、ローラを所定の当接圧力で長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接させることができると共に、シャフト端部10Aとシャフト本体5Aとの嵌合状態が強固になり、シャフト1Aの振れを小さくすることができる。
【0023】
図1及び図2に示されるように、前記支持軸13は、嵌入部12Aと同心を有し、すなわち、嵌入部12Aと軸を共有し、嵌入部12Aから突出する円筒体に形成されている。支持軸13は、図示しない画像形成装置等に設けられた軸受けに回転可能に支持され、図示しない駆動機構で生じる駆動力を嵌入部12Aを介して、シャフト本体5Aに伝達する。支持軸13の長さは、支持される軸受け等に応じて調整されるが、シャフト本体5Aの全長Lgとシャフト1Aの全長Lsとの関係が、後述する式(2’)を満たす長さに調整される。支持軸13の径は軸受け等に応じて任意に調整される。
【0024】
図1及び図2に示されるように、2つのシャフト端部10Aは、同一形状に形成されている。すなわち、2つのシャフト端部10Aにおける嵌入部12Aの長さが同じ長さに調整され、換言すると、図2に示されるように、シャフト1Aにおける2つの嵌合部6は、軸線方向に沿う嵌入長さLc及びLcが同じ長さに調整されている。シャフト端部10Aは、嵌入部12A及び支持軸13が一体に形成されても、それぞれを別個に形成した後、接着等により一体化してもよい。
【0025】
シャフト端部10A、特に嵌入部12Aは、シャフト本体5Aに嵌入され、かつ、シャフト本体5Aの外周面に弾性層が形成されたローラを支持することのできる強度を有する材料で形成されればよく、このような材料としては、例えば、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮若しくはこれらの合金等の金属、又は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、所望の強度と導電性とを十分に確保することができる点で、金属であるのが好ましく、アルミニウム又はステンレス鋼であるのが特に好ましい。支持軸13は、嵌入部12Aと同一の材料で形成されても、異なる材料で形成されてもよい。
【0026】
シャフト端部10Aは、シャフト本体5Aと同一の材料で形成されても、異なる材料で形成されてもよい。シャフト本体5Aとシャフト端部10Aとが異なる材料で形成される場合は、例えば、軽量かつ強度の高いアルミニウムで形成されたシャフト本体5Aと、より強度の高いステンレス鋼で形成されたシャフト端部10Aが挙げられる。
【0027】
図1及び図2に示されるように、シャフト1Aは、シャフト本体5Aと、2つのシャフト端部10Aとで形成され、シャフト本体5Aの両端部にシャフト端部10Aが嵌入して成る嵌合部6、換言すると、シャフト本体5Aの内径拡径領域にシャフト端部10Aの嵌入部12Aが嵌入して成る嵌合部6を有している。このようにして形成されるシャフト1Aは、シャフト本体5Aの両端部とシャフト端部10Aとの軸線方向に沿う嵌入長さの合計長さLc及びシャフト本体5Aの全長Lgの関係が下記式(1)を満足する。
(1) 0.025<Lc/Lg<0.20
【0028】
すなわち、図2に示されるように、シャフト本体5Aの端部にシャフト端部10Aが嵌入して成る嵌合部6は、シャフト端部10Aがシャフト本体5Aの端部に嵌入したとき、シャフト端部10Aの偏心が起こらないように適正な長さを有するものであって、次に述べる関係、シャフト本体5Aの全長Lgに対する、シャフト本体5Aの両端部とシャフト端部10Aとの軸線方向に沿う嵌入長さLc及びLcの合計長さLc(Lc/Lg)が、0.025を超え0.20未満の範囲にある。前記Lc/Lgが0.025以下であると、シャフト1Aにおける中心線から外周面までの距離が周方向に不均一になり、特にシャフト1Aを回転させたときに前記距離の不均一性が大きくなり、すなわち、シャフト1Aの振れが大きくなり、その結果、シャフト1Aを回転させると、大きく偏心することがある。一方、前記Lc/Lgが0.20以上であると、シャフト1Aの軽量化を十分に図ることができない。すなわち、シャフト1Aの前記Lc/Lgが前記範囲にあると、シャフト1Aに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、ローラの駆動トルクを低減することができると共に、このローラが所定の当接圧力で周方向及び/又は長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接する状態を保持することができ、その結果、シャフト1Aは、軽量であるにもかかわらず、高品質の画像を形成することに貢献することができる。シャフト1Aの軽量化と小さな振れとをより高い水準で両立することができる点で、前記Lc/Lgは、0.04以上0.18以下であるのが好ましく、0.08以上0.16以下であるのが特に好ましい。
【0029】
ここで、シャフト1Aの振れは、シャフト1Aを軸線に垂直な任意の平面で切断したときの、シャフト1Aの中心点から平面上に位置するシャフト本体5Aの外周面までの距離の均一性を表す。シャフト1Aは0.05%以下の振れに調整される。シャフト1Aの振れを0.05%以下に調整すると、シャフト1Aに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、ローラが所定の当接圧力で周方向長及び/又は長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接して、高品質の画像を形成することができる。
【0030】
シャフト1Aの振れは、例えば、シャフト1Aの中心点からこの中心点を含むシャフト1Aに垂直な前記平面上に位置するシャフト本体5Aの外周面までの最長距離(最大半径)Lと最短距離(最小半径)Lとの差(L−L)(L及びLは図示せず)を、シャフト本体5Aの外径に対する百分率で示された値として、算出される。具体的には、シャフト1Aの振れは、シャフト本体5Aの外径(r)に対するシャフト本体5Aに垂直な平面上の測定点における、シャフト1Aの中心点からシャフト本体5Aの外周面までの最長距離Lと最短距離Lとの差(L−L)を百分率で示した値であり、より具体的には、各測定点において、式[(L−L)/r]×100(%)で算出される。ここで、シャフト1Aの振れは、シャフト1Aを回転させながら、レーザー測長機により、各測定点における、シャフト1Aの中心点からシャフト本体5Aの外周面までの距離を測定し、測定された最長距離と最短距離とから、前記式により算出することができる。
