説明

三次元地形モデル製作システム

【課題】リアルな表現による地形模型の製作を簡易化する。
【解決手段】三次元モデル作成部14は、三次元地形データ111が表す三次元形状中の、建造物形状部分にテクスチャマッピングを施して三次元モデルを生成する。展開処理部16は、三次元モデル上の各建造物オブジェクトの展開図を作成し、展開図印刷処理部17は展開図をプリンタ5で用紙上に印刷する。地形模型作成制御部13は、三次元地形データ111を読み出し三次元プリンタ2に出力し、三次元地形データ111に従った地形模型の自動三次元造形を行う。地形模型製作者は、プリンタ5で用紙に印刷された展開図を切り取って組み立て、地形模型の展開図に対応する形状部分に貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元地形を表すモデルを製作する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元地形を表すモデルとしては、ジオラマ等として各種展示等において用いられている三次元形状の地形模型が知られている(たとえば、特許文献1)。
また、このような地形模型を、3Dプリンタや三次元光造形装置などの自動三次元造形装置を用いて、現実の地形を表す三次元地形データから自動製造する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
また、三次元地形を表すモデルとしては、三次元地形を電子的に表す三次元モデルも知られている。また、このような三次元モデル中において、建造物を表す三次元オブジェクトのテクスチャとして、現実の建造物を撮影した写真をテクスチャマッピングして用いる技術も知られている(たとえば、特許文献3)。ここで、このような三次元モデルは、仮想的な三次元世界中で三次元モデルを観察した景観を表す画像を表示することにより、当該三次元地形の景観を仮想現実的に提示するためなどに用いられる。
【0003】
また、立体物形状を表す三次元形状データから、組み立てて当該立体物形状を形成することのできる二次元の展開図を自動生成する技術も知られている(たとえば、特許文献4)。
【特許文献1】特開平11-085010号公報
【特許文献2】特開2006-048064号公報
【特許文献3】特開平11-120374号公報
【特許文献4】特開2002-328959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、従来の地形模型では、地形模型上の建造物をリアルに表現するために、地形模型の建造物部分に建造物の模様の彩色を施したり、現実の建造物を撮影した写真を当該建造物部分に整合するようにサイズ合わせ等の整形を施した上で切り抜いて貼り付けるなどの煩雑な作業を行う必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、リアルな表現による地形模型の製作を、より簡易に行えるように支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、三次元地形データが規定する三次元の地形を表す三次元形状に含まれる建造物形状部分にテクスチャを付与した三次元モデルに基づいて、前記三次元モデルの前記テクスチャが付与された建造物形状部分の三次元の外観を、組み立てて形成することのできる二次元の展開図を生成する展開図作成手段と、前記展開図を用紙上に印刷する展開図印刷手段とを有することを特徴とする三次元地形モデル製作システムを提供する。
【0007】
ここで、このような三次元地形モデル製作システムによれば、三次元地形の景観を仮想現実的に提示するために用いる三次元モデルを流用して、組み立てることにより建造物の外観を形成することのできる展開図を印刷することができる。そして、このような展開図を組み立てて、地形模型の建造物部分に貼り付けることにより、地形模型上の建造物をリアルに表現することができる。したがって、地形模型の建造物部分に建造物の模様の彩色を施したり、現実の建造物を撮影した写真を整形した上で切り抜いて貼り付けるなどの煩雑な作業を行うことなく、建造物をリアルに表現した地形模型の製作を簡易に行えるようになる。
【0008】
ここで、このような三次元地形モデル製作システムには、前記三次元地形データに基づいた三次元の地形模型の自動造形を行う地図模型造形手段と、前記三次元地形データが規定する三次元形状に含まれる建造物形状部分にテクスチャを付与し、前記三次元モデルを表す三次元モデルデータを生成する三次元モデルデータ生成手段とを設けることが好ましい。
【0009】
また、このような三次元地形モデル製作システムには、前記三次元モデルに基づいて、仮想世界中で前記三次元モデルを観察した景観を表す画像を生成する仮想景観画像生成手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、リアルな表現による地形模型の製作を、より簡易に行えるように支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る三次元地形モデリングシステムの構成を示す。
