説明

ローラ部材の破断強度測定装置及び破断強度測定方法

【課題】ローラ部材の中心軸とその外周に接合される弾性層との破断トルクを精度良く確実に測定可能な破断強度測定装置を提供する。
【解決手段】一対の案内部材12A、12Bは、前記支持部材6A、6B上に支持された前記ゴムローラ1の軸線Lを挟んで上下方向に平行に配設された案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbを有しており、当該案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbに沿って前記上部及び下部固定部材10、11の両側面10c、10d、11c、11dを上下方向(矢印B方向)に摺接させながら上部及び下部固定部材10、11を挟持し、案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbと平行な立壁を有する両側面10c、10d、11c、11dと当接して前記上部及び下部固定部材の回転を阻止する回り止め部13Aa、13Ab、13Ba、13Bbが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心軸の外周に弾性層を接合したローラ部材の当該中心軸と弾性層との接合部の破断強度を測定する破断強度測定装置及びこれを用いた破断強度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置の定着装置において使用される加圧ローラは、金属製の中心軸の外周に弾性ゴム等の弾性層が形成されたローラ部材が使用されている。このようなローラ部材は、金属製の中心軸に円筒状の弾性部材の内周に金属製の中心軸を圧入したり、金属製中心軸の外周に接着剤等を塗布して弾性部材の内周に嵌入させ、中心軸と弾性部材の内周とを接合させて製造されている。このようにして製造されたローラ部材の中心軸と弾性部材との接合力を測定して製品の合否判定や事故原因の解析等が行われている。
このようなローラ部材の中心軸と円筒状ゴムとの接着部における破断トルクを測定する回転トルク測定用治具が提案されている。(例えば、特許文献1参照)この特許文献1記載のものでは、ゴムローラの円筒状ゴムを外囲いする半割り型筒体と、この半割り型筒体を締結しあう微調整用止めネジと、さらに半割り型筒体の周壁の複数個所から螺挿され推進端をかかる円筒状ゴムの外周面に押し付ける複数本のクボミ先ネジとよりなる工具係止用治具を使用し、工具係止用治具の外周のデジタルトルクレンチ係止用のダボを形成し、このダボにデジタルトルクレンチを係合し、ゴムローラの中心軸を万力で固定し、デジタルトルクレンチを回転させてローラ軸と円筒状ゴムとの接着部における破断トルクを測定することによって一人の作業で精度よく破断トルクを測定できるようになっている。
【特許文献1】特開平8−219911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載のものでは、中心軸を固定し、工具係止用治具を回転させて破断トルクを測定するようにしているために、万力での中心軸の固定方法によっては、万力と中心軸とがスリップして破断トルクが精度良く測定することが困難となるという問題がある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、ローラ部材の中心軸とその外周に接合される弾性層との破断トルクを精度良く確実に測定可能な破断強度測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、ローラ軸の中心軸とその外周に接合される弾性層との接合部の軸線方向の破断強度の分布を測定することが可能な破断強度測定方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、中心軸の外周に弾性層を接合したローラ部材の当該中心軸と弾性層との接合部の破断強度を測定する破断強度測定装置において、台座と、当該台座上に植立されて前記ローラ部材の中心軸の両端部を回転自在に支持する支持部材と、当該支持部材上に支持された前記ローラ部材の軸方向に前記台座上で摺動自在に配設された回転トルク測定手段と、当該回転トルク測定手段の入力側回転軸と連結され、当該入力側回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記回転トルク測定手段の出力側回転軸と連結され、前記支持部材上に支持された前記ローラ部材の中心軸とを連結する継ぎ手手段と、前記ローラ部材の弾性層の周方向で上下に分割された外周面に沿った湾曲状の凹面をそれぞれ前記ローラ部材の軸方向に延設し、当該各凹面に前記ローラ部材の弾性層の外周面を固定する固定手段を有した柱状の上部固定部材と下部固定部材と、前記台座上に前記軸方向に離隔して植立され、前記支持部材上に支持された前記ローラ部材の軸線を挟んで上下方向に平行に配設された案内面を有して、当該案内面に沿って前記上部及び下部固定部材を上下方向に摺動自在に挟持する一対の第1の案内部材と、当該第1の案内部材の少なくとも一方に形成される前記案内面と前記上部及び下部固定部材のそれぞれの両側面と当接して前記上部及び下部固定部材の回転を阻止する回り止め部と、前記下部固定部材を前記第1の案内部材で挟持したときに、下部固定部材の下方への移動を規制する下部規制部材とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の破断強度測定装置において、前記継ぎ手手段は、一方向クラッチ手段であり、前記ローラ部材の中心軸と連結する連結部が前記回転トルク測定手段の出力側回転軸の回転方向に回転されたときに、前記ローラ部材の中心軸と連結し、前記回転トルク測定手段の出力側回転軸の回転方向と逆方向に回転されたときに、前記ローラ部材の中心軸との連結を解除することを特徴とする。