【0031】
また、シャフト1Aは、シャフト本体5Aの全長Lg及びシャフト1Aの全長Lsの関係が下記式(2’)を満足する。
(2’) 0.75<Lg/Ls<1
【0032】
すなわち、シャフト本体5Aは、シャフト1Aの全長Lsに対する全長Lgが、0.75を超え1未満の範囲にある。前記Lg/Lsが0.75以下であると、支持軸13の長さが長くなりすぎて、シャフト1Aにおける中心線からの距離が周方向に不均一になり、特にシャフト1Aを回転させたときに前記距離の不均一性は大きくなり、すなわち、シャフト1Aの振れが大きくなり、その結果、シャフト1Aを回転させると、大きく偏心することがある。なお、図1及び図2から明らかなように、シャフト1Aにおいて、前記Lg/Lsは1以上になることはない。すなわち、シャフト1Aの前記Lg/Lsが前記範囲にあると、シャフト1Aに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、このローラが所定の当接圧力で長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接する状態を保持することができ、その結果、シャフト1Aは高品質な画像を形成することに貢献することができる。シャフト1Aの振れをより小さく調整することができる点で、前記Lg/Lsは、0.78以上0.9以下であるのが好ましく、0.8以上0.9以下であるのが特に好ましい。
【0033】
シャフト1Aは、前記式(1)及び(2’)並びにローラの用途等に応じて、その全長Lsが調整され、具体的には、例えば、シャフト1Aの全長Lsは、200〜500mm程度に調整される。
【0034】
シャフト1Aは、例えば、図9に示される画像形成装置等に配設された場合に、その一端を接地し、又は、バイアス電圧を印加することにより、例えば、像担持体の電圧、現像剤への電荷の注入、像担持体からの現像剤の搬送による潜像の現像等の機能を発揮する。
【0035】
図1及び図2に示されるように、シャフト1Aは、シャフト本体5Aにシャフト端部10Aが、シャフト本体5Aの前記内径拡径領域の端部と嵌入部12Aの端面とが当接するように、嵌入されて成る。このとき、嵌入部12Aは、前記内径拡径領域に嵌入可能な外径に調整され、好ましくは、内径拡径領域が嵌入部12Aの外径に対して所定の公差を有する内径に調整されているから、シャフト本体5Aの両端開口部が大きく拡径することなく、その全体が前記内径拡径領域に嵌入される。それ故、シャフト本体5Aとシャフト端部10Aとが強固に嵌合され、図示しない軸受けに支持された支持軸13及び嵌入部12Aを介して、図示しない駆動機構で生じる駆動力をシャフト本体5Aに伝達することができ、その結果、シャフト本体5Aを所望のように回転駆動させることができる。また、シャフト1Aは、図2に示されるように、シャフト本体5Aの中空部とその両端に中実の嵌合部6とを有するから、シャフト1Aを軽量化することができる。そして、シャフト1Aは、シャフト1Aの全長Ls、シャフト本体5Aの全長Lg及び前記嵌入長さの合計長さLcが前記式(1)及び(2’)を満たすから、シャフト1Aが軽量化されても、シャフト1Aの振れを小さくすることができ、その結果、シャフト1Aに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、所定の当接圧力で長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接するローラの当接状態を保持することができる。したがって、シャフト1Aによれば、軽量化しても高品質な画質を保持することができ、換言すると、軽量であっても高品質な画像を形成することに貢献することができる。
【0036】
図3は、この発明に係るローラ用中空シャフトの別の一実施例であるローラ用中空シャフト1B(シャフト1Bと称することがある。)を示す図であり、このシャフト1Bは、筒状のシャフト本体5Bと、前記シャフト本体5Bの両端部に嵌入される2つのシャフト端部10Aとを備え、シャフト本体5Bの両端部近傍の内径が拡径することなく、一端から他端にわたって均一な厚さを有している以外は、前記シャフト1Aと基本的に同様である。なお、シャフト1Bにおいて、図3に示された嵌合部6を形成する嵌入部12Aに接するシャフト本体5Bの内周面領域が、シャフト1Aの内径拡径領域に対応する。
【0037】
したがって、シャフト1Bは、シャフト1Aと同様に、シャフト1Bの全長Ls、シャフト本体5Bの全長Lg及び前記嵌入長さの合計長さLcが前記式(1)及び(2’)を満たすから、シャフト1Bが軽量化されても、シャフト1Bの振れを小さくすることができ、その結果、シャフト1Bに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、所定の当接圧力で周方向及び/又は長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接するローラの当接状態を保持することができる。したがって、シャフト1Bによれば、軽量化しても高品質な画質を保持することができ、換言すると、軽量であっても高品質な画像を形成することに貢献することができる。
【0038】
図4及び図5は、この発明に係るローラ用中空シャフトのまた別の一実施例であるローラ用中空シャフト1C(シャフト1Cと称することがある。)を示す図であり、このシャフト1Cは、筒状のシャフト本体5Bと、前記シャフト本体5Bの両端部に嵌入される2つのシャフト端部10Bとを備え、シャフト本体5Bの両端部近傍の内径が拡径することなく、一端から他端にわたって均一な厚さを有し、かつ、シャフト端部10Bが嵌入部12Aと支持軸13との間にフランジ部11を有している以外は、前記シャフト1Aと基本的に同様である。
【0039】