図示するように、三次元地形モデリングシステムは、三次元造形処理装置1と、自動三次元造形を行う三次元プリンタ2、表示装置3、入力装置4、プリンタ5とより構成される。
また、三次元造形処理装置1は、記憶装置11、入出力制御部12、地形模型作成制御部13、三次元モデル作成部14、仮想景観表示制御部15、展開処理部16、展開図印刷処理部17とを有する。
そして、記憶装置11には、航空測量や衛星測量やその他の測量によって作成された、所定の地理的領域の地形を三次元的に表す三次元地形データ111、テクスチャデータ112、仮想的な三次元世界を表す三次元モデルデータ113、展開図データ114が記憶される。
【0012】
ただし、以上の三次元造形処理装置1は、CPUやメモリや外部記憶装置等の一般的な構成を備えた汎用コンピュータを用いて構成されるものであって良く、この場合、以上の三次元造形処理装置1の各部の構成は、CPUが予め用意されたプログラムを実行することにより、プロセスや記憶資源として汎用コンピュータ上に具現化される。
【0013】
以下、このような三次元造形処理装置1の動作について説明する。
まず、入出力制御部12は、三次元造形処理装置1の各部と、表示装置3や入力装置4や三次元プリンタ2やプリンタ5との間の入出力処理を担う。すなわち、三次元造形処理装置1の各部は、入出力制御部12を介して、表示装置3や入力装置4や三次元プリンタ2やプリンタ5との間の入出力を行うことができる。
【0014】
次に、三次元モデル作成部14は、たとえば、入力装置4を用いたユーザ操作などに応じて、記憶装置11に記憶された三次元地形データ111が表す三次元形状中の、建造物形状部分などに、テクスチャデータ112が表すテクスチャをテクスチャマッピングした三次元モデルを生成し、生成した三次元モデルを表す三次元モデルデータ113を記憶装置11に格納する。
【0015】
すなわち、たとえば、三次元地形データ111が図2cに示す三次元形状200を表しており、三次元形状200に含まれる建造物形状部分201用のテクスチャとして、図2aに示す建造物の各側面を模擬した画像211、212を用意した場合には、この画像211、212を、三次元形状200の建造物形状部分201の表面にテクスチャマッピングし、図2dに示す三次元モデル220上の建造物オブジェクト221を得る。また、三次元形状200に含まれる建造物形状部分202用のテクスチャとして、図2bに示す当該建造物形状部分202に対応する現実の建造物の各側面を撮影した写真213、214を用意した場合には、この写真213、214を、三次元形状200の建造物形状部分202の表面にテクスチャマッピングし、図2dに示す三次元モデル220上の建造物オブジェクト222を得る。そして、三次元モデル220上の、他の建造物や道路などのオブジェクトについても、テクスチャマッピングや、その他の手法によって表面に色を設定し、三次元モデル220を完成させる。
【0016】
さて、次に、仮想景観表示制御部15は、記憶装置11に格納された三次元モデルデータ113が表す仮想的な三次元世界を、入力装置4を介してユーザから設定された環境下で、ユーザから設定された視点や視野角で観察したときに得られる二次元画像を、当該三次元モデルデータ113が表す三次元モデルをユーザからの各設定に従ってレンダリングすることにより生成し、表示装置3に表示する。
【0017】
次に、展開処理部16は、入力装置4を介したユーザ操作に応じて、記憶装置11に記憶された三次元モデル上の各建造物オブジェクトの展開図を作成し、展開図データ114として記憶装置11に記憶する。
すなわち、たとえば、図2dの三次元モデル220上の建造物オブジェクト222については、この建造物オブジェクト222の三次元形状に基づいて、組み立てて、図3aに示すように建造物オブジェクト222の三次元の外観を形成することのできる、図3bに示すような二次元の展開図301を作成し、作成した展開図301を表す展開図データ114を記憶装置11に記憶する。なお、ここで作成する展開図には、建造物オブジェクト222の三次元形状の底辺を形成する部分は含めなくて良い。また、展開図は、複数枚の展開図によって、当該複数の展開図を組み立てて組み合わせたときに、一つの建造物オブジェクトの形状を形成するものとして作成するようにしてもよい。
【0018】
次に、入力装置4へのユーザ操作などに応じて、展開図印刷処理部17は、記憶装置11に記憶されている展開図データ114が表す各展開図を用紙上にプリンタ5で印刷する。
次に、地形模型作成制御部13は、入力装置4へのユーザ操作などに応じて、適時、記憶装置11から三次元地形データ111を読み出し三次元プリンタ2に出力する。これにより、三次元プリンタ2において、三次元地形データ111に従った自動三次元造形が行われ、三次元形状を有する三次元の地形模型が製作される。
【0019】