【0005】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の測定装置において、前記固定手段は、前記弾性層の外周面を接着剤で前記凹面に接着固定する接着剤層、前記弾性層の外周面に突き刺して前記凹面に固定する複数の突起を有する突起層及び前記弾性層の外周面を前記凹面にエア吸着によって固定するエア吸着部の何れかであることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3記載の破断強度測定装置において、前記固定手段は、前記凹面の周方向において複数列で形成されていることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4記載の破断強度測定装置において、前記固定手段は、両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであり、一方の粘着剤層は、前記凹面に粘着され、他方の粘着剤層は、前記弾性層の外周面に粘着されることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項記載の破断強度測定装置において、前記上部及び下部固定部材の凹面で前記ローラ部材を挟持しながら前記上部及び下部固定部材を前記一対の第1の案内部材で挟持して前記下部固定部材を所定位置に位置決めしたとき、前記上部固定手段の自重をキャンセルする上部固定手段の引き上げ手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項7の発明は、請求項6記載の破断強度測定装置において、前記上部固定部材は、当該上部固定部材を上下方向に摺動自在に案内する一対の第2の案内手段に取り付けられ、当該第2の案内手段は、前記上部固定部材が下降して、前記引き上げ手段による当該上部固定部材の自重をキャンセルする位置に当該上部固定部材が到達したことを検知する検知手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1項記載の破断強度測定装置において、前記上部固定部材は、当該上部固定部材を上下方向に摺動自在に案内する一対の第2の案内手段に取り付けられ、当該第2の案内手段は、前記固定部材を下降させたときに、前記上部固定部材を前記第1の案内手段の案内面間に嵌入可能な位置に配設されていることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項8記載の破断強度測定装置において、前記第2の案内手段の上部固定部材の取り付け部に根元部と根元部より広幅の鍔部を有する鍵状係止部を有し、前記上部固定部材の上面に、前記鍵状係止部の鍔部の導入を許容する第1の開口と当該第1の開口に連通する第1の開口より狭幅で前記鍵状係止部の根元部導入を許容する第2の開口を有する係合部を形成し、前記鍵状係止部を前記上部固定部材の第1の開口内に嵌入させ、当該鍵状係止部の鍔部が前記第2の開口に位置するように前記上部固定部材を移動させて前記上部固定部材の取り付け部に上部固定部材を係止することを特徴とする。
【0007】
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか1項記載の破断強度測定装置において、前記上部固定部材及び下部固定部材の少なくとも一方の側面に、前記上部及ぶ下部固定部材の凹面に固定されたローラ部材から前記上部及び下部固定部材の少なくとも一方を分離するための分離手段を係合する係合穴を形成したことを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れか1項記載の破断強度測定装置において、前記回転トルク測定手段の入力側回転軸と前記回転駆動手段との間にトルクリミッタを介在させて連結したことを特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れか1項記載の破断強度測定装置において、前記回転駆動手段は、電動モータまたはハンドルを回転して回転軸を回転させる手動回転手段であることを特徴とする。
また、請求項13の発明は、中心軸の外周に弾性層を接合したローラ部材の当該中心軸と弾性層との接合部の軸線方向の破断強度の分布を測定する破断強度測定方法において、前記ローラ部材の弾性層の外周面に、当該ローラ部材の軸線方向に所定長さの直線状のマーキングを形成し、請求項1乃至12の何れか1項記載の破断強度測定装置を使用し、前記上部及び下部固定部材の凹面に所定強度の固定力で前記ローラ部材の弾性層を固定し、前記回転駆動手段によって回転トルク測定手段を経由して前記ローラ部材の中心軸に回転トルクを付与し、前記直線状マーキングの変形状態を観察することによって当該中心軸と弾性層との軸線方向の所定長の接合部におけるに破断強度分布を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、台座と、当該台座上に植立されて前記ローラ部材の中心軸の両端部を回転自在に支持する支持部材と、当該支持部材上に支持された前記ローラ部材の軸方向に前記台座上で摺動自在に配設された回転トルク測定手段と、当該回転トルク測定手段の入力側回転軸と連結され、当該入力側回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記回転トルク測定手段の出力側回転軸と連結され、前記支持部材上に支持された前記ローラ部材の中心軸とを連結する継ぎ手手段と、前記ローラ部材の弾性層の周方向で上下に分割された外周面に沿った湾曲状の凹面をそれぞれ前記ローラ部材の軸方向に延設し、当該各凹面に前記ローラ部材の弾性層の外周面を固定する固定手段を有した柱状の上部固定部材と下部固定部材と、前記台座上に前記軸方向に離隔して植立され、前記支持部材上に支持された前記ローラ部材の軸線を挟んで上下方向に平行に配設された案内面を有して、当該案内面に沿って前記上部及び下部固定部材を上下方向に摺動自在に挟持する一対の第1の案内部材と、当該第1の案内部材の少なくとも一方に形成される前記案内面と前記上部及び下部固定部材のそれぞれの両側面と当接して前記上部及び下部固定部材の回転を阻止する回り止め部と、前記下部固定部材を前記第1の案内部材で挟持したときに、下部固定部材の下方への移動を規制する下部規制部材とを備えることによって、ローラ部材の中心軸とその外周に接合される弾性層との破断トルクを精度良く確実に測定可能な破断強度測定装置及びこれを用いた破断強度測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による破断強度測定装置で破断強度が測定されるローラ部材であるゴムローラの概略構成を示す図で、図2は、図1のA−A線上で切断した断面図である。