シャフト本体5Bは、前記シャフト1Bのシャフト本体5Bと同様である。シャフト端部10Bは、図4及び図5に示されるように、シャフト本体5Bの外径と略同一の径を有する円盤体を成すフランジ部11と、フランジ部11の一方の面から同心状に突出して形成された、フランジ部11よりも小さな径を有する中実円筒体を成す嵌入部12Aと、フランジ部11の他方の面から同心状に突出して形成された、フランジ部11よりも小さな外径を有する円筒体を成す支持軸13とを備えている以外は、前記シャフト1Aのシャフト端部10Aと基本的に同様である。
【0040】
図4及び図5に示されるように、前記フランジ部11は、シャフト本体5Bの端部に当接し、シャフト本体5Bの両端部とシャフト端部10Bとの軸線方向に沿う嵌入長さ、すなわち、嵌入部12Aの嵌入量を規制する。前記嵌入部12Aは、図4及び図5に示されるように、フランジ部11の一方の面にフランジ部11と同心を有し、すなわち、フランジ部11と軸を共有し、フランジ部11の一方の面から突出する円筒体に形成されている。嵌入部12Aは、フランジ部11の径よりも小さく、かつ、シャフト1Bにおける内径拡径領域(図5に示された嵌合部6を形成する嵌入部12Aに接するシャフト本体5Bの内周面領域)に嵌入可能な外径に調整されている。また、嵌入部12Aは、嵌合部6を形成し、前記式(1)を満足する長さに、その軸線の長さが調整されるのも、前記シャフト1Aの嵌入部12Aと同様である。前記支持軸13は、図4及び図5に示されるように、シャフト本体5Bに嵌入される部分の反対側、換言すると、フランジ部11における嵌入部12Aが形成された面と反対側の面に、フランジ部11と同心を有し、すなわち、フランジ部11と軸を共有するように、形成されている。
【0041】
このシャフト1Cは、シャフト1Aと同様に、シャフト1Cの全長Ls、シャフト本体5Bの全長Lg及び前記嵌入長さの合計長さLcが前記式(1)及び(2’)を満たすから、シャフト1Cが軽量化されても、シャフト1Cの振れを小さくすることができ、その結果、シャフト1Cに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、所定の当接圧力で周方向及び/又は長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接するローラの当接状態を保持することができる。したがって、シャフト1Cによれば、軽量化しても高品質な画質を保持することができ、換言すると、軽量であっても高品質な画像を形成することに貢献することができる。
【0042】
図6は、この発明に係るローラ用中空シャフトのまた別の一実施例であるローラ用中空シャフト1D(シャフト1Dと称することがある。)を示す図であり、このシャフト1Dは、前記シャフト1Aにおける嵌合部6に固定手段15が設けられている以外は、前記シャフト1Aと基本的に同様である。
【0043】
したがって、シャフト1Dは、シャフト1Aと同様に、シャフト1Dの全長Ls、シャフト本体5Aの全長Lg及び前記嵌入長さの合計長さLcが前記式(1)及び(2’)を満たすから、シャフト1Dが軽量化されても、シャフト1Dの振れを小さくすることができ、その結果、シャフト1Dに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、所定の当接圧力で周方向及び/又は長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接するローラの当接状態を保持することができる。したがって、シャフト1Dによれば、軽量化しても高品質な画質を保持することができ、換言すると、軽量であっても高品質な画像を形成することに貢献することができる。
【0044】
また、シャフト1Dは、固定手段によって、嵌合部6が強固に接合されているから、シャフト1Dに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に、駆動機構で生じる駆動力を軸受けから嵌入部12Aを介して、シャフト本体5Aに所望のように伝達することができる。前記固定手段としては、シャフト1Dでは、嵌合部6をシャフト本体6Aの外周面からシャフト本体5Aの中心を経由して反対側の外周面に貫通するピンが採用されているが、この手段に限定されず、例えば、シャフト本体6Aの外周面に設けられ、シャフト本体5Aの中心に向かって押圧するリング状固定具、シャフト本体5Aにおける両端部近傍の内周面に形成されたメス螺子と、嵌入部12Aの外周面に形成された、前記メス螺子に螺合するオス螺子との組合せ、又は、接着若しくは粘着等が挙げられる。なお、固定手段15は、シャフト本体5Aの外周面と面一とされるのがよい。
【0045】
図7は、この発明に係るローラ用中空シャフトのさらに別の一実施例であるローラ用中空シャフト1E(シャフト1Eと称することがある。)を示す図であり、このシャフト1Eは、筒状のシャフト本体5Aと、前記シャフト本体5Aの両端部に嵌入される2つのシャフト端部10Cとを備え、シャフト端部10Cが支持軸13を有していない以外は、前記シャフト1Aと同様である。
【0046】
すなわち、図7に示されるように、シャフト端部10Cは、シャフト本体5Aにおける内径拡径領域に嵌入可能な外径を有する嵌入部12Aを成す中実円盤体とされている。この場合は、シャフト本体5Aの端部外周面に、画像形成装置に装備された駆動機構で生じる駆動力を伝達する伝達手段、例えば、歯(図示しない。)等を有している。
【0047】
シャフト1Eは、シャフト1Aと同様に、シャフト本体5Aの全長Lg及び前記嵌入長さの合計長さLcが前記式(1)を満たし、また、シャフト1Eの全長Ls及びシャフト本体5Aの全長Lgが下記式(2”)を満たしている。
(2”) Lg/Ls=1
【0048】
したがって、シャフト1Eが前記式(1)を満たすから、前記したように、シャフト1Eの軽量化と小さな振れとを高い水準で両立することができ、かつ、シャフト1Eが前記式(2”)を満たすから、シャフト1Eの振れをより小さく調整することができる。故に、シャフト1Eに弾性層を形成したローラを画像形成装置に装着した場合に加えて、回転させた場合にも、所定の当接圧力で周方向及び/又は長手方向に均等に被当接体に当接又は圧接するローラの当接状態を保持することができる。したがって、シャフト1Eによれば、軽量化しても高品質な画質を保持することができ、換言すると、軽量であっても高品質な画像を形成することに貢献することができる。