さて、地形模型製作者は、プリンタ5で上記のように用紙に印刷された展開図を切り取って組み立て、地形模型の展開図に対応する形状部分に貼り付ける。
すなわち、たとえば、図2dの三次元モデル220上の建造物オブジェクト222について作成し印刷した図4aの展開図301については、建造物オブジェクト222に対応する図4bの地形模型401の形状部分402に、図4cに示すように、切り取って組み立てた展開図301を貼り付ける。また、他の三次元モデルの建造物オブジェクトについて作成、印刷した展開図についても同様に、切り取って組み立て、地形模型401の対応する形状部分に貼り付ける。そして、適宜、塗料による彩色などを必要に応じて施して、最終的に、図4dに示すような地形模型401を得る。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように本実施形態によれば、三次元地形の景観を仮想現実的に提示するために用いる三次元モデルを流用して、組み立てることにより建造物の外観を形成することのできる展開図を印刷することができる。そして、このような展開図を組み立てて、地形模型の建造物部分に貼り付けることにより、地形模型上の建造物をリアルに表現することができる。したがって、簡易にリアルな表現による地形模型の製作を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る三次元地形モデリングシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る三次元モデルの生成例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る展開図の生成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る地形模型の製作例を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1…三次元造形処理装置、2…三次元プリンタ、3…表示装置、4…入力装置、5…プリンタ、11…記憶装置、12…入出力制御部、13…地形模型作成制御部、14…三次元モデル作成部、15…仮想景観表示制御部、16…展開処理部、17…展開図印刷処理部、111…三次元地形データ、112…テクスチャデータ、113…三次元モデルデータ、114…展開図データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元地形データが規定する三次元の地形を表す三次元形状に含まれる建造物形状部分にテクスチャを付与した三次元モデルに基づいて、前記三次元モデルの前記テクスチャが付与された建造物形状部分の三次元の外観を、組み立てて形成することのできる二次元の展開図を生成する展開図作成手段と、
前記展開図を用紙上に印刷する展開図印刷手段とを有することを特徴とする三次元地形モデル製作システム。
【請求項2】
請求項1記載の三次元地形モデル製作システムであって、
前記三次元地形データに基づいた三次元の地形模型の自動造形を行う地図模型造形手段と、
前記三次元地形データが規定する三次元形状に含まれる建造物形状部分にテクスチャを付与し、前記三次元モデルを表す三次元モデルデータを生成する三次元モデルデータ生成手段とを有することを特徴とする三次元地形モデル製作システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の三次元地形モデル製作システムであって、
前記三次元モデルに基づいて、仮想世界中で前記三次元モデルを観察した景観を表す画像を生成する仮想景観画像生成手段を有することを特徴とする三次元地形モデル製作システム。
【請求項4】
三次元の地形を表す三次元形状を規定する三次元地形データと、建造物のテクスチャを表すテクスチャデータとを用いて、前記三次元形状に含まれる建造物形状部分に前記テクスチャを付与した三次元モデルを表す三次元モデルデータを生成するステップと、
前記三次元モデルデータに基づいて、前記三次元モデルの前記テクスチャが付与された建造物形状部分の三次元の外観を、組み立てて形成することのできる二次元の展開図を生成し、用紙上に印刷するステップと、
前記三次元地形データに基づいた三次元の地形模型の自動造形を行うステップと、
前記展開図に印刷された前記展開図を組み立てて前記地形模型の、当該展開図に対応する建造物形状部分に貼り付けるステップとを有することを特徴とする三次元地形モデル製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−280157(P2007−280157A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107120(P2006−107120)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000125978)株式会社きもと (167)
【Fターム(参考)】