被測定物であるゴムローラ1は、画像形成装置の定着装置で使用される加圧ローラであり、中心軸であるステンレス鋼等の金属製の芯金2の外周に、ゴム、発泡部材等からなる円筒状の弾性層3が粘着剤層等の接合部材で接合されて構成されている。このようなゴムローラ1は、芯金2の回転軸2aが回転されたときに、弾性層3が芯金2と一体に回転する必要から、弾性層3と芯金2との接合部4で弾性層3が芯金2に強固に接合されている必要があり、長期の使用とともに、この接合部4が劣化し、所定の接合力を発揮できなくなる等の問題が発生する。そのため、このゴムローラ1の製造時、あるいは、使用中の問題発生時、ゴムローラ1の接合力を測定して、問題解析を行うなどが行われている。
本発明においては、このようなゴムローラ等のローラ部材の中心軸とその外周に接合される弾性層の接合力、即ち、中心軸と弾性層との接合部における破断強度を測定する測定装置を提供しようとするものである。
【0010】
図3は、本発明による一実施形態の中心軸と弾性層との接合部における破断強度を測定する測定装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係る破断強度測定装置は、台座5上に植立されてゴムローラ1の芯金2の両端部に形成された回転軸2aを回転自在に支持する支持部材6A、6Bと、当該支持部材6A、6B上に支持されたゴムローラ1の軸方向(矢印A方向)に前記台座5上で摺動自在に配設されたトルク変換機等の回転トルク測定手段7と、当該回転トルク測定手段7の入力側回転軸7aと連結され、当該入力側回転軸7aを回転駆動する回転駆動手段8と、前記回転トルク測定手段7の出力側回転軸7bと連結され、前記支持部材6上に支持されたゴムローラ1の回転軸2aとを連結する継ぎ手手段9とを備えている。
【0011】
図4に示すように、支持部材6A、6Bの先端には、V溝部6Aa、6Baが形成されており、これらのV溝部6Aa、6Ba内にゴムローラ1の回転軸2aをそれぞれ載置して回転自在にゴムローラ1を支持している。さらに支持部材6A、6Bの側方には、それぞれ支柱24A、24Bの上面上に摺動自在に回転軸2aの押え部材25A、25Bが取り付けられており、レバー25Aaを把持してC方向に突出させて、押え部材25A、25Bの底面をゴムローラ1の回転軸2aに回転自在に摺接させ、ゴムローラ1の支持部材6A及び6BのV溝部6Aa、6Baからの離脱を防止するようにしている。そして、レバー25Baを左方に移動させて押え部材25Bを退入させることで、ゴムローラ1の支持部材6B、のV溝部6Baからの取り外し、またはセットを容易に行うことが可能となっている。なお、図4では、支持部材6B、支柱24B、レバー25Bのみを示しているが、支持部材6Aでも同様な構造となっている。
【0012】
また、ゴムローラ1の弾性層3の周方向で上下に分割された外周面3aに沿った湾曲状の凹面10a及び11aをそれぞれ前記ゴムローラ1の軸方向に延設し、当該各凹面10a及び11aに前記ゴムローラ1の弾性層3の外周面3aを固定する両面に粘着剤層を有する両面テープ等の固定手段10b及び11bを有した柱状の上部固定部材10と下部固定部材11とを備えている。これらの上部固定部材10と下部固定部材11は、前記台座5上に前記軸方向に離隔してネジ止めして植立された一対の案内部材12A、12Bによって上下方向(矢印B方向)で摺動自在に保持されている。一対の案内部材12A、12Bは、図5及び図6に示すように、前記支持部材6A、6B上に支持された前記ゴムローラ1の軸線Lを挟んで上下方向に平行に配設された案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbを有しており、当該案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbに沿って前記上部及び下部固定部材10、11の両側面10c、10d、11c、11dを上下方向(矢印B方向)に摺接させながら上部及び下部固定部材10、11を挟持している。さらに、案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbは、上部及び下部固定部材10、11がゴムローラ1の回転力によって回転されたとき、前記上部及び下部固定部材10、11のそれぞれの対向する案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbと平行な立壁を有する両側面10c、10d、11c、11dと当接して前記上部及び下部固定部材の回転を阻止する回り止め部13Aa、13Ab、13Ba、13Bbが形成されている。
【0013】
さらに、前記下部固定部材11を前記第1の案内部材12A、12Bで挟持したときに、下部固定部材11の下方への移動を規制する下部規制部材14A、14Bとを備えている(図3参照)。なお、本実施形態においては、上部及び下部固定部材10、11の回り止め部13Aa、13Ab、13Ba、13Bbは、第1の案内部材12A、12Bの両方に形成しているが、上部及び下部固定部材10、11の回転を阻止する回り止め部は、第1の案内部材12A、12Bの少なくとも一方、例えば、継ぎ手手段9に近い方側の第1の案内部材12Aに形成されていれば十分である。しかし、より確実に上部及び下部固定部材10、11の回転を阻止するには、両側の第1の案内部材12A、12Bに形成することが望ましい。
【0014】