【0049】
この発明に係るローラ用中空シャフト1A〜1E(以下、シャフト1と称することがある。)は、前記材料を用いて、シャフト本体5A及び5B(以下、シャフト本体5と称することがある。)、及び、シャフト端部10A〜10C(以下、シャフト端部10と称することがある。)を、常法により、作製することができる。例えば、前記材料を、切削、研削、切り出し、各種成形法等により、シャフト本体5及びシャフト端部10を所望の形状に形成することができる。
【0050】
この発明に係るローラ用中空シャフトは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、シャフト1はいずれも、2つのシャフト端部10が同一形状に形成されているが、この発明においては、2つのシャフト端部は同一形状に形成される必要はなく、異なる形状に形成されてもよい。
【0052】
また、シャフト1は、シャフト本体5の各端部にシャフト端部10が嵌入して成る2つの嵌合部の長さが同じ長さに調整されているが、この発明においては、2つの嵌合部の長さは同じ長さに調整される必要はなく、異なる長さに形成されてもよい。
【0053】
さらに、シャフト1は、シャフト本体5の両端部にシャフト端部10における嵌入部12A又は12Bの全体が嵌入されているが、この発明においては、シャフト本体5の両端部に嵌入される嵌入部はその一部であってもよい。
【0054】
また、シャフト1は、シャフト本体5とシャフト端部10とにより、その中空部が気密状態に成っているが、この発明においては、シャフトの中空部がほぼ気密状態に成っている必要はなく、例えば、嵌入部の外周面が凹凸形状に形成され、シャフトの中空部が開放するように成っていてもよく、また、嵌入部に貫通孔が穿設され、シャフトの中空部が開放するように成っていてもよい。
【0055】
シャフト1は、円筒状のシャフト本体5に円筒状のシャフト端部10が嵌入して成るが、この発明においては、シャフト本体及びシャフト端部が円筒状を成している必要はなく、例えば、シャフト本体及び/又はシャフト端部が楕円柱であっても多角柱であってもよい。
【0056】
図8に示されるように、この発明に係るローラの一実施例であるローラ20は、前記ローラ用中空シャフト1と、弾性層21とを備え、例えば、図9に示される画像形成装置等に配設される。
【0057】
前記弾性層21は、ローラ用中空シャフト1の外周面に後述するゴム組成物を硬化して成る。弾性層21は、ローラの用途等に応じて、その特性が決定され、例えば、気泡等を含有しない弾性層、気泡又は中空部を含有する発泡弾性層、導電性弾性層及び絶縁性弾性層等に形成される。弾性層21が導電性弾性層に形成される場合には、弾性層21は、10〜10Ωの電気抵抗値を有しているのが好ましい。弾性層21の電気抵抗値は、電気抵抗計(商品名:ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A、株式会社アドバンテスト製)を用い、ローラ20を水平に置き、5mmの厚さ、30mmの幅、及び、ローラ20を載せることのできる長さを有する金メッキ製板を電極とし、500gの荷重をローラ用中空シャフト1の両端それぞれに支持させた状態にして、ローラ用中空シャフト1と電極との間にDC100Vを印加し、1秒後の電気抵抗計の値を読みとり、この値を電気抵抗値とする方法により、測定することができる。
【0058】
弾性層21は、20〜70のJIS A硬度を有しているのが好ましい。弾性層21が20〜70のJIS A硬度を有していると、ローラ20と被当接体との接触面積を大きくすることができ、高品質の画像を形成することができる。
【0059】
弾性層21は、被当接体との当接状態において、被当接体と弾性層21との均一なニップ幅を確保することができる点で、その厚さは、1mm以上であるのが好ましく、4mm以上であるのがより好ましい。一方、弾性層21の厚さの上限は、用途に応じて任意に調整され、例えば、30mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。
【0060】
弾性層21を形成するゴム組成物は、ゴムを含有し、所望により、各種添加剤、導電性付与剤及び発泡剤をさらに含有する。
【0061】
前記ゴムは、特に限定されず、例えば、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロールヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等の液状ゴムが挙げられるが、シリコーン若しくはシリコーン変性ゴムが、耐熱性及び帯電特性等に優れる点で、好ましい。これらのゴムは、液状タイプであっても、ミラブルタイプであってもよく、弾性層21の成形方法、弾性層21に要求される特性等に応じて、適宜選択することができる。
【0062】
前記各種添加剤としては、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
【0063】
前記導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等が挙げられる。導電性付与剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて、弾性層21としたときに所望の電気抵抗値を示すように、適宜の含有量で添加される。例えば、ゴム組成物における導電性付与剤の含有量は、前記ゴム100質量部に対して、2〜80質量部とすることができる。
【0064】
前記発泡剤は、従来、発泡ゴムに用いられる発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。通常、複数の気泡が連続してなる連続気泡を形成する場合には無機系発泡剤が用いられ、複数の気泡が互いに接触等することなく分散又は散在してなる独立気泡を形成する場合には有機系発泡剤が用いられる。発泡剤の含有量は、発泡剤の種類等に応じて、適宜調整される。
【0065】