上部固定部材10は、図7及び図8に示すように、一対のシャフト部材15A、15Bの後端15Ab、15Bbに取り付けられている。これらの一対のシャフト部材15A、15Bは、台座5上にネジ止め等で植立された一対の支持柱部材16A、16Bから側方に突出させた支持板部17上に所定間隔で離隔した位置に取り付けられたスラスト軸受18A、18Bに嵌合されて上下方向(B方向)に摺動自在に取り付けられている(第2の案内手段)。支持板部17の先端には、バネ端係止部17aが取り付けられており、このバネ端係止部17aに一端が係止され、他端が上部固定部材10から側方に突出させたバネ端係止部10eに係止されて上方に上部固定部材10を引張するバネ部材20が取り付けられている。このバネ部材20による上部固定部材10の上方への引張によって、上部固定部材10の荷重が被測定物であるゴムローラ1に印加されることを抑制して、より高精度でゴムローラ1の破断強度を測定することを可能にしている。このようなバネ部材20による上部固定部材10のゴムローラ1への無負荷処置は、バネ部材20に限らず、ソレノイド等による上部固定部材10の荷重分を上方に引き上げを行う引き上げ手段を使用することによってもなし得る。
また、支持板部17の中央部上には、支持柱部21が植立されており、その先端には、矢印D方向に回動可能なストッパー部22が取り付けられている(図8参照)。シャフト部材15A、15Bの先端15Aa、15Baは、連結板部19によってネジ止めされて連結されており、ストッパー部22が、ゴムローラ1の軸線Lと直交方向に回動されたとき、連結板部19と当接して連結板部19の上方への移動を阻止するようになっており、シャフト部材15A、15Bのスラスト軸受18A、18Bからの脱却を防止している。
【0015】
前記一対のシャフト部材15A、15Bは、その中心線S1、S2が支持部材6A、6Bにゴムローラ1を設置したときの軸線Lと直交する位置に配設されており、シャフト15A、15Bの後端15Ab、15Bbに上部固定部材10を取り付け、上部固定部材10を下降させたとき、上部固定部材10の側面10c、10dが第1の案内部材12A、12Bの案内面12Aa、12Ab及び12Ba、12Bb間内に導入可能となっている。従って、上部固定部材10をシャフト部材15A、15Bの後端15Ab、15Bbに第1の案内部材12A、12B上で取り付け、その後、上部固定部材10を第2の案内部材であるシャフト部材15A、15Bがスラスト軸受18A、18Bで案内されて下降させると、上部固定部材10の側面10c、10dが自動的に第1の案内部材12A、12Bの案内面12Aa、12Ab及び12Ba、12Bbとの間に嵌挿される。このように、上部固定部材10の側面10c、10dが第1の案内部材12A、12Bの案内面12Aa、12Ab及び12Ba、12Bbとの間に嵌挿されると上部固定部材10の凹面10aに配設された固定手段10b(この実施形態においては、両面テープの粘着剤層)が支持部材6A、6Bで支持されたゴムローラ1の弾性層3の外周面3aと当接、粘着し、上部固定部材10にゴムローラ1を粘着固定することができる。
【0016】
なお、図7に示す23は、上部固定部材10のネジ孔10fに螺合された取手であり、この取手23を使用者が把持して、上部固定部材10を上下方向に容易に移動可能としている。また、本実施形態においては、図9に示すように、上部固定部材10の側面10cから上部固定部材10の下降端検出用の突起部(ドグ)29が取り付けられており、支持板部17を支持している支持柱部材16Aには、下降端検出用突起部29が当接、押圧したことを検出する検知手段30が取り付けられ、上部固定部材10が下降した際、下降端検出用突起部29が検出手段30を押圧して、所定位置まで下降したことを図示しない表示手段で測定者に知らせることが可能となっている。この検出手段30によって下降端検出用突起部29を検出したときに、上部固定部材10の自重とバネ部材20による引張力とが釣り合い被測定物であるゴムローラ1の弾性層3の外周面3aには上部固定部材10の荷重が印加されない状態、即ち、無負荷状態でゴムローラ1の接合部4の接合力を測定することが可能となり、高精度の測定を可能としている。
同様に、下部固定部材11にも、その底面11fと下部規制部材14Aに取り付けられたバネ係止部39a、39bとの間に引張バネ部材40を介在させて下部固定部材11を下方に引張し、極力、下部固定部材11の荷重がゴムローラ1に印加されないようにしている。しかし、この下部固定部材11の無負荷処置は、必ずしも必要でなく、必要に応じて使用することができる。
【0017】
本実施形態においては、シャフト部材15A、15Bの後端15Ab、15Bbへの上部固定部材10の取付及び取り外しを容易に行うためにシャフト部材15A、15Bの後端15Ab、15Bbと上部固定部材10の取り付け部に工夫をしている。図10は、上部固定部材10の上面図で、上部固定部材10の上面に形成された係合部27A及び27Bが形成されている。係合部27Aは、シャフト部材15Aの後端15Abと、また、係合部27Bは、シャフト部材15Bの後端15Bbに係合されて取り付けられる。係合部27A、27Bとシャフト部材15A、15Bの後端15Ab、15Bbとの取り付け構造は、同一であるので、図11に基づいて、係合部27Aとシャフト部材15Aの後端15Abとの関係について説明する。
【0018】
シャフト部材15Aの後端15Abには、直径d1の幅を有する円柱状の根元部26aと根元部26aより広幅のd2の直径を有する円盤状の鍔部26bを備えた鍵状係止部26を突出させている。一方、係合部27Aには、鍵状係止部26の鍔部26の直径d2より大きい直径d3を有する円形状の第1の開口27A1と鍵状係止部26の根元部26aより大きいが、鍔部26bより小さい直径を有する円形状の第2の開口27A2が形成され、これら第1及び第2の開口27A1、27A2が連通したダルマ状の開口が形成された押え板27aが、鍔部26bを収納可能な凹部27bを閉塞するように取り付けられている。従って、シャフト部材15Aの後端15Abに取り付けられた鍵状係止部26を係合部27Aの第1の開口27A1から挿入し、図10に示すように、右方向(矢印E方向)に上部固定部材10を移動させると、鍵状係止部26の根元部26aが係合部27の第2の開口27A2に移動する。その結果、第2の開口27A2では、鍵状係止部26の鍔部26bが第2の開口27A2に係止され、上部固定部材10のシャフト部材15Aからの脱落が阻止される。反対に、上部固定部材10をシャフト部材15Aから取り外すには、上部固定部材10を前記E方向と反対方向に移動させ、鍵状係止部26の鍔部26bを第1の開口27A1に位置するようにすれば、鍵状係止部26と押え板27aとの係止が解除されて、容易にシャフト部材15Aから上部固定部材10を取り外すことが可能となる。
【0019】
同様な取り付け構造が下部固定部材11と下部規制部材14A、14Bに採用されており、図3に示すように、矢印E方向に移動させることによって、下部固定部材11の底部11eと下部規制部材14A、14Bの先端取り付け部14Aa、14Baとを容易に、取り付け、取り外しが可能となる。
下部固定部材11は、下部規制部材14A、14Bによって、第1の案内部材12A、12Bの案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bb内での下降を規制されているが、下部固定部材11の凹面11bに形成された固定手段11bを支持部材6A、6Bで支持されたゴムローラ1の弾性層3の外周面3aを固定保持する必要がある。そのため、本実施形態においては、前述のように、支持部材6A、6Bで支持されたゴムローラ1の弾性層3の外周面3aを上部固定部材10で粘着、固定した状態で、下部固定部材11を上方に押し上げてゴムローラ1の弾性層3の外周面3aに下部固定部材11の凹面11bに形成された固定手段を当接させて固定している。
【0020】
図3に示すように、下部固定部材11を上方に押し上げるための押し上げ手段28が第1の案内部材12A、12Bの中間位置に取り付けられている。押し上げ手段28は、台座5上に植立された支持台28a上に回転軸28bが回転自在に取り付けられ、回転軸28bの一端にはカム28cが取り付けられ、他端には、回転軸28bを回転させるハンドル28dが取り付けられている。カム28cは、長軸辺28c1と短軸辺28c2を有しており、図12に示すように、カム28cの外周面が下部固定部材11の底面11fと当接し、ハンドル28dを回転させることによってカム28cの外周面が短軸辺28c2から長軸辺28c1に変更させて下部固定部材11を上方に押し上げるようになっている。例えば、図3に示すように、ハンドル28dが水平位置P1のときは、カム28cの外周面が短軸辺28c2となり、前述の引張バネ部材40により下方に引張された下部固定部材11が下降して下部規制部材14A、14Bで設定された高さとなる。一方、ハンドル28dを回転させてカム28cの外周面を長軸辺28c1に変更すると、前記引張バネ部材40の引張力に抗して下部固定部材11は、上方押し上げられ、下部固定部11の凹面11aの固定手段11bとゴムローラ1の外周面3aとが当接し、粘着固定する。このように、下部固定部材11へのゴムローラ1の外周面への固定が片手で確実に行うことが可能となる。
【0021】
なお、本実施形態においては、上部固定部材10及び下部固定部材11の凹面10a、11aに形成される固定手段としては、前述のように、基材の両面に粘着剤層を形成した両面テープを使用し、一方の粘着剤層を凹面10a、10bに粘着し、他方の粘着剤層をゴムローラ1の外周面3aに粘着させてゴムローラ1の外周面3aを凹面10a、11aに固定している。しかし、この両面テープのほか、凹面10a、11aに複数の針状突起部を形成し、この針状突起部をゴムローラ1の外周面3aに突き刺してゴムローラ1の外周面3aに固定する方法や、凹面10a、11aにエアを吸引する複数のエア吸引孔を形成し、このエア吸引孔でゴムローラの外周面3aを吸引保持して固定する方法であっても良い。また、上記実施形態においては、粘着剤によってゴムローラ1の外周面3aを粘着、固定したが、加熱、水分等で固化する接着剤であっても良い。本発明においては、接着とは、加熱、水分等で固化する接着に限らず、固化しない粘着も包含するものである。
また、上部固定部材10及び下部固定部材11の凹面10a、11aに形成される固定手段は、凹面10a、11a全面に形成しても良いが、凹面10a、11aからゴムローラ1の外周面3aの取り外しを考慮した場合、凹面10a、11aの周方向で中央部と両端部、又は両端部等複数列で部分的に配設することが好ましい。
本発明においては、前述のように、ゴムローラ1の外周面3aを上下固定部材10、11で固定し、ゴムローラ1の中心軸2を回転させて、中心軸2と弾性層3との接合部4の破断抵抗を測定するようにしている。この場合のゴムローラ1への回転力の付与手段について、図13に基づいて説明する。
【0022】
図13は、ゴムローラ1への回転力を付与する回転駆動機構の概略構成を示す図である。本実施形態においては、ゴムローラ1への回転力を付与する回転駆動手段としては、支持台31上に軸受を介して回転自在に取り付けられた回転軸32に、トルクリミッタ33を介して取り付けられたハンドル34が使用されている。ハンドル34を手動で回転させることによって、回転軸32が回転され、必要以上の回転力が加えられたときに、トルクリミッタ33で回転軸32の回転が所定の回転力に低減され、過剰な回転力がその後に連結される回転トルク測定手段7に印加されて破損することを防止している。この場合、回転駆動手段としてハンドル34による手動回転駆動手段に変えて、電動モータ等の他の回転駆動手段も使用可能である。
また、回転軸32の他方には、屈曲可能な継ぎ手手段35によって回転トルク測定手段7の入力側回転軸7aと連結され、回転トルク測定手段7の出力側回転軸7bは、屈曲可能な継ぎ手手段9によって、ゴムローラ1の回転軸2aと連結されている。従って、ハンドル34の回転によって回転力がゴムローラ1の回転軸2aに印加され、ゴムローラ1の接合部4での破断が生じるまでの回転トルクを回転トルク測定手段7で測定することによって、ゴムローラ1の接合部4の接合力を測定することが可能となる。
【0023】
本実施形態においては、回転トルク測定手段7の出力側回転軸7bとゴムローラ1の回転軸2aとを連結する継ぎ手手段9として、一方向クラッチを使用している。一方向クラッチ9は、出力側回転軸7bの回転方向に連結部9aを回転させることによって、連結部9aにおけるゴムローラ1の回転軸2aに対する締め付け力が増して確実に連結する。一方、一方向クラッチ9の連結部9aを出力側回転軸7bの回転方向と反対側に回転することによって、前記締め付け力が緩んで容易にゴムローラ1の回転軸2aとの連結を解除することが可能となる。このように、一方向クラッチ9の連結部9aを回転させることで、容易かつ確実に連結、解除を可能とする。