ゴム組成物は、二本ローラ、三本ローラ、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、前記ゴム、所望により各種添加剤、導電性付与剤及び発泡剤が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0066】
ゴム組成物は、成形金型に容易にかつ均質に注入することができる等の取扱性に優れる点で、例えば、25℃において、5〜500Pa・sの粘度を有しているのがよく、5〜200Pa・sの粘度を有しているのが特によい。ゴム組成物の粘度は、通常、それらに含まれる各成分の種類及び/又は配合量によって、調整することができる。また、必要により、溶剤等により、粘度を調整することもできる。
【0067】
好ましく使用されるゴム組成物として、例えば、ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物及び付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0068】
前記ミラブル型導電性シリコーンゴム組成物は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び、(C)上記(B)成分に属するもの以外の導電性材料を含有する。
【0069】
SiO(4−n)/2 (1)
ここで、Rは、同一であっても異なっていてもよい、置換又は非置換の1価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。
【0070】
前記付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、(D)一分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(E)一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)平均粒径が1〜30μmで、嵩密度が0.1〜0.5g/cmである無機質充填材と、(G)導電性付与剤と、(H)付加反応触媒とを含有する付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0071】
ローラ20は、弾性層21の外周面に被覆層(図示しない。)を備えていてもよい。被覆層を形成する材料としては、特に制限するものではないが、図9に示される画像形成装置30等にローラ20が使用される場合には、ローラ20は被当接体に当接又は圧接されるから、永久変形しにくい材料であるのが好ましく、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドイミド系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。被覆層は、例えば、1〜100μmの厚さに形成される。
【0072】
ローラ20は、常法により、製造することができ、例えば、シャフト1を作製した後、シャフト1の外周面に、内表面が鏡面構造とされた金型を用いてゴム組成物を加熱成形して、又は、シャフト1と共にゴム組成物を押出成形して、製造することができる。また、ローラ20は、シャフト本体5の外周面に金型を用いてゴム組成物を加熱成形して、又は、シャフト本体5と共にゴム組成物を押出成形して、弾性層21を形成し、次いで、シャフト本体5の両端部にシャフト端部10を嵌入して、製造することもできる。弾性層21の成形条件及び成形方法等は、ゴム組成物が硬化する条件であれば、特に限定されず、また、使用する金型も特に限定されない。
【0073】
このローラ20は、シャフト1の外周面に弾性層21が形成されてなるから、軽量であって、しかも、長期間にわたって高品質な画像を形成することができる。
【0074】
次に、この発明に係るローラを備えた画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図9を参照して、説明する。
【0075】
図9に示されるように、この発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、像担持体31に当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31を帯電させる帯電手段32例えば帯電ローラと、像担持体31の上方に設けられ、像担持体31に静電潜像を形成する露光手段33と、像担持体31に当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31に一定の層厚で現像剤42を供給し、静電潜像を現像する現像手段40と、像担持体31の下方に圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体31から記録紙36上に転写する転写手段34例えば転写ローラと、記録紙36の搬送方向の下流に設けられ、記録紙36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させる定着手段35例えば定着器と、記録紙36に転写されず像担持体31に残留した現像剤42及び/又は像担持体31に付着したゴミ等を除去するクリーニング手段37とを備えている。すなわち、像担持体31は、その回転方向において、上流側から順に、クリーニング手段37、帯電手段32、露光手段33、現像手段40及び転写手段34によって、各作用を受ける。画像形成装置30は、像担持体31の表面に残留している静電潜像を除去する除電手段(図示しない。)を、クリーニング手段37と帯電手段32との間又は転写手段34とクリーニング手段37との間に、備えていてもよい。
【0076】
前記現像手段40は、従来の画像形成装置に備えられた現像手段と基本的に同様に形成され、同様に配置されている。例えば、現像手段40は、図9に示されるように、像担持体31に対向する位置に開口部を有し、現像剤42を収納する現像剤収納部41と、現像剤収納部41内に設けられ、現像剤42を均一に攪拌する攪拌機43と、現像剤収納部41の開口部に、像担持体31に当接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31に現像剤42を一定の層厚で現像剤42を供給する回転可能な現像剤担持体44と、現像剤担持体44の上方に設けられ、現像剤担持体44に当接して現像剤42の層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