また、前記支持台31と回転トルク測定手段7は、台板36上に取り付けられ、台板36は、基台5上に取り付けられたレール37上に取り付けられたスライダー38上に取り付けられ、ゴムローラ1の軸方向Aに摺動自在に取り付けられている。従って、台板36をA方向に摺動させることによって、容易に、ゴムローラ1の回転軸2aと一方向クラッチ9と連結及び解除動作を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態においては、図14に示すように、上部固定部材10と下部固定部材11の右方端に、これらの固定部材10、11の凹面10a、10b内の粘着テープからなる固定手段10b、11bからゴムローラ1の外周面3aを容易に引き離すために、棒状体等の分離手段を挿入するための透孔10h、11hが形成されている。ゴムローラ1の破断強度を測定後、前述のように、ゴムローラ1を固定した状態で上部固定部材10と下部固定部材11をそれぞれシャフト部材15A、15B及び下部規制部材14A、14Bから取り外したときに、透孔10h、11hに棒状体を挿入し、これらの棒状体間を分離するように両側に引張することによって、無理なく、ゴムローラ1と上部及び下部固定部材10、11を分離することが可能になる。
【0024】
次に、本実施形態の破断強度測定装置を使用して、ゴムローラ1の破断強度を測定する手順について説明する。
上部固定部材10及び下部固定部材11の凹面10a及び11aの内面両端部に全長に亘ってそれぞれ両面テープの一方の粘着層を粘着して2列(2条)の粘着テープ10bを取り付ける。このように、粘着テープ10bを取り付けた上部固定部材10を、図10及び図11で示したような取り付け部でシャフト部材15A、15Bの後端15Ab、15Bbに取り付けられた鍵状係止部26に上部固定部材15Aの上面に形成された係合部27A、27B内に係合して上部固定部材10をシャフト部材15A、15Bに取り付ける。同時に、上部固定部材10のバネ係止部10eと支持板17のバネ端係止部17aに引張バネ部材20を取り付ける。同様に、粘着テープを取り付けた下部固定部材11を、第1の案内部材12A、12Bの案内面12Aa、12Ab間および12Ba、12Bb間に凹面11aを上方にして挿入し、下部固定部材11の底面の係合部42A、42Bを下部規制部材14A、14Bの鍵状係止部41に嵌合、係止する。同時に、下部固定部材11と下部規制部材14A、14Bにそれぞれ形成されたバネ係止部39a、39bにそれぞれ引張バネ部材40を係止する。この場合、上部固定部材10が引張バネ20によって上方に引き上げられ、一方下部固定部材11は、押し上げ手段28のハンドル28dをP1にセットしてカム28cの外周面を短軸辺28c2として、下方に降下させた状態となっている。
【0025】
このように上部及び下部固定部材10、11を取り付けた状態で、ゴムローラ1の回転軸2aを支持部材6A、6Bに載置し、押え部材25A、25Bで回転軸2aの上面を押える。このゴムローラ1の支持部材6A、6Bへの設定時に、ゴムローラ1の設定方向を位置決めするために、ゴムローラ1の回転軸2aの軸径が左右で異なっており、ゴムローラ1を反対取り付けた場合には、押え部材25A、25Bの一方が回転軸2aの上面を押えることができず、反対にセットされていることを測定者は認識できるようになっている(図3参照)。
このように、セットされたゴムローラ1に対して下降端検出用突起部29を検知手段30が検知するまで上部固定部材10を下降させる。下降端検出用突起部29を検知手段30が検知するまで上部固定部材10を下降させると、上部固定部材10の凹面10aに取り付けられた粘着テープ10bの他方の粘着層でゴムローラ1の弾性層3の外周面3aが粘着され、上部固定部材10にゴムローラ1が無負荷状態で固定されることになる。(図9参照)
このようにして、上部固定部材10に固定されたゴムローラ1に対して、押し上げ手段28のハンドル28dを回転させて下部固定部材11を押し上げ、下部固定部材11の凹面11aに取り付けられた粘着テープ11bで、ゴムローラ1の弾性層3の外周部3aの下部部分を粘着して固定する。(図3参照)
【0026】
このようにして、上部固定部材10及び下部固定部材11に固定されたゴムローラ1は、回転トルク測定手段7を取り付けた支持台31を右方に移動させ、継ぎ手手段9の連結部9aに、ゴムローラ1の回転軸2aを連結する。このようにしてゴムローラ1を破断強度測定装置に取り付けた後、回転駆動手段であるハンドル34を回転させて、ゴムローラ1の回転軸2aに回転力を印加し、回転軸2aと弾性層3の接合部4の接合が破断されて回転軸2aが空転する際の回転トルクを回転トルク測定手段7で計測し、接合部4の破断直前の最大回転トルクを破断強度としている。
ここで、固定手段10b、11bとして使用される粘着テープの粘着力として、接合部4の所定の接合力以上の粘着力を有する粘着テープを使用すれば、測定されるゴムローラ1の最大破断強度を測定することが可能となる。
一方、接合部4の所定の接合力と同等の粘着力を有する粘着テープを使用し、接合部4の破断が発生するか否かを測定し、破断が生じない場合には、良品、破断が生じる場合には、不良品として判別することが可能となる。
【0027】
また、接合部4の所定の接合力以下の粘着力を有する粘着テープを使用し、ゴムローラ1の外周面3aに軸線Lと平行な直線をマーキングし、破断強度を測定すると、接合部4の軸方向における破断強度分布を測定することが可能となる。すなわち、接合部4の軸方向(長手方向)において、接合力の強さに分布があり、所定の接合力以下の接合強度を有する接合部4の部分では、回転軸2aに回転力が印加された場合に、その部分で破断が生じるのに対して、所定の接合力以上の接合強度を有する部分では、接合部4での破断が生ぜず、粘着テープと外周面3aとのずれ移動が生じ、前記直線状のマーキングが歪み、曲線に変形することになる。従って、この曲線の発生状況を観察することによって、ゴムローラ1の接合部4の破断強度分布を測定することが可能となる。
なお、ゴムローラ1の中心軸2と弾性層3の接合部の破断強度の測定としては、中心軸2と弾性層3との間を接着剤で接着して接合する場合だけでなく、円筒状の弾性層3を中心軸2に圧入して接合した場合における接合部4の破断強度も測定可能である。
【0028】
以上のように、本実施形態における破断強度測定装置においては、台座5と、当該台座5上に植立されてゴムローラ1の中心軸2の両端部を回転自在に支持する支持部材6A6Bと、当該支持部材6A、6B上に支持された前記ゴムローラ1の軸方向に前記台座2上で摺動自在に配設された回転トルク測定手段7と、当該回転トルク測定手段7の入力側回転軸7aと連結され、当該入力側回転軸7aを回転駆動するハンドル34と、前記回転トルク測定手段7の出力側回転軸7bと連結され、前記支持部材6A、6B上に支持された前記ゴムローラ1の中心軸2とを連結する継ぎ手手段9と、前記ゴムローラ1の弾性層3の周方向で上下に分割された外周面3aに沿った湾曲状の凹面10a、11aをそれぞれ前記ゴムローラ1の軸方向に延設し、当該各凹面10a、11aに前記ゴムローラ1の弾性層3の外周面3aを固定する固定手段10b、11bを有した柱状の上部固定部材10と下部固定部材11と、前記台座5上に前記軸方向に離隔して植立され、前記支持部材上に支持された前記ゴムローラ1の軸線を挟んで上下方向に平行に配設された案内面12Aa、12Ab、12Ba、12Bbを有して、当該案内面に沿って前記上部及び下部固定部材10、11を上下方向に摺動自在に挟持する一対の第1の案内部材12A、12Bと、当該第1の案内部材の少なくとも一方に形成される前記案内面と前記上部及び下部固定部材10、11のそれぞれの両側面10c、10d、と当接して前記上部及び下部固定部材10、11の回転を阻止する回り止め部13Aと、前記下部固定部材11を前記第1の案内部材12A、12Bで挟持したときに、下部固定部材の下方への移動を規制する下部規制部材14A、14Bとを備えることによって、ゴムローラ1の中心軸とその外周に接合される弾性層3との破断トルクを精度良く確実に測定可能な破断強度測定装置及びこれを用いた破断強度測定方法を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の破断強度測定装置で測定されるゴムローラの斜視図である。
【図2】図1のA−A線上で切断した断面図である。
【図3】本発明による一実施形態の破断強度測定装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図4】図3の右側面図である。
【図5】図3のB−B線上で切断した断面図である。
【図6】図3のC−C線上で切断した断面図である。
【図7】図3のD−D線上で切断した断面図である。
【図8】図3の一部を切り欠いた上面図である。
【図9】本発明による一実施形態の破断強度測定装置で使用される下降端検出用突起部と検出手段を示す断面図である。
【図10】本発明による一実施形態の破断強度測定装置で使用される固定部材に取り付けられる係合部を示す上面図である。
【図11】本発明による一実施形態の破断強度測定装置で使用される上部固定部材とシャフト部材との係止関係を示す断面図である。
【図12】本発明による一実施形態の破断強度測定装置で使用される押し上げ部材を示す上面図である。
【図13】本発明による一実施形態の破断強度測定装置で使用される回転駆動機構を示す正面図で、一部を切り欠いた平面図ある。
【図14】本発明による一実施形態の破断強度測定装置で使用される上部及び下部固定部材を示す平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ゴムローラ、2 芯金、2a 回転軸、3 弾性層、3a 外周面、4 接合部、5 台座、6A、6B 支持部材、7 回転トルク測定手段、7a 入力側回転軸、7b 出力側回転軸、8 回転駆動手段、9 継ぎ手手段、10 上部固定部材、11 下部固定部材、10a、11a 凹面、10b、11b 固定手段、10c、10d、11c、11d 側面、12A、12B 第1の案内部材、13A、13B 回り止め部、14A、14B 下部規制部材、15A、15B シャフト部材、16A、16B 支持柱部材、17 支持板部、18A、18B スラスト軸受、19 連結板部、20 バネ部材、21 支持柱部、22 ストッパー部、23 取手、24 支柱、25A、25B 押え部材、26、41 鍵状係止部、26a 根元部、26b 鍔部、27A、27B、42A、42B 係合部、28 押し上げ手段、29 下降端検出用突起部、30 検知手段、31 支持台、32 回転軸、33 トルクリミッタ、34 ハンドル、35 継ぎ手手段、36 台板、37 レール、38 スライダー、39a、39b バネ係止部、40 引張バネ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の外周に弾性層を接合したローラ部材の当該中心軸と弾性層との接合部の破断強度を測定する破断強度測定装置において、
台座と、
当該台座上に植立されて前記ローラ部材の中心軸の両端部を回転自在に支持する支持部材と、
当該支持部材上に支持された前記ローラ部材の軸方向に前記台座上で摺動自在に配設された回転トルク測定手段と、
当該回転トルク測定手段の入力側回転軸と連結され、当該入力側回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、
前記回転トルク測定手段の出力側回転軸と連結され、前記支持部材上に支持された前記ローラ部材の中心軸とを連結する継ぎ手手段と、
前記ローラ部材の弾性層の周方向で上下に分割された外周面に沿った湾曲状の凹面をそれぞれ前記ローラ部材の軸方向に延設し、当該各凹面に前記ローラ部材の弾性層の外周面を固定する固定手段を有した柱状の上部固定部材と下部固定部材と、
前記台座上に前記軸方向に離隔して植立され、前記支持部材上に支持された前記ローラ部材の軸線を挟んで上下方向に平行に配設された案内面を有して、当該案内面に沿って前記上部及び下部固定部材を上下方向に摺動自在に挟持する一対の第1の案内部材と、