【0077】
前記現像剤収納部41に収納される現像剤42、すなわち、この発明に係る画像形成装置30に使用される現像剤42としては、摩擦により帯電可能で、記録紙36に定着可能な一成分系の現像剤であれば、乾式現像剤であっても湿式現像剤であってもよく、また、非磁性現像剤であっても磁性現像剤であってもよい。
【0078】
現像手段40における前記現像剤担持体44は、現像剤規制部材45のブレード46と接触して、現像剤42を帯電させる。したがって、現像剤担持体44は、現像剤規制部材45のブレード46と接触して、現像剤42を帯電させることができるように構成されていればよく、例えば、導電性を有する弾性層を備えた現像ローラ等が挙げられる。例えば、このような現像剤担持体44、特に現像ローラとして、例えば、この発明に係るローラ20を使用することができる。
【0079】
画像形成装置30は、帯電手段32の帯電ローラ、現像剤担持体44の現像ローラ、転写手段34の転写ローラ、定着手段35の定着ローラ、クリーニング手段のクリーニングローラ(図示しない。)、加圧ローラ(図示しない。)、紙送り搬送ローラ(図示しない。)等の各種ローラを備え、これら各種ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係るローラ20が使用されている。好ましくは、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ及び定着ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係るローラ20が使用されている。
【0080】
画像形成装置30は、次にように作用する。なお、現像剤規制部材45は、ブレード46が所定の圧力で現像剤担持体44の表面に当接するように、ブレード46が湾曲されて、現像手段40の開口部に、配置されている。まず、画像形成装置30において、像担持体31が、図9の矢印に示されるように、時計方向に回転しつつ、クリーニング手段37により、その表面の現像剤42及び/又はゴミ等が除去された後、帯電手段32により、一様に帯電される。次いで、露光手段33により画像が露光され、像担持体31の表面に静電潜像が形成される。
【0081】
一方、現像手段40において、攪拌機43により均一に混合された現像剤42が、現像剤担持体44に供給され、現像剤担持体44が図9に示される矢印方向に回転することにより、現像剤担持体44の表面に付着した現像剤42が、現像剤担持体44と現像剤担持体44に当接した現像剤規制部材45のブレード46との間を通過する。このとき、現像剤42は、所望の層厚に規制されると共に、現像剤42を所望のように帯電させることができる。つまり、現像剤42が現像剤担持体44とブレード46との間を通過することによって、現像剤担持体44の表面上における現像剤42の層厚が規制されると共に、現像剤規制部材45のブレード46と現像剤担持体44及び/又は現像剤42との摩擦帯電等により、現像剤担持体44上の現像剤42が所望のように帯電される。
【0082】
次いで、このようにして現像手段40から所望の層厚及び帯電量を有する現像剤42が像担持体31に供給され、像担持体31に形成された静電潜像が現像されて、この静電潜像が現像剤像として可視化される。このようにして、現像手段40は、像担持体31に所望の層厚及び帯電量を有する現像剤42を供給し、静電潜像を現像することができる。次いで、像担持体31上に現像された現像剤像は、図示しない搬送手段により、像担持体31と転写手段34との間に搬送される記録紙36上に、像担持体31及び/又は転写手段34によって転写される。次いで、現像剤像が転写された記録紙36は、図示しない搬送手段により定着手段35に搬送され、定着手段35により加熱及び/又は加圧されて、転写された現像剤像が永久画像として記録紙36に定着される。このようにして、記録紙36に画像を形成することができる。
【0083】
この発明に係る画像形成装置30は、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、クリーニングローラ(図示しない。)、加圧ローラ(図示しない。)、紙送り搬送ローラ(図示しない。)等の各種ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係るローラ20が使用されている。したがって、この発明に係るシャフト1Aを用いて作製したローラ20は、軽量であって、しかも、被当接体に対してその長手方向に渡って均一に作用することができ、高品質の画像を形成することができる。
【0084】
画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色毎の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
外径9.7±0.005mm、軸線方向の長さ12mmの嵌入部12Aと、外径7.5mm、軸線方向の長さ23mmの支持軸13とを有するシャフト端部10Aをステンレス鋼(SUS 304)で作製した。また、外径12mm、厚さ1.3mm、軸線方向の長さ(Lg)235mmの円筒状を成し、内径9.7mm(公差:嵌入部12Aの外径に対して、JIS B0401(1986)における「しばりばめ」の軸の公差域クラス「P6」)の内径拡径領域(軸線方向の長さ12mm)を両端部に形成したシャフト本体5Aをアルミニウムで作製した。次いで、シャフト本体5Aの両端部それぞれにシャフト端部10Aの嵌入部12Aを嵌入して、シャフトIを作製した。
【0086】
このようにして作製したシャフトIは、その全長Lsが281mm、各嵌合部の長さ、すなわち、シャフト本体5Aの両端部とシャフト端部10Aとの軸線方向に沿う嵌入長さLc及びLcがいずれも12mmであり、その合計長さLcは24mmであった。すなわち、このシャフトIにおけるLc/Lgは0.102であり、Lg/Lsは0.83であり、前記式(1)及び(2’)を満たしていた。また、前記方法により測定したシャフトIの振れ(測定点は、シャフトIの略中央部と、シャフトIの両端部から5mmの両端部近傍との合計3点)は0.03%であり、全質量は45gであった。
【0087】
(実施例2)
前記嵌入部12Aの軸線方向の長さ及び内径拡径領域の軸線方向の長さをいずれも3mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトIIを作製した。このシャフトIIのLc/Lgは0.026であり、Lg/Lsは0.83であり、実施例1と同様にして測定したシャフトIIの振れは0.05%であり、全質量は34gであった。
(実施例3)
前記嵌入部12Aの軸線方向の長さ及び内径拡径領域の軸線方向の長さをいずれも22mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトIIIを作製した。このシャフトIIIのLc/Lgは0.187であり、Lg/Lsは0.83であり、実施例1と同様にして測定したシャフトIIIの振れは0.03%であり、全質量は59gであった。
【0088】
(実施例4)
前記支持軸13の軸線方向の長さを36mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトIVを作製した。このシャフトIVのLc/Lgは0.102であり、Lg/Lsは0.76であり、実施例1と同様にして測定したシャフトIVの振れは0.04%であり、全質量は62gであった。
(実施例5)
前記支持軸13の軸線方向の長さを8mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトVを作製した。このシャフトVのLc/Lgは0.102であり、Lg/Lsは0.93であり、実施例1と同様にして測定したシャフトVの振れは0.03%であり、全質量は36gであった。
【0089】
(実施例6)
シャフト本体をステンレス鋼(SUS 304)で作製した以外は、実施例1と同様にして、シャフトVIを作製した。実施例1と同様にして測定したシャフトVIの振れは0.03%であり、全質量は58gであった。
【0090】
(比較例1)
前記シャフト本体5Aを中実の円筒状に形成した以外は、実施例1と同様にして、シャフトVIIを作製した。このシャフトVIIの場合、中実のシャフト本体5Aの全長を、Lc、すなわち、シャフト本体5Aの両端部とシャフト端部10Aとの軸線方向に沿う嵌入長さの合計長さとみなした。したがって、このシャフトVIIのLc/Lgは1であった。実施例1と同様にして測定したシャフトVIIの振れは0.02%であり、全質量は154gであった。
【0091】
(比較例2)
前記嵌入部12Aの軸線方向の長さ及び内径拡径領域の軸線方向の長さをいずれも2mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトVIIIを作製した。このシャフトVIIIのLc/Lgは0.017であり、Lg/Lsは0.83であり、実施例1と同様にして測定したシャフトVIIIの振れは0.10%であり、全質量は30gであった。
(比較例3)
前記嵌入部12Aの軸線方向の長さ及び内径拡径領域の軸線方向の長さをいずれも25mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトIXを作製した。このシャフトIXのLc/Lgは0.213であり、Lg/Lsは0.83であり、実施例1と同様にして測定したシャフトIXの振れは0.03%であり、全質量は66gであった。
【0092】
(比較例4)
前記支持軸13の軸線方向の長さを40mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、シャフトXを作製した。このシャフトXのLc/Lgは0.102であり、Lg/Lsは0.746であり、実施例1と同様にして測定したシャフトXの振れは0.07%であり、全質量は71gであった。
【0093】
これらのシャフトI〜Xをトルエンで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理したシャフトI〜Xを、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、シャフトI〜Xの表面にプライマー層を形成した。
【0094】
一方、メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部と、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部と、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部と、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL200」、平均一次粒径12μm、嵩密度50g/L、日本アエロジル株式会社製)15質量部と、白金触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部と、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2質量部とを混合し、加圧ニーダーで混練して、導電性ゴム組成物を調製した。
【0095】
次いで、プライマー層を形成したシャフトI〜Xと導電性ゴム組成物とを、クロスヘッド型押出成形機にて一体分出し、ギヤオーブンを用いて、250℃、30分間加熱した。その後、さらに、ギヤオーブンを用いて、200℃で4時間にわたって、二次加熱し、常温にて24時間放置した。次いで、円筒研削盤にて、形成した弾性層の直径が20mmとなるように、弾性層の表面を研磨した。
【0096】
このようにして形成した弾性層の電気抵抗値及びJIS A硬度を前記方法により、測定したところ、電気抵抗値は2×10Ω・cmであり、JIS A硬度は40であった。
【0097】