当該第1の案内部材の少なくとも一方に形成される前記案内面と前記上部及び下部固定部材のそれぞれの両側面と当接して前記上部及び下部固定部材の回転を阻止する回り止め部と、
前記下部固定部材を前記第1の案内部材で挟持したときに、下部固定部材の下方への移動を規制する下部規制部材と、を備えたことを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の破断強度測定装置において、
前記継ぎ手手段は、一方向クラッチ手段であり、前記ローラ部材の中心軸と連結する連結部が前記回転トルク測定手段の出力側回転軸の回転方向に回転されたときに、前記ローラ部材の中心軸と連結し、前記回転トルク測定手段の出力側回転軸の回転方向と逆方向に回転されたときに、前記ローラ部材の中心軸との連結を解除することを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の測定装置において、
前記固定手段は、前記弾性層の外周面を接着剤で前記凹面に接着固定する接着剤層、前記弾性層の外周面に突き刺して前記凹面に固定する複数の突起を有する突起層及び前記弾性層の外周面を前記凹面にエアー吸着によって固定するエアー吸着部の何れかであることを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の破断強度測定装置において、
前記固定手段は、前記凹面の周方向において複数列で形成されていることを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の破断強度測定装置において、
前記固定手段は、両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであり、一方の粘着剤層は、前記凹面に粘着され、他方の粘着剤層は、前記弾性層の外周面に粘着されることを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の破断強度測定装置において、
前記上部及び下部固定部材の凹面で前記ローラ部材を挟持しながら前記上部及び下部固定部材を前記一対の第1の案内部材で挟持して前記下部固定部材を所定位置に位置決めしたとき、前記上部固定手段の自重をキャンセルする上部固定手段の引き上げ手段を備えていることを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項7】
請求項6記載の破断強度測定装置において、
前記上部固定部材は、当該上部固定部材を上下方向に摺動自在に案内する一対の第2の案内手段に取り付けられ、当該第2の案内手段は、前記上部固定部材が下降して、前記引き上げ手段による当該上部固定部材の自重をキャンセルする位置に当該上部固定部材が到達したことを検知する検知手段を備えたことを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項記載の破断強度測定装置において、
前記上部固定部材は、当該上部固定部材を上下方向に摺動自在に案内する一対の第2の案内手段に取り付けられ、当該第2の案内手段は、前記固定部材を下降させたときに、前記上部固定部材を前記第1の案内手段の案内面間に嵌入可能な位置に配設されていることを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項9】
請求項8記載の破断強度測定装置において、
前記第2の案内手段の上部固定部材の取り付け部に根元部と根元部より広幅の鍔部を有する鍵状係止部を有し、前記上部固定部材の上面に、前記鍵状係止部の鍔部の導入を許容する第1の開口と当該第1の開口に連通する第1の開口より狭幅で前記鍵状係止部の根元部導入を許容する第2の開口を有する係合部を形成し、前記鍵状係止部を前記上部固定部材の第1の開口内に嵌入させ、当該鍵状係止部の鍔部が前記第2の開口に位置するように前記上部固定部材を移動させて前記上部固定部材の取り付け部に上部固定部材を係止することを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項記載の破断強度測定装置において、
前記上部固定部材及び下部固定部材の少なくとも一方の側面に、前記上部及ぶ下部固定部材の凹面に固定されたローラ部材から前記上部及び下部固定部材の少なくとも一方を分離するための分離手段を係合する係合穴を形成したことを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項記載の破断強度測定装置において、
前記回転トルク測定手段の入力側回転軸と前記回転駆動手段との間にトルクリミッターを介在させて連結したことを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項記載の破断強度測定装置において、
前記回転駆動手段は、電動モータまたはハンドルを回転して回転軸を回転させる手動回転手段であることを特徴とする破断強度測定装置。
【請求項13】
中心軸の外周に弾性層を接合したローラ部材の当該中心軸と弾性層との接合部の軸線方向の破断強度の分布を測定する破断強度測定方法において、
前記ローラ部材の弾性層の外周面に、当該ローラ部材の軸線方向に所定長さの直線状のマーキングを形成し、請求項1乃至12の何れか1項記載の破断強度測定装置を使用し、前記上部及び下部固定部材の凹面に所定強度の固定力で前記ローラ部材の弾性層を固定し、前記回転駆動手段によって回転トルク測定手段を経由して前記ローラ部材の中心軸に回転トルクを付与し、前記直線状マーキングの変形状態を観察することによって当該中心軸と弾性層との軸線方向の所定長の接合部におけるに破断強度分布を測定することを特徴とする破断強度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−41975(P2009−41975A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205241(P2007−205241)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】