次いで、弾性層の表面に、シリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.19」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマーが塗布された弾性層の表面に、ウレタン系塗料(商品名「ニッポラン5196」、日本ポリウレタン株式会社製)100質量部と、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL 200」、日本エアロジル株式会社製)25質量部と、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)15質量部と、イソシアネート系架橋剤14質量部とを含有する樹脂組成物の塗布液を、スプレーコーティング法によって、一回塗布し、150℃で30分間加熱し、プライマーとウレタン系塗料とを架橋及び/又は硬化させて、層厚10μmのコート層を形成した。このようにして、ローラI〜Xを作製した。
【0098】
このようにして作製したローラI〜Xをそれぞれ準備し、図9に示される電子写真式プリンター(ブラザー工業株式会社製、商品名「HL−1850」)における現像剤担持体(現像ローラ)として装着した。なお、現像剤及び現像剤規制部材は、電子写真式プリンターに付属の現像剤及びブレードを用いた。この電子写真式プリンターを、温度20℃、相対湿度50%の環境下で、10,000枚の印字を行い、1,000枚ごとに1枚ずつ記録紙を抜き出し、印刷された画像の品質を確認した。その結果、シャフトI〜VII及びIXを用いたローラI〜VII及びIXは、いずれの記録紙においても、「かすれ」及び「白抜け」等が生じることなく、高品質の画像が形成されていたのに対して、シャフトVIII及びXを用いたローラVIII及びXは、記録紙に、「かすれ」又は「白抜け」等が生じることがあった。その理由として、ローラI〜VII及びIXは、振れが小さく、これらのローラI〜VII及びIXと像担持体(感光体)との距離がローラI〜VII及びIXの軸線方向において一定となり、その結果、ローラI〜VII及びIX上に担持された現像剤が前記軸線方向において均一に像担持体に移行したのに対して、ローラVIII及びXは、振れが大きく、これらのローラVIII及びXと像担持体(感光体)との距離がローラVIII及びXの軸線方向において一定とならないから、ローラVIII及びX上に担持された現像剤が前記軸線方向において像担持体に均一に移行しにくく、その結果、形成された画像に「かすれ」又は「白抜け」等が生じたと推定される。
【0099】
また、シャフトVII及びIXは、その質量が大きく、画像形成装置における小型化、画像の高精細化及び印刷速度の高速化等の性能に十分に貢献し得ないことが予想された。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、この発明に係るローラ用中空シャフトの一実施例を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、この発明に係るローラ用中空シャフトの一実施例における断面を示す概略断面図である。
【図3】図3は、この発明に係るローラ用中空シャフトの別の一実施例における断面の一部を示す概略断面図である。
【図4】図4は、この発明に係るローラ用中空シャフトのまた別の一実施例を示す概略斜視図である。
【図5】図5は、この発明に係るローラ用中空シャフトのまた別の一実施例における断面の一部を示す概略断面図である。
【図6】図6は、この発明に係るローラ用中空シャフトのさらに別の一実施例における断面を示す概略断面図である。
【図7】図7は、この発明に係るローラ用中空シャフトのさらにまた別の一実施例における断面の一部を示す概略断面図である。
【図8】図8は、この発明に係るローラの一実施例を示す斜視図である。
【図9】図9は、この発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0101】
1、1A、1B、1C、1D、1E ローラ用中空シャフト
5、5A、5B シャフト本体
6 嵌合部
10A、10B、10C シャフト端部
11 フランジ部
12A、12B 嵌入部
13 支持軸
15 固定手段
20 ローラ
21 弾性層
30 画像形成装置
31 像担持体
32 帯電手段
33 露光手段
34 転写手段
35 定着手段
36 記録紙
37 クリーニング手段
40 現像手段
41 現像剤収納部
42 現像剤
43 攪拌機
44 現像剤担持体
45 現像剤規制部材
46 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシャフト本体と、前記シャフト本体の両端部に嵌入されるシャフト端部とを有するローラ用中空シャフトであって、
前記シャフト本体の両端部と前記シャフト端部との軸線方向に沿う嵌入長さの合計長さLc及び前記シャフト本体の全長Lgの関係が下記式(1)を満たし、かつ、前記シャフト本体の全長Lg及び前記ローラ用中空シャフトの全長Lsの関係が下記式(2)を満たすことを特徴とするローラ用中空シャフト。
(1) 0.025<Lc/Lg<0.20
(2) 0.75<Lg/Ls≦1
【請求項2】
前記シャフト端部は、前記シャフト端部と軸を共有する支持軸を有することを特徴とする請求項1に記載のローラ用中空シャフト。
【請求項3】
前記シャフト本体と前記シャフト端部とは、同一材料で形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラ用中空シャフト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のローラ用中空シャフトの外周面に弾性層を備えたことを特徴とするローラ。
【請求項5】
請求項4に記載のローラを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−133888(P2008−133888A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320040(P2006−320040)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【復代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
【Fターム(参考)】